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バスケットボール競技における延長戦の記述分析的研究 男子車椅子
IMP-1 バスケットボール競技における延長戦の記述分析的研究 ○網野友雄(筑波大学大学院) 本研究は、バスケットボール競技における延長戦の戦い方に関する客観的な指針を提示することを目的とした。 研究方法は、アンケート調査にて、指導者が延長戦の勝敗に影響を及ぼすであろう項目について、どのように考えてい るのか抽出した。さらに、その結果を一元配置分散分析(p.<.05)することで、重要項目を抽出した。その結果、指導者はタ ーンオーバー、メンタル、ディフェンスリバウンドが、延長戦に勝利する為には重要と考えていることが判明した。次に、延 長戦映像とアンケート調査項目をロジスティック回帰分析(p<.05)することで延長戦の勝敗に影響ある項目を抽出した。そ の結果、先取点、3ポイントシュート、ファウルオン、ディフェンスリバウンド、ペイントエリア内得点が、延長戦の勝敗に影響 を及ぼす項目であると判明した。 以上のことから、指導者の考えと実際に延長戦の勝敗に影響を及ぼす項目に違いが見られた。 本研究の結果は今後のバスケットボール競技におけるコーチングに寄与するとともに、延長戦の戦い方の一指針になる と考える。 IMP-2 男子車椅子バスケットボールにおける「流れ」と勝敗の関係 ‐時間と得失点差に着目して‐ ○池田英治(山形大学地域教育文化学部),橘香織(茨城県立医療大学理学療法学科),内山治樹(筑波大学体育系), 岩井浩一(茨城県立医療大学人間科学センター),和田野安良(茨城県立医療大学医科学センター) 車椅子バスケットボール(Wheelchair Basketball:WB)について戦術的側面から検証を試みた例はごく僅かである。本研究 に先立って、われわれは、女子 WB の試合を対象に、各ピリオド立ち上がり 5 分時及び終了時の得失点差を独立変数、 試合の勝敗を従属変数としたロジスティック回帰分析を施し、得失点差と勝敗の関係について検証した(池田ほか、 2015)。その結果、試合の様相(得失点差の多寡)にかかわらず、第 3 ピリオドの得失点差が有意に勝敗に関係することが 明らかとなった。しかし、先行研究における性差の影響(Gómez et al., 2014)を鑑みると、より信頼性の高い結果を導出す るためには、男子を含めたより多数のゲームを分析することが求められる。そこで本研究では、Men’s World Wheelchair Basketball Championship 等のゲームを対象にロジスティック回帰分析を施し、女子における結果(池田ほか、2015)との比 較・検討を通して、男子 WB における試合の勝敗に影響を及ぼす重要なピリオドを導出する。 IMP-3 2013IJF ルール改正に伴う組手の「組替え戦術行動」にみる投技スコア取得率の変化 ○伊藤潔(富士大学),廣瀬伸良(順天堂大学),前川直也(国際武道大学),田村昌大(帝京科学大学) 国際柔道連盟(IJF)が 2013 年に行ったルール改正は組み手部位を帯より上に限定し、お互いが素早く組み合うことを 前提とした競技スタイルに転換させた。本研究の目的は 2013IJF ルール改正前後の大会間における投げ技によるスコア 取得率の変化を組手の「組替え戦術行動」の有無に視点をあてて男女、階級別に明らかにすることであった。研究データ は GS 東京大会 2012 と GS パリ大会 2013 の合計 557 試合であった。投げ技でスコアを取得した施技に至るグリップ数が 2 以下の場合には「組替え戦術行動」を「無」、3 以上の場合には「組替え戦術行動」を「有」と判断した。「階級」を男女そ れぞれ「軽量級」、「中量級」、「重量級」に 3 区分した。男子は「中量級」で「組替え戦術行動」を用いての施技によるスコア 取得率が有意に増加した。一方、女子では「軽量級」で「組替え戦術行動」を用いない施技によるスコア取得率が有意に 増加した。2013 年のルール改正は組手の「組替え戦術行動」に男女それぞれ異なる影響を与えた。本研究で得られた知 見より、性別、階級区分を考慮に入れての組手戦術行動のコーチングが有効であることが示唆された。 IMP-4 体つくり運動から発信するデュアルタスク運動プログラム -長なわとびとの組み合わせ運動- ○大塚 隆(東海大学) 「○○しながら△△する」というデュアルタスクは、競技スポーツのトレーニング方法としての可能性も示唆されている。筆 者が担当する「体つくり運動」での長なわとびの実践において、学生は発想豊かな「組み合わせ運動」を提案している。そ こで本研究は、2015 年度春学期 T 大学「体つくり運動理論及び実習」での「長なわとびの組み合わせ運動」の実践例を 整理し、デュアルタスク設定のための基礎資料を得ることを目的とした。授業において 69 の組み合わせ運動が実施され た。内訳は、多様な動き 26 件、バレーボール 7 件、バスケットボールと器械運動が各 6 件、野球とトレーニングが各 5 件、 サッカー4 件、その他 10 件であった。「技能」の習得ではなく、体を動かす楽しさや心地よさを味わうことがねらいの「体つ くり運動」だからこそ、自由な発想で挑戦的に「運動」が試みられたものと思われる。高度な専門性を持つ学生からは高い パフォーマンスが実施された。 IMP-5 テニス選手のためのニーズに応える動作を提案するシステム ○岡村麻人(筑波大学大学院),三橋大輔(筑波大学) テニス選手は戦績を向上させるために、打球速度やコントロールなどのパフォーマンスを高めたいというニーズがある。し かし、「複数のニーズを同時に満たす動作」を見出すことは難しい。そこで、本研究では「複数のニーズに応える動作」をコ ンピュータ上で計算し、その動作を提案するシステムを開発した。大学女子テニス部員を対象に光学式三次元動作解析 装置を用いフォアハンドストロークの測定を行った。その際、ニーズの聞き取りを行い、打球速度やコントロールデータも収 集した。主成分分析を活用して、抽出した主成分とパフォーマンス情報やニーズとの相関関係を調査した。最適化手法を 組み合わせることで、さまざまな条件下でニーズに応える動作パターンをコンピュータ上で探索できるようにした。今回開 発したシステムでは、選手のニーズを満たす動作を短時間でオーダメイドに作り出せる。作成した動作は 3D アニメーショ ンとして表示され、あらゆる視点から観察できる。本システムを用いることで、選手は自分のニーズに合う動作をイメージし やすくなると期待される。こうした情報を提供することによって動作の効率を高め、指導の質の向上に貢献していきたい。 IMP-6 技能レベルの異なる野球内野手のゴロ処理におけるフットワークの比較 ―接地位置および捕球位置に着目して― ○小倉 圭(筑波大学大学院),川村 卓(筑波大学) 野球競技において内野手の最も重要な課題はゴロの打球を処理しアウトを取ることである。打球を正確に捕球するため には、まずは得られた視覚情報をもとに身体を適切なタイミングで、適切な位置に移動させる必要があり、なおかつ送球へ とつながるフットワークを行う必要がある。そのため、ゴロ処理の指導現場においても、「足を動かせ」「打球にリズムを合わ せろ」など、打球へのアプローチの仕方やフットワークが重要視されている。しかしながら、「どのように足を動かせばよいの か」など、目指すべきフットワークの実態は明らかにされていない。そこで本研究の目的は、技能レベルの異なる内野手の ゴロ処理におけるフットワークを比較することで、ゴロ処理指導への示唆を得ることである。社会人野球選手および大学野 球選手を対象とし、マシンから投射されたゴロを捕球し送球するまでのゴロ処理動作を三次元画像解析法により分析す る。ゴロが投射されてから送球するまでを分析範囲とし、本発表では時間分析の他、接地位置、捕球位置、ステップ長およ びそれらのばらつきなどを比較し、報告する。 IMP-7 プロ野球捕手における二塁送球動作の特徴 〇梶田和宏(筑波大学大学院),川村卓(筑波大学),島田一志(金沢星稜大学),金堀哲也(筑波大学), 小倉圭(筑波大学大学院),八木快(筑波大学大学院) 捕手の二塁送球は、動作時間、ボール初速度(以下、送球速度)、送球精度の 3 つの要素で構成される。本研究では、 三次元画像解析法を用いて、プロ野球捕手の二塁送球動作の特徴を明らかにすることを目的とした。被験者は、某プロ野 球 2 球団の捕手 11 名であった。試技は、正規の距離(18.44m)から投球したボールを 10 球程度、全力で二塁に送球さ せた。2 台の高速度 VTR カメラで撮影し、三次元画像解析を行った。分析試技は捕球から二塁到達までの時間が最も短 くかつ内省が良い試技とした。送球時間、動作時間、滞空時間、送球速度および各分析項目での相関分析を行った。結 果は、動作時間と滞空時間および送球速度、送球時間と動作時間には有意な相関はなかったが、送球時間と滞空時間 では高い相関が示された。プロ野球捕手は、動作時間を短縮することが、送球時間を短縮することに大きく関係しておら ず、送球速度を大きくすることで滞空時間を短縮していると考えられる。その中でも、主に動作時間を短縮するタイプと送 球速度を大きくするタイプに分けることができると推察される。 IMP-8 バスケットボール競技におけるオンボールスクリーンの成功要因の解明 ○川満悠貴(鹿屋体育大学大学院),喜納康平(鹿屋体育大学大学院),三浦健(鹿屋体育大学), 髙橋仁大(鹿屋体育大学) バスケットボール競技におけるオンボールスクリーンとは、2対2で行う攻撃側の集団戦術の一つである(Gómez,2015)。 さらに、オンボールスクリーンは試合の中で頻繁に行われるプレーであり、その成功率を向上させることは試合に勝利する ことに直結すると考えられる。しかし、オンボールスクリーンの成功要因について、実際の試合の分析から詳細に検討した 研究は行われていない。そこで本研究では、バスケットボール競技におけるオンボールスクリーンの成功要因を、映像分 析を用いて明らかにし、オンボールスクリーンの技術解明を行うことを目的とした。分析対象は日本のトップリーグ(NBL)と アメリカのトップリーグ(NBA)から無作為に選んだ 20 試合ずつとした。映像の分析には SportsCode を用い、オンボールス クリーンの成功・失敗要因の分析については、(Gómez,Lorenzo,et al.2013)を参考とした。時間(クォーター、24秒)、場 所(中央、サイド)、選手の動き(ドリブラー、スクリーナー、ドリブラーのディフェンス、スクリーナーのディフェンス)の3項目 から映像分析を行った。 IMP-9 バスケットボール選手のラダートレーニングによる敏捷性能力向上の効率化について ○喜納康平(鹿屋体育大学大学院),川満悠貴(鹿屋体育大学大学院),三浦健(鹿屋体育大学), 髙橋仁大(鹿屋体育大学) ラダートレーニングは、敏捷性能力向上に繋がる SAQ トレーニングとして様々な競技種目の練習現場で活用されてい る。バスケットボールの練習においても活用はされているが、短い期間での実施による敏捷性能力の向上についての報告 は少ないのが現状である。 そこで本研究では、バスケットボール選手を対象にラダートレーニングを行い、短期間でのラダートレーニングによって敏 捷性能力の向上を獲得することができるかについて検証し、バスケットボールの競技力向上につながる知見を得ることを 目的とした。被験者は大学生男子バスケットボール選手 6 名で、週 2 回のラダートレーニングを 4 週間行った。ラダートレ ーニングのメニューは 2 週間で変更した。ラダートレーニング実施前後で敏捷性能力を評価する T-test と方向変換走の 測定を行った。敏捷性能力とラダートレーニングの各メニューについてはタイム計測を行い、トレーニング前後での比較を 行った。また、タイム計測と同時に被験者の動きが確認できるようにビデオ撮影を行い、トレーニング前後における動作の 変化も分析した。 IMP-10 女子短距離選手におけるクラウチングスタートブロッククリアランスの分析 ○篠原康男(神戸大学大学院人間発達環境学研究科),前田正登(神戸大学) 本研究では、女子短距離選手におけるクラウチングスタートのブロッククリアランスについて検討することを目的とした。被 験者は、学生男子短距離選手 10 名(100m 走の自己記録:10.46~11.47 秒)と学生女子短距離選手 8 名(100m 走の自 己記録:11.80~13.45 秒)とした。被験者には、試合を想定したクラウチングスタートを行わせた。各試技のスターティング ブロックに加えられた力と第 1 歩目で加えられた力を 3 台のフォースプレートを用いてそれぞれ 1kHz で測定した。また、 被験者のブロッククリアランス及びスタート動作を 4 台の高速度ビデオカメラを用いて 250Hz で撮影した。分析の結果、女 子短距離選手は男子短距離選手に比べて、スターティングブロック全体に加えられた力積の水平成分は有意に小さく (p<0.01)、ブロッククリアランス時の身体重心の水平速度は小さかった。また、女子短距離選手はスターティングブロック全 体に加えられた力積の水平成分が小さいほど、ブロッククリアランスに要する時間および 10m 通過タイムは有意に短く (p<0.05)、第 1 歩目の着地位置もスタートラインに有意に近かった(p<0.01) IMP-11 男子走高跳選手のパフォーマンスを決定する踏切動作パラメータ ○平龍彦(筑波大学),苅山靖(筑波大学),吉田拓矢(筑波大学大学院),戸邉直人(筑波大学大学院), 小山宏之(京都教育大学),図子浩二(筑波大学) 走高跳は踏切動作に自由度が高いために、幅広い競技レベルに共通した動作課題と共に、個人差の目立つ動作課題 への理解も重要となる。本研究は、日本の学生トップレベルから世界トップレベルの走高跳選手を対象に、高いパフォー マンスを達成するための踏切動作について、客観的な評価基準を作成すること、また個人差に配慮した類型化のための 観点を提示することを目的とした。公認競技会の走高跳に出場した男子 32 名(成功試技:2.13-2.40 m)の踏切動作を、 2 台の高速度カメラにより撮影した。結果として、高い鉛直重心速度を獲得するためには、(1) 跳躍角度が大きいこと;(2) 踏切接地時に脚の後傾により身体の後傾を作り出し、その後傾が大きいこと;(3) 踏切離地時に膝・足関節の伸展(底屈) 角度が大きいこと;(4) 踏切接地時の助走速度が高いこと、すなわち (1)―(3) が高い助走速度条件下でも遂行できること、 以上が示された。また、本研究ではトレーニング現場で選手の特性を区別する際に用いられているパラメータにより類型化 を試み、個人差へ配慮するための観点も提示した。 IMP-12 高校短距離選手への科学データフィードバック方法の妥当性 ~質問紙及び提出レポートからの知見~ ○竹田 安宏(北海道札幌南高等学校),城後 豊(北海道教育大学名誉教授) 科学データ測定及びフィードバックは、個人やチームの現状把握や今後のトレーニング課題解決に結びつき、コーチン グの一助になりうるものである。そのためには測定データが研究のためのみの数値であったり、フィードバックが一方通行 にならぬよう、現場の選手たちに役立つ測定フィードバック方法の工夫が求められる。 本研究では、高校生短距離選手男女9名にスピード曲線、パワー曲線、オプトジャンプシステムによる測定をし、その結 果を説明会によってフィードバックした。そして、質問紙法による 5 段階評価とレポートを用いて「1.レディネスに応じたも のであったか。2.方法が妥当であったか。3.その測定結果が有効に活用されたか。」の3点を検証することを目的とした。 質問紙からは、データを理解する基礎学力を有しており、資料提示も妥当であった。また、説明会がモチベーションを高め ていることが推察された。さらにレポートから「気づき・発見」や「主観と客観をすり合わせていく」表現、「課題克服」のため の具体的な練習方法を挙げる文章が散見された。 IMP-13 フェアプレーと競技力に関する一考察 ~サッカーJ1リーグにおける反則とリーグ戦成績との関連について~ ○橘優貴(流通経済大学大学院),黒岩純(流通経済大学),大平正軌(流通経済大学) J リーグでは、1 シーズンを通して反則ポイントを累計し、フェアプレー賞受賞チームを決定している。フェアプレー賞の 順位とリーグ戦成績は必ずしも一致しておらず、反則が少なく成績上位のチームもあればそうでないチームもある。しか し、ある指導者は「フェアプレーとリーグ戦成績には相関関係がある」とコメントしており、これは指導者の指導理念や指導 方法がチーム作りに反映され、反則を減らすことがチーム力を上げる一つの要因として捉えている事が推測される。また、 このフェアプレーと成績との関係に関する先行研究は少なく、この指導者の言及を裏付ける科学的根拠はない。そこで、 本研究では J リーグの監督経験者のうち、優秀な成績を収めたチームやフェアプレー賞受賞チームの監督複数名を対象 として半構造化面接を用い、指導理念、指導方法について詳細に捉え、フェアプレーとリーグ戦成績の関係を明らかにす ることを目的とした。指導者の理念がどのように介在しているかを検討することは、スポーツ指導の現場において求められ る指導者像を提供することにつながると考える。 IMP-14 フィンスイミング初心者におけるモノフィン泳パフォーマンスの検討 ○谷川哲朗(慶應義塾大),来田宣幸(京都工芸繊維大),野村照夫(京都工芸繊維大) 本研究は,フィンスイミング初心者が初めてモノフィンを着用して泳ぐ際の泳パフォーマンスを明らかにすることを目的と した.対象は男子高校競泳選手 81 名とした.実験試技は,水中バタフライキックで泳ぐ 25m バタフライキック泳およびモノ フィンを着用して水中泳ぐ 25m モノフィンキック泳を 1 回ずつ実施させた.撮影は水中ビデオカメラ(SONY 社製,HXRMC1)を用いて,6m から 11m 地点までの区間を側方から撮影した.分析は,ビデオ画像上の大転子,膝関節,外果,フィ ン先端をデジタイズし,2 次元 DLT 法により実長換算した.その結果,外果の振幅ピーク時における膝関節屈曲角度につ いて,モノフィン泳(146.7±15.2°)はバタフライキック泳(163.2±9.7°)よりも有意に屈曲していた.このことから,対象者 はモノフィンを大きく動かそうとしていたと考えられる.ところが,外果の振幅について,モノフィン泳(0.25±0.07m)はバタ フライキック泳(0.38±0.09m)よりも有意に小さかった.このことから,膝関節を曲げることによってアップキックを力強く行っ ているが,ダウンキックで下方へ蹴れていないと推察された.競泳選手がフィンスイミング競技にチャレンジする際の指導 のポイントとなる可能性が示された. IMP-15 ライフスキル獲得を促すスポーツコーチングスキルの検討 ○壺阪圭祐(兵庫教育大大学院),島本好平(兵庫教育大大学院),木内敦詞(筑波大) ライフスキル(Life Skills:以下、LS)の獲得を促進させる方略の一つとして、指導者の適切な働きかけが影響すると報告 されている(上野・中込、1998)。しかし、選手の LS の獲得を促す指導者による働きかけ、すなわちコーチングスキル (Coaching Skills:以下、CS)については,著書などで経験的に提示されている場合がほとんどである。そのため、本研究 では個人の経験則に偏らない普遍的価値を有する LS の獲得を促す CS を明らかにすることを目的とし、関西地区、関東 地区の中学・高校・大学年代のスポーツ指導に携わる指導者 551 名(男性 458 名,女性 93 名、平均年齢:41.9±10.9)を 対象として質問紙調査を実施した(有効回答率 97.5%)。分析の結果、LS の獲得を促す一般的な CS として、「可視化を 促すコーチング」(α=.80) 、「感謝する心の育成を促すコーチング」(α=.74)、「自発的な行動を促すコーチング」(α =.73)、「目標達成を促すコーチング」(α=.70)の四因子が抽出された。また、「目標達成を促すコーチング」は他の三因 子との関連性が強いことから LS の獲得を促す CS において中核的なスキルとしての役割を担っていることが示唆された。 IMP-16 バスケットボール競技におけるドライブの向上に必要な要素の検討 〇土肥崇史(筑波大学大学院),内山治樹(筑波大学体育系),橋爪純(筑波大学大学院) バスケットボール競技においてより多くの得点を得るには、高確率のシュートをより多く打つことが求められる。そのため、 相手との対峙を打破してオープンな状態を作ることが必要であり、その有効な手段として「ドライブ」が挙げられる。ドライブ は相手防御を打ち破る最も有効な個人戦術行為であり、ドライブを仕掛けるためのミートやフェイントについては多くの指 導書などでも解説され指導されているものの、ドライブ動作そのものの指導はあまり重視されていないのが現状である。そ こで、本研究ではドライブ動作そのものを分析することにより、ドライブを成功させる要因となる要素を明らかにすることを目 的とした。関東男子 1 部リーグに所属する T 大学の選手からドライブの得意、不得意な選手各 6 名を被験者とし、ストレー トとクロスのドライブをそれぞれミートとピボットのシチュエーションから行い、VICON(250Hz)で撮影し三次元動作分析を 行った。実験から、姿勢、足の踏み出し位置、蹴り足の強化、効率の良い肩の使い方とそれに伴うボールの突き出しがドラ イブの成功に必要な要素であることが明らかになった。 IMP-17 呼吸動作の有無によるバタフライ泳動作への影響 ‐脚動作に着目して‐ ○長堀一輝(新潟大学大学院),大庭昌昭(新潟大学) 【目的】呼吸動作の有無がバタフライ泳の Arm-leg coordination(以後、ALC とする)に影響を及ぼすという報告はあるが、 泳動作に関する詳細な分析は行われていない。そこで本研究では、呼吸動作の有無がバタフライの脚動作に及ぼす影響 について検討することを目的とした。【方法】被験者は大学水泳部に所属し、バタフライを専門とする選手 6 名とした。25m を 4 試技(主観的努力度 70%・80%・90%・100%)×2 セット実施し、1 セット毎に毎回呼吸 (以後、EB とする)と無呼吸(以 後、NB とする)を行った。各セットの 4 試技目を努力度 100%とし、他の努力度はランダムで行った。泳者の側方から撮影 した映像をもとに、2 次元 DLT 法によって、動作分析を行った。【結果・考察】呼吸動作により第 2 キックの最下点が下が る傾向が確認されたが、逆の傾向の被験者も 1 名いた。さらにわずかではあるものの、第 1 蹴り上げ局面の割合が増加す る一方で、第 2 蹴り下ろし局面の割合が減少し ALC が異なった。呼吸動作による泳動作への影響はタイミングがずれな がらもキック幅を変え、リリース時点で調整をはかっていることが示唆された。 IMP-18 東日本大震災・支援活動としての「交流型」体操指導の事例(その2) -活動中の「笑い」発生場面から見た高齢者の指導方法の検討- ○長谷川聖修(筑波大学),小山勇気,小島瑞貴(筑波大学大学院),新海萌子(筑波大学研究生), 古屋朝映子(川村学園女子大学),檜皮貴子(新潟大学),鈴木王香(國學院大學),高橋靖彦(法政大学非常勤) 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災から 5 年が経過し、「風化」という現実は避けられない。被災地での健康づくりを目指 した体操教室も、時の経過とともに減少傾向である。具体策は難しいが、まず高齢者対象の体操指導を継続させるには、 高齢者も童心に戻ったように歓声が沸き起こるような運動実践場面を作り上げることが求められる。そこで、本研究は、北 茨城市で 3 年間継続している高齢者対象の体操教室において、活動中に自然発生した「笑い」の場面を抽出し、内省調 査・インタビュー調査の結果と重ね合わせながら、高齢者の「交流型」体操指導における配慮点について検討することを目 的とする。その結果、「笑い」の多くは、指導において用具・リズム・交流を配慮した和やかな指導場面で生じ易い傾向が事 例的に示された。 IMP-19 “ある若手アシスタントコーチ”が経験した大学跳躍チームでの 2 年目のコーチング事例 —1 年目の事例との比較から— ○林 陵平(筑波大学大学院),金井 瞳(筑波大学大学院),図子 浩二(筑波大学) 本事例では、T 大学陸上競技部の跳躍選手 58 名を対象に、チームに関わって 2 年目を迎えるアシスタントコーチが、 試合期である 2015 年の 4 月から 10 月にかけて実践した事例を提示し、1 年目の事例との比較から自らのコーチングに ついて省察した。事例をまとめる際に手がかりにしたデータは、筆者が日々記録した日誌への記述データであり、主な内 容はコーチングおよびトレーニングに関する事項であった。チーム内でのアシスタントコーチとしての役割は 1 年目と変わ らず、ヘッドコーチのサポートと数名の選手に対するパーソナルコーチングであった。しかし、その内容には大きな変化が 見られ、筆者は 1 年目に抱いていた自らのコーチングに対する自信の無さや不安を解消し、選手に対して積極的に指導 を行うように成長した。その一方で、指導の際に 1 度に多くの情報を与えてしまい、選手を混乱させてしまう場面も多々見 られた。その他にも、1 年目の事例を受けて問題解決に取り組んだ際の思考と事実を省察し、提示した。本事例は、これか らコーチを目指す者の学びに役立つ知を提供するものである。 IMP-20 体力測定値が低い児童を対象としたバランス運動の指導実践 ○檜皮貴子(新潟大学),菅原知昭,吉田朱里(新潟大学大学院),長谷川聖修(筑波大学), 田村元延(常葉大学短期大学部),鈴木王香(國學院大學),小島瑞貴(筑波大学大学院) 【目的】体力測定値の低い児童には、まず興味を持って主体的に運動に取り組んでもらうことが重要であると考える。その ため、動的なバランス運動で、積極的に身体を傾ける動きを誘発する 4 つのバランス運動を考案した。本研究は、児童を 対象に考案したバランス運動を体育授業で実施し、授業前後において体力測定値が低かった児童を事例的に観察する ことで、バランス運動の教材づくりと指導方法のあり方を検討することを目的とした。【方法】小学 3 年生 30 名を対象に全 3 時間、4 種類のバランス運動を実施した。その前後で、片足立ち・反復横とび・立ち幅跳びの測定を行った。加えて、転倒 を誘発するボード上からの前倒動作の撮影、内省調査等を実施した。【結果】30 名のうち体力測定値が全国平均より低か った児童 8 名は、本実践を通じて、反復横とび測定値において有意な向上が認められた。さらに、前倒動作では、事後に おいて身体をより前方へ傾けられる姿勢が観察された。また、全 3 回の形成的授業評価では、自発的な学習に関する問 いにおいて肯定的な回答が全員から得られた。 IMP-21 三段跳において減速を少なくするための踏切動作:リバウンドロングジャンプテストを用いた評価 ○米澤宏明(筑波大学大学院),苅山靖(筑波大学),林陵平(筑波大学大学院),図子浩二(筑波大学) 三段跳では、連続する 3 回の踏切において、助走で得た水平速度の減速を最小限に抑える必要がある。本研究では、 三段跳において減速を少なくするための踏切動作について、三段跳の能力を専門的に評価可能なリバウンドロングジャン プ(RLJ)テスト(藤林ほか,2013)を用いて検討した。男子三段跳選手 7 名(自己記録:15.22 ± 0.72 m)に、RLJ テストを 成功試技が 10 本になるまで実施させ、その際の動作を 3 次元モーションキャプチャとフォースプレートから成るシステム によって計測した。テストの成績は、踏切離地時の身体重心速度(鉛直および水平成分の合成)と、それを踏切時間で除 した値である簡易の RLJ 指数によって評価した。被験者全員のデータからはテストの成績と水平速度の減速量との間に 関係性は見られなかったが、それは減速量が大きいほど離地時の鉛直速度が大きくなるという関係性が認められたためで あった。しかし、被験者を個別に評価した際には、減速が少なくとも高いテスト成績を達成している者も確認された。学会 当日は、このような観点からみた踏切動作の詳細について報告する。 IMP-22 男子棒高跳選手におけるトレーニング経過とパフォーマンスの向上に関するコーチング学的研究 ―初心者から熟練者における技術の習得に着目して― 〇米原博章(筑波大学),北崎悦子(筑波大学大学院),苅山靖(筑波大学),図子浩二(筑波大学) 本研究では中学 1 年時より棒高跳を専門種目として、各年齢段階において優れた競技成績を残した“ある男子棒高跳 選手”の 10 年間のトレーニング事例を、技術習得に着目して提示した。事例対象者は、10 年間に渡って様々な技術習得 に取り組み、その過程を記述データとして有する選手であった。10 年間の競技記録の変遷とともに、跳躍フォーム、技術 課題、トレーニング内容をデータとした。10 年間に渡る、技術習得に向けた課題の変遷は大きく、初級段階の「スイング強 調期」、ポールが湾曲するようになると「入り強調期」、「駆け上がり強調期」、さらに習熟が進むと「高く強調期」という 4 つの 時期に区分けすることができた。これらの技術習得の変遷に伴い対象者の記録は向上していた。また、技術の習得には、 内的なコツの習得によるものと、外的な働きかけによって習得に結びついたものがあったことも提示された。これらの事例 は、特に技術習得を目指した棒高跳選手のトレーニング、コーチングにおいて役立つ実践知を提供しているものである。 POS-1 スポーツ振興における動機づけとしてのオリンピックテレビ放送に関する研究 ○荒川 勝彦(神奈川工科大学) オリンピックの発展とテレビ放送の進化には相互関係が深い。オリンピックテレビ放送は、カラー放送、衛星放送、デジタ ル放送、ハイビジョン放送といった放送技術の進化により、オリンピックスタジアムで観戦するような、臨場感溢れる映像を、 世界中の視聴者に提供している。2012 年第 30 回ロンドンオリンピックでは、世界中で推計約 40 億人がテレビ視聴したと される。平和の祭典としての開会式のセレモニーやフェアプレーを基調とした高水準のパフォーマンスは、世界中の視聴 者に感動とスポーツ参加への動機づけを提供しているといえる。これまでオリンピックについては、参加国・地域数や競技・ 種目数などの報告はみられるが、オリンピック放送時間についての報告はあまりみられない。そこで本研究では、オリンピッ ク研究の一資料として、夏季オリンピックのテレビ放送時間の変遷を調査することにした。調査資料は、朝日新聞縮刷版の テレビ番組欄であった。調査範囲は、1956 年第 16 回メルボルン大会から 2012 年第 30 回ロンドンオリンピックまでであっ た。 POS-2 大学生競技者におけるスポーツ時の音楽聴取の実態とその効果 −競技意欲(SMI)との関係性に着目して− ○飯塚駿(大東文化大学大学院),遠藤俊郎(大東文化大学),池田志織(大東文化大学大学院), 田中博史(大東文化大学),横矢勇一(大東文化大学) 本研究は、大学生競技者を対象に、スポーツ実施時に音楽を聴いているか否かを実態調査するとともに、競技意欲との 関係性について検討することによって、スポーツにおける音楽の心理的コンディションへの効果的活用法について把握し スポーツにおけるメンタルマネジメントに関する一資料にすることを目的とした。大学生競技者400名(男子200名、女子2 00名)に対し調査を実施した結果、回収したアンケートは380名分(男子217名、女子163名、平均年齢は19.02歳)有 効回答率は95%であった。また、音楽聴取に関する質問の回答から競技において音楽を活用している者が68%(259 名)であり、主観的な効果の回答の大半をサイキックアップ効果とリラクセーション効果を占めた。SMI との比較・検討では、 「やる気」(t=2.61,p<.01)と「冷静さ」( t=2.62,p<.01)の因子において音楽活用群の方が有意に高い得点結果を示し た。このことから、競技においての音楽聴取はメンタルマネジメントの手法としての効果が期待できると窺えた。 POS-3 大学バレーボールチームにおける集合的効力感に関する研究 ~性差および学年差に着目して~ ○池田志織(大東文化大学大学院),遠藤俊郎(大東文化大学),飯塚駿(大東文化大学大学院), 田中博史(大東文化大学),横矢勇一(大東文化大学) 集合的効力感とは、“集団に属するメンバーが共有する信念”(Bandura,1982)と定義されている。わが国では、多くの 研究者が対象や関連要因に関して検討を重ねているが、大学バレーボール選手を対象とした研究はわずかである。そこ で本研究では、大学バレーボール選手(男子803名、女子918名、計1721名)を対象として、集合的効力感についての 性差および学年差について検討することで、今後のコーチングの一資料とすることを目的として研究を行った。調査では、 日本語版スポーツ集合的効力感尺度(内田、2014)を使用した結果、能力、忍耐力において男子は女子より有意に高い 得点を示した。また、学年差については能力、努力、忍耐力、準備力、結束力の全てにおいて有意差が見られ、全ての因 子において 1 年生は 2 年生よりも有意に高い得点を示した。このことから、大学バレーボール選手を対象とした集合的効 力感には性差、学年差があり、今後さらに検討を重ねることで、コーチングに活用することができると考える。 POS-4 競泳の台上スタートにおける意識の違いが身体重心と地面反力に及ぼす影響 ―逆振り子モデルからの考察 ○池田祐介(新潟医療福祉大学),市川浩(新潟医療福祉大学),馬場康博(新潟医療福祉大学), 安井俊太(新潟医療福祉大学大学院),奈良梨央(新潟医療福祉大学),下山好充(新潟医療福祉大学), 窪康之(国立スポーツ科学センター) 本研究では競泳のトラックスタートにおける意識の違いが身体重心と地面反力に及ぼす影響を明らかにするために、スタ ート動作を逆振り子にモデル化して,振り子の挙動と地面反力の動態を検討した。対象は大学競泳選手男女 14 名とし、 台上のスタート動作を側方から撮影するとともに、前後脚の地面反力をそれぞれ計測した。分析対象とした試技は、選手 が競技会において行う通常試技(NT)と通常試技よりも遠くに飛ぶことを意識した試技(FT)とした。分析の結果、FT にお ける飛距離、離台時の鉛直方向の重心速度は NT よりも有意に大きい値を示したが、逆振り子モデルの回転要素と伸展 要素に有意な差はみられなかった。地面反力については、FT の前脚支持局面の鉛直方向の平均力は NT よりも有意に 大きい値を示した。これらのことから、台上において飛距離を意識することにより、前脚による力発揮が大きくなることが明ら かになった。 POS-5 水球競技におけるターンオーバー時の戦術技能に関する研究 ○市川 雅浩 (筑波大学),松元 剛(筑波大学) 本研究の目的は水球競技におけるより有効なオフェンスやディフェンスシステムの確立であり、ターンオーバーの種類・ ポジションとその後のプレーに着目し、2015 FINA Men's Water Polo World League の 7 試合を対象に分析を行った。コ ートを分割し、ターンオーバーが発生したポジション・エリアをターンオーバーの種類ごと統計を取り、ターンオーバー後の 攻撃に優位性が見られたかを検証した。ターンオーバーのポジションについてはターンオーバーの種類の特徴ごとに優 位性があるポジションが明らかになった。ターンオーバーのエリアについては、ターンオーバーの種類ごとに多少の差は 見られたが、おもにハーフゾーン近くでのターンオーバーが有効的であることがわかった。指導の現場においてターンオ ーバーはよりハーフゾーン付近のコートの高い位置で発生することが有効的であると言われてきたが、ターンオーバーの 種類によって有効性が変わってくる。各ターンオーバーの種類の特徴を理解した上で、オフェンスやディフェンスのシステ ムを構築することが、より有効的な攻防転換につながることが考えられる。 POS-6 サッカーのクロスボール処理準備時間相におけるサッカー選手の視覚探索方略 ‐各フェーズにおけるゴールキーパー経験者と未経験者の比較‐ ○伊藤瑞希(筑波大学博士前期課程),中山雅雄(筑波大学),夏原隆之(東京成徳大学), 松竹貴大(筑波大学博士後期課程),浅井武(筑波大学) 本研究は、サッカーのクロスボール処理の状況下における、準備時間相のゴールキーパー経験者の視覚探索方略を測 定し、正確かつ一貫した予測が優れていることを明らかにすることを目的とした。実験参加者は T 大学サッカー部に所属 する GK 経験者および未経験者各 9 名であった。課題はスクリーンにクロス対応直前場面の映像を投射、クロスが蹴られ た直後に映像を遮蔽し、その後のボールの到達先を実験参加者が予測するものであった。また、その際に眼球運動測定 装置で視覚探索活動を測定、4 フェーズに分けて評価した。GK 経験者と未経験者の間に予測の正確性における差は認 められなかったが、予測再現性と再現正確性では GK 経験者の方が有意に優れていた。また、フェーズ 1 において GK 経験者は有意にボール保持者とボール周辺に、フェーズ 4 ではクロッサーに視点を置いていた。これらから GK 経験者は ボール保持者やボール周辺から情報を得ることによって、一貫した正確な予測を行っていることが推察される。 POS-7 学校体育におけるバスケットボールの集団技能評価シートの作成と適用例から指導の手立てについて 〇大山泰史,青柳領,小牟礼育夫(福岡大学),八板昭仁,川面剛(九州共立大学),案浦知仁(福岡大学大学院) 本研究では、学校体育におけるバスケットボールの攻撃における集団技能を評価する実用的な評価シートの作成を行 う。対象は、2 大学で実施されたバスケットボールの授業における全 24 ゲームでの 3 局面からなる 12 項目を記録した。ま ず、大山(2014、2015)が報告した回帰式より間隔尺度の項目値を算出し、これに最尤法およびプロマックスによる因子分 析を行い、得られた因子に有意な負荷量を示す項目を用いて、専門家の主観評価を目的変数とした数量化理論 1 類を 実施した。さらに、得られた回帰係数を整数に変換した配点表を作成した。結果、「F1:パスを主体とした攻撃」、「F2:フロ アバランスの良い攻撃」、「F3:素早いボール運び」という 3 因子が抽出された。これらに有意な負荷量を示した 3 項目を 用いて数量化理論 1 類を行った結果、重相関係数は、0.21 であった。そして、得られた回帰係数を一次変換して整数か らなる配点表を作成した。この配点表を実際に授業で見られる典型的な 5 チームに適用し、得られた結果に基づく指導の 事例を示した。 POS-8 跳躍力向上を目的としたクイックリフト・エクササイズの効果 ~成人男子バレーボール選手の事例から~ ○岡野憲一(筑波大学大学院),谷川聡(筑波大学) バレーボール競技において、高く跳躍することは競技力向上を目的とする上で非常に切要な因子であると認識されてい る。その跳躍力を向上させるための方法として、全動作を通じて素早い加速と動作スピードを伴うクイックリフト・エクササイ ズが多くのアスリートのトレーニングとして用いられている。そこで本研究は、クイックリフトの代表的な種目であるパワークリ ーンを導入したウエイトトレーニングプログラムが、垂直跳びの跳躍高に及ぼす効果について、成人男子バレーボール選 手におけるトレーニング事例をもとに検討することを目的とした。本研究の結果から、6 週間のウエイトトレーニングとパワー クリーンを組み合わせたトレーニングによって垂直跳びは有意な向上が認められ、パワークリーンはバレーボール競技選 手に必要な跳躍能力を向上させるための有効なトレーニング種目になり得ることが示唆された。 POS-9 インラインスピードスケート競技のフラットトラックとバンクトラックにおけるカーブ滑走動作の相違点 ○岡部文武(早稲田大大学院),羅劉星(早稲田大大学院),鈴木隆弘(早稲田大大学院), 藤田善也(早稲田大学),土屋純(早稲田大学) 本研究の目的は、インラインスピードスケート競技におけるフラットトラックとバンクトラックのカーブ滑走動作の相違点を 検討することであった。国際大会派遣候補選手 2 名(上位者 1 名、下位者 1 名)の前額面上の身体傾斜角を分析した。分 析の結果、フラットトラックとバンクトラックでの身体傾斜角は、左右のストロークにおいて両名ともストローク終盤に向けて増 大した。身体傾斜角の最大角度と最小角度の差(以下、傾斜範囲)は、右ストロークにおいては、両名ともバンクトラックがフ ラットトラックに比べて大きかった。左ストロークにおいては、上位者の傾斜範囲はバンクトラック(18.7deg)がフラットトラック (13.8deg)に比べて大きかったが、下位者の傾斜範囲はバンクトラック(5.0deg)がフラットトラック(13.2deg)に比べて小さかっ た。以上の結果より、身体傾斜角はバンクトラックとフラットトラックで類似するが、バンクトラックでは左ストロークにおいて、 上位者の身体傾斜角が大きくなることが示唆された。 POS-10 400m 走競技者における自転車運動を用いた高強度間欠的運動の負荷特性 ○奥平柾道(筑波大学体育専門学群),内藤景(筑波大学体育系),谷川聡(筑波大学体育系) 【目的】無酸素性エネルギー供給能力改善のためのトレーニングとして高強度の間欠的運動が用いられているが、その負 荷特性について検討した研究は少ない。そこで本研究では 400m 走を専門とする男性競技者 18 名における高強度自転 車運動の負荷特性を検討した。【方法】電磁ブレーキ式自転車エルゴメーターを用いて、40 秒間の連続的自転車運動 (40Win)と 20 秒+20 秒の間欠的自転車運動を休息時間 30 秒(20s+20s(30s rest))と 60 秒(20s+20s(60s rest))でそれぞ れ行わせ発揮パワーの算出と血中乳酸濃度の測定を行った。【結果】運動後最高血中乳酸濃度は試技間に有意な差が 認められなかったが、パフォーマンスの高群と低群で比較すると、20s+20s(30s rest)において群間に有意差が認められ た。またパフォーマンス低群における運動後最高血中乳酸濃度において、20s+20s(30s rest)と 20s+20s+(60s rest)との間 に有意な差が認められた。【結論】無酸素性エネルギー供給系に負荷をかけるトレーニングを実施する際、パフォーマンス に劣る者は優れるものよりも長い休息時間を設けることで、無酸素性エネルギー系供給系に適切に負荷をかけることがで きることが示唆された。 POS-11 バレーボールにおける状況判断能力に関する研究 ―スパイク局面でのアタッカーの意識しているところについて― ○小澤翔(東海大学大学院),積山和明(東海大学),植田恭史(東海大学) バレーボール競技においてスパイカーは「状況判断のよい」プレーが必要になる。状況判断の内容を向上させるために は、相手の情報を取り入れ自分の知識や経験に照合させ認識の知識化をすることが必要となる。しかしながら、状況判断 能力における研究は多くみられない。 そこで本研究は、状況判断能力がバレーボール競技においてパフォーマンス向上に有効であるかを明らかにし、今後の 指導に活かすことを目的とした。被験者は、関東大学バレーボール連盟 1 部リーグに所属する T 大学体育会バレーボー ル部の男子学生とした。分析対象の映像は、2015 年度秋季関東大学バレーボールリーグ戦、T 大学対 C 大学戦の T 大 学のスパイク成功全 58 シーンとした。調査内容は、スパイク決定シーンの映像を見ながらいつ意識しているか、どこに意 識をおいているかについて調査を行なった。詳細は当日報告する。 POS-12 異なる方向への変換動作を伴う連続サイドステップ運動の特徴 ○小野 太寛(神戸大学大学院),前田 正登(神戸大学) バスケットボールにおいてサイドステップ(SS)は、ディフェンスの際の方向変換に用いるだけでなく、移動の手段としても 用いられる。ディフェンスの選手は、オフェンスの選手の巧みな動きに追従しなければならず、必然的にサイドステップを 繰り返しながら、様々な方向への変換動作を行わなければならなくなる。本研究では、異なる方向への変換動作を伴った 連続サイドステップ運動の特徴を明らかにすることを目的とした。 バスケットボール部に所属する男子大学生 12 名を被験者とし、3.0m 区間を SS で 5 往復行わせ、方向変換時の動作を 高速度ビデオカメラで撮影した。方向変換は 180°、前方へ 150°、後方へ 150°の 3 条件とした。 分析の結果、接地回数を重ねるにつれて往復時間に対する接地時間の割合は小さくなり、接地中の力積も小さくなって いた。接地中の身体重心速度は 180°条件が最も小さかった。接地中の重心高で 180°条件が最も低かったことも合わ せると、180°条件では方向変換時に大きく減速する必要があると考えられる。 POS-13 野球における試合映像を用いたミーティング法の検討 ○金城岳野(立命館大大学院),菊池 諒(立命館大大学院),岡本直輝(立命館大学) 映像を用いたミーティングは映像を用いてフィードバックやミーティングを行うことは技術面や(賀川ら,2013)、戦術面で 有効である(平岡ら,2003)。野球は投手が試合を大きく左右するため、バッテリー間で意思疎通を行うことが重要である。 そのため、試合映像を用いたミーティングを行うことは効果的であると考えられるが、その効果については報告されていな い。そこで、本研究では、試合映像を用いたミーティングの実態を調査し(研究 1)、効果的なミーティング法を検討する (研究 2)ことを目的とした。実態調査として、高校野球の指導者(36 名)を対象に、自チームの試合映像を用いたミーティ ングについての質問紙調査を行った。その結果、全体の約 53%の指導者は自チームの試合映像を用いたミーティングを 行っていると回答し、その中の約 47%の指導者がバッテリーを対象とした自チームの試合映像を用いたミーティングを行 っていると回答した。このようなチームは、甲子園出場校も含まれていた。研究 2 では、ピンチ(得点圏の場面等)の映像を 見せ、バッテリー間でミーティングを実施したところ、意識の差が示された。 POS-14 発表取消し POS-15 アイスホッケー選手の攻撃時におけるゲームパフォーマンスに関する研究 ○川端翔(筑波大),松元剛(筑波大) 本研究の目的はアイスホッケー選手の攻撃時におけるゲームパフォーマンスの客観的評価法を検討することである。そ こで大学アイスホッケー6 試合の映像を対象に、グリフィンら(1999)によるゲームパフォーマンス評価法(GPAI)を用いた評 価を行い数値化した。それらの数値とアイスホッケーの現場で実際に用いられている公式記録における相関関係を調べ た。この結果ボールを持っていない選手を評価する指標と公式記録には相関がみられず、ボールを持っている選手を評 価する指標と公式記録には相関がみられた。またハイレベル群のゲームパフォーマンスの指標のうち一つが公式記録と相 関がみられたがそれ以外の指標は相関がみられなかった。しかし非ハイレベル群ではすべてのゲームパフォーマンスの 指標と公式記録に相関がみられた。このことからボールを持っていない選手の動きを評価する際には、公式記録にとらわ れない注意深い観察が必要であること、競技レベルが高まれば高まるほど選手のゲームパフォーマンスが公式記録に表 れづらくなるため、それらに頼りすぎることなく選手を評価することが客観的評価のために重要であることが示唆された。 POS-16 選手が求める指導者像に関する研究 ○清山ちさと(筑波大学大学院),内藤 景(筑波大学体育系),谷川 聡(筑波大学体育系) 【目的】年代別における指導法の違いを明らかにした研究は極めて少なく,さらに性差における指導法の違いを明らかに した研究は行われていない.研究の目的は,年代や性別による指導法の違いについて明らかにすることで,より良いコー チングスタイルを確立するために役立つ基礎的知見を得ることを目的とした.【方法】これまでに高校から大学にかけて,部 活動で陸上競技を経験し,競技から一線を退き,現在中学もしくは高校の陸上競技部の指導をしている指導者を対象者 として,アンケート調査を行った.【結果】高校生期から青年期において男子に対する指導においてコーチ依存型から選手 主導型やパートナーシップ型へと変化していたが,女子選手は,青年期においてもコーチ依存型の傾向にあると示唆され た.また男子は自立性が高く,女子は指導者への依存性が高いことが示唆された.【結論】指導者は年代や性別において 指導法を変える必要性があるということが明らかになり競技レベルだけに注目するのではなく,選手の特性を理解し年代 や性別に応じて指導することが,よりよいコーチングスタイルへと繋げるために必要不可欠であると考えられる. POS-17 運動部活動におけるスポーツ経験がライフスキル獲得に与える影響についての考察 ○久野幹也(筑波大学),松元剛(筑波大学) 本研究の目的は運動部活動におけるスポーツ経験がライフスキルの獲得に与える影響についての知見を得ることであ る。T大学に属する体育会系サッカー団体であるS団体(126 名)、医学体育会系サッカー団体であるI団体(23 名)、運動 部活動団体に属さない一般学生(19 名)を対象に島本ら(2013)が開発した「大学生アスリート専用ライフスキル評価尺度」 を用いてアンケート調査を実施し、結果を比較・分析した。結果は以下の通りである。1)競技スポーツの経験はいくつかの 項目で正の影響を与えるが、「礼儀・マナー」においては負の影響を与える。2)運動部活動における経験のうち「レギュラ ー及び非レギュラーでの活動」は「コミュニケーション」及び「礼儀・マナー」に、「指導者の働きかけ」は「責任ある行動」と 「感謝する心」に、「高い組織成果の目標」は「コミュニケーション」に、「激しい競争」は「謙虚な心」のライフスキルに正の影 響を与える。3)1 年生時の仕事や雑用といった経験は「ストレスマネジメント」のライフスキルの獲得に正の影響を与える が、一度獲得したライフスキルでも利用する機会が減っていくことで失われていく可能性がある。 POS-18 インラインホッケー滑走技術の獲得における練習方法の一考察 ○久保田かえで(日本体育大学大学院) 本研究ではインラインホッケーに重要な技術である滑走技術の練習方法に着目し、初心者が多く在籍する学生チームの 練習に必要な専門的な知識に焦点を当てた。さらにスケーティングに対する目標設定を行った上でマニュアルを作成、実 践によりマニュアルの妥当性について検討し、インラインホッケーの競技特性を含んだ独自の練習方法の一助とすることを 目的とした。滑走技術獲得における目標は、「用具の使用と防具の着用、様々なスケーティング方法の獲得、滑走動作と 並行して複数のスキルを行う事ができる、周囲を確認しながら滑走する」が生成された。また、マニュアルは段階的になるよ うに項目を設定し、分解写真で一連の流れを細分化する事で専門的な知識を意識できる内容とした。スキルチェックの結 果は、マニュアルを使用したトレーニング群の獲得者が多く、考察からは目標とマニュアルの関連性が明らかになった事、 技術獲得に必要な項目が含まれており、マニュアルにより技術を獲得できたと言え、妥当性に関しても検討する事ができ た。改善点等も垣間見えるが、インラインホッケー滑走技術における練習方法の一助となった。 POS-19 大学女子バドミントン競技者の最大酸素摂取量を評価するフィールドテストの開発 ○児島雄三郎(筑波大学大学院),藁科侑希(筑波大学),吹田真士(筑波大学) 本研究では、全日本学生選手権で2年連続優勝した体育会バドミントン部に所属する女子バドミントン競技者 10 名を対 象に VO2max Test、Badminton Specific Endurance Test(BSET)、2400m Running Test を実施した。 それぞれのテストから得られた VO2max は、VO2max Test が 52.7±3.4 ml/kg/min、BSET が 56.2±3.9 ml/kg/min、 2400m Running Test の推定値が 57.1±2.4 ml/kg/min であった。3 つのテスト間には有意な差はみられなかったものの、 競技特性を反映した BSET の VO2max が VO2max Test から得られた VO2max の 100%以上に相当した。また、BSET の 疲労困憊に至ったタイムと VO2max Test から得られた VO2max の間に正の相関がみられ、結果から得られた回帰式 (y=2.5571x-8.4197)によって BSET のタイムから VO2max を推定できる可能性が示唆された。 これらの結果から、BSET はバドミントン競技の運動形態を反映させたことから、バドミントン競技者のフィットネス評価や 新たなタレント発掘におけるフィールドテストとなり得る可能性が示唆された。 POS-20 発表取消し POS-21 大学男子バスケットボール選手に対するメンタルトレーニングの有効性に関する研究 ○小谷究(日本体育大学),高妻容一,宍戸渉(東海大学) 本研究の目的は、大学男子バスケットボール選手に対するメンタル面強化の有効性を検証することであった。そこで、関 東大学バスケットボール連盟 2 部リーグ(男子)に所属する 2 チームを対象とし、5ヶ月間のメンタル面強化を実施した群と 非実施群に分け、調査を行った。調査では、心理的競技能力診断検査を用いてデータを収集し、2 要因の分散分析によ る統計処理を実施した。統計処理の結果、交互作用は認められなかった。このことは、本研究においてスポーツメンタルト レーニング指導士が指導を実施した頻度や時間が先行研究と比較して少なかったことによるものと推察される。しかし、メ ンタル面強化を実施した群は、非実施群と比較して多くの項目で平均点の増加傾向が見られたことから、メンタル面強化 の有効性の傾向が確認できた。今後、メンタル面強化を継続することで、大学男子バスケットボール選手に対するメンタル トレーニングの有効性が確認できることが考えられる。 POS-22 ブラインドサッカーにおけるゴールスローを起点とした攻撃スタイルの基礎的分析 -インチョン 2014 アジアパラ競技大会を対象として- ○坂本宗司(日本大学),大嶽真人(日本大学),橋口泰一(日本大学),伊佐野龍司(日本大学), 菅野慎太郎(日本大学),吉田明(日本大学) ブラインドサッカーは、1980 年代初頭に国際ルールが統一化され行われ、日本では 2002 年に日本視覚障害者サッカ ー協会が発足し本格的に普及してきた。国内における国際大会の開催やメディアの注目など,競技の普及はもとより様々 な形で認知度を高めている。日本はインチョン 2014 アジアパラ競技大会で銀メダルを獲得するものの、これまでにパラリン ピックには出場はかなっていない。協会は 2020 年の東京パラリンピックでのメダル獲得を目標により一層の強化がなされ ている。 そこで本研究では、インチョンアジアパラ競技大会において、多くの攻撃の起点となるゴールスローに着目し、アジア各 国における攻撃場面の傾向について明らかにし、日本の競技力向上の手がかりを見出すことを目的とした。ゴールスロー からのプレーについて分類し、各国の特徴を分析した。強豪国における特徴が見られたため、ポスターにて報告したい。 本研究は、JSPS 科研費(26350794 ならび 26350795)の助成を受けて行われました。ここに記して感謝申し上げます。 POS-23 サッカーの試合中におけるフィットネスパフォーマンスの縦断的研究とそれに対する体力要素の影響の検討 ○佐藤孝大(筑波大学体育専門学群),内藤景(筑波大学体育系),谷川聡(筑波大学体育系) 【目的】シーズン毎に試合中のフィットネスパフォーマンスの測定とフィジカル測定を実施することで、そのシーズン変化と 体力要素の影響を明らかにすることを目的とする。【方法】T 大学サッカー部 1 軍選手 15 名を対象に試合中のフィットネス パフォーマンスとフィジカル測定をプレシーズン、インシーズン序盤、インシーズン中盤の3回行った。【結果と考察】プレシ ーズンでは sprint 走行距離の項目と CMJ に正の相関があり、インシーズン中盤において sprint 走行距離とプロアジリティ に負の相関があり、選手が有する筋力などの能力により試合中の走行速度も影響するということが示唆された。また、イン シーズン中盤では試合中のフィットネスパフォーマンスの有酸素能力の影響の強い項目で有意な低下(p<0.05)が認めら れた。【結論】試合中のフィットネスパフォーマンスにおいて、選手が有する筋力などの体力要素が高ければ、試合中の走 行速度も速くなるということが示唆された。シーズン毎の変化では、暑熱とケガによってディトレーニングの影響でインシー ズン中盤で有酸素能力が低下することが示唆された。 POS-24 武術太極拳における「片足踏み切り側方宙返り」のコーチング ○佐藤友樹(浅草スポーツクラブ),羅劉星(早稲田大学大学院スポーツ科学研究科), 土屋純(早稲田大学スポーツ科学学術院) 本研究は、「片足踏み切り側方宙返り」について、体操競技・器械運動の指導者が考案した練習方法を武術太極拳のジ ュニア選手に行わせ、その練習方法によってこの技の習得が可能であるかを検証することを目的とした。対象者は、武術 太極拳のジュニア選手 6 名とした。指導に際し、「片足踏み切り側方宙返り」の運動課題を達成するための運動技術を体 操競技や器械運動の指導書より抽出し、抽出した運動技術を獲得するための練習方法をこれも体操競技や器械運動の 指導書を参考として考案した。「片足踏み切り側方宙返り」の習得・習熟を目指し、考案した練習方法を用いて、約 2 ヶ月 間、原則週1回 25~35 分程度の指導を行った結果、対象者である武術太極拳のジュニア選手 6 名のうち 4 名が「片足踏 み切り側方宙返り」を成功させることができた。以上のことから、本研究で考案した練習方法が妥当であることが示唆され た。 POS-25 ラグビーの世界トップレベルにおけるラックのボール争奪の現状と変化 ○嶋崎達也,千葉剛,古川拓生,中川昭 目的)本研究は、ラグビーの世界トップレベルでのラックでのボール争奪について明らかにする。攻撃側と防御側の参加 人数状況やラックからの球出し時間を分析し、現状のラックのボール争奪の様相、そして 2012 年から 2014 年の変化を明 らかにすることを目的としている。 方法)世界ランキング上位 8 カ国の試合を 2012 年 12 試合、2014 年 12 試合の計 24 試合を分析した。分析対象場面は、攻撃側が攻撃を継続できたラックのみとした。分析項目として、攻撃側ラック参加人 数、防御側ラック参加人数、攻守のラック参加人数、ラックからの球出し時間、攻撃と防御の参加バランスを分析した。分析 結果については、各項目に比率の差について、Fisher の正確確率法によって有意差検定を行った。 結論) 1) 攻撃側 の参加ラックは 2 人参加ラックの比率が増え、4 人以上の参加ラックの比率は減少傾向にある。 2) 防御側の参加ラックは 1 人参加ラックの比率が増え、2014 年では約半数の 47%が 1 人参加ラックである。 3) 攻守の参加ラックは、2 人と 3 人の 参加ラックの比率が増加し、4 人、5 人、6 人の参加ラックの比率が減少している。 4) ラックからの球出し時間は 3 秒ラック の比率が増加し、6 秒以上のラックの比率が減少している。 5) 攻撃と防御の参加バランスは、2012 年と 2014 年ともに 79%が攻撃側の参加が多いラックであり、21%は参加人数が同数か防御の参加人数が多いラックである。 POS-26 陸上競技選手における選手と指導者の関係および動機付けに関する研究 -年代・競技レベルに着目して- ○島田愛弓(筑波大学),内藤景(筑波大学体育系),谷川聡(筑波大学体育系) 【目的】陸上競技指導者について、競技者が指導者に対する認知、選手と指導者の親和的信頼関係、指導者のフィード バック行動、内発的動機付けが、年代別および競技レベル別によってどのような要因で選手と指導者との間に信頼関係を 築くことができるかを検討するために、これまでに陸上競技を選手として経験している指導者 17 名にアンケート調査を実 施した。【結果】競技レベル高群において親和的信頼感と「メニューを立ててくれた」、「アドバイスを積極的にしてくれた」、 「練習をほぼ毎日見てくれた」、「よく褒めてくれていた」、「よく競技以外の会話をした」などと、称賛励ましの項目との間に 正の相関が、親和的信頼感と無視との間に負の相関が認められた。競技レベル低群においては親和的信頼感と「よく褒 めてくれていた」、「よく競技以外の会話をした」などと、称賛励ましとの間に正の相関が認められた。【結論】競技レベル高 群の選手と信頼関係を構築するには積極的に関わることが重要であるが、競技レベル低群においては異なる可能性があ る。 POS-27 競技レベルの異なるバドミントン選手のストロークに伴う移動のフェイズ毎の速度変化の比較 ○吹田真士(筑波大学),児島雄三郎(筑波大学大学院),山本皓策(筑波大学大学院) ビデオカメラの映像とモーションセンサの波形を元に、バドミントンゲーム中の速度変化を競技レベル上位群同士の対 戦、そして上位群と下位群のゲームで比較検討した。その結果、移動の局面ごとに速度生成の仕方に異なる傾向の見ら れることが確認された。 上位群と下位群の対戦では、上位群も下位群も相手が打った後に速度変化が大きくなる。なかでも上位群の方が速度 極大に向けての時間的短さが見られた。また、相手が打った時にはすでに加速が始まっており、相手のシャトルに対する 先取りの意識が反映された結果であった。一方で下位群は、同様の速度で移動をしていても,相手に動かされているこ と、上下動に代表される運動の未習熟性を示す波形が示された。 今後より詳細に検討を深めることで、ビデオから得られる情報とモーションセンサを併用して用いることで、バドミントンゲ ーム中の選手の運動の特徴を把握でき、現場でのトレーニングの大きな指標になり得る可能性が示唆された。 POS-28 成人男子テニス初心者における投動作の指導がサーブのボール速度に及ぼす影響について ○鈴木隆弘(早稲田大学大学院),岡部文武(早稲田大学大学院),羅劉星(早稲田大学大学院), 高尾千穂(早稲田大学大学院),藤田善也(早稲田大学),土屋純(早稲田大学) 本研究の目的は、投動作の指導がテニスにおけるサーブのボール速度に及ぼす影響について検討することであった。 被験者は、成人男子テニス初心者 2 名とし、全 11 回練習を行った。また、サーブ練習に加え、オーバーハンドスローで投 動作の練習を行った者を介入者、サーブ練習のみ行った者を非介入者と定義した。両名とも初回及び最終回のサーブ動 作及び投動作について上肢各部位、ラケット及びボール速度を分析した。分析の結果、非介入者のサーブのボール速度 は、練習前後で 35.8m/s から 35.5m/s と大きな変化はなかったが、介入者のサーブのボール速度は、30.7m/s から 42.4m/s と高くなった。また、最終回の測定において、介入者の投動作及びサーブ動作が、肩、肘、手首、手先、ラケット の順に最高速度が時間的にずれながら出現し、末端に向かって速度が増加していた。以上の結果から、投動作の練習を 行うことで各部位の最高速度が時間的にずれながら徐々に増加する運動連鎖が生じ、サーブのボール速度を向上させて いることが示唆された。 POS-29 スキースロープスタイルにおけるジャンプのテイクオフ動作の解析 ‐ダブルコーク 1080 の事例‐ ○高尾千穂(早稲田大大学院),岡部文武(早稲田大大学院),鈴木隆弘(早稲田大大学院), 羅劉星(早稲田大大学院),藤田善也(早稲田大),土屋純(早稲田大) 本研究は、スキースロープスタイルにおけるジャンプのテイクオフ動作に着目し、ダブルコーク 1080 の指導における基 礎資料を得るために、コーク 720 とその発展技であるダブルコーク 1080 の動作の違いを明らかにすることを目的とした。 分析の対象は日本代表選手と一般男子選手各 1 名、計 2 名のコーク 720、ダブルコーク 1080 であり、それぞれのテイク オフ動作の水平面における肩と腰の回転角および体幹捻転角、矢状面における体幹後方傾斜角、前額面における体幹 側方傾斜角を算出した。分析の結果、上位選手はコーク 720 とダブルコーク 1080 間で肩と腰の回転角や体幹捻転角の 差が小さいが、下位選手はその差が大きかった。また、両選手共にコーク 720 と比べてダブルコーク 1080 における体幹 後方傾斜角が大きかった。さらに、コーク 720 と比べてダブルコーク 1080 における体幹側方傾斜角が上位選手において のみ大きかった。以上より、コーク 720 における後方および側方の体幹傾斜角を大きくさせることがダブルコーク 1080 の 習得において重要であることが示唆された。 POS-30 ハンドボールのジャンプシュート動作における優れた動作の特徴 ○高橋豊樹(中京大学),桜井伸二(中京大学) ハンドボールにおけるシュートを成功させる上で重要な要因の一つは、「ボールの初速度をいかに速くするか」である。ま た、ハンドボールにおいてジャンプシュートは、得点を獲得するうえで最も使用頻度の高いシュート(Wagner et al.,,2008) である。ジャンプシュートの投球動作における巧拙の差やパフォーマンスの高い投球動作の特質を明らかにすることによ り,選手やコーチに対して有効な手がかりを得られると考えられる。本研究では、大学男子エリートレベル選手のジャンプシ ュート動作を三次元的に比較し、特に上肢の運動における各関節角度に注目して、パフォーマンスに優れた投球動作の 特徴を明らかにすることを目的とした。実験試技は最大努力のジャンプシュートとし, 助走からリリースまでを光学式三次元 自動動作分析装置(Vicon Motion Systems 社製, Vicon MX+システム,カメラ 10 台,サンプリング周波数 500HZ)を用い て撮影した。その結果、ボールスピードと重心速度,重心高,肩関節最大外旋角度からリリース時までの内旋変位、およびリ リース時の前傾角度に正の相関関係が認められた。関節の運動範囲を拡大し,大きなエネルギー発揮をうむことが, ボー ル速度の向上に貢献する要因であると考えられる。 POS-31 Performance Profiling を用いたテニスプレーヤーのパフォーマンスの視覚化 ‐日本トップ選手のゲームデータを基に‐ ○髙橋仁大(鹿屋体育大学),村上俊祐(鹿屋体育大学大学院),北村哲(びわこ成蹊スポーツ大学) O’Donoghue(2005)は、スポーツにおけるプレーヤーのパフォーマンスの特徴を示す手法として Performance Profiling を考案した。またこの手法はパフォーマンスの特徴を示すだけでなく、実際のゲームにおけるプレーヤーのパフォーマンス を評価することも可能であることが報告されている(髙橋・西中間、2013;Takahashi et al、2015)。本研究ではプレーヤー の実際のゲームデータを基に、Performance Profiling の手法を用いてそのパフォーマンスを視覚化することを目的とした。 日本トップ選手 1 名の試合映像を対象に、テニスの電子スコアブック(髙橋ら、2006)を用いてゲームデータを収集し、得ら れたデータから O’Donoghue(2005)の手法に基づいて各試合の Performance Profile を作成した。作成された Performance Profile について、それぞれの試合の背景と合わせて定性的に考察した。 POS-32 アメリカンフットボールにおけるタックリング技術に関する意識調査 ○田中将理 松尾博一 山田晋三 松元剛(筑波大学) 本研究は、アメリカンフットボールでの脳震盪の発生率が問題視されているタックリング技術に関して、選手の現状を把 握することを目的として実施された。2015 年度に日本の中学校(28 名)、高校(109 名)、大学(101 名)のチームでアメリカ ンフットボールをプレーしている 238 名を対象に、タックリングに関する意識調査を行った。調査の結果、危険なタックルを 誘発する項目では 10 問中 6 問の項目に関して高い重要度を示す結果となった。さらに、タックル局面を5つに分けてみる と、安全なタックルに関する項目では Buzz、Rip の局面で正しく理解されていたが、Hit Position(HP)に関する認識が低い 傾向にあった。危険なタックルを誘発する項目では、HP の項目で高い重要度を示していた。このことから、選手はタックル の動作の中で HP に関する認識が正しく行えていないことがわかった。HP は相手と接触する局面であり、この局面の認識 が正しくできていないことが、タックルの場面での脳震盪の発生率が高くなっていると考えられる。今後、指導者自身が正 しい認識をしたうえで、HP に関する内容に重きを置きながら、選手が正しく理解できるような指導を行うことが求められる。 POS-33 バスケット競技におけるスクリーンプレイについて ―スクリナーのセットタイムを視点として― ○谷口悠希(日本体育大学院),西尾末広(日本体育大学) バスケット競技では 2001 年に攻撃 1 回あたりの時間が 30 秒から 24 秒にルール変更された。そのため、より短時間での 攻撃法が求められた。そこで、短時間で防御者との対峙を打破できるオフェンス戦術としてピックスクリーンがある。ピックス クリーンとは攻撃側が 2 対 2 の戦術行動であり、ボール保持者が 1 対 1 で攻撃をしようとしている時、意図的にスクリーン をしかけるプレイのことである。大学及び実業団以上のカテゴリーではディフェンスのレベルが高くなるがゆえ、ピックスクリ ーン後必ずしもボール保持者がドライブで得点を取れない場合がある。そのため、スクリーン後スクリナーのスクリーンのセ ット時間が重要であると考えた。先行研究ではスクリーンプレイについての論文は多くあるが、スクリナーに関する先行研 究は管見できない。そこで本研究ではスクリナーのスクリーンのセット時間とスクリーンプレイの成功回数の関係について 明らかにすることを目的にした。2014-2015 年度の男子トップリーグ 130 試合を対象に分析、検証を行った。 POS-34 バスケットボールのゲームにおけるポストプレイヤーのプレイタイムに影響する諸要因 ○中野杏美(九州共立大学スポーツ学部 3 年),八板昭仁(九州共立大学スポーツ学部) バスケットボールのポストプレイヤーは,チームオフェンスにおける重要な役割を担っており,多くのチームがポストプレイ ヤーを中心に組み立てている.ポストプレイヤーについては,得点やリバウンドなどの数値によって評価されることが多い が,ゲーム中に様々な役割があるのでそれぞれの値を算出することによって評価することが望ましい.そこで本研究は,ゲ ーム中のポストプレイヤーに関わる 23 項目を調査し,出場時間に影響する要因によってポストマンの評価方法を検討する ものである.第 66 回全日本大学選手権大会の女子準決勝以降の 4 試合において出場したのべ 60 名のポストプレイヤ ーを対象にプレイタイムによって 2 つに分類した.カテゴリーデータに関してはプレイタイムと各調査項目のクロス表によっ て χ2 検定,数量データに関しては出場 1 分間当たりの回数を算出してt検定によって分析した.その結果,ボール保持 回数/分(t=2.07, p=0.043),個人得点/分(2.02, 0.048),被反則数/分(2.41, 0.020),ブロックショット/分(2.25, 0.029)に有 意な差が認められ,これらがポストプレイヤーの出場時間に影響を及ぼす大きな要因になっていることが示唆された. POS-35 発表取消し POS-36 スポーツにおける女性指導者の実態調査 ~日本の現状とカナダでの活動報告~ ○鳴澤眞寿美(筑波大学大学院) 日本のスポーツ界では今、国内外で女性アスリートやチームの活躍が目覚ましい。しかし、順天堂大学の女性アスリート 戦略的強化支援方策の調査研究(2013)によれば、女性スポーツの活性化と発展において現場に活用できる女性スポー ツの研究やキャリアに関して、様々な課題があげられている。特に、男性中心の女性スポーツ界における指導的立場に立 つ女性の環境や比率、その育成やプログラム開発に対して多くの問題点や課題があげられた。 それゆえ本研究では、日本のスポーツ組織における指導的立場に立つ女性の仕事の現状を把握すること、スポーツにお ける女性が指導的立場に就くことに対する議題、問題点や今後の課題を抽出すること、そしてスポーツにおける女性指導 者の役割や存在意義、影響力や効力、女性指導者の価値を考察し、提言することを目的とした。 また、筑波大学の海外留学プログラムの一環として、2016 年 1 月下旬に 10 日間カナダのブロック大学やトロント大学を訪 問することになっている。そこでは、女性コーチに関する調査、ならびにアスリート性指導者に対してインタビューを計画し ている。日本との国際比較やそこでの研究報告も内容に組み込んだ発表を予定している。 POS-37 競技レベルの異なる大学野球選手の打撃におけるインパクト位置 ○丹伊田翔(筑波大学体育専門学群),内藤景(筑波大学体育系),金堀哲也(筑波大学体育系), 谷川聡(筑波大学体育系) 【目的】本研究は、様々な投球コースおよび高さに対するインパクト位置について、競技レベルの異なる選手の試技結果 の違いに着目し、優れた打者の特徴を検討した。【方法】首都大学野球リーグにおいて打率十傑に入った経験がある選手 2 名(A、B)と同リーグでの出場がない選手 2 名(C、D)にマシン打撃を 100 球ずつ行わせ、野球競技歴 10 年以上の 3 名で試技結果を評価した。静止座標系を定義し、インパクト時のボールの座標について分析した。【結果】全打者におい て、試技結果に関わらず、x と y 座標値の間に高い負の相関関係が認められた。A、B の特安打*を除く安打試技に着目 すると、全試技よりも相関係数が高く、C、D の安打試技および特安打*を除く安打試技よりも高かった。【結論】優れた打 者は、基本的には内角寄りの投球に対しては投手に近い位置、外角寄りの投球に対しては捕手に近い位置でインパクト するという技術およびその位置とは外れた位置でインパクトしても安打を打つ技術を身に付けていることが示唆された。 *:明らかに芯を外れたと評価された安打 POS-38 競技レベルおよび年代の違いからみたサッカーのスモールサイドゲームに関する研究 ○二上 浩一(筑波大),内藤 景(筑波大体育系),谷川 聡(筑波大体育系) 【目的】サッカーのスモールサイドゲーム(以下 SSGs)で競技レベル別、年代別にみた生理的反応、技術的要素の違いを 明らかにすることを目的とした。【方法】大学サッカー部 2 軍、5 軍および中学生の選手、各 6 名における SSGs 中の移動 スピード、走行距離(GPS 使用)、生理的反応(跳躍高、血中乳酸、RPE、心拍数)、技術的要素(パス数、成功パス数、パス 成功率、レシーブ数、ドリブル数、シュート数、ボールロスト数)について分析した。【結果】競技レベル別でみると、競技レ ベルが高い選手の方が、全体を通じたパス成功率、4 セット目の RPE が有意に高かった。年代別でみると、年代が上の選 手の方が、YYIRT2 の記録、全体を通じた RPE とパス成功率、4 セット目の RPE、Mean Speed、パス成功率とレシーブ数 が有意に高かった。【結論】技術的要素に優れる競技レベルの高い選手は競技レベルが低い選手より終盤の主観的な運 動強度が高くなり、技術的要素と間欠的持久力に優れる年代が上の選手は年代が下の選手より全体を通じて主観的な運 動強度が高く、終盤の走速度がより速くなることが示唆された。 POS-39 2016 年リオデジャネイロ・パラリンピック競泳日本代表内定選手の、2014 年から 2015 年シーズンのトレーニ ング内容とパフォーマンスの変化 —2012 ロンドンパラリンピック、2014 アジアパラリンピックゲームズと 2015IPC 世界選手権のパフォーマンス比較より— ○野口智博(日本大学)谷川哲朗(慶應義塾大学)立正伸(奈良教育大学)生田泰志(大阪教育大学) 本報告は、2015 年 IPC(国際パラリンピック連盟)世界水泳選手権に優勝し、2016 年リオデジャネイロ・パラリンピック日 本代表に内定した選手 1 名について、これまで行ってきた野口ほか(2013)、野口ほか(2014)の報告から引続き、トレーニ ング内容の変化と実際のレースでのパフォーマンスの変化を比較検討し、2016 年シーズンの課題を抽出した。2015IPC 世界選手権のレース結果から、100m 自由形は 2.60 秒の短縮で、ストローク長の延長、100m バタフライは 1.60 秒の短縮 で、ストローク長の延長が見られた。200m 個人メドレーでは 1.78 秒の短縮で、すべての種目でストローク長の延長が見ら れたが、100m 平泳ぎのみ、0.48 秒遅く、ストローク頻度の増加とストローク長の短縮が見られた。それまでに行ったトレー ニングよりそれらの結果を考察し、2016 シーズンの課題を抽出した。結果詳細は当日発表する。 POS-40 卓球競技における男子世界トップレベル攻撃型のカット主戦型攻略法に関するゲーム分析 ○野中 由紀(筑波大学人間総合科学研究科),塩入 彬允(筑波大学 体育専門学群), 安藤 真太郎(筑波大学体育系),山田 幸雄(筑波大学体育系) 卓球競技の戦型は大きく分けて攻撃型とカット主戦型に大別できる。カット主戦型は数が少ないが、男子において 2014 年の ITTF ワールドツアーにて準優勝するなど、攻撃型の上位進出にあたり対策が必須な戦型である。しかし男子におけ るカット主戦型攻略法に関する研究はあまり見られない。そこで世界トップレベルの攻撃主戦型対カット主戦型のゲーム分 析を行い、カット主戦型攻略法に関する有用な知見を得ることを目的とし、本研究を行った。分析対象は世界ランキング 50 位以内の攻撃型が同 100 位以内のカット主戦型と対戦している試合(勝ち 8 試合、負け 8 試合)について分析、比較を 行った。その結果、有効なコースはミドルからバックに打球するコースであった。技術の使用傾向では差は見られなかっ た。ミドルからバックに打球する Fsdr において差が見られた。これらのことから、カット主戦型のミドルからバックコースへの Fsdr 技術の重要性が示唆された。 POS-41 サッカー選手におけるアジリティ能力-下肢筋力および認知・意思決定能力に着目して- ○萩原稜 (筑波大学体育専門学群),内藤景(筑波大学体育系),谷川聡(筑波大学体育系) 【目的】方向転換走(COD)と下肢最大筋力に関する研究やサッカー競技者を対象に認知・意思決定能力に着目した研究 は少ない。本研究は、サッカー競技を専門とする競技者の COD 能力と下肢筋力の関係、アジリティ能力における認知・ 意思決定能力を検討した。【方法】Isokinetic dynamometer を用いて膝関節伸展・屈曲、股関節伸展・屈曲および外転・内 転筋力における等速性の短縮性最大筋力、30m 走、505 agility test、Pro-agility test、立ち幅跳び、両脚踏切、片脚踏切 による垂直ジャンプ(SJ、CMJ、DJ) 、Reactive agility test を計測した。【結果】COD 能力と短縮性最大筋力の間に有意な 負の相関関係が認められた。COD 能力と両脚踏切による SJ、片脚踏切による CMJ、DJ の間に負の相関関係が認められ た。Reactive agility test において、パフォーマンスの高群と低群で比較すると有意な差が認められ、30m 走、COD テスト と相関関係は認められなかった。【結論】片脚での短い時間による力発揮、短縮性下肢最大筋力を高めることが COD 能 力を向上させる重要な要素であること、パフォーマンスレベルの高いサッカー競技者は、高い認知・意思決定能力を有し ていることが示唆された。 POS-42 ブラインドサッカーにおけるからドリブルをもちいた攻撃スタイルの基礎的分析 -インチョン 2014 アジアパラ競技大会を対象として- ○橋口泰一(日本大学),大嶽真人(日本大学),伊佐野龍司(日本大学),坂本宗司(日本大学), 菅野慎太郎(日本大学),吉田明(日本大学) ブラインドサッカーは、1980 年代初頭にヨーロッパや南米を中心に国際ルールが統一化され行われ、パラリンピックにお いて 2004 年アテネ大会より B1 クラスが「Football 5-a-side」として正式種目となった。日本では 2002 年に日本視覚障害 者サッカー協会が発足し関東・関西を中心に本格的に普及した。しかし、2016 年のパラリンピックに出場することがかなわ なかったが、2020 年の東京パラリンピックでのメダル獲得に向けて強化がなされている。 本研究では、日本が銀メダルを獲得したインチョン 2014 アジアパラ競技大会におけるアジア各国のドリブル開始位置や 時間に着目し、攻撃場面の基礎的な分析を通して、日本の競技力向上の手がかりを見出すことを目的とした。ドリブルから のプレーについて分類し、各国の特徴を分析した。強豪国における特徴が見られたため、ポスターにて報告したい。 本研究は、JSPS 科研費(26350794 ならび 26350795)の助成を受けて行われました。ここに記して感謝申し上げます。 POS-43 発表取消し POS-44 高校野球選手の体力向上に資する心理的競技能力の検討 〇平間康允(札幌国際大学非常勤,酪農学園大学大学院博士後期課程) スポーツ選手のパフォーマンス発揮や向上にとって、体力・心理両面の充実が求められるが、様々な体力要素(瞬発力、 筋持久力、敏捷性、柔軟性等)と精神力(忍耐力、闘争心、リラックス能力、集中力、予測力等)との関係についての研究 は、スキー(竹田ほか、2002)やラグビー(蓑内、2013)でみられるものの、検証例はまだ少ない。また、特定の体力要素と関 係の深い精神力の存在についても未解明な部分が多い。そこで本研究では、北海道の高校 1 校の野球部に所属する選 手を対象に、体力(10m 走、30m 走、メディシンボールスロー、長座体前屈、股割り、左右開脚、上体起こし、握力、上体反 らし、立ち幅跳び、立ち 5 段跳び、Pro Agility Test、バットスイングスピード)と精神力(以下、心理的競技能力)を測定し、 体力要素(測定種目)と心理的競技能力との関連を検討するとともに、選手の体力向上に資する心理的競技能力を探るこ とを目的とした。結果として、いくつかの体力要素に影響を及ぼしている心理的競技能力が見出された。これらの情報を活 用することで、心身両面に対するコーチングをより充実させられる可能性がある。 POS-45 バレーボールのサーブ練習における多様性についての研究 ○平松美紀(東海大学大学院),植田恭史(東海大学) バレーボールにおいてサーブとは、唯一の個人プレーであり、サーブを工夫することでチーム得点力の飛躍的アップが 期待でき、勝敗を大きく左右すると推測できる。高校生のバレーボールにおけるサーブコントロールの練習では、狙いたい 区域のみに標的物を設置するような一定距離を狙う基準練習が主流となっている。しかし、力加減と距離の関係性におい ては、ひとつの標的物に対し多様な距離を狙う練習をしたほうが正確性が高まるということを Schmidt.R.A.がスキーマ理論 の中で提唱している。そこで本研究では、高校生女子バレーボール部を対象にサーブコントロールの正確さを実験課題と して見ることとする。一定距離の的あて練習のみを行う基準練習群と、的を基準にその前後1m に設置した計3箇所の標的 物を狙う多様性練習群とに分け、6日間のトレーニングを行い、その効果を比較検討することで今後の指導に活かすことを 目的とした。詳細については当日発表する。 POS-46 バスケットボール競技における身長と勝敗に関する研究 ○藤田 将弘(日本体育大学) 本研究では、バスケットボール競技における身長と勝敗との関係を検討した上で、身長の低いチームが身長の高いチー ムに勝つための要素を明らかにすることを目的としたい。2013 年に開催された第 89 回関東大学バスケットボールリーグ戦 1 部リーグ全 90 試合のうち 45 試合を対象とし、関東大学バスケットボール連盟のオフィシャルスコアとパンフレットから、 各選手の身長と出場時間(分)を掛け合わせたものを合計し、200(1 試合のゲーム時間 40 分×コート上のプレイヤー5 名)で除したものをゲーム身長とした。ゲーム身長は勝ちチームが 185.8±2.2cm、負けチームが 185.9±1.9cm であり、両 者の間に差は見られなかった。ただし、ゲーム身長とオフィシャルスコアの各項目から算出された要素との関係を分析した ところ、ゲーム身長とアシスト出現率との間に負の相関関係が認められた。(P<0.05)このことから、オフェンスの場面におい て身長の低いチームほどオフボールのノーマークプレイヤーを作り、このプレイヤーにパスを出し、シュートを打たせること で得点につなげるプレイが多いことが明らかになった。 POS-47 走高跳選手を対象としたパフォーマンス・プロファイリングの活用 ○古川 佑生(日体大)関口 遵(日体大)小林 史明(日体大)石井 隆士(日体大)水野 増彦(日体大) アスリートのパフォーマンス向上を効果的にするにはアスリートの現状を的確に把握した上で目標設定を行い、日々の練 習へ取り組んでいく必要がある。また、それらの情報にコーチとアスリートが共通認識を持つことで練習の立案と展開をより 効果的なものにできる。Butler らが 1992 年に報告したパフォーマンス・プロファイリング(以下 PP)は上記の内容を満た し、アスリートの目標設定と達成を支援する有効なツールとなることが先行研究から明らかになっている。本研究では筆頭 著者が指導する男女合計 7 名の大学走高跳選手を対象に PP を実施し、チームのピリオダイゼーションに基づいて各期 分けごとに目標設定をさせた。各自設定された目標を基に練習を展開し、本学会前直近の期分け(2015 年 11 月 23 日~ 2016 年 2 月 6 日)終了後に 2 回目の PP 実施を予定している。PP 実施後に半構造化インタビュー、アンケート調査から データを収集、分析し PP を用いることが対象者らにどのような影響をもたらしたのか、結果から実践報告を行う。 POS-48 投球動作における「肘下がり」を生み出す要因の分類について(高校野球選手を例にして) ○堀内賢(PT)川村卓(筑波大学)奈良隆章(筑波大学) 〔背景〕野球の投球において「肘下がり」は、各年代でみられる不良動作である。「肘下がり」は肘関節外反ストレスを増加さ せ、肘内側痛の発生誘発要因とされる。指導現場では「肘下がり」を画一的に捉え、様々な方法で矯正されている。先行 研究においてもそれ自体を不良動作としているものが多い(松尾、2008:神谷、2014)。しかし、「肘下がり」はそれまでのワ インドアップ期や立位の姿勢・動作から生じ、その要因も限定しないと考えられる(秋吉、2014)。肘下がり誘発動作を解明 し、分類できれば、より適切な矯正方法や指導言語を作成できる。〔目的〕投球時に肘下がりが見られる選手を抽出、投球 動作を観察し、タイプ別に要因を特定する。〔方法〕2 台の高速度カメラで塁間のキャッチボール動作を撮影し、踏み込み 足接地時に肩外転 80°以下のものを「肘下がり」と定義する。撮影映像を元に、経験豊富な 2 名の指導者にタイプ分類 を行ってもらう。客観性を得るためその 2 名の指導者と著者の3者でトライアンギュレーションを行う。〔成果〕「肘下がり」の 要因となる動作が明らかになれば、適切なアプローチ方法を確立できる。 POS-49 円盤投げの投擲方向と距離の関係性 ○米沢茂友樹(東海大学大学院),與名本稔(東海大学),植田恭史(東海大学) 円盤投げは回転をして投げることによって、物体を加速させている。この加速を上手に利用し投げた時には、円盤は右 方向へ出ていく。それゆえ、右方向へ投げ出される円盤には遠心力が掛り、リリース時の初速度が高まるのではないかと 考えられる。そこで本研究では。円盤の投擲方向が距離に影響してくるのかを比較検討し、最も距離が出る方向を明らか にすることを目的とした。予備調査は、陸上競技円盤投げ種目を行っている 7 名を対象とし、T 大学記録会一般男子円盤 投げの試技を測定した。落下位置は右側から右、中央右、中央左、左とし、有効試技内(34.92°)を 4 分割にした。その範 囲内に落下したものを対象とする。データの集計は、4 方向の落下位置の数と割合、各選手の最長距離の位置、平均距 離を集計した。現状は、落下位置の結果から、右、中央右に投げる選手が 44 本中 34 本で 77.3 パーセントおり、試合で の最長試技も右、中央右に 7 名中 6 名という結果であった。このことにより右方向への投擲が距離を長くすると考えられ る。しかし、平均距離では中央左が最も飛んでいた。 POS-50 アメリカンフットボールおけるタックル技術の指導法に関する現状分析 〇松尾博一(筑波大学大学院),松元 剛(筑波大学体育系),山田晋三(筑波大学大学院) 近年、米国においてアメリカンフットボールに伴う脳震盪の問題がクローズアップされ、より安全な指導法が求められるよ うになってきている。日本国内においても日本アメリカンフットボール協会が安全なタックル技術に関する講習会を開催し ているものの、国内指導者の現状を考慮した内容であるかは不明である。そこで本研究では、日本学生アメリカンフットボ ール連盟に所属する指導者を対象とし、アメリカンフットボール指導者におけるタックル技術指導の現状を把握すること で、脳震盪予防に対する指導の現状を把握することを目的として研究を行った。「安全なタックル」を構成する動作、「危険 なタックル」を誘発する動作を抽出し、各動作をどの程度重視して指導に当たるかを問う調査票を実施。結果として「指導 者資格の有無」、「指導歴」、「経験ポジション」等によってタックル指導に重視する内容に違いが観察され、指導経験が浅 い指導者、守備選手の経験のない指導者であっても指導者資格の取得等によって安全なタックルに関する正しい認識を 得られる可能性が示唆された。 POS-51 陸上競技男子 20kmW におけるロス・オブ・コンタクトタイムの変化とキネティクス変数の関係 〇三浦康二(成蹊大学),広川龍太郎(東海大学),杉田正明(三重大学) 本研究では男子 20kmW における競技者の3次元座標からコンピュータシミュレーションによってロス・オブ・コンタクト局 面がない動作を生成し、キネティクス変数の変化を検討した。 国内外の5つの競技会においてフィニッシュした 45 名を被験者とし、レース前半1カ所の3次元座標(Real)を得た。さら に、回復期時間を反対脚支持期時間に合わせるもの(SimuA)と支持期時間を反対脚回復期時間に合わせるもの(SimuB) のシミュレーションを行い、Real と比較した。 その結果、接地直後の矢状面内の膝・股関節トルクおよび支持期中盤の股関節外転トルクが SimuA と SimuB で増大し た。これらはロス・オブ・コンタクト局面が発生しない歩行フォームを得るための示唆となり得る。 なお、本研究におけるデータ収集の一部は日本陸連科学委員会の研究活動として、データ算出の一部は 2014-15 年 度成蹊大学研究助成によって、それぞれ行われたものである。 POS-52 自走式トレッドミルにおける走行中の生理学的応答と下肢動作の特徴について ―電動式トレッドミル走行との比較から― ○宮沢緑(大東文化大学大学院),大室龍大(大東文化大学大学院),宮城修(大東文化大学) 本研究では自走式トレッドミルと電動式トレッドミル走行中の生理学的応答と下肢動作の差異を明らかにし、比較検討し た。被験者は心身ともに健康な男子学生 8 名を対象とした。酸素摂取水準より算出した 3 段階の心拍数を設定した条件 (HR 条件)と、3 段階のスピードを設定した条件(SP 条件)という 2 種類の条件から電動式トレッドミル走と自走式トレッドミル 走の比較を行った。分析項目は、心拍数、酸素摂取量、血中乳酸濃度等の生理学的応答と、股関節角度、膝関節角度 等の走行中の下肢動作とした。結果として、生理学的応答については SP 条件下で、高値を示す傾向がみられた。下肢動 作については、SP 条件下で、スイング時に自走式トレッドミルの方が大腿を高く持ち上げて、脚を前方に振り出すことが示 された。接地瞬間と、離地瞬間の股関節、膝関節の関節角度の比較では自走式トレッドミルの方が膝関節角度は小さくな る傾向がみられた。 POS-53 日本女子サッカーのシュート傾向に関する事例研究-皇后杯と高校女子選手権の比較‐ ○森政憲(筑波大学大学院),原仲碧(筑波大学大学院)堀野博幸(早稲田大学スポーツ科学学術院), 小井土正亮(筑波大学体育系),中山雅雄(筑波大学体育系),浅井武(筑波大学体育系) 本研究では、女子サッカーチームのプレーパフォーマンスをシュート傾向に着目して事例的に明らかにすることを目的と した。対象試合は、第 37 回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会と第 24 回全日本高等学校女子サッカー選手権大会 の決勝及び準決勝の合計 6 試合である。分析項目は、「シュート時間」、「ボール奪取位置」、「アシスト位置」、「アシスト者 のタッチ数」、「シュート位置」、「シュート者のタッチ数」とした。データ解析は χ2 検定を用いた。その結果、日本女子サッ カーのシュート傾向の一側面が明らかとなった。 POS-54 トライアスロンにおける初心者児童を対象とした指導について ○森谷直樹(文化学園大学),近藤雄一郎(北海道大学大学院),佐藤亮平(北海道大学大学院), 竹田唯史(北翔大学) トライスロンは一人の競技者が水泳・自転者・マラソンを連続して行いゴールまでの時間を競うスポーツである。より短時 間で完走するためには、効率の良い技術と速く安全に完走するための戦術の習得が不可欠である。しかし、トライアスロン に関する技術と戦術を効果的かつ系統的に学習できる指導理論が確立されていないのが現状である。そこで、本研究で は初心者がトライアスロン特有の技術や戦術を確実に習得することができ、その楽しさを味わうことができる指導プログラム を提起・検証することを目的とした。そこで、作成した指導プログラムに基づいて実施したトライアスロン教室(1日2時間×3 日間、n=6)における学習者の取り組みを複眼的に分析し、指導プログラムの成果と課題を報告する。 POS-55 バスケットボールのゲームにおけるショットの難易度に影響する要因 ○八板昭仁(九州共立大),青柳領,大山泰史(福岡大),倉石平(早稲田大),野寺和彦(玉川大),川面剛(九州共立大) バスケットボールのショット成功率は,そのチームや選手が持っている得点力の指標とされることが多い.しかし,ゲーム 中のショットは様々な要因に影響を受けるので,状況によって難易度は大きく変わることになる.本研究は,ゲーム中のショ ットの成否に影響すると考えられる項目を調査し,ショット決定に影響する諸要因からショット状況の難易度を検討するもの である.第 65 回全日本大学選手権大会の女子準々決勝以降の試合におけるフリースローを除く 1,789 本のショットを対 象に,ショットの成否を目的変数,ショットに影響すると考えられる 6 項目を説明変数として,ロジスティック回帰分析を用い て分析した.各アイテムの回帰係数を算出し,それに対する Wald 検定を行った結果,有意となったのは対峙状況 (Wald=49.47, df=4, p<0.001),ショットエリア(26.86, 3, <0.001),ブロックショット(15.90, 5, 0.007),ショット前のプレイ(10.53, 3, 0.015),ショットクロック(8.82, 3, 0.032)であり,ショットの難易度に大きな影響を及ぼす要因であることが示唆された. POS-56 1500m走におけるランニングペースの一考察 ○楊 永昌(弘前大学教育学研究科) ペースとは力学的にはスピードの配分として、生理学的にはエネルギーの配分として捉えることができる。一般に中長距 離走のペースは走速度を一定に保つ等速ペースを基準に考えられている。所謂、物理的にはイーブンペースが効率的で あると言われてきた。しかし、実際のレースにおける距離と通過時間の関係は、直線的な変化を示すことは少なく、高次の 変化パターンを示す。本研究は、1500m 走を対象に、大別される三つのペースパターンの内、「fast-slow-fast」について、 年齢や性等で区分される 8 競技種別毎のペースモデルの作成し、これらのモデルをもとに、競技者の目標タイムを Input Data とした「スプリットタイム基準表」の作成及び二次の多項式モデル(距離-速度)による競技種別間のペースの比較を行 う。各競技種別とも、レース全体を通して、加速、減速の割合を比較すると競技種別間で違いがみられる。今後、レース区 間の区割りを含め、競技種別間のペースの違いを考察したい。 POS-57 体操競技における「技の狂い」関する研究 ○吉本忠弘(甲南大学) 競技会の時に突然、思ったように技ができなくなり、予想もしない失敗をすることがある。十分に練習を積んで、満を持し て試合に臨んだにも関わらず、このような事態が起こることは、選手とコーチにとっては鳥肌が立つほど恐ろしいものであ る。本研究では、体操競技の跳馬における「技の狂い」に関する事例に対して発生運動学的立場から考察を行い、今後の 技のトレーニングへの示唆を得ることを目的とする。中でも、本研究で取り上げる事例は二日間続けて試合出場をする際 の初日に起こった出来事であったため、初日の試合が終了した時点で「技の狂い」を解消すべく早急に修正を行わねば ならなかった。限られた時間の中で、コーチである筆者と選手がどのような対処を行ったのかについて述べていきたい。 POS-58 武術太極拳の競技会で高得点を獲得できる演武の時間的特徴 ○羅劉星(早稲田大学大学院),岡部文武(早稲田大学大学院),鈴木隆弘(早稲田大学大学院), 藤田善也(早稲田大学),土屋純(早稲田大学) 本研究では、武術太極拳の競技会で高得点を獲得できる演武の時間的特徴を明らかにすることを目的とした。対象者 は第 32 回全日本武術太極拳選手権大会の「男子規定難度長拳」に出場した選手 2 名(上位者 1 名、下位者 1 名)とし た。それぞれの演武をビデオカメラ(30Hz)で撮影し、演武中の運動時間と静止時間を計測した。上位者は演武中の 80.9% が運動時間、19.2%が静止時間であり、下位者は演武中の 86.6%が運動時間、13.4%が静止時間であった。異なる技の組 み合わせによって全 4 段で構成されている武術太極拳の演武の時間の内訳は、1 段目の運動時間が上位者では 24.1%、 下位者では 30.2%と上位者の方が短かった。また、4 段目の静止時間が上位者では 6.5%、下位者では 2.9%と上位者の方 が長かった。これらの結果から、上位者は跳躍動作が多い演武の 1 段目では静止時間をあまりとらずに実施しているのに 対し、基礎動作が多い演武の 4 段目では逆に静止時間を長くして、演武全体に時間的緩急をつけて実施していることが 示唆された。