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平成21年度畜産物価格及び関連対策の概要
畜 産 情 報 平成21年度畜産物価格及び関連対策の概要(肉用牛関係) 農林水産省 生産局畜産部 畜産企画課 木下 我が国の畜産は、平成18年秋以降の配合飼料価 善しつつあるものの厳しい状況にあると認識して 格の高騰等により、かつてない厳しい状況が続い おります。 ておりましたが、21年に入ると、1−3月期、4−6 このような状況の中、先般3月5日、食料・農 月期と2期連続して、配合飼料価格が低下してい 業・農村政策審議会畜産部会が開催され、同審議 る状況にあります。 会による答申・建議を踏まえ、21年度の畜産物の しかしながら、配合飼料価格は18年度と比べて 政策価格及び関連対策が決定されましたので、肉 なお高い水準にあることや、食肉の卸売価格が低 用牛関係を中心にその概要を紹介します。 下していることなどから、畜産経営の状況は、改 政策価格 21年度の肉用牛関係の政策価格については、前年度価格と同額と決定されました。 (1)指定食肉の安定価格 (単位 : 円/㎏) 牛肉 安定上位価格 安定基準価格 豚肉 安定上位価格 安定基準価格 4∼6月 1,025 790 515 380 20年度 7月∼(改定) 1,060 815 545 400 21年度 1,060 815 545 400 (2)指定肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格 保証基準 価 格 合 理 化 目標価格 14 祐一 黒毛和種 褐毛和種 20年度 4∼6月 7月∼(改定) 305,000 310,000 281,000 285,000 その他の 肉専用種 201,000 204,000 乳 用 種 交 雑 種 黒毛和種 褐毛和種 113,000 178,000 116,000 181,000 268,000 247,000 (単位 : 円/頭) 21年度 310,000 285,000 204,000 116,000 181,000 268,000 247,000 その他の 肉専用種 142,000 142,000 乳 用 種 交 雑 種 83,000 138,000 83,000 138,000 生産者と国が造成した基金から、差額の8割 肉用牛関係の主な関連対策 を補てんする肉用牛肥育経営安定対策(マル キン)事業と、収益性がさらに悪化し、粗収 (1)肉用子牛資質向上緊急支援事業(拡充) 益が物財費を割り込んだ場合に、国が差額の 6割を補てんする肥育牛生産者収益性低下緊 優良な種雄牛の精液による人工授精又は優 良な繁殖雌牛への更新による子牛の資質向上 や意欲的な飼養管理の改善による繁殖性の向 上に取り組む肉用子牛生産者に対して支援交 付金を交付。 ○交付対象者 肉用子牛生産者補給金制度に加入する肉用子 牛生産者 ○交付対象牛 家畜市場における取引価格が発動基準(40万 円又は都道府県の平均取引価格のいずれか低い 額)を下回った肉用子牛 ○支援交付金単価 ①優良な種雄牛精液による人工授精 ・発動基準を下回った場合 1頭当たり10千円 ・発動基準を1万円以上2万円未満下回った場合 1頭当たり20千円 ・発動基準を2万円以上下回った場合 1頭当たり30千円 ・発動基準を3万円以上下回った場合 1頭当たり40千円 ※ただし、子牛販売時の母牛の年齢が12才未満 の場合に限る(母牛の年齢が10才又は11才の場 合にあっては低能力牛を除く) 。 ・発動基準を4万円以上下回った場合 1頭当たり50千円 ※ただし、子牛販売時の母牛の年齢が12才未満 であって(母牛の年齢が10才又は11才の場合に あっては低能力牛を除く)、繁殖性向上の取組 を実施する場合に限る。 ②繁殖雌牛の更新 ・優良な繁殖雌牛への更新1頭当たり50千円 ・地域の改良方針等に基づく高齢繁殖雌牛(12 才以上)の更新 1頭当たり50千円 ○所要額 79億円 (2)肉用牛肥育経営安定対策事業(拡充)、肥育 牛生産者収益性低下緊急対策事業(拡充) 粗収益が家族労働費を割り込んだ場合に、 急対策(補完マルキン)事業について、枝肉 価格の低下、生産コストの上昇等により見込 まれる補てん金の増加に対応した所要額を確 保。 ○所要額 マルキン事業 174億円 補完マルキン事業 318億円 (3)肥育牛経営等緊急支援特別対策事業(拡充) 生産者による生産性向上等の取組に対し て、緊急的・時限的に奨励金を交付すること とし、マルキン事業に参加する生産者等が、 以下の①の取組を行う場合にステップ奨励金 を交付。 また、この取組に加えて、②の取組を行う 場合にアップ奨励金を交付。これらの奨励金 は、マルキン事業の発動に連動して、4四半 期ごとに交付。 ①基礎部分 ステップ奨励金 出荷牛1頭当たり10千円(全品種共通) 下記の取組のうち、いずれか一つに取り組む。 ア 生産性を高める畜舎づくりに資する取組。 換気の改善・防暑又は給餌の改善 ・新しい敷料の導入 ・害虫等の侵入防止又は人・車・資材の消毒 イ 飼料自給率の向上に資する取組 ・エコフィード、農場副産物の活用 ・自給飼料の生産・利用 ②加算部分 アップ奨励金 出荷牛1頭当たり7千円(全品種共通) ①の取組に加え、下記の取組のうち、いずれか 一つに取り組む。 ・水質検査の実施 ・害虫駆除機器の導入 ・臭気検査の実施又は消毒剤の使用 ・たい肥成分分析の実施 ・新規国産牛肉(子牛肉等)の需要創出 ・早期出荷の実施 15 畜 産 情 報 ○所要額 128億円 (4)肉用牛生産性向上緊急対策事業 地域における肉用牛生産性向上目標の達成 に必要な器具機材の整備等を支援 地域の販売戦略に基づく販売促進活動の実 施、飼養管理技術向上のための機器の整備等 ②国産食肉への理解醸成の推進 小売店等での知識普及と併せた試食会の開 催等 ①雌牛繁殖性向上対策 分娩間隔短縮や受胎率向上等繁殖性の向上を ③国産食肉の需要・販路拡大の推進 国産食肉のシェアの拡大を図るため、地域 図るため、種付け及び分娩の繁殖情報等の収 集分析、発情発見器や発情同期剤等の導入 の産品と国産食肉等を使用した特色ある食肉 加工品の開発、学校給食における国産食肉の ②肉用牛事故率低下対策 肉用牛の事故率低下による生産性の向上を図 るため、分娩監視装置、冷却用細霧装置、簡 易牛舎、衛生資材等の導入 ○所要額 9億円 (5)肉用牛繁殖基盤強化総合対策事業のうち地 域内肉用子牛導入促進対策事業(拡充) 地域内で肉用牛の能力改善を加速するた め、若い繁殖雌牛の的確な選抜とう汰、新た に選抜された種雄牛の有効利用を推進。 ①繁殖雌牛能力向上対策 繁殖雌牛の早期能力把握のため、初産又は2 産目の産子を、県内の肥育経営が地域基準価 格以上で導入する場合に、肥育データの提供 を条件に、奨励金(2万円以内/頭)を交付 ②新規種雄牛の利用促進対策 新たに選抜された種雄牛の産子を、県内の肥 育経営が地域基準価格以上で導入する場合 に、肥育データの提供を条件に、奨励金(2 万円以内/頭)を交付 ○所要額 50億円の内数 (6)国産食肉需要構造改善対策事業(拡充) 国産牛肉の地域ブランド化を推進し、生 産・需要基盤の強化を図るとともに、特に国 産牛肉に重点をおき、食肉に関する誤解の払 拭と一層の理解醸成を図るほか、国産食肉の 需要の拡大を推進するため、食肉販売店舗で の知識普及と併せた試食会等の開催や、特色 ある食肉加工品の開発、産地と小売・外食部 門との連携強化による販売ルートの新規開 拓・拡大等を実施。 16 ①国産牛肉の地域ブランド化等の推進 利用拡大等 ④生産者団体による国産牛肉の販売強化の推進 (新規) 食肉需給情報の収集・共有のための協議会 の開催、生産者団体による国産牛肉の直接販 売や、外食店等と連携強化を通じた国産牛肉 の販売ルートの拡大、産地処理した部分肉の 産地表示販売、産地食品製造業者等のニーズ に対応した新商品の開発等を実施 ○所要額 18億円 (7)畜産経営生産性向上支援リース事業 畜産経営の生産性向上を図るために必要な 機械等を畜産農家等がリース方式により導入 する際に、リース料のうち、当該機械等の購 入費分の1/3を助成。 ○貸付対象機械等 ①生産効率向上に資するもの 通風装置(換気扇等)、飼料攪拌機、発情分娩 管理装置(発情発見器等)等 ②労働力軽減に資するもの 自動哺育機、自動給餌機、集卵装置等 ③飼料費低減等に資するもの 飼料収穫機、飼料梱包機(ロールベーラー等)、 飼料貯蔵施設(バンカーサイロ)、エコフィー ド給餌装置、飼料米利用に必要な機械(混合機、 粉砕機等)等 ○所要額 64億円 ※このほか、20年度第2次補正予算において、自 給飼料生産効率向上支援リース事業(50億円)を 措置。 (きした ゆういち)