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取り組み紹介2
医療が必要な人への関わり ~四日市市保健所の取り組み~ 四日市市 健康福祉部 四日市市保健所 保健予防課 精神保健係 保健師 井倉一政 四日市市 (平成20年4月より保健所政令市) 人口 313,341人(H25.6.1) 四日市市保健所における精神保健福祉業務 1.通報対応等の危機管理 危機予防・危機介入 ・通報、移送、措置業務対応(法第24条他) ・医療保護入院のための移送(法第34条) ・処遇困難事例の対応 ・三泗地域保健福祉連絡会 (措置業務の連絡会議) ・警察、消防、地域からの緊急対応 ・医療観察法に基づくケア会議 3.普及・啓発事業 こころの健康づくり ・こころ健康づくり講演会の開催 ・パンフレット、広報等による情報提供 ・地域へ啓発、普及 ・出前講座 2.地域支援体制の整備 精神科医師、保健師、精神保健福祉士等による こころの相談及び訪問 [ネットワークの整備・コーディネート機能] ・ 自殺予防対策事業 ・若年者の早期支援事業(YESnet) ・アルコールと健康を考えるネットワーク ・ケース会議等への参加 ・地域自立支援協議会との連携強化 [マンパワーの確保] ・ こころの健康講座、継続研修等の開催 ・ 家族会、ボランティア組織の育成と協力支援 ・メンタルパートナー研修会 4.その他の法定業務等 ・精神保健福祉手帳の申請、交付(経由事務) ・自立支援医療の申請、交付(経由事務) ・生活支援の相談、相談支援事業所との連携 数字でみる精神保健福祉 四日市市民 約314,000人 生涯で精神疾患にかかる者1) 約76,000人 精神疾患で入院・通院中の者2) 約7,900人 1)こころの健康についての疫学調査に関する研究 平成18年度厚労省科研 東京大学 川上ら より試算 2)平成23年患者調査 厚生労働省 より試算 保健所における相談支援の 法的根拠 • 精神保健福祉法第47条(必要箇所抜粋) 保健所を設置する市は、必要に応じて、精神 障害者及びその家族等からの相談に応じ、 及びこれらの者を指導させなければならない。 保健所における精神保健業務中の 訪問指導について (昭和61年 厚生省通知) • 精神科医療機関が訪問看護・訪問指導を必 要と認めた「治療中断者」 に対して • 医療機関が職員を派遣することが困難 で • 本人又は家族等が、保健所の職員の訪問を 了承した場合 訪問が可能 保健所及び市町村における精神保健 福祉業務について (平成12年 厚生省通知) • 訪問指導は、医療の継続又は受診について の相談援助勧奨のほか、生活指導、職業に 関する指導等の社会復帰援助や勧奨のほか、 生活指導、家庭内暴力やいわゆるひきこもり の相談その他の家族がかかえる問題等につ いての相談指導を行う。 保健所及び市町村における精神保健 福祉業務について (平成12年 厚生省通知) • 環境等の実情を把握し、これらに適応した相 談指導を行う。訪問指導は、原則として本人、 家族に十分な説明と同意のもとに行うが、危 機介入的な訪問など保健所長等が必要と認 めた場合にも行うことができる。 緊急?危機介入とは 危機介入的な訪問など保健所長等が必要と認 めた場合とは? <緊急の判断のポイント> • 幻覚・妄想状態と思われる状態が継続しており、自分 を傷つけたり、他人に危害を加えた事実がある状況。 • 本人の睡眠のバランスが悪く、食事の摂取もできず、 生命維持が心配される状況。 • 本人の不穏な状態が長く続いていることから、家族が 疲れきって限界に達しており、このままでは本人の状 態の改善が見込めない状況。 など 三重県こころの健康センター「地域精神保健福祉相談マニュアル」より抜粋・一部改編 四日市モデル(仮称) チーム YMCA (Yokkaichi Mental Care Association) 《設置主体》四日市市保健所 《チーム構成》ケースワーカー3、保健師3、精神保健福祉士1 《チーム精神科医》 保健所嘱託医師3(救急対応可能な精神科病院の勤務医) 《入り口》地域・関係機関・措置対応 《出口》在宅 《財源》市一般財源 《対象者》 ①措置入院後の地域生活者 ②未受診・治療中断者への対応 ③主治医からフォロー依頼のある者 他のACTチームとの比較 《メリット》 • 契約を前提としない。 • 診療報酬を気にしなくて良い。 • 入院中から関係を築くチャンスがある。 • 医療保護入院退院届けなどの保健所に集約される情報から のアプローチも可能。 《デメリット》 • ケアハウス的なショート機能はない。 (ただし、地域の病院が、機能を補完できうる可能性がある) • キャッチメントエリアや診断名を問わないため、ケース数が対 応できないくらいまで増える可能性がある。 (職員がアセスメントを適切に実施し、真に必要な支援を見極 めるスキルが必要。) 連携?協働? • 教科書に載っている「○○専門職の役割」のウソ・ ホント • 法律に明記されている「△△関係機関の役割」の ウソ・ホント ①連携・協働しようとする相手の守備範囲を良く知る。 ②役割や仕事を押し付けない。 ③私が関わろうと思うけど、どうやったらいいか教え ていただけますか。 ⇒関係機関や専門家の行動変容 連携?協働? • 具体的には、、、 相談支援事業所から「この人は事業所で訪問継続し ますから、もっと重たいケースに行ってください」 精神科病院から「本当に、退院後支援だけが目的で 患者にわざわざ面会に来るんですか?」 ★要は、きちんとアセスメントすること。本人・家族・支 援者、環境、保健所の役割。 ★その上で、適切につなぐ。本人に任せる?家族に任 せる?他の支援者に任せる?保健所が自ら動く? ※保健所の言動はすべて判断根拠があります。 事例① 事例② 精神保健福祉の目指すところ • 服薬、治療、病院への通院・入院がゴール? • 薬を飲めば幸せになれる?病気・障害がなかったら それでハッピーか? • 病気や障害があっても、みんなちがってみんないい 自分の個性を認めて、なりたい自分になることがリ カバリー 本人の思いに寄り添い、それを応援するのが 保健所の訪問活動 理由はわからないけど、この人といると楽しい、安心する 頼りにはならないけど、この人に相談すれば、なんとかしてくれる そんな支援者になりたい 保健所の訪問活動の課題 • 医療・保健・福祉職の言うことは、正しい でも生活 者のニーズとは違う。専門職のエゴ?? ⇒正義とニーズの狭間の落としどころを探る • 治療の限界を認める⇔いやいや、できることもある (支援者の気持ちが揺れる、支援方法を迷う) • 親切心があだになる(治療開始がQOLを下げる) • 人が亡くなっている現場に遭遇する ⇒モチベーションの維持・向上 ⇒想いを形にする 制度化・システム化 • 行政職員との共通言語(計画・政策・補助金etc) • 警察・医療機関との共通理解 ご清聴ありがとうございました