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第30回価格調査評価監視委員会が開催されました
第30回価格調査評価監視委員会が開催されました このほど第 30 回(平成 22 年度第 4 回)価格調査評価監視委員会が開催されましたの で議事概要を報告いたします。本委員会は年 4 回(四半期毎)開催され、経済調査会の 調査基準、調査実施状況、調査結果等の妥当性、透明性について外部有識者が評価、監 視するものです。 ●議事概要 開催日時 平成 23 年 1 月 28 日(15 時 00 分~17 時 02 分) 開催場所 経済調査会会議室 出席委員 木下昌、小林康昭、榊原渉、丸山淳一(委員長)、吉越洋、渡辺季男 (五十音順) 議 題 1.前回委員会議事録(案)の承認 2.事例審議 (1)自主調査:「電線・ケーブル(CV ケーブル)」(東京) (2)受託調査:「ボックスカルバート」(和歌山) ●議事要旨 議 題・質 問 説 明・答 弁 1.前回(第 29 回)委員会議事 〇事前に配布した議事録 (案)について確認、承 録(案)の承認(審議資料 1) 認された。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.事例審議 (1)自主調査「積算資料」から 電線・ケーブル(CV ケーブ ル) (東京)について審議(審 議資料 2,参考資料 2) ○ 件名先物契約価格は調査対象 外とのことだが、その需要は 大きくないのか。 ○ ベースサイズの規格を調査 し、その他の規格は定価表に 対する値引率で決定している が、銅の割合が導体の線径に より異なるのに規格ごとに値 引率は一定なのか。 ○ 東京以外の地区はどのように 調査しているのか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 〇(説明)電線・ケーブル(CV ケーブル)の概要 を説明した後、調査総括表、調査情報票等にし たがって調査プロセス、調査結果を説明。 ○ 1 件当たりの出荷量は多いものの、プロジェク ト物件の減少に伴い、近年は全体に占める割合 は小さくなっている。 ○ 運用銅ごとの定価表は、規格ごとの銅量も合わ せて設定しており、取引における値引率は一定 である。 ○ 毎月、全国展開している東京の販売店に対し、 東京以外の地区についても価格変動をヒアリ 1 議 ○ ○ ○ ○ ○ 題・質 問 説 明・答 弁 ングしていることに加え、年 1 回の全国面接調 査及び年2回の全国書面調査により、地区間格 差の確認を行っている。 東京地区の販売店に毎月確認 ○ これまでに大きな隔たりはなかった。 している地区間格差と全国調 査で確認する地区間格差で は、整合性はとれているのか。 書面調査で、なぜユーザー調 ○ ユーザー調査の対象には、比較的大手の企業が 査より販売店調査の回収率が 含まれているが、販売店は地方の電材店など比 悪く、販売店調査の結果が高 較的規模の小さい事業所が多いため、調査協力 いのか。 が得られにくい状況にある。また、販売店は取 引数量が小さいサンプルが多く、集計結果は高 くなる傾向にある。なお、書面調査は、価格水 準そのものより、価格変動の傾向を確認するこ とを重要視している。 5年、10年のスパンで考え ○ 建設関係で使う汎用的なケーブルは、ここ5~ た場合、電線工業界はどうい 6年、メーカーとしても収益的に苦しくなって うことになるのか。 きている。そのため、大手メーカーは物流や営 業拠点の効率化を進めて、販売部門を合併して 4つの販売会社をつくっている。 JIS、JCS、電力用規格、 ○ 規格別のシェアは把握していないが、JISと NDS(防衛省)各規格のシ JCSがほとんどと思われる。特に防衛省規格 ェアはどうなっているのか。 は非常に少ない。 輸出、輸入はどれくらいある ○ 日本電線工業会の出荷実績から、銅量ベースで のか。 輸出は国内需要の3%程度。輸入は換算して5 ~6%程度だが、輸入品は、海外に進出してい る日本の電線メーカーが、現地の余剰品を国内 に戻すケースがほとんどである。 (2)受託調査「平成 22 年度土 ○ (説明)ボックスカルバートと受託業務の概要 地改良技術工事資材価格随時 を説明した後、集計方法、集計表、調査情報票 調査業務」より「ボックスカ にしたがって調査プロセス、調査結果等を説 ルバート」について審議(審 明。 議資料 3,参考資料 3-1,3-2) ○ 報告した価格は、1 本当たり ○ ボックスカルバートは自主調査で毎月調査を の重量にキログラム単価を乗 実施しており、「積算資料」に大阪地区の価格 じているが、キログラム単価 はキログラム単価を基にした価格を掲載して を求めるために調査を行った いる。今回の調査では、調査対象地区である和 2 議 題・質 問 説 明・答 弁 のか。 歌山の市況が、大阪地区の水準と異なるか、調 査依頼があった規格・寸法の価格決定要素が 「積算資料」に掲載している一般的なものと異 なるかの確認を行い、結果的に大阪地区と同じ キログラム単価を基に報告価格を決定した。 ○ 「積算資料」の掲載価格と比 ○ 自主調査で予め価格水準を把握している資材 較するのであれば、掲載価格 の場合、どういう方法で調査を行うのかという を決定した調査プロセスも審 視点での審議をお願いしたい。 議対象となるのではないか。 ○ メーカーが回答した実勢価格 ○ メーカーが書面で実勢価格として回答した金 と報告価格の格差が非常に大 額は、目標販売価格として記入されている。ヒ きい。また、資料だけでは、 アリングで把握した本来の意味での実勢価格 報告価格決定に至った過程が は、ほとんどのメーカーが大阪地区と同水準と よく分からない。 している。今後は、価格決定までの過程が分か りやすい資料作成を行う。 ○ 今回、提出された資料では、 ○ 今後は、資料作成と説明方法を工夫する。 解釈に誤解を招きやすいもの があったので、今後工夫を重 ねて欲しい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 次回委員会の確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 月 22 日ごろを予定。 (文責 3 価格調査評価監視委員会事務局) 価格調査評価監視委員会規約 (目的) 第1条 財団法人経済調査会が実施する資材価格及び工事費(以下「資材価格等」という。)の調査について、その 妥当性・透明性を高め、調査の信頼性を向上させることを目的として、第三者による価格調査評価監視委員 会(以下「委員会」という。)を設置するものとする。 (委員会の事務) 第2条 委員会は、理事長の委嘱に基づき、次の事務を行う。 一 次の事項について、審議すること。 イ 資材価格等の調査基準 ロ 調査基準に基づく調査実施状況 ハ 資材価格等の調査結果 二 前号において、審議の対象とする資材価格等は、定期刊行物掲載価格に係る調査及び受託調査のうちから 委員会が選定する。 三 その他資材価格等の調査に関して必要と認められる事項について審議すること。 (委員会の委員及び任期) 第3条 委員は、公正中立の立場で審議を適切に行うことのできる学識経験等を有する者のうちから、理事長が委 嘱する。 2 委員会は、委員8人以内で組織する。 3 委員の任期は、2年とする。ただし再任を妨げない。また委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、 前任者の残任期間とする。 4 委員は、非常勤とする。 (委員長) 第4条 委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。 2 委員長は、委員会を代表する。 3 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長が指名する委員がその職務を代理する。 (委員会の開催) 第5条 委員会は、委員長が招集し、原則として年に4回開催する。 (審議結果の報告) 第6条 委員会は、第2条により審議の対象となった事項に関し、改善すべき事項があると認めたときは、理事長 に対し報告する。 2 前項の報告及びそれにもとづく改善措置は、その内容を公表する。 3 委員会の審議結果は、委員会開催後、主務官庁に報告するものとする。 (委員会の意見等の聴取) 第7条 委員会は、第2条の事務を行うにあたり、必要に応じて委員以外の者から意見等を聴取することができる。 (秘密を守る義務) 第8条 委員は、第2条の事務を処理する上で知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、ま た同様とする。 (事務局) 第9条 委員会の事務局は、財団法人経済調査会価格調査評価監視委員会事務局に置く。 附則 この規約は、平成15年10月29日から施行する。 価格調査評価監視委員会委員名簿(五十音順) 木下 小林 榊原 丸山 吉越 渡辺 昌 康昭 渉 淳一 洋 季男 木下公認会計士事務所 公認会計士・税理士 足利工業大学 教授 (株)野村総合研究所 コンサルティング事業推進部 上級コンサルタント (財)資源探査用観測システム・宇宙環境利用研究開発機構 アドバイザー 東京電力(株) 顧問 季仙企画 代表 (社)日本建築積算協会 元理事 4 審議資料2 電 線・ケ ― ブ ル(CVケーブル) 資材解説 1.電線ケーブルの資材概要 ①電線とは 電線という言葉は、従来、電気を導く金属線の総称とされてきたが、最近では、金属線の 他に、光ファイバーケーブルのようにガラスファイバを用いて光信号を送るものも含まれる ようになった。 電線とならんでケーブルという言葉が使われているが、電線とケーブルとの間には明確な 区別はない。一般に構造が複雑で太く、シース(外装)のあるものをケーブルと呼んでいる。 電線は、日常生活や国の産業・経済に欠くことのできない資材であり、社会に対する電線 の持つ役割は極めて重要であるために電線は社会の血管や神経にたとえられている。 ②電線の種類 a)電力用電線 電気エネルギーを輸送することを役割としている。送電といい発電所で起こされた電気を 消費地の変電所に送る役目、配電といって変電所で所定の電圧に下げられた電気を工場、ビ ル、家庭などの電気引込口まで配る役目、さらに、配線といって電灯や機械装置などのある 場所まで電気を導く役目がある。発電所から消費地までの電力輸送の役目を果たすものが送 電線路である。 b)通信用電線 電気信号を用いるメタル通信ケーブルと光信号を用いる光ファイバーケーブルがあり、音 声、画像、映像等の情報を伝送することを役割としている。 メタル通信ケーブルの代表的なものに電話用ケーブルと同軸ケーブルがあり、電話用ケ ーブルは、加入者の電話器から電話局の交換装置を経て相手の加入者の電話器まで音声を 電気信号に変換して伝える。また電話局相互の間は光ファイバーケーブルにより電気信号 を光信号に変換して伝送している。 電話用ケーブルは市内ケーブル、同軸ケーブルは、テレビ送信所のアンテナ給電用同軸 ケーブル、テレビのアンテナから受像機までの映像と音声信号を伝えるテレビ受信用同軸 ケーブルがある。 c)巻線 電気機器の内部にコイル状に巻かれ、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変えて発 電に寄与するものと、また他の電線によって送られてきた電気的エネルギーを機械的エネ ルギーに変えて動力を得るものとがある。例えば発電機は外から力を加えて電気を発生さ せるが、モータは外から電気を送って回す。これらに使用される電線を巻線という。 さらに上述のほかに各種の電線が、電車、航空機、船舶、自動車、人工衛星、玩具等非 常に広範囲に使用され大きな役割を果たしている。 電力用 送電用(硬銅より線、鋼心アルミより線等) 配電用(CV、OW、DV等) 配線用(CV、IV、HP等) メタル通信ケーブル(電話用ケーブル、同軸ケーブルなど) 通信用 光ファイバーケーブル 巻線 1 2.電力ケーブルの用途と種類 電線の種類は、導体の材料(銅、アルミ、ガラスファイバ)、導体の構成(単線、より線)、 被覆の有無(裸線、被覆線、さらに被覆の材料別)、または単心、多心による分け方、統計 上の分類に基づく分け方、電線の使用目的による分け方などだが、ここでは、具体的な用途 によって分類することとする。 ①送電用の電線 発電所から消費地へ電力を送るのは送電線である。送電線は布設場所の地形により空中、地 中への架設や、水底(海底、川底)に布設されたりいろいろで、それによって使用される電線 の種類もさまざまである。 架空送電線により超高圧変電所に送られてきた電力は、地中送電線 (電力ケーブル)により 1次・2次変電所、または3次変電所(配電変電所)へ送られる。都市近郊に建設されている 火力発電所からの送電は危険を避けるため、大部分は地中に布設された地中送電線により超高 圧変電所へ送られる。 ②配電用の電線 変電所で所定の電圧(3,300V または 6,000V)に下げられた電力は、この線路を伝わって工 場、ビル、家庭などの電気引込口まで配られる。 大工場などの大口消費者には変電所から電力を直接供給することが多く、この場合の線路 も段階からいえば配電線だが、実際には高電圧(22kV~77kV)になるため送電用と同種のケ ーブルが使用されている。 ③配線用の電線 電気引込口まで引込まれた電力は、家庭の電灯や電気機器、工場の機械装置などのある場所 まで導かれる。最終使用箇所の配線段階では、非常に多岐にわたる電線が使われている。 2 ④電力ケーブルの種類 品名 記号 本誌 サイズ 心数 600V ビニル絶縁電線 IV ○ 1.0~5.0㎜、0.9~500m㎡ 単線、より線 600V 二種ビニル絶縁電線 HIV ○ 1.2~2.6㎜、0.9~500m㎡ 単線、より線 600Vけい素ゴム絶縁ガラス編組電線 KGB × 1.25~250m㎡ 1心 600Vけい素ゴム絶縁ゴム絶縁電線 IK × 1.25~250m㎡ 1心 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル 丸型 VVR ○ 1.6~2.6㎜、5.5~325m㎡ 2~3心 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル 平型 VVF ○ 1.6~2.6㎜ 2~3心 600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル CV ○ 2~1000m㎡ 1~4心 高圧架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル CV ○ 8~325m㎡ 1心、3心 デュプレックス形電力ケーブル CVD ○ 14~250m㎡ 2心 トリプレックス形電力ケーブル CVT ○ 14~325m㎡ 3心 カドラプレックス形電力ケーブル CVQ ○ 14~325m㎡ 4心 EPゴム絶縁ケーブル PN、PV × 2~1000m㎡ 1~3心 600V IE/F EM-IE ○ 1.0~2.6㎜、0.9~325m㎡ 単線、より線 600V EEF/F EM-EEF ○ 1.6~2.6㎜ 2~3心 6600V CE/F EM-CE/F ○ 8~325m㎡ 3心 600V CE/F EM-CE ○ 2~325m㎡ 1~4心 CEE/F EM-CEE ○ 1.25~8m㎡ 2~30心 CEE/F-S EM-CEE-S ○ 1.25~8m㎡ 2~30心 CET/F EM-CET ○ 14~325m㎡ 3心 耐火電線 600V 耐火ケーブル FP、FP-C ○ 1.2~2.6㎜、2~325m㎡ 1~30心 耐火電線 6600V 高圧耐火ケーブル FP、FP-C ○ 14~150m㎡ 1心、3心 撚耐火ケーブル FPD、FPT ○ 5.5~325m㎡ 2心、3心 耐熱電線 HP 遮へい付耐熱電線 HP-S 警報用ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル AE 用途・特徴 絶縁体としてビニルを被覆するだけの非常に簡単な 製造工程でできる電線で屋内配線用に適す。また 高温での使用に適したHIVもある。 耐熱性、耐寒性、可とう性に優れた耐熱電線。電気 炉回り、電動機、発電機、航空機、自動車、および 高温電熱器、他の配線および口出し線として使用。 家屋の屋内配線として広く使用されている。取扱い が容易で、耐候性、耐熱性が優れており長年月の 使用に耐える。丸形(VVR)と平形(VVF)の2種類あ り。 本文参照 用途はCVと同様であるが、撚り構造となっているた め曲げ易いという特長がある。また、各々の電線が 独立しており、CVケーブルのように介在物が存在し ないため、放熱性能がCVと比べて若干良く、許容電 流値を高く設定することが可能。 600V以下の電力用・制御用の回路に使用。EPゴ ムで絶縁しシースはポリクロロプレン。 環境配慮型。従来から使用されているビニルに替え て耐燃性ポリエチレンを使用しており、①ハロゲン元 素を含まないため有害なハロゲン系ガスを発生しな い、②鉛などの重金属を含まず土壌汚染がない、③ 燃焼時の発煙量が少ない、④腐食性ガスを発生し ない、⑤ビニルと同等の難燃性がある、⑥ビニルを 絶縁に用いた電線に比べて耐熱温度が高い(75℃) ため許容電流が大きく取れる、⑦被覆材をポリエチ レン系に統一しているためリサイクル対応が容易で ある、等の特徴がある。用途は一般用電線に準じ る。 非常電源の回路等に使用。 火災発生時の非常放送用スピーカ、非常ベル起動 1~10心、3~200対 装置等の弱電回路の配線に使用。 HPに遮へい層(誘導障害防止)を施したもの。 ○ 0.9㎜、1.2㎜、0.75~3.5m㎡ 2~6心、2~30対 火災報知設備における感知器の信号伝送回路用な ○ 0.65mm、0.9㎜、1.2㎜ 2~4心、5~100対 どに主に使用。 ○ 0.65~2㎜ 警報用ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル EM-AE ○ 0.65mm、0.9㎜、1.2㎜ 2~4心、5~100対 600V制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル CVV ○ 1.25~22m㎡ 2~30心 静電遮へい付制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル CVV-S ○ 0.9~38m㎡ 2~30心 6600V屋外用ポリエチレン絶縁電線 OE ○ 5㎜、22~100m㎡ 単線、より線 6600V屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線 OC ○ 5㎜、22~100m㎡ 単線、より線 6600V屋外用縁廻用架橋ポリエチレン絶縁電線 JC ○ 22~100m㎡ 単線、より線 屋外用ビニル絶縁電線 OW ○ 2~5㎜、14~100m㎡ 単線、より線 引込用ビニル絶縁電線 DV ○ 2~3.2㎜、8~60m㎡ 2心、3心 6600V高圧引下用架橋ポリエチレン絶縁電線 PDC ○ 2~3.2㎜、5.5~22m㎡ 単線、より線 6600V高圧引下用EPゴム絶縁電線 PDP ○ 2~3.2㎜、5.5~22m㎡ 単線、より線 600Vゴムキャブタイヤケーブル CT ○ 0.75~100m㎡ 2~4心 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル VCT ○ 0.75~14m㎡ 2~4心 ビニルコード ビニルキャブタイヤ丸形コード VCTF ○ 0.75~2m㎡ 2~4心 ビニルコード ビニルキャブタイヤ長円形コード VCTFK ○ 0.75~2m㎡ 2心 ビニルコード 単心ビニルコード VSF ○ 0.5~1.25m㎡ 1心 機器の遠隔操作など自動制御を行う制御回路に使 用。 CVVに遮へい層(誘導障害防止)を施したもの。 6,600V高圧配電線として使用される。最近では、導 体内への水の浸入を防止する目的で、コンパウンド を充てんした水密OC電線も使われている。 屋外の架空配線に使用。 電柱から家屋までの架空引込線。 3 3,300V~6,600Vの屋外配電線から電柱上の変圧器 のところまでをつなぐ電線。 3,300V~6,600Vの屋外配電線から電柱上の変圧器 のところまでをつなぐ電線。 農業用作業機械、工場用移動ケーブル、仮設工事 の電源等に使用。 交流600V以下、直流750V以下の移動用電気機 器の電源回路の配線、及び制御回路用の配線、電 気洗濯機、電気掃除機、電気カーペット等家庭又は 業務用電気器具のプラグ付き電源コード及び延長 コードとして使用。 3. 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル) ①CVケーブルとは CVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の略称で、普及率の高い 電力ケーブルである。住宅や事務所、商業施設、工場など、ほぼどのような建築物にでも使 用に適している電力ケーブルである。CV-1C を 2 本まとめて円形に仕上げたものはCV-2C、 3 本まとめたものはCV-3C というように名称付けされている。多心のCVケーブルは、単 心のCVケーブルを 2 本・3 本と一体にし、隙間を介在物という物質で充填して円形に構成 している。介在物の存在の有無も放熱性能に影響するため、CVTケーブルなどのより線ケ ーブルと比較すると、どうしても許容電流が小さくなる傾向がある。 ②特徴 a)電気的な特性が優れている。 b)連続最高許容温度が 90(℃)と高く、耐熱性が優れている。 c)軽量で乾式なので布設が簡単。 d)保守が容易 ③用途 CVケーブルは、配電用や配線用に広く使用され、家屋の第一支持点から積算電力計ま での引込口配線、キュービクルから電灯分電盤・動力制御盤などの幹線としての使用や、盤 から大型電気機器への電源供給用配線として使用される。また、CVケーブルは対候性が比 較的高いため、屋外露出配線を行うことが可能。ただし、直射日光を受ける場所であれば、 若干ながらも被覆への損傷が発生するため、屋内敷設のCVケーブルと比較した場合、寿命 が短くなる。一般的に、屋内敷設の場合で、許容電流を超過しない使い方をしているCVケ ーブルは、20 年~30 年の寿命を持つと言われているが、屋外使用の場合は、15 年~20 年ま での寿命になると言われている。 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV) 4 ④製造工程 架橋ポリエチレン電力ケーブル(CVで多心の場合)は、導体→ポリエチレン混和物押し出 し→架橋→より合わせ→シースの工程を経てつくられる。 【CVケーブル製造工程】 より合わせ ビニルシース しゃへい 橋 半導電層 架 線 線 半導電層 よ り 銅 ポリエチレン絶縁 より合わせ 多心 CV ケーブル トリプレクス形 シースケーブル 単心 CV ケーブル ・ポリエチレン混和物押し出し 導体上にあらかじめ架橋剤を混入したポリエチレン混和物を押出機で同心円状に押し出し 被覆する。 ・架橋 架橋ポリエチレンとは直鎖状ポリエチレン分子相互間を結びつけて網目状の分子構造にし たポリエチレンで、これにより機械的性能、熱的性能が大幅に上昇。この分子相互間を結び つけることを架橋するという。この方法には化学架橋、照射架橋がある。 ・より合わせ 架橋された線心をより合わせ機で介在とともにより合わせる。 ・シース より合わせ線心にビニル(またはポリエチレン)を押出機で被覆する(シースがポリエチ レンの場合はケーブルを CE という)。この構造は一括シース形という。最近使用されている 「単心3コより形(トリプレックス形)CVケーブル」は、単心(導体→ポリエチレン混和物 押し出し→架橋→シース)ケーブルを3コより合わせて製造されている。 5 4.原材料 電線の材料には導電材料と被覆材料とがあり、導電材料は、電気を伝えるためのもので、 一般に最も多く銅が使用されており、被覆材料は、電気が導体から漏れることを防ぐととも に導体の損傷を守り電線全体の強度を増すためのもので、合成樹脂、合成ゴムなどが優れた 特性を有するため広く用いられてきた。製品に占める原材料コスト割合は導電材料(銅など) が圧倒的に多い。 ①導電材料 導電材料としては銅および銅合金、アルミおよびアルミ合金などがあげられる。これら のうちで最も多く使用されているのが銅である。導電率では銀が銅よりも優れているが、銀 は貴金属で価格も高く量的にも制約があり、非実用的なため、導電率で銀に次ぐ銅が豊富に 存在することからも最適とされている。電線用の銅地金は導電率ができるだけ高いことが要 求されるため、電気精錬による純度の高い電気銅が用いられる。現在 JIS(日本工業規格) の電気用銅地金規格では、電気分解によって得た電気銅の純度が 99.96%以上と規定されて いる。 ②被覆材料 電線は導体を裸で使用する場合もあるが、多くは電気を導体から逃がさないため覆いを しなければならない。この覆いに用いられるのが電気絶縁材料である。 絶縁材料で被覆された電線はさらにその用途、布設場所によって絶縁物を損傷・腐食から 守り、かつ電線全体の強度を増すため保護被覆が施される。 電線の被覆材料は、使用目的からみると絶縁材料と保護材料とに分けられるが、繊維類・ 天然ゴム・合成ゴム・合成樹脂など大部分のものは絶縁材料にも保護材料にも使用される。 電線の絶縁材料としては、絶縁抵抗・絶縁耐力・高周波特性などの電気的特性が優れて いることをはじめとし、引張強さ・可とう性・耐摩耗性などの機械的特性にも優れている ことが必要である。そのほか耐熱老化性・耐オゾン性・耐候性・耐熱性・耐油性・耐燃性・ 耐薬品性・耐水性などの諸性能が優秀で、さらに加工が容易であることなども必要条件。 保護材料については、以上の諸性能のうちで絶縁物を保護するという目的に合う性質が 特に重要視される。 電線の用途と目的に応じ、上記諸条件のうち特に必要な性質をそなえた合成樹脂・合成 ゴム・合成繊維などの優れた特性の被覆材料が使用されている。 6 5.電線の規格 電線の規格とは、電線の材料、構造および加工方法、性能、試験方法などについて定めた 標準である。各国の規格とともに、国際的に広く利用される国際規格もある。国内の規格は、 国または関係官庁、関係業界、需要家団体、技術・研究機関、学会などによって制定される。 このうち、公共工事で使用されるものは、JIS 及び JCS で規格化されているものが多く、本 誌では JIS・JCS 品を中心に掲載している。なお、CVケーブルは JIS C 3605 である。 a)JIS(日本工業規格) 工業標準化法に基づいて調査審議され、国により制定された規格。汎用性の高い電線につ いて規定されている。なお、平成 17 年の改正により、従来は指定品目のみに JIS マークの表 示が認められていたが、今後は新しい JIS マーク表示(登録認証期間の承認が必要)または JIS に適合している旨の表示が、一定の条件をみたす全ての JIS 対象品目に表示できるよう になった。 b)JCS(日本電線工業会規格) JCS(Japanese Cable Maker’s Association Standard)は、社団法人日本電線工業会によ り制定された規格。主なものは、電線の製品規格や材料規格、試験・検査標準や技術計算標 準だが、電線包装用ドラムなど、電線関連製品の JCS も制定されている。 JCS は JIS を補完する標準として、あるいは需要家団体などの要請による個別の目的をも つ規格として、現在 115 件の規格が国内で広く利用されている。 c)電力用規格 電力会社で使用する電線の統一規格として、電気事業連合会が制定した規格。 d)NDS(防衛省規格) 艦船などに使用する電線について、防衛省が制定した規格。 7 6.メーカーと流通 ① メーカー 電線工業の業界団体である日本電線工業会によると、日本での電線製造企業の総数は 400 社程度と推定され、主要メーカーは 6 社(住友電気工業、古河電気工業、フジクラ、日立 電線、三菱電線工業、昭和電線ホールディングス)である。これら 6 社の持っていた建設・ 電販ケーブル事業の販売部門は、ここ数年の市場の鈍化により収益が低下したため単独で の収益改善は困難との判断から現在では、物流や営業拠点の効率化を目的に次の 4 社に統 合されている(メーカー販社)。なお、メーカーは製造のみで必ず、販売に関してはメーカ ー販社が行っている。 メーカー販社 出資メーカー シェア※ 住電日立ケーブル 住友電工、日立電線、タツタ電線東、東日京三電線 約 35% フジクラ・ダイヤケーブル フジクラ、三菱電線、西日本電線 約 25% 古河エレコム 古河電気工業 約 15% 昭和電線ケーブルシステム 昭和電線ホールディングス 約 15% ※ 主要 3 品種(CV、IV、CVV)における国内シェア。 ② 流通 電線需要部門は通信、電力、電気機械、建設・電線販売業、その他内需、輸出の 6 部門 に分類できる。本誌では、建設・電線販売業部門における電設工事を中心とした工事業者 が購入する価格を調査し掲載している。 建設・電設販売業部門を中心とした流通の概要を以下に示す。メーカー販社より直接、仕 入れが可能である1次店とは、専業問屋・電材問屋、代理店・特約店を指し、2次店への卸 売りや中堅規模以上の電設工事会社への直接販売を行っている。この1次店と電設工事業者 間の取引価格が、本誌調査段階②に該当する。なお、代理店・特約店と専業問屋・電材問屋 との違いは、特定メーカーのみとの代理(特約)契約を結んでいるか否かで、最近では業態 に明確な違いがなくなってきている。 2次店とは、電材店を指し、地場の電設工事業者への電線を含む電設資材全般の販売を主 業務としている。この2次店・電設工事業者間の取引価格が、本誌調査段階③に該当する。 なお、大手電設工事業者が、長期工事物件・プロジェクト物(いわゆる“件名” )を受注 した場合、電線メーカーからの製品出荷が、工事工程に合わせて契約時から数ヶ月先となる 取引がある。これを“件名先物取引”といい、通常契約後3ヶ月以上 12 ヶ月以内に出荷さ れる製品を対象として、当該銅価(=契約時の国内電気銅建値)による販売価格をベースに 扱い店を通して、電線メーカーとの間で交わされる契約のことをいう。この場合契約された 製品については、市場価格に左右されることなく、契約時点の価格で出荷されるため、大手 電設工事業者が大量に購入する場合多く利用されている。 本誌掲載価格については、件名先物契約価格については適用外としている。 電線メーカー (メーカー販社) (一次店) ② 電設工事業者 代理店・特約店 専業問屋・電材問屋 (件名) (2次店) 電材店 ③ (件名) 8 7.生産・需要動向 2009 年度電線主要部門出荷実績((社)日本電線工業会調べ)は銅量ベース 662,472 トン(前 年度比-12.7%)で、うち調査対象となる建設・電線販売業部門では同 273,921 トン(前年度比 -17.1%)となった。 2010 年度(4 月~11 月)に至っては、銅量ベース 455,577 トン(前年度比 4.1%)で、うち 調査対象となる建設・電線販売業部門では、上半期は出荷量の低迷が続いていたが、下半期 には住宅着工件数の持ち直しとともに前年実績を上回る月もあり、同 182,590 トン(前年度比 -0.9%)となった。 建設・電販出荷量推移(年度別) 500,000 ( 出 400,000 荷 量 300,000 ) t 200,000 2 0 0 9年 度 2 0 0 8年 度 2 0 0 7年 度 2 0 0 6年 度 2 0 0 5年 度 2 0 0 4年 度 2 0 0 3年 度 2 0 0 2年 度 100,000 出典:(社)日本電線工業会 建設・電販出荷量推移(月別) 30,000 30.0 出荷量(建設電販) 出荷量(前年対比 %) 25,000 20.0 前 10.0 年 同 月 0.0 比 ( 出 20,000 荷 量 15,000 ( ) t -10.0 5,000 -20.0 0 % ) 10,000 -30.0 12月 2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2010年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 出典:(社)日本電線工業会 9 8.価格動向 2008 年 10 月のリーマンショックを機に銅建値は下落基調を強め同年 12 月には 30 万円/ t台まで下落、つれて電線単価も急落した。2009 年には、中国のインフラ整備に伴う需要 増加を背景に銅建値は一転して上昇基調で推移し、電線価格も 2010 年の 4 月まで上昇を続 けた。2010 年 5 月には欧州財政不安によるユーロ急落を背景とした銅建値下落により電線 価格は下落に転じたが、中国及び東南アジアの底堅い需要に支えられ同年 7 月には再び銅 建値は上昇、現在もジリ高で推移している。一方、電線価格については電線需要の低迷に より価格転嫁が進まず 2010 年 8 月上旬調べ以降、横ばいで推移していたが 2010 年 12 月末 には、銅価の上昇継続による採算悪化及び、需要の底入れから、販売筋では売り腰を強め、 全国的に市況が上伸した。 LME銅価格・在庫量 推移 900 L M E 価 格 円 / k g 600,000 欧州財政不安でユーロ急落 800 BHP ビリトン(チリ銅鉱)でスト発生 500,000 700 600 400,000 500 チリ大地震 400 中国・東南アジアの 300 需要が底固く推移 200 300,000 200,000 中国のインフラ整備活発 平 均 在 庫 t 100,000 100 0 LME価格(円換算) 月 12 1月 月 月 11 9月 10 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 12 年 月 月 11 10 月 10 8月 9月 6月 7月 5月 4月 3月 2月 月 12 年 09 1月 0 平均在庫 出典:(社)日本電線工業会 国内電気銅建値と積算資料掲載価格 推移 900 1,500 800 700 1,300 600 500 1,100 400 300 900 200 掲 載 価 格 円 / m 100 700 国内電気銅建値 月 月 11 12 1月 月 10 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 月 1月 12 年 月 11 10 月 9月 10 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 年 12 月 0 09 国 内 電 気 銅 建 値 円 / k g ※各月上旬調べ 掲載価格(CV3心38m㎡東京②) 出典:(社)日本電線工業会、月刊積算資料 10 9.出荷量と銅建値・掲載価格データ 建設・電販出荷量推移(年度別) 前年度比 年度 出荷量(t) (%) 2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 建設・電販出荷量推移(月別) 前年同月比 年 月 出荷量(t) (%) 348,200 -5.3% 366,000 5.1% 367,300 0.4% 391,336 6.5% 386,250 -1.3% 372,590 -3.5% 330,380 -11.3% 273,982 -17.1% 出典:(社)日本電線工業会 2008 年 12 月 2009 年 1 月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 2010 年 1 月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月 -13.3 27,324 -12.0 24,871 24,320 -22.7 24,881 -12.5 24,573 -16.9 19,148 -24.7 22,699 -18.5 24,474 -21.8 -18.8 22,023 -21.5 23,153 -21.2 24,375 -12.7 23,729 -13.3 23,679 -10.2 22,343 -11.9 21,415 -10.4 22,310 -10.4 22,006 -3.4 18,298 -4.0 21,789 -4.3 23,412 2.6 22,606 4.1 24,099 2.1 24,880 7.5 25,500 出典:(社)日本電線工業会 国内電気銅建値と積算資料掲載価格 推移(※指数:2008 年 12 月上旬=100) CVケーブル 3 心 38m㎡(東京②) 国内電気銅建値 年 月 (円/kg) 指数 (円/m) 指数 2008 年 12 月上旬 2009 年 1 月上旬 2 月上旬 3 月上旬 4 月上旬 5 月上旬 6 月上旬 7 月上旬 8 月上旬 9 月上旬 10 月上旬 11 月上旬 12 月上旬 2010 年 1 月上旬 2 月上旬 3 月上旬 4 月上旬 5 月上旬 6 月上旬 7 月上旬 8 月上旬 9 月上旬 10 月上旬 11 月上旬 12 月上旬 1 月上旬 420 310 330 380 430 500 520 530 580 640 590 620 640 660 660 700 770 770 640 610 680 690 720 740 780 820 100 889 100 74 792 89 79 809 91 90 849 96 102 906 102 119 963 108 124 963 108 126 963 108 113 138 1,009 121 152 1,072 121 140 1,072 121 148 1,072 123 152 1,094 123 157 1,094 126 157 1,117 126 167 1,117 133 183 1,180 133 183 1,180 126 152 1,117 121 145 1,072 121 162 1,072 121 164 1,072 121 171 1,072 121 176 1,072 121 186 1,072 128 195 1,137 出典:(社)日本電線工業会、月刊積算資料 11 審 議 資 料 3 ボックスカルバート(資材の解説・地区事情) 平成 23 年 1 月 財団法人 経済調査会 関西支部 1.資材解説 1)用途と分類 ボックスカルバートとは、地中に埋設される暗渠型構造物をいう。ボックスカルバートの一般 的な用途は、小河川の道路横断部分、地下道、共同溝等の道路用途と山間部の排水路、公共下水 道等の水路用途に分けられる。 また、ボックスカルバートは、現場で鉄筋や生コンクリートを使って構築される現場打ちと工 場で製造されるプレキャスト製品に分類されるが、工期短縮等の目的でプレキャスト製品が多く 用いられる。構造形式によっても分類され、ボックスカルバートの他に門形カルバート、アーチ カルバート等に分類される。 カルバートの選定に当たっては、内空断面や土被り条件、設置場所の地形・地質など施工条件、 材工での設置費用等に関する比較検討を行い、使用目的にあった構造形式を選定する。 - 1 - 2)ボックスカルバートの分類 2)-1.現場打ちボックスカルバート 現場打ちボックスカルバートは現場にて鉄筋組み、生コンクリートの打設養生を行い、数ヶ月 の施工期間が必要である。任意の断面形状が施工でき、土被り荷重等の設計荷重や縦断勾配等の 現地条件に応じた設計施工が可能である。ただし、内型枠の脱型作業を考慮すると内空断面の大 きさは 1m 程度以上の比較的大きい断面が有利である。 2)-2.プレキャストボックスカルバート(今回調査対象資材) (出典:ケイコン HP) プレキャストボックスカルバートは、工場にて鉄筋組み、専用型枠に生コンクリートを打設し、 蒸気養生される。養生期間経過後に型枠を脱型し製造される。製造された製品を現場に搬入し設 置するので、工期短縮が出来るとともに、管理された工場で製造されるため品質が安定している。 しかし、断面が大きくなると運搬における制約から製品を分割する必要がある。構造的には RC - 2 - 構造や PC 構造等がある。標準的な最大内空幅は RC 構造が 3.5m まで、PC 構造が 5m までとな っている。 2)-3.門形カルバート (出典:ケイコン HP) 門形カルバートは、底版がなく側壁の下端にフーチングを設置した構造である。現場状況から 底版の設置が困難な場合や内空幅が大きい場合に有利である。ただし、他形式のカルバートと異 なり地盤反力度が大きくなることと、閉合断面でないため全体剛性が低く変形しやすいので基礎 地盤の良好な場所に設置するのが一般的である。 - 3 - 2)-4.アーチカルバート (出典:ケイコン HP) アーチカルバートは、土被りが大きくなると一般的に経済性が有利になる。施工性においては、 現場打ちの場合、アーチ部分の型枠および生コンクリートの施工が難しくなるものの施工例は多 い。ただし、鉛直土圧と水平土圧のバランスに大きく左右される構造なので、地盤の不同沈下等 を生じさせないことが条件となる。 - 4 - 3)施工 3)-1.現場打ちボックスカルバート 現場打ちボックスカルバートの生コン打設方法は、シュート、ポンプ等があり、施工条件に応 じ最適な方法を選定する。生コンクリートの打設においては、打継目の位置に留意が必要で曲げ モーメント分布を考慮して決定しなければならない。また、型枠の清掃、打継目のレイタンス除 去に留意し材料分離が生じないように取扱いバイブレータ等で十分締固めなければならない。 3)-2.プレキャストボックスカルバート プレキャストボックスカルバートの敷設フロー 床堀 → 基礎砕石 → 均しコンクリート → 据付 → 埋め戻し → 残土処理 通常敷設型の敷設方法 縦締連結型の敷設方法 (出典:ケイコン HP) プレキャストボックスカルバートの敷設は、コンクリート基礎面を清掃し、空練りした敷モル タルを凹凸がないよう敷き詰め、原則として敷設基盤の低い方から高い方に向かって敷設する。 - 5 - 更に PC 鋼材で緊結する場合、所定の引張力が得られるように緊張する。縦締め終了後は、速や かにグラウト材を注入する。接続具および切欠穴には、無収縮モルタル等を充填し表面は滑らか に仕上げるものとする。 3)-3.門形カルバート 門形カルバートは、基礎形式がフーチングを有する直接基礎であり、一般に大きな地耐力が支 持地盤に要求される。門形カルバートは閉合断面でないため全体剛性が低く変形し易いことから 地耐力について特に注意を要する。 3)-4.アーチカルバート 現場打ちアーチカルバートは、アーチ部に適切な箇所に作業窓を設け、検測や生コンクリート 打設作業を容易にするようしなければならない。アーチ部では特に生コンクリートの打上がり速 度が速すぎると生コンクリートの締固めが十分でなかったり、型枠に大きな圧力を及ぼしたりす るので適切な速度で打設しなければならない。 (社団法人日本道路協会道路土工カルバート工指針 - 6 - より一部抜粋) 2.地区事情 1)調査対象業者 近畿地区で RC 構造のプレキャストボックスカルバートを製造しているのは、全国ボックス カルバート協会に所属している内の関西支部員 9 社となっている。更に、PC 構造のプレキャ ストボックスカルバートを製造しているメーカー1 社を含めた 10 社が主な対象業者となる。 1 景環システム(株) 2 ケイコン(株) 3 ジオスター(株) 4 昭和コンクリート工業(株) 5 大和クレス(株) 6 日本興業(株) 7 日本ゼニスパイプ(株) 8 (株)ホクコン 9 丸栄コンクリート工業(株) 10 旭コンクリート工業(株) 2)商流・物流 メーカー 販売店 2 工事業者 1 ① メーカー直販方式 最終需要家とメーカーが直接契約して、プレキャストボックスカルバート製品を直接販売、 納入管理までを行う。商社、販売店等を介さない。 ② 販売店方式 受注は、メーカーが最終需要家と契約した販売業者から行う。販売は、メーカーが販売業者 に売り渡し、販売業者が最終需要家に販売、納入管理する。 調査段階は①②の 2 通りとなる。工事業者や工事規模により、①②のどちらとなるかはまち まちであるが、近畿地区では①の流通が多いため、調査対象業者はメーカーを主としている。 - 7 - 3.需要・価格動向 ボックスカルバートは小河川の道路横断部分、地下道、共同溝、地下道等道路用途や山間部 の排水路、公共下水道に用いられる。その中でもっとも多い需要は公共下水道として用いられ ており官需が中心となっている。そのため、公共工事の減少に伴いボックスカルバートの需要 も減少傾向にある。水路としては土被り、流量等の現場条件や施工方法に左右される部分は大 きいがプレキャストボックスカルバートは現場打ちボックスカルバートやヒューム管との競合 もある。新たな需要を発掘するため、各メーカーは耐震性の製品や大型化製品などを開発して いる。さらに工場製造品の特徴を生かし、品質の均一化や工期短縮による工事費の圧縮、架設 費や掘削量の削減などの効果を前面に打出し需要の拡大を図っている。 コスト面では、原材料である鉄筋は一時期よりも下落しているものの、セメントやセメント メーカーが既に値上げを打出している事もあり強含んでいる。各メーカーではコスト増分を自 助努力により吸収しているものの、販売量が落ち込んでいるためメーカーを取り巻く環境は改 善されていない。一方、需要家側も工事量減少により受注時の落札率低下に苦慮しており、工 事費縮減を掲げ、指値要求の厳しさは増している。しかしながら販売側も採算的に厳しい状況 となっているため、指値要求を受け入れる環境にはなく価格維持に注力している。当面、価格 は横ばいで推移する見通し。 - 8 - (参考) 道路用コンクリート製品販売数量 (出典:経済産業省 窯業・建材統計年報) 年別販売数量(全国) 年 販売数量(t) 指数 平成 12 年 8,789,703 100.0 13 年 8,158,264 92.8 14 年 7,448,780 84.7 15 年 6,892,997 78.4 16 年 6,222,504 70.8 17 年 5,990,656 68.2 18 年 5,795,472 65.9 19 年 5,582,799 63.5 20 年 5,082,610 57.8 21 年 4,340,754 49.4 販売数量(千t) 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 12年 13年 14年 15年 16年 17年 年度 - 9 - 18年 19年 20年 21年 発注者の規格・調査条件 品名 規格 単位 数量 ボックスカルバート 内幅 0.7m、内高 0.6m、L=1.5m T-25 個 5 ボックスカルバート 内幅 0.7m、内高 0.5m、L=2.0m T-14 個 15 ・ 調査地区 :和歌山県 ・ 荷渡し条件:現場持込み(車上渡し) - 10 -