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PLANET4 「防災」アニメーション教材完成
Accu PROGRamme 悲しみを繰り返さないために PLANET4 「防災」アニメーション教材完成 文: 座波 圭美(教育協力課) 待望のアニメーション教材『ミナの防災村づくり』 (英語版・日本語版)が完成しました。 2005年の制作会議から、アジア防災センター監修のもと、各国の専門家とともに丁寧に作り 上げてきた教材です。 「水」 「森」 「ごみ」に続く環境教育パッケージ教材シリーズの一環とし て、持続可能な暮らしのため、自然の恵みにも脅威にも向きあえる村づくりを目指しています。 完成した『ミナの防災村づくり』英語版 もっとも被害を受けやすい 人々に備えを 一筋縄ではいかない教材制作 い」と、登場人物との再会を喜びました。 多様性を誇るアジア太平洋地域に共 は、嵐の夜の張り詰めた空気や、姪っ こうして出来上がった20分弱のアニメ 「お母さんは助かったかもしれないん 通する防災教材とはどんなものでしょう 子が行方不明になる緊迫感を通し、災 だ。宝石を取りに家まで戻って…イバ か。地震ひとつとっても、家屋が石造か 害への対処法や被災地での活動、村で ラの茂みに髪の毛がひっかかっちゃっ 木造かで対処法が変わります。場所によ の防災の取り組みを追体験できるように たんだ。お母さんの最期を教えてくれ り災害の種類も違います。試 ※1 たのはおばさんだった」 行錯誤の後、数種類の災害を 2004年12月26日、 「ツナミ」という 取り上げるポスターや小冊 子 言葉も現象も知らなかった人々にも、 と、サイクロンや台風など名称 容赦ない自然の脅威が牙を剥きまし は違っても各地で頻発する大 た。わずかな知識が、瞬間的な判断が、 嵐に的を絞ったアニメーション 尊い命の生死をわけます。本当は助か とを分けて制作することが決 った命があったかもしれない。遺され 定しました。 制 作は、 防 災・ た人々の痛みに、その思いが強くなり 地域開発・教材制作・アニメ ます。 ーションなど異なる分野の専 アジア防災センターの調査による 門家を中心として、アジア太 と、日頃の備えが被害の度合いを左右 平洋地域で実際に教育に携わる人々が、 描かれており、専門家でなくても、協力 します。教育や情報にアクセスできな これを支える形で進みました。東京での して被害を抑えられるというメッセージ い人々は、それだけで高いリスクを抱 国際制作会議で決まった内容を域内の を伝えています。 えてしまっています。ACCUは、長年、 40人近い専門家に打診し、返ってきたコ 教育を受ける機会が最も限られた人々 メントをもとに台本を書き、再び専門家 に対して教育を届けることに取り組ん に相談、書き直し、という過程が繰り ミナ役のアグネスさん、アニメーション監督の鈴木伸一先生と 一日でも早く できました。その経験を最大限に活か 返されました。真っ向から対立する意見 インド洋沖地震・津波から3年の月 し、15年にわたりアジア太平洋の人々 もあり、国境を超え、長く詳細な交信が 日が流れ、6月にはイギリス赤十字によ に親しまれてきた“ミナ”のシリーズ 何度も何度も行き来しました。台本が決 るアチェでの人道支援が完了しました。 を通して、2005年、防災教材制作に着 まると、アニメ監督の鈴木伸一先生が、 国境や文化を超えた団結のもと、着実 手しました。 マレーシアの国民的まんが家LAT氏作 に復興が進んでいます。しかし、大規 のキャラクターに息を吹き込んでいきま 模災害はあとを絶ちません。災害のニ す。イラストの細部にも配慮し、栃木県 ュースが届くたび、もどかしい思いが のアジア学院を訪れ、アジア太平洋やア 募ります。 『ミナの防災村づくり』は、 フリカの農村指導者24名と一緒に、内 ポスターや小冊子の教材とともに防災 容や風景、小物、登場人物の態度に至 教材パッケージとなります。津波に関 るまで、農村の現実に照らし合わせて検 する小冊子“Tsunami Rescue!”※2とと 討。その後はいよいよ動画制作、レコー もに、できるだけ多くの人々に、一日 ディング、音響効果です。今回も主人公 でも早く、質の高い防災教材を届ける ミナの声はアグネス・チャンさんにご協力 ために、各国語版制作にむけて努力は いただきました。ミナ役が5回目の今回、 続きます。 農村の暮らしを反映しているだろうか ? アジア学院 の農村リーダーと絵コンテを吟味 アグネスさんは「まるで親戚に会うみた ※ 1 インドの少年のことば "Children of Tsunami ‒ Rebuilding the Future"TVE Asia Pacific より ※ 2 「稲むらの火」のもとになった日本での実話を、科学的な知識とともに伝えた小冊子。2007 年制作。 ACCUニュース No.368 2008.7 5