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今どきフィルム派の私だから、 Lightroomとの相性はぴったり

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今どきフィルム派の私だから、 Lightroomとの相性はぴったり
プロフェッショナルが語る Photoshop
©Sayo Nagase, Heather 2008 S/S Catalogue
Vol.
1
永瀬沙世/フォトグラファー
今どきフィルム派の私だから、
Lightroom との相性はぴったりです。
ナチュラルな感性が広く支持され、ファッション誌や広告写真などで活躍するフォトグラファーの永瀬沙世さん。若手
世代には珍しくネガプリントを表現の主体としてきた彼女が、このたびデジタルにその領域を広げたのはなぜか。空
気感を追求する次代の写真家に、Photoshop Lightroom 2 と Photoshop CS4 の印象を聞いた。
永瀬沙世/フォトグラファー
1978 年、兵 庫 県 伊 丹 市 生まれ。15 歳 から5 年 間、ファッ
ション誌の専属モデルに。大学在学中より写真家のアシス
タントを勤めながら独自に写真を学ぶ。2000 年、ニューヨー
ク滞在中に写真家としてデビュー。以来、雑誌や CD ジャケッ
トなどの撮影を数多く手がけ、展覧会も多数開催。2006 年、
写真集「青の時間∼ THROUGH THE LOOKING-GIRL ∼」
(プチグラパブリッシング刊)を出版。2008 年、ニューヨー
クフォトフェスティバルに参加。
http://www.nagasesayo.com
プロフェッショナルが語る Photoshop 1
プロフェッショナルが語る Photoshop
Vol.1 永瀬沙世/フォトグラファー
写真家を志したきっかけは?―
カメラを手にしたのは 14 歳。写真家という職業については
詳しく知りませんでしたが、雑誌や映画などのビジュアル制作
がしたいと思っていました。当時から、被写体は友達や姪っ子、
そして風景など。雑誌制作の現場を知りたい一心で、10 代に
はモデル業も経験しました。趣味で撮っていても自己満足に
終わると思い、大学時代にはテクニックを習得するために東
京でアシスタントの職を得ました。ニューヨークで3ヶ月の武
者修行中、日本の雑誌の仕事をいただいたのがプロとしての
初仕事でした。
Photoshop との出会いは?―
17 歳の時、地元で写真を撮ってもたくさんの人に見せられな
い悔しさから、自分で本を作りました。写真をスキャンして実
家のパソコンに読み込み、Photoshop 5.5 で写真集を編集し
たのです。A4 サイズの紙に写真をレイアウトし、プリントアウ
トしたものを糊付して製本。その頃から、額縁に飾る写真では
なく、雑誌や写真集のような印刷物で鑑賞できる写真を志向
フィルムも不要になると飛びつきましたが、画質の悪さに失
していました。その後はずっとフィルム中心の表現だったので、
望してすぐに断念。それ以降は成熟した道具で表現したいと
Photoshop は最近まで旧バージョンのままでした。
いう思いが強くなり、カメラもフィルムも実績のある製品にこ
だわるようになりました。初期にポジフィルムを使っていたの
フィルムにこだわった理由は?―
は、まずは難しい技術を身につけてから自分の表現をしようと
思ったから。その後、ネガフィルムに移行しましたが、ラボ任
デジタルカメラが登場した 18 歳の時、これでスキャナーも
せでは思うような色を出せないので、ネガプリントを自分で使
いこなすことにしました。
撮影で大切にしていることは?―
写真うつりに自信のある人が、実は苦手。
「こう撮って」という
決めポーズをされると、気分が乗りにくいんです。逆に「自分
は撮られるのは好きだけど、得意ではない」と思っている人が、
自然な状態でうまく撮れます。リアルからかけ離れた質感で
撮った写真にも共感が持てません。だから撮影用スタジオで
もシャッタースピードを遅くして、わざと天井光の色かぶりを
出したり。私の写真は、日常の延長線上の非日常を捉えるとい
う点で、映画を撮るのに似ていると思います。
デジタルを取り入れたきっかけは?―
デジタルの隆盛で、写真家がまったく別の職業になるのでは
ないかと心配でした。撮影以外の画像処理に膨大な時間を
取られ、著作権も曖昧になって、写真家の立ち位置が揺らぐ
のではないかと。でも最近、デジタルカメラの開発者からお
話を聞く機会があり、決して合理性や売り上げのみを求めて
プロフェッショナルが語る Photoshop 2
プロフェッショナルが語る Photoshop
いるのではなく、クリエイティブな方向性を持っていることを
Vol.1 永瀬沙世/フォトグラファー
Photoshop CS4 Extended で気になる機能は?―
知って感動したんです。日本の職人的な技術者がここまで力
を注いでいるのなら、フィルムだけにこだわる必要はないと
思いました。
「トーンを保護」を用いた覆い焼きや、
「自然な彩度」を用いた
スポンジツールなどで違和感なく補正できるのがいいですね。
私の場合、やりたいことの多くが Lightroom 上でできるので、
Photoshop Lightroom を選んだ理由は?―
両者の連携のよさが心強い。Photoshop CS4 Extended の
「スクリーンを共有」機能で編集者と画面を共有して確認し合
「フォトグラファー
RAW 現像ができるソフトを探している時、
えたりできるようになったのも、バイク便いらずでエコ。世の
のために作った」という Lightroom のメッセージが心に響き
中の子持ちの女性カメラマンでも、このような機能があれば
ました。広告主のための写真という風潮が強い今、とても画
快適に仕事ができると思います。
期的なものを感じたのです。私はあくまでフィルムの良さを
信じていたので、メカニカルすぎると愛着が持てない。その
今後の表現はどのように進化しそうですか?―
点、Lightroom はネガプリントと同じ感覚で作業が進められ
るので、しっくりきました。例えば私はベタ焼きをカード状に切
今までは、技術的な制約の中から妥協点を見出すことがひと
り、机上に並べながらページ構成を検討しますが、同様のこと
つのクリエイティビティだったのですが、これからは別の視点
が Lightroom の画面上でもできる。ライブラリを整理してい
でものが見られるはず。例えば光を落としてムードを出したく
る時間はベタ焼きのトーンを調整する工程に似ていて、RAW
ても、女優さんの肌の美しさを表現するためにストロボを上
現像がプリント作業に相当します。また、デジタルの不安のひ
げることがあります。そんなトレードオフも、今後はあまり必要
とつは、著作権が曖昧になること。内覧用のアウトテイクが流
ないでしょう。自分のイメージに近い写真が作れるようになっ
出したりするのは避けたいので、出力時に「著作権透かし」を
たことは確か。やりたいことが一周して新しい表現を求めてい
追加できる機能も決め手になりました。
た時期に、良い環境が整いました。
プロフェッショナルが語る Photoshop 3
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