...

労働に関する参考資料・分析結果

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

労働に関する参考資料・分析結果
参考資料
労働に関する参考資料・分析結果
2006年12月15日
経済産業省
経済産業政策局
目 次
1.雇用を取り巻く環境の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
終身雇用、年功賃金制度について(企業の方針)
人口・労働力人口の推移
仕事に対する考え方の変化
雇用の産業別の動向
今後の賃金制度のあり方
若年者における就業先の変化
企業が賃金を決定する要素
雇用形態の多様化
正社員の昇進に差がつく時期(企業の方針)
経済成長率の変化
人材マネジメントの変遷(人材マネジメント研究会から)
2.日本の雇用慣行について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.転職・中途採用の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
我が国雇用システムの変遷
男女別・年齢別の転職比率
日本型雇用システム成立の背景となった諸条件
雇用形態別の転職者比率と女性の転職比率
諸外国における雇用者の勤続年数の比較
中途採用市場:専門技術職のニーズが高い
企業規模別に見た長期勤務者の割合の違い
中途採用市場:ミスマッチの状況
男女別に見た諸外国の平均勤続年数
中小企業が中心となっている中途採用市場
日・米のホワイトカラーの転職歴・昇進速度
転職をしない理由
日・米のホワイトカラーの経験する業務の幅
青少年の転職についての考え方(各国比較)
米国企業のCEOのキャリアパス
「同一企業に勤続する労働者(継続勤務者)」と
「転職経験者」の賃金比較
勤続年数と賃金の相関
労働力の高齢化
4.雇用形態の多様化に関する現状・・・・・・・・・・・・・・・・41
年齢に応じた賃金上昇のフラット化
雇用形態別の構成
勤続の生産性と年功賃金(イメージ)
正規・非正規雇用者数の推移
年功賃金・生産性プロファイル
我が国における就業形態別の労働者の推移
労働に関するアンケート調査
パートタイム労働者・テンポラリー雇用者の国際比較
1
正規・非正規雇用の生涯賃金
6.女性、若者、高齢者の労働参加・・・・・・・・・・・・・・・・・70
業種別の非正規社員の雇用の現状と要因
労働力率の国際比較
製品のライフサイクルの短縮
我が国の女性の労働参加
製造業の請負労働者数
子育て等による離職後の女性の再就職の実態
製造業における請負活用の動機とメリット・デメリット
女性の継続就業や再就業におけるニーズ
パートタイム労働者・派遣労働者の現在の就労形態に就いた理由
女性の起業における状況とニーズ
非正規社員の昇進・昇格制度、正社員への転換制度
女性の積極的活用と企業の業績
機会均等を前提とした企業における人材育成・教育の実施例
育児休業の利用状況
就労形態の多様化①:短時間正社員制度導入の状況
若者の失業率について
就労形態の多様化②:在宅就業(テレワーク)の状況
若者の離職率の上昇
パートの社会保険制度(年金・医療)の概要
年齢階層別の非正規雇用者の割合
パートの社会保険への適用区分(現行制度)
高齢化の進展
社会保険のパートへの適用拡大(制度改正の議論)
2007年問題(団塊世代の大量退職)
社会保険の短時間労働者への適用拡大のメリット・デメリット
高齢者の就業意欲
パートの就労調整の状況と理由(アンケート結果)
高齢者就業の壁
社会保険を適用拡大した場合の労働者の就業意欲の変化
高齢者の活躍が期待されている分野
第三号被保険者制度に対する評価
高齢者の健康・体力に見合った働き方の整備
パート労働者への厚生年金の適用拡大に関する
その他アンケート結果
【参考】 労働法制の検討に関する動き・・・・・・・・・・・・・・・8
政府内で検討中の労働法制のポイント
5.人材育成の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
企業における人材育成について
企業における教育訓練の実施状況
企業が考える能力開発責任主体の現状と今後
個人・企業の人材育成での問題点
2
1.雇用を取り巻く環境の変化
1.雇用を取り巻く環境の変化
人口・労働力人口の推移
○ 少子高齢化の進展に伴い、我が国の人口は07年から減少過程に入ると見込まれている(中位推計)。
○ 労働力人口は、98年をピークとして既に減少に転じている。30年には、ピーク時から13%~17%減少する見込
みとなっている。
我が国の人口推計
労働力人口の推計
(万人)
(十万人)
1,300
7000
2009年:1億2815万人
(高位推計の人口ピーク)
1,280
1998年
6790万人
2003年
6670万人
6800
1,260
6600
2004年:1億2748万人
(低位推計の人口ピーク)
1,240
高位推計
1,220
2006年:1億2774万人
(中位推計の人口ピーク)
1986年
1億2166万人
2030年
1億2126万人
1,200
中位推計
低位推計
1,180
1981年
1億1790万人
2030年
1億1758万人
1,160
実績値
1,140
6400
6200
2030年
5935万人
6000
5800
実績
2030年
5670万人
推計
5600
推計値
1977年
1億4165万人
2030年
1億1330万人
2030年
5600万人
5400
1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030
1,120
低位推計
1,100
中位推計
厚労省見通し
年
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
2025
【出所】総務省統計局「我が国の推計人口」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将
来推計人口(平成14年1月推計)」
(年)
2030
【備考】)1.推計値は、国立社会保障人口問題研究所「日本の将
来人口推計」、「労働力人口の推移と見通し」(厚労省・2
002)をもとに経済産業省作成。
2.低位推計、中位推計:男女各歳別の労働力率が2003
年の実績値で一定とした場合の各人口推計に対応する
労働力人口の推計値。厚労省見通し:「労働力人口の見
通し」をもとに試算。
4
1.雇用を取り巻く環境の変化
雇用の産業別の動
○ サービス業(研究機関、生活関連サービス業、娯楽業、広告業等)の就業者の割合が一貫して上昇する一方、製造
業の割合は、低下傾向。
産業別就業者数
(%)
30.0
27.4
26.1
25.0
22.7
19.3
20.0
19.4
17.9
15.0
14.6
10.0
10.0
7.5
6.2
6.2
5.0
4.5
0.0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
( 年)
農業
建設業
製造業
運輸・通信業
卸売・小売業、飲食店
サービス業(研究機関、生活関連サービス業、娯楽業、広告業等)
資料:総務省「国勢調査」
5
1.雇用を取り巻く環境の変化
若年者における就職先の変化
○ 大卒者の就職先を産業別に見てみると、製造業の割合が減少しており、相対的にサービス業の割合が増加してい
る。
○ 職種においても、サービス職業に従事する者の割合が増加している。
大学卒の就職者数の割合(産業別)
大学卒の就職者数の割合(職種別)
サービス職業従事者
専門的・技術的職業従事者
2001年
事務従事者
販売従事者
その他
生産工程・労務作業者
2005年
0%
20%
40%
60%
80%
100%
資料:文部科学省「学校基本調査」
6
1.雇用を取り巻く環境の変化
雇用形態の多様化
○ 全体の雇用者数も頭打ちになる中、雇用形態の多様化が進んでいる。
○ 正規雇用者比率は低下傾向にある一方で、非正規雇用者が全体の約3割を占める。
雇用者数と雇用形態の推移
6000
(万人)
100
92.3
90
83.1
5000
80.3
78.4
75.4
80
68.1
4000
70
60
3000
50
40
2000
31.9
1000
19.7
16.9
24.6
21.6
30
20
10
7.7
0
0
1971
1982
1987
1992
会社などの役員
正規の職員・従業員
パート・アルバイト
派遣労働者
契約社員・嘱託
その他
資料:総務省「就業構造基本調査」
(備考)非正規雇用者:会社役員、正規の職員・従業員以外の雇用者
1997
非正規雇用者比率
2002
正規雇用者比率
7
1.雇用を取り巻く環境の変化
経済成長率の変化
○ 我が国における経済成長率は、戦後復興後の高度経済成長期以来、段階的に低下。
○ 労働分配率は、戦後右肩上がりで推移。ただし直近では2001年度をピークに低下している。
実質国民総生産の対前年比と労働分配率の推移
労働分配率(%)
実質GDP成長率(%)
15
80
10
70
5
60
0
50
実質GDP成長率(対前年比)
労働分配率
-5
40
1956 1959 1962 1965 1968 1971 1974 1977 1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 2001 2004
(年)
資料:
1.内閣府「国民経済計算」による。
2.実質国民総生産は、1979年(前年比は1980年)以前は「69SNA」、1980~1993(93SNA)、
1994年以降は、平成17年1-3月期四半期別 GDP速報」
3.労働分配率=名目雇用者報酬/名目国民所得
8
2.日本の雇用慣行について
2.日本の雇用慣行について
我が国雇用システムの変遷
(1)1920年代以前・・・比較的流動性の高い時期
○ 1920年代頃までは、我が国企業の労務管理体制は未整備の状態。
○ そのため、工員を始めとする労働者はより労働条件の良い職場を求め、頻繁に移動(20年代前半の工場労働者の年平均
離職率は70~80%程度)。 → 流動性の高い雇用システムで。
(2)1940年代・・・計画生産と安定勤続、企業・事業所別組合システムの形成
○ 工業化(特に重化学工業の発展)が進む中で、近代的な熟練工を養成・定着させる必要性を感じた企業が、雇用の長期継
続化とともに、労働移動を抑制して長期勤続を奨励する動きが広がる。
○ 第二次大戦下においては、政府による統制経済の下、株主の権利が制限され、企業は経営者・従業員にとっての共同体
的な性格を帯びるとともに、計画的な工業生産のため、安定的な勤続が奨励された。
○ また、増大した労使紛争を背景に、企業・事業所別に労使双方が参加する懇談と福利厚生等の向上を目的として、組合シ
ステムが確立。
(3)1950年代・・・終身雇用・年功賃金を中心とした雇用システムへの移
○ 戦後、我が国が製造業を中心として経済成長を遂げる中、労働力が
継続的に不足し、経営者にとって労働力確保の必要性が増大。
○ そのため、労働者にとっても継続勤務にインセンティブが働く仕組み
(長期にわたる安定的な雇用保障、勤続年数による賃金の上昇)を敷
く企業が一般化。1950年代には、終身雇用・年功賃金システムが確
立。
平均勤続年数の推移(全産業)
14
(年)
12
10
8
6
4
1958
1962
1966
1970
1974
1978
1982
1986
1990
1994
1998
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」10
日本型雇用システム成立の背景となった諸条件
2.日本の雇用慣行について
(1)持続的経済成長
○ 戦後の持続的な経済成長の中で、企業規模が拡大し続けたことから、これに見合って企業収益も役職ポストも増え続けた。こうし
た中、中高年層を役職者として処遇し、それに見合った賃金を支払う年功的処遇による長期雇用を行うことが効率的であった。
(2)キャッチアップ型経済
○ 国内の経済構造が、欧米先進国で発明された技術を導入し、プロセスイノベーションを行うことにより、欧米諸国に追いつくこと
を目標とした「キャッチアップ型」構造であった。
○ このような、いわゆる大量生産方式で生産量を拡大するような経済構造下の企業組織では、年功的処遇により、協調的、同質
的な人材を育成することが効率的であった。
(3)豊富な若年労働者
○ 若年労働者が豊富であったことが、企業組織のピラミッド構造を容易にするとともに、全体の労働コストを低下させることになり、
中高年層を役職者として処遇し、それに見合った賃金を支払う年功的処遇が効率的であった。
(4)企業内訓練による技能蓄積
○ 労働者の長期勤続が期待されることから、企業の教育投資意欲が高く、OJT、Off-JTを通じ、充実した企業内訓練が行われた。
また、長期にわたる労働者間の協力を通じて、多くの労働者が高い能力や知識を蓄積し共有することが可能であった。
(5)労使の価値観の共有
○ 労使双方が企業の長期的成長や労働者の生活の安定などを共通の目的とし、経営家族主義や企業共同体的な価値観を広く
共有してきた。こうした中で、労使関係の安定や労働者の帰属意識が形成されてきた。
(6)大きい転職コスト
○ 転職による賃金・退職金等の減少など、転職によるコストが大きく,労働者にとって同一企業に長期間勤続し、人事評価を高
めることのほうが有利となるため、労働者の企業に対する高い帰属意識が維持されてさた。
資料:日本的制度雇用研究会「日本的雇用制度の現状と展望」 (労働省職業安定局編「雇用レポート‘97」より)
11
2.日本の雇用慣行について
諸外国における雇用者の勤続年数の比較
○ 日本の雇用者の勤続年数は、欧州諸国の先進国に比して著しく長いものではない。
○ 一方、米国・英国の勤続年数は、他の先進国に比べ顕著に短い。
先進国での雇用者の平均勤続年数の推移
(年)
1992
1995
1998
16
14
12
10
8
6
4
平
均
ア
メ
リ
カ
イ
ギ
リ
ス
デ
ン
マ
ー
ク
オ
ラ
ン
ダ
ス
ペ
イ
ン
ア
イ
ル
ラ
ン
ド
ド
イ
ツ
フ
ィン
ラ
ン
ド
ル
ク
セ
ン
ブ
ル
ク
フ
ラ
ン
ス
ポ
ル
トガ
ル
日
本
ス
ウ
ェ
ー
デ
ン
イ
タ
リ
ア
ギ
リ
シ
ャ
0
ベ
ル
ギ
ー
2
雇用者に占める勤続10年以上の者の割合(2002年)
(% )
60
50
40
30
20
10
平均
ア メリ カ
デ ン マー ク
イギ リ ス
ア イ ルラ ンド
ス ペイ ン
オ ラ ンダ
フ ィン ラ ン ド
ス ウ ェー デ ン
ドイ ツ
日本
フラ ン ス
ポ ル トガ ル
ルク セ ン ブ ルク
ベルギ ー
イタリア
ギリシ ャ
0
資料:Peter auer and Sandrine Cazes “The resilience of the long-term employment relationship Evidence from the industrialized
countries ”International Labor Review Vol139(2000) 、Peter Auer,Janine Berg and Ibrahim Coulibaly,2004,“Insights into the
tenure-productivity-employment relationship”
(注)平均勤続年数のうち、アメリカの1995年は1996年のもの。
12
企業規模別に見た長期勤務者の割合の違い
2.日本の雇用慣行について
○企業規模別の長期雇用者(25年以上)の割合を比較すると、企業規模が小さいほど長期雇用者の割
合は低く、日本型雇用の特徴といわれる「長期雇用」は主に大企業を中心としたものとなっている。
○なお、同一企業に継続的に勤務する者の割合は、
①大企業ほど高い、
②高学歴者ほど高い、
③生産労働者よりも技能労働・管理・事務職の方が高い、
などの特徴がある。
企業規模別に見た50~54歳の労働者に占める25年以上継続勤務者の割合
1977年に新卒採用された労働者の継続勤続動向
100.0%
90.0%
80.0%
87.8%
製造業
非製造業
73.1%
70.0%
61.5%
60.0%
46.6%
50.0%
40.0%
30.8%
30.0%
26.8%
20.0%
10.0%
0.0%
1000人以上
100~999人
(企業規模)
賃金構造基本統計調査報告(2002年)
10~99人
資料出所:経済白書 平成6年版
1.総務省「賃金構造基本調査」により経済企画庁作成
2.職種別のみ製造業のもの。その他は全て産業計。いずれも男子
の値。
3.1977年時点で20~24歳(高卒は19歳以下)かつ勤続5年未満
であった労働者について、その後5年ごとの継続勤務の状況か
ら算出されたもの。
13
2.日本の雇用慣行について
男女別に見た諸外国の平均勤続年数
○ 我が国の男性の平均勤続年数は50~54歳までは、欧米諸国と比べて長く、長期雇用が特徴。
○ 一方、女性では、我が国の平均継続年数は欧米諸国と比較して、決して長いものとはなっていない。
(男性)年齢別の平均勤続年数
25(年)
(女性)年齢別の平均勤続年数
25(年)
オランダ
ドイツ
20
フランス
20
ドイツ
15
15
フランス
日本
10
10
日本
イギリス
イギリス
アメリカ
5
5
アメリカ
オランダ
0
0
15~19
20~24
25~29
日本
30~34
アメリカ
35~39
40~44
イギリス
45~49
ドイツ
50~54
オランダ
55~59
60~64
フランス
65~
歳/age
15~19
20~24
25~29
日本
30~34
アメリカ
35~39
40~44
イギリス
45~49
ドイツ
50~54
オランダ
55~59
60~64
65~
歳/age
フランス
資料出所:データブック国際労働比較(2006)から作成
※勤続年数は、継続して同一の使用者のもとで働いた年数
14
2.日本の雇用慣行について
日・米のホワイトカラーの転職歴・昇進速度
○ 日本の部課長は8割以上が転職経験がないが、米国では逆に8割以上に他社での勤務歴がある。
○ また日本の企業は、昇進の際に当該企業内での勤続年数を重視。長期雇用の中で社員のモチベーションを維持す
るため、「遅い昇進」や「期間の長いレース」を行っていることの表れ。
部課長の勤務企業数(現在の勤務企業を含む)
(年)
日本(1567人)
アメリカ(752人)
60
日本(59)
アメリカ(82)
50.75
50
44.1
40
30
25.34
20
9.3
昇進時年齢
0
歳
(
10
昇進時勤続年数
う ち 、 3社 以 上 の 勤
務 経 験 があ る者
う ち 、 2社 の 勤 務 経
験
他 社 勤 務 経 験 があ る
者 の合 計
現 在 の会 社 の み勤 務
(%)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
部長(営業部長)へ昇進した時点の勤続年数と年齢
)
資料:佐藤俊樹 キャリア形成と能力開発の日米独比較(「ホワイトカラーの人材形成(小池和男、猪木武徳編著 2002年)」収録)
• 大卒のホワイトカラー労働者を対象としたアンケート。
• アンケート対象は部長、課長レベルとなっており、回答者のうち部長の占める割合は日本37.5%、アメリカ43%。
• 回答者は両国とも人事、営業、経理に属するホワイトカラー労働者。
• 回答者の属する企業は、ほとんどが大企業。回答者に占める従業員1000人以下の企業に所属する者の占める割合は、日本7.3%、アメリカ3.5%。
• 括弧内は回答数のサンプル数。
15
2.日本の雇用慣行について
日・米のホワイトカラーの経験する業務の幅
○ 日本のホワイトカラーは、「ジェネラリスト」と呼ばれ、専門性が重視されないと言われるが、約4割のホワイトカラー
がこれまでの経験を一つの職能で経験しており、比較的専門分野がはっきりしている。ただし、米独では、特定の職
能を長く経験する者の割合は更に多い。
○ 現在までに経験した職能数では、日米ともほぼ差がない状態。営業課長に関しては、むしろ米国のホワイトカラー
の方が、経験している職能は多い。
現在の会社での最も経験の長い職能が業務歴に占める割合
(%)
70
日本(1415)
アメリカ(619)
現在までに経験した職能数
4.5
4
60
3.5
3
2.5
50
40
日本
アメリカ
4.25
4.06
2.58
2.21
2.1
2.02
2
1.5
1
30
20
25%以下
26~50%
51~75%
76%以上
経 理 課 長
0
営 業 課 長
10
人 事 課 長
0.5
0
資料:佐藤俊樹 キャリア形成と能力開発の日米独比較(「ホワイトカラーの人材形成(小池和男、猪木武徳編著 2002年)」収録)
大卒のホワイトカラー労働者を対象としたアンケート。
• アンケート対象は部長、課長レベルとなっており、回答者のうち部長の占める割合は日本37.5%、アメリカ43%。
• 回答者は両国とも人事、営業、経理に属するホワイトカラー労働者。
• 回答者の属する企業は、ほとんどが大企業。回答者に占める従業員1000人以下の企業に所属する者の占める割合は、日本7.3%、アメリカ3.5%。
• 括弧内は回答数のサンプル数。
• 「職能」は、ホワイトカラーの業務を以下の15に区分し、アンケートを実施したもの。
①経営企画、②法務、③経理・財務、④人事・教育、⑤総務・秘書、⑥広報・宣伝、⑦情報システム、⑧営業企画(マーケティング)、⑨販売・営業、⑩貿
易・海外事業、⑪資材・購買・工程管理、⑫生産技術・生産管理、⑬製品開発・設計、⑭研究・開発、⑮その他
16
2.日本の雇用慣行について
米国企業のCEOのキャリアパス
○ 平均勤続年数が短い米国でも、大手企業においては、中核となる人材について長期雇用・内部育成を行っ
ている事例が多く見られる。
米国フォーチュン500社トップ企業CEOの出身(2003年)
企業名
業種
CEO
出身
CEOの就任時期
入社時の年
齢
入社時期
入社からCEO就
任までの期間
流通
Lee Scott,Jr.
内部
2000.1
1979
30
21年
自動車
G.Richard
Wagoner,Jr.
内部
2000.6
1977
24
23年
3 Exxon Mobil Corporation 石油
Lee R.Raymond
内部
1993
1963
25
30年
4 Ford Motor Company
自動車
William C.Ford,Jr.
内部
1979
24
22年
5 General Electric
複合企業
Jeffrey R.Immelt
内部
2001
1982
26
19年
6 Citigroup
金融
Sanford I Weill
合併
1998 (合併による)
7 Chevron Texaco
石油
David J. O'Reilly
内部
2001.1(Chevron CEO就任。
2001.10.にTesacoと合併
International Business
Machines
American International
9
Group
電子関連機
Samuel J Palmisano 内部
器・サービス
2002
1973
21
29年
金融・保険
1967
1960
34
7年
1 Wal-Mart Stores,Inc.
2
8
General Motors
Corporation
10 Verizon Communication 通信
Maurice R.Greenberg 内部
Ivan G.Seidenberg
内部
2001.10.
2002.4
ー
21
1991年Verizon前身の
NYNEX取締役就任
11年以上
(注)内部、外部の判断については、副社長(Vice President)以上の役職で入社している場合を外部として整理。
(注)CitiggroupのSanford I.Weillについては、American Express Company社長(President)から、1986年、Travelers Group に
CEOとして入社(-98)。 1998年、Travelers GroupはCiticorpと合併し、Citigroupに改称。合併と同時にCitigroup社CEO。
資料出所:新原浩朗「日本の優秀企業研究」(2003)P.194に一部加筆
17
2.日本の雇用慣行について
勤続年数と賃金の相関
○ 賃金について見ると、我が国においては、長期雇用に適合したシステムとして、勤務期間が長くなるほど賃金
が上昇していく傾向が欧米諸国に比して顕著。
賃金の勤続年数別格差(製造業:男性)
賃金の勤続年数別格差(製造業:女性)
180
200
180
160
160
140
140
120
120
100
100
1~5
(0~4)
日本
6~9
(5~9)
イギリス
10~19
20~29
30~
(勤続年数)
フランス
イタリア
ドイツ
1~5
(0~4)
日本
6~9
(5~9)
イギリス
10~19
20~29
30~
(勤続年数)
フランス
イタリア
ドイツ
注1:就職初年度の労働者の賃金を「100」とした場合の、勤続年数に応じた賃金の推移。
注2:( )内は日本の勤続年数
資料出所: 日本:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、EU諸国:EC「Structure of Earnings Statistics 2002」から作成
18
労働力の高齢化
2.日本の雇用慣行について
○ 総労働力人口に占める45歳以上の労働力人口の割合は継続的に上昇傾向であり、1980年に37.5%で
あったものが2004年には47.1%へ上昇。さらに2025年には55.1%に達する見込み。
○ 企業の構成人員も上昇傾向にあり、年功賃金制と相まって、企業の人件費上昇圧力となっている(90年から
97年の間に1兆円の人件費上昇要因となったと試算できる(人材マネジメント研究会報告書))。
我が国の15歳以上人口と雇用者に占める40歳以上割合
19
年齢に応じた賃金上昇のフラット化
2.日本の雇用慣行について
○ こうした顕著な賃金カーブは、国際競争の激化や、高齢化の進展といった近年の環境変化の中で、年々フラット化
の傾向にあり、欧米に近づきつつある。
標準労働者(新卒後から同一企業に勤続している雇用者)の賃金カーブの変化
資料;厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに厚生労働省労働政策担当参事官室が推計
(注) 1)数値は、産業計の男子労働者によるもの。
2)中卒、高卒、高専・短大卒、大卒をそれぞれのウェートで合算し学歴計としたもの。
20
2.日本の雇用慣行について
勤続の生産性と年功賃金(イメージ)
○ 年功賃金は、①勤続に伴う人的資本(=生産性)の上昇、②(暗黙の)インセンティブ契約の2つの側面がある。
○ 転職は、企業特殊的スキル(企業内でしか通用しないスキル)の喪失を伴う。
○ インセンティブを含む賃金制度の下、スポットでの賃金と生産性は一般に一致しない。
インセンティブ契約
400
350
生産性
(人的資本の向上)
300
250
企業特殊的スキル
(転職すると逸失)
200
150
100
50
生産性
賃金
60
58
56
52
54
50
48
44
46
42
40
38
34
36
32
30
26
28
24
22
20
0
general skill
21
2.日本の雇用慣行について
年功賃金・生産性プロファイル(川口・深尾他による推計)
○ 製造業全体でみると、生産性は経験20年程度まで増加し、以降減少に転じる。それに対して賃金は減少すること
なく維持されており、若年時に生産性以下の賃金を受け取り、高齢時に生産性以上の賃金を受け取る特徴が表れ
ている。
○ 製造業の中でも、軽工業では、生産性のピークが若干早く、低い。重化学工業では、生産性のピークは経験30年以
上で迎え、引退時にもほとんど低下しない。機械工業は製造業全体と同じような動きを示している。
図 3c 重 化 学 工 業
重化学工業
図3a 全製造業
製造業全体
1 .8
1.8
1 .6
1.6
1 .4
1.4
Productivity
Wage
1.2
1
1
0.8
0 .8
0.6
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
潜在経験年数
軽工業
P r o d u c t iv it y
W age
1 .2
0 .6
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
潜在経験年数
24
26
28
30
32
34
36
38
40
機械工業
図 3b 軽 工 業
図 3d 機 械 工 業
1 .8
1 .8
1 .6
1 .6
1 .4
1 .4
1 .2
P r o d u c tiv ity 1 .2
W age
1
1
0 .8
0 .8
0 .6
P ro d u c tiv ity
W age
0 .6
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
潜在経験年数
24
26
28
30
32
34
36
38
40
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
潜在経験年数
24
26
28
30
32
34
36
38
40
出典:深尾教授・川口教授他による推計(「年功賃金は生産性と乖離しているか:工業統計調査・賃金構造基本統計調査個票データによる」)
22
パートタイム労働者の生産性と賃金 (川口・深尾他による推計)
2.日本の雇用慣行について
(パートタイムの賃金は生産性との比較では割高との分析例もある)
○ 正社員と比較したパートタイム労働者の生産性と賃金の関係(製造業)では、正社員と比較してパートタ
イム労働者の生産性が低い割合ほど、賃金は低くないことが示されている。(深尾・川口などによる推計)
○ この分析からは、パートタイムの賃金は生産性と比較すると割高であることが示されている。
パートタイム労働者の生産性と賃金(正社員との比較)
生産性
賃金
約
%以上
5
出典:深尾・川口他による推計
(「年功賃金は生産性と乖離しているか:工業統計調査・賃金構造基本統計調査個票データによる」)から作成
(注1)フルタイム労働者に比べて生産性、賃金がどの程度低いかを示す。
(注2)1993~2003年の賃金構造基本調査と工業統計表のマッチング・データを使用した分析(生産関数, 賃金関数の推計)。
23
2.日本の雇用慣行について
労働に関するアンケート調査①
○ 労働者に対するアンケートによると、実力に応じた賃金体系を望むものが8割程度存在する。
○ ①望まない転勤や異動などの働き方の制約、②雇用の不安定さ のどちらについても、賃金の1~3割程度の上
乗せが必要とする意見が多い。
賃 金 の 仕 組 み
2 4 .7 %
5 7 .3 %
1 5 .2 %
2 .8 %
実 力 に 応 じた 給 料 に す べ き だ
ど ち ら か とい うと実 力 に 応 じた 給 料 に す べ き だ
ど ち ら か とい うと年 功 的 な 給 料 が 良 い
年 功 的 な 給 料 が 良 い
望まない転勤や異動などの働き方の制約に対して支払われるべき賃金の上乗せはどの程度か
賃金は同一で構わない
給与の5%程度の上乗せ
給与の1割程度の上乗せ
給与の3割程度の上乗せ
給与の5割以上の上乗せ
その他
わからない
17.2%
8.9%
24.3%
25.9%
11.1%
0.6%
12.0%
雇用の不安定さに対して支払われるべき賃金の上乗せはどの程度か
16.0%
賃金は同一で構わない
6.4%
給与の5%程度の上乗せ
23.2%
給与の1割程度の上乗せ
26.4%
給与の3割程度の上乗せ
11.8%
給与の5割以上の上乗せ
その他
わからない
1.1%
15.2%
(出所)経済産業省委託調査(2006年)
調査時期:2006年11月、調査方法:Web上でのアンケート入力方式、調査対象:25~59歳の男女約3400人
24
2.日本の雇用慣行について
労働に関するアンケート調査②
○ 労働時間に関する現行の規定(※)を維持すべきと考える人について、その理由を聞いたところ、成果や能力を評
価する制度が整っていないことを挙げる意見が5割弱、残業の増加を挙げる意見が3割強。
○ 他方、労働時間に関する現行の規定(※)を廃止すべきと考える人について、そのために必要な条件を聞いたとこ
ろ、8割弱が「適切な能力や成果の評価」を挙げている。
※ 現行の規定では、法定労働時間は一日8時間とされており、それを超える労働時間には残業代が支払われている。
○ 約8割が実力に応じた賃金体系を望んでいること(前ページ)と合わせて考えると、能力や成果の適切な評価の重
要性が高いといえる。
労働時間に関する現行の規定を今後
も維持すべきと考える理由
46.9%
32.5%
労働時間に関する現行の規定を廃止すると
すれば、そのために必要な条件
16.3%
能力や成果を評価する制度が完備されていないから
残業が増加することが心配だから
残業代が減るだけだから
その他
4.2%
77.4%
10.5%
11.7%
能力や成果の評価をきちんと行う必要がある
仕事が早く終わった社員に新たな仕事を割り振らない
これまでの残業代と変わらない給与が支給される
その他
(出所)経済産業省委託調査(2006年)
調査時期:2006年11月、調査方法:Web上でのアンケート入力方式、調査対象:25~59歳の男女約3400人
25
終身雇用、年功賃金制度について(企業の方針)
2.日本の雇用慣行について
○ 1999年と2003年の1000人規模以上の企業の終身雇用制度に関する方針比較では、「原則、これからも終身雇用を維
持していく」(1999年33.8%→2003年39.3%)の割合が増加し、「基本的な見直しが必要である」(1999年17.1%→2003
年12.7%)割合は減少している。
○ 企業のこれまでの年功賃金については、「重視している」とする企業は22.3%、「どちらかといえば重視している」とする
企業は49.9%と、年功を重視しているとする企業が大半を占めている。
○ 一方で、5年後の賃金体系については、「年功的賃金体系をかなり残す」とする企業は5.5%に過ぎず、57.9%の企業が
「年功的賃金体系はある程度残す」としており、12.6%の企業が「年功的賃金体系をすべて廃止する」と回答している。
これまでの年功賃金制度について
33.8
1999
無回答
1%
わからない
1%
今後の終身雇用について(1000人規模以上)
44.3
17.1
3.81.0
重視している
22%
重視していない
9%
どちらかといえ
ば重視している
51%
どちらかといえ
ば重視していな
い
16%
5年後の年功賃金制度について
39.3
2003
0%
20%
38.5
40%
原則、これからも終身雇用を維持していく
基本的な見直しが必要である
無回答
60%
12.7
80%
部分的な修正はやむを得ない
現在も終身雇用にはなっていない
資料:労働政策研究・研修機構
「企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査(1602社)」(2003)
「新世紀の経営戦略、コーポレートガバナンス、人事戦略に関する調査
(244社)」(1999)
6.6 2.9
100%
未定
12%
現在も今後も年
功的賃金体系
はない
10%
年功的賃金体
系をすべて廃止
する
13%
無回答
2%
年功的賃金体
系をかなり残す
6%
年功的賃金体
系はある程度
残す
57%
資料:労働政策研究・研修機構
「企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査(就業者調査)」(2003)
26
2.日本の雇用慣行について
仕事に対する考え方の変化
○ 世論調査によると、「収入をもっと増やしたい」と考える者の割合が減少している一方、「自由時間をもっと増やした
い」と考える者の割合が増加している。
○ また、「自分にとって楽しい仕事」を理想的な仕事と考える者の割合が増加している。一方、「収入が安定している仕
事」を理想とする者の割合はほとんど変化していない。
理想的な仕事
収入と自由時間についての考え方
3.5
49.2
50.1
収 入 が 安 定 して いる 仕 事
0.3
36.3
自 分 にとっ て 楽 しい仕 事 ( ※ )
20.6
平成4年調査
48.2
58.6
11.0
35.5
自分の専門知識や能力が活かせる仕事
29.1
23.0
健 康 を損 な う 心 配 が な い仕 事
34.8
平成15年調査
46.0
16.7
2.1
0%
20%
40%
0.5
60%
18.4
14.7
16.3
失 業 の 心 配 が な い仕 事
13.5
12.0
世 の 中 の ため にな る 仕 事
80%
自由時間をもっと増やしたい(※1)
どちらともいえない
わからない
その他
100%
平成9年調査
平成15年調査
9.2
8.3
高 い収 入 が 得 ら れ る 仕 事
その他
0.3
収入をもっと増やしたい
わからない
2.9
(※1)平成9年調査では「職場で楽しく働ける仕事」となっている。
0
資料:内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成15年)
備考:調査対象者は、全国20歳以上の者の無作為抽出。
10
20
30
40
50
60
(%)
資料:内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成15年)
備考:調査対象者は、全国20歳以上の者の無作為抽出。
27
2.日本の雇用慣行について
今後の賃金制度のあり方
○ 賃金制度の変更を考えている企業の割合は72%である。
○ 賃金制度の変更を考えている企業の具体的な内容は、「昇級・昇格を能力主義的に運用する」(67.9%)、「個人業
績をボーナスに反映させる」(54.6%)、「基本給の職能給的要素を増やす」(44.5%)、「個人業績を基本給に反映さ
せる」(32.9%)等をあげる企業が多い。
賃金制度の変更を考えているか
賃金制度の具体的な変更について(複数回答)
67.9
昇級・昇格を能力主義的に運用する
無回答
3%
54.6
個人業績をボーナスに反映させる
44.5
基本給の職能給的要素を増やす
考えていない
25%
32.9
個人業績を基本給に反映させる
考えている
72%
年俸制を活用する
27.1
基本給の職務給的要素を増やす
27.0
14.2
退職一時金を抑制する
年収のうちボーナス部分を増やす
6.0
基本給の年功給的要素を増やす 0.3
0.0
10.0
20.0
30.0
資料:労働政策研究・研修機構「企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する調査(1602社)」(2003)から作成
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
(%)
28
2.日本の雇用慣行について
企業が賃金を決定する要素
○ 企業が賃金を決定する際に、「職務、職種など仕事の内容」、「職務遂行能力」、「業績・成果」を3年前より重視す
るkうぃこうが強まる一方で、「年齢」、「学歴」、「勤続・経験年数」は約3割が3年前より重視しないと回答している。
一般社員の賃金を決定する場合に重視する要素(以前との比較)
以前より重視する
変わらない
以前より重視しない
無回答
1.3
39.9
職種、職務など仕事の内容
47.8
11.0
0.9
59.5
職務遂行能力
30.5
9.1
1.0
業績・成果
62.0
勤続・経験年数 4.0
53.1
27.7
30.5
9.3
12.4
学歴 1.7
53.2
32.0
13.1
年齢 2.8
51.4
32.6
13.2
0%
20%
40%
60%
80%
100%
資料:労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」
備考:
1.従業員数30人以上の企業約10,000 社に対するアンケート調査。
2.調査期間は平成17 年12 月9 日~12 月22 日。
3.「一般社員」とは、係長相当職以下の者を指す。
29
2.日本の雇用慣行について
正社員の昇進に差がつく時期(企業の方針)
○ 正社員の昇進に差がつく時期(企業の方針)は、現状では入社5年目位が29.5%で一番多いが、今後の方針で
は入社3年目が31.9%と一番多く、今後は現在より早い時期で昇進に差がつくと考えられる。
○ 企業は、正社員の賃金格差についても現在よりも、格差をつけることの方が望ましいと感じている。
(企業の方針)正社員の昇進に差がつく時期
35
(企業の方針)年齢別に見た正社員の賃金格差
(%)
31.9
30
60
29.5
54.7
29.4
現状
今後
50
24.8
25
(%)
現状の格差
望ましい格差
48.6
44.7
40.2
37.8
40
20
17.7
31.0
30
15
10.7
10
12.7
10.6
21.7
9.5
20
5.7
5
26.0
6.1
3.5
6.7
10
1.2
0
0
入社
入社
入社
入社
入社
入社
無回答
直後から 3年目位 5年目位 7年目位 10年目位 15年目位
以降
資料:労働政策研究・研修機構「企業の人事戦略と労働者の就業意識に関する
調査」(2003)
備考:従業員数100 人以上の企業約10,000 社に対するアンケート調査。
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
資料:労働政策研究・研修機構「企業の人事戦略と労働者の就業意識に
関する調査」(2003)
備考:各回答企業ごとに、平均年収を100 としたときの「最高-最低」を算
出し、これの全回答企業にわたる平均をとった。回答数は、項目ごとに異
なる。
30
人材マネジメントの変遷(人材マネジメント研究会から)
90年代以前の経済環境と
人材マネジメント
高度成長と人材マネジメントの
目的
○事業、業務の拡大、積極的な海
外進出への対応
→人材の社内の流動化
(海外派遣も含む。)
→様々な業務に対応できる人材の
育成
90年代以降の経済環境の変化と
企業の対応
経済環境の変化
顕在化した問題点
人材のパフォーマンス低下
○株主重視の強まり
○技術革新
○市場の競争激化
→スピードと付加価値の追求が必要
○多くの従業員のモチベーション低下
○組織、チーム力の低下
○人材育成機能の低下
○バブル崩壊後の低成長化
○従業員年齢の高齢化によるコスト増
→強いコスト削減圧力
何故そうなったのか?
⇒賃金と評価に偏った改革
○働く人の意識変化:専門性への関心
の高まり、キャリア意識の高まり
○納得感のない評価処遇
・緊急避難的な成果主義の導入
-性急な導入プロセス、あいまいな評価
・早期選抜教育における選抜基準・人材
像の不在
長期雇用と職能資格制度の
役割
○成果・職種でなく能力評価(職能資
格)に基づく賃金
(運用は、終身雇用・年功賃金)
○OJT、階層別研修中心の現場力
重視(底上げ重視)の人材育成
○男性かつ生え抜き正社員が中核
(非正規社員はパート、期間工中
心に20%)
→帰属意識と長期間における勤労
意欲の高揚
→組織力・チームワーク向上に貢献
企業の対応(目指したもの)
○コスト削減
・教育訓練費の削減
(階層別研修の縮小・廃止)
・新卒採用抑制
・非正規社員の量的拡大(30%)、
質的拡大(基幹業務への活用拡大)
○インセンティブ強化+コスト削減
・「成果主義」の導入
年功・能力要素の縮小
○スピードと付加価値への対応
・戦略構築ができる経営リーダーの
早期選抜育成
・業務の細分化、部門の自律化によ
る組織のフラット化
人件費の変動費化には成功
2.日本の雇用慣行について
新しい方向性の確立
後戻りはできない:環境変化
・右肩上がりの終焉 ・個人のキャリア意識の変化
・企業組織の分権化 ・求める人材像の変化
人材の成長を中心に据えたマネジメント
○求める人材像の明確化
○評価(成果+職務遂行能力)と配置の連動:
本来の成果主義
・学習・成長の機会となるチャレンジの提供
・長期的視点から従業員のキャリア開発を支援
○仕事の個人化・細分化と業務の短期的評
価によるチーム内競争加速
○現場リーダーの強化:「どこでもリーダー」化
・革新は現場最前線に源を持つ。
○人材育成目標の混乱
・環境変化
○納得感・公平感の構築
・評価制度構築における従業員の参加とコミュニ
ケーション
-低成長による挑戦的業務の減少
-人員削減による現場OJTの余裕喪失
・成長目標の問題
-職能資格制度の縮小による成長目標喪失
-短期結果の評価に傾斜しがちな成果主義の
メッセージ
・人材成長の責任の所在の意識の混乱
(成長の自己責任化という幻想)
多様な人材活用の遅れ
○非正規社員増の問題点:
品質・コンプライアンス・モチベーション
○正社員モデルの多様化の遅れ
○女性・高齢者活用の制度インフラの不備
○高度外国人の活用への躊躇
多様な人材の融合と能力発揮
○戦略的人材ポートフォリオ:多様な人材が能力を
最大限に発揮できる仕掛け作り
・正社員と非正社員:業務分担の明確化、流動性
の確保、評価・資格制度や業績評価基準の統合
・多様な正社員モデルの本格的な導入
・経営理念の明示と共有
○女性・高齢者
・正社員モデルの多様化と平行した制度整備
○高度外国人
・キャリアパスの整備
・企業文化への融合方策の整備
(言語・企業慣習等)
31
3.転職・中途採用の動向
3.転職・中途採用の動向
男女別・年齢別の転職比率
○ 男性・女性の転職比率を年齢階級別で見ると、男性よりも女性の転職比率が全体的に高い。
○ 男性・女性どちらとも若い世代での転職比率は高い傾向にある。
○ 男性の35歳以上の転職比率は、若い世代と比べてそれほど高くなく、転職比率も低い。
(%)
16
(%)
男性
女性
16
14
14
12
12
15-24歳
15-24歳
10
10
8
8
25-34歳
35-44歳
25-34歳
6
6
総計
4
4
2
2
45-54歳
45-54歳
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
0
1989
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
0
1988
35-44歳
総計
資料:2001年までは「労働力調査特別調査」(各年2月).
2002年以降は「労働力調査詳細結果」(1-3月平均).
33
3.転職・中途採用の動向
雇用形態別の転職者比率
○ 1990年と比べると2005年の転職比率は、全体的に増加傾向。
○ ただし、正規雇用者と非正規雇用者とを比べると、正規雇用者の転職比率には大きな変化はないが、非正規
雇用者の転職比率の変動幅は大きい。
雇用形態別の転職者比率
14.0
雇用者全体
非正規雇用者
正規雇用者
10.6
10.5
12.0
12.0
11.0
10.0
9.9
7.9
11.4
10.5 10.2
10.4
10.0
7.8
12.2
12.0 11.8
11.8
11.7
9.7
8.1
8.2
8.0
6.0
4.9
5.2
5.2
5.4
4.3
4.0
3.4
3.7
2.0
2.5
4.9
4.8
5.0
5.0
3.6
3.5
3.6
3.6
5.8
5.8
3.7
3.7
6.1
6.2
6.1
6.0
3.6
3.5
3.5
3.7
3.6
2.9
5.5
5.9
2.8
4.0
3.9
3.3
4.0
3.9
4.0
4.0
0.0
85年 86年 87年 88年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年 96年 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年
備考:1.1985 ~ 2001 年は「労働力調査特別調査」、2002 ~ 2004 年は「労働力調査(詳細結果)」による。
2.役員を除く。
3.転職率=過去1 年間の転職者数/雇用形態別雇用者数× 100
4.正規雇用者:正規の職員及び従業員
非正規雇用者:役員を除く雇用者から正規の職員及び従業員を除いたもの
資料:総務省「労働力調査特別調査」、「労働力調査」
34
3.転職・中途採用の動向
中途採用市場:専門技術職のニーズが高い
○ 中途採用市場においては、特に専門技術者に対するニーズが近年増加傾向。ビジネスサイクルの短縮化が
加速する中で、専門性の高い人材を外部から調達する動きが増加。
職種別の中途採用者の募集数とその増減(H11→16)
(万人)
250
200
231
196
5年間で
約35万人増加
平成11年
平成16年
150
100
50
0
専門・
技術職
管理職
事務
関連職
サービス職
保安職
農林漁業
関連職
運輸・
通信関連職
生産・
労務職
資料出所:経済産業省「人材ニーズ調査(平成16年度)」
35
3.転職・中途採用の動向
中途採用市場:ミスマッチの状況
○ 中途採用の募集を行ったもののうち採用に至ったものの割合を見ると、「専門職・技術職」の採用に至らなかっ
た割合が高い。
○ 専門・技術職で中途採用のミスマッチが起こる理由として、能力や経験の不足が多く、他社でも通用する専門
技術者が育っていないことが伺える。
中途募集に対して採用に至った割合:職種別(H16FY)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
中途募集に対して採用者がいなかった理由(H16FY)
90% 100%
98.2%
運輸・通信関連職
76.2%
サービス職
その他, 17.0%
74.1%
生産・労務職
事務関連職
応募不足,
11.7%
57.0%
条件, 8.0%
管理職
専門・技術職
能力・経験・資
格, 44.1%
55.1%
能力・経験・資
格+条件,
19.2%
51.4%
資料出所:経済産業省「人材ニーズ調査(平成16年度)」
36
中小企業が中心となっている中途採用市場
3.転職・中途採用の動向
○ 人材ニーズの約86%は、従業員規模50人未満の中小企業において発生している。
○ 一方で、従業員規模が小さくなるほど、充足率は低下する傾向がある。
○ また、中小企業ほど、即戦力として期待される「専門・技術職」に対するニーズが高い。
従業員規模別充足率(平成16年度)
人材ニーズの従業員規模別構成比(平成16年度)
人材規模別の職種別ニーズ構成比(平成16年度)
資料:経済産業省「人材ニーズ調査(平成16年度)」
1.調査対象:
本 社・・・帝国データバンクに収蔵されている名簿から県・従業員規模のマ
トリクスで層化し、無作為抽出。
事業所・・・従業員1000名以上の本社の事業所から無作為抽出。ただし、
帝国データバンクの名簿数により、各都道府県別発送数は上限を設けて
制御している。
2.人材ニーズ=調査時点で企業が必要とする人材(健在ニーズ)と、調
査時点1年間で環境の変化によっては必要となる人材(健在ニーズ)との
合計。
3.充足率=平成15年調査から平成16年調査の間に実際に募集に至っ
た数のうち、雇用が実現した人数の割合。
37
3.転職・中途採用の動向
転職をしない理由
○ 一番大きな理由が、「求人募集の年齢制限を超えていることが多い」という理由であり、年齢層が高くなるにつ
れ、割合は高くなっている。
○ 各年代層に平均的に多い理由が、「今の仕事の経験、職務経歴は世間一般では通用しにくい」である。
○ 30~49歳において転職しない理由は、年功序列制度や退職金制度の雇用制度的な問題、子どもの教育費
の工面や住宅ローンなど経済的な問題が大きい。
労働者に聞いた転職をしない理由
(複数回答 %)
60
50
40
30
20
10
今 の会社 に住宅資金など の
借金を し て いる
社宅 や寮 、住宅補助等 の
恩恵が受 けられなくなる
金融機関 から の社会的信用
を失 ってしまう
40~49
世間体 が悪くな ってしまう
35~39
企業年金継続 ができなく 、
これま での分 が無駄 になる
30~34
金融機関 に住宅 ロー ンなど の
返済 ができなくなる
25~29
子ども の教育費 の工面ができ
なくな ってしまう
18~24
退職金 の額が下が ってしまう
今ま で年功序列 で上 が ってき
た給料 が下が ってしまう
転職する と今ま での人間関係
が無 にな ってしまう
今 の仕事 の経験 、職務経歴は
世間一般 では通用 しにく い
適当な転職先を探す手段 が思
いつかな い
募集求人 の年齢制限を超え て
いる ことが多 い
0
50~59
38
資料出所:リクルートワークス「ワーキングパーソンの転職意識と転職者の転職行動実態(2004)」をもとに作成
3.転職・中途採用の動向
青少年の転職についての考え方(各国比較)
○ 青少年(18~24歳)の転職についての考え方をみると、我が国においては「一生一つの職場で働き続けるべ
き」「転職することもやむを得ない」と転職に消極的な意見が多く、一方で「不満があれば転職する方がよい」
「積極的に転職する方がよい」と転職に積極的な意見は少ない。
○ 我が国青少年における転職意識は、各国に比較して低いと言える。
青少年(18~24歳)の転職についての考え方
日本
アメリカ 2.5
ロシア(※)
韓国
0%
20%
一生一つの職場で働き続けるべき
積極的に転職する方がよい
0.5
7.6
51.1
27.7
19.0
40%
転職することもやむをえない
わからない・無回答
3.1
1.1
1.5
42.0
43.0
8.4
4.4
21.8
49.7
31.4
3.9
15.0
11.1
46.7
19.5
スウェーデン 0.8 6.1
4.6
49.2
34.4
10.8
14.2
25.3
46.9
24.8
ドイツ 2.1
フランス(※)
56.2
21.9
イギリス(※) 2.5
17.9
53.0
10.3
60%
80%
6.0
1.9
100%
不満があれば転職する方がよい
資料:内閣府「第7回 世界青年意識調査」(2004年)
(※)第7回調査の非対象国(第6回調査(1998年)の数値)。
39
「同一企業に勤続する労働者(継続勤務者)」と「転職経験者」の賃金比較
3.転職・中途採用の動向
○ 20歳台では継続勤務者と転職経験者の賃金の差は、それほど大きくないが、年齢が上がるにしたがって大きい。
○ これは、年功処遇などにより、年齢の高い層ほど転職による賃金の下落幅が大きいためと考えられる。
○ ただし、近年では適切な転職者の職業能力の評価によって、賃金処遇が改善していると考えられる。
年齢別の継続勤務者と転職経験者の賃金の差
資料出所 平成18年労働経済白書
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに厚生労働省労働政策担当参事官室にて推計
(注) 1)継続勤務者の賃金は、標準労働者(新規学卒で採用された後、同一企業に勤続する労働者)の所定内給与とした。
2)転職経験者の賃金は、一般労働者の労働者数と所定内給与額を標準労働者の労働者数と所定内給与をもとに一般労働者のうち標準
労働者以外の者の所定内給与を推計したものとした。
3)賃金格差は標準労働者の賃金を100とした転職経験者の賃金の指数である。
40
4.雇用形態の多様化に関する現状
雇用形態別の構成
雇用者(5,407万人)
4.雇用形態の多様化に関する現状
(出所)総務省「労働力調査」2005 ※下記分類は、職場での呼称による。
役員を除く雇用者(5,007万人)
正規社員(3,374万人):勤め先で一般職員あるいは正社員などと呼ばれている人
非正規社員(1,633万人)
パート・アルバイト(1,110万人):就業の時間や日数に関係なく、勤め先で「パートタイマー」
「アルバイト」又はそれらに近い名称で呼ばれている人
派遣社員(106万人):労働者派遣法に基づく労働者派遣事業所に雇用され、そこから派遣
される人
契約社員・嘱託(278万人)
契約社員:専門的職種に従事させることを目的に個別契約に基づき雇用され、
雇用期間の定めのある人
嘱託:労働条件や契約期間に関係なく、勤め先で「嘱託職員」又はそれに近い名称で
呼ばれている人
その他(129万人)
42
4.雇用形態の多様化に関する現状
正規・非正規雇用者数の推移
○ 非正規雇用者数は、近年一貫して増加傾向にある。
○ 一方、正規雇用者数は05年まで減少傾向が続いていたものの、06年からは増加傾向にある。
正規・非正規雇用者数の推移(対前年同期比)
7 (%)
正規雇用者数
非正規雇用者数
6
5
4
3
2
1
0
▲1
▲2
Ⅲ
Ⅱ
06年/Ⅰ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅱ
05年/Ⅰ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅱ
04年/Ⅰ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅱ
03年/Ⅰ
▲3
資料:総務省統計局「労働力調査」
43
4.雇用形態の多様化に関する現状
我が国における就業形態別の労働者の推移
○ 労働形態の多様化が進む中で、パートタイム労働者やアルバイトの割合が、男性では若年層、女性では若年層と
子育て期を中心に増加している。
40
30
20
10
80
64
59
55
~
60
~
~
64
65
50
~
55
~
54
49
44
45
~
40
~
39
34
35
~
30
~
29
24
25
~
20
~
15
~
19
0
その他
パート・アルバイト
正社員
70
60
50
40
30
20
10
70
~
65
64
60
~
59
55
~
54
50
~
44
49
45
~
40
~
39
35
~
29
24
34
30
~
25
~
20
~
15
~
19
0
その他
パート・アルバイト
正社員
60
50
40
30
20
10
~
65
64
60
~
59
55
~
54
50
~
49
45
~
44
40
~
39
35
~
29
34
30
~
25
~
24
0
20
~
~
50
19
~
65
65
64
60
~
59
55
~
54
50
~
49
45
~
44
40
~
39
35
~
34
30
~
29
25
~
24
~
20
その他
パート・アルバイト
正社員
60
15
~
64
~
59
60
55
~
65
64
60
~
59
55
50
45
その他
パート・アルバイト
正社員
19
~
15
~
54
~
49
~
44
40
35
30
~
39
~
34
~
29
~
24
~
25
15
20
~
19
その他
パート・アルバイト
正社員
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
平成14年調査
~
64
55
~
50
45
40
~
54
49
~
44
39
~
~
34
35
~
29
30
~
24
25
~
19
20
~
15
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
70
女性のパートタイム労働者が若年層や子育て期を中心に増加。
若年層の男性のパートタイム労働者が増加。
平成 4年調査
その他
パート・アルバイト
正社員
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
昭和57年調査
女性
我が国の雇用形態の内訳別年齢階級別雇用者比率
男性
(資料)総務省「就業構造基本調査」44
4.雇用形態の多様化に関する現状
パートタイム労働者・テンポラリー雇用者の国際比較
○ 日本のパートタイム労働者の割合は26%、テンポラリー雇用者の割合は13.8%となっている。
※「パートタイム労働者」の概念は国ごとに異なり、欧州諸国では「短時間正社員」を含む概念。
雇用者に占めるパートタイム労働者の割合(2003年)
40.0
35.0
テンポラリー雇用者(有期雇用者)の割合(2003年)
35.0
30.6
34.5
30.0
30.0
27.9
25.0
26.0
23.3
25.0
22.3
21.0
20.0
20.0
19.6 18.9
16.4
15.8
15.0
15.0
14.1 13.2
12.9 12.0
11.3
10.0
7.7
9.6 9.5 9.4
8.6
7.2
5.8
3.2
ルク セ ン ブ ルク
イギ リ ス
オー スト リ ア
ベ ルギ ー
ノ ル ウ ェー
イタ リ ア
デ ン マー ク
ドイ ツ
フラ ン ス
カ ナダ
EU
日本
オ ラ ンダ
ス ウ ェー デ ン
フ ィンラ ンド
ス ペイ ン
韓国
フ ィンラ ンド
イタ リ ア
フラ ン ス
ア メリ カ
ス ウ ェー デ ン
デ ン マー ク
カ ナダ
ドイ ツ
ノ ル ウ ェー
ニ ュー ジ ー ラ ン ド
イギ リ ス
日本
0.0
オー スト ラ リ ア
0.0
オ ラ ンダ
5.0
注:パートタイム労働者の定義は、主たる仕事について通常の労働
時間が週30時間未満の者。
12.7 12.4 12.4 12.2
10.0
5.0
OECD “Employment Outlook”(2005)
14.7 14.6 13.8
OECD “Labour Market Statistics” (Online Database)
注:テンポラリー雇用者とは、労働契約に期間の定めのある労働者。
日本では、1ヶ月以上又は1年未満の契約期間(更新可能)の者
及び日雇い労働者。
45
正規・非正規雇用の生涯賃金
4.雇用形態の多様化に関する現状
○ 正規雇用者と非正規雇用者の獲得賃金を比較すると、年齢を重ねるごとに大きな差の開きがみられる。
○ 男性の生涯賃金では、正規雇用と正規雇用以外では1億円以上の開きがある。
雇用形態別の生涯賃金
資料:内閣府「平成18年度版経済財政白書」
備考:
1.厚生労働省「平成17年賃金構造基本統計調査」により作成。
2.年齢階層別の賃金を各階層の中央の年齢層が代表するとみなし、その間を直線補完。
46
4.雇用形態の多様化に関する現状
業種別の非正規社員の雇用の現状と要因①
1.業界横断的な要因
•長期の景気低迷などにより、企業に対するコスト削減圧力が増加。
•製造業を中心としてビジネスサイクルが短縮化。
•コンピュータ化の進展による定型業務の増加
•個人事業主・家族従業員の減少と、チェーン形式店舗の増加 。
2.業種別の状況
製造業における従業員比率
製造業
1992
○製品のライフサイクルが短縮化し、生産量の変動
が増大。また、アジア各国の製造業との競争の激化
によりコスト削減圧力が増加。
○製造業で働く労働者(860万人)のうち1割程度が
請負事業者社員と試算されている(厚労省 H13
年)。特に、製品のライフサイクルの短い産業ほど請
負比率が高い。
1997
2002
0%
正規雇用者
家族従業員
その他雇用者
20%
40%
60%
役員等
パート・アルバイト
80%
100%
自営業者
派遣・契約社員・嘱託
○エレクトロニクス業界
製品サイクルが短いため生産変動の調整、コスト削減のため、請負などの外部人材を多く活用。
○自動車製造業
完成車メーカーでは期間工を主に採用、自動車部品メーカーでは請負の活用も存在。
○化学産業
化学プラントでは正社員が中心。フィルムの検品・梱包などの軽作業では非正規社員を活用。
47
4.雇用形態の多様化に関する現状
業種別の非正規社員の雇用の現状と要因②
卸売・小売・飲食業における従業員比率
卸売・小売・飲食業界
○単純業務が多いことや時間帯や曜日によって繁閑の
差が大きいことから、非正規社員の活用割合が従来か
ら大きい。
1992
1997
2002
0%
○小規模店舗に代わり、業務がマニュアル化している
コンビニやファミリーレストランなどのチェーン企
業の割合が増加。
○コンピュータ化の進展により、レジ・仕入れなどの
業務が簡略化され、パートなどが担当できる業務が
増加。
金融・保険業界
○IT化による定型的な業務割合の増加や、業務の繁閑
の調整、コスト削減圧力の増大により、特に派遣社員
の活用が増加傾向。
20%
正規雇用者
家族従業員
その他雇用者
40%
60%
役員等
パート・アルバイト
80%
100%
自営業者
派遣・契約社員・嘱託
金融業界における従業員比率
1992
1997
2002
0%
正規雇用者
家族従業員
その他雇用者
20%
40%
60%
役員等
パート・アルバイト
80%
100%
自営業者
派遣・契約社員・嘱託
48
4.雇用形態の多様化に関する現状
製品のライフサイクルの短縮化
○ 電子情報機器などの製品は、急速な技術革新によって製品ライフサイクルの短縮化が進展する中で、価格競争力
のみならず、市場投入スピード、さらには、生産規模拡大・縮小の柔軟性(生産フレキシビリティ)が競争力確保の鍵。
○ このため、ライフサイクルの短い製品ほど、生産フレキシビリティの確保のため、請負事業者の活用比率が高い。
ヒット商品のライフサイクルの長さ
製品のライフサイクル別の請負活用比率
0-5%未満
0%
20%
40%
60%
80%
1.6
1970年代以前
27.7
59.4
9.8
12.4
29.6
34.1
34.1
31.9
1年程度
46.5
50.0
35.7
14.3
半年程度
1980年代
20%以上
71.4
7.1
21.4
数ヶ月
6.3 5.1
5-20%未満
100%
1.7
1990年代 4.8
2000年代
16.4
18.9
1年未満
19.6
32.9
1~2年未満
32.5
30.0
50.0
20.0
2年程度
26.8
23.1
2~3年未満
19.6
3~5年未満
5.6
3年程度
27.2
4年程度
28.6
5年以上
29.9
18.2
54.6
28.6
42.9
26.2
43.9
5年超
0%
資料:(社)中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」(2004年11月)
中小企業白書(2005年)に掲載されたもの。
(注) 1. ヒット商品の定義は、自社にとって売れ筋商品のことをヒット商品としている。
2. ここでは、かつてヒットしていたが、現在は売れなくなった商品を集計している。
20%
40%
60%
80%
資料出所 電機総研調査(2004年)
1.事業所の人員総数に占める請負労働者の比率を、当該事業場の
主要製品のライフサイクル別に集計したもの。
100%
49
4.雇用形態の多様化に関する現状
製造業の請負労働者数
○製造部門では、約860万人(2003年 工業統計)が雇用されているが、そのうち約1割に
当たる85万人が請負労働者と試算されている(厚生労働省推計 2003年)。
製造部門で働く請負労働者の事業所規模別の在籍数
製造部門で働く請負労働者の業種別の在籍数
製造部門で働く請負労働者の事業所規模別の在籍数
製造部門で働く請負労働者の業種別の在籍数
30~99人
17%
500人以上
33%
14万人
11万人
消費関連製造
業
12%
28万人
機械関連製造
業
60%
44万人
51万人
24万人
素材関連製造
業
28%
100~499人
50%
製造部門で働く請負労働者の男女比率
製造部門で働く請負労働者の男女比率
女性
31%
27万人
60万人
男性
69%
資料出所 厚生労働省「派遣労働者
実態調査」(2004年)
50
製造業における請負活用の動機とメリット・デメリット
30.0
70
20
労 働 災 害 が増 え た
現 場 の カ イ ゼ ンが不 活 発 に
機 密 事 項 漏 洩 の懸 念 が増 え た
き
く
る
が
る
請 負 労 働 者 の仕 事 の引 継 ぎ が困
難 に
仕 事 の連 携 や チ ー ム ワ ー ク が困
難 に
請 負 労 働 者 の労 務 管 理 に か か る
負 担 増 大
製 品 の質 が低 下
請 負 労 働 者 の業 務 管 理 に か か
負 担 増 大
請 負 労 働 者 の 欠 勤 ・離 職 対 応
増 え た
請 負 労 働 者 の教 育 訓 練 に か か
負 担 増 大
ノ ウ ハ ウ の 蓄 積 ・伝 承 が 難 し
な った
新 人 正 社 員 を 増 や す こと が で
な い
0
マ イ ナ ス の影 響 は特 に な い
0.0
業 務 量 の 一 時 的 ・季 節 的 な 増 減
に対 処 す る た め
正 社 員 増 や さ ず に要 員 を 確 保 す
るた め
部 門 の人 件 費 を 抑 制 す る た め
連 続 操 業 に対 応 す る た め
正 社 員 を よ り 高 度 な 仕 事 に集 中
さ せる た め
正 社 員 の欠 員 を 一 時 的 に補 う た
め
縮 小 ・廃 止 予 定 の 業 務 の 要 員 を
確保 するた め
新 規 事 業 に必 要 な 即 戦 力 を 補 う
た め
勤 怠 管 理 や社 会 保 険 手 続 き の手
間 を省 く た め
教育訓練費 用 を削減 する た め
自 社 に 不 足 す る 知 識 ・技 能 を 持
つ人 材 を 活 用 す る た め
プ ラ ス の影 響 は特 に な い
突 発 的 な 業 務 量 の増 大 に対 応 で
きた
需 要 変 動 に際 し正 社 員 の雇 用 が
維 持 できた
深 夜 ・休 日 稼 動 で 生 産 性 向 上
正 社 員 が高 度 な 業 務 に専 念 で き
る
正 社 員 の現 場 管 理 能 力 が向 上
正 社 員 の 労 働 時 間 が 短 く な った
正 社 員 の や る 気 が向 上
製 品 ・サ ー ビ ス の 質 が 向 上
自 社 で で き な い業 務 が で き る よ
う に な った
外 部 か ら 新 た な ノ ウ ハウ が 導 入
でき た
5
10
15
40
10
20.0
30
10.0
0
20
40.0
25
50
30
50.0
60
70.0
40
60.0
35
80
請負労働者の活用による職場へのマイナスの影響
90
請負労働者の活用による職場へのプラスの影響
請負労働者を活用する理由
4.雇用形態の多様化に関する現状
○製造業において請負などの非正規雇用を活用する主な理由は、
①業務量の一時的・季節滴増減への対応、
②人件費削減
③正社員を増やさずに要員を確保する
などが挙げられている。
○請負を活用することによるプラスの影響は「突発的な業務量の増大に対応できた」という点が評価されている。
○一方、マイナスの影響としては、「新人正社員を増やすことができない」「ノウハウの蓄積、伝承が難しくなった」な
どが挙げられている。
資料出所:電機連合総合研究センター「電機産業における業務請負業の活用実態に関する調査」(2003)
電機産業の労働組合の団体である「電機連合」、参加の工場事業所を対象に行った調査。
51
4.雇用形態の多様化に関する現状
パートタイム労働者・派遣労働者の現在の就労形態に就いた理由
○ パートタイム労働者・派遣労働者が現在の就労形態に就いた理由を見ると、「正社員として働ける会社がなかった
から」とする者が年々増加している。
○ このように、働き方の多様化は、近年では必ずしも労働者が望んでいるものばかりではなく、とりわけ派遣労働者に
おいては、正社員として働く場がないためやむを得ず選択している者が増加している。
現在の就労形態についた理由
派遣労働者
正社員として働ける会社がなかったから
自分の都合のよい時間に働けるから
1987年
勤務時間や労働日数が少ないから
1994年
1999年
専門的な資格・技能が生かせるから
2003年
家計の補助・学費等を得たいから
パートタイム労働者
正社員として働ける会社がなかったから
自分の都合のよい時間に働けるから
勤務時間や労働日数が少ないから
専門的な資格・技能が生かせるから
家計の補助・学費等を得たいから
0
10
20
30
40
50
60
70
(%)
資料:厚生労働省大臣官房統計情報部「就業形態の多様化に関する総合実態調査報告」
(注1)複数回答であり、主な回答を抽出したもの
(注2)1999(平成11)年のパートタイム労働者は「短時間のパート」を除いた「その他のパート」を採用
52
非正規社員の昇進・昇格制度、正社員への転換制度
4.雇用形態の多様化に関する現状
○ 昇進・昇格の制度については、事業所は、正社員に対しては約6割近くの企業が整備しているが、契約社員に対し
ては2割程度で、臨時雇用者やパートタイム労働者については、それ以下の割合でしかない。
○ 事業所における非正規社員から正規社員への転換制度の有無については、契約社員では半数以上が正社員へ
の転換制度がある一方、パートタイマーでは3割強である。
正社員・非正社員の昇進・昇格の機会
正社員への転換制度の有無
70 (%)
60
58.3
50
40
30
22
20
14.5
14.3
10
嘱 託 社 員
パー トタ イ ム
労 働 者
臨 時 雇 用 者
契 約 社 員
正 社 員
0
3.8
資料:1.「平成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査」より。
2.調査対象は常用労働者を5人以上雇用する民営事業所。
資料:厚生労働省「平成18年度労働経済白書」
備考:
1.労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意
識に関する調査」より作成。
2.従業員数30人以上の企業約10,000 社に対するアンケート調査。
3. 該当無し、無回答を除く事業所数に対する割合。
53
4.雇用形態の多様化に関する現状
機会均等を前提とした企業における人材育成・教育の実践例
○ 小売サービスであるA社では、正規職員・非正規職員問わず、職員にやりがいと成長する機会や場を提供する
ことで、共通の人材育成・教育を実施。特に、店舗での中核的存在である「係マネージャー教育」を強化(マネー
ジャー1人当たり3~4回の研修を実施)
○ また、専門技能の習得のために「スキル研修」や次世代リーダーを育成するための「経営塾」等も実施。
グレードを10ランクに区分
職員への満足度調査
(店舗運営本部の場合)
G1:新入社員/パート社員、
G4:部門バイヤー
G2:正社員担当者/リーダー格のパート社員
G5~7:店長
G3:係マネージャー、パートマネージャー
G8:地区マネージャー
G9~10:運営部長、バイスプレジデント
機会均等を前提とした人材育成・教育の実施により、仕
事の「チームワーク」、「参画」、「コミュニケーション」がは
かれるようになったとの企業側の評価。
正規社員・非正規社員問わず機会均等に人材育成・教育を実践
研修カリキュラム
(例)
地区マネージャー
店長
本部ディレクター
チーフバイザー
グループマネージャー
部門マネージャー
スーパーバイザー
バイヤー
スタッフ
係マネージャー
スタッフ
アシスタントバイヤー
階層別研修
ウォルトンインスティテュート
(幹部向け研修)
新任グループマネージャー研修
地区シニアディレクター研修
新任店長研修
リーダーシップ研修2
リーダーシップ研修1
職員への専門技能研修の風景
スキルアップ研修 応用コース
ライセンスⅡ合格者研修
ライセンスⅠ合格者研修
正社員/パート社員
新入社員研修/1年目研修/2年目研修
(資料)A社ホームページより
(※)他にも、職務別研修等きめ細かなメニュー
鮮魚スキル研修
自転車スキル研修
54
就労形態の多様化①:短時間正社員制度導入の状況
4.雇用形態の多様化に関する現状
○ ライフスタイル等に応じた多様な働き方(ワークライフバランス)を実現するための手段として、短時間正社員制度の
普及が期待されている。
○ 短時間正社員制度について、労働者は「利用したい」(19.2%)と「将来利用する可能性あり」(35.4%)と回答してい
る。他方、実際に短時間正社員制度の導入・導入希望に至っている企業は少数。
短時間正社員制度の今後の検討の可能性(事業所)
今後検討の可能性がある
短時間正社員制度の利用希望
制度が既にある
検討中
今後検討の可能性がない
無回答
無回答
2.8%
利用したい
19.2%
わからない
25.2%
利用したくない
17.6%
既に正社員であって育児、介護を
行う者を対象
27.2
既に正社員であって、育児、介護
以外の理由で短時間正社員を希望
4.32.9
する者を対象
3.6
21.3
20.0
42.6
5.3
67.1
5.8
将来利用する可能性あり
パート等の非正社員で短時間正社
35.4%
2.8
員への転換を希望する者を対象 1.6
17.5
71.5
6.6
2.32.9
17.6
70.0
7.2
新卒・中途採用者を対象
0%
資料:(財)21世紀職業財団「多様な就労のあり方に関する調査(2006年)
調査対象:
1.事業所調査: 従業員規模30人以上の全国5,000事業所
2.労働者調査:調査票を送付した事業所に勤務する正社員及びパート労働者
20%
40%
60%
80%
100%
55
4.雇用形態の多様化に関する現状
就労形態の多様化②:在宅就業(テレワーク)の状況
○ 我が国のテレワーク労働比率は、約1割(約674万人)である。これは、米国の割合の半分以下であり、EU平均と
比較しても低い水準。
○ 原因として、仕事とプライベートとの時間の切り分けが難しいことや、企業側の管理や対応が難しい実態がある。
我が国におけるテレワーク人口(推計)
( 万人)
800
700
合計
600
比率
500
( %)
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
674万人
1 0 .4%
408万人
400
300
200
6 .1 %
100
0
平 成 14年
平 成 17年
(資料)「2005年(平成17年)時点のテレワーク人口推計(実態調査)結果」(国土交通省)
諸外国における就業者に占めるテレワーク人口比率
(%)
0
30
25
24.6
21.8
18.7
20
17.3 16.6
15
13
10.4
9.5
10
6.3
日本
米国
EU平均
フランス
イタリア
ドイツ
イギリス
スウェーデン
0
フィンランド
5
(資料)Statistical Indicators Benchmarking the Information Society
- Statistics & indicators – (2005)、但し、日本は、国土交通省推計値を使用。
適した職種がない
管理が難しい
勤務者の評価がし難い
コミュニケーション不足
会社の規模が小さいのでできない
従業員からの要望・提案がない
テレワークのメリットがわからない
取引先や親会社との関係からできない
費用がかかる
経営者の理解が得られない
実施したいが進め方がわからない
その他
10
20
30
40
50
(%)
60 70
61.8
28.7
22.5
21.4
20
43
11.2
10.8
9
6.9
5
5.8
(資料)総務省「テレワーク人口等に関する調査」(平成14年)
56
パートの社会保険制度(年金・医療)の概要
4.雇用形態の多様化に関する現状
○社会保障制度については、職業形態や家族構成などによって、以下の3つに分類されている。とりわけ、
パートに関しては、夫の被保険者区分、労働時間、年収により所属する区分が異なる。
第1号被保険者・・・「自営業者」、「自営業の夫を持つ専業主婦」、 「パート(週労働時間30時間未満、かつ年収130万
円以上)」 、「(独身の)無職」、「学生」
第2号被保険者・・・「会社員」、「公務員」、「パート(週労働時間30時間以上)]
第3号被保険者・・・「第2号被保険者を夫に持つ専業主婦」、「第2号被保険者を夫に持つパート(週労働30時間未満、か
つ年収130万円未満)」
○また、被保険者区分により、加入する保険、保険料、年金の支給額が異なる。
第1号被保険者・・・定額の保険料、給付は基礎年金のみ(自営業が大半であり、所得把握が困難なため)
第2号被保険者・・・収入に比例した保険料負担、支払いに比例した年金給付(保険料の半分が企業負担)
保険料の半分が企業負担
第3号被保険者・・・保険料を負担しないにも関わらず、基礎年金の受給、医療の現物給付が可能(これがいわゆる「第3
号被保険者問題」であり、共働き世帯や、単身世帯との不公平が指摘とされている。)
加入する保険
保険料負担
年金受取
(医 療 は 全 て 同 様 の 現 物 給
付)
国民年金
(国 民 健 康 保 険 )
年 金 : 定 額 ( 月 約 1 .4 万 円 )
医 療 :市 町 村 に よ り 異 な る
定額の基礎年金
( 月 約 6 .6 万 円 )
会社員
厚生年金
(健 康 保 険 )
公務員
共済年金
(共 済 保 険 )
収入に料率を掛けた額
厚 生 年 金 の 保 険 料 率 : 1 4 .6 4 2 % 、
政 府 管 掌 健 保 の 保 険 料 率 : 8 .2 %
共 に 労 使 折 半 (企 業 負 担 発 生 )
基 礎 年 金 (6.6 万 円 )
+ 報 酬 比 例 (上 乗 せ 部 分 )
夫と同様
なし
基礎年金
( 月 約 6 .6 万 円 )
第 1号 被 保 険 者
第 2号 被 保 険 者
第 3号 被 保 険 者
(被 扶 養 者 )
4.雇用形態の多様化に関する現状
パートの社会保険への適用区分(現行制度)
○ パートの社会保険については、前述の通り、夫の被保険者区分、自身の労働時間、年収などによって、
自身が加入する区分が異なる。
○ 労働時間は「正社員の労働時間の3/4(約30時間/週)」、年収は「130万円」が壁となり、労働時間
が3/4以下、かつ収入が130万円未満(下図の青塗部分)になると、第3号被保険者となり保険料負
担なしに将来年金給付が受けられる。
○ この壁の存在により発生する優遇制度の存在が、女性の労働を阻害(=労働を縮小させるインセン
ティブ)しているとの指摘がある。
(※)別途税制において「103万円」の壁が存在し、年収が103万円以下であれば、夫の配偶者控除(=38万円)が受けることができ、
かつ自身の所得税も発生しなくなる。
左記以外(フリーターなど)の場合
夫が第2号被保険者の場合
130
万円
130万円の壁
国民年金
第3号
被保険者
+
健康保険
被扶養者
年収
厚生年金
(共済年金)
第2号
被保険者
+
健康保険
本人加入
国民年金
第1号
被保険者
+
国民健康保険
3/4(約週30時間)の壁
国民年金
第1号
被保険者
+
国民健康保険
3/4(約週30時間)の壁
年収
厚生年金
(共済年金)
第2号
被保険者
+
健康保険
本人加入
4分の3
労働時間・日数
4分の3
労働時間・日数
(約30時間)
(通常の労働者比)
(約30時間)
(通常の労働者比)
58
4.雇用形態の多様化に関する現状
社会保険のパートへの適用拡大(制度改正の議論)
○ 現在正社員の3/4の労働時間(約30時間)以上の者が厚生年金・健康保険に加入することになって
いるが、これを拡大し、加入者を増加させようという動きがみられる。(これはいわゆる「第3号被保険
者問題」の中でも議論されており、パートへの適用拡大により、第3号被保険者の枠を縮小させる、とい
う位置づけとなっている。)
○ 厚生年金のパート労働者への適用拡大は、04年年金改正の際に議論されたものの導入されず、附則
において09年度までの実施を検討することとされている。04年改正の際には、これを週20時間以上労
働の者にまで適用拡大することが、案の一つとして検討された。
○ 仮に適用拡大を行った場合、300万人強のパート・フリーターが新たに厚生年金・健康保険の適用対
象へ(2004年時点の試算)。
[夫がサラリーマンのパート]
[その他(フリーター)]
[
現行]
パートの年収
国民年金の被保険者
130万円
厚生年金の
被保険者
国民年金の被保険者
厚生年金の
被保険者
第3号被保険者
30時間
(正社員の労働時間の3/4)
30時間
(正社員の労働時間の3/4)
週労働時間20時間以上の者に適用拡大
300万人強が新たに適用
312万人が新たに適用
(2004年時点の試算)
[
改正後]
国民年金の被保険者
130万円
厚生年金の被保険者
国民年金の被保険者
厚生年金の被保険者
第3号被保険者
20時間
30時間
20時間
30時間
59
社会保険の短時間労働者への適用拡大のメリット・デメリット
4.雇用形態の多様化に関する現状
社会保険の短時間労働者への適用を拡大することについては、様々な課題とメリットが指摘されている。ただし、実際
の影響の程度は、具体的な制度設計に左右されると考えられる。
課
課 題
題
○企業にとっては、保険料の事業主負担が増加。特にパート比率が高い小売、飲食業等。
※厚生年金の適用拡大は、2000~3000億円程度の負担増 (04年改正時の試算)。
※04年改正時は、経団連は「企業経営の圧迫、適用外事業所で働くフルタイム従業員への適用等の課題を解消した上で、影響を最小限
にとどめる適用のあり方やそのための期間を慎重に検討すべき」という立場。また、日商や日本チェーンストア協会等は反対の立場。
○適用拡大による負担・給付のバランス変化が保険料水準(将来的に18.3%)全体に与える影響
○これまで第3号被保険者であったパートにとっては、保険料負担が増加
※月収8万円として、5~7千円の保険料負担[厚生年金の自己負担分のみ]
○労働条件が低下する可能性(週20時間未満労働への抑制、賃金切り下げ等)
○パート・フリーターの雇用機会が減少
○企業の負担逃れが増加する可能性
※ ①別会社を設立し形式的に複数の会社との契約にする、②適用対象外である2ヶ月未満の雇用の更新を繰り返す、③個人事業主と
の請負契約にする 等
メリット
メリット
○パート・フリーターの就労意欲の向上、正規労働者化を通じ、労働供給の増加や生産性向上に繋がる可能性
※週20時間未満へ更に就労調整を行う可能性もあり、労働供給が必ずしも増加するとは限らない
○パート・フリーターの将来の年金給付水準が向上(報酬比例部分が加算されるため)。
※サラリーマンの妻が月収8万円で20年間パートをした場合、受給が約8600円増加(累計で260万円程度)
○年金制度の支え手が増加するため、年金財政の改善、国民年金の未納問題の改善に繋がる可能性
60
パートの就労調整の状況と理由(アンケート結果)
4.雇用形態の多様化に関する現状
○ 現在就労調整をしている者の割合は、主婦パートで高く、とりわけ第3号被保険者になることができる、「夫が
第2号(夫の職業がサラリーマン、公務員など)の者」については4割を越えている。
○ 理由としては、配偶者控除や所得税など税制による103万円の壁、厚生年金や健康保険などによる130万円
の壁(労働時間は正社員の3/4未満で適用対象外)によるものが大半。
※配偶者控除の適用要件(103万円)のように、制度上は「壁」ではないが、「壁」と意識されているものを含む。
問.あなたは就労調整をしていますか?
問.就労調整をしている理由は?
100%
100%
90%
90%
80%
80%
70%
70%
59.1%
90.1%
50%
50%
40%
40%
30%
30%
40.9%
10%
9.9%
0%
主婦パート(夫非2号)
調整している 調整していない
社会保障
の壁
23.68%
2.99%
10.62%
39.47%
1.49%
22.39%
27.90%
税制
の壁
5.26%
5.26%
25.37%
26.32%
主婦パート(夫非2号)
独身パート
17.28%
0%
26.0%
主婦パート(夫2号)
20.90%
20.90%
20%
年収調整
あり
10%
26.67%
5.97%
60%
74.0%
60%
20%
1.73%
7.90%
0.49%
7.41%
独身パート
主婦パート(夫2号)
所得税が課税されるから
夫の会社の配偶者手当てがもらえなくなるから
厚生年金に加入しなければならなくなるから
勤め先による指示に従って調整している
配偶者(特別)控除がなくなるから
夫の健康保険の被扶養者から外れるから
雇用保険に加入しなければならなくなるから
その他の理由
(出所)経済産業省委託調査(2006年)
経済産業省では、今年11月、短時間労働者約1,900名、専業主婦約600名に対してアンケートを実施。社会保険に対する考え方や、
厚生年金等の加入要件が適用拡大された場合にとる行動などについて、回答を得た。またこれらの結果に基づき簡単な分析を実施。
※調査対象が日本全体の縮図になるよう、年齢・地域を全国構成比にあわせてサンプルを選定。その結果、年収、労働時間についても概ね全国構成と合致。
61
社会保険を適用拡大した場合(※)の労働者の就業意欲の変化4.雇用形態の多様化に関する現状
1.労働時間をどのように変化させたいと考えるか
3.就業形態をどのように変更させたいと考えるか
制度変更により、労働時間を維持・増加させたいと考える人が、
労働時間を減らしたいと回答した人よりも多数。
○ 制度変更により、就業を希望する者が増加し、それに
伴い、専業主婦等を選ぶ者が減少。(就労者数が約3
0%増加)
仕事をやめる,
3.2%
正社員を目指す,
13.1%
仕事をやめる,
2.0%
正社員を目指
す, 9.3%
○ また、現在パート就業者、及び専業主婦等である人の
中には、制度変更を機に正社員を希望する者が存在。
現状の労働時間
から減少, 11.2%
現状の労働時
間から増加,
15.9%
1,600
(万人)
労働者数の増加 専業主婦等の減少
現状の労働時間
から増加, 26.5%
現状の労働時
間を維持, 72.8%
現状の労働時間
を維持, 46.0%
1,400
1,200
205
現在週に20~30時間労働の人
現在週に20時間未満労働の人
1,000
800
2.労働供給の変化
1,402
就業意欲の観点からみれば、制度変更により、パート就労
者の総労働時間は11.7%増加し、労働供給の増加に寄与。
600
400
120
正社員数
の増加
1,112
992
907
100
200
80
60
40
100
111.7
0
パート就労者 専業主婦等
現状
現状
20
パート就労者 専業主婦等
変更後
変更後
パート就業者
正社員 専業主婦等
0
現在
制度変更後
(出所)経済産業省委託調査(2006年)
(※)アンケート結果を用い、厚生年金等の加入要件が現在の「正社員の労働時間の3/4以上」→「週20時間以上」に適用拡大された
場合。(ただし、パート労働者の意向を基に機械的に計算したものであり、現在正社員である労働者の行動変化、労働需要側の行動変
化は織り込んでいない)。
62
4.雇用形態の多様化に関する現状
第三号被保険者制度に対する評価
○ 第3号被保険者制度については、夫が第2号のパート(=第3号被保険者制度の恩恵を受ける人)については、
「現行制度の維持」を希望する者が多いが、その他の者については、「支払うべき」と回答する者が多い。
○ また、全体的に、保険料は支払うべきと回答した者の割合は「医療」よりも「年金」で多い。つまり、医療の方が夫
の扶養を受けることに対し肯定的に捉える意見が多い。
問.第3号被保険者制度についてどう思いますか?
100%
90%
1 1 .9 %
1 4 .3 %
2 .1 %
1 .5 %
80%
0 .5 %
2 2 .7 %
1 9 .2 %
3 4 .1 %
3 5 .9 %
8 .4 %
8 .4 %
1 9 .0 %
1 6 .8 %
主 婦 パ ー ト ( 夫 非 2 号 )
独 身 パ ー ト
70%
60%
1 9 .0 %
5 3 .7 %
50%
現状維持
40%
30%
1 4 .3 %
20%
5 .0 %
10%
1 3 .0 %
0%
主 婦 パ ー ト ( 夫 2 号 )
わ
そ
保
年
年
健
か
の
険
金
金
康
ら
他
料
も
に
保
な い
を
健
つ
険
支
康
い
に
払
保
て
つ
う
険
は
い
必
も
支
て
要
両
払
は
は
方
う
支
な
保
必
払
く
険
要
う
、
料
は
必
現
を
な
要
行
支
い
は
の
払
が
な
制
う
、
い
度
べ
健
が
を 存 続 さ せ る べ き
き
康 保 険 に つ い て は 保 険 料 を 支 払 う べ き
、 年 金 は 保 険 料 を 支 払 う べ き
(出所)経済産業省委託調査(2006年)
63
4.雇用形態の多様化に関する現状
パート労働者への厚生年金の適用拡大に関するその他アンケート結果
○ 内閣府の世論調査では、「適用した方がよい」とする人が58%
を占める(下図)。
○ 他方、チェーンストア協会の調査によれば、社会保険のパート
への適用拡大に対しては、慎重な意見、反対の意見が大勢を占
めている(右図)。
○ また、適用拡大に伴う被雇用者の保険料負担の増大に対して
は、増大しても勤務を続けるとする者が約25%、何らかの就業
調整や退職を検討するとする者が約28%と拮抗している。
チェーンストア協会アンケート調査(対象はパートのみ)
加入条件の拡大について、どう考えるか
賛成である, 17.5%
中身を見てから考える・よく分
からない, 51.0%
反対である, 24.7%
内閣府世論調査(対象は20歳以上の男女)
パートへの厚生年金の適用拡大についての意見
わからない,
12.1
新たにパートタ
イマー等と企
業の両方に保
険料負担が生
じるので、適用
しない方がよ
い, 11.4
適用拡大に対してどのように対応するか
その他, 1.4
保険料を支払わなくて済むよ
うな短い時間・低収入での範
囲で働く, 10.9%
月収の10%を支払ってでも、
現在の勤めを続ける, 24.5%
月収と保険料の支払いのバラ
ンスを考え、割りにあわなけれ
ばパートをやめる, 16.8%
新たに企業に
保険料負担が
生じるので、適
用しない方が
よい, 4.9
新たにパートタ
イマー等に保
険料負担が生
じるので、適用
しない方がよ
い, 12.2
(出所)内閣府「公的年金制度に関する世論調査」(2003年2月)
パートタイマー
等にも労働者
としての老後
の所得保障が
行われることと
なるので、適
用した方がよ
い, 58.0
家族などに相談して決める,
17.1%
今のところよくわからない,
21.5%
出所:日本チェーンストア協会緊急アンケート結果より抜粋(平成18年
11月実施、回答者1,945名)
64
5.人材育成に関する現状
5.人材育成に関する現状
企業における人材育成について
○ 90年代の厳しい経済環境の下、企業の教育訓練費は大幅に削減され、また、現場の人員削減等により、従来型
の計画的OJTの実施率は低下。
○直近では、景気回復を受け、企業における教育訓練費の割合は回復傾向にある。
計画的OJTの実施率の変化
労働費用(現金給与総額を含む)に占める教育訓練費の割合
(%)
0.40
0.38%
0.30
74.0%
0.36%
0.34%
0.33
0.31%
0.27%
0.29%
50%
48.9%
0.28%
41.6%
0.20
※
本社の常用労働者が30人以上の民営企業のうちから、
産業、規模別に層化して抽出した約5,300企業の調査結果。
0.10
1983
1985
1988
1991
1995
1998
2002
2006
0%
1993年度
2002年度
2005年度
出典:厚生労働省「賃金労働時間制度等総合調査」(2006年)
(1983年は同省「労働者福祉施設制度等調査」、2002年は同省「就
労条件総合調査」)
66
5.人材育成に関する現状
企業における教育訓練の実施状況
○ 企業の教育訓練の実施状況において、非正規社員への計画的なOJTの実施は正社員の約半分の割合。
○ OFF-JTの実施については、非正規社員に実施している割合は正社員の約半分以下。
企業の教育訓練の実施状況
正社員
契約社員
嘱託社員
臨時的雇用者
パートタイマー
68.5
37.9
計画的なOJT
25.8
16.8
37.7
87.0
40.5
Off-JT
31.6
13.0
30.9
0
20
40
60
80
100
(%)
資料:労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」より作成。
備考:
1.従業員数30人以上の企業約10,000 社に対するアンケート調査。
2.「Off-JT」とは、「入社年次別の研修」、「職種・職務別の研修」、「役職別研修」、「語学研修」、「OA・コンピュータ
研修」、「資格取得のための研修」、「今後のキャリアデザインに関する研修」、「法令遵守、企業倫理研修」、 「その
他」のいずれかを「実施している」と回答した事業所の割合。
67
5.人材育成に関する現状
企業が考える能力開発責任主体の現状と今後
○ 企業が考える能力開発の責任主体は、これまでは「企業の責任」であると考える企業の割合が高いものの、今後に
ついては「個人の責任」とする割合の方が高くなっている。
能力開発の責任主体の方針
1.9
これまで
11.7
今後
59.2
8.7
0%
企業の責任
従業員個人の責任
26.2
40.8
20%
3.9 1.9
44.7
40%
企業の責任に近い
無回答
60%
1.0
80%
100%
従業員個人の責任に近い
資料:(独)労働政策研究・研修機構「教育訓練とキャリア相談に関する調査」(2004年)
備考:調査対象企業は、ビジネス・レーバー・モニターに登録した民間企業、単祖、事業主団体、産業労働組合。
68
5.人材育成に関する現状
個人・企業の人材育成での問題点
○ 個人が職業訓練を受ける場合の問題点としては、「忙しくて自己啓発の余裕がない」(42.1%)、「費用がかかりすぎ
る」(31.7%)などといった時間的・金銭的な制約が高い割合となっている。
○ 一方、「適当な教育訓練機関がみつからない」、「セミナー等の情報が得にくい」(17.5%)、「自己啓発の結果が社内
で評価されない」(16.9)といった理由もそれぞれ20%近く回答があり、多様なニーズに応えられる職業教育訓練機関
の不足や、情報提供面での問題、企業内における能力評価などの問題が存在。
○ 企業の立場からは、「指導している人材が不足している」(47.4%)、「人材育成を行う時間がない」(46.6%)、「人材を
育成しても辞めてしまう」(34.1%)、などの回答の割合が高くなっている。
個人が職業訓練を受ける上での問題点(複数回答)
企業が人材育成を行う上での問題点(複数回答)
47.4
指導する人材が不足している
42.1
忙しくて自己啓発の余裕がない
46.6
人材育成を行う時間がない
31.7
費用がかかりすぎる
休暇所得・早退等が会社の都合でできない
19.7
コース受講や資格所得の効果が定かではない
19.4
6.6
人材育成の方法がわからない
16.9
自己啓発の結果が社内で評価されない
16.4
鍛えがいのある人材が集まらない
17.5
セミナー等の情報が得にくい
21.3
育成を行うための金銭的余裕がない
18
適当な教育訓練機関がみつからない
34.1
人材を育成しても辞めてしまう
4.3
技術革新等が頻繁なため人材育成が無駄になる
11.9
やるべきことがわからない
2.3
その他
11.5
特に問題はない
11.2
特に問題はない
1.7
その他
0
0
5
10
15
20
25
30
35
40
5
10
15
20
25
30
35
40
45
45
(%)
出典:厚生労働省「平成16年度能力開発基本調査」から作成
50
(%)
69
6.女性、若者、高齢者の労働参加
6.女性、若者、高齢者の労働参加
労働力率の国際比較
○ 年齢階級別で比較した労働力人口比率は、男性では、我が国や欧米諸外国共に、概ね台形を示しているのに対
し、女性では我が国が子育て期の20歳代後半から30代前半で落ち込むM字カーブを示している。
○ 欧米諸外国はM字カーブはほとんど見られない。
(%)
男性
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
日本
ドイツ
スウェーデン
米国
フランス
オランダ
イギリス
イタリア
10.0
0.0
15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳
(%)
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
女性
日本
米国
ドイツ
フランス
スウェーデン オランダ
イギリス
イタリア
15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳
(資料) (独)労働研究・研修機構 国際データブック2006、ILO「LABOSTA」、総務省統計局「労働力調査」
(注) 1)米国、イギリス、スウェーデンの「15~19歳」の欄は「16~19歳」である。 2)各国とも2003年のデータである。
71
6.女性、若者、高齢者の労働参加
我が国の女性の労働参加
○ 我が国の女性就業者の割合は、1975年を底に年々増加傾向にあり、女性の社会進出が徐々に進展している。
○ 女性の就業意識も、「子どもができても、就業を続けたい」と希望する女性が増加している。
我が国の就業者に占める女性の割合の推移
女性の就業に関する意識の推移
7000
42
6000
41
5000
40
4000
39
3000
38
2000
37
女性就業者
男性就業者
(資料)総務省「労働力調査」
05
03
01
99
97
95
93
91
89
87
85
83
81
79
77
75
73
71
69
67
65
63
35
61
0
59
36
57
1987年
子どもができたら職業を辞め、
大きくなったら再び職業を持つ
方がいい
16.1
3.4
51.9
21.5
7
2.4
1995年
32.5
39.8
18.2
4.1
2.9
2.9 2
女性割合
1000
55
子どもができてもずっと
職業を続ける方がいい。
結婚する又は子どもが
女性は職業を持
できるまでは職業を
たない方がいい。
持つ方がいい。
2004年
41.9
37
14.5
1.7
0%
20%
40%
60%
80%
100%
わからない その他
(資料):2004年は、内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」
1995年は、総理府「男女共同参画に関する世論調査」
1987年は総務府「女性に関する世論調査」
72
6.女性、若者、高齢者の労働参加
我が国の女性の労働参加(企業規模別)
○ 一方、企業の従業員規模別に見た場合では、企業の規模が小さくなるにつれて、女性の採用比率や管理
職の 登用度合いが高くなる傾向がある。
女性採用比率(企業従業員規模別)
(%)
65
64.1
5-29人
30-299人
300人 以 上
規模計
60
55
50
45
51.7
55.3
49.3
46.4
45.5
42.3
46.3
40
35
91
92 93
94
95
96
97 98
99
00
01 02
03
100
従業員規模
従業員規模標準偏差(バラツキ)
標準偏差(バラツキ)
1~5人
26.31
1~5人
26.31
6~20人
22.76
6~20人
22.76
21~50人
17.59
21~50人
17.59
51~100人
12.41
101~300人
11.08
51~100人
12.41
301人以上
9.67
101~300人
11.08
301人以上
9.67
90
管理職に占める女性の割合(%)
女性採用比率(企業従業員規模別)
管理職に占める女性の割合(企業従業員規模別)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0
資料:経済産業省調査「女性人材活用と企業の経営戦略の変化に
関する調査」(2004年)
100
200
300
400
500
600
従業員数(人)
700
800
900
1000
資料:中小企業庁「中小企業における人材活用及び育児環境に対する実態調査」(2005年12月)
73
6.女性、若者、高齢者の労働参加
子育て等による離職後の女性の再就職の実態①
○ 高学歴の女性ほど、子育て後の再就業が進んでいない。
○ 我が国は、諸外国と比較しても、高学歴女性の労働力率は低水準。
○ また、高学歴女性の潜在労働力を付加価値換算すると、米国並みの就業が達成された場合で、約1.7兆円の付加
価値創出が期待されるとの試算もある。
潜在労働力(大学・大学院卒女性)と付加価値額創出額
第3-3-27図 潜在労働力(大学・大学院卒女性)と付加価値創出額
女性の有業率(学歴、年齢階級別)
(%)
100
(万人)
高学歴女性ほど
再就職が困難
90
80
16
米国並み就業達成ケース
14
70
60
日本の大学・大学院卒女性の潜在労働者数
12
50
高校・旧制中卒
短大・高専卒
大学・大学院卒
40
30
10
20
約66.7万人、約3.5兆円
8
10
0
15~19歳
20~24歳
25~29歳
30~34歳
35~39歳
40~44歳
45~49歳
50~54歳
55~59歳
60~64歳
65歳以上
(資料)「「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての報告」
(平成16年7月(内閣府))
第3-3-26図 高学歴女性の労働力国際比較
高学歴女性の労働力国際比較
(%)
100
88
6
4
2
約28.7万人、約1.7兆円
86
90
79
78
0
76
80
67
70
60
50
40
30
20
10
0
スウェーデン
英国
ドイツ
米国
フランス
(備考)学歴は大学・大学院に相当。年齢は25~64歳。各国2003年時点のデータ。
(資料)OECD「Education at a glance 2005」より作成。
20~24 25~29 30~34
35~39 40~44 45~49
50~54 55~59 60~64
65~69
(歳)
(備考)1.潜在労働力(付加価値創出額)=潜在労働者(無業者のうち、就業意欲を有する大学・大学院卒
女性(人))×大卒以上年間給与}を各年齢階級分足し合わせたもの。
2.「年間給与」は、きまって支給する現金給与額に、年間賞与その他特別給与額を合わせたもの。
3.米国並み就業率達成ケースは、30~64歳の日本の大学・大学院卒女性の就業率が、米国女性の就
業率と同率になった場合で計算。
4.試算には、労働の需給バランスなどは考慮されていない。
5.各データの時点は2002年。
(資料)総務省「平成14年就業構造基本調査」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査報告」、「データブック
国際労働比較2005」から作成。
日本
74
子育て等による離職後の女性の再就職の実態②
6.女性、若者、高齢者の労働参加
○ 企業規模が小さくなるほど、女性の出産後の継続就業率が高い。
○ また、出産を機に一度正社員を辞めた女性は、中小企業では正社員として復帰している率が高い。
新卒女性と育児で一旦離職した女性正社員・職員の勤務先企業規模
過去5年間に妊娠・出産した女性正社員が出産後、復職した割合
新卒女性の勤務先企業規模
(%)
1~4人 育児で一旦離職した女性の勤務先企業規模
5~19人 60.0
20~49人 出産後、育児休業を取得してから復職した割合
50.0
1~4人 5~19人 20~49人 50~99人 100~299人 300人以上
50~99人 出産後、育児休業を取得せずに復職した割合
100~299人
300人以上
40.0
資料:総務省「就業構造基本調査」(2002年)再編加工
(注)1.2002年において1年以内に正社員・職員として就職した女性について集計。
2.ここでは、調査時点の1年前に通学していた就業女性を新卒女性としている。
3.ここでは、調査時点の1年前に育児を理由に離職し無職だった就業女性を育児で一旦離職した女性と
している。
30.0
出産を機に辞めた人の一定期間内の再雇用整備・利用状況
20.0
制度が整っており、実際に利用されている
制度は整っているが、あまり利用されていない
制度は整っていないが、柔軟に対応している
制度も柔軟な対応もない
1001-
10.0
301-1000
101-300
0.0
0-5人
6-20人
21-50人
51-100人
101-300人 301-1000人
1001人-
資料:富士通総研「中小企業の両立支援に関する企業調査」(2005年)
注1.すでに退職した女性社員も含む
2.出産後、復職した割合とは、出産後、育児休暇を取得せずに復職した割合
と出産後、育児休暇を取得して復職した割合をあわせたもの
51-100
21-50
0-20
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
資料:富士通総研「中小企業における両立支援に関する企業調査」(2005年)
70%
80%
90%
100%
75
6.女性、若者、高齢者の労働参加
女性の継続就業や再就業におけるニーズ
○ 約半数の女性が就業継続する上で子育てをしながら働ける制度や環境といった仕事と家庭の両立支援策を
必要としている。
○ また、円滑な再就職をする上で、例えば、保育施設の充実、仕事と家庭との両立に役立つ情報提供、放課後
児童クラブ等学童保育等が必要とされている。
円滑な再就職のために必要な支援策
今の会社で働き続ける上で必要なこと
6 0 .0 %
(%)
5 0 .5 % 5 1 .7 %
0 10 20 30 40 50 60 70 80
5 0 .0 %
4 1 .3 %
4 0 .2 %
4 0 .0 %
3 2 .2 %
2 5 .4 %
55.9%
再就職活動のための一時的保育
1 0 .0 %
3 .3 %
1 .4 %
1 1
1 0
不明
9
その他
相談できる同僚や先輩がいること
8
7
結婚や出産、育児で女性社員が
差別されない職場風土、環境
勤務時間が柔軟であること
6
残業があまり多くないこと
4
5 児や介護のための労働時間面で
育
の配慮
男女均等な待遇と公正な人事評価
3
女
性を一人前に扱う企業風土
子
2 育てをしながらでも働き続けら
れる制度や職場環境
1 りがいを感じられる仕事の内容
や
0 .0 %
66.7%
仕事と子育ての両立や再就職の準備に役立つ情報の提供
2 0 .0 %
2 0 .0 %
75.5%
保育施設の充実
3 2 .3 %
2 9 .2 %
3 0 .0 %
資料:財)21世紀職業財団「女性労働者処遇等に関する調査」(平成16年)
45.1%
放課後児童クラブ等学童保育の充実
42.2%
再雇用制度
36.3%
職業能力開発のための訓練に対する経済的な支援
33.3%
試行的な雇用の場
23.5%
子育てを含めて生涯にわたるキャリア相談
14.7%
自分に適した訓練の選定のアドバイス
10.8%
働くことへの不安感を払拭するためのセミナーや個別相談
特にない
1.0%
資料:(独)労働研究・研修機構「育児や介護と仕事の両立に
関する調査」(平成15年)
76
6.女性、若者、高齢者の労働参加
女性の起業における状況とニーズ
○
○
女性起業家割合は増加傾向。起業を希望する女性は子育て期中心に高い。
女性における起業する上で、起業に関する知識・ノウハウや財政面での不足に対する課題をかかえて
いる。このため、今後、起業に関するコンサルティング、情報提供、債務保証、情報提供等の施策の支
援を希望している。
起業に関する悩み(複数回答)
(% )
60
自己雇用女性(女性起業家)の比率
自己雇用女性(女性起業家)の比率
(万人)
(女性割合、%)
1200
1000
981
910
878
50
27.00
40
26.00
25.27
719
24.70
2 8 .4
2 1 .6
3 1 .1 2 6 .7
2 4 .3
3 .8
0
特 にな し
そ の他
家 族 の理 解
女性割合
仕 事 と家 庭 の両 立
自己雇用者(非農林)
1 2 .2
2 .7
1 .9
専門家 のアドバイス
自己雇用男性(非農林)
人材確保
20.00
開 業 場 所 の確 保
2002
市 場 調 査 ・分 析
1997
9 .5
6 .7
8 .6
3 .8
販 売 先 ・仕 入 れ 先 開 拓
1992
財 務 ・法 務 知 識 不 足
1987
0
知 識 ・ノウ ハウ
1982
21.00
採算見通 し
234
許認可手続 き
241
資金調達
242
自己資金不足
218
1 2 .4
1 3 .5
1 0 .8
1 .4
0
22.00
197
2 1 .9
1 4 .9
6 .7
23.00
400
200
2 1 .9
1 4 .3
10
22.45
27
19
1 8 .9
24.00
692
23.89
自己雇用女性(非農林)
2 9 .5
30
25.00
起業希望者
起業者
3 7 .8
3 7 .1
20
693
681
927
25.11
739
800
600
960
5 1 .4
28.00
注)①経済産業省調査「女性の自己雇用に関する研究会報告(平成16年6月)」
②自己雇用者とは、会社役員と自営業主を加えたもの。
起業についてあればよいと思うサービス・援助(複数回答)
女性創業希望者の年齢構成(平成14年,千人)
女性創業希望者の年齢構成(平成14年、千人)
(% )
100
90
80
80
61
60
30
64
46
42
(資料)①総務省就業構造基本調査(2002)
②創業希望者とは、無業者、有業者の転職及び就業希望者数のうち、
自分で事業をしたい者(自営業を希望した者)
(資料):「平成17年度 能力発揮事業起業セミナー受講者に対する
フォローアップ調査結果報告」(女性と仕事との未来館)
0 1 .4
特 にな し
65歳以上
5 .4
そ の他
60~64
1 2 .4
仕 事 と家 庭 の両 立
支 援 策
55~59
3 1 .1
情 報 提 供
50~54
財 政 投 融 資 ・債 務
保 証 制 度
45~49
3 3 .3
2 .9
交 流
40~44
3 3 .3
1 8 .9
女 性 起 業 家 によ る
指 導 ・助 言
6
0
35~39
3 3 .8
2 6 .7
2 1 .6
コ ン サ ル テ ィ ング
20
30~34
2 0 .3
セ ミ ナー
35
31
25~29
3 1 .1
3 8 .1
10
0
30
20~24
4 2 .9
起業希望者
起業者
4 4 .6
2 8 .6
相 談 窓 口
40
15~19歳
50
20
53
50
10
4 7 .6
40
70
60
60
50
87
77
6.女性、若者、高齢者の労働参加
女性の積極的活用と企業の業績
○ 一般的に女性が活躍できる企業風土(両立支援制度等)があり、女性社員比率の高い企業ほど、売上が伸び
ている。
○ また、政府が「男女雇用均等推進企業」や「ファミリーフレンドリー企業」として表彰された企業は、表彰を契機と
して株価に好状況を与えている旨、報告されている。
均等推進企業表彰銘柄の対TOPIX超過累積リターン
企業の女性比率と成長性指標との関係
表彰時
140
125.6
120
90.9
127.9
101.4
80
60ヶ月
57ヶ月
54ヶ月
51ヶ月
48ヶ月
45ヶ月
42ヶ月
39ヶ月
36ヶ月
33ヶ月
30ヶ月
27ヶ月
24ヶ月
21ヶ月
18ヶ月
15ヶ月
9ヶ月
3ヶ月
6ヶ月
12ヶ月
女性比率
0ヶ月
40
-3ヶ月
60
-6ヶ月
指標
成長性指標(※)
100
株価上昇
ファミリー・フレンドリー表彰銘柄の対TOPIX超過累積リターン
20
0
10%未満
10~20%未満
20~30%未満
30%以上
表彰時
株価上昇
(資料)(財)21世紀職業財団「企業の女性活用と経営業績に関する調査」(平成16年3月)
60ヶ月
57ヶ月
54ヶ月
51ヶ月
48ヶ月
45ヶ月
42ヶ月
39ヶ月
36ヶ月
33ヶ月
30ヶ月
27ヶ月
24ヶ月
21ヶ月
18ヶ月
15ヶ月
9ヶ月
12ヶ月
6ヶ月
3ヶ月
0ヶ月
-3ヶ月
-6ヶ月
(※)成長性指標=5年前と比較した売上指標
(資料)大和総合研究所クオンツ情報をもとに作成
78
6.女性、若者、高齢者の労働参加
育児休業の利用状況
○ 我が国では、育児介護休業法に基づき、育児休業取得や時間外労働等の制限等の措置がなされている。
○ 他方で、諸外国と比べて我が国は、育児にかける時間は女性に比べて男性が極端に低い。原因は、男性の働き
過ぎや女性における職場への迷惑に配慮した利用控え等が挙げられる。
女性の育児休業取得の妨げとなる理由
6歳未満児のいる男女の育児、家事関連時間の国際比較
男性
0
日本
0.5
1
0.48
0.25
アメリカ
1.13
イギリス
1
フラ ンス
ドイ ツ
スウェ ーデン
1.5
2
時間
2.5
3
3.5
家事関連時間全体
うち育児
3.26
2
3
5
6
7
時間
8
0
スウェ ーデン
7.41
2.41
6.21
2.22
1.57
6.09
5.49
2.18
2.1
6.11
5.29
1.13
3.12
ノルウェ ー
(資料)平成18年度少子化社会白書(内閣府)
2.17
5.26
20
30
40
5 7 .5
3 5 .0
業務が繁忙であったため
3 2 .5
家計が苦しくなるため
家事関連
時間全体
うち育児
職場が育児休業を取得しにくい雰囲気であったた
め
2 0 .0
7 .5
仕事にやりがいを感じていたため
職場や仕事の変化に対応できなくなると思ったた
め
出世にひびくと思ったため
その他
50 (%)
60
1 2 .5
職場への迷惑がかかるため
配偶者や家族からの反対があったため
ノルウェ ー
10
自分以外に育児をする人がいたため
ドイツ
3.21
4
3.03
日本
フランス
3
1.07
1
イギリス
2.3
0.59
0
アメリカ
2.46
0.4
女性
2 5 .0
0 .0
7 .5
2 2 .5
(資料)ニッセイ基礎研究所「男性の育児休業取得に関する研究会報
告書」(平成15年)より加工
(注)複数回答 26歳未満の子を持つ配偶者のいる20歳以上40歳
未満の女性の
雇用者(非就業者を含む)に聞いたもの
79
6.女性、若者、高齢者の労働参加
若者の失業率について
○若年層の失業率は全労働者に比べて高い水準となっている。特に、足下では改善傾向であるが、近年高い失業率を
示している。
○また、若年の中では、無業という厳しい状況の中にある者が増加してきており、若年の雇用が大きな問題。
年齢階層別の完全失業率の推移
若年無業者数の推移
(%)
12.0
総数
15~24歳
25~34
35~44
45~54
55~64
65歳以上
10.0
8.0
15~24歳
25~34歳
6.0
4.0
2.0
20
05
20
03
20
01
19
99
19
97
19
95
19
93
19
91
19
89
19
87
19
85
19
83
0.0
資料:総務省統計局「労働力調査年報」
本表の数値は年内月平均値。
完全失業率=(完全失業者÷労働力人口)×100
80
6.女性、若者、高齢者の労働参加
若者の離職率の上昇
○ 全国で見ると、入社3年以内の離職率は、中学卒業者で約7割、高校卒業者で約5割、中学卒業者で約4割。厳し
さが増している。
○ 若者の離職の理由として、①仕事が合わない、つまらない、②賃金、労働条件等が合わない、③人間関係がよくな
い、が上位。
入社1年以内・3年を超えてから
離職した正社員の離職理由
入社3年以内の離職率
39.1
離職率[%]
仕事が自分に合わない、つまらない
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
12.2
32.6
32.7
賃金や労働時間等の条件がよくない
65
40
67
40
24
24
68
43
28
70
47
32
71
48
34
70
48
33
71
47
32
69
48
34
73
50
37
中学卒
(1~3年目)
高校卒
(1~3年目)
大学卒
(1~3年目)
28.3
人間関係がよくない
14.3
19.6
22.4
他にやりたいことがあったから
15.2
会社に将来性がない
36.7
10.9
キャリア形成の見込みがない
31.6
10.9
10.2
通勤時間が長い、通勤の便が悪い
平成4年
平成8年
平成12年
4.3
健康上の理由・家庭の事情・結婚等
14.3
入社年度
2.2
倒産・解雇・雇用契約期間の満了
1年以内(n=46)
3年を超える(n=98)
6.1
10.9
9.2
その他
0
10
20
30
40
資料:「応援します能力開発」(厚生労働省)
資料:「若年者の職業生活に関する実態調査
(正社員調査)」(厚生労働省委託)
50 (%)
81
6.女性、若者、高齢者の労働参加
年齢階層別の非正規雇用者の割合
○ 非正規雇用者の割合は、全ての年代で増加傾向であるが、特に近年「就職氷河期世代」と呼ばれる20~34歳に
おいて、非正規雇用者割合の増大が著しい。
○ 若年層における非正規雇用の増大は、能力開発機会を得られない者の増加につながることもあり、適切な能力開
発機会の確保が重要。
年齢階級別非正規雇用比率の変化
資料:平成18年度 労働経済白書
82
6.女性、若者、高齢者の労働参加
高齢化の進展
○ 高齢者人口は平成32(2020)年まで急速に増加し、その後はおおむね安定的に推移する見込み。
○ 一方、総人口が減少することから、高齢化率は上昇を続け、27(2015)年には26.0%、62(2050)年には35.7%
に達すると予想される。
○ 平成17(2005)年の65歳以上の労働力人口は504万人であり、労働力人口総数の7.6%を占めている。今後、
少子高齢化が進む中で、27(2015)年にはその比率は9.6%まで上昇すると見込み。
労働力人口の推移と見通し
高齢化の推移と将来推計
40,000
40%
7,000
労働力人口(万人)
実績値
(人)
35,000
実績値
75歳以上人口(左目盛り)
推計値
35%
30,000
30%
5,000
75歳以上人口割合(右目盛り)
高齢化率(右目盛り)
20,000
25%
4,000
279
248
385
1,208
300
288
372
560
20%
15%
445
493
421
426
593
666
488
1,297
1,418
5.8
3,000
15,000
360
6,000
65~74歳人口(左目盛り)
25,000
12
1,616
6.7
6.3
5.0
5.6
1,393 1,597
4.9
4.8 1,614 1,378
4.4
推計値
504
626
465
5079.6
776
597
7.8
7.6
1,617
7.3 1,392
7 1,428
562
9.0
479
10
7.6
8
10%
1,438
5,000
0%
19
50
19
55
19
60
19
65
19
70
19
75
19
80
19
85
19
90
19
95
20
00
20
05
20
10
20
15
20
20
20
25
20
30
20
35
20
40
20
45
20
50
0
5%
資料:2000年までは総務省「国勢調査」、2005年以降は国立社会保障・人口問
題研究所「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」
1,261
1,225
1,327
1,268
1,508
1,503
1,000
1,265
35~44歳
25~34歳
1,552
4
2,000
10,000
55~59歳
45~54歳
6
1,376
65歳以上
60~64歳
690
1,586
6.3
1,296
高齢者割合(%)
1,133
699
733
834
886
761
635
561
561
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2015
2025
0
2
15~24歳
76歳以上割合
(右目盛り)
60~64歳割合
(右目盛り)
0
(年)
資料:2000年までは総務省「労働力調査」、2005年以降は厚生労
働省推計。
83
6.女性、若者、高齢者の労働参加
2007年問題(団塊世代の大量退職)
○ 戦後の経済成長を支え。現在の企業活動の根幹をなしている団塊の世代(1947~49年生)は、2007年以
降、順次定年に達する(60歳定年制の場合)。
○ 企業の危機意識は強まっている。対策としては、「必要なものを選抜して再雇用を行い、指導者として採用予
定」と回答した企業が最も多い。一方、「若年・中年層に対する技能・ノウハウ等の伝承」に取り組んでいる企
業は少数。
○ 研究開発部門に関しても、技能・ノウハウ等の継承が円滑に進んでおらず、危機意識を持つ企業が多い。
2007年問題に対しての取組
(製造業・複数回答)
2007年問題に対する危機意識
2005年調査
製造業
39.6
必要な者を選抜して再雇用を
行い、指導者として採用予定
30.5
希望者全員を雇用延長、
嘱託として再雇用予定
2006年調査
製造業
30
40
50
(%)
27.6
年代・レベルの差が開きすぎている
18.7
18.2
人材が流動化し、継承が難しい
12.4
外注の活用
20
34.8
16.1
22.4
10
33.0
意欲のある若年・中堅層の確保が難しい
25.6
非正規従業員、派遣労働者、
請負業者等の活用
0
61.9
25.1
中途採用を増やす
33.7
研究開発現場における、技術・ノウハウ等の
継承に時間がかかり円滑に進まない
24.7
新規若年者の採用を増やす
2006年調査
全業種
45.6
33.9
21.7
41.1
2005年調査
全業種
研究開発における技術・ノウハウ等の継承への
危機意識
15
若年・中年層に対する技能・
ノウハウの伝承
14.7
退職予定者の伝承すべき技能・
ノウハウ等の文書化など
14.5
16.5
継承をうまく組織的に行う方法が分からない
15.1
教えられる人材がいない
14.2
18.2
6.7
伝承すべき技能・
ノウハウ等の絞り込み
7.9
2005年度調査
2006年度調査
3.7
高度な技術・ノウハウ等が
不要なように設計を変更
2.2
14.4
特段何の取組も行っていない
0
10
1.5
その他
19.5
20
30
40
有効回答数:457
選択可能数:2つまで
平均選択数:1.72
特段理由はない 0.0
50
(%)
0
10
20
30
40
50
60
70
危機意識を持っている企業の要因[%]
資料:経済産業省「平成17年度ものづくり白書」
調査対象:全国・全業種(農林漁業、鉱業、公務を除く)の従業員(正社員)規模30人
以上の企業から無作為に抽出した企業1万社(回答数:)1,405社
資料:文部科学省「民間企業の研究活動に関する調査報告(平成1
7年度)」
調査対象:平成16年の総務省「科学技術研究調査」において社内
で研究開発活動を実施していると回答した資本金10億円以上の民
間企業1,851社。うち回収877社
84
6.女性、若者、高齢者の労働参加
高齢者の就業意欲
○ 我が国の男性高齢者の労働力率は、国際的に見て高水準にある。
○ 高齢者の中で就業を希望する者(現在有業で就業を希望する者+現在無業で就業を希望する者)は、60~64
歳では約8割となり、65~69歳でも6割に達するなど、我が国の高齢者は極めて高い就労意欲を持っている。
主要国における高齢者の労働力率
(男性)
100 (%)
93.2
55~59歳
70.7
67.7
高齢者における就業希望の有無
65~69歳
83.6
80.3
77.6
80
60~64歳
84.9
65.3
65
57
60
有業者 就業希望者
有業者 非就業希望者
80.8
53.8
65~69歳
37.7
40
32.6
21.4
19
20
70~74歳
7.2
4.1
75歳以上
0
日本
アメリカ
100 (%)
フランス
55~59歳
ドイツ
60~64歳
スウェーデン デンマーク
65
61.7
59.6
0%
75.9
43.4
33.2
80%
100%
2. 有業者の就業希望者は継続就業希望者、追加就業希望者、転職希
望者の合計で、非就業希望者は就業休止希望者である。
25.3
23.3
3. 分母となる総数には分類不能、不詳等の数値が含まれているため
内訳を合計しても100%とならない。
19.7
16.2
20
60%
1. 男性のみを集計している。
49.5
39.7
24
40%
(注)
58.1
56.2
20%
資料:総務省「就業構造基本調査」(2002年)
45.4
40
韓国
65~69歳
79.5
80
60
60~64歳
48.3
45.6
(女性)
無業者 就業希望者
無業者 非就業希望者
10.6
2.5
4.1
0
日本
アメリカ
フラン ス
ドイツ
スウェー デ ン
デ ン マー ク
韓国
資料:1. ILO LABORSTAホームページ(http://laborsta.ilo.org/)により作成。
2. 年齢層別の人口に占める労働力人口の割合。
3. スウェーデンの65~69歳については、データなし。
85
6.女性、若者、高齢者の労働参加
高齢者の活躍が期待される分野
○ 高齢者の雇用に積極的な企業は、高齢者の経験や能力に期待。
○ 具体的には、「技術・技能を要する作業」、「対外調整・折衝」における高齢者の能力に対し、評価が高い。一方、
「創造的な発案、企画力」に関しては低い評価。
○ 高齢者の雇用の場は、「専門的・技術的な業務」、「教育的・助言的な業務」に存在。
60歳以上の労働者の雇用を増やす理由
企業による高齢者の能力評価
7 3 .5
高 年 齢 労 働 者 の 経 験 ・能 力 を
活 用 したい
対 外 調 整 ・折 衝
34.6
技 術 ・技 能 を要 す る作 業
33.8
8 5 .2
6 4 .4
64
21.8
9.5
25.2
22.2
9.9
7.6
21.6
5.4
4.3
4
7 2 .5
管 理 ・監 督
8 .8
18
1 9 .6
高 年 齢 労 働 者 に適 した 仕 事
又は年齢に関係ない仕事がある
定型的な作業
2 3 .6
25.6
27.2
15.7
10
27.3
44.4
6.1 3.8
13.6
17.3
4.9 4.2
3 9 .1
2 7 .4
創 造 的 な 発 案 ・企 画 力
5 7 .6
4 3 .4
高 年 齢 労 働 者 を雇 用 す るこ とは
時代の社会的要請である
3 2 .8
8.1
0
23
10
36.8
20
30
40
19.9
50
60
70
8
80
90
4.2
100
(% )
2 2 .9
4 .7
1 2 .3
人 件 費 を 低 く抑 え ら れ る
1 6 .9
2 0 .8
総 じて 言 え ば 高 い
総 じて 言 え ば 差 が な い
総 じて 言 え ば 低 い
そ の 他 ・分 か ら な い
高 齢 者 の 中 で の 差 が 大 きく、一 概 に言 え な い
無回答
1 5 .3
1 0 .4
9 .9
2 .4
2 .9
若 年 ・中 年 の 採 用 が 難 し い
資料:高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究会「高齢者の社会参画に
関する政策研究報告書(企業調査編)」(2005年)により作成。
備考:回答したのは、東京商工リサーチ「CD・Eyes」に収録された、従業員30人以
上の企業2,734社。
2 0 .8
2 1 .5
2 4 .9
自社内で高齢化が進ん でいる
7 .9
7 .9
8 .7
1 ,0 0 0 人 以 上
高年齢労働者は定着率が良い
100~ 299人
3
1 5 .4
渉 外 ・接 客 業 務
4 .1
5 .4
5
5~ 29人
1 4 .3
一 般 事 務 業 務
0
0 .2
0
0 .5
0
0
2 9 .9
教 育 的 ・助 言 的 な 業 務
30~ 99人
0
その他
7 0 .9
専 門 的 ・技 術 的 な 業 務
7 .8
6 .5
6 .9
国や自治体の援助制度が
活用できる
高齢者向けの雇用が期待される分野
300~ 999人
2 .1
4 .5
1 2 .8
マ ネ ー ジ メン ト業 務
6 .0
そ の 他
10
20
30
40
50
60
70
80
90
資料:厚生労働省「高年齢者就業実態調査」(2004年)
1.「貴事業所で60歳以上労働者の雇用を増やそうと考えているのはなぜですか。該
当するものを2つまで選び、その番号を○で囲んでください。」と尋ねた問に対して回
答した事業所の割合。
2.調査対象は、日本標準産業分類に基づく14大産業に属する常用労働者を5人以
上雇用する民営事業所。
0
10
20
30
40
50
60
資料:内閣府「企業の採用のあり方に関する調査」(2006年)により
作成。
1.「貴社において、どのような分野・職種で高齢者向けの雇用機会
が生まれると思われますか。よくあてはまるものをお答え下さい。
(○は2つまで)」と尋ねた問に対して回答した企業の割合。
2.回答企業は、全国の従業員規模30人以上の企業915社(無回答
を除く)。
70
80
(% )
86
6.女性、若者、高齢者の労働参加
高齢者の健康・体力に見合った働き方の整備
○ 高齢の不就業者の希望する働き方は、「短時間勤務による雇用」が多い。
○ 一方、企業が高齢者の雇用に消極的な理由の1つは、「体力・健康の面で無理がきかない」こと。
○ 短時間正社員制度など、高齢者の体力面での不利を補うような働き方の整備が必要。
企業が60歳以上の労働者の雇用を増やさない理由
高齢者(うち、不就業者)の希望する働き方
短時間勤務で会社などに雇われたい 家庭で内職をしたい
普通勤務で会社などに雇われたい
その他
高年齢労働者に
適した仕事がない
31.6
1.1
25.0
65~69歳
42.1
17.5
4.43.9 7.2
21
高年齢労働者は体力、
健康の面で無理がきかない
31.4
29.1
若年・中年層の雇用が
優先される
9
6.2
人件費が割高である
43.2
43.6
37.1
35.5
44.1
10.5
4.4
2.0 3.3
2.8
10.3
5
4.6
1,000人以上
300~999人
0
高年齢労働者は
0.8
過去の経歴にこだわる
2
1.5
100~299人
0
高年齢労働者は 0.7
2.4
定着率が悪い 0.4
0.6
30~99人
5~29人
11
24.2
高年齢労働者に限らず、
採用の予定はない
70.5
55~59歳
12.8
24.3
4.3 4.9 4.7
その他
1.7
0
0%
20%
40%
60%
80%
100%
備考:不就業者のうち、適当な仕事がみつからなかった就業希望者の希望
する働き方。
資料:厚生労働省「高年齢者就業実態調査」
52
49.6
47
1.1
60~64歳
42.5
32.7
25.5
近所の人や会社などに頼まれたりして、
任意に行う仕事がしたい 自分で事業をしたい
37.8
27.5
42
6.3
5.9
4.8
4.6
10
20
30
40
50
60
資料:厚生労働省「高年齢者就業実態調査」(2004年)により作成。
1.「貴事業所で60歳以上労働者の雇用を増やさないと考えているのはな
ぜですか。該当するものを2つまで選び、その番号を○で囲んでくださ
い。」と尋ねた問に対して回答した事業所の割合。
2.調査対象は、日本標準産業分類に基づく14大産業に属する常用労働
者を5人以上雇用する民営事業所。
87
【参考】 労働法制の検討に関する動き
政府内で検討中の労働法制のポイント①
(1)労働契約法制・労働時間法制について(労働政策審議会 労働条件分科会)
解雇などを巡る労使紛争の増加に対応するため、労働契約に関する基本的事項を法制化し、判断
基準を明確化することを検討。次期通常国会に法案提出の方向で検討を実施。12月8日の審議にお
いて事務局から報告書案が提出されている。
労働契約法
①就業規則の位置づけの明確化
【概要】合理的な内容の就業規則であれば、労働契約として労使合意が成立していると推定。
②主な労働条件に関するルール
【概要】権利を濫用したと考えられる場合の出向命令の取消しや、転籍に労働者の同意を要すこと等。
③整理解雇の4要素の法制化
【概要】これまで判例法理で規定されてきた整理解雇の際に勘案すべき4要素を法律で規定。
※整理解雇の4要素 ①労働者数の削減の必要性、②整理解雇回避努力、③対象者選定方法の合理性、④整理解雇に至る手続
④解雇紛争の金銭解決制度
【概要】解雇紛争の解決手段として、職場復帰に加え、金銭解決の方途も法制化。
労働時間法制
⑤日本版ホワイトカラーエグゼンプションの導入
【概要】自律的に働くホワイトカラーの増加に対応し、労働時間、休憩、休日及び残業代等に係る規制
の適用を除外する制度を検討。制度の導入には、対象者の年収要件、労使委員会の設置、本
人同意等を要件とすることを検討。
⑥残業代の賃金割増率の引き上げ
【概要】時間外労働に対する残業代の割増率を引き上げることを検討。
89
政府内で検討中の労働法制のポイント②
(2)パートタイム労働法制について(労働政策審議会 雇用均等分科会)
次期通常国会への法案提出を目指し、12月8日の審議において報告案が提出されている。
①パート労働者と通常の労働者との均衡待遇の均衡処遇
【概要】①通常の労働者と職務、人材活用の仕組等の就業の実態が同じであるパートタイム労働者
について、パートタイム労働者であることを理由とした待遇の差別的扱いの禁止について。
②通常の労働者との均衡ある待遇の確保のため、パートタイム労働者の職務、意欲、能力
経験、成果等を勘案した賃金の決定に努めることについて。
③通常の労働者に対して行っている教育訓練の措置を、パートタイム労働者に対しても行う
よう努めることについて
②通常の労働者への転換の促進
【概要】事業主は、パートタイム労働者に対して、通常の労働者の募集に関する情報の周知などの、
通常の労働者への転換の措置を講じなければならないこととすることについて。
(3)雇用対策法等(労働政策審議会 雇用対策基本問題部会)
次期通常国会への法案提出を目指し検討を実施。
①若者の雇用機会の確保
【概要】国が、若者の雇用機会の確保に関する事業主の指針を策定することについて。
②地域雇用対策の重点化
【概要】地域雇用開発促進法を改正し、厚生労働大臣の同意を得た雇用開発促進地域及び雇用創
造推進地域について、雇用保険3事業の資金による支援措置を設けることについて。
③外国人労働者の適正な雇用管理の推進
【概要】事業主が外国人労働者の雇用状況を公共職業安定所に報告する制度を設けることについて。
90
Fly UP