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産業技術センターニュース - 神奈川県産業技術センター
産業技術センター Kanagawa Industrial Technology Center News 産業技術センターニュース 2011 vol.2 contents Topics ●新たな企業支援への挑戦~ DLC の公共試作開発ラボ機能の構築を通じて ............ 1 R&D 活動紹介●連携・産学公~ R&D 活動を通じて .................................... 3 シリーズ支援実例 1 企業紹介●逃げず、あきらめず、 「革新」につなげる 株式会社向洋技研 ................ 4 2 技術支援解説●テーブルスポット溶接制御装置用ソフトウェアの改良.................. 5 3 開発環境 ・ 事例紹介●用途に応じたソフトウェア開発環境、ケヤキ材を使った小物製品 ..... 6 産業技術センターガイド● HOWTO! はじめて利用される方へ ......................... 7 お知らせ● 「神奈川県ものづくり技術交流会」 聴講者募集のご案内 / 産業技術センター内で行う特許相談のご案内 /工芸技術所 「産地情報セミナー」 のご案内 / かながわサイエンスサマー 「かながわ子どもワクワク体験プロジェクト」 を開催しました.... 8 Topics 新たな企業支援への挑戦 ∼ DLC の公共試作開発ラボ機能の構築を通じて∼ ● な研究環境を提供することはもちろん、まだ企業化さ はじめに れていない大学発の最新技術を応用した「ものづくり」 当センターでは、文部科学省と神奈川県の「環境調 和型機能性表面プロジェクト 」の成果展開を目的とし ※1 たダイヤモンド・ライク・カーボン(以下、DLC )分 ※2 野の「公共試作開発ラボ」機能の構築を進めてきました (図 1) 。プロジェクト終了後も、大学と企業にオープン 大学等 技術ニーズのギャップ 創造する知識 共同研究 の展開について、関係者の注目を集めています。 本ラボの研究について ● 本ラボでは、「大気圧プラズマによる非晶質炭素膜 技術をもとに 行う製品化等 ズマ技術は、大面積に低コストで樹脂 , セラミックス の合成技術に関する研究」をしています。大気圧プラ や金属等の基材に成膜できるという特徴があり、酸化 技術移転 技術支援 公共試作開発ラボ機能∼「知識」と「製品化」の橋渡し∼ ・KASTを中核機関とし,試作開発段階の共同研究を推進 ・産業技術センターが試作品の試験/評価,技術改善要望に 図1 公共試作開発ラボ機能の仕組み ができる公共ラボは、これまで殆ど例がなく、これから 企業等 地域の産業マクロニーズの把握・課題設定 技術支援で対応 支援を継続しています。最新技術による「ものづくり」 物や炭素系材料等の機能性薄膜の合成に応用できない か注目されています。また非晶質炭素膜は金属や有害 な元素を含まない為、環境面 ・ 安全面に優れる材料と 考 え ら れ お り、 そ の 応 用 が 増 え て い ま す。 中 で も DLC は、耐摩耗性、低摩擦係数、生体親和性および 耐薬品性などの特長を利用して、さまざまな分野の製 品に展開されています(表 1)。 しかし DLC は、真空装置を使う薄膜合成法が主流 産業技術センターニュース 2011 vol.2 1 表1 DLCコーティングの応用例 特 性 高硬度・耐摩耗性・低摩擦係数 生体親和性 ガスバリア性 耐薬品性 製 品 シェーバー、 自動車 PC用 腕時計 エンジン部品 切削工具 ハードディスク (ケース、バンド) (エンドミル) (バルブリフター) 医療用 ステント 飲料用 ペットボトル 血栓防止 酸化防止 風味保存 効 果 傷付防止 高記録密度 信頼性向上 切れ味 燃費改善 であり、他の表面改質法と比較すると、大面積への成 膜技術はまだ研究レベルにあり、コスト面でも課題が 今後の展開について ● あります。そこで大気圧プラズマ技術によって、気体 の透過を低減するガスバリア性の優れた薄膜材料が、 現在、大気圧プラズマ CVD 法で合成した非晶質炭 より低コストで、より大面積の製品に適用できれば、 素膜に注目する国内企業から問い合わせがあり、今後、 更に大気圧プラズマを使う成膜プロセスの研究開発を さらに応用が広がると考えられます。 ここではポリエチレンテレフタレート(PET)のシー ト上に非晶質炭素膜合成した例を紹介します。 PET は飲料用のペットボトルの材料として知られ ており、軽量で高強度、さらに透明で中味を確認しや すいという特徴があります。容器・包装に使われる樹 脂材料には、大気中の酸素や水蒸気などのガスを遮蔽 する、ガスバリア性が要求されます。大気圧プラズマ 進めていくことが期待されています。また当センターの 平板搬送式の大気圧プラズマ CVD 装置(図 3)は、 公共試作開発ラボ機能のひとつとして、新たな産業育 成のための研究開発に利用できるように整備を進めて います。詳しくは当センターまでお問い合わせください。 ※ 1「環境調和型機能性表面プロジェクト」は、財団法 人神奈川科学技術アカデミーを中核機関として、当 を使って非晶質炭素膜を 4μm 被覆した場合、酸素透 センター、慶応義塾大学および多くの協力企業とと 過率が未被覆の 6 分の 1 になり、ガスバリア性が向 もに平成 18 年度から平成 22 年度まで実施され、 上することがわかりました(図 2)。 このことは大気圧プラズマ CVD 法で作製した非晶 質炭素膜は、真空下で成膜した DLC と同じように、 上記の内容のほか多くの成果を得て終了しました。 ※ 2「DLC」とは、ダイヤモンドに類似した炭素(カー ボン)薄膜材料で、表 1 のとおり多くの日用品に 酸素分子の侵入を阻止する特性を持つことを示し、従 来の DLC ではコスト的に採算が合わずに見送られて いた包装用途に展開できる可能性が見いだされまし た。 使われています。 【問合せ】機械・材料技術部 材料物性チーム 酸素透過率 (cc/m2/24hrs/atm) 30 25 20 15 10 5 0 0 1 2 3 4 5 膜厚(μm) 図2 非晶質炭素膜によるガスバリア性向上 2 産業技術センターニュース 2011 vol.2 図3 平板搬送式大気圧プラズマCVD装置 R&D活動紹介 連携・産学公~R&D活動を通じて 神奈川R&Dネットワーク構想 とは・・・世界トップレベルの大企業、技術力のある中小企 業、理工系大学、公的試験研究機関の立地・集積を生かし、神奈川の産学公技術連携を促進することで、 高付加価値型産業の創出を目指します。現在、県と 22 機関が「神奈川 R&D 推進協議会」を組織し、 神奈川 R&D ネットワーク構想を推進しています。 今回は、神奈川R&Dネットワーク構想の活動の内、大企業と県内中小企業等との連携を促進する「展示会・マッチング」 、 開放実験室を活用して技術連携を推進する「オープンラボ」の活動を紹介します。 展示会・マッチング ● 大企業の研究開発部門と県内中小企業等の連携を促進するために進めている活動です。 具体的には、大企業の研究開発部門に県内中小企業が出向いて展示会を開催する方式で、平成 17年度から、ソニー株式会 社、 日産自動車株式会社、 キヤノン株式会社で開催したほか、株式会社アルバックで、 セミナー形式で1回開催しました。 平成 19 年度からは、協議会に参加している大企業の研究開発部門の方に、県内ものづくり中小企業を知ってもらうことを 目的に、当センターを会場として「合同展示会」を開催しております。 この展示会等に出展したことがきっかけで、大企業との共同研究、取引につながった等の成果も出ています。 これまでの開催実績 主 催 企 業 名 行 事 名 開 催 日出展中小企業数 参加者数 ソニー㈱ かながわ新技術展示会 17年11月10~11日 36社 約1200名 日産自動車㈱ かながわ技術展示会 18年10月13日 70社 約800名 ソニー㈱ かながわ技術紹介セミナー 19年 2 月22日 40社 約1200名 ソニー㈱、日産自動車㈱、富士ゼロックス㈱、㈱リコー 神奈川R&D合同展示会 20年 3 月 3 日 57社 約900名 キヤノン㈱ かながわR&D技術展示会 20年 8 月 7 日 59社 約500名 アルバック㈱ 真空技術関連R&D技術紹介セミナー 21年 3 月 7 日 6社 約70名 神奈川R&D推進協議会 神奈川R&D合同展示会 22年 1 月15日 79社 約400名 神奈川R&D推進協議会 神奈川R&D合同展示会2011 23年 3 月 4 日 74社 約400名 延べ421社 約5470名 ● オープンラボ 大企業や当センターの開放実験室をコーディネートに活用して、共同研究 などの技術連携を推進する取組です。具体的な活動としては、平成 20 年 12 月から、ソニー株式会社様に協力いただき、県内中小企業の機器等を活 用したレーザー微細加工オープンラボを開設し、大学等との共同研究等や、 サンプル提供等を行っていただいています。県内中小企業様から利用等の 相談がございましたら、当センターで承ります。 神奈川R&Dネットワーク 今後の活動予定 ● 10月19日 環境負荷低減部会「省エネルギー見学会」 11月10~11日 低炭素社会構築研究会「スマートエネルギーフォーラム」 11月10日 クリーンエネルギー研究部会 (仮称) 「太陽電池技術フォーラム」 11月11日 バイオ技術研究部会「バイオ技術フォーラム」 レーザー微細加工装置 (県内中小企業・サイバーレーザー(株)製) 11月25日 EV用リチウムイオン電池研究部会「第10回フォーラム」 詳細決定次第、産業技術センターホームページ内「新着情報」欄に掲載するほか、毎月 2 回発行しているメールマガジン でもお知らせしますので、是非ご登録をお願いします。 メールマガジン登録 http://www.kanagawa-iri.go.jp/mailmag/mailmag_top_ch.html 【問合せ】 技術支援推進部 交流相談支援室 産業技術センターニュース 2011 vol.2 3 シリーズ 支援実例 企業紹介・技術支援解説・開発環境等を通じて企業の皆様と当センターのかかわり等を紹介していきます。 今号ではテーブルスポット溶接制御装置用ソフトウェア開発の現場を通じて実例を紹介いたします。 1 企業紹介 逃げず、あきらめず、「革新」につなげる 株式会社向洋技研 甲斐美利社長 今回は、溶接技術において、テーブルスポット溶接機の 溶接条件を簡単に設定できるソフトウェア「EasySetting」 を開発、2010 年 4 月に中小企業庁「ものづくり中小企業 製品開発事業」に採択された株式会社向洋技研(相模原市 中央区)を紹介します。 Q A ますか。 当社は「テーブルスポット溶接機」の設計・製造・ 販売をしてきた会社です。お客様へのトータルサポー トを行っていく中、お客様の多くが「多品種少量生産で様々 な溶接材」を取り扱っていることが見えてきました。それは 溶接の際に、様々な溶接材にあわせ、 「溶接状況の設定を 何度も行う」ということになります。このような状況では、 条件設定が仕事の大半を占め、その結果、どうしても設定 ミスが発生する=不良率が高くなる、ということに繋がりま す。そこで条件設 もが簡易になりました。「EasySetting」の製品化が、製品 の品質だけでなく、お客様と当社双方の生産性をも革新で きたと感じています。 Q A 今後の展開についてはどうお考えですか。 グローバル化が進み大企業が海外へ向かう中、当 社を含む中小企業は、さらなる「技術の深堀」が必 要となってくると考えています。要素になる、いわばコアと なる部分を実証していくことだと考えています。ものづくり では、様々なものに溶接の技術が使われています。それら Q A 率も改善され、品 質・生産性を革新 で きるの で はと、 「E a s y S e t t i n g」 の開発に向かいま 最後に当センターとの関わり、支援に期待するも の等がございましたらお聞かせください。 当社を含む中小企業がより進化 ・ 深化した技術力を 培うためには、産技センターの支援が必要です。し かし、めまぐるしい流れの中、素早い対応に注力するが故 EasySetting Ver4 運転画面 開発にあたってのご苦労等がありましたらお聞かせ ください。 当社にとってソフトウェア開発は、未知の分野でし た。そこで、産技センターへ相談、訪問を繰り返し、 通信やプログラミング言語等の技術教育をいただきました。 開発を進める中でも、あらゆる機器に対応すべく改良を重 ね、販売までに 4 年の歳月を費やしました。 他社にも同様の要請があったかと思います。 他社 に先駆けられた要因はどこにあるとお考えですか。 他社に先駆けられたのは、 「課題から逃げない、あ きらめない」という姿勢が基にあると思います。当 社は、トータルサポートとして、設計・製造・販売、アフ ターフォローまで行っています。現場の人間がお客様の意 見をどんどん吸い上げてくるので、問題点から「何時」 「何 が」原因となったのかが見えてきます。その課題に対して 逃げず、あきらめずに向きあい、 「革新」を目指す姿勢こそ が要因ではないかと考えています。 4 声を頂戴しています。データ化により作業が簡易に より進化・深化した技術力を培っていきたいと考えています。 ば、お客様の不良 Q A お客様から、 「設定ミスが飛躍的に減った」とのお のものを、より良いものとし、より効率よくつくるために、 定が簡単にできれ Q A 製品化されて「革新」は実感されたでしょうか。 なった上、設置から引渡し、さらに当社のメンテナンスまで 「EasySetting」の開発に至る経緯をお聞かせ願え した。 Q A 産業技術センターニュース 2011 vol.2 に産技センターに投げっぱなしになってしまっている部分も あるかと思います。大切なのは共同で得た技術を自分たち のものすることで す。 そ の た め に、 技術を取り入れる ための支援、自分 たちのものにでき るような仕組みづ くりをしていただく ことを期待します。 本日はどうもありがとうございました。 株式会社向洋技研 所在地 相模原市中央区田名 4020-4 TEL (042)760-4306 Webサイト http://www.koyogiken.co.jp/ 【問合せ】 企画部 企画調整室、 電子技術部 生産システムチーム 2 技術支援解説 テーブルスポット溶接制御装置用ソフトウェアの改良 平成 14 ~ 16 年に、株式会社向洋技研と当センターで 共同して、テーブルスポット溶接機の溶接条件を簡単に 設定できるソフトウェアを作成しました。そして、平成 ●EasySetting とは? タッチパネルで材質、板厚などを選ぶことにより、あらか 21 年に、操作性の向上、溶接条件の増加、多機種での対 じめ決められている加圧力、加圧時間、通電時間、溶接電 改良したソフトウェアは2種類で EasySetting(PLC: 入力する装置です。 応などを目的にソフトウェアの改良を行いました。なお、 programmable logic controller)のプログラム、タッ 流、冷却時間、アップスロープ時間などを溶接タイマーに Easy Setting チパネル画面作成など)と、EasyComm(パソコン上の アプリケーションソフト作成)になります。 ● タッチパネル テーブルスポット溶接とは? 2枚の金属板を重ねてテーブルに置き、上から棒状の電 極で押さえ、電気の力で金属板を溶かして溶着させる方法 をテーブルスポット溶接といいます。 溶接タイマー PLC 図3 EasySetting ●EasyComm とは? パソコン上で材質、板厚、加圧力、通電時間などのデー タ整理、編集、新規データの追加、エラー履歴の回収など 電源装置 を行うアプリケーションソフトで、Java で作成しました。 Easy Setting 図1 テーブルスポット溶接 パソコン (EasyComm) 溶接条件とは? ● 溶接を行うためには、加圧力(金属板を挟む力) 、加圧 時間(通電前、通電後) 、通電時間1・2(電気を流してい る時間) 、溶接電流1・2(溶接するための電流量) 、冷却時 間(1回目と2回目の間の時間) 、アップスロープ時間(電 流の増加時間)などの要素を決める必要があります。そし て、材質や板厚により、溶接条件が変わってきます。 溶接タイマーとは? ● アップスロープ時間などの入力された数値により、実際の 加圧制御(電極を金属板に押さえつける力) 、電流制御(金 属板を溶かすための大電流を流す)を行う装置です。 溶接タイマー PLC 図4 EasyComm 具体的な改良点 ● EasySettingの改良点は、材質、板厚、溶接条件、エラー履 歴などの増加、2機種の溶接タイマーへの対応、デフォル トデータ、追加データの統一、通信データの増加に対応 (8→ 16ビット)、タッチパネルの操作性の向上などです。 加圧力、加圧時間、通電時間、溶接電流、冷却時間、 電磁弁 タッチパネル 空気圧 シリンダ EasyComm の改良点は、ヒューマンインターフェースの 観点より、わかりやすい操作の再検討と、材質、板厚、溶 接条件、エラー履歴などの項目の増加に伴った設定画面な どの変更と、フルバックアップ機能の新設と、管理者用・使 用者用の一本化などです。 出来上がってみて ● EasySettingにおいて、1種類のソフトで複数の機種に対 応可能となったため、 メンテナンスが容易になりました。 EasyCommにおいて、管理者用・使用者用を1本化する 電源装置 ことにより、ソフトウェアの管理、現場でのメンテナンス が容易になりました。 図2 溶接タイマー 両者とも操作体系が整理されて、使いやすくなったとい う評価をいただいております。 【問合せ】電子技術部 生産システムチーム 産業技術センターニュース 2011 vol.2 5 3 開発環境・事例紹介 用途に応じたソフトウェア開発環境 パソコン上で動作するソフトウェアを作成するには、Java や VisualBasic などのプログラミング言語を使い ます。それぞれのプログラミング言語には、得意とする分野・処理などに特徴があるため、作成するソフトウェ アの目的や使用環境に応じ、使い分ける必要があります。 Visual Basic ●用途・特徴は・・・ レーザー変位計などの計測データを RS232C の通信で Windows パソコンに取り込んで表示させるようなソ フトウェアを作る際には、Windows 用の GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)ソフトウェア を作成するための機能にすぐれた VisualBasic が適しています。 Java ●用途・特徴は・・・ データベースを搭載したサーバーのコンピュータに、多数のユーザーがアクセスし、そのデータベースを対象 に、ユーザーがデータを保存、あるいは、特定の方法でデータを検索・利用したりするためのソフトウェアを作 る時は、サーバーが Windows 以外の環境でも動作させられるように Java を使うことが多くなっています。 当センターでは、これ以外にもさまざまなソフトウェア開発環境を準備して、それぞれの目的に応じたソフト ウェアを開発する体制を整えております。 ソフトウェアの作成には、具体的な仕様が必要となるため、まずは仕様等についてのご相談をいただいた上 で、実際のソフトウェア作成を進めていくことになります。なお、構想のみお持ちの場合には、共同で仕様を具 体化するところから開始することもできます。 【問合せ】電子技術部 生産システムチーム 当センターの商品開発事例を紹介いたします ケヤキ材を使った小物製品 ケヤキ材を使った小田原漆器を製造販売している企業から小物製品開発の相談を受けました。相談の企業は盆、 椀、盛器などの漆器を中心に製造販売しています。 ●開発のコンセプト・・・ ・消費者にエコロジーを意識した製品だとアピールできるもの。 ・小田原漆器の特徴を有し、材料費が安く、比較的安価で提供できるもの。 ・今までの技術で対応できるもの。 ●開発について・・・ 小田原漆器の特徴は、ケヤキ材を使った摺漆(すりうるし)仕上げです。 そこで現在は廃材として処理され、漆器木地の燻煙の燃料として使われて いるケヤキの樹皮に注目しました。ケヤキの樹皮は肉厚(10mm 前後) で、育った環境により、独特の風合いを持った硬い表皮を形成しています。 樹皮は貯木中に、ケヤキ丸太から浮き上り、比較的簡単に剥離できます。 また木材に比べ柔らかく加工が容易です。 商品化された 2 種 ●開発商品について・・・ 開発製品は箸置きとし、試作を行い、耐久性・デザイン等を検討した結 果、その内二種が商品化となりました。また漆器木地製作からでるケヤキ の端材でアクセサリーの試作検討も行いました。こちらについては本年度、 受託研究に繋ぎ更なる開発を進めています。 【問合せ】 工芸技術所 工芸技術チーム 6 産業技術センターニュース 2011 vol.2 使用例 産業技術センターガイド HOW TO! はじめて利用される方へ 第2回 HOW TO 依頼試験・機器利用 当センターの技術支援サービスには、技術相談を取り掛かりとして、依頼試験、機器利用、委託研究等、様々 なメニューがあります。当センターを利用されたことが無い方を対象に、今年度はシリーズとして 4 回にわたり、 ①技術相談、②依頼試験、③受託研究、④研究会・産学共同等コーディネート関連、人材育成関連について、 お知らせしていきます。今号では、②依頼試験についてお知らせします。 依 頼試験 検査・分析・測定等が必要な時は、 依頼試験・機器利用をご活用ください 材料・製品等の品質確認やトラブル等の解決のために、お客様からのご依頼により各種試験、 検査、分析、測定等を行い、成績書を交付しています。 〈依頼試験の流れ〉 1. はじめに ・・・ 試験が必要な場合、まずはご相談ください。 2. 打ち合わせ ・・・ 試験内容、料金、結果のお渡し方法等について、担当者と調整していただ きます。 3. 依頼試験申込手続き ・・・ お約束の日時に試料等の必要な物をご持参下さい。受付で「分析・試験等依頼書」 をご記入いただき、料金をお支払い下さい。原則前払いです。 4. 分析・試験等 ・・・ お申し込みとお支払いの確認後、担当者が分析を実施いたします。 5. 結果報告 ・・・ 試験終了後、担当者から結果をお知らせし、改善のためのアドバイスも行います。試験成績書 も発行していますので、ご依頼の際にお申し付け下さい。成績書は「分析、試験等依頼書」を提示してお受 け取り下さい。当センターは国際試験所認定を取得している分野もあります。 機 器利用 お客様ご自身に当センターの機器を使用していただきます。工作機械を使って機械部品等を試作したいとき、 計測機器、分析機器を使ってデータをとりたいときなどに、お役に立ちます。 ●一部利用できない機器があります。 ●事前に機器の取り扱い、安全上の研修を受けていただきます。 共 通事項 〈利用料金〉 ●試験項目ごとに、手数料を設定しています。 ●一部を除き、大部分が1試料あたり数千円です。 ●要件を満たす場合は減免措置を受けられます。 〈支払い方法〉 ●申込窓口で神奈川県収入証紙を購入しお支払い下さい。銀行振込も可能です。 ●料金は原則前払いですが、試験等が終了しないと算定できないものは後払いとなります。 〈必要日数〉 ●試験項目や混雑の度合いによりますが、ご要望にお応えできるよう努めていますのでご相談ください。 〈秘密保持〉 ●県職員には地方公務員法第 34 条第 1 項が適用され、守秘義務が課されています。安心してご活用ください。 ※各項目の詳細は、当センターホームページをご覧ください。http://www.kanagawa-iri.go.jp/ さらに踏み込んだ研究や開発をご希望の場合は、お客様からのご要請により委託研究(受託研究)をお受けします。 理論的な考察も添えて、数か月で結果をご報告します。利用方法等については、次号で詳しくお知らせします。 【問合せ】技術支援推進部 交流相談支援室 産業技術センターニュース 2011 vol.2 7 お知らせ 新しい技術の種を探しませんか 神奈川県ものづくり技術交流会 聴講者募集のご案内 ~ いま、安全・安心を考える~ 産学公の技術連携促進を目的に、技術開発や研究成果の発表や支援事例の紹介などを通じて幅広く情報交換を行える「場」 として、毎年「神奈川県ものづくり技術交流会」を開催しています。 今年度は「安全・安心」をテーマに開催します。この一環として、 神奈川県が推進している「太陽光発電」に関わる技術フォー ラムや、危機管理セミナー等を開催します。また、「神奈川R&Dネットワ-ク構想」に基づく研究会活動により、「スマート エネルギーネットワーク」「再生可能エネルギー」に関するフォーラムの開催も予定しております。ぜひ、ご参加下さい。 (詳 細は当センターホームページをご覧ください) 【日 時】平成 23 年 11 月 9 日(水)~ 11 日(金) 3 日間 【会 場】神奈川県産業技術センター (海老名市下今泉705-1) 【参加費】無料 【発表形式】口頭発表、ポスターセッション、工業技術・製品等展示 【技術分野】材料、メカトロニクス、エレクトロニクス、ファインケミカル・バイオ関連、環境安全、生活工学 他 【申込方法】プログラムの詳細及び申込書は、当センターのホームページからご覧になれます URL http://www.kanagawa-iri.go.jp/ 【問 合 せ】技術支援推進部 交流相談支援室 【TEL】046-236-1500(内線 2206)【FAX】046-236-1527 産業技術センター内で行う特許相談 のご案内 “毎月第1水曜日” 中小企業の皆さんの知的財産権に関す る悩みや課題に対して、特許実務に精通 し、経営や技術の知識を持つ窓口支援担 工芸技術所「産地情報セミナー」 のご案内 かながわサイエンスサマー かながわ子ども ワクワク体験プロジェクトを開催しました。 伝統鎌倉彫事業協同組合と共催で「産 今年の産業技術センターのサイエンス 【対象】鎌 倉彫関係従事者、漆器製造業 約 700 名のご来場、ご参加をいただき 地情報セミナー」を開催いたします。 当者が相談支援を行います。(相談、支 従事者 サマーは 8 月 20 日(土)に開催され、 ました。 援をご希望の方は事前にご予約下さい。 【日時】平成 23 年 10 月 28 日(金) ・「おもしろ科学実験教室」では小学 4 【日程】毎月第 1 水曜日(10/5、11/2、 【会場】鎌 倉彫工芸館・鎌倉市由比ガ浜 の「なんだろう ?」に取り組んでもらって 【時間】10:00 ~ 16:00 【演題】截金(キリカネ)技法について ころ 90 名弱の御応募をいただきました。 【詳細】当センター HP に掲載 を対象に、日頃は身近に見ることのない 費用は無料です。) 18:00 ~ 20:00 12/7、1/4、2/1、3/7) 【会場】産業技術センター (海老名市下今泉 705-1) 【問合せ】企画部企画調整室 【TEL】046-236-1500(代表) なお、相談内容の専門性が高く、もし くは内容が多岐にわたる場合には必要に 応じて一 般 社 団 法 人神 奈 川県 発 明 協会 3-4-7 【参加費】無料 【定員】30 名 http://www.kanagawa-iri.go.jp ・「ものづくり体験」では主に小中学生 機械に触れたり、資料集の中でしか見ら れない実験に参加してもらったりしまし 【TEL】0465-35-3557 も」などの作品製作の人気は毎年根強い 工芸技術チーム を無料で中小企業へ派遣して支援します。 (※)一般社団法人神奈川県発明協会 「知財総合支援窓口」 横浜市中区尾上町 5-80 神奈川中小企業センタービル 【TEL】045-306-9566 た。「オリジナル缶バッチ作製」「組みひ ものがあります。 ・「伝統工芸の実演」では例年のとおり、 「江戸独楽」 「小田原漆器」 「箱根寄木細工」 の伝統工芸士さんに来ていただきました。 サイエンスサマーが子どもたちの良き 夏休みの思い出となってくれればと思い ます。 【問合せ】技術支援推進部 交流相談支援室 ☎ 046-236-1510 当センターホームページ http://www.kanagawa-iri.go.jp/ 産業技術センターニュース2011Vol.2 神奈川県産業技術センター 平成23年9月発行 〃 工芸技術所 通巻95号 〃 計量検定所 〃 尾上町駐在事務所 印刷所(株)相模プリント (複製を希望する場合は、当センター企画調整室までご連絡ください。) 8 います。事前申込み制で定員 52 名のと 【問合せ】工芸技術所 (※)が弁理士、弁護士などの知財専門家 技術相談専用電話(直通) ~ 6 年生を対象に 1 時間ほどかけて科学 産業技術センターニュース 2011 vol.2 〒243-0435海老名市下今泉705-1 TEL 046-236-1500 (代表) FAX 046-236-1526 〒250-0055小田原市久野621 TEL 0465-35-3557 (代表) FAX 0465-35-3936 〒221-0062横浜市神奈川区浦島丘4 TEL 045-421-3484 (代表) FAX 045-402-6260 〒231-0015横浜市中区尾上町5-80 TEL 045-633-5124 (代表) FAX 045-633-5208 〒252-0144相模原市緑区東橋本1-14-17 TEL 042-772-1275 (代表) FAX 042-774-1913