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自転車発電
自転車発電 Ⅰ 概要 自転車発電装置を製作し、発電を行う。効率の良い発電方法を調べる。 Ⅱ 研究目的・意義 高校生にとって必需品である自転車を用いて発電をし、どれだけエネルギーが得られる のか調べることにした。 Ⅲ 製作方法・実験手順 (1) 自転車発電装置の製作 【材料】 ○自転車(スタンドで後輪が浮くもの) ○軽自動車用オルタネータ ○インバータ ○自動車用シガーソケット ○自転車用ダイナモ ○パイプ脚用ゴムカバー ○ブリッジダイオード ○厚さ2cm 程度の板 ○ナツメ球(12V5W)とソケット ○L金具(オルタネータ固定用)、U金具(ダイナモ固定用) ○電線、みのむしクリップ、木ねじ、ビス、ナット 【製作方法】 1:自転車からダイナモをはずし、 回転部分にパイプ脚用ゴムカバ ーをかぶせる。図1のように自 転車の後輪とオルタネータの回 転部分、オルタネータの回転部 分とダイナモの回転部分をそれ ぞれ接触させ、スムーズに回転 できる位置に固定する。 図1 図1 2:図2のように配線する。 オルタネータ ダイナモ IG 端子 シガーソケット ナツメ球 ブリッジダイオード インバータ 電化製品へ 図2 ◎発電の仕組み 自転車をこぐと、最初にダイナモで発電が始まり、次にオルタネータで発電が始まる。 電力を供給するメインのモーターはオルタネータで、ダイナモはオルタネータの起動用 に用いるだけである。オルタネータには電磁石が使われており、あらかじめ電気を流し ておかないと電気を生み出さないからである。ダイナモは交流で発電が行われるため、 図3のような回路のブリッジダイオードを用いて直流に変換してから直流になった電気 がオルタネータに送られる。また、発電装置の回路内にナツメ球を用いるのは、発電の チェックのためであるが、過大な電圧がかかるのを防ぐ役割も果たしている。オルタネ ータで発電された直流 12Vはインバータで交流 100Vに変換され、電化製品を動かすこ とが出来る。 図3 (2)実験 インバータに、電化製品をつなぎ、実際に自転車をこいで発電する。 ① オルタネータが起動するために必要なダイナモからの電圧を調べる。 ダイナモは回転させず、オルタネータに接触しないようにして、図4のように電源 装置から直接電気を送り自転車を回転させて、つないだインバータの電源ランプが ついたときの電圧をデジタルマルチメータで調べる。 ② 図5のようにダイナモをオルタネータに接触させ、①で調べた電圧まで達するよう にこぐ。 このときダイナモからの電圧をデジタルマルチメータで調べる。また、同時にペダ ルとタイヤが回転する様子をハイスピードカメラで撮影する。 [注]回転スピードが一定になるように、メトロノームを用いる。 ③ ②で撮影したハイスピードカメラの映像で必要な回転数を数える。 ④ 何Wの電化製品が動くか調べる。 図4 図5 Ⅳ 実験結果 ① オルタネータの起動に必要なダイナモの電圧 約 11.6V 群馬電装で調べてもらったところ乾電池 5 個(7.5V)を接続したところオルタネータは 充電したそうだが、学校での実験では 7.5Vを与えても発電はできなかった。 最初に使っていたダイナモでは、ダイナモが古かったせいか 9V程度しか得られなかっ た。別の自転車から新にとってきたダイナモを使用したところ、12~13V得られオル タネータは正常に起動した。 ② 発電時に得られたオルタネータの電圧:約 13.4Ⅴ ③ 発電装置起動に必要な 自転車のペダル回転数:約 88 回転/分 (メトロノームでテンポ 176 に合わせた時に起動) 自転車のタイヤ回転数:約 201 回転/分 (上記の条件でこいだとき) オルタネータの回転数:約 2394 回転/分(タイヤ直径:65.5cm オルタネータ回転部直径:5.5cm より) ダイナモ回転数:約 6269 回転/分 (タイヤ直径、ダイナモ回転部直径:2.1cm より) ④ つないだ電化製品・・・・・・ラジカセ:7W(楽に動く) (物理室にあった物) 新しい扇風機:56W(強まで動く) 古い扇風機:63W(かろうじて弱なら動く) 図6 扇風機(56W) 図7 ラジカセ(7W) Ⅴ 考察 ・発電装置を起動するには一定のペダル回転数を超えることが必要である。しかし、発 電装置が起動してから回転数をそれ以上増やしても得られる電力に差は出なかった。これ は、オルタネータが電圧を安定した一定の値で供給するためである。よって、実験結果に 示した一定のペースでこぎ続けるのが発電者にとって負担が少なく発電効率が良いと言 える。 ・オルタネータはいったん電気を送れば十分な回転数である限り、安定して動く。発電装 置製作にあたり、重要なことはダイナモからオルタネータに十分な電気を効率よく送るこ とである。 ・W数が大きくなると、より大きな電流が流れるのでペダルが重くなる。今回の実験では 私たちの力では 63Wの扇風機は弱で動かすのが限界で、それ以上強くすると重すぎて、 こぐことができなかった。より大きな電力を取り出すためには、何らかの工夫が必要であ る。 Ⅵ まとめ・感想 オルタネータやシガーソケットなど、普段使わないような物を使用して複雑な回路を 組み立てていくのは難しかったが、回路がきちんと理解できれば私たちでも自力で製作 できることがわかった。暑い中自転車をこぐのは大変だったが、初めて発電で得られた 電気でラジオや扇風機がついた時の喜びは大きかった。ただし、今回の場合は最初に装 置が動かなかったのが、ダイナモの電圧不足だということに気づくのが遅く、電化製品 につなぐ実験があまり出来なかったのが、残念だった。 今回の実験期間は短かったが、人力発電で身近な電化製品を動かせるだけの電気が得 られるなら、改良を進めれば災害時などにも有効に利用できると思う。 Ⅶ 謝辞・参考文献 今回の研究で助言してくださった鈴木靖文氏、オルタネータを点検してくださった群 馬電装(株)木下氏、指導してくださった高橋先生をはじめとする諸先生方、大変あり がとうございました。 《参考文献》自転車発電のページ (鈴木靖文 環境のページ内) http://www2s.biglobe.ne.jp/~y_suzuki/trendy/bicycle/index.htm