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一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ
改造事業(1) −フランス住宅法制の史的考察 その
二−
吉田, 克己
北大法学論集, 46(3): 43-100
1995-09-29
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/15620
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
46(3)_p43-100.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
はじめに
l l フランス住宅法制の史的考察
日
次
一建物賃貸借の法構造とその特質
4 3
賃貸人・賃借入聞の権理義務関係
1 建物賃貸借の諸類型
2 賃貸借契約の成立とその期間
士口
田
克
己
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業付
i
説 :
家賃をめぐる法律関係
北法46(
3・
4
3
)
4
7
7
論
説
号ム
白岡
5 小括
l │ │住 宅 賃 貸 借 の 法 構 造 の 特 質
二第二帝政期の都市改造事業と賃貸不動産市場
三第二帝政期の高家賃問題と制度改革要求
はじめに
(l)
(以上、本号)
フランス住宅法の史的考察に関する第一の作業を行なった前稿において、われわれは、研究対象として取り上げるべ
き 具 体 的 法 領 域 と し て 、 ① 非 衛 生 住 宅 問 題 に 対 処 す る た め の 諸 立 法 (H非 衛 生 住 宅 立 法 ) 、 ② 建 物 賃 貸 借 関 係 に 対 し て
私 法 レ ベ ル で の 介 入 を 行 な う 諸 立 法 (H建 物 賃 貸 借 特 別 法 制 ) 、 ③ そ し て 勤 労 者 の 住 要 求 充 足 を 図 る 社 会 住 宅 立 法 ( フ
ラ ン ス で は 低 廉 住 宅 H B M立 法 と し て 展 開 す る ) の 三 つ を 設 定 し つ つ 、 こ れ ら の 法 領 域 に お け る 法 制 度 展 開 の 相 互 連 関
のあり方にそれぞれの国における住宅法制の構造的特質を捉える、 と い う 視 角 を 提 示 し た 。 か か る 課 題 と 視 角 の 設 定 に
基づいて、前稿においては、 ま ず も っ て 主 と し て 一 九 世 紀 前 半 期 の フ ラ ン ス を 対 象 と し つ つ 、 ① の 領 域 に お け る 問 題 の
展開、すなわち非衛生住宅問題と法についての分析を行なったわけである。本稿では、この作業を受けて、今度は②の
(
2
)
領 域 に 対 象 を 移 し た 検 討 を 行 な う こ と に し た い 。 時 期 的 に は 、 一九世紀の後半期、 よ り 具 体 的 に は 第 二 帝 政 期 が 扱 わ れ
ることになる。
もっとも、研究対象を②の領域に移すといっても、 フ ラ ン ス に お い て 建 物 賃 貸 借 の 領 域 で の 立 法 的 介 入 が 本 格 的 に 展
関するのは、第一次世界大戦以降のことである。本稿が対象とする一九世紀の時期には、この領域での特別立法の展開
ヰ
ヒ
法46(3・44)478
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
はいまだほとんど見られない。わずかに実現したのは、並日仏戦争を契機とする家賃モラトリアム措置と、 それによって
累 積 し た 未 払 家 賃 決 済 問 題 に お け る 一 定 の 家 賃 減 免 措 置 で あ っ た が (一八七一年四月一一一日の﹁家賃に関する法律﹂)、
一 九 世 紀 中 は 、 基 本 的 に 一 八O 四 年 の ナ ポ レ オ ン 法 典 に 服 し て い た の で あ る 。
これは特別の状況のもとで実現した特別の措置であり、 も と も と 一 般 的 に 存 続 し う べ き 性 格 の 改 革 で は な か っ た 。 建 物
賃貸借は、
一九世紀中に建物賃貸借の領域で問題がなかったことを
一九世紀後半の第二帝政期に入ると、
一九世紀の前半期には、住宅問題は、主要には非衛生住宅問題として
いまだ特別法制の展開が見られないことは、しかしながら、
意味するものではない。前稿で検討したように、
捉えられ、制度改革要求も住宅問題のこの側面に集中する傾向があった。しかし、
状況は明確に変化してくる。建物賃貸借に関する制度改革を求める要求が目立つようになるのである。その直接の契機
となったのは、この時期オスマンによって実施されたパリ改造事業であった。それは、パリ都心部における労働者住宅
の供給減少と家賃の急騰をもたらし、 そ の 当 然 の 帰 結 と し て 家 主 と 借 家 人 間 と の 問 の 対 抗 関 係 を 激 化 さ せ た 。 高 家 賃 問
題の深刻化である。高家賃問題への対処を目指す制度改革要求は、前稿で検討した非衛生住宅排除要求とは明確に主体
を異にし、問題把握の仕方も異にする。それは、住宅問題の解決について、非衛生住宅排除要求とは方向の異なるベク
トルを形成し、 そ の 結 果 、 諸 ベ ク ト ル の 総 和 と し て 形 成 さ れ て い く 現 実 の 住 宅 法 制 の 理 念 と 内 容 に 影 響 を 与 え て い く こ
とになろう。
一九世紀における賃貸住宅の供給は、完全に市場原理が支配する形でなされていた。また、契約当事者間の建物賃貸
借 関 係 は 、 契 約 自 由 の 原 則 に 基 づ い て 形 成 さ れ た 。 十 分 な 家 賃 負 担 能 力 を 持 っ て い る 富 裕 な 階 層 に と っ て は 、 かかる市
場構造は自己の住要求の充足にとって決して阻害的なものではなかったであろう。しかし、問題は、十分な家賃負担能
力を持っていない都市勤労者層の住要求の充足である。市場原理の貫徹のもとで、貸家は具体的にはどのように供給さ
北j
去46(3・
45)479
説
白岡
三A
れたのか。そして、 オスマンのパリ改造事業は、 そ の よ う な 貸 家 供 給 に と っ て ど の よ う な 意 味 を も っ て い た の か 。 ナ ポ
レオン法典賃貸借規定のもとで、建物賃貸借関係の現実の存在構造はどのようなものであったのか。家主・借家人間の
関係においてどのような矛盾・問題点が現実に存在し、 その克服のためにどのような改革要求が提示されていたのか。
こ れ ら の 改 革 要 求 が 立 法 と い う 形 で の 改 革 に 結 実 し な か っ た と す れ ば 、 それは何故なのか、 そして、 そ の こ と の 歴 史 的
意義をどのように評価すべきなのか。これらが、本稿で追究しようとする問題である。
(←こ。
そ の 後 、 住 宅 問 題 へ の 影 響 と い う 視 点 を 中 心 と し て 、 セl ヌ 県 知 事 オ ス マ ン に よ る パ リ 改 造 事 業
以下では、 ま ず 、 ナ ポ レ オ ン 法 典 の も と で の 建 物 賃 貸 借 関 係 が ど の よ う な も の で あ っ た の か 、 そ の 法 構 造 と 特 質 の 析
出を試みる
を取り上げる。この事業は、パリの都市構造という観点から重要な意義を有するだけでなく、賃貸不動産の供給構造の
←
一
一
)
。 そして、 そ の 後 に 、 こ の 時 期 の 高 家 賃 問 題 の あ り 方 と さ ま ざ ま な 制
変化という観点からも重要だからである (
度改革要求を検討する。その延長上で、普仏戦争時の家賃モラトリアム措置とその決済問題が取り上げられる (
←
一
ニ
)
。
なお、以下の考察においては、対象を基本的にパリに限定し、地方都市の事情については考察の対象から除外せざるを
えなかった。主として史資料面での制約によるが、住宅問題という一の社会問題にとってパリの占める重要性を考えれ
ば、さしあたりはこのような限定も許されるものと考える。
(1) 吉田克己﹁一九世紀フランスにおける住宅問題と法付、。﹂法政理論一九巻二号 (一九八六年)、同二O巻四号 (一九八
八年)。
公表する予定で、前稿はその第一章、本稿はその第二章とするつもりであった。しかし、掲載誌が変わるなどの事情もあり、
(
2
) 前稿執筆段階の構想では、フランス住宅法の歴史研究のうち少なくとも一九世紀を対象とした部分は一本の論文として
││内容的には前稿の続きであるが!││別個の論文として発表することにした。予定の変更について御海容をお願いする
北法46(
3・46)480
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
次第である。
建物賃貸借の法構造とその特質
一九世紀フランスにおける建物賃貸借の法構造分析であるが、同じく建物賃貸借といっても、そこに
建物賃貸借の諸類型
本節の課題は、
は社会的性格の異なる多様なものが含まれている。本稿の直接の関心の対象は、この時期の都市民衆にかかわる住宅賃
(EB2宮 市 フ ラ ン ス で は 一 般 的 に 中 高 層 の 集 合 住 宅 建 物 を 意 味 し 、 本 稿 で も そ の 意 味 で
貸借である。そこで、検討の対象を明確にするために、最初にいくつかの異なる視角から建物賃貸借の区分を行なって
おくことが適当であろう。
(1) ま ず 、 都 市 の 不 動 産
この言葉を用いる) の 賃 貸 借 に は 、 不 動 産 全 体 の 賃 貸 借 と 個 々 の 住 戸 ・ 区 画 部 分 の 賃 貸 借 ( ま た は 転 貸 借 ) があり、
れらの社会的意味は大きく異なる。都市の不動産所有者が賃貸不動産の経営に当たる形態には、自ら直接に賃貸人とし
てエンド・ユーザーに対して住宅を供給する場合と、 エ ン ド ・ ユ ー ザ ー に 対 す る 供 給 を 他 の 第 三 者 に 委 ね る 場 合 と が あ
る。後者の場合には、 ま ず そ の 第 三 者 ( 基 本 賃 借 入 ) に 不 動 産 全 体 の 賃 貸 借 が 行 な わ れ 、 基 本 賃 借 入 が 個 々 の 住 戸 の 賃
貸 借 (H転貸借) を 行 な う と い う 形 が と ら れ る 。 こ こ で は 、 不 動 産 全 体 を 対 象 と す る 賃 貸 借 の 社 会 的 実 態 は 管 理 委 託 で
あり、基本賃借人は管理受託者に他ならない。
北法4
6
(
3・
4
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契約の形式と内容も、この二つの賃貸借類型においては異なることが多い。不動産所有者と基本賃借入との問で締結
される不動産全体を対象とする賃貸借契約は、書面で行なわれることが多く、期間も一般的に明示される。これに対し
(1)
て、個々の住戸の賃貸借は、 そ れ が 不 動 産 所 有 者 と の 間 で 直 接 に な さ れ る 場 合 で あ れ 基 本 賃 借 入 と の 間 の 転 貸 借 の 形 を
とる場合であれ、書面でなされることはまずなく、期間も定められない。民法典上は、﹁書面による賃貸借宮口常江円﹂
と ﹁ 口 頭 に よ る 賃 貸 借Z ニ
︿
巾
﹃Z ご と が 区 別 さ れ 、 契 約 成 立 の 立 証 な ど の 点 で 異 な る 扱 い を 受 け る (一七一四条以下)。
建物賃貸借についていえば、この区別は、右の二つの社会的性格の異なる賃貸借類型の区別とほぼ重なるものとみてよ
ぃ。賃貸人・賃借入聞の権利義務に関する約定も、この両者で異なることが多い。最も明確なのは転貸借の扱いである。
{
2
)
(3)
不動産全体の賃貸借の場合には、ことがらの性質上当然に転貸借が許容されるのに対して、個々の住戸の賃貸借におい
てこの点にかかわる約定がなされる場合には、その権能は一般的に否定されるのである。
(2) 次 に 、 不 動 産 内 部 の 個 々 の 住 戸 ・ 区 画 部 分 の 賃 貸 借 に お い て は 、 そ れ が 住 宅 用 と し て 賃 貸 さ れ る 場 合 と 、 商 業
一階以上の区画は住宅用として賃貸されるの
用 ま た は 工 業 用 ( 一 般 的 に は 小 規 模 の 手 工 業 で あ る ) に 賃 貸 さ れ る 場 合 と が 区 別 さ れ る 。 な お 、 不 動 産 の 地 表 階 ( ﹃2 ・
am-nF出巴出回会川) に 所 在 す る 区 画 は 商 工 用 す な わ ち 営 業 用 と し て 賃 貸 さ れ 、
(4)
が一般的な形である。
民法典は、この二つの賃貸借類型について区別を設けていない。しかし、両者の保護法益と問題状況はきわめて異な
る。最も顕著にその違いが現われるのは、営業用建物賃貸借においては、賃貸借終了時に、賃借入が形成してきた顧客
と い う 財 産 的 価 値 (H営業財産問O
E
M 号 gEU22) の 保 護 が 問 題 に な る の に 対 し て 、 住 宅 賃 貸 借 の 場 合 に は 、 そのよ
うな問題は生じないという点である。また、賃貸借の期間中についても、営業用賃貸借の場合には、営業財産の譲渡性
を確保するために賃借権の譲渡性が要求されるのに対して、住宅賃貸借の場合には、 そのような要請は特に生じないと
北法46(3・
48)482
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
一九世紀の問は、 い ま だ そ の よ う な 動 向 は み ら れ な い が 、
商 事 賃 貸 借 ∞E
HnoEヨ巾EEH特 別
い う 違 い が あ る 。 こ の よ う な 点 か ら 、 二O 世 紀 に 入 る と 、 営 業 用 建 物 の 賃 貸 借 に 関 す る 特 別 の 法 的 保 護 を 求 め る 要 求 が
一九二六年六月三一O 日の法律である)。
(5)
強く提示されるようになり、これを受けてこの領域での特別法制が展開していく
法制。その暗矢は、
期間などの点に関して地域の慣行は営業用賃貸借を別個に扱っていたし、賃借権の譲渡など判例上住宅賃貸借と異なる
解決を認められる点もあった。
(3) 個 々 の 住 戸 を 対 象 と す る 住 宅 賃 貸 借 に つ い て も 、 そ の 家 賃 水 準 に よ っ て 社 会 的 性 格 が 異 な る こ と を 指 摘 す る こ
とができる。ごく一般的にいえば、家賃水準の高いブルジョワ住宅ないしそれに準じる住宅と家賃水準が低い労働者向
(
6
)
けの住宅とでは、賃貸借関係の社会的性格が大きく異なるのである。一九世紀後半期、第一二共和政期の租税実務では、
お お む ね 年 家 賃 五0 0フ ラ ン と い う 水 準 が こ の 二 つ の 賃 貸 借 類 型 を 分 け る 基 準 と さ れ て い た 。 後 に 見 る よ う な 当 時 の 都
市 民 衆 の 収 入 水 準 か ら は 、 年 五0 0フ ラ ン の 家 賃 は 高 す ぎ る と い う 印 象 が あ る 。 少 な く と も 第 二 帝 政 期 に つ い て は 、 労
働者の支払い能力の水準はもう少し引き下げられる必要があろう。ともあれ、数値的に一義的な線を引くことは難しい
し、中間領域が存在するのも当然であるとはいえ、この二つの類型の賃貸借が存在すること自体は疑いのない事実であ
る。法的規整の次元では、家賃の多寡によって取り扱いが異なることはあまりないが、 それでもまったく同じというわ
けではない。
(7)
(4) さ ら に 、 家 具 な し で 賃 貸 さ れ る 通 常 の 住 宅 賃 貸 借 と 、 家 具 付 き で 提 供 さ れ る ﹁ 家 具 、 付 賃 貸 借 o
円住吉g 官﹁ヨ﹂
とが区別される。この両者は、法律的に明確に区別されるだけでなく、その社会的性格にも違いがある。後者の家具付
賃貸借には、富裕な旅行客ないし短期滞在者を対象にした高級ホテル的イメージのものから低所得者層のための木賃宿
的イメージのものまで、社会的には種々雑多なものが入ってくるが、社会的に重要な意味を持ったのは、都市民衆層に
北i
去46(3・49)483
説
号ι
関岡
か か わ り の あ る 低 料 金 (低家賃) の 家 具 付 賃 貸 借 で あ る 。 前 稿 で ﹁ 家 具 付 宿 泊 所 ﹂ と 呼 ん だ の は 、 こ の よ う な 類 型 の 家
具付賃貸借である。これと低家賃の家具なし賃貸借とを比較すると、家具付宿泊所には、家具を購入する資力に欠ける
者にも入居可能だという意味で、 よ り 低 所 得 の 都 市 民 衆 が 入 居 す る 傾 向 に あ っ た 。 ま た 、 家 具 付 宿 泊 所 へ の 入 居 者 に は 、
単 身 者 ゃ い ま だ パ リ に 定 着 し て い な い 地 方 か ら の ﹁出稼ぎ﹂労働者が多かったという遠いも指摘される。
さて、以上のような建物賃貸借の諸類型のうち、以下での主たる関心の対象になるのは、個々の住戸を対象とする住
宅賃貸借のうち低家賃のものの法構造とその特質である。都市民衆に関係がある建物賃貸借は、 まさにこれらの類型に
属するものだからである。なお、家具、付宿泊所の賃貸借関係においても、 と り わ け 家 賃 ( 宿 泊 料 ) 高 騰 を 初 め と す る 賃
貸人・賃借入聞の対抗関係は激化したものと考えられるが、それは改革要求に結びつくことがなかったため、以下では
原則として触れることをしない。この類型の賃貸借が特に問題として取り上げられるのは、非衛生住宅問題の局面にお
いてである。他方、営業用の建物賃貸借については、前述のように賃貸借関係における問題状況は住宅賃貸借と大きく
一九世紀中葉のそれであり、検討の素
異なるが、同じく都市民衆がその担い手であることが多いため、必要に応じて以下でも触れることにする。
また、以下で建物賃貸借の存在構造を語る場合に主として想定しているのは、
材とする学説なども、主としてはその時期のものを用いている。しかし、必要がある場合には、旧制下の学説(特にポ
チエ)、 ま た 一 九 世 紀 後 半 か ら 末 葉 の 文 献 も 参 照 す る こ と は 当 然 で あ る 。 学 説 の 顕 著 な 展 開 が あ っ た 論 点 に お い て は 特
にそうである。
誌の指摘を参照。
(
1
) この占⋮については、の即日コこ﹀わρcE呂-戸切となぜ悼と向島HhuQH内包舟守 -HW門 出 巴 。 ロ 印 己 巾w
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北法4
6
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3・5
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4
8
4
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
し(これは少なくなかったようである)、個々の住戸・区画の賃貸借でも書面でなされるものがありうるからである。
(2) も ち ろ ん 、 重 な り 方 は ﹁ ほ ほ ﹂ で あ っ て 、 ﹁ 完 全 に ﹂ で は な い 。 不 動 産 全 体 の 賃 貸 借 で も 口 頭 で な さ れ る も の は あ り う る
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) た と え ば 、 ﹁ R K )︹﹀﹁
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同∞品、円司早川W 2 2ミ ・ に 収 録 さ れ て い 私 署 証 書 に よ る 賃 貸 借 契 約 の 雛 型 を 参 照 ( 転 貸 借 の 扱 い に つ い て は ℃ N吉田)。また、
録されている﹁家屋賃貸借契約﹂と﹁アバルトマン賃貸借契約﹂との雛型を比較すると、前者の場合には(不動産全体の
3
r ﹀の百rppミ皇室二時師、、も号、宣言問こRミ35km韮号室戸、E- 同∞8 ・31∞-no印凹巾え冨白﹃各国戸℃-。。∞ 2 2芝田に収
賃貸借はこちらに入る)、賃借人による廟坑凌深費用の負担義務や井一戸凌諜費用の負担義務など一棟の不動産全体の管理に
かかわる義務が規定される一方、賃借権の譲渡は禁止しつつ転貸借についてはそれを許容する特約(民法典上は特約で排
除しない限り賃借権の譲渡・転貸借が可能であるが[一七一七条]、それを契約で確認する場合もある)を挿入することも
選択肢の一つに入ってくる。これに対して、後者の場合仁は、右のような義務が定められることはないが、賃借権の譲渡
の場合には書面によることが例外的であることを考えれば、このような雛型が持つ意義も、この類型の賃貸借については
はもとより転貸借も単純に禁止される、という遠いがある。もっとも、本文で記したように、個々の住戸・区画の賃貸借
限定的に捉えるべきであろう。
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円宮口訟なョと呼ばれ、日本で建物の二階、
(4) フ ラ ン ス に お い て は 、 周 知 の よ う に 、 日 本 で 建 物 の 一 階 と 呼 ば れ る 部 分 が
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号
JR-PO
三階:::と呼ばれる部分が、順次一階(古﹃mB5・公お巾)、二階:::と数えられていく。日本流の数え方にあわせて、
44
S22gz を﹁一階﹂、ぜ﹁25﹃企白岡市 、dEHF舟呂町か円高巾si---をコ一階﹂﹁一一一階﹂:::と訳すのが普通かと思われるが、ここ
ー
で は 原 語 を 尊 重 し て ぜ ﹁22巾﹃吟おべ、ぷ巾E
H
E︼巾骨片山岡市三:::を﹁一階﹂﹁二階﹂:::と訳すことにする。他方、 JRe号
EEZZ3については﹁地表階﹂の訳語を当てることにする。
円
ン ス に お け る 商 事 賃 貸 借 特 別 法 制 の 形 成 と そ の 展 開 山 山 完 ﹂ 社 会 科 学 研 究 二 九 巻 六 号 、 三O巻一号(一九七八年)。
(5) フ ラ ン ス に お け る 商 事 賃 貸 借 特 別 法 制 の 形 成 過 程 と そ の 展 開 に つ い て は 、 か つ て 検 討 し た こ と が あ る 。 吉 田 克 己 寸 フ ラ
準プルジョワ住宅、それ以上をブルジョワ住宅とするのが第三共和政期の区分であったという。
(6)nF﹃回目門戸田口↓ 02jFO︿- h内E
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ω ∞寸・司・ごめによれば、年家賃五0 0フ ラ ン 未 満 を 労 働 者 住 宅 、 五0 0フランから一 000フランを
2 2円
北法46(
3・
51
)485
(
7
) 私法的な法律関係の違いのほかに、きわめて重要な違いとして、家具付賃貸借においては、賃貸人に警察規制の観点か
ら 種 々 の 義 務 が 課 せ ら れ る こ と が あ る 。 そ の 具 体 的 内 符 に つ い て は 、 E225三月ucgc目。開山﹀︼完叶叩﹀斗国{﹄印'C5弘司門出向的
目
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33 号、九!な之町もさ占 Hha--v 3
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巾
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g門町民白匹目∞ N∞・百円。叶巾[印ロ﹄ぐ喝の宮山﹁-巾的吋﹀月﹄ Z開
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G弘、札号
古門白芯ヰ色町町、苫芝、松町三詩的 KSHh hH
﹃
白
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三
一
巾
﹀ CZ
F白血戸田C P H∞
品
。
・
刀 52Z2・山
き町内へ匂ト甘印∞日 222 な ど 参 照 。 現 実 的 に 重 要 な
戸 -hH百
h戸
のは、家具付宿泊所においては帳簿備付義務が課され、賃借入(宿泊人)の氏名、年齢、職業、出生地、住所などを記載
室主陶芸室守5 ・司出﹁四回-﹁
すべきものとされていることであろう。この帳簿は、警察の管理のもとに間かれ、住民の出入り状況掌握の手段として活
用された。家具付宿泊所が警察規制の対象になる法理論的根拠については、吉田克己﹁一九世紀フランスにおける住宅問
題 と 法 口 ﹂ 法 政 理 論 二O巻 四 号 二 九 八 八 年 ) 六 五 頁 参 照 。
賃貸借契約の成立とその期間
賃貸借契約の成立
フランス民法典における賃貸借契約は不要式の諾成契約であって、とくに書面によることを要求されていない
'EA
)
(
民 法 典 に 定 め ら れ た 証 拠 法 の 一 般 原 則 に よ れ ば 、 対 象 が 価 額 一 五0 フ ラ ン を 超 え る 行 為 に つ い て は 公 証 人 証 書 ま た は
られていた。
単なる口頭の賃貸借契約は、 そ の 成 立 の 局 面 に お い て 、 証 拠 法 上 の 特 別 の 規 定 に よ っ て そ の 実 際 上 の 効 力 を 著 し く 弱 め
の一般法上の有効要件が充足される限り有効に成立する。しかし、これはあくまで法律上の建前であって、現実には、
一四条)。したがって、都市の低家賃の住宅賃貸借のほとんどすべてがそうであった単なる口頭による賃貸借でも、他
七
2
自
党
論
北法 46(
3・52)486
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
(8)
私 署 証 書 の 作 成 が 要 求 さ れ 、 証 人 に よ る 立 証 が 否 定 さ れ る (一三四一条)。 た だ し 、 ﹁ 書 証 の 端 緒g 呂田町田2g巾三号
れ る よ う に な る 。 他 方 、 対 象 が 価 額 一 五0 フラン以下の行為については、
一三四一条の反対解釈によって当然に証人に
℃
﹃
巾
巴
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巾 URRコ ど が あ る 場 合 に は 、 こ の 原 則 に つ い て の 例 外 が 認 め ら れ 二三四七条一一項)、証人による立証が認めら
よる立証が許されるものと解されていた。しかし、不動産賃貸借の領域においては、﹁書面なしになされた賃貸借契約
についていまだいかなる属行(内見
25口) も な さ れ て い な い 場 合 で 、 契 約 当 事 者 の 一 方 が そ れ を 否 認 す る 場 合 に は 、
そ の 賃 料 が い か に 僅 少 な も の で あ っ て も 、 証 人 に よ る 証 明 は 受 領 さ れ な い ﹂ も の と さ れ る 。 ﹁ 手 付 け E F2﹂ が 授 受 さ
﹃
﹁
一七一五条一項)。すなわち、賃貸借契約に関しては、証人による立証に関して一般原
れた場合も同様である
則よりも厳格な態度が採られ、 た と え 価 額 が 一 五0 フラン以下の場合であっても、 それが否定されるのである。
この規定は、賃貸人・賃借入のいずれに対しても影響を及ぼしうるが、賃貸借市場の需給関係の当時のあり方を前提
にすれば、現実には、玉として賃借入に不利に作用したと見て間違いがないであろう。民法典の立法過程において証人に
(9)(m)
よる立証を否定する論拠として述べられたのは、資産に乏しい者にとっては、訴訟は破滅につながる、 ということであ
っ た 。 こ の ﹁ 温 情 主 義 的 ﹂ 根 拠 づ け に ど れ だ け 説 得 性 が あ る か 問 題 で あ る が 、 ともあれ、この結果、﹁契約の履行﹂(こ
の文言の意義についても解釈が一義的ではないが、たとえば入居による使用開始と家賃の支払いがともにあれば﹁履行﹂
あ り と 見 ら れ る こ と に つ い て 問 題 は な い ) 前 に 賃 借 入 が 賃 貸 人 か ら 賃 貸 借 契 約 の 存 在 を 否 認 さ れ た 場 合 に は 、 それを裁
判 上 争 う 途 は 事 実 上 封 じ ら れ た の で あ る 。 唯 一 可 能 な の は 、 そ の よ う な 賃 貸 人 に 対 し て 宣 誓 ( 二 二 五 八 条 以 下 ) を要求
することであるが (一七一五条二項)、賃貸借契約の存在を否定した賃貸人がここで態度を変えることはあまり期待さ
れないであろう。
学説上は、書証の端緒がある場合に証人による立証が認められるようになるか、が激しく議論された。証人による立
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法4
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(
3・5
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)
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以
上
(HH)(
円以)
証禁止という一般原則を書証の端緒がある場合に緩和する一三四七条を、賃貸借契約における例外的扱いにも適用しう
るかが問われたのである。しかし、一九世紀の後半期に、判例は結局これを否定する。肯定説は、民法典一七一五条に
﹁契約の履行﹂をど
は問題があるとの認識を基礎にしてその射程を可能な限り縮減しようとする立場であるが、判例は、 かかる立場に立た
なかったわけである。また、﹁契約の履行﹂後には証人による立証が可能になるといっても、
そ
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用されることである。前述のように、手付けが授受された場合にもこの規定が適用される以上、﹁ドゥニエ・ア・デユウ﹂
成立が確認されたとしても、 口 頭 に よ る 賃 貸 借 に つ い て 証 人 に よ る 立 証 を 排 除 す る 一 七 一 五 条 の 規 定 は 、 依 然 と し て 適
観点からの批判がある。しかし、より注意すべきは、﹁ドゥニエ・ア・デユウ﹂が授受されて口頭による賃貸借契約の
(日)
を取り戻して契約関係を解除することを認めるものがあった(とりわけパリ慣行)。この慣行に対しては、合意尊重の
(日)
地域的慣行の中には、この金銭授受から二四時間以内であれば、賃貸人の側からこれを返還し、または賃借入がこれ
る謝意の表明という意味を持つと同時に、 口 頭 に よ る 賃 貸 借 契 約 が 成 立 し た こ と を 確 認 す る 意 味 を 持 っ た 。
借ケ l ス で は す べ て こ の 金 銭 の 授 受 が 行 な わ れ た と い う 。 こ の 金 銭 は 、 管 理 人 の 諸 手 間 ( 住 戸 訪 問 の 案 内 な ど ) に 対 す
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と呼ばれる金銭が賃借希望者から管理人に対して支払われることが多かった。とくにパリにおいては、口頭による賃貸
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gぽ﹁酔E2神への献金)﹂
を述べ、管理人がそれを承諾するという形でなされる。その際に、﹁ドゥニエ・ア・デユウ (
本賃借入) と の 間 で 直 接 に 締 結 さ れ る の で は な く 、 賃 借 希 望 者 が そ の 不 動 産 の 管 理 人
ところで、不動産中の個々の住戸の賃貸借契約は、通常、賃貸人(不動産所有者または転貸借関係がある場合には基
とうのである。
の証人による立証を否定していた。口頭による賃貸借においては、その存在に関する立証の困難性がどこまでもつきま
(日)
のように証明しうるかが現実には重要な問題となる。この点に関しても一九世紀の判例は厳格であり、﹁契約の履行﹂
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V という三位一体定式がほぼ成立していたことになる。したがって、こ
このようにして、本稿での主たる関心の対象である都市における個別住戸の賃貸借については、八個別住戸の賃貸借
で、結果として期間の定めのない賃貸借と扱われざるをえない、ということになろう。
説による場合には、賃貸入によって期間の定めの存在が否定されれば、賃借入の側からそれを立証することはまず困難
説が分かれ、肯定説が次第に有力になっていったと見られるが、否定説も初期の学説を中心に根強く主張された。否定
(初)
期間(およびその他の契約条件) について証人による立証が可能かが改めて問題になるのである。この点については学
約の存在自体について証人による立証が可能なことは民法典一七一五条の反対解釈から問題がないにしても(←川)、
による契約において期間が定められたとしても、 そ の 立 証 の 問 題 が あ る 。 こ の 契 約 の 履 行 が 始 ま っ た 場 合 に 、 賃 貸 借 契
れ、これに対して契約が口頭でなされる場合には、期間が定められることはまずなかったのである。加えて、仮に口頭
(
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かの形式と密接に結びついていた。すなわち、契約が書面でなされる場合には、 ほとんどすべてについて期間が定めら
ところで、期間の定めの有無は、実際の住宅賃貸借慣行においては、契約が書面によってなされるか口頭でなされる
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ることができる。期聞が定められる場合には、賃貸借契約は、 その期間の満了時に解約申入れ
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従 っ て 定 め ら れ る 期 間 ( 告 知 期 間 ) を 遵 守 し て 、 解 約 申 入 れ を 行 な う こ と が で き る (一七三六条)。
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れらの賃貸借においては、前述のように、民法凪二七三六条により、地域の慣行に従った告知期簡を遵守することによ
って何時でも契約関係を終了させることが可能になる。この告知期間に関する慣行は、地域によってまちまちである。
さ ら に 、 各 地 域 に お い て 賃 貸 借 の 単 位 と な る 期 間 ( 賃 貸 借 単 位 期 間 信 ﹁ 呂 町 ) と そ の 賃 貸 借 期 間 を 区 切 る 期 日 (以下、賃
貸借期日という) に 関 す る 慣 行 が あ り 、 こ れ ら が 結 び つ い て 、 多 様 な 現 実 の 制 度 が 形 成 さ れ て い た 。 以 下 で は 、 対 極 的
(幻)
な二つの制度のあり方を示していると見られるオルレアンとパリの制度を見ょう。
まず、 オ ル レ ア ン に つ い て い え ば 、 賃 貸 借 期 間 の 単 位 は 一 年 間 で あ り 、 こ れ を 区 切 る 期 日 は 、 サ ン ・ ジ ャ ン ・ パ チ ス
トの日 (六月二四日) とされていた。 つまり、慣行上の賃貸借単位期間は、 サ ン ・ ジ ヤ ン ・ パ チ ス ト の 日 に 始 ま り 翌 年
の そ の 前 日 に 終 わ る の で あ る ( な お 、 こ れ は 都 市 の 家 屋 賃 貸 借 に か か わ る 場 合 。 農 村 に つ い て は 、 聖 人 達 の 日 可ozg巳三
一一月一日] が 賃 貸 借 単 位 期 間 を 区 切 る 賃 貸 借 期 日 で あ る ) 。 賃 貸 借 契 約 の 当 事 者 が 期 間 を 定 め な か っ た 場 合 に は 、 契
約締結の日以降に開始する賃貸借単位期間(六月二四日から一年) を対象として契約を結んだものとみられ、仮に賃借
人 が そ の 賃 貸 借 期 日 (六月二四日)前に使用を開始した場合には、賃貸借は、 そ の 日 か ら 次 の 賃 貸 借 期 日 お よ ぴ そ の 賃
α の期間となる)。そして、この一
貸 借 期 日 か ら 一 年 間 の 賃 貸 借 単 位 期 間 に つ い て な さ れ た も の と み な さ れ る (一年+
年の賃貸借単位期間の満了によって、賃貸借は、事前に解約申入れを行なうことを必要とせずに、当然に終了するもの
一個の賃貸借単位
とされた。これは、結局、当事者が期間を定めなかった場合について、契約時点以降の賃貸借期日から一年の期間を定
めて賃貸したのと同じ法的効果を慣行によって付与する、ということである。
(
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)
一年は四個の賃貸借単位期間に分けられる。 つまり、
一月一日、四月一目、七月一目、
次にパリにおいては、 オルレアンと異なり、
期間の長さは三カ月であり、それぞれの期間は、
一二月コ二日である)。期間を定めなかった賃貸借契約は、これらい
一
O 月 一 日 に 開 始 す る (満了期はそ
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一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
ずれかの賃貸借単位期間だけ継続する。ただし、 オ ル レ ア ン 慣 行 と 異 な り 、 こ の 三 カ 月 の 期 間 の 経 過 に よ っ て 賃 貸 借 関
(お)
係が当然に終了するということはない。賃借入が収益を継続していれば、賃貸人が解約申入れをしない限り、賃貸借契
約は継続していく。この告知期間は、賃貸借の目的物の種類と家賃額によって異なる。まず、建物全体の賃貸借、地表
階に所在し、公衆が接近可能な公道等に面した庖舗の賃貸借などは、解約申入れを受けた賃借入が短期間で新たな庖舗
等を見出すことが困難であるがゆえに、六カ月の告知期聞を遵守することが要求される。それ以外の賃貸借(個々の住
戸 の 賃 貸 借 は こ こ に 入 る ) に つ い て は 家 賃 額 に 応 じ た 区 別 が あ る 。 す な わ ち 、 年 家 賃 四0 0フ ラ ン を 上 回 る 賃 貸 借 の 場
合 に は 三 カ 月 の 告 知 期 間 が 必 要 と さ れ る の に 対 し て 、 年 家 賃 四0 0フ ラ ン 以 下 の 賃 貸 借 に つ い て そ れ は 六 週 間 で 足 り る
ものとされる。
(泊)
賃貸借単位期間の慣行は、 そ の 具 体 的 内 容 こ そ 違 え 全 国 に 存 在 す る 。 こ の 慣 行 の 結 果 、 賃 借 入 の 入 居 と 立 退 は 、 賃 貸
借期円に一斉に行なわれることになる。かかる慣行が形成されてきた理由としては、賃貸人、賃借入双方にとっての便
宜が指摘されている。すなわち、賃借入にとっては、立退を強制される日が一年のどの日でもよいということになると
(お)
転居先を見付けることができずに路頭に迷うことになりかねない。他方、賃貸人にとっても、同様に勝手な日に立ち退
(お)
かれたのでは新たな賃借入を見付けることができず不動産の収益減を招きかねない、というのである。おそらくは、需
一定期間の使用継続が賃借入に確保されること
給関係のバランスが大きく崩れていない賃貸借市場を前提にして、需要と供給の時間的なミス・マッチを可能な限り減
少させようという工夫が、このような慣行に結実したのであろう。
この賃貸借単位期間の慣行によって、口頭による賃貸借についても、
(幻)
になる。賃貸借単位期間が、 い わ ば 賃 貸 借 の 最 短 期 間 の 保 障 と な る の で あ る 。 そ の 期 間 は 、 オ ル レ ア ン の 場 合 に は 一 年
間であり、全国的に見ても一年間の期間を認めるところが多かったという。しかし、パリの場合には、この期間は三カ
北法4
6
(
3・
5
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)
4
9
3
説
~b.
日間
月でしかなかった。加えて、ここでの関心の対象である低家賃の賃貸借については、告知期間も六週間しか付与されて
いなかった。パリにおいては、全体として、賃借入の居住確保に関して不安定性が目立つといわなければならない。も
っとも、居住の安定性が脆弱であっても、賃貸借市場が安定裡に推移していれば、問題は表耐化しないであろう。しか
し、第二帝政期のような地価高騰と家賃高騰の時期になると、話は別である。まさにこの賃借権の安定性の欠如のゆえ
に、賃貸人からの濫用的な解約申入れが現実化し、さらに短期間で家賃が大幅に増額されるという事態が頻発したので
ある。この占⋮については、 ま た 後 に 触 れ る こ と に な ろ う 。
(日)たとえば、叶司o
品
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(四)開口丘町﹀の Z開﹁包百戸きなへ匂トロ。印。。 め
匂 N
も要することなく契約関係が終了することは当然である。
ではなく、﹁書面によらない賃貸借﹂の場合の解約申入れによる賃貸借終了(一七三六条)、﹁書面による賃貸借﹂の場合の
(加)叶きで﹁ozp皇可否・5町
φ なお、本文で内容を紹介し
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内
ヘS-ggmN・
5 品C
た民法典一七二一六条と一七三七条は、形式的な文言においては、﹁期間の定めのない賃貸借﹂、﹁期間の定めのある賃貸借﹂
期間満了による当然の終了(一七三七条)を定めている。この文言の使い方は、条文編纂上の取抗との評価がなされてい
るが、その大きな原因は、実際には口頭による賃貸借と期間の定めのない賃貸借、書面による賃貸借と期間の定めがある
賃貸借がほぼ重なりあっていたところに求められよう。以上について、叶問。戸c
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これに対して、百定説として、ロ戸zznoc目
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一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
員会が設置され、一八五二年にその作業に基づく﹃慣行集﹄が作成された)。これを収録した資料として
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( お ) パ リ の 賃 貸 借 に 関 す る 慣 行 に つ い て は 、 そ の 編 纂 が 実 施 さ れ て い る 二 八 四O年 に 各 区 で 治 安 判 事 を 主 体 と す る 編 纂 委
、ミ3 2 E
-F由民岳民 2E-ZE--∞E- があるほか、たとえば、 FBの'印﹀己の何回・言、一戸吉町内芯ト司'AH()ω222 に そ の 全 文 が 収
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録 さ れ て い る 。 そ の 期 間 の 部 分 の 検 討 と し て 、 ∞ ﹀C
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(但)告知期間については、何百戸巾﹀のZ戸-富市3 5 芯
て詳しくパリの慣行を紹介し
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ている。ほかには、﹁・ーの・印﹀C
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(お)もっとも、地域によってはこれに若干の猶予が認められ、入居・立退の期日が賃貸借期日からずれるところもあった。
一 週 間 の 猶 予 が 認 め ら れ ( 家 賃 が そ れ よ り 高 額 の 賃 貸 借 ま た 庖 舗 の 賃 貸 借 な ど に つ い て は 二 週 間 ) ( 忠 品S な
SEE5
た と え ば パ リ で は 、 家 賃 年 額 四0 0フ ラ ン 以 下 の ﹁ 小 賃 貸 借 宮23Z内田門戸吉田﹂の場合には、立退について賃貸借期日から
E3旬、袋、3・きたお匂ト℃・品川円)、それに伴って、入居も、﹁小賃貸借﹂については賃貸借期日から一週間後の八日正午(それ
以外の賃貸借については二週間後の一五日正午)にずれるのが一般的であった。もっとも、入居すべき住戸部分が賃貸借
a
期日である一日に空家になっている場合には、賃借入には入居の権利があり、賃貸人がこれに異議を述べることは認めら
要企大きく上回る借り手市場の場合には賃借入にとってのメリットがなくなる。
﹄
れなかった。以上について、開豆一司﹀の Z戸
25ι ・司会参照。
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(幻)需要が供給を大きく上回る貸し手市場(住宅難の市場)では賃貸人にとってのメリットがなくなるし、反対に供給が需
解約申入れを要求するところが多いことも指摘されている。
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(お)全国の状況については、 U
C︿E2E-皇、E
-きなヘS・5g巾pgω む巾門出E︿二百・ 22MEH︿‘に要領のよいまとめがある。一
年を認める慣行が多いことについては、ロ 0・ ℃・弓参照。なお、そこでは、オルレアン慣行のような当然の終了ではなく、
北法46(3 ・ (1)49~
賃貸人・賃借人間の権利義務関係
することにしよう。なお、家賃支払義務については、項を改めて検討する。
以下では、主として個々の住戸を対象とする住宅賃貸借を念頭に置きつつ、そこでの当事者間の権利義務関係を検討
の賃貸借関係においては、当事者間の権利義務関係の規整に際して民法典の規定が果たす役割が大きいのである。
ついては豊富な内容を持つ地域的慣行も、当事者間の権利義務関係の領域では見るべきものがあまりない。そこで、右
のが一般的であり、当事者間の権利義務関係が特別に定められることはまずない。また、賃貸借単位期間や告知期間に
ある。しかし、本稿での主たる関心の対象である都市民衆を主体とする賃貸借関係は、前述のように口頭で締結される
もちろん、これらの規定は原則として任意法規であって、契約当事者間でそれらと異なる特約を定めることは可能で
O条 以 下 、 賃 借 入 の 義 務 に つ い て 一 七 二 九 条l 一七三五条)。
こ れ ら の い わ ば 基 本 義 務 の 規 定 と と も に 、 そ れ ら を 具 体 化 す る 規 定 を さ ら に 設 け て い る (賃貸人の義務について一七
善良な家父として、 かっ、用方(色町田門吉色。ロ) に 従 っ て 使 用 し 、 ② 賃 料 を 支 払 う 義 務 を 負 う ( 一 七 二 八 条 ) 。 民 法 典 は 、
④賃借物の使用を妨げる暇庇または欠陥について担保責任を負う(一七一二条)。これに対して賃借入は、①賃借物を
うる状態に維持し、③賃貸借期間中、賃借入にその物を平穏に収益させる義務を負う(一七一九条)。賃貸人はまた、
賃貸借契約の締結によって、賃貸人は、①賃借物を賃借入に引き渡し、②その物を賃貸借の目的となった使用に供し
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一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
賃 借 物 の 引 渡 は 、 賃 貸 借 契 約 の 要 素 の 一 つ を 形 成 す る も の で あ り (それゆえこの点については特約による排除が認め
られないて賃貸人は、賃貸借契約において定められた期日に、 ま た は そ れ が な い 場 合 に は │ │ 口 頭 に よ る 賃 貸 借 の 場
合にはその定めのないのが一般的である││地域の慣行に従って、物を賃借入に引き渡さなければならない(一七一
九条一号参照)。賃貸人が引渡を怠る場合には、賃借入はその強制履行を裁判所に求めることができる。賃貸借契約に
特 徴 的 な の は 、 こ の 引 渡 は 、 す べ て の 修 繕 を 施 し た 良 好 な 状 態 で な さ れ る べ き こ と で あ る ( 一 七 二O条一項)。この点で、
現状での引渡で足りる売買契約における売主よりも、賃貸人の義務は重くなっている。
それでは、賃借入がいまだ賃貸人から引渡を受けていない聞に目的物が第三者に譲り渡されたが、賃借権に一七回三
(明日)
条に基づく対抗力が認められる場合において、賃借入は、 そ の 第 三 者 に 対 し て 直 接 の 引 渡 を 求 め う る で あ ろ う か 。 こ の
問題については、賃借権が債権であるか物権であるかの法的性質決定の問題もからんで議論があった。賃借権を物権と
みれば当然に問題を肯定すべきことになる。これに対して、賃借権債権論者においては、当初は、賃借権の債権性と一
(初)
七四三条の例外性を強調して、賃借人は収益を開始している場合に限って第三者に対して引渡を求めうるとする見解、
(訂)
すなわち右の場合には問題を否定する見解が優勢であった。しかし、次第に、一七四三条の射程を必ずしも限定的に解
することなく、右の場合の第三者に対する引渡を認める見解が一般化していく。それは、賃借権債権論者の物権論者へ
北法46(3・
63)497
の接近ではなく、むしろ賃借権の債権性と一七四三条による賃借権の対抗力の承認が何ら矛盾しないという理解、すな
わち、債権説の確立を意味するものであった。
川目的物維持義務
g守内丹市ロ-ご義務を負う
次に、賃貸人は、賃借物を賃貸借の目的となった使用に供しうる状態に﹁維持する
九条二号)。これが具体的に意味するのは、賃貸借の期間のすべてについて、必要となった修繕を行なうことである(一
七
七二O条 二 項 ) 。 右 の 良 好 な 修 繕 状 態 で の 引 渡 義 務 と 合 わ せ て や や 比 聡 的 に い え ば 、 賃 貸 人 は 、 賃 料 の 形 で 対 価 を 受 け
一定の小修繕は、賃借入負担とされ
る 以 上 、 住 宅 商 品 を 完 全 な 商 品 と し て 整 備 済 の 状 態 で 引 き 渡 し 、 かつ、 そ の 後 も 完 全 な 状 態 に 整 備 し 続 け る こ と を 義 務
付けられるのである。
もっとも、賃貸人の修繕義務は、必要となる修繕のすべてに及ぶものではない。
(犯)
(芯宮﹃白 COM
c
g巴︿巾日)。両者を区別する一般的基準は、修繕が老朽化 225広) に 由 来 す る か 否 か で あ り 、 老 朽 化
ロ-
一七五四条)、 そ れ ら は あ く ま で 例 示 で あ っ て 、 問 題 と な る 修 繕 が 賃 借 入 負 担 の 小 修 繕 で あ
一定の小修
ご七
一七二四条一項、二項)、 日 数 が そ こ ま で 至 ら な い 修 繕 に つ い て は 、 賃 借 人 の 使 用 が 損 な わ れ て も 、 特
に補償がなされることはない。ただし、修繕実施によって居住が不可能になる場合には、賃借入に契約解除権が認めら
れるが(以上、
借 入 に 不 都 合 を 招 く こ と が あ っ て も 、 修 繕 実 施 権 を 認 め ら れ る 。 修 繕 が 四O 日 以 上 続 く 場 合 に は 、 賃 料 の 減 額 が 認 め ら
しうる権利との調整が問題になる。賃貸人は、賃借物修繕の必要性が緊急で、賃貸借の終了まで待てない場合には、賃
なお、賃貸人による修繕は、 そ の 義 務 で あ る と 同 時 に 権 利 で も あ る 。 こ の 観 点 か ら は 、 賃 借 入 の 平 穏 に 賃 借 物 を 収 益
五五条)。
れ が ﹁ 老 朽 化 ま た は 不 可 抗 力 芯Z 印
広S F 2
門
﹁
認められるからである。したがって、賃借入は、形式的にはその負担に帰すると定められている小修繕であっても、 そ
(お)
繕 が 賃 借 入 負 担 と さ れ る の は 、 そ れ ら が 通 常 の 場 合 に は 賃 借 入 自 身 ま た は そ の 家 族 構 成 員 等 の ﹁過失 P52 に よ る と
るか否かは、第一義的には当事者間の特約によって、それがない場合には地域の慣行によって定められる。
までの漆喰の塗直し:::。
に 由 来 す る 修 繕 が 所 有 者 の 負 担 に 帰 す る 2 宮﹁比二GBEC)。 民 法 典 、 は 、 賃 借 入 負 担 の 小 修 繕 の い く つ か を 例 示 す る が
﹁
(
(暖炉の炉床、炉背、炉飾りおよび炉棚になされるべき修繕、 ア バ ル ト マ ン そ の 他 の 居 住 用 場 所 の 壁 の 低 部 一 メ ー ト ル
る
説
自
命
北法46(
3・
64)498
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
(一七二四条三項)。
同平穏に収益させる義務
賃貸人はさらに、賃借入に賃借物を平穏に収益させる義務を負う(一七一九条三号)。この規定の適用が特に問題に
なったのは、商業・手工業のための建物区画の賃貸借(商事賃貸借) の領域である。すなわち、賃借入は、賃貸人が同
(泊)
一不動産の他の区画を彼の競争者に賃貸する行為を、賃貸人の右の義務に違反するものとして争うことができるか。こ
の問題は、一九世紀中葉の時期に判例上激しく争われた。初期の判例は、類似の営業者への賃貸行為を右の義務に違反
するものと解した。ここでは、賃貸人の﹁平穏に収益させる義務﹂を媒介として、同一不動産内での競争者の排除とそ
一般原則として
の反面での既存の賃借入の一穫の営業独占が実現されることになる。この判例は、 そ の 後 変 更 さ れ 、 不 動 産 所 有 者 に よ
る賃借入選択の自由が拡大された。その際の論拠は、民法典五四四条に定められる所有権の絶対性と、
の営業の自由に求められた。しかし、他方で、同一の不動産内の他の建物区画を同種の営業を営む者に賃貸することを
禁 止 す る 特 約 ( 排 他 条 項 己E 認 qznE2三芯と呼ばれる) が 一 般 化 し て く る た め 、 同 一 不 動 産 内 の 競 争 関 係 は 、 引 き 続
き大きく制限されたままであった。このように、賃貸人の﹁平穏に収益させる義務﹂は、排他条項とともに、商事賃貸
借の領域において、同一不動産における競争制限を通じて既存の商事賃借入の営業活動の安定性を確保する機能を果た
した。
住宅賃貸借にかかわる場合には、賃貸人の﹁平穏に収益させる義務﹂が右のような顕著な機能を果たすことはなかっ
たし、この義務をめぐる目立った判例の展開もなかった。ありうるとすれば、たとえばもっぱら住宅に充てられている
(お)
賃貸不動産の一区画を商業用に賃貸するような場合に、居住の平穏が害される危険があることを理由として、この義務
に対する違反が問題となる程度であろう。
北法4
6
(
3・6
5
)
4
9
9
れ
る
説
号ι
ロ聞
と こ ろ で 、 以 上 は 、 収 益 に 対 す る 侵 害 が 賃 貸 人 自 身 に よ っ て も た ら さ れ る ケ l スである。これに対して、 それが第三
者に由来する場合には、次の二つが区別される。
第一に、 た と え ば 定 額 小 作 関 係 に お い て 盗 人 が 葡 萄 畑 か ら 葡 萄 を 盗 ん だ 場 合 な ど の よ う に 、 賃 借 物 に つ い て 何 の 権 利
も 主 張 し て い な い 第 三 者 が 侵 害 行 為 を 行 な う 場 合 に は (事実上の侵害可EE 巾 島 E
町 C、 賃 貸 人 は こ の 点 に つ い て 何 の 担
保責任も負わない。賃借入は、自己の名で侵害者に対して不法行為に基づく損害賠償等の訴えを提起して侵害行為に伴
(お)
う 損 害 の 回 復 を 図 る べ き で あ る (一七二五条)。侵害者の無資力あるいは侵害者不明などの事態によって、この賃借入
による訴えに実効性がない場合について、民法典制定前は、賃借入の賃料減額請求を認めるべきことが説かれていた。
(訂)
これは、事実上の侵害に伴う損害の賃貸人への一部転嫁を意味する。しかし、民法典においてはそのような考え方は意
識的に排除され、賃貸人の賃料債権はそのような場合にも影響を受けないこととされた。具体的な使用収益のあり方と
賃料債権との関連性が、その限りで切断されたのである。
第 二 に 、 賃 借 物 に つ い て な ん ら か の 権 利 を 主 張 す る 第 三 者 が 登 場 す る 場 合 に は (法律上の侵害可czuza 巾aBHC、 賃
貸人は担保責任を負う。他方、賃借人は、自己の名で侵害者に対して訴訟行為を追行することができない。賃借人は、
賃貸人に法律上の侵害を知らせてその担保責任の履行を求め、賃貸人が要求する場合には、訴訟から脱退しなければな
らない ( 一 七 二 七 条 ) 。 訴 訟 が 所 有 権 の 帰 属 な ど の 実 体 的 権 利 関 係 に か か わ る 場 合 に は 、 所 有 者 で な い 賃 借 人 に は そ れ
(E55 号EE) を 要 求 し て い た こ の 当 時 の 占 有 理 論 の も と で は 、 賃 借 入 は 、 単 な
を争う権限はないからである。賃借入は、何らかの権利を主張する第三者に対して占有訴訟という形で争うこともでき
ない。占有権の成立に所有の意思
(お)
る﹁所持者伝広三2 ごにすぎず、実力行為(︿。芯号E 丹)による占有剥奪の場合に認められる﹁占有回収訴訟Z5広司自号﹂
以外の占有訴訟の提起を認められていなかったからである。
北法 46(
3・
66)500
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(I)
凶暇庇担保責任
賃 貸 人 は 、 最 後 に 、 賃 借 物 の 使 用 を 妨 げ る 暇 庇 ま た は 欠 陥 ( 三 円 巾 。 = 号PE) に つ い て 、 契 約 時 に そ の 暇 庇 等 を 知 ら
なかった場合でも、 そ れ を 担 保 す る 責 任 を 負 う ( 一 七 二 一 条 一 項 ) 。 こ の 責 任 内 容 は 、 具 体 的 に は 賃 料 減 額 ま た は 賃 貸
借契約の解除と解されている。さらに、賃貸人は、暇抗または欠陥から損害が生じる場合には、それを賠償する責任を
(ぬ)
負う(同条二項)。この損害賠償義務は、条文の文言からは必ずしも明確ではないが、解釈によって賃貸人が暇庇等を
知っていた場合または知ることができた場合に限定される。他方、賃貸人は、契約当時の暇杭だけでなく、その後、賃
(川叫)
貸借契約継続中に生じた椴庇についても責任を負う。これは、売買契約における暇庇担保責任(一六四一条以下)と異
(MU)
なる点であり、賃貸人の瑞杭担保責任のほうがカヴァーする暇杭の範囲が広い。もっとも、この場合の責任内容は、賃
料減額または賃貸借契約の解除にとどまり、 それが損害賠償に及ぶことはないとされる。
(岱)賃借権の法的性質については、債権とみるのが伝統的見解であるが、これに対する異説として、一七四コ一条が二疋の場
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Z2052戸 ヒ 号24EY室内ミ号まな﹄室書偽札EH童書室乞F ↓Fe
pg
合 に 賃 借 権 の 対 抗 力 を 認 め た こ と を 主 た る 根 拠 と す る ト ロ ロ ン の ﹁ 賃 借 権 物 権 説 ﹂ が あ っ た 35戸 OZ
の
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v浮きなヘ3・
8言 Hs-h22守司・叶N22R-gggzzg∞ 召 き lE-SZN-g・ちω222・
℃-N3222 この見解の先駆は
・
メルランである。 ζ自己Z-P22 目e
q)。この見解は、若干の
白r
ヨ巾品
E- ︿ O吋戸内﹃少匂・2
a在室内kgさな HHSZKG弘、。
。
品後半期には、判例も含めて、賃借権債権説が
学説の支持を得たものの、圧倒的に多数の学説はこれを批判し、一九世紀の
確立していく(この問題に関する詳細な研究として、
EZ 2 E
E- がある。トロロン説の紹介と批判としては、とくに、苦-Sφω ・参照。また、学説
--自
白S
℃
﹃-ny Z525
・
巾
向
・
印
の分
布については、開口岡山}
巾﹀の Z開
5町内ヘ匂ト円}印・ロCZ(同)にも簡単な整理がある)。なお、トロロンの賃借権物権説は、
﹁
司
室
、
司E
・
日本でも﹁賃借権物権化論﹂や旧民法ボワソナ 1 ド 草 案 ( 賃 借 権 を 物 権 と 構 成 す る ) と の 関 係 で 関 心 を 集 め て い る 。 と く
にこの問題に関心を寄せる研究として、①小柳春一郎﹁ボアソナ lド草案とフランスにおける賃借権物権論一 1四﹂山梨
北法4
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見
さ手也
関岡
大 学 教 育 学 部 研 究 報 告 第 三 七 号 j 四O 号 ( 一 九 八 六 年l. 九 八 九 年 六 ② 同 ﹁ 旧 民 法 ボ ア ソ ナ lド 草 案 に お け る 賃 貸 借 規 定
ロン﹂山梨大学教育学部研究報告第四二百万(一九九二年)がある。そこで提起されているように(③論文七八頁以下などて
について﹂法制史研究三九号(一九八九年)、①同﹁一九昨紀フランスにおける賃借権物権論の登場││メルランとトロ
トロロンの賃借権物権説にはどのような社会的背景ないし実践的意凶があったかは、重要な問題である。トロロンは、農
業経営のあるべき姿について強い関心を持っており、農業経常が賃貸借(定額賃貸借宮己勘な﹁沼市)に依拠してなされる場
合には、その長期の安定性を確保することが望ましいものと考えていた(ロ l マを素材としつつ各種経営形態の比較検討
を行なう﹁序文﹂を参照。叶同S
、
F出
・ ) 0賃 借 権 物 権 説 の 背 後 に
FOE-hHもさ・き ミS-Z呂町Heu-2∞
E︿-gggHHmロミ MX)門戸I
そのような発想があることはたしかであろう。しかし、賃借権物権説は、フランス法学のあり方とも関連するが、より直
から抽出された認識命題と見るべきである(小柳①論文四、七八頁も参照)。とすれば、不動産賃借権の﹁あるべき姿﹂を
接的には、当時の法現象とりわけ不動産賃借権の﹁対抗均﹂を示認した一七四三条をどう法理論的に説明するかとの関心
提示するという規範論である日本の﹁賃借権物権化論﹂とは、そもそも理論の基本的な性格が異なることになろう。
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(却)典現的には、りと︿何回の{何回-言、さ・ぎなへも﹂-Z宮内 ω・
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﹃さなョは、日本での伝統的把握である主観的帰責要素としての狭義の過失に限定されず、故意さらには違法
(お)同︾
濃 厚 に 含 む 概 念 と し て 構 成 す る か と い う 対 立 が あ る 。 野 田 良 之 ﹁ フ ラ ン ス 民 法 に お け る PE巾の概念﹂我妻先生還暦記念﹃損
性を含む広い概念である。もっとも、その把握自体について、義務違反という客観的要素に重点を置くか、主観的要素を
って、
r
p
E
2
に
ひとまず寸過失﹂の訳を当てておく。日本で、過失を客観的義務違反と把握する見解が有力になっているこ
害賠償責任の研究上﹄(有斐閥、一九五七年)参照。本稿では、この点に留意しつつも、これまでの一般的的な扱いになら
市
丹は ﹁ 過 失 ﹂ 概 念 に 違 法 性 を も 取 り 込 ん で 二 冗 的 に 不 法 行 為 の 成 立 を 判 断 す る 見 解 が 主 張 さ れ て い る こ と も こ こ
と、さらに
北法 4
6
(
3・6
8
)5
0
2
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
で考慮されてよいであろう。
の Z何﹁留守白、きな芯﹂‘ E-NOω222ニ司・∞ω22Z- に詳細な判例の紹介がある。なお、吉田・
(鈍)この問題については、回EZ﹀
前掲注 (
5) ﹁商事賃貸借川﹂五二i 五四頁にも、この間題に関する若干の記述がある。
(お)開ロユ一司﹀の Z戸-SH件、ロ 0・
N
O
H
-℃∞ω に挙げられている例である。
さ れ ず 所 持 者 に も 占 有 訴 権 の 保 護 が 拡 大 さ れ た か ら で あ る 。 こ の 点 を め ぐ る 問 題 状 況 に つ い て は 、 司Ebコ
ロ NZ27E 臼
(お)句。言何回 ミa
U
G
- ロロ∞︼司・2
-ぎた R
e
S
・
(幻)この経緯等については、 dSEE-室、守白、き町内ヘミ g自
,
Nヨ ・ 苦 巴1
-NE
8・を参照。
巾 N・
5∞
(招)なお、現在ではこの点については異なる解決がなされている。一九七五年七月九日の法律によって狭義の占有者に限定
守
25205F門司ロロEggE- 司-C司--E∞∞・ロロ ω印一戸目当・ ω命
5
p
(
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D
-巾
。 ∞叶が、簡潔ながらきわめて示唆に富む叙述を行なっ
て い る 。 一 九 七 五 年 改 正 に 関 す る 邦 語 の 文 献 と し て は 、 大 塚 直 ﹁ω
フ ラ ン ス 法 に お け る REDE宮∞認E22(占 有 訴 権 ) に 関
i
する基礎的考察﹂学習院大学法学部研究年報二三一号(一九八八年)二八一頁を挙げておく。
(
却)24呂田-雲市吋P きなおい山﹂・ロ3・
H
H∞H
N
C一↓問。戸 OZC唱皆、浮き R 3
ZEmN・
ヘ・
S ・5 3ω ふ -E己]巾﹀の Z F 室、浮きな﹁ど
品は 反 対 説 ( 賃 貸 人 無 責 の 場 合 に も 損 害
に
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N叶
5 印 同 印 め な お 、 一 九 世 紀 初 頭・
。
唱 35ωlHω 汁 ﹀3E-S百戸きたへと﹂・ 3 ・
ロ
賠償義務を認める)も存在したことについては、﹀3 2・宥-忌・参照。
﹀宅﹀ JF 旬STg-きなヘロ﹂・3 ・ H印品・その理由について、ポチエは次の一一点を指摘する。第一に、売買契約は当事者間の合意
だけで完成し、その後の危険は買主に帰するのに対して、賃貸借契約の場合には、賃借物に関する危険は常に賃貸人の負
(MW)
担にとどまる。第二に、売買契約においては、契約の対象になるのは物それ自体であり、売買契約から生じる債権債務関
係(買主の代金支払債務)が存続するためには、契約時に目的物が存在していたことで足りる。これに対して、賃貸借契
TO
一↓呂田-富市戸きなおしと・=。
約の場合には、契約の対象は賃借物の継続的収益であり、賃貸人がこの収益を供することができなくなった場合には、契
約の対象が欠けることになり、賃借入に賃料支払いを義務づけることはもはやできなくなる。
ug
=N--S また、叶問。戸。 Zの-gypき門町﹁ h﹂
ヨ
巾 NB-EC-35IHH- も参照。
甘
・
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ω ・なお、斗問。戸czc-S3、白、きな
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回
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EVFきたへNe・g-H斗
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甘E
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S
egeNCOd-z- は 、 賃 貸 人 は ほ と ん ど の 場 合 契 約 後 の 般 抗 を 知 ら な い か ら 、 損 害 賠 償 義 務 を 負 担 す る こ と は ほ と
町N
北法4
6(
3・
6
9
)
5
0
3
んどない、と述べている。ここでは、例外的にではあれ賃貸人が損害賠償義務を負担することもありうるとのニュアンス
じられる。
が成 ω
賃借入の義務
この用方選守義務は、農地賃貸借(定額小作) と都市部における営業用建の賃貸借(商事賃貸借) の領域では、現実
れない。
て 、 そ れ 以 上 の 理 由 ( た と え ば 新 た な 使 用 方 法 が 公 序 良 俗 に 反 す る こ と 、 賃 貸 人 に 損 害 を 与 え る こ と 、 など) は要求さ
きない。右に示した一七二九条の文一言に一不されるように、用方違反はそれ自体で賃貸借契約の解除事由になるのであっ
(必)
を宿泊施設として経営する義務を負う。住居用に家屋が賃貸された場合には、賃借入はそこで飲食営業を営むことがで
契約時の諸状況によって定まる。この結果、 た と え ば 宿 泊 施 設 と し て 建 物 を 賃 借 し た 旅 館 業 者 は 、 賃 貸 借 の 期 間 中 そ れ
貸 人 に は 賃 貸 借 契 約 の 解 除 権 が 認 め ら れ る (一七二九条)。賃借物の用方は、当事者の約定またはそれがない場合には
賃借入が賃借物について﹁その用方と異なる使用、 ま た は 賃 貸 人 に 損 害 を 与 え う る よ う な 使 用 ﹂ を し た 場 合 に は 、 賃
刷用方遵守義務
四条)。以下、順次その内容を見ょう。
は 大 き な 意 味 を 持 っ た 。 さ ら に 、 火 事 の 場 合 に つ い て は 、 賃 借 入 に 特 別 に 重 い 責 任 が 課 せ ら れ る (一七三三条l 一七三
父 と し て の 使 用 義 務 に 大 別 さ れ る が (一七二八条一号)、後者から導かれる原状での返還義務(一七一二O条) が現実に
ここでは、家賃支払い義務を除いた賃借入の義務の内容を検討する。それはまず、用方に従った使用義務と善良な家
(
2
)
説
論
北法4
6(
3・7
0
)5
0
4
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
(円相)
の賃貸借関係の中でも多くの問題を発生させ、紛争の対象となった。それは、当初の使用方法を固定化し、耕作の自由、
(付)
営業活動の自由にとって大きな制約条件となるからである。なお孤立したものではあったとはいえ、学説上、これらの
領域において用方遵守義務を緩和する試みが見られたのも、このような文脈においてよく理解することができよう。
え﹂戸り Hド 、 、 ﹂
これに対して、この義務は、住宅賃貸借の領域ではさほど問題を生じさせなかったといってよい。住宅賃貸借の領域
では、使用形態の自由に対する要請が、農地賃貸借や商事賃貸借ほどではなかったという事情もあろうが、
の領域では、用方は﹁住宅としての使用﹂であり、他の領域に比較してその枠が広かったという事情も指摘することが
できる。すなわち、住宅として賃貸された区画を商業用途に充てたりすれば用方違反であることは当然であるが、住宅
として利用している限り、用方違反が生じることはさほど多くないのである。実際、賃借物に対する変更行為について
(必)
は、それが小規模であれば用方違反に当たらず許容される、というのが原則的考え方であるが、その具体例として挙げ
られるのは、住宅賃貸借からであることが多かった。
川善良な家父としての収益義務
次 に 賃 借 入 は 、 善 良 な 家 父 と し て の 収 益 義 務 を 負 う (一七二八条一号)。これは、広義では、①用方に従った収益を
(必)(幻)
行なう義務、②賃借物の保存のために適当な配慮を払う義務、③賃貸借契約の終了時に賃借物を原状で返還する義務の
(必)
三つの義務を包含する上位の義務と観念されるが、狭義では右の②のみを指し、より具体的には、寸善良な家父が自己
に固有な財産を使用するのと同様な仕方で﹂賃借物を使用・収益すべき義務である。その信頼を受けて他人から物を賃
(
ω
)
借した以上、 そ の 保 存 に つ い て 善 良 な 家 父 と し て の 注 意 義 務 を 負 う こ と は 道 徳 的 に 当 然 で あ り 、 実 定 法 は そ の よ う な 道
徳上の義務を確認したにすぎないとされる。
﹂の義務は、次に述べる原状返還義務(一七三一O条) や 賃 貸 借 期 間 中 の 賃 借 物 の 滅 失 ・ 段 損 に つ い て の 賃 借 人 の 責 任
北法 46(3・
7
1
)5
0
5
説
モ記入
向珊
(一七三二条) を 導 く 根 拠 と も さ れ る が 、 こ れ 以 外 で 、 こ の 義 務 の 適 用 が 独 自 に 問 題 に な る の は 、 住 宅 賃 貸 借 の 領 域 で
は、同一不動産内の他の住戸の住民との近隣関係上のトラブルにおいてである。たとえば、奇矯な行動に走りトラブル
を起こしたり、常時酪町状態にあり他の住民に誹誘・中傷を加えたりする場合には、善良な家父としての使用義務に違
反するものとして立退を強制されることがある。夜間の騒音によって他の住民の安眠を妨げたり、異状な騒音をたてた
(印)
りする場合にも同様である。この義務はまた、住戸内での動物飼育についても適用される。たとえば多数の犬の飼育は
善 良 な 家 父 と し て の 使 用 義 務 違 反 と さ れ る 、 などである。
川原状返還義務
賃借入は次に、右の義務のコロラリ}でもあるが、賃貸借の終了時に賃借物を原状で返還する義務を負う。この義務
5MH)
が重要な機能を果たす。この文書の記載によって原状がどうであったかが一不されることにな
が免除されるのは、賃借物の滅失・段損が﹁老朽化または不可抗力﹂による場合だけである。この義務に関しては、原
状 確 認 書 (bEa
巾
え
(日)
るからである(以上、 一七三O条 ) 。 原 状 確 認 書 は 、 パ リ の 慣 行 に よ れ ば 、 賃 貸 人 お よ び 賃 借 入 の 共 同 の 費 用 で 作 成 さ れ 、
印紙が貼付される。当事者の一方の要求にもかかわらず他方がその作成を拒絶する場合には、裁判所の判決によってそ
の作成を強制することができる。しかし、ここでの関心の対象である低家賃の住戸賃貸借について実際にどれだけこの
確 認 書 が 作 成 さ れ た か は 不 明 で あ る 。 契 約 自 体 が 口 頭 に よ っ た こ と を 考 え れ ば 、 作 成 さ れ な か っ た ケ l スが多かったと
推測するのが自然であろう。原状確認書が作成されなかった場合には、賃借入は、良好な修繕状態において賃借物を受
領したものと推定され、反対の立証ができない限り、そのような状態で賃借物を返還しなければならない(一七一一二条)。
賃借人の原状返還義務は、 よ り 具 体 的 に は 次 の 二 つ の 方 向 で 機 能 す る 。
第一に、賃借入は、賃貸借期間中に賃借物の滅失・致損があった場合には、 それが自己の過失によらないで生じたこ
北法4
6
(
3・
7
2
)
5
0
6
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
とを立証しない限り、その責任を負う(一七三二条)。賃借入は、本来、原状で返還しなければならないわけであるから、
原状と異なる状態で返還せざるをえない場合には、その変化の理由を証明しない限り責任を負う、というわけである。
は (
な具
い体
か的
らに
では
あご階
ると段
中
庭
な
ど
(民)
(日)
約中に残置を定める条項がない限り、賃貸人は、改良の残置を望む場合であっても、賃借人にそれを強制することはで
することは同様である。もっとも、この場合の物の収去は、賃借入の義務であると同時にその権利でもある。賃貸借契
(日)
改良施行権を認める範囲は異なるが、最もそれを広く認める考え方であっても、賃貸借契約終了時の原状回復を条件と
ない。この問題の前提には、 そ も そ も 賃 借 入 に ど の 程 度 の 改 良 施 行 権 が 認 め ら れ る か 、 と の 問 題 が あ る 。 学 説 に よ っ て
人は、原状復旧工事を実施し、または付加された物を収去して、賃借物を原状に復した上でそれを返還しなければなら
第二に、賃借入の改良行為によって賃借物に変更が生じ、または何らかの物が付加されているような場合には、賃借
の責任が重くなっている。
(臼)
に過失が認められる場合に限定してその責任が認められていた。これと比較して、 フランス民法典のもとでは、賃借入
賃借入がたとえば注意力不十分な奴隷に役務を命じた結果として賃借物の滅失・致損が生じたケl スなど、賃借入自身
で 解 決 が 図 ら れ て い る 問 題 で あ る が 、 こ こ で は 明 文 の 規 定 が 用 意 さ れ て い る わ け で あ る 。 ローマ法における解決では、
ま た は 転 借 入 の 行 為 に よ っ て 賃 借 物 の 滅 失 ・ 段 損 が 生 じ た 場 合 に も 及 ぶ (一七三五条)。日本では ﹁履行補助者﹂構成
)
﹂
B28ロ
色町山田
については及ばない。そのような部分は、特定の賃借入の管理に委ねられている
なお、この責任が及ぶのは、固有の賃借物部分についてだけであって、それ以外の他の賃借入と分かち合って使用すベ
で分
賃 借 入 の こ の 責 任 は さ ら に 、 自 ら の 行 為 に よ る 滅 失 ・ 致 損 だ け で は な く 、 ﹁ そ の 家 の 者 ( ℃2852
わき
きないの賃貸人がその代金支払いを提供する場合であっても同様である。
北法4
6(
3・73)507
け部
民間
なお、以上の原則が適用されるのは、あくまで物の収去が物理的・経済的に可能かっ有益な場合である。その収去が
賃借物を段損しなければ実施できないような場合、 ま た は 収 去 に よ っ て 付 加 物 が 滅 失 し て し ま う よ う な 場 合 に は 、 法 律
(閉山)
関係が異なり、賃借入はその収去権を否定される。とすれば、この場合にはさらに、改良についての補償請求権が認め
られないかが問題になる。しかし、この時期には、一般的にはそれは否定されていた。したがって、賃貸人は、無償で
改良価値を享受することができることになる。
制火事についての厳格責任
賃借入はさらに、①賃借物の火事について、 それが不可抗力または建築の暇庇によることを立証するか、 そ れ が 隣 接
一つは、火
一棟の建物の中に複数の住戸と賃借入がいることが一般的である。このように賃借入が複数いる場合に
する家屋からの類焼であることを立証しない限り、責任を負うご七三三条)。②集合住宅建物が通常の形態である都
市においては、
は、それらの者は連帯して火事の責任を負う。この連帯責任が解除されるのは、二つの場合に限定される。
事の火元がある賃借入のところであったことを立証する場合で、この場合にはその火元の賃借入のみが責任を負う。他
一七三四条)。すなわち、
一言でいえば、都市で一般的な集合住宅建物の火事
の一つは、火事の火元が自分の住戸であることはありえなかったことを立証する場合で、この場合にはその立証に成功
し た 賃 借 入 は 連 帯 責 任 を 免 れ る (以上
(ぬ)
一般的には賃借入の過失推定の規定と理解され、 ローマ法お
において火元が不明の場合には、賃借入全員が連帯して責任を負わなければならないのである。
賃借物の火事に関する賃借入の責任の加重(←①)
、
ていないからであり、第二に、火事は通常の場合にはそこに居住している者の過失によるからである。学説も、他の理
{印)
根拠についてさらに次の点が指摘された。すなわち、第一に、賃貸人はこの事故を防止し回避するいかなる手段も持つ
よぴフランス旧制下の判例の見解を踏襲するものであるとされる。民法典の立法過程においては、賃借入の責任加重の
は
5
見
τ由
北法 46(
3・74)508
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
(
ω
)
由も補充しつつ、 か か る 立 法 の 態 度 に 賛 意 を 表 す る の が 一 般 的 で あ る 。 た だ し 、 同 条 に よ る 過 失 推 定 が 働 く の は 、 あ く
まで賃貸人・賃借入関係という契約関係が存在する場合に限定される。したがって、賃借住戸から出火した場合であっ
(引)
ても、 そ の 近 隣 者 ( 所 有 者 ま た は 賃 借 入 ) が 火 元 の 賃 借 入 に 対 し て 損 害 賠 償 を 求 め る に は 、 不 法 行 為 の 一 般 原 則 に 従 つ
(位)
て当該賃借入の過失を立証することが必要である。また、火事の火元となった家屋の所有者に対して、そこからの類焼
によって被害を受けた近隣者が損害賠償を求める場合にも、同様に過失の立証が必要である。
(mm)
こ れ に 対 し て 、 同 一 建 物 内 の 賃 借 入 の 連 帯 責 任 ( ← ② ) は、ロ i マ 法 に は 存 在 し な か っ た 考 え 方 で あ る 。 旧 制 下 の フ
(
ω
)
ランスにおいても、 ポ チ エ は 、 ロ ー マ 法 の 伝 統 に 忠 実 に 従 っ て か か る 責 任 を 否 定 し て い た 。 し か し 、 旧 制 下 の 判 例 に は
一九世紀の学説にもその問題性を
この責任を認めるものが現われ、民法典は、後者の態度を踏襲して賃借入の重い連帯責任を導入したのである。そのよ
(白山)
うな事情を反映して、この規定に関しては、立法過程においても異論が見られたし、
(白山)
批判するものが多く見られた。立法過程においてこの規定の制定理由として説かれたのは、賃借入相互の監視を組織化
することの有用性である。これに対して、当時のある論者は、次のような激しい批判を加えた。﹁しかしながら、それ(賃
借入相互の監視一引用者) は 必 ず し も 容 易 で は な い こ と を 認 め な け れ ば な ら な い 。 賃 借 入 聞 の 相 互 監 視 が あ る 程 度 き ち
(
U
)
んと実行されたとすれば、 それは不愉快きわまりないことになろうし、 そ れ は 多 く の 場 合 興 味 本 位 で 不 作 法 な 異 端 審 問
北法46(3・75)509
的な詮索に堕落していくであろう。そして、 それは必ず賃借人間の多くの語いを発生させることになろう:::﹂。また、
(侃)
別の論者は、﹁連帯性は、 きわめて苛酷な、 そ し て 多 く の 場 合 正 義 に 真 っ 向 か ら 反 す る 罰 で あ る ﹂ と 、 こ の 規 定 を 批 判
-)れん。
一七三三条の過失の推定がなお適用されるか、
この規定に関して解釈上問題となったのは、所有者もまた焼失した建物に居住していた場合に、賃借入の所有者に対
す る 連 帯 責 任 が な お 適 用 さ れ る か 、 さらにその問題の前提として、
で
あ
る。学説は一般に、所有者が自己の住戸からは出火しえなかった事由(たとえば長期間の不在) を立証した場合とそう
(
ω
)
でない場合(まったくの火元不明ケ!ス) とで場合を分けて問題を検討する傾向にあった。まず前者の場合については、
一七三四条に関しては、
一七三三条と一七三四条の適用を認めるのが学説の大勢であったが、この場合にもその適用を否定する見解もあった。
(初)
一七三四条に関する改正ないし廃止の動きが見られるようになり、
(
η
)
一八八三年
一七三三条と比較しての同条の問題性の大きさを反映した学説の分布といえよう。
後者の場合には、一七三三条については適用肯定説と否定説とに見解が分かれていたが、
(
η
)
してその適用が否定された。
その後、第三共和政期に入ってから、
一月五日の法律によって、 そ の 連 帯 責 任 は 、 賃 借 住 戸 の 賃 貸 価 額 に 比 例 し た 責 任 に 置 き 換 え ら れ た 。 こ れ が 一 九 世 紀 中
に実現した唯一の民法典賃貸借規定に関する改正であった。この点にも、同条の問題性の大きさが一不されているといっ
てよい。
H Y℃
(必)いずれもポチエが挙げる例である。旬。吋呂何回
ぎ
た
お
必
・
。
。
5
E
H
V
E
・
∞
た だ し 、 零 細 な 小 商 人 が 主 体 で あ っ た 当 時 の 商 事 賃 貸 借 に お い て川
は、賃借入は、競争排除の観点から営業活動の自由の
び﹂に読み替える。 BR・
5
3・℃∞ N-デユラントンは、この読み答えの根拠として、①用方に合致していながら損害を生
﹄
寸 E
g-宅、31∞C 次にデユラントンは、本文で示した﹁そ
きたへと﹂-EBぬ 同a
の用方と異なる使用、または賃貸人に損害を与えうるような使用﹂という一七二九条の文言に関して、﹁または﹂を﹁およ
UC同
を用方違反から排除するo
﹀
一
三C
R
a
g
v
p
それは賃借物を害することからほど遠いがゆえに、合意によって許評されていたものとみなされるという論拠で、それら
(叫)典型的な論者として、デュラントンを挙げることができる。デュラントンはまず、沼地の干拓などの改良行為について、
賃貸借契約の解除をめぐって多くの紛争が生じたことはたしかである。
頁、﹁同凶﹂四七頁参照。したがって、事態は単純ではないが、この商事賃貸借の領域においても、用方違反を理由とする
拡 大 に 必 ず し も 積 械 的 で は な か っ た 。 こ の 点 に つ い て は 、 吉 田 ・ 前 掲 注 (5) ﹁商事賃貸借川﹂四六l 四七頁、五二 l 五回
(MM)
致
見
目
首
省
6(
3・7
6
)5
1
0
北法 4
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業1)
じさせる行為はありえない、という点を挙げている。しかし、現実に重要なのは、②むしろこの結呆、用方違反それ自体
が賃貸借契約の解除事由になるのではなく、賃貸人に損害を生じさせる用方違反だけが解除事由になる、との解釈が導か
o
れることであろう。デュヴエルジエは、右の①については賛意を表しつつ、②については、改良であっても所有者の意思
を無視して実施すべきではないものがある(たとえば住宅用の家屋の工場への転換)という理由で、留保を付けている
しかしながら、これらの見解は、結局のところ少数説にとどまった。反対説の中でも、とりわけ用方遵守義務を形式的に
ω
弓 ∞﹁もっとも、そこでも未墾地の開墾などについては、﹁良好で賢明
ω
u
d
︿
可
否
、
ぎ
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一
S
g
g
0
ι
o
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E
S
E
S
巾
岨
ロ
当
・
l
な管理﹂に属する行為であることを理由に賃貸人のω
解除権を否定しており、農業の分野での改良の自由への指向は見られる。
閣内解するのは、トロロンである。そこでは、変更が物の全体に及ぶ場合には、賃貸人に損害が生じなくても、またそれが
改 良 に 当 た る 場 合 で あ っ て も 、 用 方 違 反 を 理 由 と す る 解 除 が 認 め ら れ る の で あ る 。 吋 問 。 戸o
z。・旬宮、芦きな芯﹂-gg巾 N・
E・
'HN4・﹁賃借権物権説﹂(注(却)参照)を主張するトロロンのかような形式的な態度は、興味深いものがある。
2Ne官
(伍)たとえば、隔壁を除去して大きな部屋を作ったり、反対に一つの部屋を二つに区切ったり、暖炉のシステムを変更したり、
たり、作業室を客聞に変えたりすることも同様に許容される。ただし、建物の強度にかかわらないこと(特に隔壁の除去
備え付けの姿見を移動したりする行為は、用方違反に当たらない軽微な変更として許容される。また、客間を寝室に変え
に つ い て 問 題 と な る ) 、 賃 貸 借 終 了 時 に は 原 状 に 回 復 す る こ と 、 を 条 件 と す る 。 、 ﹃ 同SEE-Sミ晶、きた豆-ggmNagM-
AF
万円回目
N印l
]
{
N叶一一切ヨニ巾﹀の ZH
N寸ω
N少官官同日めI
H
m
ω-clωHY也
開
3
L富
市
一3・輔さなへ匂トロD ω
司 H
斗
山
・
∞さ・ぎなへこ﹂-B呂
(剖)このような把握を示すものとして、ロ戸︿z
n
c
c月
町 ω・℃匂@印。めよりC︿
何
回CE-語、芦きな豆、 ZB巾ω・
7hξ
s
。
ロ0・ω∞ ・
℃ ω寸
(灯)そのような把握から用方遵守義務との違いを強調するものとして、↓月SEE-hHhV吋白・ 5町
S-Nmx内
ヘ3 8 E巾N・
(川叩)可。↓ヨ何回・言、 5tbsg
H
M
V
0・
℃
・
⑦
・
・
v
m
(叫)吋問。戸。z
D
N
m
w印
H
H
-を参照。
-ロ
c
a言、浮きたへhq-Z呂
・
℃ H
町N
(叩)以上の具体例については、閉山口己{巾﹀の言﹁・留守戸ぎたへんご・ 5ωω 叶
司-H2 roc-mEC何回ag
可浮きたヘS-B-ω?ω ∞
一
・
(日)﹁0
。印﹀己 {U p h
ヌもさ・噌呂町内へもト司・寸印
.
回
何、 H
(臼)以上について
,
目
。
戸
。z
-参照。
45ωhFN-日乙印印-gω3・
U H 2 2ロ0・3 0 ℃ω印N
巾N
pSHvwpきたへS-Z呂
北i
去4
6
(
3・7
7
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1
1
5
見
論
じた労務者などを含む。。己主 -Z叶02
℃
・
∞ω
・向詰可否、きたヘピト門OB巾コ・ 5 5 ω ・
(日)﹁その家の者﹂とは、賃借人の妻、子、同居している血族、その家内使用人だけではなく、その宿泊客、家での作業を命
フランス民法典一七三
(臼)ポチエはすでに、旧制下の判例について、賃借入はその家内使用人さらにその家の中にあるすべての者の過失について
g ↓呂田喝さ司戸きなへNG・B ・5ω ・匂・2
区別なく責任を負うとの見解を採っている旨を述べている。
の支障も与えない場合には、衡平の理念から所有者の工事実施権を認めるべきであり、これと同様の衡平の見地から、賃
五条は、この記述に依拠したものだという。吋問。戸ozp伺宮、芦きな﹁岳、吉田町 N-gωg'UN5・0C︿何回包何回喝さも Rぎな﹁担、
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(出)この時期の学説できわめて広く賃借入の改良施行権を認める例として、司・﹁己﹀の明-SV3・
-司-H∞ω 2 2 2
5hh3G-gg 開N
がある。賃貸人も賃貸借期間中は原則としては賃借物に変更を加えることができないがこ七二三条て工事が賃借人に何
G Zご。
借入にも、賃貸人に何の支障も与えないような改良の実施権は認めるべきだと説く。とはいえ、この学説のもとでも、期
間満了時の原状回復は当然のことと考えられている
﹄
(
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oロロヱC
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) によって賃貸人に課せられる義務﹂の観点から、必要費に
岡山
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(日)以上について、︿OFFOC︿
y司・え沼市同ロC日品印mv 品
2
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(日)以上について、︿SFOC︿何回。-何回-室、芦ぎたへもトぢ呂町 ω・
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市
山義 務 を 賃 貸 人 に 課 す 場 合 に は 、 賃 貸 借 終 了
ω印
2・ 宅 呂 ∞lEゅ・デユヴエジエは、否定説の論拠として、そのような
印ω
ロ
2・
時に賃借物を取り戻すことが多くの場合不可能になり、または賃貸人に迷惑な出費を強制することになる、としている(ロ C
ついては、事前に通告しないで実施した場合であっても賃貸人の償還義務を認めるポチエも、改良については、賃借入の
E ∞-u-合ド)。なお、﹁賃貸借契約を支配する信義
02
↓
E
B
- 室、芦きなおG-ロg-Emwiz--u・印。このポチエの見解の詳細およ
び 当 時 の 学 説 の 中 で の 位 置 づ け に つ い て は 、 原 因 純 孝 ﹃ 近 代 土 地 賃 貸 借 法 の 研 究 ﹄ ( 東 京 大 学 出 版 会 、 一 九 八O年)九一 l
収去権のみを認めて費用償還を否定している
とだけ述べられているのは(九三頁)、誤解を招きかねない記述である。ポチエは、たしかに賃借人に対して支出の必要性
九四頁参照。ただし、そこで、ポチエが必要費償還を認めるに際して支出が賃貸人に通告してなされたことを条件とした
を賃貸人に書面で通知することを要求しているが、通知がなかった場合であっても、支出の必要不可欠性などを要件として、
北法4
6
(
3・
7
8
)5
1
2
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
証では賃借入の免責が認められない趣旨の規定、すなわち、賃借人の無過失責任を定めた規定と理解することもできそう
5 少司呂)。
必要費償還の可能性を認めているからである(口 0・
(問)条文の体裁からは、賃借入が免責されるのは同条所定の事由を立証した場合に限定され、それ以外の単なる無過失の立
である。実際、﹀ C回
目
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巾
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512 は 、 同 条 を そ の よ う に 免 責 事 由 を 限 定 し 、 賃 借 入 の 無 過 失
E
-留守白・昌司令ヘロト也君・3 ・
責任を定めた規定と理解する。しかし、一九世紀中葉の学説では、本文記載のように、過失推定の規定と理解するのが一
般的である。 UC︿
5 め130 な
S ∞・司・品ON--48戸ozpgy 5町内﹁S-ZE巾N・5 ω 2・3 ・
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白
ど。この場合には、同条所定の事由はあくまで例示的なものであって、賃借入
は、必要があれば他の事由に基づく無過失
ロロンは、そのような点を明確に認識し、賃借入の責任を限定するのが妥当との判断から、一七三三条を過失推定の規定
の 立 証 を 受 理 さ れ る こ と に な る 。 い う ま で も な く 、 こ の 見 解 の ほ う が 、 賃 借 入 の 免 責 が 認 め ら れ る ケl ス が 広 く な る 。 ト
と理解するのである。彼は、賃借入が長期にわたって不在である場合を具体例として挙げながら、ツアハリエ(オブリィ
冨斗・も参照。
目)
とロオ)の見解を﹁賃借入にとって苛酷にすぎる﹂という観点から批判している(件。呂町 NS
ω ∞NB-N21NOω)。
・
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-E。2 2︼︿(賃借入の原状返還義務が過失推定の根拠と
毛送、きたへも﹂-ZB巾 N・
ω222(賃 借 入 が 火 事 防 止 の た め に 最 大 限
なる旨を強調する)・ 0C
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22E唱さ可否、
および注に見るように、だからといってトロロンがこの規定の拡大適用を指向しているわけではない。
品
(
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斗 2 2一
)
ω 巾仲間三︿は、この規定は一般原則に対する例外であるとの理解に立ち、その限定的
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解釈を説く点でやや異色である。なお、吋問。戸ozpsR は 、 こ の 見 解 に 対 し て 激 し い 批 判 を 加 え て い る 。 も っ と も 、 本 文
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(日)この問題については、ロ己目﹀ Z↓
5 印‘℃℃'∞品l∞。・が詳しい検討を行なっている。また、
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この場合にも過失の推定を認める見解は、叶。己FEE-言、吾、きな﹁S、Z E巾HH-ENω ‘
主 N印。くらいであろうか。
ロ 0・コ N ・N
(臼)司045E-切る言、ぎなお谷、ロCH21・甘叶 N目火元不明ケ l ス に つ い て は 全 賃 借 入 が 責 任 を 免 れ る 、 と す る 。
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N∞一叶問。(臼)︿♀タ UC︿何回の百戸的制声、
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( 出 ) 立 法 過 程 に お け る 異 論 に つ い て は 、 ↓ 目OT﹁
内
ヘS-gg巾N・5 ω 2 ・
3 5 。 E 斗・を参照。
czp言、8・5 町
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も不可能ではないであろうが、ここではむしろ、初期註釈学派の代表的著者と目されるデュラントンが、民法典の規定に
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(mw)UC国﹀Z40z-皇マ由、ぎなヘヒト Z B巾コ・口。・
∞岨苦・ 2 ω N な お 、 デ ュ ラ ン ト ン は 、 そ れ に 続 け て 、 ﹁ そ の よ う な 問 題 点 は と
も か く と し て 、 す べ て の 賃 借 人 に つ い て 責 任 が 存 す る ﹂ と 述 べ る 。 こ こ に ﹁ 註 釈 学 派 思略目巾﹂の﹁限界﹂を見出すこと
を可能な限り縮減するために、同規定の限定的解釈を試みるのである。本題から逸れるため詳論は避けるが、ここにも示
対する批判を明示的に述べていることに注目すべきであろう。その上でデユラントンは、そのような不都合な規定の弊害
tJ
巴。岡市含 EHι匁∞戸河内せ宮内弘司
唆されているように、日本でも流布している、法典の無批判的な註釈に終始したという註釈学派のイメージは、その真の
3
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-尚道立とさ F E ∞印-z。・?に再録)
姿 を 伝 え る も の で は な く 、 是 非 と も 改 め ら れ る 必 要 が あ る 。 こ の 点 に 関 し て は 、 EtE司目指間宮内
E F忌ミ込町﹄誌をミH
R
F
N
V室町、苫師、町内円台呂∞ NN'HHN2・(後にむきな・ 22m¥SE包 括 号
ru
﹁しかしながら、法律は存在する。従順にそれを受け入れることが必要である﹂と述べる。しかし、彼が向条の射程を解
い
が画期的な論稿である。また、アティアスの近時の論稿も参照されたい o n F
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(回)叶同OT﹁
CZの・臼ロミP ぎたへS-gg巾N・5 ω ゴ・司・5 ∞ な お 、 ト ロ ロ ン も ま た 、 デ ユ ラ ン ト ン と 同 様 に 、 こ の 批 判 に 続 け て 、
デュラントンの旧説。その根拠として挙げられたのは、所有者にも当該家屋に居住している以上その家屋の保存に関す
釈によって限定しようと試みていることもまた、デユラントンの場合と同様である。
(
ω
)
る監視義務が認められること、そうであれば、特定の賃借人に火事の原因を帰すことができない場合には、火事は不可抗
力によるものとみなされなければならない、ということである。この点に、デュラントンの一七三四条適用制限の態度が
よ く 現 れ て い る 。 し か し 、 デ ュ ラ ン ト ン は 、 後 に こ の 点 に つ い て は 見 解 を 改 め て 多 数 説 に 同 調 す る に 至 っ た oocEZ↓
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S可否、=。同町三﹄﹂.円。ヨ巾同斗ョロ 0・HOMY3・
北法46(
3・
80)514
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(
1
)
(︼
N)否定説として、叶問。戸。zps可否-きたへ-szgmN・8-ω∞c
-宅早∞NCC・一UC同﹀20ze旬
毛8・きたへとト gB巾コ・ロDEEmy
(刊)肯定説として、。豆、何回。B
-言、一浮き守主-ZB巾ωヨロ02酌・32ωl土品二﹀C回目吋町仲間﹀vc-gypきなヘ と・2 合唱司-E-EC 丹市
℃mwN・がある。
マ
(口)なお、﹀己回22-eE-宮町公・は、デユヴエルジエをこの点に関しても適用肯定説に立つ学説として引用しているが、誤
りだと思われる。︿DF﹁u
d︿何回2E-g B-き芯 3z5ヨ巾ω・ロDム一 ω印--)匂品一出品ωω・
・
その一端について、とりあえず、 Y
UW匂
ミ 3hE向。弘、内科せと・司R5・
白血﹃門的﹀CNEJ﹂︿。な告三町、 s h h k・zwch白な室内出向的ミ町民之内伺﹄ 匂
(
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)
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﹀-na---s-EJ3・∞ -VZ民∞ り℃芯円巾品()めを参照。
家賃をめぐる法律関係
の
自
由
いかなるレベルにおいても家賃を規制する立法は存在しない。
ZM
門巾℃コ H﹂ 理 論 が 広 く 適 用 さ れ て い た 。 オ リ ヴ ィ
エU マ ル タ ン の 言 を 借 り れ ば 、 そ こ で は 、 ﹁ 住 宅 用 不 動 産 は 、 適 切 な 価 格 で 賃 貸 さ れ な け れ ば な ら な い 。 所 有 者 は 、
ところで、中世期には、 カノン法の強い影響のもとで、﹁正当価格﹂
象である一九世紀には、
家賃の決定は、当事者の自由に委ねられる。これがナポレオン法典のもとでの家賃決定の考え方であって、本稿の対
疋
家賃決定とその支払い
4
決
の時期に家賃が急激に上昇することを抑制するというこの伝統は、旧制の末期に至るまで、多くの法文を通じて確認さ
6
(
3・81
)5
1
5
北法4
家
賃
の要求を法外に増大させるのに有利な状況から利益を得てはならない﹂と考えられており、﹁危機の時期や公共の災禍
そ
(
a
) (
1
説
(刀)
れる﹂根強いものであった。
CM)
(九)
によって賃貸人に課される義務﹂と題する新たな一章を設け、そこで、﹁なにも隠さない義務﹂
旧制末期、 ポ チ エ は 、 ﹁ 賃 貸 借 契 約 の 性 質 自 体 か ら 導 か れ る 賃 貸 人 の 義 務 ﹂ に 関 す る 一 章 の 後 に 、 ﹁ 賃 貸 借 契 約 を 支 配
す る 信 義 (σoロロヱ
とともに﹁正当価格を超えた価格で賃貸しない義務﹂が賃貸人に課されているとの理解を示している。ポチエの理解に
すべての実定契約 (
g
E守主
ポチエにおいては、義務は、通常の法的
一定の幅を持ったものであり、 そ の 範 囲 内 で は 当 事 者
2.25︿丘町ロ円) を 受 領 す る こ と
o ﹁なぜなら、このいずれの契約においても、
よれば、売買契約において売主は正当価格を超えた価格で売却してはならない義務を負うが、これと同様の義務が、賃
貸借契約においても認められるのである
を望んでいるからである﹂
HNAVU叶﹁)。ただし、注意すべきは、
(
E
S
)
(
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O﹁巾凶広三2R) にお
が巨大なものであっても、 そ れ が 不
(
}
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E巾吉宮市) に よ っ て 規 律 さ れ て い る 場 合 に は 、 外 面 の 法 廷 に お い て も 、 賃 貸 人 が
HN
叶
・
目
)
・
叶
同
)
。
込め、世俗の権力が支配する外面の法廷においては当事者間の賃料決定の自由を認めたことに意義を認めることができ
以 上 の よ う な ポ チ エ の 立 論 は 、 そ れ 以 前 の 理 論 と の 関 係 で は 、 正 当 価 格 の 遵 守 を ﹁ 内 面 の 法 廷 ﹂ H道 徳 の 領 域 に 封 じ
ロ
。
それを超えることは許されなくなる (
これに対して、賃料が警察法律
動産の賃料にかかわる場合であってもそうである。ただ、賃貸人が賃借入を踊すために詐欺を用いた場合には別である﹂。
いては、賃借入は、賃料の過大性を訴えても聞かれることはない。損害
円
。
ロ
凹2 2丹 市 ﹂ に お い て の み 存 在 す る も の と 把 握 さ れ て い る こ と で あ る 。 そ れ ゆ え 、 ﹁ 外 面 の 法 廷
のとに分けられ、右の義務は、売買契約における正当価格遵守義務と同様に、内面すなわち﹁良心の法廷
zr﹁号 E
サンクションに親しむ﹁外面の法廷﹂ の 次 元 に 属 す る も の と 、 道 徳 ・ 良 心 に か か わ る ﹁ 内 面 の 法 廷 ﹂ の 次 元 に 属 す る も
が交渉して決定することができる (
ロ
。
(D0
・HN?u-口・)。この正当価格は、
gg自己主民) に お け る の と 同 様 に 、 契 約 当 事 者 の そ れ ぞ れ は 、 自 分 が 与 え た も の の 対 価
~b.
ロ岡
北法4
6
(
3・8
2
)
5
1
6
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
(お)
ょう。しかし、 その後の理論との関係では、 むしろ、 たとえ﹁内面の法廷﹂ の レ ベ ル で は あ っ て も 正 当 価 格 の 遵 守 義 務
を認めるという形で正当価格理論をいまだ維持していることにその意義を見いだすべきものと考えられる。また、ポチ
エの立論においては、﹁警察法律﹂による賃料規制の可能性が自明のこととされている点にも相応の注意が払われるべ
きである。実際、 ナ ポ レ オ ン 法 典 以 降 の 学 説 に お い て は 、 正 当 価 格 が 語 ら れ る こ と は 一 切 な く な る 。 も ち ろ ん 、 立 法 に
つ(い
。の
で
あ
一九世紀における家賃決定自由の考え方は、このように正当価格的発想の否定の上に成立し
証拠法レベルでの不平等が明らかである。
川門家賃支払時期
(一七一六条)。
一年に四期ある賃貸借
家 賃 の 支 払 時 期 は 、 原 則 と し て は 当 事 者 の 約 定 に よ る が 、 こ こ で 想 定 し て い る 口 頭 に よ る 賃 貸 借 の 場 合 に は 、 そのよ
(花)
うな約定が存在することはまずありえず、地域の慣行によることになる。パリについていえば、
月
(竹)
きるが、鑑定に基づく評価家賃が賃借入の主張を上回る場合には、 その費用を負担しなければならない
そして、この場合には、所有者の主張が宣誓に基づいて採用される。賃借人は、これを拒否して鑑定に訴えることもで
賃額にかかわる場合には、賃借人の入居などによる契約履行開始後であっても、証人による立証が否定されるのである。
ることは前述した (
← 2川 ) 。 こ の 証 拠 方 法 の 制 限 は 、 家 賃 に 関 し て は さ ら に 厳 し い も の と な る 。 す な わ ち 、 紛 争 が 家
口頭による賃貸借に関しては、 そ の 履 行 前 に は 契 約 の 存 在 に 閲 す る 証 拠 方 法 が 制 限 さ れ 、 証 人 に よ る 立 証 が 否 定 さ れ
る
よる賃料規制の可能性まで一九世紀の学説が否定するものではないであろうが、 そのような問題自体が語られることが
たきく
川証拠方法の制限
あて
単位期間の満了時に支払われるべきものとされるが、それが具体的に意味するのは、賃貸借単位期間満了の当日
北法4
6
(
3・8
3
)
5
1
7
たな
もく
のな
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説
苦ι
ロ岡
O 日 、 六 月 三O 日:::)
二
である。なお、賃貸人は、通常、家賃支払期について、
(乃)
一定の猶予期間
ではなく、 そ の 翌 日 (一月一日に始まる賃貸借単位期間については四月一日、 四 月 一 日 に 始
まる賃貸借単位期間については七月一日
(初)
を 付 与 し た と い う 。 具 体 的 に は 家 賃 額 に よ っ て 異 な り 、 年 四0 0フ ラ ン 以 下 の 賃 貸 借 で は 八 日 間 、 そ れ を 上 回 る 賃 貸 借
では一五日であった(応舗の賃貸借の場合には常に一五日)。先に指摘した入居・立退に閲する慣行上の猶予期間が家
一九世紀末葉の時期に活発化する、家賃支払いを拒否する賃借
賃支払いについても連動しているのである。これはあくまで所有者による思忠であって、所有者は右記の各月の一日の
(飢)
家賃支払いを要求することもできるとの指摘があるが、
人 運 動 の 実 態 な ど か ら し て も (これについては別稿で検討する予定である)、八日間の猶予を認めるのがあくまで原則
と考えられる。
{幻)
右のように、家賃支払いに関するパリ慣行上の原則は後払いである。この点は、それぞれ内容の異なるその他の地域
の慣行においても共通している。ただし、パリ慣行にはこの点に関する例外もあり、公路に面する庖舗等の営業用賃貸
一九世紀の
借については、六カ月前の家賃前払い請求も認められた。後払いの原則は、賃貸人にとっては不利であり、慣行とは別
(幻)
R
何巳uoEmzζoznF﹃2C2fHM山品∞噂﹁巾司﹃。︻同己円CCロ 匂
に賃貸人が担保の意味で一定の月数分の前払家賃を要求することはもちろんあったと考えられる。そして、
後半期になると、この弊害が問題祝されるようになっていく。
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t 守口Hプ マ ミ 広 島 目 白 色 町 的 。 三 宮 定 的 色 白 白 河 をczts-FF問、H
M向。H司、町門H
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( ロ ) 司 ﹃ O 巳︿︻何回
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問
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E-52EP 見 守 町 口 白 弘
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島
町内印円同市口丘
町 55 ∞
N
3
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N
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- オリヴィエ H マルタン/縞浩訳﹃フランス法制
・3 ・
5
・ 品
L (創文社、一九八六年)四一七頁l 四一八頁参照。ただし、本文の邦訳は筆者による。正当価格理論一般について
は、さしあたり、﹀一昨E
史概説
・守札ごま守、号、5
aF -50め参照。ただし、家賃に関する記述は含んでいない。
F hR
∞
コ
北法 4
6
(
3・
8
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)
5
1
8
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
HN
印 HN
品
川γ印。・以下、引用部分の指示は、本文中で行なう。なお、ポチエはこの種の
3・
・
∞義務﹂を挙げているが、この内容の一端については、注(町)を参照。さらに、他
義務としてもう一つ、﹁費用を償還する
(
九)
u
o↓回目戸袋、5・きたおh
q
- ロO 印
(SONOM--)斗
仏)。
方でボチエが、賃借入についても、信義から生じる義務として﹁正当価格を下回る価格で賃借しない義務﹂を挙げている
ことも指摘しておこう
(百)ポチエにおける﹁内面の法廷﹂と﹁外面の法廷﹂の区別の意義、この区別と法と道徳との関連をいかに把握すべきかは、
E
z
-
法史学上の一大論点であり、筆者にはこれを十分に展開する能力がない。本文に記す評価も、暫定的なものである。この
論点については、まずもって、小川浩一二﹁ジャン・ドマの o
z号
凹 号 Z宮E2ハ円、。完﹂北大法学論集三
S と -DH
包
八巻三号、四号(一九八八年)(﹁外面の法廷﹂と﹁内面の法廷﹂との区別が法と道徳との区別に対応するものと捉えられ、
ポチエにおける法と道徳との峻別が強調される。口四四頁1四六頁および対応する注参照)、金山直樹﹁ポティエの法律学﹂
三六頁)が参照されるべきである。また、西村隆誉志・小川論文書評、法制史研究三九口万二九九O年)、大川四郎・金山
姫路法学三一号(一九八九年)(寸内面の法廷﹂の次元でも、一定の義務の法への分化・転化を見ょうとする。一一一一四頁 l 一
論文書評、法制史研究四O号(一九九一年)も参照。
の等価が遵守されていないとしても、この不正義を罰することができるのは、良心だけである。法律は関与しない﹂。
(向)若干の例を引用しておく。寸たしかに、衡平上は、賃貸借契約は使用収益の等価を提供すべきものであろう。しかし、こ
斗問。戸o
zc-SY白・きなさ-Z呂町﹁ロDeω-七日。・述べられている文脈は、賃料が低廉な場合について﹁過剰損害応202に基
づく契約解除が民法典上否定されている根拠の説明であるが、逆に賃料が法外に高い場合についても同様に当てはまる立
論である。﹁真実の立法原則、健全な経済学上の理論は、かくして次の単純な理念に立ち戻らなければならない。それは、
たとえ当事者の一方が(対価の不均衡による)損害を受ける場合であっても、錯誤、詐欺または欺同行為(吟由民合)がない
限り、合意を維持することである﹂ 0 0 5
φ これは、明確に賃料が法外に高い
己目。日戸言、浮きなヘS・82 ω
巾 ・口 05
- 5
・ω
・
℃
場合も射程に入れた立言である。
(打)ナポレオン法典の立法過程において、カンパセレスは、この規定を﹁あまりに絶対的﹂だとして批判し、宣誓を要求し、
EZ司-SミP きたへus-ZEmz-
司
N
ω 印)。しかし、いかなる事情か不明であるが、最終法案ではこの修正
鑑定を命令し、または自ら裁定する権限を裁判官に認めるべきことを主張した。一七一六条は、この修正を経た上で採択
された(以上、
北i
去46(3・
8
5
)
5
1
9
説
論
が取り上げられていない。原田・前掲書注(町)四四七頁も参照。
(沌)∞﹀CSF臼毛浮きなヘS
- 司・ち品・に収録されているパリ慣行参照。
(内)何百戸芯﹀ CZEJMN
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ことは前述の通りであるが、家賃は、六カ月毎、右のサン・ジャン・パチストの日とクリスマスの日(一一一月二五日)に
(位)たとえば、オルレアン慣行では、賃貸借単位期間が一年でありサン・ジャン・バチストの日(六月二四日)に開始する
めて家賃の請求が可能になった。マルセイユでは、家賃は六カ月毎の支払いで、サン・ミシェルの日(九月二九日)と復
支 払 わ れ る べ き も の と さ れ た 。 こ れ は 、 ォ ク セl ル 、 メ ッ ツ な ど で も 同 じ で あ る 。 ブ ロ ワ で は 、 一 年 の 期 間 が 満 了 し て 初
N-七
ω戸 田 Z-∞
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日
出
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E印叶参照。労働者政
カ月毎に家賃が支払われていく。つまり、ここでは固定した賃貸借単位期間がないのである。その他の地域の慣行も含めて、
活祭の臼に支払うべきものとされた。その他異色の慣行としては、ボルドーがあり、ここでは賃貸借が開始した日から一一一
︿
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ロcω 弐y-uH寸寸
(出)たとえば、。市﹁m
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g 司区間叶-ESE5伺ミミも 3hh白言師、目以白コ凹-EZ自己﹃巾玄白ESP-∞
党から、採択には至らなかったが、家賃前払いの全面禁止を求める法案が提出されるという動きも見られる。p
c句。 ω宣言
一般的であったかはよく分からない。ほほ例外なく賃貸人によって要求される程度に普及していたとすれば、別稿で検討
-EEmEtrι 巾岡田戸﹃巾匂白山、角川﹁己巾印一o可巾﹃印巳.
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p ∞何回目・ 0﹃弘二信田口門市含土=EH∞宏・﹀ロロロ 08
寺
・ 匂
に対する抵抗手段として意味がないことになろう。しかし、もう少しあとの時期になると、担保としての前払家賃が一般
す る 予 定 の 、 一 八 八0年 代 に 盛 ん に 行 な わ れ た 家 賃 支 払 期 日 に お け る 賃 借 入 の ﹁ 木 鋒 の 引 越 し ﹂ ( 夜 逃 げ ) な と は 、 所 有 者
﹄﹂﹁
SR喝さ円礼会足門出向むさ礼町内HS sznhH2・ZEmH0・N
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的 に な っ て い く る よ う で あ る 。 た と え ば 、 第 二 次 世 界 大 戦 後 の 時 期 を 対 象 に し た 記 述 と し て 、 呂 田 ﹃ 円 巳 戸 ﹀ Z-OFえの巾 C﹃
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北法 46(3・
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一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(
1
)
。4 家 賃 債 権 の 担 保
家賃支払いの原則が後払いだとすると、賃貸人にとっては家賃債権の回収確保の手段が重要な関心の対象になる。賃
借入の家賃不払いの場合に賃貸人に契約の解除権が認められるのは当然であるが、同一住戸への定着意識が必ずしも強
二O六
くなかったこの時期の賃借入に対して、この手段は必ずしも十分に威嚇的でなかった。定額小作においては、契約中に
(以)
小 作 料 不 払 い の 場 合 に ﹁ 身 体 強 制gEEE丹市古田円円。﹃宮﹂を課す旨の特約を挿入することも可能とされていた
二条)が、住宅賃貸借においてはそのような措置は認められていなかった。このような状況のもとで、家賃債権を実際
同条一号一文)。この先取特権は、
O 二条によれば、賃貸人は、不動産賃料を担保するための先取特権を、賃貸家
に回収するという観点から重要性を持ったのは、賃貸人の先取特権である。
特定動産先取特権を定める民法典二一
屋 に 備 え 付 け ら れ た す べ て の も の (具ト体的には家具が中心) の 価 値 の 上 に 有 す る
(お)
賃借入負担の小修繕を賃貸人が実施したことから生じる債権およびその他の賃貸借契約の履行に関するすべての債権に
及ぶが(同条一号二一文てその機能の中心が賃料債権の担保にあることは疑いがない。この先取特権が家賃債権を担保
する場合の被担保債権の範囲は、契約に確定日付がある場合(公正証書でなされた場合または私署証書でなされてもそ
れが確定日付を有する場合) と 、 そ う で な い 場 合 と で 異 な る 。 前 者 の 場 合 に は 、 期 限 が 到 来 し た す べ て の 家 賃 債 権 お よ
ぴ将来期限が到来するすべての家賃債権が先取特権でカヴァーされるのに対して、後者の場合には、寸その年次の満了
)0
(目的)
か ら 一 年 ﹂ 分 の 家 賃 債 権 が 先 取 特 権 の 対 象 に な る だ け で あ る (同条一号一文、二丈
(幻)
右の法文の文言が﹁賃貸家屋に備え付けられたすべてのもの﹂と述べ、 そ れ が 賃 借 人 の 所 有 物 か 否 か で 区 別 し て い な
いため、第三者の所有物でも右の文言に該当すれば原則として賃貸人の先取特権の対象になるものと解された。転借入
が備え付けた物についても同様である。賃貸人の先取特権はこのように広い範囲に及ぶが、さらに注意すべきことは、
北法4
6(
3・8
7
)
5
2
1
説
吾乏為
自
岡
一五日内であれば返還請求(﹃22E25ロ
) を行なうことができ、 そ の よ う に し て 自 己 の 先 取 特 権 の 効 力 を 保 全
この先取特権には追及効も付与されていることである。すなわち、賃貸人は、﹁その同意なしに移動された﹂動産につ
いて、
一九世紀初期の学説には、右の文
す る こ と が で き る の で あ る (同条一号五文)。これは、動産先取特権には追及効がないとのフランス法上の原則に対す
る重要な例外である。動産取引の安全よりも家賃債権の保護が優先されたのである。
(
∞
∞
)
言を物理的な移動に限定して解釈し、賃借入の売却ケl スを除外しようとする試みも有力であった。動産取引の安全を
多少なりとも確保しようとしたわけであるが、大勢を占めるには至らなかった。
かくして、賃貸人は、 き わ め て 強 い 先 取 特 権 を 付 与 さ れ る こ と に な る 。 た だ し 、 こ の 先 取 特 権 が 実 効 性 を 有 す る た め
には、十分な動産が賃借家屋に備え付けられていることが必要である。このような要請を満たすために定められたのが、
(鈎)
家屋賃借入の家具備付け義務である。すなわち、家屋に十分な家具を備え付けない賃借入は、家賃支払いを保障するに
一年分の
足 り る 担 保 を 供 し な い 限 り 、 立 退 き を 強 制 さ れ る こ と が あ る も の と さ れ た の で あ る (一七五二条)。どの程度の家具を
(川出)
備え付ければ﹁十分﹂であるかについては明示の規定がなく、裁判官の判断によることになるが、学説では、
家賃に対応する価値の家具を備え付ければよいと解される傾向にあった。
利で、民事債務のサンクションとして刑事罰を用いるという性質を有する制度であった。定額小作料についてこれが可能
(剖)身体強制とは、要するに、一定の場合に債権者に認められる、債務を履行しない債務者の収監を求めることができる権
この身体強制の制度は、一八六七年七月一一一一日の﹁身体強制に関する法律﹂によって、民事・商事に関しては廃止され、
とされていたことは、定額小作料債権の法律上の位置付けの高さとともに、定額小作関係の前近代的性格を示している。
重罪・軽罪・違警罪についてだけ残されることになった二条、二条)。
(部)この点を明確に指摘するものとして、﹀宅﹀ベ-S百戸ぎなこと、百冨︺
北法46(3・88)522
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
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U
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EE252・∞弓3
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もこの先取特権によって担保されるかが解釈上問題になった。規定の文言を厳格に解して問題を否定する見解も有力であ
(前)この文言は、すでに期限が到来した家賃債権、また当該年次の家賃債権を形式的には含んでいないため、これらの債権
ったが、判例は、これらも担保されるとして最も家賃債権保護の立場に立つ見解を採用したお曲目的岨
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でも、それが他人に属することが周知のことがらに属するような場合には、先取特権の対象から外すとの判決もあり、学
円}方
・)。この問題について、叶問。戸
ZN印
02・むさご5 ご もξNRbSEE-h町2 ミ旬、志向ph室内師、印mE よ ∞-n'EF口雪印F
H∞印ムイロ 0・
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ただし、他人の所有物を備え付ける前にそれ
HF&・5 5 Y B H∞NH∞小一明言辛﹀の Z戸・ま t 8 主 AT℃ 54・
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・
・
が他人物である旨を賃貸人に通知しておけば、それは先取特権の対象から外れる(判例)。さらに、事前の通知がない場合
説にはこれに賛意を表するものが多い。斗問。戸ozp雪・門 H? 何百一巾﹀のE
守
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・5 品品、吋-七回。∞
(部)かかる学説の試みについて、︿ D︼﹃・叶き戸ozc-SR-SEN-3・ 匂
I
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H ただし、トロロンは、このような学説に批判
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的である。
(剖)立退請求の手続については、通常の判決手続によるべしとの見解と、急速審理(﹃広々とによることができるとの見解が
対立したが、パリ地方裁判所は、後者の見解を採用した(一八五一年一一一月一 O 日判決)。∞﹀ C C E
百戸き芯芯﹂・司・四日に
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よる。
(叩)この問題に関して、まず、ロ戸
{A さ れ た 全 期 間 分 の 賃 料 額 に 対
5282戸 留 守Pきなへと﹂、℃ S-gzF)占 刀 昌 巳 は 、 約 た
応する家具の備付け義務を否定する。家賃債権が五年の短期消滅時効に服すること(一一一一七七条)、全期間の賃料が請求さ
ン慣習法が援用され、二期分の家賃を担保するに足りる(家具でよい、とされる。オルレアン慣行では家賃は六カ月毎に支
れないまま期間満了を迎えるという事態はまず現実にはありえないこと、の二点がその根拠である。その上で、オルレア
払われるから(←注(幻)参照)、二期分の家賃とは、一年分の家賃を意味するわけである。その後の論者は、特に根拠付
け に 腐 心 す る こ と な く 、 オ ル レ ア ン 慣 習 法 を 援 用 し つ つ 、 同 線 の 結 論 を 認 め る o U円︿何回の}何回喝さも言、きた﹁3 g目
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さ ぎたへ匂ト gヨ
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対応するわけである。∞﹀己(︺何回・富市S・
5Rs・ 印印。これらに対して、ロぐ同﹀只叶 OZ'室、浮きたへとト gg司︼叶・5 ・5 斗・匂司
5 めIE寸 ・ は 、 家 賃 支 払 い を 受 け な い 賃 貸 人 は 何 時 で も 契 約 の 解 除 が 可 能 で あ る こ と か ら 、 当 期 分 と 次 期 分 の 二 期 の 家 賃 を
北法46(3・89)523
力
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昔
賃
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失
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致
損
家賃の減免
る
担保できればよいとする。この論理によれば、パリでも二期すなわち半年分で足りることになろう。
(
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) (
3
)
(引)
一七四一条)。部分的破壊(段損) の 場 合 に は 、 賃 借 入 は 、 状 況 に 従 っ て 、
EE(H﹁不可抗力沙門門司自ど巾ロ﹃巾﹂) に よ っ て 全 面 的 に 破 壊 さ れ た 場 合 ( 滅 失 ケ ー ス ) に は 、 賃 貸 借
﹁
日 間O
川不可抗力による使用収益の剥奪
それでは、 た と え ば 戦 争 の よ う に 不 可 抗 力 と 見 ら れ る 事 態 に よ っ て 賃 借 入 に よ る 使 用 収 益
の全部また
いまだ抽象化されない具体的なものである。すなわち、賃貸借契約における給付関係の具体的把握である。かかる把振
﹁ 各 自 の 賃 料 は 各 日 の 使 用 収 益 の 対 価 で あ る ﹂ と 述 べ た 。 こ こ で ﹁ 使 用 収 益 ﹂ が 意 味 す る の は 、 日々の使用収益という、
後にも受け継がれる。たとえば、デルヴァンクゥルは、賃料は﹁使用収益﹂に対してのみ支払われることを強調しつつ、
つとにポチエは、このような場合について家賃免除またはその減額を認めていた。この見解は、ナポレオン法典制定
(幻)
力による使用収益の剥奪を右の一七二二条にいう賃借物の滅失致損と同視しうるか、という問題である。
の際に現実に提起され、 さ ら に 第 一 次 世 界 大 戦 時 に も 再 び 問 題 に な っ た も の で あ る 。 こ れ は 、 解 釈 論 と し て は 、 不 可 抗
は一部が不可能になった場合にはどうであろうか。この問題は、後に見るように、普仏戦争に伴、っドイツ寧のパリ包囲
P05352)
あるいは賃貸借契約の解除を、あるいは賃貸借契約を維持したままで賃料の減額を請求することができる(一七二二条)。
契約は法律上当然に解除される(一七二二条、
が ﹁ 偶 発 事2
賃借入は、原則として賃貸借の全期間について約定の家賃を支払うべきことは当然であるが、賃貸借期間中に賃借物
不
可
抗
説
まι
ロ而
北法4
6
(
3・9
0
)
5
2
4
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
(幻)
を 前 提 と す る ば 、 不 可 抗 力 に よ る 使 用 収 益 剥 奪 ケI ス に お い て は 、 賃 料 が そ の 対 価 と な る べ き 使 用 収 益 が な い わ け で あ
(似)(郎)
るから、その限りで家賃債務が発生しない、あるいはその発生が停止するのは当然ということになる。かかる見解は、
少なくとも一九世紀の後半期までは判例および学説に受け入れられていたと見られる。
例不可抗力による収入減収
それでは、同じく戦争などの不可抗力と見られる事態によって、使用収益自体が不可能になったわけではないが、賃
借入の労働や賃借建物での商業・工業活動が阻害され、その結果、収入が減少しまたは皆無になった場合にはどうであ
ろうか。使用収益が剥奪されているのでない以上、これをも一七二二条に含ませていくことは困難であり、この場合に
﹃巾﹃呂巾)
において偶発事(不可抗力) に よ っ て 収 穫 減 少 が あ っ た 場 合 に
は家賃の減免は認められない、というのが基本的考え方となろう。しかし、農地賃貸借の領域においては、類似の問題
状況を想定した規定がある。定額小作 (
g
P
小作料の減額を認める民法典一七六九条以下の規定である。そこで、住宅賃貸借についてはともかく、定額小作と同様
(山間)
一 定 の 要 件 の も と で 小 作 料 減 額 を 認 め る の が ロ iマ
に賃借物上での収益活動を目的とする営業用建物の賃貸借については、この規定の趣旨から右の場合に家賃減額が認め
られないかが問題となりうるのである。
ま ず 、 定 額 小 作 に お け る 不 可 抗 力 に よ る 減 収 ケ l スについては、
法以来の伝統的解決であり、旧制下の学説もこぞってこれに賛成していた。フランス民法典一七六九条以下の規定は、
け
司
かかる伝統的解決を踏襲して設けられたものに他ならない。その論拠としては、立法過程において次の二点が説かれた。お
門)
で な け れ ば な ら ﹂ ず 、 か く し て 、 不 可 抗 力 に よ る 収 穫 滅 少 ケ l スに
﹂ld-
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A笠
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①﹁賃貸借契約は将来の果実の一種の売買契約﹂である。②﹁定額小作契約は実定契約 (
gロ可巳BEESE) であ﹂り、引
﹁したがって、果実は小作料の対価(て2EZZD
(切)
おける小作料減額は﹁この契約の本質に属するのである﹂。ここでは、賃貸借契約における給付関係が、先に一七一一一一
条に関して見た賃貸借契約の把梶以上に具体的に把挺されていることが注目される。ここでは、現実の使用収益だけで
それに基づく﹁果実﹂ H ﹁収入﹂ の 取 得 が 賃 料 の 対 怖 を な す も の と 促 え ら れ て い る か ら で あ る 。
ると
のい
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あ(表
る1
0
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明
王
I
王
て
し
(侭
それが不可抗力によって失われた場合に家賃減額請求権を認める見解が有力に主張される
一七二二条の適用を不可抗力による使用収益剥奪ケl スにも拡大する見解
十くも批判の対象になった。そのような動向の先鞭を付けたのは、 おそらくデュヴ
一九世紀の前半期から H
見解に立つならば、
(問)
一九世紀後半期には支配的見解の地位を獲得する。かかる
一 七 六 九 条 以 下 と い う 明 示 の 規 定 が あ る 定 額 小 作 関 係 に つ い て は 不 可 抗 力 に よ る 減 収 ケ l スについ
し、この見解は、次第に学説に受け入れられるようになり、
結果は関係がない﹂ の で あ る 。 こ の 賃 貸 借 契 約 の 把 握 は 、 直 ち に は 多 く の 学 説 の 賛 同 を 得 る こ と が で き な か っ た 。 し か
(肌)(剛山)
しない。したがって、賃貸人が賃借入に使用収援を与えさえすれば、その債務は履行されたのである。この使用収益の
物を使用収益させる義務を負うにすぎない。賃貸人は、この使用収益が多かれ少なかれ利益をもたらすことまでは担保
握 す る 。 彼 に よ れ ば 、 ﹁ 賃 貸 借 契 約 H果 実 の 売 買 ﹂ と い う 理 解 は 誤 っ た も の で あ り 、 ﹁ 賃 貸 人 は 、 単 に 賃 借 入 を し て 賃 借
﹁賃貸借契約に本質的なもの﹂と理解する立法過程の把握に反対し、同条をあくまで一般原則に反する例外的規定と把
エルジエである。デユヴエルジエは、不可抗力による減収の場合に小作料減額請求権を認める一七六九条以下の規定を
とは異なり、
しかし、右に示した肯定説は、先に見た、
に実
いて家賃減額を認めるべきことを説いていた。そして、民法典制定後には、ポチエの見解を援用しつつ、営業活動の﹁果
よ う な 理 由 付 け を 明 示 し て い る わ け で は な い が 、 右 と 同 僚 の 賃 貸 借 契 約 の 珂 解 を 提 示 し つ つ 、 営 業 活 動 阻 害 ケ l スにつ
(
ω
)
捉えた上で、 そ の 剥 奪 の 場 合 に 定 額 小 作 と 同 様 の 賃 料 減 傾 請 求 権 を 導 く こ と は 不 同 能 で は な い 。 実 際 、 ポ チ エ は 、 そ の
このような給付関係の具体的把梶を常業用建物の賃貸借関係にも及ぼすならば、営業活動に基づく収益を﹁果実﹂と
な
く
至」
説
きι
ロ問
北法 46(
3・92)526
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
(削)
て小作料減額を認めるのはやむをえないとはいえ、 その規定は限定的に解すべきであり、 そ の 趣 旨 を 営 業 用 建 物 賃 貸 借
関係に及ぼすのは適当でないということになる。
右 に 示 し た 新 た な 賃 貸 借 契 約 観 は 、 ﹁ 賃 貸 借 契 約H果 実 の 売 買 ﹂ と い う 把 握 と 比 較 す る な ら ば 、 賃 貸 借 契 約 に お け る
給付関係の抽象的把握に一歩を踏み出している。この見解は、使用収益に基づく﹁果実﹂、﹁収入﹂ の 取 得 で は な く 、 使
(郎)
一七二二条の議論においては、現実の使用収益の
用 収 益 自 体 を 賃 料 と 対 価 関 係 に 立 つ も の と 理 解 す る か ら で あ る 。 も っ と も 、 そ こ で の ﹁ 使 用 収 益 ﹂ の把握は、 な お 具 体
的なものであった。たとえばデユヴエルジエは、先に示したように、
剥 奪 ケi ス に お い て も 賃 借 入 の 救 済 ( 賃 貸 借 契 約 の 解 除 と い う 形 で ) を 認 め て い た の で あ る 。 し か し 、 そ こ で 示 さ れ た
給付関係の抽象的把握をもう一歩推し進めるならば、賃料と対価関係に立つのは賃借物の引渡によって賃借入の使用収
一九世紀の後半期には、 か か る 見 解 が 現 わ れ て く る 。
益を可能ならしむることであって、 そ れ が 履 行 さ れ た 以 上 、 現 実 の 使 用 収 益 が 不 可 抗 力 で 不 可 能 に な っ た と し て も 、 賃
料債務の消長に影響しない、 という見解に至るであろう。実際に、
一七六九条以下の領域でのデ
す な わ ち 、 前 述 の よ う に 、 不 可 抗 力 に よ る 使 用 収 益 剥 奪 ケl ス に 一 七 二 二 条 を 拡 大 適 用 し て 賃 料 減 額 請 求 を 肯 定 す る の
(胤)
が一九世紀中の支配的見解であったが、これに対する批判論が提起されてくるのである。
HPASE足 時 三
ユヴエルジエらの制限論は、 か か る 賃 貸 借 契 約 に お け る 給 付 関 係 の 抽 象 的 把 握 を 貫 徹 す る 見 解 へ の 途 を 切 り 開 く も の で
あったと評価することができる。
(引)﹁偶発事﹂と寸不可抗力﹂は、これを厳密に区別すべしと説く論者もいるが(たとえば、日出巾忘 ζ ﹀
cmab豆町
。
ピ
噂 3NCIN--そこでは、寸必要なものをよく備えた意
マ白町民室内色町目白たをと白なきに﹁s
sng記念エミミF F・-d﹃戸匂白コ∞-ロ白-EN-思g ︿OF口広可Z
ZEst--bL であれば克服可能な出来事が﹁偶発事﹂で、反対にいかなる者にとっても克服不可能な出来
北法 46(3・
9
3
)
5
2
7
言
見
白岡
吾
ι
予見不可能性に重点を置くのに対して、﹁不可抗力﹂が不可抗性に重点を置くという視点の違いにすぎないとされる)ので、
事が﹁不可抗力﹂とされる)、一般的には両者は同義語と解されている(たとえば、﹀印8258 出
青
白gES
gコPH)EE--ヘ
H匂巳 ω品。の該当項目を参照。﹁偶発事﹂が
2
0ロ母の常国互のOz
c
ω よ子司己・ ?5ωN-3・H
同
E量ミ英吉豆聞か 85ZEB円
本稿でもこれを特に区別しない。
入居しえない場合(この場合には、家賃支払債務は発生しない)や、家屋への入居後、それに崩壊する危険が生じたため
,何
(
位)34
-E∞l
z
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y℃・印印・具体的には、戦争時における敵の占領やベストの脅威によって賃借家屋に
E
回h
sミP5tbs-E∞
退去を余儀なくされた場合(この場合には、退去の時点から家賃債務発生が停止する)が想定されている。
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(似)たとえば、
ω∞22Z一の己目F
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用収益に応じて生じるのであり、何らかの理由でこの使用収益が不可能になった場合には、賃料支払債務は、その全部ま
れており、この間題が現実に争われたのは、普仏戦争の時期であることがわかる。
7
たは一部について停止する﹂ (gωS・
3 品Soto-) と述べて、本文記載のデルヴ ンクウルと同様の把握を示している。
(何)判例の挙一不としては、。E戸
U室町内HZhH円。遺書き日二三白宮司寺町、円OB 而N
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門-S・ EZユ宅主﹁9 5 2・苦
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。。品。。∞・を参照。ただし、そこに一不されるように、この間題に関する判決のほとんどは、一八七一年普仏戦争以降に出さ
(何こ巾EUSE-h内向﹄宮内HせとなE E宮 、 ミ 弓 き さhFE 言晶、・ 5 ・印・出。'ttzH︿
JQ25nos-22むこ・ 005 5 5・
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2・など。なお、原田・前掲書注(訂)一一 0 1 一一一頁も参照。
問問
(肝)①←(
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②←ロ回目円。ロ﹁国司﹁Cロ
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22R-BEE-ロω2・この①と②とは、基本的には同旨に帰するが、そこ
ロ
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に は 一 定 の 論 理 の 展 開 を 見 い だ す こ と も 可 能 で あ る 。 す な わ ち 、 ① に お い て は 、 定 額 小 作 契 約 を 果 実H収 穫 の 売 買 と 把 握
する古い賃貸借契約観がそのまま表明されているのに対して、②においては、使用収益の提供と賃料支払いという二個の
相対立する債権・債務関係を中核とする﹁実定契約﹂として賃貸借契約を把握する近代的賃貸借契約観が打ち出されている。
北法 4
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4
)
5
2
8
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(l)
川
5 yu
その上で、この対価関係・給付関係をきわめて具体的なものとして把握することによって、①と同様の解決が導かれるの
である。
5
(開)ポチエによれば、定額小作契約は﹁将来の果実についての一種の売買契約﹂であり(ぎコ宮山戸皇、言、きたへNG
、
(
H
E
R
N
E 少 U-ω)。
E ・)、賃貸借契約一般については、﹁物の収益と使用の売買契約﹂との論理が示される
に競争者がいなかったが、その後競争者が出現して顧客が減少したような場合には、家賃減額は認められない。後者の場
℃・印印巾昨日。ポチエは、幹線道路に面していた建物を旅館経営のために賃借したところ、幹線道
(的)﹃玄件、目。∞工品巾円 EN'H)
路が変更され、顧客が大幅に減少した、という例を挙げて家賃減額請求権を肯定する。他方、賃貸借契約締結時には近隣
合には賃貸借契約時にそのような事態を予期すべきだからである。ここから示唆されるように、このポチエの立論は、事
情 変 更 原 則 の フ ラ ン ス 的 形 態 で あ る 不 予 見 理 論 (ZPE﹃ おZ
己E 刀 ﹃ 雪55ロ)の先駆的主張としても注目される。
。
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また、オブリとロォは、立法者の見解は異なるという言い方
(瑚)寸同c-UFOZC-皇、言、きたへ3 gg
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(即)たとえば、トロロンは、デユヴエルジエに対して、問題の歴史的沿革を理解していないとの激しい批判を加えた。
、
﹃
問
。 TFOZのs
巾
yp ぎな﹁hq-Zヨ
わなければならない﹂と述べている
H)
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GEE-)0 おなじく﹁笑定契約﹂の観念を援用しながら、ここでの把握は、立法過程
3
3
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でデユヴエルジエ説に反論を加えた。﹀己田宮内二C
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右
・ 3ωlS品 な ど 参 照 。 ギ ユ ア l ルは、﹁賃貸借契約の実定的性
格を厳格に解するならば、定額小作人は物の使用収益を得たのであり、彼はその小作料の全額を支払うべきである、とい
におけるジョベ l ルのそれ(注(肝)参照)とは大きく異なっている。
(山)たとえば、︿ O同
﹁
・
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・
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・
2
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・
(問)注(叫)参照。なお、その点では、ギユア│ルも同様である。
(雌)解釈論的には、一七二二条の滅失・段損の意義をより厳格に物理的なものに限定しようとすることになる。この立場に
立つ典型的な論者として、回﹀己ロヨ - E 2 2 d z
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5
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説
論
もかかわらず、不動産は無傷で存続している﹂ことを理由に、一七二二条の適用を否定して賃料減額を認めない。なお、
挙げておく。滅失の定義を明確に物理的なものに限定するとともに、戦争については、﹁賃借入の立退を強制した出来事に
小括 l │ 住 宅 賃 貸 借 の 法 構 造 の 特 質
展開している。 E
Um﹃門を﹀ ZF-皇、否、ぎな 33・℃。。品市片山口2・
岡武田の共著者の一人であるワ l ルは、後に、第一次世界大戦時における立法を素材としつつ、その考え方をより体系的に
ょ
、 7。
一九世紀における建物賃貸借の法構造を検討してきた。ここでその特徴をまとめると、次の諸点を指摘することができ
以上、概説的にではあるが、都市民衆に直接にかかわる個々の住戸を対象とする低家賃での賃貸借を念頭に置きつつ、
5
賃貸借契約成立の局面に即していえば、とりわけ個々の住戸を対象とする低家賃での賃貸借の領域では、履
、、、、、、、、、、、、、
賃借入の入居、 家 賃 支 払 い な ど ) 前 に お け る 契 約 の 拘 束 力 の 弱 さ を 指 摘 す る こ と が で き る 。 たしかに、 法 律 上 の 原
ず
ま
ニエ・ア・デユウ﹂ の授受があった場合に一定の地域慣行によって契約の解除権が認められていたことも、当初の合意
る場合には、他の一方(通常は賃借入) がその存在を立証することは事実上不可能に近いことになった。また、﹁ドゥ
ることが禁止されていたのである。この結果、当事者の一方(多くの場合には、賃貸人) が賃貸借契約の存在を百定す
外によって大きく制限されていた。すなわち、 口 頭 に よ る 低 家 賃 で の 賃 貸 借 契 約 の 存 在 を 立 証 す る に 際 し て 証 人 に 訴 え
則としては、賃貸借契約は諾成契約であり、当事者の合意のみで拘束力を生じる。しかし、この原則は、証拠法上の例
①
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)
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3
0
一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(1)
による契約の拘束力の弱さを示している。これらの結果、ここで想定している口頭による低家賃の住宅賃貸借は、あえ
υ
ていえば、現実の履行(目的物の引渡) があって初めて拘束力を認められる要物契約的な性格を強く帯びるものとなっ
ていた
賃貸借契約成立の局面ではもう一レ白⋮、右の類型の賃貸借関係においては、当事者間の交渉と合意に基づいて契約関係
の内容を個別的に形成していくというケ l スがまず存在しないことを指摘しうる。この領域における現実の契約締結は、
賃 借 入 に よ る 住 戸 の 訪 問 と 管 理 人 に 対 す る 賃 借 の 申 込 み 、 管 理 人 に よ る 承 諾 と ﹁ドゥニエ・ア・デユウ﹂ の 授 受 と い う
形をとり、契約の目的物と家賃水準についての合意はあっても、それ以上の権利義務関係に関する個別的合意はまず存
在しない。実際、契約はほとんどすべての場合口頭のものであり、個々の契約関係の特性に応じた特約を定めることは
まずなかった。当事者による自律的法形成能力は著しく弱く、 そ の 結 果 、 こ の 領 域 で は 、 当 事 者 の 意 思 を 補 充 す べ き 民
法典の諸規定および地域慣行が現実には重要な機能を果たすことになる。
②賃貸借契約存続中の当事者の権利義務関係については、それは、賃借入の使用権限の観点からというよりは、契約
終了時の原状返還義務を中心に、賃借入の義務と責任を中心に構成されている点をまず指摘しうる。実際、賃借入の使
用権限は、用方遵守義務と善良な家父としての使用義務を中心に厳格な枠を桜められていたし、 ある程度認められる変
更・改良等の自由も、あくまで原状での返還義務の範閣内においてであった。他方、賃借物の滅失・段損等によってこ
の原状返還義務を果たせない場合には、賃借入に厳格な責任が課されるのである。火事の場合の厳格責任は、 その象徴
的意味合いを帯びていた。ここでは、賃借人の使用権限の不動産所有権への従属が顕著である。
もっとも、この点に閲しては、住宅賃貸借の領域における問題状況は、農地賃貸借や営業用建物の賃貸借(商事賃貸
借)の領域における問題状況とやや異なっていたことも指摘する必要がある。すなわち、この後者の領域においては、
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1
目
見
E冊
苦
手
ι
前述のように、耕作の自由、営業活動の自由を確保するためには、右のような使用権限に対する制約はきわめて重大な
経格となる。しかし、住宅賃貸借の領域では、改良の自由に対する要求もさほど大きくなく、右のような制約があって
も、住宅としての使用に重大な問題が提起されることはなかった。
一定の期間が約定される場合には、 そ の 約 定 期 間 内 の 賃 借 権 の 安 定 性 は 比 較 的 よ く 確 保 さ れ る よ う に な っ
③現実的により重要な問題点は、賃借権の安定性の領域において生じた。たしかに、 ナポレオン法典における賃借権
の法構造は、
て い る 。 不 動 産 賃 借 権 に つ い て 公 正 証 書 ま た は 確 定 日 付 が あ る こ と を 要 件 と す る 対 抗 力 の 付 与 ( 一 七 四 三 条 ) は、その
ための最も重要な法制度である。また、 ロ ー マ 法 の も と で は 家 屋 賃 貸 借 に つ い て 賃 貸 人 の 一 方 的 な 自 己 使 用 の 必 要 性 を
根 拠 と す る 取 戻 権 が 認 め ら れ て お り (Fo-KE巾)、家屋賃借入の安定性を著しく害していたが、これも、 ナ ポ レ オ ン 法
典 に お い て は 否 定 さ れ た (一七六一条)。そして、農地賃貸借および営業用建物賃貸借の領域においては、現実にもあ
る 程 度 長 期 の 期 間 が 約 定 さ れ る こ と が 少 な く な く (﹁三年、六年または九年を予定して﹂賃貸借契約が締結されること
が 一 般 的 で あ っ た て かかる賃借権の安定性を確保する性質の規定は、 それなりに意味を持ったと見られる。
しかし、住宅賃貸借とりわけここで主として想定している都市民衆を主体とする賃貸借の場合には、期間を当事者間
で定めることはまずなく、 そ の 結 果 、 右 に 挙 げ た 賃 借 権 の 安 定 性 を 確 保 す る 性 質 の 規 定 の 意 味 も 、 大 き く 減 殺 さ れ て い
た。当事者間で期間の約定がない場合には、地域の慣行が重要な意味を持つことになる。この点については、多くの地
域の慣行では、賃貸借単位期間の考え方が少なくとも一年間の期間を保障するものとなっていた。しかし、住宅問題の
観点からは最も重要な意義を有するパリ慣行は、この点に対する例外をなし、賃貸借単位期間の考え方によっても賃借
人は三カ月というわずかな期間しか保障されなかった。
賃貸借市場が安定している時期には、賃貸人のほとんどは職業的な貸し主で一定の家賃収入を確保できれば返還に特
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一九世紀フランスにおける建物賃貸借とオスマンのパリ改造事業(I)
に利益を見いだすものではないことからすれば、短期の期間保障しかなくても、大きな問題は生じないであろう。しか
一度賃貸借市場が貸し手市場に転化すると、 か か る 制 度 的 あ り 方 は 、 重 大 な 問 題 を 発 生 さ せ る 。 ひ と つ に は 、
よ
り
な
ろ
っ
第
帝
政
期
は
一九世一紀の経済自由主義のもとではおよそ忘れられた存在にな
まさにそのような市場の論理が賃料水準に直接的に貫徹し、高家賃問題が深刻
﹂のような考え方に右の期間保障の短期性が結びつくとき、市場の論理が直接的に個々の賃貸借契約に貫徹
と
力であり、この把握のもとで広く賃料減額請求権が認められていた。しかし、このような把握はまもなく否定され、賃
一 九 世 紀 の 前 半 期 に は 、 賃 貸 借 契 約 ( 特 に 定 額 小 作 契 約)H果 実 の 売 買 と い う 旧 制 以 来 の 伝 統 的 賃 貸 借 契 約 把 握 も 有
珍 し く 一 九 世 紀 中 に 顕 著 な 理 論 の 展 開 が あ っ た 。 それは、 単 に 家 賃 の 問 題 に 止 ま ら ず 、 賃 貸 借 契 約 の 理 論 的 把 握 自 体 に
、、、、、、、、、、、、、、、、
かかわる理論の展開であった。 その方向を一一言でいえば、 賃 貸 借 契 約 に お け る 給 付 関 係 の 抽 象 的 把 握 の 進 展 で あ る 。
④最後に、 不 可 抗 力 に よ る 収 益 剥 奪 な ど の ケ l ス に お け る 家 賃 減 額 請 求 権 の 領 域 に お い て は 、 住 宅 賃 貸 借 の 領 域 で は
住宅賃貸借特別法制は、 ま さ に こ の 問 題 へ の 対 処 を 中 心 課 題 と し て 展 開 し て い く の で あ る 。
に提起された時期であった。この時期に提起される改革要求、 さ ら に は 第 一 次 世 界 大 戦 後 の 時 期 か ら 本 格 的 に 展 開 す る
し
、
、
し
、
く、た
定の自由に対してある程度の歯止めをかける法理論は、
他方、 ナ ポ レ オ ン 法 典 の も と で は 、 家 賃 の 決 定 は 、 あ く ま で 当 事 者 の 自 由 に 委 ね ら れ る 。 旧 制 下 に 存 在 し た 、 家 賃 決
着性) が 働 き に く い 仕 組 み に な っ て い る の で あ る 。
可能にすることになる。すなわち川ここでは、継続賃料が市場賃料水準に連動して増額されることに対する抵抗力(国
る。また、仮に直接の立退請求を導かない場合であっても、期間保障の欠如は、賃貸人から短期間での家賃増額請求を
家賃負担能力のある者を賃借人とすることを狙いとする、既存賃借入に対する解約申入れの危険が現実化するからであ
し
し、っ
貸借契約は賃料支払いと使用収益の供与が対価関係に立つ契約との把掘が一般的になっていく。そしてさらには、この
北法46(
3・
99)533
て、て
使用収益の供与についても日々の現実のものではなく、契約当初の時点での引渡で足りるという把搭が提示されてくる
のである。
L
を現実に取得しえたか、現実の使
かかる賃貸借契約における給付関係の抽象的把梶が進展すると、 そ れ に 伴 っ て 家 賃 減 額 請 求 権 の 認 め ら れ る 範 囲 は そ
れだけ縮減していくことになった。賃借入の具体的使用収盃活動のあり方(﹁果実
用収益をなしえたか:・:・) が 、 法 的 評 価 の 対 象 外 に 放 逐 さ れ る か ら で あ る 。 給 付 関 係 の 抽 象 的 把 握 自 体 は 、 賃 貸 借 契 約
の 法 的 把 握 に お け る 近 代 的 論 理 の 進 展 と 評 価 し て よ い で あ ろ う 。 しかし、 そ れ は 、 具 体 的 に は 賃 借 入 の 利 益 と 対 立 す る
形で進行したのである。第一次世界大戦後の住宅賃貸借特別法制展開過程における、先に挙げた家賃コントロールと並
ぶもうひとつの重要な課題は、この問題への対処であった。そして、 そ れ に 先 立 つ 普 仏 戦 争 時 の 家 賃 モ ラ ト リ ア ム 措 置
の事後処理問題の中でも、この問題が深刻な形で争われるごとになろう。
さて、住宅賃貸借の領域において、最初に問題が噴出することになったのは、第二帝政期のパリである。その契機と
その分析に入ることにしよう。
なったのは、﹁はじめに﹂において触れたように、 オ ス マ ン に よ る パ リ 改 造 事 業 の 実 施 と 家 賃 の 急 激 な 上 昇 で あ っ た 。
以
下
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自
覚
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