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家電購入を左右する所得以外の要因
調査レポート 03/76 2003 年 10 月 31 日 家電購入を左右する所得以外の要因 ○ 家電の購入台数は、ストックの純増分と買い替え分にわけることができる。そしてストックの 純増分は、①世帯数の増加によるもの(世帯数要因)、②普及率の上昇によるもの(普及率要 因)、③保有世帯あたり保有台数の増加によるもの(1台目購入を除く=複数保有要因)の3 つに分解できる。 ○ 普及の進んだ家電(洗濯機・冷蔵庫・エアコン・テレビ・電子レンジ)の購入台数をこの要因 で分解すると、世帯数要因によるプラス効果は安定しているが限定的である。普及率要因の寄 与はエアコンと電子レンジで見られたが、しだいに縮小している。これに対して、複数保有要 因はエアコンとテレビの購入を押し上げている。また、洗濯機・冷蔵庫・テレビはすでに買い 替え需要が大きな割合を占め、エアコン、電子レンジに関しても、徐々に買い替え需要の割合 が大きくなってきている。 ○ 買い替え需要については、非自発的要因(故障)と自発的要因(上位品目へのシフト・住居変 更・その他)にわけることができる。洗濯機とテレビは、冷蔵庫・エアコンと比較して非自発 的要因がより強く影響している。しかし、自発的要因で買い替えられる場合には、洗濯機・冷 蔵庫・テレビでは上位品目へのシフトの影響を受けやすいと考えられる。これらは高付加価値 化が進んでおり、それが買い替え意欲につながっていると考えられる。また、全ての家電で、 家電リサイクル法施行による買い替えの駆け込み需要の発生がみられた。 ○ 今後(2003∼2005年度)の家電購入についての予測を行なうと、ますます買い替え需要要因の 割合が高まる結果となる。世帯数の増加や普及率の増加による家電購入の増加が頭打ちになる につれて、買い替え需要の重要性が高まって、家電購入の下支えの役割を果たしている。家電 購入の動向を考えるときには、こうした所得動向以外の要因の影響を考えることも必要である。 【お問い合わせ先】調査部(東京)石山 美歩子 E−Mail:[email protected] はじめに 洗濯機、冷蔵庫、テレビなどの家庭用電器製品(以下「家電」)の消費動向はどうかと問 われると、 「すでに各家庭への普及が進んでおり、また世帯数の伸び率も低下しているため、 家電購入の伸びは期待できない」あるいは、 「ここ数年は所得の伸び悩みが続いているため、 比較的大型の消費である家電購入は一段と低迷している」と答えたくなる。しかし、実際 にはどうであろうか。 総務省の家計調査によると、消費全体に占める家電購入(家事用耐久財+冷暖房用器具 +教養娯楽用耐久財)の割合は、名目でみるとほぼ一定である。しかし、実質でみると、 92∼94 年は弱含んだものの上昇が続いている(図表1)。教養娯楽耐久財を中心にデジタル 関連の新製品が次々と出ており、それらが特に 90 年代後半以降において家電購入のウェイ トを引き上げていると考えられる。しかし、すでに普及が進んでいた家電(洗濯機・冷蔵 庫・エアコン・テレビ・電子レンジ)についてみても、消費全体に占めるウェイトは実質 ベースで拡大している。技術進歩を背景にした価格低下、あるいは高付加価値化に助けら れて、実質消費における家電購入の重要性は高まっているといえる。名目ベースでみても、 90 年代半ば以降は消費に占めるウェイトはほぼ横ばいであり、家電購入の伸びがことさら 期待できないという状況ではなさそうである。また、所得との関係をみると、所得の伸び 悩みに影響されて家電購入が低迷しているというよりは、所得の動向とは関係なく変動し ているようにみえる(図表2)。 図表1 消費支出に対する家電購入のウェイトの推移 (%) 図表2 (前年比、%) 所得と消費の推移(名目) (前年比、%) 30 3.0 6 2.5 4 20 2.0 2 10 1.5 0 0 1.0 -2 -10 0.5 -4 -20 0.0 -6 -30 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (年、四半期) 可処分所得 消費支出 うち家電5品目(右) 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (年、四半期) 家電合計・名目 家電合計・実質 うち家電5品目・名目 うち家電5品目・実質 (注)家電合計=家事用耐久財+冷暖房用器具+教養娯楽用耐久財 家電5品目:洗濯機、冷蔵庫、エアコン、テレビ、電子レンジ 4四半期後方移動平均値。家計調査は全世帯(農林漁家世帯除く) (資料)総務省「家計調査報告」、「消費者物価指数月報」 (注)家電5品目:洗濯機、冷蔵庫、エアコン、テレビ、電子レンジ 家計調査は勤労者世帯(農林漁家世帯除く) 4四半期後方移動平均値。 (資料)総務省「家計調査報告」 このように、家電購入が所得動向にあまり影響されることなく、また意外とも言える底 堅さを維持している理由としては、①ストックの拡大により買い替え需要が拡大している、 ②世帯数の伸びは低下しているが、2 台目 3 台目需要が出ている、③低価格でより性能の良 い製品が開発されることによって需要が喚起されている、といったことが考えられる。そ こで、本レポートではこうした所得以外の要因に焦点をあてて、家電購入がこれまでどの ような要因によって伸びてきたのか分析した上で、家電購入の今後の動向を予測してみる。 -1- なお、分析の対象としては、すでに普及が進んでいる5品目(洗濯機、冷蔵庫、エアコン、 テレビ、電子レンジ)を対象にする。 1. 家電購入の分析 (1)家電購入台数の要因分解 家電購入を分析するにあたって、耐久財という商品特性に着目すると、ある年の購入台 数はストックの純増分と買い替え分にわけることができる。 ストックは「世帯数×普及率×保有世帯あたり保有台数」で表せるから、ストックの純 増分は、①世帯数の増加によるもの(世帯数要因)、②普及率の上昇によるもの(普及率要 因)、③保有世帯あたり保有台数の増加によるもの(1台目購入を除く=複数保有要因)の 3 つに分解できる(図表3)。 図表3 家電ストック n年度の購入台数 世帯数 = = 家電購入台数の要因分解 × 普及率 n年度末時点の 家電ストック − × 保有世帯あたり 保有台数 (n-1)年度末時点の 家電ストック + 買い替え ストックの純増 世帯数要因 + 普及率要因 + 複数保有 要因 買い替え 需要要因 ・n年の購入台数={n年度末の家電ストック−(n-1)年度末の家電ストック}+買い替え需要要因 ・世帯数要因=n年度中の増加世帯数×{(n-1)年度末の(普及率×保有世帯あたり保有台数)} ・普及率要因={n年度末の普及率−(n-1)年度末の普及率}×n年度末の世帯数 ×n年度末の1保有世帯あたり保有台数 ・複数保有要因=保有世帯あたり保有台数要因 ={n年度末の1保有世帯あたり保有台数−(n-1)年度末の1保有世帯あたり保有台数} ×n年度末の保有世帯数 ・買い替え需要要因=(n-1)年度末のストック×n年度の買い替え率 注)世帯数は住民基本台帳のデータ(10月1日時点の数字)だが、毎年度末の世帯数のデータがないため、 これを年度末の数値とした。 -2- ①世帯数要因 世帯数が増えてくれば、家電購入台数は拡大する。高度成長期のように世帯数が高い伸 びを示していれば、世帯数要因は家電購入に大きく影響する。わが国の世帯数の伸びは、 団塊の世代の世帯形成が進んだ 70 年代前半にピークをつけた後は大幅に低下している。た だ、核家族化が続いていることもあり、世帯数の伸び率は1%強での安定的推移が続いて いる(図表4)。このため、世帯数要因は小幅ではあるが安定的に家電購入台数を押し上げ ている。 図表4 世帯数の推移 (100万世帯) (前年比、%) 60 4.5 4.0 50 3.5 3.0 40 2.5 2.0 30 20 1.5 1.0 世帯数 10 0.5 0.0 前年比(右) 0 60 65 70 75 80 85 90 95 00 (年) (注)10月1日時点の値 (資料)総務省「住民基本台帳」 ②普及率要因 新しい家電が普及する段階では普及率の上昇が家電購入を飛躍的に拡大させる。過去に おいて、冷蔵庫、洗濯機、テレビといった家電が普及率を上昇させ、70 年代後半には普及 率はほぼ 100%に達した。その後は電子レンジ、エアコンの普及率が高まって、家電購入を 増加させた。今でも食器洗い機やDVDなど新たに普及する家電製品はあるが、ここで分 析対象にした家電 5 品目については普及率要因による消費拡大効果は期待できなくなって いる(図表5)。 図表5 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 5 品目の普及率の推移 (%) エアコン 電子レンジ テレビ 70 75 80 85 90 (注)77年以前は2月末、78年以降は3月末時点の値 (資料)内閣府「消費動向調査」 -3- 冷蔵庫 洗濯機 95 00 (年) ③複数保有要因 普及率が 100%に達しても保有世帯あたりの保有台数が増えていれば、家電購入は増加す る。こうした 2 台目 3 台目需要による家電購入の押し上げ効果は品目によって異なる。た とえば、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジは各家庭に一台あれば多くの場合十分であり、2 台目 3 台目需要はあまり出てこない。これに対して、テレビやパソコンは一家に一台という状態 から一人に一台、あるいは一部屋に一台という状況に変わってきている(図表6)。こうし た品目では複数保有要因が家電購入を押し上げている。また、高品質の製品あるいは単機 能だが安価な新製品の投入は複数保有要因による購入増加をもたらしている可能性がある。 図表6 3.0 2.8 2.6 2.4 2.2 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 5 品目の保有世帯あたり保有台数の推移 (台) エアコン 電子レンジ テレビ 70 75 80 冷蔵庫 洗濯機 85 90 95 00 (年) (注)保有世帯あたり保有台数=100世帯あたり保有台数(台)/普及率(%) 77年以前は2月末、78年以降は3月末時点の値 (資料)内閣府「消費動向調査」 ④買い替え要因 買い替えによる家電購入は、買い替えの対象となるストックが拡大してくれば必然的に 増加してくるものである(図表7) 。耐用年数が伸びたり、景気動向などに影響されて買い 替えが手控えられたりすると平均使用年数が長くなってくるが、それでもいずれは使えな くなり買い替え需要が顕在化してくる。普及率が 100%に近い品目では、家電販売に占める 買い替え需要の割合は高くなる。 図表7 60 (百万台) 洗濯機 5 品目のストックと買い替え率の推移 (%) 50 40 30 20 10 ストック 買い替え率(右) 0 (百万台) 16 14 12 10 8 6 4 2 0 14 60 12 50 10 40 8 (年度) 6 30 20 ストック 4 10 買い替え率(右) 2 0 0 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)買い替え率=買い替えを行なった世帯の割合 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (%) 冷蔵庫 70 (年度) (注)買い替え率=買い替えを行なった世帯の割合 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 -4- エアコン (百万台) テレビ (百万台) (%) (%) 16 8 140 120 ストック 7 120 14 100 買い替え率(右) 6 100 12 5 80 140 80 4 60 3 4 1 20 買い替え率(右) 2 0 0 20 0 0 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) (注)買い替え率=買い替えを行なった世帯の割合 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 電子レンジ 6 ストック 2 (百万台) 8 60 40 40 60 10 (年度) (注)買い替え率=買い替えを行なった世帯の割合 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (%) 6 50 5 40 4 30 3 2 20 ストック 10 1 買い替え率(右) 0 0 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) (注)買い替え率=買い替えを行なった世帯の割合 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (2)要因別にみた家電購入 次に、こうした家電購入要因がそれぞれどの程度実際の購入に影響しているか、品目ご とにみてみた。 ① 洗濯機 洗濯機は早くから普及が進み、70 年代後半には普及率は 100%近辺に達していた。また、 複数保有化の動きはほとんどない。このため、購入台数は世帯数の増加により一定の台数 が押し上げられる以外、ほとんどが買い替え需要要因によるものとなっている(図表8)。 図表8 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 購入台数の推移(洗濯機) (百万台) 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 -5- ② 冷蔵庫 冷蔵庫も洗濯機と同じく 70 年代後半から普及率が 100%近辺で推移している。洗濯機と 比較すると、若干複数保有の動きはあるものの、そのペースは鈍い。従って、購入台数の 推移も洗濯機と同様に、ほとんどが買い替え需要要因によって占められている(図表9)。 図表9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 購入台数の推移(冷蔵庫) (百万台) 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 ③ エアコン エアコンは、これまであまり購入されていなかった北海道など寒冷地域への普及とすで に普及している地域での複数保有化が同時に進んできた。普及率については伸び率が低下 してきているが、複数保有化は足元でもまだ続いている。このため複数保有要因が足元で も大きく寄与しているのに対し、普及率要因は寄与度が小さくなってきている。また、ス トックの拡大と買い替え率の上昇により、買い替え需要要因が徐々に大きくなってきてい る(図表 10) 。 図表 10 購入台数の推移(エアコン) (百万台) 14 12 10 8 6 4 2 0 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 -6- ④ テレビ テレビは、普及が早くから進み 70 年代後半には 100%近辺に達しており、買い替え要因 の占める割合が高い。また、複数保有化の動きが続いており、複数保有要因が購入台数を 押し上げている(図表 11)。 図表 11 購入台数の推移(テレビ) (百万台) 12 台 10 8 6 4 2 0 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 ⑤ 電子レンジ 電子レンジは普及が進んでいたが、足元で普及率の伸びが鈍化してきている。そのため、 購入台数も普及率要因によるものが減少してきており、代わりに買い替え需要要因による ものが増加してきている。また、複数保有化の動きはほとんど見られていない(図表 12)。 図表 12 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 -0.5 購入台数の推移(電子レンジ) (百万台) 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 -7- (3)買い替え需要による家電購入の拡大 ① 買い替え需要の要因分解 各家庭への普及過程がすでに完了している洗濯機・冷蔵庫・テレビは、かなり前から買 い替え需要要因が購入台数の多くを占めるようになっている。また、エアコンや電子レン ジも普及が進んできて、徐々に買い替え需要要因が大きくなっている。 買い替えに対する潜在需要は、家庭で保有される家電ストックの拡大、特に耐用年限に 近づいたストックが増えてくると拡大する。こうした潜在需要はいずれ顕在化してくるの であるが、そのタイミングは購入者の買い替え判断によってずれてくる。 まず、保有している家電が故障してしまった場合、修理するという選択肢があるが、修 理に時間がかかる場合、あるいは費用がかさむ場合は買い替えざるを得ないであろう。こ うした故障による買い替えは非自発的要因による買い替えとも言えるものである。これに 対して、まだ使えるが、すでに購入してから何年も経過しているので、①より性能の高い 製品や省エネ効果の高い製品が手ごろな価格で購入できる(上位品目への移行) 、②引越し の予定がある(住居変更)、③リサイクル法の施行や消費税率引き上げといった制度変更が 予想される、といったことを理由に買い替えることもある。こうした買い替えは自発的要 因による買い替えということができる。 内閣府の消費動向調査では、買い替え需要を故障、上位品目への移行、住居変更といっ た理由で区分しているので、そのデータを用いて各品目の買い替え需要を自発的要因と非 自発的要因に分解してみた(図表 13、14)。 図表 13 買い替え需要 = 買い替え需要の要因分解 非自発的要因 (故障) + 自発的要因 (上位品目・住居変更 ・その他) 注)カッコ内は、消費動向調査(内閣府)の買い替え理由の項目 電子レンジは調査対象に含まれていない。 -8- 図表 14 買い替えの要因分解(品目別) 冷蔵庫 (前年比、%) 洗濯機 (前年比、%) 90 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 60 30 0 -30 -60 96 97 98 非自発的要因 買い替え 99 00 01 自発的要因 02 96 03 (注)年度の買い替え台数を買い替え割合をもとに四半期分割した (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 98 非自発的要因 99 00 01 02 03 自発的要因 買い替え (注)年度の買い替え台数を買い替え割合をもとに四半期分割した (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 テレビ (前年比、%) エアコン (前年比、%) 97 (年、四半期) (年、四半期) 180 30 150 20 120 10 90 60 0 30 -10 0 -20 -30 -30 -60 96 97 98 非自発的要因 買い替え 99 00 01 自発的要因 02 96 03 (注)算出した年度毎の買い替え台数を、買い替え割合をもとに四半期分割。 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 97 98 99 00 01 02 03 (年、四半期) 非自発的要因 買い替え (年、四半期) 自発的要因 (注)算出した年度毎の買い替え台数を、買い替え割合をもとに四半期分割。 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 もっとも自発的要因と非自発的要因による区分は厳密なものではなく、両方が複合して いることもある。要因分解した結果を見ると、いずれの品目でも買い替えが増加した時は 両方の要因が増加に寄与し、減少した時は両方の要因が減少に寄与することが多い。ただ、 品目によって非自発的要因の影響度が強い、つまり故障するまで使いきる傾向が強い品目 があれば、他の品目に比べて自発的要因の影響度が強い、つまり新製品の投入によって買 い替えが誘発されやすい品目もある。 -9- ② 買い替え需要拡大の背景 ○ ストックの拡大 家電 5 品目のストックは全て拡大を続けているため、買い替えに対する潜在需要も拡大 しているといえる。しかし、拡大のペースは品目によって異なる。家電は、購入後 10 年前 後で買い替えられており(図表 16) 、現在は 1990 年代前半に購入された製品が買い替え時 期を迎えているといえる。図表 15 によると、1990 年代前半はエアコンのストックが大きく 拡大しており、また、テレビと電子レンジについても比較的大きく拡大していたといえる。 図表 15 ストック純増分の推移 洗濯機 エアコン 電子レンジ (百万台) 10 冷蔵庫 テレビ 8 6 4 2 0 -2 70 75 80 85 90 95 00 (年度) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 ○ 耐用年数 平均使用年数(買い替えの時にそれまで使用していた製品の使用年数)は、全ての品目 で長期化している。修理断り目安年数は、販売店において修理用の部品がないために修理 を断った製品の平均的な使用年数のことであり、使用している家電が故障したときにこの 年数を超えていると、修理は受け付けてもらえず買い替えざるをえなくなる。従って、こ の年数は非自発的要因に影響を与えると考えられる。期待使用年数は、手持ちの家電の経 過年数と今後その家電を使いたい年数の合計値であり、自発的要因に影響すると考えられ る。洗濯機とテレビの平均使用年数は、期待使用年数と修理断り目安年数の両方を下回っ ており、まだ上昇の余地があるといえる。冷蔵庫の平均使用年数は 2001 年に両方の年数を 超え、その後短期化したもののほぼ同程度となっている。エアコンの平均使用年数は 2001 年後半以降常に修理断り目安年数を上回っており、非自発的要因が出やすくなっていると 考えられる。また、期待使用年数にも近づいており平均使用年数の一層の長期化は難しい と考えられる(図表 16)。 - 10 - 図表 16 平均使用年数・期待使用年数・修理断り目安年数の推移 洗濯機 (年) (年) 冷蔵庫 12.5 11.5 11.0 10.5 10.0 9.5 9.0 8.5 8.0 12.0 11.5 11.0 10.5 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 93 95 96 97 98 99 00 01 02 03 (年、四半期) 平均使用年数 期待使用年数(12.1年) 修理断り目安年数(11.8年) (注)平均使用年数は4四半期後方移動平均値 期待使用年数と修理断り目安年数は2000年9月時点 (資料)家電製品協会「家電製品消費者使用実態調査」、 同「家電販売店サービス状況調査」、内閣府「消費動向調査」 (注)平均使用年数は4四半期後方移動平均値 期待使用年数と修理断り目安年数は2000年9月時点 (資料)家電製品協会「家電製品消費者使用実態調査」、 同「家電販売店サービス状況調査」、内閣府「消費動向調査」 (年) 94 (年、四半期) 平均使用年数 期待使用年数(10.9年) 修理断り目安年数(9.8年) (年) エアコン 13.5 12.0 13.0 11.5 12.5 11.0 12.0 10.5 11.5 10.0 11.0 9.5 10.5 テレビ 9.0 93 94 95 96 97 98 99 00 平均使用年数 期待使用年数(13.2年) 修理断り目安年数(12.0年) 01 02 03 93 (年、四半期) (注)平均使用年数は4四半期後方移動平均値 期待使用年数と修理断り目安年数は2000年9月時点 (資料)家電製品協会「家電製品消費者使用実態調査」、 同「家電販売店サービス状況調査」、内閣府「消費動向調査」 94 95 96 97 98 99 00 平均使用年数 期待使用年数(11.5年) 修理断り目安年数(10.9年) 01 02 03 (年、四半期) (注)平均使用年数は4四半期後方移動平均値 期待使用年数と修理断り目安年数は2000年9月時点 (資料)家電製品協会「家電製品消費者使用実態調査」、 同「家電販売店サービス状況調査」、内閣府「消費動向調査」 ※「期待使用年数」…手持ちの家電の経過年数と今後使いたい年数の合計値 「修理断り目安年数」…販売店において修理用部品がないために修理を断った製品の、平均的な使用年数 ともに家電製品協会が行なったアンケート調査の結果。 なお、電子レンジの「期待使用年数」は12.0年、修理断り年数は10.0年である。 - 11 - ③ 非自発的な買い替えと自発的な買い替え ○ 非自発的要因 ∼ 故障による買い替え 図表 14 の買い替えの要因分解について、寄与率の年度平均を示したのが図表 17 である。 図表 17 200 寄与率の推移(年度平均) 洗濯機 (%) 150 100 50 0 -50 -100 92 93 94 95 96 97 冷蔵庫 (%) 自発的(故障以外) 非自発的(故障) 160 140 120 100 80 60 40 20 0 -20 -40 -60 自発的(故障以外) 非自発的(故障) 98 99 00 01 02 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 (年度) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 エアコン (%) 400 200 0 -200 自発的(故障以外) -400 非自発的(故障) -600 94 95 96 97 98 99 00 01 02 非自発的(故障) 92 (年度) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 自発的(故障以外) 160 140 120 100 80 60 40 20 0 -20 -40 -60 600 93 テレビ (%) 800 92 02 (年度) 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (年度) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 図表 17 によると、洗濯機とテレビについては、非自発的要因がより強く影響しているこ とがわかる。洗濯機やテレビは、故障して使えなくなってから買い替えてもそれほど困ら ない性質があるためと思われる(しかし、洗濯機については、1999∼2001 年度にかけて自 発的要因の影響が大きくなっている)。一方、使えなくなるとすぐに生活に支障をきたす冷 蔵庫は、故障する前に買い替える傾向があると考えられる。エアコンは、2000 年度以降自 発的要因の影響が大きくなっている。エアコンの複数保有化はこのころから特に進んでお り(図表6) 、故障してから買い替えるのではなく、買い増しに加えて買い替えも計画的に 行なわれている可能性がある。 ○ 自発的要因 自発的要因を上位品目・住居変更・その他に分解したものが、図表 18 である。 - 12 - 図表 18 自発的要因の内訳 洗濯機・自発的要因内訳 (前年比、%) 150 うち上位品目 うち住居変更 うちその他 自発的要因計 50 0 -50 -100 96 97 98 その他 住居変更 160 140 120 100 80 60 40 20 0 -20 -40 -60 100 95 洗濯機・寄与率 (%) 200 99 00 01 02 上位品目 03 95 96 97 98 99 00 01 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 冷蔵庫・自発的要因内訳 (前年比、%) 200 02 (年度) (年、四半期) うち上位品目 うち住居変更 うちその他 自発的要因計 150 (%) 冷蔵庫・寄与率 その他 住居変更 上位品目 250 200 150 100 100 50 50 0 0 -50 -50 -100 -100 -150 95 96 97 98 99 00 01 02 03 95 (年、四半期) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (前年比、%) 98 99 00 01 02 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 エアコン・自発的要因内訳 エアコン・寄与率 (%) うちその他 300 うち住居変更 200 うち上位品目 300 97 (年度) 500 400 96 100 自発的要因計 200 0 100 -100 その他 住居変更 上位品目 -200 0 -300 -100 95 96 97 98 99 00 01 02 (年、四半期) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (前年比、%) テレビ・自発的要因内訳 うち上位品目 100 うちその他 80 95 03 97 98 99 01 02 (注)99年度の寄与率は、上位品目3774.3%、 住居変更1459.1%、その他-5133.4% (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (%) テレビ・寄与率 250 200 上位品目 60 150 その他 40 100 20 50 0 0 -20 -50 -40 -100 -60 00 (年度) うち住居変更 自発的要因計 96 住居変更 -150 95 96 97 98 99 00 01 02 03 95 96 97 98 99 00 01 (年、四半期) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 - 13 - 02 (年度) ・ 上位品目へのシフト 自発的要因のなかで上位品目へのシフトの影響が平均して大きいのは、洗濯機とテレビ である。また、冷蔵庫も年によって差があるものの、比較的影響が大きい。洗濯機・冷蔵 庫・テレビは高付加価値化が進んでおり、それが買い替え意欲につながっていると考えら れる。特に、洗濯機は 1997 年ごろから一層の高付加価値化が進んでおり(図表 19)、それ に伴うように上位品目の寄与率も 1998 年度以降増加している。 図表 19 高付加価値化が進む洗濯機・冷蔵庫・テレビ 洗濯機 エアコン 電子レンジ 80 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 92 93 94 95 冷蔵庫 テレビ 96 97 98 99 00 01 02 03 (年、四半期) (注)付加価値=購入価格(家計調査)−CPI CPIと購入価格(家計調査)は1992年1Q=100として指数化 購入価格は4四半期後方移動平均値 (資料)総務省「消費者物価指数」、「家計調査報告」 ・ 転居による買い替え 転居は、洗濯機と冷蔵庫の買い替えにおいて、多少影響を与えていたようである。しか し、全ての品目で足元の寄与率は低くなっている。住宅着工戸数は伸び悩んでいることも、 転居の寄与を下押ししている可能性がある(図表 20)。 図表 20 (前年差、百万台) 住宅着工戸数と「住居変更」に伴う買い替え (前年差、百万台) (前年比、%) 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 0.15 0.10 0.05 0.00 -0.05 -0.10 -0.15 95 96 洗濯機 97 98 冷蔵庫 99 00 01 02 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 0.06 0.04 0.02 0.00 -0.02 -0.04 -0.06 -0.08 95 03 住宅着工戸数(右) (注)洗濯機・冷蔵庫は「住居変更」を理由とした買い替え台数の前年差 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」、 国土交通省「建築着工統計」 (前年比、%) 0.08 96 エアコン 97 98 テレビ 99 00 01 02 03 住宅着工戸数(右) (注)エアコン・テレビは「住居変更」を理由とした買い替え台数の前年差 (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」、 国土交通省「建築着工統計」 - 14 - ・ その他 ∼ 制度的要因・天候要因 分析期間内で買い替え需要に影響を与えたと思われる出来事として、1997 年 4 月の消費 税率引き上げと 2001 年 4 月の家電リサイクル法施行が挙げられる。そこで、図表 18 で駆 け込み需要が最も発生したと思われる 1997 年 1∼3 月期と 2001 年 1∼3 月期をみると、洗 濯機は両方とも「その他」が買い替えを押し上げている。また、冷蔵庫・エアコン・テレ ビについては、2001 年 1∼3 月期は「その他」が買い替えを大きく押し上げている。 以上、5 品目の潜在買い替え重要を顕在化させる要因になると思われるものをまとめると、 図表 21 にようになる。 図表 21 品目別買い替え需要顕在化要因 潜在買い替え需要 ストックの拡大 (90年以降) 購入者の買い替え判断 耐用年数 自発的要因 非自発的要因 故障による買い替え 上位品目へのシフト 転居による買い替え その他の要因 洗濯機 ストックの拡大は世帯数 の増加に伴うもののみ。 そのため、拡大のペース は小さいが安定。 比較的多い(ただ 耐用年数は、5品目の中 し、99∼01年は少な で最も短い(10年弱)。 かった) 自発的要因のなかでは多 他の品目と比較する い。特に98年にやや寄与 と影響があるが、 率が低下したがその後拡 年々弱まっている。 大。 消費税率引き上げ、リサ イクル法施行による駆け 込み 冷蔵庫 洗濯機と同じ。 期待使用年数と修理断り 目安年数の差が最も小さ 比較的少ない い(0.3年)。耐用年数 は12年程度。 それほど多くない。ただ 他の品目と比較する し、02年は大きく寄与。 と影響がある リサイクル法施行による 駆け込み。天候要因も多 少ある。 エアコン 普及と複数保有化が同時 に進行したことから、ス トックは急速に拡大。 期待使用年数と修理断り 目安年数の差が最も大き い(1.2年)。長期化が 比較的少ない 最も進んでいると思われ る品目。 それほど多くない。 ほとんど影響はない リサイクル法施行による 駆け込み。天候要因も多 少ある。 テレビ 普及過程は終了している ものの、複数保有化が続 いていることから、ス トックの拡大は続いてい る。 足元で長期化が進んでい る。耐用年数は11年程 比較的多い 度。 自発的要因のなかでは多 ほとんど影響はない い。 リサイクル法施行による 駆け込みがみられたが、 他の品目ほど突出してい ない。 普及過程にあった80年代 後半から90年代前半にか 電子レンジ けて大きく拡大。足元の 拡大のペースは、洗濯 機・冷蔵庫と同程度。 耐用年数は、テレビと同 程度か。 ― - 15 - ― ― ― 2. 今後の家電購入の考察 今後の家電購入の予測を、図表4で示した購入要因に基づいて行なった。 (1)世帯数要因 世帯数は前年比1%強の低い伸びが続き、家電購入に与えるプラス効果は限定的だった。 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計・2003(平成 15) 年 10 月推計)」によると、2003 年度以降の世帯数の伸び率はこれまでよりもさらに低くな る見込みである。世帯数要因による家電購入の拡大は、一段と限定的になることが予想さ れる(図表 22)。 図表 22 世帯数の推移(予測) (100万世帯) (前年度比、%) 60 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 予測 50 40 30 20 世帯数 10 世帯数伸び率(右) 0 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (年度末) (資料)総務省「住民基本台帳」、 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2003年10月推計)」 (2)普及率要因 洗濯機・冷蔵庫・テレビは足元と同水準の 100%近くで推移するため、普及率要因による 消費の拡大は引き続き期待できない。また、エアコンと電子レンジは足元のトレンドが続 くと想定し、電子レンジの普及率は足元の水準でほぼ横ばい、エアコンの普及率は緩やか な上昇が続き、わずかながら消費を拡大させると予想した(図表 23)。 図表 23 普及率の推移(予測) (%) 100 95 90 85 予測 80 75 70 65 冷蔵庫 エアコン 電子レンジ 洗濯機 テレビ 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (注)77年以前は2月末、78年以降は3月末時点の値 (資料)内閣府「消費動向調査」 - 16 - (年度末) (3)複数保有要因 洗濯機・電子レンジ・冷蔵庫については、一家に一台が基本であり複数保有の動きは広 がっていない。そこで、今後についても、複数保有は進まず、一保有世帯あたり保有台数 は 2002 年度と同水準で推移するとした。一方、複数保有化の進んでいるエアコンとテレビ については、足元のトレンドを参考に、今後も複数保有化が進み、消費を拡大させるとし た(図表 24)。 図表 24 (台) 3.5 保有世帯あたり保有台数の推移(予測) 冷蔵庫 エアコン 電子レンジ 洗濯機 テレビ 予測 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (資料)内閣府「消費動向調査」 (年度末) (4)買い替え需要要因 洗濯機・冷蔵庫・電子レンジの買い替え率は 2002 年度と同水準とした。エアコンは、2003 年度は冷夏だったため買い替えの動きが鈍った可能性があるが、買い替え率は上昇トレン ドにあるため、2003 年度は 2002 年度比横ばいとし、2004、2005 年度は上昇するとした。 テレビの買い替え率は、2002 年度は低下したもののトレンドとしては上昇している。テレ ビはすでに使用年数の長いストックが多いことから、2003 年度以降の買い替え率は緩やか ながら上昇を続けるとした。 - 17 - (5)2003∼2005 年度の家電購入(台数)予測 以上の内容を踏まえて算出した 2003∼2005 年度の家電購入予測は、図表 25 のとおりと なる。 図表 25 買い替え台数の予測 8 (百万台) 洗濯機 予測 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 8 7 6 5 4 3 2 1 0 -1 -2 (百万台) (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (百万台) (百万台) 12 15 予測 予測 テレビ エアコン 11 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 13 予測 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 冷蔵庫 9 9 6 7 5 3 3 1 0 -1 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (年度) (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 -0.5 (百万台) 電子レンジ 予測 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 (年度) うち買い替え需要要因 うち普及率要因 販売台数合計 うち世帯数要因 うち複数保有要因 うち世帯数要因 うち複数保有要因 (注)買い替えは1世帯・1年度あたり1台と仮定 買い替え需要要因=世帯数×買い替え率(消費動向調査) (資料)内閣府「消費動向調査」、総務省「住民基本台帳」 - 18 - おわりに 個人消費は、所得や消費者マインドの動向によって決まってくると考えるのが一般的で ある。たしかに、経済全体の消費動向を考える時にはこうしたアプローチが妥当であろう。 しかし、家電購入の場合、所得やマインドといった基本要因だけではなく、それ以外の要 因も販売台数に影響してきている。近年では、世帯数要因や普及率要因のプラス寄与はあ まり大きくないが、2 台目 3 台目といった複数保有が家電購入を押し上げている。 また、世帯数の増加や普及率の上昇による家電購入の増加が頭打ちになるにつれて、買 い替え需要の重要性が高まって、家電購入の下支えの役割を果たしている。買い替え需要 は家電の故障によって顕在化することもあれば、魅力的な新製品が投入されることで誘発 されることもある。前者については家電の耐用年数が重要であり、後者については耐用年 数に加えて、ニューモデルの投入状況や販売価格といった供給サイドの需要掘り起こし努 力も重要になってくる。さらに、家電リサイクル法の導入や消費税率の引き上げといった 制度問題が家電購入に影響することもある。 家電に限らず自動車も含めた耐久財の販売は大型消費であり、景気との連動性が強いと いわれている。たしかに、耐久財を購入できるだけの所得があるということは消費の大前 提である。しかし、家電など耐久財の消費動向はさまざまな要因が影響してくるため、景 気動向とは異なった動きを示す可能性がある。景気が悪い割に家電の消費動向がよいとい うときには、こうした所得以外の要因が影響している可能性がある。 ※本レポートに掲載された意見・予測等は資料作成時点での判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。 - 19 -