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脳脊髄神経外科 - 福井大学医学部附属病院

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脳脊髄神経外科 - 福井大学医学部附属病院
22
脳・神経・精神部門
脳脊髄神経外科
university of fukui hospital
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当教室での研修の特徴
1. 福井大学の脳神経外科専門研修では、技術習得を重視します。しかしながら、脳神経外科は
神経学、循環器学、内分泌代謝学、救急医学、腫瘍病理学、リハビリテーション医学、医
工学など学際的な知識が不可欠な分野であり、多く研究プロジェクトが行われています。
その一端に触れることも将来の進路として重要と考えています。
2. 脳だけでなく、脊髄・末梢神経の手術も行っているため、脳神経外科領域の手術がまんべん
なく学べ、専門医習得に有利です。これまでに当医局で研修を終えた全員が日本脳神経外
学会専門医を取得しています(専門医試験は医師免許取得後6年目より受験可能)
3. 教授はマイクロサージェリーのエキスパートです。スタッフは専門領域を有し血管内手術、
神経内視鏡手術、定位放射線治療、頭蓋底手術、脊椎脊髄手術、腫瘍病理学診断の指導も
充実しています。
4. 救急疾患の多い大学病院であり、専攻医に手術や手技のチャンスが十分あります。医療技術
を磨く機会を多く与えています。
5. 女性でも脳神経外科専門医になれるように、また家庭をもってもキャリアを継続できるよう
配慮しています。女性医師も誕生しました。
6. 神経内科、リハビリ部と合同カンファレンスを行っており、救急からリハビリまで一貫した
患者治療を体得し、開業する際にも有利です。脳神経外科専門医をバックグランドに他分
野への進出している教室員もいます。
7. 第一線市中病院へのローテート研修を通じ、自ら判断し、治療計画を立てることができる問
題解決能力を涵養します。
8. 基本臨床能力が養われたら、研究して専門分野を作ります。英文論文を書けるよう指導し、
世界と勝負します。
9. 大学院も、研究オンリーではなく、臨床研修を受けながら研究を続け、医学博士号(学位)
を取得できるよう配慮しています。
10. 専門医、学位取得者には海外留学の機会を与えています。
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脳・神経・精神部門
22 脳脊髄神経外科
脳脊髄神経外科
菊田健一郎
科 長
(研修統括者) 出身大学 京都大学(平成3年卒)
専門分野 脳血管障害・脳腫瘍(頭蓋底)・脊髄脊椎
初期研修目標(1-2年次)
●
脳神経外科疾患の病態理解と診断ができる。 術前術後管理ができる。
●
救急医学、麻酔学、神経放射線学、 神経病理学、リハビリテーション医学など関連分野の
基礎的知識および技術を習得する。
各段階での研修目標[独力でできるとは「下級医と手術できる」ということ]
3年次
ICU管理(気管切開、CVラインなど)、脳室ドレナージ、慢性硬膜下血腫が独力でできる
4年次
脳血管撮影・シャント術、急性硬膜外・硬膜下血腫・定位脳手術が独力でできる
5年次
基本開頭・STA-MCA吻合術・脳内血腫除去術が独力でできる
6年次
椎弓切除、頭蓋底の開頭が独力でできる。
7年次
専門医試験
研修病院
3年次
福井大学医学部附属病院で研修
4年次
∼
研修
プログラム
6年次
7年次
指定訓練施設で研修、急性期病院×1と慢性期病院×1
福井大学医学部附属病院で研修、専門医試験
専門医試験後
専門医習得後は大学病院や関連施設に出向し、
専門性を高めることができます。
高度なテクニックを必要とする脳神経外科手術
の習得や血管内手術専門医、神経内視鏡専門医、
脊髄外科専門医等の習得が可能です。
アカデミックニューロサージャンを目指す人は
外国留学での研修を勧めています。就職について
も神経系の知識が豊富で手術や救急処置ができる
卓上型顕微鏡でマイクロ操作の基本を学ぶ。
医師はどのような施設でも優遇されます。
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脳・神経・精神部門
脳脊髄神経外科
週間スケジュール
8:00∼9:00
月
火
水
木
金
神経内科との
合同カンファレンス
教授回診
手術カンファレンス
勉強会・抄読会
教授回診
両科の症例を呈示し
て、意 見を 交 換して
います。
入院患者のフィルム
を掲示。全員でチェ
ックし治療方針を決
定します。
その週で行われる手
術の計画を図示して
もらい、検討します。
最近の英文論を抄読し、
最新の情報をアップデー
トします。論文の読み
方、書き方を学びます。
入院患者のフィルム
を全員でチェック
し、治療方針を決定
します。
病棟業務
手術・血管内手術
病棟業務
手術・血管内手術
病棟業務
病棟業務
手術・血管内手術
・血管撮影
病棟業務
手術・血管内手術
・血管撮影
病棟業務
プレ回診
マイクロ道場
病棟医長と病棟を回
診し、次の日に掲示
するフィルムの準備
をします。
研究室でラットを用
いたマイクロ手術訓
練をします。
9:00∼12:00
12:00∼13:00
13:00∼18:00
プレ回診
18:00∼19:00
関連病院
情報
病棟医長と病棟を回
診し、次の日に掲示
するフィルムの準備
をします。
(17:00-18:30)
合同リハビリカンファレンス
リサーチカンファレンス
クリニカルカンファレンス スタッフ・大学院生
(含神経病理カンファレンス) の研究発および学会
予演を行います。
常勤医派遣病院
福井総合病院
福井勝山総合病院
公立丹南病院
中村病院
市立敦賀病院
国立病院機構 敦賀医療センター
杉田玄白記念 公立小浜病院
加賀市民病院
春江病院
嶋田病院
久藤総合病院
木村病院
あわら市
坂井市立三国病院
今立中央病院
宮崎病院
坂井市
泉ケ丘病院
安土病院
藤田神経内科病院
福井厚生病院
阿部病院
嶋田病院
林病院
林病院
非常勤医派遣病院
木村病院
江市
福井県連携回復期リハビリ施設
福井総合病院
福井厚生病院
教室
ホームページ
および連絡先
http://www.med.u-fukui.ac.jp/NOUGE
連絡先
〒 910-1193
福井県吉田郡永平寺町松岡下合月 23-3
福井大学部医学部脳脊髄神経外科内
Tel:0776-61-3111 内線 2363 Fax:0776-61-8115
E-mail: [email protected]
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university of fukui hospital
脳・神経・精神部門
専門外来
教授は脳血管手術、頭蓋底腫瘍、脊椎脊髄などマイクロサージェリーのエキスパートです。専門のスタッフによ
るAVM、もやもや病、脳腫瘍、下垂体腫瘍、脊髄・末梢神経、血管内治療などの専門外来を設けています。
脳脊髄神経外科
当科での臨床の特徴
福井県脳卒中連携協議会・日本脳卒中協会福井支部
日本脳卒中協会福井支部事務局であり、県民への脳卒中教育(脳卒中県民講座)を行うとともに、他の病院と合
同で県全体の脳卒中診療体制の整備に勤めています。
神経内科合同脳卒中カンファレンス、リハビリカンファレンス
神経内科、ナース、リハビリ部、地域医療連携部と共同で毎週合同リハビリカンファレンスを行っています。
脳腫瘍病理カンファレンス
悪性脳腫瘍の治療は現在でもなお困難であり、手術のみでは完治せず、化学療法、放射線治療など様々な治療と
組み合わせることが必要です。なによりも組織診断が重要であり、自らの研究室で免疫染色、電子顕微鏡的検察、
遺伝子診断を実施し、高いレベルでの腫瘍病理診断を行っています。週一回病理組織カンファレンスがあります。
当教室では脳腫瘍病理診断の教科書を出版し、全国から高い評価を得ています。
手術設備・環境
術中CT
1997年に術中CTが導入され、脳腫瘍、脳血管障害、頚椎病変、外傷な
どほとんどの手術時に威力を発揮しています。3D-CT, CT angiography,
CT fluoroscopy も可能です。24時間運用し、緊急手術でも大きく貢献し
ています。2012年には実施症例が1000例を超えました。世界有数の実績
です。2014年9月には、旧機種に代わり、シーメンス社製の64列MD-CT
が導入されました。
術直前、CTのセットアップ風景。導入から2012
年までで1000例以上に達し、有用性に注目が集
まっている。
ハイブリッド手術室
2014年9月の手術部・病棟新築移転に合わせ、開頭手術と同時に脳血管
撮影や血管内治療が可能な、ハイブリッド手術室が整備されました。
手術ナビゲーションシステム
ハイブリッド手術室での血管内治療風景。
2010年4月にブレインラボ社製のナビゲーションシステムを導入し、2014年
9月には同社の最新機種であるCurveナビゲーションシステムに更新しました。
術中電気生理学的モニタリング
運動、感覚、視覚を司る部位に病変が存在する場合、MEP(運動)、
SEP(感覚)、VEP(視覚)という特殊な脳波を用いて、神経機能が
手術中に障害されていないかモニタリングします。電気生理専門の技
師が測定に当たり、術者は安全性を確認しながら手術を進めることが
可能です。
当科で開発したVEP刺激装置。非金属なため術
中CTやMRIに対応する。
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脳・神経・精神部門
脳脊髄神経外科
術中蛍光血管撮影装置
世界最新鋭の手術顕微鏡 が2台配備されており
( Zeiss Pentero, Leica system )、ICGを用いた蛍光血
管撮影を行うことができます。動脈瘤クリッピング
術や脳血管バイパス術が成功しているか一目瞭然で
あり、脳血管手術を安全、確実に施行しています。
バイパス手術時の顕微鏡明視野。
蛍光視野。バイパス血管の血流が
確認できる。
5-ALAによる腫瘍蛍光標識
境界の分かりにくい悪性脳腫瘍の手術では腫瘍と
正常脳を見極めるために、特殊な色素5-ALAを用い
ています。薬剤投与で悪性腫瘍にこの5-ALA多くを
とりこませ、手術顕微鏡で特殊な光を当てることで
腫瘍を光らせ、肉眼では見にくい部分の腫瘍を取り
除くことが可能です。
通常の顕微鏡視野では腫瘍と正常
脳組織の境界は不明瞭。
術中蛍光視野。腫瘍が赤く光って見
えている。
医療機器開発
当科では福井県の地元企業と連携して、脳外科用
マイクロハサミ(図)や、VEP刺激電極、カーボン製
脳波電極など、多数の医療機器を開発しております。
メッセージ
我々は学生・修練医に対して卒前、卒後研修を通じて、科学的思考能力を有する専門職業人を
育成する仕組みを整えています。手術手技教育は、個々人が行うOff the job training , 臨床現場で
行うOn the job training がその両輪です。モデルでの実習、ラットなどの小動物での実習、ご遺
体を用いてのハンズオン教育など、実力を涵養できる環境を整備しています。研修当初よりマイ
クロサージェリー基本動作を教えます。ラット脳血管バイパス手術100匹達成することを外科医の
登竜門としています。速く達成するためにも、大学卒業後すぐに我々の門を叩いてください。入
局前の初期研修医1年目、2年目でも小動物を使ったマイクロ手術技術習得についても大歓迎で
す。鉄は熱いうちに打てをモットーにしています。『マイクロの手』を早めに作りましょう。実
際の手術においてもスタッフメンバーが皆若く、兄が弟を教えるような雰囲気で上級医が下級医
に懇切丁寧に手術を指導しています。医局には専門領域を有するスタッフが常駐しており、豊富
な教育資源が活用できるように配慮しています。毎朝の臨床カンファレンスは大型液晶スクリー
ンを用いて行い、手術カンファレンスもデジタルホワイトボードで快適な教育環境を提供してい
ます。専攻医の雑務をサポートする技官も配置しています。博士号も医員や助教として臨床研修
を続けながら取得することが可能です。Think globalの掛け声のもと、国際学会への発表や、日本
のみならず国際的なセンター施設への研修への道も広げています。アットホームな雰囲気で、実
力ある外科医を養成するだけでなく、世界へ雄飛する後輩を育てていきたいと思っています、脳
神経外科に少しでも興味のある方は是非ご参加下さい。
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