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Kaken / 科研費報告書
農業農村の持続的発展を目指すコミュニテ
ィ型投資・雇用戦略の日欧比較研究‐プロ
シューマー(生産=消費者)間連携におけ
る経済的価値の創出をめぐって‐
石田, 正昭; 波夛野, 豪; 徳田, 博美; 中原, 准一; 増田, 佳昭
石田正昭, 2007.
平成16年度∼平成18年度日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書
http://hdl.handle.net/10076/7541
むすび
第7
7章
章
石田 正昭
コミュニテ ィビジネス とは何か
"
まちづ くり"や "
む らづ くり"とい うミッシ ョンと、"
金儲げ 'とい うビジネスが
一体化 したものがコミュニティビジネスである。いいかえれば、それは
した ものがコミュニティビジネスである。いいかえれば、それは 「
みんなのた
め」とい う公益的な 目的 と、「
ものごとを効率的に推 し進める」とい う事業的な手段が
組み合わされた地域の人び との取 り組みである注1
)
。
みんなのためにやってい るけれ ども、や り方が非効率的であれば、その取 り組みは
長続き しない。非効率的であっても長続 きできるとすれば、それは行政だけである。
反対に、や り方が効率的であっても、最終の 目的が 自分のため、投資家のためとなれ
ば、その取 り組みに地域の人び とは賛同 しない し、参加 もできない。投資家に奉仕す
ることを 目的 とす る資本会社では、通常、地域の人び とは排除 され るのが普通だか ら
である。
みんなのために事業 を起 こし、そこか ら得 られる利益は地域の発展のために使 う。
必要な事業資金に対 しても、通常の利子以上のものは還元 しない。仮にこうした仕組
みが整っているのであれば、企業の形態は問わない とい うのがコミュニティビジネス
なのである。
コミュニティ (
地域社会)をどうとらえるか
では、みんなのため、のみんなとは、 どのような範囲を指すのであろ うか。本報告
書では、その基礎単位 として、ヨーロッパでは教区、日本では小学校区を想定 したが、
個々の事例に即 していえば、それ よりも小 さい場合 もあれば、それ よりも大きい場合
もあって、不定である。精神的な統合、つま り 「
心 と心のつなが り」を保てる範囲が
コミュニテ ィとなる注2)。
人はたえず、 自分 と他人 との距離を、同一性 と差違性の尺度によって測っている。
「
あなたの出身は どこですか」と質問 して、
「
○○です」とい う返答が戻ってきたとき、
それだけで話がはずむ場合 もあれば、 「
○○の ××です」 とい う返答が戻ってこない
と、話がはずまない場合 もある。 ここで話がはずむ とは、その地名が出ただけで、そ
こにある事物の全体のイメージが共有 されることを指 しているが、そ うい う状況をつ
くれる地名が当該の人び とに とってのコミュニティなのである。
あえてここでは地名 にこだわったが、話がはずむ要素は何 も地名だけではない。同
一の経験や知識、技術、関心なども話のはずむ要素 となるから、これ らもまたコミュ
150
ニティを形成する要素 となる。地域名で話がはず場合は 「
ローカル ・コミュニテ ィ」、
経験や知識、技術、関心などで話がはずむ場合は 「
テーマ ・コミュニティ」 と呼ばれ
ているが、この両者はソサェティの一部をなす と考えてよい。
日本 とヨー ロッパのコ ミュニティ観の違い
ヨー ロッパ と比べて 日本のコミュニテ ィ、 とりわけ農村のローカル ・コミュニティ
がみえにくくなっている (
存在感 が薄 くなっている)大きな理由は、宗教的なっなが
りの弱 さ、基礎的な自治体の大規模化 (
合併) とい う要因の他に、家計の個別化 とい
う問題 も指摘できる。わが国における家計の個別化は、市場経済の発展にともな う労
働 の商品化がその大きな原因をな しているが、農業者 も含 めて、農村地域の住民 もま
たその例外ではあ りえない。
一般 に、 ローカル ・コミュニティは、働 く場 と暮 らしの場の一致、すなわち "
職住
一致"がその成立条件 をなす と考 えられ る。 しか し、わが国の農村ではこの成立条件
が確保できなくなっている。働 く場 と暮 らしの場の分離、すなわち "
職住分離"が進
んでいるためである。朝早 く家を出て、夜遅 く家に戻 る、 とい うサ ラリーマンの暮 ら
しは、都市市民においても農村住民においても同様 にみ られる現象である。
ヨー ロッパでも、 日本 と同 じよ うに、近代化の過程で "
職住分離"は進んだ。 しか
し、その程度は 日本 よ りもはるかに軽 く、昼 と夜の生活が一つの街で完結できるとい
う"
職住一致"の条件が残 されている。一 日のメイ ンの食事を昼食 としなが ら注3)、そ
れ を自宅で とることも不可能ではない。否、農村ではそのライフスタイルは未だ崩れ
ていない。サラリーマ ンであって も、午後 1時か ら 3時まで 2時間の昼休みが確保で
きる。また、サマータイムの期間であれば、帰宅時間である夕方 6時過 ぎは昼間 と同
じ明るさがあって、それか ら一仕事 (
乳搾 りや農作業)をや りきる時間が十分に残 さ
れている。
こ うした彼我のライフスタイルの差は、コミュニティに対す る関与や貢献 とい う点
で大きな違いをもた らしている。同 じ兼業農家ではあっても、 日常的にコミュニティ
に関与、貢献できるヨー ロッパ と、土 日だけしかコミュニティに関与、貢献できない
日本 との違いは大きい。
公益性の表出のために
農村型 コミュニティビジネスの 日欧比較を行お うとす る場合、 ヨー ロッパにはある
が、日本 にはないような特徴的な思考や行動 を発見す ることがその最初の仕事 となる。
こ うした観点か らす ると、スイス ・ジュネーブのコカ-ニュ農園で、年収に応 じて野
菜かご (
コカ-ニュ)の値段が異なるとい う点は注 目されてよい。
標準の大 きさの野菜か ごに対 して、最 も収入の低い申告をした者は年間 11万円、
151
収入を申告 しなかったものは 1
2万円、農場を支援する意志の高い者 (
支払い意志額
をそのまま支払っている者)は 1
4万円とい う差別的な金額になっている。
地域のみんなのた吟、 とい うコミュニティビジネス本来の目的を考えた場合、年収
に応 じて野菜かごの値段が異なるとい うのは、徴税方式でいえば、応益税ではな く応
能税になっていることを意味す る。そこには優勝劣敗の 「
市場原理」ではなく、「
弱者
の救済」や 「
公正な社会の建設」 とい う関係者の強い意思が反映 されている。いいか
えれば、このよ うな値段の設定は、コミュニティビジネスのミッシ ョン性が表出 され
たものであって、当該 コミュニテ ィ (
テーマ ・コミュニティ)の結束力の強 さを示す
ものである。
協同組合に対する願いとは
コミュニティビジネスの担い手の一角に位置 しているのが協同組合であるが、地域
社会において、そのふるまい方がむずか しいことは、 日本 とヨーロッパの間で差があ
るわけではない。 しか し、 日本では、生産者な り、組合員の経済的性格が分化 してい
るなかで、 どうい う層の願いやニーズに応 えていくことがふ さわ しいのか、十分な議
論がなされていない。 これが全戸加入型の JA の弱点 とされているが、この点につい
ては、アルザスのワイン協同組合の状況が、 JA 、 とりわけその荒茶加工事業の状況
とよく似ていて、興味深いものがある。
∫A とアルザスのワイン協同組合の共通点は、小規模農家や兼業農家な ど、同業者
のなかでも最 も力の弱い生産者の原料 (
ぶ どうや茶)を集荷 し、ブ レン ド加工す ると
い う機能を保持 していることである。 これはアルザスばか りではなく、ボル ドー、ブ
ル ゴーニュな どの超有名 ワイ ン産地でもみ られる共通の機能である。その理由は、 ど
んな産地において も小規模生産者、兼業農家は必ず存在 し、通常、彼 らは価格 ・ブラ
ン ド形成力の乏 しさか ら経済的、社会的な困難に直面 しているか らである。
小規模生産者がこの種の協同組合を形成す るメ リッ トは、協同組合のもつブ レン ド
技術の先進性 によって、品質面での相対的不利性を、数量面での相対的有利性でカバ
ただ し、このことは協
ーできるとい う点に求め られ る。"
規模の経済"の実現である
規模の経済"の実現である。ただ
。
同組合を して、価値競争ではなく価格競争に直面 させ ることを忘れてはならない。 し
AOC)等の導入によって、その被害を最
か し、 ヨー ロッパでは、原産地呼称制度 (
小化す る努力が積み重ね られていることに注 目すべきである。
観光資源 と観光商品の峻別
有形 ・無形 を問わず、地域資源はどの地域にも存在す るが、そのままでは単なる地
域資源 とみな され るだけであって、価値があるかどうかは問われない。それが人び と
にとって価値 あるものと認め られ る、つま り 「
観光資源」 となるには、一定の環境条
1
5
2
件 と人間の働 きかけが必要である。 これに加 えて、観光資源 もまた、そのままでは商
品 として売 ることはできず、一定の経済条件 と人間の働 きかけがあっては じめて販売
可能な 「
観光商品」 となる。観光業 とはこ うした一連のプロセスを経て形成 されたも
のである。
地域資源 と観光資源、そ して観光商品の違いをしっか りと認識す ることは、農村ツ
ー リズムの実践、ならびにその発展にとってきわめて重要である。わが国では、この
区別ができていないことが無用の混乱や失敗を引き起こしている。
一般 に、観光商品の開発は個別経営によって営利ない し所得 を求めて私経済的に行
われている。食べ もの、食事、みやげもののみな らず、農家民宿、体験農業 もその範
ちゆうのなかに含 まれ る。 しか し、観光資源は、観光商品のインフラを提供す るもの
であるか ら、その収入 と費用の関係 は個別経営のなかでは完結 しない。それは経済学
的にみ ると "
外部経済"である。
この外部経済 (
観光資源の開発 ・管理)を担 う主体を無用なもの とみなす と、農村
ツー リズムは成立 しない。海辺の民宿は 「さか年料理」
さか年料理」 とい う観光商品で人び とを引
きつけているが、その前提 として 「さかな」の資源保全を行っているか らこそ海辺の
民宿 も成立す るのである。それ と同様 に、農村ツー リズムでは体験農業や景観保全な
どインフラとしての観光資源の開発 ・管理がきわめて重要であ り、(
秩)南信州観光公
社はこの点で全国の先駆 けをなす ものである。
これについて彼我を比べた場合、 ドイツの PLENUM ・プロジェク ト、すなわち
「
コンスタンツ ・
モデルプ ロジェク ト会社」による観光資源の開発 ・
管理のなかには、
環境意識の高い ドイツにあって、水源地の自然保護、環境保全 といった観点も加わっ
てお り、注 目に値す る。大きくいえば、 この会社 もまた、農村型 コミュニティビジネ
スのインター ミデ ィア リー として位置づけることができる。
企業主導型のエコ社会の実現
21世紀は循環型社会 を形成 して環境負荷 を減 らす取 り組みを進 めていかなければ
な らないが、それには消費者主導型 とい うよりも、企業 (
メーカー)主導型 によるエ
コ技術の開発 ・導入が不可欠 とされ る。スウェーデンの BRGは、地方 自治体 と企業
が協働 関係 を築きつつ、環境 と産業経済活動 との調和を図る取 り組み として注 目され
ている。
コミュニティビジネスは、個人単位の 「自発的参加 」や 「
非経済的 (
社会的)動機
による参加」を前提 としたものである。 しか し、よく考えてみると、サー ドセクター
(
行政 と市場経済の中間領域)-の参加 は、以上の条件を満たす ものであれば、個人
ではな くても、企業であってもよいのであって、 とりわけ、最新の技術開発を含み、
投資規模 の大きいプロジェク トを進 める場合には、官民あげての共同プロジェク トの
153
形態をとることが普通である。
厳密 に考えると、この種の取 り組みをコミュニテ ィビジネス と呼ぶにはため らいを
覚えるが、 BRGのもつ特色は、バイオメタンの原料を都市下水、生 ごみや食 品産業
由来のバイオマス、木材チ ップ、ヤナギ属の樹種 ・サ リックスなどに求めてお り、市
民セクターや農業セ クターの参加 を不可欠 としていることにある。そ して、この企業
と市民セクターや農業セクターの仲立ちを しているのが行政である。
公共性の高いエネル ギー開発の場合、行政の関与はわが国でも同様 にみ られ るとこ
ろであ り、バイオエタノールの実験工場 (
原料はビー ト)をホクレンが実施す る計画
がすでに発表 されている。
インター ミディア リーの育成
ヨー ロッパ と比べて、 日本の農村型 コミュニティビジネスで最 も遅れている取 り組
みはイ ンター ミデ ィア リー (
中間支援組織)の育成である。 中間支援組織 に期待 され
る役割や機能は数多いが、それはおおむね、①情報提供機能、②資源や技術の仲介機
能、③人材育成機能、④マネジメン ト能力の向上支援機能、④ネ ッ トワーク ・コーデ
ィネー ト機能、⑤ NPO評価機能、⑥価値創 出機能などに区分 され る。また、その活
動形態についても、①地域密着型、②機能 ・分野特化型、③中間支援組織支援型 な ど
に区分 され る注4)。
しか し、これ もよく考えてみると、わが国の農村型 コミュニティビジネスの中間支
援組織 として最大の勢力を形成 しているのは行政 (
国 ・都道府県 ・市町村お よびその
系統組織 としての JA グループ)である。実際 これ らを抜 きに農
外郭団体) と JA (
村型 コミュニティビジネスを語 ることはできない し、持続性のある事業者 の育成 も期
待できない。
問題 は、中間支援組織 として行政や JA をみた場合、担当者の専門性や継続性 とい
う点で不十分な面がみ られ ること、ならびに行政や JAそれ 自体が、農村型 コミュニ
ティビジネス (
小 さな地域協同活動)のライバル となって現れ る場合があるとい うこ
とである。 ファーマーズマーケ ッ トがその典型であるが、 これ らの巨大組織がライバ
ル となって現れ ると、農村型 コミュニティビジネス (
小 さな地域協同活動)は、これ
らの組織では手が出せないよ うなニッチの市場で勝負をかけてい くか、独 自の優位性
を確保 して利用者 に質の高いサー ビスを提供 してい くか、のいずれかの選択に迫 られ
ることになる。
本来のあるべき姿を考 えれば、図 7- 1に示す よ うに、行政に しても、 JA に して
も、 自らと農村型 コミュニティビジネス (
小 さな地域協同活動)の関係は、① コミュ
ニティビジネス-の活動 ・事業 (
サー ビス)の移行、② コミュニテ ィビジネス-の支
援、③ コミュニティビジネス との協働 (
パー トナーシップ)、④ コミュニティビジネス
154
か らの提言の受入れ、のいずれかに帰着 されなければな らない注5
注 5)
)
。農村型 コミュニテ
●
ィビジネスの活動 ・事業領域や主体は、都市のそれ よりも幅広 く、かつ多様 と考 えら
れ るので、当面はそれぞれの事情に応 じてベス トソリューシ ョンをみいだ してい く他
はない。
図 7- 1 JAとコミュニティビジネスの関係
r
L
JA
l
i
●;
三 一
;-′ こ
a
a
支援
一一
一
一∴
一∴
協働
提言
1
55
金子郁容 「
それ はコミュニティかには じまった」 (
本間正明 ・金子郁容 ・山内
直人 ・大沢真知子 ・玄田有史 『コミュニテ
コミュニティビジネスの時代』岩波書店、
003
ィビジネスの時代』岩波書店、2
午)によれば、コミュニティビジネス とは何かについて、次のように述べてい
る。
コミュニテ ィビジネス とは、(
ローカル、ない し、テーマ)コミュニ
ティに基礎 をおき、社会的な問題 を解決す るための活動であ り、以
り、以
と考える。活動の担い手は、
える。活動の担い手は、NPO、株
下の 5つの特徴 をもつ もの と考
式会社、有限会社などさまざまな可能性がある。最初の 3つは組織
について、
最後の 2つはそれに参加す る個人についての特徴である。
① 「ミッシ ョン性」-コミュニテ
ィに貢献す るとい うミッシ
ョンを
ョン性」-コミュニティに貢献す
うミッションを
もち、その推進を第 1の 目的 とす る。
非営利追求性」-利益最大化 をめざしていない。
② 「
③ 「
具体的成果を上げ、
継続的成果」・
-(
経済的ない し非経済的な)具体的成果
を上げ、
活動が継続 して行われている。
④ 「自発的参加」-活動に参加す る人は自発的に参加
る人は 自発的に参加 している。
⑤ 「
る人の動機は金銭的
非経済的動機 による参加」-活動に参加す る人の動機
は金銭的
しろ、生き甲斐、人の役に立つ喜び、コミ
なものを第- とせず、む しろ、生
き甲斐、人の役に立つ喜び、コミ
23-24頁)
ュニテ ィ-の貢献な ど、非経済的なものが主である。 (
また、コミュニティビジネスが成立す る 3つのタイプとして、以下のようなも
つのタイプ として、以下のようなも
のを指摘 している。
タイプ
A ・行政や大企業ができない事業
(「
手が出ないこと
手が出ないこと」
」
)
)を行
を行
タイプ
B・
・
-企業 と競合 しなが ら、独 自の優位性 を発揮 して事業を行
タイプ
C・行政 とのパー トナーシ
ナーシップ
26頁)
ップ として事業を行 う。 (
コミュニテ ィビジネスは、それに参加す る個人にとって、社会-の
新 しいかかわ り方のひ とつの選択肢 を提供す るものに他な らない。
も大きな企業
そ して、組織 としては、行政 も大
きな企業 も手を出さない社会問題
、企業 と競 うことで、結果 として、利用者が質
として、利用者が質
を解決 し (
タイプA)
ビスを受けることを可能 に し (
の高いサー ビスを受けることを可能にし
タイプ B)、効率性や多様
性 な ど行政の不得意な部分を補完 ・強化す る (
タイプ C) ことで、
社会や コミュニテ ィに貢献す るものである。 (
40-41頁)
コミュニテ ィは人の集ま りであ り、
り、コモンズは場である。
コモンズは場である。 コモンズ
実際の部屋であるかもし
は、コミュニティのメンバーが集 う場所 (
1
56
れない
れ ない し、メー リング リス トであるかもしれない)であ
であるか もしれない)であ り、また、
コモンズはメンバーがアイデ
ィアや関心や情報を自
発的に持 ち寄 る
コモ
ンズはメンバーがアイデ ィアや関心や情報
を自発的に持
ところであって、関心を同
ところであって、関心
を同 じくす る問題解決の活動を共に行
る問題解決の活動 を共 に行 うこと
で発生す る信頼 と経験 を共同資源
を共 同資源 として蓄積するところである。
として蓄積す るところである。 さ
らに、コモンズは、各々のメンバーが、その共同資源
らに、コモ ンズは、各 々のメンバーが、その共同資源 を利用 して、
4
2頁)
それぞれに何か しらの具体的成果 を得 るところである。 (
資本主義経済を引っ張
ヒ トとい う資本で
資本主義経済 を引っ張 るエ ンジンがカネ ・モノ
モノ ・
・ヒ
あるとした ら、コモ
ら、 コモ ンズを生産的な場にす
ンズ を生産的な場 にす るためのエンジンはソー
るためのエ ンジンは ソー
-関係 資本)である。
シャル ・キャピタル (
-関係資本)である。
ピタル は、コミュニティの人
は、 コミュニテ ィの人 と人の関係性の構造
と人の関係性 の構造
ソーシャル ・キャ
キャピタル
に よって賦与 され るものであ り、従来のカネ ・モノ
モ ノ ・ヒ トが資本だ
が資本 だ
によって賦与
の意 味で、 コミュニテ ィのメンバーにとって、
ィのメンバー に とって、
といわれ るの と同様 の意味で、
つ ま り、ある 目標 を達成す るのに役立つ
ものである。
生産的なもの、つま
るのに役立つものである。
従来の資本が特定の個人や法人 に属す るものであるの とは違って、
とは違 って、
従来の資本が特定の個人や法人に属す
キャ ピタル は、コミュニテ
は、 コ ミュニテ ィの共同資源である。
ソーシャル ・キャピタル
コ ミュニテ ィの文脈 に ソーシャル
ソー シャル ・キャピタルの考
え方 をは じめて
コミュニティの文脈に
キャピタルの考え方をは
明示的に持 ち込んだ政治学者 の ロバー ト・パ ッ トナムは、 うま くゆ
明示的に持ち込んだ政治学者のロバー
くコミュニテ ィ とうま くゆかない
コミュニテ ィの差はコ ミュニテ ィ
くコミュニティとうま
くゆかないコミュニティの差はコミュニテ
ピタル にある
として、 さらに、 ソーシャル ・キ
の ソーシャル ・キャ
キャピタル
にあるとして、
として、 「
ャピタル を構成す るものの例 として、「
信用」 「
互酬性の社会規範」
互酬性 の社会規範 」
「
社会活動に関す
トワーク」
社会活動 に関す る市民ネ ッ トワー
ク」 とい う3つを挙げている。
つ を挙 げてい る。
(
4
2-43頁)
2)
金子郁容 「
それは
それはコミュニテ
コ ミュニテ ィかには じまった」 (
本間正明
本間正 明 ・金子郁容 ・山内
ミュニテ ィビジネスの時代』岩波書店、2
0
03
直人 ・大沢真知子 ・玄田有史 『コ
コミュニティビジネスの時代』岩波書店、
年)によれば、コミュニテ ィ
ィとは何かについて、次のよ
とは何 かについて、次のよ うに述べている。
うに述べてい る。
コミュニティは、ある種のあいまいさと多義性がある概念で、厳密
コ ミュニテ ィは、ある種 のあいまい さと多義性がある概念で、厳密
な定義がむずか しい。本書
しい。本書では、「
一定のルールを共有す
では、「
一定のルール を共有す る人々の集
ま り」をコミュニテ
」 をコミュニテ ィの基本 と捉 え、その上で、生活地域を共有す
え、その上で、生活地域 を共有す
る「
ローカル ・コミュニテ
テーマ ・
ィ」 と、関心や想いを共有す る 「
コ ミュニテ ィ」と、関心や想いを共有す
コミュニテ ィ」の両方 を考慮の対象
を考慮 の対象 としてゆくことにす る0 (
23頁)
以上か ら
分かるよ
コミュニティビジネスには生活地域の共有をベース
ら分か
るよ うに、 コミュニテ
ィビジネスには生活地域の共有 をベース と
す る 「ローカル ・コミュニテ
テー
コ ミュニテ ィ」 と、関心や想いの共有をベース
と、関心や想 いの共有 をベース とす る 「
つが ある。
コ ミュニティ」の 2つがある。
マ ・コミュニティ」の
フランスできコミューン、
ここで注意すべき点は、ヨー ロッパの
ロ ッパの コミュニテ ィ(
フランスできコミュー ン、
ドイツではゲマイ
ンデ) に当た る基礎的な 自治体は、おおむね 日本の基礎
的な
イツではゲマインデ)に当たる基礎的な自治体は、おおむね
本の基礎的な
1
57
自治体である市町村 よりも範囲や規模が小
よりも範囲や規模 が小 さく、教会や小学校を運営す るよ う
本の旧村 に該
な単位 で設定 されているとい うことである。すなわち、それは 日本の旧村に該
当す る範囲や規模 のものである。フランスのコミューンは約 3
3万
万6
6千余
千余 りある
とされ るが、その うち人 口が 500人に満たないコミューンは 2万以上もあると
万以上 もあると
いわれている。
章で述べたよ うに、小学校区を基礎単位 とす
とす るよ
こ うした観点に立てば、第 1章で述べたように、小学校区を基礎単位
連合 自治会)はフランスのコミューン、 ドイツのゲマイン
うな地域 自治組織 (
デに相 当す るもの と考えてよいであろ う。四 日市市県地区、
日市市県地区、松阪市松尾地区 (
コ
スモス)、東広島市河内町小 田地区 (
共和の郷 ・おだ)のまちづ くり活動は、い
コミュニティ」の範ちゆうに入
」 の範 ちゆ うに入 る取 り組み とみなす ことが
ずれ も 「ローカル ・コミュニティ
できる。
りん莱屋の活
ただ し、(
農)コスモスや (
農)ファーム ・おだ、お よび (
任)寄 りん莱屋
の活
として、関心や想いの
動は、当該地域のローカル ・コミュニティの成立を前提
コミュニテ ィの成立を前提 として、関心や想
いの
共有をベース とした 「
テーマ ・コミュニティ」の範 ちゆうに入 る取 り組み とみ
なすべきである。実際、「
コミュニティ」の領域
ローカル ・コミュニテ
ィ」の領域 と 「
テーマ ・コミュ
ニテ ィ」 の領域は排他的なものではなく、重複
の領域は排他的なものではな く、重複 した領域があると考えるのが妥
した領域があると考えるのが妥
当である。
らの組織 に含 ま
一方、 (
樵)げんきの郷、 (
樵)南信州観光公社、な らびにそれ らの組織に含ま
下僚ふるさとう
まい会などの事業者 (
れる (
有)小池手作 り農産加工所、(
農)下僚ふ
るさとうまい会などの事業者
一
般的にいえば、農村ツー リズムを構成す る体験、加工、直売、宿泊などの事業
者)は、「
ローカル ・コミュニティ」よ
コミュニテ ィ」 よ りも広い範囲で成立する
りも広い範囲で成立す る 「
テーマ ・コミ
ュニテ
ィ」
」 を形成 しているとみなすべきである。
ュニティ
われわれが ヨー ロッパで調査を行った対象はCSA、ワイン、バイオガス、ア
ロッパで調査を行 った対象は CSA、ワイン、バイオガス、ア
グ リ・ツー リズムなどであるが、これ らについても 「
コミュニティ」
ローカル ・コミュニテ
ィ」
とい うよ りは 「
コミュニティ」が形成
テーマ ・コミュニテ
ィ」が形成 されているとみなされるべきで
されているとみなされ るべ きで
ある。ただ し、 日本 とヨーロッパに共通 していることは、こうした 「
テーマ ・
コミュニティ」の成立の前提 として、「
ローカル ・コミュニティ」が形成 されて
いるとい う点である。
3)
ドイツでは昼食 を 「
温かい食事 (
War
meEs
s
e
n)
」 と呼び、朝食 と夕食は
と夕食 は 「
冷
たい食事 (
Ka
l
t
e
sEs
s
e
n)」 と呼んで区別 している。 「
冷たい食事」はパ
冷たい食事」はパン、チ
ン、チ
ーズ、 コー ヒーだけの質素な、かつ退屈な食事である。 これに対 して、 「
温か
い食事」はそれにスープ、肉料理がつ く一 日で最 も重要な食事 とみなされてい
る。
4)
詳 しくは ht
t
p:
/
/
www.
npohome
page.
go.
j
p/
r
e
po
r
t
/
020628
c
hukan/
0402・
ht
mlを
参照のこと
。
158
5)
山内直人 「
NPO ・コミュニテ ィビジネスの課題 を考 える」 (
本間正明 ・金子
郁容 ・山内直人 ・大沢真知子 ・玄田有史 『コミュニティビジネスの時代』岩波
書店、2003年)を参照のこと。
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