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金融リスクマネージメント入門

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金融リスクマネージメント入門
第1版 2012年6月25日
随時予告なしに改訂をします。
森平 爽一郎 著
金融リスクマネージメント入門
日経文庫[新書] 日本経済新聞出版
学習のための補足資料
2012年6月24日
早稲田大学大学院ファイナンス研究科
森平 爽一郎
金融リスクマネージメント
1
参考文献 信用リスクに関する
『信用リスクモデリング:測定と管理』
朝倉書店、2009年12月
他に. 証券アナリスト2次試験 テキスト
『信用リスクモデル』、日本証券アナリスト協会、2010年、改訂版
を、すでにアナリスト資格のある人、1次試験受験者は、アナリスト
協会事務局より購入可能
『信用リスクの測定と管理
―Excelで学ぶモデリング』
2011年中央経済社
©森平 クレジットリスクモデリング#1
2
サブテキスト
信用リスク入門 0.1%の危機に備える新しいリスク管理手法
(単行本)
アンソニー・サウンダース (著), リンダ・アレン (著), 森平 爽
一郎 , 鈴木 隆之 , 佐藤 秀晶, 上木原 さおり
信用ポートフォリオの管理モデルを説明(簡単な数学的な説
明は各章の付録で)
クレジットリスクモデリング入門 (金融職人シリーズ)
(単行本)
クリスチャン ブルーム (著), クリストフ ワーグナー (著),
ロジャー オーバーベック (著), Christian Bluhm (原著),
Christoph Wagner (原著), Lndger Overbeck (原著),
森平 爽一郎 ;数学的にはやや高度
©森平 クレジットリスクモデリング#1
3
本書の背景にある考え方を理解するための
より易しい「読み物」
『物語(エピソード)で読み解くファイナンス入門 (日経ビジネス人文庫)』
『物語(エピソード)で読み解くデリバティブ入門
(日経ビジネス人文庫)』
金融リスクマネージメント
4
はじめに
金融リスクマネージメント
5
この資料をどのように使って学ぶのか
1. 本書で取り扱ったと問題について俯瞰できる
ようなアウトラインと補足資料を示しました。
2. 「補足資料」と赤字で示したものは、本書で
は直接取り扱わなかった話題、説明(特に数
式の)です。より深い理解をしたい場合には
参照して下さい。
3. Excelプログラム「 Intro_to_RM_Excel 」を用
意しました。本文での説明とあわせて数値実
験を行うことにより理解を深めて下さい。
金融リスクマネージメント
6
Excelプログラムの利用方法
金融リスクマネージメント
7
第1章
金融リスクマネージメントの基礎
金融リスクマネージメント
8
目次
第1章 金融リスクマネージメントの基礎
1. リスクマネジメントのプロセス
1. ステップ1:企業目標とリスクマネジメント目標の決定
2. ステップ2:リスクの識別
3. ステップ3:リスクが企業価値にどう影響するかを明らかにし 測定する
4. ステップ4:リスクマネジメント戦略の決定
2. リスクとは何か? どう測定するのか?
3. 基本的なリスク尺度
1.
平均,分散,標準偏差でリスクを測る
2. 分散投資とその効果
3. 分散投資の「直感的な」考え方
4. 分散投資の考え方:ちょっと数学を使う
4. 最悪の場合を考える:VaRの考え方と計算例
1.
VaRの考え方
2. VaRの計測事例:日経225に連動する投信の場合
3. VaRの定義
4. VaRの問題点
金融リスクマネージメント
9
金融リスク管理のプロセス pp.16‐26
ステップ1:企業目標とそれに従うリスクマネージメント目標の決
定
企業価値最大化
企業価値を最大にするリスクマネージメント目標
規制目的と企業目的
1
ステップ2: リスクの識別
どのようなリスクがあるのか)、
「想定外」はありえない
を同時に測定する
Stop
4
企業目標とリスク管理
目標決定
リスク管理戦略を決定
3
2
ステップ3:リスクの測定
確率
損害額
Start
リスクを識別する
金融リスクと非金融リ
スク
リスクの企業価値へ
の影響とその大きさの
測定
ステップ4: リスクマネージメント戦略: リスクの転嫁、リスクの
縮小、リスクの分散など
金融リスクマネージメント
10
金融リスクとは何か? どう測るのか?
1. 投資や融資の結果が不確実
2. リスクの測定方法
1. 直接法 価格変動リスクそのものを計測
2. 間接(ファクター)法
1.
価格変動を引き起こす要因:リスクファクターを探す
2.
価格とリスクファクターの間の関係を明らかにする(アセットプラ
イシング理論にもとづく)
3.
リスクファクターが一単位変化した時の価格への影響度(感応
度)を明らかにする
4.
リスクファクターや感応度にストレスをかけて、最悪の状況を想
定
必要自己資本を算定する
5.
金融リスクマネージメント
11
基本的なリスク尺度
1つの資産(銘柄)に対する
1. 平均μ
2. 分散 Var,σ2
3. 標準偏差σ
分散=標準偏差の2乗、
散らばりの尺度
価格(差)
平均
1. 平均:最もあり得る値。分布が単峰(コブが1つ)で対象な分布であれば、平均
値がこうした性格をみたす。そうでないときは、中央値や最頻値が良い
2. 分散や標準偏差はバラツキの尺度
金融リスクマネージメント
12
投資成果の測定
投資収益率の考え方
•
二つの株式に投資して、
–
–
•
•
株式A:100万円投資して一年間で1万円の利益を得た。
株式B:1万円投資して一年間で1万円の利益を
投資の成果をどのようにして判定すべきか?
成果の絶対額でなく、投資に要したコスト(犠牲、インプット)
と成果(オウトプット)の「割合」を考えることが大事。これが
投資収益率である。
投資収益率
(ROR:Rate Of Return
on Investment)
( P t + 1 − P t ) + D t + 1
( P t + 1 − P t )
D t + 1
=
+
Pt
Pt
Pt
⎛ P
⎞
D t + 1
= ⎜ t+1 ⎟ − 1 +
Pt
⎝ Pt ⎠
rt =
価格
Po
配当
キャピタル・ゲイン
P1 D1
時間(年)
t=0
(現在)
t=1
⎛ Pt +1 ⎞ D t +1
Rt ≡ 1 + rt = ⎜
⎟+
P
⎝ t ⎠ Pt
インカム・ゲイン
配当利回り
(将来)
注意:通常将来の株価と配当は現在から見て不確実であるため グロス(粗)の収益率
投資収益率も不確実
金融リスクマネージメント
13
期待リターン
1
E ⎡⎣ R j ⎤⎦ = ⎡⎣ R j1 + R j 2 + " + R jT ⎤⎦
T
Expected
1 T
= ∑ R jt
T t =1
J番目の資産のt期の投資収
益率(リターン)
Rj
と書く時もある
金融リスクマネージメント
14
リスク(分散と標準偏差)の計算
σ
1 ⎡
Var ( R ) =
R
(
⎢
T −1 ⎣
2
j
とも書く
j
⎤
R
R
R
"
R
R
−
+
−
+
+
−
)
(
)
(
)
j1
j
j2
j
jT
j
⎥⎦
2
2
2
1 T
=
R jt − R j )
(
∑
T − 1 t =1
この式が何を意味するか良く考えてみよう。
標準偏差
金融リスクマネージメント
σ j = Var ( R j )
15
2
3.(2) 分散投資
• 多くの卵をひとつのバ
スケットに入れるな?と
にかく、分散投資、分散
投資、分散投資、分散
投資、分散投資
金融リスクマネージメント
16
多角化分散投資:簡単な分散投資
日経新聞の株式欄に向かって、ダーツ(矢)をN回
なげて、N銘柄からなるポートフォリオをつくり、そ
の標準偏差を計算する
PNASSET: Effect of Portfolio Size
銘柄数が増えるにつれ、
リスクが減少する。
しかし、リスク減少効果には
限界がある。これを「組織的
危険」と呼ぶ
Std Dev of Portfolio Return
0.2500
この条件のもとでの
シミュレーション
0.2000
0.10 平均値
0.20 標準偏差
0.10 相関係数
0.1500
分散投資により除去できるリスク
0.1000
0.0500
組織的危険:分散投資によっても除去できないリスク
0.0000
0
金融リスクマネージメント
20
17
40
60
80
Number of Assets in Portfolio
100
120
補足資料 専門家は猿に勝てるか?
1. ウォール・ストリート・ジャーナルは、「ダーツボード欄:
Dartboard Column」と言う連載記事で、一千九百九十以来、
四人の投資専門家による推奨銘柄とランダムに選んだ株式
との比較を行っている
2. 毎月初め四人の投資エキスパートニューヨーク、アメリカ
ン、NASDAQに各証券取引所に上場している銘柄で、次の
六カ月に最大の成果をもたらすであろう銘柄を一つ予想。こ
れで四銘柄が選ばれる。
3. 六カ月後、四人のうちで4銘柄で上位二つを選んだ二人が
残り、新しく選ばれた二人と、さらに次の六カ月で成果が高
いと予想する銘柄を四つ選ぶことを続ける。
4. このような手続き半年後とに繰り返し行く。つまり、常に最も
すぐれたアナリストが、もっとも良い銘柄からなるポートフォ
リオを作り直していく
金融リスクマネージメント
18
補足資料 結果は
• メトカーフとマルキール[1994]は、1990年1月から
1992年の12月までの三十カ月、この専門家によ
るポートフォリオとダーツ・ポー トフォリオを比較して
いる。六カ月間の間の収益率を計算した。その結果、
30回のうちで、この専門家ポー トフォリオがダーツ・
ポー トフォリオを打ちまかしたのは、16回であった。
つまり十六勝十四敗であったと言うわけである。
• Metcalf, G. E. and B. G. Malkiel. "The Wall Street Journal Contests: The Experts, The Darts, and The Efficient Market Hypothesis," Applied Financial Economics, 1994, 4(2), 371‐374.
金融リスクマネージメント
19
3.(3) 分散投資の直感的理解
図1-2、図1-3、図1-4が何を意味するか理解しよう
自分でもう一回図を書いて、その意味を説明できるようにする。
株Aと株Bを一株づつ持ったときの
ポートフォリオ価値
株Aと株Bの株価
0
時間(T) 0
時間(T) 金融リスクマネージメント
20
補足資料 バブル崩壊以降(1991‐2003)
日経平均株価指数と金の収益率の相関は‐0.314
0.6
0.5
0.4
金の投資収益率
0.3
0.2
0.1
0
-0.1
-0.2
-0.3
-0.4
-0.5
-0.2
金融リスクマネージメント
-0.15
-0.1
-0.05
0
0.05
日経平均の投資収益率
21
0.1
0.15
0.2
3.(4) 分散投資を表す数式
pp.38‐39
N=2の資産
Var (rp ) = x σ + x1 x2σ 1,2
2
1
2
1
共分散
(Covariance)が分
散投資効果を表す
+ x2 x1σ 2,1 + x22σ 22
= x σ + 2 x1 x2 σ 1,2 + x σ
2
1
2
1
2
2
2
2
T
σ 1,2 = ∑ ( r1,t − E ( r1 ) ) ( r2,t − E ( r2 ) )
t =1
σ 1,2 = ρ1,2σ 1σ 2
金融リスクマネージメント
相関係数と共分散の関係
22
補足資料:効率的フロンティヤーの計算:2資産
マルコビッツ:効率的フロンティヤーの計算:
森平爽一郎:慶應義塾大学
相関係数
資産1の
投資比率
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
資産1
10%
20%
資産2
20%
30%
0.3
資産2の
投資比率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
効率的フロンティヤー
25.0%
入力エリア
20.0%
期待リターン
20.0%
19.0%
18.0%
17.0%
16.0%
15.0%
14.0%
13.0%
12.0%
11.0%
10.0%
リスク
30.0%
27.7%
25.5%
23.5%
21.8%
20.4%
19.3%
18.8%
18.7%
19.1%
20.0%
期待リターン
期待リターン
リスク(標準偏差)
10.0%
5.0%
0.0%
0.0%
計算結果
金融リスクマネージメント
15.0%
23
5.0%
10.0%
15.0% 20.0% 25.0%
リスク(標準偏差)
30.0%
35.0%
補足資料 多角化分散投資の効果
どの部分を選択するかは投資家の
リスク選好(許容度)に異存
資産1のみに投資:リスク20%
P2ASSETB: The Two-asset Portfolio
●
O 2
Expected Portfolio Return
期待リターン
0.1950
0.1750
資産1と2の間の相関を-0.2としたときの
有効フロンティアー
0.1550
0.1350
リスクを最少にする
ポートフォリオ
●
資産2のみに投資:リスク10%
0.1150
●
0.0950
0.0711
0.0811
0.0911
O 1
0.1011
0.1111
0.1211
0.1311
0.1411
Standard Deviation of Portfolio Return
リスク:標準偏差
金融リスクマネージメント
24
0.1511
第1章
4.(4) VaRの問題点と拡張リスク尺度
pp. 39‐47
金融リスクマネージメント
25
下方(ダウンサイド)リスク
• これまで、投資をしたときのトータル(全体)リスクを
標準偏差(σ)で測定してきた。
• 標準偏差は、価格あるいは収益率がその平均から
どのくらいは離れているか(バラつき)の尺度であっ
た。
• しかし、多くの投資家にとって、リスクはむしろある
目標収益率をきめて、それからどのくらい下回るか=
下方リスク、であろう。
– 平均(期待)値をどのくらい下回るか?あるいは
– 投資した金額をどのくらい下回るか(=元本割れリスク)
– 安全資産に投資したときよりも成果が悪くなる(収益率が
無リスク金利よりも低くなる)
金融リスクマネージメント
26
4.(2) VaRの計測、日経225の場合
• 本文を参照
500
300
100
‐100
‐300
平均値 + 2.325×標準偏差
‐700
2012/01/04
2011/11/04
2011/09/04
2011/07/04
2011/05/04
2011/03/04
2011/01/04
2010/11/04
2010/09/04
2010/07/04
2010/05/04
2010/03/04
2010/01/04
‐900
価格変化
‐500
平均値 ‐ 2.325×標準偏差
27
金融リスクマネージメント
40
0
20
頻度
60
80
日経225日次損益
2010年1月5日から2012年1月31日
-800
下方リスク
-600
-400
-200
N225日次価格差
0
200
400
p. 46.
4.(1) VaRの考え方
補足資料
1) 信頼水準pパーセントを与える
2) 1‐pパーセントで
大きな損失が生じる確率
3) 1-α%の確率
で生じる巨大損失
の値: VaR(α)
日次?価格差
VaR(α)
損失
0
価格差は正規分布し、その平均
はゼロと仮定(正しい仮定か)
金融リスクマネージメント
29
p. 46.
‐Tail VaRの考え方‐
補足資料
2) 1‐pパーセントで
大きな損失が生じる確率
VaR(α)
3) Tail VaR: 損失がVaR(α)以下
に成るという条件下での損失の期
待値
損失
1) 信頼水準pパーセントを与える
価格差
0
金融リスクマネージメント
30
補足資料
p46.
Expected Tail VaR(期待裾損失)
もしLが平均μ=0、標準偏差σの正規分布していたら、
Tl = E ⎡⎣ L L > L0.99 ⎤⎦ = ∫ Lg ( L L > L0.99 ) dL ≈ 2.67σ
∞
0
このことは、Tlは標準偏差の定数倍なので、Tl、VaRとσは同じ情報を有している。
もし市場価格、特に損失が正規分布していないと、この3つは異なる値をしめす。
金融リスクマネージメント
31
補足資料 p.46.
∞
∞
g ( L, L > l )
⎡
⎤
Tl = E ⎣ L L > l ⎦ = ∫ Lg ( L L > l ) dL = ∫ L
dL =
0
0
G(L > l)
∫
∞
l
L f L ( L ) dL
1 − F (l )
Tl (1 − F ( l ) ) = ∫ L f L ( L ) dL
∞
l
もし 損失Lが対数正規分布をしていたら、Tail VaRはどうなるか?
言いかえれば、損失Lの変化率が平均μT、標準偏差σTの正規分布をしていた
ら。
μT
2
Tl = E ⎡⎣ L L > l ⎤⎦ = L0e μT N ( d1 )
⎛ L0e
ln ⎜
l
d1 ≡ ⎝
⎞ ⎛
σ
⎟+⎜μ +
2
⎠ ⎝
σ T
⎞
⎟T
⎠
ブラック=ショールズ式の右辺第1項の将来価値
金融リスクマネージメント
32
第2章
市場リスク管理の測定とマネージメント
金融リスクマネージメント
33
目次
第2章 市場リスクの測定とマネジメント
1. 株式のリスク
1.
2.
3.
4.
5.
6.
2.
分散不可能なリスクを再考する
分散不可能なリスクをどう測定するか
ベータ値の考え方
ベータ値を解釈する
ベータを用いたリスクマネジメント:金融工学入門
マルチファクターモデル
債券投資(金利)リスクとへツジ
1. 債券とは
2. 債券価格はどう決まるか
1. 割引債の価格はどう決まるのか
2. クーポン債の価格はどう決まるのか
3. 債券価格と割引率(スポットレート)との関係
3. 債券投資のリスクの尺度:デュレーション
4.
債券投資のリスクマネジメント:イミュニゼーション
1.
2.
イミュニゼーションとは
イミユニゼーション定理の「直感的な」証明
5. 債券投資のリスクマネジメント:金利ALM
6. 期前償還(プリペイメント)リスク
金融リスクマネージメント
34
目次
第2章 市場リスクの測定とマネジメント(続き)
3. 為替リスクとそのへツジ
1. 為替リスクとは
2. 為替リスクと金利リスクの関係
3. 為替リスクとそのヘッジ:事例研究
4. デリバテイブのリスクとリスクマネジメント
1.
2.
3.
4.
5.
デリバテイブとは
先物,先渡しのリスク…96
株価指数先物を用いたリスクヘッジ
オプションのリスク指標とデルタヘッジ
オプションを用いたリスクヘッジ:プロテクテイブ・プット戦略
1. プロテクティブ・プットとは
2. ポートフォリオ保険
金融リスクマネージメント
35
目次
第2章 市場リスクの測定とマネジメント(続き)
5. ポートフォリオの市場リスクのVaRと必要自己資本量の測定
1.
リスクファクターを用いたVaR
1.
2.
2.
1 資産-1ファクターの場合のVaR
多資産-2ファクターの場合のVaR
ヒストリカル法によるVaR
1.
2.
3.
4.
5.
ヒストリカル法とは
ヒストリカル法の計算
数値例を用いたヒストリカル法によるVaRの計算
市場VaRの計算
必要自己資本量の計算
金融リスクマネージメント
36
組織的危険と非組織的危険
Systematic Risk and Unsystematic Risk
ベータ(β)とは何か?
1. ベータ(β)は個々の資産の組織
的危険の尺度である
金融リスクマネージメント
37
分散不可能なリスクの尺度
ベータ(β)の考え方 pp.51‐55
特定の株式あるいはポートフォリオの収益率:Rjt (%)
例えばSonyの株価から計算された収益率
●
●
この傾きをベータ(β)と呼ぶ
●
εjt
●
●
R jt = α j + β j R Mt + ε jt
●
●
●
市場ポートフォリオの収益利率:RMt (%)
●
●
●
この代理指標として例えば日経225株価指数?
●
金融リスクマネージメント
38
ベータの解釈 pp.55‐56
1. β値が正の時
2. β値がゼロの時
3. β値が負の時
1. リスクがマイナスの値をとるとは?
2. 具体的な商品にはどのようなものがあるのか?
金融リスクマネージメント
39
非システマテックリスクをどう測定するか?
1. ベータを測定するための直線からの「残差」
の2乗平均、回帰の誤差ではかる
2. 全体リスク=分散不可能なリスク+分散可能
リスク
3. ソニーの事例について、何を意味しているか
理解しよう。
4. 回帰分析を行った時の決定係数「R2] の意味。
金融リスクマネージメント
40
市場モデルによるリスクの分解
R jt = α j + β j R Mt + ε jt
両辺の分散を計算すると、εとRMは無相関との仮定の下で
Var ( R jt ) = β 2j Var ( R Mt ) + Var (ε jt )
全体リスク
市場の動きに連動する部分
分散投資で除去できないリスク
分散投資によって除去可能な部
分:j番目の株式に特有なリスク
組織的危険
非組織的危険
特段気にしなくても良い?!
金融リスクマネージメント
41
補足資料 ピタゴラスの定理を応用して
リスクを分解する。
( )
Var R jt
全体リスク
市場の動きに連動する部分
分散投資で除去できないリスク
β j Var ( R Mt )
Var (ε jt )
金融リスクマネージメント
42
分散投資によって除去可能な部分
J番目の株式に特有なリスク
ベータの特色
1. ベータは分散投資でも除去できないリスクをあら
わす。組織的危険(市場危険)の尺度
2. 市場ポートフォリオのベータは1
3. ポートフォリオのベータは、それを構成する個々
の資産のベータを(投資比率で)加重平均したも
のに等しい。いまN個の資産があるとすると、
β p = x1β1 + x2 β 2 + " + xN β N
金融リスクマネージメント
43
ベータを用いたリスク制御
金融工学の一つの事例
1.
2.
3.
4.
1
いま2つの株式があり、そのベータがそれぞれ、β1=1.5と
β2=0.5であった。
2つの株式に投資資金のw1%とw2%を投資して、このポート
フォリオのベータを1にしたい。どうしたらよいのか?
ポートフォリオのベータが1であるとは何をいみするのか
インデックス運用=パッシブ(消極)運用の隆盛
0.5
1.5
β p = x1β1 + x2 β 2
1 = x1 + x2
金融リスクマネージメント
44
2つの未知数(w1とw2)と2
つの方程式がある⇒ふた
つの未知数を決定できる。
補足資料 N(=3)資産あるときのベータによる
ポートフォリオのリスク制御 pp.61
最小化 ⇒
ポートフォリオの
非システマテック
リスクを最小にす
る。ただし制約条
件として
制約条件:
Var (ε p ) = x12σ 12 + x1 x2σ 12 + x1 x3σ 13
+ x2 x1σ 21 + x22 x22 + x2 x3σ 23
+ x3 x1σ 31 + x3 x2σ 32 + x32σ 32
β p = x1β1 + x2 β3 + x3β3
1 = x1 + x2 + x3
この問題を、投資比率(x1、x2、x3に関して解く。ポートフォリオを決定する
N>3資産あるときも同様に考える。これをとくためには、ExcelのSolverが必要
金融リスクマネージメント
45
補足資料 ポートフォリオの残差リスク
pp.61
2つの資産があったときに、ポートフォリオの残差(非組織的危険)は:
Var (ε p ) = Var ( x1ε1 + x2ε2 )
= Var ( x1ε1 ) + Var ( x2ε2 ) + 2Cov( x1ε1 , x2ε2 )
とも書く(記法の違い)
= x12Var (ε1 ) + x22Var (ε2 ) + 2 x1 x2Cov(ε1 , ε2 )
= x σ + x σ + 2 x1 x2σ 12
2
1
2
1
2
2
2
2
仮定によってゼロ(実際は?)
金融リスクマネージメント
46
マルチファクター・モデル
いま、ある株式の収益率の変化を表す時に、2つのファクターで説明できるとしよう
R jt = α j + β1 j F1t + β 2 j F2t + ε jt
例えば、鉱工業生産指数の変化率
例えば、金利の変化率
ベータをどのように解釈し、どのように利用できるのだろうか?
金融リスクマネージメント
47
補足資料 マルチファクター・モデルで有名なのが、
B。Rosenbergの設立した、BARRA社である。
彼へのインタビュービデオを見てみよう
ウォール・ストリートを超えて 3 システム運用の極意
バー・ローゼンバーグ
日本語版監修 森平爽一郎
/27分/日本語版:1122513/バイリンガル版:1122523/2000年発行 丸善より
ローゼンバーグ・インターナショナル・エクイティ・マネージメント
(RIEM)の会長であるバー・ローゼンバーグは、クォンツ分析を明らか
にし、骨の折れる仕事をいかにコンピュータにまかせるかを提示してい
る。投資活動がコンピュータによって行われるのか、または人間によっ
て行われるのか、いずれにしてもその核心となる部分は依然として変
わらない。要は、いかにして良い株を見つけるかということだ。コン
ピュータは、冷静に、一貫性を持って、信頼性のある方法で、さまざま
な投資スタイルをモデル化することができる。
金融リスクマネージメント
48
第1章 第2節 pp.63‐
債券投資(金利)リスク
金融リスクマネージメント
49
将来価値(FV:Future Value)
•
例1:一年物定期預金の金利がいま年あたりで10%であったとしよう。い
ま元本10万円を一年間銀行に預けると一年後にいくらになるか?
– 利子収入=10万円の10パーセント=1万円
– 元本の返済額=10万円
– 元利合計=11万円
•
•
元利合計=利子+元本=元本*利子率+元本=元本(1+利子率)
これを「数式」で書き直すと、
FV = PV ⋅r + PV
元本
将来価値
11万円
r = 10%
年
金利
0
= P V (1 + r )
= 1 0 ( 1 + 0 .1 )
= 1 1 万円
金融リスクマネージメント
1
10万円
キャシュ・フロー・ダイアグラム
50
将来価値係数
0.01
1.010
1.020
1.030
1.041
1.051
1.062
1.072
1.083
1.094
1.105
1.116
1.127
1.138
1.149
1.161
1.173
1.184
1.196
1.208
1.220
51
0.02
1.020
1.040
1.061
1.082
1.104
1.126
1.149
1.172
1.195
1.219
1.243
1.268
1.294
1.319
1.346
1.373
1.400
1.428
1.457
1.486
0.04
1.040
1.082
1.125
1.170
1.217
1.265
1.316
1.369
1.423
1.480
1.539
1.601
1.665
1.732
1.801
1.873
1.948
2.026
2.107
2.191
0.05
1.050
1.103
1.158
1.216
1.276
1.340
1.407
1.477
1.551
1.629
1.710
1.796
1.886
1.980
2.079
2.183
2.292
2.407
2.527
2.653
0.06
1.060
1.124
1.191
1.262
1.338
1.419
1.504
1.594
1.689
1.791
1.898
2.012
2.133
2.261
2.397
2.540
2.693
2.854
3.026
3.207
0.07
1.070
1.145
1.225
1.311
1.403
1.501
1.606
1.718
1.838
1.967
2.105
2.252
2.410
2.579
2.759
2.952
3.159
3.380
3.617
3.870
0.08
1.080
1.166
1.260
1.360
1.469
1.587
1.714
1.851
1.999
2.159
2.332
2.518
2.720
2.937
3.172
3.426
3.700
3.996
4.316
4.661
金融リスクマネージメント
将来価値係数
5.
4.
将来価値係数:FVIF(r,T)
期間
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
金利
0.03
1.030
1.061
1.093
1.126
1.159
1.194
1.230
1.267
1.305
1.344
1.384
1.426
1.469
1.513
1.558
1.605
1.653
1.702
1.754
1.806
3.
2.
1.
0.07
0.05
0.03
0.01
0.
1
3
5
7
期間
9
1
1
1
3
1
5
1
7
1
9
金利
現在価値(PV:Present Value)
•
•
•
例2:前と同様にして、一年物定期預金の金利が年あたりで10%であった
としよう。この銀行が一年後11万円を払ってくれると約束した、定期預金
を売り出した。あなたはいくら預けたらよいのか?
答え:10万円、例1を逆に考えて
元利合計=元本(1+利子率) => 元本=元利合計(1+利子率)
•
数式で書くと:
r = 10%
将来価値
FV
11
=
PV =
(1+r) (1+01
.)
年
0
10万円=1年後の11万円の現在価値
キャシュ・フロー・ダイアグラム
現在価値
金融リスクマネージメント
11万円
金利は将来と現在をタイムマシンだ !
52
現在価値係数
53
0.02
0.980
0.961
0.942
0.924
0.906
0.888
0.871
0.853
0.837
0.820
0.804
0.788
0.773
0.758
0.743
0.728
0.714
0.700
0.686
0.673
金利
0.03
0.971
0.943
0.915
0.888
0.863
0.837
0.813
0.789
0.766
0.744
0.722
0.701
0.681
0.661
0.642
0.623
0.605
0.587
0.570
0.554
0.04
0.962
0.925
0.889
0.855
0.822
0.790
0.760
0.731
0.703
0.676
0.650
0.625
0.601
0.577
0.555
0.534
0.513
0.494
0.475
0.456
0.05
0.952
0.907
0.864
0.823
0.784
0.746
0.711
0.677
0.645
0.614
0.585
0.557
0.530
0.505
0.481
0.458
0.436
0.416
0.396
0.377
0.06
0.943
0.890
0.840
0.792
0.747
0.705
0.665
0.627
0.592
0.558
0.527
0.497
0.469
0.442
0.417
0.394
0.371
0.350
0.331
0.312
0.07
0.935
0.873
0.816
0.763
0.713
0.666
0.623
0.582
0.544
0.508
0.475
0.444
0.415
0.388
0.362
0.339
0.317
0.296
0.277
0.258
0.08
0.926
0.857
0.794
0.735
0.681
0.630
0.583
0.540
0.500
0.463
0.429
0.397
0.368
0.340
0.315
0.292
0.270
0.250
0.232
0.215
金融リスクマネージメント
現在価値係数
1.0
0.8
現在価値係数
0.01
0.990
0.980
0.971
0.961
0.951
0.942
0.933
0.923
0.914
0.905
0.896
0.887
0.879
0.870
0.861
0.853
0.844
0.836
0.828
0.820
0.6
0.4
0.2
0.0
金利
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
0.06
0.07
0.08
期間
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
1
9
3 1
7 5
9
1 1
1 1 3 1
期間
7 5
純粋割引債(概念のみ)
(Pure Discount Bond)
● いま0期にいて、いまからから1期間後に1円を確実に払う
1期間
P ( 0,1) =
1
(1 + r ( 0,1) )
1円
0
1
T
P(0,1)
今、この債券の価格が0.9円
(90銭)していた。
0.90 =
54
r ( 0,1) =
1
(1 + r ( 0,1) )
1
金融リスクマネージメント
1
− 1 = 0.111" = 11%
0.90
「1期間スポットレート」と呼ぶ
例1:1年ものスポットレートの推定
CT
P ( 0, T ) =
(1 + rT )T
C1
P ( 0,1) =
(1 + r1 )1
C1
⇒ (1 + r1 ) =
P ( 0,1)
1
C1
⇒ r1 =
−1
P ( 0,1)
金融リスクマネージメント
であったので、残存期間1年の割引債価格は、
95 =
100
(1 + r1 )1
⇒ (1 + r1 )1 =
⇒ r1 =
100
95
100
− 1 = 1.0525 − 1 = 0.0525 = 5.25%
95
55
● クーポン(利子)の支払いが無い債券
t
P( 0,T ) =
CT
(1+ r ( 0,T ) )
T
P(0,T)
T期間
CT
T
額面の支払いのみ
割引債(Discount Bond, Zero Coupon Bond)の価値
P(0,T)=いま(t=0期)からT期間後にCT円を確実にはらう割引債価格
R(0,T)=現在時点におけるT期間スポットレート
CT=T期のキャシュフロー
金融リスクマネージメント
56
T期間スポットレート
P( 0,T ) =
CT
(1+ r ( 0,T ) )
T
P ( 0, 2 ) =
100
(1 + r ( 0, 2 ) )
T期間スポットレー
トに関してとくと
⎛ 100
⎞
− 1⎟
0.95 = ⎜
⎝ 0.95 ⎠
57
金融リスクマネージメント
⎛1⎞
⎜ ⎟
⎝2⎠
2
例2:2年ものスポットレートの推定
CT
P ( 0, T ) =
(1 + rT )T
P ( 0, 2 ) =
であったので、残存期間2年の割引債価格は、
93 =
C2
(1 + r ( 0, 2 ) )
2
⇒ (1 + r ( 0, 2 ) ) =
C2
P ( 0, 2 )
⇒ (1 + r ( 0, 2 ) ) =
C2
P ( 0, 2 )
2
⇒ r ( 0, 2 ) =
金融リスクマネージメント
100
(1 + r ( 0, 2 ) )
2
100
93
100
⇒ (1 + r ( 0, 2 ) ) =
93
⇒ (1 + r ( 0, 2 ) ) =
2
⇒ r ( 0, 2 ) =
C2
−1
P ( 0, 2 )
100
−1
93
= 1.075 − 1 = 1.03695 − 1
= 0.03695 = 3.695%
58
金利の期間構造
• 呼称
– スポットレートカーブ(Spot Rates Curve)
– 利回り曲線(イールドカーブ: Yield Curve)
– 金利(利子率)の期間構造:Term Structure of Interest Rates
• 横軸に残存期間、縦軸にスポットレート(割引
債の利回り、割引率)をとってプロットしたもの
金融リスクマネージメント
59
クーポン(利付き)債
C1
C2 C3
CT
・ ・ ・
1
2
3
B ( 0, T )
金融リスクマネージメント
60
T
クーポン債は割引債のポートフォリオ
満期2年のクーポン債、
満期2年、5%クーポン債、
は、1年もの純粋割引債 と 2年もの純粋割引債のポートフォリオとみなすことができる。
金融リスクマネージメント
61
クーポン債は割引債のポートフォリオ
となるが,、これは次のように書き直す事が出来る
これは、P1円している1期間純粋割引債をC1株、P2円している2期間純粋割引
債をC2株・・・投資した債券ポートフォリオとみなす事が出来る
金融リスクマネージメント
62
債券の毎日の売買価格は
日本証券業協会 公社債市場 のホームページでみることができる。
金融リスクマネージメント
63
1981年5月のアメリカのスポットレートカーブ
16%
14%
12%
10%
8%
6%
4%
2%
0%
0
10
20
30
40
満 期 (年 )
Craig Holden's Excel-based "Movie" of Term Structure Dynamics計算プログラムより。詳細はCraig Holden,
Excel Modeling in the Fundamentals of Investments,
金融リスクマネージメント
64
1983年5月の米国国債のスポットレートカーブ
16%
14%
12%
10%
8%
6%
4%
2%
0%
0
10
20
満期(年)
金融リスクマネージメント
65
30
40
債券投資におけるリスクとは
• 満期が長い⇒回収リスク
– 投資資金の回収が長くかかる
– 短期債よりも長期債のほうがリスクが高い
– 割引債は、満期が同じであれば、クーポン債よりも回収リ
スクが高い
– 永久債は回収リスクが大きい
• 債券価格変動が大きい
– 債券価格は割引金利が変動することによって生じる。金
利が現在水準から1%増加したときに、債券価格は何%
下落するか?
金融リスクマネージメント
66
平均満期としてのデュレーション:定義
平均回収期間、平均満期としてのデュレーション:
定義
ここで重み
j
⎛
C j / (1 + r ( 0, j ) )
0 ≤ ⎜ wj ≡
⎜
B ( 0, T ) )
⎝
T
∑w
j =1
金融リスクマネージメント
j
=1
67
⎞
⎟ ≤ 1 for j = 1, 2, " , T
⎟
⎠
復習:弾力性
なぜ変化率にするのか?
重要!!
いま、期間構造が水平(r(0,j)=r for all j)であると考え、それが平行
シフトすると考えると債券価格(B(0,T))を割引率(r)の関数と見
て、
1. 原因:割引率(r)の変化率に対する
2. 結果:債券価格(B(0,T))の変化率
d (1 + r ) = dr
の比を計算してみる
結果
原因
金融リスクマネージメント
⎛ dB ⎞
⎜
⎟
⎝ B ⎠ = dB (1 + r ) = dB (1 + r )
d (1 + r ) B
⎛ dr ⎞ dr B
⎜
⎟
1
+
r
⎝
⎠
68
であるので
(割引)金利の債券価格弾力性としての デュレーション
債券価格を割引率で微分すると、
T
T
dB
− j −1
−j
−1
= −∑ jC j (1 + r )
= − ∑ jC j (1 + r ) (1 + r )
dr
j =1
j =1
T
= −∑ jCt (1 + t )
j =1
dB (1 + r )
= −∑
dr B
j =1
T
−j
(1 + r )
−1
−j
⎛
C j (1 + r )
B
= −∑ t ⎜
B
B
j =1 ⎜
⎝
T
⎛ C j (1 + r )− j
j⎜
⎜
B
⎝
債券価格の利子率
(割引率)弾力性に
なっている
金融リスクマネージメント
⎞ B
⎟
⎟ (1 + r )
⎠
T
⎞
⎟ ≡ −∑ j ⋅ w j ≡ D1
⎟
j =1
⎠
加重平均満期としての
デュレーションに等しい
69
デュレーションと債券価格の変化率
dB
1 d (1 + r )
=D
B
(1 + r )
割引率の変化率
債券価格の変化
率
もし金利水準が低いと、(1+r)≒1、d(1+r)=drであるので、
dB
1
≈ D dr
B
金融リスクマネージメント
70
負のコンベキシテー:期前償還リスク
債券価格の変化
オプション条項を
含まない債券価格
期前償還の可能性
のあるMBS価格
金利変化
市場金利が低下すると住宅
ローンの買い替えが起きる
金融リスクマネージメント
71
Excelによるデュレーションの計算方法
受領日: 1986 年 1 月 1 日
満期日: 1994 年 1 月 1 日
半年単位の利札: 8%
利回り: 9.0%
利息支払回数: 年 2 回
基準: 実際の日数/実際の日数
1900 年日付システム (Windows 版 Excel の標準) を使用
している場合、マコーレー係数は次のようになります。
DURATION("1/1/86","1/1/94",0.08,0.09,2,1) = 5.993775
金融リスクマネージメント
72
債券投資のリスク尺度
デュレーション
BDUR: Computing the duration of a bond.
Copyright 1989, Joel Hasbrouck. All rights reserved.
c
Par
M
i0
i'
i
(1+i)
P
0.129
1,000
20
0.1000
0.0999
Original
0.1000
1.1000
1,246.89
Coupon
Par value
Maturity
Original yield to maturity
Shifted yield to maturity
Shif
0.0999
1.0999
1,247.91
Prop Ch
-0.001000 = (0.0999-0.1000)/0.1000
-0.000091 = (1.0999-1.1000)/1.1000
0.000818 = (1247.91-1246.89)/1246.89
1,246.89 = 129 PVA(20,10.00%) + 1000 PV(20,10.00%)
1,247.91 = 129 PVA(20,9.99%) + 1000 PV(20,9.99%)
Duration (numerical)
Duration (correct)
金融リスクマネージメント
9.003 yrs = -(0.000818)/-0.000091
8.997 yrs (from computations below)
73
デュレーションの解釈: 平均回収期間
12.9%,12%クーポンレート、残存期間20年,額面100円の債券:
キャシュフローの現在価値とデュレーション
20年債の年あたり12円のクーポンと元本100円の現在価値
20
15
10
5
年
平均残存期間としての、デュレーションは約9年になっている。
金融リスクマネージメント
74
19
17
15
13
11
9
7
5
3
1
0
債券投資のリスク尺度
デュレーション
BDURATN: Duration Analysis
2.000
Prop Change in Bond Price
債券価格の変化率
2.500
1.500
1.000
0.500
0.000
slope=-9.00
-0.500
-0.100
-0.080
-0.060
20年債,12,9%クーポン
現在の金利水準10%
金融リスクマネージメント
-0.040
-0.020
-1.000
0.000
0.020
Prop change in (1+i)
金利の変化率
75
0.040
0.060
0.080
0.100
この接線の傾きがデュ
レーションを示す
金利リスクの管理
イミュニゼーションの考え方
債券価格の下落(上昇)
金利の
上昇(下落)
この二つのバランスをとり、金
利変化の影響を「免疫化:イミュ
ニゼーション」する戦略
c
Par
t
T
M
i0
i'
金融リスクマネージメント
受け取りクーポンの再投資収入の
増加(減少)
0.145
1,000
0
9
20
0.10
0.06
a
C
r
n
p
u
o
e
t
Par value
Present time (9 years till T.)
Target date
Maturity
Present yield to maturity
Shifted yield to maturity
76
金利リスクの管理
イミュニゼーション
金利が変化しても債券(ポート
フォリオ)価値はほとんど変化
BIMMUN: Final Value of Portfolio.
しない。金利リスクをヘッジで
きた
4,000.00
3,500.00
Total
Net Proceeds at Target Date ($)
|
3,000.00
2,500.00
Proceeds of Coup Reinv
2,000.00
|
1,500.00
受け取りクーポンの再投資
収入の増加(減少)
|
1,000.00
Proceeds of Bond Sale
債券価格の下落(上昇)
500.00
0.00
0.000
0.020
0.040
0.060
0.080
0.100
Shifted yield to maturity (i')
金利変化の大きさ
金融リスクマネージメント
77
0.120
0.140
0.160
第1章 第3節 pp.86‐
為替リスクとそのヘッジ
金融リスクマネージメント
78
補足資料
為替リスクと分散投資の応用例
1. 日本人が米国株に投資をし、その結果を円で
評価することは
2. ドル建ての米国株とドル通貨の2資産に分散投
資することに等しい
3. その数理を理解し、リスクとリターンを計算して
みよう
金融リスクマネージメント
79
補足資料
円建ての外国(ドル)資産への投資収益率は
E¥/ $,1 × P$,1 − E¥ / $,0 × P$,0 ⎛ E¥ / $,1 ⎞ ⎛ P$,1 ⎞
=⎜
−1
r¥,1 =
⎟
⎜
⎟
⎜E
⎟ P
E¥ / $,0 × P$,0
⎝ ¥/ $,0 ⎠ ⎝ $,0 ⎠
≡ (1 + e¥/ $,1 ) (1 + r$,1 ) − 1
を将来(t=1)と現在(t=0)時点の値 における円建ての外国
(ドル)資産投資の価値
P¥,1 P¥,0
E¥ / $,1 E¥ / $,0
またここで、
将来(t=1)と現在(t=0)時点の為替(円ドル)レート
(
)
e¥ / $,1 ≡ E¥ / $,1 / E¥ / $,0 − 1
(
)
r$,1 ≡ P$,1 / P$,0 − 1
金融リスクマネージメント
80
補足資料
円建ての外国(ドル)資産投資のリターンリスクは?
r¥,1 = (1 + e¥ / $,1 ) (1 + r$,1 ) − 1
= 1 + e¥ / $,1 + r$,1 + e¥ / $,1 ⋅ r$,1 − 1
≈ e¥ / $,1 + r$,1
e¥ / $,1 ⋅ r$,1 ≈ 0
この結果の意味はなんだろう
か?
円建ての米株投資の期待リターンは
E ⎡⎣ r¥,1 ⎤⎦ = E ⎡⎣ e¥ / $,1 ⎤⎦ + E ⎡⎣ r$,1 ⎤⎦
円建ての米株投資のリスクは
Var ⎣⎡ r¥,1 ⎦⎤ = Var ⎣⎡ e¥ / $,1 ⎦⎤ + Var ⎡⎣ r$,1 ⎤⎦ + 2Cov ( e¥ / $,1 , r$,1 )
金融リスクマネージメント
81
第1章 第4節 pp.94‐
デリバティブのリスクとヘッジ
金融リスクマネージメント
82
デリバティブズ(派生証券)とはなにか?
• Derivatives: A is Derived from B
• 派生したもの:かならず何かが背後にあるはず。親
(原資産)と子供(デリバィブズ)
子供(デリバィブズ)
親(原資産)
デリバティブズ理論とは
親(原資産)の価値・価格が分かっていたときに
子供(デリバティブズ)の価値・価格がどのように決まるかを
金融リスクマネージメント
明らかにする
83
プロテクティブ・プット(満期の損益)
損益
損益
損益
●
1万円
日経225
現在1万円している
日経225現物1株の買い
●
●
1万円
1万円
日経225
行使価格1万円の日
経225プットオプショ
ン1株の買い
オプション取引のしくみ
日経225
日経2251株と
そのプットオプショ
ン1株の買い
84
市場リスクVaRと所要自己資本
pp.104‐
1. リスクファクターを考えた時のVaR
2. ヒストリカル法によるVaR
金融リスクマネージメント
85
第3章
信用リスク管理の測定とマネージメント
金融リスクマネージメント
86
目次
第3章 信用リスクの測定とマネジメント
1.
2.
3.
4.
損失分布,予想損失と予想外損失
市場リスクのVaRと信用リスクのVaR:その違い
信用リスクの測定:四点セット
デフォルト確率:PD
1.
2.
3.
4.
5.
6.
5.
デフォルト確率とは
個別企業のデフォルト確率の推定
財務諸表データをもとにした個別貸出先のデフォルト確率推定
デフォルト確率の推定:拡張
デフォルト確率の推定:実際例
株価からデフォルト確率を推定する:オプションアプローチ
デフォルト時損失率と回収率
1.
2.
3.
回収率とは何か
回収率分布の不思議
回収率を決める要因:回収率モデリング
金融リスクマネージメント
87
目次
第3章 信用リスクの測定とマネジメント:続き
5. デフォルト時エクスポージャー
6. デフォルト相関と資産相関
1.
2.
3.
4.
5.
共倒れリスクを測るデフォルト相関と資産相関
BIS‐Ⅱ規制における資産相関
デフォルト相関がゼロのポートフォリオを持つ金融機関
共倒れリスクをどう管理するのか
デフォルト相関,資産相関の推定1
7. デフォルト相関,デフォルト時損害率, デフォルト(資産)相関の統合
1. 融資や社債の価格決定:簡単な事例
2. BIS‐II信用リスク規制とリスクウエート関数
3. 信用保険と信用保証
金融リスクマネージメント
88
目次
第3章 信用リスクの測定とマネジメント:続き
1. 異なる融資,投資対象の信用リスク
1. 住宅ローンの信用リスク
1.
2.
3.
4.
5.
6.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
住宅ローンリスク管理の重要性
デフォルト確率の期間構造を考える
デフォルト確率の期間構造に影響を与える要因
住宅ローンの回収率と共倒れリスク
住宅ローンの期前償還リスク
住宅ローンの保証:その問題点
商業用不動産の信用リスク
そのほかの消費者ローンの信用リスク
社債や株式投資の信用リスク
ソブリンリスクとカントリーリスク
国債と地方債投資(引受)の信用リスク
クレジットリスク・デリバテイブと CDS
付録 信用リスクのある融資や社債の決定
金融リスクマネージメント
89
第3章 第1節 pp.117‐
損失分布,予想損失と予想外損失
金融リスクマネージメント
90
信用VaR(Value at Risk)
意味:リスクに晒されている@Risk価値
注意: 市場リスクのVaRは、資産価格の日時変化
(平均はゼロ)で正規分布するとして良いが、信用リ
スクVaR計算の対象になる損失分布は左の裾野が
広い
fL(l)
密度関数
1) 信頼水準pパーセントを与える
2) 1‐pパーセントで
大きな損失が生じる確率
損失額
EL:予想損失額
VaRp(L)
これだけの自己資本(返さなくて良
いお金を予め準備する必要がある
金融リスクマネージメント
91
補足資料 信用リスクに関する
Expected Tail VaR(期待裾損失)
fL(l)
密度関数
2) 信頼水準pパーセントを与える
1) 1‐pパーセントで大きな損
失が生じる確率
L:損失額
VaRp(X)
αパーセントVaR
VaRは VaRより大きな損失の可能性を測る
尺度ではない。
金融リスクマネージメント
l
Tl = E ⎡⎣ L L > l ⎤⎦
損失Lがl円より大きくなるとい
う条件のもとでの期待値
92
第3章 第2節 pp.125‐
市場VaRと信用VaR:その違い
金融リスクマネージメント
93
第3章 第3節 pp.117‐
信用リスクの測定:四点セット
1.
2.
3.
4.
デフォルト時エクスポージャー:EAD
デフォルト確率:PD
デフォルト時損害率:LGD
資産相関RAとデフォルト相関RD
金融リスクマネージメント
94
第3章 第3節 pp.122‐125
信用リスクの測定:四点セット
1
デフォルト時
貸付額:EAD
2
3
デフォルト
確率:PD
デフォルト
時損害率:
LGD
貸倒れの危険
回収可能性の
危険
5
必要経済/規制
資本の決定
4
デフォルト
相関と資産相
関:R
共倒れの危険
第3章 第4節 pp.125‐
デフォルト確率:PD
1. デフォルトする確率を推定する
1. 実績デフォルト率FD
2. 推定デフォルト確率PD
金融リスクマネージメント
96
5.1-5.2 デフォルト確率PD
1. デフォルト確率:PD(Probability of Default)とは
その期のデフォルト先数
実績デフォルト率 =
1. 実績デフォルト率とは?
期首の融資先数
2. 実績デフォルト率データの入手先は
2. 個別企業のデフォルト確率をどのように推定する
か?
1.
2.
3.
4.
5.
企業の財務諸表データと統計手法を用いる方法
本書ではこの2つ
を説明
株価とオプション価格理論を用いる方法
社債価格データと社債価格決定モデルを用いる方法
クレジットデフォルトスワップCDS価格とその価格決定モデルを用いる方法
これらの組み合わせ(ハイブリッドモデル)
金融リスクマネージメント
97
5‐3 財務諸表データをもとにした
個別貸出先のデフォルト確率PD推定
1. 線形確率モデル:回帰分析を用いた説明
ステップ1:倒産・非倒産企業の確認
ステップ2: リスクファクターの選択
ステップ3: 線を引く、つまり「モデル」を構築する。
金融リスクマネージメント
98
5‐3 財務諸表データをもとにした
個別貸出先のデフォルト確率PD推定
添付のExcelプログラムと実際の
データを用いた実例で考えてみよう
1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
2
3
企業名
倒産・非倒産
フェニックス電機 1
興国鋼線索
1
吾嬬製鋼所 1
ヤオハンジャパン 1
日本国土開発
1
雅叙園観光 1
佐々木硝子 1
スタンレー電気
0
神鋼鋼線工業
0
淀川製鋼所
0
イトーヨーカ堂
0
北野建設
0
藤田観光
0
日本電機硝子
0
4
負債比率
1.932
0.993
1.053
0.881
0.896
0.693
0.588
0.403
0.617
0.563
0.264
0.550
0.720
0.670
ステップ1:倒産・非
倒産企業の確認
ステップ2:リスクファ
クターの選択
××
×
×× ×
×
ステップ3: 線を引
く、つまり「モデル」
を構築する。
● ● ●●●●
金融リスクマネージメント
99
5.4 デフォルト確率の推定:拡張
推定デフォルト確率:PD
1.00
0.80
0.60
PDi =
0.40
1
1 + exp (− Z i )
0.20
0.00
-130.00
-80.00
-30.00
20.00
70.00
120.00
Z i = −9.65 + 13.83 × 負債比率i
Z
推定デフォルト確率PDがゼロと1の間にあるようにモデルを改
訂する。ロジット回帰モデルの適用、Z値は企業の信用リスク
度を示し、信用リスク度は、この場合、負債比率というリスク
ファクターで決まる。PDはZ値のロジステック変換によって推
定できる。
金融リスクマネージメント
100
5.4 株価からデフォルト確率を推定する:
オプションアプローチ
負債
資産
資産
負債
自己
資本
t=0:現在
1. 株式は、「企業資産を原資産」とし、
「行使価格を満期負債価値」とする、
コールオプションである。
2. この考え方を用いて、企業が債務超
過に陥る確率をPDとして推定する。
t=T:将来
債務超過状態
企業のバランスシートの変化
と債務超過。資産と負債+自
己資本が「バランス」している
状態から「債務超過」状態へ
金融リスクマネージメント
101
5.4 株価からデフォルト確率を推定する:
オプションアプローチ 実際例
背後にある理論と推定方法の
詳細については、森平
[2009](森平爽一郎 『信用リス
クスクモデリング』、朝倉書店、
2008年)の第6章を参照
50%
45%
40%
井上工業のデフォルト確率
35%
30%
25%
20%
15%
また、詳細なExcelプログラムに
ついては、森平爽一郎 編著、
『信用リスクの測定と管理:
Excelでまなぶモデリング』,中央
経済社、2011年
10%
5%
0%
オプションアプローチによる井上工業(東証
2部上場、建設業)のデフォルト(債務超過)
確率(2007年7月12日から2008年10月16
日(破綻日)まで)
金融リスクマネージメント
102
第3章 第5節 pp.145‐
デフォルト時損害率LGDと回収率RR
1. 回収率とは何か?
2. 回収率分布の不思議!
3. 回収率を決める要因:回収率モデリング
金融リスクマネージメント
103
5.2 回収率分布の不思議!
1. 回収率データは正規(対称な)分布しない!
2. 同じ回収率データなのに何故こうした違いが出たのか?
図11 時間価値を考慮しない場合のイ
ギリス(3銀行)、フランス(3銀行)、ドイツ
(4銀行)によるデフォルトした融資の回
収率分布式。横軸に0から1までの値を
とる回収率、縦軸はその相対頻度比率.
Franks, de Servigny
and Davydenko [2004]
図12 時間価値とキャシュフローの不確
実性を考慮した回収率分布。年あたり割
引率12パーセントで回収キャシュフロー
の割引現在価値を求めた場合の回収率
分布式。
金融リスクマネージメント
104
6.3 回収率を決める要因:
回収率モデリング
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
融資規模
融資が保証や保険つきかどうか
マクロ経済動向
破綻企業が属する業種
デフォルト確率
担保物件の有無
契約条項や倒産法制の違い
金融リスクマネージメント
105
第3章 第6節 pp.152‐
デフォルト時エクスポージャー:
EAD
1. デフォルト時の投資額、与信額
2. 負債にオプション条項がついている時
は問題が複雑になる
3. クレジットラインの信用リスク
金融リスクマネージメント
106
第3章 第7節 pp.153‐
デフォルト相関RDと資産相関RA
1. 融資や社債の価格決定:簡単な事例
2. BIS‐II信用リスク規制とリスクウエート関数
3. 信用保険と信用保証
金融リスクマネージメント
107
8.1 デフォルト相関RDと資産相関RA
1. 共倒れリスクを測る。次の3っの違いに注意
1. 同時デフォルト確率:JPD 2社が同時でデフォル
トする確率
2. デフォルト相関RD 相関係数の定義から
3. 資産相関RA 2社の資産価値の相関係数
金融リスクマネージメント
108
8.2 BIS規制における資産相関
0.24 )A
資産相関( R
0.22 この問題はなん
だろうか?
0.20 0.18 0.16 0.14 0.12 0.10 0.00
0.02
0.04
0.06
0.08
0.10
0.12
0.14
デフォルト確率:PD
BIS規制のもとでの共倒れリスクの決定方法:デフォルト
確率が高まるほど資産相関(共倒れリスク)は小さくなる?
金融リスクマネージメント
109
8.3 デフォルト相関がゼロの
ポートフォリオを持つ金融機関
1. それは生命保険会社
2. デフォルト相関の意味を、生命保険会社の
生保引受リスクを通じで理解する。
3. 大数法則:Law of Large numbers
4. 損害保険会社の保険引き受けリスクは?
金融リスクマネージメント
110
8.4 共倒れリスクをどう管理するのか
1. 分散投資、分散融資
1.
2.
3.
4.
業種分散
値域分散
規模分散:小口分散投資の意味
シンジケートローン市場の発展
金融リスクマネージメント
111
補足資料
デフォルト相関と資産相関の計測方法
金融リスクマネージメント
112
第3章 第8節 pp.162‐
デフォルト確率PD、デフォルト時損
害率LGD、デフォルト相関の統合R
1. 融資や社債の価格決定:簡単な事例
2. BIS‐II信用リスク規制とリスクウエート関数
金融リスクマネージメント
113
8.1 融資や社債の価格決定
簡単な事例
デフォルトしない。額面C(1)円が償還
1‐PD(1)
B(0,1)
PD(1)
0:現在
B ( 0,1) =
C(1)円
デフォルトすると、1期間の回収
率(1‐1期間のデフォルト時損害
率)×額面が戻ってくる
(1‐LGD(1))×C(1)円
T=1 :満期
PD (1) (1 − LGD (1) ) C (1) + (1 − PD (1) ) C (1)
(1 + rC )(1 + rF )
⎡1 − PD (1) LGD (1) ⎤⎦ C (1)
=⎣
(1 + rC )(1 + rF )
1 − PD (1) LGD (1) C (1)
=
×
(1 + rC )
(1 + rF )
= α (1) Z ( 0,1)
金融リスクマネージメント
図 14 1期間(年)後にデフォ
ルトの可能性のある融資や
社債の価格決定。PD(1)は
現在(時点0)から見て1期間
後までにデフォルトする確率、
C(1)は1年後のキャシュフ
ロー(元本返済と利息)、
LGD(1)はデフォルトした時
の損害率,(1-LGD(1))は回収
率、これらをもとにして、現在
時点における融資や社債の
価値=理論価格B(0,1)を計
算する。
114
補足資料
確実性等価キャシュフローとα係数
第1期の期待キャシュフロー
(
)
E [CF1 ] = PD (1) (1 − LGD (1) ) C (1) + 1 − PD (1) C (1)
Q
0
Q
= ⎡⎣1 + PDQ (1) (1 − LGD (1) − 1) ⎤⎦ C (1)
= ⎡⎣1 − PDQ (1) LGD (1) ⎤⎦ C (1)
α Q (1) C (1)
第1期の確実性等価係数
α Q (1) ≡ 1 − PDQ (1) LGD (1)
約定キャシュフロー
Q
Silvers[1973]と同じ
考え方.ただし、
SilberはαQ(1)がど
のように決まるか
は示していない
確実な債券のキャシュフローに対する割引率の
役割。
デフォルト時損失率LGDで修正した、1年目に生
存する確率とみなすことができる
森平 信用リスクのある債権価格1‐1
115
⎡⎣1 − PDQ (1) LGD (1) ⎤⎦ C (1) α (1) C (1)
B ( 0,1) =
≡
= α (1) Z ( 0,1)
(1+ r ( 0, t ) )
(1+ r ( 0, t ) )
α (1) ≡ 1 − PDQ (1) LGD (1)
1 − PD × LGD
α≡
1 + rC
確実性等価係数(α) = 1- デフォルト確率PD×デフォルト時損失率LGD
補足資料 2期間割引債
信用リスクのある場合
まずこの部分を
計算する
1-PD(1)
非倒産時のキャシュフロー
1-PD(2)
正常キャシュフロー(C(2))
B(1,2)
デフォルト時のキャシュフロー
PD(2)
B(0,2)
回収率(RR(2) = 1 ‐ LGD(2))×
正常キャシュフロー(C(2))
PD(1)
0:現在
t=1 :満期
T=2 :満期
満期にC(2)円を支払う、信用リスクのある割引債の現在時点(t=0)の価格は?
誘導型モデルの考え方 ©森平
117
8.1 融資や社債の価格決定
簡単な事例 続き
式(3-4)と式(3-5)を電卓を用いて実際に計算してみよう。
金融リスクマネージメント
118
応用 スコアリング
1. α係数の意味:確実性等価係数
2. α係数による信用格付け:スコアリングの重
要性
1. デフォルト確率のみならず
2. デフォルト時損害率LGD、を考慮したリスク指標
金融リスクマネージメント
119
8.2 BIS‐II信用リスク規制と
リスクウエート関数
必要自己資本 = 予想外損失UL - 予想損失EL
修正デフォルト確率(=「資産相関RA」と「規制当局の考える信
用恐慌の起きる確率(0.1パーセント=0.001=1,000年に一回)」)
×デフォルト時損害率LGD
PD(デフォルト確率)
LGD(デフォルト時損失)
R(デフォルト相関)
⎛
⎞
⎡ ⎛ 1
⎞⎤
R
−1
−1
⎜ LGD ⎢Φ ⎜⎜
Φ ( PD ) +
Φ ( 0.999 ) ⎟⎟ ⎥ − LGD × PD ⎟
⎜
⎟
−
−
1
R
1
R
⎢
⎠ ⎥⎦
⎣ ⎝
⎝
⎠
M(満期)調整項
実際はこれに
より詳しい説明は、
森平[2009」と森平編著
「2011]を参照
金融リスクマネージメント
12.5 × M
を掛けて必要自
己資本を計算
120
第3章 第9節 pp.169‐
異なる融資、投資対象の信用リスク
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
住宅ローンRMBSの信用リスク
商業用不動産CMBSの信用リスク
消費者ローンの信用リスク
社債や株式投資の信用リスク
ソブリンリスクとカントリーリスク
国債と地方債の信用リスク
クレジットデリバティブ
金融リスクマネージメント
121
住宅ローンの信用リスク pp.170‐
1. 住宅ローンリスク管理の重要性
2. 住宅ローンは長期の貸付(35年!も)
1. デフォルト確率PDの期間構造を考える必要があ
る
2. PD期間構造に影響を与える要因 pp.172‐
– 住宅ローンの契約内容
– 借り手の特性
– 担保不動産の特質
– マクロや地域経済要因
金融リスクマネージメント
122
住宅ローンの信用リスク 続き
1. 住宅ローンの回収率と共倒れリスク pp.177‐
2. 住宅ローンの期前償還リスク pp.177‐
3. 住宅ローンの保証:その問題点 pp.178‐
重要な補足資料
日本銀行金融機構局[2011]、「住宅ローンのリスク・収益管理の一層の強化に向け
て:住宅ローンのデフォルト確率および期限前返済の期間構造の推計」、BOJ
Reports and Research Papers、2011年11月、44頁
金融リスクマネージメント
123
ソブリンリスクとカントリーリス pp.182‐
1. リスクの計測方法
1. 統計的アプローチ
2. オプションアプローチ
3. 誘導型アプローチ
1. 国債価格からPDとLGDを推定
2. カントリー、ソブリンCDS価格からPDとLGDを推定
4. カントリー格付けの分析
金融リスクマネージメント
124
クレジットデリバティブとCDS pp.186‐
CDS
被保険者
任意
信用保険
信用リスクにさら
されている企業や
CDSも信用保険、で
も何が信用保険とこと
なるのか?
個人に限定
保険引受け者
任意
損害保険会社
売買市場
活発な取引市場が存在し、 保険会社にとって
透明性のある価格情報が
は再保険市場があ
得られる。
るが、被保険者は保
険の売却はできな
い
価格決定
CDS 取引市場で決定
大数法則がある程
度効く世界を想定
し、リスクプレミア
ムを加味した保険
会社による料率決
定
金融リスクマネージメント
125
第4章
その他のリスクと統合リスク管理
1.
2.
3.
4.
オペレーショナルリスク
流動性リスク
モデルリスク
統合リスク管理
金融リスクマネージメント
126
目次
第4章 そのほかのリスクと統合リスク管理
1. オペレーショナルリスク
1. オペレーショナルリスクとは
2. BIS‐II規制におけるオペレーショナルリスク管理
2.
3.
4.
5.
流動性リスク
モデルリスク
統合リスク管理
リスク管理組織とリスク管理の哲学の構築
金融リスクマネージメント
127
付録1
略語の説明
未完
金融リスクマネージメント
128
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