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HTMLが生み出す新しい知的資産

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HTMLが生み出す新しい知的資産
Hl
・
MLが生み出す新しい知(i'
1n,
m(長谷川)
HTMLが生み 出す新しい知的資産
長谷
川
芳典
1.はじめに
本稿は、インターネット上のホームページ作成言語として知られる
HTML(HyperT
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g
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)が新しい知的資産の形成にきわめて有効であることを論じることを目的とする。また、
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l
J
勉¥点についても指摘することにした
現時点においてインターネットを研究活動に利用する上での I
。
、
し
近年、パソコンの低価格イむとプロパイダの多角化によって、研究機関や公共団体や企業はもとよ
り、一般家庭でも電話回線を通じてインターネット上のホームページを自由に見ることができるよ
うになった.そして、単に受け身的に情報の網を渉猟するだけでなく、みずからホームページを開
設し、研究機関であれば学術情報を、公共団体であれば生治情報を、個人であれば家族の知介や自
分の趣味にかかわる情報などを提供しようという動きが飛錨的に地大しつつある。
HTMLは、そう
したホームページを作成するために利用される代表的言語である。部分的に別の特殊な曾簡を利用
することはあるが、文字や画像からなるページのさま本部分は、まず例外な< HTML雪踏で記述さ
れていると断言しても過言ではないだろう。
しかし、入門書などでは、インタ ーネットとの結びつきばかりが強調され る傾向がある。最近出
版された関連書籍のタイトルを NACSI
Sの和書検索システムで追ってみても、『インターネットホ
WWW/
HTMLJ、 nI
T
ML入門:
WWWページの作成と公開 j、rHTMLでク ールな Webページを作ろう J.…・・と いうように、ホ
ITML
ームページの作成の手段としての HTMLという側面がアピールされている 。そこで本稿では、 I
ームページデザイン:インターネットエンジェルたちのための
がインターネットとは無関係の部分で知的資産の形成にいかに有効でレあるかという点を強制してい
くことにしたい。
2. HTMLの基本
初めに HTML
の基本的な特徴を述べておこう。
2
.1
. HTML と他の用語との関係
まず
HTML自体にふれる前に、 HTM
Lが、インターネットや WWWやホームページとどう
いう関係にあるのか明確にしておこう.
- 37-
インターネットとは、冷戦時代のアメリカで、核攻務によって中途の通信回線が破壊されても、
生き残った回線を利用して最も効率のよい経路で目的地まで情報を伝えることのできるシステムと
して開発された。しかし現在では、むしろ学術自的の情報交換や商用に利用されている。岡山大学
の場合は、建物の天井に張り巡らされたイーサネットケーブルをパソコンの専用ボードに紫ぎ、 I
P
アドレスを取得し、所定のソフトを起動することによって、学内 LAN (
L
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lAreaNetwork)
から SINET経由でインターネットを利用することができる。 t
託部i
l
liJ線を経由しないので、接続時
間に応じて電話代を支払う必要は会くない.また、大型計算機も経由しないし、特定のプロパイダ
と契約する必要もないので、 1日中利用したからといって研究費から何らかの課金が差し引かれる
というようなことはない(裏を返せば、その利用形態はひとえに研究者の良識に委ねられていると
いうことになる)。いっぽう、定期保守作業や事故のため LANサーパや SINETが停止すると学
J
接続ができなくなる点が、電話回線利用の場合と災.なる。
外には--l;I
次に、 W W W(
WorldWideWeb) とはインターネットムの情報公開システムのことで、これを
介して後述する HTML文書を説んだり、画像を眺めたり音声を聞くことができる。このシステム
上で稼働する情報探索用のソフトウェアは W W Wブラウザと呼ばれ、代表的なものとしては、 N
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Communicat
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s社のネットスケープ・ナピゲー夕、 M
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t社のインターネット・エクスプロ
ーラなどが知られている。“ WWW" は、“ウェプ"、“ダブリュー・スリー"、“ダブダブダブ"など
と発音されるが正式の呼び方は特に定まっていないようである。インターネットでは、 W W Wのほ
か
、 T
e
l
n
e
t
、FTP
、G
opher、電子メイル、ネットニュースなどのサービスを利用することができる。
但し、それらは全くの別物といつわけではなく、最新の W W Wブラウザを利用すれば、大概のや
りとりができるようになっている。
a
g
e
)とは、
もうひとつ、ホームページ (HomeP
www上の情報発信拠点となるファイルの(集
合体)のことを言う。ファイルには、文書を文字列だけで表したテキストファイル、写真やグラフ
を表す阿像ファイル、声や音楽を録音した音声ファイル、ビデオやアニメなどの動画ファイルなど
さまざまなファ.イルがある。文書以外のファイルを単独で表示することもできるが、通常は文書に
貼り付けられたものを説明文とともに参照することになる。 HTMLで若手かれたハイパーテキストフ
州象を W W W上て最も効率的に表示するための基本をなすファイル
ァイルは、このような文書や i
である。
2
.
2
. 簡単な HTML文書
次に簡単な HT
:
:
v
1
L を例示しておこう。 HTMLとi
ま、“ HyperTextMarkupL
anguage"の略
であり、しいて和訳すれば“ハイパーテキスト・マーク付言語"ということになる。考案者は、 Tim
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Lee氏で、現在では CNRI(TheC
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9
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)。コンビュータの言語というと C言
語や L
i
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pのような難解な雷訴を想像しがちであるが、実際にはテキス卜ファイル(文字列だけの
ファイ lレ)の一部に t
a
gと呼ばれる修飾記号を挿入したようなもので、パソコンのワープロソフト
を使いこなせる者であれば谷易に修得できるごく簡単なルールから成り立っている。
、
- 38-
HTMLが生み出す新しい知的資産{長谷川)
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>関 3aに、各バイクの駐車鎖皮分;衛を示す.…..・
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中途略l…・・会体の47%を占めた.
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>きて、現実的な量延滞.に立つならば…… [
中途略]
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…全体の54.4%をに相当する.
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…
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中途略]…・・便宜的な呼称を与・えた.
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図1
例えば、図 1のような“発表概要"を HTM
Lで作成するには 、表 lのようなテキスト文書を、
ワープロやエディタで作ればよい。
要するに、テキストファイ Jレと異なる点は、 HTM Lファイルの文頭に
くHTML><
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ファイルの文末に、
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/HT
ML>
というように、始まりを示すく
〉と、終わりを示す</
>という、タグ (
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g
) がつけられ
MLファイルに変換するのであ
ていることにある。つまり、文書だけをテキストファイルから HT
れば、文頭と文末にこれらのタグを付加すれば事足りる。なお、 これらのタグがつかないテキスト
ファイルをブラウザで読み込むこともできるが、ウインドウズ窓の右端での折り返し機能が働かな
くなるため、 1段落が 1行となり、長大な横並びの文字列が窓の枠内に入るところだけ部分的に表
示されてしまうようになる。
このほか、表 1では、タイトルをセンタリングするための <
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>…・・・</c
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>、文字を大き
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>…… <
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>、改行を入れるための <BR>が付加されている。もうひとつ、グ
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ラフの表示を指示するくIM
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> というタグがある。グラフを表示
するためには、作図ソフトなどで作成した画像 を文書ファイルとは別ファイル(図 1の例では “
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g
i
f
"
) として保管しておく必要がある.
3
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2
.
3
. ワープロ文書との違い
テキスト文書が容易に HTML文書に法換できることは上に述べたとおりであるが、文字を修飾
したりいろいろにレイアウトを施したワープロ文書と HTML文書はどこが違っているのだろうか?
第 1に、それを説む手段が異なる。ワープロ文書は、ワープロソフトを起動して眺めることもで
きるが、最終的には紙に印刷 して読む。一方、 HTML 文書は、パソコンから
wwwブラウザソ
フトを起動して読む。その内容を紙に印制することもできるが、それでは後述するようなハイパー
テキストの良さを活かすことができない。
- 3
9ー
第 2に、HTML文書ではレイアウトが可塑的になる 。ワープ ロを用 いて印刷された文書手は 、レイ
アウ トが決 して変わることがない。
縮小や拡大 コピー をとることでサ イズを変えられる程度である 。
いっぽう、 HTML文書は 、説み手側のブラウザの設定によ って見え 方がかなり変化する 。例えば、
読み手がブラ ウザの窓を綴・
長に設定 してい た場合、図 1と同じ文書は図 2aのように 表示 され、文
章全体がグラフの右側に配置される 。逆に縦長に設定 していた場合、 グラフの様に回り込む文載の
景が少なくなり 、図 2bのよ うに表示される 。制作者の意図通りに改行を指示するタグもないわけ
ではないが、基本的には どのよ うな回り 込み方 を しても不都合が生じない ような可塑的な レイ アウ
トを想定 しておく必要がある。
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図 2 :I
苛ーの HTML文書でも、 読み手側の設定によ って見え方が変わる ことを示し た例。国 1と合わせて比較してい
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こだきf
こい
。
第 3に、HTMLでは明朝体とか ゴシック体といったフ ォントの指定ができない。どのフ才ン トで
表示されるかは読み手の設定に委ねられているからである 。制作者が指定できるのは 、大きさや斜
体、強調、点滅表示とい った基本属性にとどまる 。
第 4に、読み手が使用す るブラウザによっても 見え方が変わ ってくる 。図 3aは、舘.
者(
長谷川 )
のホームページの最初の画面
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年9
月3日現在のフロン トペー ジ) を N
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b7Go
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dで表示しモノクロ印刷 したものである 。図 3bは、M
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tイン ターネ ット エ クスプ ロ
u
s
tViewv
e
r1
.
1で表示したものである 。
ーラ初期パージョン 、また図 3cは、ジャストシステムの J
制作者は、図 3aのような画商を想定 しているが、表機能や画像の配置に違いを生じる こ とがわか
る。 なお、
1
9
9
6
i
f
.8月よりインターネ ット 上で無償菌防7
が開始された Mic
r
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f
tインターネットエ
.
0では 、表枠の表示 などに微妙な違いはあるものの悶 3aとほぽ閉じ見え方にな って
クスプロ ー ラ3
いる 。
第 5に
、 HT
ML文書では写真やグラフなどの画像が自由に貼り込めるという点を強調しておこう 。
、
-4
0ー
HTMLが生み出す新しい知的資態
1
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C
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(長谷川)
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古
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匡ヨ倒閣m
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位!:!J.l;~:民会'~~J~;V,,~叙:~e~liifl;r.~'" .rlll凪-,U~・ s・川組
1
虫::2Il~~;! \<,,,~・世21品官官RF42f以占f'1.tJ.‘弘
~-r.!-rê.U.l':n'f/.軌嗣H
懸罷:撚ir'~li,w!S,笠iz;E法務締結!t
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,
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臼
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"
"
"
'
"
・
3a
3b
3
c
図 3:
r
司ーの H
TML文書でも、読み手が使用するブラウザの種類やパージョンによって見え方が遣ってくる。図 3a
草、筆者(長谷川)のホームページの最初の画面 (
1
9
9
6年 9月 3日現在のフ ロントページ)を Ne
t
s
c
a
p
eN
a
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i
g
a
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r3.
0
i
、 Mi
c
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f
tインターネットヱクスプロ ーラ初期パージョン 5、ま
b
7
G
o
l
dで表示しモノクロ印刷したもの.図 3bは
た図 3c
l
立、ジャストシステムの J
u
s
tV
i
e
wv
e
r
l.
1
.なお、各社の級新のパージョンではほぼ図 3aと問機の見え方
をするようになってきた.
写真を取り込むには、プリントされた写真をスキャナで読み込む方法、ネガフィルムをフィルム専
用スキャナで読み込む方法、デジタルカメラを利用する方法、ビデオ映像を取り込む方法などがあ
る。グラフ の場合には、専用の作図ソフトで作成した間像を用いる。いずれの鵠・合も、画像ファイ
J
レl
立
、 j
p
g(ジ ェ イ ペ グ)または g
i
f(
ジ フ)というい ずれかのフォーマットで保存する . このうち、
j
p
gは 2
4ビット色 (
1
6
7
7万7
21
6色)に対応した圧縮フ 才一マッ トであり、少ないサイズで鮮明きを損
なわずに力ラー画像を表示するのに適している 。但 し 、 総 や 文 字 を 含 む 画 像 は 圧 縮 の 過 程 で に じ み
見にくくなるという総点がある。いっぽう、 g
i
f
'ま色数が2
5
6色までしか表示できないためカラー写
真の表示には不向きではあるが、圧縮前と後で画質が変わらないので、色数の少ないグラフなどの
表示に向いている。
図 4に 、 圧 縮 率 を い ろ い ろ に 愛 え た 場 合 の j
p
gのサイズと、 g
i
f、 及 び Windowsの 標 準 フ ァ イ ル
bmp) と比較した結栄の一例を示す。カラー写真 (
1
6
1x3
0
1ピ
形式であるピットマップファイル (
クセル、版画のサイズはおおむね 6cmX1
0
.
5
c
m
) の場合、 bmpフ ァイルでは 142KB ものサイ ズに
なるため、
2HDフロ ッピーディス クは 1
0
枚も保存したら 一 杯にな ってし まうが、 75%に圧縮した
縫合の j
p
gファイルのサイズはわずか 1
0,
7KBに縮小する 。 このサイズであれば 2HDの フ ロ ッ ピ
0
0枚 以上を 収 納 して、インターネットが接続でき ない研究機関に郵送する ことも でき
ーディスクに 1
る。いっぽう、モノクロのグラフのように色数が少ない画像は、 g
i
fフォーマットを用いる 。回 4の
下段の棒グラフは、 2
20X220ピクセルの白背燥に描かれた円グラフ図版のファイルサイズを比較し
・
・
JH1HHEn-十H 44
- 41-
,
a
p
gは色数の変更ができないのでかえってファイルサイズが大きくなってしまう。
たものであるが、 j
しかも特有の “にじみ"現象が出てしまう。これに対して bmpでは 6.1
KB、さらにこれを g
i
fで
保管することによって、画質を落とさずに 2
.
1KBまで庄縮することができる。この他 g
i
fでは、簡
単な動画を作ることもできる。
なお、 jpgファイルの圧縮に伴う間質の低下の度合いを表示することは本稿のような印制物上では
不可能である。長谷 I
JI
のホームページ(長谷川
、 1
9
9
6
) 上で同ーの画像の比較例 を公開しているの
でそちらを 参照され たい。
団カラー写真
BMP
国モノクロ図版
GIF
JPG1
0
0
JPG75
J
PG25
。
5
0
1
0
0
l
ω
200KB
図 4:
圧縮率をいろいろに変えた吻合の j
p
g及び、 gi
f
、ピットマ ップファ イル (
b
m
p
)のサイズの比較.各棒グラフ
1
6
1
X
3
0
1ピクセル、原函のサイズはおおむね 6cmXI
O.
5
<
:
m
)、下段はモノクロの円グラフ (
2
2
0X
の上段は、カラー写真 (
2
2
0ピクセルの枠内)の渇合を褒す.カラー写真の取り込みには、イメージスキャナ C
a
n
o
n
I
X
4
0
1
Sとその専用続み込
c
a
r
可C
r
a
f
t"
、加工はツァイトキ土の“S
u
p
e
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K
i
d
9
S"
、パソコ
みソフトとしてインターネットを通じてダウン ロー ドした“S
C
e
l
eb
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L
51
3
3
S
T
"を使用した。円グラフの作成は、ジャストシステム祉の
ンは日本デジタルイクイプメント社の “
e
r
l.
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in
d
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s
'
"で作成したものを画像クリップして、上述の“S
u
p
e
r
K
id9
S
"に貼り付けて加工した。
“三四郎v
立、原図のサイズや性質によってさまざまに変わるので、あくまで一例として理解していただ
なお、図中の機輔の健 l
きたい。
第 6に、声や音楽などのファイルを貼り込むこともできる。例えば HTML文書の中に
くA HREF=
"music/music.mid") m
u
s
i
c
.mid <
/A)
と記述されていたとする。“ music
.mid" という midi背楽ファイルが“ music" というディレクト
リの 中に保管されていて、 mi
d
iファイ jレを再生できるブラウザとパソコンがあれば、画面上の“旦些並ニ
mid" という部分をクリックするだけで、気軽に音楽を聴くことができる。あるいは JAVAS
c
r
i
p
t
を用いて
<EMBEDsrc="music/music.mid"width=51height=1
5controls=smallconsoleau
tost
a
r
t=
t
r
u
eloop=true)
と記述されていれば、その HTML文書を開 いた直後から音楽が流れ始め、ストップボタンを押さ
ない限りは何度でも再生を繰り返すようになる。自分のパソコンのハードディスク内に音楽ファイ
ルが保管されている場合にはファイル名をクリックするだけで再生ができるため、上記のよう 4
こわ
ざわざ HTMLに貼 り込む必要はないかも しれない。しかし 、音楽は著作権の問題から、 簡単には
複写できない場合が多い。音楽作品を論評するような時は、上記のようなローカルリンク(次章参
照)ではなくインターネット上の配布元にリンクさせれば、不正コピーを回避することができる。
例 え ば、配布元が仮に“http://www.o
kayama-u.ac.jp/music/" というサイトであった場合に
- 42ー
HTMLが生み出す新しい知的資g
f
i(
長谷川)
は、著ー作権者からのゑ諾を縛た上で
<AHREF="music/music.m
i
d
"
>mu
s
i
c
.mi
d<
/
A
>
の代わりに
<AHREF=.
http://www.okayama-u.ac.jp/m
u
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c
/
m
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c
.m
i
d
"
>mus
i
c
.mi
d<
/
A>
H
というようにリンクを貼ればよい。
、 HTML文書はリンクが貼り込める。この特長は本稿の主題とも関連する決定的な違いで
第 7に
あるので、次の掌で詳しく論じることにしよう九
3. HTMLにおけるリンク機能
HTMLの最大の特長は、リンクスポットを作成できる点にあると言われる (
S
a
c
h
i、1
9
9
5、P
.
2
9
)。
これは、文書
手 中の特定詩句あるいはアイコンをクリックすると、別の画面に切り替えられる機能で
ある。大きく分けて 3通りのリンクがゐる 。
3
.1.同一文書内へのリンク
第 lに、同一文書内の指定箇所へのリンクである。これは例えば長大な論文の冒頭の目次にある
立、目
“主主主"という詩句をクりックすると、直ちに第 3章に移動できるものである 。この機能l
次部分に
<AHREF="#Sec3"> 3. 第 3鴬 <
/
a
>
というタグをつけ、一方本文の第 31
章震の見出し部分には
<
L
I
> <ANAME="S氏
e
c
3
'
勺 第 3章〈υ
/A>
というタグをつけることで実現できる 。 ワープロ文書内でも、マー ク機能十ジャンプ機能を使えば
よく似た操作をすることができるが、文書内の語句をクリックするのではなくワープロソフトのコ
マンドとして実行するため手聞がかかる。
3
.
2
. 同じハードディスク等に保管されている別の文書へのリンク
これは、ふつうローカルリンクと呼ばれている。例えば、自分のコンビュ ー タのハードディスク
1
9
9
6
a
)
" という論文があり、その文中に引
のあるディレクトリに HTMLで記述された“長谷川 (
用された“長谷川 (
1
9
9
1
c
)は……"という部分をクリックすると、被引用論文がただちに画面に表
示されるような仕組みである。この機能を笑現するには 、まずノ、ードディスク内に 、 2つの論文が、
“
H
a
s
e
g
a
w
a
1
9
9
1
c
.HTML"、“ Hasegawa
1
9
9
6
a
.HTML・-というファイル名で保管されているも
9
6
a
) の引用記述のところを、
のとし、“長谷川(l9
H
<AHREF="Hasegawa1991c.HTM
L
.HTML
勺長谷川 (
1
9
9
1
c
)<
/
a
)は…
というようにタグをつければ事足りる 。
なお、上の事例ではパソコンのハードディスクの場合をあげたが、同じ内容のファイルが
www
サーバのディスクに保管されており、外部からインタ ーネット経由でこれを読み込んだ場合でも、
まったく同じ移動が可能である。
-4
3-
3
.
3.インターネッ ト上の別のホームページへのリンク
インターネットに接続しているコンビュータでは、
HTML文書中の語句などクリックすると、全
〈別のホームページに移動することができる。例えば、岡山太郎という人的ホームページに掲載さ
1
9
9
1
c
) は・
・
… "という引用記述があり、原著論文が
れた論文に、上述と同じような“長谷川 (
h
t
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p
:
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/WWW.okayama-u
.
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c
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/me
mb
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h
a
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/
h
O
u.HTML
というホームページに掲載されていたとする。
この場合、岡山太郎の論文の中で引用記述に
<AHREF=..
h
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W
W
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/
h
Ou
.
HTML")
長谷川 (
1
9
9
1
c
) くl
a
>は
・
・
というタグをつけておけば、インターネット上の混雑や障害がない限りは、直ちに、長谷川のホー
ムページに掲載された元の論文を参照することができるのである。
3.
4
. 印刷物、ワ ープロ文書と HTML文書
以上のリンク機能をもとに従来の印刷物と
HTML文書との関係を集会の包含関係として表すと、
図 5のようになるだろう。この図では、それぞれの枠内に含まれる文書等は、その枠の外の特徴を
すべて兼ね備えていることを意味している。すなわち、
HTML文書は、いちばん外側の巻物と閉じ
ように自を過すこともできるし、自次だけを付加することもできる。従って、
HTML文容である故
に笑現できないという要素は、読む方式の種類に限ってはない。但し、必ずブラウザを必要とする
ため、“:立の上で寝転がって読める¥“どこでも気軽に持ち運びができる"というような文庫本に含
まれる要素が欠落する場合もある。
4. HTML とインタ ーネッ トの独立性
本稿て特に強調したい点の lつは、
HTMLとインターネットの独立性にある。 HTMLで記述さ
れた文警は、インターネットに接続しなくても読むことができる。
例えば、筆者(長谷川)のホームページは、インターネット上では
http://WWW
.o
k
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.a
c
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h
O
u
.
HTML
という UR
Lを指定することでアクセスできるが、筆者自身のパソコンのハー ドディスク Cドライ
ブ上にも同ーのファイルがあり、このパソコンを使用する限りにおいては、
f
il
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I
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CI
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h
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me
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.HTML(
N
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e利用の場合。 M
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c
r
o
s
o
f
tインターネットエクスプロ ー
ラ3
.
0では“ C:¥home
¥h
O
u
.HTML")
と場所を指定するだけで全く同ーの画面を見ることができる。その際、ロ ー カルリンクはもとより、
インターネット上の別のホームページへのジャンプも全〈閉じ操作で笑現することもできる。自分
のハードディスク内でのリンクは回線の混雑の影響を全く受けないので、瞬時に移動が可能で、
ある。
HTML文書とインターネットの関係を音楽に例えるならば、 HT
ML文書は録音された音楽、イ
¥
-4
4ー
¥J
HTMLが生み出す新しい知的資i
l
l
i
(長谷川}
文書の始まりから終わりまで順番に文字列を追うもの ー『 巻物
目次をもと に見たい章や節に直ちにジャンプできるものー→ 目次つきの書籍など
あらかじめ用意された見出し穏やキーワード に基づいて所定のページにジャンプできるものー +索引っ
きの書籍、辞書など
任意の詩句を入力し、その語句が記述されている場所にジャンプできるもの ー→ ワープロソフト上
で読む文書、用例検索機能をもった CD-ROM辞書など
表示されたiID面から、同一著作物内の関連する別の商函にジャンプできるもの一時 間違検察機
能をもった CD-ROM辞書など
表示された画面から、別の著作物の関連箇所にジャンブできるもの 一司 HTML文書
図5
ンターネットはその再生手段の 1つ、例えば有線 T Vで音楽を聴くというものと考えてよいだろう。
有 線 T Vで音楽を聴くには、まず有線 T V会社と契約を結び、必要な工事を行わなければならない。
しかし閉じ音楽は、 C Dやカセットテープでも聴くことができる。その際の音質の違いは、パソコ
ン本体の性能やブラウザの違いに例えることが℃きるだろう。
そこで、例えば筆者のパソコンのハードディスク内にあるホームページ関連ファイルを何枚かの
フロッピーディスクに保管して、電話さえつながらない離島の友人に送ったとしよう。もしそこで、
電気が使え一定以上の性能のパソコンがあるならば、秘の送ったフロッピーディスク上のファイル
をハードテ・イスクに丸ごとコピーしてブラウザソフトを起動すれば、インターネットに接続して見
る場合と閉じ内容を表示することができるのである。唯一の違いは、インターネット上の他のサイ
トへの移動ができないだけである 。
5. インタ ーネ ットと独立した新しい知的資産の形成
前主主で指摘したように、 HTML文容はインターネットとは独立している。本;掌では、インターネ
ットには一切接続しない状態のもとで、 HTMLを用いてどのような知的資産が形成できるのかを考
えることにしたい。
5.
1.画像や音声の利用
すでに述べたように HTML文 書では
IMGSRC="画{象ファイル名">
く
というように文香中に画像ファイル名を指定するだけで写真やグラフを何枚でも自由に表示するこ
とができる。“何枚でも"と言っても無制限というわけではないが、パソコンの記憶媒体の容量を越
- 45-
えない限りは可能でるある。
印刷物を 刊行する場合は、印刷上コストがかかるというだけの理由から、カラ ー写真はもちろん、
モノクロの写真やグラフであっても掲載点数が厳しく制限されてきた。美学美術史の評論から、植
物学、動物学、あるいは皮膚科の症例検討に至るまで、画像ぬきでは十分な議論ができない分野は
山ほどあるだろう。また、印刷物は作りすぎれば資源の無駄になるし、不足したからといって再版
を出すには手間がかかる。今後の HTMLの普及はこうした印刷上の制約や無駄を解消するので、
画像を必要とする研究者聞のコミュニケーションを確実にするばかりでなく、資源の節約にも一役
買うことになるだろう。
このほか、 HTMLは心現学の実験にも新しい 可能性を開いた。従来、コンビュータで提示できる
画像は比較的単純な幾何学図形に限られていた。最近の高性能のパソコンを用いて、 HTMLで提示
する画像を指定すれば、 自然風景や人物写真ー
などについての知覚、記憶、印象などについての実験
を、特別のプログラミング技術を習得する必要なしに提示することができる。
ところで、画像というと、写真やグラフばかりが頭に浮かぶが、数式もひとつの画像として表示
できる点も忘れてはならない。従来、ワープロで複雑な数式を表示するには“ T
ex"のような専用ソ
フトを 利用するか、ワープロ内の “
数式作成ツー jレ"を起動してオブジェクトを作成する必要があ
った。しかし、 HT
MLで論文を響くのであれば、複雑な数式はみな白い紙に濃いペンで手書きし、
これをスキャナで読み込んで画像ファイルにすればよい。文章と数式だけからなる論文を書くので
2
. に述べたように、単純なテキストファイルの文頭にく HTML><HEA
D>、文末に、
あれば、 2.
</BODY>く/HTM
L>、改行はく B
R> を用い 、数式部分を
<
I
MGSRC="
数式画像ファイル名">
として挿入するだけで事足りるので、コンピュータの操作が比較的苦手と言われる純粋数学者でも
維なく利用することができるだろう。
HTMLでは声や音楽、ビデオなどの貼り込みが簡単にできることもすでに述べた。“声"の貼付
は、語学教材の作成、発音やイントネーションに関する雷語学や人類学の研究に大いに役立つ。“音
楽"の貼付は 、音楽関係の評論や民俗学の研究に有効であろう。ビデオはファイルサイズが大きく
転送時間などの関係から現状ではかなり制限があるが、動物行動学の資料やシミュレーション実験
の実演などに役に立ちそうである。
5
.
2.リンクの活用
第 3章で詳しく述べたように、
HTML文書は、巻物などと違って、行き先を自由自在に指定する
ことのできる特長がある。
ここでは、主要なリンクスタイルと考えられるものを 4通りに示し、その可能性を探ることにし
たい。
5
.
2
.1.用語解説型
最初にあげるリンクのパタ ー ンは、図 6aに示すように、本文の頁を順にめくるようなリンクと、
-46-
HTML が生み出す新しい知的資~(長谷川)
専門用語の解説に移動するリンクを組み合わせたものである。コンビュータソフトのヘルプファイ
ルなどは大概この形式になっている。
専門用語が多〈含まれた解説告などでは、用語の意味がわからずに無駄な時間を費やすことが多
い。しかし、だからといって、ページの脚注にゴタゴタと用時解説を付け加えたのでは、初心者は
喜ぶがある程度知識を身につけた税者・には冗長となる。そこで、専門用語をクリックした時だけ解.
説が表示されるようにすれば、みずからのレベルに応じて読み進むことができるので、読者・対象を
初心者・から専門家まで広げることができる。
このパターンは、他に、文芸評論などにおける注釈、語学教材における音声提示(単語をクリッ
クすると正しい発音が聞こえる)などさまざまな活用が可能で与ある.
a
:周鰐解説型
b:重点先行咋!
C:復数順路君主定型
関
6:HTML
文曾に布いて織成可能な主・~リンク スタイルを示す.枠内 li個々の HTML 文書、緩々の~線はリン
クを示す.
5
.
2.
2
. 重点、先行型
このスタイルは、自然科学の論文一般、新聞記事あるいは謀領のよい報告書一般に共通した段落
構成であり、
・各段落の先頭にはその段落全体を要約したトピックセンテンス(リード)を入れる。
・第 l段落には、その論文(報告書)全体の概要や目的を記す。
・結果や考察の章では、最も重要な結果ゃいちばん主張したいことを初めのほうの段落にもってく
る
。
といった特徴をもっ(木下,
1
9
8
1
参照)。
膨大な数の論文を読む必要がある研究者にとっては、個々の論文を推理小説を読むように初めか
ら終わりまで読み通す余裕はない。とにかく、その論文が“どういう目的で、何を対象とし、どう
- 47-
いう方法を用いて、何がわかったのか"を知ることが大切である。もし、自分のテーマにあまり関
係ないとわかれは読むのを打ち切る。非常に関係が深いものだけを精読すればよいのである。
新聞記事も同じであり、忙しい人は見出しと最初の段落だけ読んで何が起こったのかを知る。そ
れが自分にとって重要であれば、次の段落に読み進む。
このような織成を HTMLで笑現したものが図 6bである。このようなリンク構成にすれば否応
なしに重点先行型の構成をせざるをえないので、学生め論文執筆指導にも活用できそうである。
5.
2
.
3.複数順路設定型
例えば、動物闘を回るとき、図 6c~こ示すように、 “アジア地域に生息する動物を見る.. (二重線
でつなかれたコース)とか、“肉食動物だけを見る.. (波線でつなかれたコース)といったように、
見学者の興味に応じたコースを設定することができる。現実の動物園では、飼育合間の距離などに
よって理想的なコースの設定は殺しいが、 HTML文書で記述された解説書であれば、どのようなコ
ースも 自由 自在に設定できる。
5
.
2.
4
. 診断テスト型
各文書が質問形式になっており、読み手の回答が
Y
e
sか Noかによってリンク先を変えるよう
なスタイルてーある。例えば、将来肺結になるかどうかの危険性を診断するテストとして、図 6dの
ような構成を考える。質問 1では“あなたはタバコを吸ったことがあるか¥質問 2aでは“あなた
は今もタバコを吸っているか¥質問 2bでは“あなたの家族にタバコを吸う人がいるか"というよ
e
sと答えれば笑線で示す リンク によってお械の質問に移
うな文章を書き込む。そして、それぞれ Y
oと答えれば破線で示すリンクによって右下の質問に移動する。最終的にはいちばん右の A,
動し、 N
B,C,Dの部分の危険度と注意書を示す文書にたどり若〈。これは、 Y
e
sと答えるごとに 1点
、
Noと答えた場合は O点が加算された場合の合計点による分類と一致している。
5
.
2
.
5.その他
以上、図 6に代表的と思われるスタイルを 4点あげたが、このほかにもさまざまなリンクの組み
方が考えられる。
例えば、迷路の各分岐点を lつずつの文書に見立て、曲がる方向をクリックすると次の分岐点に
到達するというようなアドベンチャーゲーム風の繋ぎ方をすることもできる。迷路を森の中に置き
換えて、自然観察教材を作れば、子供は自分の好きなルートをたどって動物や植物の説明を読むこ
とができるので、“先生の後を金魚の糞のようにくっついていく"ような堅苦しい勉強から“自由に
森の中を飛び回る"学習をすることができるだろう。同じスタイルは、英会話の勉強にも活用でき
る。テキストを順番に学ぶのではなく、擬似的に海外旅行をしながら自分の行きたい場面に次々と
移動しながら必要な表現を学ぶこともできるのである。
道に迷った時に自分で別のルートを探さなければならないような迷路型とは反対に、多様な問題
解決法のそれぞれにヒントを与えて最終解決に導くようなスタイルも考えられる。例えば、ある数
- 48-
HTMLが生み出す新しい知的資滋 (
長谷川)
学の問題を与えた時に、とりあえず特定の公式を利用する方法を選ぶか、背理法で解くか、数学的
帰納法を用いるか、図形に置き換えて幾何的に解くかなどの進路を選ぱせ、どれを選んでもそれに
見合ったヒントを提示して解決に導くというような教材が考えられる。
最後に、以上に紹介したスタイルは、いずれも “人に読んでレもらう"文書、つま り読者の使主主を
はかったリンクのスタイルであったが、自分だけが利用する文献目録、備忘録、読替ノ ー ト、論文
概略メモ、写真;、.新聞記事、雑資料などをすべて“非公開ホ ームページ"の中で管理することもた
いへん有用であると思九“非公開"が前提であるから 、大学の
www用ワークステーションにフ
ァイルを転送する必要はない。 自分のパソコンのハードディスクや Z
I
Pや MOなどの大容量可搬
記憶媒体に保管しておけばよいのである。画像や音声が取り込めるぶんだけ、市販のデータベース
ソフトを利用する場合よりはるかに手段で柔軟性にとんだデータベースが構築できるはずでレある 。
6. インターネットを利用した新しい知的資産の形成の可能性
インターネ ッ トとの接続を前提としない状況のもとでの HTMLの活用の意義を強調するという
本稿の目的からは外れるが、最後に、インタ ーネットを研究活動に利用する 上 での若干の問題点に
ついても指摘しておくことにしたい。
インターネ ッ トを利用することの基本的意義は、情報発信と情報収集の 2点にある。前者は、研
究者が大学の
wwwサーパに自分のホームページを開設し、研究活動の紹介や情報の提供を行う
こと、後者は、他の研究機関などのホームページを渉猟することによって、必要な情報を取得する
ことである 。 しかし、本稿の提出締切日にあたる 1
9
9
6
年 9月上旬の時点では、いずれの利用可能性
もはなはだ不十分な状況にあると 言わざるを得ない。
6.
1.情報発信機能
まず 、前者について現状を把握してみると、実際に研究室にパソコンを設置し、学内
LANを通
じて情報を提供している研究者はきわめて少ないと 言わざるを得ない。一例として、表 2に 1
9
9
6
年
9月上旬時点の岡山大学全体の日本語ホームページ開設状況を 示すが、文法経 3学部で自らの研究
業績を紹介している教官は 9名のみであり、また理系学部でも医学部や歯学部はきわめて少ない現
状にあることがわかる 。 また、岡山大学全体を紹介した部分と 言えば、事務局のページを聞いたと
ころに“沿革" と“組織図"があるだけで、外国の大学の豊富なホームページに比べると貧弱さは
否めない。 しかも、この“沿革"と “
組織図"は、出版物め
f
岡山大学概要jの該当 頁 をそのまま
IFファイル化 したものらしく、“沿革"が807KB、“組織図"が770KBと
スキャナで読み込んで G
いうように、いずれも
2HDフロ ッピーディスクの容量の半分を越える巨大サイズになっており、個
人が電話回線を通じて参照できるような代物ではないことがわかった。
1
9
9
6
)の“日本のインタ ーネット心
いっぽう全国の心理学研究室の開設状況を筑波大学の磯部 (
19
9
6年 9月 7日更新分)を参照して数え上げてみると、 主見出しの項 目数で全国で
理学関連情報" (
i
8
8の機関 ・研 究室がホームペー ジを開設していることがわかった。しかし、その中にはスタ ッフの
・
el
a--
- 49-
名前だけを紹介した簡索なものもあり、個々人が自分のオリジナルの情報を提供しているところは
そう多くはないように見受けられる。
また、心理学の研究室で、いわゆる検索サイトに登録しているところはきわめて少ない。表 3に
、
主要な登録型検索サイトにおいて“心理学"を検察賠とした場合のヒ ッ ト件数を示す。大学あるい
は研究所と推定される件数は、 1
0件にも満たず、心理学研究者以外が一般の検索サイトを利用して
心理学の情報を求めても現状では満足のい〈資料が得られないのではないかと危倶される。
以上桁摘したように現状では、研究者の情報発信機能としてのインタ ーネットは、日本圏内では
まだ完成途上にあると言わぎるを得ない。
表 2:岡山大学における日本館ホームページ開段状況
主
事
部
開
文学部
14大宮~m 中 5 勝雄.教官は 4 名のみ.
教育学部
25教室中 7 教~.
法学部
未開設.
録済学部
教官は 5名のみ.
理学郵
3
1
教室中、 2
1教 護.
状
般
i
兄
m再度中 5講座.
医学郎
基礎医学系
愉令官E
基礎系 1
8F
.
1
m中 l鱒峰。
ヨ
g
'
f
:
昔E
16~時Jlli中※、 13総鹿.但し、うち 6 悦ml立半貰程度の紹介文のみ.
工学部
6学科中 5学 科.独立サーバも多数. 内容は本格的なものから紹介文程度まで色々 .
環境濫工学 部
m書m 中 3 鱗~.
農学部
学部紹介文のみ.
誕
百
1
9
9
6
年9
月88-98調査.ヨ
E
学部生理科学務僚にはアクセスできなかったのでデータから除いた.
6.
2
. 情報収集機能
研究者からの情報発信が不十分である以上、収集する側が満足できる資料を得られないのは必然
である . しかし、これ以外にも、インターネットの利用は現状ではいくつかの間題を抱えている。
まず、 i
昆維のため目的とするサイトへの接続が思うようにできないという問題がある。接続が完
了するまでの時聞は略目や時間帯によって著しく兵なるのでここで信頼できる数値を示すことはで
きないが、表 3の右端に示すように、例えば圏内の検家サイトに接続しようとしても、平日の午後
にはなかなか接続ができず、ダウンロードサイトのような場合には受信完了まで何十分もかかると
いう場合がある。筆者の研究室のように学内
LANのイーサーネ ッ トケーブルが研究室内まで敷設
Pアドレスのもとでインターネットに直結できるような環境でさえこの現状である
され、独自の I
ことを考えれば、主として自宅の書斎で研究をすすめる教官が電話回線で接続するような場合には、
さらに長大な時間と相当の電話料金を支払うはめになるものと推測される 。
ヒット 数が多すぎてしぽり込めないケースもある.これは表 3に示した登録型検索サイトとは別
の、ロポット型検索システム(圏内であれば、...
j
p
" ドメイン内に存在する
wwwサーパー上に
ある文瞥の検索を目的としたサーチエンジン)というものを使った場合である。これは、アクセス
、
- 5
0ー
HTMLが生み出すま苦しい知的資産{長谷川)
表 3:;
主要な登録型検索サイトにおいて‘心理学'を検察跨とした場合のヒット件数、緩続時間
"心耳草学"ヒット数
検索サイト略称および
そのうち
学
大
URL(
"
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'は省略した)
総数
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www.kyoton
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年 9月 9日潟霊長.接続時間とは、
N
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:1
9
9
6
研究所
後続および検家に袈-する時間
朝
8-9時
按続
1
5
時(上)
/
1
7
時(下)
検索
2
5
7
OK
OK
4
3
8
OK
OK
7
2
OK
5
s
ε
c
1
7
5
OK
OK
2
8
3
OK
OK
8
1
OK
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3
0
s
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2
5
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c
2
後続
検索
OK
4
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2
1
5鈴 C
9
5
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氏
2
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3
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OK
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OK
5
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wwwブラウザのl
曲
1
而にインターネ γ トショートカ γ トをドラグ
してから検索 l
絹而の表示が完了するまでの時間.検索時間とは検ポ話"心理学"を入力し、送信ボタンをクリ
e
c未満は .OK"とし、それを慾える場合は 5鈴 cJ
1
I
ックしてからヒット内容の表示が完了するまでの時間.5s
位でおおよその時間を示した.これらの時間,;t、積々の状況によって大きく変動するので、相互の比較しても
あまり意味がない.あくまで“こんなに待たされる"という一例であると考えていただきたい.
.
サーバダウン"のメッセージが 1回出たあとの他。
*
可能なホームページであれば、制作者の登録の意志と無関係にそのタイトルや文書内容が検索され
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る。たとえば、 ODIN という試験運用中のロポット検索サイト (
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i
n
/
) で“心理学"を検察語として入力すると、 1
9
9
6年 9月 9日現在で、 433もの URLがヒ ッ
卜した。このように情報量が英大なものになってくると、その中からどうやって肉分が必要とする
9
6
) によれば、情報収集には、ょに述
ものだけを取得するのかという問題が生じてくる。武田(19
べた情報検索のほかに、情報フィルタリングや漠然とした目標しかもたないときにも情報収集を可
能にするような“ブラウジング"といった方法がある。この論文には、情報分類、情報抽出、情報
組織化の方法も紹介されており、今後の発展が期待される。
現時点では、心理学者が開設したホ ー ムページのなかから布周なものを知人からの Eメイルで教
えてもらい、これをブックマークあるいはインターネットショートカットに登録しておき、ここを
起点として目的のサイトヘジャンプするというのが現実的で確実な方法であるように思われる。
情報収集機能とはやや異なるが、特定のメンパーの中で意見を交換するメイリングリストという
のも活用されている。メイリングリストとは、登録メンパーの発言がメンバー全員に Eメイ ルとし
て配信されるようなシステムである。心理学関係であれば、筆者が参画したものとして “心理 学 研
究の基礎 (
Foundationso
fPs
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alRe
s
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h、 略 称 FPR)"というものがある。これは新潟
国際情報大学の松井孝雄氏が管理しており(松井. 1
9
9
6
)、 1
9
9
6年 1月 68から同年 8月2
0日までの
聞に 2
50
件あまりの発言がなされている。ただ、この方法であると、議論が活発化した時など、毎 u
数十件ものメイルが配信されてくる可能性があり、知らないうちにメイルボックスが満杯にな って
- 51-
i
,
U
しまう危険性もある。
議でも登録せずに議論や質問ができる場としてはネットニュースが知られている。しかし参加
者が限定されていないため、マニアのような人からの言葉尻を捉えた攻撃的発言によって議論がか
き回されたり、また専門家と繁人の聞の認識の違いによって議論がかみ合わなくなるなどの問題が
あり、研究のための情報収集にはあまり過していないように恩われる。
6
.
3.その他の問題
W W W (Worl
dWideWeb) に は “ 世 界 に 張 り 巡 ら さ れ た ク モ の 巣 " と い う 意 味 が あ る 。 研 究 者
はその網を伝わって、自由にホームページ問を渉猟することができるはずである。しかし、情報が
莫大な最にのぽるなかで、個々のホームページに指定されたリンク先にジャンプしていく行動は、
9
6
)は、このような“自由"の盛失について次の
と も す れ ば 受 け 身 的 に な ら ぎ る を え な い 。 堀 ( 19
ように述べている 。
WWVi (
W
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W
i
d
eWeb) というものがある 。ご存知のようにインターネ ットの情報流通形態の一つであり、
いわゆるハイパーテキストとマルチメディアをネ γ トワークムで実現したメディアとして脚光を浴びている。私自
身は、尖物に触れる 1年ほど前からその平f-在は耳にしており、使用感も {
従来の GUIの類推などから)大体の見
当はつけていた。ところが災際にそれに援してみると、これまでのネットワーク上での情報検索とはすっかり様相
を変えた、ほとんど綿子抜けするような「たやすさ J
、鍛える情報の「多彩さ Jなどに、ちょっとした輿穏をおぼえ
ずにはいられなかった. [
一部略1
有i
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時I
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J
か没顕してその世界で遊んだ犯は、しかしこのような最初のおぶりが鎖まるにつれて、あるAf.1
床で関巡す
るこつの、どちらかといえば否定的な印象を持ちはじめた。一つは、情報のリンクが“w
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l
dw
i
d
e
"であることが、
つまり巨大な物現空間に点在する情報併を結合した壮大なシステムであることがほとんどたちどころに窓殺されな
くなるということであり、もう一つは、情報の探索が、その見かけ上の阪!
x
主性にもかかわらず、災際には情報リン
仕組まれた Jルートから一歩も外に踏み出せないことからくるー磁の息苦しさで
クの構築者によってあらかじめ f
あった。
[
中途略l
WWWti也ー界をおおう f
常事長の鱗 (
web
)のはずであった。 しかしそれは何時に、情報への被近のあり方を(久保
回氏のことばを借りるなら、〈手探り〉を)拘束する
f
網J
、あるいは、われわれの自由な行動を術認する「クモの
巣J
にもなりうる. W W Wに限らず、次々に開発されてくる新しい「情報システム jは、システムの目的に応じた
r
効移やfI1l使伎と引き綜えに、 {
かつては存在したように忠われる) 自由Jをわれわれから添いつつあるのかもしれ
ない。
【
以下略]
研究目的でインターネットを利用する場合には、張り巡らされたリンクに流されることなく、能
動的主体的に情報収集につとめる姿勢が必要であると思う。
7.おわりに
本稿で最も強調したいことは、インターネットへの接続とは一切無関係な環境にあっても、 HTML
- 52-
HTMLが生み出す紙しい知的資波(長谷川)
で記述されたハイパーテキストが新しい知的資産の形成にきわめて有効であるという点にある。 HTML
文書は、比較的小さいサイズの文書をリンクで関連づけることによって構成されるため、あるいは、
HTMLでは断片的な知識の図まりしか提供することができない"とい った疑問が出るかもしれな
“
すやリンクといっ
い。しかし、図 5に示したように、 HTMLは、巻物や轡絡で可能な機能に画像鮎イ
た新しい機能を付加したものである。必要がなければその機能は使わなくてもよいので、 HTMLで
記述することによって何かが失われるということはない。しいて言えば、表示にコンビュータを必
要とするため、旅行先や公闘のベンチでは読めないという問題がある。しかし、すでに
CD-ROM版
の辞書や昔、絡を再生するための“電子ブックプレーヤー"が市販されていることを考えれば、いず
れ、フルカラー対応、の液晶パネルのついた HTMLプレーヤーが普及するようになるかもしれない。
そこまでして、公闘のベンチで文書を読む必要があるかどうかは別問題であるが。
と研究論文の関係について考えてみることにしたい。湯田(19
9
5
) は、“イ
最後に、 HTML文書;
ンターネットにおける心理学関連情報"というタイトルの発表・の中で、 SGMLによる論文入稲シス
テム、物理学 ・数学などの分野では学術論文が雑誌に掲載可となった段階で,プレプリントを閉じ
分野の研究者に配布するという轡悩(プレプリントアーカイブ)、従来の印刷物による論文とは別
E
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al)、オンラ
に、はじめからネットワークによる流通を目指した電子ジャーナル (
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eJournal)などの形態を紹介している。これらはいずれも、論文は最終的
イン ・
ジャーナル (O
に印刷物あるいはそれと同等の表示が可能な範囲めメディアとして発表されることを前提にしてい
るようだ。しかし、今後印刷物としての学術雑誌や誉総に代わって、 HTMLなどのハイパーテキス
ト論文がインターネットを通じて発表されたり
CD-ROM化されて保管されたりする可能性も出て
くる。これには、研究の笑胞から成来の公表までの時間を大幅に早め、またコストはほとんどかか
らないというメリッ トがある 。
上に述べたような新しい媒体で“刊行"されるようになった時には、論文の価値とはどういうも
のを言うのであろうか。従来、教官の採用人事の審査などでは、その候補の論文を評価する基準の
lっとして、それがレフェリー付きの学術雑誌に投稿されたものであるか、その雑誌の言平倣は・│
世界
的にみてどうか、といった点が考慮されることがあった。しかし、自分のホームページを発信起点
として論文を発表していくぶんには、レフェリーのお墨付きをもらう必要はない。そのかわりに、
その論文がどれだけ別の研究に引用され活かされたかということが、 Eメイルやメイリングリスト
を通じて刻々と伝わってくるようになる。つまり、従来のように編集者・が依頼した 2名ないし 3名
のレビューワーの評価によって掲載の可否や修正が決まるかわりに、論文の読者すべてが評価意見
を述ぺることができるようになるのである。
0
0
.1:手後に高い評価を受ける
研究分野によっては、その時代の研究者ーには殆ど支持されなかったが1
0人もいないと言われるような定理の
ようになった論文とか、それを理解できる数学者は世界中に 1
証明を記した論文などもあるかもしれないが、人文 ・社会・自然にかかわる科学論文は、本来は他
者に読んでもらい他者に有誌な情報を提供することを目的に執筆されるべきものである。
-m
訪佐誌
に掲載されているかどうかは採用人事の基準にはなるかもしれないが、論文の本質的な価値を決め
るものではない。著作権に十分に配慮しつつも、今後さらに、多棟なメテ'ィアを活用した研究成果
- 53-
の公表されていくことに期待していきたい。
補 注
*
2.3.の第 5-7に指摘した点は、必ずしも HTML文e:だけの特長ではない点を付記しておこう.例えば Window
s
上で稼働する“一太郎"とか“ワ ー ドパッド"など OLE対応のワープロソフトてて文書を作成する場合には J・オブ
9
5
ジェクトの作成"という操作を施すニとによって踊像や音声データを貼り込んだり、別のファイルへリンクすること
も可能である。しかし利用可能性や操作の術使伎の点で HTMLには及ばない。第 lに、これらのソフトで作成され
た文Sは、そのソフトに間有の形式の文書主ファイルとして保管されるため、問じソフトのユーザーだけしか見ること
も修正することもできない。第 2に W W Wプラウザ上でそのまま表示することができないのでインターネット上で
公開できない。第 3に、画像を見る場合でさえ、別のビューワを起動する必要がゐる。これに対して、 HT
ML文詑ーは
テキストファイル形式で保管されるので、 N
e
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eであれ Mi
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tであれ、
wwwブラウザさえあれば見るこ
とができるし、簡単なテキストエディタで修正することもできる。また、箇像を見る場合には
OLE対応ワープロ文
書と !
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<なって、.8I
J
のビューワーを起動する必要が金くない。
引用文献
※インターネ ッ ト上のホームページを引用した場合は、 1
9
9
6
年 9月 9日'
9
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在の URLを示した.
1
9
9
6
).http://www.okayama-u.
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長谷川芳典 (
郷緋治(1
9
9
6
).われわれをとりまく 「綱」の中から一一久保問論文を読んで一一.行動分析学研究. 1
0
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8
3.
磯部総 (
1
9
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木下定雄
(
1
9
81
)
.現科系の作文技術. 中央公論社.
松井学総 (
1
9
9
6
)
. http://www.nui
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1
9
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5
)
. 初めての HTML
3
.
0. リプロス.
Sach
i(本名大縫さち子) (
1
9
9
6
).ネットワークを利用した知的情報統合. 人工知能学会総. 1
1.6
8
0
6
8
8.
武田英明 (
湯田彬失(19
9
5
).インターネットにおける心理学関述情報.日本心理学会第 5
9回大会ワークショップ:心理学と I
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