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2016年3月号(PDF/654KB)
JICA モンゴル事務所ニュースレター 2016 年 3 月号 トップニュース JICA 支援によりモンゴル国税庁催告センターがオープンしました 催告センターオープン式典の様子 技プロ「モンゴル国税庁徴税機能強化及び国際課税取組支援プロジェクト」では、モンゴル関税・ 国税庁の催告センター設立に向けて、関連機材の供与を含む技術的な支援を行っており、3 月 17 日に同センターの開所式を無事に迎えることができました。同センターの設立により、税滞納 者に電話で納税を促進できるようになり、関税・国税庁の業務効率化に繋がることが期待されま す。JICA は、1998 年よりモンゴル国税庁に対して技術協力を継続して実施しており、納税者サ ービスセンターの設置やコールセンターの設置を支援しましたが、現在はモンゴル側によって全国 展開されています。 政治・経済動向 日モ経済連携協定(EPA)発効に向けたモンゴル国内の法的手続きが完了 3 月 11 日、モンゴル政府は日モ経済連携協定(EPA)発行に向けたモンゴル国内の法的手続きが完了した旨、在モンゴル日本 大使館を通じて日本政府に口上書で通知しました。同協定は、2012 年 3 月の交渉開始以降、約 3 年に亘る交渉の末、2014 年 7 月に大筋合意、その後、2015 年 2 月 10 日に日モ首脳間で署名がなされ、早期発効に向けて必要なそれぞれの国内法上の 手続きを進めることを確認していました。今後は、日本側の法的手続きを行った上で、両国政府の確認を経て発効となる見通しで す。同協定はモンゴルにとって初めての EPA となるもので、日本は、ほぼ全ての鉱工業品を含むモンゴルからの輸入額の 100% が、モンゴルは、4500cc 以下の完成車(製造後 0~3 年)の即時関税撤廃を含む日本からの輸入額の約 96%(いずれも 2012 年 時点)が 10 年間で無税となり、両国間の貿易や投資の活性化が期待されます。 日本の経済産業省等の主催による石炭利用にかかる先進技術を紹介するセミナー開催 当日のセミナーの様子 昨年 10 月に安倍総理大臣がモンゴルを訪問された際に交わした協力覚書に基づき、日本の経 済産業省及び(一財)石炭エネルギーセンター(JCOAL)が主催し、3 月 17 日にウランバートル 市内のホテルで「Japan-Mongolia Clean Coal Technology Seminar 2016」が開催されまし た。同会議では、高効率な日本の石炭火力発電所の紹介や、水を使わず選炭するという日本の 永田エンジニアリング(株)の乾式選炭技術のモンゴルでの実証事業結果等が紹介され、当日出 席したエンフボルド国家大会議議長、ガンホヤグ国家大会議議員(前鉱業大臣)、ジグジッド鉱業 大臣といったモンゴル側高官のみならず、鉱業関係者らの高い関心を集めていました。 中国への食肉輸出が正式に開始 市場では羊、山羊、牛、豚、鳥等様々な 肉が売られている。 モンゴルは、その豊富な家畜を活かし、食肉や乳製品を隣国である中国やロシアへ正規ルートで の輸出(拡大)を目指してきましたが、2015 年 11 月、モンゴルと中国との間で「加熱処理された 牛肉・羊肉・山羊肉の輸出と輸入に関する覚書」が署名され、2 月 19 日にゴビアルタイ県国境羊 肉の輸出が正式に開始されました。現在、中国への輸出許可を得ているモンゴルの食肉工場は 3 社あり、今後は羊肉の他、牛肉・山羊肉、既に輸出入取極が交わされている馬肉の輸出が計画 され、食肉加工産業の更なる拡大が期待されます。なお、日本への食肉輸出に関しては、これま で奇蹄類(馬肉)の輸出は行われてきましたが、偶蹄類(牛肉、羊肉、山羊肉等)は、モンゴルが 口蹄疫等の発生国であり、2007 年 9 月に締結された、日本向け加熱処理肉の家畜衛生条件の 中で規定された指定基準を満たす加熱処理施設が、現時点でモンゴルに存在しないことから、実 現していません。 その他の主要イベント、動向等 ・2 月 29 日~3 月 3 日 エルデネバト鉱業大臣日本訪問 ・3 月 2 日 プレブスレン外務大臣国連人権理事会出席@ジュネーブ ・3 月 11 日 モンゴル・英国円卓会議@ロンドン ・3 月 14 日 モンゴル・ドイツ政策協議@ベルリン ・3 月 15 日 低金利住宅ローン(5%)開始 ・3 月 16~19 日 ブラジミール ベラルーシ副首相モンゴル公式訪問 ・3 月 26 日~ サマータイム開始(日本と時差なし) プロジェクトの動き 技プロ「UB 市マスタープラン計画・実施能力改善プロジェクト」で区画整理事業の実施促進に向けた C/P 研修を実施 パイロット地区の一つスフバートル 13 地区。基 礎インフラが不十分で生活環境改善が急務。 技プロ「ウランバートル市マスタープラン(M/P)計画・実施能力改善プロジェクト」では、2014 年 10 月から M/P の実施計画策定や都市再開発事業の実施促進等を支援していますが、3 月 7、 9、10 日に、都市再開発スキームの一つである土地区画整理事業をテーマにした集中研修を実 施しました。モンゴルでは技プロ支援により都市再開発法が制定され、都市再開発事業の主要ス キームの一つに土地区画整理事業が定められています。当日は、建設・都市開発省、UB 市職 員のみならず各アイマグ(県)の都市開発分野担当職員がウランバートルに集まり、区画整理の仕 組みや事業計画立案手法等をケーススタディも行いながら習得しました。現在、ウランバートル市 はゲル地区内 9 箇所をパイロット地区として土地区画整理事業の実施を検討しており、本技プロ では事業計画の立案や地区内のインフラ整備手法等の検討を支援しています。 技プロ「一次及び二次レベル医療施設従事者のための卒後研修強化プロジェクト」第 1 回 JCC 開催 保健・スポーツ省で行われた JCC の様子 2015 年 5 月のプロジェクト開始から約 10 ヶ月。二段階方式による PDM 策定作業が完了し、3 月 18 日に開催された第 1 回 JCC において無事に承認されました。本事業では、一次及び二次 レベル医療従事者のための卒後研修強化を通じて、当該医療施設での質の高い医療サービスの 提供を目指します。具体的には、保健・スポーツ省や保健開発センターの卒後研修管理能力の 強化のみならず、卒後 1~2 年目のインターンプログラム改善や卒後 3 年目以降のレジデント研 修プログラム(外傷、救急、感染症分野)の改善を図り、指導医育成のための TOT 研修の実施 や外傷、救急、感染症、小児に係る継続研修パッケージの開発を行います。2 つのモデル県で は、対象科目に係る継続研修の実施や、上位の医療機関が下位の医療機関を指導するガイダン スシステムづくりを支援する予定です。地方で行った研修会では立ち見が出るほどの盛況ぶり で、本事業への医療従事者の期待の高さを感じました。 草の根技協「ウランバートル市送配水機能改善協力事業」のキックオフ・ミーティングを開催 ウランバートル市・上下水道公社の関係者が出 席して行われたキックオフ・ミーティングの様子 2014 年度地域活性化特別枠で採択された草の根技協「ウランバートル市送配水機能改善協力 事業」のキックオフ・ミーティングが、2 月 17 日にモンゴル側実施団体のウランバートル市役所と ウランバートル市上下水道公社、日本側実施団体の札幌市水道局の関係者が出席し開催されま した。ウランバートル市の上水は約 1,200m という高地に応じた給水区域の分割化や送配水管の 機能分離が適切に計画されておらず、複雑かつ非効率な送配水システムとなっています。本事業 では、効率的な送配水計画の策定に必要な人材を日モ双方での研修を通じて育成し、機能改善 モデルプランを札幌市水道局の指導の下で作成することで、ウランバートル市の安定的な送配水 に寄与していきます。 PPP アクションプランセミナーの開催 セミナー後にメディア取材を受ける ジャフランバートル投資庁長官 技プロ「モンゴル PPP 能力強化プロジェクト」では、3 月 16 日に PPP アクションプランセミナーを 開催しました。PPP アクションプランは、本技プロ支援により、モンゴルでのより効果的且つ適切な PPP を促進するための制度改善に向けた課題と対応方針をまとめたもので、特に、PPP 実施プ ロセスの説明責任と透明性の不足、PPP における政府保証と財政関連法との整合性の問題、大 蔵省の関与必要性を指摘しています。同セミナーでは、JICA 専門家チームによるアクションプラ ンの内容説明や ADB 支援の「新 PPP 法」概要紹介に加え、パネルディスカッションも実施し、モ ンゴル国立大学ハシュチュルン教授が司会を務める中、C/P 機関の投資庁、大蔵省財政投資 局、ADB、JICA の代表者が、モンゴルの PPP を取り巻く課題や今後の展望について意見交換 をしました。今後、新 PPP 法が成立されることで、アクションプランにおける提言の具体的な実施 が促進されることが期待されます。 「獣医・畜産分野人材育成能力強化プロジェクト」でのインターン受け入れ 実習の様子(一番右側で立っている男性が インターンの平井さん) 2 月中旬から 3 月中旬まで、大学院生 1 名が標記プロジェクトでインターン活動を行いました。イ ンターン生は、モンゴル国立生命科学大学獣医学部生を対象とした実習教育を補助したほか、 講義実習担当教員および乳肉衛生担当政府職員との情報交換および彼らとの乳肉衛生関連検 査技術の意見交換を行うことにより、本プロジェクト活動の補完とモンゴルにおける乳肉衛生事情 を学習しました。インターン生にとっては、慣れない環境の中での活動でしたが、学びのある機会 となりました。 【インターンで学んだこと(インターン生 平井佑治)】 大学では、実習を通じて食品衛生への興味をもち、卒業研究活動まで行ってくれた熱意ある学生 に出会えるなど、充実感に満ちた活動を行うことができました。また、活動内外で、JICA 職員、 JICA 専門家、ボランティア調整員、ボランティア、開発コンサルタントなど、様々な立場でモンゴ ル国での国際協力活動に携わる方とお話しできる機会にも恵まれました。一カ月と短い期間でし たが、日本から飛び出ないと経験できない唯一無二のインターンシップとなりました。 全国の社会保険事務官ら 500 名に対して日本の経験を紹介 社会保険セミナー参加者の集合写真 3 月 21 日に全国のソム(村)の社会保険事務官ら約 500 名を対象とした社会保険セミナーがウ ランバートルで開催されました。本セミナーには日本の厚生労働省国際課長ら 3 名の出張者が登 壇し、日本の年金行政や、今春から開始予定の技プロ「社会保険実施能力強化プロジェクト」につ いてプレゼンテーションを行いました。モンゴルでは遊牧民等の公的年金への非加入が問題とな っていますが、広大な国土に点在する遊牧民に対して年金制度をいかに説明するかが大きな課 題です。本プロジェクトでは社会保険事務官の能力強化を通じて、この問題の改善を行っていき ます。 ボランティア事業の動き ボランティア活動紹介 (バレーボール合同練習を開催) モンゴルではバレーボールは人気スポーツの一つであり、毎年全国各地で数多くの大会が開催さ れていますが、より実戦に近い形で経験を積む「練習試合」という概念が殆ど無く、通常の練習を 経て大会に臨む事が一般的です。そのような状況から、河村 JOCV(職種:バレーボール、配属 先:トゥブ県スポーツ局)が中心となり、トゥブ県以外の強豪チームも参加した合同練習試合・審判 講習会を初めて開催し、参加者は普段味わえない実戦練習をすることができ大変好評でした。河 村 JOCV は、この様なイベントの有益性がバレーボール界全体で理解され、今後、モンゴル人指 導者が率先して練習試合・講習会を計画するよう指導を続けていく予定です。 参加者に審判講習を行う河村 JV その他のボランティア情報 ・「JICA ボランティア世界日記」に下記記事が投稿されました。 河村亮 JOCV(H25-4 次隊/バレーボール) http://www.jica.go.jp/hotangle/asia/mongolia/20160301.html 築山憲一 JOCV(H26-4 次隊/公衆衛生) http://world-diary.jica.go.jp/tsukiyama/culture/post_13.php 吉田量子 JOCV(H25-4 次隊/幼児教育) http://world-diary.jica.go.jp/r-yoshida/activity/post_22.php http://world-diary.jica.go.jp/r-yoshida/person/post_23.php http://world-diary.jica.go.jp/r-yoshida/activity/post_24.php ・3 月 28 日に JOCV H27–3 次隊 1 名、H27-4 次隊 4 名が着任しました。 【H27-3 次隊】 荒木志野(マーケティング/ディベロップメントソリューションズ) 【H27-4 次隊】 川端穣(看護師/エルデネト総合病院)、勝俣夏姫(料理/フブスグル県職業訓練校) 松本直子(障害児・者支援/ウランバートル障害児親の会)、平田千賀(バスケットボール/トゥブ県フムーン統合学校) 研修・帰国研修員同窓会 帰国研修員同窓会総会が開催-オユンバートル副首相が本同窓会長に再任- 研修同窓会の活動報告を行う オユンバートル副首相 3 月 24 日、2006 年に発足されてから 10 年目となる同窓会総会が開催されました。オユンバ ートル同窓会長らから今年度の活動報告と次年度の計画発表が行われたほか、帰国後研修成 果を広く普及している研修員 4 名に対して Good Practice 賞の表彰が行われました。また今 年は役員の任期満了の年であり、総会に参加した帰国研修員によって選挙で新しく 9 名の役 員と 3 名の監査人が選定され、同窓会長には引き続きオユンバートルモンゴル国副首相が選 定されました。また前事務局長のドンドグ氏は本同窓会が設立された 2006 年から役員を、そし て 2009 年から事務局長を歴任するなど、長年にわたって本同窓会の活動を支えてきたため、 モンゴル事務所から感謝の言葉とともに花束を贈りました。 事務所ナショナルスタッフが日本語で執筆! ~モンゴルの文化・生活事情紹介~ 「3 月 8 日国際女性デーのイベント」 モンゴルでは、3 月 8 日の「国際女性デー」は祝日。職場や家庭では、男性か ら女性に対して日頃の感謝をこめて花束等のプレゼントを贈ったり、夫や息子 が家事をこなすのが一般的ですが、今年は「何日にプレゼントをもらったかで 自分がどう思われているか分かる」という話が流行りました。6 日は愛人、7 日は同僚、8 日は本当に愛する人、その一方で、プレゼントが無く、忘れられ ていたら奥さん、だそうです。本当にこの言葉の通りか分かりませんが、今年 も 3 月 7 日に、JICA モンゴル事務所の男性スタッフからすべての女性スタッ フに対して、素敵な花束とチョコレートの詰め合わせのプレゼントがありまし た。たった一日かもしれませんが、改めて感謝の気持ちを伝える良い機会であ り、桜が咲いたかのように職場の雰囲気が華やぐので、私は春のこの記念日が 大好きです。(ボロル所員) 3 月 7 日、プレゼントの花束を持つ JICA モンゴル事務所の女性たち ~ウランバートルの大気汚染 UB 市内の大気汚染の特徴~ UB 市大気汚染測定局では、二酸化硫黄(SO2)、二酸化窒素(NO2)、粒子状物質(PM10 および PM2.5)、一 酸化炭素(CO)およびオゾン(O3 )を測定しています。この中でモンゴルの環境基準を超える物質は SO2 、 NO2、PM10、PM2.5 に限られます。冬の大気汚染の特徴を場所別にみると、SO2、PM10、PM2.5 がゲル地区で 特に高濃度となり、NO2 は交通量が多い幹線道路沿いで濃度が高くなる傾向です。また、時間別では、ゲル地区 およびその周辺の測定局で午前9時頃と夜8時頃を中心に高濃度となり、午後1時から午後5時頃に低濃度とな る日が多くなっています。他方、幹線道路沿いの測定局では、日中は NO2 の高濃度が続き、午前6時頃から午前 9時頃までが低濃度となる日が多くなっています。なお、PM10 は夏季も含め全測定局でほぼ毎日環境基準を超過 しています。 このように、ウランバートルの大気汚染は、地区、季節、時刻による変動が大きいことが特徴です。滞在先や外 出時間の選定に大気汚染情報サイトを参考にされては如何でしょうか。次号では高濃度 PM の発生源について解 説予定です。 (UB 市大気汚染対策能力強化プロジェクト・フェーズ 2 広報担当 前田) 独立行政法人 国際協力機構 モンゴル事務所 Bodi Tower 7th Floor, Sukhbaatar Square 3, Ulaanbaatar, Mongolia (Central P.O.Box 682, Ulaanbaatar 211213, Mongolia) Tel:+976-325939, 311329 Fax:+976-310845 E-mail: [email protected]