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「500個産卵育種」の裏話 - Hendrix-ISA

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「500個産卵育種」の裏話 - Hendrix-ISA
ISA FOCUS
I S A ニュースレ タ ー ‐ 2 0 1 4 年 1 月 第 1 1 号
今号の内容:
「500個産卵育種」の裏話
ISA と ベロレチェンスキー – 共に歩んだ16年
ゲノム選抜によるより速い育種改良
社説
ISA専務取締役 サーベイ・ハーマンス
2013年の世界中の飼料価格高騰は、鶏卵生産者に
重くのしかかるものでした。一方、
メキシコなどのいくつ
かの国における非常に高い鶏卵価格は、鶏病問題によ
る生産不足のために引き起こされました。一般的に言え
ば、2013年は私たちの産業にとって厳しいものでし
たが、2014年は、たとえ飼料価格が幾らか下がった
としても、決して安易なものではないと思います。
ISA社おいては、2013年はある意味成功の年だ
ったと思います。多くのお客様に、私たちの製品におけ
る遺伝的進歩を認めて頂けたと考えております。
また、雛
配送においても、満足していただけたとするお客様が増
えました。私たちの技術スタッフは、組織レベルで、配送
と顧客サービスの信頼性をさらに増すようプロジェクト
を設計し取り組んでまいりました。新たな種鶏孵化場を
ボックスミアにオープンさせた他、卵質研究施設と幾つ
かの研究開発プロジェクトが完了しました。
これらの幾
つかの詳細は、ISA Focus今号の中で紹介され
ています。
ISA社の使命として掲げる
「高品質卵500個産卵育
種」の販売促進は大きく成功しています。顧客の皆様は、
いつその目標値に達するのか、そして今の鶏はどの週齢
までに達しているのかを尋ねてくる一方で、幾つかのお
客様は、既に目標値に達しているのではないかと報告し
てきます。ご承知の通り、弊社の遺伝学者であるフラン
ス・ヴァン・サンビークは、2020年に換羽を行わない
ままこの目標値に到達できるとしています。私たちの純
系統の半数は既に目標レベルに達しており、新たな技術
の結果、遺伝的改良速度は向上しています。
しかしなが
ら、育種改良の成功には弊害も生じています。鶏が更に
卵を産めば、種鶏はより多くの雛を生産し、鶏卵の世界
市場は2%の成長しか見込めません。
したがって、世界
における種鶏販売は動かなくなります。
2014年、ISA社は世界の情勢変化により多くの困
難に直面すると考えています。飼料要求率、二酸化炭素
排出、断嘴、そして鶏に対する抗生物質の使用などが課
題になります。近い将来、
ドイツ等の国々では、初生オス
雛の淘汰を禁止することを計画しています。ISAはバ
リューチェーン(産業構造における価値連鎖)の一部で
あることから、
この困難を新たな機会として考える必要
があります。例えば、英国では鶏卵価格が他のヨーロッ
パ諸国に比べてはるかに良い状況です。
これは、鶏卵産
業が、鶏卵の商標化と流通・販売の協力関係でさらに利
2 ISA FOCUS
益が上げられることができると理解したことによります。
鶏卵当り3ペンスは消費者にとっては大きな価格上昇
ではありませんが、鶏卵生産者には、利益もしくは損失
の大きな違いになります。
ある英国のスーパーマーケットチェーンは、
ブリティッシ
ュ・ブラック・テイルという特別品種の名前で鶏卵販売す
ることで、商標戦略を更に一歩進めています。種鶏から
消費者までの全体連鎖が係ることで、鶏卵生産量は需要
に応じて注意深く管理されています。
2013年の間、消費者団体との話し合いと彼らの考
え方を理解することは非常に興味深いものでした。例え
ば、他の鶏に比べて、ある採卵鶏は何故首の羽が少ない
のかを尋ねられました。そして、首の羽装状態が、新たな
形質・資源として必要になります。
これは、弊社がバリュ
ーチェーンの中で取組み続けなければならない運命の
ようなものです。
「ケーキの一部を得る喜び」が、弊社の
姿勢です。■
「500個産卵育種」の裏話
ルード・デ・カイザー, ISAマーケッティングマネージャー
“500個の高品質卵を換羽無しで産卵できる鶏の育種は、2020年までに可能になる”と、ISA社上級育種
学者のイエーロン・ビスチャーは述べています。 オランダに本社を置く現在のISA社は、
フランスを基
地にしたISA社とオランダを基地にしたヘンドリック
ス・ポートリー・ブリーダース社が2005年合併し設立
されています。それぞれの会社には、過去に他社との吸
収合併の経緯があったため、現在のISA社は、イサ、
バブコック、シェーバー、ハイセックス、ボバンス、そして
デカルブを含む北米・ヨーロッパを基盤とする非常に大
きな採卵鶏遺伝子群を維持することとなりました。
2005年の合併時おいて、
フランスISA社は、純系
統における80週齢までの評価を数年前から始めてい
ました。一方、オランダのヘンドリックス・ポートリー・ブリ
ーダース社は、その10年以上前から評価を開始してい
ました。そして合併の後、評価期間は100週齢まで延
長されています。ISA社上級遺伝学者のジョージ・ア
ンサーは、
「私たちの評価で採用した産卵サイクルの延
長は、500個高品質卵産卵採卵鶏育種が目標となる
ことを気付かせてくれるものでした。なぜなら、過去の観
察結果は、60週齢まで最高品質の産卵を続けられる鶏
は、それ以上の週齢においても高品質卵が産めるもので
はないことを示していたからです。」
と述べています。
3 ISA FOCUS
この理由によって、ISA社は、鶏の産卵維持能力を1
00週齢まで延長させるだけではなく、特に80から1
00週齢の間で、多くの卵数と、異なった品質形質の評
価を行うに至っています。2004年ではおよそ210
万個の鶏卵が評価されていましたが、2013年におい
ては、カナダ、フランス、そしてオランダの卵質研究施設
が最新の設備に更新され、年間約600万個の鶏卵検
査が行われるようになっています。鶏卵品質評価形質に
は、卵重推移、卵殻強度、卵殻色、卵白高、ハウユニット、
そして鶏卵外観の総合的な等級に関するすべての項目
が含まれています。
「ISA社は、1970年代以来、世界の様々な温度
環境や熱帯地方にある何十もの契約農場で野外性能テ
ストを行っています。」
と、ISA社研究開発統括責任者
のフランス・ヴァン・サンビークは述べています。
「私たち
は、自社育種改良センターの35万羽以上に及ぶ純系
統鶏のデータをさらに補足するために、産卵性能、卵質、
生存率等を年次ベースで取得しています。」
この両者か
ら得られたデータは、各純系統の最も優れた個体の選抜
に用いられています。
これにより、ISA鶏は、野外で遭
遇する厳しい条件にも対応できるものになっています。
「換羽処理を行わない高品質卵500個産卵育種とい
う私たちの使命は、2020年に鶏卵生産者のもとで
可能であると予想しています。」
と、ISA社上級育種学
者のイエーロン・ビスチャーは述べています。
「進歩は、
私たちの試験結果で確認できているだけでなく、顧客か
らの提供結果、そして米国ノース・キャロライナ、日本の
群馬県、チェコ共和国のウストラシエのランダム・サンプ
ル・テストでのデータに見られるように、事実私たちの系
統は、他社との平均の卵殻強度や飼料摂取量を保ちな
4 ISA FOCUS
図 1. ISA社鶏卵研究施設における年間検査数
Millions
百万個
大量な表現型データを収集する一方で、ISA社は、各
鶏個体の育種価を計算する際に遺伝子型を取り込める
よう、長年にわたって鶏の血液サンプルの集積を行って
います。ヘンドリックス・ジェネティックス・リサーチ・アン
ド・テクノロジー・センターとの共同作業により、ISA
社は、最近開発された最先端の60K SNP(一塩基
多型)チップを開発する大きな一歩を作出しています。遺
伝子型は、環境要因の影響を受けないため、非常に若い
世代でのデータ取集が可能であり、更に速く、正確な育
種選抜を可能にします。
77
66
55
44
33
22
11
00
2004
2004
2007
2007
2010
2010
2013
2013
がらも優れた産卵数と採卵重量を示しています。そして、
更に興味深いことは、鶏齢が進むに応じて競合系統との
差がひらいていくことです。」■
ISAとベロレチェンスキー – 共に歩んだ16年
ベラ・フランテンコ, ISA マーケッティング担当
ロシア最大の農業企業であるベロレチェンスキーは、長年に渡り、
ロシア国内における牛乳、肉、鶏卵の最も効率
的な生産者としての地位を保っています。2014年、ベロレチェンスキーは40周年を迎えると同時に、鶏卵生
産6億個を計画しています。
ロシア最大の農業企業であるベロレチェンスキーは、長
年に渡り、ロシア国内における牛乳、肉、鶏卵の最も効率
的な生産者としての地位を保っています。3000人以
上の従業員と約40の異なった専門部署があり、8万ヘ
クタール以上の耕地において、2百万羽の採卵鶏、64
00頭の乳牛を含む12000頭の牛の飼料を作って
います。
今日、ベロレチェンスキーはシベリアを横断ずる多くの
都市において、処理工場、流通機構、そして気候制御倉庫
を有しています。高品質の乳製品と鶏卵は、地元におい
て高い需要があります。更に、何千キロも離れた養鶏場
に対しても、製品を供給しています。彼らの鶏は、モンゴ
ルでもよく知られています。ベロレチェンスキーは、シベ
リアからの、革新的、近代的、そして野心的な企業の好例
になっています。
ホーナー・メダル、
レイバー・レッド・バーナー・アンド・メ
リット・フォア・ザ・サービス・トゥ・ザ・マザーランドの創
5 ISA FOCUS
業保有者のガブリイル・S・フランテンコ氏(今号表紙の
人物)は、人にとっての最高の幸福は、
「母国で生活し、働
き、自らの労働に気高いこと」であると自信を見せていま
す。
養鶏場の建設は1972年に始まり、1974年12
月18日に最初の鶏が27号舎に入りました。会社が最
初に導入した交配種は「ベラルース9」
で、年間250~
280個の産卵能力がありました。16年前、農場の専
門家は、オランダに本社を置くユーリブリッドの育種によ
るハイセックス・ホワイト鶏の生産性が非常に高いと耳
にしました。彼らにとって、その系統の収益性を理解する
には時間がかかりませんでした。1997年、ベロレチェ
ンスキーは最初のハイセックス初生雛群を受け取りまし
た。ガブリイル・フランテンコ氏は、過去を振り返りなが
ら、
「我々が困難な時に非常な助けとなったハイセックス
の記念碑を建てなければならない。」
と、
しばしば口にし
ます。
現在、ベロレチェンスキーは、ISA社から育種系統を輸
入するために35万ユーロを費やしています。
「私たちに
とって重要なことは、健康な初生雛を保証することです。」
と、ベロレチェンスキー副総支配人のステパン・フランテ
ンコ氏は述べています。彼は、
「健康な鶏群を維持するに
は、最適なワクチンプログラムを適用し、的確で安定的な
環境を作り、成績を注深く観察するだけです。ISAは信
頼できる常に高い品質レベルを満たしています。」
と、続
けて述べています。
ベロレチェンスキーは、最近、デカルブ・ホワイトを新た
に鶏種導入しています。ステパン・フランテンコ副総支配
人は、
「私たちの農場の専門家達は、
この鶏種に恋に落ち
た。」
と言っています。
1) 非常に静かな鶏。
2) 産卵終期まで申し分のない白い卵を産卵。
3) 23週間95-97%の安定した産卵を
維持し、80週齢までに370個を産卵。
4) 無駄は7%。
「私たちは、一つの養鶏場としてスタートしました。」
と、
ベロレチェンスキー総支配人のガブリイル・フランテンコ
氏は述べています。
「しかしながら、周りの農場のほとんど
が止めてしまった時、人々の雇用を守るために、乳牛飼育
と肉牛肥育を始めなければなりませんでした。私たちに
は、知識を共有する専門家仲間の助けが必要でした。例
えば、オランダ人農学者は2年間私たちの農場で働き、ほ
とんど地元住民のようになってくれました。
同様なアプローチが、その他のビジネスやISA社との
関係に用いられています。私たちは、製品だけはなく、知
識やサポートを必要としています。私たちの専門スタッフ
全員がオランダでISA社からの専門教育を受けていま
す。ISA社スタッフは、1年に2回の配送毎に私たちを
訪問してくれます。
また、
タイス・ヘンドリックスも私たちを
訪問してくれています。」
ベロレチェンスキーは、彼ら自身による現代的生産基準
の開発に常に取り組んでいます。それは、未来を見据え、
商品・サービスの市場変化に賢く対応し、新たな技術開発
に取り組み、そして、社会の動きを注意深く見ていること
です。ベロレチェンスキーの最も大切にしていることは、
イルクーツク地域の住民に、高品質の食品を提供するこ
とです。2014年、ベロレチェンスキーは40周年を迎
えると同時に、鶏卵生産6億個を計画しています。■
6 ISA FOCUS
ゲノム選抜によるより速い育種改良
ウィーベ・ヴァン・デ・スルイス, 前ワールド・ポートリー編集委員
ISA社の研究パートナーであるヘンドリックス・ジェネティックス・リサーチ・アンド・テクノロジー・センターによっ
て開発された新しいSNPチップは、ISA社が早い要求の変化に迅速に対応し、遺伝子選抜をより速く、
そして
より効率的に行えることを可能にします。
伝統的に、遺伝育種会社は、表現形質を基に優れた雄と
雌を選抜するための大規模な家系集団を持っていまし
た。DNA(遺伝子識別)技術は、選抜の範囲を拡大し、ゲ
ノムデータの利用を可能にしました。採卵鶏育種会社I
SAの親会社であるヘンドリックス・ジェネティックス社
は、自らの選抜プログラムにゲノム選抜を取り入れること
を、かなり前から取り組んでいました。
「混同してはいけないことは、ゲノム選抜は鶏のDNA
の一部を人工的に切り貼りするものではないことです。」
と、ヘンドリックス・ジェネティックス・リサーチ・アンド・テ
クノロジー・センター統括責任者のジェラード・アルバー
スは述べています。
「私たちは、自分たちの育種群が持つ
遺伝的特徴を理解して、自然な組み合わせの中で好まし
い形質を科学的に結合させるものです。
これは、一塩基多
型(SNP)の識別によるDNA評価を、自分たちの系統
鶏の各個体に適用することを意味しています。近年、ます
ます多くのSNPが鶏ゲノムから発見されるに至って、
こ
の技術の持つ力は着実に増加しています。」
ヘンドリックス・ジェネティックスは、2009年、ISA
採卵鶏育種プログラムのゲノム選抜に、育種鶏に対する
7 ISA FOCUS
SNPチップによるDNA評価を取り入れることを始め
ています。その間、ゲノム選抜は、育種プログラムには欠
かせないものとなりました。
「今日まで、遺伝的相違を示
す60,000マーカーにより、何万羽もの鶏に対して遺
伝子型判定が行われています。
これにより、次世代の鶏に
対する遺伝的価値をより効率的に推測することができま
す。」
と、
ジェラード・アルバースは述べています。
選抜のスピード化
2013年、ヘンドリックス・ジェネティックス社は先のチ
ップの代替となる新しい「中密度SNPチップ」を導入し
ました。
この新たなチップは、60,000のSNPマー
カーをカバーしています。
これはISA社への特注品で、
学術的社会に対して提供されていた過去のSNPチップ
とは異なり、第三者へ提供されないものです。
このチップ
における大きな利点は、ISA鶏遺伝集団に対する特定
の遺伝子同定に適していることです。現在、ゲノム選抜プ
ログラムにおけるすべての鶏が、
この新しいチップで遺伝
子型判定され、鶏ゲノムを理解する正確度も飛躍的に向
上することになります。
新しいチップは、鶏群の遺伝的多様性をよりよく同定し、産業が望む特定形質の
選抜において、古いチップに比べて最大50パーセント向上しています。
ここで
は、産卵数、卵重、飼料効率、増体といった伝統的な形質に制限されることはあり
ません。
また、社会性、脚弱、竜骨強度、特定疾患に対する感受性等の問題に対し
ての選抜も可能になります。
新しいチップは、サテライト・ナビゲーション・システム更新との比較も可能です。
遺伝的情報の有効量を増加させる新たな興味深い焦点を加えて、世界中の動物
の次世代育種に必要な、新しく、更に正確な遺伝情報を提供します。
500個産卵育種
「最初のSNPチップが開発されてから4年の後に、育種改良においてより良
い最先端技術を利用するための新しいチップが開発されました。」
と、ジェラー
ド・アルバースは述べています。最初の576サンプルの評価から得られた結
果は、非常に良いものでした。新しいSNPチップの性能、正確性、そして情報
量は、テストされた遺伝系統にもよりますが、25~33%向上しています。
「これは刺激的な結果であり、ヘン・ハウス100週齢において高品質卵50
0個を産卵できる能力をもった鶏の開発完了をより早くさせるものです。更に、
地球上の異なった市場に対する要求の変化においても、
より迅速にそして効率
的に対応することができるかもしれません。」
と、
ジェラード・アルバースはまとめ
ています。■
8 ISA FOCUS
編集
Vera Frantenko
Marketing Associate
Nels Koppes
Marketing Associate
Ruud de Keijzer
Marketing Manager
著作権 ©
本誌記事並びに写真について
は、ISAからの書面による許可を得
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連絡先
ISA FOCUS
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