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院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する CTX

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院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する CTX
杏林医会誌 35
年9月
院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する
CTX-M 型 ESBL 遺伝子
2004 年 9 月 巻 3 号 205 ∼ 214 2004
205
総 説
院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する
CTX-M 型 ESBL 遺伝子
金 森 政 人 遠 藤 英 子
杏林大学保健学部臨床微生物学教室
(2004.8.23 受付)
分解する能力をもたない。しかし,その後 1970 年後半まで
は じ め に
の間には,第三世代のセファロスポリンとセファマイシン
Fleming が 1928 年に発見したペニシリン
1)
は,Florey
にも耐性を示す染色体性の AmpC 型β-ラクタマーゼや,
らの精製・濃縮技術によって世に送り出され,1940 年頃に
カルバペネム系を含む多くのβ-ラクタム剤に耐性を示す
は広く臨床に用いられるようになった。その臨床的効果に
メタロ-β-ラクタマーゼなど,多様な基質特異性,分子量の
ついては,偶然にも第二次世界大戦の戦火拡大という歴史
β-ラクタマーゼが分離・報告されるようになった。同時に,
的背景が,化膿性疾患に極めて有効であることを実証する
β-ラクタマーゼ遺伝子のクローニングと塩基配列分析に
機会となり,ペニシリンの工業的大量生産技術を急速に発
関 す る 研 究 が 積 極 的 に 展 開 さ れ は じ め,1980 年 に は
展させることになった。一方,ペニシリンが感染症治療に
Ambler が,アミノ酸の一次配列からβ-ラクタマーゼを
使用されると間もなく,早くもペニシリンを分解する酵素,
A ∼ D 型の 4 クラスに分類するに至った(Table 1 and Fig.
す な わ ち ペ ニ シ リ ナ ー ゼ 型 β-ラ ク タ マ ー ゼ の 産 生 が
1)7)。この分類で TEM-1,SHV-1 型はクラス A に,OXA-
2)
Escherichia coli で初めて確認された 。その後 1960 年代に
1 型はクラス D に分類される。
か け て,Staphylococcus aureus な ど か ら 各 種 の ペ ニ シ リ
1980 年代になると,β-ラクタマーゼに安定な第三世代
ナーゼ型β- ラクタマーゼが分離されるようになったが,
のセファロスポリンが臨床で繁用されるようになったが,
1960 年前半には,R 因子(接合伝達性プラスミド)に依存
この頃からフランス,ドイツ,イギリスなどのヨーロッパ
した形でペニシリナーゼ型β-ラクタマーゼを産生する E.
において,セフォタキシムなどの第三世代セファロスポリ
3)
coli がギリシャの患者血液から分離された 。後年このタ
ンやアズトレオナムなどのモノバクタム系薬剤にまで耐性
イプのβ-ラクタマーゼは,初めて分離された患者の名前に
を示す腸内細菌が,院内感染の起因菌として分離されるよ
因んで TEM-1 型β-ラクタマーゼと呼ばれるようになっ
うになった 8―15)。耐性遺伝子の解析を行なった結果,これ
4)
た 。1960 年代後半になると,接合伝達性プラスミドを介
らの耐性菌は TEM-1 型,SHV-1,OXA-1 型β-ラクタマー
した TEM-1 型β-ラクタマーゼの拡散・伝播が,腸内細菌
ゼのアミノ酸の 1 ∼数カ所が置換した変異型のβ-ラクタ
科を中心としたグラム陰性桿菌で確認されるようになった。
マーゼ,すなわち基質特異性の狭いプロトタイプが突然変
またその後には,sulphydryl variable
(SHV)-1 型β-ラクタ
異を起して,その基質特異性を拡張したものであることが
マーゼの産生が腸内細菌科の主要菌種で,さらに,オキサ
明らかになった 10,15―17)。これらの変異型β-ラクタマーゼ
シリンを良く分解することから,オキサシリナーゼとも呼
は,プロトタイプよりも加水分解される基質であるβ-ラク
ば れ る OXA-1 型 β-ラ ク タ マ ー ゼ の 産 生 が,主 と し て
タム薬の種類(範囲)が拡張されたことから,extended-
Pseudomonas aeruginosa で確認されるようになった
5,6)
。
spectrum β-lactamase(ESBL),由来別に TEM 型 ESBL,
TEM-1,SHV-1,OXA-1 型β-ラクタマーゼは,ペニシリン
SHV 型 ESBL,OXA 型 ESBL,と呼ばれるようになった。
系の薬剤を効率よく分解する一方,セファロスポリン系薬
さらに,1980 年代の後半には,プロトタイプとアミノ酸変
剤のとくに第三,第四世代のセファロスポリン,セファマ
異の関連が不明であるものの,第三,第四世代のセファロ
イシン系,モノバクタム系,カルバペネム系の薬剤を加水
スポリンやモノバクタム系薬を加水分解するクラス A
Key words : nosocomial infection, Enterobacteriaceae, extended-spectrum β-lactamase, CTX-M
206
金 森 政 人 ほか
杏林医会誌 35 巻 3 号
Table 1 Relationship between β-lactamase and β-lactam resistance
Cephalosporin
Enzyme
Penicillin
1st
a
Cefamycine
2nd
3rd
4th
Monobactam
Class A
TEM-1,TEM-2, SHV-1
TEM-ESBLs, SHV-ESBLs
CTX-M-ESBLs
Rb
R
R
R
R
R
R
R
R
R
R
R
R
R
Class D
OXA-1
OXA-ESBLs
R
R
R
R
R
R
R
R
Class C
R
R
R
R
Class B
R
R
R
R
R
R
R
Carbapenem
R
R
a
For generation of cephalosporins.
R, resistant to drug.
b
種は,院内感染起因菌として様々な臨床材料や病院内の環
境から高頻度に分離される。ESBL 産生菌が患者から分離
された場合に,それが感染症の原因となっているのか,単
に定着しているだけなのか,ということの見極めは重要で
ある。例えば,ICU における感染リスク研究の一例では,
腸管内での ESBL 産生菌の定着状況を詳細に分析している
が,入院期間が 5 日を超えた患者の 23%から ESBL 産生性
K. pneumoniae が分離され,その半数以上の患者の腸管内に
Fig. 1 Molecular classes of β-lactamases.
β-Lactamases are classified according to the scheme of
Ambler7) and Ambler et al.34) into four classes, designated
classes A to D, on the basis of their amino acid sequences.
The majority of ESBLs contain a serine at the active site and
belong to Ambler's molecular class A.
は完全に定着していることがわかった。そして,その定着
ESBLs(non-TEM and non-SHV class A ESBLs)が分離さ
在するため 10,11,13,14,19―21),腸管内に定着した ESBL 産生菌
れはじめた 18,19)。
と常在細菌との間で起こる遺伝子の伝達を阻止することは
non-TEM and non-SHV class A ESBLs は 7 種類の型に
不可能で,同一患者の腸管内に新たな ESBL 産生菌が出
大別されるが,中でも CTX-M 型 ESBL には 1990 年代から
現 ・ 定着することになる。また,入院患者の腸管内に定着
亜型が続々と出現し,それらによる院内感染が増加してい
した ESBL 産生菌は,腸管外への排泄を余儀なくされるこ
る。
とから,感染防御対策の不備による水平感染の要因として
そこで,本稿では ESBL 産生菌による院内感染の現状と,
大きなリスクファクターとなり,ESBL 産生菌による病院
ESBL,特に筆者らが研究対象としている CTX-M 型 ESBL
環境の汚染が,病院環境への菌の定着に結びつくことが多
に関する知見を中心に紹介する。
い 24,25)。
1.ESBL 産生菌による院内感染
ESBL 産生菌による感染症は,尿路感染症,創傷,手術創
ESBL 産生菌が出現した当初は,フランスを中心とした
感染,肺炎,敗血症など多岐にわたる。米国では大規模な
ヨーロッパ諸国で多く検出されていたが,現在では世界各
院内感染サーベイランスが実施されているので,その一例
地で検出されるようになった 10,15―22)。また,ESBL 産生菌
を Table 2 に示した。このサーベイランスは,1986 年から
菌が後の感染症発症の原因になることを示唆している 23)。
このような ESBL 産生菌の腸管内定着は,患者への広域セ
ファロスポリン剤の過剰な投与が最大の要因であり,結果
的に ESBL 産生菌の選択を助長することになる。また,
ESBL の遺伝子は,接合伝達頻度が高いプラスミド上に存
の菌種は,E. coli,Enterobacter cloacae,Klebsiella pneumoniae,
1996 年の間に発生した 200,000 件以上の院内感染事例を対
Serratia marcescens,Citrobacter freundii など,腸内細菌科の
象にしたものである 26,27)。腸内細菌科主要菌種の中では,
細菌にみられるようになった。これら腸内細菌科の主要菌
E. coli が原因となった事例が最も多く,Enterobacter spp.,
院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する CTX-M 型 ESBL 遺伝子
2004 年 9 月
207
Fig. 2 Multiple sequence alignment of the amino acid sequences of TEM-1 penicillinase34), SHV-1 penicillinase34),
CTX-M-1 ESBL19), and CTX-M-3 ESBL50). Element 1 to 4(boxed)are conserved residues of Ambler class
A β-lactamases which surround the active site39).
K. pneumoniae,Proteus mirabilis,Citrobacter spp.,S. mar-
接合伝達性プラスミドにコードされているポピュラーなク
cescens も重要な院内感染起因菌として位置付けられた。
ラ ス A 型 β-ラ ク タ マ ー ゼ TEM-1(ま た は 酵 素 活 性 が
また,これらの分離菌では第三世代のセファロスポリン耐
TEM-1 と 同 一 の 亜 型 TEM-2)
,SHV-1 の ア ミ ノ 酸 配 列
性株が年次的に増加しており,それらの多くが TEM 型ま
(Fig. 2)が変異することで,第三世代のセファロスポリン
たは SHV 型 ESBL 産生菌であった。さらに,ICU を中心と
であるセフォタキシムやセフタジジム,第 4 世代のセファ
した薬剤耐性菌サーベイランス Project ICARE(Intensive
ロスポリンであるセフピロムやセフォゾプラン,さらには
Care Antimicrobial Resistance Epidemiology)では,米国
モノバクタム系のアズトレオナムやカルモナムを効率よく
の主要な病院の ICU で分離される腸内細菌のうち,K.
加水分解するようになった,変異型β-ラクタマーゼである
pneumoniae の 15%以上(我が国の 5 倍以上)が,セフォタ
15―17,33)
(Table 1)
。TEM-1 型β-ラクタマーゼは 286 個のア
キシムやセフタジジムに高度耐性を獲得していることが明
ミノ酸,SHV-1 型β-ラクタマーゼは 287 個のアミノ酸か
らかになった
28)
。
らなるセリンβ-ラクタマーゼである(Fig. 2)。TEM 型
我が国における院内感染起因腸内細菌の分離傾向は欧米
ESBL では,現在までに 120 以上のバリアントが確認され
とほぼ同様である。しかし ESBL の検出傾向は異なり,
ており,プロトタイプ TEM-1 型のアミノ酸の 1 カ所または
欧米では TEM 型と SHV 型が主流となっているのに対し
複数カ所に変異が生じている 34,35)。SHV 型 ESBL では 30
て,我が国で検出される ESBL の多くは CTX-M 型であ
以上のバリアントが確認されており,TEM 型 ESBL 同様
る 20―22,29,30)。
のアミノ酸変異が生じている 36)。三次元構造の予測によ
我が国におけるセフォタキシム,セフタジジム耐性 K.
ると,このような TEM 型 ESBL と SHV 型 ESBL でみら
pneumoniae の分離頻度は米国ほど高くはないが,血液疾患
れるアミノ酸の変異部位は,酵素の活性中心の近傍(ポケ
などで多核白血球の機能が低下し,第三世代のセファロス
ット構造)を形成する重要な部分である。ペニシリンや第
ポリンを中心とした広域β-ラクタム剤の予防投与を余儀
一世代のセファロスポリンは,TEM-1,SHV-1 プロトタイ
なくされる患者では,この種の耐性菌の保菌に対する厳重
プ酵素のポケットに容易に捕捉・分解されるが,第三世代
な注意が必要である。
のセファロスポリンには大きな側鎖構造が導入されている
2.腸内細菌科主要菌種にみられる ESBL の種類と特徴
のでポケットには捕捉されない。しかし,ポケット形成部
先に述べたように,欧米の院内感染事例で高頻度に分離
位のアミノ酸が置換するとポケット構造が緩慢になり,第
される ESBL は,TEM 型または SHV 型である。これらは
三,第四世代のセファロスポリンやモノバクタムも捕捉・
208
金 森 政 人 ほか
杏林医会誌 35 巻 3 号
Table 2 Important causes of nosocomial infections in the United Statesa
No.(%)of isolates
Organism
Urinary tract
infection
Wound or
surgical site
Pneumonia
Blood
Others
Total
Major species of the Enterobacteriaceae
as nosocomial pathogens
Escherichia coli
Enterobacter, all species
Klebsiella pneumoniae
Proteus mirabilis
Citrobacter, all species
Serratia marcescens
20,218
(25.1)
4,232
( 5.2)
5,544
( 6.9)
4,077
( 5.1)
1,553
( 1.9)
688
( 0.9)
3,600(
2,850(
1,250(
1,246(
598
(
548
(
Other organisms
Enterococci
Pseudomona aeruginosa
Staphylococcus aureus
Coagulase-negative staphylococci
Streptococcus, all species
Candida albicans
Candida, other species
Othersb
12,595
(15.6)
9,309
(11.5)
1,569
( 2.1)
3,035
( 3.8)
1,265
( 1.6)
5,933
( 7.4)
1,763
( 2.2)
8,768
(10.9)
4,998(12.8)
3,169( 8.1)
7,371(18.8)
5,147(13.1)
1,303( 3.3)
984
( 2.5)
229
( 0.6)
5,837(14.9)
607
( 2.0)
5,162(16.8)
5,352(17.4)
637
( 2.1)
1,050( 3.4)
1,419( 4.6)
245
( 0.8)
7,028(22.7)
2,594( 9.0)
1,095( 3.8)
4,625(16.0)
8,481(29.3)
1,053( 3.6)
1,380( 4.8)
879
( 3.0)
4,121(14.2)
1,239( 5.1)
1,572( 6.5)
4,243(17.4)
3,165(13.0)
327
( 1.3)
990
( 4.1)
254
( 1.1)
10,962(45.0)
22,033(10.8)
20,307( 9.9)
23,187(11.4)
20,465(10.0)
4,998
( 2.4)
10,706( 5.2)
3,370
( 1.7)
36,716(18.0)
80,549
39,130
30,903
29,057
24370
204,009
Total
9.2)
7.3)
3.2)
3.2)
1.4)
1.4)
1,607( 5.2) 1,511( 5.2)
935
( 3.8) 27,871(13.7)
3,257(10.6) 1,316( 4.5) 1,102( 4.5) 12,757( 6.2)
2,230( 7.2) 1,280( 4.4)
711
( 2.9) 11,015( 5.4)
779
( 2.5) 197
( 0.7) 1,637( 6.7) 4,662
( 2.3)
418
( 1.4) 174
( 0.6)
169
( 0.7)
2,912
( 1.4)
1,112( 3.6) 351
( 1.2)
311
( 1.3)
3,010
( 1.5)
a
Based on nosocomial infection surveillance of over 200,000 cases for the United States, 1986 to 199626,27).
Containing some members of the Enterobacteriaceae.
b
分解されるようになる。これが ESBL の基質特異性が拡張
Genebank に登録,公開されたものについて,分離国,分離
した理由の一つである 37,38)。
または公表年,検出菌種をまとめて Table 3 に示した。
我が国の院内感染事例で高頻度に検出される ESBL は
1989 年初頭,ドイツ国内で分離された E. coli から,セ
CTX-M 型で,現在までに 29 種類以上の型が確認されてい
フォタキシムを高率に加水分解する non-TEM and non-
る(Table 3)
。欧米で高頻度に検出される TEM,SHV 型
SHV class A ESBL が検出され,CTX-M-1 型と命名され
ESBL とは異なり,現在までにプロトタイプとなるβ-ラク
た 18)。これが CTX-M 型 ESBL に関する最初の報告であり,
タマーゼは明らかにされていない。構造的には,クラス A
以後,アルゼンチンを中心とした南米地域,ヨーロッパ,
β-ラ ク タ マ ー ゼ に 共 通 す る 基 本 的 な モ チ ー フ 構 造
ロシア,アフリカ,インド亜大陸,アジア地域,カナダな
39)
Element 1 ∼ 5
を持つものの,TEM-1,SHV-1 プロトタ
どで CTX-M 型 ESBL 産生菌が分離されている。
イプとの similality は 32 ∼ 40%にすぎない(Fig. 2)
。また
我が国で最初に報告された CTX-M 型 ESBL は,E. coli
TEM,SHV 型 ESBL はセフォタキシムよりもセフタジジ
由来で Toho-1 型β-ラクタマーゼと命名された 20)。塩基配
ムを高率に分解するため,セフタジジムの最小発育阻止濃
列分析の結果,Toho-1 型 ESBL はアルゼンチンで最初に分
度(MIC)が高値になるが,CTX-M 型 ESBL はセフタジ
離された CTX-M-2 型 ESBL と 1 アミノ酸のみが相違してい
ジムをほとんど分解できないので,セフタジジムに比べて
るので,分類上 CTX-M-2-like ESBL と呼ぶこともある。
セフォタキシムの MIC が数段高くなる。さらに,CTX-M
現在までに遺伝子の塩基配列,アミノ酸の一次配列が公
型 ESBL は,TEM,SHV 型 ESBL に比べてスルバクタム
表,公開され,CTX-M 型と命名されている ESBL は 27 種
(β-ラクタマーゼ阻害剤)に阻害されにくいという性質
類(Toho 型を含めて 29 種類)に集約される。これらの
が あ る。未 知 な 部 分 が あ る も の の,こ れ ら の 相 違 点 が
CTX- M 型 ESBL では,CTX-M-1 型を原型と仮定すると,
phenotype による ESBL の鑑別指標となり得ることは,臨
Fig. 2 に示すアミノ酸配列中の Ala-31,Arg-42,Val-80,
床細菌学的に意味のあることである。
Asn-92,Asp-117,Ser-143,Asp-160,Val-234,Lys-237,
3.CTX-M 型 ESBL の分類と疫学
Asp-242,Arg-276,Val-279,Asn-289 などの 1 カ所から
CTX-M 型 ESBL のうち,現在までに遺伝子の塩基配列,
数カ所が CTX-M-1 型と相違している。このようなアミノ
ア ミ ノ 酸 の 一 次 配 列 が 印 刷 公 表 さ れ た も の,ま た は
酸の相違と similality を基にして,CTX-M 型 ESBL は CTX-
院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する CTX-M 型 ESBL 遺伝子
2004 年 9 月
209
Table 3 Enzyme types in the CTX-M family
Enzyme
Country of
origin
CTX-M-1 group
(> 97% identity)
CTX-M-1
France/Italy
Germany
CTX-M-3
Poland
CTX-M-10
CTX-M-12
CTX-M-15
Year of first
isolation or
report
1989
1989
1996
Species
France
Japan
Taiwan
Greece
Chaina
Japan
1998
1998
1998
1998
1999
2000
E. coli, P. mirabilis
E. coli
C. freundii,E. coli,K. oxytoca,E. cloacae,
K. pneumoniae, M. morganii, S. marcescens,
S. Typhimurium
E. cloacae
E. cloacae, K. pneumoniae, S. marcescens
K. pneumoniae, E. coli
E. coli
E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, C. freundii
C. koseri
Japan
2002
E. coli, E. aerogenes, E. cloacae
Japan
2003
C. freundii, C. koseri, S. marcescens, K. oxytoca,
K. pneumoniae
S. Senftenberg
E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae, E. gergoviae
K. pneumoniae
E. coli, S. marcescens
E. coli, K. pneumoniae, E. aerogenes
E. coli
Japan
Spain
Kenya
Poland
India
Bulgaria
2004
1990
1999
1998
1999
1997―2001
France
2000
E. coli
CTX-M-22
China
2002
K. pneumoniae
CTX-M-23
CTX-M-28
Germany
France
2004
2003
E. coli
E. coli
1992
S. Typhimurium, E. coli, K. pneumoniae, M. morganii,
E. aerogenes, S. marcescens, P. mirabilis, C. freundii
K. pneumoniae
S. Typhimurium
S. Typhimurium, K. pneumoniae
P. mirabilis
P. mirabilis
K. pneumoniae
S. Typhimurium
S. Typhimurium
S. Typhimurium
S. Typhimurium
S. Typhimurium
S. Typhimurium
P. mirabilis
E. coli
CTX-M-2 group
(> 94% identity)
CTX-M-2
Argentina
CTX-M-4
CTX-M-4L
CTX-M-5
CTX-M-6
CTX-M-7
CTX-M-20
Toho-1
Islael
Uruguay
Paraguay
France
Brazil
Japan
Russia
Hungary
Hungary
Latvia
Greece
Greece
France
Japan
1992
1994
1994
1997
1998
1998―2000
1996
1998
1998
1996
1997
1996
1998
1993
Reference or source
19, 50
18
50, 62, 63, 64
51
22
65, 66
67
68
Unpublished data of
Sekiguchi et al.
Unpublished data of
Morita et al.
Unpublished data of
Morita et al.
69
55, 56, 57
70
71
72
Unpublished data of
Schneider et al.
Unpublished data of
Bonnet et al.
Unpublished data of
Yu et al.
73
Unpublished data of
Eckert and Arlet
40, 41, 42
40
42
40, 42
52
43
22
45, 46
47
49
44
48
48
52
20
210
金 森 政 人 ほか
杏林医会誌 35 巻 3 号
Table 3 -Continued
Country of
origin
Enzyme
CTX-M-8 group
CTX-M-8
Brazil
Year of first
isolation or
report
Species
Reference or source
1996
E. cloacae, E. aerogenes
43
CTX-M-9 group
(> 98% identity)
CTX-M-9
France
Spain
CTX-M-13
China
CTX-M-14
France
Korea
Japan
1994
1996
1998
1994
1995
1996
E. coli
E. coli
K. pneumoniae
E. coli
E. coli, K. pneumoniae, S. sonnei
E. coli
Chaina
Taiwan
Brazil
1998
1998
1999
E. coli, K. pneumoniae, E. cloacae
E. coli, K. pneumoniae
E. coli
CTX-M-16
CTX-M-17
CTX-M-19
CTX-M-21
CTX-M-24
Spain
Brazil
Vietnam
France/Vietnam
France
China
2001
1996
1996
1999
2000
2002
E. coli
E. coli
K. pneumoniae
K. pneumoniae
E. coli
K. pneumoniae
CTX-M-27
Toho-2
France
Japan
2000
1995
E. coli
E. coli
52
58
74
52
75
Unpublished data of
Ishii et al.
74
66
Unpublished data of
Bonnet et al.
59
76
77
53
52
Unpublished data of
Yu et al.
54
61
CTX-M-25 group
(98% identity)
CTX-M-25
Canada
2003
E. coli
CTX-M-26
England
2001
K. pneumoniae
Unpublished data of
Boyd et al.
60
M-1 グループ,CTX-M-2 グループ,CTX-M-8 グループ,
Shigella sonnei,さ ら に は コ レ ラ の 病 原 体 で あ る Vibrio
CTX-M-9 グループ,CTX-M-25 グループの 5 群に分類され
cholerae からも bla CTX-M-2 が検出されるに至った 41,42)。
る。
その後も,アルゼンチンの国内では CTX-M-2 型 ESBL 産生
CTX-M 型 ESBL 産生菌は主として院内感染起因腸内細
腸内細菌が分離され続け,院内環境への定着も確認されて
菌から検出されているが,アルゼンチンでは,1989 年頃か
いる。南米諸国で行なわれる化学療法では,ESBL 産生菌
ら食中毒細菌である S. Typhimurium の中に CTX-M-2 型
に効く高価なセファマイシンやカルバペネムは一般的では
ESBL 産生株が出現し始め,この菌による病院内での大規
なく,比較的安価な第三世代のセファロスポリンを大量に
模な感染が発生した 40)。感染は国内の病院間に留まらず
使用することが多い。このことが CTX-M-2 型 ESBL 産生
近隣諸国にも拡大したが
41―43)
,起因株が保有する CTX-M-2
菌の選択,蔓延の要因となったと考えられる。
型 ESBL 遺伝子(bla CTX-M-2)は高頻度接合伝達性プラ
CTX-M 型 ESBL 産生菌による大規模なアウトブレイク
スミド上に存在するため,アウトブレイクの被害にあった
は,ラトビアやロシアでも発生している。ラトビアでは,
地域では,プラスミドを介した bla CTX-M-2 の他菌種への
1990 年頃から,先の南米例と同様に S. Typhimurium の中
拡散を余儀なくされた。結果として,E. coli,P. mirabilis,
に ESBL 産生株が出現し始め,これによる小児 4000 人規模
C. freundii,Morganella morganii,S. marcescens などの院内
の食中毒が発生した。起因菌が産生する ESBL は CTX-M-
感染起因腸内細菌の主要メンバー,赤痢の病原体である
2 型のバリアントで,後に CTX-M-5 型 ESBL と命名され
2004 年 9 月
院内感染起因腸内細菌に拡散・伝播する CTX-M 型 ESBL 遺伝子
211
た 44)。1996 年には,ロシアでも S. Typhimurium による同
を PCR direct sequencing によって決定したところ,す
様のアウトブレイクがあり,起因菌の ESBL は CTX-M-2 型
べての株の遺伝子が,CTX-M-3 型 ESBL をコードする
バリアントの CTX-M-4 型であった 45,46)。その後,ロシア
bla CTX-M-3 で あ る こ と が 判 明 し た。そ れ ら の 塩 基
でのアウトブレイク株と同一クローンと思われる株,ある
配 列(Genebank accession numbers AB059404 and
いはそれらのバリアントと推測される CTX-M-4 型,CTX-
AB185834 ∼ AB185841)は完全に一致していたが,ポーラ
M-6 型,CTX-M-7 型 ESBL 産生菌が,ギリシャやハンガ
ンド 50),フランス 51),台湾 65,66),ギリシャ 67),中華人民共
リーでも分離されている 47―49)。これらの状況は,CTX-M-2
和国 68) で分離された bla CTX-M-3 の塩基配列とは 8 ヶ所
グループの ESBL を産生する S. Typhimurium が,東ヨー
の塩基が異なっていた。筆者らは,東京都内の異なった医
ロッパ諸国に拡散しつつあることを示唆している。
療機関で分離された菌株についても解析を進めているが,
西ヨーロッパでは,1989 年にドイツとフランスで CTX-
その中で見出した bla CTX-M-3 の塩基配列は,先に解析し
18,19,
50)
,その
た 64 株と完全に一致していた(Endo et al., Unpublished
後フランスでは,現在までに 10 種類の CTX-M 型 ESBL
data)。また,最近,広島県内の河川水から CTX-M-3 型
M-1 型 ESBL を産生する E. coli が分離され
(CTX-M2,CTX-M-3,CTX-M-9,CTX-M-14,CTX-M-15,
ESBL 産生 S. Senftenberg が我が国ではじめて分離された
CTX-M-19,CTX-M-20,CTX-M-21,CTX-M-27,CTX-M-
が,その bla CTX-M-3 の塩基配列も,筆者らが院内感染起
28)が E. coli,P. mirabilis,E. cloacae から分離されてい
因腸内細菌から見出したものと 100%一致していた 69)。こ
る
51―54)
。スペインでも,1989 年以降に CTX-M 型 ESBL 産
れらは遺伝子多型の地理的関連を示唆する興味ある知見で
生菌が分離されはじめ,院内感染由来菌を対象としたサー
ある。
ベイランスの結果から,数カ所の調査病院で,CTX-M-3 型
4.CTX-M 型 ESBL 遺伝子は進化している
バリアントの CTX-M-10 型 ESBL 産生株が 12 年間以上分離
され続けていることがわかった 55―57)。また,他の病院では,
CTX-M 型 ESBL は 名 前 の と お り セ フ ォ タ キ シ ム
(cefotaxime, CTX)を高率に加水分解するが,セフタジジ
3 年間に渡って E. coli を中心とした腸内細菌主要菌種から
ムはほとんど分解しない。これが CTX-M 型 ESBL 本来の
CTX-M-9 型 ESBL 産生株が分離され続け 58),その後には
基質特異性であると理解されてきた。しかし,驚くべきこ
CTX-M-9 型のバリアントである CTX-M-14 型 ESBL を産
とに,フランスで 1999 年に分離されたセフタジジム耐性
生する E. coli が見出されている 59)。このようなバリアント
K. pneumoniae の CTX-M-19 型 ESBL には,セフタジジムに
の出現は,プラスミドを介した bla CTX-M-9 の拡散と第三
対する比較的強い分解活性が認められ,この酵素は,セフ
世代のセファロスポリン乱用による淘汰圧が,同調して起
タジジムを分解できない CTX-M-14 型 ESBL の 1 アミノ酸
こったものと推測される。英国における CTX-M 型 ESBL
が置換したバリアントであることがわかった 53)。翌年
の分離状況は,地理的条件の相違から他のヨーロッパ諸国
2000 年には,同様のバリアント CTX-M-27 型 ESBL がセフ
とかなり異なっている。分離されはじめたのは 2000 年と
タジジム耐性 E. col から検出されている 54)。CTX-M 型
新しいが,2001 年には新種 CTX-M-25 型のバリアントで
ESBL には,TEM 型 ESBL における TEM-1 型β-ラクタ
ある CTX-M-26 型 ESBL が K. pneumonia で見出されてい
マーゼ,あるいは,SHV 型 ESBL における SHV-1 型β-ラ
る 60)。
クタマーゼに相当するようなプロトタイプが見出されてい
海外におけるその他の検出・分離状況については Table
ないため,1 アミノ酸残基の置換による分解基質域拡張の
3 を参照されたい。
可能性を,これらの ESBL と単純に比較することはできな
我が国で分離される ESBL の多くが CTX-M 型であるこ
い。しかし,Ishii らは,CTX-M-14 型 ESBL の高次構造を
とは先に述べたが,そのほとんどが E. coli,K. pneumoniae,
基にコンピュータモデリングによる変異を検討し,特定部
20―22,
61)
。ま
位における 1 アミノ酸残基の置換によって,ESBL が分解
た,分離されるタイプは,CTX-M-2 型と CTX-M-3 型が多
しないはずのカルバペネムにまで基質特異性が広がる可
E. cloacae などの院内感染事例に由来している
い
21,22)
。
能 性 を 見 出 し た(Ishii et al., Proceeding of the 33th
筆者らが実施した,院内感染起因腸内細菌を対象とし
Symposium on Microbial Drug Resistance)
。このことは,
た 耐 性 菌 サ ー ベ ー ラ ン ス(Morita et al. Proceeding of
CTX-M 型 ESBL の基質特異性拡張能力が,他のクラス A
the 32th Symposium on Microbial Drug Resistance)では,
β-ラクタマーゼと比較して潜在的に高いことを示唆して
1999 年 4 月から 2003 年 4 月の間に入院患者から分離された
いる。
腸 内 細 菌 の 中 に,64 株 の CTX-M 型 ESBL 産 生 菌(C.
近い将来,さらに分解基質域が拡張した新型の CTX-M
freundii 3 株,C. koseri 2 株,E. coli 4 株,K. pneumoniae 16 株,
型 ESBL が出現することは想像に難くない。
K. oxytoca 2 株,E. aerogenes 9 株,E. cloacae 26 株,
S. marcescens 2 株)を見出した。各株の遺伝子の塩基配列
212
金 森 政 人 ほか
お わ り に
CTX-M 型 ESBL 遺伝子は,高頻度伝達性プラスミドに
乗って広く細菌間に拡散し続けている。我が国では,セフ
ァマイシンやカルバペネムが第 1 選択薬的に,場合によっ
ては必要以上に大量に使用されている。これらの薬剤によ
る淘汰圧が,細菌間を拡散する bla CTX-M の進化的変異を
徐々に助長しているのではないだろうか。ESBL 産生菌の
増加と,その分解基質域の拡張を阻止するためには,適正
な薬剤投与が必要であることは言うまでも無い。薬剤耐性
菌の撲滅はとても困難であるが,医療従事者はそれぞれの
立場で耐性菌による感染防止に努めなければならない。
謝 辞
本総説は「私立大学学術フロンティア推進拠点研究:生活環境
に起因する健康障害に関する包括的解析」
(代表者 杏林大学・
金森政人)による支援を受けました。総説の連載を快諾いただい
た本誌編集委員各位に感謝いたします。
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