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t - 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

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t - 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
自閉症スペクトラム児の早期診断とその意義:
ライフステージの観点から
(独)国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部
神尾陽子
第8回
発達障害早期総合支援研修
1
ライフステージを通じた
発達障害支援
(自閉症スペクトラム障害:ASD)
出産
青
年
・
成
人
期
乳
幼
児
期
児
童
期
乳幼児健診・
ASDの早期診断/
合併神経症状の治療
高機能ASDの診断/
合併精神症状の予防・治療
高機能ASDの診断/
合併精神症状の治療
(児童精神科・小児科)
(精神科・心療内科)
育児
保健・医療
(小児科)
福祉
子育て支援,保育所
福祉・養護
教育
福祉支援
就労支援
特別支援教育
特別支援教育
(幼稚園・小・中・高・大学)
第8回
発達障害早期総合支援研修
2
自閉症の長期的な影響
社
会
性
の
発
達
最適予後の
場合
学校生活において
慢性ストレス,
メンタルヘルスの
問題
自らの能力に
気づけず
自信喪失
社会における不適応
QOL低下
児童期
幼児期
出生
1歳
2歳
青年期
成人期
3歳
家族の育児困難
家族のメンタルヘルス
第8回
発達障害早期総合支援研修
3
自閉症をめぐる世界の動き
World Autism Awareness Day Apr 2nd
国連総会決議, Dec 18, 2007.
“自閉症は一つの地域や国に限った問題ではな
い。グローバルアクションをしなくてはならな
い世界全体の挑戦である”
-国連事務総長 Ban Ki-moon
Hong-Kong
Japan
第8回
発達障害早期総合支援研修
4
今日のトピック
• なぜ自閉症や広汎性発達障害ではなくて、自閉症スペクト
ラム障害なのか:スペクトラム(連続体)という考え方
• 発達障害の早期診断はいつから可能か
• 早期診断・早期介入の効果はどのように示されているのか
• 自閉症スペクトラム児のメンタルヘルス
• これからの発達障害支援に必要な医療・保健システム
第8回
発達障害早期総合支援研修
5
自閉症 (Autism):
増加している?
米国
知的障害も含む“発達障害”は合計12.84-15.04%、なかでも
自閉症は増加が著しい (2011)
第8回
発達障害早期総合支援研修
6
自閉症の理解が大きく変わった!
今日
30年前

稀な病気
1万人に2, 3人
脳の発達異常説
(遺伝要因大)
環境(経験)によって発達
過程が良くもなり、悪くもなる。
広い意味の環境。自ら選択し
作っていくもの。

母原病説
母親の間違った子育て
が原因という説
よくある障害
1万人に200-300人 自閉症
スペクトラム障害(autism
spectrum disorder: ASD) 自閉
症、アスペルガー症候群など
さまざまなタイプを含む

対人
言語
こだわり・狭い興味
第8回
発達障害早期総合支援研修
7
自閉的行動の一般母集団での分布
自閉症的行動特徴を量的に評価する尺度:
対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale, SRS)
親回答 65項目
人
数
の
割
合
Constantino, J. N. et al. Arch Gen Psychiatry 2003;60:524-530.
Kamio et al., Acta Scandinavica Psychiatrica, 2012
スコア高くなれば、自閉症的特徴が強くなる
第8回
発達障害早期総合支援研修
8
ポイント
①
自閉的症状の程度は連続する:
自閉症の人とそうでない人を区別する明らかな境界線は存在しない
自閉症の人と、少し自閉的な人とは支援ニーズの質は変わらない
第8回
発達障害早期総合支援研修
9
今日のトピック
• なぜ自閉症や広汎性発達障害ではなくて、自閉症スペクト
ラム障害なのか:スペクトラム(連続体)という考え方
• 発達障害の早期診断はいつから可能か
• 早期診断・早期介入の効果はどのように示されているのか
• 自閉症スペクトラム児のメンタルヘルス
• これからの発達障害支援に必要な医療・保健システム
第8回
発達障害早期総合支援研修
10
自閉症児の脳は乳児期に急に大きくなる?
(Courchesne et al., 2011, JAMA)
脳重(相対比)
1~2歳
神経細胞(前頭前野)の数が過剰?
神経細胞の数
自閉症男児の前頭前野の神経細胞
の数は、7割増し。
第8回
発達障害早期総合支援研修
11
1歳前後にみられる
乳幼児の社会的発達の飛躍
9-18ヵ月の特徴:
他者の注意がどこに向かっているのか、他者の指
さしや視線の方向を探そうとします。
定型発達の10 ヵ月児
大人を自分とは別の意図を持って行
為する主体、として理解し始めるの
です。
18-24ヵ月の特徴:
ことばを使っていくなかで、自他の理解、情緒、
言語の全体が連動して発達します。
第8回
発達障害早期総合支援研修
12
指さし追従
興味の指さし
ものを見せる
第8回
発達障害早期総合支援研修
13
自閉症児の発達:
1歳代の社会性発達にみられる兆候
 アイコンタクトの有無
 他児(きょうだい以外)への関心の有無
 微笑み返しの有無呼名反応の有無
 人見知りの有無
母親の育児困難感
:1歳6ヵ月健診時
まるで母親である自分を
必要としていないようだ
第8回
14
発達障害早期総合支援研修
ASDの早期診断についての事実
• 診断に使える生理的指標はまだ見つかっていない。
• 行動特徴に基づく専門家による診断は、2歳までにほぼ可能
• 早期診断に重要な行動は、1歳前後の前言語的な社会的発達
(興味を伝えようとする指さしはASD児ではみられない)

言葉や知能の遅れの明らかでないケースでは、診断は遅れる
(明らかなケースでも)。しばしば、成人期まで未診断。

身近な親、専門家も必ずしもASDの早期兆候に気づかず、対
応を後伸ばしにしがち。たとえ、育児困難があって専門家に
相談している場合でも、発達チェックがなされていないこと
が多い。
第8回
発達障害早期総合支援研修
15
1歳6ヵ月でわかること
社会性
言語・認知面
言語発達遅滞
ほとんどのASDでは
生後18ヵ月で早期徴候を
認める
自閉症に特化したスクリーニング
運動面
生後9ヵ月ではわ
からなかった軽
度の運動遅滞が
18ヵ月で顕著に
わかることもあ
る
中等度~重度の
知的障害
軽度の知的障害
全般的発達スクリーニング
(言語認知面、運動面)
◆ASDの大半は言語や知能に遅れがない
◆遅れのないASDは全般的発達スクリーニングだけでは早期発見が難しい
第8回 発達障害早期総合支援研修
16
ポイント
②
自閉症的早期兆候は行動観察をすれば
1歳半から2歳で把握可能:
発達全般の遅れがある場合はほぼ可能
平均知能の場合は親や専門家でも気づきにくい
ケースがある
第8回
発達障害早期総合支援研修
17
今日のトピック
• なぜ自閉症や広汎性発達障害ではなくて、自閉症スペクト
ラム障害なのか:スペクトラム(連続体)という考え方
• 発達障害の早期診断はいつから可能か
• 早期診断・早期介入の効果はどのように示されているのか
• 自閉症スペクトラム児のメンタルヘルス
• これからの発達障害支援に必要な医療・保健システム
第8回
発達障害早期総合支援研修
18
3歳で早期療育を開始した高機能自閉症児が成長と
ともに閾下となったケース
 幼児期に高機能自閉症と診断を受け、公的な療育に通う。
 就学後も母親がキーパーソンとなり、父親、祖父母の協力のもと、学
校・地域・専門家との連絡を密接にする。
 余暇活動を家族で行う。社会的知識を少しずつわかりやすく家庭生活
に即して教える。チックや身体症状にも細かく配慮。遠足などなるた
け事前に家族でリハーサル。
 中学時代:冗談を言い合う仲間ができた。
体調も安定。学校を休むことがほとんどなくなった。
 高校時代:順調。電車通学の途中の挙動は不審らしい。
将来の進路を具体的に考えている。エンジニア系。
「自分の人生設計:歳をとって死ぬ前にも、ああ、充実した人生だった
な、とおもっているだろう」
現在、大学生活を講義、バイト、サークルと意欲的にがんばり、満喫し
ている。
早期介入のメリット
•
•
•
•
•
早期介入で改善可能な行動がある。
早期からの支援は、発達を促進する。
2次障害や適応障害を予防する。
自己理解(長所と短所;価値の発見と問題解決法)。
家族の育児負担減とメンタルヘルスの向上。
• 支援の方法はひとつではない。(代表的なのは応用行動
分析ABA)
• 支援ニーズの個人差。
• 支援は、継続する必要がある。
第8回
発達障害早期総合支援研修
20
比較研究:早期療育の短期的効果
(20時間/週
Early Start Denver Model vs. 9時間/週)
(Dawson et al., 2010)
発達指数
Mullen
言語理解、表出
第8回
適応行動
Vineland
対人、日常生活スキル、運動
発達障害早期総合支援研修
21
少ない時間数でのABA療育は自閉症児に有効か?
(平岩, 2011)
ABA 群: 自閉症児 60人 (M:F=9:1) 7 時間/週, 6 ヵ月以上
非 ABA 群: 自閉症児 18人 (M:F=5:1)
ABA療育の前後での行動変化
著効
2%
2%
17%
著効
0% 6%
ABA群
6%
0%
非 ABA群
20%
24%
16以上減少
10~15減少
6~9減少
1~5減少
不変~2増加
3以上増加
55%
33%
16以上減少
10~15減少
6~9減少
1~5減少
不変~2増加
3以上増加
35%
第8回
発達障害早期総合支援研修
22
成人期の社会参加
(荻野ら, 2012)
重度の遅れ 軽度の遅れ 平均知能
A群
B群
C群
第8回
発達障害早期総合支援研修
23
高機能ASD成人のQuality of Life (QOL)
QOL向上に関連する要因についての全国調査の結果
(Kamio et al., 2012)
 QOL
WHOWHOの定義 「個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、
基準および関心に関わる自分自身の人生の状況についての認識」
WHO QOL26 日本語版
(田崎・中根, 1997)
心理的領域6項目
1.
2.
3.
4.
5.
毎日の生活をどのくらい楽しく過ごしていますか
自分の生活をどのくらい意味あるものと感じていますか
物事にどのくらい集中することができますか
自分の容姿(外見)を受け入れることができますか
気分がすぐれなかったり,絶望,不安,落ち込みといった嫌な気分を
どのくらい頻繁に感じますか
6. 自分自身に満足していますか
社会的関係領域3項目
7. 人間関係に満足していますか
8. 性生活に満足していますか
9. 友人たちの支えに満足していますか
第8回
発達障害早期総合支援研修
24
基本属性×QOL
心理QOL
N
Z
t
N
Z
t
男
123
-0.68
2.35
122
-0.50
2.68
女
31
-1.26
31
-1.15
24歳以下
61
-0.76
61
-0.53
25歳以上
93
-0.83
92
-0.69
同居ほか
143
-0.78
142
-0.58
独居
11
-0.97
11
-1.25
独身
145
-0.79
145
-0.60
既婚・同棲中
9
-0.95
8
-1.21
高卒以下
92
-0.92
91
-0.72
それ以上
62
-0.62
62
-0.49
仕事をしていない
(休職中・訓練中も含む)
115
-0.82
114
-0.63
仕事をしている
(アルバイトを含む)
37
-0.71
37
-0.54
性別
年齢
居住形態
婚姻状態
最終学歴
就業形態
社会QOL
0.34
0.49
0.37
1.51
0.48
0.77
1.73
1.37
1.14
0.40
p < 0.05, p < 0.01
第8回
発達障害早期総合支援研修
25
個人要因×QOL
心理QOL
療育手帳
精神障害者保健福祉手帳
他の精神医学的診断
身体の障害・病気
自傷
攻撃性
(過去)就学頃の言語水準
p < 0.05, p < 0.01
社会QOL
N
Z
t
N
Z
t
なし
118
-0.83
-0.47
118
-0.67
-0.63
あり
34
-0.72
33
-0.51
なし
74
-0.87
73
-0.68
あり
80
-0.73
80
-0.58
なし
93
-0.57
93
-0.40
あり
58
-1.13
57
-1.04
なし
136
-0.81
135
-0.62
あり
16
-0.69
16
-0.76
なし
131
-0.73
131
-0.56
あり
14
-1.31
14
-1.01
なし
100
-0.59
100
-0.45
あり
45
-1.22
45
-0.95
二語文以下
34
-0.34
33
-0.29
文章を話した
103
-0.90
103
-0.70
第8回
発達障害早期総合支援研修
-0.73
2.76
-0.38
1.68
2.93
2.32
-0.48
3.14
0.42
1.30
2.28
1.64
26
環境要因×QOL
心理QOL
父親の支援
母親の支援
きょうだいの支援
(過去)早期診断a
(過去)支援の継続性b
社会QOL
N
Z
t
N
Z
t
なし
63
-0.89
-0.73
63
-0.71
-1.25
あり
60
-0.73
59
-0.42
なし
15
-1.94
15
-1.86
あり
119
-0.69
118
-0.43
なし
82
-0.90
81
-0.75
あり
35
-0.90
35
-0.52
なし
93
-0.90
93
-0.66
あり
29
-0.37
28
-0.35
一時支援なし
124
-0.82
124
-0.62
常時支援あり
22
-0.36
21
-0.58
-4.01
0.00
-2.02
-1.63
-4.50
-0.92
-1.18
-0.13
p < 0.05, p < 0.01
心理社会的QOL
早期診断、母親からのサポート、の環境要因
第8回
発達障害早期総合支援研修
27
ポイント
③
自閉症の早期介入の効果は
自閉症状や知能の改善だけにとどまらない。
それらが十分に期待通りでない場合でも
長くQuality of lifeに対する影響は甚大である。
第8回
発達障害早期総合支援研修
28
今日のトピック
• なぜ自閉症や広汎性発達障害ではなくて、自閉症スペクト
ラム障害なのか:スペクトラム(連続体)という考え方
• 発達障害の早期診断はいつから可能か
• 早期診断・早期介入の効果はどのように示されているのか
• 自閉症スペクトラム児のメンタルヘルス
• これからの発達障害支援に必要な医療・保健システム
第8回
発達障害早期総合支援研修
29
合併の問題:
ASD青年成人が出会いやすい精神医学的問題
 適応困難
学業
職場
家族(親、配偶者、子ども)
課題がこなせない:段取りがわからない、苦手な作業を回避
コミュニケーションがとれない:叱られるとさらに混乱、回避
対人関係:不調和からトラブルへ
やり方を変えることを求められると混乱、抵抗、パニック
 精神や行動の不調
慢性的な適応困難が続くと、
身体化、行動化、精神症状へと発展
第8回 発達障害早期総合支援研修
30
ASD成人患者における
合併精神障害の生涯有病率
DSM-IV I 軸
(Hofvander et al., 2009)
(%)
(n=122; 自閉性障害=5名、アスペルガー障害=67名、PDD NOS=50名)
31
日本の地域ベースの調査結果(神尾ら, 2011)
100
24% 80
17%
29%
60
40
診断基準に合致
20
診断閾下も含む
0
10%
20%
30%
40%
不安障害からADHD・反抗挑戦性障害の合併までの情緒と行動の
双方にわたる多様なメンタルニーズを有することがわかった。
第8回
発達障害早期総合支援研修
32
ASD-unlikely
ASD 低群
(n=21407)
ASD-possible
ASD 軽・中群
(n=3061)
ASD-probablee
ASD 高群
(n=607)
10
7 4
子どもの
33
13
44
情緒・
行動の
問題
■臨床レベル
■ボーダーライン
■正常範囲
77
90
23
通常学級に在籍の
自閉症的特性の高い
子どもは
情緒・行動
の問題併発リスクが
自閉症的特性のない
子どもと比べて高い
ことに留意する必要
がある。
(森脇ら, 2013)
第8回
発達障害早期総合支援研修
33
情緒や行動の問題を呈する子どもは
自閉症的特性が高いか?
ASD 軽・中群
ASD 低群
clinical range
35
borderline range
ASD 高群
44
64
21
32
normal range
93
0%
20%
40%
4
7 0
60%
第8回 発達障害早期総合支援研修
80%
100%
34
情緒の問題
男児
100
90
4
5
3
4
100
2
2
18
12
70
19
16
90
35
8
51
13
55
60
93
40
70
68
76
14
5
5
24
12
20
14
11
39
48
60
17
92
21
91
13
40
64
30
35
20
41
89
10
48
20
4
4
80
50
96
30
5
6
70
17
91
3群
女児
80
50
■Clinical-range
■Borderline-range
■Normal-range
SDQ
35
66
69
20
38
45
38
10
10
小低 小高 中学
ASD-Unlikely
(n=10927)
小低 小高 中学
ASD-Possible
(n=1527)
小低 小高 中学
ASD-Probable
(n=308)
小低 小高 中学
ASD-Unlikely
(n=10480)
小低 小高 中学
ASD-Possible
(n=1534)
小低 小高 中学
ASD-Probable
(n=299)
性別,SRS 3群別 ; 発達段階における SDQ 3群(情緒) の割合に 違いがあ
るか?
p<.01
p<.001
p=0.89
p<.05
p<.01
p=0.36
35
自閉的特性のない 一般児童
• 情緒・行為の臨床的な問題を持つ割合はごく少数である。
• 有症率は発達段階によって有意に異なる。
⇒メンタルヘルスの問題が生じても、回復もまた早いことが
示唆される。
ASD特徴を多くもつ児
 情緒・行為の臨床的問題を持つ割合はどの年齢帯において
も非常に高い。
 有症率はどの発達段階においても変わらない。
⇒メンタルヘルスの問題は低年齢から持続し、慢性化する
可能性。早期からの医療的ケア・ニーズが高い。
第8回
発達障害早期総合支援研修
36
不器用との関連(発達性協調運動障害)
DCD suspect と non-DCD suspect割合
9%
31%
39%
(男子)
69%
61%
91%
9%
38%
(女子)
36%
62%
91%
ASD-Unlikely
Χ2(2)= 1799.6
p < .000
64%
Χ2(2)= 1545.4
p < .000
ASD-Probable
ASD-Possible
30%
25%
人数の割合
20%
→自閉症的行動特徴が多い群ほど 不器用の割合が高い
15%
,
10%
5%
0%
第8回
5
15
25
35
発達障害早期総合支援研修
45
55
65
75
85
95
SRS sc o r e
105 115 125 135 145 155 165
37
結果 学年帯別にみた
DCD suspect と non-DCD suspect割合
%
100
80
60
(男子)
40
Χ2(2)= 0.55
n.s
20
Χ2(2)= 8.70
p= 0.013
CramerV= 0.08
Χ2(2)= 0.01
Χ2(2)= 2.03
Χ2(2)= 0.96
n.s
0
%
(女子)
100
80
60
40
Χ2(2)= 1.77
n.s
20
n.s
n.s
0
小低 小高 中学
ASD-Unlikely
小低 小高 中学
ASD-Possible
小低 小高 中学
ASD-Probable
→ 不器用出現割合の,学年帯による違いはみられず
第8回
発達障害早期総合支援研修
38
多摩5歳児調査結果
(H23-25 厚生労働科学研究 障害者対策総合研究事業)
親回答 n=1390 (男711, 女679)
スコア 男 34.1±19.1, 女 30.9±17.2
1390人の研究協力者は全国平均と比べて世帯収入が高く、200万円以下はきわめて少かった。
30
20
10
Possible
Probable
男児
0
5 15 25 35 45 55 65 75 85 95 105 115 125 135 145 155 165
5歳児にみられる自閉症的行動特性(自閉症状)は一般集団内で連続分布
し, 男児で高い傾向にあった。この特徴は他の年齢帯(参照群7-15歳児、成
人)と同様だった。
第8回 発達障害早期総合支援研修
39
5歳での自閉症状(高, 中,低三群)と関連要因
有意差があった項目 (すべてps<0.01) 自閉症状有群(高・中リスク) > 低リスク群
基本属性:きょうだいの数・順位, 母親の就学年数
児の要因:5歳での精神症状(合計, 情緒, 行動, 不注意・多動, 仲間
関係), 協調運動困難, 2歳時の自閉症兆候,
2-3歳時の気質(外交性, ネガティブ感情, 注意や情動の制御)
親の要因:母親のうつ(二質問法TQI)・育児不安
unlikely possible probable
のチ2
不ェ歳
通ッ
ク時
過リの
項ス自
目ト閉
数(症
早
期
兆
候
MCHAT)
(SDQ)
(
ス
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40
ポイント
④
自閉症状はそれだけで単独で現れることは少ない。
多くの場合、精神症状、神経症状など多種類の広範な症状
の合併がある。
合併症状の存在が生活の適応やQOLを大きく下げる。
合併症状の予防は重要である。
第8回
発達障害早期総合支援研修
41
今日のトピック
• なぜ自閉症や広汎性発達障害ではなくて、自閉症スペクト
ラム障害なのか:スペクトラム(連続体)という考え方
• 発達障害の早期診断はいつから可能か
• 早期診断・早期介入の効果はどのように示されているのか
• 自閉症スペクトラム児のメンタルヘルス
• これからの発達障害支援に必要な医療・保健システム
第8回
発達障害早期総合支援研修
42
児
児
5歳時の自閉症行動特
性,メンタルヘルス(情
緒, 行動, 不注意・多動,
仲間関係), 不器用
• 2歳時の自閉症兆候
(M-CHAT)
• 2-3歳時の気質:育
児困難と密接に関連
母親
母親
1歳代の育児困難(泣
き,哺乳・哺食,睡眠)
?
5歳時のうつ,育児不安
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乳幼児健診でわかったことをそこで終わらせず,
地域の保育園や幼稚園との連携:
小学校へとつなぐために
• 家庭の様子と保育園や幼稚園の集団場面では、子どもの行動が
違っていることがある。違った様子がみえやすい。
• 特に、平均知能だが発達の問題がある子どもは、集団活動の中
で 目立つが、保育士が気にするかどうかとは別問題。
指示をきかない、他児とトラブルになりやすい、多動は問題とされるが、
その他は個性としてくくられる傾向もある。
• 保育場面で子どもの特性を把握するのは時間を要する。が、
乳幼児期からの発達情報をきちんと伝えることで、子どもにつ
いての理解を共有しやすくなる。必要な時期に遅れることなく、適切
な支援がしやすい。
第8回
発達障害早期総合支援研修
44
ポイント
⑤
乳幼児健診から個別ニーズに応じた継続支援が予測可能。
乳幼児健診データをその後の育児・発達支援,さらには
特別教育支援に活用する途切れなく連続する支援の仕組み
が必要。
第8回
発達障害早期総合支援研修
45

発達の道すじは個人の特性と環境の影響によって
さまざま。良くも悪くもなる。

支援のターゲット・ポイントはひとりひとり違う。

発達やメンタル面のチェックは定期的に。
発達障害のある子どもと家族の支援は、
地域ベースで教育、医療、福祉と幅広く、そして
ライフステージを通して長く続くもの。
第8回
発達障害早期総合支援研修
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