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JAHIS 会誌 第58号 - JAHIS 一般社団法人保健医療福祉情報システム

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JAHIS 会誌 第58号 - JAHIS 一般社団法人保健医療福祉情報システム
会 誌
2016. 1
58号
CONTENTS
JAHIS 会誌 第58号
巻頭言 副会長 富田 茂
2
年頭のご挨拶
4
厚生労働省 医政局研究開発振興課 医療技術情報推進室長 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課 課長
総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 室長
一般社団体法人日本医療情報学会 理事長
一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長
片岡 穣
江崎 禎英
吉田 宏平
岡田美保子
山本 隆一
部会長のご挨拶
運営会議 議長
総務会 会長
標準化推進部会 部会長
医事コンピュータ部会 部会長
医療システム部会 部会長
保健福祉システム部会 部会長
事業推進部 部長
14
藤岡宏一郎
浅野 正治
大沢 博之
小宮 宏之
下邨 雅一
富田 茂
青木 順
海外視察の報告
海外視察報告 ~ HIMSS15 ~
海外視察報告 ~ HIMSS AsiaPac15 ~
21
丹治 夏樹
鈴木 義規
トピックス
37
平成27年度 戦略企画部業務報告会 開催される
ホスピタルショウ開催
第54回HL7セミナー開催
第35回医療情報学連合大会報告(2015/11)
日本薬剤師会学術大会(2015/11)
部会から
JAHISコンプライアンス委員会
ヘルスソフトウェア対応委員会とGHSの活動
米国ニューヨーク州における医療保険制度・医療I
T化視察調査概要
診療文書構造化記述規約 共通編について
「セキュアトークン実装ガイド - ノード認証について」
国民健康保険制度の改革(都道府県化)~制度改革に伴う情報システムについて~
55
鈴木 義規
黒野 満夫
平井 正明
谷内田益義
小澤 昭彦
運営状況報告
81
理事会/運営会議/総務会/委員派遣ならびに協賛・後援
全員メール
87
会員紹介
88
株式会社 ファルモ/バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社/
ハートフロー・ジャパン合同会社/一般社団法人 岡山中央総合情報公社/
アートシステム株式会社
編集後記
91
巻頭言
巻頭言
副会長
富田 茂
(㈱NTTデータ ヘルスケア事業部 統括部長)
JAHIS会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。
会員の皆様方には、平素より当工業会の活動にご理解ならびにご支援を賜り、厚く
御礼を申し上げます。
昨年の6月の社員総会にて副会長を拝命させていただき、約半年が過ぎました。
昨年は、戦後70年の節目の年である中、社会的には、日本人2人のノーベル賞受賞や
ラクビーワールドカップでの日本チームの躍進等国際的な活躍に沸き、政治的には、
安全保障関連法案の成立やTPP大筋合意等、国際社会における我が国の環境が大きく
変化した年でした。また、
箱根をはじめ日本各地の山々の噴火レベルが上がり、
9月には、
東日本豪雨災害など自然の力を改めて認識させられた年でもありました。
一方、われわれのIT業界にとっても、10月からマイナンバー制度がスタートし、国
民ひとりひとりに個人番号が通知され、今後の情報連携基盤として期待される社会的
な基盤が整備された年でした。
そのような中、高齢化率は26%に上昇し、医療費の総額が初めて40兆円に達する等、
社会保障は、国家財政の圧迫する要因になっております。そのため、
「一億総活躍社会
の実現」を掲げた第3次安倍改造内閣においても、社会保障改革は、新三本の矢のひと
つとして推進を図ると標榜されました。
政府は、2013年に策定した「世界最先端IT国家創造宣言」を昨年6月に改定し、
「適
切な地域医療・介護等の提供、
健康増進等を通じた健康長寿社会の実現」のために「2018
年度までに医療情報連携ネットワークの全国普及」と「現役世代からの健康増進・医療・
健康情報の各種データの活用促進」の2つの取組みを柱として、推進することが宣言さ
れました。これらを実現するために、われわれヘルスケアIT業界が担う役割は大きく、
JAHISに対する期待がますます高くなっていると感じております。
それに対して、JAHISは、中期計画2015から2017において
① 2025ビジョンで描くヘルスケアITの実現に向けた推進
2
巻頭言
② 工業会参画価値の追求、健全な市場の維持・発展
③ 永続的な運営基盤の確立
の3つの基本運営方針のもと、各部会及び委員会にて積極的に活動して参りました。
特に、
「医療情報連携ネットワークの推進」にあたっては、事業企画推進室にて厚生
労働省から「地域間で医療情報を交換するための標準規格の策定」を受託し、関連す
る各部会や委員会から有識者を選出し、WG体制による事業の推進を図り、標準化部会
にてJAHIS技術文書としてとりまとめ、事業推進部にて「JAHIS標準・技術文書解説セ
ミナー」を企画し、業界の標準化の普及に努めてきました。これら一連の活動は、
JAHISの各部会・委員会が一丸となって組織的に推進を図ってきた成果であったと自負
しております。
また、医薬品医療機器等法の2014年の改正にともない、ヘルスケアソフトウエアに
対する安全管理が要求される中、JIRA、JEITAとの連携を図りながら、ヘルスケアソ
フトウエア推進協議会を設立し、業界自主ルールを定め、2015年1月より自己宣言・マー
ク登録制度等の活動等の自主管理制度を確立させたことは、業界としてプロアクティ
ブに、健全な市場の発展に寄与する活動であったと思います。
これらの成果は、JAHISが設立され20年間、会員の皆様とともに、活動してきた賜物
ではないかと、設立当初よりJAHIS活動に関わってきたものとして感慨深く感じており
ます。
現在、各部会にて、中期計画2017を見直し、中期計画2019としてとりまとめており
ます。今までの活動の振り返りつつ、政府をはじめとした関係団体や国民の皆様から
の期待に応え、社会貢献できる工業会に相応しい中期計画を策定し、JAHISブランドの
向上に努めて参りたいと存じますので、引続き、会員の皆様のご理解並びにご協力の
ほどよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、今年は診療報酬の改定の年になりますが、JAHIS会員の皆様方
の益々のご発展とご健勝を祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
3
年頭のご挨拶
新年のご挨拶
厚生労働省 医政局研究開発振興課
医療技術情報推進室長
片岡 穣
平成28年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
保健医療福祉情報システム工業会及び会員各社の皆様方におかれましては、平素よ
り厚生労働行政の推進にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
「デフレからの脱却」と「富の拡大」を目指し、安倍内閣総理大臣のリーダーシップ
の下に進められてきた経済政策であるアベノミクスは、我が国の経済再建に向け大き
な成果を上げてきたところです。
この従来の「三本の矢」による成果を受け、昨秋にはアベノミクスの第2ステージ
である「新・三本の矢」が発表されました。この新しい三本の矢は、①希望を生み出
す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障、とより国民生活に
密着した柱から構成されており、厚生労働行政分野との親和性もより高くなっており
ます。
一方、保健医療福祉分野のICT技術を活用に関する政府方針としては、
「日本再興戦
略改訂2015-未来への投資・生産性革命-」が新たに改定され、
「2018年度までに、地
域医療情報連携ネットワークの全国各地への普及を実現する。
」さらに「2020年度まで
に、地域医療において中核的な役割を担うことが特に期待される400床以上の一般病院
における電子カルテの全国普及率を90%に引き上げる」など、これまでの医療情報連携
ネットワークの普及をより強力に進めるとともに、ベースインフラとなる電子カルテ
の普及にも積極的に取り組むこととしております。
4
年頭のご挨拶
医療情報連携ネットワークやその基盤となる電子カルテの普及にあたっては、医療
機関にその有用性を訴求するとともに、必要な機能を実装した低廉な医療情報システ
ム等を普及させることが重要です。厚生労働省としても継続性のあるネットワーク構
築のため、標準規格や実装ガイド、留意するポイント等の必要な情報の発信や相互運
用を可能とするための標準化にかかる検討を積極的に実施してまいります。
今後も、国民や医療機関がメリットを実感できる形で医療等分野のICT化を進めてい
く必要があるものと考えており、厚生労働省といたしましても、国民の皆様、関係機関・
団体の皆様のご意見をお聞きしながら、各種の施策を着実に進めていきたいと考えて
おります。本年も引き続きのご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
最後となりますが、皆様にとりまして、この一年がさらなる飛躍の年になりますよ
う心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
5
年頭のご挨拶
新年のご挨拶
経済産業省 商務情報政策局
ヘルスケア産業課 課長
江崎 禎英
新年あけましておめでとうございます。平成28年の年頭に当たり一言ご挨拶申し上
げます。
我が国は世界一の長寿国であり、男女ともにその平均寿命は80歳を超えました。経
済が豊かになり、だれもが健康で長生きすることを望めば、社会は必然的に高齢化し
ます。今後更に高齢化の進展が予想される中で、理想の高齢社会を実現していくため
には、いわゆる「健康寿命」の延伸を図ることが必要です。
生物学的なヒトの寿命は120年と言われています。健康であり続けることができれば、
リタイアした後にそれまでとほぼ同じ長さの時間があるのです。これは決して「余生」
などではなく、2周目の人生です。子育てや生活のために必死に働く必要もなく、自
分や社会のために多くのエネルギーを使うことができるのです。この2周目の人生を
如何に豊かなものにできるかが、これからの大きなテーマになってきます。
豊かな人生を過ごすには、単に体の機能を維持するだけでなく、認知症などを予防
することも重要です。このためには、いわゆる「生産年齢」の段階から健康を維持・
管理し、
高齢期も健康で社会にかかわり続けられるようにしなければなりません。特に、
こうした健康の問題を単に個人の努力だけに委ねるのではなく、健康管理を促す仕組
みを企業活動や経済活動に組み込んでいく「健康投資」を進めることが重要です。
昨年6月に閣議決定された「
『日本再興戦略』改定2015」には、健康産業の活性化と
質の高いヘルスケアサービスの提供を行うことが明記されています。このための方策
6
年頭のご挨拶
として、医療・介護分野等におけるICTの活用、個人・保険者・経営者等に対する健康・
予防インセンティブの付与や、地域におけるヘルスケア産業の創出支援等の施策を実
施することも記されております。
「健康投資」を戦略的・効果的に進めるためには、データの利活用が不可欠です。デー
タの利活用に当たっては保険者と事業主との連携が重要であり、例えばレセプトや健
診データ、更には日々の健康情報を統合し利用していくことで、効果的な健康指導や
各個人の健康リスクに見合った健康サービスの提供を行うことが可能になります。
昨年9月に、個人情報保護法が改正され、病歴等の医療情報の扱いは要配慮個人情
報となり、本人の同意を得ない取得や第三者提供は禁止されます。これまでも医療・
健康情報の利活用の在り方は検討されてきましたが、今回の法改正を受けて本人同意
を前提に医療・健康情報などを利活用する基盤を整備していくことで、各個人の健康
リスクに応じた的確な健康サービスを可能にし、健康づくりに対する無関心層への効
果的なアプローチを目指して参ります。
経済産業省としましては、これまで医療情報システム産業の発展に貢献されてきた
JAHIS会員の皆様のご知見やノウハウ、ご意見などをお伺いしながら、こうした取り組
みを進めて参りたいと考えておりますので、
是非ともご理解とご協力をお願い致します。
最後になりましたが、本年がJAHIS並びにJAHIS会員の皆様にとって飛躍の年になり
ますことを確信しつつ、皆様のご健勝と更なるご発展を祈念しまして、新年の挨拶と
させていただきます。
7
年頭のご挨拶
年頭のご挨拶
総務省 情報流通行政局
情報流通高度化推進室 室長
吉田 宏平
新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
平成28年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますとともに、皆様にお
かれましては、平素より総務省のICT政策にご支援・ご協力を賜り、厚く御礼申し上げ
ます。
現在、我が国の構造的な問題である少子高齢化の流れに歯止めをかけ、
「強い経済」
、
「夢をつむぐ子育て支援」
、
「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の実現を目
的とする「一億総活躍社会」の実現が、政府の重要課題となっております。昨年11月
26日に開催された第三回一億総活躍国民会議で、
「一億総活躍社会の実現に向けて緊急
に実施すべき対策-成長と分配の好循環の形成に向けて-」がとりまとめられました。
この中で、本年春に取りまとめる予定の「ニッポン一億総活躍プラン」について基
本的考え方が整理されたほか、
「緊急に実施すべき対策」として、
「希望出生率1.8の実現」
「介護離職ゼロ」という二つの目的達成に直結する政策に重点的に取り組むこととされ
ています。
総務省においては、特に「介護離職ゼロ」の達成に向け、これまで推進してきた在
宅医療・介護分野の情報連携基盤の普及展開の取組をさらに進めて参ります。具体的
には、これまでの総務省事業において、厚生労働省との連携の下、異なるベンダ間の
システムを連携させるための標準インタフェース(API)等を整備するとともに、在宅
医療・介護従事者間で最低限共有すべき事項について整理して参りました。平成28年
度においては、標準化をさらに進めていくこと等により、情報連携基盤の利用をより
一層促進していく予定としております。標準化を進めていくにあたっては、保健医療
福祉情報システム工業会のお力が不可欠であり、
引き続きのご協力をお願いいたします。
8
年頭のご挨拶
一方、昨年9月の改正個人情報保護法の成立や、本年1月からの個人番号カードの
交付開始を踏まえ、ICT利活用を本格的に進めるべく、政府全体の取組も集中的に行わ
れます。医療等分野は、情報の機微性が高い反面、その利活用が最も期待されている
分野として、
様々な検討が進められています。その中の一つとして、
国民一人ひとりが、
本人自らの生涯にわたる健康・医療・介護情報を時系列的に管理するPHR(Personal
Health Record)の活用が注目されています。昨年6月から9月まで、総務大臣政務官
と厚生労働大臣政務官の共催による「クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会」
において、PHRの具体的ユースケースや本人による健康・医療・介護情報の活用の在
り方について集中的に議論をいただきました。
平成28年度においては、同懇談会報告書を踏まえ、個人のライフステージごとに、
本人が自らの健康・医療・介護情報を管理し、自らの意思で様々な健康関連サービス
等を享受できるPHR機能の実証を行う予定にしております。この実証の中で、適切な
認証の在り方やIDの認証連携技術、本人による情報コントロールの確保、費用対効果
の高いデータ授受、データポータビリティの確保等の検証を行うこととしております。
こうした分野においても、実証の成果を迅速に普及につなげるべく、標準化の観点が
不可欠と考えております。
総務省においては、関係府省との連携の下、これらの事業の着実な実施を通じ、今
後とも、我が国における医療等分野のICT利活用の推進に尽力して参ります。そのため
には、上記に限らず、様々な局面で保健医療福祉情報システム工業会の会員の皆様の
ご協力が不可欠であり、これまでのご協力に深く感謝いたしますとともに、今後とも
一層のご理解とご協力をお願いいたします。
最後に、保健医療福祉情報システム工業会及び会員の皆様方のご健勝と更なるご活
躍を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
9
年頭のご挨拶
ご挨拶
一般社団体法人日本医療情報学会
理事長
岡田 美保子
平素は日本医療情報学会の活動にご理解、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
この場をお借りして、一言、ご挨拶を申し上げます。
保健医療福祉情報システム工業会と日本医療情報学会(JAMI)は、多くの場面で密
に連携させていただいております。両団体の中心に医療情報システムがあることを考
えれば、
当然のことと言えるかもしれませんが、
ここまでの連携が築き上げられたのは、
それぞれの団体でリーダシップをとられてみえた皆様のご尽力の賜物であると思いま
す。
我が国では、院内に閉じた電子カルテシステムから、EHR(Electronic Health Record)
システムへと、着実に医療情報化基盤の構築が進んでいます。EHRは、診療データの
相互運用性を有するシステムであり、医療の質の向上に資するシステムであることが
求められます。急速に構築が進む臨床効果データベースや疾患レジストリーにおいて
は、診療データの相互運用性がカギとなっています。各地に広がる地域医療連携シス
テムにおいても医療の質向上にどう役立つのかに焦点があたっており、病院内のデー
タの標準化、相互運用性の推進が求められているところです。
日本は、
「診療データの相互運用性」のための標準化に早くから取り組んでおり、国
際的にみても診療情報の標準化基盤が進んでいる国であると言えます。JAHIS臨床デー
タ交換規約により、国際的な診療データ交換のベース規格であるISO 27931(HL7 V2)
10
年頭のご挨拶
が日本に確実に定着しています。さらに、これに基づいたSS-MIX2が日本における情
報化基盤となっています。
「診療データの相互運用性」は、診療情報の内容の検討と、
相互運用性を実現するための標準、技術仕様をあわせて実現されるものであり、我が
国における成功要因の一つとして、JAHISとJAMIの連携があったと言えるのではない
でしょうか。
昨年10月から本年1月にかけて、毎月、両団体の共催による医療情報化基盤セミナー
を開催しております。この重要なときにあって、我が国の医療情報化基盤をさらに強
固なものとするために、また、医療の質の向上に資する世界に誇る電子カルテシステ
ムへと導くため、保健医療福祉情報システム工業会のますますのご発展をお祈り申し
上げますとともに、より一層の連携を深めていくことができればと心より願っており
ます。
11
年頭のご挨拶
社会保障の持続性の確保を目指す医療ITの課題と展望
一般財団法人医療情報システム開発センター
理事長
山本 隆一
保健医療福祉情報システム工業会の皆様、一般財団法人医療情報システム開発セン
ター(MEDIS-DC)の理事長を務めております山本隆一です。どうぞよろしくお願い
いたします。
以前にもJAHISの会誌で述べましたが、医療分野へのIT導入は保健医療福祉情報シ
ステム工業会会員各社の努力もあり、医事システム・レセコン、部門システム、オー
ダエントリシステム、EMR、EHRと順調に発展を遂げてきました。EMR、EHRはオー
ダエントリシステムや医事システムに比べて普及速度や結果的な普及率に大きな差が
ありましたが、次第に普及しつつあります。一方で、マイナンバーと呼ばれている番
号制度の運用もいよいよ始まり、医療や介護の情報そのものに使うことができる医療
等IDも2018年の導入開始が決まり、議論が本格化しています。医療・介護を含む社会
保障財源はいよいよ逼迫し、少子高齢化もピークを迎えようとしています。2015年6月
に閣議決定された日本再興戦略2015でも医療介護のあるべき姿である地域包括ケアに
本格的にITを導入することが謳われています。
JAHIS、MEDIS-DC、あるいは日本医療情報学会やその他の団体はこれまで鋭意、
医療・介護への適切なIT導入に取り組んできましたが、数年前までは、どちらかと言
えば啓発的な要素があり、
「こんなすばらしいITをどうして使わないのか」という立場
であったことは否めません。しかし、もうまったなしの状況になったと言えます。多
くの医療・介護現場はまだまだ戸惑いながらではありますが、以前に比べればはるか
に積極的であり、今、良いシステムを提供できなければ、
「何をしているのか」と叱ら
れそうな状況になっています。
12
年頭のご挨拶
社会保障の持続性の確保を目指す医療ITとはなんでしょうか。一つはこれまでも追
求してきた医療や介護の効率化に資するITですが、もう一つは負担とサービスのあり
方に国民的な合意を得るための透明化と考えられます。どちらかと言えばこちらのほ
うが重要かつ喫緊でしょう。NDBをはじめ、大規模データベースの整備も着々と進め
られ、電子化情報の活用による透明性の確保も進められています。今後はさらに詳細
な情報を収集し、社会保障のあり方に関して国民合意を醸成するための透明性の確保
に進んでいくでしょう。その時に、実質的に標準化された基礎情報を提供できなけれ
ば何のためのIT化か、と言われかねません。
IDが出来、個人情報保護法が改正され、環境は整いつつあります。もちろん制度整
備はまだ不十分だとは思いますが、改善していることは間違いなく、言い訳ができな
い状況に近づきつつあると言っても過言ではないと思います。広域で完全な合意のも
とに一体的な医療のIT化を進めることはまだ難しいですが、前にも述べましたが、点
での取り組みであっても、基本的な部分で共通認識を持つことで、面への拡張も不可
能ではないと考えます。一般財団法人医療情報システム開発センターとしては、これ
までもJAHISと連携し、標準化の推進と安全管理の支援に取り組んできましたが、今後
はこれまで以上に強く連携し、基本的な共通認識の醸成にも努力をしていきたいと考
えています。
末尾になりましたが、2015年は医療情報学連合大会を大会長として無事に開催する
ことができました。貴会ならびに多くの貴会会員会社には大変お世話になりました。
この場を借りて御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
13
部会長のご挨拶
年頭の抱負 運営会議
運営会議 議長
藤岡 宏一郎
(㈱日立製作所)
の番号の利用等に関する法律の一部を改
明けましておめでとうございます。JAHIS会
正する法律
員の皆様におかれましては、平素からJAHIS運
営にご協力賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、JAHISの会員数は2015年10月30日現在
(1)
「個人情報保護法」
(2)
「番号利用法」
で378社となっており、過去最高の会員数を更新
しています。この事は、JAHISのドメインであ
上記の二つについてもJAHISとして検討すべ
る健康、福祉、医療分野の社会課題解決に向け
き事項は多々あり、継続的に対応するべきであ
たICTへの期待の現われではないかと感じてい
ると認識しています。制度改正や新制度が進む
ます。
中、JAHISとしては、足元の作業を堅実に実施
会員各社のエンドユーザ様及び関連団体様の
しながら将来を見据え、標準化の推進、産官学
ご期待にしっかりと対応していくことの重要性
の協調、情報の発信を継続し、安全安心かつ役
を改めて認識致しました。
に立つヘルスケアサービスの提供に向けて、さ
らなる活動を継続していきます。
さて、昨年の社会状況を振りかえって見ます
と、業界として対応を考慮すべき代表的な法改
正としては以下のものが挙げられます。
最後に今年も、JAHISの取り組みを尚一層活
性化させ、JAHIS活動が会員各位のビジネス活
動に寄与できるようにして行きたいと考えてお
◆5月 持続可能な医療保険制度を構築するた
めの国民健康保険法等の一部を改正する
法律
(国民健康保険(国保)の運営主体を平成
30年度に市町村から都道府県に移す)
◆9月 個人情報の保護に関する法律及び行政
手続における特定の個人を識別するため
14
ります。引き続き皆様方のご支援、ご指導、ご
協力の程宜しくお願い申し上げます。
以上
部会長のご挨拶
年頭の抱負 総務会
総務会 会長
浅野 正治
(日本アイ・ビー・エム㈱)
新年明けましておめでとうございます。
総務会は皆様のスムーズな活動をご支援する
会員の皆様におかれましては、平素より、
為、裏方として活動するのがその役割と考えて
JAHIS活動にご協力頂き、厚くお礼申し上げま
す。
昨年は、会員数も過去最大となる377社を超
え、ますます発展する工業会となりました。ま
た、
売上高調査も5,000億円を超える結果となり、
おります。
JAHIS事務局内の運営に関して、鈴木事務局
長を中心に運営の指揮を執ってから1年が経ち
ました。
この間、定年で退任された事務局部長や、新
JAHIS創設以来、順調にビジネスを伸長してい
たに赴任して頂いた事務局部長など、多くの業
るものと理解しております。
務引き継ぎの支援や、本年1月から開始のマイ
ナンバー制度の対応、及び運用の策定を行なう
さて、昨年5月29日に開催された、第6回産業
など、総務会として会員の皆様の活動に負荷が
競争力会議課題別会合の中で、
「医療・介護のICT
掛からないよう、日々ご支援させて頂いている
化」
、及び、
「マイナンバー制度の活用・IT利活
ところです。
用の推進」が取り上げられました。これは昨年
更に、
本年はJAHISのホームページを刷新し、
10月からのマイナンバー付番の開始、並びに本
より見やすく、使いやすいようなシステムを構
年1月からの利用開始を契機として、その利活
築しており、これによってJAHISブランドの価
用範囲の拡大や経済社会全体のIT利活用推進、
値が更に向上できると考えていますし、また、
また医療等分野におけるICT化等の取組みが求
会員の皆様に対しては、更なるJAHISの参加価
められていることに他なりません。この会議の
値の提供が出来ればと考えております。
中で、医療機関のデータのデジタル化の推進と
して、電子カルテを導入する400床以上の一般病
JAHIS会員各位の皆様の益々のご活躍を祈念
し、年頭のご挨拶とさせていただきます。
院を段階的に拡大し、2020年度までに400床以上
の一般病院の90%が電子カルテを導入すること
を目指すとされております。
これを実現するにあたり、ますますJAHIS会
員の皆様の役割が益々重要となるわけですが、
15
部会長のご挨拶
年頭の抱負 標準化推進部会
標準化推進部会 部会長
大沢 博之
(東芝メディカルシステムズ株式会社)
新年明けましておめでとうございます。
ムにおける標準類オーバービューチャート」を
東芝メディカルシステムズ(株)の大沢でご
作成いたしました。また、安全性・品質企画委
ざいます。JAHIS会員の皆様におかれましては
員会では、IECなどの国際学会に参加し患者安全
平素より標準化推進にご協力を賜り厚く御礼申
に関する国際標準規格の策定に参画するとも
し上げます。標準化推進部会長として、新年に
に、JEITA、JIRA、JAHISの業界3団体で立ち
あたり年頭の抱負を述べさせて頂きます。
上げた一般社団法人ヘルスソフトウェア推進協
厚生労働省においては、
2025年(平成37
議会に参画し、ヘルスソフトウェア利用者への
年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活
安全なソフトウェアの提供を推進いたしました。
の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた
今年も昨年と同様、地域包括ケアの高まり、
地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続
「病院完結型」から「地域完結型」の医療への転
けることができるよう、地域の包括的な支援・
換、医療・介護・健康の連携政策などの世の中
サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の
の動向に合わせて、ヘルスケアITによる連携実
構築を推進しています。このような取組みに対
現が重要であると考え、これを、効率的・効果
し、JAHISはヘルスケアITを活用した高速かつ
的に実現するために、以下の4項目について重点
効率的なシステム構築のための標準類の提供で
的に取組み、
標準化の推進を図ってまいります。
社会に貢献するとともに、業界のさらなる活性
(1)行政・学会・関連団体等と連携して標準化
化を図り、会員の皆様が安心して安全に活用で
きる標準化を目指していきたいと思います。
昨年を振り返りますと、国内標準化委員会で
は、JAHIS標準類の審議/審査、HELICS指針投
を推進する。
(2)医療機器ソフトウェア規制の在り方や運用
について、患者安全と利便性に寄与するよう
に関連機関と協力・連携していく。
票に関わるJAHISの見解取りまとめを行ってき
(3)海外標準と日本の要件・状況との整合性の
ました。国際標準化委員会では、ISO、HIMSS、
確保するために、海外標準化団体との調整や
HL7などの国際会議に参加し、世界の最新情報
日本からの標準化推進を行う。
の収集/報告を行うとともに、日本および業界
(4)
標準化を担う人材の確保・育成を実施する。
として望ましい形の国際標準策定に参画し、
JAHIS標準類をはじめとする国内標準類に国際
標準化の推進と普及活動を通じて、本会のま
標準を反映できるように活動してまいりまし
すますの発展と、JAHIS会員の皆様への貢献に
た。普及推進委員会では、各標準類の理解促進
努力してまいりますので、何卒、会員の皆様の
のためその関連性をまとめた「医療情報システ
ご支援の程、よろしくお願いいたします。
16
部会長のご挨拶
年頭の抱負 医事コンピュータ部会
医事コンピュータ部会 部会長
小宮 宏之
(パナソニック ヘルスケア株式会社)
皆様、
新年あけましておめでとうございます。
し、今後日本における医療のIT化の取り組み推
JAHIS会員の皆様におかれましては、平素よ
進に向けた有意義な視察を行うことができまし
り医事コンピュータ部会の運営に絶大なるご支
た。
援を賜り、厚く御礼申し上げます。年頭にあた
各活動に積極的に取り組んでいただいた委員
り、医事コンピュータ部会の2015年度の事業活
の皆様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
動の経過報告と今年の展望について述べさせて
いただきます。
医事コンピュータ部会の2016年度の事業活動
ですが、本年4月は診療報酬改定が控えていま
まず、制度対応関連ですが、電子レセプト請
す。当部会では中期計画にのっとり、これまで
求の猶予期限終了に伴い、厚生労働省等との連
の活動を継続しながら、以下の運営方針で推進
携によるスムースなシステム導入への対応を行
する予定です。
い、特に歯科分野における電子レセプトの普及
1)国のIT戦略の中で、IT活用の目的を明確に
率向上に貢献を行うことができました。
国のIT戦略への対応については、医療分野に
しながら関係機関と連携を取り課題解決に取
り組んでいく。
おける番号制度関連として、
厚生労働省事業「オ
2)医療/介護保険制度改正や診療/介護報酬
ンライン資格確認に関する調査研究」の実務者
改定等のスムースな対応が実行できるよう、
WGへの委員派遣によるタイムリーかつ正確な
関係機関・団体との連携を強化する。
情報入手、また電子版お薬手帳については厚生
3)成熟した医事コンピュータビジネスの活性
労働省事業「電子版お薬手帳の適切な推進に向
化を図るために、新規市場動向や先進IT適用
けた調査検討事業」への委員派遣を行い、関係
状況等を調査し、行政等関係機関に提言を行
機関との連携によりJAHIS技術文書「電子版お
う。また、会員のビジネス機会拡大に努める
薬手帳データフォーマット仕様書」の改定作業
とともに、情報発信、教育等会員サービスの
を行ないました。
向上に努める。
新規市場動向や先進IT適用状況の調査におい
ては、昨年9月に米国ニューヨークの地域医療情
今後も会員の皆様の発展に寄与できるよう、
報連携への取り組みおよび電子処方箋の普及状
医事コンピュータ部会の各委員会が一丸となっ
況の視察として、JAHIS会員15社21名の参加者
て取り組んで参りますので、引き続き皆様のご
により5箇所の医療機関、医療関連団体を訪問
支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
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部会長のご挨拶
年頭の抱負 医療システム部会
医療システム部会 部会長
下邨 雅一
(富士通株式会社)
新年明けましておめでとうございます。
EHRだけでなく、セルフメディケーションのた
JAHIS会員の皆様におかれましては、平素よ
めのPHRへの展開が急務になっています。
り医療システム部会活動にご理解ご協力を賜
これまで医療システム部会では、行政や外部
り、厚く御礼申し上げます。年頭にあたり、一
機関の様々な検討会に参画しながら、JAHIS標
言ご挨拶を申し上げます。
準類の策定やHELICS指針の採択、厚生労働省標
安倍内閣は「日本再興戦略」と共に「健康・
準規格の制定に結びつけてきました。ただ、標
医療戦略」を掲げており、ヘルスケアICTへの期
準規格は手段であり目的ではありません。単に
待はますます大きくなっています。また、医薬
標準化を推進するだけでなく、その有効性をき
品医療機器等法(改正薬事法)の規制対象はも
ちんと評価し、何らかの課題が発生した際には
ちろん、法規制対象外の医療用ソフトウェアに
それを解決することでより使いやすいものにし
対しても今まで以上に品質安全管理やリスクマ
ていく必要があります。皆が当事者となり改善
ネジメントが重視されるようになってきまし
し普及していく活動が必要です。医療情報の相
た。医療システム部会が担当している電子カル
互接続性および相互運用性を確保するためには
テシステムやオーダエントリシステムでは患者
何を整備すればいいか、標準規格等への準拠性
安全への寄与、
医療への貢献が期待されています。
をどのようにして検証すればいいか、という視
現在、各学会でも用語や書式を含め、様々な
点で、
前向きな議論を行っていきたいと思います。
標準化が進められていますが、人的ミスによる
これからは、
医療機関や調剤薬局はもちろん、
医療事故を未然防止するためにはシステム面と
異業種連携も視野に入れた医療情報標準化の普
運用面の双方での更なる工夫が必要です。また、
及推進と、
セキュリティ基盤の整備が必須です。
近い将来での実現を目指している電子処方箋に
マイナンバーや医療等IDの導入もあり、個人情
関しては、実証事業等で技術的な部分は少しず
報やデータの取り扱いに十分配慮しながら、よ
つ整備されているものの、基盤構築や制度面、
り高品質な製品と付加価値サービスをお客様に
運用面で解決しなければならない課題が多々あ
提供し続けられるよう、近未来の健康社会に向
ると言われています。紙媒体と電子媒体の併存
けて医療システムを変革していきたいと思います。
で現場に過度な負担が発生しないよう、過渡期
今後もJAHIS内はもちろん、省庁や学会、各
の施策も併せて考えていかなければなりませ
標準化団体とも密接に連携しながら活動してま
ん。お薬手帳も現状は調剤薬局の情報が中心で
いります。ご支援ご協力の程よろしくお願い申
すが、患者や医療者のニーズを踏まえた上で、
し上げます。
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部会長のご挨拶
年頭の抱負 保健福祉システム部会
保健福祉システム部会 部会長
富田 茂
(株式会社NTTデータ)
皆様、
新年あけましておめでとうございます。
開始しました。福祉システム関連分野では、平
JAHIS会員の皆様にはおかれましては、平素
成27年度の介護保険の制度改正、障害者総合支
より保健福祉システム部会の運営にご協力を賜
援法の法改正、国保都道府県化の制度設計対応
り、厚く御礼申し上げます。年頭にあたり今年
など、急激な制度変更の流れに対応すべく、関
の抱負を一言述べさせていただきます。
係省庁と連携を図りながら、会員にはタイム
昨年6月には、骨太方針2015、日本再興戦略
リーに情報発信を行いました。健康支援システ
改訂2015、世界最先端IT国家創造宣言の変更が
ム関連分野では、昨年度制定した健康データ交
相次いで閣議決定されました。これは一昨年の
換規約の普及促進、各保険者が保健事業の計画・
日本再興戦略並びに世界最先端IT国家創造宣言
実施に活用するデータベースシステムのデータ
をさらに一歩推進するためになされたものであ
項目・出力項目の整理、また地域・職域保険者
り、当部会のスコープに着目した内容について
が連携してデータ分析・活用する場合の利用用
見てみますと、喫緊に迫っている超高齢社会の
途の整理及び実現に向けた課題について方策を
到来を見据え、医療・介護サービスの品質の向
整理し、関係省庁に提案を実施しました。
上・高度化に向けたITの活用方法について、医
保健福祉システム部会は、地域医療情報連携
療機関等での医療情報の連携、医療と介護の連
関連、健康・健診関連、福祉・介護関連のITベ
携、なかでも地域包括ケアシステムを構築する
ンダー会員で構成されております。今年も昨年
ための、在宅医療と介護等多職種間での連携、
からの取り組み内容を継続し、さらに推進して
それを行うためのデータの標準化、また、医療・
いくことが、骨太方針2015および日本再興戦略
健康情報等の各種データの活用などが大きな
改訂2015の実施・達成の一躍になれると確信し
テーマとなっております。
ておりますし、当部会に参画されております会
当部会でも、各省庁・関係機関とタイムリー
に連携しながら、昨年は、以下の取り組みを行
員各社へのサービスの向上またビジネスの創出
になると信じております。
いました。地域医療システム関連分野では前年
今後もこれら保健システム部会の活動を通
度の実証事業「医療機関間で医療情報を交換す
じ、我が国の医療ICT発展への寄与ならびに会員
るための規格等策定請負業務」の成果をさらに
の皆様の発展に寄与できるよう努力して参りた
推進すべく、地域医療システム委員会の下に地
いと存じます。引続き、皆様のご支援・ご協力
域医療連携IHE-ITI検討WG、画像検討WG、診
を賜りますことよろしくお願い申し上げます。
療文書標準化WGの3WGを新規に結成し検討を
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部会長のご挨拶
年頭の抱負 事業推進部
事業推進部 部長
青木 順
(日本電気株式会社)
新年明けましておめでとうございます。
教育事業では、例年と同様に6月から10月にか
JAHIS会員の皆様におかれましては、平素よ
けて教育コース2015を開催しました。全部で8つ
り事業推進部の活動にご協力いただき、厚く御
のコースに、延べ280名の方に参加していただき
礼を申し上げます。
ました。なお開催にあたっては、JAHIS各部会・
さて事業推進部のミッションは展示博覧会事
各委員会の方(一部は外部の方)に講師をお引
業と教育事業でありますが、2015年度の活動状
き受けいただき、この場を借りて御礼申し上げ
況について簡単に紹介させていただきます。
ます。受講者のアンケート結果、講師との意見
展示博覧会事業では、7月に開催された国際モ
交換の結果を踏まえ、来年度の教育コース見直
ダンホスピタルショウ2015において、会員企業
しを検討している段階です。セミナー関連では、
様への出展促進活動およびJAHISブースの出展
2012年にスタートした「JAHIS標準・技術文書
を行いました。一昨年から開始した「出展者プ
解説セミナー」を例年の12月開催から7月開催に
レゼンテーションセミナー」
、
「JAHISホスピタ
変更し、セミナーの内容が実務に活かされるよ
ルショウ交流会(懇親パーティ)
」を昨年も開催
うに(年末のシステム更新への対応など)見直
しました。ホスピタルショウ交流会には約100名
しました。12月はJAHIS技術セミナーとして
「地
の方が参加され、また主催者側ホスピタルショ
域医療連携における規格・実装ガイドに関する
ウ委員会の大道久委員長にご来賓のご挨拶をい
解説」を開催しました。来年度以降も医療IT業
ただき、多くの会員企業の皆様とも会話をして
界での関心事であるテーマ、例えば医薬品医療
いただきました。今後も主催者である日本病院
機器法(薬機法)や医療等IDなどを題材とした
会様および日本経営協会様との連携を密にし、
セミナーを企画していきたいと思います。
対 応 し て い き た い と 考 え ま す。 な お 今 年 の
最後になりますが、事業推進部は「会員企業
JAHISホスピタルショウ交流会は、初日の7月13
のためになる活動」を基本方針とし、JAHIS各
日(水)夕方に開催する予定ですので、是非と
部会の横断的な協力を得ながら活動を推進して
もお立ち寄りいただきたいと思います。そのほ
まいります。JAHIS会員の皆様の益々のご活躍
かの活動としては、10月には九州ホスピタル
を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせてい
ショウでJAHISブースを設置しJAHIS活動のPR
ただきます。
を行い、また11月に開催された第48回日本薬剤
師会学術大会(鹿児島)では、併設展示OA機器
コーナーの出展とりまとめを行いました。
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海外視察の報告
海外視察報告 ~ HIMSS15 ~
標準化推進部会 国際標準化委員会
委員長 丹治 夏樹
1. はじめに
H I M S S(H e a l t h c a r e I n f o r m a t i o n a n d
Management System Society)は「医療向上のた
きませんでしたが、今回再び視察調査を実施す
ることとなりました。
今回のHIMSS15は、2015年4月12日から16日の
め医療ITの最適普及をグローバルにリードする」
5日間、2009年以来6年ぶりにHIMSS本拠地のイ
ことを目的として1961年に米国で設立された非
リノイ州シカゴのMcCormick Placeで開催され
営利団体で、現在個人会員50,000人以上、企業会
ました。今回はMeaningful Use(MU)Stage3発
員570以上、非営利団体225以上が加盟している
表後初めての開催とあってか、登録参加人数
組織です。毎年春に年次総会および医療IT関連
43,129人(HIMSS14:38,828人)
、出展企業1,344
で実質世界最大規模の講演会・教育セッション・
社(HIMSS14:1,233社)と過去最大規模となり、
展示会の総合イベントを開催しており、世界各
依然として医療ITに対する関心と期待の高さを
国から医療者を始め医学界・政府・産業界関係
感じさせるものでした。また、教育セッション
者が一堂に会し、その時勢を敏感に反映した
は基調講演5件、通常教育セッション215件、ラ
テーマについて発表・議論が行われています。
ウンドセッション10件、Eセッション9件と活況
JAHISでは、例年HIMSS視察をグローバル化
なものでした。今年の基調講演の目玉は、2004
の視点に立ち定点観測として実施してきまし
年に大統領指令を発表し近年の一連のIT推進の
た。昨年のHIMSS14は諸般の事情により参加で
きっかけを作った第43代アメリカ合衆国大統領
George W. Bush氏で、超満員の聴衆が広大な講
演会場を埋め尽くしていました。
2. HIMSS15調査概要
2.1. 全体動向
今般の開催までの間には米国経済の低迷期も
あり、過去のHIMSSにおいてもその影が色濃く
落ちた年もありましたが、その頃から比べると
昨今の金利等世界的な経済連鎖による米国経済
のトーンダウンの懸念はあるものの、低迷期よ
りは経済の復調が進みつつあることが見て取れ
会場のMcCormick Place
ました。
21
海外視察の報告
注目されたテーマとして、Meaningful Useの
ンダーPhytel社の2社買収ニュースが大きく取
Stage 3 proposed requirementsがお披露目とな
り沙汰されました。この2社に加え、Apple社と
り、2015年5月29日までパブリックコメントの募
の協業によるHealthKitを用いた健常期情報収
集時期となることや、次世代技術活用促進イニ
集・管理と、この情報のResearchKitを用いた臨
シアティブ" HX360 "の発表、事前予告のあった
床研究領域での利活用、医薬品・医療機器ベン
大企業による発表事項、過渡的な流行段階を経
ダ ー で あ る Johnson&Johnson 社 お よ び
て実活用のフェーズへと遷移したスマートデバ
Medtronic社との協業による特定術式・疾病を対
イス関連の話題、新たなシステム概念である
象とする個別化医療支援等サービスの開発を今
PHM(Public/Population Health Management)
後推進し、その成果をWatsonクラウドが中核と
に関する情報共有等が入念に織り込まれた開催
なって提供していくことが発表され、大変注目
であったことが挙げられます。
されていました。
「大企業による発表」としては、IBM Watson
「スマートデバイス関連」では、新たなデバイ
Health部門の設置と、この部門によるCleveland
スとして登場し、mHealthが発表された当初の趣
Clinicスピンオフクラウド情報分析ベンダー
味嗜好的な側面もあった流行段階が収束し、デ
Explorys社、およびリサーチファームKLASによ
バイスの普及に伴いその特性が広く認知された
る格付けで2014年11月にNo.1を獲得したPHMベ
ことにより、具体的な利活用についての発表・
ICTシステム全体概念図
22
海外視察の報告
展示が多く見受けられました。具体的には、デ
証プログラムで、EHR/HIE Interoperability
バ イ ス の 携 帯 性 に 着 目 し た Telehealth/
WorkgroupとIHE USAに よ っ て 構 築 さ れ、
Telemedicineでの利活用とインセンティブを含
HIMSSが運営しています。ConCertの" Con "は
むレギュレーションの整備に関する議論、ス
相互運用性の核となるCONnectability(接続性)
マートデバイス自体が搭載しているものを含め
を表し、" Cert "は当該製品がパフォーマンステ
たセンサーデバイスで得られる情報のEMR/
ストを合格したことを示すCERTification(証明)
CPOE、HIE(Health Information Exchange)/
を表しています。ConCertはEHRシステムや相
EHR、PHRとの中継デバイスとしての位置づけ
互運用性を確保し、医療機関内外や国境を越え
の2面から、限定的なユースケースでの利活用だ
てセキュアで信頼性の高いデータ転送を可能に
けでなくワークフロー全般を包括したデバイス
していることをコミットしているHIEベンダー
の利活用についての議論・発表・展示が活発に
や サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ(HISP、Health
行われていました。
Information Services Provider)をテスト・認証
PHMについては、EHRおよびPHRとの連携に
するもので、その基準はONCの2015年版HIT認
基づく、ビッグデータとしての様々な業種によ
証基準に準拠しており、NUの基準よりもハード
る利活用について議論され、従来からのDisease
ルを高くしていると説明しています。ConCertに
Managementの概念を吸収したものとして注目
は次の3つのプログラムが用意されています。
されていました。
上記のトピックに共通する先進的技術の活用
について、ビッグデータ関連技術や遺伝子等オ
ミックス情報、Deep Learningを主とした人工知
能関連技術の活用、それらの結果に基づき臨床
判 断 支 援 を 行 う CDSS(Clinical Decision
(1)ConCert by HIMSS EHR:EHRシステムの
認証プログラム。
(2)ConCert by HIMSS HIE:HIEシステムの認
証プログラム。
(3)ConCert by HIMSS HISP:HISPシステムの
認証プログラム。
Support System)のPHM、HIE/EHR、EMR/
また、データおよびドキュメントのAPIベース
CPOEとの連携による介入についても注目され
でのアクセスの実現を加速するため、FHIR API
ていました。
とコアデータサービス仕様の開発とFHIR API、
DAF(Data Access Framework)
、
MHD(Mobile
2.2. 標準化関連動向
今 回 のHIMSS15で は 標 準 化 に 関 し て は、
Interoperability、FHIRというキーワードが挙げ
access to Health Documents)の実装と評価を推
進するために、HL7 Internationalを中心とした
Argonaut Projectも注目されていました。
られます。MUの深化に伴い標準類の開発だけで
なくその適正実装のテストと認証も重要視され
2.3. Population Health(地域連携、モバイル
るようになってきています。なかでも今回新し
ヘルスを含む)関連動向
くHIMSSサービスプログラムとして発表された
ConCert by HIMSSが注目されます。
ConCertは包括的な相互運用性のテストと認
オバマケア対象者へのACO(Accountable
Care Organization)による介入がいよいよ本格
的に始まるためか、その手法に関しての教育講
23
海外視察の報告
演は熱を帯びていました。やはりITを駆使して
うと質問に立つ姿が多く見受けられました。
医療スタッフと被介入者集団との情報共有をは
(1)ケアコーディネーション
かり、先行して医学的にも経済的にも結果を出
(2)パフォーマンス評価指標を計測管理できる
しているPHMのセッションは出席者も多く熱心
に質疑が行われていました。PHM は、慢性疾患
システムの運用
(3)ケースマネジメント活動
等の疾病リスクがある集団を対象として、その
4月13日には、アップル社のapple-watchに対
集団をマネジメントする健康アウトカムを目的
応したアプリを発表するベンダーが多数あり注
とした統合的アプローチであり、対象集団の構
目を集めていました。しかしながら、この目新
成員に対する疾病リスクのスクリーニング、健
しさに対してこれまでITベンダーとして実績を
康診断・モニタリング、統合的治療・処置およ
積 ん で き た 80 数 社 を 集 積 し た Knowledge
び患者教育などの活動が行われています。さら
Centerエリアでは、実績に基づいたソリュー
に、HIMSSで紹介された事例は、ITでPHRを被
ション事例やベストプラクティスがエリア内の
介入者と医療従事者が活用・共有し、既存のも
特別プレゼンテーション会場で各ベンダーから
のより健康アウトカムも経済効果も改善するこ
発表されていました。このうちViterion社による
とをもくろむものでした。
モバイルヘルスソリューションを用いたVA(退
この過去のアプローチと先行技術の融合とも
役軍人)向けの介入実績の発表は、医療的な効
いえるPHMは以下の3要素を満たすことでその
果に止まらず、
サービスの金銭的な有用性を「リ
効果を発揮するため、実施には複雑なオペレー
アルワールド」の実績に基づいて語る説得力に
ションが必要となります。今回のHIMSSでは
満ちたものでした。
ACOの介入の実務者と思われる看護師・病院ス
Population HealthやTelehealthの有効性に関
タッフが、医療制度の異なるPopulation Health
しては、多くのパイロット試験や関連の臨床試
である英国のモバイルヘルスのプレゼンテー
験が実施され、その資金的な支出の抑止までも
ションにもその具体的な取り組みを参考にしよ
がエビデンスとして報告されていました。さら
に、測定器や患者とのインターフェイスをつか
さどる機器が増々ユーザーフレンドリーな仕様
になっていました。例をあげると、
Carematixinc.
inc.からは1日1$でWi-Fi通信機能を備えた血
圧計と体重計とモバイルWi-Fiルーターを貸し
出すことでITリテラシーのない高齢者でも利用
可 能 な テ レ ヘ ル ス ソ リ ュ ー シ ョ ン が、 ま た
Withings社からは、自社のウエアラブル端末か
ら見守りのためのカメラ・睡眠計に至るまでを
Health MateAppという自社のアプリで管理で
きるサービスが提案されていました。企業ブー
KeyNote会場
24
スではこのような機器やアプリを自社/他社を
海外視察の報告
問わず調達しサービスを提供する提案が多くみ
守りつつ病院により近い診療・医療を在宅で行
られました。
うことが提案されていました。また他の展示エ
今回のHIMSS15でのモバイルヘルスを利用し
リアもペルソナの各人生ステージごとに起きう
た 事 例 の 議 論 は、HIMSSが 提 唱 す るSTEPS
るイベントやリスクを手当てするという意味で
(Satisfaction、Treatment/Clinical、Electronic
の展示を行っており、物を展示してその機能を
Data/Information、Prevention and Patient
説明するという単なる展示ではない興味深いも
Education、Savings)の最後のSである医療費の
のになっていました。
削減、支出の抑制にまで網羅的にその議論が及
一方、Interoperability Showcaseは例年通り最
び、すでに定着している上にさらにその適応の
大規模の展示スペースを確保し、100以上のシス
広がりを見せているということが、その豊富な
テ ム 展 示、 約 60 テ ー マ の Interoperability
エビデンスと実証での効果から確信できる内容
Showcase Theaterでのセッション開催、そして
でした。
Showcaseツアーが実施されていました。今回大
Population Healthでの介入もe-Health的な介
入もその効果があるという報告は、実施経験で
きく掲げられているコンセプトは以下のような
ものです。
あれ臨床試験であれ今期間中でもその枚挙にい
(1)Continuity of Care(ケアの継続性)
とまがなく、経済的な改善をもたらすか否かの
(2)Engaged Consumer(コンシューマー参加)
議論についてもその額の大きさ以外に議論を待
(3)Seamless Information Exchange(シームレ
つ必要がないということが今回参加している各
社から感じられました。
スな情報交換)
(4)Improved Health Outcomes(健康アウトカ
ムの改善)
2.4. 企業展示概要
さらに今回新たな試みとして、HX360が開催
企業展示は数年前の賑わいに比べれば幾ばく
されました。HX360はEHRに続く次世代技術採
かの陰りを見せるとの評はあるものの、会期中
用の奨励、
促進を目的としてHIMSSとAVIA(イ
の3日間で、1,300を超える企業が出展し、12に
分割された特別展示は圧巻で、展示会場に向か
う客足が切れることはありませんでした。各教
育セッションが展示会場と正面玄関を挟んで分
散されていた会場のレイアウトにも助けられて
いた面があったのかもしれませんが、各会場を
結ぶ通路は常に来場者であふれ、活気に満ちた
ものでした。新しい情報発信としても、350社を
数えるHIMSS初展示の会社だけを集めた展示エ
リアに加え、Intelligent Health Pavilionでは
i-HOMEのコンセプトが紹介され、生活者にそれ
までの日常生活との差を感じさせない住環境を
企業展示会場風景
25
海外視察の報告
ノベーションを加速するためのケアプロバイ
果を出すにはまだまだ足りないのかもしれませ
ダーで構成される組織で、メンバーの成長、運
ん。そして米国の事情が直ちに日本にも当ては
営効率の改善、競争で生きぬくための新しいIT
まるとは言えませんが、引き続きHIMSSの動向
ソリューションの紹介、選択、導入を支援する)
を見守っていくことが重要ではないかと思いま
が共同で立ち上げた次世代技術活用促進イニシ
す。
アティブで、設立パートナーとしてはMcKesson
なお、本稿で紹介したHIMSS15の詳細調査報
とPHILIPSが、スポンサーとしては、Deloitte、
告は、下記のJAHIS国際標準化委員会ホーム
Allscript、AYASDI、HGST、higi、Verizonが
ページに掲載していますのでご参照ください。
参加しています。そして、そのゴールは現実的
なヘルスケアの供給モデルを大きく改善するこ
とです。HIMSSはHX360を今回の展示会場の目
玉 の 一 つ と し て お り、 展 示 ス ペ ー ス も
Interoperability Showcaseと同規模の広さが提
供され、89社が参加していました。HX360の会
場は以下の4つのコーナーに分けられ、それぞれ
のテーマごとに展示、プロモーションが行われ
ていました。
(1)Startup Showcase
(2)Marketplace
(3)Accelerator Hub
(4)Games for Health
3. おわりに
会期中のシカゴは晴天の日が多く日中は汗ば
むような日もある中で開催され、参加者数は過
去最多を更新したとのことで、HITに寄せられ
る期待の大きさを改めて認識したHIMSSとなり
ました。
2009年 にARRAが 発 表 さ れ、2010年 か ら は
Meaningful Useによる景気刺激策、医療改革が
断行されて6年が経過しました。HIMSSにおいて
も医療費の低減、医療の質の向上を目指して
様々な試みや提言が報告されていますが、それ
らのアセスメントに関しての報告はまだまだ少
ないように思えます。6年という期間は十分な結
26
http://www.jahis.jp/sections/hyoujyunka/
kokusaihyoujyunka-2-2/
海外視察の報告
海外視察報告 ~ HIMSS AsiaPac15 ~
JAHIS事務局長
鈴木 義規
はじめに
マートホスピタル」
、
「スマートデータ・エクス
HIMSS AsiaPac15が2015年9月6日から10日ま
チェンジ」を中心に聴講するとともに、大会主
での5日間、いまやシンガポールのアイコン的
催 者 と の 個 別 打 合 せ や 招 待 さ れ たHIMSS-
存在になっているマリーナベイサンズで開催さ
ELSEVIER Digital Healthcare AWARD 2015の
れた。今年はシンガポール独立50周年を記念し
受賞記念パーティ等で、米国を含めた世界各国
た大会ということもあり、38か国から1,767名の
の先駆的な活動をされている方々と直接情報交
参加があり、非常に盛況な大会となった(参加
換を行った。ややもすれば、講演会では優れた
者数・出展者数とも昨年より大幅に増加)
。
面だけが強調されがちであるが、これら個別の
シンガポールが世界最初の「スマート国家」を
情報交換により実際の状況がある程度垣間見え
目指していることもあり、今大会は「スマート
た。また、帰国後に大会で得られた情報の分析
ヘルスケア、医療管理の変革」というテーマで
を行ったので、合わせて報告させて頂く。
開催され、
「スマートホスピタル」
、
「スマート
得られた情報の詳細は後述させて頂くが、今
ホーム」、「スマートコンシューマー」
、
「スマー
大会で最も印象に残ったのは「世界各国がヘル
トデータ・エクスチェンジ」
、
「スマートケア」と
スケアITの導入の評価を積極的に行っている」
いうカテゴリで、大会企画講演11件、一般講演
ということである。ヘルスケアITの指標として
48件の計59件の講演が行われた。
は 2005 年 か ら 実 施 さ れ て い る “EMRAM
会場が複数に分かれていたこともあり、
「ス
(Electronic Medical Record Adaption Model)
”
が有名である。EMRAM(本報告書の3.3参照)
は IT の 導 入 状 況 を 評 価 す る 指 標 で あ り、
EMRAMの発祥の地である米国は既に5,462施
設、隣国のカナダにおいても641施設が評価を実
施している。全病院の9割近くがEMRAMの評
価を受けており、各病院のIT導入状況の客観的
な評価に用いるとともに、IT投資の判断基準や
他病院との差別化にも用いている。例えば、米
国ではオバマ政権の施策等により、EMRAMス
テージ5以上の施設が2010年の8%から2015年
には57%まで増えている。なお、
EMRAMの導入
写真1 マリーナベイサンズホテル
が遅れたアジア環太平洋地域においても、マ
27
海外視察の報告
レーシアが全病院の61%、サウジアラビアが
2.HIMSS AsiaPac15
51%、アラブ首長国連邦が39%と未だ一部の国で
1)HIMSS概要
はあるが、EMRAMの評価を積極的に行う国が
増えて来ている。
H I M S S(H e a l t h c a r e I n f o r m a t i o n a n d
Management System Society)は1961年に米国
さらに、米国においては最高レベルのステー
で設立された非営利組織であり、現在個人会員
ジ7(ペーパーレス)の施設が着実に増えて来
58,000名以上、企業会員640社以上が参加するヘ
たこともあり、HIMSSでは、ステージ7の病院
ルスケアIT関連の世界最大の組織である。シカ
に対してはEMRAMの評価に加え、新たな指標
ゴに本部を置き、米国内およびヨーロッパ(ブ
である “Continuity of Care Maturity Model” を
リュッセル)
、アジア(シンガポール)に支部を
導入し評価を行っている。この指標は、異なる
おいている。HIMSSとしては設立翌年の1962年
施設間及びシステム間の情報連携がどの程度進
に米国バルチモアで早くも大会を開催している
んでいるかを評価するもので、既に多くの施設
が、アジア環太平洋地域を中心としたHIMSS
で評価が行われているとのことである。
AsiaPacが開催されたのは2007年シンガポール
また、政府及び病院経営者等からの「ヘルス
の大会が最初である。2015年はシンガポールが
ケアITの導入が本当に患者や病院経営等に役
国家設立50周年を迎えることもあり、昨年に引
立っているのか」
という声に応える意味もあり、
き続きシンガポールで開催されることになった。
HIMSSでは、①Satisfaction(満足度:患者、事
2)HIMSS AsiaPac15の参加者
業者、スタッフ等)
、②Treatment/Clinical(診
今年のHIMSS AsiaPac15の参加者は1,767名
療:安全性、医療の質、効率)
、③Electronic
であり、昨年の参加者数より20%増加した。ま
information/Data(電子情報/データ:根拠に基
た、参加国もアジアはもちろん、中近東、ヨー
づく医療、情報共有)
、④Prevention and Patient
ロッパやアメリカ、アフリカを含む38カ国と昨
Education(予防、患者教育)
、⑤Saving(経営
年に比べ10カ国以上も増加しており、盛況な大
効果)の5つの観点からIT投資の効果を評価す
会となった。
る “STEPS” という指標を2013年7月から導入
し、現在も改良を進めている。
参加者を所属組織別で見ると、病院や診療所
などの医療機関が51%と最も多く、ついでソ
今回HIMSS AsiaPac15に参加させて頂き、世
リューションベンダーの23%、大学等の教育機関
界各国の最新の動向と関係者の熱い思いに直接
が15%と続く。シンガポールが独立50周年記念と
触れさせて頂いた。本報告書でその一端でもお
いうことで大会開催に力を入れていたこともあ
伝えできれば幸いである。
り、
シンガポールの医療機関の参加が多かった。
1.出張者、日程
出張者 :鈴木 義規 (事務局長)
開催日時:2015年9月6日~10日
開催場所:M arina Bay Sands Convention
Centre, 10 Bayfront Avenue
Singapore
28
海外視察の報告
図1 組織別参加者
表1 HIMSS AsiaPac15の参加国
地域
参加国
アジア
アラブ首長国連邦、イラン、インド、インドネシア、
カタール、韓国、カンボジア、シンガポール、スリランカ、
タイ、中華人民共和国(香港、マカオ含む)、中華民国
(台湾)、日本、フィリピン、ベトナム、マレーシア
アフリカ
欧州
アメリカ
アンゴラ、南アフリカ共和国
アイルランド、英国、オランダ、ギリシャ、スウェーデン、
デンマーク、ドイツ、フィンランド、フランス、ポルトガル、
ロシア
米国、カナダ
オセアニア オーストラリア、ニュージーランド
写真2 大会入り口パネル
写真3 大会初日朝のロビーの風景
写真4 休憩時間の様子*
写真5 大会関係者のインタビューの様子
(*色とりどりのフルーツが盛りだくさん。南国のシンガポールならではの大会風景)
29
海外視察の報告
3)演題数
演題は大会企画講演が11件、一般講演が48件
の計59件であった。また、
講演以外にパネルディ
スカッション1件及びセレモニーが2件あっ
た。発表者の国別で見ると開催国であるシンガ
ポールが最も多く20件、続いて米国が15件で、
この2国で講演の半数以上を占めていた。
表2 国別演題数
大会企画
講演
一般
演題
計
シンガポール
7
13
20
米国
4
11
15
オーストラリア
8
8
ドイツ
3
3
タイ
3
3
フィリピン
2
2
日本
2
2
インド
1
1
中国
1
1
マレーシア
1
1
韓国
1
1
スイス
1
1
術の有効活用、包括的で切れ目の無い介護の提
英国
1
1
供、
患者様のより良い健康” の活動を反映したも
48
59
のです。
計
11
写真6 大会長の挨拶
Sin)より歓迎の挨拶があり、以下のような趣旨
のスピーチが行われた。
「各国のヘルスケア関連省庁の方々やヘルス
ケアの主導的実践家、大学等の教育関係者、ソ
リューションプロバイダーを太陽の国シンガ
ポールに迎え、HIMSS AsiaPac15の大会を開催
できることは私にとって大きな喜びです。今年
の主題は “スマートヘルスケアによる医療管理
の変革”です。これはアジア環太平洋諸国及びそ
の他の国が現在実現しようと努力している “技
今大会では50件を超える講演が行われるとと
3.演題内容
もに、70社以上のヘルスケアテクノロジーの最
以下に演題内容を紹介する。なお、下記以外
先端企業が展示会場で展示を行う予定です。ま
にも遺伝子情報や環境因子のヘルスケアITへの
た、IHiS Showcaseでは、ここ2年間で構築・発
取り込み等の興味深い発表があったが、紙面の
展させて来たシンガポール公立病院のヘルスケ
関係で、本報告書では “ヘルスケアITの導入の
アシステムをインターラクティブに紹介します。
評価” を中心に報告する。
1)大会長挨拶
また、HIMSS AsiaPacは最近の成果を祝う場
でもあります。今年もすばらしい成果を挙げた
今 大 会 の 大 会 長 で あ る IHiS(Integrated
組織や個人に対して、“the HIMSS Analytics
Health Information Systems)社最高経営責任者
EMRAM Awards”、“the HIMSS Elsevier
のチョン・ヨーク・シン博士(Dr. Chong Yoke
Digital Healthcare Award”、“the Inaugural
30
海外視察の報告
HIMSS Innovations Awards”の賞が贈られます。
るようにシステムが有機的に結びついていなけ
今大会に参加して頂き有り難うございます。
ればなりません。重要なことはヘルスケアの
参加者の皆様が大会を通して掛け替えのない知
サービスは個人に合わせて提供されるべきだと
見を得られることを期待しています。また、
色々
いうことです。個人の状況に合わせた適切な教
と勉強し、意見を交換し、新しい人的ネットワー
育や支援により、より良いヘルスケアの提供が
クを構築し、患者様のために、よりスマートな
可能になり、結果としてより効率的なヘルスケ
ヘルスケアシステムをそれぞれの国・組織で構
アサービスの提供が可能となります。
築されることを期待しています。
」
2)開会の辞
我々は国家として、ヘルスケアがいつでもど
こでも受けられ、しかも質の良いヘルスケアが
大会長挨拶に引き続き、ガン・キム・ヨン・
受けられるように努力しています。この国家的
シンガポール保健大臣(Mr. Gan Kim Yong,
な努力は、すべてのヘルスケア関係者のチーム
Minister for Health, Ministry of Health,
ワークが無ければ、
無駄に終わってしまいます。
Singapore)の開会の辞が行われた。大臣の入場
スマートヘルスの実現には色々な人々の緊密な
の際は、出席者全員が総立ちで迎え、拍手の中、
連携が必要であり、緊密な連携にはITは無くて
十数名の御付きの方々に守られて登壇された。
はならない存在だと考えています。
お国柄が現れた一瞬でもあった。講演の要旨は
以下のとおり。
アジア環太平洋地域の主要組織、私立も公立
も 含 め た 30 カ 国 以 上 の 関 係 者 が HIMSS
「今朝、皆さんと一緒にHIMSS AsiaPac15-
AsiaPac15に参加しています。私は参加している
Digital Healthcare Weekの開会に参加できるこ
皆様方が掛け替えのない知見をこの大会で得
とを喜びに感じています。我々はシンガポール
て、興味深いアイデアを見出し、新しい人脈を
をスマート国家にするという大志を抱いていま
作り、モチベーションを高めて、皆様の組織や
すが、スマートヘルスはスマート国家を実現す
シンガポール、そしてアジア環太平洋地域、ま
る上で非常に重要な構成要素です。我々はITの
たそれを越えて全世界でヘルスケアレベルを上
効率的な利用により、便利で市民中心のヘルス
げることにつながることを期待しています。ご
ケアサービスを提供できると信じています。
出席の皆様方にとって実りある大会であり、海
我々の目的は国民と介護事業者の両方のニーズ
外からの参加者には楽しく、記憶に残るシンガ
を満足させるようなアイデアとソリューション
ポールになって頂ければ幸いです。
」
を探し求めることにあります。
3)EMRAM
スマートヘルスでは、予防的なヘルスケアを
HIMSSでは、
ヘルスケアITの普及を目指して、
提供できることが大事です。スマートヘルスは
個々の病院がどの程度IT技術を活用しているか
国民自身が自らの健康や慢性疾患等の病状をよ
を 示 す 指 標 EMRAM(Electronic Medical
り良く管理することに役立たなければなりませ
Record Adaption Model)を2005年に作成した。
ん。また、スマートヘルスは包括的でなくては
このEMRAMでは個々の病院がどのようなITシ
なりません。すなわち、公立と私立を問わず、
ステム(病院内のプロセス改革含む)を導入し
国民の生活のすべての段階においてシームレス
ているかによって、指標値が決まるようになっ
な看護・介護・健康管理のサービスを提供でき
ており、“システムが入っていない状態であるス
31
海外視察の報告
テージ0” から、“フルの電子カルテシステムが
また近年、病院の基幹システムだけでなく、救
入っており、ペーパーレスが実現されているス
急関連システムのERMAMが別途定義され、
テージ7”までの8段階に分かれている。医療機
徐々に評価を受ける病院が多くなって来ている。
関はEMRAMの評価により、自分の施設がどの
なおEMRAMは、
表3の最上部に “Cumulative
ようなレベルにあるかを知ることができ、IT導
Capability(累積的機能)
” との記載があるとお
入(病院内のプロセス改革を含む)が十分に行
り、下位のステージの機能全てを持っているこ
われているのか、あるいは不十分かを客観的に
とが必要であり、たとえ上位の機能を持ってい
判断できる。またこれにより、投資計画を含め
ても上位のステージでは評価されない。
た改革計画を作りやすくなるといったメリット
もある。
各国のEMRAMの評価の実施の程度である
が、EMRAMの発祥の地である米国は既に5,462
EMRAMによる評価は当初米国で開始された
施設、隣国のカナダにおいても641施設が評価を
が、その後カナダに導入された。さらに、2010
実施している。全病院の9割近くがEMRAMの
年にはヨーロッパにも導入され、その後アジア
評価を受けていることになる。一方、EMRAM
環太平洋地域にも展開されて来ている。このよ
の導入が遅れたアジア環太平洋地域において
うにEMRAMによる評価は徐々に地域を拡大し
も、マレーシアが全病院の61%、サウジアラビア
て来ているが、地域ごとにEMRAMの定義が若
が51%、アラブ首長国連邦が39%と一部の国では
干異なっているので注意を要する(表3参照)
。
あるが、EMRAMの評価を積極的に行う国が増
表3 EMRAMの定義(地域別)
32
海外視察の報告
えて来ている。
一方、EMRAMの評価導入が遅れたアジア環
さて、気になる各国のEMRAMの評価結果
太平洋地域では依然としてステージ7の病院は
(EMRAMのステージ別施設数の割合)である
少なく、韓国の1病院(ソウル国立大学附属病
が、図2のようになっている。ステージ5以上
院)と中国の2病院(北京大学人民病院、中国
の比率で見ると、
シンガポールがトップとなり、
医科大学附属病院)の3病院のみである。シン
続いて米国、オランダ、スペインが続いている。
ガポールは公立の7病院が現在ステージ6であ
但し、シンガポール、オーストリア、オースト
るが、ステージ7を目指して新システムを構築
ラリア等の一部の国では公立病院等の一部病院
中とのことである。各国の医療機関のEMRAM
しかEMRAMを評価しておらず、その点は考慮
評価結果の平均値を図4に示す。
しなければならない。
図4 各国のEMRAM評価結果(平均値)
図2 各国のEMRAMの評価結果
4)Continuity of Care Maturity Model
(CCMM)
米国においてはステージ7の病院が2008年に
ITシステムの導入が進んでいる米国では、多
初めて現れ、現在240病院まで増えている。米国
くの病院(2015Q1で240病院)が既に最上位のス
におけるステージの変化を図3に示す。オバマ
テージ7を獲得していることもあり、HIMSSで
政権の政策の影響等により、急激に高機能ヘル
は、EMRAMを超える基準としてContinuity of
スケアITの導入ならびに病院内のプロセス改革
Care Maturity Modelを導入した。この指標はシ
が進んでいることが分かる。なお、EMRAMの
ステム間の情報交換の成熟度を示した指標で、
評価施設数も5,223施設(2010Q1)より5,462施設
医療機関や介護施設等での連携のし易さを表す
(2015Q1)と若干ではあるが増加している。
ものである。この指標も“電子的な情報交換の無
図3 米国におけるステージ別施設数の変化
いステージ0” から、“マルチベンダ/異事業者間
での緊密な連携ができるステージ7” までの8
段階に分類されている。
33
海外視察の報告
表4 Continuity of Care Maturity Modelにおける各ステージの定義
ステージ
定義
Stage 7
Knowledge driven engagement for a dynamic, multi-vendor, multi-organizational
interconnected healthcare delivery model
Stage 6
Closed loop care coordination across care team members
Stage 5
Community-wide patient record using applied information with patient
engagement focus
Stage 4
Care coordination based on actionable data using a semantic interoperable
patient record
Stage 3
Normalized patient record using structural interoperability
Stage 2
Patient-centered clinical data using basic system-to-system exchange
Stage 1
Basic peer-to-peer data exchange
Stage 0
limited to no e-communication
5)STEPS
STEPSは下記の5つの評価項目からIT投資の
HIMSSではヘルスケアIT技術の導入の指標と
効果を評価する仕組みであり、STEPSの調査項
してEMRAMやCCMMを導入して来た。一方、
目に基づいて病院が調査を行い、HIMSSに調査
政府組織や病院経営者からはヘルスケアITの投
結果を送ることにより評価が行われる。この
資によりどれだけの効果が上がったのかが分か
STEPSは2013年の7月にHIMSSより発表され、
らないといった不満があった。そこでHIMSSで
既に数百の病院でSTEPSを導入済みとのことで
はヘルスケアIT投資による臨床上、財務上の効
ある。
果等を定量的に評価できる指標を創案した。こ
れがSTEPSである。
表5 STEPSの評価項目
評価項目
評価内容
S
Satisfaction(満足度)
:患者、事業者、スタッフ等
患者様とのコミュニケーション向上、患者様満足度
アップ、組織内コミュニケーション向上
T
Treatment/Clinical(診療効果)
:安全性、医療の質、効率
患者様安全性向上、
医療ミスの削減、
再入院の減少、
スケジュール調整の向上
E
Electronic information/ Data
:根拠に基づく医療、データ共有、報告
根拠に基づくガイドラインの利用の増加、大衆健康
報告の増加、医療の質に関する定量的報告の増加
P
病態監視の向上、免疫管理の向上、長期的な患者様
Prevention and Patient Education(予防)
の状態の分析の向上、患者様に対するコンプライア
:予防、患者教育
ンスの向上
S
Saving(経営効果)
:財務/ビジネス、効率向上、処理能率
34
収入の増大、加療期間の削減、患者様待ち時間の削
減、緊急入院の削減、在庫管理の向上
海外視察の報告
6)アジア環太平洋地域諸外国の動向
中国のEMRAMの評価実施率は病院全体の
大会講演の多くを占めていたのは、各国のヘ
4%と低いが、評価実施施設数では848病院とア
ルスケアITの導入/開発状況や課題とそれに対
ジア中でも飛び抜けて評価実施施設数が多い。
する施策の話であったが、日本でも同様の発表
また、EMRAMステージ7の病院が北京大学人
が多くなされているので、本報告書では概要の
民病院、中国医科大学附属病院の2病院、ステー
みを報告する。
ジ6の病院が6病院とステージの高い病院も多
(1)シンガポール
く、ヘルスケアITの投資とEMRAMの評価を積
シンガポールは2000年には早くも電子カルテ
極的に行っていることが分かる。最近経済成長
を導入し、その後も積極的なヘルスケアIT投資
に陰りが見えるものの、今後もヘルスケアITの
を行って来たが、2008年にはIHiS(Integrated
整備は続くと思われる。
Health Information Systems)という非上場の会
(4)韓国
社(政府資本がかなり入っていると思われる)を
韓国の病院ではソウル国立大学附属病院が
設立し、公立病院のヘルスケアIT導入を進めて
EMRAMのステージ7を取っているが、他の病
来た。シンガポールのEMRAMステージ6の8
院のEMRAMの評価の話は無く、国としての
病院は、
すべてこのIHiSが構築を担って来た(シ
EMRAMの取り組みは遅れていると思われる。
ンガポールではステージ7の病院は無)
。
シンガポールのEMRAMの評価の平均値は5.3
4.出展企業
と世界トップであるが、公立病院のみが評価を
出展企業数は69社、大会協賛企業92社と、昨
実施しており(EMRAMの評価実施率は十数
年の出展企業数49社、
大会協賛企業60社に比べ、
パーセント)
、民間病院を含めたシンガポールの
大幅に増加した。ただ、新たに出展/協賛した企
病院全体でのEMRAMの評価値は未だ低いレベ
業が47社とあるものの、昨年出展した米国の大
ルにあると思われる。但し、国を挙げてスマー
手企業CISCO、GE、SAP等の26社が今年の出展
トヘルスケアに力を入れているので、今後は全
から消えており、安定的な大会運営という観点
病院でヘルスケアITが充実して来ると思われる。
からは厳しい出展状況かもしれない。
(2)マレーシア
EMRAMの評価を受けている病院が212病院
(全病院の61%)とアジアの中では飛び抜けて
ERMAMの評価実施率が高い。但し、現時点で
おわりに
海外出張はいつもエピソードが多いが、今回
は「会話」がらみでのエピソードが多かった。
のマレーシア全体のEMRAMの平均値は0.5と非
チャンギ国際空港からホテルまでのタクシー
常に低い。現在、マレーシア南部のイスカンダ
で、英会話に慣れるべく、タクシーの運転手と
ル地区(シンガポール周辺)にスマートシティ
話をしたが、通常の英会話に無いような単語が
を構築予定で、“To be a Strong and Sustainable
やたらと多い。タクシーの運転手に確認すると
Metropolis” とのスローガンのもとに開発を行っ
シンガポールの英語は独特でシングリッシュと
ており、今後ヘルスケアITの整備も進むものと
いうのだと自慢げに話してくれた。シングリッ
思われる。
シュのことは本等で知ってはいたが、その国の
(3)中国
人が誇らしげに言うとは思ってもみなかった。
35
海外視察の報告
幸い何とか慣れて、
「シンガポール名物のチキン
とができない海外の動向や活動者の熱気に触れ
ライスはどこがおいしい」等々、ホテルに着く
させて頂いた。HIMSS AsiaPac15に出張の機会
までの30分程話をした。産業の発展のため共通
を与えて頂いた工業会ならびに関係者各位に感
言語を英語にし、すべての国民に英語教育を施
謝を述べさせて頂き、私の出張報告を終わらせ
して、だれもが英語で話をし、“シンガポール版
て頂く。
英語” を誇らしげに話すシンガポールの地道な
努力と成果に改めて驚かされた。
大 会 初 日 の 夜 HIMSS-ELSEVIER Digital
Healthcare AWARD 2015の受賞記念パーティ
に招待されていたが、日本人の講演者もいるの
で、日本人と話をすれば良いと思っていたとこ
ろ、日本人は1人だけであった。受賞パーティ
前のカクテルタイムでニュージーランドの医師
と隣合わせになり、病気になる前の検診が大事
だと話をしていたら、内視鏡による胃の検査か
写真7 展示会場風景
らCTによる大腸検査にまで話が発展し、
「ヘル
スケアITよりは新しい画像診断装置が欲しいよ
ね。僕は放射線科医だから」とニヤッと笑って
いた。ニュージーランド医師の本音が見えた一
瞬であった。また、その後の受賞記念パーティ
はフルコースのディナーであったが、決められ
ていた席がHIMSS World Wideの最高経営責任
者やHIMSS Asia Pacific議長が座る円テーブル
であった。テーブルには数人しかいないので、
拙い英語で会話に参加させて頂いた。話す方に
頭が一杯で、何をしゃべり、何を食べたのかは
写真8 マリーナベイサンズホテル屋上プール
はっきりと覚えていないが、ヘルスケアITにか
ける熱い思い、そして大会を単にイベントと捉
えるのではなく、ビジネスと捉える彼らの姿勢
に共感を覚えた。
まだ、これ以外にもランチオンミーティング
の時に “日本のロボット犬の弁護をすることに
なったエピソード” や “キリスト教の牧師数人と
20分程話すことになったエピソード” 等色々あ
るが、紙面の関係もあり割愛する。
HIMSS AsiaPac15により、日本では触れるこ
36
写真9 ホテル前での光と水のショウ
トピックス
平成27年度 戦略企画部業務報告会 開催される
戦略企画部会各委員会の平成26年度事業活動内容と、平成27年度事業計画、トピックスを報告する
業務報告会が、平成27年7月10日(金)午後2時から関係者を含めた65名の参加を得て開催された。
特別講演として、日経BP社 日経デジタルヘルス 編集長小谷 卓也(おたに たくや)様に「メ
ディアから見たデジタルヘルス分野のトレンド」のテーマで、ヘルスケア分野のメディアから見た情
報システムのさまざまなトレンド、課題について講演を頂いた。参加したJAHIS会員も興味深い内容
に真剣に聞き入る姿が見受けられた。
以下に、当日の模様とプログラムを紹介致します。
●日 時:平成27年7月10日(金)14:00〜17:00
●場 所:JAHIS 第1会議室〜第4会議室
●プログラム
司会進行:岸本 芳典
Ⅰ 業務報告会(14:00〜15:40)
1.JAHIS全体活動紹介
部長 為国 雄一 14:00〜14:20
2.企画委員会報告
委員長 石井 雅弘 14:20〜14:35
3.調査委員会報告
副委員長 武田 芳朗 14:35〜14:45
4.保健医療福祉
情報基盤検討委員会報告
委員長 高橋 弘明 14:45〜14:55
5.コンプライアンス委員会報告
副委員長 坂庭 一彦 14:55〜15:05
6.ヘルスソフト対応委員会報告
委員長 黒野 満夫 15:05〜15:25
7.事業企画推進室報告
室長 吉村 仁 15:25〜15:45
Ⅱ 特別講演 (16:00~17:00)
◆講演:
「メディアから見たデジタルヘルス分野のトレンド」
◆講師:小谷 卓也(おたに たくや)様
日経BP社 日経デジタルヘルス 編集長
・閉会挨拶
運営会議議長 藤岡 宏一郎
37
トピックス
司会 岸本運営幹事
為国 戦略企画部長
石井 企画委員会委員長
武田 調査委員会副委員長
高橋 保健医療福祉基盤検討委員会
委員長
坂庭 コンプライアンス委員会
委員長
黒野 ヘルスソフトウェア委員会
委員長
吉村 事業企画推進室室長
日経BP社
日経デジタルヘルス編集長 小谷氏
閉会挨拶 藤岡運営会議議長
38
トピックス
ホスピタルショウ開催
1)ホスピタルショウ委員会の活動概要
本委員会では、国際モダンホスピタルショ
ウへの対応を中心に、JAHIS会員への出展案
内と出展取り纏めを実施しています。また、
九州ホスピタルショウでは、ブース展示を実
施しています。東京、そして福岡でJAHIS会
員以外の皆様にJAHIS活動を広報できる唯一
の場として、JAHIS活動のPRを対外的に広く
実施すると共に、
JAHIS発展に貢献するべく、
積極的な新規入会のご案内を実施しています。
(1)国際モダンホスピタルショウの活動状況
(平成23年度~平成27年度)
JAHIS展示ブースにおいて、各年度のテー
マに沿ったパネル展示を実施し、JAHIS会員・
会員以外の出展会社に広報を行い、JAHIS活
動の認知度向上及び集客に貢献しました。本
年度は出展におけるJAHIS会員会社の占める
割合は過去最高になりました。
また本年度のプレゼンテーションセミナー
は「医療IT業界をめぐる動向ガイダンス」と
題し実施しました。JAHIS会員・会員以外の
皆様に広く聴講いただき、JAHIS活動を広く
PRしました。
表1:国際モダンホスピタルショウの概況
開催年度
会期・開催日
会場
テーマ・演題
出展社数 入場者数(人) 展示面積
・
(全体) 聴講者数(人) (㎡)
2011年
7月13日~15日
東京ビッグサイト
(平成23年)
3日間
いのちの輝きを
!未来を創る健康・
医療・福祉へさらなる連携を目ざして
303
77,130
6,800
2012年
7月16日~18日
東京ビッグサイト
(平成24年)
3日間
健康・医療・福祉の明るい未来へ
~連携による安心社会の実現を目指して~
317
81,550
7,000
2013年
7月17日~19日
東京ビッグサイト
(平成25年)
3日間
健康・医療・福祉の明るい未来へ
~連携による安心社会の実現を目指して~
380
81,788
8,500
2014年
(平成26年)
2015年
(平成27年)
7月16日~18日
3日間
7月18日
7月15日~17日
3日間
7月16日
東京ビッグサイト
東京ビッグサイト
健康・医療・福祉の明るい未来へ
~連携による安心社会の実現を目指して~
プレゼンテーションセミナー(JAHIS主催)
・演題
「ヘルスソフトウェアにおける業界自主ルール活動の解説」
健康・医療・福祉の明るい未来へ
~連携による安心社会の実現を目指して~
プレゼンテーションセミナー(JAHI
S主催)
・演題
「医療IT業界をめぐる動向ガイダンス」
397
356
80,260
69
82,149
78
8,500
8,500
39
トピックス
(2)九州ホスピタルショウの活動状況
(平成23年度~平成27年度)
地域で開催されるホスピタルショウは本展
示会のみとなりましたが、平成22年度まで実
施していたセミナー講師の派遣から、JAHIS
展示に切り替え「国際モダンホスピタルショ
ウ」同様にパネル展示を行いました。展示会
出展会社も過去最高の出展社数となりまし
た。会場ではJAHIS会員・会員以外の全出展
会社に広報を行い、JAHIS活動の認知度向上
及び集客に貢献しています。
また、昨年第10回開催記念として実施され
た「情報交換(名刺交換)会」は本年度も実
施され、主催者である日本経営協会の幹部の
方々、九州ホスピタルショウワーキング委員
会の病院関係者の方々と交流が持て、大変有
意義な会となりました。
表2:九州ホスピタルショウの概況
開催年度
2010年
(平成22年)
会期・開催日
11月10日~11日
2日間
11月10日
会場
福岡国際会議場
テーマ・演題
出展社数 入場者数(人) 展示面積
・
(全体) 聴講者数(人) (㎡)
ありがとうが交差する明日の医療・介護・福祉
2,950
セミナー(JAHIS主催)
・演題
1.地域医療連携における情報セキュリティ
2.内服薬処方せん記載方法へのJAHIS提案
37
32
359
2011年
11月29日~30日
福岡国際会議場
(平成23年)
2日間
医療人の協働で切り拓く
明日の医療、介護・福祉
41
2,910
350
2012年
11月21日~22日
福岡国際会議場
(平成24年)
2日間
九州発 医療・福祉の新潮流
58
2,930
525
2013年
11月13日~14日
福岡国際会議場
(平成25年)
2日間
九州発 多職種連携による
健康・医療・福祉の展望
54
3,020
574
2014年
11月5日~6日
(平成26年)
2日間
九州発 地域連携による
健康・医療・福祉の新潮流
42
(53)
3,120
540
九州発 地域包括ケアの明るい未来へ
45
(52)
2,920
646
福岡国際会議場
2015年
10月21日~22日
福岡国際会議場
(平成27年)
2日間
40
トピックス
(3)JAHISホスピタルショウ交流会の活動状況
(平成26年度~平成27年度)
国際モダンホスピタルショウの会期に併せ
て出展社の交流会を実施し、JAHIS会員・会
員以外を含め45社101名の出席をいただきま
した。本年度のプレセミナーは「ヘルスソフ
トウェアにおける業界動向のその後」と題し
講演をしました。その後の懇親パーティーに
は主催者である日本病院会ホスピタルショウ
委員会委員長の大道久先生を来賓としてお招
きし、JAHISとの長年にわたる関わりも含め
ご挨拶をいただきました。
懇親パーティーを通じ会員以外出席の方々
へJAHIS活動のPRを広く行い、大変好評のう
ちに終了しました。今後も交流会を通じ、
JAHIS独自の展示による出展促進を行い、
JAHIS活動の認知と入会促進に貢献します。
表3:JAHISホスピタルショウ情報交換会の概況
開催年度
会期・
開催日
会場
テーマ・演題
出展社数 入場者数(人) 展示面積
・
(全体) 聴講者数(人) (㎡)
2014年
東京ベイ有明 「ヘルスソフトウェアにおける業界自主ルール活動の解説
7月16日
(平成26年)
ワシントンホテル
(ダイジェスト版)
」
55
122
−
2015年
東京ベイ有明
7月15日
(平成27年)
ワシントンホテル
45
101
−
「ヘルスソフトウェアにおける業界動向のその後」
41
トピックス
第54回HL7セミナー開催
国際モダンホスピタルショウ2015最終日の平成27年7月17日(金)午後、TFT(東京ファッション
タウン)において、日本HL7協会通常総会に引き続き、第54回HL7セミナーを開催いたしました。主
催は、日本HL7協会、司会は、情報教育委員会委員長である高坂さんが務めました。
今回のテーマは、
「SS-MIX事例紹介」でした。SS-MIXストレージには、地域医療連携システムや
医療情報データベース等様々な利用法があります。本セミナーではその実例として、香川大学医学部
附属病院、公立森町病院、医療法人志仁会 西脇病院、筑波メディカルセンター病院の4つの医療機関
において、実際にどのようにSS-MIXストレージを活用しているかの紹介と概説を行いました。
当日は、会員をはじめ115名の方に参加を頂き、浜松医科大学教授の木村先生のSS-MIXストレージ
解説に続き、4つの医療機関の事例について熱のこもった講演が行われ、盛況のうちに終了いたしま
した。
セミナープログラム
1.SS-MIXストレージ
15:00~15:15
日本HL7協会会長 浜松医科大学 教授 木村 通男
【概要】
SS-MIX標準化ストレージについての解説。
2.香川大学医学部附属病院の事例「かがわ遠隔医療ネットワーク」
15:15~15:40
香川大学医学部附属病院 医療情報部長 教授 横井 英人
【概要】
香川大学医学部附属病院におけるSS-MIX2活用の事例の解説。
3.公立森町病院の事例「SS-MIXストレージを利用した連携システムの構築」
15:40~16:05
公立森町病院 情報システム室 室長 城崎 俊典
【概要】
S S-MIX2を施設間連携、部門システム連携、地域連携、システム障害や災害対策等に利活用
した事例の解説。
4.医療法人志仁会 西脇病院の事例「地域医療連携システム」
16:05~16:30
株式会社SBS情報システム 取締役 清水 俊郎
【概要】
SS-MIXストレージを地域連携や部門システム連携など多目的に使用する事例の解説。
5.筑波メディカルセンター病院の事例「つくば小児アレルギー情報ネットワーク」
16:30~16:55
日本電気株式会社 医療ソリューション事業部 開発主幹 佐々木 文夫
【概要】
筑波メディカルセンターの行っている「つくば小児アレルギー情報ネットワーク」の事例の
解説。
42
トピックス
セミナーの様子
日本HL7協会会長 木村 先生
情報教育委員会 高坂 委員長
香川大学医学部 横井 先生
公立森町病院 城崎 先生
(株)SBS情報システム 清水 取締役
日本電気(株) 佐々木 開発主幹
セミナー会場(TFT)
43
トピックス
第35回医療情報学連合大会報告(2015/11)
1.大会概要
(1)大会名称:
ナーを開催いたしました。今回のテーマ
は、
「HL7の普及に向けて “e-Learning” の
第35回医療情報学連合大会(第16回日本
ご紹介」でした。我が国では、国際規格
医療情報学会学術大会)
ISO 27931(HL7 V2) を ベ ー ス と す る
The 35th Joint Conference on Medical
SS-MIX2が急速に普及しており、地域医
I n f o r m a t i c s ( T h e 16t h A n n u a l
療連携における診療情報共有、災害時
Conference of Japan Assocation for
バックアップストレージ、臨床データ
Medical Informatics)
ベース/レジストリー構築等、国の医療情
(2)会期:
報化基盤となっていますが、病院や企業
2015年(平成27年)11月1日(日)~11月
ではHL7を理解する職員は極めて少ない
4日(水)
のが実状です。日本HL7協会では、HL7
11月1日は従来プレ・コンファレンスと呼
Internationalが国際的に行って既に成果
ばれていましたが、参加者の利便性を考
を上げているe-Learningのコースのコン
え、大会第1日目としました。チュートリ
テンツを和訳し、日本語版e-Learningコー
アル等が主体で内容は従来と同じ。
スを開始しました。本セミナーでは、浜
(3)会場:
松医科大学教授の木村通男先生のHL7の
沖縄コンベンションセンター
概要とSS-MIXストレージでの利用につ
〒901-2224 沖縄県宜野湾市真志喜 4-3-1
い て の 解 説 に 続 き、 川 崎 医 療 福 祉 大
カルチャーリゾート フェストーネ
学 教授の岡田美保子先生の「なぜ、
HL7
〒901-2224 沖縄県宜野湾市真志喜 3-28-1
は日本の医療情報システムの標準基盤と
最寄駅:沖縄コンベンションセンター前
して定着しているか」と題して、医療情
(バス)
報における規格について、国際的動向、
我が国の医療情報化戦略、規格の実装可
2.講演概要
JAHISに関連する発表内容について、聴講し
能性、相互運用性をどう担保できるか等
の観点から示され、なぜHL7が医療情報
た概要を報告する。
標準化基盤として定着しているかを解説
●大会1日目(11月1日)
頂きました。最後に、HL7 V2を習得する
(1)チュートリアル5:
1)テーマ:
「HL7の普及に向けて“e-Learning”
のご紹介」
2)座長:高坂 定(日本HL7協会)
て、情報教育委員会 高坂委員長から解
説されました。
当日は、会員をはじめ42名の方に参加
3)演者:木村 通男(浜松医科大学)他
を頂き、質疑応答で予定の時間を超過す
4)概要
るほどの盛況のうちに終了いたしました。
初日平成27年11月1日(日)13:30~15:30
で、日本HL7協会主催の第55回HL7セミ
44
手段としての “e-Learning” の概要につい
トピックス
るためには、今後追求すべき方向と言え
る。
診療情報の電子化は情報の高度利用を
可能にし、個々の患者にも社会にも大き
な利益をもたらす。そのためにはプライ
バシー権の保護は必須の要件であり、ま
たそのためのコストも下げなければなら
ない。プライバシー権の流動性に注意し
ながら、システムに自体にプライバシー
日本HL7協会会長 木村 先生
保護の概念を導入するプライバシー・バ
イ・デザインに取り組むべきである。
(2)2-A-2 大会企画1
1)テーマ:
「改正個人情報保護法 -要配
慮情報の利活用-」
2)座長:山本隆一(東京大学大学院医学
系研究科/MEDIS-DC)
3)概要
個人情報の保護に関する法律の改正
が、2015年9月3日に成立した。およそ2年
以内に実施される予定になっている。今
川崎医療福祉大学 岡田先生
●大会2日目(11月2日)
(1)2-A-1 大会長講演
1)テーマ:
「医療と個人情報保護」
2)演者:山本隆一(東京大学大学院医学
系研究科/MEDIS-DC)
3)概要
これまでの情報システムは情報を単純
に利活用することを主題に設計されてい
るが、プライバシー権の保護を当初から
システムに組み込むことも不可能ではな
い。このような考え方をプライバシー・
バイ・デザインと呼ぶが、ユーザの労力
をできる限り、医療そのものに向かわせ
回の改正はデータ指向時代において、プ
ライバシーの保護を確実にするととも
に、適切な利活用を促進するためのもの
であり、また海外の制度との整合を図る
ことも改正点の1つとなっている。わが国
の個人情報保護法制は分野を特定しない
包括法であり、改正法でもその点は変わ
らないが、かなり大きな変更もなされて
いる。特に「病歴」情報が要配慮情報と
されるなど、医療健康情報の取り扱いに
もこれまでとは異なる配慮が要求される
と思われる。本大会企画では、特定個人
情報保護委員会の手塚悟先生、改正案の
とりまとめに中心的役割を果たした元内
閣官房IT総合戦略室パーソナルデータ関
45
トピックス
連制度担当室 内閣参事官 瓜生和久さん、
(3)2-D-1 一般口演3
厚生労働省の担当官、この分野に詳しい
1)テーマ:標準化
コンサルタントの日立コンサルティング
2)座長:澤 智博(帝京大学)
、
の美馬研究員を迎えて、改正法のもとで
星本 弘之(筑波大学附属病院
要配慮情報となった医療情報の利活用に
医療情報部)
ついて議論を行った。10年ぶりの個人情
報保護法制の改正であり、
ビッグデータ、
3)概要
医療情報の標準化についての演者は6
オープンデータの時代に情報の利活用が
名であった。それぞれの先生より順番に、
不当に妨げられることがあってはならな
各演題についての発表があった。まず、
い。その一方でプライバシーは基本的人
2-D-1-1の発表では、2017年度公表予定の
権とされており、侵害は許されない。た
ICD-11のICD改訂作業にて、疾病・死因合
だプライバシーの概念はたぶんに主観的
同リニアライゼーション(JLMMS)と呼
であり相対的でもある。機微な情報であ
ばれる分類が構築され、そのJLMMSの質
る医療・健康情報では個人情報の利活用
向上がICD-11改訂の重要な要素であるこ
に関してはプライバシーの侵害はおこし
とが報告された。次に2-D-1-2の発表では、
てはならない。しかし、医療・健康情報
標準規格認定の標準臨床検査マスター
の利活用が医学の発展、社会保障制度の
(JLAC10コード採用)は、多くの医療機
維持などの公益性の高い用途があること
関の臨床検査で普及せず、施設独自の
は間違いなく、逆に適切な利活用の阻害
ローカルマスター使用による精度向上が
は大きな社会的損失になりうる。またプ
課題である点をローカルマスターに対す
ライバシーの侵害がなければ医療・介護
る自動JLAC10コーディング手法により
周辺産業の発展は歓迎すべきものであ
精度向上が達成されたことが報告され
り、そのための利活用も阻却されるべき
た。2-D-1-3の発表では、電子処方箋の運
ものではない。つまりプライバシーの保
用に向けた情報標準化の課題(実装・運
護と高度な利活用という二兎を追うこと
用上の問題)を処方情報・調剤情報の標
が切に求められる分野であり、有意義な
準的記述規格案の策定及び、新たに開発
セクションとなった。
のHL7CDAファイルをSS-MIX2標準化ス
トレージ上のオーダデータから生成の検
証プログラムで医師・薬剤師の電子署名
付与、検証時の操作などが従来規格より
も簡素化される等、本記述規格が対応可
能であることが報告された。2-D-1-4の発
2-A-2 大会企画1の会場風景
表では、SS-MIX2拡張ストレージの利用
により、2014年度からIHE-J循環器委員会
及び日本循環器学会の協力で標準化され
46
トピックス
た心電図、心臓超音波、心臓カテーテル
の広がりを反映してか、会場は開始直前
検査の標準レポート出力形式策定が2015
には既に満員となり立ち見が出る状況で
年 3 月 承 認、2015 年 8 月 JAHIS 標 準 類
あった。演者は6人の先生方で、そのう
(JAHIS診療文章構造化記述規約 共通編
ち4名は現在運用している地域医療シス
ver.1.0、JAHIS生理機能検査レポート構造
テムについての現状の取り組みと展開に
化記述規約ver1.0、JAHIS心臓カテーテル
ついて発表。後の2名は、利用者のアン
検査レポート構造化記述規約ver1.0)とし
ケート調査結果またニーズ調査について
て公開されたことが報告された。2-D-1-5
の発表であった。
の発表では、MML Ver4改訂に向けた議
まめネットではこの2年間でサービス
論を行うため、MML Ver3へのモジュー
を拡張してきており介護連携サービスま
ル追加・他標準規格との互換性向上の要
で拡張してきた内容について報告。あじ
望等を考慮してMMLデータ構造をモデ
さいネットでは、11年間運用してきて
ル化(ISO13606標準のarchetype)した概
おり今回検査データの共有機能を追加し
念モデルの再構築を実施したことが報告
た内容について報告。和歌山県医療連携
された。
システムでは一方向の連携基盤に、診療
所、調剤薬局、歯科診療所等小規模機関
の連携機能を実装し、また診療所から介
護事業者までの地域包括ケア支援システ
ムの構築について報告。宮城地域医療連
携ネットワークシステムでは、センタ集
中型SS-MIX2を基盤とするシステムを構
築する上での課題と対処法が紹介され、
今後の機能拡張に有効活用していくこと
が報告された。
地域医療連携システムの活用に関する
2-D-1 一般口演3の会場風景
(4)2-F-3 一般口演9
1)テーマ:地域医療連携1
2)座長:近藤 博史(鳥取大学)
、
松坂 方士(弘前大学医学部付
属病院医療情報部)
3)概要
最近の地域医療連携システムの全国へ
利用者アンケート調査では、代表的な5
つのシステムの全ての利用者を対象に目
的、活用頻度、利用費用についてアンケー
トを行い、利用頻度は低いながらも有効
性は比較的高く評価され、必要なときに
具体的な診療情報が閲覧出来るシステム
の利便性および基盤があること自体につ
いての評価はあるものの、今後の存続に
向け効果を明らかにする課題が報告。ま
た、鹿児島県における、在宅医療と介護
47
トピックス
のICT支援ニーズ調査では、調査を実施し
が講演を行った。講演後にフロアの方々
た304施設の在宅療養支援診療所・支援病
と質疑応答が行われたが、
質問者が多く、
院等の過半数は既にICTを活用しており、
しかも質問内容が医療等IDの根幹に関
積極的なICT支援を望む意見が多かった
わるものであり、濃密な内容の講演会で
ものの単独診療を行っている施設からは
あった。以下得られた情報及び関連情報
ICT支援に否定的な意見が多かったこと
を報告する。
が報告された。
(Ⅰ)
「日本再興 戦略」改訂2015(2015
年6月30日閣議決定)の概要
○医療等分野における番号制度の導入
・セキュリティの徹底的な確保を図
りつつ、マイナンバー制度のイン
フラを活用し、医療等分野におけ
る番号制度を導入する(2018年度
から段階的運用開始、2020年度ま
でに本格運用)
。
・地域の医療機関間の情報連携や、
研究開発の促進、医療の質の向上
2-F-3 一般口演9の会場風景
●大会3日目(11月3日)
(1)3-A-1 大会企画2
1)テーマ:
「医療福祉分野における番号制
度のあり方」
2)座長:石川 広巳(日本医師会)
山本 隆一(東京大学大学院医
学系研究科)
3)概要
2015年6月30日に閣議決定された「
『日
本再興戦略』改訂2015」の中に、
「医療等
分野における番号制度(いわゆる『医療
等ID』
)導入」が盛り込まれ、大臣官房
番号制度担当室向井室長、厚生労働省情
報政策担当参事室高木企画官、東京工業
大学大山教授、日本医師会石川常任理事
48
に向け、医療等分野における番号
の具体的制度設計や、固有の番号
が付された個人情報の取扱ルール
を検討する(本年末までに一定の
結論を得る)
。
(Ⅱ)医療等IDの検討状況
○厚生労働省政策統括官(社会保障
担当)による研究会として「医療
等分野における番号制度の活用等
に関する研究会」が2014年5月30日
より計9回開催され(連合大会開
催時点にて)
、医療等IDについて検
討して来た。
○上記研究会と平行して日本医師会
が「医療分野等ID導入に関する検
討委員会」を2015年3月4日から計
4回開催し(連合大会開催時点に
て)
、医師会としての方針を検討し
トピックス
て来た。本委員会には内閣官房、
○医療等IDを生成、発番する仕組
総務省、厚生労働省、経済産業省
みを新たに構築するのではなく、
の担当者もオブザーバとして参加
マイナンバー制度で整備されるシ
し、検討内容を共有して来た。
ステムやインフラを最大限活用す
*本大会企画の講演は上記研究会と
る。特に、情報の連携や突合を行
委員会のこれまでの検討結果をま
う際には、マイナンバー制度の機
とめた形として報告が行われた。
関別符号と情報ネットワークシス
今後本年末までに基本方針を決定
テム(コアシステム)の関係を利
す る と の こ と で、 本 大 会 企 画 も
用するのが望ましい。
色々なご意見を伺う場の一つとの
説明であった。
(Ⅲ)方向性が(ある程度)固まってい
る内容
○発番機関は既存の枠組みを最大限
活用する。具体的には、保険資格
のオンライン確認については、社
会保険診療報酬支払基金と国民健
○医療等IDはマイナンバーではな
康保険中央会が合同で発番する仕
く、医療等分野専用の番号制度を
組みを検討している。また、その
導入する。
他の医療等IDについては、この
○一人に対して目的別に複数の医療
仕組みを利用するか、別途、例え
等IDを付与できる仕組みとす
ば地方公共団体情報システム機構
る。たとえば、医療・介護連携用
から直接発番する方法や、MEDIS-
医療等ID、保険の資格確認に用
DCが発番する方法等を検討して
いる医療等ID、保険者間の健診
いる。
データの連係に用いる医療等ID
等
(Ⅳ)方向性がまだ不透明な内容
○医療等IDの記載・格納場所はい
○上記の各医療等IDは「医療用の
くつかの案が出ているが未だ方向
キーとなる識別子(見えない電子
が決まっていない。例えば、①個
的符号)
」に基づき発番される。な
人番号カード(個人番号カードに
お、当然のことであるが、
「キーと
保険証の機能も集約)
、②現行保険
なる識別子」と各医療IDとの間
証の活用(現在の保険証に医療等
には表面上の関連性は無く、各医
IDを記載する)等が検討に上
療等IDの情報を突合する必要が
がっている。
ある場合は、
「キーとなる識別子」
○医療等IDは視認できる番号(
「見
と各医療IDとの関連情報を持っ
える番号」
)にするのか、視認でき
ている「情報提供ネットワーク(コ
ない番号(
「見えない電磁的符号」
)
アシステム)
」を利用して突合する
とするのか。
とのこと。
○医療機関等で医療等IDを使用す
49
トピックス
る場合、医療機関等では対応する
ⅲ)医療情報化基盤構築のリーダシップ
機材が必要になるが、それをだれ
が負担するのか。
○医療等IDを使うに際しては、国
(3)3-B-2 共同企画4
1)テーマ:
「6臨床学会が進める4慢性疾
民に医療等IDを正しく知っても
患の項目セットによるPHR事業」
らい、医療等IDを利用する際の
2)座長:谷澤 幸生(日本糖尿病学会)
中島 直樹(日本医療情報学会)
注意点についても理解してもらう
必要がある。しかし、未だ国民へ
の周知方法が十分議論されていな
い。
3)概要
日本医療情報学会、日本糖尿病学会、
日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日
本腎臓学会、日本臨床検査医学会の6臨床
以上得られた情報を記載したが、未だ
学会は2014年度までに内閣官房の調査事
決めなければならないことが多々ある。
業等として生活習慣病(糖尿病、
高血圧、
今後、政府等の動向を注視していく必要
脂質異常症、慢性腎臓病)の項目セット
があると感じた。
の策定を進め、これらのデータ利活用等
を検討実施してきた。今回、PHR事業の
(2)3-A-2 学会長講演
ニーズ、デジタル基盤としてのバック
1)テーマ:
「EHRとEHR-CR基盤 ― 臨床
アップの必要性などについて、日本糖尿
的・技術的・社会的・倫理的観点から
病学会からは、東京慈恵会医科大学の田
みた日本医療情報学会のリーダシップ」
與直子先生、国立国際医療研究センター
2)演者:岡田 美保子 (日本医療情報学
会 会長)
3)概要
50
の野田光彦先生、日本医療情報学会から
は、今回の座長を務める九州大学のの中
島直樹先生、一般社団法人医療情報シス
日本医療情報学会(Japan Association
テム開発センターの有吉豊徳先生が登
for Medical Informatics: JAMI)では、医
壇、発表され、その後、
「PHR事業実現の
療情報学における膨大な研究テーマと解
ための課題」と題して、全員参加による
決すべき課題の中で、学会という組織体
パネルディスカッションが行われ、PHR
として当面取り組むべき課題を取り上
に関係する各プレーヤ(患者、専門医、
げ、2014年6月に「日本医療情報学会とし
かかりつけ医、連携医、看護師、調剤薬
ての課題と活動計画」を公表した。その
局、薬剤師会、医師会、歯科医、行政、
主な活動について紹介し、目指す医療情
保険者、研究者等)による評価や、PHR
報化基盤について述べた。主なテーマは、
普及の条件、阻害要因等にも言及、多方
下記である。
面による議論、多数の発言があり、総論
ⅰ)
医療情報学の専門的人材
として、国民の健全な健康管理、慢性疾
ⅱ)EHRおよびEHR-CRの戦略的取組み
患のリスク軽減の観点からもPHR事業
トピックス
(デジタル生活習慣病手帳)の整備は必須
であり、連携を図るべきであるとの結論
にいたった。
カッションを行った。
松本先生からは、あじさいネット利用
者に対するアンケートを運用開始より
11年間で4回実施してきており、運用
評価(利用されている)
、効果評価(地域
医療の質を改善させている)
、患者満足度
評価(患者が満足している)の観点の推
移から地域医療システムの評価を分析
し、全ての観点において効果が高い結果
が出たことで、医療情報連携システムの
利用は地域医療完結型医療において効果
的であることが報告された。合地先生か
らは晴れやかネットの現状が報告され、
3-B-2 共同企画4の会場風景
●大会4日目(11月3日)
(1)4-A-1 シンポジウム2
1)テーマ:
「地域医療連携システムの評価
のあり方を考える」
2)座長:白鳥先生(名古屋大学)
渡邊先
生(聖路加国際大学)
3)概要
最初に座長の渡邊先生より、この数年
で地域医療連携システムは急激に全国へ
広がって来ており、一部のシステムで実
施した調査において、利点・必要性の観
点からも、また、システム存続性の観点
からも有効で必要で有るとの意見が大半
であるものの、維持管理が高価、一方向、
共有コンテンツが未決定など、今後医療
情報の価値・評価をどの様にしていくべ
きかの課題が投げかけられそれに回答を
行う形で、4名の演者の先生方から取り
組み内容の発表ならびにパネルディス
情報の一方向性が課題で有り双方向の仕
組みの構築が必要、また異なったベンダ
間でのシームレスな情報の連携が必要で
ある事が強調され、システム評価の観点
から今後取り組むべき、晴れやかネット
における評価項目(私案)が紹介された。
石田先生からは、地域医療システムの費
用対効果における効果指標の文献的検討
として、地域医療システムの効果評価が
必要となっている背景、
医療経済評価(費
用対効果・費用便益)の手法、地域医療
連携システムで測定可能な定量的効果指
標について、医療情報システムの医療経
済評価の文献事例の紹介、今後に向けて
のシステム評価のための指標情報取得の
課題について紹介があり、地域医療連携
システムの運用・維持管理費用を誰が何
を目的に負担するかが喫緊の課題であ
り、日常診療における具体的な質指標・
効果指標の取得を検討しシステムに組み
入れることを考慮すべきと纏められた。
吉村厚生労働省医政局医療技術情報推進
51
トピックス
室長補佐からは、厚生労働省におけるICT
の取り組みについて、昨年度実施の地域
医療情報連携ネットワーク構築状況等調
査、地域医療ネットワークの導入による
効果(厚労省委託事業)などについて紹
介されるとともに、来年度(平成28年
度)要求している、
「医療情報連携ネット
ワーク構築支援サービス(仮称)事業」
「診療ガイドライン等整備事業」などの内
容について報告された。
4-A-1 シンポジウム2の会場風景
52
トピックス
日本薬剤師会学術大会(2015/11)
日薬展示委員会では、毎年秋の連休の2日間、
上回ることができました。会場は、鹿児島中央
開催地を変えて開催される「日本薬剤師会学術
駅を起点として、市内のエリア2会場、南エリア
大会」
(主催:公益社団法人日本薬剤師会、開催
4会場に分散する中、OA機器展示は南エリアに
地の都道府県薬剤師会)の併設展示・OA機器
ある鴨池ドームで開催されました。OA機器展示
コーナーの出展取りまとめ、小間割り~小間設
は20社が出展、電子薬歴システムをはじめ、在
営~大会当日運営管理、集客活動等を行ってお
宅支援関連システム、チェーン薬局向けシステ
ります。
ム、
電子お薬手帳などの最新システムを展示し、
日本薬剤師会学術大会は、1968年(昭和43年)
各社ブースは熱心に説明を受ける来場者で賑わ
の第1回東京大会(日本薬剤師会創立75周年式
いを見せ、薬局のIT化への強い関心を感じるこ
典)に始まり、保険調剤はもとより、在宅医療、
とができました。
介護、地域医療など薬剤師が携わる業務の学術
的な発表を行う場として開催されています。全
そして来年度は、第49回日本薬剤師会学術大
国から多数の薬剤師が一同に参集する業界最大
会・愛知大会として、
「プロフェッションを追求
規模の学術大会で、2015年で第48回を迎えまし
する ~Best and beyond~」と題し、2016年10
た。来場者数は、近年では7,000人前後の規模で
月9日(日)~10日(月・祝)に愛知県名古屋市
推移しています。それとともに、薬局向けシス
で開催されます。愛知県での開催は、
1999年(平
テムメーカーにとっては年間最大規模の製品展
成11年)の第32回愛知大会以来、17年ぶり4回
示、新製品発表の機会となっています。
目となります。大会会場は、名古屋国際会議場
と、隣接する名古屋学院大学・名古屋キャンパ
今年度は、第48回日本薬剤師会学術大会・鹿
ス白鳥学舎の2会場に集約され、OA機器展示は
児島大会として、
「噴き上がれ!湧き上がれ!私
名古屋国際会議場内と伺っております。会場分
たちの熱き思い~地域に求められる薬剤師とし
散による集客減の心配も少なく、日本の中央地
て ~」 と 題 し、2015年11月22日( 日 ) ~23日
点に位置する大都市・名古屋は、全国から集う
(月・祝)に鹿児島県鹿児島市で開催されまし
には豊富な宿泊施設に加え、交通の便(中部国
た。例年より遅い11月下旬の開催となったのは、
際空港、東海道新幹線、各方面からの高速道路
台風シーズンを避けてのことと聞いておりまし
等)においても、至便な環境にあります。それ
たが、予想外に2015年に入って鹿児島市からほ
だけにより多くの来場者が見込まれ、愛知県薬
ど近い桜島の火山活動が活発化、噴火警戒レベ
剤師会はその期待感とともに責任の大きさを実
ルが3(入山規制)からレベル4(避難準備)に
感されていることと思われます。今回も例年通
引き上げられた時もあり、一時期は大会開催へ
り、JAHISがOA機器コーナー全体の運営を請け
の影響が心配されましたが、無事に終了できて
負うべく、すでに愛知県薬剤師会会長や開催事
ホッとしています。
務局の皆様と接触を開始しております。出展企
会期中の天候は、小雨がぱらつくこともあり
業各社の皆様にご満足頂ける成果を出すべく取
ましたが概ねは恵まれ、最終登録者数は7,295人
り組んでまいる所存ですので、来年度も何卒よ
となり、昨年の山形大会(約6,000人)を大きく
ろしくお願い申し上げます。
53
トピックス
以下に、第49回日本薬剤師会学術大会・愛知大会の概要を記します。
◆第49回日本薬剤師会学術大会・愛知大会
1)開催期間:2016年(平成28年)10月9日(日)~10日(月・祝)
2)開催場所:名古屋国際会議場、名古屋学院大学・名古屋キャンパス白鳥学舎
3)メインテーマ:
「プロフェッションを追求する ~Best and beyond~」
また、2017年以降の日本薬剤師会学術大会もすでに決定していますので、下記に記します。
■第50回日本薬剤師会学術大会
会 期:2017年(平成29年)10月8日(日)~9日(月・祝)
開催地:東京都
■第51回日本薬剤師会学術大会
会 期:2018年(平成30年)9月23日(日・祝)~24日(月・振休)
開催地:石川県金沢市
■第52回日本薬剤師会学術大会
会 期:2019年(平成31年)10月13日(日)~14日(月・祝)
開催地:山口県下関市
54
部会から
JAHISコンプライアンス委員会
コンプライアンス委員会
副委員長
鈴木 義規
JAHISでは2013年4月にコンプライアンス委員会を発足し、コンプライアンス活動を推進していま
す。今回改めて、発足の趣旨等を含めてご報告させて頂きます。
1.発足趣旨
JAHISが一般社団法人として発足してから5
年が経過しました。この間にJAHISの医療IT分
野での役割はますます期待されるものとなって
おります。
JAHIS活動を推進する上では、独占禁止法、
不正競争防止法等の疑義を招くことなく、社会
的に意義のある活動を推進していくために、法
律上のリスクに見合ったコンプライアンス体制
を整備し、会員が安心して工業会に参加できる
ようにする必要があり、2013年4月よりコンプラ
イアンス委員会を発足し活動しております。
2.委員会の活動目的
◆「法人」として、コンプライアンス活動を
推進する
◆法令違反が起こりにくい風土を作る
◆P DCAサイクルを構築し、恒常的な活動を
推進する
・委員長は運営会議議長又は副議長が兼ねる
・事務局は運営部長が兼ねる
・委員は全部門の7部門より代表者を選任する
4.主な活動
1)
〔2013年4月〕
「基本ルールの作成」
①基本理念の作成、②コンプライアンス宣言の
制定、③コンプライアンスルール(規程、実施
細則)の作成、④啓発資料(ポスター)の作成
2)
〔2014年1月〕※1
「競争法コンプライアンス関連の運用の開始」
①主催のすべての会議にて
◆JAHIS内会議室にポスターを掲示
3.委員会体制
◆運営会議の直下に「コンプライアンス委員
会」を設置
55
部会から
◆会議開催通知に「留意事項」の記載
◆出席者座席表に「留意事項」の記載
◆開催冒頭でのコンプライアンス宣言の唱和
◆会議議事録に宣言を行った事の記載
②主催の懇親会と賀詞交換会にて
◆開催冒頭で主催者または進行役よりのコン
プライアンス宣言の唱和
3)
〔2014年7月〕
「アンケート調査運用の整備」
◆「アンケート運用」を記載し手順を整備
4)
〔2014年10月〕※2
「競争法コンプライアンス2014年自己監査」
◆7、8、9月を検査対象月として、10月に自己
監査を実施、12月にPDCAシートにて報告
56
5)
〔2015年3月〕
「会員向け啓発活動」
◆コンプライアンスカードの作成・配布
6)
〔2015年:検討中〕
「取扱いに注意を要する情報」の管理」
◆規定(案)を作成
7)
〔2015年:検討中〕
「個人情報保護」
◆各部会の保有個人情報の調査を実施し、個
人情報保護規定案の作成に着手
8)
〔2015年10月〕※2
「競争法コンプライアンス2015年自己監査」
◆7、8、9月を検査対象月として、10月に自己
部会から
監査を実施、12月にPDCAシートにて報告
5.今後の進め方
JAHISが社会的存在である以上、社会のルー
ルである法律や社会良識に沿った活動を行う必
要があります。いったん違法行為が発覚すると、
行政的な処分を受けるだけでなく、当たり前の
責任を果たしていない法人として、
信用を失い、
多額の損害賠償を求められる等、活動継続が不
可能になることもあります。
社会的に意義があり使いやすく安全な情報シ
ス テ ム の 推 進 が 行 わ れ る 活 動 す る た め に、
JAHIS理念として「その価値が経済の中で正当
に評価され、健全な競争のもとにビジネス商品
として定着してはじめてその使命を果たすこと
ができる」と規定されています。
その理念に沿って、コンプライアンス宣言で
は「私達 一般社団法人保健医療福祉情報シス
テム工業会(以下JAHISと言う)は、健康で豊
かな国民生活の維持向上に貢献する活動におい
て、JAHIS理念に基づき、高い倫理性と順法の
精神をもって行動することを宣言します。
」と明
記いたしています。
2014年1月より開始した競争法コンプライア
ンスの運用は、
会議や懇親会での宣言等々は(※
1)ほぼ100%定着し、
JAHIS内のすべての部会、
委員会とその下部組織を対象とした「競争法コ
ンプライアンス自己監査」
(※2)も2014年、
2015
年とPDCAサイクルにて実施して、
JAHIS会員に
啓発を行っています。
現在は、
「個人情報保護管理」と「国家公務員
倫理規定」
について検討作業を進めております。
さらにはマイナンバー制での個人情報の保護管
理についての検討も推進し、規程の整備と運用
の定着を進めていく予定です。
法の執行を強化する傾向にあります。JAHISに
おいても、競争法上の疑義を招くことなく活動
を行っていくためには、会員全員でコンプライ
アンス活動を理解し推進していただく必要があ
ります。
JAHISでのコンプライアンス活動はまだ日が
浅く、各部会代表の委員よりルール・運用のご
相談等が発生すると考えます。コンプライアン
ス活動へご協力のほどを宜しくお願いいたしま
す。
本活動は、会員の皆様が安心してJAHIS活動
にご参加頂けるようにするためのものですの
で、是非主旨をご理解頂きご協力を宜しくお願
いします。
以上
6.コンプライアンス活動へのご協力依頼
370数社が接触する場であるJAHISでは、少な
からず競争法上のリスクが存在しております。
また、わが国だけでなく欧米等各国でも競争
57
部会から
ヘルスソフトウェア対応委員会とGHSの活動
ヘルスソフトウェア対応委員会
委員長
黒野 満夫
1.はじめに
るかどうかに関し、
「プログラムの医療機器への
2014年11月25日からプログラムが医療機器と
該当性に関する基本的な考え方について」とい
なる医薬品医療機器等法が施行され、それに合
う通知が、
平成26年11月14日に行われています。
わせて、JEITA、JIRA、JAHISの3工業会が2014
医療機器プログラムは、汎用コンピュータや
年8月1日一般社団法人ヘルスソフトウェア推進
携帯情報端末等にインストールされた有体物の
協議会(GHS)を設立しました。GHSは、法規
状態で、医療機器としての目的を持って利用さ
制対象外のヘルスソフトウェア開発に関する業
れていることになります。
界自主ガイドラインを公表し、登録制度を行っ
ています。
図 医療機器プログラムの利用形態
この法規制対象外のヘルスソフトウェアに対
応する活動を行っているヘルスソフトウェア対
応委員会とGHSの活動について、説明したいと
思います。
2.プログラムの医療機器への該当性について
医薬品医療機器法では、
『
「医療用具」とは、
人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予
防に使用されること、又は人若しくは動物の身
体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目
的とされている機械器具等であって、政令で定
めるもの』とあり、
「もの」に、プログラムが含
まれました。
政令では、プログラムとして、疾病診断用プ
プログラムは、各社からプロダクトとして提
ログラム、疾病治療用プログラム、疾病予防用
供されていますが、それぞれのプロダクトが医
プログラムがあり、
「副作用又は機能の障害が生
療機器に該当するかどうかを考える際には、厚
じた場合においても、人の生命及び健康に影響
労省からの通知で示された「該当性に関する基
を与えるおそれがほとんどないもの」が除かれ
本的考え方」を参照してください。該当すると
ています。
判断した場合は、
医薬品医療機器法に準拠して、
このプログラムについて、医療機器に該当す
58
プロダクトを提供する必要があります。
部会から
医療機器に該当しないプロダクトにおいて
「医薬品医療機器等法に該当しないと判断し
も、リスクの考慮が必要なものは、GHSのガイ
たプロダクトに関する注意喚起_第1報」発行
ドラインを適用した開発をすることが必要です。
③2015年5月26日
「国際モダンホスピタルショウ2015展示に関
図 提供するプロダクトの種類
する留意事項説明会」実施
特に、③については、
「自社プロダクトで非該
当と判断されたプロダクトの製品名やカタログ
他での使用目的の説明等の表現について、見直
すことを推奨する。
」ことを目的に、国際モダン
ホスピタルショウをトリガに開催した説明会
で、JAHISアーカイブに資料をアップロードし
ていますので、参照して下さい。
プログラム医療機器の該当性判断時の考慮点
は、以下の2点です。
①プログラム医療機器により得られた結果の
重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度
また、医薬品医療機器法の施行に関連した対
応等について、
JAHIS会員向けサービスとして、
メールによる相談窓口を開設して、対応を行っ
ています。
寄与するのか。
②プログラム医療機器の機能の障害等が生じ
現在は、JIRA、JEITA、JAHISで行っている
た場合において人の生命及び健康に影響を与え
サイバーセキュリティ運用検討会議に、セキュ
るおそれ(不具合があった場合のリスク)を含
リティ委員会と連携して参加しています。
めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか。
通知には、医療機器に該当すると考えられる
プログラム及び医療機器に該当しないと考えら
れるプログラムの代表的なものについて、別添
で例示されています。
4.ヘルスソフトウェア推進協議会(GHS)
の活動
GHSの活動については、ヘルスソフトウェア
委員会メンバが、技術教育委員会に委員として
参加し、技術教育のコンテンツの一部作成、コ
3.ヘルスソフトウェア委員会の活動
ンテンツレビューなどを行っています。
ヘルスソフトウェア対応委員会は、医療用ソ
また、GHSが主催しているリスクマネジメン
フトウェア対応WGを引き継いだ委員会で、毎月
ト・トレーニング、エキスパート・トレーニン
1回の委員会活動を行っています。また、以下
グの運営支援を行っています。
のような、
イベント対応活動も行ってきました。
①2015年1月26日
「該当性判断読合せ会」実施
②2015年3月31日
GHSのコースフローを図に示していますが、
ヘルスソフトウェア開発を行うにあたって、基
礎的な知識の得られるリスクマネジメント・ト
レーニング講座を受けられることを推奨します。
59
部会から
ムにインストールした製品の使用方法につい
図 GHS教育コースフロー
て、インストール方法(ダウンロード等)から
順を追って、必要に応じて図解する等により、
分かりやすく記載すること。他の品目と組み合
わせて使用する場合、組み合わせて使用する機
器等を含めた使用方法を説明すること。
」とあ
り、インストール方法など使用方法を明記する
ことが求められています。
(2)
「医療機器プログラムの取扱いに関するQ
&Aについて」から
Q4 医 療 機 器 プ ロ グ ラ ム を 汎 用 コ ン
ピュータにインストールした上で、製造販
5.医療機器プログラムに関する通知から
見える留意事項
医療機器プログラムに関連する通知類とし
て、平成26年11月21日「医療機器プログラムの
取扱いについて」
、平成26年11月25日「医療機器
売しようする場合には、汎用コンピュータ
も含めた医療機器として承認(認証)する
必要があると考えてよいか。
A4 貴見のとおりである。
プログラムの取扱いに関するQ&A(事務連
こ れ は、 医 療 機 器 プ ロ グ ラ ム を 汎 用 コ ン
絡)
」
、平成27年9月30日「医療機器プログラムの
ピュータに入れて販売することが、医療機器の
取扱いに関するQ&Aについて(その2)
(事務
販売となるため、全体を医療機器として取り扱
連絡)が発行されています。
う必要があるということになります。
これらの通知類には、医療機器プログラムに
該当しないプロダクトを提供している者にとっ
ても、参考となる情報が入っていますので、い
くつか以下に挙げたいと思います。
(1)
「医療機器プログラムの取扱いについて」から
プログラムが医療機器に該当するか否かの具
体例等について、
「プログラムの医療機器への該
当性に関する基本的な考え方について」を参照
することを求めています。
また、製造販売承認の申請書の使用方法欄に
は、
「当該医療機器プログラムをプラットフォー
60
Q5 汎用コンピュータを利用して医療機
器を操作するプログラムを医療機器プログ
ラムとして申請することはできないと考え
てよいか。
A5 貴見のとおりである。操作対象の医療
機器に含めたものとして申請する必要があ
り、使用目的や性能、基本要件基準への適
合性等を踏まえ、汎用コンピュータを使用
部会から
することによる品質、有効性及び安全性が
確保されているか等については、製造販売
承認(認証)審査において個別に判断され
るものであること。
医療機器を操作するプログラムは、操作対象
の医療機器と一体で、医療機器として申請する
与えるおそれがほとんどないもの)に相当する
プログラム(新施行令により、医療機器の範囲
から除外されたもの)とあるように、一般医療
機器に相当するプログラムについては、医療機
器の範囲から除かれています。その一般医療機
器に相当するプログラムの扱いに関するQ&A
です。
ことになります。
(3)
「医療機器プログラムの取扱いに関するQ
Q14 一般医療機器に相当するプログラム
&Aについて(その2)
」から
は、どこまで使用目的又は効果、性能等を
Q12 医療機関からの求めに応じて、医療
標榜することができるのか。
機器プログラムを推奨する動作環境である
汎用コンピュータにインストールして販売
A14 医療機器ではないものについて、医
することは可能か。
療機器であると誤認させるような製品が流
通することは、保健衛生上の観点から好ま
A12 医療機器プログラム又はこれを記録
しくない。
した記録媒体として承認(認証)を得てい
①有体物として一般医療機器が存在する医
る品目については、汎用コンピュータ等の
療機器と同等のプログラムは、当該有体物
ハードウェアにインストールして販売する
と同等の性能等を、
ことはできない。なお、医療機関等への販
②有体物の一般医療機器が存在しないもの
売後、販売先の依頼に基づき作業を代行す
については、個別の判断により、一般医療
る行為は販売業にはあたらない。
機器相当の性能等を、
医療機器であるという誤解の生じない範囲
でのみ標榜することができるが、併せて医
療機器でないことを明記すること。なお、
当然のことであるが、どちらの場合も管理
医療機器又は高度管理医療機器に相当する
使用目的又は効果、
性能等は標榜できない。
「プログラムの医療機器への該当性に関する
医療機器プログラムを、汎用コンピュータに
インストールして販売することはできません
が、販売後に、販売先の依頼に基づいてインス
トール作業を行うことは、できます。
しかし、次に載せました、Q17/A17にある
ようにバグフィックス版提供時には、医療機器
プログラムの製造販売業者の管理の下で行いま
すので、注意する必要があります。
基本的な考え方について」の(別添)
(2)医薬
品医療機器等法において医療機器に該当しない
プログラムの8)に一般医療機器(機能の障害
等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を
Q17 プログラムの基本通知「12修理業に
ついて」において、医療機器プログラム
61
部会から
のバージョンアップ等を行う行為は、修理
業に当たらないとされるが、以下の行為を
行う場合はどのように扱うか。
(1)承認(認証)の範囲内のオプション機
能を、後売りする場合
(2)バグフィックス版を提供する場合(法
に係る回収扱い)
(3)同上(法に係る回収外扱い)
A17 (1)
、
(2)及び(3)のいずれの場
合においても他の医療機器と同様に扱い、
製造販売業者の管理の下、販売業者及び貸
与業者(以下「販売業者等」という。
)が提
供すること。
(1)については、販売として取り扱い、
(2)及び(3)については製造販売業者が
作業を指示し、適切に作業が行われたか結
果を確認すること。
(1)のオプション機能の後売りは、現地での
バージョンアップ作業が想定されますが、
「具体
的な手続及び作業を行う者の要件等を製造販売
業者が定め、承認(認証)事項どおりの内容に
バージョンアップされたことを製造販売業者の
管理のもと、出荷判定を行うこと。
」を求められ
ていますので、医療機器プログラムを取り扱う
際には、注意が必要です。
6.今後の活動
ヘルスソフトウェア対応委員会では、医療機
器プログラムに該当しないプロダクトを主軸
に、ヘルスソフトウェア対応時の課題などを検
討し、今後も各社へ留意事項などの情報提供を
行っていきたいと考えています。しかし、医療
機関等では、医療機器プログラムと非医療機器
62
プログラムの両方が使われることになりますの
で、医療機器プログラムの考慮もしながら、検
討しておくことを考えます。
部会から
米国ニューヨーク州における
医療保険制度・医療IT化視察調査概要
医事コンピュータ部会主催の海外視察調査
分、分け隔てなく説明をして頂き今後日本が施
は、2003年「韓国医療保険EDIシステム視察」か
策を進めていく上で大いに参考になった。また
ら始まり、今回で11回目を迎えた。
協会と病院の関係性は良いが、病院同志の連携
は難しいなど、日本と同じような傾向にあるこ
今回は15社21名で視察調査団を結成し、2015
とが分かった。
年9月7日から12日の6日間にわたり、医療情報連
携ネットワークと電子処方箋に視点をおき、現
医療機関の視察としては、HSS(Hospital for
在この分野で目覚ましく発展している米国
Special Surjery)という南北戦争の時代、1863
ニューヨーク州の医療情報連携ネットワークの
年 に 創 立 さ れ た 病 院 を 訪 問 し た。 こ こ はUS
推進団体NYeCと病院協会、薬剤師協会、病院、
ニュース誌において2015-16年のベスト整形外科
薬局の合計5ヶ所を視察訪問した。
第1位、リューマチ科第3位にランキングされ、
この2分野においては過去24年間常にトップラ
最初に訪問したNYeC(New York eHealth
ンクを維持している病院であり、特にプロアス
Collaborative)は、現在、州に9つのそれぞれ
リートからの整形外科への信頼は厚く、世界中
が独自に運用されている医療情報ネットワーク
から患者が来ることで、職員全員が高いプライ
を結び、1つのネットワークとして運用できる
ドを持って仕事に取り組んでいる様子をうかが
よう取り組みを行っている団体で、ここでは患
えた。こちらも医療情報連携ネットワークの活
者個人のプライバシーやセキュリティの問題、
用を進めていたが、病院独自の取り組みとして
システム開発にかかる膨大な費用、関連施設ご
患者向けポータルの構築に力を注いでいた。患
との利害関係など、さまざまな障害の中にあり
者向けポータルについては先に訪問した2組織
ながら、強い意欲を持って前向きに取り組んで
も並行して独自に構築を目指しており、若干、
いた。
足並みがそろっていない感じを受けた。また現
在、現行の電子カルテシステムを別のベンダー
次に訪問したGNYHC(Greater New York
製のものに切り替え中であり切り換えるに至っ
Hospital Association)は、ニューヨーク州、及
た経緯や目的、そしてこれに伴う苦労話なども
びその周辺地域も含めた約160の病院が加盟し
聞くことができた。
ている病院協会であり、病院における共通の課
題に対する支援活動を中心に行っているが、医
療情報連携ネットワークの活用推進も大きな活
電子処方箋の活用という観点では2ヶ所を訪
問した。
動テーマとしていた。こちらではニューヨーク
ひとつは、Kings Pharmacyという設立から70
州としての取り組みとともに連邦政府全体とし
年経つ薬局で、不妊治療、臓器移植、肝炎、血
ての取り組みに関する、これまでの経緯や具体
友病、腎臓病などの患者に投与する非常に高額
的な施策について説明を聞くことができた。そ
な専門薬を提供でき、専門医、病院から高い評
の中でうまくいっている部分とそうではない部
価を受けており、数多くあるチェーン薬局とは
63
部会から
異なり、独立した経営で成功している数少ない
今回の視察で学んだ多くのことを日本の関係
薬局である。こちらでは実際の薬局業務を見る
機関・団体にフィードバックをして、医療情報
ことができた。1階は日用品も数多くある店舗
連携ネットワークの活用推進に積極的に取り組
であり、近所のお客様にフレンドリーに対応し
んで行きたい。
ているところは日本と同様であったが、2階に
は無菌状態の処方室があり、電子処方箋データ
なお、視察先の概要については以下を、また、
から実際に処方している現場も見ることができ
視察調査結果の詳細については、
「米国ニュー
た。
ヨーク州における医療保険制度・医療IT化視察
もうひとつはNew York City Pharmacists
Societyと い う ニ ュ ー ヨ ー ク 州 薬 剤 師 協 会 の
調査報告書」として取り纏めたので、是非、本
書をご覧頂きたい。
ニューヨーク支部である。ここは議会での薬剤
関連議案のロビー活動を主な活動としており、
最後に、医事コンピュータ部会の会員を中心
ニューヨーク州が電子処方箋を導入する経緯や
に15社・21名による視察団を結成することがで
その手法について話を聞くことができた。電子
き、視察の成功に至ったことに対し、参加者各
処方箋の仕組み、イメージを見せて頂いたが、
位のご協力に感謝を申し上げたい。
一度送られた処方箋に間違いが生じた場合、薬
局側で修正したデータを病院にフィードバック
1.視察概要
することができない仕様になっており、ここが
1)期間
運用上ネックになっていた。ニューヨーク州で
2015年9月7日(月)~12日(土)
は2016年3月に電子処方箋の義務化を予定して
4泊6日 機中1泊
おり、若干うまくいかないところがあっても、
まずは走り出し、走りながら直していこうとい
うスタンスで、
日本との国民性の違いを感じた。
今回の視察を通していずれの組織も立ち位置
が違うことで、アプローチ手法の違いや、お互
いに相容れない部分を感じたが、医療情報連携
ネットワークを活用して改善を図っていこうと
いう強い意思は、どの組織からも感じとること
ができた。ある時は協調し、ある時はぶつかり
合いながら、それぞれの組織がそれぞれのやり
方でネットワークの活用を進め、結果として
ニューヨーク州全体が良くなっていこうという
流れを感じとることができた。
64
2)調査団のみなさん
部会から
<調査団一覧(順不同)
(敬称略)>
No
氏名
1
小宮 宏之
(団長)
2
3
視察先の概要については、以下に記す。
会社名
パナソニック ヘルスケア㈱
岩崎 孝彦
富士通㈱
(副団長)
(1)訪問先:NYeC
(New York eHealth Collaborative)
松村 一世
パナソニック ヘルスケア㈱
(総括責任者)
4
石井 雅弘
㈱NTTデータ
5
吉鶴 博文
パナソニック ヘルスケア㈱
6
森野 國男
㈱アキラックス
7
濱田 悟
8
為国 雄一
㈱日立製作所
9
皆倉 寿文
㈱日立製作所
10
柳原 圭佑
日本電気㈱
11
北村 隆一
㈱オネスト
12
小尾 孝秀
小林クリエイト㈱
13
平澤 智晴
タック㈱
日立メディカルコンピュータ㈱
14 一ノ瀬 敏満 日立INSソフトウェア㈱
15
紺野 真史
日立INSソフトウェア㈱
16
兵昂
17
廣田 尊宣
富士フイルムメディカル㈱
18
大鉢 祐介
ニッセイ情報テクノロジー㈱
東芝メディカルシステムズ㈱
19 三津原 庸介 日本調剤㈱
20
21
栗原 邦彦
日本調剤㈱
岸 和彦
JAHIS
(全体管理)
①日時:2015年9月8日(火)10:00~12:00
3)視察先
米国ニューヨーク州の以下の5ヶ所。
◇ N
YeC
(New York eHealth Collaborative)
②場所:40 Worth Street, 5th floor New York.
New York 10013
③訪問先概要:
医療関係者、業者、投資家が集まって、2006
◇ 薬局(Kings Pharmacy)
年に設立された非営利組織である。ニューヨー
◇ 病
院協会(GREATER NEW YORK
ク州、連邦政府及び投資家より資金提供を受け
HOSPITAL ASSOCIATION)
◇ 薬
剤師協会(NEW YORK CITY
PHARMACIST SOCIETY)
◇ 病院(Hospital for Special Surgery)
運営している。迅速・安全・正確に医療情報が
どの医療機関でも確認ができるようにネット
ワーク(NHIN-NY)の構築を進めている。NYeC
は主に以下の役割を担っている。
65
部会から
・医療機関(病院、開業医、介護施設等)に対す
の薬局。70年の歴史があり、顧客満足度No.1を
るEHR(Electronic Health Record)の企画及
モットーとしている。米国の薬局は、
Walgreen、
びサポート
CVS、RiteAid、Walmartなど、ほとんどがチェー
・地域毎のネットワーク同士をつなぐネットワー
クの開発(SHIN-NY)
・コミュニティ(出資者、業者、開業医等)との
連携
ン店で占められているため独立系は珍しい存在
である。それでも生き残れている理由は、同店
のwebsiteにもあるが「Kings SPECIALYTY
Pharmacy」となっており薬局チェーン店には置
いていないような薬を取り扱っていたり、無菌
(2)訪問先:Kings Pharmacy
室が完備され病院から調剤の受託などを受けて
いるなど、その専門性にある。営業は原則365日
営業しているが、24時間営業でなない。社長の
Ron氏はNY市薬剤師協会の次期会長とのこと。
(3)訪問先:GREATER NEW YORK
HOSPITAL ASSOCIATION
①日時:2015年9月8日(火)15:30~16:30
②場所:357 Flatbush Avenue Brooklyn N.Y.
11238
http://www.kingsrx.com/
③訪問先概要:
Kings Pharmacyはブルックリンにある独立系
66
部会から
①日時:2015年9月9日(水)10:00~12:00
②場所:GREATER NEW YORK HOSPITAL
ASSOCIATION
http://www.gnyha.org
③訪問先概要:
GNYHA(Greater New York Hospital
Association)は、1904年に設立され、大都市
ニューヨークエリア、及びニューヨーク州全体
だけでなく、ニュージャージー州、コネチカッ
ト州、ロードアイランド州を含む地域の約250の
病院、療養所が加盟している。
GNYHAは「医療機関が患者に対して効率的か
つ最高の医療を提供できるよう支援すること」
を設立当初より重要なミッションとしている。
また、健康管理支援と専門知識普及のために
精力的な活動も行っている。その活動は、政府
/行政機関への働きかけ(ロビー活動)
、
「患者
ケアの質」と「患者の安全」をより向上させる
ために会員メンバーに協力する、加えてコスト
削減の実現を支援する、など様々な形態をとっ
ている。
①日時:2015年9月10日(木)10:00~12:00
②場所:75 Dekalb Avenue Brooklyn, New
York 11201
http://www.nycps.org
③訪問先概要:
N E W Y O R K C I T Y P H A R M A C I S T S
SOCIETY(NYPS)はニューヨーク州薬剤師協
会(PSSNY)のニューヨーク市支部。PSSNYは
1879年に創立されている。ロビー活動が中心で、
議会の薬剤関連議案に対しての影響力は強い。
また薬剤師育成の活動を行っている。NYPSのオ
フィスはマンハッタンにあるが、今回はブルッ
(4)訪問先:NEW YORK CITY
PHARMACISTS SOCIETY
クリンにあるLong Island University(LIU)の
Brooklynキャンパスの会議室でのmeetingと
なった。ちなみにこのLIUキャンパスには薬学系
の学科があり、大学ランキングは全米77位。
67
部会から
(5)訪問先:Hospital for Special Surgery
療も行っている
・約4200名のスタッフが従事し、約300名の医局
員の内、95名が整形外科医である
・ベッド数:205床、手術室:35室、MRI室:11
室を有する
・年間約29,000件の手術の実績がある
・年間約370,000人の外来患者が訪れる
■HSSの特徴
・数多くの手術をこなしており、
経験が豊富であ
る
・院内感染率が低い
・死亡率が低い
・合併症の発症率が低い
・再入院率が低い
・患者満足度が高い
・職員やドクターの満足度が高く、
年間離職率が
低い
■外部からの評価
・USニューズ&ワールド・レポート誌において、
①日時:2015年9月10日(木)14:00~16:00
②場所:Hospital for Specail Surgery(HSS)
https://www.hss.edu/
③訪問先概要
ニューヨーク市マンハッタン区のアッパー
イーストサイドに位置し、1863年に設立された
整形外科専門病院である。
南北戦争時代に障害を負った方々のケアを
行ったのがはじまりである。
現在では、小さなリハビリ系施設から筋骨格
疾患の治療のための世界最大のアカデミックセ
ンターまで備えている。
■施設概要
・整形外科、リウマチ科を専門とし、小児科の診
68
2015-2016年度の全米の整形外科のNo.1に選ば
れ、リウマチ科でもNo.3に選ばれている。
・有名なプロのアスリートが怪我などで整形外科
が必要となると必ず利用するのがこの病院で
ある。
・ギ ャ ラ ッ プ 社 に よ る2012年 度、2013年 度 の
「Gallup Great Workplace Award」を受賞し、
最高の職場環境を有する組織として認定され
ている。
戦略的計画として、患者を中心に考え、IT
により多くの投資を行い、職員がより病院に
貢献できるよう進めている。
部会から
診療文書構造化記述規約 共通編について
医療システム部会
検査システム委員会
検査レポート検討WG
リーダ
平井 正明
(日本光電工業㈱)
1. はじめに
異なった仕様で実装が見られるようになり、そ
医療現場ではいろいろな医療文書、レポート
の利用に支障が出るようになってきました。ま
類が使用されています。JAHISでは今まで検査
た新たな用途にCDAを活用するために、その手
データや処方データなどをシステム間で使用す
助けとして標準化されたガイドが求められるよ
るメッセージ交換のためにHL7バージョン2を
うになってきました。
ベースに規格化を進めてきました。しかし、患
JAHISでは、このような要請に基づいて種々
者の診断・治療に関する情報や健康維持のため
の文書やレポート類を我が国の事情に即したよ
に、種々の医療に関する情報を連携するために
うに利用できるよう共通編をまとめ、各種文書
医療文書の標準化が重要になってきました。
やレポート固有のルールについてはそれぞれ個
HL7協会では、
1990年代、
PRA(Patient Record
別編として標準化を行うようにしました。
Architecture)の開発に取り組み、2000年XML
を使用したCDA
(Clinical Document Architecture)
3. 共通編のためのCDA概要
リリース1(R1)を発行しました。その後さらに
CDAはドキュメントおよび患者のメタ情報を
医 療 情 報 を 記 述 す る た め にHL7バ ー ジ ョ ン3
記述するためのヘッダ部とそれぞれの文書やレ
RIM2.07に基づいてCDAリリース2を開発し、V3
ポート等のデータを記述するためのボディ部で
2005 公開バージョンに組み込まれ、国内外で広
構成されます。共通編ではこのヘッダ部と我が
く利用されるようになってきました。JAHISで
国での実装のための記述ルールと補足情報、お
は日本HL7協会、ユーザと共同して、CDA R2に
よび各個別編で利用するためのボディ部の記述
準拠した医療文書やレポート類の標準を開発し
原則などを示しています。
ました。
またCDAでは人が認識可能(human readable
と呼ぶ)な情報は受信側で容易に再現できるこ
2. 背景と目的
とという要求があり、本規約制定においては、
医療情報を電子的に連携したり、2次的な利用
その要件に適合するため諸外国での多くの実装
を行ったりするために多くの取り組みが行われ
例 を 参 考 に 検 討 し て き ま し た。CDAの 用 語
てきました。その多くはPDFやWord等を使った
(vocabulary)やデータ型(data type)はバー
独自の方法で行われていましたが、標準化され
ジョン3の規定に基づき、コード体系もCDAR2
た方法で情報交換をするためCDAを用いた実装
の原則に従いLOINCを基準にしました。検体検
も進んできました。しかしCDAは自由度が高く
査コードは国内での現状に沿ってJLAC10を採
利用しやすい半面、同じような目的においても
用することにしました。LOINCを採用するに当
69
部会から
たり日本での実装に合うように新規コードの登
一般的な情報を記述します
録も行っています。
・recordTarget:患者氏名等の情報を記述し
共通編の規定ルールは以下のように構成され
ています。
1)ドキュメントヘッダ
CDAドキュメントのヘッダ部は大きく分けて
2つの情報で構成されています。一つは医療文書
の共通部分すなわちメタ情報として次のように
ます
・a uthor:本文書の記載者あるいは作成装置
の情報を記述します
・dataEnterer:転記者等がいる場合などの氏
名などを記述します
・informant;情報法提供者を指定します。例
構成されていています
えば幼児等の文書で親が代わりに本書の情
・realmCode:CDAを適用するための地域す
報を提供する場合等に記述します
なわち日本国内のJPを使用します
・typeId:CDAのリリースバージョンのIDを
示しますのでPOCD_HD000040を使用します
・templateId:文書、レポートのテンプレート
IDを指定します
・id:文書、レポートのIDを指定します
・custodian:本書の保管管理場所を指定しま
す。本書が改訂などにより複数の版で構成
される場合などの管理等にも使用されます
・informationRecipient:紹介状等の本書の受
け取り人情報を記述します
・legalAuthenticator、authenticator:本書の
・c ode:文書、レポートのコードと名称を指
認証者の情報を記載し、認証者が研修医等
定します。本規約ではLOINCを使用するこ
記載に責任がある場合と法的に責任を持つ
とを推奨しています
べき人を区別して記載します
・t itle:文書、レポートの名称を規定します
が、
コードで指定された名称が優先されます。
・effectiveTime:文書、レポートが最初に作
成された時刻が指定されます
・confidentialityCode:CDA文書の機密性を指
・p articipant:本書の記載に関係がある人の
情報を記載します。文書の性格にもよりま
すが、保険者の情報を書く場合もあります
・inFulfillmentOf:本書がオーダに対する結果
報告等の場合にオーダ番号を指定します
定します。通常医療に必要な人が参照でき
・documentationOf:文書が手術記録や検査等
ることが許されるということで” N” を使用
のレポートの場合等にそれらを実施した情
しています
報を記述します
・languageCode:CDAで書かれている言語を
・relatedDocument:CDA文書が改訂された
示します。通常日本において日本語という
り追加した場合にその元となった文書を示
意味のja-JPを使用します
します
・setId:文書、レポートの改訂を含めて同じ
IDを使用します
・versionNumber:文書、レポートの改訂番
号を使用します。初版は1から始めます
2)患者、医療情報に関するヘッダ
患者に関する情報、治療や医療スタッフ等の
70
・authorization:本文書と同意(consent)に
関する情報を記述します
・componentOf:受診時の情報、診療の背景、
退院後の情報等を記載します
3)ヘッダ記載の情報
記載内容において我が国で適用(JP Realm)
部会から
する特有のことを規定しています。たとえば患
文書、レポートでは外部文書が添付あるいは参
者姓名は非常に重要ですが、その記述に際して
照されることが多いため、その記述方法も規定
(一般に漢字が多いですが)患者姓名とふり仮名
です。CDAでは、患者姓と名を区別して書くよ
しています。
1)本文の記述
うに推奨していますが、システムの実装上姓と
本規約では、本文でのNonXMLBodyの非推奨
名を区別しづらい場合がありますが、そういっ
とし、セクション(section)で記述できるもの
た場合には姓と名を、姓の欄に記載することも
に限定しています。もちろん外部参照するもの
許しています。また漢字氏名は@use=IDEで記
は画像、波形情報、PDF等の文書は利用できます。
載し必須ですが、日本語表記が難しい場合漢字
・component.structuredBody:全ての本文は
以外の文字列をセットしてよいとしています。
また日本語が扱えない機器や人の場合等があ
component.structuredBody で 開 始 さ れ
component群として記述します
りますのでアルファベットの記述も可能とし、
・section:本文を記述するために使用します。
さらにスタイルシートの共有利用できるよう推
各セクションは階層を持って構成しても良
奨記述順序も決めています。住所等も含めて日
いのですが、いずれのセクションにもhtml
本での実情に合うようにCDAの本来の仕様とは
形式やフリーテキストでnarrativeセクショ
変更しています。
ンを記載し読解可能(human readable)な
4)患者情報の補完
文章を必須としています
患者の情報などで、いくつかは医療運用上患
・e ntry:各セクションには機械処理が可能
者のメタ情報として扱われることも多いので、
(machine readable)な記述および外部参照
本規約では専用のセクションを使用して記述で
のためにentryで記述します。この部分の記
きるようにしています。たとえばCDAでは患者
述は “レベル3” と呼ばれていますが、我が
年齢は、初回作成日や検査実施日等と生年月日
国では機械処理が行えるコードが未整備な
との差で年齢を算出することになっています
部分もあり、また自動処理が可能なシステ
が、我が国では年齢は別途入力して使用する装
ムはほとんど整備されていない現状を考え
置や運用が多いので、年齢は別途記載できるよ
て、オプションにしています。しかし、実装
うにしています。その他、日本で臨床上よく使
目的に依っては可能なケースもあり、それら
用される情報は別途記載できるようにしています。
は個別編で規定することになっています
・entryRelationship.externalDocument:外部
4. 本文
診断、治療、検査、看護等に関する情報は本
参照ドキュメントはexternalDocumentによ
り参照できます
文に記載され、それらは個別編として規定する
もちろん実装にあたっては共通編とともに各
ようにしています。この共通編では本文の記述
個別編を参照する必要はありますが、このよう
する際の基本的な標準を示しています。また
に本規約を参考にすることで容易に実装ができ
CDA記述の原則に則って必要不可欠な情報の欠
ると考えています。
落が無いように人が読解可能な記述部
(narrative)の記載を義務付けています。さらに
2)個別編について
71
部会から
生理検査データ構造化記述規約に基づくデータの画面表示例
既にJAHISでは日本循環器学会の協力のもと
ダーの協力を得て更なる改訂が進められること
生理検査レポートの個別編が制定され、さらに
を望んでいます。またコンピュータ処理を進め
心臓カテーテルレポート、病理診断レポートそ
るに当たってはCDA machine readable機能を
れぞれの個別編にも取り組んでいます。さらに
活用できるような環境、すなわちコード化され
日本HL7協会ではこの共通編に準じて退院時サ
た環境が必要ですし、それらはシステムを含め
マリ規約を発行する予定でいます。その他種々
て十分サポートされていなければなりません。
の個別編に取り組んでいますので臨床現場に
さらには昨今の観光を含めた人々の国際流動性
沿った規約が提供できると期待しています。
が高まって国際間で医療の共有を図る必要が増
してくるでしょう。そのためにも国際的に共有
5. 標準化への期待
できるような標準が必要です。 このたび制定しました共通編はCDAヘッダを
JAHISの現場の方々としては現実的に中々標
基準にきわめて限定した範囲を規定しました。
準化の対応は難しいかもしれませんが、その壁
しかし、CDAボディで表されるような医療、診
を打ち破って標準化されたシステムを提供する
療に密接した情報、例えば主訴、既往歴、処方
ことは、わが国民への責務でもありますし、今
等多くの情報は一般的に広く共通な情報として
後とも標準化へ積極的な関与を期待したいと考
共有すべきものです。既に米国を筆頭にCCDA
えております。
(Consolidated CDA)として標準化が進められて
いますが、これらは特に医療従事者の合意のも
と進める必要がありますし、またシステムベン
72
部会から
「セキュアトークン実装ガイド - ノード認証について」
医療システム部会
セキュリティー委員会
セキュアトークンWG
リーダ
谷内田 益義
(㈱リコー)
1.はじめに
クンを説明しています。
同一医療圏内、さらには医療圏を超えた医療
機関等のネットワークを通じた電子的な手段に
2.ノード認証
よる連携が重要な課題の1つになっています。
ノードとは、ネットワークに接続され、ネッ
ネットワークを通じて医療関連サービスを行う
トワークを介して通信を行うネットワークを構
ためには、医療機関等の間で電子的に患者情報
成するコンピュータ、ルータ、サーバ等の要素
を含む重要かつ機微な情報を交換することが必
を指します。これらは物理的な存在である場合
要で、その際には事前に正しい医療関連機関等
もありますが、物理的な存在であるかどうかを
の間での情報交換であることを保証するための
確認できない場合も存在します。例えば、仮想
医療機関等の識別及び認証が必要となります。
サーバの場合には、実際に動いているハード
2015年2月に公開した「セキュアトークン実装
ウェアとサーバは1対1に対応しません。またセ
ガイド」が目的としているのは、このような認
キュリティポリシーの異なる他の組織の管理下
証に用いられるクレデンシャル(識別情報や認
にあるサーバや機器は、物理的に存在している
証情報等)を安全に格納するセキュアトークン
のか確認できません。そのため、これらネット
に要求される事項を明らかにすることです。ガ
ワーク構成要素の論理的な存在をノードと呼ん
イドではセキュアトークンを、
「識別及び認証に
で、物理的な機器の存在と区別して考えます。
用いられる施設のクレデンシャルを安全に格納
ノード認証は、ノードと関連付けられているエ
すると共に、クレデンシャルを利用するための
ンティティ(人や機器など情報システムを利用
媒体」として定義しています。
するクレデンシャルの対象となる主体)を識別
クレデンシャルが安全に管理されていない
及び認証することを指します。対象となるエン
と、クレデンシャルを盗み出して複製してなり
ティティは、医療機関及び部署等の組織が該当
すまされたり、クレデンシャルを改ざんあるい
する場合、医療機器等の機器が該当する場合、
は破壊することによって接続を妨害したりされ
コンピュータ等を利用する医療従事者等の人が
る恐れがあります。また、別の医療機関等の管
該当する場合等、ノードの利用形態に応じて定
理するサーバや機器との接続になりますので、
まります。
一定レベルの安全性が保証されていないと安心
具体的なネットワークを通じて医療関連サー
して接続することはできません。ガイドでは、
ビスで連携する医療機関等には、
安全性確保を含めた要求を明らかにすること
a)地域医療連携における医療施設間及び地域
で、確実な識別・認証が実現できるセキュアトー
医療連携サービス
73
部会から
b)レセプトオンライン請求における医療施設
及び支払い基金
②正しいエンティティ(人、機器等)との接
続の確認
c)遠隔保守における医療施設及び医療施設内
通信する相手のなりすましを防止するた
の医療機器メンテナンスを行うサービス
めには、最終的に通信を行うエンティティ
提供者
を確認する必要があります。その際有効な
d)電子処方箋における医療施設及び薬局
等が考えられます。図1に全体像のモデルを
示します。丸はネットワークに接続される各
ノードを示します。これらのノードは接続点で
のは、接続されるエンティティの識別と認
証になります
③チャネルセキュリティ(盗聴防止及び改ざ
ん防止)
あるばかりでなく、責任分解点にもなります。
通信経路上で機微な情報が交換されるこ
端末・コンピュータ、サーバ、機器等は、それ
とになりますので、
情報が盗聴されること、
自身が責任範囲となります。ルータ/ゲートウェ
内容が改ざんされることは防止しなければ
イ(GW)は、外部から見ると組織又はサブシス
なりません。通常は暗号技術をもちいるこ
テム全体の入り口となるので、組織又はサブシ
とで解決します。
ステムが責任範囲となります。
これらの接続を考えると地域医療連携の例
は、医療施設内にいる医療従事者が医療連携
サーバにアクセスする図2のように連携を考え
ることになります。
図1 全体モデル
これらのネットワークを通じた連携において
通信の安全性を確保するためには、次のような
図2 地域医療連携における医療機関と地域医
療連携サービスとの接続
要求を満たすことが必須になります。
①送信元及び送信先の確認
まず、医療機関と地域医療連携サービスを提
通信に先立って、正しい医療関連施設と
供する組織の間でお互いに正しい組織であるこ
の接続が行われていることを確認する必要
とを確認することになります。組織の認証基盤
があります。その際有効なのは、接続先と
はまだ確立されていませんが、地域医療連携に
なる医療関連施設の識別と認証になります。
限らず、病院、薬局等の関連施設の組織を識別・
74
部会から
認証するためのクレデンシャルを発行する仕組
もっともレベルの高いレベル4を当てはめるの
みが必要となります。次に、実際に接続するエ
が妥当であると考えられます。これを実現する
ンティティ、つまり利用する医療従事者と地域
ためには、信頼できる組織によって発行された
医療連携サーバの接続で、それぞれの確認を行
クレデンシャルを用いることが必要になるだけ
います。医療従事者の場合には、例えば既に運
なく、安全に管理されたクレデンシャルである
用されているHealthcare PKI(HPKI)を使うこ
ことも重要になります。クレデンシャル管理が
とで実現できます。サーバ側は、例えば広く普
不十分で複製が作られてしまえば、簡単になり
及しているサーバ認証の証明書を利用すること
すまされてしまいます。また、クレデンシャル
で実現できます。これらのノードの確認の後、
が消去あるいは書き換えられてしまうと、必要
医療従事者が地域医療連携サービスを提供する
な情報にアクセスできなくなり、医療行為を妨
サーバにアクセスして情報の参照・登録・更新
害されてしまう恐れもあります。これらを防止
等の業務を行うことになります。
するためには、セキュアトークンによってクレ
デンシャルを保護する必要があります。
3.セキュアトークンによる安全性確保
2)セキュアトークン
1)認証保証レベル
ノードの存在を確認し、正しいノードである
セキュアトークンは、クレデンシャルが安全
ことを確認することが重要であることはおわか
に格納されていて不正にアクセスするのが困難
りいただけたことと思います。では、接続する
な媒体であり、様々なものがあります。一般的
際に相手が提示した識別情報・認証情報等のク
なセキュアトークンは図3のような構成を取
レデンシャルを信頼するためにはどうしたらよ
り、1つのICチップに機能が搭載された上で、物
いのでしょうか。識別・認証の際のクレデンシャ
理的に保護されたパッケージで提供されます。
ルの信頼性検証において、米国政府OMBの電子
認証ガイダンス(M-04-04)及びNIST SP800-63
では表1のように認証保証レベルが定められて
います。
表1 電子認証ガイダンスにおける認証保証レベル
保証レベル
概要
レベル1 身元識別情報の検証は必須でない
レベル2
身元識別情報の検証が必要
(単一要素)
身元識別情報の検証が必要
レベル3
(複数要素)
レベル4 最も高い身元識別情報の検証が必要
医療関連情報は機微な個人情報を含むため、
図3 セキュアトークンのイメージ
具体的には、USBトークンと呼ばれるUSB
ポートに挿入して利用するもの、ICカード、SD
カードの形状をしたASSD等が取り外し可能な
75
部会から
タイプのセキュアトークンの例になります。
ドラインが、医療機関等の認証基盤の普及・推
TPMと呼ばれるセキュアICチップは、電子回路
進に貢献できれば幸いです。
の基盤に直付けされて利用されますので、内蔵
型のセキュアトークンに分類できます。
クレデンシャルの安全性はISO/IEC 19790
(JIS X 19790セキュリティ技術-暗号モジュー
ルのセキュリティ要求事項 と同等)で規定さ
れています。運用によらない安全性を確保する
ためには何らかの物理的な保護が必要で、その
ためにはセキュリティレベル2以上である必要
があります。セキュリティレベル2は、
・タンパー証跡をもつコーティング若しくは
シール、又は暗号モジュールがもつ除去可能な
カバー若しくはドアに対してこじ開け耐性のあ
る錠を含むタンパー証跡機能をもつ。
・暗号鍵又はクリティカルセキュリティパラ
メータ(CSP)への物理的なアクセスがあった場
合には、そのコーティング若しくはシールが破
壊される。
が要求されますので、取り外し型のトークン
を用いる場合には、追加の物理的な保護が必要
になります。
4.まとめ
「JAHISセキュアトークン実装ガイド 」は、
JAHISの ホ ー ム ペ ー ジ よ りJAHIS技 術 文 書
14-103としてダウンロードしていただくことが
できます。内容としては、セキュアトークンの
ユースケース、機能要件、セキュアトークンの
運用、
相互運用性等に関しても説明しています。
組織の認証基盤の構築はこれからになります
が、地域医療連携や電子処方箋等の普及が見込
まれますので、今後重要になります。その際、
安全にシステムを運用するためには、セキュア
トークンの利用が重要になってきます。本ガイ
76
部会から
国民健康保険制度の改革(都道府県化)
~制度改革に伴う情報システムについて~
福祉システム委員会
副委員長
小澤 昭彦
(日本電気㈱)
(1).日本の医療保険制度と国民健康保険制度
の現状
医療保険とは、
「業務・通勤」以外の怪我や病
気などを保険事故として取り扱う保険制度です
る「被用者保険」
、75歳未満でかつ被用者保険の
対象とならない方々が加入している「国民健康
保険」に大別されます。
国民健康保険は、我が国の「国民皆保険制度」
(業務・通勤起因の怪我や病気の場合は「労働者
を成立させる上でのセーフティーネット(最後
災害補償保険」
)
。日本の公的医療保険制度は、
の砦)と位置付けられています。元々は、被用
75歳以上の方々が加入する後期高齢者医療制
者保険の加入対象とならない自営業者とその家
度、75歳未満でかつ被用者の方々が加入してい
族を主たる対象としていた医療保険制度です
出典 厚生労働省ホームページ:
ホーム>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>医療保険>我が国の医療保険について
77
部会から
が、昨今の経済情勢・就業形態の多様化・高齢
険制度」成立のためのセーフティーネットであ
化の進展など環境の変化により、非正規労働者
り、国民健康保険の安定化が、我が国の持続可
や年金生活者等の無職者が7割を占める状況と
能な医療保険制度を構築するための大前提と
なっています。
なっております。
国民健康保険の特徴を整理(他の医療保険制
国民健康保険制度を安定化させるための方策
度との比較)すると、
「政管健保及び組合健保の
としては大きく二つあり、一つが財政基盤の強
加入者と比べて平均年齢が高く、所得水準が低
化であり、もう一つが保険者としての適性な規
い」と言えます。簡潔にまとめると国民健康保
模の確保です(都道府県化)です。
険は①.高齢者が多いので保険給付が多く、
②.
所得水準が低いので保険料収入が少ない(被保
前者については、平成27年度以降順次支援拡
険者目線では保険料負担が重い)
、すなわち大変
充し、平成30年度からは毎年約3,400億円の財政
財政状況の厳しい医療保険制度なのです。じつ
支援が実施されます。
に市町村国保の保険者の内、半数以上の保険者
・平成27年度から、低所得者対策強化のため
(1,717保険者中905保険者:52.7%:平成25年度調
の財政支援を拡充(平成27年度200億円⇒平
査)が赤字保険者で、黒字の保険者であっても
一般会計からの法定外繰入金によって、何とか
帳尻を合わせているのが現状です。
成29年度約1,700億円)
・平成30年度から、財政調整機能強化・財政
リスク分散軽減方策などへの公費拠出(約
1,700億円を配分)
(2).国民健康保険の改革による制度の安定化
について
前述したとおり、国民健康保険は「国民皆保
後者が今回のメインテーマの「国民健康保険
の都道府県化」です。
国民健康保険の改革による制度の安定化(運営の在り方の見直し)について
出典 厚労省ホームページ:ホーム>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>医療保険>持続可
能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律について>法改正参考資料
78
部会から
ところでJAHIS内では、
「国保都道府県化(WG
の名称からして国保都道府県化WG)
」という言
い方で通していますが、国などの資料ではあま
りこの表現は使われていません。その背景を記
被保険者の実情を把握した上で、地域にお
けるきめ細かい事業を行う。
・保険料の賦課・徴収(標準保険料等を参
考)
載すると、ものすごく長くなってしまうので割
・分賦金(仮称)を都道府県に納付
愛しますが、国などの資料には以下のように記
・個々の実情に応じた資格管理・保険給付
載されています。
【国民健康保険の改革による制度の安定化(運
営の在り方の見直し)
】
の決定 等
※第5回 国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の
協議資料より一部抜粋
・平成30年度から、都道府県が財政運営の責
上記の都道府県側のシステムとして、国民健
任主体となり、安定的な財政運営や効率的
康保険中央会から平成27年8月10日にシステム
な事業の確保等の国保運営に中心的な役割
開発の入札公告が出されています「国保保険者
を担い、制度を安定化
標準事務処理システム(国保事業費納付金等算
定標準システム、国保情報集約システム)
」
。都
(3).国民健康保険の改革に伴う情報システム
についての考察
国から公開されている資料の中に、都道府県
と市町村の新たな役割について記載されている
ものがあります。それらの資料から情報システ
道府県システムについては、後期高齢者医療制
度の時のように、国保中央会で開発した標準シ
ステムを47都道府県に配布(導入)して、制度
に対応します。
「都道府県の中で高額該当の多数回情報につ
ムについて考察します。
いて引き継ぐこと」が国の資料で明示されてい
①都道府県
ますので、情報連携の仕掛けとしては、マイナ
都道府県が国保の財政運営の責任主体と
ンバーを活用することも類推されます。
なり、安定的な財政運営や効率的な事業の
確保等の国保運営について中心的な役割を
一方、市町村側のシステムは資格管理・保険
担うこととし、制度の安定化を図る。
料の賦課徴収などこれまでの事務を踏襲するこ
・都道府県内の統一的な国保の運営方針の
とから、現在稼動している市町村国民健康保険
策定
・医療給付費などの見込みを立て、市町村
毎の分賦金(仮称)の額を決定
・市町村が参考とするための標準保険料率
等を算定・公表
・保 険給付に要した費用を市町村に支払
い 等
②市町村
市町村は、地域住民と身近な関係の中、
システムを改修して対応する方法(法改正対応
に準じたやり方)がまず考えられます。
しかしながら国の検討資料の中に、
「標準シス
テムの活用や統一的な国保の運営方針により、
市町村の事務遂行の効率化・コスト削減、標準
化。
」と言う内容が掲載されており、市町村側の
システムについても国が開発し、希望する市町
村が利用できるようにする動きがあります。
国民健康保険には長い歴史があり、昭和33年
79
部会から
に現行の国民健康保険法が制定され、昭和36年4
稼動に向けて、
我々ができることを精一杯やり、
月までに全ての市町村で制度施行されました。
「クライアント・ファースト」の精神でこれから
国民健康保険制度は国民健康保険法を根拠法と
していますが法の解釈について市町村に裁量を
ゆだねている部分があり、また市町村条例で事
務の取り決めができる部分もあることから、市
町村における国保業務は長い年月を経て、その
地域の実情に応じて醸成されてきました。した
がって我々コンピューターベンダーがシステム
導入をする際、国保業務は「事務の標準化の難
しい業務」と位置付けています。また、国民健
康保険システムは、業務の特性上、他の多くの
業務システム(住民記録、宛名管理、住民税、
固定資産税、収滞納、介護保険など)との情報
連携が必要で、国保業務を単体で導入する際に
は他の多くの業務システムとの調整が発生しま
す。
今回、国が作る標準システム(市町村)の全
容はまだ見えていませんが、コンピューターシ
ステムに事務(運用)を合わせ、多少の不都合
を生じても永年の課題である「事務の標準化」を
確立すると言うことも、ある意味正しい考え方
です。今回の制度改正は国民健康保険制度が創
設して以来最も大きな改正となるので、事務の
標準化を実施する「千載一遇のチャンス」です。
しかしながら一番大切なことは、制度を無事
に動かすことに他なりません。我々コンピュー
ターベンダーの使命は、納期・コストやユーザ
毎に異なる運用負担などを総合的に判断して安
心・安全に1700超の全ての市町村で新しいシス
テムを稼働させることです。
来る平成30年4月までは残り2年と3か月とな
りました。時間は限られていますが、新制度の
80
も頑張りましょう!
運営状況報告
運営状況報告
会誌第57号(平成27年9月発行)から本誌発行までに開催された理事会・運営会議・総務会の
会議内容を審議事項を中心にご紹介いたします。JAHISの活動方針が決まる経緯をご理解いただくと
ともに、戦略企画部の運営幹事を始めとするメンバーが、さまざまなJAHIS活動の重責を担っている
様子を読み取っていただければ幸いです。
また、併せて現時点での会員数状況をご報告いたします。
■平成27年会員数状況(平成27年10月31日現在)
会員種別
A
B
C
D
E
F
計
H27・ 6 ・30現在
7
3
8
27
123
204
372
3
3
6
126
207
378
入会
退会
種別変更
H27・10・31現在
7
3
8
27
理事会
第45回~第47回の書面理事会が開催されました。その審議結果は次のとおりです。
第45回書面理事会(平成27年7月17日付け)
議案:第1号議案 入会承認の件
承認
㈱ファルモ
F会員
(㈱サンテメディカルソリューションズ 紹介)
バイオ・ラッド ラボラトリーズ㈱
E会員
(日立アロカメディカル㈱ 紹介)
第47回書面理事会(平成27年10月16日付け)
議案:第1号議案 入会承認の件
承認
㈱キャロッツシステム
F会員
(ラジオメーター㈱ 紹介)
第46回書面理事会(平成27年9月14日付け)
議案:第1号議案 入会承認の件
承認
ハートフロー・ジャパン合同会社
E会員
(㈱メタキューブ 紹介)
一般社団法人岡山中央総合情報公社
F会員
(富士通㈱ 紹介)
アートシステム㈱
E会員
(㈱DTS 紹介)
81
運営状況報告
●運営状況報告(運営会議)
<日時>:平成27年7月21日
(火)
15:00~17:00
<日時>:平成27年8月18日
(火)
15:00~16:30
<場所>:JAHIS第1~第3会議室
<場所>:JAHIS第1~第3会議室
(1)厚生労働省
「医療情報連携ネットワークの
(1)普及推進パンフレットVol.3
「医療情報シス
検証体制に関する検討請負事業」の企画競
テムにおける標準関連用語概念図」の改定
争公示が7月14日に公表され、本事業への
について、各部門からの意見を加味して変
応募につき審議依頼があった。事業概要は、
更・修正した第二版原稿をもとに議論した。
医療情報連携ネットワークの普及促進に向
その結果、パンフレット上の記載内容の意
け、これまで策定した厚生労働省標準規格
図を理解した上で修正検討を行う必要があ
等が適切に実装されているかを検証する検
るため、医療システム部会の関連委員会メ
証方法および検証体制、継続した運用方法
ンバーと運営幹事を含め、打合せの機会を
に関する調査及び検討を行い、具体的な実
設けることとなった。
施計画を報告書として取りまとめるもので
(2)平成27年度厚労科研
「内服薬処方せんの記
ある。本件、受託後に厚労省と詳細な調整作
載方法標準化の普及状況に関する研究」に
業を行う必要があるが、
承認となった。
研究協力者として参加する件は、
JAHIS主
(2)
JEITA MEセキュリティWGへのヘルス
体のアンケート依頼は行わない
(集計はし
ソフトウェア対応委員会の黒野委員長を追
ない)ことを条件に承認された。なお、医事
加派遣の件が、
承認された。
コンピュータ部会のアンケート例を参考に
(3)
「 第59回IHE勉強会
「初級編」フレッシュマ
ン対応!」
の後援の件は、
追認された。
すること。
(3)特定非営利活動法人日本臨床検査標準協議
(4)事業推進部規則において、第7条 2項に
会からの
「共用基準値範囲案への賛同のお
「正(副)委員長が辞任しようとするときは
願い」に関するコメント付き回答案が、承認
事業推進部長の承認を得なければならな
された。
なお、
差出元はJAHIS会長と臨床検
い。
」とあるが、現行規則では委員長を選任
査システム専門委員長の連名とし、宛名も
する条項が無いため。選任するための条項
先方の会長と委員長の連名とする。
を追加するものである。本件は、承認され
た。
(4)
J AHIS会 誌58号 の 発 刊 に 関 す る ス ケ
ジュール、
内容概略について承認された。
(5)厚生労働省
「電子版お薬手帳の適切な推進
に向けた調査検討事業」に調剤システム委
員長竹中氏を代表として派遣する件は、承
<日時>:平成27年9月15日
(火)
15:00~17:00
認された。なお、関連する医療システム部会
<場所>:JAHIS第1~第3会議室
と情報共有を行うこと。
(6)
JAMI初任者セミナ共催の件は、戦略企画部
(1)
11月3日
(火)に開催される
「医療情報学連
合大会共催三菱電機展示ルームセミナー」
メンバーによるメール審議にて執行まで承
にて、
戦略企画部 事業企画推進室/吉村室長
認された案件であるが、
追認となった。
講演の
「地域医療連携の標準化における最
新動向について」
は、
承認された。
82
運営状況報告
(2)
米国大使館から
「Health2.0」
について会員
いて、現在8名を委員として派遣している
への周知依頼については、大使館からの依
が、うち1名が社内の人事異動となったこと
頼であり、
JAHIS会員窓口にメールにて案
に伴い、下記のように派遣委員を変更する
内を発信することが承認された。
ことの審議である。
(3)中期計画は4年毎に4年後を見据え策定
し、2年後に見直しを行うことになってお
り、今年度は、4年毎の策定の年である。運
(旧)日本コンピュータ:名取氏→
(新)富士
通:茶珍氏
本件は、
承認された。
営会議議長、副議長、運営幹事、事務局長に
て合宿を行い、中期計画の基本方針
(案)を
添付資料のとおり作成した。
(4)医療情報学連合大会の産官学展示のプログ
ラム委員長
(長寿医療研究センター)渡辺先
生より
『JAHIS標 準
(15-003)
:JAHIS診
療文書構造化記述規約共通編 Ver.1.0の紹
介説明パネルを展示して欲しい』と依頼が
あった。
本件は、
承認された
<日時>:平成27年10月20日
(火)
15:00〜17:00
<場所>:JAHIS第1~第3会議室
(1)戦略企画部長交代の件、
10月6日より岸本
運営幹事に交替する件は、
追認された。
(2)
為国 医療システム部会 副部会長辞任の件
は、
追認された。
(3)
対外活動申請
(5)厚生労働省から委託された事業者が提示す
①GS1ヘルスケアジャパンにおける講演依頼
る資料を基に、
実務者WGは各業務運用を考
11月12日(木)午後、
一般財団法人 流
慮した課題抽出等を行う。実務者WGは、関
通システム開発センター 会議室において
係団体等の実務者等
(医療保険実務、医療機
「JAHISにおける活動紹介および標準化
関事務の実務もしくは保健医療に関わる情
(仮題)
」と題し、戦略企画部 岸本 芳典
報システム等に精通した者)
15名で構成す
るが、システム関係者としてJAHISから1
名選出を依頼された。
部長が講演する件は、承認された。
②次世代医療ICT基盤協議会WGへのオブ
ザーバ参加
本件、医科システム委員会の清水副委員長
経産省 医福室(みずほ総研)からの依頼
がWG参加者として承認された。但し、今後
で、次世代医療ICT基盤協議会のWGの
の検討内容により、メンバーの見直しがあ
1つである「次世代診療システムによる
りうることを先方に伝えること。
医療情報の高度な統合・活用WG(仮称)
」
(6)対外活動申請
(第35回医療情報学連合大会
演者派遣)については、以前、本件の座長を
へのオブザーバ参加については、医療シ
ステム部会より選任することで承認された。
務めることについては承認済であるが、そ
の後
「電子処方せん/標準用法関連の状況
(4)
JAHISホームページ改修について、改修作
報告」が追加されたことによる再申請であ
業の発注は、
承認された。
る。
本件は、
承認された。
2016年3月末に切り替え予定。
(7)対外活動申請
「国保保険者標準事務処理シ
(5)歯科システム委員会の川越副委員長が社内
ステム検討会及び分科会のオブザーバ出
異動で退任のため、後任として、株式会社
席」
本件は、
追認された。
ミック
(F会員)の浅野智恵 氏が、歯科シ
(8)国保中央会からの依頼
「
「障害者総合支援事
務処理システム検討会」への委員推薦」につ
ステム委員会にて互選された。本件は、承認
された。
83
運営状況報告
(6)
J AMI研 修 企 画 委 員 会 の 佐 々 木 さ ん
ら ず、
JAHIS会 員 各 社 の 社 員 は 参 加 費
(JAHIS 国内標準化委員長)より、共催セ
(¥3,000)も無料になり、医療技師ポイン
ミナーの提案が来た。共催には費用はかか
トもつく予定である。
総務会
報告事項は割愛させていただき、主な審議事項の要旨を以下に紹介します。
平成27年度 第4回総務会
平成27年度 第5回総務会
【日時】
平成27年7月10日
(金)
15:00〜16:30
【日時】
平成27年8月19日
(水)15:00〜16:40
【場所】
JAHIS 第5会議室
【場所】
JAHIS 第2会議室
【審議事項】
【審議事項】
1)規程改定および細則制定について
今回は審議事項なし。
協議事項・報告事項のみ。
①J AHIS規程5018号「受託、請負に関する
規程」の改定について
原案どおり改定する事とした。改訂日、
平成27年度 第6回総務会
【日時】
平成27年9月8日
(火)
15:00〜16:00
附則日付および施行日は平成27年7月10
【場所】
JAHIS 第4会議室
日とする。
【審議事項】
②J AHIS規程6010号「受託、請負に関する
今回は審議事項なし。
協議事項・報告事項のみ。
細則」の制定について
原案どおり制定する事とした。制定日、
平成27年度 第7回総務会
附則日付および施行日は平成27年7月10
【日時】
平成27年10月21日
(水)
15:00〜16:55
日とする。
【場所】
外部会議室
2)HP改修に向けたユーザ要望の掬い上げにつ
いて 本日審議した内容で鈴木事務局長から運営
幹事経由で各部会に「JAHISホームページ
/ITに関する要望調査」の協力依頼を行う
事とした。
【審議事項】
1)規程制定について
①J AHIS規程5023号(
「取扱いに注意を要
する情報」に関する規程)
前回のコンプライアンス委員会にて承認
となったが、その後に委員から追加修正
3)事業推進部会規則の改定について
の要望が出た為に、コンプライアンス委
第4条第2項の「部会長」を「部長」に修
員会にて再度審議されることとなった。
正した上で改定内容を承認した。次回の運
次回のコンプライアンス委員会の審議結
営会議(7/21)において総務会より改定の提
果を受けてから、総務会にて審議するプ
案を行う。
ロセスを踏む事とした。
84
運営状況報告
2)中期計画2019(案)について
「中期計画基本方針・取り組み方法」につ
いては文言の調整を行う事とする。
「中期計画スケジュール」を含めて、11月
の総務会で事務局予算・総務会予算との擦
り合わせを実施し、精査の上で運営部へ提
出する事とする。
3)JAHIS競争法コンプライアンス自己監査表、
総括表について
自己監査表の各項目ともに昨年と同じ自己
評価である事が確認された。小林運営幹事
が自己監査表・総括表ともに記入し、監査
人・監査責任者・推進責任者が署名して運
営部へ提出する事とした。
85
運営状況報告
委員派遣ならびに協賛・後援(2015年7月~10月決定分)
委員派遣
1.一般社団法人電子情報技術産業協会 「MEセキュリティWG」オブザーバ
参与 橋詰 明英
医療システム部会 セキュリティ委員会 委員長 茗原 秀幸
2.厚生労働省委託事業
「電子版お薬手帳の適切な推進に向けた調査検討事業」調査検討委員会 委員
医事コンピュータ部会 調剤システム委員会 委員長 竹中 裕三
3.平成27年度厚生労働科学研究
「内服薬処方せんの記載方法標準化の普及状況に関する研究」 研究協力者
医療システム部会 部会長 下邨 雅一
4.厚生労働省
「診療報酬調査専門組織DPC評価分科会」 保険医療専門審査員(継続)
医事コンピュータ部会 DPC委員会 副委員長 竹井 和浩
5.厚生労働省委託事業 「オンライン資格確認に関する調査研究実務者WG」 WG参加者
医事コンピュータ部会 医科システム委員会 副委員長 清水 力
6.国民健康保険中央会
「国保保険者標準事務処理システム検討会及び分科会」 オブザーバ
保健福祉システム部会 福祉システム委員会 国保都道府県化WG
リーダ 小澤 昭彦、サブリーダ 大村 周久、サブリーダ 大内 正志、
メンバー 足立 英次
7.経済産業省 商務情報政策局 医療・福祉機器産業室 「次世代診療システムによる医療情報の高度な統合・活用WG(仮称)」 オブザーバ
医療システム部会 電子カルテ委員会 委員長 並川 寛和
医療システム部会 電子カルテ委員会 委員 中川 昌彦
協賛・後援
1.一般社団法人日本IHE協会 「第59回IHE勉強会「初級編」フレッシュマン対応!」 後援
2.一般社団法人日本医療情報学会 「第13回初任者向け医療情報システム入門セミナー」 共催
3.一般社団法人日本医療福祉設備協会、および、一般社団法人日本能率協会 「HOSPEX Japan 2015(第44回日本医療福祉設備学会併設展示会)」 後援
4.特定非営利活動法人ASP・SaaS・クラウドコンソーシアム 「ASPICクラウドフォーラム2015」 後援
5.名古屋国際見本市委員会 「第19回国際福祉健康産業展~ウエルフェア2016~」 協賛
86
運営状況報告
会員連絡窓口宛てと全員宛てメール(2015年7月~2015年10月末)
通知
番号
宛先
82
窓口 日本病院薬剤師会様より注意喚起情報のご連絡
81
全員 JAHIS技術セミナーのご案内
10月25日
80
窓口 経済産業省ヘルスケア産業課よりのご案内
10月21日
79
全員 日本医療情報学会「医療情報化基盤」連続セミナーのご案内
10月20日
78
窓口 IHEチュートリアル「IHE UPDATE 2015」の開催案内
10月13日
77
窓口
74
窓口 Translational Bioinformatics Conference[TBC]参加のご案内
9月30日
73
窓口 日本病院薬剤師会様より注意喚起情報のご連絡
9月28日
72
窓口 「平成27年6月までの消費税転嫁対策の取組状況について」
9月18日
71
窓口 米国大使館商務部後援「Health 2.0」のご案内
9月18日
70
窓口 「HEASNETフォーラム2015」のご案内
9月18日
68
全員 第60回IHE勉強会+コネクタソン見学会
8月24日
67
窓口 ホスピタルショウJAHISコーナーに関するアンケート
8月19日
65
全員
厚生労働省補助事業「保健医療福祉分野の公開鍵基盤HPKIセミ
ナー」のご案内(北海道開催)
8月3日
63
全員
JIRA「ヘルスソフトウェアの国内外の動向」勉強会 参加者募集の
お知らせ
7月27日
61
窓口 日本病院薬剤師会様より注意喚起情報のご連絡
7月22日
60
窓口 ホスピタルショウJAHISコーナーに関するアンケート
7月22日
59
窓口 電子カルテを構成する部品の情報提供のお願い(案内)
7月21日
54
全員 「第59回IHE勉強会「初級編」フレッシュマン対応!」のご案内
7月6日
53
全員 JAMI主催『初任者向け医療情報システム入門セミナー』のご案内
7月2日
タイトル
リスクマネジメント・トレーニング講座- GHS LEVEL-1 スキル習
得講座 -
送信日
2015年10月28日
10月8日
87
会員紹介
会員紹介
会誌第57号(平成27年9月発行)での会員紹介以降に、本年10月末日までに5社の新しい会員をお迎え
しました。入会された会社の業務概要やJAHISへの参加目的、活動する上でJAHISに望むことなどについて
自己紹介をしていただきます。このコーナーへ寄稿をいただいた会員の原稿を入会順に掲載しています。
紹介項目
①会社名
②郵便番号、所在地、電話番号
③ホームページURL
④会員連絡窓口の所属、役職、氏名
⑤会社紹介
株式会社 ファルモ
〒163-1436 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティータワー36階
TEL:03-5333-0553
URL:http://pharumo.jp
システム管理部 部長 大野 真
弊社は2010年に調剤薬局と患者様とのコミュニケーションツールとして電子お薬手帳サービスをスター
トさせました。現在、電子お薬手帳をさらなる健康管理ツールに進化させるべく、
『ルナルナ』などのヘル
スケアサービスに強みを持つ株式会社エムティーアイから出資をうけまして、新サービスの提供に向けて
共同で準備を進めております。 今年で4期目になりますが、ヘルスケアスタートアップとしてのチャレン
ジ精神を忘れず、弊社にしかできない商品やサービスを提供することで患者様、医療従事者、そしてこれ
からの未来に貢献していきたいと思っております。
貴会ならびに会員の皆様方には、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社
〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-24 天王洲セントラルタワー20階
TEL:03-6361-7070
URL:http://www.bio-rad.com/
サービス本部 診断薬 カスタマーサポート部 IHソフトウェアマネージャー 大林 直樹
バイオ・ラッドは50年以上にわたり、ライフサイエンス研究および診断薬市場に多様な革新的ツールお
よびサービスを提供することにより、科学的発見の推進で先導的な役割を果たしてきました。1952年に設
立されたバイオ・ラッドは、7,000人を超える社員で構成される世界的規模のチームであり、世界規模の業
務ネットワークで研究分野および業界の100,000を超えるお客様に貢献しています。バイオ・ラッドはその
在り方を通じて、お客様との強力な関係を築いてきました。この関係が科学的研究・開発への取り組みを
推進し、ゲノミクス、プロテオミクス、創薬、食品安全性、医学的診断などの成長分野で使用される新し
いテクノロジーの導入を促進しています。
貴会並びに会員の皆様方には、今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
88
会員紹介
ハートフロー・ジャパン合同会社
〒105-0003 東京都港区西新橋1-18-6 クロスオフィス内幸町13階
TEL:03-3539-3730
URL:http://www.heartflow.com
マーケティング部 ITマネージャ 伊藤 春基
弊社は、米国カリフォルニア州シリコンバレー地域のレッドウッド・シティに本社を置く医療機器製造
会社の日本法人として、2014年に設立された若い会社であり、日本においても医療機器製造販売会社とし
て活動しております。1995年、共にスタンフォード大に籍を置くCharles Taylor(数値流体力学)、
Christopher Zarins(血管外科)の2名が、それぞれの特性を融合して冠動脈血流量のイメージベースモリ
デングを開発し、2007年現在の場所においてHeartFlow社を設立いたました。
私たちの主たる製品であるFFR CT解析は、冠動脈CT画像を用いて心臓疾患リスクを非侵襲的な手段で解
析し医療機関様に提供します。この工程はICT技術に多くを頼ることになるため、個人情報・診療情報の保
護に細心の注意を払う必要があるのはご想像の通りです。この度JAHISに加入させて頂き、会員各社様と情
報交流をさせて頂くことにより、一層の情報環境の整備を推進し、患者様の負担軽減と、医療の発展に貢
献して参りたいと考えております。
貴会ならびに会員の皆様には、今後ともご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
一般社団法人 岡山中央総合情報公社
〒709-3717 岡山県久米郡美咲町原田3108-2
TEL:0868-66-2555
URL:http://www.jkousya.or.jp/
業務1課1係 主査 延本 章悦
昭和46年 「津山市外14町村組合立行政情報センター」を設立
昭和52年 「社団法人津山総合情報公社」に組織変更
昭和59年 「社団法人岡山中央総合情報公社」と改称
平成25年 「一般社団法人岡山中央総合情報公社」に移行
弊社は、市町村や公共的法人を会員として構成された非営利型法人で、岡山県の中央部にあたる久米郡
美咲町に施設を構え、コンピュータ機能を維持するために必要なセキュリティ対策・設備を備えながら、
安全で効率的な情報処理サービスを構成団体等に提供しています。
基本的な方針は、①公益性を有する共同運営により、低コストで効率的な行政情報化およびコンピュー
タ利用を行うこと、②情報処理機能を共有管理し、有効かつ効率的な情報処理システムの高度化を図ると
共に、行政の総合的な情報化支援を行うこと、③市町村との協働によるシステム研究・開発で、相互の連
携と広域的な情報化を図ることなどです。
実際には、住基・税・保健福祉等の業務システムを中心に、行政事務全般の情報処理を行っています。
規模の小さな組織ではありますが、電子自治体の推進に頑張っています。
(会員数:地方公共団体10、公共的法人1、平成27年10月現在)
貴会ならびに会員の皆様方には、今後ともご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
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会員紹介
アートシステム株式会社
〒171-0033 東京都豊島区高田3-28-2
TEL:03-5956-7433
URL:https://www.artsys.co.jp/
営業部 シニアマネージャー 野田 祥一
弊社は1980年の創業以来、医療機器をはじめとした組込み系ソフトウェア制御系システムをお客様に提
供してまいりました。
これら制御分野 における開発実績と技術力、長年蓄積してきたノウハウに加え、2015年4月にはDTSグ
ループより、新たに自動車関連や通信関連等の組込み系開発事業を当社に集約することにより、組込み分
野の開発を一層強化いたしました。
今後は、会員の皆様から医療機器、医療情報分野の標準化についてご指導いただき、社会に貢献できる
企業としてご期待に沿えるよう努力してまいりたいと考えます。
貴会ならび会員の皆様方には、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
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編集後記
編集後記
執筆者の皆様にはお忙しい中、ご寄稿をいただき誠にありがとうござ
いました。お陰様で会誌58号も新年1月の発刊を目指して最後の仕上げ
に入っています。
今年の夏は驚異的な猛暑で始まりましたが、お盆の頃からは長雨が始
まり、気が付くといつの間にか涼しい秋になっていました。当初の予想
とは異なり短い夏となりました。それにしても東京での8日間連続の猛
暑日は超強烈でした。
今年の冬は長期予報では暖冬との見立てですが、実際はどうなる事で
しょうか。あと数日で師走突入となる本日、自宅に隣接する公園では桜
の木々が赤く紅葉し落葉しています。楡の木も半分ほど黄色く染まって
いますが、銀杏の木々はまだ緑々しています。
厳しい寒さは遠慮したいところですが、暖冬となり積雪量が少ないと
来年夏の渇水が危惧されます。何事も適度・適量・中庸が大切ですが、
地球温暖化の影響による気象・気候のブレが大きくなっているようです。
来たる2016年は4年に一度の夏のオリンピックイヤーです。ブラジル
のリオデジャネイロで開催される大会で日本人選手が大いに活躍する事
を期待したいものです。併せてJAHIS会員会社の益々のご発展と皆様の
ご健康・ご活躍を祈念して編集後記に代えさせていただきます。
AO記
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一般社団法人
保健医療福祉情報システム工業会 会誌 第58号
平成28年1月12日 発行
発 行 人:浅野 正治
編集委員会:編集人 大滝 明
委員 岩本 和則
委員 岸 和彦
委員 木下 善貴
委員 鈴木 義規
委員 千葉 修
委員 平井 健二
委員 森下 孝一
発 行:一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
〒105-0004 東京都港区新橋二丁目5番5号
新橋2丁目MTビル5階
電話 03-3506-8010
FAX 03-3506-8070
URL http://www.jahis.jp
制 作:株式会社イズ・アソシエイツ
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