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米国のLNG輸入 相次ぐ、LNG受入 - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報
0 北米におけるLNG受入基地の動向に ついて 石油・天然ガス調査G 報告の構成 齊藤 晃 1 ■大幅に増加する、米国のLNG輸入 ■相次ぐ、LNG受入基地計画 ■増大する、LNG受入基地反対運動 ■住民反対運動の背景と、各地の反対運動の主 な動き(米国東海岸/米国西海岸・メキシコ太平 洋岸⇔米国南部) ■米国政府の対応 ■まとめ、今後のLNG受入基地の展望 大幅に増加する、米国のLNG輸入 2 (万 t) 1,200 1,000 800 600 400 200 0 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 米国のLNG輸入量推移[JOGMECデータ等より筆者作成] 米国のLNG輸入相手国 10% 3 3% 2% 10% 75% トリニダードトバゴ アルジェリア ナイジェリア アラブ首長国連邦 オマーン他 (出所)GIIGNL(国際LNG輸入者協会)のデータより筆者作成 世界の国別LNG輸入量(2003年) 4 4% 3% 2% 2% 1% 7% 47% 8% 10% 16% 日本 韓国 スペイン 米国 フランス 台湾 トルコ ベルギー イタリア その他 輸入量 前年比 (万t) (%) 日本 5,851 +7.9 韓国 1,941 +8.8 スペイン 1,211 +18.0 1,054 +118.0 フランス 921 ▲12.9 台湾 559 +4.3 トルコ 345 ▲6.8 ベルギー 252 ▲7.6 イタリア 249 ▲2.5 その他 138 12,521 +10.8 米国 (出所)GIIGNLのデータより筆者作成 米国におけるLNG長期見通し 5 (tc f) LNG 1,050万t/年(2003年) カナダ 4,400万t(2010年) メキシコ 1億1,000万t(2025年) 米国における天然ガス輸入形態(長期予測) (出所)EIA(米国エネルギー情報管理局)資料より筆者加筆 相次ぐ、LNG受け入れ基地計画 6 (出所)FERC(連邦エネルギー規制委員会)資料 米国LNG受入基地(既存) プ ラ ン ト サ イ 7 ト 会社および参加者 Everett (Massachusetts州) Tractebel Cove Point(Maryland州) BP Statoil Shell BG Marathon BG Elba Island(Gerogia州) Lake Charles(Louisiana州) 使 用 開 始年 1971 1978 (2003年再開) 受入能力 LNG供給元 100万t/y 5.3 Algeria Trinidad 7.6 Nigeria Trinidad 1978 3.3 Trinidad 1982 4.8 Algeria UAE Trinidad Qatar Malaysia Abu Dhabi Nigeria Oman Australia (1990年再開) (出所)JOGMEC資料より筆者作成 住民反対運動の主な背景について 8 ■住民反対運動の主な背景 ・9・11事件を背景とした、テロに対する警戒感の高まり ・1月、アルジェリア(Skikda)で起こったLNG液化基地での事故の影響 ・米国における、過去の事故の影響 ・住民がLNGの専門知識を有していない ・NIMBY(Not In My Back Yard) ・BANANA(Build Absolutely Nothing Anywhere Near Anything) ・反対運動の活動(組織化、陳情やロビー活動、小さな町・大きな影響) (例)Green Futures:MITのFay教授の説に基づいた、パンフレットを発行 ⇒Fay教授:70年代からLNGタンカーからの漏洩による、火災の可能性を指摘 ⇒9・11事件を背景に、反対運動家のオピニオンリーダーとして脚光 相次ぐ、LNG受入基地反対運動 9 米国北東部・米国 カリフォルニア州・ メキシコ・バハカリ フォルニア州で激化 ⇒一部、中止も <中止プロジェクト> ①Fairwinds (メイン州・Portland近郊) ②Eureka (カリフォルニア州北部) ③Tijuana (メキシコ・米墨国境) (出所)FERC資料 相次ぐ、LNG受入基地反対運動 10 ■中止されたLNG受入基地 プラントサイト プロジェクト名 Fairwinds メイン州・Harpswell (Portland近郊) Eureka カリフォルニア州・北部 米国 東海岸 米国 西海岸 メキシコ 太平洋岸 Tijuana 備考 住民投票、3/4反対 ConocoPhillips 8百万ドル/年、数万ドル TransCanada 居住地域から約1km Calpine 地震断層。船の出入り バハカリフォルニア州・Tijuana 州政府、土地没収 Marathon 住民説得に失敗 ■各地域の特徴と、主な動向について <米国東海岸> ・BANANAの傾向強い ・企業側、高価格で販売可 ・Hope Island[メイン州](TransCanada、次の候補地へ) ・Boston近郊沖合(Excelerate社[世界初の洋上基地建設]) ・先住民居留区[メイン州]への基地計画も(Quody Bay社) 相次ぐ、LNG受入基地反対運動 11 ■各地域の特徴と、主な動向について <米国西海岸> ・NIMBYの傾向強い ・カリフォルニア州、環境問題への関心特に強し ・Cabrillo Port[Oxnard市沖](BHP Billiton) ⇒沖合い約34km。ハワード首相、州知事と会談 ・CPUC(州公益事業委員会)とFERCで、LNG許可権限で論争 ⇒CPUC、州に管轄権あると主張。FERC独占保有の指令。ただし、環境・安全性については、 協調して対処 <メキシコ太平洋岸> ・米国向け(特にバハカリフォルニア)も多く、嫌悪感強し ・Tijuana沖合(ChevronTexaco)、反対団体:「周辺の海洋温度を変化させ、海洋生物に悪影響」 ⇒領土の割譲に等しいとして反対する議員も ・ただし、メキシコ:発電用需要増(年率約7%増)、米国依存の脆弱性、供給源多様化要 ⇒特に、バハ・カリフォルニア州。地理的特性。州政府:Colonetのプロジェクト誘致などの動き ・Costa Azul(Shell/Sempra):一歩リード(3つの許可取得)、インドネシア・タングーから調達予定 相次ぐ、LNG受入基地反対運動 12 ■各地域の特徴と、主な動向について <米国南部> ・ルイジアナ州Branco知事:Sabine基地計画(Cheniere社)積極的支持 ⇒雇用創出可能。FERCに対し、同基地建設の承認の早期化を要求 ⇒FERC主催の説明会、住民賛成の声多し。よく勉強。 ・テキサス州上院:FERC審査手続き簡略化要望 ⇒テキサス州上院議会:FERCに対し、LNG受け入れ基地計画の承認を迅速に行うよう要求 ⇒全会一致で決議 ・Freeport プロジェクト(Cheniere社など)、FERCの承認取得 ⇒テキサス州、ルイジアナ州など南部地域、もともと石油・天然ガス産業に 親しんだ地域 ⇒住民側も、反対運動少なく、協調的 LNGをめぐる、米国政府の主な動き 13 ■昨年12月、LNGサミット会議開催 ⇒Abrahamエネルギー省長官、米国でのLNGの重要性を強調 ■本年3月、FERC:LNGエンジニアリング課設置 ⇒LNG受け入れ基地の審査、関係機関との調整など ■本年5月、LNGの安全性に関する報告書発表 ⇒LNG船からの流出に関する事故に対する手法の有効性について ⇒FERC:LNG輸入に関するリスクと、天然ガス高騰で生じる経済へのダメージをバラ ンスさせる必要がある ⇒LNG受け入れ基地審査の進捗に影響? まとめと、今後の展望 14 ■大幅に増加するLNG需要、高まるLNG輸入依存比率 ・2003年:約1,050万t ⇒ 2010年:4,400万t ⇒ 2025年:1億1,000万t ・2003年:12% ⇒2010年:約4割 ⇒2025年:約7割 ■相次ぐ、LNG受け入れ基地計画 ・過去20年以上建設なし。現在、LNG需要増大を背景に、40以上の基地計画。 ■増大する、LNG基地反対運動(9・11事件などの影響) ・東海岸/西海岸/メキシコ太平洋岸で、特に激しい。一方、米国南部は、少なし。 ■米国政府の動きについて ・LNGの重要性に鑑み、FERCはLNGエンジニアリング課を創設 ・住民反対運動を受けて、LNGの安全性に関する報告書を作成⇒今後、承認遅 れ? ■今後の展望 ・反対運動を受け、今後の淘汰の可能性。LNG受け入れ基地建設は、南部地域や 沖合いLNGへ移行する可能性。ただし、沖合いの反対運動の動向も要注目。 ・米国西海岸/メキシコ太平洋の動向によっては、わが国企業も多数参画する、アジ ア・太平洋LNGプロジェクトにも影響を及ぼす可能性もあり。 (参考資料)増大する、LNG受け入れ基地反対運動~東 海岸の主な動きについて~ 15 ■Fairwinds プロジェクト 住民投票により中止 ・ConocoPhillipsとTransCanadaとの共同P/J。Portlandから北東約24km ・投票の争点:Harpswell町が保有する、米国海軍燃料貯蔵所跡地のリース貸し ・投票者の約3/4も、反対 ・主な反対理由:①LNG関連設備がテロの標的になり得る、②主要産業の漁業に 支障をきたしかねない等 ・建設されていれば、Harpswell町は毎年8百万ドルの収入を得ていたと言われる ・ConocoPhillipsとTransCanadaは、今後も北東部周辺で建設計画を進めるとコメン ト ⇒Hope Island(メイン州)を候補地に。11月住民投票。(TransCanada社) ⇒Boston近郊の沖合い[約16km]も候補地(Excelarate社) ⇒カナダ国境近いイーストポート近郊[先住民の保留地内](Quoddy Bay社) (参考資料)増大する、LNG受け入れ基地反対運動~東 海岸の主な動きについて~ ★ Irving Canaport→ ★ Irving Fairwinds LNG→ ★ ★ ←Everett ●Bea Canapor ● ★ York ◎ r ←Fall River ★ ←NewEv t→ Crown Landing→ ★ ←Weave Hea eret Cove Point→ ● t r’s d Cove ★ 16 ★ Bear Head 米国北東部周辺地域における、主なLNG受け入れ基地位置図(●稼動中、★計画中) (参考資料)増大するLNG受け入れ基地反対運動~米国 西海岸/メキシコ太平洋岸の主な動きについて~ 17 ■カリフォルニア州:Eurekaプロジェクト中止へ ・Calpine社の進める、Eurekaプロジェクト、住民反対運動で中止へ ・沖合いLNG基地(Cabrillo Port)プロジェクトも、反対運動あり ・FERCとカリフォルニア州当局(CPUC)との間で、管轄権に関する論争も ■メキシコ:Tijuanaプロジェクト(Marathon)中止へ ・Tijuana Regional Energy Center(発電所、海水淡水化等)の一環 ・住民反対運動の激化を受け、Baja California州が土地を没収へ ・主な反対意見:米国向けも多く、メキシコのコミュニティにリスクを押し付けるもの。 ・メキシコ:発電用の需要増、米国依存の脆弱性、供給源多様化要。 Baja Carifornia州:周囲を海と川で隔てられる。中心部のパイプライン網遠い。 ・Tijuana沖合いのLNG(ChevronTexaco)についても、反対運動 ・Costa Azulプロジェクト(Shell/Sempra)、インドネシア・タングーから調達予定