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としてのオフィスづくり

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としてのオフィスづくり
「生活の場」としてのオフィスづくり
第3回
“Work-Life Balance”in the Office
「日本人の生活文化」を支えてきたたくさんの素材が
無機質なオフィスを居心地のいい空間に変えてくれる
これまで、主に設計思想の部分から「生活の場」としてのオフィスづくりについて解説
をしてきました。大切なのは、
「オフィスはこうでなければいけない」といった先入観
を捨て、居心地のいい空間を実現するために自由な発想をすることです。たとえば住
宅における空間づくりのノウハウを大胆に導入したり、機能や用途を固定しない「ゆ
らぎ」によって、職場環境は大きく変わってきます。そしてもう一つ、日本人が持つ伝
統的な感性に訴える素材や工芸品を活用するのも、生活の場としてのオフィスづくり
居心地のいい空間をつくる
「究極の技」は和のおもてなし
やりの気持を表すことのできる「感性」がなければいけないのです。伝
統的な素材や技に込められた「心」を引き出し、今の私たちの生活に
取り入れる工夫ができるはずです。
私は、
いままで多くのオフィスづくりを手掛けてきましたが、常に持ち続
代表的なのは「和紙」の活用です。最近の都市生活では、本物の
けたテーマは「そこにいる人にとって居心地のいい空間」をつくることで
それでも、和紙を透過させ
障子や襖に囲まれた空間は少ないですが、
した。オフィスワーカーはもちろん、訪れてくるお客さまにも気持ちよく過ご
た淡い光で照らし、壁紙を和紙にすると「落ち着く」と答える人が多い
せる気配りをすることが、結果的に企業の業績アップにつながる。その
ところに、
自然素材の魅力を感じます。やはり都市の中にあっても日本
ため、
この連載でも採りあげたような様々な試みをおこなってきました。
の風土には、
日本の文化や素材が適しているのでしょう。
その中で最も自然に受け入れられるのが、
「和」のこころづかいとし
ての設え、
つまり日本の伝統的な文化であるお華やお茶でもてなす「場」
日本で暮らす人々は、昔からそれぞれの日本の風土に合った居心
に使われる間取りや室内装飾の考え方をオフィスに持ち込むという発
地の良い空間を実現するためにさまざまなノウハウを蓄積してきました。
想でした。
おそらく、今の日本家屋の基本となる平安時代の寝殿造の建物から
たとえば、
エントランスの一画に植物を配置して快適空間を演出す
その歴史は千
本格的に技術開発が進められてきたと考えますので、
る際に、通常は観葉植物を置きます。それだけでも「場」は改善され、
く
はせいぜい
年以上になります。近代的なビル(モダニズム建築以降)
には有効です。
「日本にはせっかく、
くつろぎの空間をつくるためのアイテムが数多く
つろぎを感ずるものですが、
もう少し工夫して石や竹などで小さい庭(坪
百年程度ですから、文化的な厚みは全然違います。ところが、近代的
庭)
をつくり、空間の演出をすると、
その空気が一変して、明らかに和む
なビル建築においては、便利で効率優先の欧米式オフィスのコピーを
フィスの利用者にとってもわかりやすいのではないでしょうか。
のですね。
生むことに躍起になっていたので、
日本の風土とは無関係で機械的
あるのですから、それを活かさないのはもったいない」と語る大倉清教氏の話は、オ
な設備で内部を閉じこめ、無機質、無国籍といっ
た内装が主流を占めていました。
アドバイザー
大倉清教氏
オフィス空間では、季節の変化で癒しやもてな
認定ファシリティマネジャー(CFMJ)
有限会社ケプラデザインスタジオ 代表取締役社長
http://www.h5.dion.ne.jp/~kepla/
しを表現するといった発想はなく、私たちはそんな
伝統的な文化の恩恵を受けることもありません
1954年生まれ。金沢美術工芸大学産業美術学科卒業。大手家具メーカーの設計部、企画部を
でした。
経て、2001年5月にケプラデザインスタジオを設立。これまでに約2000件のオフィスプランニングと
デザインを手掛ける。現在、FMの導入およびに運用コンサルティングやワークプレイスデザイン、
効率優先の弊害が明らかになりつつある現
オフィスファニチャーのデザインなど、
オフィス関連の幅広い分野で活躍中。
代において、空間の曖昧さの中でイマジネーショ
ン(思索)でき、内面的なあそびやゆとりの中に
感性を見出すことのできる「和」の設えこそが、
「生活の場」としてのオフィスづくり ● はやわかりメモ
必要となっているのではないかと考えます。 ■「和」に込められたこころを知る
私たちが暮らす日本の生活は一見、欧米風でありながら、
どこかに、
「和」の
感性を持つデザインが不思議となじんでいることを感じている。オフィスの室
内デザインに「和」の要素を加えることで、感性豊かな生活空間として生まれ
変わる。
■もてなしの場に、虚飾でお迎えすることはあり得ない
もてなしの場は、主客はその空間においてお互いの感性を見出し、確かめ合
うところであるから、
「和」のモチーフはイミテーションを避け、ホンモノでなけ
ればならない。
■オフィスには生活空間としての
「和」の感性が求められている
おもてなしの空間で大切なのは
優れた建築技術体系を築いてきた日本だが、オフィスには感性を豊かにする
試みと関心が少なく、無機的な空間ばかりを生み出した。しかし、
これからの
生活空間としてのオフィスには人間の感性に訴求する要素が不可欠である。
ホンモノへの徹底的なこだわり
■日本の伝統文化を守る担い手になるオフィスを
もちろん、近年の高層ビルには木造建築はなく、
優れた日本の伝統文化も、需要がなくなれば失われてしまう。一般のオフィス
において、
「和」の心を見出してオフィス生活に取り入れることで、少しでも自
分たちの国の文化を守ることができるのではないか。
その内装材も耐火仕様で、防炎のために不燃
材料を使用することを余儀なくされます。ビルを
取りまく環境もさることながら、
ビル自体をすべて
「和」の
伝統工法で建てることはできないので、
▼「生活の場」としてのオフィスづくり「人の関わりをデザインする作法」
「オフィスにおける失敗の科学」
「失敗しないオフィスづくり」
「総務の悩み大研究」の下記バックナンバーは、http://www.websanko.comをご覧ください。
デザインは部分的な工夫でメッセージを表現する
ことになります。
「和のこころ」は、無機的な近代
●「生活の場」としてのオフィスづくり
●「人の関わり」をデザインする作法
・08年III号 「生活空間」は一人ひとりの個性を尊重し、
コミュニケーションを主体とする場づくりから生まれる・08年II号 人間主体の知的創造活動に最も適したワークプレイスは、従来のオフィス概念を打破す
るところにあった
●「人の関わり」をデザインする作法
・07年IV号 「組織と個人」の関係性を考えていくこともコミュニケーション戦略として重要になる・07年III号 「知的生産」に結びつくコミュニケーションは「自律・協調」の場から生まれる・07年II号 コミュニケ
ーションの本質を知ることから「オフィスづくり」をスタートさせよう!
●オフィスにおける「失敗」の科学
・06年VI号 次世代型オフィスへの変革は経営資源としての人材を認識することから始まる ・06年III号 失敗がわかりにくい日本のオフィスと失敗を恐れすぎるアメリカのオフィス ・06年II号 失敗から目をそらし
たり、失敗を恐れるのではなくそこから何を学べるのか考えるべきだ!
●失敗しないオフィスづくり
・05年VI号 知的情報を協創共有するオフィスを使いこなすには、
日本の伝統文化が参考になるであろう・05年 III 号 オフィスの満足度も会社への帰属意識もキーワードはコミュニケーションだった ・05年II 号
時間軸を加えた「四次元デザイン」でオフィスの性能を最大限に発揮 ・04年10月号 専門家を活用するためには「審査する側」にも充分な知識が必要 ・04年 7月号オフィスづくりには事前の綿密なオフィス
診断と入居後の評価が肝心 ・04年 4月号プロジェクトを理解できないと、
「良いオフィス」はつくれない
●総務の悩み大研究
・03年11月号ゼロから始めるファシリティマネジメント・03年 9月号リユースを進めることでコストを大幅に削減できる・03年 7月号オフィスの環境や性能を保ち続けるには ・03年 5月号オフィスの三大問
題を一気に解消する方法とは?・03年 3月号突発的に発生したプロジェクトのコストを削減する・02年11月号プロジェクトマネジャーによる手間とコストの削減 ・02年 9月号 施設分散の弊害の悩み
・02年 7月号 資産のオフバランス化と喫煙対策の悩み ・02年 5月号 オフィスの席替え ・02年 3月号 オフィスの合格点 ・02年 1月号 空調の悩み ・01年11月号 FMのコストダウンとアウトソーシング
・01年 9月号 先進的で働きやすいオフィス ・01年 7月号 書類削減の悩み ・01年 5月号 オープンオフィスでワークスタイル削減 ・01年 3月号 オフィスマネジメントの悩み ・01年 1月号 レイアウト
の悩み ・00年11月号 経費削減の悩み ・00年 9月号 オフィスリニューアルの悩み ・00年 7月号 オフィス移転の概算予算 ・00年 5月号 流動化オフィスオペレーションとFM ・00年 3月号 戦略的
な総務とは ・00年 1月号 プロジェクトマネジメントの業務範囲 ・99年11月号 オフィスのリニューアル計画 ・99年 9月号 電子ファイリングのポイント・99年 7月号 オフィス情報化の悩み ・99年 5月
号 社員のモチベーションアップの秘訣
人間主体の知的創造活動に最も適したワークプレイスは、
従来のオフィス概念を打破するところにあった
建築に潤いをもたらす「究極の技」である一方、
とってつけた悪趣
充分な知識や経験がないと、
石や竹などでつくった小さい庭(坪庭)の例。
味になりかねない禁断の木の実でもあるのです。
そのような空間に「和」を持ち込むにあたって、
これは考えてみれば当然のことなのです。
前提条件として守りたいことがあります。それは、可能な限り「ホンモノ」
日本の庭は、私たちが日常的に接する身のまわりの自然を人工的な
へのこだわりを持つことです。
日本で生活するものに
空間の中に再現したものです。つまりそこには、
あたりまえの話ですが、大切なお客さまにお茶を出す場合、樹脂の
とって、最も安心できる原風景があるわけで、落ち着かないわけがありま
湯呑み茶碗は使いません。飾りに置くものも、文化財や歴史的名品
せん。
の複製などもってのほかです。素材を含めてニセモノでは、虚偽を見
しかし、決してむやみに和風の要素を取り入れれば、良いというもの
抜かれた際には、
せっかくのもてなす人の気持まで疑われてしまいます。
ではありません。
たとえ無名な作家の茶碗であっても、
こころを込めてつくられたものを
自然を取り入れ、季節の移ろいを感ずる心を持って、
もてなしや思い
使ったほうがよほど良い。先ほど触れた坪庭にしても、季節感のないメ
第3回
「生活の場」としてのオフィスづくり
“Work-Life Balance”in the Office
ンテナンスフリーの造花に気づいた人はどのように感ずるでしょうか? オフィスが快適になるだけでなく
すなわち柱や梁を構成する建築躯体と襖や障子など内装・設備を切
ぶりだ」と喜んでおられました。
もちろん造花が悪いのではなく、
それを置くことで安心して、季節のうつろ
日本文化を伝承していく手助けに
り離して考える考え方は、都市を構成し災害から内部を守るスケルトン
日本には、石や木、紙などを使ったたくさんの優れた空間デザイン技
いでもてなすことを忘れてしまうことがいけないのです。それなら鉄や石な
と、変化に対応し顧客の多様性に適合した設備や内部仕様等のイ
術があります。それらをオフィス空間に活用することで新たな「生活の場」
どまったく別の素材で自然や宇宙を表現する方が面白みを感じます。
日本の伝統的な空間づくりのノウハウを活かしていく。これはオフィ
ンフィルに分離するという考えに通ずるものと考えます。
としての需要を喚起できれば、今まで伝承されてきた日本のもてなしの
たとえ一輪の花であっても、季節の移ろいを感ずることを相手に伝え
スを使うユーザーにとって自然や四季を通じて安らぎを感じ、
またそこに
また近代建築によってもたらせられた作業効率優先の均質で画一
文化を守り、気持ちよい「和」のこころを伝えていくことができるのでは
るのがおもてなしの表し方だと思うのです。おもてなしは形式ではなく相
住む人の「感性」を表出するだけでなく、
もう一つ大きな意味を持つ「試
的な空間をオフィスワーカーは、仕事の場として受け入れてきました。
し
ないかと期待しています。
手を思いやる気持ちの問題なので押しつけがましく、見え透いた飾りは
み」でもあるのです。
かし、住む人の感性を豊かにして創造性を高め、
そのような人々が集い、
それでは、次章では「和」の素材を活かしてもてなしの空間デザイン
興ざめです。
さりげない気づかぬところの心配りが大事です。
古くから建築や内装、室内装飾などの分野で日本は多くの優れた独
語らう場は、
けっして作業の場の発想ではつくれません。そこには生活
を行った実例について紹介します。なお、誤解のないようにつけ加えて
そういえば、管理の手間がいらないことからCGを使ったバーチャル水
自の技術やノウハウを蓄えてきたにもかかわらず、今、
その多くが伝承
の場という発想がなく、快適さという生理的な物差しだけで計画させて
おきますが、
これらは決して「奇をてらった贅沢」なインテリアを目指した
槽が一時期、流行りましたね。
しかし、結局は接客スペースのインテリア
者を失い、消え去ろうとしています。実際、京都で多くの職人さんに会
いたからです。
ものではありません。熟練した職人さんの手仕事を採用していますので、
として、
それほど普及しなかったのは、生きものを育てるやさしさや気持ち
って話を聞いてみると、
「後継者もいないし、注文も少ないので、
この技
ということで、積極的に日本の空間づくりのノウハウを取り入れ、現代
それなりに必要なコストはかかりますが、高級素材をちりばめたデザイン
のゆとりをそこからは感ずることができなかったからではないでしょうか?
術は我々の代だけで終わってしまうかもしれない」と嘆いていらっしゃる
の空間に応用したいと考えているのですが、
「和」を探れば探るほど、
そ
に比べればはるかにリーズナブルであり、多くの企業において採用は可
ホンモノにこだわるとなぜか相手に伝わるものです。たとえば応接室に
方は多いのです。
の現代の生活から忘れ去られている奥深さに触れて敬服してしまいます。
能です。
しかし、何といっても作り手が喜んで参加することのできること
石が一つ転がっている。すると、
お客さまは気になって、
いわれを聞かれ
なぜ、
そうなってしまったのかといえば、前述のように私たちの生活が
このあと紹介する御影石の水鉢をつくっていただいた丹波の石工
は、何ものにも変えがたいこころのこもった付加価値が含まれているの
るかもしれません。そのとき、
「創業当時の工場の基礎に使っていたも
変化して、需要が少なくなっていることと、伝統産業が時代の変化に
さんは、私たちの注文に対し、
「こんな手の込んだ仕事をするのは久し
です。
のをここまで運んできたのです」とでも説明できれば、感動を与えられま
対応しきれないこともあります。そして日本では、建築やデザインは欧米
す。つまり、
あれこれ悩まなくても、
たった1個の石だけで、初心の気持ち
の技術を学ぶことに力を入れるあまり、和風の伝統技術については、
を大切にする理念を相手に伝えることができるのです。
住宅以外ほとんど関心を払われることがありません。そして近年の建築
もう一つ、素材を上手に使うことで「和」の空間を実現した例として、
セキュリティや情報武装
設計に求められる要素は多様で複雑になり、
兵庫県西宮市の旧甲子園ホテル、現在の武庫川女子大学の甲子
を重視し、効率や利便性を優先した建物が量産されているのです。そ
「凹凸を
園会館を紹介します。西ホールにある市松格子の光天井は、
うでなければ商業的な意味合いの濃い造形物に陥っているものも目
つけた障子」風の照明で室内を照らすのですが、素材もデザインもシ
につきます。
ンプルなのに唯一無二の表情のある空間をつくりあげ、
「和」の素材
しかし、変化に対して効率的に対応する仕組みとして現在注目され
を近代建築に持ち込むヒントと教えてくれているようです。
ているスケルトン&インフィルは、
日本の建築が持つ特性であったのです。
人々が求める自然の感覚を体系化した「五行思想」に学ぶ空間づくりの秘訣
五行思想とは古代中国に端を発する自然哲学で、
「万物は木・
ルーツは中国であっても、
日本文化に多大な影響を与えている
火・土・金・水の5種類のものから成る」という発想をベースに、季
日本人にとっては、受け入れやすい世界観ではない
思想だけに、
節や方角から感情、色まであらゆるものをこの5つに関連づけ、体
でしょうか。
「火→南
系化しています。中には意味不明のものもありますが、
例えば「会議室」をつくるときに目的によって五行思想のテー
→夏→楽しむ→紅」といった結びつけなどはなんとなく納得いくも
マカラーを参考にしても面白いでしょう。
「五事」のところを見てく
のですし、歴史を経て最適化されてきたシステムなのですから、
自
ださい。
「事」とは人間のすることという意味で、
それを「貌・視・思・
然観あふれるデザインをするにはけっこう納得いくものです。
言・聴」の5つに分け、
「五色」と関連づけをしています。
・プレゼンテーション(視)の部屋 → 紅系
●五行思想の分類例
・ブレーンストーミングのように思いを巡らす部屋 → 黄系
五行 木
火
土
金
水
・フリートーキングで発言しあう部屋 → 白系
五色 青
紅(朱)
黄
白
黒
・感覚を研ぎ澄ましてじっくりヒアリングする部屋 → 黒系
五方 東
南
中
西
北
五時 春
夏
土用
秋
冬
五声 呼
言
歌
哭
呻
五情 喜
楽
怨
怒
哀
五塵 色(視覚)声(聴覚)香(嗅覚)味(味覚) 触(触覚)
五味 酸
苦
甘
辛
鹹 (塩辛さ)
五事 貌
視
思
言
聴
五常 仁
礼
信
義
智
大倉清教さんは次のサイトでも、
オフィスづくりに役立つアドバイスが連載されています。
武庫川女子大学(甲子園会館)西ホール、市松格子の光天井。
ちなみに最初にある「貌」とは容貌や美貌という言葉に使われ
るように「ものの姿や形を見る」といった意味で、対応した色であ
る青は、展示室などの背景によく使われます。カラーコーディネート
は五行思想のみに頼るのではありませんが、
このように科学的根
拠で説明のできない場合に、発想を展開するのに役立ちます。
また風水も、基本的に五行思想をベースにしています。
したが
って、窓のない室内であっても、南の方角には明るい太陽をイメー
ジさせる紅(赤)系や黄系のものを配置すると、中にいる人は外界
とのつながりを感じやすく、精神的にも疲れにくくなるそうです。
メガソフト株式会社「オフィスデザインファクトリー」
http://www.megasoft.co.jp/odf/index.html
「大倉清教のお役立ちコラム」
大倉清教のオフィスを居心地の良い空間に変えた事例
D社(日本を代表する企業の関西支社)
【プロジェクト概要】
・ 旧オフィスは50年前は先進的ビルであったが、近年は設備などの老朽化が目に付いてきた。
・ 既存入居ビルの建て替え計画とともに、外部プロジェクトマネジメントを加えた移転プロジェクトが発足する。
【新オフィスコンセプト】…千客万来
関西企業の事業発展を目的とし、顧客第一主義の気持ちを忘れずに、
関西の地で伝承された「ほんもの」の文化を取り込むことで礼をつくした「おもてなし」のこころをあらわす。
また一方で、
「ほこり」ある豊かな気持ちを持って新たな挑戦ができる拠点づくりとして計画する。
「おもてなし」
・お客様に来ていただくことに感謝し、千客万来の心からのおもてなしを提供する。
・豊かな心遣いによって、自然や四季のうつろいを感じていただく設えを施す。
「ほんもの」
・見せかけや虚偽のものを排除し、本物に込められた気品と優しさによって来客をもてなす。
・「和」の伝統的な素材を活用し、過去から伝承されたもてなしのこころを引き出す。
「ほこり」
・そこで働く人々にやる気(自発性)を促し、
「自律協調」の働きを活性化する場をつくる。
・社員であることに自覚と誇りを感じ、豊かな気持ちで仕事ができる場とする。
受付
お客様を心よりおもてなしする空間。
本物にこだわることで、気品を醸し出す。
お客様は待たせずに応接ゾーンに案内するが、
その間にくつろげるように、
インテリアは柔らかなダウンライト
照明と壁面は落ち着いた天然木ローズウッドの羽目板貼り。家具も自然石、天然木、本革貼りで、気品とお
もてなしを表出している。
受付スペースは会社の「顔」である。大げさな設備を設けることなく、
お客様をお迎えするためのカウンターと待合用ソファーのみのスペースとする。
大倉清教のオフィスを居心地の良い空間に変えた事例
D社(日本を代表する企業の関西支社)
特別
応接
応接
さりげなく自然や四季の変化を楽しむ「和」のこころで、
奥ゆかしい心遣いを伝える。
短時間の滞在には「おどろき」を、そして長時間用の応接には奥ゆかしい
「くつろぎ」を演出。オーソドックスなインテリアに気品ある設えが映える。
季節の一輪挿しでお客様を招き入れる「一輪
の間」。水が流れ落ちる台の内側には那智黒
の玉石を敷き詰め、
さながら石庭の坪庭の雰
囲気を醸し出している。
[支社長応接室]
廊下
丹波の石工職人が、黒御影石にノミを打ち込んだ石の隙
間から水が湧き出、静かに水が流れ落ちる清涼な音が、訪
れる人の気持ちを和ませる。
滞在時間の短い支社長応接の四方の壁には、木工職人による本物の天然板の羽目板貼り。
窓からは一面に緑いっぱいの屋上庭園。
「おどろき」を持ってお客様を迎え入れる。
屋外の明るさを引き出すために室内は重厚感を演出。床のボーダーには黒御影石の水磨き、
飾り棚に使用した壁紙は京都の織物で、
ここでも「本物」による気品を大切にしている。
D社の仕事は、お客様の事業が光り輝くように
心を込めて磨き上げること。
応接廊下中央に設置された大きな黒御影石の
重さは約400kg。荒々しくドリルの穴やノミの跡を
あえて残し、事業の「原石」を表している。一方、
天面は鏡のように丁寧に磨きあげられ、精緻さを
表現。両面の対比が美しく感動を呼ぶ。
[VIP応接室]
長時間利用のVIP応接のテーマは「月」、間接的
な心遣いを演出する。月の光を表現する飾り棚の
壁面は、熟達した左官職人が仕上げた微妙な凹
凸が室内に優しさを与えている
事務所側に延びる通路は応接から漏れる明かりで抑揚
と変化を与え、隅切りした廊下の足下には黒御影石でつ
くられた石灯籠。緊張感ある空間に優しさを演出している。
この石の上には、指物師が細かさ
をいとわずに作った障子窓。そこか
ら透過する光は、面発光のLEDパ
ネル照明を使用。伝統的な技術と
新しい技術の融合を示唆している。
飾り棚には京友禅の絵師によって季節ごとに描かれた3枚の染め模様のパネルがそれぞれ四季折々にかけられて、窓外
の空気とともに味わうことができる。
飾り棚の京友禅
大倉清教のオフィスを居心地の良い空間に変えた事例
D社(日本を代表する企業の関西支社)
応接
4室
実務的な会話や協議のための場として、
機能性を重視したテーブル形式主体。
食事ができる場所でもありリフレッシュ空間にもなる
4室はそれぞれ、
「木」
「火」
「土」
「水」のテーマを持つ。それらのイメージに合わせ、
「緑」
「赤」
「茶」
「青」で配色し、飾り棚には、
それぞれテーマに応じて置物を設置。
応接「木」
サロン コミュニケーションの場。協業と交流を促進する。
応接「火」
社員の昼食時の利用からミーティング、会議
までフレキシブルに対応可能。
業務室とは一転して、
カラフルな色彩を散り
ばめたインテリア。床の素材や照明器具、椅
子も気分転換の効果を高めている。
パーテーションやテーブル、椅子が簡単に動
かせるため、利用者の目的に応じて自由に設
営できる。
壁面には簡単なミーティングや連絡掲示板と
しても使用可能なマグネット式のコミュニケー
ションシート。集中した思考の場として、窓面
のカウンターテーブルを利用できる。
応接「土」
応接「水」
業務室は協業のワークスタイルを生み出す明るく開放的なコミュニケーションを
業務室
重視。適度なプライバシーを守り意識集中を阻害しないデスクトップパネルは
明るく開放的な業務室。
高さが可変である。
変化に対応するユニバーサルプランを採用。 将来の組織や業務の変動に対応できるように個別デスクによるユニバーサル
プランを採用。
すべて窓がない部屋のため、飛散防止を兼ねたシート貼りのガラスを間仕切りに組み込み、
外部の光や動きを取り入れながら開放感を演出している。
会議室
セミナーやTV会議、応接、緊急時バックアップオフィスなどの
多目的な対応が可能。
約8ヵ月間にわたるD社の移転プロジェクトのPM業務およびオフィスのプラニング
とデザイン業務は、株式会社ファシリティ環境システムズとケプラデザインスタジオ
の協働で行われました。
しかし、このプロジェクトの中で最も挑戦的で主体的な役割を果たしたのは、D社の
会議室は可動間仕切りで約40名と20名収容可能な会議室に分離できる。緊急時バッ
クアップオフィスとして使用するために床下にLAN回線と電源コンセントが用意されている。
窓が無く沈鬱になりがちのため、
目の覚めるような色彩と白黒の明度差によって参加者
に刺激を与えて場が活性化するように演出している。
クライアントチームであり、その働きがこのプロジェクトをすばらしい成功に導いた
ことは言うまでもありません。
写真提供:
(株)
くろがね工作所・
(株)大丸装工
記:ケプラデザインスタジオ 大倉清教 
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