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中小企業の地域別景況/2007 年 3 月調査
中小企業の地域別景況/2007 年 3 月調査 2007 年 4 月 11 日 商 工 中 金 <概況> 10 地域のうち 7 地域が『良い』となったものの、地域間格差がなお残っている。 ■ 2007 年 1∼3 月の中小企業の景況をみると、「薄日」は、⑤東海のみ。「薄曇」は、③関東、④甲信越、 ⑥北陸、⑦近畿、⑧中国、⑩九州・沖縄の 6 地域。「曇」は、①北海道、②東北、⑨四国の 3 地域。 前回調査(2006 年 7∼9 月)同様、10 地域のうち 7 地域が『良い』(「薄日」もしくは「薄曇」)で、地域 間格差がなお残っている。 ■ 4∼6 月は、1∼3 月と変わらず。 <地域景況天気図> 前回調査 A 2006 年 7∼9 月 地域 今回調査 B 2006 年 10∼12 月 C 2007 年 1∼3 月 C−A 06 年7∼9 月 からの変化 D D−C 2007 年 4∼6 月 07 年 1∼3 月 からの変化 (見通し) ① 北海道 → → ② 東北 → → ③ 関東 → → ④ 甲信越 → → ⑤ 東海 → → ⑥ 北陸 → → ⑦ 近畿 → → ⑧ 中国 → → ⑨ 四国 → → ⑩ 九州・沖縄 → → ﹃ 良い﹄ ‐ 1 6 ‐ 1 5 ‐ 1 6 ‐ ±0 ±0 ‐ 1 6 ‐ ±0 ±0 ﹃ 悪い﹄ 3 ‐ ‐ 4 ‐ ‐ 3 ‐ ‐ ±0 ‐ ‐ 3 ‐ ‐ ±0 ‐ ‐ ・晴 ・薄日 (非常に良い) (良い) ・薄曇 ・曇 (やや良い) ・小雨 (やや悪い) (悪い) ・雨 (非常に悪い) ◇地域景況の判断 当金庫の国内全 92 営業店を 10 地域に分け、個々の営業店が日々の業務を通じて 収集した取引先中小企業の景況についての情報を、各地域の母店が集約して、担当地域の景況を 総合的に判断したもの。 本調査は 1993(平成 5)年 9 月に開始、今回調査が第 28 回。 (お問い合わせ先)「1 概況」及び「2 取引先主要業種の動向」:商工中金調査部/吉冨 TEL:03(3246)9370 1 「3 トピックス」:広報部/牧野 TEL:03(3246)9366 地域別の景況 中小企業 の景況 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → やや悪い やや悪い やや悪い → やや悪い ① 北海道 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は総じて緩やかに回復している。公共投資は引続き減少傾向。個人消費は持ち直し ている。設備投資は製造業で能力増強投資等を積み増す動きが続いている他、非製造業でも 積極的な新規出店の動きが見られるなど底堅く推移。住宅投資は低水準であった前年の反動 から足元増加しているが、基調としては横這い。 企業部門では、公共工事の減少から、窯業・土石関係の生産活動が低調の一方、輸送用機 械や自動車関連向けの鉄鋼業では生産が高水準で推移している。 2 取引先主要業種の動向 2.1 食料品製造 北海道ブランドを売りにした動きは依然強い。収支改善に直結している企業は少ない一方で、 自社ブランドを確立して、ネット販売等による直販を拡大して業績が好調な菓子製造業者もある。 納豆製造業者は売上順調。 2.2 木材・木製品製造 中国やヨーロッパでの木材需要拡大を受けて原木が不足し、仕入価格が高騰。その値上がり 分の販売価格への転嫁ができず、製材業者の収支は厳しい状況。 2.3 道路貨物運送 (トラック運送) 軽油価格は一時と比べ落ち着いたものの、2∼3 年前と比較すれば高止まりの状況。業者間の 競争は引続き激しく、荷主に対する運賃引上げ要請が難しいことから、収支は厳しい。先行きに 対する不透明感も残ることから新車代替や増車には消極的。 2.4 宿泊 (旅館・ホテル) インバウンドは、従来の台湾客のほか、旭川−ソウル間定期便就航により韓国客も大幅増。 オーストラリアのスキー客も好調。さっぽろ雪まつりは、日並び(2 月 6 日・火曜∼12 日・月曜)や天候 に恵まれ、開催期間中の来道者数が前年比+5.8%の 210 万人と、2 年ぶりに 200 万人台を回復。 旭山動物園人気から、旭川市内のホテルは好調。一方、函館や十勝などでは入り込みは弱い。 3 トピックス<夕張市の主要観光施設の運営を受託> [加森観光株式会社(観光業、北海道)] スキー場など冬季リゾートを中心に道外含めて 37 の施設を運営する道内観光業最大手。 夕張市の観光施設について、公募対象 29 施設中、主要 17 施設の運営を受託。 グループ全体のスケールメリットを活用し、販売管理費や仕入コストを引き下げることで初年度 から収支均衡・黒字化を目指している。雇用の面でも、パートを含む全従業員 290 人について希 望者全員の再雇用を検討。夕張市との契約期間である 10 年間は少なくとも運営を継続する意 向。 2 中小企業 の景況 ② 東北 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → → やや悪い やや悪い やや悪い やや悪い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は緩やかに回復している。雇用情勢は全国に比べ厳しい状況にあるものの、生産増に 伴う製造業の求人増加を背景に改善の動きがみられる。個人消費は、暖冬の影響で冬物衣料の 売上は低調となったが、一部では海外ブランド品などの高額商品が都市部を中心に売上好調。薄 型テレビや高付加価値の白物家電も堅調。住宅建設は増勢が鈍化しているものの、前年を上回る 水準で推移。 企業部門では、電気機械はIT関連機器や自動車関連を中心に高操業が続いている。仙台市 内では大型ビルの建設計画や地下鉄工事等があり、建設・土木関係で好材料となっている。 2 取引先主要業種の動向 2.1 食料品製造 水産加工品は取扱魚種により好不調が入り混じった状況。豊漁(鯖)で収支に好影響のあった 業者がある一方、欧米・中国等の世界的な漁業資源需要の拡大や漁獲・環境規制、不漁等のた め、輸入原料価格が上昇(鱈、烏賊)し、減益となった業者もある。蒲鉾などの練製品は、白身魚 など原材料が高騰、価格転嫁可能な業者がある一方、値上げによって客離れに遭った業者も。 2.2 建設 東北地区全体では、新設住宅着工戸数が貸家、分譲を中心に前年を上回る推移。一方、公共 工事は、全体として低調で依然厳しい。ある県では、一般競争入札に移行したところ、赤字受注 や不良工事が続発したため、最低落札価格や参加業者の技術力を加味した制度に変更となり、 足元で採算はやや改善したものの、依然厳しい状況。 2.3 道路貨物運送 (トラック運送) 生産活動の堅調さを背景にして荷動きに回復感が見られるものの、業者数の増加で受注競争 が激化、業況は厳しい。軽油等燃料価格はピーク比やや値下がりしたものの、依然として収益を 圧迫。採算の比較的低い遠距離輸送の削減、不採算荷主との取引中止、同業他社との提携に よる輸送効率向上など、収支改善に向けたさらなる取組みが広がっている。 2.4 宿泊 (旅館・ホテル) 昨シーズンは大雪によるキャンセル続出で宿泊関係は低調であったが、今シーズンは暖冬で 交通途絶が無く、宿泊客が回復した地域もある一方、集客低迷が続く老舗観光地や温泉地もあ る。また、関東地区が暖冬で雪不足となり、スキー客が十数年ぶりに前年比増となった温泉地や、 飲酒運転取締り強化から日帰り宴会が宿泊に切り替わり、入り込み客が増えた地区もある。 3 トピックス<ユニークなゴムローラーで好業績を維持> [宮川ローラー株式会社(ローラー製造業、宮城県)] にかわ 印刷用ローラーが「 膠 」から「合成ゴム」に転換する中で、いち早くゴムローラーの製造に転進。 50 年間に亘る素材の研究や合成ゴムの配合技術等の研究開発努力により、他社の追随を許さ ない「高品質」製品を常に生み出し、印刷用だけでなくIT関連や製鉄業界など幅広い分野で利 用されている。顧客の多様なニーズに独自の「高品質」の製品提供で応える体制が高付加価値 の製品を産出する「オンリーワン企業」としてゆるぎない基盤を構築、長年好業績を続けている。 3 ③ 関東 中小企業 の景況 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → やや良い やや良い やや良い → やや良い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 関東・甲信越地域の景況感は緩やかに回復している。公共投資は低調に推移。個人消費は底 堅く推移しているものの、やや弱い動きがみられる。住宅投資と設備投資は共に増加している。 雇用情勢は改善が継続し、生産は緩やかながら増加傾向にある。 企業部門では、原油高騰等から採算が悪化している企業があるものの、全体では改善基調。 2 取引先主要業種の動向 2.1 印刷 出版印刷では、雑誌の売上の落ち込みにより受注量が減少して競争が激化、単価の下落も続 いている。商業印刷は景気の回復感が広がると共に受注量は増加基調にあるが、単価面では依 然として厳しい状況。従来設備投資を抑制していたが、代替投資等により効率化・付加価値向上 で収益確保を目指す企業が増えている。 2.2 金属製品製造 建設機械、半導体製造装置、液晶関連の製造業者は、引続き受注好調。ただ、販売先の海外 への生産拠点の移転による売上減少、単価の引下げ要請、原材料の高騰など、収益圧迫のマイ ナス要因もある。 2.3 電気機械器具製造 全体に受注は旺盛であるが、取扱い品目によって景況感にバラつきがある。第三世代携帯電 話関連に一服感や、映像・音響機器に減速感が広まっていることから、先行きやや不透明。 2.4 輸送用機械器具製造(自動車部品製造) 国内完成車メーカーの生産は海外需要を中心に好調に推移、各部品メーカーの受注も良好。 ただ、自動車の軽量化、低燃費化、環境対応の流れの中、完成車メーカーの下請選別は進み、 品質・納期・価格の厳しい要求に応えられない企業は淘汰を余儀なくされている。 2.5 不動産 賃貸物件のファンドへの一棟売りが定着。新築物件に加え、中古物件の動きも活発化。分譲 マンションは、2006 年の首都圏マンション供給動向をみると前年比▲11.5%減少しているが、「フ ァンドへの一括販売」と値上がりを期待した「販売時期の繰り延べ」によるもので、マンション建設 は依然高水準。戸建分譲は堅調な推移で、都心物件の減少に伴い郊外物件が増加。 3 トピックス<中古商用車市場の開拓> [株式会社ZEAL.G・P (中古車小売業、東京都)] 平成 17 年 12 月に事業譲渡により設立された中古商用車を専門とした買取・販売専門店。 現在日本全国に 10 店舗を展開中。中古車登録台数 800 万台/年中、中古商用車の市場は 60 万台/年を占めているものの、これまで商用車はディーラーの下取りのみであり、組織だった 専門の取扱い業者は皆無であった。そうした中、現社長はこの点に着目し全国ネットワークを展 開。査定・価格決定・現金買取という仕組みを構築し当社主導のマーケットを構築。 4 中小企業 の景況 ④ 甲信越 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 → やや良い やや良い やや良い 2007/4∼6 (見通し) やや良い → 1 概況 (2007 年 1∼3 月) <景況感は、「関東・甲信越地域」として「③ 関東」記載と同じ> 企業部門では、暖冬の影響により受注が減少した繊維品製造業やスキー客が減少した宿泊 業は厳しい状況。一方、一般機械器具製造業、電気機械器具製造業、金属製品製造業、精密 機械器具製造業では、一段の原材料高騰懸念あるものの、総じて堅調に推移。 2 取引先主要業種の動向 2.1 繊維品製造 ニット製品製造業では輸入品増加や個人消費の伸び悩みにより従来から厳しい状況にあっ たが、今期は暖冬により受注が更に低迷。絹織物製造業では、着物の過量販売問題から催事 での売上が振るわず。 2.2 金属製品製造 ステンレスや銅など材料値上げにより、食器メーカーやプリント配線基板メーカーで収支悪 化の動きが広がっているものの、一部では前向きの設備投資を行う企業も見られる。光学機 器部品・自動車部品の切削加工は受注良好で、増産投資もみられる。 2.3 一般機械器具製造 内需に加え、中国を含むアジア向け投資が高水準を維持しており、一般機械、建設機械な どで受注は好調に推移。自動車・半導体関連は輸出の伸びを背景に堅調な売上が続いてい るが、原材料・燃料費が高値圏で推移していることから、利益は売上に比べ伸び悩み傾向。液 晶関連も受注は上向きで推移しているものの、シェア競争が厳しいメーカーのコスト削減圧力 強く、収益横這い。 2.4 電気機械器具製造 一部で受注減や、在庫増による生産調整の動きもあるが、総じて携帯電話向け部品、デジタ ル家電向け部品は堅調。電気機械は企業の設備投資拡大を追い風に、数値制御装置などに 対する需要が引続き強い。パソコン用部品はハードディスク部品を中心に高稼働。収益は、メ ーカー間の競争激化による値下げ圧力と原材料高で伸び悩み。 3 トピックス<部品加工メーカーによる一貫生産ライン構築> [株式会社鈴木 (金属プレス製品製造業、長野県)] 平成 18 年 9 月に総投資約 54 億円をかけて新工場建設。昭和 8 年の創業以来培ってきた独 自の金型製造技術を背景に、携帯電話向けコネクターを増産。また、メッキラインを新設し内製 化を実現。新工場建設については、長野県からも「信州ものづくり産業投資応援条例」の助成を 受けており、今後、既存工場・設備の再編も実施し生産効率を向上させていく方針。 5 ⑤東海 中小企業 の景況 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → 良い 良い 良い → 良い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 東海経済は拡大している。雇用情勢は引き締まっており、個人消費は緩やかに回復している。 住宅投資については高水準で推移。 設備投資は着実に増加している。公共投資は下げ止まり つつある。 企業部門では、自動車関連を主体に輸出が好調であり、原材料・原油価格や為替・金利動向に 留意する必要はあるものの、生産は引続き高水準で推移する見込み。 2 取引先主要業種の動向 2.1 繊維品製造 業界内の淘汰も一巡し、底を打った感もあったが、暖冬の影響による売上不振および過大在 庫、重油価格上昇による燃料費高騰、オーストラリアの旱魃による羊毛の高騰等から収支は悪化。 中国での生産コストが上昇傾向にあることから、一部では生産の国内回帰もみられるが、加工賃 は染色整理を除いて低水準で推移しており、値上げ交渉も通り難く、収支は依然厳しい。 2.2 窯業・土石製品製造 瓦製造業では、燃料高騰を販売価格に転嫁できない状況の中、同業者間の競争も限界に近 づきつつある。廃業に追い込まれる零細業者がある一方、上位企業は新工場建設など基盤拡大 を進めていて、二極化が進行。ファインセラミックスは、デジタル家電用電子部品の受注が引続 き好調であるが、競争激化により販売価格が下落の見通し。陶器は中国製廉価品の流入が続く 中、原油高騰分の転嫁困難で苦戦。 2.3 電気機械器具製造 液晶、IT 関連などの高付加価値製品を扱う企業は、国内大手電機メーカーおよび韓国、台湾 大手の液晶関連投資の堅調な動きを背景に、概ね受注が好調。 2.4 輸送用機械器具製造(自動車部品製造) 軽自動車向けの部品供給については増勢が続き、また、海外向け生産は高い水準で推移し ており、協力企業も引続きフル操業の状態。ただし、セットメーカーからの要請への対応如何に より、下請部品メーカーの選別が進んでいる模様で、一次下請クラスは総じて業績好調であるが、 二次下請クラス以下では、繁忙感は強いものの利益に結びつかない企業も出ている。 3 トピックス<ユニバーサルジョイント製造で新連携認定> [協和工業株式会社(一般機械器具製造業、愛知県)] 自動車、産業用輸送機器、農業機械、建設機械(フォークリフト、トラクター、ショベルカー等) 向けユニバーサルジョイント(主として操舵装置等の継手)を製造。 当社が開発した冷間鍛造製自在継手に㈱北上製作所、㈱しんとねが製造する板金プレス部 品を組み付けし、産業用車両・農業用車両向けハンドル部品を製造する事業で新連携の認定を 受けた。 6 中小企業 の景況 ⑥ 北陸 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 → やや良い やや良い やや良い 2007/4∼6 (見通し) やや良い → 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は回復基調。雇用情勢は改善が続いており、個人消費も持ち直している。公共投資は 減少傾向。 企業部門をみると、繊維は大手傘下企業との連携や技術力の有無によって二極化が進んでい る。一般機械は海外需要が引続き好調。宿泊は昨年のような大雪によるキャンセルは無いものの、 団体ツアーの動きは鈍く、本格的な回復には未だ時間がかかる見込み。新幹線開業を見込み、 金沢に続いて福井駅前でもホテルの新設の動きがみられる。 2 取引先主要業種の動向 2.1 繊維品製造 自動車内装資材や特殊製品や特殊技術を持っている企業では、一部に好調な企業もあるが、 衣料品等に代表される既存分野は弱含み。原油高の影響でコストを吸収できない賃加工業者の 体力は低下。 2.2 化学 薬事法改正に伴い、大手からの製造受託を積極的に取り込むべく、体力のある中堅企業を中 心に能力増強投資は引続き旺盛。好調企業と体力的に設備投資が困難な企業との間で、同業 者間格差が広がっている。 2.3 非鉄金属製造 (アルミ) 輸送用機器等の非建材部門は自動車軽量化のニーズの高まりから好調を維持。ただし、大手 自動車メーカーは内製化を進めており、技術力で競争できない一部の下請企業は対応できず 恩恵を得られていない。一方、建材部門は売上回復基調にあるが、アルミ地金高騰の影響が大 きく、採算割れ受注を余儀なくされ、厳しい状態が続いている。 2.4 一般機械器具製造 大手工作機械メーカーの動向に合わせて設備投資を行う企業がみられる一方、自動車関連 の工作機械製造業者の中には、メーカーの一時的な生産調整の影響を受けた先もみられる。 2.5 宿泊 (旅館・ホテル) 10∼12 月の宿泊人員で前年を上回ったのは一部の温泉地のみ。ある温泉郷では、県外資本 が廃業旅館を買収し、開業を予定するなど再編が進んでいる。 3 トピックス<既存事業をベースに土地土壌汚染の調査部門を強化> [株式会社エオネックス(さく井工事業、石川県)] 地質調査や温泉開発を手掛けるが、源泉の掘削が事業の大半を占める。少子高齢化の 進行、マンションや商業施設の開発をめぐる優良物件の奪い合いなどで温泉開発の拡大は 現状では見込まれない。そこで地質調査で得た技術をベースに土壌汚染の調査部門を強化 し、新型の採掘機の導入やスタッフの増員を実施。調査からコンサルティングまで一貫して受 注する体制を構築。今後、土地売買の増加から需要は底堅いものとして新たな収益の柱とし て注力していく方針。 7 ⑦ 近畿 中小企業 の景況 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → → やや良い やや悪い やや良い やや良い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は回復している。 雇用情勢は改善が続いている。個人消費は軽自動車販売が好調を 維持する一方、暖冬の影響で冬物衣料の動きが鈍く、身の回り品等が前年を下回るなど、概ね横 這い。住宅投資や設備投資は増加。 企業部門全体では緩やかに回復している。電気機械では生産が好調を維持する一方、一般 機械、化学、食料品は減少している。 2 取引先主要業種の動向 2.1 食料品製造 清酒は、飲酒運転取締り強化の影響で、試飲宣伝の自粛はもとより、飲食店需要が減少して おり、総じて売上は減少。 2.2 化学 化学薬品製造業では、デジタル家電や航空機、医薬器具などに利用される化学品(高機能有 機化学中間体∼手術用の糸や、PC や携帯電話等の保護フィルムに利用される原料)が総じて好調。原 油等の原材料価格が依然高水準のなか、収益増の企業が多い。プラスチック製品製造業では、 原油高騰が一服、他の原材料価格も安定が見込まれるが、まだ、販売価格への転嫁が不十分な 企業も多く、収支は依然厳しい。 2.3 鉄鋼 電炉では、スクラップ価格上昇により利幅縮小するも、建築向け需要が好調なことから販売 価格も上昇傾向にあり、一定収益を確保。各社とも電炉更新等設備投資を進めている。伸線業 では、原材料価格および販売価格共に、一部に引上げの動きが有る。業界では市況が高止ま りしているとの認識があり、販売先からは価格引下げ圧力も根強い。 2.4 金属製品製造 バルブは一般産業用弁(製鉄、化学工業、食品プラント、工作機械、建機等向け)で、受注好調。 一方、水道用弁は公共工事抑制から減少。鋳鍛工品は輸出用の自動車、建設機械、産業機 械を生産する大手メーカー向け中心に好調が続く。ボルト・ナット・ネジ類では、材料費が高止 まり傾向。各社とも価格転嫁に注力しているが、取扱商品や販売先業種によって成否の差あり。 2.5 繊維品・身の回り品等卸売業 和装卸売は、呉服の過量販売問題から売上不振。テキスタイルは、暖冬の影響大きく、売上 微減続く。安価な中国製品が流通するなか、原油高や金利上昇等による仕入れ値上昇分を卸 値に転嫁出来ず、採算悪化。アパレル卸は、暖冬で秋・冬物が苦戦、バーゲンセールも盛り上 がりに欠ける。インナーを初めとして全般に低調で、特にコート等の重衣料が不振。仕入先商社 の支援打ち切りで事業継続を断念する企業も発生。 3 トピックス<低成長業界の中で、ハイレベルな加工技術により業容拡大> [吉川化成株式会社(プラスチック製品製造業、大阪府)] 射出成型に特化したプラスチック成型業者。取扱い製品はOA関連、家電関連、精密製品、 医療用品等多岐に亘る。レンズやメディカル器具では、ガラス素材に代わりプラスチック素材の 需要が増加。また加工技術の進歩からプラスチックへのニーズが高まり、ハイレベルな 2 次加工 ができるため受注増加。携帯電話から次世代家電まで国内外の多様なニーズに対応。 8 中小企業 の景況 ⑧ 中国 2006/7∼9 2006/10∼12 (前回調査) 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → やや良い やや良い やや良い → やや良い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は回復が続いている。雇用情勢は着実に改善。個人消費は、暖冬で衣料品の落ち込み がみられるものの、白物家電や軽自動車の販売が堅調で、全体としては底堅く推移。住宅投資も 分譲中心に増加基調。設備投資は、化学、一般機械の他、電気・ガス、小売等で高水準を維持。 公共投資は減少基調。 企業部門は、好調な輸出を背景に自動車の生産が高水準で推移している他、電気機械、一般 機械、造船、化学も高操業を続けている。 2 取引先主要業種の動向 2.1 繊維品製造 暖冬の影響で冬物の売行きが総じて不振。ただし、取扱品目や価格帯によるバラつきが大きく 各社間の業績格差も鮮明。婦人服は、暖冬のために重衣料が販売苦戦で、その上、「低工賃・ 短納期・高品質」と、受注条件も厳しくなっている。ニット製品は暖冬の影響で冬物の売上が伸び 悩んでいる。染色では、燃料費高騰の煽りで廃業に追い込まれる業者もあり、同業者退出の結 果、新規受注が増えた企業も。 2.2 木材・木製品製造 一般製材では、ヨーロッパの集成材価格の上昇に伴い、乾燥材の価格を引上げ。業界大手 の価格引き上げに追随して、中小製材業者も順次値上げを実施したものの、仕入価格上昇分 に追い付けず、採算の厳しい企業が大半。合板では、東南アジアからの輸入品は足元弱含み の動きがみられるものの、なお高止まり。木材伐採規制による南洋材の丸太高等もあって国産 品の価格も高値圏で推移しているが、企業毎の原木調達力や原木の産地によって、その影響 度合いはまちまち。 2.3 輸送用機械器具製造(自動車部品製造) 地元大手自動車メーカーは今期も増収増益の見通しで、地場の協力部品メーカーもさらなる 増産への対応が迫られている。北米工場新設は見送りが決定、暫く国内の高操業状態が続く 見込み。ハイブリッドや燃料電池など自動車の電子化の動きが著しいが、地元部品メーカー は加工技術が中心であり、電子化関連の新技術に対する取組みは今後の課題。 3 トピックス<乾燥材のトップメーカー、積極的な設備投資により業容拡大> [中国木材株式会社(木材製造業、広島県)] 国内製材最大手。名古屋以東の米松製材やプレカットを行うため茨城県鹿島市に 239 億円 を投じて関東工場を建設。物流コストの削減とメーカーとしての供給責任を果たすべく、製材・乾 燥材工場を稼動させる。乾燥設備は第 1 期で 50 基、第 2 期で 30 基、最終的に製材能力に合わ せて第 3 期増設を計画中。 天然乾燥と人工乾燥との組合せで製材は5万㎥(1シフト)、製品受注により15万㎥(3シフト)ま で可能になる。 9 ⑨ 四国 中小企業 の景況 2006/7∼9 (前回調査) 2006/10∼12 やや悪い やや悪い 2007/1∼3 2007/4∼6 (見通し) → やや悪い → やや悪い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は緩やかに回復している。雇用情勢の改善が進むもとで、個人消費も緩やかに持ち直 している。公共投資は減少傾向。生産は緩やかに回復。 企業部門では、製造業では、仕入価格上昇の影響を受ける中で、販売価格への転嫁が進まな い企業も多い。小売業者間でも競争が激化、企業収益の改善には厳しさが見られる。 2 取引先主要業種の動向 2.1 食料品製造 低価格競争の激化、原油価格高騰、円安基調など厳しい環境が続く。大手菓子メーカーの 期限切れ材料使用問題により、食の安全に対する消費者の目も一層厳しくなり、品質管理や 生産体制の一層の強化が急務となっている。 2.2 木材・木製品製造 資源価格高騰や円安を背景に木材価格は高値圏で推移、特にロシア産赤松や南洋材など は日本市場向けの供給量が大幅に減少している。多くの製材業者は仕入価格上昇分を販売 価格に十分に転嫁できず、収益低迷。仏壇製造業では、小規模企業の廃業等により競争圧 力が緩和してきているものの、市場が縮小しているところに廉価輸入品が流入し、販売価格が 下落、採算厳しい。家具は横這い基調のなか、勝ち組と負け組に分かれつつある。 2.3 パルプ・紙・紙加工品製造 パルプを中心に原料価格上昇が続いている一方、販売単価は価格転嫁が進まず、依然とし て収支は厳しい。 2.4 輸送用機械器具製造 (船舶製造) 受注状況は引続き好調で、2011 年竣工分を交渉中。鉄鋼やステンレスなどの原材料の価 格は上昇に一服感があるものの、高値圏で推移していて、船価への転嫁は未だ出来ず、採算 面の改善には、もう暫く時間がかかる見通し。 3 トピックス<世界初!身体を支える「ウォーキングバッグ」(杖にも使える)で新規分野に進出> [株式会社スワニー(衣類・その他繊維製品製造業、香川県)] 手袋分野では全国トップクラスの業容を誇る地場大手手袋製造業者。スキー、スノーボード等 のグローブでは、「スワニー」ブランドが米国で 2 位のシェア。 海外出張の多い現社長の「カバンを軽くしたい」という強い思いで研究・開発を続け新規事業 を創設。足腰の弱い人々の必需品となると確信し、バスや電車に乗せ易い小型のトランクすなわ ち世界初の「ウォーキングバッグ」を開発。「身体を支えるビジネス」をテーマに高齢者の増加で 需要拡大が見込まれる福祉市場を積極開拓中。 10 中小企業 の景況 ⑩ 九州・沖縄 2006/7∼9 (参考) 2006/10∼12 やや良い やや良い 2007/1∼3 やや良い 2007/4∼6 (見通し) → → やや良い 1 概況 (2007 年 1∼3 月) 景況感は回復を続けている。設備投資は、高水準で推移。住宅投資も堅調に推移している。 雇用・所得環境の緩やかな改善が続くもとで、個人消費は、底堅く推移。公共投資は減少。 企業部門については、輸送用機械は輸出向けが好調な自動車の他、船舶で高操業が続いて いる。一般機械では、半導体装置や液晶関連製品が内外の旺盛な需要を背景に、生産活動は引 続き活発。 2 取引先主要業種の動向 2.1 陶磁器製造販売 法人需要・個人需要ともに伸び悩んでいる。新製品への取組みやイベント開催等、拡販に努 力しているものの、依然として業界の見通しは厳しい。旅館・ホテル等の大口販売先の需要が 引続き低迷している他、100円ショップなど廉価量販店との競合も厳しい。 2.2 鉄鋼 高炉では、自動車向けを中心として、高級鋼材への需要好調から高操業が続いている。電 炉も一部建設向け鋼材の価格安定から高水準の生産活動が続いている。下請企業は大手か らの合理化・単価引下げ等の要請は厳しいものの、受注量は安定的に推移している。 2.3 小売 暖冬の影響から、衣料関連販売は総じて動きが鈍い。正月初売りでの人出は相応に見られた が、「欲しいもの」以外に消費は向かっていない状況。新しい商業ビルがオープン、賑わいが 期待されたものの、集客はそれほどには増えていない模様で、周辺への波及効果も限定的。 2.4 宿泊 (旅館、ホテル) 沖縄県の入域観光客数は、年間ベースで過去最高を更新(平成16年515万人で前年比+1.3%、17 年 550 万人・同+6.7%、18 年 563 万人・同+2.5%)、「沖縄ブーム」が続いていて、堅調推移。他県では 海外からの団体客の取り込みが奏功し売上高が増加した地域や、稼働率に持ち直しがみられる 地域がある一方、単価が安いままで、春以降の見通しが厳しい地域もある。 3 トピックス<省電力設備販売により好業績> [株式会社エコエナジー(電気設備機器の販売業、福岡県)] 省電力設備(キュービクル)、高圧電力の販売。多店舗展開を行っている事業者にキュービク ル設置を提案。省エネ効果を宣伝し、大手コンビニ、ドラッグストアチェーン店等へ商圏を拡大。 今後省エネに対する意識の高まりから、ますますの需要拡大が期待される。 11 「中小企業の地域別景況」の推移 今回調査 2004/4∼2005/3 04/4∼6 04/7∼9 2005/4∼2006/3 04/10∼ 05/1∼3 05/4∼6 05/7∼9 12 05/10 ∼12 2006/4∼2007/3 06/1∼3 06/4∼6 06/7∼9 2007/4∼ 06/10∼ 07/1∼3 07/4∼6 12 ① 北海道 ② 東北 ③ 関東 (関東甲信越) ④ 甲信越 ⑤ 東海 ⑥ 北陸 ⑦ 近畿 ⑧ 中国 ⑨ 四国 ⑩ 九州・沖縄 ※「中小企業の地域別景況」における地域区分 ( )内は都道府県数 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 北海道 東北 関東 甲信越 東海 北陸 近畿 中国 四国 九州・沖縄 (1) (6) (7) (3) (4) (3) (6) (5) (4) (8) 北海道 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 新潟県、山梨県、長野県 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 富山県、石川県、福井県 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 (参考)上記期間の「中小企業月次景況観測」景況判断指数平均値 2004/4∼ 2004/7∼ 2004/10 2005/1∼ 2005/4∼ 2005/7∼ 2005/10 2006/1∼ 2006/4∼ 2006/7∼ 2006/10 2007/1∼ 2007/4∼ 6 9 ∼12 3 6 9 ∼12 3 6 9 ∼12 3 6 50.0 49.8 48.9 48.1 48.1 49.2 50.3 50.1 50.0 50.1 49.9 ・晴れ ・薄日 ・薄曇 ・曇 ・小雨 ・雨 非常に良い 良い やや良い やや悪い 悪い 非常に悪い 12 49.2