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資料3_南三陸町人口ビジョン(案) [2514KB pdfファイル]

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資料3_南三陸町人口ビジョン(案) [2514KB pdfファイル]
南三陸町人口ビジョン(素案)
1月13日時点版
南 三 陸 町
目
次
1 人口動向分析 ........................................................ 1
(1) 時系列による人口動向分析 ................................................... 1
① 総人口の推移 ................................................................. 1
② 年齢3区分別人口の推移 ....................................................... 1
(2) 合計特殊出生率と出生数の推移 ............................................... 6
(3) 近年の転入・転出に関する状況の分析 ......................................... 8
① 地域別に見た転入・転出の状況 ................................................. 8
② 年齢階級・男女別にみた転入・転出状況 ........................................ 12
(4) 雇用や就業の状況 .......................................................... 14
① 町内の就業者数 .............................................................. 14
② 就業者の年齢構成 ............................................................ 15
2 人口推計 ........................................................... 16
(1) 将来人口の推計 ............................................................ 16
① 総人口・年齢階級別人口の推計 ................................................ 16
(2) 将来人口に及ぼす自然増減・社会増減の影響度の分析 .......................... 20
① 自然増減・社会増減の影響度の分析 ............................................ 20
3 人口の変化が地域の将来に与える影響の分析 ........................... 23
(1) 人口の変化が長期的に与える影響の想定 ...................................... 23
① 産業・雇用に与える影響 ...................................................... 23
② 地域生活に与える影響 ........................................................ 23
③ 教育環境に与える影響 ........................................................ 23
④ 地域福祉に与える影響 ........................................................ 24
i
⑤ 行財政運営に与える影響 ...................................................... 24
(2) 人口の変化が財政運営に与える影響の試算 .................................... 25
① 財政収支の現状と人口減少による影響 .......................................... 25
② 町民税(個人)への影響 ...................................................... 27
4 人口の将来展望 ..................................................... 28
(1) 目指すべき将来の方向 ...................................................... 28
① 現状と課題の認識 ............................................................ 28
② 目指すべき将来の方向(基本的視点) .......................................... 29
(2) 将来人口のケース比較 ...................................................... 30
① 将来人口のケース設定 ........................................................ 30
② ケース別の推計結果の比較 .................................................... 31
(3) 人口の将来展望 ............................................................ 35
① 将来の人口目標 .............................................................. 35
② 取り組みにより実現を目指す仮定値の設定 ...................................... 35
ii
【本資料の記載内容に関する留意事項】
1) 本資料に掲載している図表は、各種統計資料及び本町が保有するデータを基に作成
したものであり、出典が異なる場合、同じ項目であっても図表によって数値が異なる
場合がある。
2)
本資料に掲載の年次について、「年度」の場合は“XXXX 年度”と記載しており、特
に記載が無い場合は「年」を表している。
iii
南三陸町 人口ビジョン
1 人口動向分析
(1) 時系列による人口動向分析
① 総人口の推移
本町の人口は減少の一途をたどっている。2011(H23)年には、東日本大震災(以下「震災」
という。)の影響により大幅な人口減少が生じ、今後も、減少が続くことが見込まれている。
30,000
24,852
25,000
実績値← →推計値
23,625
22,943
22,343 22,243 21,970
21,401
20,428
19,860
20,000
( )
人
口
人
18,645
17,429
14,030
15,000
12,574
11,354
10,000
10,261
9,208
8,109
5,000
0
(出典)実績値:総務省「国勢調査」
、推計値:町独自推計
図 1 総人口の推移(実績、推計値)
② 年齢3区分別人口の推移
1)年齢3区分別・人口数
○
高齢者人口(65 歳以上)は、2000(H12)年にかけて増加を続けていたが、以降は横
ばいから微減に転じており、今後は、減少が続くことが見込まれている。
○
生産年齢人口(15~64 歳)は、1985(S60)年までの横ばいから減少に転じており、
今後も、減少が続くことが見込まれている。
○
年少人口(15 歳未満)は減少傾向が顕著であり、将来的には低位な水準に落ち込む
ことが予想される。
1
30,000
実績値←
→推計値
25,000
20,000
( )
人
口
人 15,000
10,000
5,000
0
総人口
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
24,852
23,625
22,943
22,343
22,243
21,970
21,401
20,428
19,860
18,645
17,429
14,030
12,574
11,354
10,261
9,208
8,109
15歳未満
9,138
7,957
6,793
5,986
5,354
4,814
4,233
3,608
3,159
2,615
2,158
1,401
1,054
874
785
664
514
15~64歳
13,968
13,794
14,125
14,058
14,308
14,305
13,803
12,784
11,925
10,883
10,031
8,135
7,012
6,072
5,170
4,448
3,751
65歳以上
1,746
1,874
2,025
2,299
2,581
2,851
3,365
4,036
4,776
5,147
5,238
4,494
4,508
4,408
4,306
4,096
3,844
※総人口には年齢不詳を含むため、年齢区分の合計と一致しない場合がある。
(出典)実績値:総務省「国勢調査」
、推計値:町独自推計
図 2 年齢 3 区分別・人口数の推移(実績、推計値)
2)年齢3区分別・人口構成割合
○
高齢化が進行し、2010(H22)年時点で高齢化率(=65 歳以上の高齢者人口が総人口
に占める割合)は 30%に達している。このまま進めば 2040(H52)年には約 47%とな
り、その後 2050(H62)年頃からは 50%を超えることが見込まれている。
○
高齢化の進行に伴い、生産年齢人口の割合が低下することが予想され、2010(H22)
年の約 58%から、2040(H52)年には高齢者人口と同等の約 46%となり、2060(H72)年
には約 40%まで低下することが見込まれている。
○
少子化は今後も進行し、15 歳未満の人口割合は、2010(H22)年の 12%から、2040(H52)
年には 6%となり、2060(H72)年には 4%未満となることが予想されている。
100%
実績値←
7%
90%
8%
9%
10%
12%
13%
16%
20%
24%
28%
80%
70%
60%
56%
58%
62%
63%
64%
50%
65%
64%
63%
40%
60%
58%
30%
58%
→推計値
32%
58%
36%
39%
42%
44%
47%
56%
53%
50%
48%
46%
8%
8%
7%
6%
30%
20%
10%
37%
34%
30%
27%
24%
22%
20%
18%
16%
0%
15歳未満
15~64歳
14%
12%
10%
8%
65歳以上
※四捨五入の関係で、比率内訳の合計が 100%とならない場合がある
(出典)実績値:総務省「国勢調査」
、推計値:町独自推計
図 3 年齢 3 区分別・人口構成割合の推移(実績、推計値)
2
南三陸町 人口ビジョン
3)人口ピラミッドの推移
人口減少及び少子化・高齢化が進行し、最多の年齢階級が 1980(S55)年の 10 代前半か
ら、2010(H22)年には男性が 60 代前半、女性が 70 代後半に移っている。さらに、2040(H52)
年には 60 代後半から 80 代前半が最多を占める構成となり、30 代以下が極端に減少し、アン
バランスな人口構造になることが見込まれる。
1980(S55)年
0
男性
10,875人
762
809
713
862
790
1,015
841
922
555
233
319
365
418
111
39
8
617
700
796
1,000
500
500
27
68
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
1,000
女性
168
313
396
11,368人
534
575
705
823
843
752
618
680
672
773
800
742
965
914
総人口:22,243人
0
(人)
30 年後
2010(H22)年
0
男性
8,429人
515
535
503
168
362
63
1,000
500
204
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
761
696
630
600
523
467
416
351
303
420
473
342
301
0
500
412
1,000
女性
591
695
639
8,998人
551
616
683
623
581
511
482
384
325
272
387
414
354
274
総人口:17,427人
(人)
30 年後
2040(H52)年
0
124
195
男性
297
375
356
378
325
286
269
280
355
4,061人
1,000
500
181
127
87
75
90
109
90
62
0
500
261
320
405
404
364
365
281
266
224
236
253
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
1,000
女性
4,048人
127
83
63
59
84
106
88
59
総人口:8,109人
(人)
※年齢不詳を含まない
(出典)総務省「国勢調査」(1980 年、2010 年)、町独自推計(2040 年)
図 4 人口ピラミッドの推移(1980 年、2010 年、2040 年)
3
4)出生・死亡数、転入・転出数の推移
○
出生・死亡数についてみると、1960 年代から 1990 年代初頭にかけては出生数が死亡
数を上回る「自然増」の状況にあった。しかし、死亡数は横ばいで推移しているものの
出生数は減少傾向が続いており、1994(H6)年以降は死亡数が出生数を上回る「自然減」
の状況が続いている。
○
転入・転出数についてみると、転出数が転入数を上回る「社会減(=転出超過)」の
状況が一貫して続いている。震災が発生した 2011(H23)年より前の期間についてみる
と、転入数・転出数のいずれも減少しており、自治体間の人口移動が縮小する傾向にあ
った。しかし、震災の発生以降の期間についてみると、転入数は従来と同程度であるも
のの、転出数については大幅に増加しており、転出超過の傾向が強まっている。
( )
人 2,000
1,800
1,600
1,400
転出
死亡
転入
出生
1,200
1,000
800
600
400
200
2014
2012
2010
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
1980
1978
1976
1974
1972
1970
1968
1966
1964
1962
0
(出典)宮城県「住民基本台帳に基づく人口移動調査年報」
図 5 出生・死亡数、転入・転出数の推移
5)総人口の推移に与えてきた自然増減と社会増減の影響
○
自然増減の推移をみると、
「自然増」が次第に減少し、1994(H6)年以降は「自然減」
が次第に大きくなっている。
○
社会増減の推移をみると、震災以前は「社会減」が減少する傾向にあったが、震災以
降、「社会減」が再び増大している。
4
南三陸町 人口ビジョン
400
200
0
-200
( )
増
減
数
人
-400
-600
-800
-1,000
自然増減(出生-死亡)
-1,200
社会増減(転入-転出)
-1,400
(出典)宮城県「住民基本台帳に基づく人口移動調査年報」
図 6 人口増減(自然増減、社会増減)の推移
○ 図 7 に示す本町の人口動向のグラフをみると、ほとんどの年が原点よりも左側の網掛
け部である「人口減少領域②」に含まれており、「社会減」が高い水準で推移してきた
ことが、人口減少が続いている大きな要因であるといえる。
(出典)宮城県「住民基本台帳に基づく人口移動調査年報」
図 7 総人口の推移に与えてきた自然増減と社会増減の影響
5
(2) 合計特殊出生率と出生数の推移
○
合計特殊出生率の推移をみると、本町及び全国、宮城県のいずれも 2005(H17)年
までの期間では低下傾向にあった。その後、全国及び宮城県については、上昇に転じ
ているが、本町では低下が続いている。
○
本町の合計特殊出生率は、2005(H17)年までの期間は全国及び宮城県を上回ってい
たが、2012(H24)年以降はいずれも下回っている。
全国
宮城県
南三陸町(人口動態特殊統計報告)
南三陸町(母子手帳発行数から算出)
1.80
1.72
1.70
1.66
1.60
1.55
1.50
1.50
1.46
1.46
1.43
1.49
1.44
1.40
1.42
1.39
1.39
1.38
1.38
1.42
1.39
1.35
1.34
1.30
1.37
1.33
1.36
1.33
1.32
1.32
1.29
1.37
1.34
1.26
1.27
1.24
1.24
1.25
1.39
1.35
1.29
1.31
1.20
1.39
1.30
1.30
1.29
1.27
1.41
1.25
1.25
1.43
1.42
1.34
1.30
1.24
1.15
1.10
1.07
1.00
1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
(出典)厚生労働省「人口動態特殊統計報告」
(南三陸町)
、
宮城県「平成 24 年衛生統計年報(人口動態統計編)」(全国、宮城県)
図 8 合計特殊出生率の推移(南三陸町、宮城県、全国)
○
200
3,766
本町では 15~49 歳女性の人口(=合計特殊出生率算定齢)も減少が続いている。
3,606
180
160
4,000
3,544
3,435
161
3,325
3,600
3,190
3,093
147
140
132
136
3,049
2,538
127
120
108
113
104
100
80
39.0
43.8
40
2,435
2,800
2,360
97
2,400
2,000
80
60
3,200
2,869
~ 歳
15
49女性(人)
出生数、出生率(人)
3,680
73
67
1,600
62
出生数
1,200
36.6
38.4
37.0
32.5
35.4
33.6
31.8
27.9
28.8
27.5
26.3
20
0
800
出生率
(15~49歳女性・千人あたり)
400
15~49歳女性人数
0
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
(出典)出生数:宮城県「住民基本台帳に基づく人口移動調査年報」
15~49 歳女性人数:宮城県「住民基本台帳年報」
図 9 南三陸町における 15~49 歳女性の人数と出生数の推移
6
南三陸町 人口ビジョン
○
年齢階級別に 15~49 歳女性の人数の推移をみると、2002(H14)年の人数を 100 とし
て指数化した場合、2014(H26)年には全ての年齢階級で 70 ポイント以下の水準まで減
少している。特に、出産の可能性が高いと考えられる 25~29 歳と 30~34 歳で大幅に減
少しており、前者が約 55 ポイント、後者が約 50 ポイントとなっている。
110
35~39歳
100
45~49歳
15~19歳
90
40~44歳
女性人数の指数
(2002年=100)
80
15~19歳
70
20~24歳
25~29歳
60
50
20~24歳
30~34歳
35~39歳
25~29歳
40~44歳
30~34歳
45~49歳
40
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
※2002~2013 は年度集計値であり、2014 のみ年集計。
(出典)宮城県「住民基本台帳年報」
図 10 南三陸町における年齢階級別・15~49 歳女性の人数の推移(2002 年=100)
7
(3) 近年の転入・転出に関する状況の分析
① 地域別にみた転入・転出の状況
1)宮城県内及び地域ブロック別の移動状況
○
転入者数には大きな変化がみられないが、震災後は転出者数が増加している。
○
震災以前は、転入・転出のいずれも宮城県内での移動が約 7 割を占めていた。
○
震災後は、転入者において県外からの移動が占める割合が増え、転出者においては県
内他地域に移動する割合が高まっている。
南三陸町への転入者の推移
600
400
328
(人)
288
309
341
391
330
262
307
303
その他都道府県
東京圏
200
宮城県内
0
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
697
692
南三陸町からの転出者の推移
2,000
1,779
1,800
1,600
1,400
1,200
(人) 1,000
800
600
503
483
503
その他都道府県
530
461
東京圏
396
400
宮城県内
200
0
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
(出典)住民基本台帳データから集計
図 11 県内外との転入・転出状況(人数)
8
南三陸町 人口ビジョン
南三陸町への転入者の推移(割合)
100%
90%
80%
70%
60%
その他都道府県
50%
東京圏
40%
宮城県内
30%
20%
10%
0%
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
南三陸町からの転出者の推移(割合)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
その他都道府県
40%
東京圏
30%
宮城県内
20%
10%
0%
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
(出典)住民基本台帳データから集計
図 12 県内外との転入・転出状況(割合)
9
2)宮城県内における転入・転出の状況
○
宮城県内における転入・転出状況を詳しくみると、転入・転出とも仙台市、登米市、
気仙沼市、石巻市の 4 市との間での移動が多く、近年では全体の約 8 割を占めている。
○
震災後は登米市への転出者が増加し、県内移動の 4~5 割を占めている。
県内他市から南三陸町への転入者の推移
400
286
300
236
226
209
238
その他宮城県内
222
(人) 200
142
143
171
石巻市
登米市
気仙沼市
100
仙台市
0
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
南三陸町から県内他市への転出者の推移
1,500
1,383
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
900
800
(人)
700
592
600
570
500
その他宮城県内
404
400
325
346
石巻市
355
310
300
登米市
281
気仙沼市
仙台市
200
100
0
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(出典)住民基本台帳データから集計
図 13 県内における転入・転出状況(人数)
10
2014
南三陸町 人口ビジョン
南三陸町への転入者の推移(割合)
100%
90%
80%
70%
その他宮城県内
60%
石巻市
50%
登米市
気仙沼市
40%
仙台市
30%
20%
10%
0%
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
南三陸町からの転出者の推移(割合)
100%
90%
80%
70%
60%
その他宮城県内
石巻市
50%
登米市
気仙沼市
40%
仙台市
30%
20%
10%
0%
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(出典)住民基本台帳データから集計
図 14 県内における転入・転出状況(割合)
11
2014
② 年齢階級・男女別にみた転入・転出状況
1)南三陸町への転入の状況
2012~2014 年の 3 か年平均の転入者数について年齢階級別の状況をみると、特に 20 歳
代が多い。次いで、30 歳代、60 歳以上の順になっている。
(出典)総務省「住民基本台帳人口移動報告」
図 15 年齢階級別・男女別にみた南三陸町への転入者数(2012~2014 年の平均)
12
南三陸町 人口ビジョン
2)南三陸町からの転出者の状況
○ 2012~2014 年の 3 か年の転出者の年齢階級をみると、特に 20 歳代と 60 歳以上が多
い。
○ 転入者数との相違点としては、60 歳以上が非常に多いほか、10 歳代も多い傾向にあ
り、家族で町外に移り住んでいる状況がうかがわれる。
(出典)総務省「住民基本台帳人口移動報告」
図 16 年齢階級別・男女別にみた南三陸町への転出者数(2012~2014 年の平均)
13
(4) 雇用や就業の状況
① 町内の就業者数
○
平成 22 年国勢調査によると、男女合計の就業者数は、多い順に、漁業、製造業、卸売・
小売業、建設業、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業となっている。
○
男性の就業者数は、漁業、建設業、卸売・小売業、製造業の順で多く、女性は、製造業、
卸売・小売業、医療・福祉の順となっている。
○
産業別特化係数は、全国平均が 1.0 であり、これより数値が大きいほど全国平均と比べ
本町での就業者数の割合が多い産業とみることができる。本町においては、漁業の値が男
女とも 50.0 を超えていることが大きな特徴であるほか、男性の林業、男女とも複合サー
ビス事業(農協・漁協等の団体、ゆうちょ銀行等)で比較的高い値を示している。
○
男性の建設業と女性の製造業、男女とも農業、宿泊業・飲食サービス業で特化係数が 1.0
をやや上回っている。一方、情報通信業、不動産・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サ
ービス業などは、特化係数が全国平均と比較して非常に低い値となっている。
70.0
68.3
漁業
60.0
51.8
50.0
40.0
30.0
7.0
1,400
1,300
1,200
男性
1,100
4.5
0.0
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
分類不能の産業
0.0
※産業別特化係数…産業別の就業者比率を全国平均と比較したものであり、次式により算出する。
X 産業の特化係数=本町の X 産業の就業者比率/全国の X 産業の就業者比率
(出典)総務省「平成 22 年国勢調査」
図 17 男女別・産業別就業者数、産業別特化係数
14
特化係数(
全国平均が 1.0
)
分類不能の産業
公務(
他に分類されるものを除公
く務
)(
他に分類されるものを除く)
複合サービス事業
医療,福祉
教育,学習支援業
サービス業(
他に分類されないも
サの
ー)
ビス業(
他に分類されないもの)
複合サービス事業
医療,福祉
教育,学習支援業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業 生活関連サービス業,娯楽業
宿泊業,飲食サービス業
不動産業,物品賃貸業
金融業,保険業
卸売業,小売業
運輸業,郵便業
情報通信業
電気・
ガス・
熱供給・水道業
製造業
建設業
漁業
林業
農業
0
特化係数(女性)
学術研究,専門・
技術サービス業
学術研究,専門・
技術サービス業
100
不動産業,物品賃貸業
200
金融業,保険業
300
卸売業,小売業
400
運輸業,郵便業
500
情報通信業
600
電気・
ガス・
熱供給・水道業
製造業
建設業
漁業
林業
農業
就業者数(
人)
特化係数(男性)
900
700
5.5
10.0
5.0
女性
1,000
800
6.5
20.0
6.0
南三陸町 人口ビジョン
② 就業者の年齢構成
雇用の中心となる産業の中でも、漁業と建設業については 50 歳代以上の就業者が占める割
合が高い。
農業(男性)
農業(女性)
林業(男性)
林業(女性)
漁業(男性)
漁業(女性)
建設業(男性)
建設業(女性)
製造業(男性)
製造業(女性)
情報通信業(男性)
情報通信業(女性)
運輸業,郵便業(男性)
運輸業,郵便業(女性)
卸売業,小売業(男性)
卸売業,小売業(女性)
金融業,保険業(男性)
金融業,保険業(女性)
学術研究,専門・技術サービス業(男性)
学術研究,専門・技術サービス業(女性)
宿泊業,飲食サービス業(男性)
宿泊業,飲食サービス業(女性)
生活関連サービス業,娯楽業(男性)
生活関連サービス業,娯楽業(女性)
教育,学習支援業(男性)
教育,学習支援業(女性)
医療,福祉(男性)
医療,福祉(女性)
複合サービス事業(男性)
複合サービス事業(女性)
サービス業(他に分類されないもの)(男性)
サービス業(他に分類されないもの)(女性)
公務(他に分類されるものを除く)(男性)
公務(他に分類されるものを除く)(女性)
15~29歳
30~39歳
40~49歳
※男女合計の就業者数が 20 人を超える産業のみ表示
50~59歳
60~69歳
70歳以上
※「林業(女性)
」は 1 人のみ
(出典)総務省「平成 22 年国勢調査」
図 18 男女別・産業別就業者の年齢構成
15
2 人口推計
(1) 将来人口の推計
① 総人口・年齢階級別人口の推計
○
本町の将来人口について、震災被災者の「再建意向調査」の結果や高台住宅への移転の
影響も考慮しコーホート要因法による、町独自の推計を行った(=基本ケース)。
○
ここでは、「出生率」及び「移動率(転入・転出)」について町の実績に基づく独自の
数値を設定しているほか、2012(H24)~2014(H26)年にかけて複数回実施した「再建意
向調査」の結果を基に、2015(H27)~2017(H29)年の復興期間においては、再建意向の
ある住民については町外への転出が無いことを仮定している。
○
総人口は、今後も減少を続け、2030(H42)年には 1 万人に迫り、2040(H52)年には約
8 千人、2060(H72)年には約 4,400 人にまで落ち込むことが見込まれる。
○
年齢階級別にみると、特に、生産年齢人口(15~64 歳)の人数減少が大きい。
○
高齢者人口比率(=高齢化率)は上昇を続け、2040(H52)年には約 48%、2060(H72)
年には過半数を超える約 56%に達することが見込まれる。なお、高齢者も人数は減少する
ことから、高齢化率は 2070(H82)年頃から 66%前後で横ばいになると想定される。
15
14.3
14.0
14
13.7
13.4
13
12
4.5
4.5
4.5
11
4.6
10
4.5
12.8
4.5
12.6
15-64歳
12.3
4.5
9
35.9%
6
5
4
3
2
1
0
8.4
8.1
7.9
4.5
12.1
4.5
15歳未満
11.8
4.5
11.6
4.5
11.4
4.4
高齢化率
11.1
4.4
10.9
4.4
10.7
4.4
10.5
10.3
10.1
9.8
51.0%
9.6
9.4
9.2
4.2
4.2
4.2
4.1
50%
47.4%
9.0
42.0%
4.3 4.3 4.3
60%
55.9%
4.0
8.8 8.6
4.0
7.6
4.0
8.3
3.9
8.1
3.8
7.9
3.8
7.7
3.7
7.5
3.6
7.2
40%
7.0
3.5 3.5
6.8
6.6
6.4
6.2
6.0
5.9
5.7
5.5
5.3
5.2 5.0
4.8 4.7
3.4 3.3
4.5 4.4
3.2 3.2
3.1 3.0
2.9 2.8
2.8 2.7
2.6 2.6
2.5 2.5
2.4
7.4 7.2
7.0 6.8
6.6 6.4
6.2 6.1
5.9 5.7
5.5 5.3
5.2 5.0
4.9 4.7
4.6 4.4
4.3 4.2
4.0 3.9
3.8 3.6 3.5
3.4 3.3 3.2
3.1 3.0 2.9
2.8 2.7 2.6
2.5 2.4 2.3 2.2
2.2 2.1 2.0 1.9
1.8
1.5 1.4 1.3 1.3 1.2
1.1 1.1 1.0 1.0 0.9 0.9 0.9 0.9 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8
0.7 0.7 0.7 0.7 0.6 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4
0.4 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2
※町独自推計。2014 年のみ 8 月時点の実績値。
※四捨五入の関係で、内訳の合計が 100%とならない場合がある。
図 19 総人口・年齢3区分別人口の推計(基本ケース)
16
30%
20%
10%
0%
高齢化率
人口(
千人)
8
7
70%
65歳以上
13.1
南三陸町 人口ビジョン
【「基本ケース」による推計の考え方】
(人口推計の概要)
・ 2014(H26)年を初年として推計を行った。
・ 推計は、人口増減に関わる要因(出生、死亡、転入出)それぞれについて将来の傾
向を仮定し、計算を行う「コーホート要因法」を用いた。
・ 2015(H27)年から 2017(H29)年までは、震災発生後の影響及び高台移転の動きを
考慮して推計を行った。
・ 2018(H30)年以降は、高台移転が概ね完了すると見込まれることから、震災以前
と同様の傾向で推移すると見込んで推計を行った。
図 20 コーホート要因法による推計フロー
(推計初年の人口について)
・ 推計初年である 2014(H26)年の人口は、住民基本台帳人口(8 月 1 日時点、外国
人含む)を用いた。
・ 町外の仮設住宅に住み、南三陸町に住民票がある人を含むが、住民票を町外に移し
た人は含まれない。
17
(推計の考え方と仮定値の設定)
・
下表に示す考え方と仮定値に基づき推計を行っている。
表 1 推計の考え方
年
2014(H26)年
2015(H27)年
~
2016(H28)年
2017(H29)年
2018(H30)年
~
2060(H72)年
推計の考え方
―
・高台移転分については、再建意向調査結果の
とおり移動が起こると仮定
・出生、死亡、転入出について、震災後の
影響が残るため、町の直近の傾向に沿って
推移すると仮定
・高台移転が概ね完了し、震災以前と同様の
傾向で推移すると仮定
表 2 仮定値の設定
年
出生に関するもの
合計特殊出生率
出生性比
推計に用いる仮定値
死亡に関するもの
生残率
転入・転出に関するもの
移動率
2014(H26)年
※住民基本台帳人口(8月1日時点、外国人含む)をそのまま使用
2015(H27)年
~
2016(H28)年
※高台移転の完了時期が団地により異なるため、町内全域での高台移転完了を見込む2017(H29)年の人口を先に推計、
その上で2014(H26)年と2017(H29)年の推計値を直線補間して推計
2017(H29)年
2009(H21)~2013
(H25)年度の実績値
2012(H24)~2014
IPSSの出生性比 の平均(震災による
(H26)年の実績値の平均
仮定値*1
死亡が含まれる2010
(1.15)
(H22)年度を除
く)
【再建意向調査結果がある場合】
調査結果を反映
【再建意向調査結果がない場合】
2009(H21)~2013(H25)年度の実績値の平均
(震災に伴い大幅な転出がみられた2011 ( H23) 年度
を除く)
2018(H30)年
~
2060(H72)年
2012(H24)~2014
IPSSの出生性比 IPSSの生残率
(H26)年の実績値の平均
仮定値*1
仮定値*2
(1.15)
国勢調査実績値*3
*1:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「日本の地域別将来推計人口(2013(H25)年 3 月推計)」
に記載されている全国一律の仮定値(男 105.5:女 100)
*2:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)「日本の地域別将来推計人口(2013(H25)年 3 月推計)」
に記載されている南三陸町の生残率の仮定値。
仮定値には地域差と今後見込まれる平均寿命の延びが考慮されている。
*3:2005(H17)年及び 2010(H22)年の南三陸町の国勢調査人口に基づき算出した移動率
18
南三陸町 人口ビジョン
1)人口減少段階の分析
総人口減少の進み具合を示す「人口減少段階」については、一般に高齢者人口の動向によ
って以下に示す 3 つの段階を経て進行するとされており、本町における人口の実績及び基本
ケースの推計結果に基づき、人口減少がいずれの段階に該当するか分析を行う。
表 3 仮定値の設定
段階
人口増加段階
人口減少・第 1 段階
人口減少・第2段階
人口減少・第3段階
説明
総人口増加
総人口減少
⇒年少人口・減少、生産年齢人口・減少、
高齢者人口・増加
総人口減少
⇒年少人口・減少、生産年齢人口・減少、
高齢者人口・ピークから維持・微減
総人口減少
⇒年少人口・減少、生産年齢人口・減少、
高齢者人口・ピークから減少
○ 2005(H17)年の人口を 100 とした場合の人口推移をみると、総人口の減少が続く中
で、65 歳以上の高齢者人口が 2009(H21)年にピークを迎えていることから、人口減少
段階については、2009(H21)年までが「第 1 段階」にあったと考えられる。
○ その後、2011(H23)年の震災の影響により各世代の人口が減少し、特に、65 歳以上
の高齢者人口は 2012(H24)年時点で 2009(H21)年のピークから約 15%減と急変して
いる。従って、本町においては、震災の影響により、高齢者人口が維持・微減となる「第
2 段階」は 2010(H22)年、2011(H23)年の 2 ヶ年のみで人口減少段階が一気に進み、
現在は「第 3 段階」にあたるといえる。
※2005(H17)~2013(H25)年は住民基本台帳人口(3 月 31 日時点)
[出典:宮城県「住民基本台
帳年報」]
※2014(H26)年は住民基本台帳人口(8 月時点)
※2015(H27)年以降は町独自推計。
図 21 南三陸町における人口減少段階の分析(2005 年=100)
19
○ 全国の総人口について人口減少段階を分析すると、2040(H52)年までが「第 1 段階」
、
2045(H57)~2055(H67)年までが「第 2 段階」
、2060(H72)年以降が「第 3 段階」に
あたると考えられる。
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成 25 年 3 月推計)
」
図 22 全国の総人口に基づく人口減少段階の分析(2010 年=100)
(2) 将来人口に及ぼす自然増減・社会増減の影響度の分析
① 自然増減・社会増減の影響度の分析
○
前項の「基本ケース」に対し、以下の3つのケースで条件を変更した推計を行い、基
本ケースと比較した変化の大きさを把握することで、自然増減(=出生率上昇)と社会
増減が総人口に及ぼす影響の分析を行った。
①出生率上昇:出生率について、基本ケースの 1.15 から、2015(H27)年の全国推計
における総人口の人口置換水準(人口を長期的に一定に保てる水準)
である 2.07 まで上昇させたケース
②移動均衡:出生率を基本ケースと同様の 1.15 を維持したままで、町外との転入・転
出が均衡し、移動が実質的に起こらなかった場合を想定したケース
③出生率上昇+移動均衡:
「①出生率上昇」と「②移動均衡」の両方が起こった場合を
想定したケース
○ 基本ケースを含めた4つのケースを比較すると、人口減少の鈍化の度合いは、
「①出生
率上昇」よりも「②移動均衡」の方が大きい。さらに、その両方が同時に起こる「③出
生率上昇+移動均衡」で最も人口減少が抑制されており、2040(H52)年の人口で比較す
ると、基本ケースの約 1.3 倍(=10,625 人÷8,109 人)になることが想定される。
20
南三陸町 人口ビジョン
16,000
(人)
14,333
出生率上昇+移動均衡
14,000
移動均衡
出生率上昇
11,732
12,000
基本ケース
10,625
10,000
9,515
10,261
9,540
8,933
8,722
7,942
8,000
8,109
6,645
6,620
6,040
5,068
6,000
4,000
4,361
2,000
0
※町独自推計に基づくシミュレーション
図 23 推計ケースごとの人口動向の比較
○
各ケースにおける 2040(H52)年の推計人口を 2010(H22)年の実績と比較し、「自然
増減の影響度」(出生率上昇により自然減を抑える効果)と「社会増減の影響度」(転出
抑制による社会減を抑えることの効果)を算出すると、自然増減の影響度は県内の他自
治体と同程度であったが、社会増減の影響度は他自治体よりも大きいという結果となっ
た(次ページ・表 5 参照)。
○
この結果から、本町の人口減少に与える影響は、出生率の低下による出生数の減少よ
りも、転出超過による社会減の方が大きいといえる。
21
表 4 南三陸町における自然増減・社会増減の影響度の分析
影響度判定
分類
2040年の
推計人口
分析対象
自然増減の
影響度
社会増減の
影響度
[基準]
基本ケース
8,109 人
[比較対象]
「出生率上昇」ケース
8,722 人
[基準]
「出生率上昇」ケース
8,722 人
[比較対象]
「出生率上昇+移動均衡」ケース
10,625 人
判定式=
比較対象
÷基準
影響度
107.6%
3
121.8%
4
※まち・ひと・しごと創生本部事務局が示すガイドライン(『
「地方人口ビジョン」及び「地方版総合戦
略」の策定に向けた人口動向分析・将来人口推計について』
(平成 26 年 10 月 20 日))に基づき、
「影響度」は以下の判定式の値に基づいて設定している。
【自然増減の影響度】
「1」=100%未満、
「2」=100~105%未満、 「3」=105~110%未満
「4」=110~115%未満、 「5」=115%以上
【社会増減の影響度】
「1」=100%未満、
「2」=100~110%未満、 「3」=110~120%未満
「4」=120~130%未満、 「5」=130%以上
表 5 県及び県内他自治体との自然増減・社会増減の影響度の比較
自然増減の影響度
1
2
3
大和町、富谷町
宮城県、
名取市、
利府町
多賀城市、岩沼市、
東松島市、
大河原町
大崎市、蔵王町、
柴田町、川崎町、
亘理町、美里町
大郷町、
色麻村
3
石巻市、気仙沼市、
白石市、角田市、
登米市、栗原市、
七ヶ宿町、村田町、
丸森町、七ヶ浜町、
加美町、涌谷町、
女川町、大衛村
4
南三陸町
1
2
社会増減の
影響度
4
5
塩竈市、
山元町、
松島町
5
※本町以外の市町村の影響度については、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局より、2015 年 2 月 18 日
付で県に配布された「01 市区町村別推計-機能追加(パターン4)版.xlsx」に基づき算出
※仙台市は区単位の推計となるため記載していない
※宮城県の影響度は『「地方人口ビジョン」及び「地方版総合戦略」の策定に向けた人口動向分析・将来人口推
計について』(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局)から転載
22
南三陸町 人口ビジョン
3 人口の変化が地域の将来に与える影響の分析
(1) 人口の変化が長期的に与える影響の想定
総合戦略として政策・施策を検討していく前提として、このまま人口減少や少子高齢化
が進行すれば、2060 年には高齢者人口が生産年齢人口を上回るような人口の変化が見込ま
れており、これらの変化が住民の生活や本町の行財政運営に長期的に与える影響について
想定する。
① 産業・雇用に与える影響
○
1 次産業から 3 次産業までの各産業において、担い手不足や売り上げの減少等により、
産業自体を維持することが困難になる。
○
行政の機能や財源の縮小などにより、漁港などの適切な維持・管理が困難になる。
○
各産業の衰退が本町のイメージ低下につながり、全国から集まっていた交流人口も減少
する。
○
購買人口の減少により、商店街をはじめとした地元向けの商業、サービス業を維持す
ることが困難になり、民間事業者の撤退など、住民の日常生活に不便が生じる。
⇒
人口減少が産業・経済の衰退につながり、それが更なる人口流出につながる悪循環に
陥る。
② 地域生活に与える影響
○
自治会の構成員が減り、地域コミュニティの共助機能が低下する。
○
集会所等のコミュニティ施設の維持・管理が困難になる。
○
公共交通の利用者減により、BRTや町民バス等の運行数が減り、または運行が困難
になり、交通の利便性が低下する。
○
道路や橋梁の更新、維持補修が困難になる。
○
情報通信事業者によるサービスの質や量が低下する。
○
行政機能の縮小により、地域コミュニティの維持にかかる地域住民の負担が増える。
③ 教育環境に与える影響
○
児童、生徒数の減少により、複式学級などへ移行せざるを得なくなることから、著し
い教育環境の変化が生じることになる。
○
部活動やスポーツなどの活動の選択の幅が狭まるなど、支障が生じる。
○
入学者が減少することで、町内に唯一の高等学校が存続できなくなる。
○
学校教育施設、社会教育施設の更新、維持・管理が困難になる。
○
公共交通の利便性が減少し、通学環境に支障が生じる。
23
④ 地域福祉に与える影響
○
高齢化による医療や介護の需要増加に対し、財源や担い手の不足により十分なサービス
が提供できなくなる。
○
南三陸病院の経営が困難になり、診療科目や診療日が減少し、身近な地域で十分な医療
が受けられなくなる。
○
保育の受け入れなど、子育てニーズに対応できる環境が悪化する。
○
医療費の負担が増加する。
○
国民健康保険料、介護保険料の負担が増加する。
⑤ 行財政運営に与える影響
○
生産年齢人口の減少や産業衰退による町税収入の減少が見込まれる一方で、高齢化の
進展による社会保障費等の扶助費の増大、公共施設やインフラの維持費用に対応する財
源の不足から、財政運営が非常に困難になる。
○
財政の悪化に対応するために、行政が提供する公共サービスの水準引き下げや廃止、水
道使用料をはじめとした受益者負担の引き上げが避けられないものとなる。
○
行政機能が縮小せざるを得なくなることから、基本的な行政サービス以外受けられなく
なる。
24
南三陸町 人口ビジョン
(2) 人口の変化が財政運営に与える影響の試算
行財政運営の中でも、将来にわたり町を存続させる裏付けとなる町の財政運営に対し、
人口減少が与える影響の大きさについて概算による把握を試みる。
① 財政収支の現状と人口減少による影響
1) 歳入の状況と影響
○
本町の一般会計は 80 億円程度の財政規模で推移してきたが、2011(H23)年 3 月の
震災により、復興事業が行われていることから、2011(H23)年度以降財政規模は大幅
に増加している。
表 6 一般会計 歳入・歳出額の推移
歳入額
歳出額
(単位:百万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
(H18)
(H19)
(H20)
(H21)
(H22)
(H23)
(H24)
(H25)
8,809
8,584
7,660
8,610
8,640
27,010
100,374
60,801
8,551
8,399
7,336
8,334
8,177
23,310
97,593
56,412
(出典)宮城県「県内市町村の財政状況資料集」
○
歳入の内訳についてみると、震災以降、依存財源にあたる「地方交付税」
「国庫支出
金」
「県支出金」が増加している。また、自主財源のなかで「町税」については震災で
減少し回復途中の段階である。また、
「その他」の増加は、前年度からの「繰入金」や
「繰越金」が生じていることが主な要因である。
表 7 一般会計 歳入額の推移(内訳)
(単位:百万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
(H18)
合計
自主
財源
依存
財源
(H19)
(H20)
(H21)
(H22)
8 ,8 09
8,5 8 4
7 ,6 6 0
8 ,6 1 0
8 ,64 0
(H23)
2 7 ,01 0
(H24)
1 00 ,3 74
(H25)
6 0,5 7 6
町税
1,183
1,346
1,340
1,338
1,300
577
821
943
その他
1,195
913
864
983
725
1,989
6,604
21,259
地方交付税
3,618
3,546
3,520
3,710
3,962
8,177
10,431
11,493
国庫支出金
586
591
648
1,125
1,009
7,569
77,164
22,208
県支出金
486
613
461
500
516
7,749
4,709
3,967
1,278
1,254
524
658
830
670
387
451
463
321
303
296
298
279
258
255
町債
地方譲与税等
※町税以外の自主財源「その他」の内訳は、分担金・負担金、使用料、手数料、財産収入、寄附金、
繰入金、繰越金、諸収入。
※「地方譲与税等」には、地方譲与税のほか、利子割交付金、配当割交付金、株式等譲渡所得割交
付金、地方消費税交付金、自動車取得税交付金、地方特例交付金、交通安全対策特別交付金を含
む。
(出典)宮城県「県内市町村の財政状況資料集」
25
○
町税の内訳をみると、震災以降で「町民税(個人)」と「固定資産税」が落ち込んで
いる。いずれも、復興の進捗に伴い回復傾向にあるものの、町内人口は震災の影響で
大幅に減少していることから元の水準まで戻るのは難しいと考えられる。
○
一方で、「町民税(法人)」は復興事業を担う建設業者等の事務所設置により倍近く
増加しているが、地場の事業者数自体は震災以前よりも減少しており、復興完了期時
点には震災前の水準以下に落ち込むことが想定される。
表 8 町税の推移(内訳)
(単位:百万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
(H18)
合計
(H19)
(H20)
(H21)
(H22)
(H23)
(H24)
(H25)
1 ,18 2
1,34 6
1,3 40
1,3 38
1,299
577
820
943
町民税(個人)
314
451
445
469
432
203
215
285
町民税(法人)
65
64
57
49
48
31
100
99
固定資産税
663
690
700
682
676
273
376
402
その他
140
141
138
138
143
70
129
157
※「その他」の内訳は、軽自動車税、市町村たばこ税、入湯税。
(出典)宮城県「県内市町村の財政状況資料集」
2) 歳出の状況と影響
○
歳出の内訳について性質別にみると、復興事業により「物件費」「維持補修費」「補
助費等」「積立金」「投資的経費」が、震災以前に比べて特に大きく増加している。
○
一方で、震災前の段階から、「扶助費(社会保障費等)」が増加を続けており、今後
も、高齢化の進行に伴ってさらに増加することが見込まれる。
表 9 一般会計 歳出額の推移(内訳)
(単位:百万円)
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
(H18)
(H19)
(H20)
(H21)
(H22)
(H23)
(H24)
(H25)
合計
8 ,55 1
8,39 9
7,3 36
8,3 34
8,177
23,310
97 ,593
56 ,412
人件費
1,871
1,827
1,838
1,804
1,774
1,544
1,622
1,824
物件費
1,225
1,134
1,111
1,228
1,169
5,136
5,997
5,687
維持補修費
19
35
45
42
35
32
86
96
扶助費
313
351
352
372
598
2,930
586
595
補助費等
999
1,043
1,092
1,150
928
1,934
18,164
14,857
公債費
1,019
1,035
1,048
1,060
1,156
1,080
1,133
1,249
積立金
414
442
168
248
162
6,322
65,158
8,554
投資・出資・貸付金
215
138
167
275
230
395
262
210
繰出金
投資的経費
720
749
707
763
775
959
842
861
1,756
1,645
808
1,392
1,350
2,978
3,743
22,479
※「投資的経費」の内訳は、普通建設事業費と災害復旧事業費。
(出典)宮城県「県内市町村の財政状況資料集」
26
南三陸町 人口ビジョン
② 町民税(個人)への影響
1) 一人あたり納税額の想定
○
町民税(個人)は、1 次産業において、自然、災害、天候等の影響を受ける場合が
あるが、生産年齢人口一人あたり納税額に換算すると概ね一定の水準にあると想定さ
れる。
○
国から地方に税源移譲が行われた 2007(H19)年度以降において、震災発生後の復
興期間という特殊要因がある 2011(H23)年度から 2013(H25)年度を除外すると、町
民税(個人)の額と生産年齢人口は概ね対応関係にあり、一人あたり納税額の平均は
42,292 円となっている。
12,000
500
10,000
400
8,000
300
生産年齢人口(人)
町民税(個人) (百万円)
600
6,000
一人あたり納税額
平均:42,292 円/人
200
4,000
100
2,000
震災の発生・復興
0
0
2007
2008
2009
2010
2011
町民税(個人)
(出典)町民税(個人)
:宮城県「県内市町村の財政状況資料集」
2012
2013
(年度)
生産年齢人口
生産年齢人口:宮城県「住民基本台帳年報」
(各年 3 月 31 日現在)
図 24 町民税(個人)と生産年齢人口の推移
2) 一人あたり納税額に基づく推計
今後、生産年齢人口については減少を続けることが見込まれており、一人あたりの納税
額が震災前の水準に戻ったとしても、町税(個人)の額は減少を続け、自主財源が縮小す
るために財政運営の自由度が低下することが想定される。
450
9,000
400
8,000
町民税(個人) [推計値]
7,000
300
生産年齢人口 [基本ケース]
6,000
250
5,000
200
4,000
3,000
150
震災前の平均納税額
42,292 円/人による推計
100
2,000
50
1,000
(年度)
図 25 生産年齢人口[推計値]に基づく町民税(個人)の推計結果
27
2060
2059
2058
2057
2056
2055
2054
2053
2052
2051
2050
2049
2048
2047
2046
2045
2044
2043
2042
2041
2040
2039
2038
2037
2036
2035
2034
2033
2032
2031
2030
2029
2028
2027
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
0
2014
0
生産年齢人口(
人)
町民税(個人) (
百万円)
350
4 人口の将来展望
(1) 目指すべき将来の方向
① 現状と課題の認識
1)人口減少克服のために必要なこと
本町の人口は、旧志津川町と旧歌津町が合併した 2005(H17)年に 18,645 人、5 年後の
2010(H22)年には 17,429 人となり、合併後においても人口減少が続いている。
また、本町は、震災により町全体が壊滅的な被害を受け、死者 620 名、行方不明者 212 名
(2015(H27)年 12 月末時点)という未曽有の大災害に見舞われた。この震災の影響で転出
者が増加し、震災後における本町の人口は大きく減少している。
本町では、1994(H6)年以降から自然減が次第に大きくなっており、長らく社会減と自然
減の複合による人口減少が続いている。また、年齢区分別で比較すると、高齢者人口(65
歳以上)の割合が大幅に増加し、生産年齢人口(15~64 歳)及び年少人口(0~14 歳)の割
合がそれぞれ減少している。特に年少人口の減少が顕著であり、少子化・高齢化が深刻な問
題となりつつある。
本町の人口減少を克服するためには、人口流出及び少子化に歯止めをかけるとともに、
「新
しい人の流れ」をつくり、地域が持続可能な人口構造とすることが重要である。
2)定住促進のために求められること
2014(H26)年 8 月に実施した『「南三陸町のこれからのまちづくり」意向調査』(町内全
世帯を対象、世帯全体の意見を代表者が記入、回収 1,146 票)では、「今後住みたい場所」
として、全ての年代で 7 割以上が「南三陸町内に住みたい」と回答している。また、「今後
の就業場所の意向」としては、約 6 割が「南三陸町で働きたい」と回答していることから、
住民の多くは、今後も町内で働き、暮らし続けたいと考えていることが分かる。
また、「より多くの人が南三陸町に定住したくなるために重要なこと」としては、全ての
年代で「日常の買い物の利便性」が挙げられたほか、20 代では「子育て環境・子育て支援
サービス」や「安心して住み続けられる住宅」
、30 代では「保健・医療サービス」や「生活
を支える職」などが多く挙げられている。このような意見を踏まえると、住民の定住を促進
し、人口流出を抑制するためには、職を得て安心・快適に暮らせる環境を整備するとともに、
次代を担う子どもを生み育てやすい環境づくりに力を入れる必要があると考えられる。
3)子どもを生み育てやすい環境づくりのために求められること
2013(H25)年 12 月に実施した「子育て家庭の状況に関するアンケート調査」(就学前児
童及び小学生の保護者を対象、回収 381 票)では、
「子どもをみてもらえる親族・知人の状
況」の設問について、現在は、
「日常的にみてもらえる」との回答が約7割、
「緊急時や用事
の際はみてもらえる」も合わせると8割に達し、地域に子育てを支える環境があると考えら
28
南三陸町 人口ビジョン
れる。
一方で、将来の状況についての回答をみると、親族や知人に“日常的”あるいは“緊急時
や用事の際に”子どもをみてもらえるとの回答は5割を下回っており、将来に向け、安心し
て子どもを産み育てられる環境づくりに取り組む必要があると考えられる。
② 目指すべき将来の方向(基本的視点)
現状と課題を踏まえ、町民と人口減少に対する危機感を共有し、持続可能なまちの実現のた
め、本町が目指すべき将来の方向として、次の 3 つの基本的視点を設定する。
1)「仕事と暮らし」の希望実現
町外への転出や年少人口の減少に歯止めをかけ、安定した人口構造を維持・形成していく
ため、将来を担う世代の就労・結婚・出産・子育てといった「仕事と暮らし」の希望を実
現する。
2)移住・定住の加速化
官・民・地域が連携し、積極的な移住定住を促進することで、外から町への新しい人の流
れをつくり、人口増加を加速させる。
3)住み続けたい「まち」をつくる
地域資源を活かした循環型経済の拡大や、誰もが活躍できる地域社会の形成等により、魅
力と活力あふれ、いつまでも住み続けたい・住み続けられる「まち」を実現する。
29
(2) 将来人口のケース比較
国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョン及び宮城県の人口ビジョンを勘案しつつ、施
策の効果が表れた際の人口がどのようになるか、複数のケースで比較を行う。
① 将来人口のケース設定
ここでは、前述の「基本ケース」を基に、将来人口のありかたについて「出生率」と「純移
動率」に着目して 4 つのケースを設定する。
1)出生率の設定
出生率については 4 ケース共通で、本町の実績に基づく基本ケースの合計特殊出生率(=
1.15)から段階的に上昇し、2030(H42)年に国の目標の国民希望出生率(=1.80)、2040
(H52)年に人口置換水準(=2.07)を達成するように推移すると仮定する。
2.20
2.07
2.00
2.07
1.80
1.80
1.60
1.40
1.20
1.15
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
2027
2028
2029
2030
2031
2032
2033
2034
2035
2036
2037
2038
2039
2040
2041
2042
2043
2044
2045
2046
2047
2048
2049
2050
2051
2052
2053
2054
2055
2056
2057
2058
2059
2060
1.00
図 26 推計に適用する合計特殊出生率の仮定値
2)純移動率の設定
2014(H26)年から 2017(H29)年までの年齢階層別の純移動率(転入者と転出者の差し
引きが、当該年齢階層の人口に占める割合)は、震災前の実績値(2005(H17)年と 2010(H22)
年の国勢調査から算出)を基準としている。
本町の場合、転出超過による人口流出をいかに抑制できるかが人口縮小対策のポイントに
なることから、将来的に転入・転出を均衡に近づけることを想定する。
ここで、転入と転出が均衡に近づくとは、“転入-転出”で表される「純移動率」が“ゼ
ロ”に近づくことを意味しており、純移動率が半減するケースと、純移動率がゼロとなる 2
つのケース(達成時期が異なる)の、合わせて 3 つのケースを設定する。
0.20
0.10
0.00
-0.10
-0.20
-0.30
-0.2368
-0.40
2030(H42)に移動均衡
2040(H52)に移動均衡
図 27 純移動率の設定イメージ(「15~19 歳→20~24 歳:女性」の例)
30
2060
2059
2057
2058
2055
2056
2049
2050
2047
2048
2045
2046
2043
2044
2041
2042
2039
2040
2037
2038
2035
2036
2033
2034
2031
2032
2029
2030
2028
2026
2027
2024
2025
2022
2023
2020
2021
2018
2019
2017
2053
2054
2040(H52)に移動半減
-0.4735
-0.60
2051
2052
-0.50
南三陸町 人口ビジョン
3)将来人口推計のケース設定
出生率と移動率の組み合わせにより、以下の 4 ケースを設定する。
表 10 将来人口推計のケース設定
ケース名
出生率
純移動率
ケース1:
1.15 ⇒1.80(2030 年)
出生率向上
⇒2.07(2040 年)
ケース2:
(同上)
出生率上昇+移動縮小
ケース3:
(同上)
出生率上昇+移動均衡(2040 年)
ケース4:
(同上)
出生率上昇+移動均衡(2030 年)
基本ケースと同様
基本ケースを初期値とし
2040 年に半分となる
基本ケースを初期値とし
2040 年にゼロとなる
基本ケースを初期値とし
2030 年にゼロとなる
② ケース別の推計結果の比較
1)総人口の推移
基本ケースにおいて、本町の人口は 2060(H72)年に約 4,400 人まで減少すると見込まれ
るが、最も人口減少の抑制効果が大きいケース4が実現すれば、2060(H72)年の人口は約
7,100 人となり、約 2,700 人の減少抑制となる。
16,000
ケース4:出生率向上・移動均衡(2030年)
ケース3:出生率向上・移動均衡(2040年)
14,000
ケース2:出生率上昇・移動縮小
ケース1:出生率上昇
基本ケース
12,000
10,824 人
10,000
10,261 人
9,386 人
(
震
災
影
響
8,073 人
出
生
率
(人) 8,000
、
8,109 人
7,143 人
、
生
残
率
6,000
移
動
率
6,040 人
)
を
考
慮
し
て
推
計
4,000
4,361 人
2,000
2018(H30)~2060(H72)年: 震災発生前の傾向に戻ると仮定して推計
図 28 ケース別の総人口の比較
31
2060
2059
2058
2057
2056
2055
2054
2053
2052
2051
2050
2049
2048
2047
2046
2045
2044
2043
2042
2041
2040
2039
2038
2037
2036
2035
2034
2033
2032
2031
2030
2029
2028
2027
2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
0
2)人口構造の変化
各ケースを比較すると、「基本ケースの変化率との差分」(差分ポイント)が大きいほど
施策効果が大きいといえる。年齢階層別に比較すると、「出生率上昇」により、「0~14 歳
人口」が 14.1 ポイント、「0~4 歳人口」が 15.7 ポイントと数値が大きくなっており、特
に、15 歳未満の年少人口について減少抑制につながることが確認できる。
また、移動均衡を想定したケースでは、
「20~39 歳女性人口」が 12.3 ポイント、20.7
ポイントと数値が大きくなっており、出生率上昇との相乗効果で、15 歳未満の年少人口
についても、22.0 ポイント、27.3 ポイントと数値が大きくなっている。
15~64 歳の生産年齢人口については、主に移動均衡の効果により減少抑制につながる
ことが期待される。なお、65 歳以上の高齢者人口については、いずれのケースにおいて
も基本ケースと比べ大きな変化は生じないものと見込まれる。
表 11 ケース別の人口構造の比較
■年齢階層別・推計結果の比較
年
2010年
(単位:人)
区分
現状値
基本ケース
出生率上昇
2040年
15歳未満
人口
総人口
うち0~4歳
15~64歳
人口
65歳以上
人口
20~39歳
女性人口
17,427
2,158
575
10,031
5,238
1,463
8,109
514
121
3,751
3,844
332
8,480
819
211
3,816
3,845
337
出生率上昇+移動縮小
8,733
898
244
4,016
3,819
415
出生率上昇+移動均衡(2040年)
9,040
988
282
4,253
3,799
512
出生率上昇+移動均衡(2030年)
9,386
1,104
341
4,500
3,782
635
■現状値からの変化率
年
区分
基本ケース
2010年
⇒2040年
増減率
15歳未満
人口
総人口
うち0~4歳
15~64歳
人口
65~74歳
人口
20~39歳
女性人口
-53.5%
-76.2%
-79.0%
-62.6%
-26.6%
-77.3%
出生率上昇
-51.3%
-62.0%
-63.3%
-62.0%
-26.6%
-77.0%
出生率上昇+移動縮小
-49.9%
-58.4%
-57.6%
-60.0%
-27.1%
-71.6%
出生率上昇+移動均衡(2040年)
-48.1%
-54.2%
-51.0%
-57.6%
-27.5%
-65.0%
出生率上昇+移動均衡(2030年)
-46.1%
-48.8%
-40.7%
-55.1%
-27.8%
-56.6%
■基本ケースの変化率との差分
年
区分
基本ケース
2040年
基本ケース
⇒シミュレー
ション増減率
15歳未満
人口
総人口
うち0~4歳
15~64歳
人口
-
-
-
-
65~74歳
人口
20~39歳
女性人口
-
-
出生率上昇
2.1 ポイント
14.1 ポイント
15.7 ポイント
0.6 ポイント
0.0 ポイント
0.3 ポイント
出生率上昇+移動縮小
3.6 ポイント
17.8 ポイント
21.4 ポイント
2.6 ポイント
-0.5 ポイント
5.7 ポイント
出生率上昇+移動均衡(2040年)
5.3 ポイント
22.0 ポイント
28.0 ポイント
5.0 ポイント
-0.9 ポイント
12.3 ポイント
出生率上昇+移動均衡(2030年)
7.3 ポイント
27.3 ポイント
38.3 ポイント
7.5 ポイント
-1.2 ポイント
20.7 ポイント
32
南三陸町 人口ビジョン
3)高齢者人口比率(高齢化率)の変化
各ケースの高齢化率を比較すると、出生率上昇のみでは高齢化の進行を抑制する効果は
限られるが、転出超過の縮小につながる施策に取り組むことで、高齢化率の抑制効果が大
きくなり、人口構造のバランス回復につながることが期待される。
58%
56%
基本ケース
54%
52%
ケース1:出生率上昇
50%
ケース2:出生率上昇+移動縮小
48%
ケース3:出生率上昇+移動均衡(2040年)
46%
ケース4:出生率上昇+移動均衡(2030年)
44%
42%
40%
38%
36%
34%
32%
30%
28%
26%
24%
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
2045
2050
2055
2060
図 29 ケース別の高齢化率の比較
表 12 ケース別の人口構造の推移
■基本ケース
総人口
2010
17,427 人
2015
14,030 人
2020
12,574 人
2025
11,354 人
2030
10,261 人
2035
2040
2045
2050
2055
2060
9,208 人
8,109 人
7,031 人
6,040 人
5,152 人
4,361 人
年齢区分別・人口構成比率
年少人口(15歳未満)
12.4%
10.0%
8.4%
7.7%
7.7%
7.2%
6.3%
5.2%
4.3%
3.9%
3.8%
生産年齢人口(15~64歳)
57.6%
58.0%
55.8%
53.5%
50.4%
48.3%
46.3%
45.6%
44.7%
43.5%
40.3%
高齢者人口(65歳以上)
30.1%
32.0%
35.9%
38.8%
42.0%
44.5%
47.4%
49.2%
51.0%
52.6%
55.9%
■ケース1:
出生率上昇
総人口
2010
17,427 人
2015
14,030 人
2020
12,600 人
2025
11,462 人
2030
10,483 人
2035
2040
2045
2050
2055
2060
9,529 人
8,480 人
7,415 人
6,429 人
5,562 人
4,803 人
年齢区分別・人口構成
年少人口(15歳未満)
12.4%
10.0%
8.6%
8.6%
9.6%
10.2%
9.7%
8.4%
7.4%
7.2%
7.8%
生産年齢人口(15~64歳)
57.6%
58.0%
55.7%
53.0%
49.3%
46.9%
45.0%
44.9%
44.7%
44.0%
41.5%
高齢者人口(65歳以上)
30.1%
32.0%
35.8%
38.5%
41.1%
43.0%
45.3%
46.7%
47.9%
48.8%
50.7%
■ケース2:
出生率上昇+移動縮小
総人口
2010
2015
2020
12,610 人
2025
11,503 人
2030
10,569 人
2035
2040
2045
2050
2055
2060
9,680 人
8,733 人
7,788 人
6,924 人
6,173 人
5,520 人
17,427 人
14,030 人
年少人口(0~14歳)
12.4%
10.0%
8.6%
8.6%
9.7%
10.5%
10.3%
9.5%
9.0%
9.6%
10.9%
生産年齢人口(15~64歳)
57.6%
58.0%
55.7%
53.1%
49.6%
47.4%
46.0%
46.4%
46.9%
46.9%
45.3%
高齢者人口(65歳以上)
30.1%
32.0%
35.7%
38.3%
40.7%
42.1%
43.7%
44.1%
44.1%
43.5%
43.8%
年齢区分別・人口構成
■ケース3:
出生率上昇+移動均衡(2040年)
総人口
2010
17,427 人
2015
14,030 人
2020
12,619 人
2025
11,545 人
2030
10,662 人
2035
2040
2045
2050
2055
2060
9,853 人
9,040 人
8,270 人
7,598 人
7,048 人
6,600 人
年齢区分別・人口構成
年少人口(15歳未満)
12.4%
10.0%
8.6%
8.7%
9.8%
10.8%
10.9%
10.6%
10.9%
12.3%
14.4%
生産年齢人口(15~64歳)
57.6%
58.0%
55.7%
53.2%
50.0%
48.0%
47.0%
48.2%
49.2%
49.9%
49.2%
高齢者人口(65歳以上)
30.1%
32.0%
35.7%
38.1%
40.2%
41.2%
42.0%
41.2%
39.9%
37.8%
36.4%
■ケース4:
出生率上昇+移動均衡(2030年)
総人口
2010
17,427 人
2015
14,030 人
2020
12,634 人
2025
11,614 人
2030
10,824 人
2035
10,114 人
2040
2045
2050
2055
2060
9,386 人
8,687 人
8,073 人
7,562 人
7,143 人
年齢区分別・人口構成
年少人口(15歳未満)
12.4%
10.0%
8.6%
8.7%
10.0%
11.2%
11.8%
12.0%
12.5%
13.6%
15.0%
生産年齢人口(15~64歳)
57.6%
58.0%
55.7%
53.4%
50.5%
48.9%
47.9%
48.9%
50.0%
51.1%
51.3%
高齢者人口(65歳以上)
30.1%
32.0%
35.7%
37.9%
39.5%
40.0%
40.3%
39.2%
37.5%
35.3%
33.8%
33
4)人口構造バランスの比較(人口ピラミッド)
総人口についてみると、ケース4においても減少は避けられないところである。
しかしながら、人口ピラミッドをみれば、基本ケースでは生産年齢人口や年少人口が極
端に少ないアンバランスな人口構造だったものが、ケース4では特に若年層の人口が増え、
フラットでバランスの良い人口構造に近づくことが期待される。
2010(H22)年
0
男性
761
362
515
535
503
696
630
600
523
467
416
420
473
8,429人
800
168
600
63
351
303
342
301
400
200
400
204
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
600
591
551
384
325
272
387
414
354
274
800
女性
412
511
482
695
639
616
683
623
581
8,988人
0 総人口:17,427人
200
(人)
ケース4
基本ケース
2040(H52)年
0
男性
4,061人
297
375
356
378
325
286
269
280
355
195
124
181
127
87
75
90
109
90
62
800
600
400
200
0
2,249人
339
800
600
400
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
175
122
83
77
72
63
48
30
27
30
29
25
200
0
281
266
224
236
253
127
83
63
59
84
106
88
59
0
101
136
191
212
228
261
400
405
404
364
365
600
2040(H52)年
800
女性
男性
4,048人
4,617人
総人口:8,109人
2060(H72)年
男性
200
261
320
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
800
(人)
200
119
80
61
55
50
43
33
23
25
30
28
24
総人口:4,361人
236
213
223
226
197
214
232
400
600
600
0
290
366
342
358
312
280
268
285
357
400
191
124
201
174
149
165
188
201
191
175
200
0
3,521人
2,112人
325
800
(人)
600
293
276
230
241
267
400
97
126
177
200
217
249
200
0
人口構造の
バランス改善
図 30 人口ピラミッドの比較(基本ケースとケース4)
34
800
女性
395
406
373
376
4,769人
(人)
200
233
210
227
238
210
228
258
165
152
150
158
178
190
180
166
159
164
175
181
総人口:7,143人
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
191
168
145
162
185
199
190
174
168
173
184
191
600
169
155
152
159
179
190
181
166
0
男性
400
257
304
総人口:9,386人
2060(H72)年
800
女性
200
90歳以上
85~89歳
80~84歳
75~79歳
70~74歳
65~69歳
60~64歳
55~59歳
50~54歳
45~49歳
40~44歳
35~39歳
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
10~14歳
5~9歳
0~4歳
400
600
800
女性
3,622人
(人)
南三陸町 人口ビジョン
(3) 人口の将来展望
① 将来の人口目標
本町の人口ビジョンは、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと同じく、2060(H72)
年までの期間を対象とし、前述の「ケース4:出生率上昇+移動均衡(2030)」を踏まえ、次
のとおり将来の人口目標を設定する。
【本町の人口目標】
目標年
人口目標
基本ケースの推計値に
対する改善数
2030(H42)年
10,900 人
約 700 人
2040(H52)年
9,400 人
約 1,300 人
2060(H72)年
7,200 人
約 2,800 人
なお、本町では、しばらくの間、総人口の減少が続くことは現実的に避けられない状況では
あるが、人口目標については、総人口が将来的に下回らないことを目指す「下限値」として設
定するものであり、人口減少に対応する的確な施策を展開し、将来向かうべき方向へ着実に歩
むことにより、目標値を上回る総人口の維持を目指すものとする。
ただし、これらの人口目標は、人口減少が続いている本町の人口動向を踏まえると、決して
容易なものではなく、その達成に向けて非常な努力が必要となる設定である。したがって、行
政・町民・事業者の全員が改めて危機感を共有し、人口目標の達成に向け、総力を結集して様々
な取り組みを実行することが求められる。
② 取り組みにより実現を目指す仮定値の設定
1)合計特殊出生率
2014(H26)年から 2017(H29)年までの期間は、震災の影響を考慮した独自設定の仮定
値(=1.15)を想定し、国の長期ビジョンにおける合計特殊出生率の目標水準と同様に、
2030(H42)年までに国民希望出生率(=1.80)、2040(H52)年までに人口置換水準(=2.07)
まで上昇させることを目指す。
2)純移動率
2014(H26)年から 2017(H29)年までの期間は震災前の実績を想定し、2030(H42)年
までに転入・転出を均衡させること(転入者数と転出者数の差し引きである純移動をゼロ
とすること)を目指す。
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