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矯正教育に携わって - 草津市立教育研究所

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矯正教育に携わって - 草津市立教育研究所
第86号
平成25年11月
発行:草津市立教育研究所
矯正教育に携わって
教育支援スタッフ
小寺
正宣
小生、刑事施設(刑務所)で教育支援スタッフとし被収容者に教科指導をするご縁を十年来いただい
ています。指導に当たって痛感していることを述べさせていただきます。
監獄行政は、ご存じのように、明治41(1908)年以来「監獄法」という法律により実施されて
きました。
その後、人権意識の高まりなど社会情勢の変化や受刑者処遇に関する刑事政策思想の進展の中で、そ
の限界が意識されるに至り、平成18(2006)年に、
「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する
法律」が、制定されました。
その中で、
「受刑者の社会復帰に向けた処遇の充実」を図るために、受刑者に対する作業と改善指導と
教科指導の三つの矯正処遇が義務付けられました。
教科指導では、主に初歩的な読み書き・計算等を教える補習教科指導と高校・大学レベルの指導を行
う特別教科指導があり、小生が担当しているのは、学校で学ぶような勉強、特に初歩的な読み書きと計
算等を、月2回被収容者に教えています。
さて、その指導内容を紹介し、教育に携わってきたものとしての所感を述べます。
先に、初歩的な勉強と言いましたが、算数では「九九」の練習、簡単な四則計算、時計の読み方等。漢
字では読み方、その漢字を用いた語句あるいは筆順等を1時間、休憩なしで学習をみっちりしますが、
みんなその時間の短さに、「もう終るの?」という顔や声を出します。
入所した理由はわかりませんが、今までできなかった分を取り戻そうと一生懸命努力している姿に接
するうちに、私自身がこれまで学校現場で行ってきた指導が脳裏に浮かび、責任を感じ、涙しています。
学校では、現在45分・50分の授業時間です。その時間ですら集中力がもたない子どもがいると聞
きます。その行為には種々の要因があると思います。どう考えたら良いのでしょうか。
また、学校・学級経営方針等で「一人ひとりの個性、人権、思いを大切に・・・・云々」と謳って教
育実践が行われていますが、被収容者の口から出る言葉、姿を見ていると教育の難しさをひしひしと感
じます。
小生の思いは、被収容者が「自信と誇りを持って出所し、社会で貢献できる自分づくり」ができるよ
う微力ながら、これからも手伝っていきたいということです。
学校教育において、基礎学力はもちろんのこと、子どもたちが自信と誇りと豊かな感性を持って行動
できるような力=人間力=を育てること、教師、大人、社会が子どもたちをしっかりした眼と協働で育
んでいくことを熱望する次第です。
1
わたしが考える
リーダーシップとマネジメント
特別寄稿
「 我 ら 進 ま ん 、 手 を つ な ぎ 、 心 を 合 わ せ 、 未 来 へ の 道 作 る べ し 」 第 2 回 /全 4 回
花巻市立八幡小学校
校長
佐々木
力也(前
宮古市立田老第一中学校長)
【 7 月 2 9 日 研 究 発 表 大 会 教 育 講 演 会 で 、 講 演 い た だ い た 先 生 で す 。】
卒業式で伝えたかったこと
卒業式は、全校生徒と3年生の保護者、本校教職員のみが参列
する内容とした。式辞も、11日に準備した内容を全面的に書き
かえた。一部を記述する。
一人ひとりが描いている夢の実現に向かって決意を新たにして
いる人、進むべき道が定まらず思い描く夢がぼんやりしている人、
多くの物を失い途方に暮れている人、心境は様々であると思いま
す。卒業生の皆さんには、どのように地域社会が変化しようとも、常に勉強し、自分の得意なところをのば
してほしいこと、弱者優先の精神を基に、人を思いやり、協力・協働して物事に取り組めるようになってほ
しいこと、体を鍛えること、そして、3年生のよい仲間関係を生涯にわたって大切にしてほしいと願ってい
ます。中学校を卒業しても、次々に新たな「試練や困難」が、相変わらずやってくると思います。しかし、
その「試練や困難」を乗り越えた先に、どのような風景が見えるのだろうか。これもまた楽しみです。最後
に、田老一中の生徒には、本来の田老や岩手の姿を描くとともに、来るべき試練や困難を乗り越えるしっか
りとした自己を確立するため、一人一人、前を向いて、時には足元もしっかり見て、一歩ずつ、新しい世界
へ向かって進んでいくことを心から願い、卒業式の式辞といたします。
校舎が被災し、1階全ての床が汚水や泥水で汚染したが、卒業式会場を本校舎で行うことができたことは
大変よかった。校舎周辺は瓦礫で覆われ、会場までの廊下も泥で荒れ果てていたが、式にふさわしい厳粛な
空気の中、卒業生一人一人に卒業証書を手渡すことができた。卒業式で伝えたかったことは、式辞の内容も
あるが、愛校心を持つことの大切さである。卒業式を本校舎で行うことで、その土地で育ったことや田老一
中で学び卒業したことの実感を持たせることであった。
3月24日の卒業式の日時の決定や保護者への周知方法についても労力を要した。しかし、被災校のハン
ディを乗り越えるための知恵を出し合い、勇気ある決断をすれば必ず道は開かれ、学校行事のねらいを達成
し、愛校心を育てることができるとの実感や納得も得ることができた。当日の卒業式には、朝日新聞の記者
が取材に来た。後日、AERA別冊にも掲載されたが、卒業式後の集合写真をいただいた。卒業証書を両手
で前に向けて自慢げに見せるように持ち、全卒業生が笑顔で写っていた。一番大切な卒業写真となった。
職員会議で打ち出した学校経営方針
4月1日、今年度の学校経営方針を打ち出した。田老総合事務所の3階で、空が白々明けるまでラジオか
ら流れる各地の情報に耳を傾けながら頭に浮かんだことや田老地区や生徒の現状を見ながらあれこれ考えた
こと等をまとめ、発表した。
その一つは、「生徒や家庭・地域の生活現実を十分に理解し、教育活動やPTA活動を行うこと」である。
具体は、次の6点である。①PTA会費は徴収しないこと。②PTA総会は、6月に開催すること。③ワー
クブック・辞書等は、関係業者から提供していただくよう依頼すること。④技能4教科の教材にかかる集金
についても吟味すること。
(最低額の教材で最大の教育効果を生む題材)⑤修学旅行の実施について検討をは
かること。⑥部活動については、短い時間であっても活動させたいこと。もう一つの学校経営方針は、
「田老
や岩手の復興のため、明るい未来を展望し努力することができる生徒を育成すること」である。具体は、次
の6点である。①基礎学力を重視すること。
(国数英)②ボランティア活動・奉仕活動を重視すること。④津
波の歴史(過去)・田老の現状(現在)・未来のまちづくり(未来)に関わる講話を計画すること。⑤西根第
一中学校との生徒交流を進めること。⑥新避難経路の設定と避難訓練を実施すること。
今年度2つの学校経営方針に沿って、教育活動を展開している。既に達成した内容も多くあるがボランテ
ィア活動については、生徒会活動との連携で進める計画である。身体を動かすことで、人や地域のために役
立ってよかったという実感を体得させたい。しかし、1学期はボランティア活動より部活動を優先せざるを
得なかった。支援物資や義援金をたくさんいただき、「ありがとうございました。」と感謝の言葉を言う経験
だけは多く持たせることができた。これからは、「ありがとう。」と地域から言ってもらえるような教育活動
を展開していきたい。
2
わたしが思い描く
「考動・小中連携・食文化」
これからの学校教育
魅力あるカリキュラムの創造をめざして
老上中学校
堀野敦子
本校では「考動」を生徒のキーワードとして、学校生活全般で「考えて行動する」ことに取り組んで
います。その一例として、朝の会に続けて設定している「考動タイム」では、朝読書や漢検・英検に向
けた学習、セミナー学習、人権について考えたりするなど、自分のペースで自主学習をする習慣づけを
図っています。
2つ目の「小中連携」は、中1ギャップの解消と小学校から中学校へのなめらかな連携をめざしてい
ます。県教委の指定を受け、中学校教員が中1の授業を担当すると同時に小学校の専科教員として出向
き、複数の学級で教科を教えます。また、それ以外に様々な機会を利用して小中の子どもたちの交流や
教師の連携を図っています。その一つに、小学校6年生の部活動体験があります。6年生へのアンケー
トによると、中学校入学にあたり関心が高い項目は、授業内容や定期テスト、部活動、生徒会、先輩と
の人間関係などです。部活動は中学生活の大きな魅力の一つであり、本校では、中1の1学期までに部
活動を移籍する生徒はほとんどなく、この事前体験の成果が現れていると思われます。活動メニューは
中学生が考え、顧問の監督のもとで小学生に説明や技術指導をします。そのため中学生にとっても活躍
できる場面となります。
最後に「食文化」学習。社会人活用枠を利用して、指導者は国内外で日本の文化や作法について講演
などされている方を招き、伝統的で幅広く、時には深い内容を教えて頂きます。
「生きる力」の育成をめざすとき、このような外部の本物に触れる体験や「考動」する習慣は意義が
あると思われます。学校支援メニューの活用や他校種・地域と連携して、多彩な活動の場をカリキュラ
ムにうまく組み込んだり、
「考動」についてもその目的に照らしてさらに充実させる課題を生徒に無理の
ない量と形で仕組んだりするなど、活気があり生徒が魅力を感じるカリキュラムを模索していきたいと
思います。
勤めていた会社を退社し、一人で
草津市立志津小学校
教員を目指す日々は不安なものでし
教諭 西田
た。自分は本当に教員になれるのだろうか
と悩んでいる時に、同じ目標や悩みを持つ皆に出会えたこと
陽気
「先生」になった今、その思いを
今までお世話になった方や、
心に残る思い出の人へ、手紙形式で
つづっていただきました。
は私のターニングポイントでした。皆と一緒に通信大学の授
業や試験を受けたり、採用試験の面接や模擬授業の練習をし
たり、時には一緒にご飯を食べながら他愛もない話で盛り上
がったりしましたね。皆と一緒に同じ目標に向かっていく中
で、教員という目標が少しずつ近づいていることを実感しま
した。採用試験を受ける前に、そば屋さんで、
「いつか皆が教
員として働ける日が来たらいいなあ」と話したことを覚えて
いますか?
あれから2年、皆が教員として活躍していることをとてもうれしく思います。同じ立場でもそれぞれ
の悩みや葛藤があると思うけど、これからもよろしく!
3
毎月恒例の特別活動 … 9 月は
9月27日、児童生徒6名、保護者2名の参加で
草津宿本陣と草津宿交流館の見学に行きました。
本陣では、学芸員さんに案内してもらい、当時の
柱に触って古に思いをはせたり、まな板の大きさや
バケツの材料に驚きを見せたりしていました。
交流館では、草津の歴史や旅の様子を教えてもら
い、浮世絵刷りやタブレットを使用した解説を体験
することができました。自分たちの街について知る
良い機会になったようです
毎月恒例の特別活動
…
10 月は
10 月 11 日には万華鏡作り、10 月 25 日は陶芸教室がありました。
万華鏡作りでは、ビーズやおはじき等を使い、自分の気に入る模様に
なるよう作成しました。また、他の人の作品も見せてもらい、自分の作品
との違いを楽しみました。
陶芸教室では、ろくろを使って、陶芸の先生の指導の元、思い思いに
作品を作りました。
11 月 28 日(木)29 日(金)9 時 30 分~5 時
教育研究所にて【やまびこ 秋の展覧会】を行い、
児童生徒の作品を展示します。
ご興味のある方はぜひお越し下さい。
やまびこ教育相談室ってどういう所?
やまびこ教育相談室では、子どもやその保護者への相談活動、教職員に対する支援を行っており
ます。学校への出張面談も可能です。相談は月~金 9 時~5 時です。
適応指導教室『やまびこ』では、学校に行きにくい状態にある児童生徒が学校復帰を目指してさ
まざまな学習活動に取り組んでいます。現在 12 名、在籍しています。適応指導教室の開設曜日は
月・水・木・金の 9 時 30 分~3 時です。
やまびこ教育相談室 077-563-1270
4
小西喜朗がかたる
特別支援教育】連載④
滋賀大学教育学部附属特別支援学校
連載④「ぼくのこと
副校長
分ってほしい……」~学び方に気づく「同時処理様式」(その1)~
ちょうど 10 年前の話です。ある小学校で漢字を書いたり読んだりすることが苦手な児童が 5 人個別
指導を受けていました。その先生から 4 月に相談を受け、各事例の個別の指導計画を心理検査の結果等
から学び方の一つである「同時処理」
「継次処理」の視点で内容を整理しました。5人は、「同時処理」
3人「継次処理」2人にそれぞれ得意とするグループに分かれました。漢字の「書き」について言うと
「同時処理」が得意な人は、字の形や偏(へん)と旁(つくり)の組み合わせで覚えていくタイプ、
「継次処
理」では、順序と方向性、書き順で覚えていくタイプといわれています。
我々が見たり聞いたりした情報を考えてわかり、そして話したり書いたり行動したりするいわゆる学
習のプロセスを「認知処理過程」といいます。そのプロセスのタイプには大きく「同時処理様式」
「継次
処理様式」の2つがあります。
今回はその中でも「同時処理様式」について少し詳しく述べたいと思います。複数の情報をその関連
性に着目して全体的に処理するやり方で、ジグソーパズルを組み合わせる作業の時に発揮されます。同
時処理が得意な子で、合宿で夕食で「鍋」の買い物をするとき、ぐつぐつ煮えている鍋の場面を思い出
して鍋の右から順番に入っている材料を買っているという子がいました。このように一度に複数の情報
を整理してまとめていくやりかたで物事をすすめていきます。ですから漢字の学習で書き順を厳しく言
われると混乱してしまうことがあります。パズルのように偏と旁の形の組み合わせで覚えていくことが
得意です。既習の漢字を「偏と旁」の組み合わせで形を把握していくようにし、漢字と関連した意味を
整理し、丁寧に少しずつ漢字学習をしていくと分かりやすく習得しやすくなりました。
個別指導計画に基づき週 2 回の指導を半年続けました。月一回ケース会議を行ない現状と指導内容と
習得状況を確認しました。彼らは漢字学習の学び方に気づき手応えを感じるとどんどん面白くなって取
組んでいきました。漢字と一生どう付き合っていくのか、彼らなりに漢字の学び方が習得できた時点で
個別指導は終了です。まず、学び方に気づかせ手応えを持つ体験をすると定着に繋がりました。
次回は「継次処理様式」やその後の変化について詳しく述べます。
今日から使える 特別支援 Goods
滋賀県総合教育センター
研修指導主事
細谷亜紀子
特別支援教育がスタートして7年目、前回までの3人の先生方の文章にもありましたように“子ども
の分かり方・学び方”に合わせた支援の工夫が県内のあちらこちらで実践されています。平成24年度
滋賀県総合教育センターの研究事業で、県内の実践例を集めた“特別支援教育の知恵袋”を作成しまし
た。今回はその中から1つ、
『カーテン』についてご紹介させていただきます。
(「特別支援教育の知恵袋」P24)
特別な教育的ニーズのある児童生徒の中には、情報の取捨選択が難しくて困っている人がいますよね。
そんな人のために、知恵袋では【情報をかくす】
『カーテン』が紹介されています。カーテンは開けるこ
とで【情報を見せる】こともできるツールです。
ある小学校では、前面掲示をはずすのではなく、そこに
学級通
○組時
カーテンをかけ、
開けたり閉めたりして(ⅰ)必要な時に(ⅱ)
信
間割
必要な情報を(ⅲ)必要な人が得られる工夫がされていまし
た。
“子どもの持てる力を高め”ていった結果、いずれその支
援をはずすことを考えた時、
『カーテン』のように必要に応じ
て情報量のコントロールができるGoodsをうまく活用で
きるといいですね。
5
掃 除
分担表
日直の
仕事
ら お
せ 知
電子黒板の活用でわかる授業づくり<デジタル教科書を使う>
〰算数科授業実践〰
スキルアップ
アドバイザー
第3回スキルアップ支援講座(9月~12月)は、研究授業です。今年度の支援講座の授業改善の視点として、
「子ど
もがわくわく身をのり出す授業づくり」を掲げ、電子黒板を活用した授業等を推進しています。今回は、小学校の授業実
践を紹介します。
小・中学校、全ての学級に電子黒板が入って4年目を迎えます。電子黒板の活用は、当初戸惑いがありましたが、ス
キルアップ支援講座の実施状況からして随分普及してきています。学校により工夫を凝らし、気軽に使える状況が、つ
くり出されています。また、デジタル教
科書は、一斉指導の中で子どもの集中力
が高まる。子どもの理解が一層高まる。
指導が徹底する等々皆さんも実感されて
いるのでは、ないでしょうか。
子どもの様子(動画が設定されている場
合。C:先生、その記号のところ押して、
見せてよ!)にも変化が表れてきています。
==第5学年算数科、
「面積を求めよう」の学習の実践==
*デジタル教科書 5年 下P2
・・縦5㎝、横6㎝の長方形が、平行四
辺形に(底辺6㎝、高さ4㎝)変化しま
す。そこで、教師の発問。
T:面積はおなじかな?の問いかけに、
C:面積は、同じです。わけは、長方形の
縦、横の長さが変わっていないから面
積は変わらないと思います。
C:うまく説明できないけど、少し小さく
なるのでは?
T:同じと小さくなるという意見が出てき
ました。大きくなるのという意見は、
ありませんか。
(大きくはならないと思う。
)
T:確かめましょう。皆さんは、どのよう
な図形の面積なら出せますか?
C:正方形、長方形です。
T:今日求めたいのは、平行四辺形です。
面積、出せそうですか。
教科書P3下の図形を配布
(児童操作・作業-時間をとる)
T:発表してもらいましょう。
・書画カメラを活用して、子どもの考
えを電子黒板に映し出し、説明をさ
せることで、子どもにとって、理解
の深まる学習となりました。
<草津小学校実践より>
6
第5回 【草津市教職員夜間自己啓発講座】より
「子どもの興味関心を高める実験観察・ものづくり
~光や天体など身近な現象から考える~」に関わって
松原中学校
尾関
大応
草津市立教育研究所「夜間自己啓発講座」に参加されたことがありますか。私は、第5回夜間自己啓
発講座(理科教育)に関わって、学ぶ機会を得て大変プラスになりました。教育研究所から「夜間自己
啓発講座」の依頼をいただき二つ返事で「はい」と答えました。しかし、後から様々な不安が頭をよぎ
りました。まず、開催日時が 10 月 11 日(金)19:00~21:00 であること。週末のゴールデンアワーで、
教科の教材研究から一番気持ちが遠ざかる時間帯です。参加者がいるのだろうかという不安がありまし
た。当日の参加者は、関係者と私を含め総勢 8 人でした。草津市の教職員は、週末でも教材研究を優先
する人たちがいることにびっくりしました(良い意味で)。参加者が 0 人だったらショックだなと思って
いたので、ホッとした気持ちにもなりました。講座が終了した後は 30 分ほど座談会を行い、理科の課題
設定で具体的な事例の話や、普段考えていることを参加者同士でざっくばらんに交流し合ったりするこ
とができました。教材研究だけでなく人とのつながりを作ってもらえることも、草津市立教育研究所「夜
間自己啓発講座」の良いところだと思います。今後も、この事業を継続していただきたいと思いました。
1.天体シミュレーション・・・・小学校でも十分に活用できるので、是非使ってみてください。
「つるちゃんのプラネタリウム」フリーソフトの例
・月の観測を宿題で出す場合、フリーソフトで事前に月の動きを確認して宿題を出す。
・天体シミュレーションのフリーソフトで検索したところ上位にヒットしたソフトを事例にしました。
(1)ダウンロード
ホームページ「Vector」www.vector.co.jp > 学習&教育 > 科学 > 天文・宇宙
(2)セットアップ
・フォルダー「ダウンロード」▶「turupura」▶「SETUP アプリケーション」をダブルクリック
・
「スタートメニュー」からソフトをたちあげる。
2.コミュニケーションボード・・・・グループでの話し合いの結果をすぐ活用できます。
・グループ活動に利用できます。
・ホワイトボードマーカーで自由に書くことができます。
・課題を書いた用紙、図を載せた用紙をA3クリアボードの
中に入れてクリアボードに自由に書き込みます。
・クリアボードの裏にマグネットをつけることで、黒板に掲
示することができます。グループの意見を簡単に掲示する
ことができ、発表するときにも便利なツールです。
3.くるくるスネーク・・・・音の学習ですが、幼稚園や保育園でも「遊び」として楽しめます。
・「ウー」「アー」と声を出すと、振動が伝わりモールのスネ
ーク(へび)がくるくる回ります。子どもたちは、楽しく
取り組みます。
・音の振動が波として伝わることが体験できるものづくりで
す。
・材料は、紙コップとはがきの大きさの画用紙、そしてモー
ルです。
7
小・中連携研究推進・・・授業を通した「中 1 ギャップの解消」をめざして
老上中学校
手島
剛也
最近「小中学校の 9 年間を通じたカリキュラムで教育する公立の小中一貫校が急増し・・・」という
記事が新聞に掲載されていました。一貫教育を進める目的としては、「学力向上」・「中 1 で不登校や問
題行動が増える」
・
「中 1 ギャップの解消」
・「小中が核となって地域とともにある学校づくりを進める」
が挙げられていました。
草津市も平成 25 年度小・中連携研究推進事業として老上小学校と老上中学校とが連携して特に「中 1
ギャップの解消」をテーマに研究実践を推進しており、今年で2年目を迎えています。
今回は授業に絞って紹介します。昨年度は国語を連携教科として取り上げ、中学校の教師が専科指導
として小学校5年生の授業に入り指導をしていました。
今年度は6年生の理科で実施しています。1学期は担任が主導で授業を行い、専科指導教員は補助に
入る。2学期は、専科指導教員が主導で授業を行い、担任が補助に入る。3学期は、中学校スタイルの
授業を行う予定で進めています。
今回は、東西南北の「方位認識」のギャップを授業を通してどう小中で埋めていくかについて紹介し
ます。
方位認識はとても大切ですし、生活にかかわっても避けることのできない重要な認識内容です。しか
しながら、中学校理科の「地球と宇宙」という単元を指導するときに、16方位を知らない・方位認識
が乏しい中学生の多いことが大変気になっています。方位認識のない生徒が、理解の乏しいままに授業
進むことになるとますます「理科は苦手」
「理科嫌い」な生徒を生むことになってしまいます。
そこで、小学校の段階で、方位認識を身につけることが重要になってくるのです。次に示すのは私が
実践した「小学校6年生で子どもたちにどのように方位認識を身につけさせるか」という取り組みです。
まず、四角の段ボールに頭が入る穴をあけ、12時の南中の時に太陽に背を向きます。その時、顔は
北を向くことになります。そして後ろは南、右側は東、左側は西として、段ボールの四角を基準にして
とらえていくのです。この見つけた方位を段ボールにペンで書き込んでいきます。なんでもないようで
すが、段ボールの四角は子どもたちに方位を確かに見つけさせていきました。このようなことを学習の
機会を見つけては繰り返していくと子どもたちの中に方位認識が定着していきます。
これから後、中学校3年生で天体を習うまで方位については出てきません。しかし、中学校3年生の
学習の時に段ボールを使って方位を調べた学習
が具体的に想起されてき、学習に参加できてい
くことが小中連携の大切なポイントだと思うの
です。たかが段ボール、されど段ボールといっ
た、学習経験をどのように積み重ねさせていく
かが、連携の意義だと思います。
普段のニュースでも○○の南東など普通に出
てきますし、夕日(太陽が沈む)方角が季節に
【段ボールに東西南北
【北はどこだろう?
よって変わるのも実感しているはずです。
また、
を書き込んで】
旅行先で滋賀県の方角はあっちの方だと感じた
=南中の太陽を背に】
りと日常生活に方位認識は必ず必要です。なに
より、方位認識があると楽しさや感動する機会もきっと増えるだろうと思うのです。
全国で初めて「大雨特別警報」が9月16日に発令されました。理科離れ・理科嫌いがよく言われる
ますが、理科は重要だとあらためて思いました。台風の進行方向と滋賀県の位置、さらには自分の家の
位置との関係(台風の東側か西側なのか)によって風の向きや雨量も大きく違ってきます。それは命の
安全にもかかわってくるのです。
理科はとても楽しいものです。今年は中秋の名月も満月でした。イプシロンの打ち上げも成功し、こ
れからの宇宙産業の楽しみも増えました。そんな中で身のまわりの不思議さに気付き、これどうなのか
なと観察したり、調べたりすることで未知なる世界がたくさん広がっていきます。科学の成果のなかで
私たちは生活していることを考えれば、科学は私たちになくてはなりません。小中連携教育を通して理
科好きな子どもが未来の世界をつくっていくことを楽しみに日々授業している今日この頃です。
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