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新しいアイデアを重ねて自分だけの表現をつくった D さん: 4 年 3 組

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新しいアイデアを重ねて自分だけの表現をつくった D さん: 4 年 3 組
SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
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新しいアイデアを重ねて自分だけの表現をつくったDさ
ん : 4年3組「ことばを動きであらわそう!アニメ道場」の
実践より(II教科主張・授業実践)
杉山, 哲也
研究紀要 : 自分らしくなる. 2008, p. 92-97
2009-05-15
http://doi.org/10.14945/00003671
publisher
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新しいアイデアを重ねて自分だけの表現をつくったDさん
4年3組「こと1まを動きであらわそう!アニメ遭場」の実践より
杉山 哲也
<チビもたちへのとらえと貴い>
「とらえ」
身につけた技法を、組み合わせたり駆使したりして最大限に活用することで、自分が表現したい思いを表そ
うとする姿勢をもっている。
「廉い」
新しい表現の分野においても、身につけた技法を組み合わせたり駆使したりして、最大限に活用し表現する
ことで、その取り組み方をさらに確かにしてほしい。
<敵材について>
【素材の魅力・価値】
クレイアニメという養親方法の魅力
ただの粘土が生きているように動き出したり、次々と形を変えたりていく楽しさや魅力は大きい。「色」や「形」という要
素とは違う「動き」をつくるという活動は、新鮮な体験であり、意欲をもって取り組むことができる。
動きによる養親に焦点化するための課且と制約
①「ことばを動きで表現する」という課題に取り組ませる。動詞(「落ちるJ「走る」「まわる」など)と、副詞や形容詞(ぐ
にゃぐにゃ」など)だけの一文をつくり、そのことばに沿ったクレイアニメを作る。
②粘土の色と形を制限する。粘土の色は選んだ1色に限定する。形もはっきりと要素を作り込まない簡単な形と限定する。
③1コマずつ必ず形は変化させることとする。r動き」を「形の変化」「変化をともなう移動」とおさえる。
単純化した一文や素材により、動きのみを表現の対象にすることが明確になる。
集作と義賞を繰り返す造形活動
アニメーションは1コマ1コマ作って撮影する過程と、コマをつなげた映像を鑑賞する過程を繰り返すことで、客観的に自
分の表現を振り返ることが、できやすい。
【教材の本賞】
ことば(動詞・形容詞・副詞)をあらわす動きは、1つではないこと。
教材名「ことばを動きであらわそう!アニメ道場」
【教材の概要】
自分が選んだことばを、「形の変化」と「変化をともなう移動」という粘土の動き(クレイアニメ)
で表現していく。
<敵材化に込める蠣い>
【教師の関わり】
教師の作例を見る。課題や制約
について理解できるようにする。
修飾帝と動詞をたくさん書いた掲
示物を準備する。
撮影方法やアニメ作りの基礎につ
いて、必要に応じて技術支援をし
ていく。
・中 間 発 表 会 を 設 定 し 、 動 き と こ と …
童
ば の 結 び つ き を 振 り返 ら せ る 。
u L ■′
「本当にことば通りの動きになっ
ているか?」と投げかける。
・自分ならではのクレイアニメの動きをつくりだす 。
・身 につけた技法を最大 限に活用していく表現 方 法をより確 か lこしていく。
−92−
く2本目のクレイアニメ をつくろう!〉
①
どて
‖ぐ
。のんし
加持虹か円卓l右
︰︰︼︰
れを考える。
「ひらひら落ちる」と
ことばを選んだ。ひちひ≡≡・2つのものを動かすの
らは左右にゆらして表現Hは大変なのかな。
しよう。 ::
脳描脳酢腿
Yフ’フ
⋮=凱:
目りが
あ戦
︰カ ○う
︰ンたよ
ガけし
即鐙
⋮なや
Tフき
︰そ動
︰ろら
海容
訂
進む)という題をつけま う。(2つのことばを選び、文を
不恩義な植物:
が移動しない:
ん形が変化;
アニメ
一
●
■
]
ことば(尾の一文) から絵コンテ(動きのイメージスケッ
チ)をつくっ てみよう。>
い複びぢ六三た ̄::ひ皇 ̄ぢあも 扇ぎ二 ぐちぢ::ロ画面ゐ曾三石;ぢど こへ
■−ヽ■′ ̄′ヽ■▼ ▼■■LlL′
い ものの方がう
らがえっ;;いて1つになったり、ま::伸びtいくことたしよ
たり、ぐにゃぐにゃしたドたはなれたり はねとばHか。上に伸びるだけで
■ヽ− ′ ヽ t■ヽ’■lTヽ′ 、 ▼ ヽ ヽ− L ▼ヽ−l−′l■ヽ
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︳.V
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りして自由に動かせそ目されたりする動きがおも:;主頑や下i
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甘茶や ちたが立体的lご::す皇一石あも あを南 時i三毒針:ひ ̄「ぞ1三号ぐに盲j
空中の動きをあらわすの::かすのは無しいけと、て::機的た動かすととや衰適
は攣Lt、仁平をtLをもHっ?いたり、享た離れたHているぞ。さらに茎を一
のを上から撫れば、患い;;りするのは 自分や見て;:回転させ七から∴帝圧し
喜軋り_、 きく動かせ墨ぞ。」喜ふおもしろ
⑦⑧
芸二二」 ̄■■’J
く友だちと見せあおう(中間発表会)〉
ガンガンということばが、動きで表せていない。
粥仰ぎご苫甜睨長長音読者柵雪
与とげ▲(饗名や文)と内容がつながっていない。 .
なめらかだっ.た鼠、_動き劇派手だ
⑨⑳⑧
きになっているかな〉
■
ひなぢ守も\衝く
●
一
に
流
●
。風
よ.
え
たりち
e複 っている
青葉に合う動きを考
ひらひらを、裏返った
されたりする動きで、
した。
鼻もしろい。_
f加でゝ
〈本当に×××な
やんと表
みんながわかるように1コマ1コ
ヱ少しずつ農地さしたふ__……●●
聾
「ガンガン」という青葉と関係ない:
動きになってしまった。(動詞は表;
現できても、形容同が表せていな:
い。) :
動きがギクシヤクしていたり、小さ:
カミュた曳._見づらいな. :
 ̄: ̄ごどば視て●ダニ滞ぼぢぎう ̄ぎ尊号斬;Cたち: ̄葡ぎが青葉ど青首ヂCモモ
きたも(ガとタンを攣しく動かすことで表現できた。) :
やっぱりこの動きでいきたい。セもも つと伝わるように一部作り直そう。
童∴ヨヱ申つな炎り.を注象したら、
ー亡はこてぎつに卿亨刀ヽてさて†■足し7こ。
つていろいろな動き方に変わるんだな。
同じ「ひらひら」でも様iな動かし方かあるんだな。
またアニメを作ってみたいな。たくさんの人に作品を見てもらいたいな。
(昼休み) く完成したら
l
上映会をやろう〉
・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一l一一一一一一一●●−●一一■一一●■■−■■■■−●●●一■−________
見た人が「よかったよ。」「上手だね。」とはめてくれた。うれしいな。
「題名の青兼が動きで表されてるね。」と言われた。伝わってよかった。
動かし方を気をつけることで、見る人にことばが伝わりやすくなるんだな。
見る人に自分の伝えたいことが伝わると楽しいな。
■■●■一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一■■●一一一一一■一一■●−
−93−
雫衰芸華
【全体の追究】
1.Dさんへの願い
Dさんは、図工での絵や工作の表現が大好きだ。「4年生になって○○なわたし・ぼく」というテー
マで自分の顔を描いた時は、肌の色を緑にするというアイデアで絵の具の濃淡や白を使って、いろいろ
な緑色を作り顔を描いた。髪の毛にも緑に青や赤を入れ描いたが、絵の具の量が多すぎて思いがけずロ
ングヘアーになってしまった。実物と全くちがう髪型だが、Dさんは、単純ではなく複雑に混ざり合っ
た髪の色や、乱れた髪の形に満足してそのまま完成とした。
試しのアニメ作りでは、Tさんと2人でアニメを作った。Tさんが主導でウルトラマンと怪獣とUF
Oがお互いに戦いあうというストーリーをアニメにしていた。ところがTさんが休んだため、続きをD
さんが1人で作ることになった。彼は突然巨大な「りんご」を参戦させ、UFO、ウルトラマン、怪獣
と戦わせ、勝たせてしまった。
新しいアイデアを考えて、意外でありえないことを表現しようとするのがDさんらしさであり、私は
そんな彼の表現方法に魅力を感じていた。
この「ことばを動きで表そう!アニメ道場」は、「こんなアニメにしたい」というイメージをことば
にして、1コマ1コマを積み重ねてつくった動きによって表現するという教材である。この教材には色
や形ではなく、動きで「造形表現への思い」を表すという要素がある。動きによる表現に対象を絞りた
いがため、様々な課題や制約を設定した。
教材に出会ったDさんは、動きによる表現に夢中になっていくだろう。様々な課題や制約の中でも、
彼は意外でありえない動きを新しいアイデアを考えて表現しようとするだろう。しかし表現が進むと、
自分の「造形表現への思い」が動きとして表しきれていないのではと、ズレを感じるだろう。私はDさ
んがどんな動きをっくりたいのか明確になるよう関わることで、彼が自分の表現方法を見っめ直し、納
得のいく自分ならではの動きをっくりだしていくことを期待していた。
2.Dさんの造形表現への思い
第1時に、Dさんは「ぐちゃぐちゃ増える」ということば(題名)と、「大きな人間から小さな人間
がぐちゃぐちゃ分裂して増えていく」というアイ
デア(絵コンテ 図1)を考えていた。「ぐちゃ
ぐちゃ増える」ということばと絵コンテの図から、
粘土が有機的にうごめき、大きなかたまりから小
さな人が、次々と増殖していく動きが、私の頭に
浮かんできた。まさに意外でありえない動きをD
さんが考え出したことに、私はうれしくなった。
(←図1)
第2時から、題名や絵コンテをもとにしたアニメ作りが始まった。Dさんは迷うことなく1コマ1コ
マを撮影していった。しかしDさんが作っていたのは、絵コンテとは違う、1人の人間が2人に分かれ
るという動きだった。「たくさんの人が生み出され、同時にうごめく」という絵コンテのアイデアを気
に入っていた私は、(なぜだろう?もったいない)と思いながら、彼のアニメ作りを見ていた。
Dさんは「球」を登場させる。つまようじでさして「球」を空中に飛ばし、それを一方の人間にぶつ
けた。球と人間の粘土は、ぐちゃぐちゃと融合し、巨大な人間に変化する。(図2)そして、さらにも
−94−
う1つの「球」を飛来させ、残りの一方にぶっけた。そちらは巨大化せずに、今度は二っの人間に分裂
する。その次は、巨大な方の人間が、突然(っまようじで)空を飛び始め、残る分裂していた二人に激
突し、三者は巨大な一つの球になる。
(図2)
人の数は増えないが、Dさんのアニメは、次々と新しいアイデアが、加えられている。全て同じアイ
デアの繰り返しはない。また、雑に見えても1コマ1コマのつながりにはこだわりが見られ、つなげた
動きは実になめらかである。
Dさんは、絵コンテ通りのアイデアは使わず、ひらめいたアイデアをどんどん動きにしている。彼が
表現したいイメージを、私は「たくさんの人が生み出され増えていき、ぐちゃぐちゃと有機的にうごめ
く動き」と考えていた。だが迷いなく、つながりにこだわって取り組む彼を見て、彼の表現したいイメー
ジとは「粘土の生き物が、増えたり減ったりするなどして、不規則に動きまわること」なのではないか
と思い当たった。「ぐちゃぐちゃ」「増える」という題名のことばとは一致しない部分はあるが、夢中に
なって不規則な動きを作る姿は、「新しいアイデアを考えて、意外性やありえなさにあふれた作品を作
る」Dさんらしさが発揮された姿だと感じた。彼はこの日の製作日記に、「今日のアニメ作りは95点。
人間が増えたり、くっっいたりするところがうまくいった。」と書いた。彼自身もこの日のアニメ作り
に手応えを感じているのだ。
3.自分の取り組みを振り返る
(1)新しいアイデアが出なくなる
第5時と6時にDさんは続きを作り、作品は完成したと言う。この時間に作った内容は「大きな球か
ら次々に人が出てきて9人に分裂する。その後また巨大な人が横から来てぶつかり、そこから11人にま
で分裂する。そして最後は11人が2列に整列して、その後くっっいて1つになる」というものだった。
「増える」ということばを表すため、分裂する人数を増やして作品を完成させたのだろう。
しかし、私はこの時間作った動きの中に、新しいアイデアがないことが気になった。その日作った動
きは、既出のアイデアを繰り返しただけだった。また不規則でなめらかな動きも見られなかった。Dさ
んらしい新しいアイデアの連発で、作品を終わらせてほしいと感じてしまった私は思わずDさんにこう
言った。「これで終わりって言われても、なんだか終わる感じがしないなあ。」「なんで?」「だって11人
がただならんでおしまいって言われても、ちょっとさびしい気がするな。」「そうかなあ。」「もっとDさ
んらしい、新しいアイデアで終われないかなあ。」「うーん。」
−95−
その後Dさんは、私と一緒に「ボーリングのピンに11人を見たて、球で吹っ飛ばす」というアイデア
を考え、新しい結末を作った。だがどうしても11人を同時に苗にばらばらに飛ばすことができないと、
彼は追加した新しい結末をカットした。
このことから絵コンテに書いたように、Dさんにも「たくさんの数の人が同時に不規則にうごめく」
というイメージはあり、動きにしたいと感じていることは理解できた。だが実際に作ってみたら、たく
さんの人を同時に、不規則に動かすことはとても難しく、あきらめようとしていたのだろう。
製作日記にDさんは「今日は100点。いい作品が完成した。」と書いた。100点の表現ができたと自己
評価することで、「これで十分なんだ」と、自分に言いきかせているかのように私には見えた。
(2)自分の表現方法を見つめ直すDさん
第7時と8時で、そこまでの作品を発表する「中間発表会」を行った。それぞれの作品についてい
いところや問題点を出し合う場を設定した。子どもたちは「動きはことば(題名)をあらわしているか?」
「見る人がおもしろく見られるか?(・ピントがあっているか?・背景のはみだしなどミスがないか?)」
という2つの視点で感想や意見を出しあった。
ここでDさんの作品には「アイデアはおもしろいけど、題名とちがう動きがありストーリーがわから
ない。」「つまようじが写っているのはまだいいけど、指や手が写っているのはみっともない。」など問
題点を指摘する意見がたくさん出された。
彼の表情からは落胆を感じた。「完成した」と書いた彼だったが、「たくさんの生き物が同時に不規則
にうごめく」という自分のイメージを表現しきれてはいないということは感じていたのだろう。友だち
の感想をきっかけに、自分の不完全な取り組みに向き合うことがおきたのではないだろうか。
Dさんは、この日の製作日記に「作ったアニメは作り直した方がよいところもある」と書いた。「ぐ
ちゃぐちゃ」ということばや「たくさんの人が同時に不規則にうごめく」というイメージを、自分らし
い表現方法で表そうと、力を出し切ってきたのかと見っめ直しているのだ。
4.ことばに沿って、伝わるように新しいアイデアを出していく
第9時に、作り直そうとしているDさんに私は関わった。落胆していたDさんに、彼のよさに自信を
もってもらいたいと思ったのだ。
「今日はDさんはどうするつもり?」「作り直す。」「それはミスをなおすため?それともことばがあら
わせていないから?」「うーん、指なんかうつってるって言われたから。」「Dさんはいっもすごいアイ
デアをどんどんだしていい作品を作ってきたよね。先生はこのアニメもたくさんアイデアが入っててお
もしろいと思うよ。指とかうつってたって別にいいと思う。」私の言葉にDさんは微笑んだ。
しかし自分のことばを表しきれていないという指摘は、どう受け止めているのだろうか。私は更に、
聞いていった。「でも、ぐちゃぐちゃ増えるということばは動きで表されているかな?」「うーん。表せ
ていないところもある。」「じゃあ、そこをDさんの新しいアイデアで作り直したらどうだろう。」「わかっ
た。」
Dさんは最初と最後の部分を作り直していった。彼はまず「ぐちゃぐちゃ」という言葉を追究してい
く。作品の始まりに池(と彼が呼ぶ粘土の固まり)が落ちてくるという動きを新しく作った。池が「ぐ
ちゃぐちゃ」変形してうごめきながら落ちてくるという新しいアイデアである。(図3)空中で粘土を
変形させながら少しずつ落としていくという難しい方法だったが、Dさんは最後まで撮影した。この動
−96−
きには、空中での動きだったり、人数が増減しなかったりと、これまでとは異なるものを感じる。それ
は不規則な動きを作りたいという自分のイメージがよりはっきりとして、それを表そうと考え作られて
いるからではないだろうか。
また最後の場面に加えたのは、次々と生まれ出た小さな人間たちが「ぐちゃぐちゃと動き、縦にやぐ
らを作る」⇒「ぐちゃっとくずれる」というアイデアである。(図4)たくさん分裂した粘土の人が有
機的に、ばらばらにうごめくというのは、一度はあきらめた動きだった。9人という人間を1コマずっ
同時に動かすのは、大変な根気と丁寧さが要求される。だがDさんは20コマ(2秒)の動きを作り上げ
た。それができたのは自分の「たくさんの生き物が同時に不規則にうごめく」という動きのイメージを、
今度こそ作りあげたいという強い気持ちが彼にあったからではないだろうか。
またDさんは「アイデア」を思いっいた端からつけたしてできた内容を、客観的にわかりやすい流れ
に、場面をっなげ直した。「大きな固まりが最初に落ちてきて、そこから次々と小さい人が生まれる」
というわかりやすい流れに変えたのだ。そこにはDさんの「自分の出したアイデアをどう見せれば伝わ
るか」という工夫があり、これは一生懸命考えたアイデアを大切にしたい、という気持ちのあらわれだ
と感じた。
改良した作品を完成させたDさんは最後に、「今度こそ満足のいく楽しい作品が出来た」と日記に書
いて作品作りを終えた。
5.Dさんの学び
Dさんは、新しいアイデアを考え動きにしていくことを楽しんでいた。自分の抱いた「造形表現への
思い」を動きとして表しされているかというという点では、すっきりしないものを感じながらも、作品
を完成としたDさんだった。
しかし「楽しいところもあるけど、ことばが表しきれていない。」「ミスがある」と友だちに指摘され
たことで、彼は自分の「造形表現への思い」と動きのズレを自覚した。そして教師の関わりで「新しい
アイデアを考えて、意外でありえないことを表現したいと考える」自分らしさを発拝して、動きを作り
直していった。
そしてDさんは「たくさんの数の人が同時に不規則にうごめく」「ぐちゃぐちゃ動く」という自分の
「造形表現への思い」を、新しいアイデアを考えてあらわすことで、動きとして完成させた。
Dさんは今度こそ「造形表現への思い」を、表しきることができたと、喜び自信を深めている。それ
は「新しいアイデアを考えて、意外でありえないことを表現しようとする」Dさんらしさがより確かに
なった姿だと、私はとらえている。
−97−
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