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交通パート - 経済学部研究会WWWサーバ

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交通パート - 経済学部研究会WWWサーバ
2012 年度
河端瑞貴研究会
三田祭論文
交通パート
鉄道の新駅設置による
都心へのアクセシビリティ変化と地価分析
慶應義塾大学
経済学部
河端瑞貴研究会
経済学科
1期
岩崎武彦
小崎基由
中塚隼人
1
目次
第一章 序論
1.1 背景と問題意識
……………………………………3
1.2 構成と分析の流れ
……………………………………4
第二章 川崎市の再開発計画の概要
2.1 武蔵小杉の過去
…………………………………….5
2.2 「川崎再生フロンティアプラン」
…………………………………….5
第三章 川崎市の現状分析
3.1 人口
……………………………………9
3.1.1 川崎市の人口の全体像
……………………………………9
3.1.2 中原区の年少人口の状況
……………………………………11
3.2 地価
……………………………………12
3.3 土地利用
……………………………………16
第四章 小杉周辺の「交通の結節」
4.1 横須賀線武蔵小杉新駅設置の概要
……………………………………21
4.2 新駅開業の効果
……………………………………22
第五章 地価分析
5.1 研究対象地域
……………………………………25
5.2 一般化費用
……………………………………26
5.3 一般化費用算出
……………………………………26
5.3.1 時間価値
……………………………………27
5.3.2 所要時間
……………………………………27
5.3.3 コスト
……………………………………31
5.3.4 一般化費用算出
……………………………………32
5.4 分析結果
……………………………………33
5.5 残差の検討
……………………………………35
第六章 結論
……………………………………37
2
第一章
1.1
序論
背景と問題意識
近年、都心部における公共交通の重要性が高まっている。地方では、自動車
中心の社会が続いている一方で、都心では人口集中により鉄道やバスがなけれ
ば生活ができない社会となりつつある。東京、名古屋、大阪の三大首都圏では
渋滞が慢性化しており、自動車分担率が年を追うごとに減少している。それに
対し、鉄道などの公共交通分担率は増加しており、首都圏での「自動車離れ」
は年々進行している。
加えて、少子高齢化のような社会問題も反モータリゼーションへ拍車をかけ
ている。文部科学省によると、我が国では 2025 年に 65 歳以上の人口が総人口
の約 30%を占めると予測されている。こうした将来に向けて、高齢者でも利用
しやすい公共交通を中心とするまちづくりが必要とされている。超低床車両で
揺れが少ないなどのバリアフリーに特化した LRT を新たに整備し、高齢者が移
動しやすいまちづくりを行っている富山市は一例として挙げられる。
このように公共交通機関が必要不可欠な現代において、鉄道の新規路線や新
駅設置は周辺地域の発展に大きな影響を与える。交通網の拡大は沿線地域の活
性化を促す。それだけでなく、多くの場合周辺地域における都心へのアクセス
改善をもたらす。例えば、2008 年に開業した「日暮里・舎人ライナー」は沿線
地域の発展に大きく貢献した。交通手段が乏しかった以前よりも都心へのアク
セスが改善したことで、沿線地域では人口増加、地価上昇などの効果が表れて
いる。
このような交通と地域発展の関係を踏まえ、本稿では、武蔵小杉を分析対象
とする。武蔵小杉は神奈川県川崎市中原区に属し、東京都と神奈川県の県境に
位置する都市である。東急東横線、目黒線、JR 南武線、JR 横須賀線の 4 線が
通る拠点駅として近年発展が著しい。駅周辺はここ 10 年で様変わりし、幾つも
の高層マンションが立ち並ぶ。未だ再開発事業は 5 割程度しか完了しておらず、
これからの更なる発展が期待されておりメディアからも注目されている都市の
一つである。
本研究の目的は、武蔵小杉の発展と公共交通の関係を明らかにすることであ
る。武蔵小杉では 2010 年に横須賀線の駅が新設された。横須賀線の他、併走す
る湘南新宿ラインも停車するようになったため、都内の主要な駅へのアクセス
が大幅に改善された。時期を同じくして、駅周辺の再開発事業は着々と進行し
現在では川崎市を代表する都心へと成長している。さまざまな要因があると予
想されるが、駅の新設は周辺地域の発展において重要なファクターになってい
3
ると考えられる。本稿では、武蔵小杉駅新設による都心へのアクセシビリティ
改善と地域の経済発展の関係性を明らかにしたい。
1.2
構成と分析の流れ
本稿の構成は以下の通りである。
まず、第二章で武蔵小杉の概要を説明する。工場地帯であった時代から遡り、
川崎市を代表する広域拠点へと変化していく起点となった、川崎市が発表した
「川崎再生フロンティアプラン」を整理し、計画の全容を明らかにする。
第三章では、武蔵小杉が属する川崎市の現状について分析する。現在の人口
や地価のデータなどを GIS(地理情報システム)でマッピングを行い、川崎市
の他の都市と比較することで、武蔵小杉駅周辺の再開発の影響がいかに顕著に
表れているかを明らかにする。また、再開発に伴う土地利用の変化も説明する。
第四章では、横須賀線武蔵小杉駅新設について述べる。2010 年に開業した JR
横須賀線武蔵小杉駅は再開発計画の一部であり、周辺地域の利便性向上に成功
した。本研究では、この「交通の結節」が武蔵小杉の発展に大きな影響を与え
る要因であるという仮説のもと分析を進める。加えて、新駅開設の経緯と再開
発事業の関係についても言及する。
第五章では川崎市を対象に地価分析を行う。前章の仮説のもとに、ヘドニッ
ク・アプローチの手法を用いることで、交通アクセス改善が地価にどれほど影
響を与えるのかを考察する。本稿では、アクセシビリティ指標として一般化費
用を用いた。各地価ポイントから都心まで最も金銭的に安く行くことができる
交通手段を選択するという仮定の下、最小一般化費用を算出し説明変数とした。
最小一般化費用の概要と算出についても第五章で整理する。
第六章では、結論としてこれまでの分析を整理し、武蔵小杉の将来について
言及する。
4
第二章
川崎市の再開発計画の概要
この章では、川崎市や武蔵小杉地域がこれまでどのような街であり、現在ま
でどのように変化してきたかを説明する。また、川崎市の再開発計画の中核で
ある、
「川崎再生フロンティアプラン」についても詳しく説明する。なお、この
章は、川崎市役所の武蔵小杉駅周辺推進整備室の久保寺氏とのインタビューの
内容、及び「川崎再生フロンティアプラン」の「第三期実行計画」[A]を情報源と
して、執筆している。
2.1 武蔵小杉の過去
武蔵小杉地域は元来、工業地域としてよく知られており、大小数多くの工場
が置かれていた。大規模なものでは、日本電気(NEC)玉川事業所やキヤノン
小杉事業所、東京機械製作所などがあった。工業が盛んであったことは、現在
の東急東横・目黒線武蔵小杉駅は、以前は「工業都市駅」と呼ばれていたこと
からも分かる。
商業地区としては、駅の南西方面に法政通り商店街や東急武蔵小杉駅の隣の
駅である新丸子駅周辺がその中心であった。新丸子駅から JR 武蔵小杉駅に至る
道路沿いには、古くからの商店が軒を連ねていた。工場地区と隣接する形で風
俗店や遊技場が立ち並ぶ歓楽街でもあった。
だがしかし、近年この状況は大きく変わりつつある。現在、川崎市の主導に
より、大型の再開発計画が進められている。市は、武蔵小杉を川崎、溝の口・
新百合ヶ丘に続く第三都心と指定して、住・商・医が揃った「コンパクトな街」
を目指している。長年営業してきた工場の多くは移転され、その跡地には高層
ビルや大型の商業施設が建設される予定である。
この再開発計画は、「川崎再生フロンティアプラン」の中の、「小杉駅周辺ま
ちづくり推進地域構想」と呼ばれ、2005 年ごろから、阿部孝夫川崎市長のもと
で進められてきた。次節では、この「川崎再生フロンティアプラン」、特に小杉
周辺の再開発事業のビジョンや方針について、詳しく見ていく。
2.2 「川崎再生フロンティアプラン」
川崎市の再開発計画は、市が定めた「川崎再生フロンティアプラン」によっ
て行われる。このプランを進めていくことによって、「広域調和・地域連携型」
の都市構造を目指している。
「広域調和」とは、武蔵小杉以外の重要拠点である
5
川崎駅周辺地域、新百合ヶ丘駅周辺地域との機能分担・補完を目指すことを意
味する。また「地域連携」とは、この地域に住む住民の生活環境の向上を強く
目指すということを意味する。
この市全体の再開発計画の中でも、大変重要な再開発地区に定められている
のが、小杉駅周辺地区である。この地区は、川崎駅周辺地区、新百合ヶ丘駅周
辺地区に並ぶ、
「広域拠点」と位置づけられ、市外からの来訪者に対して玄関口
としての役割や、都市拠点としての役割を果たすことなどが求められている。
この再開発計画は、いままでの武蔵小杉から大きく変わろうとするものであ
る。それは武蔵小杉駅地域再開発のまちづくり基本コンセプトから見て取れる。
再開発の基本コンセプトとして、
・歩いて楽しいまち
・環境共生型のまち
・豊かに暮らせるまち
という 3 点を掲げている。このコンセプトは、かつての「工業都市」
「歓楽街」
という武蔵小杉のイメージとは大きくかけ離れており、工場労働者のための街
から、子供を育てる若い家族が安心して生活できる街に方針転換している事が
分かる。
では、武蔵小杉は、具体的にどのような都市になることを目指しているのだ
ろうか。
まずは都市構造の全体図からみていこう。次に示した図 2a は、小杉駅周辺の
区域別活用法の概略である。駅周辺をいくつかの区域に分け、それぞれ固有の
機能をもたせていることが分かる。例えば、駅周辺区域は「交流の核」と位置
づけ、多くの住民や買い物客が利用できる商業施設を積極的に誘致する。駅か
ら南東の区域では、「ものづくりの核」として、NEC など、川崎市を支える重
要産業の拠点を置く。また、北西には「緑の核」として等々力緑地内に、陸上
競技場、硬式野球場、テニスコート、サッカー場、プール、とどろきアリーナ
など多数の運動施設を設置し、住民の健康とふれあいに役立つ場を提供してい
る。このように、駅周辺を機能ごとの区域に分けることによって、より効率的
で利便性の高い都市を目指しているのが、武蔵小杉の再開発の概要である。
6
図 2a
小杉周辺の将来都市構想図[川崎市ホームページ]
この都市機能を持たせるため、分野別の方針として、土地利用の方針・交通
体型の方針・都市環境の方針・都市防災の方針という 4 つの方針がある。詳し
い内容は割愛するが、川崎市役所の久保寺氏によると、特に重要な方針は土地
利用と交通体系である。土地利用は先に述べた通り、工業地域から商業・住宅
7
地域へと変化させる方針であり、交通体系の方針は鉄道網の充実化を図る方針
である。
以上のことから、小杉周辺は大きく変わろうとしている様子が伺える。次章
では、これらのビジョンや方針を実行に移している過程で、現在小杉及び小杉
を含む中原区がどのような状況になっているのかを分析する。
8
第三章
川崎市の現状分析
前章では、小杉地区の過去の様相、そして同地区の再開発計画である「川崎
再生フロンティアプラン」の概要を説明した。本章では、再開発が進められて
いる小杉地区を含む中原区が、現在どのような姿になっているかを見る。街の
「魅力」は人の感覚に依存する要素が多いため絶対的な指標は存在しないが、
定量的に街の魅力を計るには人口、地価、そして土地利用が妥当だと考えた。
これらはいずれも人がもつ需要を表しているからである。分析の手法として、
「川崎再生フロンティアプラン」の途中経過の効果を図やグラフで表す。
3.1 人口
はじめに、人口について取り上げる。ここでは中原区の人口状況を川崎市の
他区と比較し、中原区の立ち位置を確認する。さらに、中原区の年少人口に焦
点を当て、その推移や、現実の状況を見ていく。
3.1.1 川崎市の人口の全体像
図 3a は川崎市の 7 区における人口の推移である。図 3b は 2012 年現在の人
口密度[C]の大きさによって色分けしたもので、色が濃くなるほど(赤くなるほど)
人口密度が高いことを表している。まず図 3a で示したいことは、川崎市全体と
して人口は右肩上がりだということである。すなわち、人口減少が起きている
と言われる今日の日本において、川崎市はまだ活性途上であると言える。その
中でも、中原区は川崎市の中で今日一番人口が多く、特に 2003 年(平成 15 年)
からの人口増加は他区を大きく上回っていることが伺える。その結果が図 3b の
2012 年現在の人口密度に表れている。中原区と幸区の人口密度が相対的に高い
ことが見て取れる。
9
」
図 3a
図 3b
川崎市の7区における人口の推移[B]
川崎市の7区における人口密度
10
次に、下の図 3c を参照したい。
図 3c 川崎市の7区における平均年齢と人口増加率
図 3c は、川崎市の7区における 2011 年現在の平均年齢[D]と、2003 年から 2012
年までの人口増加率[E]を表しているグラフである。このグラフを見ると、図 3a
での人口の右肩上がりを裏付ける通り、人口増加率は全て 100%を越えており、
人口が増えていることが分かる。その中で、中原区はとても特徴的だと言うこ
とができる。人口増加率が相対的に高く、かつ、平均年齢が相対的に低いので
ある。まとめると、中原区は人口が急激に増え、現在は人口数・密度ともに川
崎市の中で上位であり、その中でも比較的若い年齢の人口が近年多いというこ
とが言える。
3.1.2 中原区の年少人口の状況
前項では、人口の増加とともに平均年齢の低さを見たが、この項では、その
平均年齢の低さを更にクローズアップして見ていきたい。図 3d は、中原区の年
少人口の推移を表したものである。ここでの年少人口は、川崎市役所が公表し
ているデータをもとにしており[F]、14 歳未満の人口を指す。
11
図 3d 中原区における年少人口の推移
このグラフを見ると歴然としているのが、中原区内での年少人口の増加であ
る。図 3a と照らし合わせると、2003 年ごろから急増している人口全体に比例
して、年少人口も増加したことが分かる。人口増加の中でとりわけ若い世代の
みが増加したとは言い難いが、少子高齢化の今日、年少人口が増えていること
は中原区にとって好ましい状況と言える。川崎市によると、中原区の小学校児
童数は、2014 年までに、2008 年比で 1460 人の増加と推定されている[G]。この
状況下において、各小学校でクラス数を増加させている。中原区の公立小学校
において 2008 年比で 39 クラスの増加を 2014 年までに見込んでいる[G]。更に、
急激な増加を補うために小学校を新設する計画も進行している。
以上を踏まえると、中原区は今、人が住みたいと思う魅力的な街へと変化し
ており、その証拠として、子どもを含む人口が多く増えているということが言
える。
3.2 地価
前節の人口に引き続き、中原区の現状を把握するために本節では地価を分析
する。ここでも川崎市の他区と地価を比較するが、ここでは中原区の特に小杉
周辺の状況を検証する。地価の分析に用いるデータは国土交通省が毎年公表し
ている、全国各地の標準値の価格を提示する公示地価を用いた。本節では、特
に小杉周辺の昔と今の比較を中心に分析を進めていく。
図 3e と図 3f はそれぞれ 2003 年、2012 年の地価を地理情報システム(GIS)
12
を用いて 3 次元に視覚化したものである。両図とも、棒グラフの長さの基準は
同じである。すなわち、両図で棒の長さが同じなら価格も同じである。また、
それぞれの図で色分けがされており、赤が高く、オレンジ、黄色、緑、黄緑の
順に価格は低いことを表している。
この二つの図を見比べると、違いが歴然としていることに気が付く。一つは、
川崎駅周辺の地価の上昇である。川崎駅周辺も再開発が進んでおり、複合商業
施設「ラゾーナ川崎」の 2006 年の開業も記憶に新しいものとなっている[H]。こ
うした、川崎駅周辺全域をとりまとめた再開発計画が功を成し、地価が急増し
ていることが両図を見て明らかである。2003 年から 2012 年にかけてのもう一
つの大きな違いは、武蔵小杉駅周辺である。この二つの図を見比べるだけでは
どれだけ伸びたか正確な数字は判断しにくいが、その分、小杉周辺の地価が相
対的に高騰したことが見て取れる。それは、長さだけでなく、地価が高い公示
地点が増えたことなどから見られる。更に、近隣の溝の口との比較をしても、
2003 年では溝の口周辺の方が上回っていたものの、2012 年では小杉周辺の方
が高くなっていることが分かる。
13
図 3e
川崎市における 2003 年度の地価
図 3e
川崎市における 2003 年度の地価
図 3f 川崎市における 2012 年度の地価
図 3f 川崎市における 2012 年度の地価
14
次に、図 3e と図 3f の情報を重ねた、2003 年から 2012 年にかけての地価
の上昇率を図 3g に示す。
図 3g
川崎市の7区における地価の上昇率
白い丸は地価の下落を、色がついた丸は地価の上昇を表し、色が濃くなるに
つれ(赤くなるにつれ)上昇率が高いことを表している。図 3g は、図 3e 及び
図 3f と似ているが、一風変わった側面を見せている。図 3e と図 3f では武蔵小
杉だけでなく川崎も地価の上昇が顕著であるということがわかったが、図 3g を
見ると、地価が上昇した地点は、地点の数でいうと川崎より武蔵小杉の方が上
回っている。無論、川崎駅周辺の地価の伸び率は非常に高いのだが、武蔵小杉
は周辺一帯の地価が上昇していることが表されている。
以上のことを考えると、地価だけをみても、「川崎再生フロンティアプラン」
は成果を十分発揮していると言って良い。すなわち、計画通り武蔵小杉は広域
拠点として魅力ある街になりつつあると言えるだろう。
15
3.3 土地利用
武蔵小杉駅周辺地域は、もともと工場の多い典型的な工業地域であった。そ
れが、近年の再開発計画によって、商業・住宅地域に変化してきている。この
章では、その変化を工業・商業・航空写真の3点から検証する。
工業状況の検証では、川崎市の実施している工業統計調査の結果を参照する。
工業の状況を測る指標として、中原区内での製造業従事者数と、同じく区内で
の製造品出荷額を用いる。まず、製造業従業者数を検証する。
図 3h を見て分かる通り、中原区における製造業従業者数は、1997 年から連
続して下がり続けており、1997 年時点で 26,000 人以上であるのに対し、2010
年時点では約 7,700 人である[I]。この 14 年の間に、3 分の 1 以下に急減してい
る。
図 3h 中原区内の製造業従業者数の推移
次に、製造品出荷額の推移を検証する。図 3i にある通り、中原区における製
造品出荷額は、従業者数と同様に下がり続けている。1997 年時点で 1 兆 1,000
億円を越えるのに対し、2010 年時点では 4,500 億円となっている[I]。この 14 年
の間に、半減している。
16
図 3i
中原区内の製造品出荷額の推移
以上のように、従業者数・製造品出荷額ともに、1997 年ごろから大幅に減少
しており、中原区内ではここ十数年、工業生産が下降の一途をたどり、工業が
衰退していったことが分かる。この点から、再開発計画のための準備が始まっ
ていたと考えられる。では、
「工場労働者の街」からの脱却を図ることができた
一方、川崎市が目指す「交流とにぎわいがあふれるヒューマンなまち」[A]に生ま
れ変わることはできているのだろうか。再開発の骨子は、古くから残る工場を
撤退させ、その跡地に新たな商業施設を誘致することであった。つまり、工業
から商業への転換が計画の重要目標だったのである。
では次は、その商業の変化の状況を、検証してみよう。ただ、商業に関して
は川崎市が実施している商業調査の最新情報が 2007 年度であり、有益な情報が
得られなかったため、ここでは別のアプローチから商業の発展を見たい。現在、
武蔵小杉周辺では、数多くの再開発計画が進行中であり、建物の新築計画は 30
以上存在する。図 3j は現在進行中の再開発計画の一覧である。大小様々な計画
があちこちで行われており、ビルの建設ラッシュが続いていることが分かる。
これらのほとんどは、高層・大型ビルであり、低階層はスーパーマーケットを
含む商業施設、高階層は賃貸住宅として利用される予定である。
17
図 3j
駅周辺での主な再開発事業[武蔵小杉ライフ]
18
最後に、小杉駅周辺の航空写真から、この地域で再開発が進み、建物が次々
と建てられていった様子を読み取ってみることにしよう。以下の図は、Google
Earth を用いた航空写真である。左上が 2003 年、右上が 2005 年、左下が 2006
年、そして右下が 2012 年となっている。
2003 年
2005 年
2006 年
2012 年
新駅
図 3k 小杉の変遷 [Google Earth]
図 3k 小杉の変遷 [Google Earth]
19
この航空写真を見ると、小杉周辺の発展の状況が歴然としている。工場跡地
だった土地に高層ビルが立ち並び、2012 年には横須賀線武蔵小杉新駅の駅舎も
見える。このように、航空写真から見て一目瞭然と言えるほど、武蔵小杉の土
地利用は変化しているのである。
以上のように、第三章では武蔵小杉地域の再開発計画の効果を、人口・地価・
土地利用の推移を見ることで検証した。検証の結果、以下の様なことが分かっ
た。
武蔵小杉駅周辺地域は、
・近年人口の伸びが大きく、中でも年少人口の増加が他区に比べて著しい。
・川崎駅周辺と並び、地価上昇率が高い地域である。
・工場が激減し、代わりに商業施設や住宅の建設が続いている。
このように、人口・地価・土地利用という全ての指標について、再開発によ
る一定の変化が見て取れることが分かった。川崎市が目指していた姿は、かな
り達成しつつある。すなわち、武蔵小杉駅周辺は、もともと工場の多く集まる
工業地域であったが、近年の再開発事業によって、商業施設・高層マンション
が建てられ、住民が快適に過ごせる理想の街へと変貌しつつあると言える。
20
第四章
小杉周辺の「交通の結節」
前章では武蔵小杉の現状分析を行った。土地利用の観点からは、街が工業地
域から住宅・商業地域へと変革している様子がわかり、その結果、多くの年少
人口を含む人口増加が見られ、地価も上昇していることが判明した。確かに小
杉は、
「川崎再生フロンティアプラン」が意図した通りの、人が暮らしたい魅力
ある街へと変わり、その魅力を更に高めようとしている。
では、なぜ、小杉地区はこのように順当に発展し、その魅力を高めていった
のであろうか。この問いには様々な要素が複雑に絡み合っているため一つの答
えを導き出すことは困難である。ただ、その大きな要因は、横須賀線武蔵小杉
駅が新たに開業したことによる、アクセスの向上にあるのではないだろうか。
第二章でも述べた通り、
「川崎再生フロンティアプラン」の四つの基本方針の内
の一つが交通体系で、鉄道網の充実化が目標とされていた。その具現化された
プロジェクトが、2010 年 3 月に新たに開業した横須賀線武蔵小杉駅の誕生であ
る。第四章と第五章で、小杉においてアクセスの改善が地価の上昇の大きな要
因であるという仮説を検証するが、まず本章では、この新駅設置の事業概要と、
その効果について見ていく。
4.1 横須賀線武蔵小杉新駅設置の概要
川崎市が計画した「川崎再生フロンティアプラン」の小杉駅周辺地区では、
「交
通の結節」が一つの大きな柱として挙げられていた[K]。つまり、新駅設置の議論
は、小杉を再開発させる計画の一手段としてされていたのである。
そもそも武蔵小杉は、JR南武線と東急東横線、そして東急目黒線が結合す
る接続駅で、既に交通の利便性は高かったと言える。しかし、路線の性質とし
て、乗り継ぎなしで東京駅や新宿駅など都内の最も主要な駅には行けないとい
う状況であった。
では、なぜ横須賀線なのか。武蔵小杉を横須賀線が通るようになった経緯を
説明したい。従来、横須賀線は神奈川県鎌倉市にある大船駅より北は、東海道
線と同じ線路を走っていた。横須賀線も東海道線も、横浜駅を経由して東京駅
と結んでいたからである。しかし、都市化と共にダイヤが過密になりすぎ、運
行に支障が出たため、1980 年に東海道貨物線の品鶴線を使うことになり、複々
線化することになった。この品鶴線が、現在の横須賀線のルートになっており、
この路線は武蔵小杉を通っていた[L]。つまり、そもそも武蔵小杉駅に横須賀線を
21
止まらせたいために横須賀線のルートが変わった訳ではなく、もともと横須賀
線は新駅を通るルートを走っていたのである。この状況下で、横須賀線を武蔵
小杉に止まらせたいという思いは川崎市の素朴な「横須賀線の電車が武蔵小杉
に停車したら便利だろう」という発想から生まれたのである[K]。
新駅設置事業の経緯としては、結論から述べると、スムーズだったと言え
る。川崎市役所の小杉駅周辺推進整備室の久保寺氏によると、川崎市とJR東
日本の考えが一致し、2005 年 4 月に新駅に関する基本覚書を川崎市長とJR東
日本社長が締結した。その後 2006 年 10 月に新駅設置工事等の施行協定を川崎
市長、JR東日本社長、そして住宅事業者と共に結び、2007 年 5 月に新駅工事
着手、2010 年 3 月に新駅が開業するという、速いペースで、約 226 億円の新駅
設置事業が進んだと言える。
4.2 新駅開業の効果
新駅が開業して、結果的に武蔵小杉には多くの列車が通過せず停車すること
になった。列車とその直通の行先を表 4a で紹介する。
表 4a
路線名
横須賀線(総武線直通)
武蔵小杉新駅を通る路線とその行先
南・西方向の主な行先
北・東方向の主な行先
横浜、鎌倉、逗子、横須賀、久 品川、東京、千葉、成田空港、
里浜
君津
湘南新宿ライン
(上の行先に加え)藤沢、国府 渋谷、新宿、池袋、大宮、小山、
(東海道線・横須賀線・ 津、小田原
宇都宮、熊谷、本庄、高崎
宇都宮線・高崎線直通)
(各停、快速、特別快速)
成田エクスプレス
横浜、大船
品川、東京、成田空港
スーパービュー踊り子
小田原、熱海、伊東、伊豆急下 池袋、大宮
田
東武日光
大船
東武日光、鬼怒川温泉
以上の様に、首都圏へのアクセスが飛躍的に向上した他、成田空港へも、
そして観光名所へも直通で行けるという駅へと発展した。以上の列車は、新駅
に止まる列車であり、その他にも武蔵小杉駅は立川、登戸、武蔵溝ノ口と川崎
を結ぶJR南武線、渋谷、自由ヶ丘と横浜、みなとみらい、元町中華街を結ぶ
22
東急東横線、日吉と目黒、そして南北線と都営三田線とに直通接続する東急目
黒線が既存にあることは、留意したい。
また、以下は、武蔵小杉の新駅からの主な駅への所要時間をまとめたもの
である。
表 4b
武蔵小杉新駅からの主な駅への所要時間
路線
行先
時間
横須賀線
東京
18分(直通)
湘南新宿ライン
新宿
18分(直通)
湘南新宿ライン
池袋
24分(直通)
横須賀線・地下鉄
金町
59分
成田エクスプレス
成田空港
77分(直通)
横須賀線・京急線
羽田空港
50分
表 4b を見ると、都内の主な駅には 30 分以内でアクセスできることが分かる。
また、直通でなくても、東京都内は一時間以内にアクセスできる。例えば金町
駅は東京都の東端の駅で武蔵小杉から最長の距離となるが、それでも一時間以
内のアクセスが可能となっている。図 4a を見ても、図 4b を見ても、武蔵小杉
からのアクセスの改善は疑いの余地がないと言える。
アクセスが改善したことにより、人の移動はどのように変化したのだろうか。
次のページの図 4c を参照したい。この図は、中原区の人口と、JR武蔵小杉駅
(南武線含む)の一日平均の乗車人員を示している。左の縦軸に乗車数、右の
縦軸に中原区の人口をおいている。これは、2001 年から 2011 年の各年度の神
奈川県勢要覧をもとに作成している[M]。
この図で分かることは、大きく見ると、乗車人員も人口も右肩上がりである
ということが分かる。細かく見ると、棒グラフで表している乗車数は、新駅が
開業した 2010 年度より、一気に 2 万人以上増えている。これには、人口が増え
ただけでなく、東急線利用者が横須賀線や湘南新宿ラインに乗る為に乗り換え
をした人が多くいるとの見方がある。また、実際新駅が開業した年は 2010 年だ
が、それより前から人口は年々急増している様子が見て取れる。2004 年・2005
年から傾きが急になってきている。前節でも触れた通り、新駅を設置すると川
崎市長とJR東日本社長が覚書を締結した年が 2005 年である。
つまり、アクセスが改善すると決まって以降、人口が増えているのである。
無論、新駅設置だけが要因ではないにしろ、新駅ができてアクセスが良くなる
という期待を持って移住してきた人口も多数いることは、想像に難しくない。
23
図 4c 中原区の人口及び JR の武蔵小杉駅乗車数の推移
この図は、中原区の人口と、JR武蔵小杉駅(南武線含む)の一日平均の
乗車人員を示している。左の縦軸に乗車数、右の縦軸に中原区の人口をおいて
いる。この図で分かることは、大きく見ると、乗車人員も人口も右肩上がりで
あるということが分かる。細かく見ると、棒グラフで表している乗車数は、新
駅が開業した 2010 年度より、一気に 2 万人以上増えている。これには、人口が
増えただけでなく、東急線ユーザーの人が横須賀線や湘南新宿ラインに乗る為
に乗り換えをした人が多くいるとの見方がある。また、実際新駅が開業した年
は 2010 年だが、それより前から人口は年々急増している様子が見て取れる。
2003 年・2004 年から傾きが急になってきている。前節でも触れた通り、新駅
を設置すると川崎市長とJR東日本社長が覚書を締結した年が 2003 年である。
つまり、アクセスが改善すると決まって以降、人口が増えているのである。無
論、新駅設置だけが要因ではないにしろ、新駅ができてアクセスが良くなると
いう期待を持って移入してきた人口も多数いることは、想像に難しくない。
以上、横須賀線武蔵小杉新駅の設置について概要を説明し、アクセスの改善、
そして利用者数の増加の点から新駅設置の効果が明白であるということに言及
した。次の第五章では、ここで述べたアクセシビリティの改善を定量的に分析
すると共に、地価の上昇との関連について分析を行う。
24
第五章
地価分析
第四章では、横須賀線武蔵小杉駅の新設について言及した。これを踏まえ、
新駅開業が周辺地域に与える影響について分析を行う。本研究では、ヘドニッ
ク・アプローチという手法を用いる。ヘドニック・アプローチとは、地価を被
説明変数、その地点における環境の質を説明変数に置いた上で回帰分析をし、
そのパラメータから各要因が地価に与える影響を分析する手法である。つまり、
周辺環境の変化による経済効果は地価の変化を辿ることで推測できるというこ
とである。
このように環境の質から地価を推定するヘドニック・アプローチは、資本化
仮説に基づく。資本化仮説とは、
「社会資本投資の便益は、ある一定の条件の下
[N]
では、地価の上昇に帰着する」 という仮説である。
以上の分析手法を用いて、都心への交通利便性の向上と周辺地域の関係性に
ついて検討する。一般的に都心に近ければ近いほど地価は上昇すると考えられ
る。横須賀線武蔵小杉駅の開業によって武蔵小杉周辺から都心へのアクセスは
大幅に改善した。前章でも述べたように、横須賀線は東京、新橋、品川まで乗
り換えなしで行けるのに加え、新宿、渋谷まで直通の湘南新宿ラインも武蔵小
杉駅を停車するためである。こうした状況から、武蔵小杉周辺の地価は上昇し
ていると考えられる。この仮説を下に、前述したヘドニック・アプローチを行
い、実際にアクセスが改善されると地価が上昇するかを検証していきたい。
ここで、都心へのアクセシビリティ指標として一般化費用を用いる。2003 年
と 2012 年における地価の変化率を被説明変数、2003 年と 2012 年における一般
化費用の変化率を説明変数に当てはめて回帰分析を行うことで、都心へのアク
セス改善が地価にどれほど影響を与えているか観察することが可能となる。一
般化費用についての詳しい説明は 5.2、5.3 で行う。また、地価に関しては、国
土交通省が発表した公示地価を利用した。
5.1 研究対象地域
本稿の分析では、武蔵小杉駅が位置する川崎市を対象とした。理由は、サン
プル数が適当であることである。対象を中原区にした場合、国土交通省が発表
する公示地価ポイントのサンプル数が 32 であり少なすぎると判断した。一方、
川崎市が属する神奈川県に対象を広げてしまうと、本研究の分析対象である武
蔵小杉駅から離れすぎてしまい、新駅設置の便益を計測することが困難である
25
ため川崎市に絞って研究を行った。
5.2 一般化費用
本研究では、都心へのアクセシビリティを表す指標として一般化費用を採用
した。一般化費用とは、移動の際にかかる運賃や料金などの費用とは別に、移
動する際の所要時間を金銭的に換算した費用である。例えば、ある目的地への
移動にかかるコストが同じ 200 円の 2 つのルートが存在するとき、一方の所要
時間は 10 分、もう一方は 20 分かかるとする。このとき費用最小化行動を仮定
すると、前者を選択することが合理的な判断であると言える。なぜなら、後者
は前者よりも移動時間が 10 分長く、これを機会費用として換算し移動費に上乗
せしたコストが後者の「真」の費用だからである。つまり、一般化費用を算出
することで目的地への時間を考慮した最適なルートを明らかにすることができ
る。
ここで、一般化費用を以下のように定式化する。
GC=wT+C
GC:一般化費用(円)
w:時間価値(円/分)
T:所要時間(分)
C:コスト(円)
5.3 一般化費用算出
前説の式をもとに、各地価ポイントから都心までの一般化費用を算出した。
出発地点は各公示地価ポイントとし、目的地である都心は新宿駅と設定した。
新宿駅は日本において 1 日の乗降客数が最も多い駅であり、ビジネス、娯楽共
に東京の中心と考えたためである。また、2010 年の武蔵小杉駅開業による一般
化費用の変化を計算するため、開業前の 2003 年と開業後の 2012 年の一般化費
用を算出した。
ここで、一般化費用算出の際に設定した仮定を整理する。地価ポイントから
新宿までのルートを 2 つのパターンに限定した。一つは、地価ポイントから最
寄り駅まで徒歩、自転車、自動車、路線バス、タクシーのうち一般化費用が最
小となる移動手段を選択し、最寄り駅から新宿まで鉄道を利用するパターンで
ある。もう一つは、地価ポイントから新宿駅まで直接自動車を利用するパター
ンである。
26
5.3.1 時間価値
次に、一般化費用算出に用いた時間価値 w の算出を行う。一般的に、時間価
値の算出には「所得接近法」と「選好接近法」の二つがあるが、本研究では「所
得接近法」を用いる。
「所得接近法」とは、労働時間一分間あたりの収入を時間
価値とする方法である。つまり、移動時間を労働のための時間の損失として考
える。2012 年 7 月の神奈川県毎月勤労統計調査によると、5 人以上の事業所の
全産業平均給与(「現金給与総額」)が 363,855 円、労働時間(「総実労働時間」)
が 141 時間であった。これより時間価値 w は 43.54 と求められた。
時間価値(𝑤) =
363855(円)
141(時間) × 60(分)
= 43.54(円 ∕ 分)
また、ここで求めた時間価値 w は 2003 年と 2012 年で一定とする。本来であ
れば、2003 年と 2012 年の全産業平均給与と労働時間は異なるため、時間価値
もそれぞれの年度で求めなければならない。しかし、今回の分析の目的は都心
への所要時間の変化を追うことであり、時間価値が大幅に変化していた場合、
一般化費用に大きく影響を与える可能性がある。こうした理由により、時間価
値は一定と仮定した。
5.3.2 所要時間
次に、所要時間 T の算出を行う。各移動手段別に地価ポイントから最寄り駅
までの所要時間と鉄道を利用した場合の最寄り駅から新宿駅までの所要時間
(ケース①)、自動車を利用した場合の地価ポイントから新宿駅までの所要時間
(ケース②)の算出方法について整理する。ここで算出する鉄道以外の移動手
段における所要時間は 2003 年と 2012 年で一定とする。
Ⅰ 徒歩
移動手段が徒歩の場合は地価ポイントから最寄り駅までの最短道路距離を、
検索サイト NAVITIME を用いて検索した。また、人の歩行速度を分速 0.08km
と仮定し、道路距離を 0.08 で除することで徒歩による所要時間を算出した。
Ⅱ 自転車
自転車の場合は移動速度を分速 0.25 ㎞と仮定し、最短道路距離(km)を 0.25
で割った数値を所要時間とした。最短道路距離の算出は徒歩のケースと同様に
NAVITIME を用いた。
27
Ⅲ 自動車
自動車の所要時間は、自動車の移動速度を分速 0.5 ㎞と仮定し、NAVITIME
で検索した最短道路距離(km)を 0.5 で割った数値とした。
Ⅳ 路線バス
路線バスの所要時間の算出に関して2つの仮定をおいた。第一に、地価ポイ
ントから最も近くにあるバス停まで徒歩で移動し、待つこと無くバスを利用し
て最寄り駅まで行くと仮定した。バス停までの徒歩の所要時間の算出はⅠと同
様に行った。最寄りのバス停から最寄り駅までの所要時間は路線バス各社ホー
ムページを参照した。第二に、最寄りのバス停から最寄り駅まで向かうバスが
なければ、バスを利用しないと仮定した。川崎市の多くのバスは、発着点が川
崎や溝ノ口など規模の大きい駅であることが多い。そのため、最寄り駅が一つ
の路線しか通っていないような小さな駅の場合、近くのバス停から最寄り駅ま
でのバスがないケースが存在した。しかし、最寄り駅が移動手段によって異な
ってしまうと最小一般化費用算出を複雑にする可能性があるため、最寄り駅ま
でのバスが存在しない場合バスを利用しないと仮定した。
Ⅴ タクシー
タクシーの場合は、自動車のケースと同様に、移動速度を分速 0.5km と仮定
し、最短道路距離(km)を 0.5 で割ることで所要時間を求めた。
以上が地価ポイントから駅までの一般化費用の算出方法である。
Ⅵ 鉄道
鉄道を利用して最寄り駅から新宿駅まで移動した際の所要時間算出は 2012
年と 2003 年に分けて説明する。どちらとも所要時間検索にインターネットサイ
トを利用したが、ここでは最寄り駅に到着後、列車を待つことなく乗ることが
できると仮定した。
① 2012 年の最寄り駅から新宿駅までの所要時間算出
検索サイト Yahoo!ロコを用いて所要時間を検索した。出発点を最寄り駅、目的
地を新宿と設定し、新宿へ最も早く行くことができるルートを最短所要時間と
した。このとき、朝、昼、夕の3つの時間帯を出発時間と設定し、その平均を
所要時間とした。なぜなら、時間帯によって所要時間が大きく変わってしまう
ケースが存在し、特定の時間だけでは正確な分析を行うことができないと判断
したためである。具体的には、朝は通勤ラッシュの 8 時、昼は 12 時、夕は会社
員が帰宅し始める 18 時とした。
28
② 2003 年の最寄り駅から新宿駅までの所要時間算出
2003 年も 2012 年の場合と同様に、Yahoo!ロコから所要時間を時間帯別に検
索し平均をとった値を採用した。しかし、2003 年は 2012 年と決定的に異なる
点が 2 つある。1 つは運行形態の有無である。以下の表 5b は 2003 年と 2012
年の各路線の運行形態である。表から分かるように 2003 年と 2012 年で運行形
態が変わっている路線が存在する。例えば、東急大井町線の場合、2003 年には
無かった急行が 2012 年では運行している。このように 2003 年当時には存在し
ない運行形態があるため、現在の乗換案内では当時の正確な所要時間調べるの
は困難である。そこで、最短所要時間ルートに 2003 年当時存在しなかった運行
形態を使用している場合は、2003 年に存在していた運行形態を使用しかつ、2
番目に所要時間が短いルートを最短所要時間ルートとした。
2 つ目に、横須賀線武蔵小杉駅である。2003 年当時に存在しなかった横須賀
線武蔵小杉駅を利用している場合は、当駅を利用しないかつ、2 番目に所要時間
が短いルートを採用した。
表 5a
移動手段
徒歩
所要時間
所要時間
道路距離(𝑘𝑚)
0.08(𝑘𝑚 ∕ 分)
自転車
道路距離(𝑘𝑚)
0.25(𝑘𝑚 ∕ 分)
自動車
道路距離(𝑘𝑚)
0.5(𝑘𝑚 ∕ 分)
路線バス
バス停までの道路距離(𝑘𝑚)
0.08(𝑘𝑚 ∕ 分)
タクシー
+ バス乗車時間
道路距離(𝑘𝑚)
0.5(𝑘𝑚 ∕ 分)
鉄道
乗換案内サイト Yahoo!ロコより
29
表 5b
2003 年と 2012 年における各鉄道会社運行形態
路線
2003 年
2012 年
東急田園都市線
東急大井町線
東急東横線
東急目黒線
JR 東海道線
JR 京浜東北線
JR 南武線
JR 横須賀線
JR 湘南新宿ライン
急行・各停
各停
通勤特急・特急・急行・各停
各停
快速・各停
各停
各停
各停(武蔵小杉通過)
快速・各停(武蔵小杉通過)
急行・各停
急行・各停
通勤特急・特急・急行・各停
急行・各停
快速・各停
各停
快速・各停
各停
特別快速・快速・各停
小田急電鉄
湘南急行・急行・多摩急行・
準急・各停
快速急行・急行・多摩急行・
準急・区間準急・各停
エアポート快特・快速特急・
特急・急行・各停
京急大師線
各停
京王電鉄相模原線
急行・快速・各停
横浜市営地下鉄ブルーラ
イン
各停
エアポート快特・快速特急・
特急・エアポート急行・各停
各停
急行・快速・各停
京急線
横浜市営地下鉄グリーン
ライン
各停
各停
各停
30
5.3.3 コスト
各交通手段別の一日当たりの費用について説明する。各種費用算出には「新
交通手段導入による経済効果の予測」(林 2006)を参考にした。徒歩の場合は
移動コストがかからないとしてここでは割愛する。
Ⅰ 自転車
自転車の費用は以下の式で求めた。
総費用(円)=駐輪場代(円)+減価償却費(円/km)×走行距離(km)
駐輪場代は一回の利用につき 100 円かかるとした。また、自転車は 2 万円で
購入したものを 2 年使用すると仮定し、1 日あたりの走行距離を 1.4kmとした。
これより減価償却費は以下のように求められる。
減価償却費 =
20000
1.4×2×365
= 20(円/km)
Ⅱ 路線バス
路線バスの費用は一回のバスの利用にかかる運賃とした。川崎市を走行する
バスの運賃は基本的に一律 200 円である。しかし、川崎鶴見臨港バスのみ、横
浜市区間をまたいで運行する路線の運賃は 210 円である。
Ⅲ 自動車
自動車を利用する際にかかる費用はいくつかの仮定を置き、以下の式から求
めた。
総費用(円)=車検料金(円)+車庫代(円)+駐車場代(円)+燃料費(円/km)×走行距
離(km)+減価償却費(円/km)×走行距離(km)+(高速料金)
・車検料金
2 年に一回行い、一回につき 10 万円かかると仮定した。
車検料金(円)=
100000
2 × 365
= 140(円)
・車庫代
1か月あたり2万円かかると仮定した。
31
車庫代(円) =
20000
30
= 700(円)
・駐車場代
一回の利用にあたり 300 円かかるとした。
・燃料費
ガソリン代は、10kmの走行に1ℓ使用し、1ℓ120 円とした。
燃料費(円) = 0.1(ℓ⁄km) × 120(円⁄ℓ)=12(円/km)
・減価償却費
300 万円で購入した自動車を 10 万kmまで使用すると仮定した。
減価償却費(円⁄km ) =
3000000
100000
= 30( 円⁄𝑘𝑚 )
・高速料金
高速料金は、公示地価地点から新宿までの最短ルートを NAVITIME で検索
した際、高速道路を利用している場合のみ費用に加えた。
以上の各種費用と走行距離を定式に代入して、自動車を利用する際の費用を
算出した。
Ⅳ タクシー、鉄道
タクシーと鉄道の費用は、NAVITIME のルート検索、Yahoo!ロコの乗り換え
案内をそれぞれ参照にした。鉄道に関しては、2003 年と 2012 年の運賃は一定
とした。運賃の変動を考慮することでより正確な研究が可能となるが、列車の
スピードも 2003 年に比べ 2012 年は向上しているため、運賃の値上げは機会費
用の減少によって相殺されると考えられる。こうした理由により運賃に関して
は一定と仮定を置いた。
5.3.4 一般化費用算出
5.3.1 と 5.3.2 と 5.3.3 で算出した時間価値、各移動手段別の所要時間とコスト
のデータを用いて、地価ポイントから新宿駅までの最小一般化費用を算出する。
ここで、最小一般化費用の算出についてもう一度整理する。地価ポイントから
32
新宿までの移動方法は 2 通りと仮定する。第一に、各移動手段を用いて最寄り
駅まで移動し、そこから鉄道を利用して新宿駅まで向かう方法である。第二に、
地価ポイントから新宿まで自動車を利用する方法である。この2つの一般化費
用を比較し低い方を最小一般化費用とする。
図 5c
最小一般化費用算出チャート
各地価ポイントにおける 2003 年と 2012 年の最小一般化費用は付録の表 6 を
参照されたい。
5.4 分析結果
前節で算出した最小一般化費用をもとに回帰分析を行う。地価を被説明変数、
最小一般化費用を説明変数に取り分析することで、都心へのアクセシビリティ
改善と地価の関係を明らかにする。回帰分析をする際、地価と最小一般化費用
は 2003 年と 2012 年の変化率を被説明変数とした。
33
以下の表は重回帰分析の結果である。
表 5d 回帰分析結果(説明変数最寄駅武蔵小杉ダミー、最小一般化費用変化率)
R2
R2補正
サンプル数
0.55
0.53
211
変数名
係数
標準誤差 t値
Y-intercept
82.61
3.04
27.171
distance
-0.004
0.001
-7.992
Musashikosugi
17.696
4.499
3.936
cri
0.003
0.001
4.201
density
0.001
0.0001
7.895
douro
-0.179
0.077
-2.343
chiseki
0.002
0.001
2.118
kenpeiritu
0.02
0.05
0.402
Gc-henkaritsu
0.003
0.003
0.959
表 5e
回帰分析結果(説明変数アクセス改善ダミー)
R2
R2補正
サンプル数
0.52
0.51
211
変数名 Y-intercept
係数
標準誤差 t値
81.852
3.124
26.197
distance
-0.004
0.001
-7.764
cri
0.003
0.001
4.558
density
0.001
0.0001
8.016
douro
-0.174
0.079
-2.217
chiseki
0.002
0.001
2.105
kenpeiritsu
0.013
0.051
0.257
1.016
accessibility
1.905
1.874
説明変数に加えたのは以下の要素である。
・Y-intercept:切片
・distance:最寄駅までの距離(km)
・cri:2010 年犯罪認知件数
・density:2012 年人口密度(人/km)
・douro:2012 年前面道路幅(m)
・chiseki:2012 年地籍(㎡)
・kenpeiritsu:2012 年建蔽率
・GC-henkaritsu:最小一般化費用変化率(2003 年と 2012 年)
・Musashikosugi:最寄り駅武蔵小杉駅ダミー
・accessibility:アクセス改善ダミー
34
表 5d は最寄り駅武蔵小杉駅ダミーを説明変数にとった場合の重回帰分析の結
果である。最寄駅武蔵小杉駅ダミーとは、最寄駅が武蔵小杉駅ならば1、それ
以外ならば 0 とするダミー変数である。最寄り駅武蔵小杉駅ダミーは有意水準
5%で有意であり、最寄駅が武蔵小杉駅である場合では、そうでない場合に比べ
地価が 17 円高いことが分かる。しかし、最小一般化費用変化率は有意な結果と
はならなかった。
次に、表 5e は最寄り駅武蔵小杉駅ダミーと最小一般化費用変化率の変わりに
アクセス改善ダミーを説明変数にとった場合の結果である。アクセス改善ダミ
ーとは、最小一般化費用変化率が 1 未満ならば 1、1 以上ならば 0 とするダミー
変数である。アクセス改善ダミーは有意水準 5%で有意であり、都心へのアクセ
シビリティが改善しているところでは地価が上昇するという仮説通りの結果と
なった。
5.5 残差の検討
ここで、回帰分析から得られる残差の空間分布について考察する。残差とは、
回帰直線から推測される被説明変数の推定値と実際に観測された実測値の差で
ある。つまり、残差の値が大きいほど説明変数では説明しきれない要素が多い
ということである。以下の図 5f は、表 5e で行った回帰分析の被説明変数を 2012
年における地価に変更し回帰分析を行い、残差を GIS に反映させた地図であり、
残差の空間的な分布に特徴があるかを調べる。
図 5f から分かる事は、残差が大きい公示地価ポイントが川崎市の三大拠点周
辺に集中していることである。川崎、溝の口、新百合ヶ丘周辺は川崎市を代表
する都市であるとともに、交通網の拠点として人の流れが多い。これらの都市
の地価が説明変数によって説明しきれていない要因の一つとして、潜在的なブ
ランド力が存在することと考えられる。
もう一つ注目すべき点は、川崎や溝の口などと同じように武蔵小杉周辺の地
価ポイントにおいても残差が大きいことである。武蔵小杉も川崎市の他の都市
と同じように潜在的なブランド力をつけつつあることが分かる。さらには、武
蔵小杉が川崎市の都心へと成長していることを証明していると考えられる。
35
図 5f
2012 年の地価の残差
36
第六章
結論
本稿では、神奈川県川崎市中原区にある武蔵小杉という地区に着眼した。本
研究の目的は地域の発展とアクセシビリティの関係を明らかにすることであり、
武蔵小杉では「川崎再生フロンティアプラン」のもと、2010 年に横須賀線の駅
が新設され、大規模な再開発が行われているからである。
以上の本稿の目的を達成するため、まず第二章では、小杉の過去、そしてそ
こから変わるための都市計画である「川崎再生フロンティアプラン」の概要を
説明した。そして、第三章ではこの再開発の結果小杉地区、及び小杉を含む中
原区がどのような状況になっているのか、人口、地価、そして土地利用の観点
から現状を分析した。結果、土地利用は工業地区から商業・住宅地区へと変わ
り、人口も地価も右肩上がりという状況になっていることがわかった。つまり、
小杉地区は、人が住みたいと思う、魅力ある街へと変化しつつあるのである。
そして、武蔵小杉の再開発が順調に進んでいる理由が、横須賀線武蔵小杉新
駅の設置によるアクセシビリティの向上が地価の上昇に大きく寄与しているか
らであるという仮説をたて、検証した。第四章では、新駅設置の概要及び効果
を説明し、そして第五章では一般化費用をもとにアクセシビリティ指標を構築
し、地価との回帰分析を行った結果、アクセシビリティの向上は地価に正の影
響を与えるという結論が出た。
本稿の結論として、述べたい点は以下の通りである。2012 年現在小杉は人が
住みたい魅力的な街となりつつある。それは、ある一つのことを達成したから
魅力的になった訳では決してない。不特定多数の要因が複雑に絡み合って、小
杉を成長させているのである。ただし、その中でも横須賀線武蔵小杉新駅が設
立されて都心及び空港・観光地へのアクセスが飛躍的に向上したことは、小杉
の魅力に寄与した大きな要因であると言える。
留意すべき点として、本稿を執筆している 2012 年現在は、横須賀線武蔵小杉
新駅が設立されてから 2 年半しか経過していない。今建設途中の建物や、新た
に考案される設備がある等、小杉はまだ発展途上なのである。今後見込まれる
さらなる発展、そしてさらなる魅力を期待して、本稿の執筆を終えたい。
37
付録
第五章で紹介した方法を用いて算出した一般化費用の結果が以下の表6であ
る。
表6
各地価ポイントにおける最小一般化費用(2003 年と 2012 年)
地価ポイント
2003 年最小一般化費
2012 年最小一般化費
用
用
神奈川県川崎市麻生区多摩美2-4-6
1943.408
1943.408
神奈川県川崎市麻生区白鳥1-2-33
2079.328
2079.328
神奈川県川崎市麻生区栗平2-2-12
1946.85
1946.85
神奈川県川崎市麻生区百合丘1丁目24番9
1850.248
1850.248
神奈川県川崎市麻生区万福寺1-16-5
1646.425
1515.425
神奈川県川崎市麻生区上麻生1-5-2
1808.496
1677.496
1889.08
1889.08
1966.744
1966.744
神奈川県川崎市麻生区向原3-17-13
2123.9925
1992.9925
神奈川県川崎市麻生区上麻生4-44-2
1924.992
1793.992
神奈川県川崎市麻生区千代ケ丘4丁目11番13
1905.576
1774.576
2177.4
2046.4
神奈川県川崎市麻生区細山8-16-9
2216.232
2085.232
神奈川県川崎市麻生区五力田1-18-6
2001.664
2001.664
神奈川県川崎市麻生区虹ケ丘1-12-5
2999.304
2999.304
神奈川県川崎市麻生区千代ケ丘7丁目2番2
2060.904
1929.904
神奈川県川崎市麻生区細山5-17-5
1982.24
1982.24
神奈川県川崎市麻生区王禅寺西3-10-3
2080.32
1949.32
神奈川県川崎市麻生区下麻生2-35-13
2428.816
2210.816
神奈川県川崎市麻生区王禅寺東5-24-8
2371.56
2240.56
神奈川県川崎市麻生区王禅寺東2-37-17
2216.232
2085.232
神奈川県川崎市麻生区栗木台5-14-4
2112.744
2112.744
神奈川県川崎市麻生区東百合丘1-34-22
2219.152
2219.152
神奈川県川崎市麻生区上麻生7-32-9
2292.904
2074.904
神奈川県川崎市麻生区片平4-3-29
2098.744
1880.744
神奈川県川崎市麻生区金程4-11-17
1983.24
1852.24
神奈川県川崎市麻生区金程1-17-14
1924.992
1793.992
神奈川県川崎市麻生区百合丘2丁目16番5
神奈川県川崎市麻生区高石5-3-6
神奈川県川崎市麻生区王禅寺西1-19-11
38
神奈川県川崎市麻生区下麻生3-10-7
2351.152
2133.152
神奈川県川崎市麻生区高石3-21-9
2024.992
2024.992
神奈川県川崎市麻生区上麻生2-24-25
1963.824
1832.824
神奈川県川崎市中原区今井南町575番4
1804.496
1467.496
神奈川県川崎市中原区新城4-11-6
2311.496
2120.496
神奈川県川崎市中原区下小田中6-17-14
2418.408
2227.408
神奈川県川崎市中原区木月4-5-20
2138.912
2138.912
神奈川県川崎市中原区上新城2-6-7
2149.425
1958.425
神奈川県川崎市中原区新城3-1-4
2149.425
1958.425
2147.6375
1956.6375
1769.85
1769.85
2224.248
1252.248
神奈川県川崎市中原区新丸子町695番5
1769.85
1769.85
神奈川県川崎市中原区木月1-29-19
2061.248
2061.248
神奈川県川崎市中原区木月1-8-25
2070.956
2070.956
神奈川県川崎市中原区下小田中2-6-6
2224.248
2033.248
神奈川県川崎市中原区井田三舞町12-6
2235.992
2235.992
神奈川県川崎市中原区中丸子字西村444番2
2210.496
2047.496
2360.16
1388.16
神奈川県川崎市中原区今井仲町302番9
1853.036
1516.036
神奈川県川崎市中原区上丸子天神町305番3
1867.788
1867.788
神奈川県川崎市中原区井田3-6-10
2333.072
2333.072
神奈川県川崎市中原区上小田中6-36-13
2253.372
2062.372
2148.62
2148.62
神奈川県川崎市中原区市ノ坪字田向464番59
2282.496
1310.496
神奈川県川崎市中原区宮内3-18-2
2398.992
2207.992
神奈川県川崎市中原区上小田中2-36-23
2301.788
2110.788
神奈川県川崎市中原区下小田中2-41-6
2321.328
2130.328
神奈川県川崎市中原区下小田中4-10-3
2379.576
2188.576
神奈川県川崎市中原区木月住吉町28-32
2109.788
2109.788
1644.39475
1644.39475
1821.992
1821.992
2111.24
2111.24
2052.992
2052.992
神奈川県川崎市中原区上小田中6-23-7
神奈川県川崎市中原区新丸子町752番1
神奈川県川崎市中原区田尻町43番3
神奈川県川崎市中原区上平間字古下河原564番4
1
神奈川県川崎市中原区木月4-21-15
神奈川県川崎市多摩区登戸字丁耕地1530番14
神奈川県川崎市多摩区生田5-22-4
神奈川県川崎市多摩区生田3-9-3
神奈川県川崎市多摩区生田1-24-10
39
神奈川県川崎市多摩区生田1-10-14
2014.16
2014.16
1878.248
1878.248
1699.85
1699.85
1467.328
1467.328
1978.85
1978.85
神奈川県川崎市多摩区菅5-12-16
1961.824
1961.824
神奈川県川崎市多摩区登戸字乙耕地602番
1975.328
1975.328
神奈川県川崎市多摩区宿河原3-11-10
1984.912
1984.912
神奈川県川崎市多摩区長沢4-18-2
2093.816
2093.816
神奈川県川崎市多摩区菅北浦2-8-2
2105.912
2105.912
神奈川県川崎市多摩区栗谷3-24-15
1724.912
1724.912
神奈川県川崎市多摩区枡形5-23-6
1919.072
1919.072
神奈川県川崎市多摩区枡形6-21-2
1583.824
1583.824
神奈川県川崎市多摩区菅馬場2-4-45
2183.576
2183.576
神奈川県川崎市多摩区菅北浦4-8-10
2058.904
2058.904
神奈川県川崎市多摩区南生田4-16-9
2093.816
2093.816
神奈川県川崎市多摩区生田6-17-10
1686.08
1686.08
神奈川県川崎市多摩区宿河原6-14-9
2081.992
2081.992
神奈川県川崎市多摩区枡形2-14-7
1583.824
1583.824
神奈川県川崎市多摩区三田3丁目3番2
1899.656
1899.656
神奈川県川崎市多摩区菅仙谷3-8-3
1981.24
1981.24
神奈川県川崎市多摩区登戸新町52番3
1395.328
1395.328
1981.24
1981.24
1922.992
1922.992
1977.32
1977.32
神奈川県川崎市多摩区生田8-16-3
1705.496
1705.496
神奈川県川崎市多摩区三田1丁目17番6外
1841.408
1841.408
神奈川県川崎市多摩区長尾1-13-12
2081.992
2081.992
神奈川県川崎市多摩区東三田2-11-10
1875.064
1875.064
神奈川県川崎市多摩区宿河原2-20-24
1525.576
1525.576
神奈川県川崎市多摩区菅稲田堤3-5-35
2105.912
2105.912
神奈川県川崎市多摩区西生田3-3-4
1749.248
1749.248
神奈川県川崎市川崎区小島町4-3
3202.984
3202.984
神奈川県川崎市川崎区塩浜3-24-8
3250.792
3250.792
神奈川県川崎市川崎区大川町12-10
3328.456
3328.456
神奈川県川崎市多摩区中野島6-25-10
神奈川県川崎市多摩区西生田3-9-26
神奈川県川崎市多摩区登戸字庚耕地2736番5
神奈川県川崎市多摩区菅2-3-5
神奈川県川崎市多摩区菅仙谷2-30-4
神奈川県川崎市多摩区菅城下15-11
神奈川県川崎市多摩区長沢1-17-10
40
神奈川県川崎市川崎区小田5-21-8
2745.976
2745.976
2629.48
2629.48
神奈川県川崎市川崎区日ノ出1-2-3
2828.912
2828.912
神奈川県川崎市川崎区京町2-4-17
2648.896
2648.896
神奈川県川崎市川崎区田島町6-3
2707.144
2707.144
神奈川県川崎市川崎区藤崎4-8-11
2745.976
2745.976
神奈川県川崎市川崎区日進町13番14外
2357.656
2357.656
神奈川県川崎市川崎区小川町15番13
2279.797
2279.797
神奈川県川崎市川崎区小田4-31-7
2505.1165
2505.1165
神奈川県川崎市川崎区追分町17-1
2671.11275
2671.11275
神奈川県川崎市川崎区昭和1-4-9
2779.328
2779.328
神奈川県川崎市川崎区渡田山王町19-19
2397.912
2397.912
神奈川県川崎市川崎区本町2丁目12番7
2299.408
2299.408
神奈川県川崎市川崎区小川町8番21
2357.656
2357.656
神奈川県川崎市川崎区日進町23番8
2415.904
2415.904
神奈川県川崎市川崎区宮前町11-4
2454.736
2454.736
神奈川県川崎市川崎区宮本町5番7
2357.656
2357.656
神奈川県川崎市川崎区榎町7-2
2377.072
2377.072
神奈川県川崎市川崎区中島3-7-2
2610.064
2610.064
神奈川県川崎市川崎区駅前本町3番6外
2279.992
2279.992
神奈川県川崎市川崎区大島3-37-15
2763.63525
2763.63525
2804.224
2804.224
神奈川県川崎市川崎区旭町1-11-12
2338.24
2338.24
神奈川県川崎市川崎区小田2-20-4
2726.56
2726.56
神奈川県川崎市川崎区藤崎1-24-16
2624.496
2624.496
神奈川県川崎市川崎区台町16-16
2837.576
2837.576
2790.3035
2790.3035
神奈川県川崎市川崎区池田2-3-3
2378.496
2378.496
神奈川県川崎市川崎区中島3-18-11
2648.896
2648.896
神奈川県川崎市川崎区渡田向町5-12
2493.568
2493.568
神奈川県川崎市川崎区浅田4-11-16
2843.056
2843.056
神奈川県川崎市川崎区中瀬2-17-12
2902.355
2902.355
神奈川県川崎市高津区末長字久保台261番32
1969.248
1969.248
2018.08
2018.08
2251.072
2251.072
神奈川県川崎市川崎区小田栄1-11-13
神奈川県川崎市川崎区観音2-4-19
神奈川県川崎市川崎区四谷上町14-16
神奈川県川崎市高津区下作延6-29-31
神奈川県川崎市高津区宇奈根字山野731番5外
41
神奈川県川崎市高津区上作延字原間谷270番8
2280.656
2280.656
神奈川県川崎市高津区梶ケ谷3丁目8番25
2066.328
2066.328
神奈川県川崎市高津区子母口字舟河原561番1
2496.072
2305.072
神奈川県川崎市高津区下作延2-7-2
2017.664
1756.664
神奈川県川崎市高津区溝口2-14-3
1998.248
1737.248
神奈川県川崎市高津区諏訪1-3-2
1661
1574
神奈川県川崎市高津区溝口1-8-6
1948.85
1687.85
神奈川県川崎市高津区下作延7-25-16
2135.036
2135.036
神奈川県川崎市高津区下作延1-4-11
2017.664
1756.664
神奈川県川崎市高津区久末字表耕地2100番3
2699.816
2508.816
神奈川県川崎市高津区末長字中原787番7
2066.328
2066.328
神奈川県川崎市高津区上作延字南原970番12
2241.072
2241.072
神奈川県川崎市高津区新作3-26-22
2466.824
2275.824
神奈川県川崎市高津区溝口6-22-5
1906.744
1891.744
神奈川県川崎市高津区下作延4-20-22
2105.912
2105.912
神奈川県川崎市高津区久本2-7-25
2095.328
1834.328
神奈川県川崎市高津区新作6-12-4
2282.372
2091.372
神奈川県川崎市高津区末長字中原654番16
2076.036
2076.036
神奈川県川崎市高津区梶ケ谷6丁目12番11
2241.072
2241.072
神奈川県川崎市高津区千年字岩川723番1外
2427.992
2236.992
神奈川県川崎市高津区諏訪2-3-1
1877.496
1790.496
神奈川県川崎市高津区子母口字富士見台54番36
2544.488
2353.488
神奈川県川崎市高津区下作延3-13-18
2027.496
2027.496
神奈川県川崎市高津区坂戸2-7-18
2250.656
1989.656
神奈川県川崎市高津区二子3-22-13
1848.496
1833.496
神奈川県川崎市高津区蟹ケ谷字清水313番50
2719.232
2528.232
1845.24
1845.24
神奈川県川崎市幸区古川町42番2
2154.036
2154.036
神奈川県川崎市幸区下平間字稲荷耕地97番16
2076.372
2076.372
神奈川県川崎市幸区南加瀬5-31-26
2000.568
2000.568
神奈川県川崎市幸区小向西町4丁目65番1
2835.824
2435.824
1970.6375
1970.6375
神奈川県川崎市幸区南加瀬3-3-40
1767.576
1767.576
神奈川県川崎市幸区大宮町14番5
2124.664
2124.664
神奈川県川崎市幸区南幸町1丁目3番3
2231.452
2231.452
神奈川県川崎市幸区小倉2-23-7
神奈川県川崎市幸区下平間字稲荷耕地135番6
42
神奈川県川崎市幸区遠藤町41番4
2357.656
2357.656
神奈川県川崎市幸区小向西町1丁目31番7
2319.072
2319.072
神奈川県川崎市幸区幸町2丁目691番2
2163.496
2163.496
神奈川県川崎市幸区小向町11-21
2454.736
2454.736
神奈川県川崎市幸区北加瀬2-13-12
1786.992
1786.992
神奈川県川崎市幸区南加瀬4-17-28
1903.488
1903.488
神奈川県川崎市幸区神明町2丁目29番36
2318.824
2318.824
神奈川県川崎市幸区古市場1丁目23番6
2221.992
2221.992
神奈川県川崎市宮前区有馬8-18-7
2164.408
2164.408
神奈川県川崎市宮前区神木本町1-11-5
2276.152
2276.152
神奈川県川崎市宮前区初山2-18-4
2571.152
2571.152
神奈川県川崎市宮前区土橋2丁目11番13
2260.496
2260.496
神奈川県川崎市宮前区野川字北耕地254番2外
2338.152
2338.152
神奈川県川崎市宮前区平1-3-10
2765.312
2765.312
神奈川県川崎市宮前区犬蔵1-23-10
2590.568
2590.568
神奈川県川崎市宮前区有馬4-4-6
2144.992
2144.992
神奈川県川崎市宮前区小台1丁目18番7外
1866.425
1866.425
神奈川県川崎市宮前区宮崎1丁目12番34外
2168.08
2168.08
神奈川県川崎市宮前区宮前平2丁目15番28
2152.85
2152.85
神奈川県川崎市宮前区野川字北耕地58番4
2338.152
2338.152
神奈川県川崎市宮前区犬蔵2-8-34
2231.744
2231.744
神奈川県川崎市宮前区水沢3-1-32
2620.064
2620.064
神奈川県川崎市宮前区土橋7丁目6番4
2318.744
2318.744
神奈川県川崎市宮前区鷺沼2丁目2番13
2086.744
2086.744
神奈川県川崎市宮前区有馬1-15-15
2144.992
2144.992
神奈川県川崎市宮前区菅生3-39-4
2443.304
2443.304
神奈川県川崎市宮前区菅生5-7-12
2804.144
2804.144
神奈川県川崎市宮前区平3-23-15
1758.568
1758.568
神奈川県川崎市宮前区土橋3丁目20番9
2028.496
2028.496
2493.48
2493.48
神奈川県川崎市宮前区東有馬5-39-7
3309.656
3090.656
神奈川県川崎市宮前区野川字南耕地2639番20
2708.056
2708.056
神奈川県川崎市宮前区平4-17-45
2804.144
2804.144
神奈川県川崎市宮前区野川字東耕地846番37
2551.728
2551.728
神奈川県川崎市宮前区馬絹字平台1809番2
2439.904
2439.904
神奈川県川崎市宮前区野川字西耕地3477番52
43
神奈川県川崎市宮前区宮崎字三ッ又271番2
2226.328
2226.328
神奈川県川崎市宮前区有馬4-9-25
2086.744
2086.744
神奈川県川崎市宮前区神木本町5-14-15
2551.736
2551.736
神奈川県川崎市宮前区東有馬3-3-4
2319.736
2319.736
神奈川県川崎市宮前区東有馬4-24-9
3367.904
3148.904
2494.48
2494.48
2245.744
2245.744
2362.24
2362.24
神奈川県川崎市宮前区宮崎字三ッ又77番19外
2498.152
2498.152
神奈川県川崎市宮前区土橋1丁目24番3
2279.912
2279.912
神奈川県川崎市宮前区野川字西耕地3013番11
神奈川県川崎市宮前区宮崎5丁目12番29
神奈川県川崎市宮前区神木2丁目3番17
44
参考文献
[A]「川崎市ホームページ
第 3 期実行計画」
http://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/54-1-1-0-0-0-0-0-0-0.html
(2012/10/20)
[B]「各区人口の推移」
http://www.city.kawasaki.jp/200/cmsfiles/contents/0000016/16138/suii.gif
(2012/10/15)
[C]「川崎市の世帯数・人口」
http://www.city.kawasaki.jp/200/page/0000039175.html
(2012/10/15)
[D]「平成 23 年川崎市年齢別人口」
http://www.city.kawasaki.jp/200/cmsfiles/contents/0000041/41364/23nenbetu.pdf
(2012/10/15)
[E]「川崎市及び各区の数値データ」
http://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/51-4-3-1-2-0-0-0-0-0.html
(2012/10/15)
[F]「年齢別人口」
http://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/51-4-3-2-0-0-0-0-0-0.html
(2012/10/18)
[G]「平成 20 年 第5回定例会―12 月 16 日-06 号」
http://www13.gijiroku.com/kawasaki_council/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=1
&SORT=0&KTYP=1,2,3,0&KGTP=1,2,3&TITL_SUBT=%95%BD%90%AC%82Q%82O
%94N%81@%91%E6%82T%89%F1%92%E8%97%E1%89%EF%81%7C12%8C%8E16%9
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2F%21%28%29-&HUID=110170&KGNO=214&FINO=939&HATSUGENMODE=1&HY
OUJIMODE=0&STYLE=0
(2012/11/7)
45
[H]「ラゾーナ川崎」
http://www.mitsuifudosan.co.jp/project/lazona_kawasaki/index.html
(2012/11/7)
[I]「川崎市ホームページ 川崎市の工業(工業統計調査)」
http://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/51-4-4-1-0-0-0-0-0-0.html
[J]「武蔵小杉ライフ 再開発情報」
http://musashikosugilife.com/saikaihatsujoho.html
[K]『神奈川新聞』2010 年 3 月 12 日朝刊「新たなまちづくり」
[L]「中川浩一の横須賀線の歴史」
http://ktymtskz.my.coocan.jp/nakagawa/yokosuka.htm
(2012/11/1)
[M]「神奈川県勢要覧」
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f160349/
(2012/10/15)
[N]岡崎ゆう子他:社会資本投資,環境要因と地価関数のヘドニックアプローチ:横浜市に
おけるパネル分析
[O]金本良嗣:ヘドニック・アプローチによる便益評価の理論的基礎、土木学会論文集
[P]肥田野登他:都市間交通施設整備がもたらす便益と地価変動、土木学会論文
集
[Q]林大輔:新交通手段導入による経済効果の予測
[R]浅野他:都市交通を中心としたまちづくりの効果 ―日暮里・舎人ライナーにみる政策含
意―
[S]『朝日新聞』2010 年 4 月 6 日朝刊「変わりゆく人の流れ」
46
[T]「武蔵小杉:路線一覧」
http://www.jorudan.co.jp/time/c_time_%C9%F0%C2%A2%BE%AE%BF%F9.html
(2012/11/1)
[U]「横須賀線武蔵小杉新駅設置に関する基本覚書の締結」
http://www.jreast.co.jp/press/2005_1/20050402.pdf
(2012/10/20)
Web サイト
[1]平成 22 年度全国都市交通特性調査
http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_tk_000007.html
[2]Google Earth
http://www.google.co.jp/intl/ja/earth/index.html
[3]Yahoo!ロコ
http://transit.loco.yahoo.co.jp/
[4]NAVITIME
http://www.navitime.co.jp/
[5]川崎市交通局(市バス)
http://www.city.kawasaki.jp/820/
[6]東急バス
http://www.tokyubus.co.jp/top/index.shtml
[7]川崎鶴見臨港バス
http://www.rinkobus.co.jp/
[8]神奈川県ホームページ
http://www.pref.kanagawa.jp/
データの入手先
・河端瑞貴先生から頂いた地価公示のデータ
・政府統計の総合窓口
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http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do
・国土数値情報ダウンロードサービス
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/gml_datalist.html
・ESRI ジャパン GIS ダウンロードサービス
http://www.esrij.com/products/gis_data/japanshp/register.html
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