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SEM使用マニュアル(Ver. 3.0)
JSM-6480 使用マニュアル(ver.3.0) 神戸大学理学部地球惑星科学科 惑星物質科学研究室 作成:井上&武村(05/01/21) 改訂:大西&高山(07/12/26) 改訂:高山(09/04/15) 【SEM使用時の基本的な流れ】 キースイッチOFF 【SEM本体の動作確認】 【SEM本体とイオンポンプの始動】 キースイッチON 【イオンポンプの動作確認】 【SEMアプリケーションの始動】 EDSを使用するか? 使用する 使用しない 【EDSの準備】 【試料の準備】 【試料の装着】 【電子線の発生】 低真空モード 高真空モード 【画像観察】 【低真空モードでの画像観察】 【低真空モードでの画像観察の終了】 【観察終了】 【試料の取り出し】 【SEM本体・パソコンの終了】 【SEM 本体の動作確認】 キースイッチONの場合: 【イオンポンプの動作確認】を行う。 キースイッチOFFの場合: 【SEM本体とイオンポンプの始動】を行う。 【イオンポンプの動作確認】 LBG コントロールユニット(以下 LBG-CU)が左記の状態 であるかチェックする。 真空度良好、グリーン・ランプすべて点灯の場合: 【SEM アプリケーションの始動】を行う。 左記以外の状態である場合: ただちに管理者に連絡する。 【SEM 本体とイオンポンプの始動】(下図参照) 1. 冷却装置の電源を入れる。 2. VT-1、VT-3 バルブをOPENにする。 3. SEM 本体の下部にあるキースイッチを START の位置まで回し、2∼3 秒待っ て手を放す。 4. 20∼30 秒待ち、パソコンの電源を入れる。 5. 「Jsm5000 へのショートカット」アイコンをクリックし、ウィンドウを立ち上げる。 6. LBG コントロールユニットの GUN-HV、COLUMN モニタがグリーンに点灯し た後、2 時間待つ。 7. SIP POWERスイッチを「ON」(スイッチを 2 秒以上押して、グリーンに点灯す ることを確認)にする。しばらく待つとSIP VACUUM METERのデジタル表示 が点灯するので、VT-1 バルブをCLOSEにする。 8. VT-1 バ ル ブ CLOSE 後 、 し ば ら く 待 つ と LBG コ ン ト ロ ー ル ユ ニ ッ ト の GUN-UHVモニタがグリーンに点灯する。HTが「準備中」から「OFF」になり、 使用可能となる。 9. 試料交換ウィンドウを立ち上げ、真空表示がReadyになっていることを確認 する。 以後、VT-1 バルブはCLOSEのまま。 試料室及び電子銃室の真空度を記録用紙に記入する。 1 【SEM アプリケーションの始動】 1. パソコンの電源を入れる。 2. 「Jsm5000 へのショートカット」アイコンをクリックし、ウィンドウを立ち上げる。 ウィンドウ右上の交換をクリックし試料交換ウィンドウを立ち上げ、真空表示 がReadyになっていることを確認する。 3. 試料室及び電子銃室の真空度をチェックし、使用記録用紙に記入する。 【EDS の準備】 EDS コントローラー操作パネルを見て、EDS 検出器の冷却状態を確認し(下図参 照)、下記の手順に沿って EDS の準備を行う。 《重要》EDS検出器の冷却状態により、液体窒素の注入の方法が異なる。必ず決め られた手順で行うこと。 EDS 検出器の冷却状態 《常温状態(ROOM)の場合》 1. VT-3 バルブをCLOSEにする。 2. EDS コントロール操作パネルの START ボタンを押す(EVAC ランプ点滅)。 3. 15分ほど待つと、ピーピーと音が鳴り出す。 →EVAC ランプが点灯し、COOL ランプが点滅を始める。 4. 音が鳴り出してから、必ず10分以内(音が鳴っている間)にタンクに液体窒素 を注入する(10分以内に注入しなかった場合、始めからやり直す)。 <最初は激しく沸騰するので、まずタンクの 1/3 程度まで入れてからしばらく沸 騰が治まるのを待ち、その後残りを入れてキャップをする。> →COOL ランプが点灯し、READY ランプが点滅を始める。 5. 50分ほど待つと、READY ランプが点灯し、準備完了となる。 注意事項 1∼4の過程では、他の作業を一切しないこと!! ただし、その後(cool待ち時 間)には【試料の装着】、【電子線の発生】及び【画像観察】を行ってもよい。 2 《中温状態(MIDL)の場合》 1. 常温状態(COOL ランプ、MIDL ランプが消灯し、ROOM ランプが点灯)になる までしばらく待つ(約 6 時間)。 2. 常温状態になった後、《常温状態の場合》の手順で液体窒素の注入を行う。 注意事項 中温状態では、液体窒素の注入作業は、絶対に行ってはならない!!ただし、 【試料の装着】、【電子線の発生】及び【画像観察】などは行ってもよい。 《低温状態の場合》 1. 液体窒素タンク(デュワー)中の液体窒素の残量を確認し、残量が半分以下で あれば、液体窒素を補充する。 2. 低温状態であれば、ただちに EDS の使用が可能である。 《補足》 ・ 液体窒素タンクに液体窒素を満タン充填すると、通常約 24 時間は枯渇しない が、季節により枯渇までの時間が変わることがある。液体窒素の残量には、常 に気を配ること。もし、使用途中で中温状態になった場合は、《中温状態の場 合》の手順どおりに液体窒素の注入を行う。中温状態では、液体窒素の注入 作業は、絶対に行ってはならない!! ・ 液体窒素タンクの注入口や内側に霜や水滴が付着している場合は、それらを 取り除いてから、液体窒素を注入すること。 【試料の準備】 1. 試料をアルミ試料台に載せ、カーボンテープなどで固定する。電流が確実に 流れるよう、蒸着面と試料台を繋ぐこと。 2. 試料台を試料ホルダに入れ、六角ドライバーでホルダのねじをしめる。 3. ブロワーで試料に付いたほこりやごみをはらう。 《補足》 ・ 試料を取り扱う際は、コンタミ(汚染)防止のため、以下の点に注意する。 机上を清掃する。(埃を払う、エタノールで拭く等) 机上にアルミホイルなどを敷き、その上で作業する。 作業中は指サックやゴム手袋を装着し、試料やアルミ試料台、試料ホル ダを直接手で触らないよう気をつける。 作業中は極力しゃべらない。くしゃみ、せきにも注意する。 3 【試料の装着】 必ず以下の事を確認する。 試料交換ウィンドウの真空表示がReadyになっているか。 試料はホルダにしっかり固定されているか。 1. VT-3 バルブをCLOSEにする(OPEN状態では、エアロック室の真空引きが始 まらず、エラーが表示される)。 2. 交換棒を RELEASE にして降ろし、エアロック扉右側のフックを外し、扉を開け る。試料フックにホルダをセットする(HOLD にして固定する)。ホルダは、直線 になっている部分が鏡筒側になるようにする(下図)。 3. 交換棒のハンドル表示が HOLD になっていることを確認し、エアロック扉を閉 める。このときエアロック扉右側のフックをしっかり留めること。 4. 試料交換ウィンドウの EVAC を押す。 このときラジオボタンのチェックがエアロック方式になっていること! →EVAC が点滅する。 5. EVAC が点灯に変わるまで、約 1 分待つ。 6. 仕切弁レバーを止まるまで OPEN 側に倒す。 7. 交換棒をいっぱいまで差し込む。この間ハンドルが回らないよう注意して真っ 直ぐに保つ(少し手前で手応えが固くなるが、奥まで差し込む!)。 8. ハンドルを 90°左に回し、RELEASE が上に来るようにする。 9. そのまま真っ直ぐに固定されるまで引き抜く。 10. 仕切り弁レバーをCLOSE側まで倒す(最後の辺りは少し固くなるが、意識的 に最後まで倒す!)。 11. エアロック内がリークされて大気圧になる(シューという音が鳴り止む)のを待 ち、扉を開けて試料が無いことを確認する。 12. RELEASE のまま交換棒を上に倒してストッパーに固定しておく。 注意事項 ホルダと試料の高さを合わせておく(試料部分が凹んでいても良い)。厚みがある 試料の場合、高さを設定しておくこと(「設定」→「基本設定」→「自動機能」→「試料 高さ補正」で行う)。 4 【電子線の発生】 必ず以下の事を確認する。 LBG コ ン ト ロ ー ル パ ネ ル の SIP POWER 、 COLUMN 、 GUN-HV 、 GUN-UHVモニタがグリーンに点灯しているか。 LBGコントロールパネルのSIP VACUUMパネルの真空表示が<6.0×10-5 Paの範囲内にあるか。 試料交換ウィンドウ真空表示がReadyになっているか。 HTがOFFになっているか。 1. VT-3 バルブをOPENにする。 2. ブランクをクリックして、ビームブランクを解除する。 3. ウィンドウ下の「加速電圧」をクリックし、加速電圧を選ぶ(推奨 15kV)。 4. 電子銃をクリックし、ガンアライメントウィンドウを開く。 5. 「dbmon へのショートカット」をクリックして、dbmonitor を起動する(Fila 値の 確認用)。 6. 「Analyser Manager」をクリックして、プローブ電流モニタを起動する(照射電 流値の確認用)。 7. ガンアライメントウィンドウのエミッションパターンをONにする(ラジオボタンで 選択)。スポットサイズを40にする。 8. HTをクリックする。その時刻を記録用紙に記入する。 9. ガンアライメントウィンドウのフィラメント加熱スライドバー右端の矢印ボタンを カチカチとクリックする(1クリック毎に Fila 値が1上がる)。 →真ん中より少し左側あたり(Fila 100 付近)から L.C.値が上がり始め、画 面中央にエミッションパターン(下図参照)が映し出される。 10. スライドバーを右に移動するに従って、エミッションパターンが中央に収束し、 やがて白い点になる(飽和点)。 ※飽和点の目安としては,飽和点と見られる加熱ボタンの位置(A 点)から,フィラメント加 熱スライドバーの左端の矢印ボタンを 10 回クリックした時,十字のエミッションパターンが 見えるように加熱スライドバーを設定する(下図参照)(A 点で使用する)。 11. 使用開始時のL.C.値およびFila値を使用記録用紙に記入する。 以降、観察可能状態となる。 ※LaB6 フィラメントは、交換後すぐはガスを発生して真空度を悪くする傾向にある。IPの 真空度が悪い(4.0-5.0×10-5Pa)時はフィラメント加熱バー上の「プリヒート」ボタンを押 して 2-3 時間ほど待つとよい。 5 【画像観察】 1. ステージの大きさを設定する(ステージをクリックして、「試料ホルダ」を選び、 使用するホルダの大きさを選ぶ)。 2. ジョイスティック、またはステージ制御ウィンドウを用いてステージを移動し、観 察したい部分を出す。座標指定ウィンドウのラジオボタンのチェックは絶対値 指定にしておくこと。 ステージ移動方法 X/Y 方向: ジョイスティック、またはステージ制御ウィンドウ (ジョイスティックを使用する場合、FINESHIFT ボタンを押すと 微調整ができる。) Z方向 : ステージ制御ウィンドウ(ジョイスティック使用禁止!) <試料観察は基本的にZ=10 mmで行う。ティルト(傾斜)はいじらないこと!> 3. コントローラーの STIG ボタン(非点補正を行う際にのみ用いる)が消灯してい ることを確認の上、コントローラーのコントラスト(CONT)つまみ、ブライトネス (BRI)つまみで画面の色調を調節する。 4. MAGNIFICATION つまみで好みの倍率に合わせ、FOCUS つまみで焦点を 合わせる。 COARSE ボタンを押し、粗く焦点を合わせ、その後もう一度 COARSE ボ タンを押し(消灯)、つまみを回して微調整する。 <自動調整(コントラスト・明るさ:ACBボタン、フォーカス:AFDボタン)を用い ると、簡単に調整できる。ただし、自動では正確に調整できるとは限らない ので、微調整は手動で行った方が良い。> 5. 対物非点(FOCUS つまみを回した時に像がひきつるように歪む現象)があれ ば非点補正を行う(下記参照)。 注意事項 電子線による試料のダメージを少なくするよう心がけること。観察を行わないとき はブランクをクリックして電子線をそらす。食事などでしばらく席を外すときには PCD をいれる(INSERT ボタンを押す)。 《非点補正》 1. 高倍にして(×10,000 程度)、傷や微粒子など、目印となるものを探す。このと きフォーカスを合わせること。 2. 自動調整ボタンをクリックする。(ただし、自動では正確に調整できるとは限ら ないので、微調整は手動で行った方が良い。) <手動で調整を行う場合は、コントローラーの STIG ボタンを押し(点灯)、コント ローラーの X、Y つまみで調整する。> 《SEI、BEI の切り替え》 1. 画面下の「信号」をクリックし、信号ウィンドウを開く。 2. 見たい像の種類をダブルクリックする。 6 <組成像を見るときは、BEIW を選び、ウィンドウ左下の反射電子の項目を 組成像にする。> 《電流値の変更》 1. デスクトップの「Analyser Manager」アイコンをクリックし、プローブ電流モニタ を起動させる。 2. PCD を入れる(INSERT ボタン点灯)。 3. 左画面下の「スポットサイズ」をクリックし、スポットサイズウィンドウを開く。 4. スポットサイズの値を変え、希望の電流値(通常は 0.4∼0.6 nA)にする。 数字ボタンで大まかに合わせ、スライドバー両端の矢印で微調整する。 <電流値が大きいと像は見やすくなるが、試料に対するダメージが大きくな るので注意する。> 《画像の保存》 1. 保存したい視野を表示させる。 2. 保存したいスキャンモード(通常はスキャン3∼4)を選び、フリーズボタンをク リックする。→画像の右上に保存ボタンが表示される。 3. 保存ボタンをクリックし、保存場所・保存形式を選ぶ。 このとき、画像情報(倍率など)がテキストファイルとして同時に保存され る。 「テキスト貼り付け」にチェックを入れた場合、画像に画像情報(倍率やス ケールバー)がオーバープリントされる。 「設定」→「基本設定」→「画像データ」から、画像情報を設定できる。 《光軸調整》 SEM の操作に不慣れな場合は省略してもよいが、できれば毎回行うことが望まし い。付記【光軸調整】を参照して行う。 【EDS の使用】 EDS 使用マニュアル を参照のこと。 7 【観察終了】 注意事項 次のユーザーに引き継ぐ際は、VT-3 バルブをCLOSEにした上で、HT、フィラメン トをOFFにしなくても良い。ただし、【試料の取り出し】の手順に従って、必ず試料 は取り出すこと。試料を入れっぱなしにしない!!! 1. 電子銃をクリックし、ガンアライメントウィンドウを開く。 2. 終了直前のL.C.値をチェックし、使用記録用紙に記入する。 3. フィラメント加熱スライドバーを左に移動させ、L.C.値を落とす。 4. HTをクリックする(OFF)。その時刻を記録用紙に記入する。 5. ウィンドウ下部の項目を以下のように設定しておく。 「信号」:SEI。 「加速電圧」:15kV。 「真空モード」:HV(高真空モード)。 【試料の取り出し】 1. VT-3 バルブをCLOSEにする(OPEN状態では、エアロック室の真空引きが始 まらず、エラーメッセージが表示される)。 2. 交換をクリックし、試料交換ウィンドウを開く。 必ず次の事を確認する。 VT-3 バルブがCLOSEになっているか。 試料交換ウィンドウの真空表示がReadyになっているか。 3. 交換棒を降ろす。このときハンドル表示が RELEASE になっていることを確認 する。 4. EVAC をクリックする。 このときラジオボタンのチェックがエアロック方式になっていること! →ステージが自動的に規定位置に移動し、基本条件に戻る。 →EVAC が点滅する。点灯に変わるまで 1∼2 分待つ。 このときステージ制御ウィンドウを開いておくと分かりやすい。 5. 仕切弁レバーを止まるまで OPEN 側に倒す。 6. 交換棒をいっぱいまで差し込む。この間ハンドルが回らないよう注意して真っ 直ぐに保つ(少し手前で手応えが固くなるが、奥まで差し込む!)。 7. ハンドルを 90°右に回し、HOLD が上に来るようにする。 8. そのまま真っ直ぐに、固定されるまで引き抜く。 9. 仕切り弁レバーをCLOSE側まで倒す(最後の辺りは少し固くなるが、意識的に 最後まで倒す!)。 8 10. エアロック内がリークされて大気圧になる(シューという音が鳴り止む)のを待 つ。 11. エアロック扉を開け、試料ホルダを取り出す。 12. エアロック扉を閉める。このとき右側のフックをしっかり留めること。 13. 交換棒を上に倒してストッパーに固定する。 14. 試料はデシケーターに入れ、忘れずに真空を引く。 【SEM 本体・パソコンの終了】 必ず次の事を確認する。 VT-3 バルブがCLOSEになっているか。 試料交換ウィンドウの真空表示がReadyになっているか。 HTがOFFになっているか。 1. パソコンのウィンドウを全て閉じる(SEM 停止ウィンドウが出るので、OK をクリ ックする)。 このとき使用記録用紙に書き込む項目の値をチェックしておくこと。 2. スタートメニューから Windows の終了を選び、パソコンの電源を切る。 3. INSERT ボタンが点灯している場合は、消灯しておく。 4. イオンポンプはそのままで良い。 5. 電子銃室、試料室の真空度をチェックし、使用記録用紙に記入する。 6. その他必要事項を使用記録用紙に記入し、ファイルする。 9 【光軸調整】 SEM使用に不慣れな者は、この項目は飛ばしても良い。 1. 電子銃をクリックし、ガンアライメントウィンドウを開く。 2. スポットサイズを40にする。 3. ガンアライメントウィンドウのアライメント調整−傾斜 X、Y のスライドバーを動 かし、画像が最も明るくなるように(照射電流が最大になるように)調整する (光軸の傾斜軸の調整)。 4. スポットサイズを70にする。 5. ガンアライメントウィンドウのアライメント調整−水平 X、Y のスライドバーを動 かし、画像が最も明るくなるように(照射電流が最大になるように)調整する (光軸の水平軸の調整)。 6. スポットサイズを 60 程度にする。 7. Z=10 mmにする。 8. 高倍にして(×10,000 程度)、傷や微粒子など目印となるものを探し、フォーカ スを合わせる。 9. ウォブラをクリックし、OL ウォブラを起動させる(フォーカスが振動する)。 10. 対物絞りのX、Yつまみ(下図)を動かし、目的物の上下左右の振動が最小と なるように調整する(対物絞り中心の調整)。このとき、絞り選択つまみは動か さない。 11. ウォブラをクリックし、OL ウォブラを停止する。 12. 2∼8を再度繰り返す。 13. ガンアライメントウィンドウを閉じる。 注意事項 バイアスの設定は勝手に変更しないこと。 10 【低真空(LV)モードでの画像観察】 1. 高真空(HV)モードの状態で、【試料の装着】、【電子線の発生】、【光軸調整】 の操作を行う。 2. VT-3 バルブをCLOSEにする。 3. 真空モードをクリックし、低真空(LV)モードに切り替える。 4. 低真空調整ツールのリストから希望する圧力を選び、スタートボタンをクリック する。→「圧力設定値」表示が点滅し、圧力調整が行われる(点滅が停止すれ ば、圧力調整は完了)。 圧力の目安として、照射電流 0.4∼0.6 nA の時、圧力 30∼40 Pa が適当。 5. VT-3 バルブをOPENにし、ブランクをクリックして、ビームブランクを解除すれ ば、観察可能となる。以後の操作は、HVモードでの画像観察と同じ。 《補足》 ・ 水分を多く含む試料を観察したい場合、試料の装着の前に上記2∼4の操作 を行い、LVモードの状態で、【試料の装着】、【電子線の発生】の操作を行う。 (参考)試料交換時のエアロック室真空度: HV モード:30 Pa LV モード:270 Pa ・ 試料のチャージアップが激しい場合は、照射電流を下げる、もしくは、圧力を 上げる。 ・ 低真空モードの場合、信号が弱いために、コントラスト、ブライトネス、フォーカ ス調整が困難なことが多い。この場合、ACB、AFD による自動調整が有効。 【低真空(LV)モードでの画像観察の終了】 1. VT-3 バルブをCLOSEにする。 2. 真空モードをクリックし、HV モードに切り替える。 3. HVモードの状態で、【観察終了】、【試料の取り出し】、【SEM本体、パソコンの 終了】などの操作を行う。 《補足》 ・ 水分を多く含む試料を観察したい場合、 LVモードの状態で、【試料の取り出 し】の操作を行い、試料を取り出した後、HVモードに切り替える。 11 〝EDS 使用マニュアル〟 【Analysis Station の起動】 デスクトップ右画面の「Analysis Station」アイコンをクリックし、Analysis Station を立ち上げる。 <分析(EDS の使用)は常に Analysis Station 上で行う。すでに Analyser Manager を起動している場合には、小さなウィンドウ(JED-2200)が現れるので、 これを閉じる。> 【画像測定(画像の取り込み)】 分析したい部分の画像をフリーズさせ、Analysis Station ウィンドウの画像をクリ ックする。 <画像の取り込み条件は任意に設定できる(【測定条件の設定】参照)。> 【測定条件の設定】 1. Analysis Station ウィンドウの条件をクリックし、条件ウィンドウを開く。 2. 使用する分析方法の項目の設定を行う。 ① 4000 PHA モード: Pulse Height Analyzer (PHA)モードの選択。 T1・・高計数率(デッドタイムが短い)での測定が可能な反面、エネルギー 分解能が低い。 T2・・T1と T3 の中間的なモード。 T3・・一般的な測定モード。標準試料の測定はT3 モードで行っているので、 定量分析の際は必ず「T3」にすること。 T4・・エネルギー分解能が高い反面、計数量が多いとデッドタイムが長く なる。 T1 T4 7200 3600 Mg 6400 Mg 3200 5600 2800 4800 Counts Counts 2400 O 2000 Si 4000 O Si 3200 1600 2400 1200 1600 800 Na Fe 400 Al S P 0 Na Fe 800 Al P S 0 0.00 0.30 0.60 0.90 1.20 1.50 1.80 2.10 2.40 2.70 3.00 keV 0.00 0.30 0.60 0.90 1.20 1.50 1.80 2.10 2.40 2.70 3.00 keV T1:スペクトルが粗い デッドタイム:数パーセント T4:スペクトルが精確 デットタイム:20 数パーセント 12 ◆デッドタイムとは? EDS 検出器が X 線を取り込み、その数をカウントする際、X 線量があまりに多い と、検出器の処理が追いつかなくなり、数え落としが生じる。その数え落としの時 間をデッドタイム(不感時間)という。デッドタイムは 20 %以下が望ましい。 ② プリセット: X 線の取り込み終了条件。 (スペクトル測定/連続測定の場合) エンドレス・・・「停止」をクリックするまで X 線を取り込む。 ライブタイム・・・ライブタイム(リアルタイムからデッドタイムを引いた時 間)がプリセット値の時間に到達するまで X 線を取り込む。←推奨 リアルタイム・・・測定にかかる実際の経過時間がプリセット値の時間に 到達するまで X 線を取り込む。 (画像の場合) エンドレス・・・「停止」をクリックするまで X 線を取り込む。 高速 1 フレーム・・・1 回積算。 5 フレーム積算・・・5 回積算。 (X線マッピング/線分析の場合) エンドレス・・・「停止」をクリックするまで X 線を取り込む。 1、5、10、50、100・・・それぞれ 1 回、5 回、10 回、50 回、100 回積算。そ の他、任意の数値が入力可能である。 ③ プリセット値: スペクトル測定/連続測定の測定時間。 推奨は 60∼100秒。 ④ 照射電流測定: 照射電流を X 線の取り込みの前あるいは前後で測定する かどうか指定する。 フィラメント加熱後 1 時間以内の場合、電流値の変動が大きいため、定量 分析の際は必ず「前後」測定すること。(定量分析の際は、常に「前後」に しておくのが望ましい。) ⑤ 画素数: 画像あるいは X 線マッピング像の解像度(分析点の数)。 選択できる解像度は 64×48、128×96、256×192、512×384、1024×768、 2048×1536、4096×3072 のいずれか。解像度が高いと画像が鮮明にな る反面、取り込み時間がかかる。目的に応じて使い分けること。 ◆Tips 画像の取り込みや X 線マッピングの際は、何をどこまで見たいかを考えて画素数 の設定を行う。設定は視野の倍率との兼ね合いであり、むやみに画素数を上げて よ い と い う も の で は な い 。 例 え ば 、 横 幅 ∼ 2mm の 視 野 ( 倍 率 ∼ 260 倍 ) を 1024×768 の解像度で像を取り込む場合と横幅∼1mm の視野(倍率∼130 倍)を 512×384 の解像度で像を取り込む場合では、1 画素あたりの大きさは同じ(約 2µm)である。 13 ⑥ ドゥエルタイム: X 線マッピングの際の1画素あたりの X 線取り込み時間。 ドゥエルタイムを長くすると、1 画素あたりの X 線強度が大きくなり、画像が 鮮明になる反面、X 線取り込み時間が長くなる。像の解像度や目的に合 わせて使い分けること。例として、1024×768 の画素数の X 線マッピング を プリセット:10、ドゥエルタイム:1 msec の条件で行った場合には、 1024×768×10×1÷1000÷60÷60 = 2.184 で最低でも 2 時間かかる。 【スペクトル収集】 《エリア分析》 1. 画像測定を行う(【画像測定(画像の取り込み)】参照)。 2. 条件を設定する(【測定条件の設定】参照)。 3. Analysis Station ウィンドウ上部の収集をクリックする。 →定性定量プログラムが起動し、スペクトル収集が開始される。 (取り込んだ画像全体の収集が行われる。) 4. 収集が完了すると、スペクトルは自動的にリストに追加される。 <ディスクへの保存は自動的に行われないので、まめに手動で保存すること (【ディスクへの保存方法】参照)。> ピークの同定は自動的に行われる。手動で定性をやり直したい時には、定性 をクリックして行う。 《点分析》 1. 画像測定を行う(【画像測定(画像の取り込み)】参照)。 2. 条件を設定する(【測定条件の設定】参照)。 3. 分析したい位置で、マウスの右ボタンをクリックする。 →ポップアップメニューが表示される。 4. メニューから点分析を選ぶ。 →クリックした位置に分析点が設定され、分析が開始される。 5. 収集が完了すると、スペクトルは自動的にリストに追加される。 <ディスクへの保存は自動的に行われないので、まめに手動で保存すること (【ディスクへの保存方法】参照)。> ピークの同定は自動的に行われない(定性をクリックして手動で行う)。 《線分析》 1. 画像測定を行う(【画像測定(画像の取り込み)】参照)。 2. 条件を設定する(【測定条件の設定】参照)。 3. 分析したい位置で、マウスの右ボタンをクリックする。 →ポップアップメニューが表示される。 4. メニューから線分析を選ぶ。 →クリックした位置に分析線が設定され、分析が開始される。 5. 収集が完了すると、スペクトルは自動的にリストに追加される。 <ディスクへの保存は自動的に行われないので、まめに手動で保存すること 14 (【ディスクへの保存方法】参照)。> ピークの同定は自動的に行われる。手動で定性をやり直したい時は、定性 をクリックして行う。 《連続分析(プリセット)》 1. Analysis Station ウィンドウ上部の連続をクリックする。 →連続分析モードに入る。 2. 拡張測定ウィンドウの連続分析の項目から、分析する条件を設定する。 3. 分析したい位置で、マウスの右ボタンをクリックする。 →ポップアップメニューが表示される。 4. メニューから、「分析点を追加」もしくは「分析エリアを追加」を選択(左クリック) して、分析領域を設定する。 →分析領域には、自動で番号が付加される。 5. 拡張測定ウィンドウの開始ボタンをクリックする。 →測定中の分析領域は黄色で表示される。 6. 測定が終了した順に自動的に保存され、リストに追加される。 →測定が終了した分析領域は色が変更される。 【元素マッピング】 1. 画像測定を行う(【画像測定(画像の取り込み)】参照)。 2. 条件を設定する(【測定条件の設定】参照)。 3. Analysis Station ウィンドウ上部のマップをクリックする。 →マッピングプログラムが起動し、マッピングが開始される。 4. 収集が完了すると、マップは自動的に保存され、リストに追加される。 収集が完了した画像上で領域を選び、マップウィンドウの抽出をクリックす ると、スペクトルを見ることができる。 1. 抽出をクリックする。 2. 抽出領域の種類を選択する。 3. マップ画像上で領域を選択すると、自動的に選択領域のスペクトルが 表示される。 マップウィンドウの重複から、各元素の単色画像を作成することができる。 【ディスクへの保存方法】 《分析データを保存する》 データの保存はプロジェクトごとに行う。 Analysis Station ウィンドウの「ファイル」→「名前を付けて保存(上書き保存)」 で保存場所を選ぶ。 →リストに載っているデータは全て保存される。 15 《分析値をテキストファイルで保存したい場合》 1. 定量結果ウィンドウを開く(「表示」→「定量結果メニュー」)。 2. コピーをクリックする。 3. メモ帳を開いて貼り付ける。 《分析画像データ(スペクトル、マップなど)を BMP、JPG 形式で保存》 ◆ Analysis Station を用いる場合 Analysis Station ウィンドウから、「ファイル」→「エクスポート」で保存場所を 選ぶ(BMP 形式のみ)。 ◆ Smile View を用いる場合 1. Analysis Station ウィンドウ上部の SMV をクリックして、Smile View を開 く。 2. 「レイアウト設定」から希望のレイアウトを選び、保存したい画像を貼り付け る。 3. Smile View ウィンドウから、「ファイル」→「エクスポート」で保存場所・保存 形式を選ぶ(BMP、JPG 形式)。 【定量分析】 1. SEM制御ウィンドウ左下でWD=10mmを選択する。 (※今後はフォーカスつまみを動かさないこと!) 2. ステージ制御ウィンドウでZを調節してフォーカスを合わせる。 (ステージ制御ウィンドウの右半分の部分にカーソルをあわせると、カーソル が△z や▽z に変わるので、クリックしてステージを上下させ、調整する。) (※ウィンドウ左半分にカーソルをおいたときに表示される△tや▽tはティルト (傾斜)の調節なのでうっかりクリックしないよう注意!) 4.Analysis Station の条件コマンドで条件設定を行う。 1 箇所のみを分析する場合→スペクトル分析 連続して何箇所も分析する場合→連続分析 ・ PHA モード・・・T3 ・ プリセット(測定形式)・・・ライブタイム ・ プリセット値(測定時間)・・・50∼100 秒(それより長くても良い) ・ 照射電流測定・・・推奨は常に前後 ・ ビーム発生後 1 時間まで: 前後 ・ それ以降: 前 ・ 照射電流は0.6 nA前後、デッドタイム30 %以下 5.画像をクリックし、画像を取り込む。 6.分析する領域を決める。 ・ 1 箇所のみを分析する場合・・・画像上で右ドラッグして四角形を作る。 ・ 連続して何箇所も分析する場合・・・連続をクリックして矩形を選び、画面 16 上でドラッグして四角形を作る。さらに画像上をクリックすると同じサイズ の分析エリアが作られる。 《注意》 点分析はコンタミが多くなるので使用しないこと。 7.プローブトラッキング使用にチェック。 連続測定などで測定終了まで長時間かかる場合は、「測定終了後 HT を OFF にする」にもチェックしておくと良い。 8.開始をクリックすると測定が始まる。 9.測定終了後、デスクトップの userstd フォルダを開き、15Pure・15 酸化物フォル ダのうち、測定対象に該当するほうの名前を 15 に書き換える。 〈フォルダ名が 15 でないと読み込めないため。〉 10.周期表で C を定量禁にしておき、定量をクリック。定量ウィンドウで計算方法 を単体か酸化物か選ぶこと。 〈質量%トータル誤差は最大で 100±5 %。だいたいは 98±2 %くらいに収まる。〉 〈誤差%の欄は対象ピークの積算量が充分であるか否かの目安でしかない。〉 測定結果は定量ウィンドウのコピーコマンドを利用してエクセルに貼り付けると データの処理が便利である。 【エネルギー較正】 週 1 回∼月1回は行うこと。できれば毎回定量前に行うのが望ましい。 スタンダード取り込みの際には必ず行う。 Al・Cuを同時に分析して較正を行うため、あらかじめステージ台にCuメッシュ等 をカーボンテープで貼っておくこと。(※32φのスタンダード用ホルダには既に 貼ってある) 1. Analysis Station アイコンをクリック。 2. Analysis Station ウィンドウを最小化して、Analysis Program アイコンをク リック。 3. 加速電圧を 20 kV にする。(Mg・C のピークを排除するため) 4. Analysis Program ウィンドウの「ツール」を選び、「調整」→「エネルギー較正 条件」をクリック。 ① 較正対象(T)・・・T3 ② AlKα、1st ピーク ③ CuKα、3rd ピーク となっていることを確認。(その他の項目は触らないこと) 5.ステージ台と Cu メッシュが同一視野に入るようにステージを移動。 6.Analysis Program の開始をクリックして測定開始。(測定条件のプリセット値 は長めにとること) 7.1.00 keV近傍にCu(Lα)とAl(Kα)のピークが出るので、Cuのピークの方が僅 かに低くなるように視野を動かして調整する。 (視野の7割くらいに Cu が出るのが目安) 17 8.表示されたスペクトルに定性でラベルを貼り、Al・Cu のピークの一番高い部分 とラベルの青線が一致していれば OK。 AlKαは 1.486 keV、CuLαは 0.930 keV であるので、Cu はピークの一番高い 段の中央にラベルがくるが、Al は少しずれる(1.48 か 1.49 が一番高いところに なるため)。 9.一致していない場合、「ツール」をクリックし、「調整」→「エネルギー較正条件」 をクリックし、 ① プリセット 30 秒 ② 繰り返し 10 回 ③ 期待値 0.010KeV となっていることを確認し、「ツール」→「調整」→「エネルギー較正」をクリック。 →「無題への変更を保存しますか?」と出るので「はい/いいえ」でエネルギー較 正がスタートする。エネルギー較正を行わない場合は「キャンセル」。 10.較正終了後、5∼9の手順を繰り返し、一致するまで行う。 18