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20年度第4回検討会議事概要(PDF:27KB)

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20年度第4回検討会議事概要(PDF:27KB)
第4回 アクションプラン政策検討会(開催結果概要)
1 日 時
平成20年10月17日(金) 午前9時30分∼12時
2 場 所
ルビノ京都堀川「アムール」
3 出席者
委員9名及びゲストスピーカー ほか、府関係職員
【委員】
桂
明宏 京都府立大学 准教授
岩見 悦明 京都府農業法人経営者会議 会長
楠本 貞愛 食農協働レストラン事業協同組合 事務局長
斎藤三映子 (有)エスアールフードプロデュース 代表取締役
坂口 俊一 京都商工会議所 参与
白石 好孝 農業者(東京都練馬区)
坪田 啓
NHK大阪放送局番組制作部 担当部長
森西 栄治 (財)京都産業21 連携推進部長
山脇 康彦 Y.B.C山脇ビジネス・コンサルティング 代表
【ゲストスピーカー】
田中 勝三 (株)セントラルフルーツ 代表取締役社長
4 内 容
■(株)セントラルフルーツ田中社長から、農業生産法人「八百一の郷」を設立して農業参入
した事例を報告
・(株)セントラルフルーツは、京都市の中央市場近くで昭和49年に自らが創業した会社。
全国の百貨店の青果売場に出店しており、29店舗を展開。関連会社は、物流と包装加工
の子会社、そして農業生産法人「八百一の郷」の3社。
・4∼5年前からお客様のニーズが変わってきており、今までのように商品を並べているだ
けで売れた時代から、商品の背景、生産者の情報や美味しく食べる方法等を伝えなければ
売れない時代になった。伏見の農家に生まれ、若い頃に農業をし、その後中央市場で仲卸
会社に勤めた経験を持つ自分と、販売をする社員と間に食べ物に対する意識のギャップを
感じ、社員が野菜や果物のすばらしさをを知らないままに扱っていることに疑問が湧いた。
社員が野菜づくりの体験を行うことで、食べ物に対する知識を身につけることができるよ
う、京丹波町に農場を開設した。
・「八百一の郷」の名称は、野菜があってこそ八百屋が生きていけるので、「八百屋のふる
さと」であってほしいとの思いで名付けた。
・農場の目的は3つあり、1つは社員の研修・人間形成の場と社員と社長の交流の場として、
2つ目は、農業は地域性が非常に大切なので地域との交流の場として、3つ目は、お客様
を農場に案内して会社の考え方を見ていただくためのお客様との交流の場としてである。
・社会全体にも、生命の尊さ、自然の素晴らしさ、作る人の苦労、食生活の大切さや物を大
切にする心、今生きている場所を大切にする心を、野菜を通して知ってもらいたい。
・農業に軸足を入れる考えを持ったきっかけは、百貨店で働く社員の中に、将来農業に関わ
りたいという意思を持つ者がおり、こうした社員が農業ができる環境を提供するのが私の
役割であると思ったこと。そして、京丹波町で農場の土地を下見に行った時に会った1人
の老人から、戦後苦労して農業をされてきたのに今は1人になって農業で生きていること
を聞き、人間としてこれでよいものか、何か農業の役に立ちたいという思いを持った。
・京丹波町の「八百一の郷」の農場には7棟のハウスがあり、イチゴとバジルの栽培をして
いる。研修施設もあり、府立大学名誉教授を招聘して地域野菜の開発等を研究している。
社員6名は、ほとんどが地元の人で、地元農家の息子も1人おり、「ものを作るのは好き
だけど、経営は大変だから」と言って農場で働いている。また、別の1人は店舗での販売
経験があり、お客様のニーズや店頭での苦労、商品の品質の大切さに気づいてくれており、
農場の収益に大きく寄与している。
・京丹後市にも農場があり、社員4名とも地元の人で、北海道の農場でも地元から雇用して
いる。農業は地域が大切で、長年の経験で気候などの自然条件が身に付いていてこそでき
ることであるから、今後とも地元で雇用したい。
・農業に企業参入してどうかと問われると、農業のやり方は大きく変わってきており、科学
的な知識と志を持っていれば難しくはないと思っている。儲けようという邪心があると、
うまくいかない。
・農場は「新米農家」なので技術的に未熟であり、京都府立大学名誉教授や普及センターの
指導を受けている。経営としてはどうかと言うと、今のところ割には合っていないと思う
が、経営全体として見ればうまく活用できており、社員が技術を身に付ければ将来的には
十分成り立つだろうから、しっかりとやっていき、プラントモデルにしたい。
・これからの日本の農業は、法人等の大型化農業と個人農家が両立することが必要である。
大型農業は環境や立地に左右され、人よりも機械に投資が必要となる。機械効率を考えて
シビアに経営しなければならない。中山間地域では、大型農業のような作業の合理化が難
しく、個人農家がやるべきだと思う。個々の農家には、コストを安くしていくことにより
残ってもらいたい。個人の農家が流通にどう関わっていけるかが大きな課題である。
・自社と他社との売上の違いは、思いの違いであり、断固とした企業理念があって、精神を
守り抜いていると強い。野菜は食べ物で、人の口に入り、日々の栄養エネルギーになる物
であるから、「大切に」「清潔に」ということを社員に徹底している。今の流通は、量販
店が販売効率だけを求めて大きく伸びているが、企業理念がなく、大切なもの、人間の心
の部分が失われてきたように感じている。
・日本人は、有り余る食べ物の中で、本当に必要な食べ物を見失ってきている。農家の方が
気の毒である。農業と流通と食べる人がうまくリンクしなければ、農業の担い手もやって
いけないと思う。
(質疑応答)
・農業者には、出荷後にどんな段階を経て、どんな人が食べてくれているのか、全く知らさ
れていない。農家と流通と消費者をどう結びつけていくのかが大事と痛感した。
・百貨店で販売されている農産物の仕入ルートは、どのような形を取っているのか。また、
地域の農家との関わりはどうか。
→ 仕入のルートは、市場流通が大半。店舗は全国にあるが、京都の本社で全国各地の市場
の商品を購入し、年間を通じて商品を提供できるようにしている。お客様のニーズが年間
を通してあまり季節感がなく、産直では生産時期が限定されて価格の変動も大きいので、
全国から調達する仕組みとしている。
量販店が大型化していく中では、街の八百屋が消費者のニーズを的確につかみ、変わっ
ていかなければ個人農家も残っていけない。農家は作りやすいという理由で作物を選んで
いるが、店頭の商品の動きとはギャップがある。農業は、売り先がないとやっていけない。
また、地域農業者との関わりは今のところあまりなく、普及センターとの関わりが強い。
何かモデルになる作物ができあがってから地域とタイアップする方法がベターかと思う。
・なぜ百貨店に進出されたのか。また、京都ブランドとしてはどうか。
→ はじめは、京都の食品スーパーに出店し、後に百貨店に進出した。東京には大きなター
ミナルごとに複数の百貨店があり、そこは日用品ではなく高級品しか売っていないと思っ
ていたが、西武百貨店をのぞいたところ、都会の中なのに昔からの油紙袋に魚を入れる売
り方で、活気があり、1日に2∼3百万円の売上があることを知った。一方、野菜売場は、
細々として暗い。八百屋も魚屋と同じようにできないかと思い、やりたいと口にしていた
ところ、それを聞いた近鉄百貨店西京都店から出店してもらえないかと声が掛かり、進出
したのが初めである。
販売しているのは、決して高級な野菜ではなく、日々に食べる物を揃えており、価格・
品質を見て価値を理解していただければ、安いと感じていただけると思う。
・今後の農業法人の可能性をどのように考えておられるのか。また、専業的農家や個人の小
さな農家も直売やプライベートブランドで苦戦しているが、どのような経営イメージを持
てばよいのか、さらに輸入農産物との対抗についても、アドバイスをいただきたい。
→
農業がどういう形でどういうところと関わっていけばいいのか、今のところ見えてない。
ブランド京野菜も変わってきている。以前は、上賀茂の農家が振り売りで生産小売をして
いたが、今は売りに行っても買ってくれる主婦が家にいない。ブランドは、それはそれで
いいが、本当に良い物なら、価格を下げてでも多く作り、たくさんの人に食べてもらえる
よう普及するほうが大事ではないかと思う。一部、農家に作ってもらっている京野菜もあ
るが、従であって主ではない。契約栽培となると、規格外の農産物は買い上げてもらえず、
出荷数も決められていて、農家も好まない。自然界で作られた物を採算が合うところでき
ちんと販売してもらえることが大事である。
自社農場では、7月にJGAPの認証を受けた。特徴のある商品は生き残っていくと思
うが、有機野菜がすべてを制覇することはあり得ない。店頭では、有機野菜コーナーの設
置要望もあるが、リスクが大きい。悩んでいたときに、JGAPを知った。食べ物を作る
者の責任として、湿度が非常に高い四季のある日本の環境の中で、最低限の農薬は使用す
るが、徹底した工程管理をするという理念に非常に賛同している。
フルーツは、輸入しなければならないが、野菜は99%国産を販売している。松茸の韓
国やカナダ産がある程度。
農産物の販売は、現状では消費者に本当のことが言えていなくて、売れればいいという
風潮になっている。今は、これに反する機運が高まってきており、日本の農業を残してい
く責任があると思っている。
■企業の農業参入支援について事務局から報告
企業の農業参入に係るヒアリング結果及び意向調査結果、並びに「農業ビジネスセンター
京都(仮称)」の立ち上げによる新たな担い手と集落のマッチングについて、資料により中
村課長から説明。
(意見交換)
・事務局の報告で唐辛子が輸入されていることを始めて知った。先日も特定法人貸付で農業
参入した島根県の建設業者が、七味を作るノウハウを勉強するため京都に来て七味屋を回
ったが、原料がどこも輸入だと知ってびっくりして帰った。このところの中国の問題で国
産に目が向き始めている印象を持った。
・企業経営には「心(モチベーションを持ち続ける)・技(現場の技術)・体(知識)」が
重要と言われているが、「心」の経営者の理念に対して、社員がどう共感しているのか、
目標が見えてモチベーションを持ち続けているか、聞かせていただきたい。
→ 世界から見た日本は、農耕で栄え、緑に覆われた農業に最適な環境であるのに、豊かで
あるがゆえに食べ物が置き去りになっており、私の人間観かもしれないが、自動車産業等
を中心に経済が動いていることに納得がいかない。社員には、「日本があてがわれた環境
を守りたい」と農業の大切さを話している。家族で農場に来て、親子で収穫してほしいと
言っている。収穫で野菜の小さな根が切れる感覚に気づかなければ、命の大切さには気づ
かない。若い人は知らずに命を傷つけているだけで、教えると理解して一生懸命やってく
れる。
会社の今後の数字上の計画はない。今29店舗あるが、全て百貨店側からの誘いで出店
したもので、売り込みの営業マンはいない。誘いがあれば、期待に応えるよう一生懸命頑
張る。社員の理解を一層深めることが課題だが、社会も変わってきており、必ずやってい
けると信じている。
・創業者である社長の考えは、企業の鏡として理念が表れていると感動した。これまでに百
貨店に出店していた八百屋とどこが違っていてうまくいったのか。
→ 百貨店に出店したきっかけは、食品スーパーでのテナント出店では、そのスーパーの力
がなければ次の出店ができないためで、少しずつでも成長しなければと思ったから。
百貨店に前に入っていた店舗は、時代に対応していなかったのではないか。自社と他社
の違いは、商品の品揃え、仕入の仕組みなどすべて。仕入は、仲卸が今はその役割をあま
り果たしていないので、農業をやり、中央市場という流通を知っているこれまでの自分の
経験を生かして合理化できたことが特徴である。
・商店街の空き店舗が増えるなど、街の八百屋さんが形を変えなければならない時代が来て
いるが、具体的に何からやっていけばよいのか。個人の農家とどのようなつながりを持て
ばよいのか。
→ 八百屋さんと食べる部分が一緒になることが大事で、「売るだけ」の発想では成り立た
ない。昔の八百屋は、お客さんは専業主婦が多かったが、それでも里芋の皮を剥いて売っ
たりと料理の下拵えをしていた。今は全くそういうことはしていない。自社の百貨店の店
舗では、野菜を茹でたりしたものを販売している店もある。前日に加工し、翌日販売する。
味を付けた方が売れると言われたりするが、八百屋の形は崩したくないので、惣菜屋のよ
うな味付けはしない。お客様は、加工していない野菜の値段と比較されるので、加工料は
もらいにくい。忙しい人にも野菜は食べてもらいたいので、選択肢として提案しているが、
味は自分の味、家庭の味で食べていただきたいという思いがある。アメリカのシアトルに
は、野菜の半調理品をインターネットで注文しておけば、夕方に受け取れる店がある。そ
こにはキッチンもあり、自分で調理もできるようになっている。八百屋は、そういうコミ
ュニティの場にならなければならない。今は、高齢化時代で人が「個」になっているが、
家族でなくても人間同士で食べられるような食のマーケットが必要で、街の八百屋は、こ
うしたことを加味して考えることが必要かなと思う。
個人農家と大企業とのつながりは、ギャップが大きく難しいので、個人レストランと農
家のような小さな個人でやれる商売や企業のつながりをもっとしていくべき。世の中は小
さなものが大きくなり、それが潰れてまた小さくなるという繰り返しなので、小さなもの
は強いと思っている。今、中央市場では、商品知識が豊富でシビアに買う八百屋に売るよ
りも、あまり知識のない大手企業に売る方が楽なので、いい商品が大手に流れて、中央市
場としての役割を果たさなくなっている。八百屋さんが減った要素として、これも大きい。
農業をしたい人が農業のいろいろなノウハウをもらっても、作った物が末端の消費者の口
に入るまで届かないと農業としては成り立たない。そういうところは、考えていかなけれ
ばならない。
・自社農園が経営的に成り立っていないということだが、自社ブランドを高く売るとか、生
産が成り立って行く適正な価格を主張して売るというのは成り立たないのか。
→ 理解してくれる人は増えてきている。商品だけを見てもらうのではなく、背景や農場で
やっていることを伝えて、お客様にきちんと理解してもらわないと、価格だけで判断され
ることになってしまう。それが、自社の今後の課題である。
・JGAPを取得されたのは、そういう考え方もあってのことか。
→
ヨーロッパでは大半がGAP認証農場産の野菜で、GAP認証が無いと輸出できないと
いう状態になっている。日本ではまだ始めたばかりで価値は分からないが、本物のものづ
くりという点からは、将来的に見て当然できていなければいけないことと思う。
■農業ビジネス支援アクションプラン∼農の担い手確保・育成アクションプラン改定∼中間案
について事務局から説明
「農業ビジネスセンター京都(仮称)」の設置等4つの重点施策からなるアクションプラ
ン中間案及びそのパブリックコメントの実施について、資料により伊藤副課長から説明。
(意見交換)
・日本の農業は中山間地が大半で、後継者もいない時代になっている。プラン中間案では、
ベンチャー支援や企業の進出に重点が置かれているように思えるが、今農業をしている人
が大事で、やる気が起こる支援が必要ではないか。
→ アクションプラン最終案の中で、今農業をしている方への支援やその継承、また、京野
菜農園を提供して農業を知っていたくことなど、しっかりたプランを整理し、次回に再度
提案させていただきたい。
・企業参入は、参入のハードルを下げれば進むと思うが、課題は地域が受け入れられるかど
うかで、そのための人材育成が府の施策になると思う。地域には抵抗感があるだろうから、
双方がwin-winの関係になれるよう、受け皿が大切。農村がどう受け止めるか、がんばろう
という気持ちが起こせるようにしていただきたい。
また、農業体験農園へのニーズは幅広いので、作付は京野菜に限らず、トマトやキュウ
リなどの周囲に分けて喜ばれる旬の野菜と京野菜との組み合わせなどを検討いただきたい。
・自立した農家を育てる目的なら、「プラットフォーム」は自由に出入りできる闊達なもの
なので、「農業ビジネスセンター京都(仮称)」の中に組み込むのではなく、行政として
「手伝う」ものである。
・農家にとって今まではJAの営農指導が中心になっていたので、「農業ビジネスセンター
京都(仮称)」として府全体で支援し、情報発信することは全国でもあまりないと思う。
農業者に「このようなセンターができた」ということを知ってもらえるよう広報が大事。
・「農業ビジネスセンター京都(仮称)」の機能の中に「農業ベンチャー育成」があるが、
ここで言う「ベンチャー」とは、新規創業なのか、起業家精神としてのベンチャーなのか。
既存の農業者も含めて、新たな展開という意味になるのか。ベンチャーの意味をしっかり
位置付けておく必要がある。
■第5回政策検討会について
・開催日時は、おって調整
■ 閉会
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