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市民エネ調プレゼン資料(PDF)
2004年8月1日 持続可能なエネルギー社会を目指して −エネルギー・環境・経済問題への未来シナリオ− 市民エネルギー調査会 http://www.isep.or.jp/shimin-enecho/ [email protected] 1 目次 ■市民エネルギー調査会とは ■第1部 現状延長では経済も破綻する! ■第2部 破綻を避ける2つの代替シナリオ ■第3部 シナリオ分析結果 ■まとめ 市民エネルギー調査会のメッセージ ■総合エネルギー調査会との比較(補足資料編) 2 オープンソースの「市民エネルギー調査会」 持続可能なエネルギー政策への転換を目指して、政府見通し よりも現実的な代替シナリオを提示するために、エネルギー・ 温暖化分野で政策提言を行ってきた環境NGOメンバー・専門 家が集まった、オープンソース型のプロジェクト 持続可能な未来につながる エネルギー政策の実現 市民エネルギー調査会 代替エネルギーシナリオの提示 (オープンソース・アプローチ) オープンな 国民的議論を喚起 3 第1部 現状延長では経済も破綻する! 政府見通しでは見えてこない 現状延長の実態 4 「総合エネ調」V.S.「市民エネ調」 「現状延長」のエネルギー予測の比較 140 120 (単位:1990年=100とした指数) 118 118 119 117 122 122 124 122 111 109 109 107 100 最終エネルギー 消費 80 市民エネ調 シナリオA 60 40 20 一次エネルギー 供給 総合エネ調 レファレンス ケース CO2排出 0 2010年 2030年 2010年 2030年 2010年 2030年 5 「総合エネ調レファレンスケース」V.S.「市民エネ調シナリオA」 「現状延長」のエネルギー予測はほぼ一致 なぜ一致するのか? なぜ一致するのか? ・両者は同じモデル構造、手法を用いている ・両者は同じモデル構造、手法を用いている ・現状延長で将来を計算するという考え方も共 ・現状延長で将来を計算するという考え方も共 通している 通している ・人口等の前提もほぼ同じ ・人口等の前提もほぼ同じ 従って、経済見通しも 似ている結果のはずであるが・・・ 6 「総合エネ調」は経済見通しが不明 市民エネ調 総合エネ調 備考(6月16日総合エネ 調需給部会資料に基づく) GDP ○:公表 △:一部公表 年平均成長率のみ公表 失業率 ○:公表 △:一部公表 「4%程度で推移と想定」と いう定性的な記述のみ 政府財政収支 ○:公表 ×:非公表 公的部門支出の対GDP比 率への言及はあり 経常収支 ×:非公表 輸出・輸入の伸び率への言 及はあり △:一部公表 行っていない 2010年想定のみ公表 ○:公表 素材生産量 ○:公表 産業連関分析 行っている 総合エネ調は産業連関モ デルは使っていない →政府・総合エネ調は経済指標公開が不十分! →政府・総合エネ調は経済指標公開が不十分! 7 「市民エネ調」の予測によれば経済も破綻 完全失業率 失業率 14.0 300 12.3 124 兆円 8.7 % 6.3 2.6 3.2 4.7 1985 兆円 96 124 155 0 -31 -198 -300 0.0 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 経常収支 1995 2010 2020 1985 2030 財政収支 4 1995 2000 2010 2020 1995 2030 政府累積債務の対GDP比 5.0 -16 1985 2000 4.5 3.3 -22 2000 倍 -29 2.2 -35 -54 2010 2020 2030 (国民所得ベース) 0.0 0.5 1985 0.6 1995 1.0 2000 2010 2020 (実績は日銀金融経済統計月報による) 8 2030 現状延長は経済も破綻する 「ゆでガエル」! 2010年CO2は90年比 9%増(市民エネ調シナリオA) 11%増(総合エネ調レファレンス) 経常赤字・財政赤字・高 失業率で経済も破綻する (市民エネ調シナリオA) 京都議定書 経済 → 政府も経済見通しを公表するべき! → 政府も経済見通しを公表するべき! 9 第2部 破綻を避ける2つの代替シナリオ 持続可能な社会に向けた市民エネ調の提案 10 なぜ代替シナリオが必要か 不透明である シナリオが無い 官僚が業界の利害を調整 した「妥協の産物」 総合エネ調の見通しは単 なる感応度分析の「ケース」 信頼できない 既存原発の廃炉は 2030年までに1基 なんて非現実的だ 総合エネ調 「見通し」 未来が危ない 現状延長では、環境も経済も 破綻する「ゆでガエル」になる 誰かが問題提起と代替提案を行う必要がある 市民エネ調のシナリオ提示へ 11 意思決定に役立つ「シナリオ」を提示 市民エネ調 3つのシナリオを提示 総合エネ調 道はひとつ。ケース(感応度分析) がいくつかあるだけ B:改善 A:破綻 C:持続可能 現在 現在 12 持続可能なエネルギー政策「4つの戦略」 1.気候変動問題や 1.気候変動問題や 核廃棄物などの 核廃棄物などの 環境リスクの低減 環境リスクの低減 2.2.自然エネ・省エネ中心 自然エネ・省エネ中心 地域分散型で公正な 地域分散型で公正な エネルギーシステム エネルギーシステム 3.環境戦略産業による 3.環境戦略産業による 経済再生、さらに 経済再生、さらに GDPでは測れない GDPでは測れない 豊かさの向上へ 豊かさの向上へ 4.環境立国を目指し 4.環境立国を目指し 環境技術と環境政策で 環境技術と環境政策で 国際社会の先導 国際社会の先導 13 破綻を避ける2つの代替シナリオ B「いきカエル」シナリオ <環境大国ニッポン> 今日の社会経済の仕組みのもとで 環境と経済の達成を目指す C「きりカエル」シナリオ 改善 破綻 <スローライフ・ニッポン> 社会経済パラダイムの転換を 先取りした「とき」の豊かな社会 持続可能 A「ゆでガエル」シナリオ 現状延長で経済・環境破綻 現在 14 環境大国ニッポンを目指す B・「いきカエル」シナリオ 理論的背景 ①ポーター仮説 ②学習曲線 日本には世界をリードする環境産業・技術が多数存在 太陽光発電 (世界シェア4割以上) ハイブリッド車 (世界の大部分) 高効率冷蔵庫 戦略的産業として 強力に推進 *確立された既存技術を優先 国際環境貢献 雇用と経済 の回復 CO2削減 15 B・「いきカエル」シナリオの理論的背景(1) ①ポーター仮説 環境保護と経済競争力はトレードオフではない。 →環境規制の厳しい国ほど競争力が高い。注) 強 環境規制 世界75カ国のクロスセクショ ンデータ(2002年)に基づいて、 環境規制の厳しい国ほど、国 際競争力が高いことを示した。 競争力 大 注)Esty and Porter、”Ranking National Environmental Regulation and Performance: A Leading Indicator of Future Competitiveness?”, in World Economic Forum, The Global Competitiveness Report 20012002, Oxford Univ. Press, 2002 16 B・「いきカエル」シナリオの理論的背景(2) ②学習曲線 累積生産量が2倍になるとき、生産コストや要する時 間が一定割合低下する 17 出所:システム技術研究所 Web Site (www.systemken.com) B・「いきカエル」シナリオでの経済の改善 兆円 完全失業率 15% 10% 5% ゆでガエル いきカエル 大幅に改善 4.7% 2.6% 6.3% 6.1% 8.7% 7.2% 12.3% 8.4% 3.2% 0% 1985 1995 2000 2010 2020 2030 20 0 4 1985 1995 2000 2010 2020 2030 -16 -22 -25 -23 -27 -29 -40 -35 ゆでガエル 大幅に改善 いきカエル -60 -54 -20 300 200 100 124 96 124 184 155 56 -31 0 -16 -100 1985 1995 2000 2010 2020 2030 ゆでガエル 大幅に改善 -200 -198 いきカエル -300 単年度財政収支の比較 兆円 経常収支の比較 5 4 3 2 1 0 政府累積債務のGDP比 倍 0.5 0.6 4.5 大幅に改善 3.3 3.4 2.9 2.2 2.2 1.0 ゆでガエル いきカエル 1985 1995 2000 2010 2020 2030 18 スローライフ・ニッポンを目指す C・「きりカエル」シナリオ ・エネルギー・資源を浪費する「GDPで測る経済」の行き詰まり ・気候変動などの環境制約の顕在化 資源・エネルギー・ ものを大切にする 「持つ」ことより 「使う」ことに重点 多様な働き方 ライフスタイル 製造業の サービス化 GDPでは測れないパラダイム を先取りするシナリオ ゆとりある暮らし IT革命の活用 広告にひきずられた 過剰消費からの脱却 環境問題へのよ り積極的な対応 19 透明性のある政策論議のための シミュレーションシステム 【使用したモデル】 計量型・シミュレーション型・トップダウン型モデル (マクロ経済モデル・エネルギーモデル・産業連関モデルを用い、トップボトム・インテグレー ションを行っている)(トップダウンモデルはエコノメイト、ボトムアップモデルはLEAPモデルを使用) 【採用した理由】 1. 2. 3. 多様な人々が政策論議に参加する時の透明性確保が容易である エネルギー需給構造が整合的に求められる 絶対水準を出すことができる(例:2010年のCO2排出量) *分析対象年=2010年と2030年 −マクロモデルの性質上2030年まで外挿することには無理があることに注意 (※シナリオCにおいては連続性より「2030年の全体像」を重視している) 20 第3部 シナリオ分析結果 21 京都議定書を守り、さらに大幅削減する <エネルギー起源CO2排出量> 1400 1200 単位:百万トンCO2(%は1990年比増減) +9% +7% ±0% −9% 1000 ←1990年レベル 800 −42% 600 400 200 0 2010年 2030年 A・ゆでガエル 2010年 2030年 B・いきカエル 2030年 C・きりカエル ◆石炭火発の大幅増加野放しなどの政府の無策により、2010年に90年 以下に抑えるのは厳しくなっているが、強力な政策で実行可能 22 化石燃料の削減と脱原発、 自然エネルギーの大幅な拡大 <一次エネルギー供給> 単位:PJ 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2010年 2030年 2010年 A・ゆでガエル 石炭 天然ガス 2030年 B・いきカエル 石油 原子力 水力 2030年 C・きりカエル 地熱 新エネ 23 エネルギー消費の削減と 経済の活性化は両立する <最終エネルギー消費> 単位:PJ 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2010年 2030年 2010年 A・ゆでガエル 家庭 2030年 B・いきカエル 業務 産業 交通 2030年 C・きりカエル 非エネルギー 24 原子力・石炭の削減を、省エネと 自然エネルギー・天然ガスで代替できる <発電電力量> 単位:億kWh 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2010年 2030年 2010年 A・ゆでガエル 石炭 天然ガス 2030年 B・いきカエル 石油 原子力 水力 2030年 C・きりカエル 地熱 新エネ 25 大きく伸びる自然エネルギー 3000 単位:PJ 2500 2000 1500 1000 500 0 2010年 2030年 A・ゆでガエル 太陽光 地熱 2010年 2030年 B・いきカエル 風力 中小水力 バイオマス 黒液・廃材 2030年 C・きりカエル 太陽熱 地中熱利用 26 B・「いきカエル」シナリオは政策で実現できる 区分 政策措置−今後の議論の叩き台− 新築業務建築物・住宅の省エネ(断熱)基準の強化・義務化 家電(冷蔵庫・エアコン等)・自動車の省エネ基準強化・拡充 効率規制・ その他の規制 火力発電所のCO2排出原単位規制の実施 新設発電所でのCO2原単位重視の複数代替案検討の義務付け 原発新設規制、原発および核燃料サイクル関係施設の段階的廃止 高効率冷蔵庫・コジェネ・超低燃費車などへの支援(基準に基づく購入時補助など) 太陽熱・バイオマス熱利用等への支援(設備補助・無利子貸し付けなど) 経済的手法 自然エネルギー電力固定価格買い取り制度の実施(太陽光・風力等発電の支援) 燃料転換への補助、発電用石炭への課税 炭素税の導入(※シナリオBの追加試算) 誘導的手法 政府率先実行 機器・自動車の省エネラベル表示義務化、建物・住宅の省エネラベル表示導入 環境配慮型の都市・交通計画・政策の実施(自治体への権限委譲を含む) 自然エネルギーインフラを公共施設に大量設置、ESCOの率先実施、公共事業の活用 27 まとめ 市民エネルギー調査会のメッセージ 28 B・適切な政策を実行すれば環境と経済は 「ゆでガエル」から「いきカエル」 脱原発 自然エネルギーの拡大 エネルギー効率向上 京都議定書の義務遵守 2010年エネルギー起源CO2は 90年以下に抑え、代替フロンの 削減等と合わせて目標達成 太陽光発電、 超低燃費車などの 環境戦略産業が拡大 経済状況は 経済状況は 大幅改善 大幅改善 雇用も創出 雇用も創出 付加価値の高い 環境産業輸出により 国際環境貢献 環境制約をイノベーション(技術革新)の好機ととらえる適切な 政策によって、環境も経済もA・「ゆでガエル」より大幅な改善 29 C・社会経済のパラダイムを「きりカエル」 ことで「とき」の豊かな社会も可能に! 脱物質化、経済社会構造の大転換 ・宣伝広告にひきずられた過剰な消費からの脱却 ・資源・エネルギーを浪費しない経済 →生産量は「B・いきカエル」に比べ粗鋼は約7割・セメントは5割弱に(2030年) ・IT革命のインパクト(情報化)、所有価値から使用価値へ ・分散型社会の達成による地域活性化 環境問題の解決 ・危険な気候変動の抑制(CO2大幅削減・2030年で90年比−42%) ・脱原発 30 「市民エネ調」が問いかけること 1. 政府の見通しは「非現実的」である上に、意思 決定のための「シナリオ」ではない。 2. 現状延長のままでは経済も破綻する恐れがあり、 エネルギー政策の転換が求められる。 3. 政策の選択次第では、経済と環境の再生も可能 であり、今はまさに岐路である。 4. 開かれた議論の場で、エネルギー政策の検証と見 直しを始めることが必要である。 31 「未来は予測するものではない、 選びとるものである」 ヨアン・ノルゴー 2004年8月1日 市民エネルギー調査会 発表資料 <本提案についてのお問い合わせ先>市民エネルギー調査会 事務局 環境エネルギー政策研究所(ISEP) 東京都中野区中野4-7-3 TEL:03-5318-3331 FAX:03-3319-0330 Email:[email protected] http://www.isep.or.jp/shimin-enecho/index.html 32