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Page 1 Page 2 Page 3 我々が生活している環境を見渡すと様々な種類
シロイヌナズナ花序茎頂で発現する
受容体型キナーゼ遺伝子の機能解析
金本 浩介
2002
1
▲
l.
緒論…………………………………………………………………………………………………………3
2.
1章………………………………………………………………………………………………………‥10
2.1.
序論………………………….‖…………………………………………………………………‥10
2.2.
材料と方法………………………………………………………………………………………12
2.3.
結果………………………………………………………………………………………………‥16
2.4.
考察………………………………………………………………………………………………‥32
3.
2章………………………………………………………………………………………………………‥36
3.1.
序論.…‥‥‥‥…..‥‥.‥‥…………‥….……‥..‥.‥…….…‥‥‥….…‥.……….……‥‥‥…36
3.2.
材料と方法…………………………………‖………………………………………………….38
3.3.
結果………………………………………………………………………………………………‥42
3.4.
考察………………………………………………………………………………………………‥61
4.
結論……………………………………………………………………………………………………….67
5.
謝辞……………………………………………………………………………………………………….69
6.
参考文献…………………………………………………………………………………………………70
2
. J
1.緒論
我々が生活している環境を見渡すと様々な種類の植物がそこにはある
。それらの植物は四季を通じて我々を和ませ、さらには我々が生きる上で必要
となる恵を与えてくれるものである。顕花植物では、おおよそ25万種の植物が
存在している。このような多数の種が存在する植物において我々が最もよく目
にする特徴はその形態的な違いであると思われる。葉や花の形、色はもちろん
のこと、それら葉や花器官の配置なども種によって異なる。植物の地上部は、
茎と葉、そして葉の相同器官である花などの側性器官から構成されている。そ
して茎とその側生の葉は一括してシュートと呼ばれている。このシュートの形
態は多様である。アスパラガスでは細長い緑色の茎と薄い鱗片葉とのシュート
を形成する。シュートは、地上にまっすぐに伸びるものだけではない。他の植
物の幹にからみつくシュート、地中に伸びるシュート、地中で貯蔵器官となっ
ているシュート、月夜芽が特殊な栄養繁殖器官となったシュートなどがある。野
菜として我々が目にするキャベツやタマネギもシュートである。キャベツの場
合は、中心の白くて硬い芯が茎でありその短い茎に食用とする葉が取り囲んで
いる。タマネギの場合も同様で、食用となる鱗片葉が中心部の短い茎を囲んで
いて、地中にあっても茎の頂端分裂組織由来のシュートである。
高等植物に多様な形態が存在するのは、1つとしてこのシュートの形態
的な多様性であるといえる。現在、シュートがどのように形づくられていくの
かについて分子生物学による解明が行われ続けている。栄養生長相から生殖生
長相への転換である花成については、日長、温度による外的なシグナルや内在
性プログラムによって了乱(Simon etal.,1996)やLFY(Weigeletal.,1992)、FT
(Kobayashietal.,1999)などの分裂組織の分化を決定する遺伝子の発現が制御さ
れ、花の形成が開始されると考えられている。さらに花を構成する各器官の発
生についてはABCモデル(Bowmanetat.,1989)が提唱されており、制御メカニズ
ムが明らかにされようとしている。しかし、花、菓、根などの器官形成がどの
ように行われていくのか?それにはどのような下流の遺伝子が実際に機能して
いるのか?といった疑問は解き明かされていない。この疑問を解き明かす1つ
の方法として高等植物の器官形成の場である分裂組織の機能を分子レベルで調
べることが必要であると考えた。
高等植物における形態形成
高等植物の地上部の形態形成は、その茎頂に存在する分裂組織において
3
▼_▼」 」 ▼.▼._、__..__
・
、地下部の形態形成は根端に存在する分裂組織がそれぞれの役割を担っている
。茎頂分裂組織は、栄養生長相には葉、茎器官を形成する。さらに生長して生
殖生長相に入った頂端分裂組織は葉、茎以外に花器官を形成する花序分裂組織
へと移行する。このように生長相の違いによって形成する器官の種類が異なり
はするが、その組織の基本的な構造は推持されている。茎頂分裂組織は、大き
く3つの領域に分けられる(図1−1)。中心領域(centralzone)、周辺領域(peripheral
zone)、髄状領域(rib zone)から構成されている。中心領域は、未分化な細胞
から構成されていて新しい細胞が生み出されているところである。中心領域で
分裂した細胞は、中心領域から送りだされ、周辺領域で分化して葉、花器宮原
基の形成を開始していく。これまでに茎頂分裂組織の機能に影響を与える変異
体が報告されており、これらの変異体の解析を通して分裂組織がどのような遺
伝子の機能によって機能しているのかについて少しづつわかってきた。例えば
、5rm変異体では、茎頂分裂組織に存在する未分化な細胞群を維持することがで
きなくなり、分裂組織が最終的には喪失する(Endrizzietat.,1996)。WuS変異体で
も 5加変異体と同様な表現型が観察されているがその機能は幹細胞を定義する
正の因子として考えられている。また、CJvJ変異体では未分化細胞が分裂組織
に蓄積されるために分裂組織の肥大化が生じる(Clark etal.,1997)と考えられて
おり、茎頂分裂組織の維持に機能する遺伝子が明らかになりつつある。一方、
根端における細胞の分化では、既に分化した娘細胞からの分化を促すシグナル
が求頂的に始原細胞に伝わるのに対し、静止中心からは隣接する始原細胞の分
化を抑制して、未分化な状態を維持させるシグナルが伝えられていると考えら
1
†
【
…巨
「
窯ぎ
毒ぎ
∼
れている(図l−1)。根端分裂組織から送りだされた未分化細胞は、根を構成する
表皮、皮相、内皮、内鞘などの各組織へと分化し、内鞘組織からは側根が形成
されて複雑に枝分かれした根系を作り上げている。
【
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l
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l
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茎頂分裂組織
根端分裂組織
STM
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ゝ
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p pzヱ≡、喜狸pz
1
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RZ
1rciぎ思う 1rc
図1−1シロイヌナズナの茎頂分裂組織と根端分裂
組織の分化状態を制御する因子
茎頂分裂組織ではWUSを発現している細胞群が機能的中心となり、
CLVが発現している上の細胞層に、幹細胞としての多能性を与えると
考えられている。一方、根端分裂組織では、静止中心のC)から周りの
始原細胞¢c)に分化を抑制するシグナルが伝達され、未分化な状態が
維持されると考えられている。細い矢印は、分化状態の高い組織から
伝達される、分化を促進するシグナルの流れを示す。
P:器官原基、fZ:周辺部、CZ:中心部、RZ:髄状部
CrC:colume11aroot cap、1rc:lateralrootcap、1C:lnitialcell
細胞間シグナル伝達
一般に着生である植物は、周囲の環境の変化に適応するために環境の変
化を敏感に感知するための機構を発達させている。周囲の環境からの刺激とし
ては、光、温度、病傷害、栄養、乾燥、接触、重力などが挙げられる。植物は
、これらの刺激を個々の細胞で感知するとともに刺激の種類によっては、他の
細胞へもその刺激を伝達する。この刺激の伝達には、植物ホルモンやペプチド
などがシグナル分子として働いていると考えられている。これらのシグナルは
、最終的に伝達先の細胞において遺伝子の発現制御に寄与することになる。
ゲノムの仝塩基配列が明らかにされたシロイメナズナと線虫やショウジョウバ
エとのゲノムの比較から、植物のシグナル伝達の機構は独自の発達を遂げてき
5
たことが窺える。脊椎動物、ハエ、線虫では、シグナル伝達経路として
Wingless/Wnt、Hedgehog、Notchnin12、JAK/STAT、TGF−/?/SMADs、レセプター
テロシンキナーゼ侭as、ステロイドホルモンレセプターなどの経路が知られてい
るが、シロイヌナズナにおいては、これらの経路は見いだされていない(¶e
AnlbjdQPSisGenomeInitiative,2000)。シロイヌナズナでは、ブラシノステロイド
を介したシグナル伝達に機能するBRIl(LiandChory,1997)に代表されるような
数多くのセリン/スレオニンキナーゼを有した受容体型キナーゼがシグナル伝
達に用いられている。動物でのチロシン型受容体型キナーゼの研究(Ullrich and
Schlessinger,1990)から植物における受容体型キナーゼの作用機序が予想されて
ヌー
l
いる(図ト2)。最初のステップとして細胞外からのリガンドを受容体が認識して
、
巨
■
要
喜
リガンドと受容体が結合する。このリガンドの結合が引き金となって細胞内の
ち
㌻
キナーゼが自己リン酸化を行う。この自己リン酸化によりキナーゼのリン酸化
活性が上昇して細胞内のシグナル伝達因子にリン酸化を行う。続いて、MK
カスケードに見られるリン酸化によるシグナル伝達のリレーが行われ、最終的
に細胞内へとシグナルが伝達される。細胞内へと伝達されたシグナルは、遺伝
子の発現制御を行い、遺伝子の発現や抑制を引き起こす。その結果、細胞は外
部環境からのシグナルに対して応答を示すことになる。動物においては、この
ようなシグナル伝達によって細胞のアポトーシスや分化、増殖が制御されてい
ることが判ってきており、植物においてもこのようなシグナル伝達経路が働い
ていることが予想されている。
6
細胞間隙 〔王)リガンド
方
,ぎ
.E\
受容体型キナーゼ
細胞質
肇野草肇野
芸監
▲ヽ㌔÷丈:史〉
核
アポトーシス
ぎ
分化
転写
望−タンパク質の発現
図1−2 受容体型キナーゼを介したシグナル伝達機構のモデル
リガンドを受け取った受容体型キナーゼは、活性化して細胞内へとシグナル
を伝達する。シグナルは細胞質内の伝達因子によって最終的に核へ到達して
遺伝子の発現制御し、外部環境からのシグナルに村する応答反応を行う。
植物における細胞間シグナル伝達は、外科的あるいは、レーザーなどを
用いた細胞除去実験から植物の形態形成にも深く関わっていることが明らかに
なってきた。例えば、茎頂での葉序については、葉原基の外科的除去によって
次に形成されていく葉序の形成パターンに変化が見られることが知られている
。肋γ叩血5(シダ植物)の茎頂から栗原基を除去する実験からでは隣接する葉原
基の発生が本来とは異なる位置に形成された。このことは、既に存在する栗原
基が新しく形成される葉原基の位置決定に関わっていることを示している。柴
原基の位置決定に関わる因子としては、葉の原基から他の栗原基の形成を阻害
するようなシグナルの存在が提案されている(Wardlaw,1949)。根端分裂組織では
、レーザー除去による実験から細胞間のシグナル伝達が存在することが示され
7
▲
ている(vandenBerg,1997)。4つの細胞からなる静止中心を除去したときにその
周辺に位置する細胞が増殖して除去された部分を埋め合わせる。そして増殖し
た細胞は、さらに再分化して静止中心の細胞を形成するようになる。これは、
細胞系譜による影響ではなく、その細胞の位置がどこにあるかという周辺細胞
からのシグナルによって細胞の運命が決定されていることを示している。これ
らの例は、高等植物の形態形成において細胞間シグナル伝達が機能しているこ
とをよく示していると考えられる。
高等植物の受容体型キナーゼは受容体ドメインの種類によって5つのフ
ァミリーに分類される。それぞれロイシンリッチリピートタイプ、WAKタイ
プ、S−ドメインタイプ、レクチンタイプ、CR4−1ike(表1−1)から構成される。
この中でも1eucine−rich repeat(LRR)モチーフを受容体にもつ受容体型キナーゼ
は、シロイヌナズナのゲノム配列に174の遺伝子がコードされていて、植物の
受容体型キナーゼの中で最も大きなファミリーを形成していることが判ってき
た(TTleAL71bjdQPSIsGenomeInitiative,2000)。これまでに高等植物でその機能が明
かとなった受容体型キナーゼは茎頂分裂組織の推持(Clarketa(.,1997)、自家不和
合性(NasrallahandNasrallah,1993)、病害抵抗性(Gomez−GomezandBoller,2000)、
器官脱離(Jinnetat.,2000)などのさまざまな植物生理に関わっていることが知ら
れている。これらの機能のうち茎頂分裂組織の推持、病害抵抗性、器官脱離は
LRRタイプの受容体型キナーゼの機能によるものである。これらの事実は、LRR
タイプの受容体型キナーゼが高等植物のシグナル伝達の要として機能している
ことを示唆している。
■
8
す
i
‡
】
者
】
表1−1高等植物における受容体型キナーゼのファミリー
受容体ドメインの種類 機能
ロイシンリッチリ
ピートタイプ
170以上
ブラシノステロイドの 分裂組織の維持 器官脱離 病害抵抗性
情報伝達(月尺川 (CLVJ) (〃AESA)(イネガa2り
WAKタイプ
(EGFリピート)
機能未知
5遺伝子
S_ドメインタイプ
自家不和合性(アブラナ5月KJ)
20以上
レクチン タイプ
機能未知
30以上
CR4一日b
5遺伝子
表皮細胞の分化(トウモロコシC尺〃V〟Ll句)
これまでに高等植物で知られている受容体型キナーゼを受容体ドメインの種類に
よって5つのファミリーに分類した。各遺伝子ファミリーの遺伝子数については
D.R.McCartyらの総説を参考にした。遺伝子の機能については、シロイヌナズナ
および他の植物で明らかになっている機能を示した。
9
.」L.__._.▼.
▼_ 」
2.1草
花序茎頂で発現する受容体型キナーゼ遺伝子の単離とその特徴
。日
2.1.序論
植物の器官形成はその茎頂に存在する分裂組織の営みによって支えら
れている。しかし、分裂組織がどのように各器官を生み出していくのか?、さ
らにどのようにして分裂組織を推持し続けるのか?また、多数の細胞から構成
される器官をどのように組織立てて作り上げているのだろうか?これらの疑問
は、まだ解き明かされていない。だが、遺伝子の緻密な作業によって分裂組織
の機能が維持されていることは確かである。分裂組織の1つの機能としては多
数の細胞が協調し合って各器官を作り出していることが挙げられ、そこには細
胞間のコミュニケーションが必要であると考えられている。実際、緒論で述べ
た細胞除去実験の結果や、高等植物で多数報告されている受容体型キナーゼの
存在からも植物における細胞間コミュニケーションの存在が強く支持されてい
る。これらのことを踏まえて茎頂分裂組織で発現する遺伝子の中で分裂組織で
の細胞間情報伝達に寄与する遺伝子に注目した。細胞間シグナル伝達に関与す
るタンパク質の中でも受容体型キナーゼは、細胞膜を貫通するかたちで細胞膜
に存在し、細胞外から細胞内へのシグナル伝達の橋渡しをする細胞内への情報
伝達の入口となる鍵タンパク質である。つまり受容体型キナーゼは細胞間シグ
ナル伝達において必要不可欠な存在であると言える。分裂組織の機能において
も多細胞生物である植物が、何らかの情報のやり取りを周囲の細胞と行ってい
ることは想像に難くない。受容体型キナーゼが何らかの機能を担っていること
は、十分に期待できる。
高等植物において多数の受容体型キナーゼが存在し、その植物体におけ
る機能も様々であることがわかってきた。例えば、CLVJ(ClarkeraJ.,1997)、
ER(Toriieta).,1996)、〃AESA(Jinneta).,2000)などの形態形成に関与している
ものから、羞2J(SongeraJ.,1995)に代表される病害抵抗性遺伝子、ブラシノス
テロイドのシグナル伝達に関係するβR〃が知られている。ここに挙げた遺伝子
はどれも受容体としてLRRモチーフを持つ受容体型キナーゼ遺伝子である。こ
のように受容体型キナーゼにおいてLRRモチーフが受容体として幅広く用いら
れている。高等植物において多数のLRR配列をもつ遺伝子がクローニングされ
10
登4
割
てきている事実は、LRRモチーフが植物において重要な機能を担っていること
を示すものである。酵母や動物においてもLRRモチーフは存在しているが、植
物の場合とは異なって、LRRモチーフはホルモンの受容体(McFarlandeta[.,1989)
、細胞接着分子(Hashimoto etaZ.,1988)、糖タンパク結合細胞外マトリックス
(KrusiusandRuoslahti,1986)、酵素(nnischiotuetal.,1997)、受容体型チロシンキ
ナーゼ(Martin−Zancaetal.,1989)などにみられることが報告されている。これらの
遺伝子の中にはシグナル伝達と関係のない遺伝子も存在するが、LRRモチーフ
を持つ遺伝子のおよそ半数はシグナル伝達に関与している遺伝子である。しか
しいずれの場合においてもLRRモチーフは、タンパクータンパク間の相互作用
に機能していると考えられている(KobeandDeisenhofer,1994)。
近年の生物のある生理現象の解明法は、遺伝学的な解析によって行われ
てきたものにより大きく進んだ。そして、数々の変異体が見つけられ、その原
因遺伝子の分子レベルでの理解が可能となった。しかし、このような遺伝学的
解析では、組織特異的に発現している遺伝子やある遺伝子ファミリーについて
系統的な解析を進めていくことは難しい。そのような理由から茎頂組織特異的
に発現している遺伝子の解析を道道伝学的手法により進めた。
我々の研究室では、これまでに均一化cDNAライブラリー(Kohchietal.,1995)を
用いたディファレンシャルハイプリダイゼーションによって花序茎頂特異的な
低発現性の遺伝子を384クローン得てきた(Takemuraetal.,1999)。これらの遺伝
子クローンの中で細胞間情報伝達に機能すると予想される受容体型キナーゼを
コードする遺伝子クローンの取得を試みた。その結果、受容体型キナーゼと部
分相同性を示した新規な遺伝子クローン3−37を解析候補として選んだ。この遺
伝子はその仝cDNA塩基配列の解析結果からロイシンリッチリピートを受容体
とする受容体型キナーゼをコードしている。そこで、植物の分裂組織(茎頂、花
芽および根端組織)での細胞間情報伝達が高等植物でどのような機能を果たして
いるのかを調べる目的でクローン3−37の特徴付けをおこなった。第1章ではそ
の1次構造、自己リン酸化活性および細胞内局在から、細胞間シグナル伝達経
路を構成する因子としてこの遺伝子が機能している可能性を検証した。
11
▲
__ __▼▼」
2.2.材料と方法
シロイメナズナ(Col)は、22℃、長日条件下(16h明、8h暗)で発芽後、約5週
間生育させた。発芽後、5週間後の植物体からノーザンプロット解析のために茎
、ロゼット葉、ステージ5までの花芽(Smythetal.,1990)を含む茎頂組織、開花
した花をそれぞれ別々に採取した。
2.2.1.cDNAクローンの単離
LRK遺伝子のcDNA全長を含むクローンのスクリーニングを行った。約4×106
個の人ファージ(シロイヌナズナ(Ler)花組織由来の人ZAPII。DNAライブラリー
、後藤弘爾先生(岡山生物資源研)より供与、オハイオ州立大学シロイヌナズナ生
物資源センターより供与)をスクリーニングに用いた。ハイプリダイゼーショ
ンは常法に従った(Churcheta)・,1984)。プローブは、3−37のcDNAの断片をL−
3D]dCTPを用いてランダムプライム法(randomprimerkit,BoehringerMannheim)に
よりラベルした。CDNAライブラリーから3−37のcDNAをもつファージクロー
ンを取得した。3−37のゲノム断片をinvIYOeXCisionにより切り出し、pBluescriptII
SK’にクローニングした。ダイデオキシ法(SangeretaI.,1977)によりDNAシーク
エンサー(373S:AppliedBiosystems)を用いてcDNA塩基配列を決定した。
ゲノムDNAクローンの単離
戊だのゲノムmAのスクリーニングは,シロイヌナズナ(Col)由来の人員xII
ライブラリーを用いて行った。スクリーニングの方法は,前項の。DNAのスク
リーニング法に準じ、塩基配列を決定した。
5’RACE
3−IRK−Ll:5’−CCGGTACCACAGCACCGCAAATTCCCGG_3一と
APlプライマーとの組み合わせによりシロイヌナズナ(Col)の茎頂分裂組織から
MarathonTMcDNAAmplincation Kit(Clontech)を用いて作成されたcDNAを鋳型に
PCRを行った。非特異的なPCR産物を除くために
3−IRK−L2:5’−CCGGTACCTCCACCTGCAGGTAGTTCCC)と
APlプライマーの組み合わせによりPCRをおこなった。
5−RACE産物で最長のクローンをNotI、KpnIで酵素処理し,PBluescriptIIKS+
の八bH、坤〃Ⅰサイトへクローニングし、塩基配列を決定した。
12
2.2.2ノーザンプロット解析
トータルRNAは、GATC法によりISOGEN(NipponGene,Tokyo)を用いて抽出
した。Poly(A)+RNAは01igotexTM−dT30Super(TAKARA,Kyoto)を用いて精製した
。ノーザンプロットには、各レーン2ugのpoly(A)+RNAを供した。1% ホル
ムアルデヒド/アガロースゲルで電気泳動後ナイロンメンプレン(HybondN,
Amersham)ヘトランスファーした。IRKのcDNA配列を常法に従いプローブとし
て用いた。POly(A)+RNAのローディングコントロールのためにエビキチン
(L盾¢刃をプローブとして用いた。
2.2.3.SGFP融合IRKタンパク質発現コンストラクトの作成
静岡県立大学 丹羽康夫先生から供与して頂いた CaMV35S−SGFP−TYG−
nos(PUC18)ベクターを改変し、SGFPの開始コドンと2番目のバリン残基をコー
ドする塩基配列の間に合成オリゴDNAを用いて4paI、スカ0Ⅰサイトとグリシン
を4つコードするリンカー配列(CCATGGGCCCTCGAGGTGGTGGTGGCGCG)
を挿入し、改変pTH−2XAベクターを作成した(竹村、未発表)。発現するSGFP
融合タンパク質は、IRKタンパク質とSGFPタンパク質の間にグリシン4残基
からなるグリシンリンカー配列を持つ形で発現するように設計した。下に示し
たプライマーを用いてPCRによりLRK遺伝子のコーディング領域のcDNA塩基
配列を増幅した。
IRKGFP5,N:5.−CCGGTACCACTAGTCCATGGACAAAGCACTGATT−3’
IRKGFP3,N:5.−CCGGATCCGGGCCCAAACTTGAACCCAACTCATCT−3’
増幅したIRK遺伝子の開始コドンから終始コドンまでのcDNA塩基配列を改変
pTH−2XAプラスミドのNcoI、4paIサイトに導入した。タマネギの表皮細胞に
パーティクルガン(Bio−RadPDS−1000丑ie)を用いてSGFP融合IRKタンパク質発
現用プラスミド(35S::戊麒:5G呵を導入した。導入条件は直径1トLmの金粒子を
使用し、28inchesHgに減圧下、He圧1,100PSIで行った。一晩室温でインキ
ュベーション後、プラスミドを導入したタマネギの表皮細胞に10%グリセロー
ルを供与し、原形質分離を誘導させた。共焦点レーザー蛍光顕微鏡(LSM510,
Zeiss)を用いてSGFPの蛍光を観察した。
2.2.4.IRKキナーゼドメインとGSTの融合タンパク質の発現と精製
ⅣorI、5aJIの制限酵素サイトをプライマーに導入したプライマーを作成した
37ka:5’−GGGTCGACGAACCTGATrTCAGCACTGG−3’
37kb:5一−CCGCGGCCGCCAAACCGGArITrCCTCTTCGC−3’
nativepfuDNA合成酵素を用いてcDNAをもつpBC−SK+プラスミドを鋳型にして
13
_▲…
_」
PCRによりIRKのキナーゼをコードする断片を取得した。PCR断片をpBluescript
IIKS+の肋几5aJIサイトにクローニングしPCRでの塩基置換がないことを確
認した。インサートをpGEX−4T−3(GSTGeneFusionVector、Pharmacia)のNotI、
5aJIサイトにクローニングし、IRKのキナーゼドメインをインサートにもつ
PGEX−4T−3プラスミド、pGEX−KDを作成した。
PGEX−KDを有する大腸菌を10mlのLB液体培地に接種し、37℃で0.D.600=0.6
になるまで培養した。培養後,IPTGを終濃度0・1mMになるように加え,25℃
で8時間培養を行い、融合タンパク質の発現を誘導した。集菌以後の操作は氷
上,及びそれに準じた冷却器を備えた機器で行い,全ての実験操作は低温下(4
℃)で行った。培養後、大腸菌を1×PBSbufftrで洗浄し、溶菌バッファ(100mM
Tris−HCIpH8・0、5mMEm、10mMNaCl、10%Sucrose、1mMPMSF)を加え
、ソニケ一夕ー(TOMYSEIKOco,mOdelUR−20P)で菌体を破砕(出力40%)した
。溶菌した菌液を遠心し、上清を可溶画分として回収した。GlutathioneSepharose
4B(Pharmacia)を使用して、プロトコール(Pharmacia)に従ってGST融合キナーゼ
タンパク質を精製した。ブラッドフォード法(Bradford,1976)により各画分中の
タンパク質量を定量した。
2・2・5・GUSレポ一夕一遇伝子を用いた発現解析
2・6kbのLRKの開始コドンを含むプロモーター領域をゲノムDNAを鋳型に用
いてPCRにより取得した。
プライマーには、
hPGa:5’−CCGTCGACCTCCTCCATTGACGATAAAC_3,と
hPGe:5’一CCGGATCCCAGTGCTTTGTACATCTTTCC−3,を使用した。
増幅した断片はpBIlOl・1の助m=Ⅰ、5dI制限酵素サイトにクローニングした
(Jeffbrsonetal・,1987)。作成したコンストラクトは減圧浸潤法によりシロイヌナ
ズナに導入した。10ラインの独立した形質転換体についてT2世代でのGUS遺
伝子の発現パターンを調べた(Toppingetal・1991)oGUS染色の時間は、組織の浸
透性を考慮して45分から14時間の間に設定したoGUSによる染色部位の観察
には、暗視野実体顕微鏡(StemiSVll,ZEISS)を用いた。テクノビット7100にGUS
染色した試料を包埋し切片を作成した。
オーキシン処理および、カルスの作成
GUSレポ一夕一による戊片の発現解析で使用した植物体を、発芽後4日目に
各濃度の2,4−ジクロロフエノキシ酢酸(2,4−D)を含むMS寒天培地移植し5日後
にGUS染色を行った。カルスについては、発芽後5日経過した植物体の子葉を
カルス誘導培地に移植し、約3週間後に形成されたカルスをGUS染色した。
14
置
2.2.6.GFPレポ一夕一道伝子を用いた発現解析用コンストラクト
pBIlOl.1のBamHIとNotIサイトにGFP遺伝子をクローニングしたpBIlOl−
GFP(XA)ベクターを使用した(竹村、 未発表)。GUSによる発現解析に用いた
LRKのプロモーター配列2.6kbをGFP遺伝子の上流にBamHIとSalIサイトで
クローニングした。
2.2.7.自己リン酸化活性の測定
精製したキナーゼドメインとのGST融合タンパク質2帽をリン酸化活性測定
用バッファー(50mMTris−Hcl(pH7.5)、20匹MATP、10トLCi[Y−32p]ATP(5000
Ci/mmol)、10mMMnCl,、1mMDTT)に加え、室温(26℃)で1時間リン酸化反応を
行った。反応後、仝反応液を10%SDS−PAGEに供した。オートラジオグラフイ
一により自己リン酸化タンパク質の検出を行った。
CompetltlVeRT−PCR
トータルRNAをシロイヌナズナの各組織よりRNeasyPlantMiniKit(Qiagen)を
使用して精製した。1pgのトータルRNAからnrststrandcDNAを合成した(the
Firststrandsynthesiskit,AmershamPharmacia)。CDNA反応液の15分の1量をPCR
に使用した。104から109の各濃度のDNAコンペティターを解析に用いた。ゲノ
ムDNA由来の断片の増幅を避けるためにイントロン配列を挟んだプライマーを
設計した。DNAコンペティターは、内在性の戊疋遺伝子の発現と区別できるよ
うに160bpだけ長くPCR増幅されるように設計した。PCRは、95℃ 30秒、
55℃ 30秒、72℃ 30秒を1サイクルとして35サイクルの反応を行った。PCR
産物を2%アガロースゲルで電気泳動した。
15
⊥…
▼,_」
2.3.結果
2・3・1・花序茎頂で発現する受容体型キナーゼ遺伝子のスクリーニング
シロイヌナズナにおいて器官形成がどのような機構によって行われて
いるかを理解するために、栄養生長期の茎頂組織で発現していた384の遺伝子
をクローニングしてきた(Takemuraetal・,1999)。茎頂や花芽組織において多数の
細胞の協調した働きによって器官形成が成り立っていることから、細胞間情報
伝達が器官形成に果たしている役割に注目した。これまでに花序茎頂組織で低
発現している384の遺伝子クローンの中に細胞間情報伝達に関与すると予想さ
れる受容体型キナーゼ遺伝子と部分相同性を示したクローン(3−37)が存在した
。BLASTにより相同遺伝子の検索を行った結果、クローン(3−37)は、受容体型キ
トゼ遺伝子と高い相同性を示す新規遺伝子であった。以降、クローン(3−37)を
その構造と後述する発現組織の特徴から血魚肥鋸即Cea〃dRoo坤血化C印血山眈e
九九鮎e(戊杓と命名した。J犬互が目的とした花序茎頂で発現している遺伝子であ
るかどうかを確認するために、ノーザンプロット解析を行った。野生株のシロ
イメナズナからロゼット菓、茎、茎頂組織、花の各組織を採取し、POly(A)・RNA
を精製した。ノーザンプロット解析の結果、搬は約3・8kbのバンドとして検
出され、茎頂組織と花において発現している遺伝子であることが明かとなった
(図2−1)。
1 2 3 4
〟才〝
■3.8kb
UβQぎ
■■0.6kb
図2t用ば遺伝子のノーザンプロット解析
発芽後5週目のシロイヌナズナのロゼット葉、茎、ステージ5までの花を含む花序茎頂組織、花の各
器官よりfX^y(A)+RNAを精製した。各レン2ugのp叫(A)+RNAを泳動した。RNAサンプルのローデ
ィングコントロールとしてUβ0鰯伝子をプロづに用いた。レン1;ロゼット葉、レーン2;茎、レ
ーン3;花原基を含む茎頂組織、レーン・≠ ロ」−や 、血一 。
4,化0 アイングコントロールとして柑0∫遺伝子をフロー
ブに使用した。
16
▲ ■
2.3.2.戊片道伝子の構造的特徴
LRK遺伝子の構造を調べるためにIRKのcDNAクローンの単離を試みた
。CDNAライブラリーからのスクリーニングにより単離されたcDNAクローンは
、1.8kbの部分長cDNAであったことから5,−RACE法による全長cDNAの単離
を行った。得られた開始メチオニンを含む3.4kbのcDNA断片の塩基配列を決
定した。また戊疋のゲノムクローンについても単離し、その塩基配列を決定し
た(浅井、1997)。CDNA塩基配列とゲノム塩基配列からmK遺伝子には、5’UTR
領域とコーディング領域にそれぞれイントロン配列が1つずつ存在し、それぞ
れ374bpと93bpの長さであることがわかった(図2−2)。決定したLRKのcDNA
塩基配列とそこから推定したアミノ酸配列を(図2−3)に示す。その結果、開始
メチオニンを含んだ遺伝子産物は964アミノ酸からなり、推定分子量は103.7kD
であった。LRKの遺伝子産物の疎水性アミノ酸の分布状況をKyte−Doolittle法に
より調べたところ(図2−4)、アミノ末端より20残基までと605から621残基
の領域に疎水性の高い領域が認められた。アミノ末端に位置する疎水性領域は
、PSORT(http:仲SOrt.ims.u−tOkyo.ac.jpr)による予測から細胞膜への移行シグナル
であると予想された。また、20と21残基の間にシグナルペプチドの切断部位が
予測された。LRRドメインとキナーゼドメインに挟まれたもう一方の疎水性領
域は、TSEG(http:〟www.genome.ad.jp/SI¶seg.html)による予測から膜貫通ドメイ
ンであることが予測された。膜貫通ドメインのカルポキシル基末端側には正電
荷をもつアミノ酸残基(リジン)の存在が認められ、”positiveinsiderule”(Andersson
andvonHe蜘e,1994)として知られている膜貫通ドメインの細胞質側に存在する
アミノ酸残基であると予測した。シグナルペプチド配列に続いてその後ろには
L
、3回の繰り返し配列からなるロイシンジッパーモチーフが存在しており、IRK
が二量体を形成する際にタンパクータンパク間の相互作用に働いている可能性
が考えられた。IRKのアミノ基末端(80−540残基)には20回のロイシンに富ん
だアミノ酸から構成されるLRRモチーフが存在した。一般にLRRモチーフの各
リピートは植物においては24アミノ酸残基から構成されており、IRKについて
もロイシン残基が高く保存されていることが判った。図2−5Aには、IRKのLRR
モチーフの各リピート間で保存されているアミノ酸配列を示した。図2−5Bに示
したその他のLRRを持つ受容体型キナーゼ遺伝子の各リピート間で保存されて
いるアミノ酸配列とIRKのLRRの保存配列との比較では、各遺伝子においてリ
ピートの回数に違いはあるものの、保存されているアミノ酸残基はほぼ一致し
ていた。LRRドメインの両端にはシステインモチーフの存在が1箇所ずつ予想
された。システインモチーフはシステイン残基間でのジスルフィド結合に関与
することが予想されており、このジスルフィルド結合によってレセプターの二
量体化を行っているのかもしれない。IRKの細胞膜貫通ドメインのカルポキシ
17
▲
仙」
ル末端側(680−950残基)には11のサブドメインを有した真核生物のセリン/
スレオニンキナーゼドメインの存在が相同性検索の結果から予測された(Hanks
andHunter,1995)。そこでこれまでにシロイメナズナで機能していることが報告
されているHAESA、CLVl、BRIl、ERなどのLRRを受容体に持つ受容体型キ
ナーゼのキナーゼドメインとIRKのキナーゼドメインについてそのアミノ酸配
列の相同性を調べた。その結果どの遺伝子についてもIRKとおよそ30−35%の相
同性を示すことがわかった(図6)。この相同性の値は、プロテインキナーゼ間の
相同性としては一般的な数値であり、IRKがキナーゼとして有意な相同性を持
つことを示していた(図2−6)。また、各サブドメインにおける保存性の高かっ
たアミノ酸配列について白抜き文字で示したほか、これまでに報告されている
セリン/スレオニンキナーゼ間で保存性が高いアミノ酸残基については黒丸印
で示した。これらのキナーゼ間で保存されたアミノ酸配列の存在からIRKのキ
ナーゼドメインはセリン/スレオニンキナーゼとしての活性を保持していると
予想された。以上、IRKのcDNAから導かれたアミノ酸配列を基にIRKの構造
モデルを図2−7にまとめた。
ORF2.9kb
イントロン1
ゲノムDNA9.4kb
終止コドン CDNA3.4kb
H
・享 ̄±==
[=コ
H
第3番染色体
図2−2戊片道伝子のゲノム構造
IRKのゲノム塩基配列9・4kb(コロンビア由来)とcDNA配列3・4kb(ランズバーグ由来)
についてその仝塩基配列を決定した。IRK遺伝子のcDNA配列は3.4kb、ORFは2.9kbで
あった。白抜きの四角は非翻訳領域を示し、黒塗りの四角はユキソン配列を示す。Hは
伽d‖サイトを示す。イントロン配列は、5・mRと遺伝子のコーディング領域にそれぞ
れ1箇所ずつ存在した
18
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TM
SP
LRR
+
LC
「「「「 kinase
−
C
964a.a.
図2−3LRKO)cDNA塩基配列と予測された構造
(A)イントロン配列の挿入位置は、矢印で示した。シグナルペプチド配列(1一刀a・a・)、ロイシン
ジッパーモチーフ(25−46a.a.)、システインモチーフ(57−64、557−565a.a.)、膜貫通ドメイン(605一
位1a.a.)は下線で示した。正に荷電したアミノ酸残基を○印で示した。N結合型糖鎖付加サイ
ト岬Ⅹ(S/r))は四角で囲んで示した。(切取Kタンパク質の予測された構造。SP;シグナルペプ
チド配列,、L;ロイシンジッパーモチーフ、C;システインモチーフ、TM;膜貫通ドメイン
19
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「▼ γ 川「+」
5.00
4.00
3.00
2.00
1.00
0.00
キ +ナ ∴
●
−1.00
−2.00
−3.00
−4.00
−5.00
1 101 201 301401 501 601 701 801 901964
E≡コ ロイシンリッチリピ】ト
E=コ 疎水性アミノ酸領域
E=コ キナーゼドメイン
図2−4IRKの疎水性アミノ酸残基の分布状況
Kyte−Dooll仕Ie法によりIRKタンパク質の疎水性アミノ酸の分布を
予測した。1−20と605−621アミノ酸残基の領域に疎水性の高い領
域があることが予測できた。前者の疎水性領域は、シグナルペ
プチド配列、後者の疎水性領域は、膜貫通ドメインに相当する
と予想された。
20
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1
GRGLLQLQFLHKLSLSNmLTGI=N
2
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3
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4
PVSZSSCSSLAALNI」SSNGFSGSM
5
PLG=WSLNTLRSLDLSRNELEGEF
6
PEK=DRIJNNLRALDLSRNRLSGP=
7
PSE=GSCMLLKT=DLSENSLSGSIJ
8
PNTFQQIJSLCYSLNIJGKNAIJEGEV
9
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10
PDS=GNIJLALKVLNFSGNGL=GSL
11
PVSTANC=NLLALDLSGNSLTGKL
12
PMWLFQDGSRDVSALKND
13
NST−GG=KK=QVIJDLSHNAFSGE=
GAGLGDIJRDLEGLHLSRNSLTGP=
14
PST=GEIJKHLSVLDVSHNQLNGM=
16
PRETGGAVSIJEELRLENNLIJEGN=
17
18
PSS=KNCSSLRSIJ=LSHNKLLGS=
15
PPELAKLTRLEEVDLSFNELAGTL
19
PKQLANLGYLHTFN=SHNHIJFGEL
20
P−−L−−L−−L−−L−LS−Ⅳ−L−Gt工/L
COnSenSuS
B
Protein a.a・ LRRconsensussequerN:eS
No.of
repeats
lRK
964 pxxaxxLxxもⅩⅩLxLSxNxLxGxa 20
HAESA
999 pxxkxもⅩⅩもⅩⅩもⅩもⅩⅩNxもSGx= 21
CLVI
980 pxxaxxaxxもⅩⅩLxaxxNxaTGx工 21
BR11
1196 pxxaxxaxxもⅩXはSxNxaSGx= 25
ERECTA
976 pxxaGxLxxムⅩⅩLxムⅩⅩNxLxGx工 20
図2−5 LRRドメインのアミノ酸配列とその保存配列
(A)IRKの20回の繰り返しからなるLRRドメインのアミノ酸配列とその下に各線り返し
配列において保存されているアミノ酸残基を示した。
(B)シロイヌナズナにおけるその他のLRRを持つ受容体型キナーゼとIRKとのLRRモチ
ーフの保存配列の比較。Xは、保存されていないアミノ酸残基を示す。aは、芳香族の
側鎖を有するアミノ酸残基を示す。a.乱は各タンパク質を構成しているアミノ酸残基
の数を示す。
21
⊥
j
l
l
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l
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IRK
HA耳SA
⊂LVI
BR工1
ER
… ● ☆
1
1
知政弘伽mR主軸覗吐Ⅴ弧ⅤⅩ和一−−…=−一個細線Ⅹ踵感
知mⅥ鴎@ss蜘匝瓜G鴎Ⅳ細如ⅩmGG皿EYSSDSL犯DV軌励E瑚
政EEⅣ工工@他@頭汚染G別相和鮎論如G且訂GR皿−HG−−−−−−−一針ぷ立Q丁場
聞曲1工敏概論飽蝕馳吐mQG皿−‥‥−‥−一触如即増
田蝕工L敏蜘飽Ⅰ館Ⅸ=塾Ⅴ扱昭ⅣmAGⅢ−−−−−−‥繊度狂A醸町
I ll ‖
【
−
1
毒
温恐札馳虐厨酢Ⅳ[SI月払=習割ns偲Ⅵ伽−G帽S蜘如嘘立邑G惚
m互歪改Sェ寄越加CCG錨氾抱V軌p蜘−G即Ⅴ垂励E軋R∋璽晶D通
m歪改訂顎飽励服m麺血軌p他正座蓮G鉱G−G−−H晒打迫m塵ⅣE通
致唸札所包1膚管∝ⅦD取払Ⅴ顎聞R蝕むPⅨ−AGⅧ姐丁温R趣工GS塾
紗夏至改札棚ユⅢⅣⅨ弛p拶Ⅰ包S胞E帽EEGUひ姐Q軋憾D嘘
Ⅳ ∨
● ● ●
RC加越Q甜=題詠Ⅳ虫S臓SSGEP頗画Y軌蝕LLP一肌DⅣVLS乱工QS−A
蝕垣如ⅧP計扱弛S証垣虐画SⅣ蜘vG研SGS灯pEA略G工AGS
蝕独Sp血扱胞馳虐匝SⅣ蜘FLV拡‥A鵜苫C推SエAGS
R@独好転如SPH恕扱独畦SS蜘蜘L鵬−−ÅmLSV訂LA釘
R弛馳仏和SF=臨池S馳DIH蜘L鮮−−−E∝GSェmェÅ釘
鹿R弛Ⅷ紘蘭,取池__mVⅧ。m比皿
鰯Ⅳ−軌Ⅳ氾夏姐=零度確執垣謹麺Ⅳ喝如篤−−EI皿ⅩDHはⅤVmLDⅣ
愉一軋ⅣDE鞠執政如守一−FG貼VDmmTEEⅡ
P@晋W沃野和一SFRCST棚泡独酌【芯−−p肝GDmLVGWⅦQEAm
棚聖Ⅳ−馳Ⅳ¶柵転地軌SLコ防QpE悶ェHm即mY工肱
Ⅷ Ⅸ x
恥−−=一員DEにⅠ軸ね(Ⅹ−−FⅣ曲Ⅶ取猛皿Ⅰ馳QV相思誠独A和独ⅢR
G−−−−−−−1J引FV工弛L‥−ⅩⅨ虚工証取H=GLい宮=;PLpI戯曲Ⅹ菅野加地m
叩PSDAA工WAェⅤ享野砲T♭=YPLTちⅤⅢ面如劇H弛EA蜘馳Tm
R−−−−−−−HⅣ蜘DpA田=乱昭弘旺ⅦⅣA層Ⅰ皿RÅⅦ鞄顎棚FXE工Q
臥S−‥−一罰KXA王政丁工D工D−EEnASV肛亀EL眼HぬREp馳A守忙塾SSⅣ
Xl
相同性(篭)
34
35
32
図2−6 択Kのキナーゼドメインの相同性
択Kのキナーゼドメインと他のシロイヌナズナの受容体型キナーゼOIAESA,CLVl,BR‖,ER)のキ
ナーゼドメインについてそのアミノ酸配列の相同性を調べた○白抜き文字は5つの遺伝子中4つの
遺伝子において保存されていたアミノ酸残基を示す0黒丸印は、これまでにセリン/スレオニンキ
ナーゼにおいて高い保存性が知られているアミノ酸残基を示した。ローマ数字は、キナーゼにおけ
る各サブドメインを示す。1RKと各遺伝子との相同性(de叫)の割合についても示した。キナーゼ
の基質特異性に関与するサブドメインHとサブドメインⅥ=のアミノ酸残基に☆印をつけた。
22
▲
⊥
ロイシンジッパーモチーフ
システインモチーフ
避駄官軍窄
蔓 ≡
_「:二:
慧笈
細胞間隙
鷺済丑∃
ロイシンリッチリピート
(20回)
♂L㌔
二;て、、■■‥、、こき
藍ミ貢 ∴二∴ ̄…三∴三∴‡≡ 一二_二_二二∴∴二㌧\_ ̄_二
膜貫通ドメイン
細胞質
セリン/スレオニンキナーゼドメイン
図2−7IRKタンパク質の構造モデル
戊gの塩基配列から導かれたアミノ酸配列より予測されたIRKタンパク
質の構造モデル。アミノ末端側よりロイシンジッパーモチーフ、2箇
所存在するシステインモチーフ、ロイシンリッチリピート、膜貫通ド
メイン、セリン/スレオニンキナーゼドメインより構成される。N末端にコード
されているシグナルペプチド配列は、成熟タンパク質では、切断され
ることが予想されるので省略した。
喜
i
ト
2.3.3.RKの自己リン酸化活性
IRKがそのアミノ酸の一次構造から予想された受容体型キナーゼとし
㌢
l
て機能するかどうかを調べるために、IRKのキナーゼ活性の有無を調べた。GST
融合タンパク質としてIRKキナーゼドメインの発現、精製を行った。GSTとの
融合タンパク質は、キナーゼドメインの予想分子質量33kD、GSTタンパク質の
予想分子質量26kDを加えた59kDのタンパク質として発現することが予測され
た。glutathioneSepharose4Bカラムで精製したGST融合タンパク質をSDS−PAGE
に供した結果、GST融合タンパク質として予想された分子量のタンパク質が発
現していることを確認した。精製したGST融合タンパク質を用いて自己リン酸
23
」
化活性の検出を行った。自己リン酸化反応後、SDS−PAGEを行った結果、GST
融合タンパク質と予想される分子量の位置にリン酸化活性を示すバンドが検出
され、IRKのキナーゼドメインが自己リン酸化活性を示すことがわかった(図
2−8)。
l
1 2
■■97
■■66
■
■■45
図2−8IRKキナーゼドメインの自己リン酸化活性の検出
IRKキナーゼドメインをGSTとの融合たんばく質(59kD)として
精製し、自己リン酸化活性の検出に用いた○矢印は、発現したGST融合タ
ンパク質を示す。レーン2の右側にタンパク質分子量マーカーの位置を示
した。レーン1;SDS−PAGE、レーン2;自己リン酸化活性の検出。
2.3.4.IRKの細胞内局在
IRKのcDNAから導かれたアミノ酸配列からIRKタンパク質は、細胞膜
貫通型の受容体型キナーゼと予想された。戊gが受容体型キナーゼとして細胞
外からの情報を細胞内へ伝達するためには、細胞膜に局在していることが必要
である。そこでIRKの細胞内局在を調べるためにIRKのコーディング領域を含
む領域をGFPに融合させたタンパク質をパーティクルガンによりタマネギの表
皮細胞で一過的に発現させた。10%グリセロールを用いてタマネギ表皮細胞の原
形質分離を誘導し、GFP融合タンパク質の局在を共焦点レーザー蛍光顕微鏡に
より観察した(図2−9)。GFPのみのコントロールでは核や細胞質、細胞表層で
蛍光が観察され、GFP蛍光が細胞全体に分布していた(図2−9B)。IRKと融合し
たGFPでは細胞膜にGFPによる蛍光が観察された(図2−9A)。核および細胞質内
におけるGFPの蛍光は認められなかった。このことからIRKとGFPとの融合
タンパク質は細胞膜に局在していると判断した○この結果からIRKのアミノ酸
配列から予測された細胞膜へのシグナルペプチド配列、膜貫通ドメインはIRK
が細胞膜へ局在するために機能的な領域であることが示された。このようなIRK
24
・ ̄ ̄−■・・・・・・・・・・・・・・−−−
」
の細胞内局在は、RKが細胞膜に局在し、細胞外からのシグナルを細胞内へ伝
達する受容体型キナーゼとして機能するのに必要な細胞内局在をとることを示
唆していた。
A
⊂コ
図2−9RKの細胞内局在
タマネギ表皮細胞にそれぞれ∬S=灰g:GFP(AC)と欝S=:G押(B,
D)をパーティクルガンで導入し、10%グリセロールにより原形質
分離を誘導した。笹,B)は共焦点レーザー顕微鏡により観察。(C,
D)は光学顕微鏡下で観察。スケール/シー=5叫皿
Z.3.5.民定遺伝子の発現解析
遺伝子の発現時期、組織を知ることばその遺伝子の機能を調べる上で重
要な知見を与えてくれる。戊疋遺伝子のコーディング配列の5’上流2・6肋には
隣接する遺伝子が予想されたことから、この2.6kbの領域をぷぼのプロモータ
ー配列として用いた。戊見通伝子のプロモーター配列の発現特異性をGUSレポ
一夕一遇伝子を用いて調べた(図2−10)。発芽後6日目では、主眼と側板の根端組
織で強いGUS活性を示した(図2−10A、B、C)。12日目の植物体では、根以外に
葉の維管束組織で弱いGUS繕性を示していた(図2−10D)。生殖生長期における
GUSの発現は、組織切片を作成して詳遠別こ調べた。LRKの発現を示すGUS染
色は、茎項組織や花の心皮の原基、がくで認められた(図2−10E)。さらに発生の
進んだ花でも心皮やがくで戊疋が発現していた(図2−10F)。ステージ14の花の
伸長した花糸ではGUS繕性が認められたが、ステージ11の後期の花の伸長前
の花糸では、GUSの染色は認められなかった(図2−10H)。 また、未熟種子で
もGUSの染色がみられた(図2−10Ⅰ)。茎と茎生業では、GUS活性は認められな
25
かった。
モ
Ⅴ十‡∴∴+
■ ■
Ⅰ
図2−10成定遺伝子の発現解析
(A)発芽後6日目の芽生え。(B)6日日の芽生えの根端組織。(q6日
目の芽生えの側板。(D)12日目の植物体。(E)暗視野実体顕微鏡に
よる花序分裂組織の軌覿矢印は茎項分裂組織を示している。(F)
暗視野実体瀕微鍬こよる花芽の観察。矢印は心皮の位置を示して
いる。(G)花序。(H)花の発生ステージ11から14における心皮と雄し
べでのGUS染:色のバターン。(Ⅰ)未熟種子。GUSによる染色は(A−C)
が45分、(D−H)が14時間、(りが3時間それぞれ行った。(A)と(D)のス
ケールバー=1・0血軋(B),(C),(町(F)と(Ⅰ㌍)スケールバー=10叫皿、
(G)と岬)におけるスケールバー』,5皿皿。
根端における戊足の発現分布を調べるためにGUSによるプロモーター
解析で用いた戊足のプロモーター配列をGFPレポ一夕一遇伝子に繋いだコンス
トラクトを利用して戊疋の発現を観察した(図ユー11)。根端における成定の発現
は、細胞の分裂と分化が行われている根端分裂組織で最も強く発現しており根
端以外の根器官では、中心柱の領域に弱い発現が認められた(図Z−11)。
2(5
(十
国
‡←++∵÷
㌧十セ
ロ田
;t
図2−11GFPレポ一夕一道伝子による戊g遺伝子の取組織での発現
発芽後2日目の芽生えの根における灰耳遠伝子プロモーターの発現特異性を調べた。(A)、(恥
(C)、(D)はⅠ旺::αPコンストラクトを導入した植物体の蛍光画像(E)、(F)は野生株の蛍光画
像。(A)根端でのGF増光画像。(B)根端でのヨウ化プロビデイウムによる蛍光画像。(C)根端に
おけるG押(緑)とヨウ化プロビデイウム(赤)による二重蛍光画像。(D)根端から約10mm基部偶の
根の二重蛍光画像。(E)野生株根端でのGFPとヨウ化プロビデイウムによる二重蛍光画風(F)
p)と同じ位置での野生株の二重蛍光画像。スケールバー=100岬n。
シロイヌナズナの各組織における発現量を比較するために00皿p由dⅥ∋
RT_PCRにより戊茸の発現量を調べた(図Z−12)。ロゼット葉と茎での発現レベル
は、常に低いレベルであった。一方、花序茎項と根では比較的高い発現レベル
を示していた。発芽後1ユ,20,38日目の花芽を含む茎頂組織での発現レベルの変
化から戊g遺伝子の茎動こおける発現は、植物体の成長段階に伴って増加して
いることが示された。鞘での高い成定遺伝子の発現ほ、図2−10での結果とも考
え合わせて、未熟種子でのGUS染色の結果を反映していると考えられたロ戊足
27
遺伝子の発現レベルは、生殖生長の進行に伴って増加していた。戊見通伝子の
生殖生長期における発現量の増加は、規定が生殖生長において機能しているこ
とを示唆していたo cRT−PCRによる根器官での民定遺伝子の発現解析からは、
成定の発現量が植物体の成長につれて減少することを示していた。しかし、植
物体の成長につれて根端組織の含まれる割合が減少することを考慮に入れると
成定は、根端において恒常的に発現していると考えて矛盾はない。実際、発芽
後ユ4日目の根端組織のGUS染色からも根端における戊g遺伝子の発現が確認
できており、規定遺伝子の根端での恒常的な発現を表していると考えられた。
28
」L≠
A
10410510610710glO9104105106107108109104105106107108109
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6日目12日目20日目 38日目
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掲1eaf白openflower団silique
図2−12cRT一打RによるJRg遺伝子の発現解析
(A)cRT−PCRの電気泳動写真。500bpと340bpのバンドはそれぞれ
compebtorDNAおよびmRNAの発現を示している。逆転写反応に供与した
トータルRNAは発芽後、6、12、20、38日目の植物体から精製した。各PCR反応に使用した
compebtorDNAのコピー数を写真の上に使用した。6日目の
茎頂組織は、子葉と茎頂組織を含む。(B)JR片道伝子の植物体の生長における相対的な発現
量の比較。
2.3.6.月軋K遺伝子の発現誘導
遺伝子の発現は、その遺伝子の機能が必要とされる時期と組織において
発現することが、植物体の正常な生育に必要である。JRだ遺伝子がどのような
条件で発現誘導されるかを知ることは、JR互の機能を予測する上で重安な知見
を与えてくれる。オーキシンの作用として根の伸長や側根形成に関与すること
29
▼_」
が報告されていることから、根端組織で発現する戊だがオーキシンによる発現
制御を受けている可能性を考えた。2,4−Dを含むMS培地にシロイヌナズナの植
物体を移植した場合、移植後7日目には10−7−10−6Mで著しい側根の形成が観察さ
れ、10 ̄5−10 ̄4Mでは内鞘組織の分裂が活発になって根の肥大化が生じる。そこで
戊互のプロモーター解析で用いた株をMS培地で発芽生育させた後に2,4−Dを含
む寒天培地に移植し、側根形成や内鞘の細胞分裂を誘導してGUS染色のパター
ンを観察した(図2−13)。これらの植物体でのGUS染色の結果、側根や分裂が著
しい内鞘を含む組織で強いGUS活性が観察された。さらに戊麒‥‥GU5コンスト
ラクトを導入した植物体をカルス誘導培地に移植してカルス形成についても行
った。カルスのGUS染色ではカルス外周部の細胞分裂活性が高い領域で強い
GUS活性が検出された。これらオーキシン処理やカルスを用いた戊だ遺伝子の
発現解析から、戊耳遠伝子が細胞増殖が活性化した組織で発現することが示さ
れた。
30
図ユー13植物ホルモンによる屈∬遺伝子発現への影響
灰だ=:戊ノSコンストラクトをもつ植物体を植物ホルモンを含む
培地で7日間生育させた後に皿S染色を45分間行い、染色パター
ンを観察した。仏)10r6M2,4−Dを含むMS寒天培地(B)10「5M2,4−
Dを含むMS寒天培地(C)カルス誘導培地(D)MS寒天培地(コントロ
ール)
31
ユ.4.考察
j
細胞表面に存在する受容体型キナーゼによる細胞間のコミュニケーシ
訂ンは、植物の形態形成において重要な機能を担っていると考えられている。
本研究では、ディファレンシャルスクリーニングによって生殖生長期のシロイ
ヌナズナの茎項で発現していた新規な受容体型キナーゼ遺伝子、成定を単離し
た。屈甘は、細胞膜へのシグナル配列、細胞外ドメイン、膜貴通ドメイン、キ
ナーゼドメインから構成される遺伝子であった。また、取Kのキナーゼドメイ
ンは自己リン酸化活性を有し、mKタンパク質は細胞膜に局在することも明か
となった。さらに戊茸遺伝子の特徴としては、細胞外ドメインのLRRモチーフ
の存在が挙げられた。LRRモチーフは,シグナル伝達や細胞の分化においてタ
ンパク質問の相互作用を介して分子認瓢こ関わるモチーフとして知られている
0シロイヌナズナのゲノム配列からは、174のLRRモチーフを持つ受容体型キ
ナーゼ遺伝子がコードされていることが報告されている。各リピートのアミノ
酸配列には芳香族の側鎖をもつアミノ酸やロイシン残基が含まれ,それらのア
ミノ酸の並び方はほぼリピート間で保存されている。これまでに高等植物で報
告されているLRRモチーフもつ受容体型キナーゼ遺伝子としては腿A、
了ⅧJ(C血弧g成d・,199礼丁勘ⅨエJⅣ山肌成れ1993)、月見別(Mu成れ1994)、CLⅥ
、占私見諺Jなどがクローニングされ、これらの受容体型キナーゼが植物体にお
いて重要な役割を担っていることが判ってきた。また、トマトの病原抵抗性遺
伝子である軋㍊もL眼を受容体に持つ遺伝子の一つであるが,嘩ガ遺伝子の
産物であるポリペプチドが,そのリガンドであることが示唆されている
(Gomez−GomezetaL・,2001)。ポリペプチドをコードするCLⅦは遺伝学、生化学
的解析からCい拍のリガンドとして考えられている。動物では、1u血鳩
山omo舵/血0血血cgo皿如加p血受容体がホルモン選択性を決定する因子としてロ
イシンリッチリピートを用いていることが報告されている(Bra皿ばれ1991)。ま
た、背腹軸形成に関わるシ訂ウジョウバエの了Ⅶ遺伝子も細胞膜外にロイシン
リッチリピート領域を持つ受容体型キナーゼであり(=a血motoαれ1粥軋リ
ガンドの結合が細胞内のキナーゼドメインの活性制御を行っていることが知ら
れている(W加胤鮎川皿dHa血moto,1995)。このように動物においては既に、LR且が
リガンドのレセプターとして機能し、さらに細胞内へのシグナル伝達へと繋が
っていることが報告されている。しかし、植物の受容体型キナーゼにおいては
、どのような機能を植物体で行い、どのようなリガンドを受容しているかにつ
いて明らかになった遺伝子は数例に過ぎず、今後の解析が必要な領域である。
32
臣
L
【
L
【
L
L
㌢
…
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r
解析を行ってきたJ定足は、受容体型キナーゼとしてこれまでに植物で報
告されている遺伝子と共通したドメイン構造を有していた。受容体ドメインで
あるIRKのLRRについては基本的なモチーフは保存しているものの各遺伝子間
や同じ遺伝子の各リピート間でもアミノ酸配列に違いが存在していた(図2−5)
。さらに各遺伝子においてはそのリピートの回数も異なっていた。このような
アミノ酸配列の特徴がLRR配列の選択的なリガンド認識に寄与していると考
えられた(KobeandDeisenhofbr,1994)。IRKのLRRドメインの両端に存在するシ
ステインモチーフは、受容体タンパク質や、接着タンパク質(adhesive protein)に
保存されている特徴的なモチーフであることが示されている(Kqjava,1998)。ホ
ルモンのレセプターであるLH−CGレセプターや神経生長因子のレセプターであ
るチロシンレセプターキナーゼ、細胞接着に関与するコネクテンにも同様なシ
ステインモチーフがLRRモチーフの近傍に存在する。IRKのLRRドメインの両
端についてもシステインモチーフが存在していたことから、IRKのLRRモチー
フについても受容体あるいは、結合タンパク質として機能している可能性が示
唆された。
高等植物の受容体型キナーゼの特徴として細胞内にセリン/スレオニ
ンキナーゼドメインを持つことがあげられる。受容体型キナーゼの作用機構と
しては、動物の受容体型キナーゼのモデルが提唱されている(Ullrich and
Schlessinger,1990)。第一段階としてリガンドが受容体に結合する。この際に受
容体が二量体あるいは多量体を形成する。次に,形成した受容体型キナーゼの
複合体においてお互いの細胞質ドメインをキナーゼがリン酸化し合う。この現
象を自己リン酸化と呼び,キナーゼが互いにリン酸化(自己リン酸化)するこ
とにより受容体型キナーゼが活性化し,細胞内のシグナル伝達経路へとシグナ
ルが伝えられると考えられている。インシュリンレセプターの場合には、自己
リン酸化によってテロシンキナーゼの㌦狛が上昇し、活性化状態が維持される
。この活性化状態は、リガンドがレセプターから外れても維持されることが知
られている(Rosene一山.,1983)。植物の受容体型キナーゼの活性化機構について
は、植物から多数の遺伝子がクローニングされているにもかかわらず、その活
性化機構についてはまだよく判っておらず動物での活性化機構が参照されてい
る状況である。ただ、動物と植物の受容体型キナーゼの大きな違いとしては、
動物がテロシンキナーゼを受容体型キナーゼのキナーゼドメインに有している
のに対し、植物のそれはセリン/スレオニンキナーゼを有していることが挙げ
られる。また動物では、シグナル伝達経路の下流にいくに従ってセリン/スレ
オニンキナーゼの占める割合が高くなることが知られている。このような違い
が動物と植物のシグナル伝達においてどのような違いをもたらしているのかは
33
、これまでのところは判っておらず、植物の受容体型キナーゼのシグナル伝達
機構の詳細な研究が必要であると考えられる。
戊片道伝子の発現解析から戊疋は、茎頂組織、発生中の心皮、未成熟種
子、根端組織などの細胞分裂活性が高い組織で主に発現していた。戊麒の発現
パターンと似た発現パターンを示す遺伝子としては、りC彪;∫やサC抽などの
細胞周期に関わる遺伝子が挙げられる○これらの遺伝子は、細胞分裂が活発な
組織で発現している遺伝子である○しかし、戊gの発現は、細胞分裂が盛んな
組織だけに限らず細胞分裂活性が低い伸長した花糸でも見られていた(図2−10)
。これらの事実から戊だの機能は、細胞分裂全般に機能するというよりも組織
特異的な機能に関与するものであるのかもしれない。根端でのGFPレポ一夕一
道伝子を用いた戊互の発現解析からは、戊互の発現領域がオーキシンの根にお
ける輸送領域と似たパターンを示し戊gとオーキシンとの関連性が示唆された
戊互のような受容体型キナーゼでは、細胞間隙を漂うリガンドを受容体
が認識することがシグナル伝達の最初のステップとなる。しかし、リガンドが
豊富に存在していたとしても細胞表面に受容体が存在しなければシグナル伝達
は成立しない。つまり、シグナルを受容する能力が細胞になければシグナル伝
達は行えないことになる。今述べたことを裏付けるように発現が誘導される受
容体型キナーゼ遺伝子がいくつかクローニングされてきている。例えば、アサ
ガオで発現する受容体型キナーゼは、短日条件で栽培すると発現が誘導される
ことが知られているし(Bassettetal・,2000)、シロイメナズナでは、病害やサリ
チル酸によって発現誘導される遺伝子(DuandChen,2000)が報告されている。こ
のことは必ずしも受容体型キナーゼが構成的に発現している必要はなく、必要
な時にシグナルを受容できるように細胞表面に受容体を準備すればよいことを
示唆している。これまで細胞間シグナル伝達は、単なるリガンドと受容体との
結合だけと考えられていたが、シグナルを受容する能力の有無の違いによる調
節も考慮する必要があるだろう。このような受容能力の有無は、同じシグナル
が個々の細胞に到達した場合にそのシグナルに応答できる細胞とできない細胞
が現れることになると考えられる。ショウジョウバエの網膜細胞の分化では、
シグナルに対して応答できる能力の有無がその細胞の分化方向を決定する因子
の1つであることが報告されている(Ⅹu er∂J.,2000)。上R麒については、
戊鱒FOJ刀0加:GU5コンストラクトを導入した植物体をオーキシンを含む培地に
移植することで形成が誘導された側板や細胞分裂が活性化された内鞘組織にお
いて戊だの発現が誘導された。また、カルスにおいても戊だの発現が認められ
34
、月軋Kが細胞分裂の盛んな部位で発現する傾向があることと、オーキシンと関
連性がある可能性が示唆された。
これまでに戊だが、受容体型キナーゼとして機能するための構造を有し
、血v血0の系での自己リン酸化実験からは、キナーゼドメインが自己リン酸化
活性を有することを述べてきた。さらにIRKタンパク質の細胞内局在の実験か
らは、IRKが細胞膜に局在することが証明された。これらの結果を総括すると
IRKは、構造モデル(図2−7)に示したような構造と細胞内局在を採っていると考
えられ、IRKが受容体型キナーゼとして生体内で機能するために必要なドメイ
ン構造を有していることが明かとなった。また、発現解析の結果からは、花序
茎頂組織、根端組織で発現することが判った。以上の特徴から戊gは、器官形
成が活発な組織で発現する受容体型キナーゼ遺伝子であり、受容体型キナーゼ
として機能的な遺伝子であることが示唆された。
35
__」
3.2章
戊g遺伝子の機能解析を目指して
3.1.序論
仝ゲノム塩基配列が決定されたシロイメナズナでは、細胞間、細胞内で
のシグナル伝達に機能する遺伝子(キナーゼ等)が全遺伝子数の10.4%存在して
いることが明かとなっている(TTleAmbjdqpsIsGenomeInitiative,2000)。代謝や転
写に関わる遺伝子がそれぞれ22.5%、16.9%であることを考えるとシグナル伝達
が植物において重要な役割を負っていることが推測できる。今述べたことは、
シグナル伝達に関与しているキナーゼ遺伝子の数について線虫やショウジョウ
バエと比較した結果からも示唆されていて、シロイメナズナがそのゲノム中に
850以上のキナーゼ遺伝子をコードしているのに対して、線虫では約400、ショ
ウジョウバエではさらに少なくおよそ250 しかコードされていないことがわか
ってきた(ChoryandWu,2001)。動物と植物においてこのような遺伝子数の差が
見られることは、着生である高等植物が巧みに外界からの刺激に応じてその生
長を制御していることを反映していると考えられる。細胞間シグナル伝達を担
う受容体型キナーゼ遺伝子については、実に340の遺伝子の存在がシロイヌナ
ズナで明らかになっている。これらの遺伝子は、レセプタードメイン、膜貫通
ドメイン、セリン/スレオニンキナーゼドメインから構成される特徴を持つ(¶e
ATabldQPSjsGenomeInitiative,2000)。これらの遺伝子の中には、病害耐性、分裂
組織の維持、ホルモンの受容などにおいて細胞間シグナル伝達に関わっている
ものが既に知られている。
高等植物における受容体型キナーゼについてもその機能が判った遺伝子
は、ごく限られた遺伝子であり、その大半はどのような機能を担っているのか
、全く判っていない。受容体型キナーゼの機能は、これからの解析が残された
領域である。高等植物が多細胞生物として生存しているのは、まだ機能が明ら
かにされていないこれら受容体型キナーゼの機能による可能性は十分にあると
考えられ、機能未知の受容体型キナーゼがどのような役割を演じているのかを
調べることは、高等植物の多細胞性を支える機構を解き明かす糸口になると考
えられる。
シロイヌナズナのゲノムプロジェクトからは、高い相同性を示す遺伝子同
士が機能的に重複している例がいくつか報告されている(Smyth,2000)。例えば、
5〃PJ(AGLJ)、5〃P2(AGL刃はアミノ酸レベルで87%という高い相同性を持つ遺
伝子である。この2つの遺伝子は、鞘の裂開に必要な遺伝子であり、各々の1
36
”⊥
遺伝子の変異では、表現型が現れないのに対してこれら遺伝子の二重変異体で
は表現型を示すことが知られている(Litiegrenetal.,2000)。これらの高い相同性
を示す遺伝子群の中には、1遺伝子の変異だけでは、表現型が現れないものも存
在することから遺伝子機能の解析を行っていく上で障害となることも多く、こ
れまでの変異体を得て、遺伝学的に解析する方法のみでは、遺伝子の機能を明
らかにすることは難しいと予想できる。このように遺伝子機能の冗長性が考え
られる場合には、遺伝子の発現や構造などの情報を全て活用してその機能を調
べる必要があると考えられた。LRRモチーフを持つ受容体型キナーゼ遺伝子に
ついても遺伝子ファミリーを構成していることが報告されており、これら遺伝
子の機能的な冗長性が予想されている。また、LRRタイプの受容体型キナーゼ
遺伝子ファミリーの中には、戊麒と高い相同性を示す遺伝子の存在も明らかに
なっておりIRKの機能解析がこれまでの遺伝学的な解析方法のみでは難しいこ
とを示唆していた。機能解析を行っているJR見遣伝子についても、本論文1章
で予測されたIRKタンパク質の構造と細胞膜局在性、自己リン酸化能から機能
的な受容体型キナーゼであることが明かとなってきた。さらに発現組織特異性
からは、器官形成が活発な組織で主に発現することが明らかになった。しかし
、JR互を介したシグナル伝達が植物生理においてどのような意味を持つのかは
、今のところ予測はできていない。だが、同じ受容体型キナーゼである月A占SA
遺伝子のように道道伝学的な解析によってこれまで遺伝子の機能が不明であっ
たものが明らかになった例も報告されている(Jinnefれ2000)。発現と構造的特
徴から分裂組織の機能に関わると予想されたJR疋遺伝子の解析を通じて、分裂
組織の基本的な機能である器官形成、分裂組織の維持がどのような機構で行わ
れているかを明らかにすることを本研究では目的としてきた。第2章において
は、JR疋遺伝子に関してその遺伝子破壊株、キナーゼドメイン過剰発現株を中
心に、これらJR濫造伝子に閲した形質転換体の表現型の観察を行い、JR麒の植
物体における役割について解析を進めた。
37
」
3.2.材料と方法
3・2.1.形質転換植物の作成
減圧浸潤法(BechtoldandPelletier,1998)により形質転換体の作成を行った。アグ
ロバクテリウムはAgrobacteljumtumefbciensC58CIRif株を用い、植物体は、
AIdjdqpsjsthaljanaL.(Columbia)を用いた。
形質転換体の選抜
減圧浸潤法により形質転換処理をしたシロイヌナズナからTl種子を収穫し、
MS寒天培地(5叫如lカナマイシン、0・8%アガー)上で形質転換体を選抜した。
【
植物体の生育
:≡
≡
l
キナーゼドメイン過剰発現株、戊互変異株、点変異導入株、過剰発現株、野
生株の種子を2日間低温処理後、土に播種し、長日条件下(16h明、8h暗)で生育
させた。
■妄
l
∃
形質転換植物作成に使用したコンストラクトの作成
≧
l
用片道伝子過剰発現株の作成では、戊互のゲノム塩基配列を鋳型にして、PCR
によりmKの転写開始点の下流55bpから終始コドンまでの3.4kbを増幅した
。プライマーは、次のものを用いた。
l
l
l
【
l
5’−IRKrec−kpn‥5一−GGGGTACCGCTGCAACATTCTTCGTCGG−3・
Stoptype:5一−TCAGATGAGTTGGGTTCAAGTTGAACTAGTGGTACCGG−3・
巨
PCRによる塩基配列の置換が生じていないことを確認後、植物形質転換用プラ
スミドベクターであるpMS=1の坤蛛坤eIサイトにクローニングした。点変
異導入戊だ遺伝子の過剰発現株の作成では、RKのキナーゼドメインのサブド
【
【
メインⅠⅠで保存されている706番目のリジン残基をグルタミン酸残基に置換す
るようにリジンをコードしているコドン(AAG)を(GAG)になるように点変異を
導入した。点変異(K706E)の導入には、Site−dhectedmutagenesiskit(Clontech)を用
いてIRKのcDNA配列に点変異を導入した。変異導入プライマーには、
IRKmutation:5一−CCTGTAGCTATCGAGAAGCTCACTGTC−3・
変異体選抜用プライマーには、
PBCselecScaI:5r−GAATTACAACAGCACTGCGATGAGTGGCAG−3・
をそれぞれ用い、ふ刀Ⅰサイトの有無により点変異を生じたプラスミドを選抜し
た。IRKの過剰発現株作成の場合と同様に点変異を持つmK遺伝子のcDNAを
鋳型にしてPCRを行い、PMSHlのKbnIl軸eIサイトに挿入し、コンストラク
38
▲.J
トを作成した。
LRK相同遺伝子のRNAiによる発現抑制株の作成では、PBIlOl.1を鋳型にして
PCRにより約1kbのGUS遺伝子の塩基配列を増幅した。5一側のプライマーには
坤aIサイトを導入したGUSFHプライマーを3’側のプライマーにはSmaIサイ
トを導入したGUSRMプライマーを用いた。
GUSFH:5一−GGTTAACCCGCTTCGCGTCGGCATCC−31
GUSRM:5一−CCCGGGTCATTGTTTGCCTCCCTGCTG−3’zZS
PCR産物をpuc18のSmaIサイトにクローニングした。次にXbaIとSacIで
GUS断片を切り出してpBI121のXbaIとSacIにクローニングし、RNAi用バイ
ナリベクターを作成した。次にIRKと相同性が低いLRRドメインの400bpを
PCRにより増幅した。PCRは、PBS−SKII+にサブクローニングしてあるmK−1ike
のcDNAを鋳型にし、次のプライマーを用いた。
IRKh5一:5▼−CCGGTACCTTCTTTCTTCGCTTTTTACCTCC−3’
IRKhomoRNAi3一:5▼−CCACTAGTCAGTTGGAGAGAGTCTGTGG−3’
増幅した断片をズbaI、励oRIにより処理してRNAi用ベクターのズbaI、坤aI
サイトに導入し、アンチセンス鎖とした。また5acI、放oRIでPCR産物を処理
して RNAi用ベクターの 5maI、5acIに導入することでセンス鎖とし、
35S::Antisense−GUS−Senseコンストラクトを完成した。
i
3.2.2.T_DNAタギングラインからのmK遺伝子破壊株のスクリーニング
かずさDNA研究所の23,808ラインからなるT−DNAタグラインよりPCRによ
る戊耳遠伝子破壊株のスクリーニングを行った。用いたプライマーは、戊だ遺
伝子特異的に認識する5▼端プライマーと3▼端プライマーさらに、T−mAのLB
配列およびRB配列を認識するプライマーで、これら4つのプライマーによる4
つの組み合わせによりPCR反応をおこなった。スクリーニング方法の詳細はか
ずさDNA研究所より提供されているプロトコール従った。
IRK認識プライマーとして次の2つのプライマーを使用した。
IRK−T−DNA5:5.−TTGGCCGAAATGTAGCCGTTGAGATAGATT−3’
IRK−T−DNA3:5一−TGGTTCAGAACCTGAAATGAAGACTACAGGCT−3−
1次スクリーニングのPCRにより増幅されたバンドについては、サザンプロッ
ト解析と塩基配列の決定を行い、mK遺伝子にT−DNA断片が挿入されているこ
とを確認した。さらに3次元プールからの2次スクリーニングにより1ライン
の植物体にまで絞り込み、T−DNA挿入変異株を取得した。また、T−DNA配列の
LRK遺伝子内への挿入の確認は、T−DNA配列を挟み込むように設計したIRK−
T_DNA5とIRK−T−DNA3のプライマーを使用した。野生株にのみ認められる260
bpの増幅断片の有無で判断した。
39
誉
.」
3.2.3.RT−PCRによるIRKおよびmK−1jke遺伝子発現の検出
発芽後6日目の植物体の根、5週目のシロイヌナズナ(コロンビア)の花序茎
頂と花組織から常法従いトータルRNAを抽出した。1ststrandcDNAsynthesiskit
(AmershamPharmacia)を用いて1pgのトータルRNAからfirststrandcDNAを合成
した。プライマーは、それぞれ
IRT3N:5一−TCCCTCTAACTCATTCCTCG−3−
IRTh3N:5’−CCACTAGTCAGTTGGAGAGAGTCTGTGG−3一
を使用した。
PCRは、firststrandcDNA反応液の1/5量を鋳型に使用した。
JR耳遠伝子検出用のプライマーには
IRT5N:5’一TCTGTTCAACGGAGAAGAGG−3.とIRT3▼Nを用いた。
JR定一肱e遺伝子の検出には、
IRTh5N:5l−GGGTCCTTGAGGTCCGTTTCC−3一とIRTh3▼Nを用いた。
PCRにはEx taq DNAポリメラーゼ(TAKARA)を使用し、反応は、95℃ 30秒
、55℃ 30秒、 72℃ 30秒を1サイクルとして25サイクルおこなった。2%
アガロースゲルで電気泳動し、RT−PCR産物を確認した。
戊だ過剰発現株および変異JR麒過剰発現株での導入遺伝子の発現解析
カナマイシン耐性株として得られたJR茸過剰発現株6ラインと変異戊疋過剰
発現株9ラインのTl世代の花序茎頂組織からそれぞれ既述の方法に従いトータ
ルRNAを調整した。mK遺伝子のcDNA塩基配列400bpをプローブとして常法
に従ってノーザンプロット解析をおこなった。JR互過剰発現株の発現解析には
各レーン3鵬、変異戊互過剰発現株の発現解析には各レーン5鵬のトータル
RNAを供した。ローディングコントロールとして、AC了苫遺伝子の発現量を参
照した。
3.2.4.JRだ一肱e遺伝子発現抑制株の発現解析
ノーザンプロット法により戊互一肱e遺伝子の発現量を調べた。戊好一址eのRNAi
抑制株(Tl世代)ウラインからそれぞれ約30mgの花序茎頂組織を採取し、既述
した方法によりトータルRNAを調製した。各レーン10pgのトータルRNAを
供与し、1.0%ホルムアルデヒド/アガロースゲルで電気泳動した。以後、既述
した方法に従って操作した。LRK−1jkeのプローブには、400bpのcDNA断片(RNAi
に用いた領域は含まない)を用いた。ローディングコントロールとしてUβ05遺
伝子の発現を参照した。
40
l
3.2.5.cDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現の解析
戊だのT−mA挿入変異株(血k−J)、キナーゼドメイン過剰発現株、野生株(コ
ロンビア)それぞれをMS寒天培地(0.8%アガー、1%ショ糖)、全日長条件下で2
週間生育させた後、植物体の根組織からトータルRNAを精製した。それぞれ40
ugのトータルRNAをcDNAマイクロアレイに供した。プローブには生殖生長
期花序茎頂、栄養生長期花序茎頂、菓、根由来のcDNAライブラリーから独立
した5722の遺伝子クローンを使用し、アミノ基誘導型シランコーティングスラ
イドガラスにアレイヤー(SPBIO2000、日立ソフトウェアエンジニアリング)を
用いてスポッティングした。マイクロアレイの画像化には、ScanAmay4000(ピ
ーエム機器)を使用しマイクロアレイによる解析を行った(安藤、2001)。
3.2.6.戊疋相同遺伝子(上RK一放e)のクローニング
シロイヌナズナ(コロンビア)野生珠の花序茎頂組織由来のcDNAライブラ
リー(人ZAPII)からファージINAを精製した。精製したファージDNAを鋳型に
してKOD DNAポリメラーゼによるmK相同遺伝子のクローニングを行った。
プライマーは、次の2つのプライマーを使用した。
IRKh5一:5一−CCGGTACCTTCTTTCTTCGCTTTTTACCTCC−3’
IRKh3一:5一一CCACTAGTGGAGGATTGATTCATCTGTAGTTG−3’
PCRは、95℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃1分を1サイクルとして45サイク
ルの反応を行った。3kbのPCR増幅産物をpBS−SKII+のKpnI、5peIサイトにク
ローニングした。クローニングした断片が戊だの相同遺伝子であることを確認
するために、クローニングした断片の両端の約500bpの塩基配列を決定した。
二重変異体の作成
ノーザンプロットおよびRT−PCRにより発現量の減少が確認されたirk−1と
IRK−1ikeRNAi変異株のラインを用いて交配を行った。交配で得られたF2植物体
からPCRによりT−DNA配列、RNAiコンストラクトを持つ植物体を選抜し、2
重変異体を得た。
41
_」
3.3.結果
RKは受容体型キナーゼとして機能的であることが明らかになったこ
とからIRKを介したシグナル伝達が多細胞生物である植物体の形成に重要な役
割を担っていることが予想された。そこで第2章ではIRKの植物体での機能を
明らかにすることを目標に戊疋遺伝子に閲した形質転換植物体をシロイヌナズ
ナを用いて作成し、その表現型からの機能予測を試みることにした。戊だ遺伝
子の発現は形態形成が活発に行われている花序組織、根端組織であることから
、形質転換植物に現れる変化としては花序や根において形態的な異常として現
れることが期待された。そこで戊濫造伝子の機能を解明するために戊gに閲し
た形質転換体を作成して野生株との形態的な変化の観察を行った。
3.3.1.戊g遺伝子破壊株の同定
戊疋遺伝子が破壊されている植物体は遺伝子の機能が完全に欠失して
いると期待できることから、機能を知る上で有用な情報が得られることが多い
。そこで戊だ遺伝子の破壊株を取得するために、かずさDNA研究所から公開さ
れているシロイヌナズナのT一肌Aタグラインから破壊株の取得を試みた。
23,808のラインからなるT−DNAタグラインからPCRによるスクリーニングを
行ったところ、mKのLRRドメインにT−DNA配列のインサートをもつライン
を1つ選抜することができた(図3−1A)。得られた戊打破壊株について花序茎頂
におけるIRK遺伝子の発現量をRT−PCRにより評価した。供与して頂いたT2
世代の植物からT−DNAをホモに持つT2世代3個体をPCRにより選抜した。こ
れら3個体のT3世代の植物体からそれぞれトータルRNAを抽出しRT_PCRを
おこなった。野生株では、戊好の発現を示す260bpの増幅断片が得られたが、
T−mAタグラインの3個体からは、増幅断片は生じなかった(図3−1B)。この結
果からIRKのT−DNA配列挿入変異株においては、LRKの発現が消失しているこ
とが確認できた。以後、IRKのT−mA挿入による破壊株をirk−1と表記した。
形質転換体T3世代について人工気象器(長日条件下;16h明、8h暗)で生育し、
表現型の観察を行った。植物体の観察では、戊gの発現が観察された花序茎頂
や花器官における形態的な変化、根における主根の伸長や側根の形成を中心に
調べた。しかし、表現型の違いは観察されなかった。また、稔性の低下もみら
れなかった。
42
A
T−DNA
LRR
TM kinase
___⊥_二二
5・UTR → ←
3■UTR
lkb
WT 1 2 3
朗4K2 嘩
■ト260bp
Uβ併
■ ■ト260bp
図3−1T−DNAタグラインからのIRK遺伝子破壊株(irk−1)の探索
と発現解析
(A)かずさDNA研究所の23,808のTTDNAタグラインから1ラインの戊K遺伝子破壊株
をPCRによるスクリーニングにより取得した。LRKのLRRドメインにT−DNA配列の
挿入が確認できた。PCRに用いたプライマーの位置を矢印で示した。TM:膜貫通ド
メイン。(B)RT一托二Rにより戊だ遺伝子の発現の有無を確認した。
T2世代でT−DNA配列ホモ接合体であった3ラインについてそれぞれのT3世代の植物
体の花序茎頂組織からトータルRNAを抽出し、RT−PCRによるLR片道伝子の発現解析
を行った。コントロールとして野生株(コロンビア)を用いた。
3.3.2.IRKキナーゼドメイン過剰発現株の同定
IRKのキナーゼドメインを過剰に発現させることによりリガンド分子
に依存しないキナーゼの活性化を誘導し、IRK を介したシグナルが恒常的に活
43
▼_」
性化した植物体の作成を試みた。IRKのキナーゼドメインに相当する685番目
のアミノ酸残基からストップコドンまでの領域を植物体で過剰発現させた。Tl
世代からノザンプロット解析により1・3kbのシグナルとしてキナーゼドメイン
の過剰発現が確認された株を以降の解析に用い、このキナーゼドメインの過剰
発現株をIRK(KD)と表記した(図3−2)。1コピーのインサートを持つホモ接合体
について人工気象器(長日条件下;16h明、8h暗)で育成し、1t*−1rq様にIRK(KD)
の表現型の観察を行ったが、野生株との表現型の違いは見られなかった。
1 2
IRK−kinase
domain
事
ACrβ
■■1.3kb
■■−1.5kb
図3−2IRKキナーゼドメイン過剰発現株の発現解析
∬RKのキナーゼドメインをGMV35Sプロモーター制御下過剰発現させ
た。各レーン10帽のトータルRNAを泳動した。レーン1;野生株、
レーン2;IRKキナーゼドメイン過剰発現株。ローディングコントロールと
してACT官遺伝子をプローブに使用した。
3・3.3.月乱打遺伝子過剰発現株の同定
戊麒をWの35Sプロモーターの制御下で過剰発現させることによっ
て、異所的に発現した戊互による植物体への影響を調べることにした。また過
剰発現によってシグナルに村する感受性が高くなることも期待され、これら2
つの可能性をもとに植物個体への影響を調べることにした。これまでに6ライ
ンの戊肯過剰発現用コンストラクト導入株をカナマイシン耐性株として取得し
た。得られた形質転換植物体において目的どうりに戊斤の過剰発現を行ってい
るかどうかを確認するために、カナマイシン耐性株として得られてきた植物体
の戊片道伝子の発現量を調べた(図3−3)。ノーザンプロット解析から戊麒の過剰
発現によるシグナルは約3・6kbのバンドとして検出され、6個体で戊麒の過剰
44
▲.」
発現を確認することができた。以後、IRKの過剰発現株を35S−IRKと表記した
。形質転換体T2世代について人工気象器(長日条件下;16h明、8h暗)で育成し
、上述した表現型の観察を行ったが表現型の違いは観察されなかった。
1 2 3 4 5 6 7
躇Ⅹ −3・6kb
;こ■■1.5kb
ACTg
図3−3IRK過剰発現株の発現解析
JR片道伝子をCaMV35Sプロモーター制御下過剰発現させた。
6つの独立したTl世代の花序茎頂組織由来のトータルRNAを用いて
戊麒の発現解析を行った。レーン1;野生株、レーン2から7;
戊だ過剰発現株。ローディングコントロールとしてACT苫遺伝子を
プローブに使用した。
3.3.4.点変異を導入したJRだ遺伝子過剰発現株の同定
キナーゼの保存されているサブドメインⅠⅠにあるリン酸化活性に必須
の706番目のアミノ酸残基に位置するリジンをグルタミン酸に置換する点変異
を導入し、自己リン酸化活性の欠失した点変異を有する戊疋を作成することに
した(HornandWalkeretaT.,1994)。点変異(K706E)を持つIRK%caMV35Sプロモ
ーター制御下、植物体で発現させることにした。一般に受容体型キナーゼ遺伝
子がリガンドを受容して活性化する際に二量体を形成して自己リン酸化(相互
リン酸化)することが知られている(UllrichandSchlessinger,1990)。このことか
らリン酸化活性を欠失させた変異IRKを植物体で過剰発現させた場合、正常な
IRK と二量体を形成して、相互リン酸化を阻害することが予想される。このよ
うにドミナントネガティブ型のIRKがIRKを介したシグナル伝達を抑制するこ
とを期待した。これらの各ラインについて変異型戊片道伝子の発現量をノーザ
ンプロット解析により調べた。8ラインの形質転換体(Tl世代)において約3.6kb
の変異型戊だの発現を示すバンドが得られた(図3−4)。以後、点変異を持つ
IRKの過剰発現株をIRK(K750E)と表記した。形質転換体T2世代について人工
気象器(長日条件下;16h明、8h暗)で育成し、上述したとおりに表現型の観察を
行ったが、表現型の違いは観察されなかった。
45
¶」
12 3 4 5 6 7 8 910
上月g
′へこ.′
、深.、
ACTg
■■3.6kb
■■1.5kb
図3−4点変異導入IRK過剰発現株の発現解析
点変異を持つ戊片道伝子をCdⅥV35Sプロモーター制御下過剰発現させた。
得られた9つの独立した形質転換体(Tl世代)について花序茎頂組織
由来のトタル卿Aを用いてノーザンプロット解析を行った。レーン1;野生株、
レーン2から10;IRK過剰発現珠。ローディングコントロールとしてAC相通伝子
をプローブに使用した。
3・3・5・用尺に高い相同性を示す遺伝子
これまでに観察してきた戊互遺伝子に関する変異体や各種形質転換ラ
インの解析からは、花序や根における形態的な表現型は観察されなかった。そ
こで表現型が観察されなかった理由としては、戊互と機能的に重複した遺伝子
(相同遺伝子)が存在する可能性と、戊足を介したシグナル伝達以外の別のシグ
ナル伝達経路が戊gに代わって正一∫変異株やIRK(KD)過剰発現株で機能する可
能性の二つが考えられた。そこで、戊互と相同性を示す遺伝子の存在の有無、
さらに戊麒と機能的に重複する可能性について考えた。
シロイメナズナのゲノムプロジェクトからシロイメナズナが相同性の
高い遺伝子を重複してゲノムにコードしていることが明かとなってきた。また
、それら遺伝子が重複した機能を持つ例が報告されている。このような例が報
告されてきたことから戊gについても高い相同性を示す遺伝子と機能的な重複
をもつ可能性が考えられた。IRKのアミノ酸配列を用いたBLASTによる検索か
らIRKと最も高い相同性を示した遺伝子はATT20L1516(以後戊互一放eと命名)
であった。JRだ一放eは戊互と同様にロイシンリッチリピートをレセプターに持
つ受容体型キナーゼ遺伝子をコードしていたoIRKとIRK−1ike間での各ドメイ
ンにおける相同性を図3−5に示した○アミノ酸配列での比較からレセプタードメ
▼」Lr_」
イン間では約51%の相同性が、キナーゼドメイン間では、約68%の相同性をも
つことがわかった。一般に、セリン/スレオニンキナーゼ間の相同性の値が30
∼40%であることからしてもIRKとIRK−1ikeのキナーゼドメインには有意な相
同性があるといえる。さらにこれまでに報告されている植物由来の受容体型キ
ナーゼのキナーゼドメインのアミノ酸配列を用いて系統樹を作成し、他の受容
体型キナーゼのキナーゼドメインとIRKのキナーゼドメインがどのように分類
されているのかを系統樹にまとめた(図3−6)。系統樹からも 戊だと 月もK一比e
遺伝子のキナーゼドメインが互いに最も高い相同性を示すことが判った。さら
に、ARKlとSRK−910はともにS−domainを持つ遺伝子であるが系統的に近い位
置に存在していた。花粉で発現する受容体型キナーゼであるP尺だJと ⊥eP尺だJ
についても近い位置に存在していた。植物の形態形成に関与している CLVJ、
月A占∫A、且Rといった遺伝子についても比較的近縁であることを示していた。系
続樹に見られた各遺伝子のキナーゼドメインの位置関係は、機能的に似た遺伝
子群が系統樹においても近い位置に存在する可能性が高いことを示唆していた
。上Rだとその相同遺伝子である戊麒一肱eについても互いに近縁な関係にあった
ことから、これらの遺伝子が機能的に似た遺伝子である可能性を持つことが考
えられた。また、戊互一枚e以外にIR好と相同性を示していた遺伝子としては
巨】
At3g28040、Atlg62950、Atlg12460の3つの遺伝子が存在していた。
1 ZO 598 628
lRK
964 a.a.
軋 はR 畑= KNA江
103.7kD
51%
lRK−1ike
匝l+uR 両 I KNA監
(ATT20L1516)1ZO
603 633
104.1kD
967 a.a.
図3−5 IRKとIRK−1ikeの各ドメイン間での
アミノ酸配列の相同性比較
IRKについてはcDNA塩基配列、IRK−IikeについてはゲノムDNAから予測された
アミノ酸配列を用いてLRRドメインおよびキナーゼドメイン間の相同性を比較し
た。概略図の右には各遺伝子産物の推定分子質量を示した。
SPシグナルペプチド配列、LRRロイシンリッチリピートドメイン。
TM:膜貫通ドメイン、KINASE:セリン/スレオニンキナーゼドメイン
47
」
BRIl
At3g28040
IRK
IRK−1ike
LRR domain
Atlg62950
Atlg12460
ATTMKLl
LePRKl
PRKl
ERECTA
HAESA
CLVl
TMKl
簡Å賢妻
腎炎茶盆
ヱ・ミ.モまく主星亡jぎ‡i;宣三富呈
RPKl
LECRKIJlectin−1ikedomain
Ⅹa21
SERK
ARKI
SR監−910
0.1
図3−6 高等植物で報告されている主な受容体型キナーゼ遺伝子の
キナーゼドメインのアミノ酸配列の系統樹
ClustalWにより各遺伝子のキナーゼドメインのアミノ酸配列についてアライメントを
作成し、TleeViewを用いて系統樹を作成した○受容体ドメインにLRRモチーフを持たない
遺伝子については、遺伝子名の後ろに受容体ドメインを構成しているモチーフ名を記述し
た。系統樹作成に用いた遺伝子のaccessionNo・を示す。JRK(T4fX)38),IRK−
1ike(r4821Q)ARKl(M80238),SRK910OQ1677),SERKO「143541ERECTA(U47αZ9),RLK5(P47735
),CLVl(U96879)R靴1(U55875)TMKl(I−OC670),CRINKLY4(U67422),WAKl(AJO(汐6961WAK4
(AJ009695)BRIl(AFO17056),ATTMKLl(X72863),LePRKl(U58474),PRKIOJ27341)LECRKl(A
FOOl168)メa21(U72723)
3・3.6.戊麒と戊定一址e遺伝子の発現解析
戊互と戊だ−肱e遺伝子が機能的に重複するための必要条件としてこれら
の遺伝子が同じ組織で機能していることが必要である。そこで戊片と戊だ_放。
遺伝子の発現をRT−PCRによって調べた○シロイヌナズナ野生株のつぼみを含
48
▲ _
む茎頂、花、根の各組織から抽出したトータルRNAを用いてRT−PCRを行った
。その結果、IRKについては645bp、mK−1ikeについては570bpのPCR増幅断
片が生じ、両遺伝子が花序茎頂、花、根において共に発現していることが示さ
れた(図3−7)。
1 2 3 4 5 6
645bp−ト
570bp一−
巧正一■■■正担】■=超謹E■■監禁=一■ +RT
一面ヨ■■■誌ヨ■■■■森岳iii画家i
ーRT
図3−7上R麒と月モKJJ止eの発現組織
RT−P〔Rにより月ⅨとJR定一Jjk遺伝子の発現している組織を調べ
た。レーン1から3はIRKの発現を、レーン4から6はIRK−1ikeの
発現示した。レーン1と4は根、レーン2と5はつぼみを含む茎
頂、レーン3と6は開花した花由来のトータルRNAをそれぞれ用
いた。それぞれ戯gは570匝、戊定一〟たdま645bpの増幅バンドと
して検出された。上段は逆転写反応後PCRを行った。下段は逆
転写反応を行わずにPCRを行った。
3.3.7.JR好一〟たe遺伝子の発現抑制株の発現解析
IRKとのアミノ酸配列での高い相同性からJR好一〟たe遺伝子がJRだ遺伝子
と機能的に重複しているならば、二重変異体の解析が有効であると考えられる
。そこでJR疋遺伝子と上R好一址e遺伝子の二重変異体を作成をするためにJ尺好一址e
遺伝子の変異株を作成することにした。かずさDNA研究所の23,808のT−DNA
タグラインからのPCRによるスクリーニングでは、破壊株を得ることができな
かった。そこで戊だ一肱e遺伝子の発現抑制株を、最近シロイメナズナにも応用
可能であることが報告されたRNA干渉法(以下RNAiと表記)によって作目する
ことを試みた(ChuangandMeyerowitz,2000)。RNAiは、元々は線虫において遺伝
子の発現を抑制する方法として開発された。Chuangらの報告からシロイヌナズ
49
ナについても最近、このRNAiを利用した遺伝子発現の抑制が効果的であること
が証明された。戊だ−肱eについて変異体を取得するために月もK−〟b遺伝子につい
てRNAiのコンストラクトを作成し、シロイヌナズナのゲノムヘアグロバクテリ
ウムを介して導入した。これまでにカナマイシン耐性を示した形質転換体32ラ
インを取得し、その内の9ラインについてその発現抑制の効果をノーザンプロ
ット解析により調べた(図3−8)。野生株では、約2.85kbの大きさに戊g_址。
遺伝子の発現を示すシグナルが認められたが、形質転換植物体では、戊だ_放。
の発現は確認できなかった。このことからRNAiによって戊定一址。遺伝子の発現
を抑制できたことが確認できた。これらRNAiによりmK−1jkeの遺伝子発現が減
少した植物体のTl世代について形態的な影響が表れるかどうかを人工気象器で
生育させ調べたが形態的な影響は観察されなかった。さらに祓_Jと戊麒_〟bの
RNAi株との交配による二重変異体の作成を試みた。しかし、交配によって得ら
れた植物体では、T−DNAの挿入により安定的に破壊されているIRKの発現は無
いことが確認できたが、戊だ一肱eの発現は減少しておらず、二重変異体の作成は
できなかった。今後二重変異体が致死になる可能性についても検討する必要が
考えられた。J尺gと戊だ一腹eが機能的に重複している可能性が高いことは示唆
されたが、実際に戊だと戊定一址eが機能的に重複しているかは、明らかにでき
なかった。
WT 1 2 3 4 5 6 7 8 9
JR定一J止e
■l−2.85kb
1■
■
ACTg
■ ト1.44kb
図3−8IRK−1ike遺伝子のRNAiによる発現抑制株の発現解析
野生株(コロンビア)とRNAiコンストラクトを導入したTl世代の
植物体9ラインについてトータルRNAを用いたノーザンプロット解析を行った。
各レーン5順の花序茎頂組織由来のトータルRNAを供した。
ローディングコントロールには、AC乃遺伝子をプローブに用いた。
50
▲__
3.3.8.cDNAマイクロアレイによる1tk−1での遺伝子発現の評価
シロイヌナズナの仝ゲノム塩基配列が決定された(¶e A柑bfd叩5f5
GenomeInitiative,2000)ことから遺伝子の塩基配列情報をもとにその遺伝子の生
物体における機能を明らかにする道道伝学的な解析が増えている。しかし、そ
れら遺伝子の1遺伝子での変異体の解析からは、表現型が現れない例が報告さ
れており、遺伝子機能の解析を進めるに当たって大きな問題となっている
(LiUegrenetal.,2000)。解析を進めているLRKについてもiL*一人IRK(KD)におい
て表現型が観察されなかったことから、戊疋相同遺伝子の機能的重複の可能性
に加え戊疋の機能を補うような遺伝的経路の存在が考えられる。
近年、表現型が現れない遺伝子の変異体に村して多数の遺伝子の発現量や代謝
産物の蓄積量の変化(Raamsdonketal.,2001)を解析することによって、その道伝
子の機能を予測する試みが行われている。表現型が現れない変異体におけるこ
のような試みは、発現量が野生株と比べて変異株で変化している遺伝子の中か
ら、戊疋のシグナルの下流で発現調節を受けている遺伝子や戊麒の機能を肩代
わりしている遺伝子の候補を探索することによって戊疋の機能を予測すること
を目的としている。そこで、JR片道伝子単独の変異抹では表現型が認められな
かったこと、JR互とJR定一肱eとの二重変異体の解析ができなかったことから、
多数の遺伝子発現を評価できるcDNAマイクロアレイを用いてjl*−L、IRK(KD)
について野生株との遺伝子発現の変化を評価することにした。以降の解析では
、戊互が根端分裂組織においても発現していたことから、根端における戊麒の
機能を中心に解析を行った。
cDNAマイクロアレイを用いてjL*−1と野生株間での根器官での遺伝子発
現の変化を比較した。址−Jでは戊gを介したシグナル伝達が行われなくなるた
めに、戊疋によるシグナル伝達の下流に位置する遺伝子の発現や戊gを介した
シグナル伝達の機能を肩代わりする遺伝子の発現が変化することが予想された
。CDNAマイクロアレイの結果、野生株と比べて発現が上昇している遺伝子とそ
の逆に、発現が減少している遺伝子が認められた(図3−9(A)、表3−1)。これらマ
イクロアレイ解析で発現量が変化した遺伝子についてノーザンプロット解析を
行い、発現量の変化を確認した(図3−10)。野生株と比べて発現上昇が認められた
遺伝子としては、glutathioneS−tranSftrase(GST)と相同性を持つ励Lly−Re甲OnSjveto
ahyd171tionstress作RD)13(Kiyosueetal.,1994)、ESTとして単離された機能未知
遺伝子(AV566692、A舶97438、AV549114)などの発現量が増加していた(表3−1)
。逆に、発現の減少が認められた遺伝子としては、戊互以外に〃f5加e〃トjが
51
1
1
」
認められた。且尺別jは、乾燥ストレスの初期に発現誘導される遺伝子として報
告されているがその機能については、明らかにされていない。ESTクローン
(AV566692、AA597438、AV549114)については既知のタンパク質モチーフとの相
同性は、認められなかった。月ゴ5加e〃りについても、乾燥ストレスにより発現
誘導される遺伝子であることが報告されているがその機能についてはわかって
いない(AscenziandGantt,1997)。jik−1で発現量が変化した遺伝子の多くは、乾燥
ストレスに関与するものであった(表3−2)。
次に、RK(KD)と野生株について遺伝子発現の変化を調べた。IRK(KD)では、過
剰発現させた戊麒のキナーゼドメインが恒常的にシグナル伝達経路を活性化さ
せることを期待した。恒常的な活性化状態を疑似的に作り出すことによって戊互
の下流で発現調節を受けていると予想される遺伝子を探索することを試みた。
マイクロアレイによる過剰発現株と野生株間での解析から発現量が変化した遺
伝子を示した(図3−9B、表3−3)。また、正一Jの解析と同様にこれら発現の変化を
示した遺伝子についてノーザンプロット解析により確認した(図3−11)。戊疋遺伝
子の発現が野生株より約20倍発現量が上昇したのを始め、Putative ribosomal
proteinやsenescence5遺伝子が発現上昇を示した。リボソームタンパク質をコー
ドする遺伝子については、2倍よりも発現量は少ないもののその他のリボソー
ムタンパク質遺伝子においても発現量が増加する傾向にあった。発現量が減少
した遺伝子としては硝酸還元酵素(NRJ)などの遺伝子が認められた(表3−4)。
52
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102
102
104
103
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野生株
図3−ウマイクロアレイによる遺伝子発現の解析
(A)汀kJ変異体における遺伝f一発親の散布図。縦軸は正一1由来の遺伝子発現を示す蛍光強度、横軸は野生株由来の遺伝r一発現を′Jけ蛍光強度を′J、
す。(B)IRX(KL))における遺寝言一発硯の散布図。縦軸はIl伏(KD)由来の遺伝子の蛍光強度、横軸は野生株由来の蛍光強度を小す。縦軸と横軸の蛍
光強度の和が1〔y川に満たない弱い発牒憬の遺伝子については、解析から削除した。
53
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図3−10放た」変異株と野生株で発現量の変化を示した遺伝子
cDNAマイクロアレイで発現量の変化していた遺伝子のノーザンプロット
解析を行い、各遺伝子の発現量の比を求めた。各レーン10順のトータルRNA
を泳動した。WT;野生株、 M;正一J。AC柑の発現量をローディングコントロ
ールに用いた。上段は1血−1において発現量が減少した遺伝子、下段は減少した
遺伝子を示す。0内には、マイクロアレイの結果から算出された址−1と野生株
での発現量の比を示した。
表3−2 〟ば変異株のマイクロアレイ解析(まとめ)
遺伝子 野生株との発現量比 機能または発現条件
(northernblot)
EST(AV549114) 5.2
EST(AV566692) 1.4
SEN(senescence)5 1.2 ABAによる老化で発現誘導
EST(AA597438) 1.2
g尺βノj l.1 乾燥ストレスにより発現誘導
〃J∫加e〃り 0.03 乾燥ストレスにより発現誘導
nltratereductasel(NRl) 0.5 硝酸還元
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5月M
putative40S
ribosomalprotein
S14
1.4(2.1)
3.0(2.0)
WT KD
瑞鏑紅嘉藻
nitratereductasel
O.6(0.3)
図3−11IRK(KD)と野生株で発現量の変化を示した遺伝子
のノーザンプロット解析
cDNAマイクロアレイで発現量の変化していた遺伝子のノーザンプロット
解析を行い、各遺伝子の発現量の比を求めた。各レーン10順のトータルRNAを泳
動した。WT;野生株、KD;IRK(KD)。AC77gをローディングコントロールのプロー
ブに使用した。上段はRK(KD)において発現量が上昇した遺伝子、下段は減少し
た遺伝子をそれぞれ示す。()内には、マイクロアレイによるRK(KD)と野生株での
各遺伝子の発現量の比を示した。
59
表3−4IRKキナーゼドメイン過剰発現株のマイクロアレイ解析(まとめ)
遺伝子 野生株との発現量比 機能または発現条件
(northernblot)
PutatlVe40Sribosomalprotei l.4 リボソームタンパク質と相同性
SEN(senescence)5 3.O ABAによる老化で発現誘導
nitratereductasel(NRl) 0.6 硝酸還元
す
60
⊥_
3.4.考察
戊だ遺伝子の植物体における機能を明らかにするために過剰発現株、点
変異導入株、変異株(ム☆−J)、キナーゼドメイン(KD)過剰発現株(IRK(KD))を作成
し、これら植物体の野生株との表現型の違いを調べてきたが、これまでに有意
な違いは観察されなかった。作成した形質転換体の狙いとしては、血☆−Jでは、
遺伝子機能の欠失による表現型から遺伝子の機能を予測することを試みた。過
剰発現株(35S−IRK)および、IRK(KD)では、過剰に発現した遺伝子がリガンド非
依存的に活性化して恒常的にシグナルを流す状態を作り出すことを試みた。最
後に、点変異導入株(IRK(K706E))については、ドミナントネガティブな効果を
期待したもので(Changetal.,1994)、戊Kやその相同遺伝子LRK−1jkeの活性化を
阻害することによってこれまで機能的な重複によって現れてこなかった遺伝子
の機能を明らかにすることを目的とした。作成した3種類の形質転換体とスク
リーニングで得られた舷−Jについては、ノーザンプロット解析により、各植物
体で機能していることが示唆されており、上述したとおりの働きが期待された
これまでに作成した戊麒に閲した形質転換植物について野生株との表
現型の違いが観察されなかった理由としていくつかの可能性が考えられた。先
ず一つ目としては、遺伝子機能の冗長性が考えられた。冗長性については相同
遺伝子による機能的な重複の可能性ともう一つはシグナル伝達経路の冗長性が
考えられた。また二つ目としては、各形質転換植物体を観察する際の生育条件
の設定が表現型の観察に適切でない可能性が考えられた。
戊だ遺伝子の相同遺伝子による機能の冗長性の可能性については有意
な相同性を示すJRK−1Lkeの存在が明らかになったことと、RT−PCRの結果から花
序茎頂、根で共に発現することがわかったことからその、可能性が示唆された
。また、これまで単純なゲノム構造であると考えられていたシロイメナズナの
ゲノム配列の約70%が重複した配列で占められていることが明らかになってお
り(rmeAI71bjdqpsjsGenomeInitiative,2000)、機能的に重複する遺伝子が潜在的に
存在する可能性が高いことも示唆していた。このことから、重複した遺伝子が
同じ機能を有していた場合には、どちらか一方に変異が生じたとしても、もう
一方の正常な遺伝子によってその機能が補われるために表現型として観察され
なかったと考えられた。
シグナル伝達経路の冗長性ついてはcDNAマイクロアレイによる解析か
らその可能性を示唆する結果が示されてきた。受容体型キナーゼによって発現
61
が調節される遺伝子では、いくつかのシグナル伝達のステップを経て最終的な
遺伝子発現の調節に到達すると考えられる○シグナル伝達経路が単純な経路の
場合は、IRKの活性化と遺伝子発現の調節はほぼ相関したものになると考えら
れる。だが、IRKからのシグナルが他のシグナルとクロストークしているなど
の複雑な制御の場合は、IRKの活性化とその下流の遺伝子の発現調節との相関
性が見えにくくなる可能性が予想される○実際、正一∫やIRK(KD)のマイクロア
レイ解析において遺伝子発現の変化が見られた遺伝子の多くは、。DNAマイクロ
アレイ解析で一般に発現量が変化していると認められている開催(2倍の発現量
の変化)より若干高い程度の発現量の変化を示したものがほとんどであった。
このことは、戊互によるシグナル伝達が細胞外からのシグナルの受容とそれに
対する細胞内での応答が1村1の関係ではなく、もっと複雑なシグナル伝達経
路を構成していることを示していると考えられた。
形質転換植物体のcDNAマイクロアレイ解析からは、いくつかの遺伝子
が発現量を変化させていることが明らかになった。これら発現量の変化してい
た遺伝子の予想される機能としては、戊片を介したシグナルの機能を補うよう
な働きを持つ遺伝子や戊肯からのシグナル伝達の下流で発現調節を受けている
遺伝子である可能性が考えられた。表3−2に示すようにERD13(乾燥ストレス)
、HistoneHl−3(乾燥ストレス)、SEN5(ABAによる老化)(Parketal.,1998)、硝酸還
元酵素、リボソームタンパク質、ESTクローン(AV566692、AA597438、AV549114)
などが、発現量の変化を示した遺伝子として得られてきた。これらの遺伝子が
戊だを介したシグナル伝達とどのように関連するのかは、現時点では予測でき
なかった。しかし、ここで発現量の変化を示した遺伝子の中には、戊だの機能
と関連する遺伝子も存在すると考えられ、それらの遺伝子が発現誘導される条
件において各形質転換植物体の表現型を観察することによりこれまで見えなか
った表現型が観察されることが期待される。しかし、オーキシンや浸透圧スト
レス、塩ストレスによる根の生育への影響を調べているが、表現型の違いは観
察できていない。
戊片遺伝子を含むLRRタイプの受容体型キナーゼ遺伝子はシロイヌナ
ズナのゲノム配列に174遺伝子存在することが報告されている。また、キナー
ゼドメインを持たないLRRをもつ遺伝子についても122遺伝子と多数存在する
ことが判ってきた。このように戊片道伝子の機能を解明する上で、シロイヌナ
ズナで大きなファミリーを構成している受容体型キナーゼの分子進化の過程を
知ることは、有用な情報を与えてくれると考えられた。主な高等植物の受容体
型キナーゼのキナーゼドメインのアミノ酸配列を用いた系統樹を図3−6に示し
62
†
た。SRK−91qGoringand Rothstein,1992)とARKl(Tobias and Nasrallah,1996)や
W某麒JとWAだ4(Hee=止,1999)のようにこれらの遺伝子は、それぞれSドメイン
やEGFリピートを持つ受容体型キナーゼ遺伝子である。PRだJと⊥eP尺麒Jは共
に花粉で発現するという共通した特徴を示す。このように同じ受容体ドメイン
をもつ遺伝子や発現組織が同じ遺伝子同士が系統樹においても近縁であること
が判った。図3−6の系統樹は、各遺伝子のキナーゼドメインのアミノ酸配列での
比較ではあったが、各遺伝子の受容体ドメインの種類や発現パターンなどの特
性と系統樹における各遺伝子の位置関係には関連性があることが読み取れた。
このことは、受容体ドメインがリガンド分子との結合選択性を示すのと同じよ
うに、キナーゼドメインについてもシグナル伝達のターゲット分子に対する特
異性を持たせているためであると考えられる。JR互についてはこれまでに表現
型が報告されている遺伝子とは系統的に離れていることから、これまでに報告
されている遺伝子とは異なるシグナル伝達に機能していると考えられた。構造
的に相同な受容体型キナーゼが多く存在する中で個々の受容体型キナーゼがど
のように各々のシグナル伝達を行い、どのような生理現象に関わっているのか
に興味がもたれる。今後、各受容体型キナーゼの機能が明らかになってくれば
、各受容体型キナーゼを構成する受容体ドメインとキナーゼドメインを他の遺
伝子の受容体ドメインやキナーゼドメインと置き換えるドメインスワッピング
によって個々の遺伝子を特徴づけているドメインの機能を調べることができる
だろう。さらに、リガンドあるいは、シグナル伝達のターゲットとなる分子の
同定を行うことによって、細胞内にさまざまな受容体型キナーゼが存在する中
でどのように外部からのシグナルを各遺伝子が認識、伝達しているのかを明ら
かにできると思われる。
シロイヌナズナのゲノム構造については、その特徴として塩基配列の重
複がこれまでに仝ゲノム配列が公開されている線虫ヤショウジョウバエといっ
た生物よりも多いことが挙げられている。遺伝子ファミリーを形成していない
ユニークな遺伝子の割合で比較すると線虫、ショウジョウバエではそれぞれ
55.2%、72.5%であるのに対しシロイヌナズナでは35.0%と低く、逆に遺伝子フ
ァミリーを形成する遺伝子の割合が高くなっている。LRR を持つ受容体型キナ
ーゼ遺伝子が多数ゲノム上に存在する理由として、LRRタイプの受容体型キナ
ーゼがシロイヌナズナが生育する際に必要な機能を提供してきたことが考えら
れる。シロイメナズナ以外にもトマトやイネ、ニンジンにおいてLRRタイプの
受容体型キナーゼが機能していることが報告されおり、LRR タイプの受容体型
キナーゼが高等植物全般にわたって機能していることが明らかにされている。
では、LRRタイプ受容体型キナーゼはどのようにさまざまな機能を獲得し、進
63
化してきたのだろうか?解析が進んでいるシロイメナズナのMS血x遺伝
子である AG上遺伝子ファミリーの例が参考になると思われる。
AG上(AGAMOU5−放り遺伝子もLRRタイプの受容体型キナーゼ遺伝子同様にシ
ロイヌナズナにおいて大きなファミリーを形成する遺伝子群である。この道伝
子ファミリーの最近の研究からはこれらAGL遺伝子が遺伝子の重複を繰り返し
ていくうちに、より発現部位や時期に特異性を示すような新規なAGL遺伝子を
進化させてきたと考えられている(AIvarez−Buyllaeta).,2000)。このような遺伝子
重複によってAGL遺伝子群は、現在みられるような多彩な機能を持つようにな
ったと考えられる。LRRタイプ受容体型キナーゼについてもAGL遺伝子ファミ
リーのように重複を繰り返していく間により再分化された機能を獲得してきて
いるのではないだろうか。戊だ遺伝子についても系統樹上に戊麒、戊だ_址eグル
ープから分かれてきたと予想される遺伝子群(At3g28040、Atlg62950、Atlg12460)
が存在することが示された。このことからRLK遺伝子の機能や発現特異性を知
ることにより、戊片道伝子の機能予測に結びつく情報が得られるかもしれない
形質転換体を用いたIRKの機能解析やcDNAマイクロアレイによる解析
は、戊疋のシグナル伝達の最も下流に位置する部分での解析であった。一方、IRK
のキナーゼドメインと直接相互作用するターゲット分子やレセプターと結合す
るリガンド分子の同定も戊だの機能を予測する上で有用な情報を与えてくれる
。シロイヌナズナにおいてRKのキナーゼドメインと相互作用するターゲット
遺伝子をyeasttwohybrid法により単離する試みでは、これまでにターゲット遺
伝子の候補とみられる陽性クローンを得た○このターゲット候補遺伝子の産物
は、562アミノ酸残基で、PSORTによるタンパク質の細胞内局在の予測では、
細胞膜に局在することが示され、C末端側(478−494a.a.)には、細胞膜貫通ドメイ
ンも予測された。しかし、細胞膜への移行に関わるシグナルペプチドの存在は
予測できなかった。また、BLASTによる相同性検索では既知の遺伝子との有意
な相同性は示されなかった。組換えタンパク質を用いたタンパク質問の相互作
用を調べた実験では、IRKのキナーゼドメインとターゲット候補との相互作用
が血v加で確認され戊麒を介したシグナル伝達の下流因子としての可能性が示
された(八反、未発表)。これまでに月A丘∫AやCLVJについては、ホスファタ
ーゼをコードしている疋APP(K血aseAssocjatedProteinmosphatasd(Stoneetal.,
1994)がシグナル伝達のターゲットとして報告されているのを始め、CLVJにつ
いては、さらにGタンパク質をコードするRqp(Rho−relatedGTPasefromplants)
遺伝子がそのシグナル伝達に関与することも示唆されていてMKカスケード
との関連も考えられている(Trotochaudetal.,1999)。だがこれらの遺伝子による
64
▲__l
詳しいシグナル伝達機構は不明である。IRKについては、tWO−hybrid法によりそ
のターゲットとなる下流因子の候補が得られたが、既知のタンパク質モチーフ
との相同性は低くどのような機能を持つかは明らかにならなかった。
リガンド分子については、IRKの受容体を構成しているLRRがタンパ
クータンパク間相互作用に関与するモチーフであることからリガンド分子の候補
はペプチド性の分子であると予想している。CLVlでは、CLVヲの遺伝子産物か
ら切り出される78アミノ酸残基のポリペプチドが、CLVlのリガンド分子であ
ると予想されている(Fletcheretat.,1999)。この他にも高等植物においては生理活
性を示すポリペプチドが数例報告されている。傷害応答ではシステミン(Pearceet
at.,1993)、細胞分裂ではENOD40(vandeSandeetal.,1996)、細胞増殖ではファイ
トスルホカイン(MatsubayashietaT.,1997)が報告されている。これらポリペプチド
の受容体は未だ明らかにはなっていないが、LRRタイプの受容体型キナーゼが
そのレセプターとして機能している可能性は十分に考えられる。IRKの受容体
ドメインと相互作用するリガンド分子についてはこれまでのところ明らかには
なっていないが今後、J犬疋によるシグナル伝達経路が植物体においてどのよう
な生理的な役割を担っているかが明らかになれば、表現型を指標としたリガン
ド分子のスクリーニングまたは、IRKのLRRドメインに相互作用する分子の探
.毒
索からのリガンド分子の取得が可能であると考えられる。
研究が進んでいる茎頂分裂組織の花芽分化については、これまでに花芽
分化や無限花序の維持に関わっていると考えられる遺伝子が単離されてきてい
る。それらの変異体には器官形成に異常を示したり,花成時期がずれることが
知られている。しかし,これらの遺伝子の一つが機能しなくても程度の差はあ
るにしろ、多くの場合植物は花芽を分化させ花をつける。この事実は,高等植
物において花芽分化に関わる遺伝子は、複数存在していて,それらが互いに協
調あるいは、別の独立した経路を経て花芽の分化を決定していることを示して
いる。IRKについて作成した形質転換植物体では根や花序茎頂組織において野
生株と比較して表現型の違いは観察されなかった。この事実は、IRKによるシ
グナル伝達が唯一の決定因子ではなく、動物で明らかになってきたように他の
シグナルとクロストークし合ってシステムを機能させていることを示唆してい
る。IRKにおける他のシグナル伝達経路の可能性としては、JR定一放eによるシグ
ナル伝達が予想される。JR打とJ尺定一舷eとの二重変異体の解析は行えなかった
ので、その真偽については結論を出せなかった。JRだと戊好一故eの二重変異体
が得られなかった理由については、二重変異体が致死になるために得られなか
った可能性もあり今後、作成したF2植物体の分離比から二重変異体が致死的に
なるかどうかを検討する必要が考えられた。二重変異体の表現型は観察できな
65
かったが、多くの受容体型キナーゼがゲノムに存在していたことを考慮すると
IRKによるシグナル伝達とクロストークするシグナルは十分存在すると予想さ
れた。
高等植物において多くの受容体型キナーゼ遺伝子が植物の生理機能や
発生に関与していると考えられている。しかしながら、その機能が明らかにな
った例は、まだ限られた遺伝子に過ぎない。数多くある受容体型キナーゼ遺伝
子の中で個々の遺伝子の機能の違いを生み出している因子としては次の3つの
因子が考えられ、これら三つの因子の組み合わせによって受容体型キナーゼ遺
伝子の機能が決定されていると考えられる。一つは、リガンド分子の受容体へ
の選択的な結合、二つ日は、受容体型キナーゼによって特異的にリン酸化、活
性化されるターゲット分子、三つ目は、遺伝子発現の時期、組織特異性である
。本研究では、戊片道伝子の時期、組織特異的な発現について記述してきた。
その結果からは、JRgが器官形成や細胞分裂において機能することが示唆され
てきた。また、CDNAマイクロアレイでは受容体型キナーゼによるシグナル伝達
の最も下流で機能していると予想される候補遺伝子を探索してきた。候補遺伝
子が実際に戊だによるシグナル伝達に関係するのかどうかについては、検証を
必要とした。今後、受容体に結合するリガンド分子やリン酸化されるターゲッ
ト分子について明らかにすることにより戊gを介したシグナル伝達の植物体に
おける機能が明らかになるだろう。
66
4.結論
高等植物の分裂組織がどのように器官形成を行い、分裂組織を維持して
いるのかを分子レベルで理解することを目的とした。そのために器官形成が活
発な花序組織で低発現する384の遺伝子がデフアレンシヤルスクリーニングに
より単離された。多数の細胞から構成される分裂組織において個々の細胞が協
調して機能するためには細胞間でのシグナル伝達が重要な役割を担うと予想さ
れた。そこで本研究では、分裂組織における細胞間シグナル伝達が植物の器官
形成にどのように関わっているのかを明らかにするために、新規な受容体型キ
ナーゼ遺伝子、戊互の解析を行った。戊gは、その予測されたアミノ酸配列か
らN末端側からLRRモチーフからなる受容体ドメイン、膜貫通ドメインを経て
、セリン/スレオニンキナーゼドメインから構成されていた。GFP レポ一夕一
道伝子を用いた戊互の細胞内局在の解析では、戊麒が細胞膜に局在することが
明らかになった。さらにIRKのキナーゼドメインが自己リン酸化活性を有した
ことから戊麒は、受容体型キナーゼ遺伝子として機能的な構造を持つことが示
された。
戊疋の機能を予測するために行った戊互の発現解析からは、茎頂分裂組織、
がく、花糸、心皮、未成熟種子などの花序組織と主根や側根の根端と中心柱で
戊麒が発現していることが明らかになった。その結果戊疋が器官形成や細胞分
裂の盛んな組織で発現することが明かとなった。さらにcRT−PCRによるmKの
発現解析からは、茎頂組織での戊互の発現が栄養生長相から生殖生長相に移行
するに従って増加することが観察された。生殖生長相において戊疋遺伝子が心
皮や種子の発生などに機能することが予想された。根における戊互の発現パタ
ーンでは、オーキシンによって細胞分裂が誘導された組織で戊疋の発現が観察
されたことと、カルスの外側の最も細胞分裂が盛んな部分でJR互が発現してい
たことからJRだが細胞分裂に関与することも示唆された。土正一上やIRK(KD)と野
生株との表現型の比較では、長日条件下の生育では地上部の組織については、
有意な形態的変化は観察されなかった。また、MS寒天培地での根の生育につい
ても違いは観察されなかった。そこで戊疋の機能を予測するために、これまで
に得た血k−J、IRK(KD)においてどのような遺伝子発現の変化が生じているかを
調べた。jL*−1、IRK(KD)の根器官でのcDNAマイクロアレイによる野生株との遺
伝子発現の比較からは、細胞分裂、乾燥ストレス、タンパク質合成などに関与
する遺伝子が、発現量の変化した遺伝子として得られてきた。しかし、これら
の遺伝子発現の変化は大きくなく、約2倍(CDNAマイクロアレイの閥値)程度の
変化であった。このように遺伝子発現の変化が少ないのは、IRKから伝達され
るシグナルとその応答の間にIRK以外からのシグナルによるクロストークが介
67
「
在することが予想された。CDNAマイクロアレイの情報からはIRK遺伝子の機
能を絞り込むには難しい点もあったが、発現量の変化を示した遺伝子の中には
IRK と機能的に関連がある遺伝子が存在することが予想され、今後の表現型の
解析条件の検討に利用できると考えられた。
本研究で採用した遺伝子の道道伝学的な機能解析は、生物のゲノム塩基
配列が明らかにされてきたことから、今後も重要な方法として用いられると考
えられる。〟ば遺伝子と高い相同性を示した必」タブお遺伝子が〟i片道伝子と機能
的に重複した遺伝子であるかは明らかにできなかったが、dGエ遺伝子の例に見
られたように、遺伝子重複によって各遺伝子の機能は複雑に細分化されてきて
いる。受容体型キナーゼについても同様に、様々に進化した受容体型キナーゼ
がシグナルのクロストークを行って、多細胞生物の器官形成を維持していると
考えられる。本研究では、〟ば遺伝子の機能解析を通じて分裂組織の機能を分子
レベルで解明することを目的としてきた。IRKを介したシグナル伝達経路の生
理的な機能については今後の解析を必要としたが、IRK−1ikeおよびIRKのター
ゲット分子さらに、マイクロアレイの結果を基に解析を進めることにより 〟ば
の機能が明らかになることが期待される。
高等植物であるシロイヌナズナのゲノムには多数の受容体型キナーゼ
遺伝子がコードされていたことから高等植物には様々なシグナルネットワーク
が存在すると予想されている。〟ばを始め今後、機能未知の受容体型キナーゼ遺
伝子の解析を行うことは植物の多細胞性をつくりあげている細胞間コミュニケ
ーションの全体像を明らかにする上で重要な一歩である。
68
一■」
5.謝辞
本研究を行うにあたっては、多くの方々に公私ともにたいへんお世話に
なりました。奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科分化・形態
形成学講座横田明穂教授には、ご指導、ご鞭撞を賜り深く感謝しています。京
都大学大山莞爾先生には1年間の短い期間ではありましたがいつも研究を楽し
んで行われている姿勢に感銘を憶えました。また同講座の河内孝之助教授と竹
村美保助手には、生き物とは無縁の世界にいた私に懇切丁寧に実験指導をして
いただいたことを深く感謝しています。共同実験者の浅井拓也君と八反順一郎
さんには、公私ともどもお世話になりました。マイクロアレイの実験をしてい
ただいた安藤候平君には実験の忙しい中、時間を割いていただき感謝していま
す。同期入学の嘉美千歳さんと西井晶子さんには、いろいろとご迷惑をかけま
したが、実験がうまく進まないときの力強い味方でした。皆さんに出会えたお
かげで今の自分があると信じています。本当にありがとうございました。
69
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