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NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 Author(s) 梶原, 禎夫 Citation 経営と経済, 53(2), pp.77-104; 1973 Issue Date 1973-09-30 URL http://hdl.handle.net/10069/27894 Right This document is downloaded at: 2017-03-29T22:49:25Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 77 独占的小売商の成立基盤, 性格,及びその影響 梶原禎夫 十九世紀後半に現われた百貨店は,都市の中心商業地区で,幅広い品揃え と定価販売で顧客動員を行ったが,当時の都市における支配的小売機関であ (1) った専門店とは中核市場を異にし,またこれとそれ程異質の販売政策はとら (2) なかったため,その市場を強く圧迫することはなかった。また百貨店は都市 の発展に沿って市場を拡大することができただけで,都市市場での小売売上 のかなりの部分を占めても,更にその独占性が拡大される傾向はみられなか (3) った。しかし,十九世紀末に現われ,1920年代に急速な発展を遂げたチェン ストアは,食料品を中心とする標準化された製品を一般小売価格から割引販 売することによって独立小売商の市場を侵し,各地域でその主力品揃えに関 する小売市場が少数のチェンストアにより独占される傾向が現われ始めた。 また,1930年代初めに現われたスーパーマーケットは,チェンストアと同株 に標準化の進んだ売上速度の高い製品について割引販売を行ったが,チェン ストアと異なり,全国商標を主力品揃えに加え,店舗が大規枝で品揃えが食 品を中心にしながらも,多品目にわたり,セルフサービスであったため,販 売が効率的なうえに,顧客動員力が大きく急成長し,今度はチェンストアに 代ってスーパーマーケットによる関係小売市場の集中化が進行した。スーパ ーマーケットにより市場を圧迫されたチェンストアは,遅れながらも,店舗 を大規模化して品揃えを拡大し,セルフサービスを導入して,スーパー化し たため,スーパーマーケット自体の多店舗化と併せて,スーパーマーケット による小売市場の建中は更に進行した。更に,1950年代後半には,ディスカ ウント・ハウスが現われ,家庭電器を中心にする耐久消費財を製造企業が表 示する価格や一般小売価格から割引販売することによって大規模な顧客動員 7 8 経営と経済 を行い,百貨庖や専門屈の市場を圧迫した D 企業の小売業への進入は,本来容易であり,特に製造企業により最終需要 の創造が行われている場合には,そうであるのに,小売市場で集中化が進 行するのはなぜであろうか。小売業への進入障壁には,資本,立地,品揃 え幅,販売方法,製造企業の選択的経路政策等があげられる O いずれも大き ( 4 ) な障壁とはいえない O それでもなお小売市場で集中が起るのは,大規校化し た小売商はいずれも草新的販売方法をもっていたが,乙の販売方法に対する 競争者の適応が遅く,更にそれだけでなく全く逆の適応さえ行われるからに 他ならない。一方,独占的小売商の主な成立基盤がこのように特別の販売方 法にあるため,その効果が認識されれば,比較的容易に競争者により導入さ れるのも事実で,乙れがある市場領域の主要部分を少数の小売商が占拠しで も,それらの独占的市場行動を抑制する役割を果してきた D 集中化の主力と なった草新的小売商は,いずれもその販売方法のうちに低価格政策を主な競 争手段として持っていたが,少数のものがある程度市場を占拠すると,非価格 競争を強化しながら,割引率を低下させる寡占的市場行動がみられたが,し かし低価格による割込みが継続するため,主要な競争者を排除した後 l こも特 別の独占的高価格政策はとれず,新しい競争者に直面して,再び割引率を高 めることさえ余儀なくされる状態であった O 乙のように草新的販売方法により大規模化した小売商は,その硲!存 ~Jtl 力 を背景 l 乙製造企業の支配に対抗するようになり,経路機構に変化の傾向が到 ( i新的販売方法が,緩慢にではあって われ始めた。ただそれだけでなく , 1 も , しだいに多くの小売商に浸透すると,乙れによって引起された価格競争 を契機に消費者の商標間流動性が高まり,同時に草新的小売庖舗の出現は消 費者の庖舗間流動性も高めた O 消費者の購買行動は計画化され,製造企業に とって製品差別化や広告による消費者操縦はそれだけ困難になった O 製造企 業は,最終市場での販売に当って小売商の顧客動員力への依存度を高め,小 。 た 売商の役割を再評価し,その自由で創造的行動を容認する方向ヘ動き始め 本杭の目的は米国の資料で,独占的小売商の成立泉佐や性格を 1今味し,独 7 9 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 占的小売商が経路機構に与えたた影響について分析を試みることである 注( 1 ) 当時百貨居は, o , i q品質・高価格の製品は取扱わず,また消費者への近接度が悪 く食品雑貨も大規模に扱わず,主力品 J J f u えは中程度の価格範囲の製品であったた め,専門庖の市場の主要部分ば保護されていた。 (PaulH.Nystrom,Economics 0 /Retailing. RetailInstitutionandTrends,3rded.,1932,pp. 1 6 7 " " ' 1 6 8 . ) ( 2 ) 1 8 7 0年代を通じて,不況のため製造企業や卸売商だけでなく小売商も在庫負担 に苦しんだが,百貨居は一般小売価格水準より低い価格と広告で販売を促進し た。当時既に,製造企業により価格広告が行われている全国白根があったが,百 I : ' 犯の[ドjになった。しかし, 1 9 2 0年代までの 貨!苫の表示価格からの割引販売は J 百貨居は比較的高い生、活水準の顧客刊に中程度の価格範囲の製品を販売し成長し たのであり,特別の低価格政策の採用は,その後低所得屑の顧客を動員するため に,流行遅れの製品,通常の価格で販売できない製品等を地防活l t lJで販売し始め J I 1 u えについて行われたので、はない てからである。乙の特別の低価格政策は主翌日i ととに注意しなければならない。百貨居は大量広告を行い, またフノレサービス であるため,営業費が高く,チェンストア,スーパーマーケット,ディスカウ ント・ハウスのような低価格政策の符日的主躍はなかった。 (Cf . PaulH. 。ρ .c i t .,p .9 6,1 4 1,167~170) Nystrom, ( 3 ) J . Russel Doubman and John R, Whitaker, The Orgmzization and 。 ρ e r a t o i nο /Department S t o r e( 19 2 7 )pp, 1 2 1 3 . ( 4 ) 製造業では, しばしば規松の経済とそれに対応する必要資本泣が最大の逃入昨 世となるが,小売業では,規税の経済はそれ程大規肢には現われない。現存する 突 の 小 : : ; ' t : il t"甘が最大の効率を必ず、しもあげていない。 ( C f .EdnaDouglas, 長大規 1 “S i z eo f Firm and t h e Structurc o f Costs i n Retai 1i n g ", . ] οurnal 0 / B u s i n e s s,A pril1 9 6 2,p .1 8 8 ) (←・) 全国市場で、の小売総売上で少数の大規机小売 I f Hの売上が占める比率は低く ても,特定地域の小売市場では,売上が少数の小売商へ集中している場合が 多い o このような独占的小売商には,百貨居,チェンストア,スーパーマーケ ット,ディスカウント・ハウス等があるが,これらはいずれも品揃えや販売 8 0 経営と経済 方法の草新によって大規校な顧客動員力をもつようになり,競争者が類似の 草新を容易に導入しないことによってその地位が維持されてきた O 一般に小 売商は経営の安定を重視し,革新的販売方法に対し和めて消極的な態度しか ( 1 ) もたないため,小売方法の草新が容易に一般の小売商に拡散しなかった O 吏 にとのように草新を拒絶するばかりでなく,全く逆の j 西応で本新 l こ対抗しよ うとするととによって,またある程度その効果がみられるために, Z E新の拡 散は益々阻止されてきた。草新的小売商の顧客間u f l力の全体をその他の小売 商が認識するのに時間がかかるととも適応を遅らせ,また逆の適応を引起す ( 2 ) 原因になっていた口 1 9 2 0年代における急速なチェンストアの発達に対し,当初大部分の独立小 売商は有効な適応努力よりも卸売商と共に,まず供給者に圧力を加え,それが 不成功に終ると,反チェン立法を要求する政治運動に没頭した o 製造企業の j i新的小売商の発展の障害になるが,当時,チェンスト 選択的経路政策は, f アが発展した分野である食品,~品,衣料,靴等では強力な全国商椋は多く は確立されておらず,代替性の高い多数の商標が競争している状態であっ ( 3 ) た O 卸売商や小売商からの要求の他 l 乙,取引の継続性について危険もあった ため,特に全国商標をもっ製造企業はチェンストアとの取引をためらった が,チェンストアが容易に他の供給源をえて,独自の商標の促進を始める ( 4 ) と,チェンストアとの取引を聞かざるをえなくなった D 供給者への圧力が効 果がないとなると,反チェン迩動は専ら反チェン立法を要求する政治迩動 へ向った。全国商標についての価格切下げを防ぐための公正取引法 ( F a i r TadeLaws),送状原価又は取替原価のいず、れか低い方 l 乙最低利幅を加えた 価格以下での販売を禁止する不公正取引行為法 ( U n f a i rP r a c t i c e sA c t s ), C h a i nS t o r eTaxLaws), 取 引 力 の 行 使 に よ る 特 別 チェンストア税法 ( の価格譲歩を防ぐために差別価格を禁止するロビンソン・パットマン;法 (Robinson-PatmanA c t ) 等が 1 9 3 0年代初めから前半にかけてに制定さ れたが,いずれも独立小売商の保護やチェンストアを抑制する効果は少なか った D 公正取引法はその実施が製造企業の志志に委ねられたため,製造企業 -でチェンスト によって独占的価格水準の維持に利用される乙とが多く,ーブJ 独占的小売自の成立基盤,性格,及びその影響 8 1 アの独自の商標の下で製品 ω供給が行われる } A b合には,再販売価格は維持さ ( 5 ) れでも,独立小売商保護の効果は附随的にもえられなかった。ロビンソン・ パットマン法は,製品差別化の下での価格差別や商標が異なる製品について の価格差別には適用されず,また直接競争関係、 l こない取引水準の,異なる中 間商に対する価格差別の程度を規制できず,更に費用差に基づく価格差別や 競争者の低価格に対抗する価格差別も防禦のため必要なものとして違法とさ れず,多くの価格差別の機会を認めたため,チェンストアはある程度任芯に その取引力に応じ独自の商標の利用や製品差別化の下で,また,製造企業と ( 6 ) 直接取引することによって特別の価格譲歩を受けることができた。また,不 公正取引行為法は,規制の基準として用いられる最低費用が殆どの品目につ いてあまりに低すぎたために,競争者を排除したり,独占を述:成するための 侵略的低価格政策や机端に価格が引下げられるロスリーダは矧制できても, ( 7 ) 大規模チェンストアの広範な一般の低価格政策は抑f l j l ]できなかった。また, チェンストア税は,居合rn 数を;1J;ìm に ~a~ せられたが, m 税は j企~ )芯とされたた ( 8 ) め,チェンストアにとってそれ程の符済的れ f l = lとはならなかった O 結局このような反チェン政策は,充分な効果をあげるととができず,チェ ンストアは成長をワづけたが, 1 9 3 0年代に入ってようやく臨んになった独立 q u a s i c h a i n s ) の構成と独立小売商白休での配達及 小売商問での準チェン ( び信用サービスの制限 ( c a s handc a r r y ) によって,独立小売商や卸売商 はチェンストアに有効に対抗するととができるようになった。 r~~ チェンの小 売商組織は,個々の小売商の独立は保ちながらチェンストアのような賊買力 を椛保し,独自の商標や効率的な広告媒休を利用しようとするものである C 淳一二チェンストアには,小売商組合 ( r e t ai 1e r sc o o p e r a t i v e s ) とボランタリ ー・チェン ( voluntaryc h a i n s ) があった。ボランタリー・チェンは, f : 1 : 入や販売促進を共同化するために卸売商を中心に構成される小売商のグルー プで,また小売商組合も目的や機能はボランタリー・チェンと変らないが, 卸売機関を共同で設立し,所有するためが;合がより強問なところが呉ってい ( 9 ) 7 こ ボランタリー・チェンは叫に 1 9 1 0年 1 ¥ ; !こ引われていたが, 1 9 2 0年代,特 Q 9 3 0年代に発ヰし,同年代 1 ' ; く からはわずかながち交微の傾向に向ったい に1 8 2 経営と経済 小売尚組合は,当初]は結成に対する卸売許可の圧力もあり,ボランタリー・チ ェンより市場占拠率は小さかったが,ボランタリー・チエンのような卸売市 と小売商聞の利害対立もなく,製造企業と直接取引する利益もあって,着実 ( 1 0 ) な発展をとげた。これらの準チェンでは,椛成長である小売商が中心の卸売 商に必ずしも購買を集中しないこと,また }!i~f r.tの集中がチェンストア程の節 約や購貝原価の引下げを達成できなかった等の欠陥はあったが, 1 回々の居告i I I の経営が独立であるために行動!(~単力性があり,またチェンストア税もな く,独立小売商は,こ ω, f J iチェンの結成を通じてしだいにチェンストア l こ効 ( 1 1 ) 果的に対抗するみちが開かれた O また,独立小売向も配達と信用サービス ω 制限によって仕入の集中度が低いボランタリー・チェン以上に低価格政策が 可能になり,顧客にとって便宜干上の r ¥ : jl 可立地や営業時間が長いことと併せ て,チェンストアに対抗することができた。特に都市商業地区の独立小売商 でサービス制限を導入したものの競争力の改詩は著しく,価格はチェンスト ( 1 2 ) 7に接近している O つまり独立小売向は,準チェンを結成しなくても,ただ チェンストアの個々の居舗の販売方法を導入するだけで,チェンストアに対 9 3 0年代を する競争力をもつことができたのである。またチェンストアは, 1 通じて, 1 文 りJ 攻い品目の拡大,居舗の高級化,立地改善等 l こより営業費が上 ( 1 3 ) 昇し,チェンストアと独立小売商聞の価格差は縮小した D なお,まだチェン ストアの顧客は比較的低い所得層であり,ここにチェンストアの市場設透の 限界があり,必ずしも低価格政等をとらないフ jレサービスの独立小売商に ( 1 4 1 も市場は残されていた。 チェンストアに対する独立小売商の適応と同様に,スーパーマーケットに 対する独立小売商やチェンストアの有効な迎応も遅かった。特にチェンスト アの適応が遅れ,少数のスーパーマーケットによる市場独占の礎石が築かれ る結果を生んだ。スーパーマーケットの発達に対しチェンストアは独立小売 向と共同して卸売商や製造企業にスーパーマーケットと取引しないように日: 力を加えたりスーパーマーケットの広告を防害し,また独立小売商はチェン ストア ω特別の低価格政策を規制するための立法要求につづけて,州議会 l こ 原価以下での販売を規制する法律を要求し,州によっては制定まで進めるこ 独占的小売 i 白の成立基盤,性格,及びその影響 8 3 とができたが,いずれもスーパーマーケットの発達を阻止するだけ ω効果は ( 1 5 ) なかった。既に独立小売商は,チェンストアとの競争に対して准チェンで対 抗することを知っていたが,しかし準チェンでスーパーマーケットに対抗す 1 ( 日 ることはより困難であった C 準チェンが無力であるばかりでなく,スーパー 930 マーケットはチェンストア自体の市場も侵蝕しながら成長をつづ、けた o 1 年代後半になるとようやく独立小売商が庖舗規棋を拡大して品 1 " i I j i え1 [ 1 日を拡大 ( 1 7 ) し,セノレフサービスを導入しスーパー化し始めた。ボランタリー・チェンの 心を持っていた卸売商の中には,チェンストア l こ7 りする 結成により小売に怯l 以上の力で経路組織から排除される傾向がみられたため,スーパーマーケッ ( 1 8 ) トを開設するものが現われた o 既に製造企業は,チェンストアの出引によっ て,割引系経路を広範に利用する政策を実行しており,スーパーマーケット 布や卸売商 は特別新しい経路問題をもたらすことがなかったため,独立小売 I のスーパー化によって,スーパーマーケット ωボイコットへの正力がおおずる と,スパーーマーケットに正規の経路として供給するようになった。 スーパーマーケットがチェンストアの市 j 拐を急速に佼し始めるとようやく 1 ( 9 ) 1 9 3 0年代末期になってチェンストアもスーパー化に劫き始めた。チェンスト アは居合n の規松を拡大し,セノレフサービスを導入し,手J Ii~日を[[~治したコチェ ンストアの個々の!古 t l ! iは小規肢で,品川えは限定され,配達や信用サービス は制限していても,必ずしもセルフサービスではなく,利 1 [日もスーパーマー ( 抑 ケットより大きかった。チェンストアのスーパー化は,少数のスーパーマー 1 J j支配の進行・を児に加速する結果も生んだが,より少数の企 ケットによる市 J 業による市場支配を│持ぎ,更に独立小規似小売商によるセルフサービスと主J I ( 21 ) ー 引販売の導入は ]~J. ら小売市場での史 r1 1 をド I I.IL する役;刊をもっち ω であった。 スーパーマーケットへの独立小元商やチェンストア ω有効なJ0l応が迎れた ω 2 2 i . I は,スーパーマーケットは早 I~~ 消失するものとみなされ,大規松山舗にセル フサービスを導入し, I日述と信用を制限する市新的販売方法の効ネと hi'([~/~日j n 力の今:狗が符 M に H~ 1!)されなかったことによるい テェンストアは 1 9 3 0年代後半に入ってからも比絞的高い所得 ωh ! 司容を動員 する能力は充分もてなかったが,スーパーマーケットは当初から会同商棋を 経営と経済 84 。 主力品 h i lえにもっていたこともあって ,J ; 5舗の高級化と便宜性の高いちj 所ヘ ) 4 の立地の変更と共にしだいに比較的高い所得層の顧客も吸引し始め巨大な発 展の可能性をもつものであった O また非食品部門への品揃えの拡大も,食品 に併せて非食品を購買する新しい購買行動の発展 l こ支えられ,より高い利幅 ( お ) の獲得と併せて,スーパーマーケットの発展を促進した。セルフサービスも 大規模自舗に導入されて,販売を効率化するばかりでなく,製造企業の記事: 創造努力によって多くの商標知識をもつようになった消費者が,販売員から 干渉されず自律的に選択しようとする傾向に適合し,スーパーマーケットの 顧客動員力を高めた o このようなスーパーマーケットの性格は当時の独立小 ( 2 7 ) 売商やチェンストアには容易に認識されなかったが,それだけでなくこれら の草新的方法の導入に対する姿勢にも問題があった D 特 l こ,チェンストアの 適応が遅れた乙とには注目すべきである O 一一般には大企業程成長志欲をも ち,危険負担能力も大きく,賀用収益関係の判断で~~(~新を導入する性向が強 いと考えられているが,実際は逆で,独立小売商の方がより早期にスーパー 化した O 1950年 代 後 半 に 衣 料 , 衣 JJ日を主力品 l l i i jとするスーパーマーケットが引わ れ,百貨庖や専門 J t iの市場に進入した O 衣料衣服についての消費者要求は多 様であり,また消費者への迎合性についてのサービスの必要もあってセルフ サービスでの販売に迎さないものが多く,スーパーマーケットは主として椋 1 2 9 ' 1年化された衣料を扱った O 一方, [ : H i屈は選択的経路政策がとられている製 1 3 0 1 品特徴の大きい全国商椋を主力品川えに持っていたため,主:大な影手1を受け 自応は行われなかっ ることもなく,スーパーマーケットに対する杭制的な j た C 百貨屈は都市郊外への人口移動と共に,郊外!苫舗を設けるようになった が,この郊外応舗では,政準化されている衣料,衣服の割引販売部門が除外 されたため,衣料,衣服スーパーマーケットの発展にはなお好都合であっ 31 ( ) た O 衣料,衣服スーパーマーケットは,やがて品揃えを流行性の高い製品や ( 沼 ) 耐久消費財に大も 1JJ~ し品!"iiíj えを百貨匝に近ずけることができた。衣料,衣服 について多く ω伯械や!勾 N i知識を持ち河川一上昇と共に j 製 品内容だけでな 1 1 ]y t i者に迎合しているスーパーマー く,競争価絡にも反応するようになった 1 N j~l 占的小売 H~i の成立某斡, , t t栴,及びその影 1 : , 85 ( 沼 ) ケットの特質を百貨庖は認識できず, この革新的競争者に対し適応が遅れ ( 3 4 ) た 。 9 5 0年代に入って出現した,家庭電球を中心に│耐久消費財を,利幅 また. 1 を圧縮し,限定サービスで,製造企業が和示または表示する小売価格から大 幅に割引販売するディスカウント・ハウスに対しても百貨応の適応は遅れ ( 3 5 ) た。ディスカウント・ハウスは初め家庭電器を扱ったが,これらの製品は, ( 謁 ) 百貨屈にとって基礎的品川i えではなかったことも,ディスカウント・ハウスに 対する百貨居の迎応を遅らせた原因であった O それよりも m史なのは,衣 料,衣服スーパーマーケットの場合には,先述のような品揃えの限界のため に,明白にはみられなかったことであるが,表示価格に同執する百貨自の基 ( 3 7 ) 木的姿勢であったの一般に,百貨屈は製造企業が指示する再販売価格の維持 ( 溜 ) に協力し,高品質の製品を求める顧客にはサービスの限定はできないという 姿勢をとり,また割引販売の対象にされにくい製品 l こ品 f l i I jえを伝民し,競争 ( 39 ) を回避しようとした O しかしディスカウント・ハウスば全国広 f ! ?が行われて いる信組性の高い商標についての川引によって大規棋な問符町民を行うので あり,衣料,衣服スーパーマーケットに対する場合と異なり,この場合の百 貨自の政策は当初]から矛盾を合んでいた勺勿論,百貨日でも早期にディスカ ( 4 1 ) ウント・ハウス化するものもあった。 ディスカウント・ハウスが取扱った製品について製造企業は強い市場地仇 をもっ商標を確立していることが多く,選択的経路政策の強化も可能であっ たため,初めはディスカウント・ハウスをボイコッ卜したり. i T lJ易分',l~:リ政策 の下で部分的に利用したりしていたが,結局再販売価絡宇佐持政策を廃棄し, 系列下の小売商の利怖を圧縮して均衡維持に努力しながら,ディスカウン ( 4 2 ) ト・ハウスも主史な終日告として沼めざるをえなくなった。しばらくの聞にせ よ製造企業の再販売価絡維持政策は,系列下.の小売向の,ディスカウント・ ハウスに対する迎応を遅らせたっ一方百貨庖は,史浩企業のこのような政策 転換によって広筒な品目についての訓引販売の導入を余儀なくされる状態で ( 4 3 ) あったっ当時百貨居は,家庭屯却についても独自の商椋を持っていたが . m 1~ 者の受容度は低く,これでディスカウン卜・ハウスに対抗することはでき 8 6 持 J r tと 終 消 ( ; 1 4 : なかった O 引在の百貨日は mrt~者が販売員なしで直抜製品を選択できるよう に居合tJ内で・の製品配列を変更し,セノレフサービスを導入している。また利幅 も圧縮し,ディスカウント・ハウスに対抗するための広範な低価格政策もと ( 4 5 ) られるようになった o --j}. ディスカウン卜・ハウスも. 1950年代末には衣 " l i jえを拡大し,配達や信用サービスも行い.Jr:. 料,衣服,家庭用品等へも品 t 佃) 地も改詳し,斤 1 1 J苫に類似するようになった口 スーパーマーケットの出現に対し,チェンストアの A i i応 が 遅 か っ た よ う に,衣料・衣服スーパーマーケットやディスカウン卜・ハウスに対する百貨 )吉の有効な競争政策も巡れた O チェンストア. Y l "住居ともに,革新的競争者 と製造企業との問で正規の取引関係が佐立され,市場・の中 ; I i部が侵され始め てようやく有効な迎応行動をとるようになった J 一般に小規偵小売商で草案r への適応が比較的早期にみられたのは,それだけ革新に対しも~11~J~ 的姿勢をも っていたからではなく,よりはやく存続を脅かされたからに過ぎない。本来 流通企業は種類と規般に関係なく,革新に低抗し,危険を伴なう新投資に対 し似めて消版的である D 小売販売における集中化の主要原因を販売管理技術と必要資本量について ( 4 7 ) の進入障肢に求めるものもあるが. J.必当でない。小売販売には,一般小売市 に導入困難な特別の管理技術は存在しないし,また規肢の経済も顕著にはみ 4 1 . 8 ) られず,必要な最小資本量も進入障 lð~ となる程大きくはない D まず,独占的 地位を達成した小売商は,平新的販売方法と一般小売価格から ω割引で顧客 動只力を高めて来たことに注目したい O 一般小売商にとって,革新的販売方 法の導入がその技術の綾雑性や導入 l こ必要な資本軍によって困難であったの ではなく,革新的販売方法の]自治:動尽力の全祝が把指されず危険を伴なう本 新と利 I~M 圧縮に対し抵抗が行われたに過ぎない o 7 1新的販売方法の導入は, 初期にお l可ては,スーパーマーケット,ディスカウント・ハウスの場合と もに,むしろ資本節約的に行われたことにも注意したい O また小規模居舗 のままでも,チェンストア,スーノマーマーケット,ディスカウント・ハウス の顧客動員力の主要部分を導入することさえ可能であった乙とにも開立しな ければならない O 独占的小売商の成立基 112,性格,及びその影 7!1~ 8 7 注( 1 ) 流通企業問における京析の拡散過程[ご勺 l )ては、けくを参照すること O BertC . McCammon. ] r .,“ A l t e r n a t i v e Explanations o [I n s t i t u t i o n a l Change and Channel E v o l u t i o n " i nB . E . Mallen, The l",-farkl'fing Channel,A Conceptualv i e w p o i n t( 1967) ( 2 ) GeraldB. Tal 1manandBruceBlomstrom, “R e t a i l Innovation Chal 1engeManufacturers",Harvard B u s i n e s s Review, S eptember-.October, 1 9 6 2 .p p .1 3 2 ' " " 1 3 3 . ( 3 ) 単位価f 丙が小さし特徴も少なく,需要が安定常的な製品部矧では,木来,符ー 路における取引関係の自由度が大きく,寺町新的小売商による独占化への,取引関 . , RalphF .Breyer, “ SomeObser係の硬直性から生れる防害ば少ない。 (Cf v a t i o n s on S t r u c t u a l Formation and t h e Growth o f Marketing Channels"i nR . Cox,e tal . , The ο vyi ni . " , f a r k e t i n g,1 9 6 4,p .1 6 7 ) また, この間の製品では,強い向原地位の確立は困難で,製造企業にとっては, ! r i : J ; g 維 持のためには, i F 5密度経路政策が必要なため ,l J U {でも小売市場での集中化がJlli m抗 争 状 況 行している。なお,チエンストアが取扱った製品についての製造企業 1 については, 1 9 3 5 " ' 3 7年頃の l間五であるが,次を参照すること。 C l a i rWilcox, l n v e s t i g a t i o nofC o n c e n t r a t i ο nο JEconmic Pο'1('('1', 1 ¥ l o n ο gra ρ! t 1,C ο mtetitionand 1",-[011ο polyi nAmerican lndustry ( 1 9 4 0, r c p r i n t e d No. 2 1 9 7 0 ),p p .3 6 " " 4 6,p p .5 2,-...., 5 4 . ( 4 ) Wa1 te rS . Haywardand P e r c i v a lWhite,Chain Stο r e s, Their . i f a n a - gement andOperati 明 ( 1 9 2 2 )p . 7 4,p .1 2 2 . 3迭 1¥ } ( 5 ) 陀原禎夫「製造企業による粍路支配と再販売価佑維持」経常と終済, 5 ( 19 7 3年 6丹)参照。 ( 6 ) 陀原 t ! ' i犬 , l i i jj[)論文参照。 ( 7 ) Cf . Corwin D . Edwards,“Appraisal o fF a i r Trade and Unfair P r a c t i c e sActs",Journalο JMarkpting,]uly 1 9 4 0 . 19 5 9 ) p,5 6 4 . ( 8 ) ] o eS . Bain,lndustrialOrganizatimz ( 1son,VoluntaryChainStores ( 19 3 0 )P P .7 4 . . . . 7 8 . ( 9 ) C r a i cDavic 日 1 ( CraicDavic 1son 0ρ c i t .,p p .7 4,-...., 7 6 . z e l l, TheodoreN. Beckman, Nathanael H.Engle,andRobert D.Bl1z Wholesaling,. ' j rde d .( 19 5 9 )p p .2 0 8 . . . . . . . . 2 1 0 . 8 8 経営と経済 ( 1 1 ) P aulD. Converse, “ Twenty-FiveY earso fWholesaling:A Revolution i nFoodWholesaling",. l ournalofMarketing,] uly 1 9 5 7 . ボランタリーチエンも 1 9 3 0 年代初期では,独立小売尚よりわずかに少ない利似 で売っているに過ぎないという報舎がある O 述 J~~取引委員会 (Federal Trade C r n n m i s s i o n ) の1 9 3 3年の報告では,ボランタリー・チエンの価格は他の独立小 . 9 -196から 2.496低い程度であり, 売商より, 0 また P h i l i t s によると, 1 9 3 4 年にボランタリー・チエンは独立小売 T f Hより価格が3.6396低いに過ぎないが, 0 . 0 2 9 6も 低 い (Theodore N. Beckman and Herman 一方チエンストアは 1 C . Nolen, TheChain Store Prohlem, A Cl'i t i c a lA n a l y s i s1 9 3 8,p .1 1 3 ) ' ( 1) 2 PaulD. Converse, P r i c e s and S e r v i c e so f Chain and Independent S t o r e si n Champaign-Urbana, 1 9 3 7, . l οu r n a l0 /l v J a r k e t i n g, ]anuary 1 9 3 8 . { 1 3 ) I b i d . 1 (4 ) I b u l . ( 1 日 M. M. Zimmerman,T l z eS l ψe r Al a r k ( ' t, A R e v o l u t iοni nD i s t r i b u t i o l 1 ( 1 9 5 5 )p p . 43~44. ( 1 6 ) I bid,p .4 7 . スーパーマーケットの出現後も準チエンは発反するが,これはセルフサービスを 導入した独立小売商の結合であることに注意すべきである。 (Cf,D a n i e l, ] McLaughlinand C harles A. Mal1owe,Food Marketing 9 7 1,p. 9 3,p. 9 7 . ) andD i s t r i b u t i o n,1 日 ) 7 David Appel , れ The Supermarket Early Development o fI n s t i t u ー t i o n a lI n n o v a t i o n ",. l o u r n a l0 /Retailing,Spring1972. 1 ( ) 8 M. 1 ¥ 1 . Zimmerman,ψ c i t .,p .4 9 . 1 ( ) 9 M. M. Zimmerman,ゆ c i t .,p p . 47~49 , pp. ( 2 日 M. M. Zimmerman,ゆ c i t ., p .4 8,p p . 60~66. 60~66. チエンストアの利幅は 2 0 9 6程度であったが,スーパーマーケッ卜の食品の利幅は 1 2 ' " ' ' 1 3労と低かった。 ( Ib u l .,p .6 0 ) 1 2 1 ) 例えば,独立のドラッグストアもセルフサービスを導入することによって,ス ー ノ fーマケットに対する競争力をもっととができた。(M. ~d. Zimmerman, οp .c i ! .,p .15l ) 8 9 独占的小売商の成立基盤,性佑,及びその影智 ( 2 2 ) M. M. Zimmerman,o p .c i t .,p .4 5 . ( 2 3 ) M. M. Zimmerman,0ρ c i t .,P P .5 0 ' " " 5 1 . ( 2 4 ) Cf . Frank J . Charvat,Supermarketing( 19 61 )p .2 5 . 羽 ( M. M. Zimmerman,o p .c i t .,p .1 2 7 . 梶原禎夫,前掲論文 p .1 1 0, p .1 1 9及び註(7)を参照するとと。 1 2 6 ) M. M. Zimmerman,ゆ c i t .,p .1 3 4 . LouisP . Bucklin.ορ c i t,p . 8 0 . セlレフサービスは, 1 9 2 0年の少し前から小規税居合Iiで導入されていたが,むしろ 顧客の不満足の方が大きく,販売貝が選択援助を行う通常のサービスに逆戻りす PaulH. Nystrom,EconomicsofR e t a i l i n g,Vol ., 1 ることが多かった。 ( 1 9 3 0,p .1 11)当時既にセルフサービスによる労務賀節約,販売員訓練貨節約, 販売促進等の効果が分析されていたが,居舗が小規校であるために費用節約効果 が小さく,また mï~者に向椋知識が少なく,商標のある食品自体も少なく. i l H : E 昔がそれ程自由な選択を要求していなかったため販売促進効果も低かったことに .F .E . ChaffeeandM. Kerbey,S e l f -servicei nt h eR e tαi l i n g よる。 (Cf ο fFo ο dP r o d u c t s, U. S . Departmento fAgricu1 t ure, Bu1 .No. 1 0 4 4, A p r i l1 9,1 9 2 2i nF .E . ClarkReadingsi nMarketing,1 9 2 4 ) 9 4 0年までに .j 7 i fと、すべての小売商がスーパーマーケット概念を支持するよう ( 2 7 ) 1 になったといわれている。 (Cf . , DavidAppel,ρ } ( .c i t .p .4 7 ) 1 28 ) B e r tC . McCammon,ゆ c i t . 白 日 ) 衣料・衣服スーパーマーケットの発注については,次を参照すること。 Gerald B . Tal 1man and Bruce Blomstrom “R e t a i l Innovation Challenge Manufacturers, " Harvard B u s i n e s s R e v i e切 September- Octob e r1 9 6 2 . なお,衣料,衣服スーパーマーケットの販売価枯は,他の小売商より 1 5 9 6 程度 低かった。 (GeraldB . Tallman and Bruce Blomstrom, “S o f t Goods u s i n p s s Review, SeptemberJ o i nt h eR e t a i lR e v o l u t i o n ", Harvard B October1 9 6 0 . ) ( 3 0 ) L o u i sP . Bucklin,0ρ c i t .,p .1 5 6 . 3 ( ) 1 R achel DardisandLouiseSkow, “P r i c eVariations f o rS o f t Goods 将~ : 1 ミ'と経済 9 0 i nDiscount andDepartmentS t o r e s, ". Jοu r n a l0 /Marketing,April 1969, p .4 5 . ( 3 2 ) Luisp . Bucklin,o p .c i t .,p .8 9 . (乙乙では,衣料・衣服スーパーマーマットも,ディスカウントハウスとして蚊 .P . Bucklin, 。ρ .c i t .p .8 8) われている。 L ( 3 3 ) C f . ]erry Williams andRachel Dardis, “ Shopping Behavior f o r Soft Goodsand MarketingS t r a t e g i e s, "Journal0 /Retailing,Fall1972, p .3 2 . f Discount RachelDardis and Marie Sandler,“ ShoppingBehavior o StoreCustomersi na SmallC i t y ",Journal0 /Retailing,Summer1971. . p . 91 ( 3 4 ) 衣料・衣服についての直接の価格比校は, E i品の同質性の識別が困難なため, 極めて限定されるが,価格比絞が可能な,非流行性の衣料・衣服についての 1 9 6 7 年のニューヨークでの調究によると,やはり百 1 r l 苫の方が 1 2 1 5 9 6ディスカウン ト・ストアより目い。 (RachelDavaisand LouiseSkow, “P rice V a r i a - / t i o n sf o rSoft goodsi nDiscount and DepartmentStore",Journal0 Marketing,A pril1 9 6 9 ) 活 ()1 Barker K ibarian,“ Why Department Stores Can Meet Discount /Retailing,Winter1 9 6 0 1 9 6 1,p .2 0 3 . HouseCompetition",Journal0 ( 3 6 ) Cf . , L ouis P . Bucklin,ο ρ c i t .,p .1 5 9 . ( 3 7 ) 1 9 4 9年百貨庖協会は,当時行われていた特別顧客ク、、ループへの割引政策中止を 会員に訴えている。 (StanleyC,Hollander,R e s t r a i n t su ρonRetailCom戸 - t i t i o n,1 9 6 5,p .5 7 ) 乙れからも,表示価格への百貨居の固執をうかがうととが できる。 ( 3 8 ) LouisP . Bucklin,0ρ c i t .,p p .2 0 3 2 0 4 . t o r e s Can Meet Discount Barker Kibarian,“Why Department S /Retailing,Winter 1 9 6 0 1 9 6 1,P P .2 0 3 HouseCompetition",Journal0 2 0 4 . Kibarian は,百貨庖がディスカウント・ハウスに対し競争価格政策をとらなか った理由として,小売価格決定に当って,利益貢献概念を用いないで,日い平均 利│隔を加算する平均価格政策がとられたことを指摘する。しかし,適応の遅れ 9 1 独占的小売商の成立基位,性格,及びその影評 は,このような計算方法にあったのではなく,ディスカウント・ハウスの性格の 認識を誤ったためである。 3 ( 日 Franklin W. Gi 1c h r i s t,“ The Discount House and Channels of D i s t r i b u t i o n "i n] . W. Wingate and A. Corbin,Changing Patterns i n R e t a i l i n g( 19 5 6 )p .1 1 6 . ( 4 0 ) Ihidp .1 1 8 . ? 1 1時,百貨居やその他一般の小5 2向では,大型家庭電器の小売販売で,満足な利 ;r日を確保するためにほ利隔は 33~4096必要であるとされていたのに,ディスカウ ト・ハウスば, 2 0沼で可能といわれた。ディスカウト・ハウスは,製造企業によ り需要例造ーが行われ,政附率の低い製品の販売に以前のような日利幅はもはや必 要でないことを示したとみなすことができる。 (Cf . F,W. Gilchrist,“ The DiscountHouse",Journal0 /Marketing,]anuary 1953,pp. 2 7 0 " " ' ' 2 7 1 . ) ( 4 1 ) A rnold Corbin,“ The Economics o f Discount Se1 1 ing" i n J .w . WingateandA. Corbin,ρ ο c i t .,p .1 2 8 . は) 2 1 9 5 0年代後半から,多くの製造企業が公正取引法 ( f a i rt r a d elaws) に京づ く再!庇売 111fif~ ~:ft1寺を廃止したことについては,梶原禎夫,前担論文を参照すると と。百貨問が支示何除から広叩[乙 ~i'J 引を始める市j である. 1 9 5 0年代前半までに, 色合荒ば公毘取引 j 去による再販売価格維持を廃止している。 殆どの製j ( 4 3 ) 1 9 5 9年における P r i n t e r s 'I n k の百貨居とディスカウント・ハウスの問の競争 関係についての限告は,百貨Tg における ;1~J 引販売導入についての苦悩の過程を示 す討料として i t況である。乙の時期における百貨居による割引販売の導入の状況 は,表示日l i格 l こ れ ,i ' : 丸しながらも, しばしばロスリーダを利用したり,低価格販売 をする程度(シカゴ)や問符から交渉があると割引く程度(アトランク)から, ディスカウト・ハウスに対抗して強力に叩引販売を行うもの(ロスアンゼルス, ニューヨーク)に予.るまで,出市によりさまざまであった。いずれにせよ,百貨 白での ~t;IJ 引販売はしだいに広和に位jE し,百貨問とディスカウント・ハウス日\Jの 販売何栴先ば以前の 2 5 9 6またはそれ以上から. 1 0 9 6 程度に納少した。(“ P r i c e - c u t t i n g Makcs Strange Bcdfellows o f Discounters and Department r i n t e r s 'I n k,April17,1 9 5 9,p p .9 " " ' ' 1 0 . ) S t o r e s ",P 主た. 1955q~. 1958~r. 1 9 6 0年における,シカゴでの自動洗沼機についての価格 調芥.によると,ディスカウト・ハウス. n w r n .事門町の表示価格からの;切引率 92 経営と経済 は,いずれも高められており,長,',:日の割引率を示しているディスカウン卜・ハウ 乙 1 9 5 9年か スとその他の小売商の問の割引率の差もしだいに縮少している。吏 l 9 6 0年にかけての,主要都市における自動洗濯機についての小売 i i'Hの和類別の ら1 表示価格からの割引率の調査では,ディスカウント・ハウスの割引率は,大型車 . 1 9 6,百貨!苫 4 . 8タム小刻専門居より 5.2労高いだけとなっている。 門居より 3 ( A l l e nF,Jung, “P r i c eV a r i a t i o n sAmong DiscountHouseandOther R e t a i l e r s ",Jο u r n a l0 /Retailing,Spring1961) ( 44 ) FranklinW. G i l c h r i s t, “D iscountHouseandChannelo fD i s t r i b u t i o n " i nJ . W. WingateandA. Corbin, 。ρ c i t .,1 2 1 . 4 ( 日 Louisp .Bucklin,0ρ c i t .,p .9 0 . ( 4 6 ) R obert Drew-Bear,“ The Emergence and Growth o f Discount Store-A Reappraisal" i n R 1 1 . Haas, Science, Teclll1ο f οgy, anJ ' A a r k e t i n g,1 9 6 6,p .2 3 3 . l 注却と同じ 1 9 5 9年の P r i n t e r s 'l n k の出合によると,ディスカウント・ハウスが 似のサービスを導入し,以前には決してしなかった広 配達や信用供与え守百貸出廷i 告も行うようになった。 仰例えば,次をみよ。 JamesP .C a i r n e s, “C ompetitioni nFoodR e t a i l i n g - SomeRecentDevelopments",Jο u r n a l0 1Retailing,Fall1961, ( 4 日 C f . Edna Douglas,“ S i z eo f Firm and t h eS t r u c t u r eo f Costs i n u r n a l0 1Business,April1962. R e t a i l i n g ",Jο (二) 小売商業における独占化の主な基盤は,低価格政策を含む革新的販売方法 の採用と,それに対するその他の小売商の適応が遅いことにあった,が,しか し一般の小売商も中心市場が侵されると比較的容易に類似の販売方法を導入 できたこととまた別の革新的小売商の継続的進入により独占の進行は,独占 ( 1 ) 度がかなり低い水準で阻止されることが多かった。また,支配的な市場占拠 率を達成した小売商も多くの競争的周辺小売商の存在や草新的小売商の継続 的進入による競争圧力もあって独占的市場行動は制約されてきた。 しかし,ある程度集 I I Iが進んだ市場では,少数の大規模小売商に寡占的行 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 9 3 動がみられたのも事実である O 例えば,スーパーマーケットやディスカウン ト・ハウスは,集中化が進むと,それら相互間や特にディスカウント・ハウ スの場合は割引販売を強化した百貨屈との聞の,価格競争関係の認識が強く l重点を置きながら,割引率を低下させる寡占企業的市場 なり,非価格競争ζ 行動がみられた O スーパーマーケットは, 1 9 5 0年代後半頃から,営業時間の ( 2 ) 延長,広告強化,スタンプとゲームカードの配布によって,また同様にディ スカウト・ハウスも配達や信用供与のサービスを加え,広告を行うようにな ( 3 ) り,価格競争に限界を設けようとした。サービス限定による費用節約も主な ものではないにせよ,これらの革新的小売商の低価格政策の一つの基盤であ ったが,割引率を犠牲にしても破滅的競争を回避するためにサービス追加の 方向がとられた O 製造企業の;場合は,価格競争によって技術開発競争が展開され,製品原価の l t新が並行することもあって,技術的に新しい製品を基 削減効果をもっ技術 t 礎に,より低い価格水準で,技術革新に成功した企業問で競争が行われる子イ ナミックな発肢を産業が遂げることが多い O しかし‘流通業では新しい価格競 争の機会を提供する技術草新が継続的に達成されることはなく,破滅的競争 への経路を回避するためにサービ、ス競争を r~ll 彼し, f i ¥ ! i栴競争に限界を設定す i 史的早期に現われたのであるの例えば,スーパーマーケット問に る必要 が比! a ( 4 ) 反撃的価格切下げがあまりみられないことや 1 ¥ U i佑広告が行われる製品に重複 ( 5 ) が殆どみられないこと,価格広告が行われた製品 ω価格水準と広告されなか ( 6 ) った製品との価格水準との聞に必ずしも正の相関関係がみいだされないこと 等は,スーパーマーケットが相互間の直接のf!U i的競争の険会を似小化しよう とする努力の現われであった o 'Ö~ 占状態にある小完商の品川えは大規枚で, その構成には差があり,居 u l i問相互依存関係、が複雑で競争的反応が困難なこ とは,しばしば価格を上下に変更する政策によって補強されながら,独占的 小売商問および独占的小売商とその周辺小売向 ω間での価格競争の機会をつ くってきたことも事実で,一方的に必 1 1 1的な f ¥ j i J十九競争問 j lITへと向っていった ( 7 ) のではない J 乙れは認められねばならないが, しかし相互関係が弱いこと I~l 不が,',:)し、 J羽合にはそのまま /f 占的行日j のJiid誌でもあった乙とに注意 は,集 r 9 4 経営と経済 しなければならない口特 l 乙後述のように独占的小売商とその!な辺小売商の価 格行動の相違:は独占的小売商によるプライスリーダシッフ。確立への過程とも みられる O スーパーマーケットやディスカウント・ハウスのサービス回復と割引率 低下は,それら自身の間,または割引政策をとるようになった百貨屈との間 の競争関係だけから生れたのではなく,競争的周辺企業である,割引率の低 い在来の小売商との間の関係、にも依っている乙とに留芯しなければならな い。スーパーマーケットやディスカウント・ハウスは以前の向い割引率によ って市場を維持するより,サービスを残している在来の小売商の活動に技近 し,割引率を低下させる政策をとったのである O 顧客が購買上の便宜性を主 視し,小規模小売商を選ぶ傾向も乙れを促進した O かつて,百貨庖は商業中 枢部に立地し,一旦閉居すると立地上競争企業の進入を困難にし,独占的地 位を維持できた O 乙の安定した独占的地位のため,百貨庖は競争的周辺企業 である専門居に対し,プライスリーダ的役割をもって表示価格と高利幅の維 持に努力してきたが,独占的市場地位を達成したスーパーマーケットやディ スカウント・ハウスが,競争的周辺小売商に対し,一般に浸透している割引 価格に近い水準で,その維持に指導的役割を果そうとするのは,当然の行動 の方向であった o 例えば,一般の小売商がスーパーマーケットより低い割引 率で,よりしばしば割引率を変更するのはスーパーマーケットによるプライ ( 8 ) スリーダシップ確立への過程を示しているとみてよい。接近して立地する小 売商問でのコミュニケーションは緊密で,小売商問での競争行動の調整は, ( 9 ) 広告,販売サービス,更に価格や利幅に至るまで,古くから行われており, 独占的地位にたったスーパーマーケットやディスカウント・ハウスが周辺小 規模小売商を従属させて相互の利潤拡大のために,プライスリーダ的機能を 遂行する組織は充分準備されていたのである O このようにスーノマーマーケットやディスカウト・ハウスが訓 5 1率を低ドさ こ 王 せたことは,やがて新しい割引小売尚の進入を招き,割引率の再引上け1 るO 例えばスーパーマーケットがサービスを回復し,割引率を低下させる と,ディスカウント・フーズ・ストア ( d i s c o u n tf o o d ss t o r e s ) が現われ 9 5 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 た O ディスカウント・フーズ・ストアは,スタンプやゲーム・カード等のサ ービスの廃止,営業時間の短縮を行い,常に低価格販売を行い,価格広告を 制限し,在来のスーパーマーケットより居舗は大規模で販売価格は低かっ 1 ( ) 0 た。ディスカウント・ストアは,ディスカウント・ハウスの食料品部門とし て,または独立の小売商として 1 9 5 0年代後半に出現し, 1 9 6 0年代に成長し た。このため,在来のスーパーマーケットの多くはスタンプ・サービスを廃 止し,価格切下げを余儀なくされた D より高い割引率に対し,スタンプ・サ ( 1 1 ) ービスで対抗することはできなった口後述するように,価格切下げに対して は,価格や品揃え以外の政策,つまり単にイメージ広告や販売促進だけで対 抗することは不可能である 9 また,現代では,割引価格に対する反応は,低 所得隠よりむしろ教育水準の高い中所得層の顧客で大きく,また消賀畳が大 ~12) きい程価格に対し敏感に反応する o このように,価格競争に対しては価格と 有力商標でしか対抗できないこと,また,割引価格に対する反応が広範化し I引率を低下 ているため,独占的市場地位を達成した小売商も競争関係から許J 2商 の 進 入 を 招 き そ の 地 位 は 脅 か さ させると,より目い割引率で新しし Vト5 れ,その独占的市場行動は厳しく;!;!J限されてきたっスーパーマーケットやデ L j代と呉なり, ,'l f l J引価格 l こ対する消 イスカウント・ハウスが初めて引われた I 費者の反応の規模が知られているため,符易 l こ類似の革新的小売商が現われ る状態になっていることに注目しなければならない O 経路における製造企業と小売商の支配・従属関係を分析する場合,小売商 l tにその独占皮や独占的行 1 U J O ) U Iiからだけみると,製品別の伺々の の能力を J 市場地域における大部分の小売商の w n h 1 i拠率は(尽く,またたとえ有力な市 I ; I J限されているため,強力な独占 場地位を達成していても,独占力の行使は { 力をもっ製造企業に対しては勿論,多少とも狙 t,~î 性をもっ製造企業に対し弱 い立 j 坊にたつという結論 l こ安易に導びかれることが多い。製造企業ー小売商 !日j 関係の分析で,小売 II~Ø については,そ ωj1~ , 1i VI:だけでなく,製造企業が, その販売を伺々の小売│布の):!Jl客動日力に依存する日皮も;r;,-.tむしなければなら なし、) 9 6 経営と経済 かつて,製造企業が,製品特殊化と全国広告で最終雨裂を支配している場合 個々の市場でその主要部分を占める小売商群が殆ど存在しないことは,小売 商に対する製造企業の絶対的優位性につながっていた。ところが現代では必 ずしもそうではなしむしろ個々の小売商の顧客動員力が均衡化の傾向をも ち,集中化が阻止されつつある状態とみるべきであり,製造企業は販売に当 って個々の小売商の顧客動員力への依存度を高めているのが現状である。 一般の小売商が特別の顧客動員力をもつようになった契機はチェンスト ア,スーパーマーケット,ディスカウント・ハウス等の割引小売商の出現で あった。割引小売商は,小売水準での価格競争を引起したが,消費者は低価 格が低品質に直結している購買を避けるために購買行動を計間化する傾向が ( 1 ) 3 強くなった 価格競争が行われている市場では,泊賢者は価格だけでなく品 O 質や便宜性に対する反応も強め,製造企業から提供される伯報によって商椋 に対する信頼性を高めながらも,他方価格刺激によって商標間流動性を高め 1 (4 ) てきた。消費者が計画的に行動する市場では,イメージ広告やサービス ω効 1 ( 日 果は極めて低くなる。特に消費者間で,教育水準が向上し自主的購買行動へ の要求が高まっている現代では,消費者操縦を目的とする企業努力は無効化 されつつあり,やがて広告による消費者の直接購買行動を起動する効果は低 下し,消費者の自律的判断のため ω↑古報を供給する機能を強調する方向に変 るととを余儀なくされ,また製品差別化の市場維持効果も減退するであろ うo 乙のように割引小売商による価格刺激を契機に,製造企業による最終市 要の操縦手段がしだいに無力化されつつあるが,逆に小売商は表示価格の修 正と多商標の品揃えで,消費者に自主的な選択機会を提供し,商椋間流動性 を高めた消費者に対し独自の動員力を発押するようになった O 製造企業は販 乙対する一 売のための顧客動員力について小売商への依存度を高め,小売商 l 方的支配は困難になりつつある O また,消費者の商標間流動性の拡大は,革 新的小売商の継続的な市場割込みによる小売機関の多様化や消資者の移動性 1 (6 ) の拡大もあって,消費者の居舗間流動性も高めた。居舗間流動性の拡大は, 製造企業にとって多様な経路を通じての市場供給を必要とし,制限的経路政 ( 1 7 ) 策を不利にし,同政策による小売商の支配を更に困難にしつつある C 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 97 全国的多!苫舗組織で各市場地域の主要部分を占拠する大規校小売商は, 個々の小売庖舗の顧客動員力を結集し,製造企業に対し,特別の交渉力や影 響力をもつことが可能になる O このような大規模小売商は,製造企業の一方 的支配に従属しないばかりでなく,更に製造企業の支配にまで進むかどうか の問題がある。大規模小売商は製造企業に競争商標促進の脅威を加えなが ら,卸売価格に特別の譲歩を要求し,自由な価格で再販売を行おうとする O 製造企業も広範な市場浸透をめざす場合には大規校小売商 l こ依存せざるを えず,その交渉力に従わざるをえない部分が生れる O 特 l 乙,商標が市場で 既に受容され,製造企業による特別の需要創造努力が必要でない状態, l u i枝 問競争が激しい場合,製造企業の供給品目が少ない場合等では,製 iíi{I::~~ 1 ( 8 ) に対し大規模小売商の交渉力が優る O このように大規摂小売商は製造企業 ω 価格政策に干渉するが,製品政策や全国広告についてはどうであろうか。 r i v a t e 大 規 模 小 売 商 が , 製 造 企 業 を 文 配 す る 基 礎 と し て 商 業 者 向 原 (p brands) がある O 割引系小売商の商業者向棋は十九世紀末にチェンストアが導入して以 易 来,全国商標の供給を受けられない場合,卸売価格の特別割引を受ける i 合,全国商標をもたない企業の製品を扱う場合等に,製造企業との前抜の抗 争を避けながら自由な小売価格で販売するためや高利幅獲得のために利用さ れてきた チェンストアは,発達の当初卸売商との取引関係を主視する製造 1 ( ) 9 企業から全国商標の供給を自由に受けられなかった O しかし,チェンストア O は卸売商とは取引せず,白ら製造し,また商棋をもたない製造企業から供給 ; 〔入しその促進を行ったため, を受けて市場地位を確立し,商業者向棋を i 直接取引を拒絶してきた製造企業も市場を圧迫され,チェンストアとも卸売 抑 ( 商と同じ条件で取引を閃かざるをえなくなった D チェンストアとの市抜取引 。 を始めた製造企業はチェンストアによる取扱いを促すために,製品を改許し 1 ) 広告を行い,商政の全国的受容を達成しなければならなかった口チェンス トアは全国商 ~~~q も主方品 tiìíI えとして扱うようになり, 1 920年代を辺じて急成 長を遂げた D スーパーマーケットやディスカウント・ハウスは,当初から全 f !のの一般小売 u l l i格や表示価格からの W r l引によって強力に似存 W J JI 'lを行同商 i 9 8 経営と経済 包) い,中・高所得の顧客間までカノ fーしてきたのであり,商業者商椋は,同程 小売商問の競争の結果全国商標の利幅が圧縮され過ぎたこと,サービス拡大 や庖舗の高級化で営業費や個定資が増加した乙と等があって,高利幅獲得の 目的で,例えばスーパーマーケットでは 1 9 5 0年代に入ってからのように,む 四) しろその発展の後期に大規椋に導入された。 一般に商業者商標は,製造企業の全国商標が導入され,市場地位を確立した 凶) 後l 乙初めて存在しうる。しかも,商業者商標について消費者は全国商棋の価 回) 格から割引かれた価格でしか受容しない O 更に,商業者商標の促進手段が価 格であるため,製品は差別化の程度が低く,市要の商標間移動が大きいもの ( 2 6 1 l こ限られる D 商業者商標の製品内容が全国商椋に比較し必ずしも劣位にある とは限らないが,小売商は自己の商標について大規棋な需要創造機構をもた ず,既に市場地位を確立している全国商標との関述で初めて受容されるも ので, しかもそれは地方的でしかなく,市場地位は低かった。しかし最近, 消費者の製品識別能力の向上により商業者商標が再評価され,また所得向上 により消費者の危険負担能力も拡大され,商業者商標が購買される機会も多 聞 くなってきた c このように商業者商標の地位向上のきざしはみえても,一般 に小売商は製品開発力を持たず,全国広告を行う程の居舗網も持たないた め,製造企業に取引についての譲歩と自由な条件の下での再販売を要求して ( 2 8 ) も,製品決定や全国広告に参加しようとする姿勢はあまりみられない D 大規 模小売商による商業者商標の伎用は,製造企業の市場を圧迫しながらその独 占力を削減し,製造企業による小売商の一方的支配を更に困難にしつつある だけで,決して小売商による経路支配への媒介物とはなりえない O 独占力を もっ小売商も特定の製造企業に依存するより,多様な供給源に対する自由な 評価者として止まり,譲歩を要求する方を選ぶからである。このように商業 者商標が確立されている状態でも,経路支配への傾向があまりみられないの であり,供給源である製造業が寡占化し,競争的周辺企業が存在しない場合 は勿論製造企業が侵位な立場にあるが,たとえ周辺企業が存在し,独占的小 売商に対し充分な供給方をもっ場合でも,独占的小売商は製造企業に対し交 ( 2 9 1 渉力を高めるだけに過ぎない口 9 9 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 註( 1 ) 例えば. 1 9 5 8年,十五の都市でそれぞれの食料品市場の総売上の平均 6 3労を 四つの主要な小売商が占めている。 (R. Cassady, Comρe t i t i o n and P r i c e 9 6 2,p .2 9 0 ) 小売業における集中皮は,最も集 Makingi nFoodR e t a i l i n g,1 中の進んでいる食料品小売業で乙の程度であり,製造業の集中皮に比較すると, 乙 1 9 5 8年以来,小売業での集中度は殆ど進行していな 一般に遥かに低い。特 l い 。 ( RobertD . Entenberg, “I m p l i c a t i o n so fI n t e r f i r m Competitiona t t h eRetai 1Levelぺ. J o u r n a lofR e t a i l i n g,Summer1 9 6 7,p p .4 " " " ' 5 ) 小売業で集中がそれ程進行しない理由には,乙こで述べている乙との他 l 乙消費 者が購買に当って便宜性を考える乙とがある。最も集中が起りやすい,食品雑貨 では,また購買上の便宜性が最も重視されるととによって,現在も集中が進んで いるがより高度の集中化の進行が阻止されている。 ( 2 ) F redC .A l l v i n e,“The Supermarket Challenged", B u s i n e s s Hori ・ ZOll, October1 9 6 8 . ( 3 ) “P r i c e C u t t i n g Makes Strange Bedfol 1 ows o f D i s c o u n t e r s and r i n t e r s 'l n k,A p r i l1 7 .1 9 5 9 . Department S t o r e s ",P ( 4 ) Wi l 1iamT. Baumol, R ichard E . Quandt, and Harold T. Shapiro, “O l i g o p o l y Theory and Retai 1 Food P r i c i n g ", . J o u r n a lof B u s i n e s s, October1 9 6 4 .p .3 4 8 . ( 5 ) JohnE .Swan, “P a t t e r n so f Competitionf o rD i f f e r e n t i a lAdvantagc i nTwoTypeso fRetai 1I n s t i t u t i o n s ",. J ο u r n a lofR e t a i l i n g,S pring1 9 7 1, p .2 9 . ( 6 ) Louisp . Bucklin,C ο m ρe t i t i ο nandE v o l u t i ・ o ni nt h eD i s t r i仇l tゐeT rades, 1 9 7 2 .p .1 5 7 ( 7 ) 独占的小売商問での相互依存関はかなり弱いことについては次を参照するこ と 。 Richard B . Hcflcbower,“ MassD i s t r i b u t i o n A Phaseo fB i l a t e r a l Oligopoly o ro f Competition, " American Ec ο nomic Review. May 1 9 5 7 . しかし, Heflebowerのとの論文では,相互依存関係が弱いことは,小売商の 限界政用が硬直的であるため売上拡大への要求が強いととと併せて,専ら競争が lし 強化されるという結論に導びかれているが,これは競争への傾向を過大に評日i ているようである。 1 0 0 経営と経済 なお, しばしば割引率を変更する変動価格政策とその効果については次を参照 すること。 L ouisp . Bucklin,ゆ c i t .,p p .1 5 8 1 5 9 . 消費者が購買の便宜性を重視するようになり, 乙れが周辺小売商の存続の基 i 'tとなっていたことについては, R obert D. Entenberg, “I m p l i c a t i o n so f I n t e r f i r mCompetitiona tt h eR a t a i lLevel",Journal01Retailng,Sumer 1 9 6 7 .p p .2 3 . を,独占的小売商と周辺小売商との競争関係については註( 8 )を 参照すること O 。 , ( 8 ) JohnE . Swan ρ c i t . 乙乙では, 1968年,酒類について最低価格や再販売価格の規制が行われていな いテキサス川オースチンにおける酒小売商とスーパーマーケットの新聞広告に現 われた価格行動が分析されている。スーパーマーケットより酒小売商の方が,よ り多固にわたって割引率を変更しているが,その担由としてスーパーマーケット は,幅広い品揃えをもち価格広告に際し相互に直接の価格競争が避けられたのに 対し,酒小売商の方は品揃えが少ないため,反撃的価格行動が加わったためとさ れているが,泊小売商はスーパーマーケットより基本価格の水準が高く,価格広 告に当つての割引率も高く,販売促進が価格中心になっていた報告を併せてみる と,乙れはスーパーマーケットが価格を指導し,酒小売商がそれに追随する過程 でもあったとみなされる。 ( 9 ) Cf . Stanley C . Hollander,R e s t r a i n t s upon R e t a i lC o m p e t i t i o n( 1965) p p .5 3 6 0 . ( 1 日 ディスカウン卜・フーズ・ストアの特徴については,次を参照する乙と。 Fred C .A l l v i n e,“ The Supermarket c h a l l e n g e d ", Business Horizon, October1968. 在来のスーパーマーケットより,ディスカウント・フード・ストアの利幅は 4 . 2 6 . 0 %低く,営業費は 2 . 5 3 . 6 9 6 低かった。スタンプの費用は売上の 2 . 1 ' " ' ' 2 . 7 RobertJ .M i n i c h i c l l o, 9 6で,スタンプ廃止による賀用節約が最も大きかった。 ( “ TheRealChallengeo ft h eFoodD i s c o u n t e r s ",Jοurnal of M arketing, A p r i l1967,p . 38.) ( 1 1 ) I b i d . 1 ( ) 2 David L . Appel,“ Market Segmentation-A Response t oR e t a i l I n n o v a t i o n ",Journal01MarketingApril,1970. 1 0 1 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影解 RachelDardis and Marie Sandler, “ Shopping Behavior o f Discount StoreCustomersi naSmallC i t yぺJournal0 /Retailing,Summer1 9 7 1 . “C u s t o m e r R e t a i l e r Loya1 tyぺ Journal 0 /Retailing, RobertRothberg, n1 i n t o r 1971~1972. 間 消費者のディスカウント・ストアにおける購買の計画性は,百貨庖や専門居に おける場合より高い o ( ]erryW i l l i a m s and Rache1Dardis,“ Shopping Behavior f o rS o f t Goods and Marketing S t r a t e g i e s ", Journal 0 / R e t a i l i n g, F a l l1 9 7 2,PP.34~35.) 1 ( 品 価格競争の過程で,価格たけでなく商標に対する消費者の反応も敏感になる乙 とについては次を参照すること。 Gordon L . Wise,“ Impact of the GasolinePrice War on Consumer PatronageMotives",Journal0 /Retailing,Summer1 9 7 2 . また,製造企業はスーパーマーケットと取引を始めると同時に,品質管理,製品 研究,製品開発を強化したことに注意する乙と。 (Cj . M.M.Zimmerman, TheSu ρe rMarket,A R e v o l u t i o ni nD i s t r i b v t i o n,1 9 5 5,p p . 323~324) 1 ( 5 ) Cf . GordonL . Wise,op,c i t . David L . Appe1,“ Market Segmentation- A Response t oR e t a i l /Marketing,Apri11970,p .6 7 . I n n o v a t i o n ",Journal0 ( 1 6 ) Cf .BenL.Schapker,‘'RehaviorPatternsofSupermarketShoppers", Journal0 /Marketing. October1966. p .c i t . JerryWilliamsandRache1Dardis,o (1百前述のように小売商の多くがそれぞれ顧客動員力をもっ状態のもとでありうる 乙とである。これは,次に言及する,特定小売商の大規模な顧客動員力がその小 売商に対する製造企業の支配を困難にすることと矛盾することではない。 ) 8 RobertW. L i t t 1 e, “ TheMarketingChanne1:WhoShou1dLeadThis 1 ( Extra-corporateOrganization",JOU1・nal0 /Marketing,January 1970. 1 ( 9 ) W a1ter S . Hayward and P e r c i v a 1 White, Chain Stores, Their Management and O p e r a t i o n( 19 2 2 ) ,p .7 4 . 間)“ Manufacturers Find 1 tD i f f i c u l tt oKeep t oLegitimateChanne1s" J o u r n a l0 /CommerceandCommercialBu! l e t i n,J u 1 y2 5,1 9 2 3 . te rS . HaywardandP e r c i v a 1White, 。ρ.c i t ., p .7 4,p .1 2 0 . i 2 1 1 Wa1 1 0 2 経営と経済 ( 2 ) 2 M. M. Zimmerman,o t .c i t .,p .6 3,p .5 0 . F . W. G i l c h r i s t,TheDiscount House. JournalofMarketing,January 1 9 5 3,p .2 6 7 . V i c t o rJ . Hi 1 1ery,Supermarkets“StepupUseo fP r i v a t eLabelst o ~3) ShoreupEarningsぺ i nA.L .S e e l yeds,Markeingi nT r a n s i t i o n,( 1958) p p .1 0 7 1 1 0 . RobertW.L i t t l e, 凶 Extra-corporateOrganization",JournalofMarketing,January1 9 7 0 . 問)1 A lfredL .S e e l y e,0ρ c i t .,p .1 0 8 . なお,商業者向標は製造企業の全国商椋の価格から 1 5 2 0 % 割引かねば消費者 受 容 を 維 持 で き な い と い わ れ る 。 (CJ . , Franklin W. G i l c h r i s t,“ The is t r i b u t i o n "i nJ . W. Wingateand Discount House and Channel o fD A. Corbin, Changing Patterns i nR e t a i l i n g, 1 9 5 6,p .1 2 1 ) 白 日 L o u i s W. S t e r n, The New Wor 1d o fP r i v a t e Brands. California ManagementReview,S pring1 9 6 6,p .4 4 . 白7 ) B arbara D. Coe,“ P r i v a t e Versus N a t i o n a l Preference Among Lower-andMiddle-IncomeConsumers",Journal0 /Retailing,Fall1 9 7 1, Coe によると,教育水準が高い中所得層は,価格に敏感で,商業者商標を選択 する機会が増加しているが,教育水準の低い低所得層は,広告の影響を受けやす く,高価格一高品質の連合がみられ,全国商擦を選択しやすい。 ( Ib i d .) 邸) R obertW. L it t l e,0ρ. c i t . Rodger Dickinson,“Channel Management by Largl R e t a i l e r s "i nR . King,Marketingand t h eNew S c i e n c eo fPlanning( 19 6 8 ) ,p . 1 2 8 . 凶)1 C f . Richard B . Heflebower, Mass D i s t r i b u t i o n : A Phase o f B i l a t e r a l O l i g o p o l yo rofCompetition,AmericanEconomicReview,May 1 9 5 7 . × × × 独占的小売商はいずれも低価格政策を含む草新的販売方法をもっていた が,一般の小売商にはその顧客動員力の全貌の認識が遅い乙とと草新的販売 方法の導入の危険に対処する姿勢の欠如のために有効な適応が遅れる乙と 独占的小売商の成立基盤,性格,及びその影響 1 0 3 が,進入障壁が低い小売業で独占が生れる主な基盤となった。一般に小売商 は,製造企業が草新的小売商と大規模な取引を聞いた後に初めて適応を余儀 なくされるのが通常であった O 一方,集中化の主な某稗がこのように草新的販売方法の先駆的導入にあっ たため,他の小売商による適応が容易に行われたのも事実で,乙れが少数者 が市場の主要部分を占拠しでもその独占的市場行動を制約してきた。独占的 小売商は,その草新的販売方法のうちに一般小売価格や表示価格からの割引 政策をもっていたが,この価格政策に刺激され消賀者の購買行動の自律化が 発展し,製造企業による消費者行動の操縦が困難になり,製造企業は最終市 場への販売に当って小売商の顧客動員力への依存度を高めた o 特に独占的小 売商は,製造企業に対する交渉力を増し,製造企業に対する影響力をもっ乙 とができたが,一般には独占的小売商も供給される製品に対する評価者に止 まる傾向が強く,製造企業を支配しようとはしなかった。 二十世紀に入って以来,製造企業の支配が強化されてゆく流通過程に,ip: 乙高く評価されなければならな 新的小売商が価格競争を導入した効果は,特 l い O 流通過程への価格競争の導入を契機に製造企業聞に製品差別化や広告よ ( 1 ) り,技術開発や製品開発の努力を強化するわ1 向が生れた O たとえ,生産水準 では堅固な寡占が成立していても,流通過程での価格競争の導入により,独 占的企業聞の競争が誘発され,製品の技術的草新を促し,独占的価格行動が ( 2 ) 抑制されてきた D 競争過程のダイナミックスについては, 5 1 I Jの機会に分析を 行うが,そこで独占的小売商による,製造企業問,特に本占化している製造 企業問への競争過程の導入効果について詳しい評価を行いたい O ガルプレイ ( 3 ) スは独占的小売商の対抗力 ( c o u n t e r v e i l i n gpower) を問題としたが,対抗 乙代る効果はもちえな 力それ自体は双方独占類似の状態を生むだけで,競争 l いため,対抗力の面だけでは競争JiZJl f~~1乙独占的小売商が与えた効果は充分評 価されない O 独占的小売商の影切はその対抗力によって独占的製造企業の経 jしただけでなく,製造企業問に価格競争,技術開発競争 路支配の一角を切jjJ を起動したものとしてより幅広く促えられねばならない。 1 0 4 経営と経済 注( 1 ) Cf .L o u i sW. S t e r n,TheNewWorldo fP r i v a t eBrands,Cali ρrma p r i n g1 9 6 6,p .4 7 . ManagementReview,S ( 2 ) 例えば,タイヤ産業にその例をみることができる。 A. D .H. Kaplan,BigEnterisei na Comj うe t i t i v eSystem, r e v .e d . ( 1 9 6 4 )p p . 97~98. ( 3 ) JohnK. G a l b r a i t h, American Capitalism, r e v .e d .( 19 5 6 )p p . 110~ 1 1 4,117~123.