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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項(山本精一郎) 1 第19

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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項(山本精一郎) 1 第19
がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
本講義の内容について
• 本講義の内容は、もともと、JCOG臨床試験を行う上で知っ
ておくべき必須のものとして、自ら研究をおこなう者の立場
から自分たちが守るべき具体的規範としてまとめられたも
のです。
• 現在、国立がんセンターで臨床研究を行う際に学ぶべき、
必須の内容となっています。
• ICRweb(http://www.icrweb.jp/)にも関連教材があります。
がん臨床試験を行う上で
知っておくべき倫理的事項
国立がんセンターがん対策情報センター
がん情報・統計部
山本精一郎
• スライドは読めばわかるようになっており、誰でもこれを用
いて講義ができるようになっていますから、施設に戻ってぜ
ひ周りの人に説明してみてください。
2
本日の内容
ヘルシンキ宣言
ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則(2008年10月)
・臨床研究と倫理について
・医学の進歩は、最終的に人間を対象とする研究を要するものである。
医学研究に十分参加できていない人々には、研究参加への適切なアクセ
スの機会が提供されるべきである。
・人間を対象とする医学研究においては、個々の研究被験者の福祉が他の
すべての利益よりも優先されなければならない。
・人間を対象とする医学研究の第一の目的は、疾病の原因、発症、および影
響を理解し、予防、診断ならびに治療行為(手法、手順、処置)を改善する
ことである。現在最善の治療行為であっても、安全性、有効性、効率、利
用しやすさ、および質に関する研究を通じて、継続的に評価されなければ
ならない。
・医学の実践および医学研究においては、ほとんどの治療行為にリスクと
負担が伴う。
日本医師会訳 (http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html#ja)
・人体実験の悲惨な歴史
・臨床研究の倫理原則確立
・臨床研究の8つの倫理的要件
・被験者保護の仕組み
3
4
人体実験の悲惨な歴史
研究すべきならば、どのように
研究すべきか?
今までの歴史の中で
ヒトを対象とした非倫理的な臨床研究
(人体実験)
が数多く行われてきました・・・
それでは、海外、および日本における
人体実験の歴史を振り返ってみましょう。
・正しい知識を得るために、正しい方法で
臨床研究が行われなければならない
→臨床研究の科学性
臨床研究の科学性
・少数の個人が他人あるいは社会の利益の
ために、研究の被験者として負担/リスク
を背負わされる(搾取の可能性)
→倫理的配慮が必要
倫理的配慮が必要
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使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
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1
がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
人体実験の悲惨な歴史(1):海外
人体実験の悲惨な歴史(2):海外
1960年代:ユダヤ人慢性疾患病院研究(米)
第二次世界大戦中:ナチス・ドイツの人体実験
・民間人・捕虜を対象に、超高度実験、低体温実験、マラリア実験、
断種実験などの多くの人体実験を実施
・第二次世界大戦終了後、ニュルンベルグ裁判にて23名
(うち医師20名)が裁かれた
1950年代:ウィローブロック肝炎研究(米)
・ニューヨーク州の知的障害児施設ウィローブルック州立学校
・入居者に肝炎ウイルスを人為的に感染させる実験
・感染実験の繰り返しにて肝炎ウイルス(A型・B型)株の分離に成功
・ガンマ・グロブリンの肝炎発症予防効果を検討するために、
投与群と非投与群の発症割合を比較
・児を預けた親には予防法を調べるとのみ説明
・実験結果は、NEJMなど著名な医学雑誌に発表された
・ニューヨーク州のユダヤ人慢性疾患病院
・米国Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerの医師が
患者22名に「生きた癌細胞」の皮下注射実験を実施
・免疫応答の低下した慢性疾患の末期患者を対象
・皮膚検査と説明され、診療録に実験の同意取得の記載なし
・内部告発により発覚。裁判により、両者敗訴
1970年代:サン・アントニオ避妊研究 (米)
•貧しい女性を対象に避妊薬の効果を見るランダム化比較試験
•プラセボの使用について被験者に伝えず
•プラセボ群では予想通り望まない妊娠が増加
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人体実験の悲惨な歴史(3):海外
8
人体実験の悲惨な歴史(4):日本
1932-72年:タスキギー梅毒研究 (米)
1930年代:日本軍731部隊(関東軍防疫給水部)
・1930年代アラバマ州メイコン郡タスキギー
・1931年公衆衛生局(PHS)はアフリカ系米国人男性399人の梅毒の
自然経過をみる実験を開始
・さらに梅毒に未罹患の同年代男性200人も対照群として経過観察
・継続的な脊髄穿刺により梅毒の進行状態が調べられた
・1946年より一般診療としてペニシリン使用可能となるも投与せず
・患者は梅毒以外の医療費や葬儀費用の提供を受け、死後病理解剖
・患者には梅毒罹患の説明はされず、ただ「悪い血」を持っていると説明
・1936~72年まで17本の報告論文が公表されたが特に批判は受けず。
・399名のうち、28名が梅毒で死亡、約100名が失明や精神障害を来した。
・1972年AP通信およびニューヨークタイムズで報道され、研究中止
•1996年、生存者11名と遺族による訴訟が勝利
•1997年、生存者5名に対し、クリントン大統領(当時)が謝罪
• 中国にて、中国人やロシア人捕虜などを対象
• 細菌兵器の開発目的の人体実験のため、チフス、コレラ等に感染
1965年:キセナラミン事件
• 対象は製薬会社興和の社員187名
• 抗ウイルス薬の新薬キセナラミンのプラセボ対照試験
• 社員は上司の指示により参加。副作用の訴えは無視。副作用死亡1名
1982年:日本ケミファ事件
• 日本ワイスと日本ケミファが鎮痛消炎剤「シンナミン」を共同開発
• 日本ケミファは、分担した研究のうち一部を行わず、データをねつ造
• 副作用死亡が3名出ていることを隠蔽
9
10
近年の日本における不適切な臨床研究の事例
1998年:金沢大学医学部における臨床試験
• 卵巣がん患者を同意を得ずに多施設共同臨床試験に組み入れ
• 裁判では臨床試験の対象ではなかったと説明
• 登録一覧表から当該患者を削除(改ざん)
• 地裁・高裁判決にてともに原告勝訴し、説明義務違反による精神的
苦痛が認められた。
2007年:神戸市立医療センターにおける臨床試験
• 中央市民病院において、乳がん患者52名に対して通常とは異なる投
与方法(投与量、投与順)による臨床試験を実施(単施設)
• 同意書の存在は4名分のみ。うち署名があるのは1名分(口頭同意有)
今までの歴史の中でヒトを対象とした
非倫理的な臨床研究が数多く行われてきました。
近年の日本でも、不適切な研究事例が報告
されています。
では、臨床研究を行うにあたり、
何を規準にして倫理的配慮
を行って行けば良いのでしょうか?
2008年:東京大学医科学研究所の論文虚偽記載
• 白血病患者の検体を用いる後ろ向き研究
• 倫理審査を受けた、同意を得た検体を用いた、と論文に虚偽記載
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使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
研究倫理原則の確立(1)
‘32
~’45
第二次大戦
1947年:ニュルンベルグ綱領
•ナチス・ドイツの人体実験に関する軍事裁判の判決文中に示された
•医学実験に関する最初のガイドライン
臨床研究の倫理原則確立
1964年:ヘルシンキ宣言
‘50代
‘60代
•ニュルンベルグ綱領を受け、世界医師会が医学研究者が自らを規制す
るために提案
4条:医学の進歩は、最終的にはヒトを対象とする試験に一部依存せざ
るを得ない研究に基づく
5条:被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先
されなければならない
ウィロー
ユダヤ
タスキギー
1966年:“Ethics and Clinical Research”発表(米)
•ハーバード大医学部教授ビーチャーがNEJM誌に発表
•同意を得ず行った被験者の生命や健康を危険にさらした22研究を要約
•「研究の倫理に関する歴史を変えた」といわれる論文
‘70代
‘72
13
研究倫理原則の確立(2)
研究倫理原則の確立(3)
1973年:ヘルスケアおよび人対象試験の質に関する公聴会(米)
•タスキギー事件に対する米国民の批判を受けて、エドワード・ケネディー
上院議員が公聴会を開催
•タスキギー事件、ウィローブロック肝炎研究など様々な事件について検討
1974年:国家研究法成立 (米)
•公聴会の結果を受けて成立
•国家研究法の概要
• 倫理審査委員会設置の義務化→研究計画の審査がシステム化
• 人体実験規則の公布の要求
→被験者保護の法制化(連邦規則45CFR46の制定)
• 生物医学と行動医学の研究における被験者保護のための
国家委員会設立
→17冊の報告書を刊行(その1つがベルモントレポート)
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サンアントニオ
1979年:ベルモントレポート(米)
•研究倫理に関する3つの倫理原則を提唱
人格の尊重・善行・正義
1979年:医療倫理の4原則の提唱(米)
•ベルモントレポート作成に関わった、ビーチャム・TL、
チルドレス・JFが「生物医学・医療倫理の諸原則」を発表
•医療倫理に関する4原則を提唱
自律尊重(autonomy) 無危害(non- maleficence)
善行(beneficence)
正義・公平(justice)
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生物医学・医療倫理の4原則
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これまでの臨床研究ガイドラインは、
それぞれ個別の“スキャンダル”に対応
して作られてきた。
このため、必ずしも網羅的・系統的ではない
• 自律尊重 (respect for autonomy)
患者の自律的な意思決定を尊重せよ
• 善行 (beneficience)
beneficience)
人に利益をもたらせ
• 無危害 (non(non-maleficence)
maleficence)
患者に危害を及ぼすのを避けよ
• 正義・公正 (justice)
利益とリスク・費用を公平に配分せよ
→ 系統的かつ網羅的、わかりやすい
倫理ガイドラインが必要であると考えられた
「What Makes Clinical Research Ethical?」
Ethical?」
Emanuel EJ, et al.
JAMA 283:2701283:2701-11, 2000
JID 189: 930, 2004
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使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
(1) Collaborative Partnership
臨床研究における8
臨床研究における8つの倫理的要件
共同パートナーシップ(関係者間の協調)
・研究を実施する地域社会との連携 (Collaborative Partnership)
・社会的・科学的価値 (Social or Scientific Value)
・科学的妥当性 (Scientific Validity)
・適正な被験者選択 (Fair Subject Selection)
・適切なリスク・ベネフィットバランス
臨床研究は研究成果の恩恵を受けられるコミュニティを対象として行わなければならない
。成果のみの搾取は行うべきでない。そのために関係者は協調して研究を行わなければ
ならない。
•Partnershipのない研究
– アフリカでエイズ薬の早期治験
(Favorable Risk-Benefit Ratio)
– 欧米で抗がん剤の早期治験
→ 安全・有効とわかったら日本へ
– 高額な分子標的治療薬の開発
→ 一部のお金持ちしか使えない
•実践
– 早期段階からグローバル開発を行い、研究成果の恩恵を受けたい各国が参加
・第三者による独立した審査 (Independent Review)
・インフォームド・コンセント (Informed Consent)
・候補者および被験者の尊重
– 研究を実施したコミュニティで、研究成果をより多くの人が使えるような仕組みを
考案
• 研究成果を健康保険のシステムに組み込み、コミュニティで共有する
– 研究の計画や実行、監督においてもコミュニティが参加
(Respect for Potential and Enrolled Subjects)
• 対象となる患者集団やその代弁者、諮問委員会、倫理審査委員会、
研究資金の支援者などの意見を聞く
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(2) Social (or scientific) value
社会的/
社会的/科学的価値
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臨床試験の登録制度
将来の診断法、治療法や公衆衛生の進歩・発展に貢献す
る結果/結論を導くことができる。
・研究を実施しようとする分野について、網羅的
、公平な知識(標準治療は何か?)
→既に分かっていることしか導き出せない研究は X
ー エビデンスに基づく研究計画
ー 臨床試験の登録制度
ー 研究者の教育
→ 欧米で販売。早期治験を行ったアフ
リカでは、薬代が高くて使えない
・臨床試験が開始時に公的に登録されることにより、研究を倫理的に実
施して正直に報告する義務を促す。
・医学雑誌編集者国際委員会は、2005年7月以降に症例の登録を開
始する全ての臨床試験を公的な臨床試験登録システムに登録する
ことを要求。(第 I相試験などの薬物動態や毒性を調べる試験は適応
されない)
(JAMA 292:1363, 2004)
・日本では、UMIN (大学病院医療情報ネットワーク)が2005年6月より
臨床試験登録システムを運用開始。
など
(http://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm)
21
22
(3) Scientific validity
科学的妥当性
一般的に正しいと認められた方法に基づく研究でなければ
ならない。
一般的に正しいと認められた科学的原則に基づいて
研究を実施
• 実践
– (ちゃんとした)生物統計家の支援体制を確保
– (ちゃんとした)データマネージャーによるデータ管理
– 臨床医に対する臨床試験方法論・臨床研究のやり方の教育
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使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
(5) Favorable riskrisk-benefit ratio
適切なリスク/
適切なリスク/ベネフィットバランス
(4) Fair subject selection
適正な被験者の選択
被験者のリスクが最小化され、被験者の利益が最大化され
、被験者のリスクに見合う被験者/社会の利益が得られる。
適正に患者を選択していなければならない。
• Fair でない被験者選択
•実践
• 社会的弱者への不当な勧誘:囚人・学生・社員・病院職員
– 適切な治療方法の規定(治療変更規準・支持療法含む)
• ベネフィットが期待できない患者の組み入れ
• 「不適格」がチェックされない臨床試験
• 実践
– 適切な毒性評価・有効性評価
– 毒性・プロトコール遵守のモニタリング
• インフォームドコンセントのプロセスの監視
• 適切な適格規準・除外規準の設定
– 有害事象報告システム
• 不適格例を登録しない仕組み・適格性の事後チェック
– 適切な中間解析
25
26
(6) Independent review
第三者審査
(7) Informed consent
インフォームド・コンセント:IC
インフォームド・コンセント:IC
要件(1)~(5)を満たすように研究者は研究を計画し、それを評
価できる第三者が確認してお墨付を与えなければならない。
•実践
– 適切な倫理審査委員会による審査
• 倫理審査委員会の整備
• 倫理審査委員会委員の教育
– 倫理審査委員会
• 日本: 治験審査委員会、施設倫理審査委員会など
• 米国:施設毎にInstitutional Review Board(IRB)を設置
• EU:国毎に様々な形態のEthics Review Committee(ERC)
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が存在
要件(1)~(5)を満たすように研究者は研究を計画し、被
験者本人に研究を行う意義を理解して参加してもらわな
ければならない。
研究目的、方法、リスク・ベネフィット、代替治療の充分
な説明(information)、理解(comprehension)、自発
同意(voluntariness)
•実践
–適切な説明文書
–IC の教育/訓練
–臨床研究コーディネーター(CRC) による IC支援
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(8) Respect for potential and enrolled
subjects
臨床研究の8
臨床研究の8つの倫理要件(まとめ)
倫理要件
(候補者を含む)被験者の尊重
共同パートナーシップ
Social or scientific value
こ
の
社会的/科学的価値
Scientific validity
•実践
科学的妥当性
Fair subject selection
– 同意後の撤回の自由の保証
Favorable risk-benefit ratio
適正な被験者選択
適切なリスク/ベネフィットバランス
– 充分な情報提供
Independent review
• 新たに判明した情報
第三者審査
に
社会的弱者の保護・過大なリスクのある被験者の除外
利益を受ける集団とリスクを受ける集団が解離しない
考
リスクの最小化・ベネフィットの最大化
被験者のリスクに見合う被験者/社会のベネフィット
え
る
!
インフォームドコンセント
– プロトコール治療中止後も適切な医療の提供
Respect for potential and enrolled
subjects
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(候補者を含む)被験者の尊重
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
一般的に認められた科学的方法論
適切な統計手法・正しいデータ
研究と利害関係を持たない独立した第三者による
デザイン・対象・リスク/ベネフィットの評価
研究目的・方法・リスク・ベネフィット・代替治療の
充分な説明(information)、理解(comprehension)、
自発同意(voluntariness)
同意撤回の自由、プライバシー保護
開始後の新知見や研究結果の説明
継続的な被験者保護の監視
事務局
Informed consent
• 研究結果のお知らせ
番
診断・予防・治療の向上に貢献、疾患・健康に有用な知識を
得る、既にある知識や無駄な重複ではない
市民委員
– 継続的な被験者保護
順
研究成果はコミュニティで共有
成果のみの搾取は防止
関係者は協調して研究を行う
専門家
研究に実際に参加した人のみならず、参加する可能性のある
人も含め、スクリーニングの段階から研究終了まで保護されな
ければならない。
– プライバシー保護
詳細要件
Collaborative partnership
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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
米国の被験者保護体制(1)
米国の被験者保護体制(1)
• 体制
– 連邦規則
• コモン・ルール 各管理監督機関共通のルール
被験者保護のためのしくみ
– NIHの45CFR46 subpart A
– 新薬開発を所管する食品医薬品局(FDA)は21CFR50, 56
– “治験”、臨床試験、臨床研究は基本的に同じルールに基づく
– 管理監督機関
• 被験者保護局(OHRP:Office for Human Research Protection)
– IRB登録、施設の米国連邦保証制度(FWA)承認、監査、教育
– スポンサー(研究費配分機関)
• 研究費の配分条件は施設がFWA承認されていること。
– FWA 取り消し → 施設への研究費差し止め
• FWA承認→各施設でHRPPが必要
-教育、方針の策定、プロトコール審査、試験モニタリングなど
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(HRPP:Human Research Protection Program 被験者保護プログラム)
米国の被験者保護体制(2)
米国の被験者保護体制(2)
日本の被験者保護体制(1)
日本の被験者保護体制(1)
• 米国における「被験者保護」
• 体制
– 定義:Human Subjects Protection is a Shared Responsibility
– 規制
• 治験に関しては、薬事法による「医薬品の臨床試験の実施の
基準に関する省令」(GCP)あり
• その他の医学研究は、通知の位置づけの各種倫理指針あり
• 被験者はみんなで責任をもって守るもの
– みんなとは(HRPPにおけるkey player)
•
•
•
•
•
•
•
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施設長:
Institutional Officials
IRB委員/委員長: IRB Members/Chair
IRB管理者:IRB Administrators
研究者:
Investigators:
研究スタッフ:
Research Stuff
他の内部スタッフ (試験薬係、放射線管理士、他)
外部(スポンサー、被験者、規制当局)
– 管理所管機関(GCP/倫理指針ごとに異なる)
• 厚生労働省、文部科学省、経済産業省
– スポンサー(研究費配分機関)
• 厚労科研費研究では「臨床試験登録」や「利益相反開示」
を義務化
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利益相反 (Conflict of Interest)
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臨床研究と株価
Merck社とRofecoxib
・Cox-2 inhibitor
・1999 FDAが承認
・消炎鎮痛剤として8,000万
人が内服
患者の福祉や研究の妥当性などの一次的な利益
(Primary Interest)が資金獲得などの二次的な利益
(Secondary Interest)によって不当に影響
を及ぼされる恐れがある状況。
(売り上げは約2,900億円/年)
→一次的な利益より二次的な利益に比重を置くと問題
Merck社の株価の変動
(2004/8~2005/3)
(Thompson DF, N Engl J Med 329: 573, 1993)
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( http://marketwatch.nytimes.com/custom/nyt-com/html-companyprofile.asp?symb=MRK)
使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
・2004 大腸ポリープ予防の臨
床試験で心血管系リスク増
大を認め、試験中止
・2004/9/30 販売中止発表
(N Engl J Med 351:1707, 2004)
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がん臨床試験を行う上で知っておくべき倫理的事項 (山本精一郎)
第19回CSPOR・CRCセミナー/2009.8.8-9
学術論文における利益相反の開示
日本の被験者保護体制(2)
日本の被験者保護体制(2)
• 日本における「被験者保護」
– 定義
• 「臨床研究に関する倫理指針」の前文より
(H20年7月31日改正)
– ・・・臨床研究においては、被験者の福利に対する配慮が科学
的及び社会的利益よりも優先されなければならない。・・・被験
者の人間の尊厳及び人権を守る・・・
– GCP(薬事法)/各種指針
• 研究機関の長、研究者/研究代表者、倫理審査委員会、
スポンサー(GCPのみ)の責務を規定
(Journal of Clinical
Oncology 26: 1253, 37
2008)
38
Take Home Messages
日本の被験者保護体制(3)
日本の被験者保護体制(3)
各種研究倫理指針ー
各種研究倫理指針ー医学研究にのみ適用ー
医学研究にのみ適用ー
• 人体実験の悲惨な歴史から、研究倫理や医療倫理は徐々に確立
• 医学の発展には人を対象とした研究は必要不可欠
– 人を対象として研究をするからには、被験者を保護し、倫理的に行
わなければならない
• 倫理的か否かは、倫理原則や指針等の判断規準に照らして考える
ヘルシンキ宣言
ベルモントレポート
医療倫理の4原則
臨床研究の8つの倫理要件
• 臨床研究に関する倫理指針(厚生労働省)
– 主に医療行為の介入研究を対象 (H20年7月31日全部改正、翌年4月1日施行)
• 倫理審査委員会の監視機能強化
– 有害事象報告、年次審査、終了報告
• 国としての管理体制
– 臨床試験登録、年次報告、重篤な有害事象報告
• 研究者の教育義務化
臨床研究倫理と研究に必要な知識
• 倫理審査委員会委員の教育推奨(内容の特定なし)
• 被験者保護の実践には、研究倫理の概念の理解が必要
– 研究機関の長の責務として盛り込まれた
• 疫学研究に関する倫理指針(厚生労働書・文部科学省)
被験者保護は、IC、倫理審査委員会、
個人情報保護だけではない
– 主に観察研究と医療行為以外の介入研究 (H19年8月16日全部改正)
• ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針 (厚労省・文科省・経産省)
– 生殖細胞遺伝子を含む研究に適用 (H17年6月29日一部改正)
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使用目的を研究者の自己学習用に限り、その他への転用を禁ずる
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