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黒崎事業所 - 三菱化学
2014 レスポンシブル・ケアレポート 「環境・安全・健康」の確保に関する活動成果報告書 黒崎事業所 目次 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. ごあいさつ 黒崎事業所ご紹介 黒崎事業所で生産している製品とその用途例 レスポンシブル・ケア活動について 保安管理への取り組み • プラントの安全評価(SA, SR) • 漏洩ゼロに向けた取り組み • 防災訓練 • 保安に関する教育の実施 • プラントを守るための技能向上 安全管理への取り組み • リスクアセスメント • 定期修理時の安全パトロール • 労働安全衛生に関する教育の実施 環境管理への取り組み • 環境管理施設と処理設備 • 排水異常検知と遮断設備 • 環境負荷低減への取り組み • 環境に関する教育の実施 • 環境会計 品質管理への取り組み • ISO9001の定着と継続的な改善 • 品質管理システムによる品質管理 地域の方々と共に 2 3 4 5 7 7 7 8 9 9 10 10 10 11 12 12 13 14 16 16 17 17 17 18 報告内容 集計データについては2013年4月~2014年3月のものを用いております。 活動内容については2014年8月までのものを用いております。 報告対象グループ会社(五十音順) (株)エーピーアイコーポレーション、 (有)化成フロンティアサービス、 ジェイカムアグリ(株)、 (株)新菱、 ダイヤ資材(株) 、 (株)ティーエムエアー、 日本液炭(株)、 日本化成(株)、 日本錬水(株)、 三菱レイヨン(株)、 三菱化学エンジニアリング(株)、 三菱化学物流(株)、 (株)菱化システム 発行年月日 次回発行予定日 2014年10月20日 2015年9月1日 表紙写真:近年、工場の風景、夜景が静かなブームとなっております。北九州市にも工場が 多く立ち並ぶ中、三菱化学 黒崎事業所も北九州市での「工場萌え」スポットの一つとして紹 介されております。 1 ごあいさつ 私たち、三菱ケミカルホールディング傘下の三菱化学及びそのグループ会社は、グループ 理念である「Good Chemistry for Tomorrow - 人、社会、そして地球環境のよりよい関 係を創るために。」のもと、サステイナビリティ[グリーン](環境・資源)、ヘルス(健康)、コン フォート(快適)を判断基準としたすべての企業活動を通じて、KAITEKIを実現し、持続可能な 社会の発展に貢献していきたいと考えています。 そして、「環境と安全の確保は事業活動の大前提であり、企業存立の基盤をなすものであ る」との環境・安全理念に基づき、1995年より、保安防災、労働安全衛生、環境保護、品質保 証、化学品安全を5本柱とするレスポンス・ケア(RC)活動を推進しています。 その中で、黒崎事業所では、2011年度から2015年度までの5ヶ年計画として、「安全・安心・ 信頼があり環境負荷の少ない事業所」「世界で勝てる機能商品型事業所」「アジアの拠点と 一体となった事業所」の達成を目指して「もっと黒崎2015」活動を推進しています。この活動 の一環として、保安、安全、環境、品質を主体としたRC活動に取り組んでいます。 例えば、プラントの安全性評価、労働災害のリスクアセスメントにおいて、黒崎事業所の過 去の事故・トラブルのみならず、他の事業所や他社の事例も交えながら、潜在的危険要因の 洗い出し及びその対策を進めています。 また、黒崎事業所では、残念ながら毎年のように、設備からの化学品の漏洩、また、事業 所排水への土砂等の流れ込みによる環境トラブルが発生しています。ここ数年は、こうした 漏洩や環境トラブルの撲滅を目指し、配管、タンクなどの設備からの漏洩ゼロに向けた取り 組み、及び、事業所排水の管理強化を進めてきました。具体的には設備の点検・管理手法 の見直し、各プラント出口及び事業所末端排水口での排水監視強化と異常排水発生時の遮 断システムの構築を行ってきました。 一方、法令遵守の観点から、従業員に対して、消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法、 大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法等の法令教育を行い、法令違反を起こさ ないための知識取得や管理方法の周知を行っています。 このレポートでは、黒崎事業所における保安管理活動、安全管理活動、環境管理活動、品 質管理活動、地域社会との交流活動等の具体的な取り組み内容を、写真や図表、そして数 値をお示ししながら報告しています。本レポートをご覧いただき、皆様に一層のご理解とご支 援を賜ると同時に、皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をいただければ幸いです。 2014年10月 三菱化学株式会社 執行役員黒崎事業所長 2 黒崎事業所ご紹介 所在地 敷地面積 従業員数 認証 北九州市八幡西区黒崎城石1-1 190万m2(58万坪) 約1,200名 (2013年3月末現在) 1995年2月 ISO9001認証取得 2000年7月 ISO14001認証取得 2003年3月 ボイラーなどの2年間連続運転制度認定 響灘 洞海湾 JR黒崎駅 沿革 1935年 1936年 1942年 1988年 1994年 日本タール工業(株)黒崎工場操業開始 日本化成工業(株)へ社名変更 三菱化成工業(株)へ社名変更 三菱化成(株)へ社名変更 三菱化学(株)黒崎事業所となる 3 黒崎事業所で生産している製品とその用途例 EL薬品 イオン交換樹脂 カラーレジスト 半導体製造工程の洗浄液や液晶ディ スプレイの製造に使用される薬液とし て使われます。 半導体製造工場や原子力発電所な どで大量に使われる超純水の製造に 欠かせない、ビーズ状の樹脂です。 鮮やかな色を映し出す液晶ディスプレ イのカラーフィルターに用いられる着 色部材です。 機能色材 BPDA ビスフェノールA インクジェットプリンタ用色材やデジタ ルカメラ印刷用色素などをつくってい ます。 携帯電話等情報電子分野の多くの製 品の重要な部品材料として使用され ています。 ポリカーボネート樹脂の原料になりま す。 ポリカーボネート樹脂 合成石英 (日本化成) カーボンブラック CD、DVDや自動車部品などに使われ ます。 光ファイバーや半導体の製造に必要 な石英ガラス製冶具などに使われま す。 新聞・書籍などの印刷物のインクをは じめとして、ピアノ・自動車などの高級 塗料に使われます。 アンモニア系製品 (日本化成) 水溶性ポリマー (三菱レイヨン) 工業ガス製品 (ティーエムエアー) 硝酸は発泡ウレタンの原料に、硝酸 カリウムは顕微鏡などの光学ガラス や花火の原料に使われます。 排水中の不純物を取り除いてきれい にするための凝集剤で、汚水処理施 設などで用いられています。 液体酸素・液体アルゴンは製鉄・溶接 などに使われ、液体窒素は半導体製 造や低温輸送に使われます。 化学肥料 (ジェイカムアグリ) 医薬原体 (エーピーアイコーポレーション) 炭酸製品 (日本液炭) 米などの穀物や野菜、果物用の様々 な肥料をつくっています。 生活習慣病の薬をはじめとする、各 種医家向けの医薬品の医薬原体を つくっています。 液化炭酸はビールや炭酸飲料水に使 われ、ドライアイスは食品等の冷却用 に使われます。 4 レスポンシブル・ケア活動について 1) レスポンシブル・ケア(RC)活動とは? “レスポンシブル・ケア(RC)”とは、化学物質を製造し、または取り扱う事業者が自己決定・ 自己責任に基づき、「化学物質の開発から製造、流通、使用、最終消費を経て廃棄に至る全 ライフサイクルにわたって環境・安全を確保しよう」とする国際的な運動です。 レスポンシブル・ケア活動は国際化学工業協会協議会(ICAA)の共通原則のもとに、各国 各地域の固有の状況に応じて各国化学工業協会単位で推進され、現在世界52ヶ国で具体 的活動が推進されています。日本では1995年に日本レスポンシブル・ケア協議会(JRCC)が 設立されて本格的に活動が開始されました。 2) 三菱化学グループのRC活動 製品を安定供給し、その品質や安全性の確保、安全で 衛生的な労働環境を提供すること、環境負荷の少ない 事業を推進することは、国内外に拠点を設け、幅広い産 業界に多種多様な素材・製品・システムを提供する化学 企業グループとして果たすべき重要な社会的責任です。 こうした考えのもと、三菱化学グループは、化学産業 界の「自主的な環境・健康・安全を確保する活動」である レスポンシブル・ケア(RC)活動に、1995年の「日本レス ポンシブル・ケア協議会」設立当初から参加しています。 「保安防災」「労働安全衛生」「環境保護」「品質保証」 「化学品(製品)安全」を5本柱とし、「三菱化学グループ RCに関する方針」に則った活動を推進することで、社会 との信頼関係の構築、持続可能な社会づくりをめざして います。 環境 保護 化学品 安全 品質 保証 保安 防災 労働 安全 衛生 3) 三菱化学グループRCに関する方針 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 「環境・安全」の確保は、事業活動の大前提 顧客への安心の提供と品質保証 事故及び労災はゼロ目標 廃棄物及び有害化学物質の排出の最少化の推進 省資源及び省エネルギーの推進 「環境・安全」のための技術、製品開発の推進 社会からの信頼向上 4) 黒崎事業所のRC活動 黒崎事業所では、2011年度から2015年度までの5ヶ年計画として「もっと黒崎15」活動を推 進しております。「もっと黒崎15」では、 安全・安心・信頼があり環境負荷の少ない事業所 世界で勝てる機能商品型事業所 アジアの拠点と一体となった事業所 を目指しており、その中の活動の一環としてRC活動に取り組んでおります。 5 黒崎事業所のRC活動に関する方針 黒崎事業所ではRC活動の主なポイントである「保安」「安全」「環境」「品質」のそれぞれに ついて以下の方針を定めています。 保安管理方針 1. 事業所の保安管理システムを確立し、保安管理目標を設定して、適切な運用、継続 的改善及び定期的見直しにより、保安水準の維持向上と事故の予防に努めます。 2. 保安に影響を与える危険源を明確にしてこれを管理し、事故、災害ゼロを継続するこ とで、社会からの信頼性向上に努めます。 3. 保安に関する法律及び基準等に関し、事業所の特定要求事項として明確にし、かつ、 これを周知し遵守します。 4. 保安管理方針は、全ての就業者に周知し、適切に運用すると共に、必要時は社外に 対し公開します。 安全管理方針 1. 職場のリスクを洗い出し、その低減に向けた改善活動を実施します。 2. 労働安全衛生関係法令を遵守し、法令に準じた事業所規程を整備し、その管理レベ ルの向上に取り組みます。 3. 労働安全衛生マネジメントシステムを適切に活用し、職場の自主性を尊重したPDCA サイクルを回すことにより、継続的な安全活動を推進します。 4. 安全と健康の確保は、事業所にかかわるすべての人との良好なコミュニケーションの もとに実現されるとの観点から、従業員等との協議を尊重します。 5. すべての従業員に対し、安全衛生確保に必要な教育・訓練等を実施します。 6. 安全衛生の重要性を広報等を通じて従業員に周知し、意識の向上に努めます。 環境管理方針 1. 地域環境、地球環境の保護に関して、環境マネジメントシステムを確立し、管理の向 上を図ると共に環境目的及び目標を設定し、継続的改善を図ります。 2. 事業活動における環境側面を考慮し、大気・水質の汚染防止、騒音・廃棄物の削減 及び資源の有効利用によるエネルギー消費の削減に取り組みます。 3. 地域社会との協調・共生に努力します。 4. 事業所に適用される法律・規制及び事業所が同意した協定、その他の要求事項を遵 守します。 品質管理方針 1. 当事業所は、お客様のご要望を広く的確に先取りし、お客様の満足向上に努めます。 2. 全ての製品において、お客様の品質要求にスピードをもってお答えし品質安定を確保 することにより品質競争力を高め、収益を拡大します。 3. 法的要求事項を含む要求事項への適合性と品質マネジメントシステムの有効性につ いて、継続的な改善を推進します。 6 保安管理への取り組み プラントの安全評価(SA, SR) プラントが安全であるためには、そのプラントにおける保安・安全・環境・品質に関する潜在 的危険要因(リスク)を摘出、評価し、そのリスクに対する適切な予防措置を実施する必要が あります。私達は以下に示すSAおよびSRを、規模に応じて課単位、部単位、事業所単位で 行い、プラントのリスクを減らしています。 SA(Safety Assessment): 新製品の製造を開始する、増産を行う、生産性を向上させる、新しい製造プロセスや設 備を導入するなど場合、プラントの新設、増設、改造や製造に関する手順の変更などを行 います。その際には、プラントに関わる4つのM ("Man":人および組織、"Machine":設備、 "Method":方法、"Material": 物質)が変更となりことから、従来とは異なるリスクが生じる可 能性があります。そこで、リスクを摘出、評価し、そのリスクに対する適切な予防措置を実 施するものです。 SR(Safety Review): 安全に関する規則や基準などは日々進化していきます。そこで、過去実施されたSAに おいて抽出されたリスクに対する予防措置が、現状の規則や基準においても適切である かどうかを再検証するものです。そこで、対策が不十分であると判断された場合は、必要 な対策を講じることとなります。SRの切り口としては、以下の4つが主に使われます。 ・プロセスSR:プロセスの切り口からSRを行う ・設備SR:設備の切り口からSRを行う ・作業SR:作業の切り口からSRを行う ・過去事例SR:過去に発生した事故やトラブルなどの事例の切り口からSRを行う 漏洩ゼロに向けた取り組み 黒崎事業所では、社会的責任、および、プラントの安全操業のために、危険物や有害物質 などの漏洩(*)件数をゼロにするプロジェクト(M-Zeroプロジェクト)を2011年度に立ち上げ、以 下の活動を取り進めております。 ①配管管理見直し ②リスク評価の適正化 ③微量漏洩についての水平展開の即時対応 ④点検結果レビューの深化 ⑤洩れの早期発見 特に①配管管理見直しについては、非破壊検査手法の一つであるアコースティックエミッ ション試験を用いて、総計66kmにおよぶ事業所内の配管全体の検査を2015年度までに完了 する予定です。 (* 黒崎事業所における「漏洩」とは、1滴でも滴下してしまった場合、「漏洩」と捉えています) 7 防災訓練 万が一、事故が発生した際に迅速に対応を取るためには、日頃から訓練を積み重ねること が重要です。黒崎事業所では、課、部、事業所のそれぞれ単位で、毎年訓練を実施しており、 事業所全体としては、危険物の漏洩、高圧ガスの漏洩、沿岸防災、大規模地震を想定した 総合防災訓練を各一回ずつ実施しています。 また、事業所全体での防災訓練には、北九州市八幡西消防署、北九州市八幡西警察署や 若松海上保安部などにも参加いただき、合同訓練も実施されます。 2013年11月に行った訓練は若松海上保安部、北九州市八幡西消防署と合同で行いました。 2014年7月に行った訓練は北九州市八幡西消防署と合同で行いました。その訓練は、より 実践的な訓練とするべく、訓練開始直前まで訓練の詳細シナリオや訓練対象部署を伏せた 「突発訓練」として実施しました。 自衛消防隊員の基本訓練も日頃から積み重ねております。 8 保安管理に関する教育の実施 保安講演会:元高圧ガス保安協会理事の方 を招き、国内化学工場において2011年から 2012年に相次いで発生した大規模な保安事 故を検証し、「被害を最小限にとどめるには どうするべきだったのか」また「未然に防ぐに はどうしたらよかったのか」など再発防止に 重点をおいた講演会を行いました(2013年5 月:約130名参加) 法令教育:法令遵守を目的として、保安管 理に関する法令教育を毎年実施しています。 2014年度は、5月に高圧ガス保安法と労働 安全衛生法に関する教育、8月に消防法、 毒物及び劇物取締法、石油コンビナート等 災害防止法に関する教育を各3回ずつ実施 し、それぞれ、354名、363名が参加しました。 プラントを守るための技能向上 2013年11月8日、石化・炭素生産センター 動力課の矢野清司さんと機能化学生産セン ター無機製品課の中村良久さんが、「第 65 回ボイラーデー(福岡支部)及び優良ボイ ラー技士等 表彰」において、「優良ボイラー 技士」として一般社団法人日本ボイラ協会福 岡支部の表彰を受けました。 ボイラー技士とは、労働安全衛生法に基づ く国家資格の1つで、ボイラーの取り扱い・点 検・安全管理を行う技術者のことです。その 中でも「優良ボイラー技士表彰」は、ボイラー 技士として長年にわたる業務への多大な貢 献と、他の模範と認められた人に贈られます。 2人は、各々の職場で長期にわたりボイ ラー取り扱い業務に精励し、さらに長年の実 務経験と豊富な知識を基に後進の育成・部 署全体レベルアップに尽力してきた功績が 認められて、今回の受賞となりました。 9 安全管理への取り組み リスクアセスメント 労働災害は何らかの作業を実施する際に起きています。それぞれの作業ごとの危険度を 定量的に評価するための仕組みの一つとして「リスクアセスメント」があり、各作業毎に下に 示すような点数評価を実施してリスクレベルを決めます。 頻度+可能性+重大性=リスクポイント 1)危険状態の 発生する頻度 頻 度 点数 頻 繁 4 ときどき めったにない 2 1 2)危険状態発生時に ケガをする可能性 可 能 性 点数 確実 6 高い 4 ある 2 ほとんどない 1 リスクレベルの決定 3)危害の重大性 (ケガの大きさ) 重大性 点数 死亡・重傷 10 休業災害 6 不休災害 3 微 傷 1 4)リスクレベルと リスクポイント レベル ポイント Ⅰ 14~20 Ⅱ 10~13 Ⅲ 6~9 Ⅳ 3~5 従来は危険度の評価を経験などから推定していたため、評価する人によって結果が大きく 変わるということもありましたが、この評価手法により誰が評価を実施しても同様の結果が得 られるようになりました。 また、リスクレベルの高い作業は、優先的に対策を実施しなくてはいけない作業であるとい うことが客観的にわかりますし、さらに、危険度を下げる対策が複数ある場合には、対策実 施後のリスクレベルを比較することで、より効果的な対策を選択する事も可能になります。 定期修理時の安全パトロール プラントの設備を維持するために、黒崎事業所内の多くのプラントでは年に1回、定期修理 を実施しています。その期間中は、臨時作業や大規模な工事など、通常時とは異なる安全 管理が必要となります。そこで、各製造部署の定期修理に合わせ、事業所長、および、安全 管理部門による「定修パトロール」を実施しています。 定修パトロールでは、当日実施される主要な工事・作業の概要ならびに昨年のパトロール 指摘事項への対応状況などについて製造部署の説明を受けた上で、現地パトロールと帳票 類の照査を行います。 現地パトロールには、説明された主要工事 場所がコースに織り込まれ、酸欠防止のため の槽内作業基準対応状況、工事箇所の明確 化のためのマーキング用テープ運用・管理状 況、工事マップの運用状況、立ち入り禁止区 域等の現地表示の状況など、工事安全管理 全般について確認を実施します。 また、代表工事を例に、製造部署が工事内 容や工事実施前の安全措置の詳細要領を説 明し、工事に関する一連の帳票類の照査に よって工事安全管理の運用状況を確認しま す。 10 労働安全に関する教育の実施 安全講演会:北九州西労働基準監督署より 石橋安全衛生課長を招き、最近の労働災害 などの発生状況、並びに、最近の労働行政 情報等について、ご講演をいただきました。 労働災害の類型としては、私たちの職場で も起こり得る「墜落・転落」、「転倒」、「はさま れ・巻き込まれ」などが非常に多く、全体の 半数以上を占める事を改めて認識させられ ました。 (2014年7月:約200名参加) 新入社員教育:安全意識向上のための基礎 として、5Sや自主保全、基本動作に関する 教育などを実施しました。基本動作教育では 吊り下がり・高所歩行・ドラム缶の取り扱い 等を通じて実際の作業や危険を体感し、加 えて技術系スタッフは、機械・電気・計装の 基礎を学ぶ講座も受講しました。この講座で は講義だけでなく実習が多く織り込まれ「原 理を学ぶ」→「実習で体験する」→「気付く」 →「原理を理解する」という原理原則の理解 に効果的な体験型学習が行われました。 KYTフォロー研修: 入社6年前後の技術系社員を対象に、KYT(危険予知トレーニング)フォ ロー研修会が開催されました。一昨年より始まったKYTフォロー研修は、RC方針「現場第一 線のプロとしての意識改革」に向けた取り組みの一つ。従来のKYT研修会で学んだKY(危険 予知)が、各現場で実践に生かしきれていないという反省から、この研修では「もう一度指差 呼称の大切さを理解して、危険に対する感性を磨き、現場の第一線として安全に仕事ができ るようにする」ことを目的に、指差呼称とKYTの「1R(1ラウンド)の摘出」(どんな危険が潜んで いるか発見する力を養成)を復習します。 研修前半では「過去の重大災害の紹介」や「指差呼称・唱和の実践」により、化学工場の危 険性や指差呼称・予知の重要性を再認識し、後半では最近の労働災害事例を基に、問題点 や危険要因を「摘出」しました。また、各部署のKY活動とそのあるべき姿について行ったグ ループ討議では、各部署の抱える問題点と今後の対応を全員で確認しました。(2013年9月: 52名参加) 11 環境管理への取り組み 黒崎事業所では環境法令を守るだけでなく、自主的な管理基準を設けて、その管理を行う ことで地域環境保護の取り組みを行っています。その一部を紹介いたします。 環境管理施設 大気や水質への影響を定期的に分析することで監視を行っています。主な監視ポイントを 以下のマップにて示します。 No.5排水口 No.3排水口 第1 発電 所 割 子 川 ボイ ラー No.1排水口 撥 川 No.4排水口 東門 正門 西門 場内池 排水処理設備 廃棄物焼却炉 火力発電所 蒸気ボイラー 高層集合煙突 大気への影響度が大きな火力発電所、廃棄物焼却炉などには法や条例、協定で必要とさ れる硫黄酸化物、窒素酸化物などの連続分析計を設置し、定期的な分析だけでなく、常時監 視も行っています。 水質についても、No.1、No.3、No.4、No.5の4つの排水口には、pH、CODなどの連続分析計 を設置し、大気同様に定期的な分析だけでなく、常時監視を行っています。また、排水系統 の統合集約、および、排水遮断設備の設置などにより管理の強化に取り組んでいます。 法や条例、協定などに基づいて実施する、排ガスや排水の測定などについては、三菱化学 全体で「環境データ管理システム」というシステムを構築し、黒崎事業所でも2013年4月から 半年間の試行期間を経た後、2013年10月より正式に運用を開始しました。このシステムでは、 • 法で要求されている測定頻度に従った年間測定計画の自動策定 • 測定日を過ぎても入力が無い場合、自動的に警告メールを該当設備の管理者、分 析担当者などへ送信 • 測定結果をシステムに入力する際、法規制値や自主管理値を超過していると、警告 の表示。および、その数値が確定された場合は、警告メールを該当設備の管理者、 分析担当者などへ送信 • 過去データのグラフ表示による異常兆候の発見支援 といった機能があり、ヒューマンエラーによる測定の抜けや、数値の異常に気づかないという ことを極力減らせるようになっています。 12 処理設備 工場で発生する排ガスや排水は排出基準を守るため処理されます。たとえば、以下のよう な設備にて処理されます。 排ガス処理 【吸収塔】 排ガス中の有害な成分を吸収液や活性炭などにより除去する設備です。 【脱硫、脱硝設備】 硫黄酸化物や窒素酸化物を化学反応により除去する設備です。 【高層集合煙突】 排ガスは排出基準以下になるように処理されてから大気中に放出されますが、より環 境への影響を小さくするために高いところから放出するための設備です。黒崎事業所 には赤と白で塗り分けられた3本の集合煙突があります。 排水処理 【中和設備】 強い酸やアルカリを中性にする(中和)設備です。 【凝集沈殿設備】 排水中に含まれる細かい粒子を凝集剤などを用いて沈殿させてから除去する設備で す。 【活性汚泥設備】 排水中に含まれる有機物を微生物により分解する設備です。中和設備や凝集沈殿設 備などと共に用いられています。 排水異常検知と遮断設備 事業所内は、製品を作る工程ごとに「プラン ト」という単位に分かれています。それぞれ のプラント内で取り扱う、酸やアルカリ、危険 物などが漏洩した時に備え、プラントから事 業所共通の排水溝への出口部分に排水の pH計や油膜計などの検知器を設置していま す。また、検知器で異常が発生した場合は、 出口部分にある堰で排水を遮断できるように なっています。(右図参照) これら設備の強化について、2008年度後半 より重点的に取り組んでおり、万が一、プラ ント内で排水に異常が起きた場合でも、事業 所共通排水溝へは流出しないようにしていま す。 右側の写真は、実際にプラントに設置され ている例で、pH計やUV計で異常を検知する と自動的に堰が降りてきて、排水溝を遮断す る仕組みを示しています。 プラント境界 排水ピット 排水回収 漏洩発生 緊急遮断 異常検知 一般排水溝 13 監視測定計器 (pH計など) 事 業 所 内 共 通 排 水 溝 環境負荷低減への取り組み 地球環境への負荷を下げるために、大気や水域への環境汚染物質や廃棄物削減のため に積極的な改善を続けています。今後もさらに削減に努めていきます。 大気 硫黄酸化物排出量 窒素酸化物排出量 2,000 400 規制値:337千m3/年 規制値:1,590千m3/年 1,500 千Nm3/年 千Nm3/年 300 200 100 69 67 67 42 37 '07 '08 54 30 28 28 '10 '11 '12 1,000 500 55 435 343 341 370 280 323 298 130 106 131 0 0 '04 '05 '06 '09 '04 '13 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 硫黄酸化物(SOx)は酸性雨の原因物質として、窒素酸化物(NOx)は光化学スモッグの原因 物質として知られています。燃料を重油から硫黄分の無い天然ガスへ転換したり、低NOxタ イプの燃焼バーナーの改善などにより排出量削減を行っています。 水質 全窒素排出量 COD排出量 8 7 規制値:5.9トン/日 5 トン/日 トン/日 6 4 3 2 1.7 1.7 1.5 1.3 1.1 1.0 0.8 0.6 0.7 0.5 '09 '10 '11 '12 '13 1 0 '04 '05 '06 '07 '08 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 規制値:8.5トン/日 2.4 '04 2.1 '05 1.9 '06 1.5 '07 1.3 '08 1.0 0.9 0.6 0.7 0.8 '09 '10 '11 '12 '13 COD: 全りん排出量 0.3 規制値:0.21トン/日 化学的酸素要求量。水中の有機物 を分解するのに必要な酸素量。 全窒素:水中の窒素量。 全りん: 水中のりん量。 トン/日 0.2 0.09 0.1 0.10 0.07 0.04 0.05 0.06 0.03 0.04 0.02 0.0 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 COD、全窒素、全りんの3つは生活環境へ与 える影響を表す指標として用いられており、 洞海湾を含む瀬戸内海地域では濃度だけで なく、排出量も規制されていますが、いずれ も規制値の10%程度となっています。 '13 14 廃棄物 廃棄物に関して、2000年6月に施行された「循環型社会形成推進基本法」のもとに発生量 の削減(Reduce)、再利用(Reuse)、再資源化(Recycle)を進め、計画的な削減に取り組んでい ます。三菱化学では全社の廃棄物削減目標として、「埋立率」(埋立量÷発生廃棄物量)を1% 以内に収める、「ゼロエミッション」を掲げております。黒崎事業所でも最終埋立量を減らすた めに、廃棄物をセメント原料とするなどを行ってきましたが、まだ埋立率は2%前後にとどまっ ていました。そこで、埋立量の3分の2ほどを占める廃棄物焼却施設から発生する焼却灰の 有効利用方法に関する検討を廃棄物処理業者とともに行い、2013年度から有効利用を開始 し、2013年度は1.23%まで低下させました。引き続き、有効利用先の検討を継続します。 4% 4 中間処理後の埋め立て 直接埋立 2.96% 3 埋立率 3% 2.64% 1.9 2 2.0 1.78% 1.87% 2% 1.7 1.2 1.2 1.6 1 0 1.23% 0.9 1.7 1.7 1.1 0.3 0.3 0.1 '08 '09 '10 埋立率 埋立量 千t 2.45% 1.2 1% 0.9 0.0 0.0 0.0 '11 '12 '13 0% PRTR対象物質 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)とは、有害性のある多種多様な化学物質 が、大気や公共水域など環境へどの程度排出されたか、また、廃棄物に含まれて事業所の 外にどの程度移動されたかを把握し、公表する仕組みです。三菱化学では2000年3月より施 行された「化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)」にて指定された物質に加え、日本化学 工業協会(日化協)にて指定された物質も含めて管理を行っています。 1000 PRTR物質排出量(法対象物質+日化協指定物質) VOC排出量 900 PRTR物質排出量 800 VOC排出量 700 t/年 600 500 400 300 200 100 0 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 15 環境に関する教育の実施 環境に関する意識と知識の向上を図るために、2013年度は、2種類の教育を実施しました。 1つは廃棄物の担当者としての教育、もう1つは環境法令と管理に関する教育です。 廃棄物担当者教育: 生産活動を行う際には必ず廃棄物が生じます。その廃棄物の処理は「廃棄物の処理及び 清掃に関する法律(廃掃法)」においてて、自らが責任を持って処理する(排出者責任)ことと なっています。しかしながら、近年、排出者が産業廃棄物処理業者へ情報提供を適切に行わ なかったために発生する事故が起きております。また、廃棄物の処理状況を把握するための 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の適正な運用も非常に重要です。そこで、廃棄物担当者全 員(197名)に対し、廃棄物情報提供やマニフェストに関する教育を改めて実施しました。 環境法令・管理教育 環境面の管理に重要な法令(大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃掃法)の知識、および、 運転管理のポイントに関する教育を実施し、457名が参加しました。 環境会計 環境保全の確保には、設備改善対策等への投資と、適切な費用支出が必要です。下表は、 環境省が作成した「環境会計システムの確立に向けて」の考え方に準拠して、事業所の環境 保全の費用を産出したものです。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) 単位:百万円 環 境 保 全 コ ス ト 環境に関わる費用 2012年度 2013年度 分 類 投資額 費用額 投資額 費用額 生産・サービス活動により事業エリア内で生じる環境負荷を抑制 315 1,678 75 1,670 するための環境保全コスト(事業エリア内コスト) 内 ①公害防止コスト 254 970 75 900 ②地球環境保全コスト 0 155 0 158 訳 ③資源循環コスト 61 553 0 613 生産・サービス活動に伴って上流又は下流で生じる環境負荷を 0 0 0 0 抑制するためのコスト(上・下流コスト) 管理活動における環境保全コスト(環境管理活動コスト) 0 139 0 139 研究開発活動における環境保全コスト(研究開発コスト) 0 0 0 0 社会活動における環境保全コスト(社会活動コスト) 5 19 0 16 環境損傷に対応するコスト(環境損傷コスト) 144 0 0 13 その他環境保全に関連するコスト(その他のコスト) 0 174 0 166 合 計 463 2,010 75 2,005 16 品質保証への取り組み ISO9001(品質マネジメントシステム)の定着と継続的な改善 品質への要求が高まる中、黒崎事業所では1994 年10月に国際的な品質保証の規格である ISO9001を取得しました。現在までこの仕組みを維 持し、定着させることで、安定した品質の製品をお 客様へお届けしています。 ISO9001では組織内で行う内部監査が重要な役 割を持ちます。黒崎事業所では監査員講習や監 査員向けに監査説明会を開催し、監査員の力量 を向上させる取り組みを行っています。 内部監査や審査機関による審査において摘出さ れた改善事項については速やかに是正処置を行 い、必要であれば次年度の方針・目標に反映させ るなど、継続的な改善に努めています。 外部講師による監査員講習の様子 監査員向け内部監査説明会の様子 審査機関による審査の様子 品質管理システムによる品質管理 原材料の受入れから出荷 までには右図のような様々 な部門が関わっています。 黒崎事業所では、原材料 の受入れから出荷まで、各 部門を横断する各種システ ムを用いて品質管理を行っ ています。 各システムは、機能追加 やセキュリティー強化のた め、定期的に改良を実施し ており、直近では検査値を 管理する統合型品質管理 システムを改善しました。 17 地域の方々と共に 三菱化学では、事業活動に関わる国々・地域の文化や慣習に対する理解を深め、その社 会規範を尊重するとともに、良き企業市民として、社会貢献活動への参加などを通じ、地域 社会との共存を図るという方針を掲げており、黒崎事業所においても種々の活動を通じて、 地域の一員でありたいと考えております。 街美化 2,800人突破 黒崎地区美化推進協議会が 主催するJR黒崎駅前の商店 街を中心とした清掃活動に 1996年より継続して参加してお り、三菱化学グループの参加 者累計が2,800人を突破しまし た。 化学実験教室開催 筑前黒崎宿場まつり」にて毎 年恒例の「化学実験教室」を 開催。MCCグループ会社の 製造する製品を利用したテー マを用意し、たくさんの子供た ちに楽しんでもらいました。 18 三菱化学株式会社 黒崎事業所 〒806-0004 北九州市八幡西区黒崎城石1-1 事業所ホームページ http://www.m-kagaku.co.jp/kurosaki/index.html このRCレポートは黒崎事業所におけるRC活動をまとめたものですが、読んでいただいた皆 様からのご意見、ご要望などが改善へのきっかけになります。お気づきの点がありましたら 何でも結構ですので、以下の連絡先へお問い合わせやご連絡をお願いします。 RC推進部 環境グループ Tel: 093-643-2611 Fax: 093-643-2024