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日本からインドネシアへ - クロール:調査が必要なとき
Spotlight Asia Kroll Quarterly M&A Newsletter 2014年10月 日本からインドネシアへ:リスクとリターン 近年になり、東南アジアの新興市場の持つ可能性が認識され始めています。日本企業 はどこよりも早く、 この市場の潜在力に気づいていました。2013年、東南アジア諸国連合 (ASEAN)各国にまたがるこの地域への投資額は227億米ドルに達しました。 この急激な成 長をけん引するのは、企業の活発なM&Aです。今やタイにおけるビジネス活動はこの地 域の総取引の44%を占め、インドネシアとシンガポールがそれぞれ17%、15%と続きます。 8 1,500 6 1,000 4 500 0 件数 インドネシアを取り 巻く大きな関心の1 つは、新たな保護貿 易主義的な規制が 海外直接投資の展 望にどう影響を与え ることになるかとい うことです。そして もう1つは、ジョコ・ ウィドド大統領 (通 称「ジョコウィ」)が、 金額 US$m インドネシアは、日本からの投資が一段と増えており、2013年には、日本からの投資額が タイを抜いて中国に次ぐ第2位となりました。また、2013年の日本からの海外直接投資 (FDI)額は47億米ドルに達しています。M&Aという面においても、マージャーマーケット社 のデータによれば、M&A取引額は2013年に過去最高を記録し、20億米ドルの大台を超え ました。今や、インドネシアは魅力あふれる投資対象国となっています。若く、将来性豊か な 人 口 、増 大 する 消費支出、年々増え 日本企業の対インドネシアM&A (2010年-2014年現在1) 続 けるG D P 、豊 か 2,500 12 な天然資源はこの 国の魅力を一層高 10 2,000 めています。 クロールが四半期ごとにマージ ャーマーケット社と協働で発行 しているM&Aニュースレター、 Spotlight Asiaの最新版です。 主な内容 • インドネシアに対する日本からの海外 直接投資(FDI)およびM&Aの概観 • 製造業、消費財、資源、保険業の概要 • 先般のインドネシア大統領選挙の分析 ならびにジョコ・ウィドド氏がもたらす 同国のビジネスへの影響 • シニア・マネジング・ディレクター、 クロ ールアジア太平洋地区統括責任者、影 山正へのインドネシアへの投資に伴う リスク回避についてのインタビュー 次回Spotlight Asiaを購読ご希望の 方は http://asia.kroll.com からお申 し込みください。 2 2011 件数 2012 金額 2013 YTD 2014 0 出典:マージャーマーケット社 1. 2014 年7月23日時点においてディールが発表若しくは完了したもの Kroll Quarterly M&A Newsletter – October 2014 インドネシア 成長を推進させ、インフラを整備し、汚職を撲滅し、インドネシア の将来を左右する多くの社会問題に対処するための政策をどのよ うに実行していくのかということです。 保護貿易主義者の動向 2013年、インドネシアルピアは商品価格の下落と輸入の増加によ り打撃を受け、同国の経済は赤字のジレンマに陥りました。 これを 受けて、活発なロビイング活動にもかかわらず、議会は特定の原 鉱石の輸出を禁止する法律を成立させました。 この法律は2009年 に国会で成立したインドネシア鉱業法に基づいており、2014年1月 12日の午前0時(インドネシア時間)から実施されています。 この法 律には、同日以降、原鉱石はインドネシア国内の製錬所で製錬し なければならないとの条項も含まれています。 その翌月、下院は改定通商法を採択し、 これにより、中央政府は戦 略的重要産業に対する新たな権限を与えられました。 この法律が 施行されることにより、投資家側のコスト負担が増えて打撃を受け ることが予想されますが、政府はこの措置が世界貿易機関のガイ ドラインに抵触することはないとの見解を示しています。なお、 こ の通商法は海外からの投資を統制するネガティブリスト2014年第 39号の改正と密接な関係があります。 このリストでは、非自由化業 種、 自由化業種、及び厳しいガイドラインの規制を受ける業種を指 定していますが、投資家は、 この改正によって、通信、情報科学、エ ネルギー、鉱物資源などの重要分野が以前より概ね後退したとみ ています。 これらの法律がすでに発効したということは、誰が大統 領になろうとも運用されていくことを意味しています。 とは言えど も、ジョコウィが選ばれたということは、海外直接投資やM&Aの展 望に重要な変化が生じることを示唆しています。 新大統領の選出 ジョコウィが大統領選に勝利したというインドネシア選挙管理委 員会 (KPU) の発表に、市場は前向きに反応しました。投資家たち は、対立候補のプラボウォ・スビアント氏が勝利した場合には、投 資環境がますます保護貿易主義的になると予想していました。ま た投資家は、 これまでのところの新体制下での重要ポストの指名 にも好感を示しています。5月にユスフ・カッラ氏を副大統領候補 者に擁立する決断を下したことは、ジョコウィに不足しているとみ られていた政治的経験を補う結果となり、大統領選勝利の可能性 を高める結果となりました。カッラ氏は以前3代続いた政権で商業 相、国民福祉担当調整相、副大統領を歴任しています。同氏はま 日本からの海外直接投資額 5,000 $4,700 金額 US$m 4,000 $3,602 $3,807 3,000 2,000 1,000 0 $490 $466 2009 2010 出典: OECD インドネシア投資調整庁(BKPM) 2011 2012 2013 たこれまでの言動からビジネス寄りと見られており、テレビ討論 でインドネシアの競争力を高めるためには官僚機構を縮小すべ きだとする立場を示したことでも知られています。 ジョコウィはまた、政策実行のロードマップを策定する史上初の 「移行」チームを発表しました。 このチームの主なプライオリティ は、教育や健康状態の格差解消に対処するための各種対策の導 入、2014年の国家予算のほぼ3分の1を占める燃料補助金の廃止、 来年の経済成長率予想が6%から5.5%に下方修正されるほど停 滞している経済成長の活性化にあります。明るいニュースは、 リニ ・スマロ氏がこのチームのトップを務めることをはじめ、経験豊か な人々が同チームに参画することです。彼女はメガワティ前大統 領の下で商業相を務め、現在はインドネシア闘争民主党 (PDI-P) の議長に就いています。 このチームはまた、新政府の大臣の任命案を作成する仕事を託 されました。ジョコウィ―カッラ政権の狙いは、フレッシュな人材 と経験豊富な人材をミックスさせることにあります。ただし、その 実現は今後数か月間にわたって繰り広げられるPDI-P内部の政 争の結果に大きく左右されることになると思われます。ジョコウィ が自分の側近を閣僚に(例えばアニエス・バスウェダン氏を教育 相に)任命できるかどうかが当政権の行方をはっきりと示す1つの 指標になるとみられます。 なぜ見通しが楽観的なのか PDI-Pの発言をよそに、ジョコウィは、投資を活発にすることは持 続可能な経済を確立する上で不可欠であると明言しています。彼 は大統領選の遊説の際、インドネシアへの投資を検討している人 々の参考になる次の3つの中核分野を論点の中心としていました。 • 煩雑化している投資に関連する官僚機構の改善(取引登記 手続等) • ビジネス環境を著しく阻害している違法な取引慣行に対処す るという公約 • 汚職撲滅の公約。2013年、インドネシアはトランスペアレンシ ー・インターナショナルの世界汚職インデックスにおいて177カ 国中114位にランクされていました。多くの課題がある中で、汚 職はなお次期政権にとって最重要課題となっています。 海外投資家は慎重ながらも楽観的にみています。つまり、通商法 や投資ネガティブリストは施行されているとしても、政治の本心 は海外企業向けに健全なビジネス環境を創造することにあるか らです。 ジョコウィはやり遂げられるか? 10月までは舞台裏で政治的な駆け引きが続くものと思われます。 こうした駆け引きの結果は内政に決定的な影響を与え、論争の的 となっている極めて重要な燃料補助金改革を始めとした政策目標 は、反対派により頓挫する恐れも秘めています。下院で最大会派を 結成することこそが、ジョコウィが自らの改革案を実行できるか否 かの決定要因となります。現在のところ、PDI-P主導の会派がグリ ンドラ党主導のメラプティ (紅白)会派の後を146議席差で追って います。 しかし、 プラボウォ氏が選挙対策のために結成し主導する メラプティ会派は、事態の進展に伴い当会派を結成する政党が入 閣を受け入れ始めると困難に直面する可能性があります。 Kroll Quarterly M&A Newsletter – October 2014 隠れたリスクを浮き彫りにするには徹底したデューデリジェンスを 日本の投資家はインドネシアのビジネス環 境に親しみを持っているかもしれません。 し かし、汚職、不正、 その他諸々のリスクを減ら すためにはベスト・プラクティスを実践しな ければなりません。 クロールのシニア・マネ ジング・ディレクター、アジア太平洋地区統 括責任者、影山正がこれらの問題について 解説します。 投資家がインドネシア市場でビジネスを始める際に直面するリスク の最たるものは何でしょうか? 汚職と不正は依然として取引のさまざまなステージで起こる主要 なリスクとなっています。 トランスペアレンシー・インターナショナ ルの世界腐敗認識指数(CPI)では、インドネシアは世界中で最も 腐敗が深刻な国の1つとなっており、汚職防止法によりあらゆる種 類の汚職の撲滅を目指している中にあっても、汚職はなおこの国 でビジネスをする上での課題となっています。確かに、ビジネス は今でも、然るべき人間関係やコネを築くこと、あるいは何らかの 認可を得るために一定の手数料を支払うことの上に成り立ってい るのです。 不正や汚職の問題は、通信、建設、送電網、天然資源など、さまざ まなレベルで政府の許認可が必要なインフラプロジェクトに投資 する場合に発生することがしばしばあります。 このように許認可を 得るというお役所手続きを一歩ずつ進めなければならないとい う当然の労苦は別として、投資家が政府の役人に対して不正な金 銭を供与するよう要求される事案が起きています。 このようなリス クには真正面から立ち向かわねばなりません。投資家の中にはこ ういった問題が起こったときにこれを隠したり、相手方との対立 を回避したりしてしまう傾向がある人もいます。 しかし、本当は、問 題が手に負えないほど大きくなり結果的に投資に対して莫大な損 失を被ることを避けるためには、汚職や不正と真正面から対峙す ることが必要なのです。 金融サービス、製造、エネルギー、天然資源の各セクターに特 有のリスクとは? インドネシアでは金融サービス部門も政府の規制を受けますが、 それでも投資家は投資先のコンプライアンス上の問題、マネーロ ンダリング、横領などのさまざまな問題を抱えることになります。 さらに投資家は買収した銀行や金融機関のお客様のポートフォ リオについても、腐敗した団体や過激な政治・宗教団体と関係を 持っている可能性を見据えて、慎重に精査しなければなりません。 製造業においては、サプライチェーンに絡む不正行為やキックバ ックによる賄賂が典型的な課題であり、程度の差こそあれ、インド ネシアはアジアのどの国よりも顕著です。従業員は労働法によっ て強固に守られているため、労働問題も大きな課題となっていま す。外国人所有者が人員削減やその他の人員調整を実施すること が難しい場合もあります。 エネルギーや天然資源関連企業への投資に際しても、贈収賄にま つわるリスクが幅広くみられます。指導者や、政治環境が全面的に 変わるということは、海外からの投資と天然資源プロジェクトの国 有化についての方針もあっという間に変わり得ることを意味してい ます。例えば、外国のある投資グループが、何年にもわたって有効と 考えていたある採鉱プロジェクトの利権を所有していたところ、最 近になり指導者層が変わった地方政府から、 このたび利権の認可 期間が短縮されたことを告げられたというような事例があります。 デューデリジェンス実施の手間と労力はどこにあるか? インドネシアでデューデリジェンスを実施するには多くの障害が 立ちはだかりますが、 この国で投資活動をする上では必要不可欠 なプロセスです。インドネシアの企業は不透明な部分が多く、現 地のコングロマリットの株主構造を把握することに困難をきたす ケースが多々あります。投資をする前にまずベンチャー事業のパ ートナーが誰で、そのパートナーが企業の中でどのような役割を 果たしているかを調べなければなりません。限られた情報だけで 物事を決めてしまう投資家は、銀行や商社などのファイナンシャ ル・アドバイザーに頼りすぎる投資家と同様、投資で損失を被る のは避けられないことになるでしょう。 同様に、公開情報についても一貫性がなかったり、あるいはまっ たく入手できないこともあります。つまり、調査はインドネシア国 内だけでは完結せずに、シンガポールや香港、さらにはケイマン 諸島にある情報を探す作業も時として必要になります。結局のと ころは、現場へ足を運び、然るべき人に然るべきことを尋ね、自分 の目と直感で状況を判断することに勝ることはない、 ということに なります。 インドネシアに多く存在する家族経営企業との交渉に際して投 資家が取るべき手法とは? 日本の投資家は、ビジネスリーダー、現地住民、そして時として政 治家の間に存在する複雑に入り組んだ家族の絆、個人的な関係 を上手に舵取りする術を身につける必要があります。デューデリ ジェンス同様、 このような複雑な人脈を理解するには、現地調査 が一番です。 こうした取引の成功の鍵は、相手にしているのは誰なのか、その 人の地位は何なのか、その人の友人は誰で、敵は誰なのかをま ず知ることです。海外の投資家は、 このようなことについて健全な 懐疑心を抱き、投資対象企業内部のガバナンス構造のダイナミク ス、現地のビジネス環境、利害関係者に精通し、さらに、そもそも 売却に応じる当事者がなぜ資産を売却したいのかを見極めなけ ればなりません。 最後に、現地の家族経営企業のパートナーとなる投資家は、ビジ ネスと政治が密接な関係にあることを理解する必要があります。 この国でビジネスを営んでいる著名な一族の多くは地方や国の 政治に直接関わっている場合がほとんどです。 このような状況は 現実的なリスクであり、パートナーシップや関係構築に際しては 慎重な検討が必要となる所以です。 汚職事案発生時に外国投資家が法制度の下で講じ得る手続とは? インドネシアの法制度は東南アジアの周辺国よりは良いとされて いますが、法廷で現地の当事者と争うのは賢明な策ではないかも しれません。投資家は、現地の法執行機関に事前に相談する、問 題の当事者と対話を始めるなど、告訴の前に他の選択肢を検討 する必要があります。その一方で、過去に海外のパートナーと訴訟 を起こした経歴がある事業者と契約あるいはパートナーシップを 組もうとしているのではないことを十分に確認しなければいけま せん。 近年では、多くの日本人が汚職の容疑で逮捕されています。2012 年、陪審団は裁判官に賄賂を贈った罪であるメーカーの取締役 を懲役3年の刑に処し、21,000米ドルの罰金を科しました。汚職に 対しては、最高7年の懲役刑と遙かに高額な罰金が科されること があります。 Kroll Quarterly M&A Newsletter – October 2014 インドネシア 日本からの海外直接投資とM&A 投資 政治面の課題は残るものの、楽観視されるには明確な根拠があ り、日本の投資家にはインドネシアの持続する成長の波に乗る好 条件が整っています。海外直接投資について言えば、日本はイン ドネシアへの最大の投資国であり、全体の16.5%を占めています。 インドネシア投資調整庁によれば、2014年上半期の日本の海外 直接投資総額は47億米ドルに達しました。 この傾向は2015年第2 四半期まで続くものと予想され、政府の担当者は日本の投資額を 35億米ドルと予測しています。M&Aに関しては、インドネシアは依 然として東南アジア地域の有望市場とみられています。マージャ ーマーケット社のデータによれば、2013年にはインドネシア国内 だけでASEAN全体のM&A件数の18.3%を占めました。実際の取 引金額ではASEAN全体の17%を占め、 タイに次いで第2位となっ ています。 バラ色の製造業 インドネシアの自動車産業は、2009年の世界経済危機を概ね無 傷で切り抜けました。2005年から2011年までは、国内自動車販売 の年間成長率は11%で、2013年の1月から8月までの自動車販売 台数は100万台を超えました。現在の予測では、 この市場は早くて 2015年には東南アジア最大になるものと見込まれています。 この 背景としては、安定した消費者マインドと低金利を挙げることが できます。GDPと個人所得の増大により、さらなる成長が実現する ともみられています。投資に関心を寄せる人々が抱える課題は以 前と変わらず、政府による規制強化とASEAN経済共同体(AEC)設 立による競争の拡大です。AECは2015年に大きな規範を作り上 げること、つまりサービスに関するASEAN枠組み協定を締結する ことを決めています。 この協定は、ASEAN加盟国間でサービスの 自由な流通を実現し、貿易障壁を撤廃することを目指しています。 ケース: クロールはあるアジアの航空部品業者から、重要な 取引に先立ち、インドネシアの輸送会社の財務体質及びバッ クグラウンドについて分析するよう依頼を受けました。 クロー ルの調査は、ハイレベルのネットワークを駆使し、企業の複数 の実質的なオーナーや、彼らが関連している企業の財務健全 性についても行われました。その結果、その輸送会社はお客様 が認識していなかった2人の政治家が実質的に所有しているこ とが分りました。その内一名は政治的に非常にセンシティブな 一族の出身であったため、 クロールは、インドネシアの総選挙 前という環境下でそれがどのようなインパクトを与えるかにつ いても検証しました。 クロールは、その輸送企業において、その 企業の全容と実質的なオーナー、キーマン、そして企業そのも のの財務、政治、その他のリスクについてのインテリジェンス を提供しました。 お問い合わせ先 東京: 影山 正 [email protected] 03-3509-7100 消費者向けの小売・サービス業の将来性 インドネシアの個人消費はGDPの約55%を占めています。2020年 までに中間所得層が大幅に増えるとの予想は変わっていません。 急増する中流階級、豊かな労働力、都市化の進展により、消費支 出は増大しており、今後しばらくの間はその勢いが落ち込むこと は考えられません。 また、2030年までには新たに9,000万人がこの 中流階級に属するようになると予想されており、 この新たな中流 階級の出現により、当地域の成長率の40パーセントをインドネシ アが占めることになると考えられています。 このことは、日本の投 資家によるM&A件数がこの業界で増大しており、金額では全体の 約5%を占めるまでになっていることにも反映されています。 天然資源への投資 インドネシアは、これまで相対的に天然資源中心の海外直接投 資拠点でしたが、 このエリアについての将来の見通しは不透明で す。前述のように、天然資源への投資は2014年の2つの大きな変 化、つまり、原鉱石の輸出禁止および投資ネガティブリストの改正 によって打撃を受けました。今のところ、エネルギー、鉱業、公共事 業部門はM&Aの金額では第2位、件数では第4位となっています。 これらの事業をターゲットにしている日本の投資家は、規制環境 をどのように舵取りしていくかを考えておく必要があります。つま り成り行きを見守る駆け引きとなります。AECの設立が今後数年 以内に産業の自由化へのプレッシャーとなるかもしれません。 保険部門の見通し 前述のように、最近政治家の間に国家主義的な発言がみられる にもかかわらず、金融サービス部門については莫大な発展の可 能性があります。社会のトレンドが変わるということは、 この部門 が依然として日本からの投資の中核部門であり続けるということ を意味します。 この部門、特に保険業界では商品の普及度はまだ 比較的低い状況となっているものの、フィッチ格付けによれば、 中流階級の増加と経済の安定化が、この部門を投資家にとって 魅力ある投資チャンスとしています。フィッチは、80%という外国 人出資比率の上限は他のアジア諸国と比べてもより寛容として います(インド:26%、 タイ:49%)。 東京: 坂出 國雄 [email protected] 03-3509-7102 東京: 村崎 直子 [email protected] 03-3509-7103 本資料に含まれる情報は作成時点での利用可能な情報源と分析に基づいており、専ら一般的な性質の情報であるとご理解ください。本資料は情報 提供のみを目的として作成されたものであり、個別の状況についてアドバイスすることを目的としたものではありません。本資料はクロールとマージ ャーマーケット社に帰属し、 クロールの許可を得ずに、 その内容を形態を問わず、複製・転載・転送等することはご遠慮ください。本資料の利用は内部 使用目的に限られます。 ディールの詳細やM&Aに関する数値は、言及のない限り、すべてマージャーマーケット社に帰属します。 M&Aに関する数値はマージャーマーケット社 が正式に算入していない基準のディールを含むことがあります。経済面でのデータは言及のない限り、世界銀行によるものです。 Adrian Ng [email protected] +852 2158 9743