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ぐんまグッドサポートガイド(三つの支援小冊子)

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ぐんまグッドサポートガイド(三つの支援小冊子)
中小企業の皆さんのための
ぐんまグッドサポートガイド
[平成27年度版]
頑張るあなたを
応援します…
三つの支援
創業支援
経営支援
再生支援
をご活用ください!
群馬県信用保証協会
27年度改訂版
目 次 C
O
N
T E
N
T
S
「チャレンジ・ザ・ドリーム~群馬の明日をひらく~」をお聞きください! 1
「三つの支援」とは……
2
「三つの支援」のための関係機関との連携
3
創業支援のご案内
(1)創業に関するご相談は保証協会まで
5
(2)創業応援チーム・女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)」にお任せください 5
(3)認定支援機関等との連携
6
(4)創業計画サポートガイドをご利用ください
6
(5)FMぐんま「チャレンジ・ザ・ドリーム」で応援します
6
(6)創業を支援する各種保証制度のご案内
7
(7)創業支援の取組み事例のご紹介
10
経営支援のご案内
(1)群馬県中小企業支援ネットワーク会議
(2)群馬県経営サポート会議
(3)経営に関するご相談は保証協会の相談窓口まで
(4)企業支援課による経営支援活動
(5)認定経営革新等支援機関をご利用ください
(6)経営支援に係る各種保証制度のご案内
(7)経営支援の取組み事例のご紹介
17
19
20
20
21
21
24
再生支援のご案内
(1)再生支援の流れ
(2)企業支援課が支援します
(3)求償権消滅保証について
(4)再生支援に係る各種保証制度のご案内
(5)再生支援の取組み事例のご紹介
33
34
34
35
38
信用保証のご利用案内
(1)信用保証協会とは
(2)信用補完制度
(3)信用保証をご利用いただける方
(4)信用保証の内容
(5)責任共有制度について
47
47
47
48
49
【平成27年度版の主な改正点】
「ぐんまグッドサポートガイド」は、19年度にはじめて発行し、以来毎年度改訂版を発行しています。
今回発行した27年度版の主な改正点は以下の通りです。
○平成26年1月、経営改善サポート保証(事業再生計画実施関連保証)を創設しました。
○平成27年4月、女性・若者・シニアチャレンジ資金を創設しました。
○平成27年4月、中小企業診断士等の専門家による経営診断や経営改善計画策定支援にかかる費用の全額補助する事業を
開始しました。
○平成27年8月、女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)」を設置しました。
○創業支援・経営支援・再生支援の取組み事例を各々ひとつずつ追加しました。
FMぐんまとの共同制作番組
「チャレンジ・ザ・ドリーム
~群馬の明日をひらく~」
をお聞きください!
群馬県信用保証協会は、平成25年4月から「創業・起業」にスポットを当てた
番組を、FMぐんまと共同制作し、放送しています。ぜひ、お聞きください。
こんな番組です
夢への挑戦をテーマに、明日に向かって走っている人を応援する番組です。メ
インコーナーでは、大企業のトップや経済界のリーダーの声を、FMぐんまのパー
ソナリティーが様々な切り口でインタビューします。
プログラム
① トップインタビューコーナー
群馬を代表する企業の社長等に登場していただきます。いろいろな話をして
いただきますが、創業時に経験したこと、これから創業する方や若者へのアド
バイスなど、興味深くてためになる話を聞くことができます。
② チャレンジ企業紹介コーナー
新規創業者や若手経営者、特徴のある事業者、急成長している中小企業など
を紹介します。保証協会の創業応援チーム ・ 女性創業応援チーム「シルキー ク
レイン(Silky Crane)
」の支援により創業チャレンジ資金、女性・若者・シニ
アチャレンジ資金(群馬県創業者・再チャレンジ支援資金B-2、
B-3タイプ)
を利用した創業者も、希望により紹介させていただくこともございます。
③ 保証協会からのお知らせコーナー
保証協会からのトピックスを、保証協会女性職員がお伝えします。
放送日時
毎月 第1木曜日 12:00 ~ 12:55(55分間)
【再放送】2日後の土曜日 8:00 ~ 8:55
※番組内容は、保証協会の保証月報やホームページでも紹介いたします。
1
「三つの支援」とは……
群馬県信用保証協会は、中小企業の皆さんが金融機関から事業資金を借入する際、
「信用保証」という公的な保証を行って、資金繰りをサポートする公的機関です。
このような信用保証業務のほかにも、相談、診断、情報提供等の各種支援サービ
スを行っています。これらは大きく「創業支援」
「経営支援」
「再生支援」の三つに分
かれます。保証協会はこれらを「三つの支援」と名付け取り組んでいます。
平成24年9月には保証協会が事務局となり「群馬県中小企業支援ネットワーク会
議」
「群馬県経営サポート会議」を設置し、また「中小企業の新たな事業活動の促進
に関する法律」
(平成24年8月30日施行)に基づく「認定経営革新等支援機関(略
称:認定支援機関)
」が群馬県内でも増加するなど、関係機関との連携による支援体
制が、一層強化されました。
本冊子では、これらの「三つの支援」業務の内容について説明いたします。興味
をもたれた方は、ぜひ保証協会までお問い合わせください。
三 つ の 支 援
2 創業支援
P4
をご覧ください
経営支援
P17
をご覧ください
再生支援
P33
をご覧ください
Gunma Good Support Guide
「三つの支援」のための関係機関との連携
「三つの支援」を、よりスピーディに、より確実に実施するために、関係機関と連
携しております。平成24年度には、前頁のとおり「群馬県中小企業支援ネットワー
ク会議」
「群馬県経営サポート会議」
「認定経営革新等支援機関(略称:認定支援機関)」
により、支援体制が一層強化されました。専門の担当者がネットワークで結びつく
ことで、より質の高い支援を行います。
お 客 様
信用保証業務・各種支援業務の総合的連携
金融機関
県・市町村
商工会議所・商工会
群馬県信用保証協会
経営支援
ネットワーク
創業支援
ネットワーク
再生支援
ネットワーク
群馬県中小企業支援ネットワーク会議
金融機関
商工会議所
県産業支援機構
前橋財務事務所
県中小企業再生支援協議会
県中小企業団体中央会
関東経済産業局
群馬県
群馬県経営サポート会議
認定支援機関
商工会
金融機関
金融機関
商工団体
税理士等
支 援 業 務 に 特 化 し た 連 携
有 機 的 連 携
3
創業支援のご案内
保証協会では、平成25年度以降、創業支援業務を拡充し
ています。
金融、相談、テキスト、広報によるトータルサポートで、
創業者の皆さんをナビゲートいたします。
創業トータルサポート
金 融 創業チャレンジ資金、女性・若者・シニアチャレンジ資金
相 談 相談窓口と創業応援チーム・女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)」
テキスト 創業計画サポートガイド
広 報 FMぐんま番組「チャレンジ・ザ・ドリーム」
お 客 様
群馬県中小企業支援ネットワーク会議
県産業支援機構
認定支援機関
税理士等
商工会議所・商工会
金融機関
群馬県信用保証協会
創業応援チーム・女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)」
が応援いたします
4 出前金融・経営相談
金融・経営窓口相談コーナー
でご相談ください
でご相談ください
Gunma Good Support Guide
(1)創業に関するご相談は保証協会まで
保証協会は、
「金融・経営窓口相談コーナー」を設置し、専門スタッフが創業に関する相談を
希望するお客様にきめ細やかに対応しています。相談は無料ですので、
お気軽にご利用ください。
「金融・経営窓口相談コーナー」
保証協会の各部・支店の保証課に、
「金融・経営窓口相談コーナー」を設けています。
保証協会の営業時間内であれば、いつでもご相談に応じます。
区 分
本店エリア
高崎エリア
桐生エリア
太田エリア
全 体
問い合わせ先
営業部保証第一課
営業部保証第二課
高崎支店保証第一課
高崎支店保証第二課
桐生支店保証課
太田支店保証課
保証統括部保証推進課
保証統括部企業支援課
電話番号
027-231-8818
027-231-8819
027-362-7733
027-362-7733
0277-43-6211
0276-48-8811
027-231-8875
027-219-6003
対象
創業相談
経営相談
担当者
創業支援担当者
中小企業診断士等
創業相談
経営相談
(2)創業応援チーム・女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)」にお任せください
平成23年10月に保証統括部保証推進課内に設置した「創業応援チーム」を、平成25
年度に大幅に拡充いたしました。各部・支店の部・支店長5名(創業支援統括責任者)、
保証次課長7名(創業支援責任者)
、課員等27名(創業支援担当者)で構成し、万全の
受入体制を整えています。
さらに、平成27年8月より、女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)
」
を設置しました。創業を志す女性や女性経営者に対して、女性ならではの観点で感性を
活かした支援を行い、当該中小企業者の成長・発展に寄与させていただきます。また、
経営上のさまざまな相談がしやすい環境作りを心がけ、よきパートナーとなれるよう努
めさせていただきます。
チーム名の由来は、近代群馬を発展に導いた代表的産業であり、女性が支え続けた絹
産業(養蚕、製糸、織物)から【絹=シルク】と、県域のかたち【鶴=クレイン】を組
み合わせたものです。女性創業者の皆さまが、
しなやかに、末永く羽ばたけるよう、サポー
トさせていただきます。
女性職員9名で構成し、リーダー1名、サブリーダー1名、アドバイザー3名、サポー
ター4名が女性創業者の皆さまを元気に応援いたします。
女性創業応援チーム「シルキー クレイン(Silky Crane)」相談窓口
専用電話:027-226-6112 受付時間:9:00〜17:10
※「シルキー クレイン」による創業相談は、上記の専用電話に加えて、本支店の保証課でも
受付いたします。その後チームの担当者から直接連絡をいたします。
① 対象となる創業者
保証協会に相談や支援を希望される方
② 応援メニュー
ア 創業に係る各種相談
イ 創業計画策定等の支援、創業計画全般に対するアドバイス
ウ 創業者の希望する金融機関への連絡、橋渡し
5
エ 創業チャレンジ資金、女性・若者・シニアチャレンジ資金(P7参照)による金融支援
オ 創業後(保証後)の継続的なモニタリング、経営相談
また、中小企業診断士等の専門家による、創業の相談からアドバイス、創業計画策
定支援にかかる費用を当協会が全額補助する事業も行っています。
※ 相談の過程で創業計画見直し等のアドバイスをすることもございます。また、
信用保証の利用に際しては、各保証制度で定める要件のほか、保証協会所定の審
査がありますので、ご了承ください。
(3)認定支援機関等との連携
創業チャレンジ資金、女性・若者・シニアチャレンジ資金(P7参照)の要件となって
いる認定支援機関や、群馬県産業支援機構、商工会議所・商工会(群馬県商工会連合会)
と連携して、ご相談に乗らせていただくこともあります。群馬県中小企業サポーターズ協
議会にも加入して活動しています。
(4)創業計画サポートガイドをご利用ください
保証協会では、創業をお考えの方に向けた冊子『創業者の皆さんのための 創業計画サ
ポートガイド ~創業計画の作り方から創業後のサポートまで~』を発行しています。
① 創業にあたって必要不可欠な「創業計画書」の書き方を中心に、保証協会の支援業務
のご案内、創業事例のご紹介等を具体的にご説明しております。
創業者の皆さんのための
② 実際の「創業計画書」が掲載されていますので、自由に書き込ん
創業計画サポートガイド
∼創業計画の作り方から でいただけます。書き込んだ冊子を保証協会の窓口にご持参いただ
創業後のサポートまで∼
ければ、そのまま創業のご相談をお伺いすることができます。
③ 保証協会の「創業応援チーム」が、本ガイドを手引きとして創業
計画策定等の支援をさせていただきます。
※ ご希望の方は、保証協会企画課までご連絡いただければ
(TEL027-231-8874)
、お送りさせていただきます。また、保証協
会のホームページでもご覧いただけます。
〔平成27年 改訂版〕
群馬県信用保証協会
http://gunma-cgc.or.jp/
編集 総務部企画課 027-231-8874
群馬県信用保証協会
平成27年10月
(5)FMぐんま
「チャレンジ・ザ・ドリーム」で応援します
群馬の明日をひらく
平成
年度版
起業やイノベーションのヒントに満ちた経営者の言葉
群馬県信用保証協会
平成25年度版
the
起業やイノベーションのヒントに満ちた経営者の言葉
Dream
単行本「チャレンジ・ザ・ドリーム~群馬の明日をひらく~」
(平成25年度版・平成26年度版)を発行しています。
当協会では、番組で放送しました群馬を代表する企業のトップイン
タビューのうち、平成25年分と平成26年分、各12人の社長の話し
を収めた単行本を発行しています。
「起業やイノベーションのヒント
に満ちた経営者の言葉」がたくさん詰まっています。
本書を通じて、実際に起業・創業される方、企業や組織、あるいは
自分にイノベーションを起こす方が多く現れることを願っています。
ご希望の方は、当協会企画課(TEL 027-231-8874)までご連絡
いただければ、お送りさせていただきます。また、保証協会のホーム
ページでもご覧いただけます。
チャレンジ・ザ・ドリーム
Challenge the Dream
Challenge
チャレンジ・ザ・ドリーム
群馬県信用保証協会
Challenge
起業やイノベーションのヒントに満ちた経営者の言葉
群馬の明日をひらく
the
Challenge the Dream
チャレンジ・ザ・ドリーム
チャレンジ・ザ・ドリーム
Dream
群馬県信用保証協会
群馬県信用保証協会
起業やイノベーションのヒントに満ちた経営者の言葉
年度版
平成26年度版
平成
6 平成25年4月より、
「創業・起業」を中心としたFMぐんまとの共同制
作番組「チャレンジ・ザ・ドリーム」を放送しています。詳しくはP1
をご覧ください。
Gunma Good Support Guide
(6)創業を支援する各種保証制度のご案内
創業者を金融面でサポートする各種保証制度を紹介いたします。創業前又は創業直後だ
けでなく、創業後最長5年未満であればご利用いただけます。必要書類等詳細につきまし
ては、保証協会までお問い合わせください。
① 群馬県の創業を支援する融資制度
平成25年度に、群馬県と保証協会でタイアップして認定支援機関のスキームを活用
した「経営力強化保証の創業版」として全国初となる、メリットの大きい保証制度「創
業チャレンジ資金(群馬県創業者・再チャレンジ支援資金B-2タイプ)」を創設い
たしました。
平成27年度は、
「創業チャレンジ資金」を更に拡充し、
「女性・若者・シニアチャレン
ジ資金」
(群馬県創業者・再チャレンジ支援資金B-3タイプ)を創設いたしました。
区 分
(1)創業チャレンジ資金
(2)女性・若者・シニアチャレンジ資金
(群馬県創業者・再チャレンジ支援資金B-2タイプ)(群馬県創業者・再チャレンジ支援資金B-3タイプ)
お 客 様 の
メ リ ッ ト
①創業計画策定サポート……創業計画の策定を、
保証協会の創業応援チーム、
女性創業応
援チーム
「シルキー クレイン
(Silky Crane)
」
または認定支援機関が支援いたします。
②低い保証料率……(1)0.5%(通常の創業保証よりも▲0.2%)
(2)0.45%(通常の創業保証よりも▲0.25%)と非常に低率と
なっています。
③創業後もフォローアップ……創業後2期目の申告が終わるまで、定期的に経営状況
を確認しアドバイスします。
④広報でも応援……保証協会がスポンサーとなっているFMぐんまの番組「チャレンジ・
ザ・ドリーム」や保証協会の保証月報及びホームページで取り上げさせていただきます。
対
象
(1)金融機関及び保証協会または認定支援機関から創業計画策定等の支援を受け、次
のいずれかに該当する方
(2)女性、34歳以下の若者または55歳以上のシニアの方で、金融機関及び保証協会
または認定支援機関から創業計画策定等の支援を受け、次のいずれかに該当する方
1 1ヶ月以内に新たに事業を開始する具体的計画を有する、事業を営んでいない個人の方
2 2ヶ月以内に新たな会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的計画を有す
る、事業を営んでいない個人の方
者 3 新たな会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的計画を有する、中小企業
者である会社(分社化)
4 事業開始後3年未満の個人の方(当該事業を開始した日前に事業を営んでいなか
った方に限ります)
5 設立後3年未満の会社(当該設立の日前に事業を営んでいなかった個人により設
立された会社、又は他の会社がその事業の全部もしくは一部を継続して実施しつつ
新たに設立した会社に限ります)
※創業等関連保証又は創業関連保証(P9)を付すことが条件となります
融資限度額
1,500万円
(A・B・Cタイプと合わせて4,500万円 /B・Cタイプと合わせて1,500万円)
但し、対象者1及び2の方については
・創業等関連保証を付した場合、自己保有資金と同額までが限度額となります。
・創業関連保証を付した場合、1,000万円が限度額となります。
・認定特定創業支援事業に係る「支援創業関連保証」を付した場合は、1,500万円が
限度額になります。
融 資 期 間
運転資金:5年以内(内据置期間1年以内)、設備・運設資金:7年以内(内据置期間1年以内)
融 資 利 率
責任共有対象外 1.7%
保 証 料 率
0.5%
担 不要
保
モニタリング
0.45%
保 証 人
法人代表者のみ
6ヶ月後、1期目の申告後、2期目の申告後のほか、必要に応じてモニタリングを実施します。
7
群馬県創業者・再チャレンジ支援資金(Aタイプ)
対
象
者
創業後5年未満の中小企業者であって、次のいずれかに該当する方
1 営んでいる業種と同一の業種に属する企業に3年以上勤務した経験を有する方及
び同等の経験を有すると認められる方
2 法律に基づく資格を有する方で、その資格を生かして事業を営んでいる方
3 国、自治体等が実施する創業者向けセミナーを修了し、事業を営んでいる方
4 金融機関及び認定支援機関の支援を受け、事業の安定・拡大に取り組む方
融資限度額
B・Cタイプと合わせて4,500万円(うち運転資金2,500万円)
融 資 期 間
運転資金:5年以内(内据置期間1年以内)、設備資金:10年以内(内据置期間2年以内)
融 資 利 率
責任共有対象の場合1.75%以内
責任共有対象外の場合1.7%以内
保 証 料 率
創業等関連保証又は創業関連保
証を併用する場合は、0.7%
それ以外の場合は、適用する信
用保険等により異なります
担 原則として不要
保
法人代表者のみ
保
証
人
群馬県創業者・再チャレンジ支援資金(Bー 1 タイプ)
対
象
者
次のいずれかに該当する方
1 1ヶ月以内に新たに事業を開始する具体的計画を有する、事業を営んでいない個
人の方
2 2ヶ月以内に新たな会社を設立し、
当該会社が事業を開始する具体的計画を有する、
事業を営んでいない個人の方
3 新たな会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的計画を有する、中小企業
者である会社(分社化)
4 事業開始後5年未満の個人の方(当該事業を開始した日前に事業を営んでいな
かった方に限ります)
5 設立後5年未満の会社(当該設立の日前に事業を営んでいなかった個人により設
立された会社、又は他の会社がその事業の全部もしくは一部を継続して実施しつつ
新たに設立した会社に限ります)
※創業等関連保証又は創業関連保証(P9)を付すことが条件となります
融資限度額
1,500万円(A・B-2・B-3・Cタイプと合わせて4,500万円/B-2・B-3・
Cタイプと合わせて1,500万円)
但し、対象者1及び2の方については
・創業等関連保証を付した場合、自己保有資金と同額までが限度額となります。
・創業関連保証を付した場合、1,000万円が限度額となります。
・認定特定創業支援事業に係る「支援創業関連保証」を付した場合は、1,500万円が
限度額になります。
融 資 期 間
運転資金:5年以内(内据置期間1年以内)、設備・運設資金:7年以内(内据置期間1年以内)
融 資 利 率
責任共有対象外 1.7%
保 証 料 率
0.7%
担 不要
保
法人代表者のみ
保
証
人
※ 群馬県創業者・再チャレンジ支援資金(Cタイプ)については、P35 をご覧ください。
8 Gunma Good Support Guide
② 国の創業を支援する保証制度
創業等関連保証
対
象
次のいずれかに該当する方
1 事業を営んでいない個人が借入金額と同等以上の自己資金を有し、
「1ヶ月以内に
個人で事業を開始する場合」又は「2ヶ月以内に会社を設立する場合」
2 事業を営んでいない個人により創業後、又は会社設立後5年未満の場合
3 分社化を計画する会社、及び分社化により設立された5年未満の会社
者
保証限度額
1,500万円
保 証 期 間
10年以内(内据置期間1年以内)
融 資 利 率
金融機関所定利率
保 証 料 率
0.7%
担 保
不要
保
人
法人代表者のみ
証
創業関連保証
対
象
者
保証限度額
次のいずれかに該当する方
「1ヶ月以内に個人で事業を開始する場合」又は「2ヶ
1 事業を営んでいない個人が、
月以内に会社を設立する場合」
(支援創業関連保証の場合は個人・会社とも6ヶ月以内)
2 事業を営んでいない個人により創業後、又は会社設立後5年未満の場合
3 分社化を計画する会社、及び分社化により設立された5年未満の会社
1,000万円(再挑戦支援保証と合算)
(支援創業関連保証の場合は1,500万円)
保 証 期 間
10年以内(内据置期間1年以内)
融 資 利 率
金融機関所定利率
保 証 料 率
0.7%
担 保
不要
保
人
原則として法人代表者のみ
考
支援創業関連保証の場合、認定特定創業支援事業により支援を受けたことの市区町村
長の証明書の写しが必要
備
証
※ 再挑戦支援保証については、P 37 をご覧ください。
○留意点
ア 創業等関連保証の対象要件における自己資金額は、下記(ア)に掲げる合計額
から(イ)に掲げる合計額を控除した金額です。
(ア)自己資金 → 当該創業予定の事業に充てるために用意したもの
ⅰ 普通預金、定期預金等残高の証明ができるもの
ⅱ 有価証券に保証協会が定める一定の評価率を乗じたもの
ⅲ 敷金及び入居保証金
ⅳ 申込前に導入した当該事業用設備(不動産を除く)
ⅴ その他客観的に評価が可能な資産(不動産を除く)
(イ)借入金
ⅰ 住宅ローン、設備資金等長期返済を前提としたものは、年間返済予定額の
2年分(元利金で捉える)
ⅱ 上記ⅰに該当しないものは、当該借入金全額(短期借入金は全額控除)
イ 創業関連保証の対象要件には「自己資金要件」はありません。
9
(7)創業支援の取組み事例のご紹介
事例
1
企業の業種●自動車整備・中古車販売業 年商(目標)●約1億円 従業員●4名
1 創業の動機
社長さんは、もともと自動車に対する造詣が深く、自動車用品販売店に勤務していました。
いつかは独立し、自動車に係る事業を起こす夢を抱き、準備をすすめていました。勤務のかた
わら、自動車整備士や自動車検査員の資格を取得するとともに、開業に係る自己資金の積み立
てをするなど、独立に向け前向きな取り組みをしていました。
自動車分解整備の事業者数は多く、後発の創業であり、社長さんは「独自の特色を持たなけ
れば太刀打ちできない」と考え、従来の同業界の常識をくつがえすような計画を立て、具体的
な準備に取り掛かりました。
2 創業支援までの経緯
社長さんの親しい知人が会計事務所に勤務していたため、創業計画作成の相談を行い、最初
に大雑把な計画書が完成しました。知人の紹介等から商工会議所(当時の「地域ベンチャー支
援センター」)の存在を知り、創業計画書を持参し事業内容を説明しました。荒削りな計画書で
あったこともあり、商工会議所の担当者から様々な助言や指導を受け、数回にわたり出向いて
計画書の内容を練り直しました。この計画の練り直しは、慣れない作業でもあり大変そうでし
たが、商工会議所のフォローにより完成することができました。
商工会議所で創業計画の助言を受ける中で、具体的な資金調達計画については群馬県創業者
支援資金を紹介され、これに基づき金融機関や保証協会に申請しました。保証協会は、創業支
援資金の申込に接し、必要書類などを細かく説明しました。社長さんが準備期間を十分に設定
していたこともあり、書類はスムースに整い、融資を受けることができました。
工場の改修や自動車整備の設備に係る資金総額の約5割を、創業支援資金で調達することが
でき、念願の開業を果たすことができました。
3 創業後の業績とこれからの展望
現在は法人設立後2年半が経過しています。決算第1期目は赤字計上で、不安なスタートに
なりました。しかし、家族や友人知人の協力をはじめ、チラシやインターネットを活用した広
告が功を奏し、口コミで徐々に知名度が広がり、決算2期目は年商で約3倍となり、わずかな
がら利益も計上でき、創業2年目としては良好な実績を残すことができました。
先般、保証協会の創業支援担当者がモニタリングに出向いたところ、店舗兼事務所はアクア
リウムや大型モニターが設置されていて、初めてでも落ち着ける雰囲気でした。整備工場は店
舗兼事務所と同一建物であるため、大きな窓越しに、お茶を飲みながら整備中の愛車を見るこ
とができます。当初計画したとおり、女性が気軽に車の相談ができる整備工場となり、他社と
の差別化が図られています。売上は引き続き増加しており、新たに整備士を雇うことを検討し
ているとのことでした。最後に社長さんから「あたりまえのことですが、
『親切で丁寧な対応を
モットー』に更なる売上増加を目指したいと思います」と力強い言葉を聞くことができました。
10 Gunma Good Support Guide
事例
2
企業の業種●飲食店(そば・うどん等) 年商(目標)●約3千1百万円 従業員●9名
1 創業の動機
社長さんは、民間一般企業に勤めるサラリーマンでした。仕事で2年間S県に住んでいた頃、
近くに桜エビのかき揚げてんぷらを売りものにする、そば・うどん店があり、庶民的で大衆的
な価格でありながら、味にも妥協がなくとてもおいしかったため、通いつめていました。いず
れ自営業を行いたいと思っていたところ、この飲食店はS県を拠点にしフランチャイズ(以下、
FC)展開している企業であることを知り、説明会などに参加して創業の決意を固めました。
店舗の運営も、40歳代から50歳代のパートさんで構成されるなど、地域密着型の店つくりがな
されており、自分でも運営可能と確信を深めました。
2 創業支援までの経緯
保証協会のホームページで金融・経営相談会のことを知り、相談会に足を運び、担当者(中
小企業診断士)から、融資までの具体的な流れや、創業者向け保証制度について説明を受けま
した。また、飲食店の勤務経験がないことなど不安要素を指摘されるともに、開業予定地の周
辺市場調査や、創業計画書の作成等についてアドバイスを受け、より詳しい専門家の助言を求
めるように、県中小企業診断協会の相談窓口も紹介されました。
創業計画書については、保証協会や県診断協会の助言を参考にして、何度も練り直して策定
しました。並行して、本人はFC傘下の店舗で実地研修を重ね、開店に向けて準備を進めました。
資金調達は地元信用金庫から行い、平成22年3月に開業しました。
3 創業後の業績とこれからの展望
開業1年後に保証協会の担当者がモニタリングに訪れました。初年度の売上実績は計画比
78.5%で、わずかですが最終利益も計上するなど、初年度としては概ね良好な実績を上げるこ
とができました。最近は、リピーターも徐々に増え、売上が安定しつつあり、創業してよかっ
たという実感がようやく持てるようになりました。社長さんの話からは、数値管理ができてい
ることが分かり、経営者として積極的な取り組み姿勢が伝わってきました。店舗建物は新築で
すが、飲食店であることから清潔感には細心の注意が払われており、建物の内外はもちろん駐
車場やトイレの中も清掃が行き届いていました。
なお、開業後もさまざまな苦労と努力があったことを、それを乗り越えた自信とともに、以
下のとおり語ってくれました。
・軌道に乗るまでは、サラリーマン時代と同じ時間を働いても疲労度は数倍に感じ、体力的
に厳しかった。
・売上の変動が大きく損益分岐点を割り込む月もあった。事業継続断念を考えたときもあっ
たが、FC元への協力要請やメニュー内容の改良など試行錯誤を繰り返した。
・麺類については、自ら製麺していたものを取りやめ、FC元からの冷凍麺を使用した時期
もあったが、客離れを起こし、再び自ら製麺することにした。
・看板メニューのかき揚げのてんぷらについて、からっとした食感を出すのに苦労した。
・パートやアルバイトに対する教育に苦心した。接客や給仕に不慣れな人を雇わざるを得ず、
自分が考えているとおりに動いてもらえずやきもきした。マネジメント経験のある妻の協
力を得ることができ、助かった。
将来の展望について質問すると、最終的には店舗数を3店舗まで拡大したいという希望はあ
るものの、当面は売上を安定させ、内部留保の蓄積に努めたい、と語ってくれました。
11
事例 【創業応援チームによる支援活動】
3
企業の業種●建材卸業 年商
(目標)
●約1千2百万円 従業員●2名
1 創業の動機
社長さんは、学生時代から将来の独立開業を夢みていました。学校卒業後、独立に必要な知
識と経験を身につけるべく県内の建材商社に十数年間勤務し、その後数年間は物流会社で長距
離トラックの運転手をしていました。
配送の担当をしている東海地方の建材メーカー(T社)の仕事を数年間継続する中で次第に
関係が深くなり、あるときT社から「当社の関東地方での拠点的な役割として独立開業をして
欲しい」と誘いを受けました。社長さんは、創業を夢見ていた学生時代の気持ちを改めて思い
出し、創業に踏み出すことを決意しました。
2 創業支援までの経緯
社長さんの頭の中では、T社の担当者と創業についての話し合いを重ねるにつれて、少しず
つ創業後の青写真ができあがってきました。しかし、すべてが順調に進んだわけではありません。
今までサラリーマンとして生活してきた社長さんにとっては、金融機関に融資申込の相談をす
ることが最初のハードルだったのです。「一体、何を説明すれば良いのだろうか?どんな資料が
必要なのだろうか?」
独立開業の手助けをしてくれるT社の担当者に教えられて、社長さんは保証協会のことを知
りました。最初は「保証協会の保証制度が使えれば、安い金利で融資を受けられる」という程
度の情報でしたが、社長さんは自分で興味を持ち、ホームページを調べ、保証協会で創業に関
する相談窓口を開設していることを知りました。そして、金融機関へ行く前に、まず保証協会
に相談してみよう、と考えました。
保証協会へ相談に訪れた段階では、明確な事業計画をまだ作成しておらず、金融機関との相
談実績もなかったので、
「創業応援チーム」が話をお伺いしました。
3 創業支援の内容(事業計画書の作成)
創業応援チームは、最初に社長さんの大まかな経歴や動機を確認した後、事業計画書の作成
を勧めました。社長さんとの会話の中から「創業にあたり優位性が強いと思われる材料(以下
の3点)
」を見つけ出し、その部分を核とした事業計画書を作るようにアドバイスをしました。
1 建材商社及び物流会社での勤務経験が豊富で、業界分野に必要な知識が充分であること。
2 自己資金が相応に用意できているため、借入金負担が少ないこと。
3 事業開始直後からT社のサポートが期待できること。
この頃、社長さんはまだ物流会社に勤務しており、仕事の合間で暇がとれる時に面談の約束
をしていたのですが、少し疲れている表情の日もありました。社長さんが保証協会のアドバイ
スを持ち帰り、事業計画を再検討・修正してまた相談に訪れる……同じことの繰り返しのよう
に見えますが、回を重ねるごとに事業計画書は現実味を帯びたものに変わり、社長さんの表情
も明るくなっていくのを感じました。
4 創業支援の内容(金融機関への橋渡し)
ついに創業計画書も完成し、創業応援チームスタッフによる金融機関への同行相談の日を迎
えました。社長さんは少し緊張した面持ちでしたが、初めて面談した日に比べると堂々とした
態度で「いつの間にか『経営者』の顔になっている」と驚かされました。同行相談では、主に
12 Gunma Good Support Guide
保証協会が創業者向けの保証制度や必要となる手続の説明を担当しました。社長さんからは事
業計画のポイントや開業への想いを中心に熱意を持って話していただきました。
金融機関での相談の感触も良く、数日後には保証協会に保証依頼書が提出され、開業に合わ
せて希望通り融資を受けることができました。
5 これからの展望
創業応援チームでは、モニタリング活動として、保証対応後6ヶ月間を経過してから創業者
の事業所で現況確認を兼ねた面談をさせていただきます。
見事に夢を実現した社長さんと面談し、その後の状況や事業開始前には予期できなかった問
題点等を聞かせていただくとともに、引き続き金融や経営に関する相談に乗らせていただく予
定です。
事例 【創業応援チームによる支援活動】
4
企業の業種●学習塾 年商
(目標)
●約7百万円 従業員●なし
1 創業の動機
社長さんは、地元の企業にサラリーマンとして勤務していましたが、あるとき、この仕事が
本当に好きなのか、このままサラリーマンで良いのか、自問自答したそうです。その結果、自
分が本当に好きなこと、やりたいことが何なのか思い出すことができ、大好きな子供達に得意
な数学を教えたい、30年続けている空手道で培った勉強に役立つ根性や集中力を伝授したいと
いう思いから、他とは違う学習塾を開業しようと決意しました。
社長さんが思い描いている塾の理想は、塾で教える数学だけが得意科目になるのではなく、
子供達の能力開発に力を入れ、子供達に自分の持っている価値に気づかせ、考える力や想像力
を豊かにし、数学以外の勉強にも良い影響をもたらすようなものにしたいというものでした。
2 創業支援までの経緯
社長さんと創業応援チームの出会いは、社長さんからいただいた1本の電話でした。
金融機関に勤めている知人から「保証協会でも創業の応援をしているよ。保証協会に相談し
たらうまく行くかも。」とアドバイスをもらい、早速、保証協会のホームページを見て、
「創業計
画サポートガイド」の存在を知り、自分なりに創業計画書を作成しました。社長さんは夢の実
現に向け第一歩を踏み出したのです。創業応援チームによる社長さんへの創業応援のスタート
です。
3 創業支援の内容(事業計画書の作成)
保証協会に足を運んでもらったのは全部で3回、面談に費やした時間は延べ5時間30分に及
びましたが、社長さんは嫌がる素振りも見せず、私たちの話を真剣に聞いてくれました。
社長さんが作ってきた創業計画書や収支計画のシミュレーションは、初めて作ったとは思え
ないほど立派なものでした。ただ、創業応援チームでは、創業を成功させるためには、初期投
資はできる限り抑え、必要資金は金融借入だけに頼らない、できる限り家族や知人には協力し
てもらう、また、他人のアドバイス等には真摯に耳を傾けられるということが必要との認識から、
以下のアドバイスをさせてもらいました。
13
1 自己資金について。「創業に必要な資金は6,000千円ということですが、大金ですね。自
己資金はどうですか。自己資金の有無は、初期投資を抑えるという意味のほかに、創業者
の決意と創業への準備の表れと考えています。」
2 開業場所について。「開業予定地は前橋市を希望しているようですが、理由は何ですか。
地元での開業は考えられないですか。塾の経営は、塾名や講師の知名度が大きく左右する
ため、知名度少ない個人の塾が、未知の場所で開業するということは、大きなリスクを伴
います。地の利を生かすことは重要なことだと考えられます。
」
3 塾のクラス編成について。「今の学生は部活動や他の塾通い等で忙しい日々を過ごしてい
ます。曜日と時間を固定したクラスにするのではなく、好きな曜日と時間を選択できるフ
レックス制にしてはどうですか。」
社長さんは、創業応援チームからのアドバイス等に真摯に耳を傾け、自ら検討していただい
た結果、親族から資金援助を受けることができ、資金計画を見直すことになりました。最終的
に金融借入希望額は2,500千円で収まりました。
また、開業予定地も子供の数が多いという理由だけで前橋市を希望していましたが、地元の
学校で空手を教えているなど、知人もたくさんいることから、地元での開業に踏み切ることに
なりました。クラス編成でも提案したフレックス制について理解を示していただき導入するこ
とになりました。
見直しした創業計画の内容や社長さんの熱意等から判断し、保証協会として金融面でも応援
することを決定し、保証付融資を検討してもらえる金融機関への橋渡しをさせていただきまし
た。
4 これからの展望とモニタリング
保証承諾後、2ヶ月を経過した頃に、社長さんから一通のお手紙をいただきました。内容は、
「無事に塾を開くことができました。1ヶ月経過時点の予想を10名ほど上回る生徒が集まって
います。目標にはまだ遠いですが、頑張っていきたいと思います。
」とのことでした。6ヶ月後
のモニタリングで社長さんに会うのが今から楽しみです。
14 Gunma Good Support Guide
事例 【創業応援チームによる支援活動】
5
企業の業種●自動車板金、
中古車販売業 年商
(目標)
●約2千万円 従業員●なし
1 創業の動機
社長さんは、自動車整備学校を卒業後、県内の自動車メーカーに勤務し、整備部門と営業部
門に長年携わり、たくさんの経験と知識を積み重ねてきました。
営業部門に配置転換になった時に35歳までには独立したいとの思いを募らせ、コツコツと自
動車整備機材を揃えて、自動車板金業の開業に向けた準備を進めてきました。
2 創業支援までの経緯
サラリーマンとして営業活動で金融機関を訪問した際に、保証協会の創業支援の冊子を見て、
初めて保証協会の創業応援チームの存在を知りました。創業に向けた準備を進めていく中で、
不動産業者から、工業団地内に条件にあった空き工場があるとの情報が寄せられたため、保証
協会の「金融・経営窓口相談コーナー」に相談に訪れました。
創業計画書は未作成の段階だったため、創業応援チームでは先ず社長さんの思い描いている
創業の夢を聞くことから始めました。事業の内容や将来の展望をじっくり伺いながら、創業計
画書の雛形に箇条書きで落とし込んでいきました。
家族にはこまかい話をしていないとのことだったため、できあがった創業計画書の素案を一
旦持ち帰り、ご家族の了承を得た後に再度相談することとしました。
3 創業支援の内容
ご家族からの了解が得られ、また、金銭的な協力もしてもらえることとなり、再度、保証協
会に相談に訪れました。前回作成した創業計画書素案を基に、さらに一歩踏み込んだ創業計画
書作成に向けた支援が始まりました。
借入希望額も過大な部分もあったことから、必要な設備について再度見直しを行い、売上構
成や売上原価を確認して、月単位、あるいは、日単位に分解するなど、収支シュミレーション
を行い、創業計画書を作成していきました。
面談を重ねるなかで、自動車板金業と併せ、中古車販売業としての事業展開も考えに加わり、
販売を行うにも立地条件の良い場所の再選定や、古物営業許可書の取得準備をするなど紆余曲
折する場面もありましたが、一歩一歩、着実に創業に向けて歩んでいきました。
社長さんも仕事の合間に何度も電話で質問をするなど、創業への熱意も日増しに強くなり、
最終的には、当初計画していた半分の借入金額で創業計画書は完成しました。後日、金融機関
へ出向き、その後、保証協会へ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。
4 これからの展望とモニタリング
創業応援チームでは、創業後も継続的な経営相談を行っており、保証承諾後6ヶ月を経過し
た後、社長さんのもとを訪れ、現在の状況や問題点、今後の展望についてお話しを伺わせてい
ただく予定です。保証協会は、これからも夢を実現した社長さんの良きパートナーとして親身
になってサポートしていきたいと思います。
15
事例 【創業応援チームによる支援活動】
6
企業の業種●美容室 年商
(目標)
●約1千1百万円 従業員●1名
1 創業の動機
社長さんは18歳でプロサッカー選手になり、20歳、25歳と2度の戦力外通告を経験しました。
いろいろと悩んだ結果、以前から興味のあった美容師になるため、アシスタントとして働きな
がら、美容師免許を取得しました。25歳で美容師になるのは遅い年齢でしたが、仕事に本気で
向き合い、誰よりも練習して、いち早くトップスタイリストになるという強い気持ちで、ひた
むきに努力をしてきました。
スポーツの世界では、早い時期に引退か否かの選択を迫られており、人生に不安を抱えてい
る人も大勢います。社長さんもその一人でしたが、セカンドキャリアで成功することにより、
希望を持ち、チャレンジすれば夢は叶うという一例になれればと思い、美容師の世界で挑戦す
ることを決意しました。
2 創業支援までの経緯
美容室には計8年間勤務し、カット技術をはじめ、チーフとして経営戦略、後輩の教育、経
費管理を学んできました。固定客が多くつくようになり、自信もついたことから、信頼してい
るオーナーへ独立創業について何度か相談をしてきました。独立にむけた準備、心構え、資金
計画等についてのアドバイスをもらったことで、独立へのイメージが強まり、創業への希望が
大きくなりました。数年前に独立をした先輩から、保証協会の存在を教えてもらい「一度相談
してみたら」という一言がきっかけとなり、
「創業応援チーム」を訪問し、創業への1歩がスター
トしました。
3 創業支援の内容
創業応援チームの応援は、
「創業計画サポートガイド」を参考にして、自分なりに作成した事
業計画書をもとに、社長さんの思い描いているビジョンを伺うことから始まりました。見慣れ
ない事業計画書に最初は戸惑っていたものの、少しずつ修正を加えることでより現実味のある
事業計画書を作成することができました。並行して、社長さんが不安に思うことや問題点を、
一つひとつ潰していくことで、次第に前向きな気持ちになれたようです。
社長さんからの話を聞き、事業計画作成で特に重要視した内容は以下の3点です。
①飽和状態にある美容室で生き残るため、他店との差別化を明確化すること
②収支計画については、やってみないと分からない面もあるが、一つひとつの数値計画の根拠
をもたせること
③初期投資はできる限りの工夫をして、少しでも低く抑えること
後日、金融機関を通じ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。
4 これからの展望とモニタリング
創業応援チームでは、保証承諾してから半年後を目安に担当者が訪問し、創業後の実績、経
営の課題、保証協会への要望等をお伺いします。事業計画通りに行かないことも多々ありますが、
そういった方々の相談に乗り、できる限りのお手伝いができればと考えています。
16 Gunma Good Support Guide
経営支援のご案内
平成24年9月には保証協会が事務局となり「群馬県中小企業支援ネットワーク会議」
「群馬県経営サポート会議」を設置し、また「中小企業の新たな事業活動の促進に関す
る法律」
(平成24年8月30日施行)に基づく「認定経営革新等支援機関(略称:認定支
援機関)」が群馬県内でも増加するなど、関係機関との連携による支援体制が、一層強
化されました。
お 客 様
群馬県中小企業支援ネットワーク会議
県産業支援機構
認定支援機関
税理士等
商工会議所・商工会
金融機関
群馬県経営
サポート会議
群馬県信用保証協会
経営支援チーム(企業支援課・保証課)
が支援いたします
出前金融・経営相談
金融・経営窓口相談コーナー
でご相談ください
でご相談ください
(1)群馬県中小企業支援ネットワーク会議
① 中小企業支援ネットワークとは
中小企業金融円滑化法の終了を踏まえ、各都道府県で保証協会が事務局となり
関係機関のネットワーク化に取り組みました。群馬県においては、平成24年9月
に「群馬県中小企業支援ネットワーク会議」を設立いたしました。関係機関の連
携により、中小企業の経営改善に取り組みます。
② 活動内容
中小企業の経営支援等に係る構成員の連携強化及びスキル向上を図るため、情
報交換会、専門家による講演会、事例研修会等を随時開催します。
17
群馬県中小企業支援ネットワーク会議構成員・アドバイザー名簿
【構成員(88機関)】
15
16
17
18
群馬県銀行協会
19
1 群馬県銀行協会
20
21
群馬県信用金庫協会
22
1 群馬県信用金庫協会
23
24
群馬県信用組合協会
25
1 群馬県信用組合協会
26
27
群馬県商工会議所連合会及び各商工会議所 28
1 群馬県商工会議所連合会
29
2 前橋商工会議所
30
3 高崎商工会議所
31
4 桐生商工会議所
32
5 伊勢崎商工会議所
33
6 太田商工会議所
34
7 館林商工会議所
35
8 渋川商工会議所
36
9 沼田商工会議所
37
10 富岡商工会議所
38
11 藤岡商工会議所
39
40
群馬県商工会連合会及び各商工会 41
1 群馬県商工会連合会
42
2 富士見商工会
43
3 前橋東部商工会
44
4 群馬伊勢崎商工会
5 玉村町商工会
6 安中市商工会
7 高崎市榛名商工会
1
8 高崎市倉渕商工会
2
9 高崎市箕郷商工会
3
10 高崎市群馬商工会
11 高崎市新町商工会
4
12 高崎市吉井商工会
5
13 安中市松井田商工会
6
14 しぶかわ商工会
7
1
2
政府関係金融機関
日本政策金融公庫前橋支店
商工組合中央金庫前橋支店
榛東村商工会
吉岡町商工会
藤岡市鬼石商工会
神流町商工会
上野村商工会
富岡市妙義商工会
下仁田町商工会
南牧村商工会
甘楽町商工会
中之条町商工会
東吾妻町商工会
長野原町商工会
嬬恋村商工会
草津町商工会
高山村商工会
沼田市東部商工会
片品村商工会
川場村商工会
みなかみ町商工会
昭和村商工会
桐生市新里商工会
桐生市黒保根商工会
みどり市商工会
笠懸町商工会
太田市新田商工会
板倉町商工会
明和町商工会
千代田町商工会
大泉町商工会
邑楽町商工会
金融機関
(都市銀行)
みずほ銀行
三井住友銀行
りそな銀行
(地方銀行)
群馬銀行
足利銀行
横浜銀行
北越銀行
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
1
1
八十二銀行
(第二地方銀行)
東和銀行
栃木銀行
大光銀行
(信用金庫)
高崎信用金庫
桐生信用金庫
アイオー信用金庫
利根郡信用金庫
館林信用金庫
北群馬信用金庫
しののめ信用金庫
(信用組合)
あかぎ信用組合
群馬県信用組合
ぐんまみらい信用組合
群馬県中小企業団体中央会
群馬県中小企業団体中央会
群馬県産業支援機構
群馬県産業支援機構
群馬県中小企業再生支援協議会
1 群馬県中小企業再生支援協議会
1
関東経済産業局
関東経済産業局
1
前橋財務事務所
前橋財務事務所
1
群馬県
1
保証協会
群馬県信用保証協会 ( 事務局 )
群馬県
【アドバイザー(3機関)】
1
18 政府関係金融機関
地域経済活性化支援機構
関東信越税理士会群馬県支部連合会
1 関東信越税理士会群馬県支部連合会
1
群馬県中小企業診断士協会
群馬県中小企業診断士協会
Gunma Good Support Guide
(2)群馬県経営サポート会議
① 群馬県経営サポート会議について
群馬県中小企業支援ネットワーク会議とは別に、経営上の課題を抱える個別企業の再
生支援等を図るため、当該中小企業、メイン行を中心とした金融機関及び保証協会が、
収益性の向上、資金繰りの改善等、経営の改善・再生に向けた具体的な支援方法につい
て合意が図られるよう、
「群馬県経営サポート会議」を開催して、協議を行います。この
会議においても、保証協会が事務局を担います。
② 経営サポート会議の流れ
開催の要請
・経営サポート会議は、中小企業者とメイン行の要請に基づき開催します。また、再
検討が必要な場合は複数回開催します。
・事務局の保証協会は、関係者の日程調整、会場手配等を担います。
・会議参加者は、基本的には当該中小企業者、メイン行、サブ行及び保証協会等です
が、必要に応じて税理士等の専門家も参加します。
会議の開催
・経営サポート会議では、中小企業者が金融機関等の会議参加者に対して、現状及び
支援依頼事項等を説明します(原則として、中小企業者は当該資料を関係者に事前
に配布します)。
・金融機関は、メイン行を中心としてこれまでの取引経緯・支援の方向性等について
説明します(メイン行はできる限り関係資料を関係者に事前に配布します)。
・保証協会は、必要に応じて経営分析資料等を提供するとともに、これについて説明
します。なお、保証協会は事務局として経営サポート会議の運営全般についてでき
る限り協力します。
協議・検討
・経営サポート会議は、原則として返済方法の見直し(リスケジュール)等をはじめ
とする中小企業者の経営改善について協議、検討、調整を行います。
・経営サポート会議で調整が難しい場合は、中小企業再生支援協議会や企業再生支援
機構等に引き継ぐことも検討します。
合意の形成
・経営サポート会議の内容に強制力はありませんが、会議参加者は中小企業者からの
支援依頼事項等に合意が得られた場合は、合意内容に沿って経営の改善に向けた支
援に積極的に取り組んでいきます。
③ 主な対応パターン
通常の場合
中小企業者・メイン行 → 保証協会 → 経営サポート会議
再検討が必要な場合
中小企業者・メイン行で練り直し → 保証協会 → 経営サポート
会議
高度・専門的な課題に
対応する場合
中小企業支援ネットワーク強化事業等の専門家派遣事業の活用を検討
経営サポート会議で
調整が難しい場合
中小企業再生支援協議会や地域経済活性化支援機構等への引き継ぎも
検討
19
(3)経営に関するご相談は保証協会の相談窓口まで
保証協会では、以下の相談業務を実施しています。
① 金融・経営窓口相談コーナー ※ 詳細はP5をご参照ください。
② 出前金融・経営相談
お客様のご希望により、保証協会の職員が、直接、中小企業の皆様を訪問し、金融・
経営に関するご相談に対応いたします。お客様にとって、財務資料が手許にあり、会
計担当者や工場長等が近くにいる環境でご相談いただくことができます。
問い合わせ先(相談希望の申込先) 保証統括部企業支援課 電話番号 027-219-6003
相談窓口では、業績に応じた県制度融資、セーフティネット保証、借換手続、条件変更
などのアドバイスを行っています。この他にも、やむをえず業績不振を余儀なくされ、企
業の存続の岐路に立たされたり、資金繰りに窮した場合の相談なども行っています。金融・
経営相談を通じて、実際の保証申込や条件変更に結びついたケースも数多くありますので、
どうぞお気軽にご利用ください。
また、保証協会は、群馬県中小企業サポーターズ協議会にも加入して活動しています。
中小企業経営診断システム(MSS)をご利用ください
CRD(中小企業信用リスク情報データベース)協会が開発したマネージメントサポート
システムのことで、財務データをコンピュータに入力すると、申請企業の業界における位置、
業界平均と比較した財務バランスのチェックがビジュアルでわかりやすく把握できます。
また、各種の経営分析比率や比率の説明もついています。1・3・5年の期間を設定して
簡単な将来シミュレーションを行い、将来予測の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロ
ー表などを算出することもできます。
「金融・経営窓口相談コーナー」
で実施していますので、
ご活用ください。
※ 申請企業の情報は厳正かつ適切に管理しております。
(4)企業支援課による経営支援活動
保証協会には経営支援業務の専門スタッフによる「企業支援課」があります。
保証審査を通じて支援が必要と判断される企業や、金融・経営窓口相談コーナー、出
前金融・経営相談等で経営に関する助言や提案の依頼があった企業に対して、企業支援
課と保証課の職員が専門チーム「経営支援チーム」を組み、企業訪問や経営者等との面
談を行いながら、経営改善をサポートいたします。
平成27年度から、中小企業診断士等の専門家による経営診断や経営改善計画策定支援
にかかる費用を当協会が全額補助する事業を開始しました。
① 経営支援活動の流れ
決算書(3期分)を提供していただきます。(財務面の把握)
企業訪問・ヒアリングにご協力いただきます。
(財務面以外の経営状況の把握)
所定の経営改善計画書をご一緒に作成させていただきます。
その後も、随時、ご希望に応じて、アドバイス・支援をさせていただきます。
※ 企業の情報は厳正かつ適切に管理しております。
20 Gunma Good Support Guide
(5)認定経営革新等支援機関をご利用ください
① 認定支援機関とは
認定経営革新等支援機関(略称:認定支援機関)は、
「中小企業の新たな事業活動の促
進に関する法律」
(平成24年8月30日施行)により定められました。中小企業が安心し
て経営相談等が受けられるために、
専門的知識や、
実務経験が一定レベル以上の者に対し、
国が認定することで、公的な支援機関として位置づけられます。
② 主な相談内容
自社の経営を「見える化」したい 事業計画(経営改善計画)を作りたい
取引先を増やしたい、販売を拡大したい
専門的課題を解決したい
新たな商品・サービスを開発したい
金融機関と良好な関係を作りたい
③ 主な支援内容
事業計画(経営改善計画)の策定支援
財務内容その他経営状況の分析、現状把握、経営課題の抽出に係る助言
事業の実施に必要な指導・助言
④ 認定支援機関
認定支援機関の一覧は、中小企業庁のホームページで確認できます。
認定支援機関の支援は費用がかかりますが、申請により群馬県経営改善支援センター
(群馬県産業支援機構)による費用補助(費用の3分の2、上限200万円)が受けられ
ます。更に、平成26年度から、当協会は、費用の6分の1、上限15万円の費用補助を
開始しました。対象となる方は、
「①利用申請時点で当協会の保証をご利用いただいてい
る方」
「②認定支援機関による経営改善計画の策定支援が必要であると認められ、経営改
善を図ろうとしていること」
「③群馬県経営サポート会議(P19参照)を活用している、
または活用予定であること」のいずれにも該当する方です。
⑤ 経営力強化保証制度
認定支援機関の支援を得て経営改善等に取り組む場合、保証料を通常料率より引下げ
した(概ね▲0.2%)
「経営力強化保証制度」をご利用いただけます(P22参照)
。
(6)経営支援に係る各種保証制度のご案内
国の保証制度「セーフティネット保証(経営安定関連保証)
」
「経営力強化保証」
「経営改
善サポート保証」県の保証制度「群馬県経営サポート資金」
「経営力強化アシスト資金」等
がございます。詳しくは、保証協会までお問い合わせください。
① 経営力強化保証について
金融機関が認定経営革新等支援機関と連携して中小企業者の事業計画の策定支援や継
続的な経営支援を行い、中小企業者の経営力の強化を図ることを目的として創設された
制度です。
② 経営力強化保証のポイント及び利用者のメリット
ア 信用保証料を通常料率より引下げ(概ね▲0.2%)いたします。
イ 中小企業者は、認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画を策定・
実行し、その進捗を金融機関に対して四半期ごとに報告していただきます(金融機関
は経営支援の実施状況を含め保証協会に対して年1回の報告をします)
。
21
③ 経営力強化保証に係る支援の仕組み
保証時
期 中
経営力の強化
経営力の強化
信用保証協会
保証
金融機関
(保証料引下げ)
修正計画の策定支援
更なる指導・助言
連携
認定経営革新
等支援機関
中小企業者
経営支援
貸付
経営支援
計画の策定支援
実施に関する指導・助言
必要に応じて
事業計画の修正
実施状況の報告
︵四半期に1回︶
中小企業者
事業計画の策定
金融機関
信用保証協会
実施状況の報告(年 1 回)
・中小企業者の取組状況
・経営支援の実施状況
連携
認定経営革新
等支援機関
※金融機関が認定経営革新等支援機関となる場合も想定
経営力強化保証(国の制度)
対
象
者
保証限度額
金融機関及び認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定並びに
計画の実行及び進捗の報告を行う中小企業者
2億8千万円(無担保保険に係る保証8千万円以内・普通保険に係る保証2億円以内)
特別小口保険に係る保証 1,250万円以内 ※中小企業者が組合等の場合は、4億8千万円以内
金融機関が選択した責任共有制度の方式
(ただし、責任共有制度の対象除外となる信用保証協会の保証付きの既往借入金(平成
保 証 割 合 19年9月30日以前に信用保証協会が申込み受付した保証であって保証割合が100%
の保証を含む)を本制度で借り換える場合であって、信用保証協会の保証付きの既往
借入金の範囲内の額を借り換える場合は、責任共有制度の対象除外。)
対 象 資 金
事業資金(ただし、事業計画の実施に必要な資金に限ります)
一括返済の場合1年以内/分割返済の場合運転資金5年以内、設備資金7年以内
保 証 期 間 (ただし、本制度によって保証付きの既往借入金を借り換える場合は、10年以内。なお、
据置期間はそれぞれ1年以内。)
融 資 利 率
金融機関所定利率
責任共有制度の対象の場合 0.45%~ 1.75%
責任共有制度の対象除外の場合 0.50%~ 2.00%
原則、申込時の信用力に対応した保証料率よりも1区分低い料率を適用。
(※1、※2)
※1 貸借対照表を作成していない等により、保証協会が保証料率の判定ができない場
合は、通常の保証料率が適用されます。
※2 特別な理由なく金融機関に対する四半期毎の報告を怠った場合、通常の保証料率
保 証 料 率
が適用され、差額保証料を追加でお支払いただく場合があります。
区 分
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
A(弾力化対象・責任
1.75 1.55 1.35 1.15 1.00 0.80 0.60 0.45 0.45
共有対象)
B(弾力化対象・責任
2.00 1.80 1.60 1.35 1.10 0.90 0.70 0.50 0.50
共有対象外)
22 担 保
必要に応じて徴求
保
人
法人代表者のみ
証
Gunma Good Support Guide
経営力強化アシスト資金(県の制度)
経営力強化保証に対応した群馬県の保証制度です。
対
象
者
金融機関及び認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定並びに
計画の実行及び進捗の報告を行う中小企業者
融資限度額
6,000万円
対 象 資 金
事業計画の実施に必要な事業資金(ただし、借換は、県制度融資(小口資金を除く)
で既往の保証付き融資を借換する場合に限ります)
信 用 保 証
経営力強化保証を付すこと
融 資 期 間
運転資金5年以内、設備資金・運設資金7年以内、借換資金10年以内
(なお、据置期間はそれぞれ1年以内。)
融 資 利 率
責任共有対象の場合 2.3%以内
責任共有対象外の場合 2.25%以内 ※
(※責任共有対象外の既往の保証付き融資を借換する場合のみ)
保 証 料 率
最大0.2%引下げ(県制度割引適用資金と比較)
※申込時の信用力に対応した保証料率よりも1区分低い料率を適用。
担 保
必要に応じて徴求
保
人
法人代表者のみ
証
23
(7)経営支援の取組み事例のご紹介
事例
1
企業の業種●繊維製品製造業 年商●約1億円 従業員●20名
1 経営支援までの経緯
繊維製品製造業を営む企業の社長さんが資金繰りに困り、後継者である息子さんと一緒に保
証協会の保証課を訪れました。
応対した保証協会の担当者(中小企業診断士)は、当該企業の取引金融機関に連絡を取り、
当面の資金不足については制度資金での対応を検討するという方向性を出すとともに、社長さ
んと息子さんに対して経営改善計画書を作成することを提案しました。
その後、後継者である息子さんが経営改善計画書を作成してきましたが、その際に、保証協
会に経営改善に関するアドバイスをしてもらいたいと言われたことから、経営支援活動がスター
トしました。
社長さんは職人気質で経理面が不得手でしたが、誠実な性格であり、また、息子さんが経営
改善に対して意欲的でありました。営業力の強化策として他社での経験が豊富な営業マンを雇
い入れるなど、売上増加に向けての改善努力が示されましたので、保証協会としても経営改善
の見込みがあると判断して、支援を行うことといたしました。
2 経営支援前の企業の状況
売上が低迷していて返済財源は乏しく、借入金の返済が進むと手元資金が不足し逆に補填が
必要になるほどでした。また、平成2年に工場などの設備投資を行うために借り入れた債務の
なかに高い金利のものがあり資金繰りを圧迫していましたので、金融機関に借換え等について
相談していたのですが、進展しませんでした。
更に、事業所を訪問してみると機械の不稼動が目立ち、事務スペースや通路などにも資材が
雑然と置かれているなど、整理整頓がなされていない状況にありました。
3 経営改善計画の策定とその後の状況
経営支援チームを3人で編成し、企業訪問は一日がかりで合計7回行いました。経営陣との
面談の他に、今後の改善活動のキーマンとなる各部門の従業員にも了解を得たうえで面談し、
当該企業の課題やあるべき姿について話し合いました。経営改善計画の策定までには約3ヶ月を
要しましたが、作成した計画書について当該企業と保証協会で内容を確認し合い、策定作業を
完了しました。
経営改善計画の策定後、当該企業から「経営改善計画会議レポート」が保証協会に提出され
ました。同レポートにおいて、経営改善計画を具体的に実行するために企業内で検討した経過
について報告を受けました。
その後、新たに支援方針を打ち出した金融機関との連携により、懸案であった高金利の借入
金の一部についての借換えも実現しました。こういった積み重ねの中で、経営陣と従業員の危
機意識・協働意識は強まり、売上高も前年を上回るペースに回復しつつあります。
経営支援チームでは、今後2年程度の間、定期的に企業訪問等を行い経営改善の実施状況を
確認しながら、更に経営全般について支援活動を継続していく予定です。
24 Gunma Good Support Guide
事例
2
企業の業種●衣服その他繊維品製造業 年商●約1億円 従業員●5名
1 経営支援までの経緯
当該企業は、相応の業歴や知名度を有する当地老舗の衣服その他繊維品製造業者です。
需要の減少から業界の自然淘汰が進み、また積極的な営業活動も行ってこなかったことから、
ここ数期売上が伸び悩んでいる状況にありました。こうした中で、懸命に経費の削減に努め、
役員等からの借入金により月々の資金繰りをつけてきましたが、事業は縮小均衡に向かってい
ました。当該企業は独自で経営改善計画書を作成していましたが、今一歩掘り下げた計画には
至らず、計画策定後の「PDCA=【Plan(計画)、Do(実行)
、Check(点検)
、Action(処
置・改善)】」の実施も不十分の状況でした。
取引金融機関としても、当該企業に対して以前から経営支援を行っていたのですが、保証協
会も、経営支援によって業績が改善する可能性が高いと判断したことから、社長さんの理解と
協力を得て、金融機関と保証協会とが連携して経営支援を行うこととしました。
2 経営支援前の企業の状況
当該企業を取り巻く事業環境や経営内容から、社長さんも従業員も、このままではいけない
という危機意識を共有していたものの、従来の知名度等から一定額の受注は確保できていたこ
とから、改善に向けて何をいつまでにどうすればよいかという具体的な取り組みについては実
施されていませんでした。
また、改善に向けた建設的な提案があっても、いざとなると従来のスタイルを変えることに
抵抗がある場合もありました。
3 経営改善計画の策定とその後の状況
保証協会の経営支援チーム4名が、金融機関2名とともに、社長さんらと合計5回の面談を
実施しました。
当該企業が現在置かれている状況や問題点を再認識し、従前のままではいけないという認識
を共有したうえで、社長さんらが頭の中に描いていることを現場に落とし込み、具体化してみ
るというやり方で、経営改善計画の策定に取り組みました。企業、金融機関、保証協会のどこ
かが一方的に策定するのではなく、あくまで三者で足並みをそろえ、一丸となって策定するよ
うに努めました。具体的には、営業活動の強化、原価管理の把握、顧客情報の有効活用、財務(資
金繰り)の改善等を、改善項目の中心としました。以前から経営に参画していた後継者は、経
営改善に向けて前向きな姿勢が見られ、当該企業の将来に明るい希望を見ることができました。
策定された経営改善計画の実施は、まだスタートしたばかりで、成果はこれから現れてくる
段階です。経営改善に取り組む上で最も重要になるのは「意識改革」ですが、社長さんをはじ
め当該企業の従業員が、真摯に「PDCA」を繰り返していく中で、意識が高まるとともに、
改善の効果が徐々に実績に現れてくることを期待しつつ、今後も、企業訪問等でモニタリング
を行い、支援活動を継続していく予定です。
25
事例
3
企業の業種●野菜漬物製造業 年商●約8千万円 従業員●25名
1 経営支援までの経緯
当該企業は、相応の業歴を有する野菜漬物製造業者です。一般に漬物製造業は製造原価に占
める原材料の比率が高く、天候に左右されたり価格変動が大きいなど、原材料が収益に及ぼす
影響が大きい業種です。需要については漬物が日本人の伝統的嗜好品であることから比較的安
定しているといえますが、消費者の嗜好の変化、核家族化などの環境変化に対して、新製品開発、
自社ブランドにより差別化を図ることが大切であるといわれております。
こうした中で、当該企業は、全社一丸となって事業に取り組んでいるものの、目立った看板
商品もなく、組織管理体制も不十分であることなどから、5年前には1億5千万円程度あった
売上は毎期前年比15%程度減少し、
直近では8千万円程度にまで落ち込んでいました。
このため、
本業での利益が確保できず、また現状の経営状態、経営上の問題点及び改善の方向性が定まら
ないまま、事業継続していることが問題点でした。
会社として危機意識は有していたものの、どのように対応すれば良いか悩んでいたところ、
タイミングよく金融機関からアプローチがあり、金融機関と保証協会との連携による経営支援
を受けることにしました。
2 経営支援前の企業の状況
当該企業は、売上が毎期減少していることから、現状を打開しなければならないという意識
は強かったのですが、日々の仕事に追われる中で、
「誰に何を売るか」というコンセプトが明確
ではありませんでした。「具体的に何をどうすればよいのか」という迷いや「どうせうまくいか
ないのではないか」という不安感もあり、社内で具体的な改善案策定に向けた話し合いを設け
る機会はありませんでした。また、事務所及び工場内には、整理・整頓が行き届いていない箇
所もありました。
3 経営改善計画の策定とその後の状況
保証協会の経営支援チーム2名が、金融機関1名とともに、当該企業と合計5回の面談を実
施しました。当該企業が現在置かれている状況や問題点を再認識し、
具体的な改善計画を策定し、
責任者を定めて改善に向けた取組を開始しました。
改善計画については、当該企業、金融機関及び保証協会の三者で現状の問題点を認識し、将
来のあるべき姿を話し合い、それに向けて実現可能な計画を策定しました。財務・資金繰りに
係る計画のほか、
「誰に何を売るか」というコンセプトを明確にした経営戦略についても策定し
ました。これらの取組の中で、従来から実質的経営者として経営に参画していた後継者も、こ
れまで疎かった経営指標に関心が及ぶようになりました。
改善の効果が数値で確認できるのはこれからですが、売上は回復基調にあり、事務所及び工
場内の整理・整頓も自発的に実施されております。経営支援チームでは、今後2年間程度の間、
定期的に企業訪問等を行い、経営状況及び改善策の実施状況を確認しながら、支援活動を継続
していく予定です。
26 Gunma Good Support Guide
事例
4
企業の業種●総合食品小売業(食品スーパーマーケット) 年商●約5億5千万円 従業員●34名
1 窓口相談時の当該企業の状況
食料品小売業を営む企業の社長さんが保証協会保証課の窓口に相談に訪れました。相談内容
は資金繰りを安定させたいというものでした。
当該企業の業歴は50年と長く、社長さんも当該事業における知識や経験を有していましたが、
競合する大手企業との価格競争が激しく、十分な収益を上げることが困難な状態が続くなかで、
社長さんは資金繰りに苦しんでいました。年間の売上高に相当する額の借入金が、経営を圧迫
している大きな要因でした。社長さんはとても生真面目な方で、資金繰りに頭を悩ませる状況
のなかで、当該企業の細かな意思決定を一人で行っている印象でした。
2 経営支援への取組み
相談を受けた担当者は、口数の増加により返済負担が重くなっている借入金の見直しが必要
と判断しました。そこで、複数の借入金について、金融機関の協力を得て借換保証によってま
とめることを代表者に提案したところ、ぜひ進めてほしいとのことでした。担当者は、当該企
業の取引金融機関に連絡をとり、具体的な借換えのプランを提示し理解を求めました。既存の
借入金は低金利の制度融資が主体であるため、同一制度融資を取扱金融機関ごとに集約し、融
資期間を長期に設定することで大幅な返済軽減を実現しました。
保証協会の経営支援チームで、当該企業の相談内容について検討した結果、資金繰り改善だ
けでなく経営改善に関する支援も必要であるとの方針を立てました。但し、競争の激しい業界
であり、大手企業に対抗するためには、より専門的な知識とノウハウが必要と考え、保証協会
と連携・協力関係にある群馬県産業支援機構の専門家派遣事業を活用することを検討しました。
3 専門家による経営指導と経営改善計画書の策定
経営支援チームが当該企業を訪問し、経営改善の必要性と県産業支援機構の専門家派遣事業
について説明したところ、社長さんから前向きな回答を得ました。同時に、群馬県産業支援機
構にも相談して専門家派遣を検討して頂いたところ、過去にも同業種の企業に対して支援実績
のある専門家を当該企業に派遣することが決定しました。
専門家による企業訪問は合計12回実施され、ヒアリングはパート社員にも行いました。経営
指導は当該企業の組織体制を見直すことから始め、小規模であるがゆえに全員の力を発揮でき
る組織や仕組みを構築することが必要と考え、責任者を抜擢して権限を委譲することなどによ
り経営への参加意識を高めることを目指しました。また、経営方針や具体的な目標を確認し、
ビジネスチャンスを逃さないための改善や、接客態度等を改善するために、会議や朝礼を見直
しました。12回の企業訪問の最終日には、部門の責任者が社長さんと専門家の前で自分の役割
についてプレゼンテーションを行いました。
専門家派遣の終了後、検討された様々な経営改善策と社長さんの考えを経営改善計画書とし
てまとめることを提案し、保証協会の支援により経営改善計画書が完成しました。
現在、当該企業は経営改善計画に基づき具体的な経営改善策を実行に移していますが、保証
協会では今後もモニタリング等を通して経営改善の実施状況を確認し、金融機関や関係機関と
協力して支援活動を継続していく予定です。
27
事例
5
企業の業種●自動車部品金属切削加工業 年商●約7千万円 従業員●8名
1 窓口相談時の当該企業の状況
当該企業は、主に自動車部品の金属切削加工を行っています。繊維関係から事業転換を図っ
た社長さんが築き上げてきた経営基盤を、息子である専務さんが引き継ぎ、切削技術では高い
評価を得るようになりました。しかし、多品種小ロット化する受注品は、製品寿命も短いこと
から、専用加工機械を購入しても、元を取る前に受注がなくなるなど、実質的な赤字受注が目立っ
ていました。決算では利益を出しているにもかかわらず、資金繰りが忙しいことに、社長さん
も専務さんも頭を悩ませていました。
そんな折り、保証協会が相談業務を行っていることを知り、ちょうど新規先との取引開始が
決まったことから、代金を回収するまでの運転資金を借入れるにあたり、保証協会の窓口を訪れ、
資金繰り安定のためにアドバイスして欲しいと相談しました。
2 経営支援への取組み
相談を受けた保証協会は、職員3人で経営支援チームを編成し、過去の決算書の分析とともに、
企業を3回ほど訪問し、社長さんや専務さんと面談を行いました。すると、少し背伸びをした
経営実態が浮き上がってきました。企業の機械購入はリースで、運転資金は地元金融機関2行
からの借入でまかなっているのですが、返済にまわせる原資(キャッシュフロー)が年間10
百万円であるのに対し、リースの支払いが年間8百万円、借入の返済が年間10百万円、合計18
百万円と、大きく超過していることが、資金繰り多忙の一因となっていました。
3 借換保証を利用した資金繰り改善の実施
社長さんや専務さんとの面談の結果、新規の受注が決まったことと、リースの支払変更に社
長さんが難色を示したこと等から、増加運転資金を借入した上で、借入返済額を大幅に減らし、
リースの支払を優先する方法を、保証協会から提案しました。これは、既存の借入金を返済す
る借入と増加運転資金を合わせて1口で借りて、しかもその借入の返済を1年後から開始する
という、借換保証を活用するものです。これにより、前年並みの売上を維持できれば、手元に
お金が残るようになることを説明いたしました。
また、中小企業経営診断システム(MSS)
(P20参照)で会社の将来像を提示するとともに、
経営上の課題についてもアドバイスを行いました。
その後、社長さんからの依頼に基づいて、今回の借換案を保証協会から取引金融機関へ説明し、
理解を得て、手続きは無事終了しました。「後は、仕事を一生懸命やるだけです」と語った社長
さん、専務さん親子の言葉が印象に残りました。
28 Gunma Good Support Guide
事例
6
企業の業種●金属プレス製品製造業 年商●約1億6千万円 従業員●11名
1 支援開始時の当該企業の状況
当該企業は業歴50年を越す中堅の金属プレス製品製造業です。数年前から赤字が続き、債務
超過に陥っておりました。
受注が不安定なことから、運転資金の保証申込を受けた際に、保証協会の保証課からの働き
かけによって経営支援がスタートいたしました。
まず、保証協会の経営支援チームが、企業訪問の上、社長さんと面談して、現在の経営状況
や今後の見通しなどを確認させていただきました。
当該企業が営んでいる金属加工は、受注単価の引き下げや、量産品の海外生産化による受注
減などに加えて、リーマン・ショック、東日本大震災、円高等の影響によって、たいへん厳し
い経営環境にありましたが、社長さんは大幅な組織改革を実施し、合理化と経費削減に向けて
積極的に取り組んでいる最中であることが判りました。
2 経営支援への取組み
震災の影響で延期となっていた受注が回復する見通しがあったことと、当面の資金繰りが確
保できれば、徐々に収益性が向上すると見込まれることなどから、運転資金の申込みについて
は応諾いたしましたが、保証に際して、月々の返済額を抑えるために同質の借入金を一本化す
る措置(本件の真水資金を含めた既保証の借り換え)を金融機関へ依頼いたしました。
また、社長さんに強い経営改善意欲があったことから、保証承諾後に中小企業経営診断シス
テム(MSS)を活用して、企業の財務面の現状診断を実施するとともに、複数回の企業訪問
により経営上の課題について意見交換を重ねていきました。
これらの話し合いの結果、より具体的かつ効果的に改善を図る必要性を実感した社長さんは、
保証協会も参画した経営改善計画の策定に合意していただきました。
3 経営改善計画書の策定とその後の状況
経営改善計画策定にあたっては、保証協会から職員5名が当社を5回訪問し、社長さんと面
談しながら進めていきました。実施可能で効果的な計画にしたいと考え、部門別時間単価の算
出や内製化率の向上、営業力の強化等を網羅した、踏み込んだ内容になりました。
また、その後取引金融機関を訪問し、経営改善への取組みと保証協会の経営支援について説
明し、引き続きの金融支援と取引先の紹介等も併せて要請しました。
社長さんからは「今まで整理する時間もなく漠然としていたが、まずは現状の把握ができた。
今後、経営改善に向けて具体的に取り組んでいきたい。」との感想をいただきました。
保証協会では今後もモニタリングを行い、支援活動を継続していく予定です。
29
事例
7
企業の業種●印刷業 年商●約6千万円 従業員●4名
1 経営支援までの経緯
当該企業は永年にわたりオフセット印刷業を営んでいますが、リーマンショックや東日本大
震災の影響を受け、売上が大幅に減少し、赤字経営が続き、債務超過に陥っていました。当面
の資金繰りと経営の方向性に不安を感じた社長さんが、保証協会ホームページで経営相談や経
営支援を行っていることを知り、保証協会を訪れました。
保証協会は、最初に現地訪問による事業調査をさせていただき、経営改善の必要性について
認識の共有を行った上で、支援活動をスタートしました。
2 経営支援の内容(金融機関への橋渡し)
経営改善計画策定の前に資金繰りを精査したところ、資金調達が急務であることが判明しま
した。審査資料を社長さんとともに取りまとめ、社長さんに金融機関へ相談してもらったところ、
金融機関の協力も得られ資金手当てを行うことができました。
その後、再度の資金繰り計画を検討したところ、長期的に見て収支バランスが悪化傾向にあり、
早急に対策を施さなければ再び資金ショートを起こしてしまう可能性が高いことが分かりまし
た。今後の収支計画、資金繰り計画等について早急に取りまとめ、保証協会職員が社長さんと
同行し各取引金融機関へリスケジュールのお願いに回ったところ、全ての金融機関からリスケ
支援の協力を得ることができ、資金繰りの安定が実現しました。
3 経営支援の内容(事業計画の策定)
資金繰りが安定に向かったことから、次に経営改善計画の策定に着手しました。
過去1年程度の資金繰り実績を精査したところ、
経常収支はギリギリ確保されていたことから、
借入金の返済を減らし、その間に営業力を強化し、売上の増加、収益力の拡大、経費の最小化
を図れば業績の改善は見込まれると判断しました。主な改善項目は、売上の確保、外注と内製
を見極めた上での付加価値の向上、固定費の最小化への努力、といったものです。こうして策
定した経営改善計画は、経営サポート会議の場で取引金融機関3行に発表し、金融機関からの
アドバイスもいただき完成することができました。
4 活動結果とこれからの展望
社長さんと初めて面談した際は、今後どのような経営をしていけば良いのかわからないと不
安そうな様子でしたが、親身になって相談にのり、やるべきことを1つ1つアドバイスしたこ
とで、社長さんの事業意欲が徐々に戻ってくることを実感しました。当時は資金繰り対応に苦
慮し、大変な労力を割いていたため、本業の営業活動に手が回らない状況でしたが、長期的な
資金繰り計画を完成させ、社長さんが安心して本業に専念することができるようになりました。
営業活動が実を結び数社との新規取引を獲得することができたことで、社長さんは自信を取り
戻し、強い事業意欲を持つようになりました。また、金融機関との取引関係においても、将来
を見据えた経営改善活動や今後の収支計画等やるべきことを具体的に示せたことで、より良い
信頼関係が築けました。今後については、大幅な債務超過は短期間で解決できませんが、まず
は売上確保により収益力を安定させ、資金繰りの改善を図り、徐々に財務内容も改善すること
を目指します。保証協会は、引き続き企業や金融機関と連携を図りながらモニタリング活動を
行っていく予定です。
30 Gunma Good Support Guide
事例
8
企業の業種●通所・短期入所介護事業 年商●5千万円 従業員●19名
1 経営支援までの経緯
当該企業は事業地域内における介護施設の過当競争により、十分な収益をあげることができ
ず経営に悩んでおりました。
また、増収を見込んで実施した設備投資負担が重く、資金繰りに窮していたことから、メイ
ンバンクと保証協会の連携による現地調査を実施しました。
社長さん、メインバンク、保証協会で方針を協議を行った結果、保証協会が事務局を務める
経営サポート会議を開催し、専門家派遣による経営改善計画策定と、計画策定までのリスケ
ジュール(返済額の軽減)を実施することが決まりました。
2 経営支援前の企業の状況
社長さんは計数観念に強く、介護業界における豊富な知識経験を有しており、自身で考えた
改善施策を試みましたが、期待する効果が得られずにおりました。
当該企業は施設利用者への丁寧な対応から顧客満足度が高い反面、介護スタッフが多く業容
に対し人件費の負担が重い状況にありました。社長さん自身も介護スタッフと同様のシフト勤
務をしており、マネジメントや外部への営業に十分な時間を確保できずにおりました。
3 経営支援への取組み(専門家派遣による経営改善計画の策定)
まず、経営サポート会議を開催し、各取引金融機関にリスケジュール支援を依頼しました。
そのうえで、
“専門家派遣による経営改善計画の策定”について支援方針を報告し、各取引金融
機関の目線合わせを行いました。
リスケジュール支援に同意いただき、計画策定までの資金繰り見通しがついたことから、群
馬県産業支援機構に専門家派遣を依頼しました。専門家については、社長さん自身が介護業界
に精通していることから、同業界の専門家ではなくサービス業の経営指導に実績のある専門家
を派遣することが決定しました。
専門家による企業訪問は合計4回実施され、営業面の改善策、人材管理の改善策について指導
いただき、SWOT 分析や具体的改善施策の抽出、アクションプランの策定を行いました。でき
あがったアクションプランを基に、メインバンク指導による数値計画を作成し、経営改善計画
書が完成しました。
4 経営改善計画策定後の状況
完成後、再度経営サポート会議を開催し、社長さんから各取引金融機関に計画内容の報告及
び計画期間内の再リスケジュール支援についての依頼を行い、同意する旨の回答をいただきま
した。
各取引金融機関によるリスケジュール支援の実行により、当面の資金繰りについて懸念がな
くなり、社長さんはマネジメントに専念できるようになりました。現在、当該企業は経営改善
計画に基づく具体的な経営改善策を実行に移していますが、組織体制の再構築により、外部へ
の営業攻勢が図れるようになりました。また、人材管理の改善策に取り組むことで、人件費、
人材育成等の内部管理体制を強化することができました。
今後も、保証協会ではメインバンクと連携してモニタリング等を通して経営改善の実施状況
を確認し、支援活動を継続していく予定です。
31
事例
9
企業の業種●ラーメン用スープ製造販売業 ●年商:1億1千万円 ●従業員:9名
1 経営支援前の企業の状況
当該企業は、ラーメン用のスープを製造・卸売をしています。スープの味は評判がよく、増
収増益を図るためスープ製造用の釜を新規借入により購入しました。しかし直後に東日本大震
災の被害に遭い取引先が倒産、想定していた増収が見込めず設備資金の負担だけが残りました。
やむなく金融機関に返済の軽減(リスケジュール)を依頼していました。
2 経営支援への取組み
自社で経営努力し、
全国に幅広く展開しているラーメンチェーン店運営会社との取引を獲得し、
ようやく設備投資に見合った売上が期待できるようになりました。メインバンク主導で、今後
の収支予想の作成を専門家に依頼し、経営改善計画書の作成を開始しました。予想収益によれば、
3年後には債務超過の解消も見込まれるようになりました。しかし、既に返済額の軽減をしてい
ることから、今後売上拡大による増加運転資金や、新たな設備資金の需要が発生した際に、新
たな借入を行うことが難しい状況でした。また、借入口数が多く、従来の約定弁済額に戻せる
ほどの返済財源の確保も厳しい状況でした。
そこで保証協会は、メインバンクの協力を得て当該企業の返済軽減している複数の保証付借
入を集約し、借入の正常化を図るべく「経営改善サポート保証」の利用を提案しました。
3 経営改善サポート保証の活用
経営改善サポート保証とは、
「事業の再生に必要な資金」を対象とした新しい保証制度で、
「経
営サポート会議による全金融機関の同意」を要件としています。従来は、地方公共団体の制度
を利用している場合は各々の制度資金毎に借り換える必要があり、借入口数の集約は困難でし
たが、経営改善サポート保証は、地方公共団体制度融資を含むすべての借入を対象としており、
大幅な借入口数の集約を行うことができます。
当該企業の再生に寄与するべく作成された経営改善計画書に、借入口数の集約及び返済負担
抑制のため、経営改善サポート保証を利用する旨を盛り込み、保証協会が事務局を務める取引
金融機関を一堂に会した経営サポート会議において、計画の発表・合意形成を行うことができ
ました。
4 経営改善計画策定後の状況
経営改善サポート保証を活用し、保証付借入の借換集約により返済負担を大幅に増やすこと
なく借入を正常化することができました。これにより今後の資金調達の可能性も高まり、増収
増益に向けた体制をつくることができました。
今後も保証協会では、メインバンクと連携しモニタリング等を通して経営改善の実施状況を
確認し支援を継続していく予定です。
32 Gunma Good Support Guide
再生支援のご案内
お 客 様
お 客 様
群馬県中小企業支援ネットワーク会議
県産業支援機構
税理士等
【県中小企業再生支援協議会】
県中小企業再生支援協議会
(連携)
商工会議所・商工会
金融機関
金融機関
【群馬県信用保証協会】
(連携)
創業・再挑戦・
企業支援課
群馬県信用保証協会
再生審査会
が応援いたします
創業・再挑戦・再生審査会
企業支援課が支援いたします
(1)再生支援の流れ
債権の状態
求償権
保証付貸付債権
(債権者:金融機関)
(債権者:保証協会)
【再生計画】
再生計画
①中小企業再生支援協議会 ②中小企業基盤整備機構 ③中小企業基盤
整備機構が出資を行った投資事業有限責任組合 ④㈱整理回収機構 ⑤㈱地域経済活性化支援機構 ⑥特定認証紛争解決事業者 ⑦私的整理に関するガイドライン ⑧東日本大震災事業者再生支援機構
⑨個人債務者の私的整理に関するガイドライン ⑩産業復興相談センター
⑪再生審査会 ⑫創業・再挑戦審査会
企業支援課移管
企業支援課に移管
早期求償権取得
(早期代弁)
早期求償権取得(早期代位弁済)
再生計画①∼⑫
求 償 権
求償権
最終的な再生
支援手続き
求償権一部放棄
再生計画①∼⑩
求償権不等価譲渡
再生計画①∼⑩
求償権消滅保証
再生計画①∼⑫
※DDS
再生計画①∼⑫
※DDS:既存貸付金を他の債権よりも劣後する債権に変更する手法
33
(2)企業支援課が支援します
保証付融資について延滞や期限経過が発生している利用者等のうち、存続と再生の可
能性が見込まれる先に対して、保証協会の企業支援課が、金融機関や県中小企業再生支
援協議会等と連携して、経営改善の応援をいたします。
(3)求償権消滅保証について
求償権(金融機関に対し保証協会が代位弁済した保証付融資)の返済のための借入に
保証を付すことは認められていませんが、求償権先でも事業を継続している企業が新規
の資金調達ができない状況に陥ることが多いことから、このような企業に対し、再生計
画の策定・実施を前提とするものに限り、求償権を消滅させる保証を行うことができます。
① 利用の要件
以下のいずれかの計画によって求償権消滅保証が求められており、計画の実行によ
り業況の改善が見込まれる方が対象となります。
①中小企業再生支援協議会が策定支援した再建計画
②独立行政法人中小企業基盤整備機構が策定支援した再建計画
③独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資を行った投資事業有限責任組合が策定支援した再建計画
④㈱整理回収機構が策定支援した再生計画
⑤㈱地域経済活性化支援機構が支援決定を行った事業再生計画
⑥特定認証紛争解決事業者による特定認証紛争解決手続に従って策定された事業再生計画
⑦私的整理に関するガイドラインに基づき成立した再建計画
⑧東日本大震災事業者再生支援機構が支援決定を行った事業再生計画
⑨個人債務者の私的整理に関するガイドラインに基づき成立した弁済計画
⑩産業復興相談センターが策定支援した再生計画
⑪保証協会が設置する再生審査会が当該中小企業者の事業の再生等に資すると見込まれるものとして
答申を行った再生計画
⑫保証協会が設置する創業・再挑戦審査会が当該中小企業者の事業の再生等に資すると見込まれるも
のとして答申を行った再生計画
②「再生審査会」
「創業・再挑戦審査会」による求償権消滅保証の流れ
対象求償権先の選定
「創業計画中または創業後5年以内(創業・再挑戦の場合)」あるい
は「事業継続中(再生の場合)」であって「誠実な返済履行により債
務償還可能」な求償権先を対象に検討させていただきます。検討に
あたっては決算書の提供をお願いします。
再生計画の策定
保証協会が、
対象企業の再生計画等の策定のサポートをいたします。
審査会での審査
再生審査会、創業・再挑戦審査会(学識経験者で構成)
で再生計画の
内容を審査します。
求償権消滅保証の実行
再生審査会、
創業・再挑戦審査会で計画が承認された企業に対し、
保証
協会が利用希望先の金融機関をあっ旋します。必要に応じて担保設定
等を行った上、
求償権消滅保証付融資を実行し、
求償権を完済します。
モニタリングの実施
融資実行後、再生計画の実施状況確認のため、保証協会に毎期決算
書の提出をいただくほか、
定期的に業況確認をさせていただきます。
※ 対象先検討から消滅保証実行までおおよそ3ケ月程度かかります。
※ 対象先として検討した企業でも、
結果的に求償権消滅保証が利用できない場合もございます。
34 Gunma Good Support Guide
(4)再生支援に係る各種保証制度のご案内
求償権消滅保証のほかにも、再生・再挑戦支援に係る各種保証制度がありますので、
紹介いたします。必要書類等詳細につきましては、保証協会までお問い合わせください。
① 群馬県の再生支援に係る融資制度
群馬県中小企業再生支援資金
対
象
者
A-1タイプ
中小企業再生支援協議会の支援を受けて経営改善計画を策定し、計画実
施により再生を図ろうとする方
A-2タイプ
群馬県経営サポート会議で各関係者が協議した経営改善計画の実施によ
り再生を図ろうとする方(保証協会の協力を得て実施する方に限ります)
B-1タイプ
保証協会の支援を受けて経営改善計画を策定し、計画実施により再生を
図ろうとする方
B-2タイプ
保証協会の求償権消滅保証を利用し、事業再生を図ろうとする方(対象
となる求償権が損失補償を付した県制度融資である場合に限ります)
Cタイプ
保証協会の事業再生保証制度を利用し、事業再建を図ろうとする方
融資限度額
6,000万円
融 資 期 間
A、Bタイプ 運転資金 10年以内(据置期間1年以内)
設備資金 12年以内(据置期間2年以内)
Cタイプ 運転資金 原則1年以内
融 資 利 率
A、B-1タイプ 責任共有対象の場合1.95%以内
責任共有対象外の場合1.9%以内
B-2、Cタイプ 金融機関所定利率
保 証 料 率
A、Bタイプ 適用する信用保険等により異なります
Cタイプ 2.2%
担 保
金融機関・保証協会の定めるところによります
保
人
原則として法人代表者以外不要
証
群馬県創業者・再チャレンジ支援資金(Cタイプ)
対
象
者
融資限度額
事業廃止又は会社解散から5年未満の方で、これから再起業する方、又は再起業後5
年未満の方であって、次のいずれかに該当する方
1 事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に新たに事業を開始する具体的計画を有
する方
2 事業を営んでいない個人で、2ヶ月以内に新たに会社を設立し、当該会社が事業
を開始する具体的計画を有する方
3 上記1・2の要件で再起業し、再起業後5年未満の方
※創業等関連保証又は創業関連保証(P9)を付すことが条件となります
1,000万円(A・Bタイプと合わせて4,500万円 Bタイプと合わせて1,500万円)
・創業等関連保証を付した場合、自己保有資金と同額までが限度額となります。
・認定特定創業支援事業に係る「支援創業関連保証」を付した場合は、1.500万円が限度額になります。
融 資 期 間
運 転 資 金:5年以内(内据置期間1年以内)
設備・運設資金:7年以内(内据置期間1年以内)
融 資 利 率
責任共有対象外の場合1.7%以内
保 証 料 率
0.7%
担 保
不要
保
人
法人代表者のみ
証
35
②国の再生支援に係る融資制度
経営改善サポート保証(事業再生計画実施関連保証)について
中小企業再生支援協議会等の指導または助言を受けて作成した事業再生計画に従って事業再生を行う中
小企業者の資金調達を支援することにより、中小企業者の事業再生の着実な進捗を図り、中小企業の活力
の再生を図ることを目的として創設された制度です。
計画策定段階
中小企業・小規模事業者
①相談
中小企業再生支援協議会等
②計画策定支援
中小企業・小規模事業者
④債権者間調整
対 象 者
保
証
限 度 額
保証割合
対象資金
返済方法
貸付金利
保証料率
担 保
保 証 人
中小企業・小規模事業者
⑨報告
(四半期毎)
経営改善・
再生計画
金融機関
③金融支援の検討
ポイント
計画実行段階
⑥計画実行
⑤合意成立
⑧経営改善
サポート保証
⑦融資・
経営支援
金融機関
信用保証協会
⑩報告(年 1 回)
①認定支援機関を利用……中小企業再生支援協議会等の支援により作成した事業再生計画
に基づき、事業再生の取り組みを行う企業が対象となります。
②長い保証期間・低い保証料率……分割弁済の場合、最大15年の保証、責任共有制度対象
の場合0.68%、責任共有制度対象除外の場合0.8%と
低い保証料率でご利用いただけます。
③フォローアップ……企業は、金融機関に事業再生計画の実施状況を四半期ごとに報告し、
金融機関は保証協会に年1回報告していただきます。
下段の「添付書類」に該当する計画に従って事業再生に取り組み、金融機関に対して計
画の実行状況の報告を行う中小企業者です。なお、計画は以下の内容を満たすものまたは
含むものとします。
(1)債権者間の合意がとれているもの (2)申込人の経営に係る現況・課題と課題を踏まえた改善策
(3)計画期間中の各事業年度の収支計画および計画終了時の定量目標ならびにその達成に向けた具体的な行動計画
2億8千万円(一般保証とは別枠です)
(普通保険に係る保証2億円以内・無担保保険に係る保証8千万円以内)
※中小企業者が組合等の場合は、4億8千万円以内
金融機関が選択した責任共有制度の方式(ただし、責任共有制度の対象除外となる信用保証協会の
保証付きの既往借入金(平成19年9月30日以前に信用保証協会が申込み受付した保証であって保証割合が
100%の保証を含む)を本制度で借り換える場合であって、信用保証協会の保証付きの既往借入金の範囲内の
額を借り換える場合は、責任共有制度の対象除外となります。)
事業資金(ただし、事業再生計画の実施に必要な資金に限ります)
一括返済または分割返済
保証期間 一括返済の場合:1年以内 分割返済の場合:15年以内
金融機関所定料率
責任共有制度の対象の場合 0.68% 責任共有制度の対象除外の場合 0.8%
必要に応じて徴求させていただきます。
原則として法人代表者以外の保証人は徴求しません。
信用保証協会所定の申込資料のほか、以下のいずれかの計画の添付が必要となります。
①中小企業基盤整備機構の指導または助言を受けて作成された事業再生の計画
②認定支援機関(中小企業再生支援協議会および産業復興相談センター)の指導又は助言を受けて作
成された事業再生の計画
③特定認証紛争解決手続に従って作成された事業再生計画
④整理回収機構が策定を支援した再生計画
添付書類 ⑤地域経済活性化支援機構が再生支援決定を行った事業再生計画
⑥東日本大震災事業者再生支援機構が支援決定を行った事業再生計画
⑦私的整理に関するガイドラインに基づき成立した再建計画
⑧個人債務者の私的整理に関するガイドラインに基づき成立した弁済計画
⑨中小企業基盤整備機構が産業競争力強化法第133条に規定する出資業務により出資を 行った投資事業有限責任組合が策定を支援した再建計画
⑩経営サポート会議による検討に基づき作成または決定された事業再生の計画
36 Gunma Good Support Guide
事業再生円滑化関連保証(プレDIP保証)
求償権消滅保証のほかにも、再生・再挑戦支援に係る各種保証制度がありますので、
1 特定ADR(経済産業省が認定した紛争解決事業者)利用による特定認証紛争手
紹介いたします。必要書類等詳細につきましては、保証協会までお問い合わせください。
続きによって事業再生を図ろうとする方
対 象 者
①群馬県の再生支援に係る融資制度
2 認定支援機関(県中小企業再生支援協議会:二次対応)の指導又は助言を受け事
業再生を図ろうとする方
保証限度額
2億8,000万円(融資限度額3億5,000万円)
保 証 期 間
3年以内
融 資 利 率
金融機関所定利率
保 証 料 率
1.76%
担 保
必要に応じ徴求します
保
人
原則として法人代表者以外不要
証
事業再生保証(DIP保証)
対
象
者
次の1~4に該当する方
1 法的整理(民事再生又は会社更生手続き)を申し立てた方
2 再生計画・更生計画の認可後3年未満である方
※24年 度は 左 記 の 据 置
3 金融機関及び取引先からの支援が得られており、事業の再建に合理的な見通しが
期間を1年延長(A、 Bタイプ)
認められる方
4 償還が見込まれる方
保証限度額
2億円
保 証 期 間
10年以内
融 資 利 率
金融機関所定利率
保 証 料 率
2.2%
担 保
必要に応じ徴求します
保
人
原則として法人代表者以外不要
証
再挑戦支援保証
対
象
者
事業廃止又は会社解散から5年未満の方で、これから再起業する方、又は再起業後5
年未満の方であって、次のいずれかに該当する方
1 事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に新たに事業を開始する具体的計画を有
する方
2 事業を営んでいない個人で、2ヶ月以内に新たに会社を設立し、当該会社が事業
を開始する具体的計画を有する方
3 上記1・2の要件で再起業し、再起業後5年未満の方
保証限度額
1,000万円(創業関連保証と合算)
保 証 期 間
10年以内(据置期間1年以内)
融 資 利 率
金融機関所定利率
保 証 料 率
0.7%
担 保
不要
保
人
原則として法人代表者以外不要
証
※24年度は左記の据置期間を1年
延長
37
(5)再生支援の取組み事例のご紹介
事例
1
(求償権消滅保証)
企業の業種●金属部品製造業 年商●約1億2千万円 従業員●11名
1 求償権消滅保証取組みまでの経緯
当該企業は、数年前、当時の主力取引先の方針転換により売上の70%を占めていた受注を失
うという危機的状況に陥りました。このため、金融機関に債務の繰り延べ支援を求める一方、
新規取引先の開拓に努め、売上の回復を図りました。しかし、回復には長期化が予想されたこ
とから、保証協会保証付融資について代位弁済となりました。
当該企業は、代位弁済後も、依然として厳しい業況にもかかわらず、保証協会を含め4先の債
権者に対し誠実な返済を履行してきました。
代位弁済から数年が経過した時点で、懸命な企業努力により、通常の金融取引にも耐えうる
企業体力・価値を有する程度まで業績は回復しました。しかし、求償権がある以上、金融取引
は困難です。このような場合、従来であれば、求償権返済のための借入に保証を付すことは認
められていませんでしたが、信用補完制度改革の一環として、平成18年より、経営改善計画(再
生計画)の策定を前提に求償権を消滅させる保証が認められるようになり、金融取引正常化の
道が開かれるようになりました。当該企業につきましては、社長さんと面談等を行う中で、代
位弁済以降の真摯な返済実績を踏まえ、当該企業の更なる発展のためには金融取引正常化が不
可欠であるという結論に達し、求償権完済のために保証協会が求償権消滅保証に取組むことと
なりました。
2 求償権消滅保証取組み前の企業の状況
当該企業は、過去の教訓を生かしリスク分散を図る意味で、一社に依存することなく複数の
取引先との安定的な取引を確保していました。材料無償支給先(加工賃収入を得られる先)と
の取引を拡充させてきたことで、当該企業の利益率は良好な水準に改善しました。
また、役員報酬は大幅にカットし、家族従業員(社長さんの子息2名)は無給で従事する等、
利益の最大化を実現すべく、可能な限りの経費削減も実践していました。
しかし、機械の割賦購入代金・リース代金等まで含めると、年商を超える負債を抱えていた
当該企業の資金繰りは楽なものではありませんでした。
3 経営改善計画(再生計画)の策定とその後の状況
当該企業の経営改善計画策定を支援するため、まずは、代位弁済以降の決算書を徴求し、当
該企業の現状を把握することから開始しました。
保証協会の担当者が幾度となく企業訪問を行い、
決算書上の不明点について教えていただくなど、当該企業の実態財務を確認しました。次に、
改善事項を洗い出し、社長さんによる今後の経営方針の検討をサポートしながら、当該企業と
ともに改善計画書を作成していきました。
続いて、収支計画により明らかとなった返済財源により、債務の返済計画を作成しました。
当該企業は、
保証協会以外に3先の債権者があり、
うち1先に対する債務は多額であったことから、
大口債務である保証協会の求償権とこの債務について、無理なく返済を継続できるよう、保証
38 Gunma Good Support Guide
協会から返済計画の検討についてアドバイスするとともに、当該債権者に対しても保証協会の
取組みについて直接説明し、返済計画の了承を得られたことで、取組み開始から約3ケ月を経
てようやく再生計画は完成しました。
その後、創業・再挑戦・再生審査会での承認を受けた後、社長さんの希望する地元金融機関
に対し、保証協会の担当者が直接出向き、求償権消滅保証融資の相談をさせていただきました。
現在は、融資実行が済み金融取引正常化を実現しております。今後については、毎月の試算表
の提出を依頼しており、随時モニタリングを実施し経営指導を継続していく予定です。
事例
2
(求償権消滅保証)
企業の業種●金属部品製造業 年商●約2億5千万円 従業員●18名
1 求償権消滅保証取組み前の企業の状況
当該企業は金属部品製造業を営んでおりましたが、とりわけ少品種で多くのロットを求めら
れる部品の製造が中心でした。当時この分野は、製造拠点が中国をはじめとする東南アジアへ
シフトしていったという時代背景もあり、国内の同業者はこの影響から受注が減少しており、
当該企業も例外ではありませんでした。
更に、当該企業の場合、関連会社の放漫経営から多額の不良債権を抱えることになり、資金
繰りが著しく悪化し、返済財源捻出が困難な状況に陥り、代位弁済となりました。
2 事業改善への取組み
代位弁済後、当該企業が事業改善に向け取り組んだ内容は、財務面では、借入金の圧縮のた
めに役員が所有する遊休不動産を処分しました。
事業面では、受注製品を多品種少ロットにシフトしました。また、業界経験豊富で技術ある
社員を集めることができました。更に、取引先からの要望に徹底的に応える製品の製造にこだ
わりました。
こうしたさまざまな努力が次第に取引先から認められ、安定した受注が確保されるようにな
りました。
3 求償権消滅保証後の状況
求償権消滅保証実行後、保証協会は、受注状況や収益状況について把握すべく、当該企業へ
定期的に出向いて、試算表を提出していただくとともに、社長さんに対して直接ヒアリングを
させていただき、工場の様子を確認するなど、モニタリングに取り組んできました。
求償権消滅保証実施後は、社長さんの事業に対する前向きな姿勢がより鮮明になり、訪問時
にはいきいきとした姿に接することができるようになりました。
保証協会としては、今後必要に応じて支援機関の紹介を行い、引き続き金融機関と協力しな
がらモニタリングにつとめていく予定です。
39
事例
3
(求償権消滅保証)
企業の業種●旅館業 年商●約8億3千万円 従業員●78名
1 求償権消滅保証取組み前の企業の状況
当該企業は、県内有数の温泉地で営業する老舗旅館ですが、十数年前に老朽化した施設の増
改築工事を実施したことから、借入金が数十億円に達するなど厳しい状況が続いていました。
また、従来から営業面を担当していた役員が体調を崩したことも影響して、売上も減少基調
で推移していました。買掛金・未払金の増加により仕入単価の引下げも困難で、風評等の懸念
も抱えており、思うように利益をあげられない状態となっていました。
2 事業改善への取組み
当該企業の業績回復は長期化が予想されたことから、保証協会保証付融資は代位弁済となり
ましたが、当該企業は、代位弁済後も、厳しい業況下にありながら、求償権への誠実な返済を
履行してきました。
代位弁済と前後して経営コンサルタント会社の指導を受けながら、社長さんを中心に経営改
善努力に務めた結果、売上は増加に転じ、財務面においても、買掛金・未払金の解決により利
益率も改善基調で推移し始めました。
その一方で、多額の借入金を償還できるだけの利益確保には至っておらず、また設備のリ
ニューアルもほとんどできないことが、業況を圧迫するとともに、今後の事業再構築における
課題となっていました。
3 経営改善計画(再生計画)の策定とその後の状況
保証協会が、当該企業及び取引金融機関との協議の上、経営改善計画策定のお手伝いをさせ
ていただきました。
借入金については、事業外不動産の売却を進めるとともに、取引金融機関の支援により他の
大口債権者の借入金の一部肩代り及びDDS(債権の劣後化)を実施するほか、保証協会は既
存求償権について求償権消滅保証を行うことにより、大幅な借入金の圧縮を図る方針としまし
た。
また、キャッシュフロー確保に向けて、売上の回復・維持と収益性の向上も目指すこととな
りました。インターネット等の直販戦略を強化して売上確保を図るとともに、借入金の返済棚
上げに伴い買掛金・未払金の支払を優先することで、取引先との信頼関係を再構築し、仕入単
価の引下げ及び風評等の払拭を行うこととしました。
計画策定後、
「創業・再挑戦・再生審査会」での承認を受けて、求償権消滅保証が実行されま
した。現在は計画内容の履行が進んでおり、売上の維持、収益の改善が図られ、借入金の大幅
な圧縮も実現したことで、今後の事業再構築も順調に進展することが期待される状況となって
おります。
保証協会としては今後も随時モニタリング等を実施し、金融機関と協力しながら当該企業の
計画遂行状況を注視していく予定です。
40 Gunma Good Support Guide
事例
4
(会社分割による再生)
企業の業種●食料卸売業 年商●約16億5千万円 従業員●100名
1 再生支援取組み以前の企業の状況
当該企業は、地元スーパーマーケット、コンビニエンス・ストア、中小小売店等との取引を
主体に売上規模を拡大させてきましたが、利益率や採算性を維持した仕入管理及び販売管理が
行き届かず、収益面において薄利多売の状態に陥り、利益率が低下し、その結果、恒常的な資
金不足となりました。
その後、経営コンサルタント等に依頼して経営体質の改善を試みましたが、功を奏さず、自
主的再建を断念することとなりました。
2 事業改善への取組み
法的手続きを回避して事業を再建するためには、経営体質の改善を行い、営業赤字の解消を
図ることが急務でした。また、従業員の雇用を維持しながら事業を継続するためには、
スポンサー
企業からの出資・貸付等の経済的支援が絶対的条件であるとの結論に至りました。そして、ス
ポンサー企業の支援を前提に、社内において事業調査・財務調査等が行われ、経営改善策を検
討した結果、新会社設立による会社分割方式での再生という方針が固まりました。
3 経営改善計画 ( 再生計画 ) の策定とその後の状況
再生においては、群馬県中小企業再生支援協議会を利用したスキームを活用することとしま
した。相談を受けた再生支援協議会は、再生支援について検討した結果、当該企業の破綻は、
地域経済での雇用の確保という観点や、取引先の二次破綻等の懸念を考慮すると、地域経済に
及ぼす影響が大きいことから、企業再生の公益性が高いものと判断し、再生計画の策定に関与
することとなりました。
まず、再生支援協議会による事業調査・財務調査等の検証が行われました。その結果、この
まま放置すれば破産に至る可能性が極めて高いことから、当該企業の再生は大幅な債務免除を
伴うスキームが必要であり、経営の再生が可能なスポンサー企業の支援の下での再生が不可欠
であるとの結論に至りました。
保証協会においても、再生支援協議会において策定を進めている再生計画が、再生支援の新
手法にマッチするよう、計画の調整を求めた上、当該企業の再生は充分可能であるとの判断から、
最終的に再生計画に同意いたしました。
その後、再生計画に従い会社の分割手続が行われ、既存事業のすべてを新設会社に承継させ
ました。旧会社については解散の決議後、特別清算手続に移行し、全資産の換価と債権者への
弁済が行われました。
新しい会社では経営陣を一新し、再生計画に則り事業を進めた結果、現在は順調に継続され
ています。
41
事例
5
(協会主導による再生支援)
企業の業種●各種商品卸売業 年商●約2億8千万円 従業員●7名
1 事故報告提出時点の企業の状況
当該企業は、相応の業歴を有する葬儀返礼品、粗品、贈答品等の卸売業です。
世界同時不況による消費低迷の影響を受け、ここ数期売上の減少が続いておりました。また、
不良資産(貸付金)が多額にあり、借入金も過大の状況でした。実質は大幅な債務超過に陥っ
ており、恒常的な資金不足のため、月々の返済に延滞が生じ、金融機関から事故報告書が提出
されました。
2 事業改善への取組み
当該企業の取扱商品は、多種多様であり、利益率が低いという、まさに典型的な薄利多売の
状況でした。このため、保証協会の担当者等のアドバイスにより、利益率を向上させるための
経営改善措置として、取扱商品の見直し、人員整理、諸経費削減等を実施いたしました。
その結果、利益率は改善されましたが、依然として過大借入金の返済が重く、資金繰りは厳
しい状況が続いていました。
3 経営改善計画 ( 再生計画 ) の策定とその後の状況
保証協会の担当者が、事故報告書を提出した金融機関をはじめ、各取引金融機関と協議を行い、
経営改善計画策定のお手伝いをさせていただきました。
当該企業は、営業ベースでは黒字を計上し、相応のキャッシュフローを確保していましたが、
借入金の返済が大きいために、資金繰りが安定しないことが一番の問題でありました。よって、
借入金返済をキャッシュフロー内に抑えることを念頭に、各取引金融機関の条件変更の支援を
得られるように、経営改善計画を策定いたしました。
策定にあたっては、幾度となく企業訪問を行い、社長さんから決算書上の不明点の確認、改
善事項の確認等を行い、今後3年間の改善計画を立てました。計画策定時には、シュミレーショ
ン財務診断を利用し、計画数値の妥当性も検討しました。
計画策定後は、借入金返済予定表に基づき、各取引金融機関の支援のもと、条件変更を実施し、
正常化を図ることができました。
現在は、事故解消となり、順調に返済をしています。
42 Gunma Good Support Guide
事例
6
(求償権消滅保証・会社分割の併用)
企業の業種●食肉加工販売業 年商●約3億円 従業員●31名
1 再生支援取組み以前の企業の状況
当該企業は、地域では知名度のあるブランド商品を有する食肉加工販売業者です。
しかしながら、不況による消費低迷やBSE問題などから売上は減退し、また本業以外への
投資やグループ会社への投資が回収不能となり、資金不足から代位弁済となりました。
代位弁済以後も事業を継続していましたが、経済情勢の低迷や安価なPB(プライベートブ
ランド)商品の台頭などにより、厳しい経営状態が続いていました。
2 事業改善への取組み
事業を再建させるためには、収益性の改善と過剰債務の解消を図る必要があり、当該企業は、
群馬県中小企業再生支援協議会に相談をいたしました。その結果、財務上の問題を抱えていま
すが、事業自体には収益性があり、再建意欲が高いものと判断され、再建に向け具体的な再建
計画策定支援を受けることになりました。
専門家個別支援チームによる詳細な財務及び事業調査(デュー・デリジェンス)
、不動産鑑定
などを行い、問題点を抽出して、正確に経営状態を把握した上で「第二会社方式」のスキーム
により再建を図ることになりました。本スキームを選択した理由は、過剰債務の整理を行うに
あたり法的整理に比べて経済合理性があることでした。
3 経営改善計画(再建計画)の策定とその後の状況
再建計画は、1 事業領域の拡大、2 財務改善(債務超過解消)
、3 経営管理方針改善、4
安全性の確保、5 品質維持及び向上、6 生産性の向上、7 雇用維持、の7本を柱とし、また
金融支援としては、過剰債務の解消のために第二会社方式を活用した実質的な債務免除を行う
こととなりました。
保証協会は、策定計画の妥当性を検討した結果、充分に再建可能であると判断できたため、
再建計画に同意し、求償権消滅保証を行いました。
その後、再建計画に沿って、会社分割手続きが行われ、収益力のあるコア事業を承継した新
会社は、経営陣を一新し順調に事業を継続しております。
43
事例
7
(求償権消滅保証・会社分割の併用)
企業の業種●旅館業 年商●約9億2千万円 従業員数●48名
1 再生支援取組み以前の企業の状況
当該企業は、県内有数の温泉地で営業する老舗旅館ですが、ここ十数年来の消費者意識の変
化に伴う顧客ニーズの多様化への対応が遅れ、売上は減少傾向にありました。他方、温泉地全
体としての集客力を増す目的から事業の多角化を図った結果、多額の回収不能金を抱え、更な
る業績悪化を招いていました。
売上減少の一方で経費面での削減が追いつかず、収益性も低下し、また、過大な有利子負債
が会社経営を圧迫するとともに資金繰りも逼迫していたことから、金融債務償還が困難な状況
にありました。保証付融資についても分割弁済に遅延が生じ、金融機関より事故報告書の提出
を受けるに至りました。
2 事業改善への取組み
当該企業は、数年前より経営コンサルタント会社の指導を受けながら、独自に経営改善に努
めてきました。しかし当該企業を取り巻く経営環境はますます激しさを増しており、今後同地
域で経営を継続していくためには抜本的な改革が必要との判断から、群馬県中小企業再生支援
協議会に相談をすることとなりました。再生支援協議会で当該企業に対する支援について検討
した結果、当該企業が温泉地を代表する老舗旅館であり 雇用確保の問題や取引先の窮境が懸念
される等、地域経済に与える影響が大きいことを鑑み、再生計画策定の支援が決定しました。
3 再生計画の策定とその後の状況
再生計画策定の第一歩としては、外部専門家チームによる財務・事業の両面における調査に
より、問題点の抽出や実態把握が行われました。その結果、現時点における収益状況及び財務
状況の予測から、自助努力による金融債務の全額償還は極めて困難であるとの結論に至りまし
た。
これを踏まえ作成された再生計画では、売上・原価・人件費・物件費・新規設備投資等の各
面における具体的対策を示すとともに、
「第二会社方式」での再生スキームを活用することで金
融機関に対して実質的な債権放棄を要請することとなりました。
再生計画について金融団の合意が得られたことで計画が成立し、保証付融資については求償
権消滅保証を実施することとなりました。現在は新たな社長さんによる新体制の下、新会社で
の営業がスタートしています。保証協会としては、今後も随時モニタリングを実施し、当該企
業の再生のサポートを継続していく予定です。
44 Gunma Good Support Guide
事例
8
(長期のリスケジュール、経営改善サポート保証)
企業の業種●旅館業 年商●約17億5千万円 従業員●129名
1 再生支援取組み以前の企業の状況
当該企業は、県内有数の温泉地で60年以上営業する老舗の温泉旅館です。過去に大幅な設備
投資(新たな旅館の建設、既存建物の改修)を全額金融機関からの借入で調達しましたが、そ
の後の集客が予想を下回ってしまったことから返済の負担が大きく、厳しい経営状況が続いて
おりました。
2 事業改善への取組み
当該企業は自社で経営努力を行い、伝統的な旅館であるという強みを活かした営業と経費の
削減により、収益力は改善傾向にありました。しかし、現状の借入金返済や利息支払を賄える
ほどの財源を確保することは困難な状態であったうえ、旅館業という業種柄、今後も定期的に
実施しなければならない設備投資(建物・機械装置の改修費用等)を考慮すると、更に踏み込
んだ抜本的な対策が必要不可欠でした。
そこで当該企業は、群馬県中小企業再生支援協議会に相談しました。再生支援協議会は、収
益力の改善、資金繰りの緩和、財務体質の強化により事業再生できると判断し、支援すること
としました。
3 再生計画の策定とその後の状況
再生支援協議会は、外部専門家による事業面・財務面の調査により、当該企業の現況把握、
問題点の抽出を行いました。調査結果を踏まえて再生支援協議会は、返済負担を軽減するべく
取引金融機関に対しDDS(債権の劣後化)を求める再生計画の提示を行いました。また、こ
の他に大口債権者である一部の金融機関からは、今後のモニタリングを株主として行うべくD
ES(債権の株式化)の依頼がありました。
保証協会は「通常よりも長期間のリスケジュール(条件変更)」を実施し、返済額軽減の支援
をいたしました。また、再生計画上で今後必要となる設備の改修資金については、保証協会の
新たな保証制度である「事業再生計画実施関連保証(経営改善サポート保証)
」による支援を決
定しました。
これらの内容で再生計画が成立し、当該企業は再生に向け動き出しております。保証協会と
しては随時モニタリングを行い、計画の達成を目指す当該企業をサポートしていく予定です。
45
事例
9
(会社分割による再生)
企業の業種●旅館業 年商●約5千万円 従業員数●6名
1 再生支援取組み以前の企業の状況
当該企業は、100年以上営業する老舗の温泉旅館です。過去に新館建設による投資を行いま
したが、その後の売上が予想を下回り、過剰債務の状態に陥っていました。
また、リーマンショックによる大幅な市場の低迷に加え、平成23年3月には東日本大震災の
影響で関東地区への旅行客が急減したため、売上が急降下し、赤字幅が拡大しました。
2 事業改善への取組み
経済環境の低迷、旅館の集客状況の多様化など、旅館業にとって外部環境は厳しい状況であり、
現状の企業体力では、どのような対策をとったとしても、実質的な債務超過からの脱却の見通
しは厳しいものでした。
そこで当該企業は、旅館業として事業の再構築をすることが重要と考え、
「群馬県中小企業再
生支援協議会」へ相談を行い、再生支援を受けることとなりました。
3 再生計画の策定
再生計画の策定に向けては、外部専門家による事業面及び財務面の調査、不動産鑑定などを
実施することにより、現況把握、問題の抽出を行いました。それらの調査結果を踏まえ、事業
の方向性を見出し、外部環境の変化に対応した対策などを検討しました。
検討した結果、販売促進の拡大、管理体制の見直しなど、更なる収益性の改善を図る自助努
力はもちろんのこと、過剰債務の縮小が不可欠であると判断されました。そのため、金融支援
要請は不可避であり、会社分割による再生スキームを活用することになりました。
4 保証協会の支援とその後の状況
保証協会は金融機関と協力し、再生計画に基づき、実質的な債権放棄を実施することにより、
支援を決定しました。
上記内容で再生計画が成立し、当該企業は再生に向け動き出しています。保証協会としては
随時モニタリングを行い、計画の達成を目指す当該企業を引き続きサポートしていく予定です。
46 Gunma Good Support Guide
信用保証のご利用案内
保証協会の主な業務は、中小企業の皆さんが金融機関から事業資金を借入する際、公
的な機関として「信用保証」を行うことです。
保証協会は、
「三つの支援」業務はもちろんのこと、信用保証業務においても、中小企
業の皆さんのパートナーとして、資金繰り円滑化を応援いたします。
(1)信用保証協会とは
① 信用保証協会について
信用保証協会は、
「信用保証協会法(昭和28年8月10日法律第196号)」に基づき設
立、運営されている公的な保証機関です。
全国で51協会あり(各都道府県を単位として47協会、市を単位として4協会)、群
馬県においては群馬県信用保証協会が業務を行っています。
② 基本理念
「信用保証協会事業の基本理念(昭和43年4月制定、平成3年5月改正)」に次のよ
うに定められています。
【信用保証協会事業の基本理念】
信用保証協会は、
① 事業の維持・創造・発展に努める中小企業者に対して、
② 公的機関として、その将来性と経営手腕を適正に評価することにより、企業
の信用を創造し、
「信用保証」を通じて、金融の円滑化に努めるとともに、
③ 相談、診断、情報提供といった多様なニーズに的確に対応することにより、
中小企業の経営基盤の強化に寄与し、
④ もって中小企業の振興と地域経済の活力ある発展に貢献する。
(2)信用補完制度
信用補完制度は、中小企業者、金融機関、信用保証協会の三者から成り立つ信用保
証制度と、信用保証協会が日本政策金融公庫に対して再保険を行う信用保険制度の総
称です。両制度は、相互に一体的に機能しています。
信用
補完
制度
信用保証制度
信用保証協会
信用保険制度
日本政策金融公庫
中小企業者の資金調達時の債務保証
信用保証協会の損失補填のための再保険
(3)信用保証をご利用いただける方
① 業種
中小企業信用保険法施行令で定められている業種を基本としており、ほとんどの業
種がご利用いただけます。一部対象にならない業種もありますので、不明な場合は保
証協会までお問い合わせください。
47
② 企業規模
法人の場合、資本金又は出資金及び常時使用する従業員のいずれか一方が、下表の
条件に該当していれば、信用保証がご利用になれます。個人の場合、常時使用する従
業員が、下表の条件に該当していれば、信用保証がご利用になれます。
業 種
資本金または出資金
製造業(建設業・運送業等を含む)
3億円以下
卸 売 業
1億円以下
サービス業
5,000万円以下
小 売 業
5,000万円以下
医療法人等
-
業 種
ゴム製品製造業※
ソフトウェア業
情報処理サービス業
旅 館 業
常時使用する従業員
300人以下
100人以下
100人以下
50人以下
300人以下(医業を営む個人は100人以下)
資本金または出資金
3億円以下
常時使用する従業員
900人以下
3億円以下
300人以下
5,000万円以下
200人以下
※ 自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く。
③ 所在地・業歴
群馬県内において工場、店舗又は事務所を有し、事業を行っている方がご利用いた
だけます。また、
「創業等関連保証」等については、業歴に関係なく創業前の段階から
ご利用いただけます。
④ 許認可
免許、許可、認可、登録、届出等を要する事業については、適法に許認可等を受け
ていることが必要です。
(4)信用保証の内容
① 保証限度額
1企業者に対する保証限度額は下表のとおりです。
個人・法人
2億8千万円
組 合
4億8千万円
このほか、国の各種政策目的により制定された特別保証に係る限度額が設けられているもの
もあります。(セーフティネット保証 等)
② 資金使途
事業経営に必要な運転資金、設備資金
③ 担保・連帯保証人
担保は、必要に応じて提供していただきます。
連帯保証人は、原則として法人代表者以外は徴求いたしません。
④ 信用保証料
ア 一般的な保証における信用保証料(弾力化)
保証協会では、信用保証を利用する中小企業者から信用保証料をいただいており
ます。信用保証料率は、個々の中小企業者の財務状況などを考慮し、原則として9
48 Gunma Good Support Guide
つの料率区分の中から適用されます。具体的な料率は下記「(5)②ご負担いただ
く保証料」をご覧ください。
イ 料率の割引
担保の提供がある場合や、
「中小企業の会計に関する基本要領」の適用状況を確認
できる場合、一部の県制度融資などにおいては、料率の割引を行っています。
ウ 固定料率の保証制度
一部の保証制度については、固定料率が適用となります。
セーフティネット保証(1~6号) 0.8% セーフティネット保証
(7・8号)
0.68%
災害関係保証 0.8% 東日本大震災復興緊急保証 0.8%
創業関連保証 0.7% 創業等関連保証 0.7%
創業チャレンジ資金 0.5% 女性・若者・シニアチャレンジ資金 0.45%
事業再生保証(DIP 保証)
2.2% 特別小口保証 0.7%
流動資産担保融資保証(ABL 保証) 0.68%
(5)責任共有制度について
① 責任共有制度の概要
いままでの保証協会保証付き融資は、お客様の借入金額に対して、保証協会が原則
として100%保証していました。平成19年10月1日保証申込受付分からは、
「責任共
有制度」が導入され、保証付き融資は一部の保証を除いて80%保証となりました。
② ご負担いただく保証料
責任共有制度の対象となる保証については、原則として、負担していただく保証料
は少なくなりました。責任共有制度の対象となる保証制度のうち、弾力化対象の保証
制度については、次の保証料率が適用されます。
区分
①
責任共有制度対象外の料率 2.20
責任共有保証料率
1.90
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
2.00
1.80
1.60
1.35
1.10
0.90
0.70
0.50
1.75
1.55
1.35
1.15
1.00
0.80
0.60
0.45
③ 責任共有制度の対象となる保証制度
原則としてすべての保証制度が、責任共有制度の対象となります。
なお、下表の保証制度は対象から除かれます。
①経営安定関連保険(セーフティネット)
1号~6号にかかる保証
②災害関係保険にかかる保証
③創業関連保険(再挑戦支援保証を含む)
、
創業等関連保険にかかる保証
④特別小口保険にかかる保証
⑤事業再生保険にかかる保証(DIP保証)
⑥小口零細企業保証制度(群馬県小規模企業事業資金内の小口零細企業資金を含む)
責任共有対象除外 ⑦求償権消滅保証
⑧破綻金融機関等関連特別保証(中堅企業特別保証)
の保証制度
⑨東日本大震災復興緊急保険にかかる保証
⑩経営力強化保証制度(注1)
⑪事業再生計画実施関連保証(注2)
(注1・2)
「責任共有制度の対象除外となる信用保証協会の保証付きの既往借入金(平成
19年9月30日以前に信用保証協会が申込受付した保証であって保証割合が100%の保
証を含む)」を本制度で借り換える場合であって、信用保証協会の保証付きの既往借入金
の範囲内の額を借り換える場合に限ります。
49
ーメ モー
50 Gunma Good Support Guide
ーメ モー
51
ーメ モー
52 Gunma Good Support Guide
群馬県信用保証協会窓口のご案内
群馬県信用保証協会業務区域図
「三つの支援」をはじめ、ご相談等がございましたら、気軽にお問い合わせください。
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至渋川
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総務部 総務課
企画課
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027-231-8874
027-231-8674
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027-234-8823
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保証統括部 保証推進課 TEL 027-231-8875 FAX 027-231-8814
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前橋市
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TEL
TEL
TEL
TEL
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管理統括部 管理統括課 TEL 027-231-8946 FAX 027-231-8424
調整課 TEL 027-231-8414 FAX 027-225-9052
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太田市
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保証第一課 TEL
保証第二課 TEL
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027-231-8948
FAX
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FAX
FAX
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027-231-9459
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信用保証で豊かな経営
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17
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第二課
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(362)
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甘楽郡
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53
群馬県信用保証協会
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