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ROSEリポジトリいばらき (茨城大学学術情報リポジトリ) Title Author(s) Citation Issue Date URL Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 早川. 和子 茨城大学教育学部紀要. 人文・社会科学・芸術(31): 37-58 1982-03 http://hdl.handle.net/10109/11172 Rights このリポジトリに収録されているコンテンツの著作権は、それぞれの著作権者に帰属 します。引用、転載、複製等される場合は、著作権法を遵守してください。 お問合せ先 茨城大学学術企画部学術情報課(図書館) 情報支援係 http://www.lib.ibaraki.ac.jp/toiawase/toiawase.html 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982)37−58 37 Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 早 川 和 ギ (1981年10月15日受理) Theoretical Analysis of Chord to Compose and Arrange Jazz Music Kazuko HAYAKAwA (Received October!5,1981) 序 1)2) iazz音楽やPops音楽においては,一般に,十分に構想されて作曲がなされるというよりは,音 を直接的に作ることに重点がおかれ,作曲者,編曲者および演奏者によって自分の耳を含めた体 全体で独自のsoundならびにstyleを持った曲が作られる。したがって,この場合,作曲者,編 曲者および演奏者は同一で曲作りと演奏の場が同じであることも多い。こうした音楽の作曲・編 曲に関しては,従来,経験的にその手法を類型化し,規則を確立し,その方法を提示するような 3),4),5),6),7)β) 研究が多くなされてきた。 しかし,これを純然たる音楽理論上から分析的に研究した例はほ とんどない。この点からJazz音楽のジャンルにおいて,その作曲・編曲に関しての理論的解明を 試みることは意義あることと考えられる。 筆者は,すでにJazz Improvisationの創作教育への応用という観点から,Jazz Harrnon劉㍗ Fillerl 戟jFak♂l Improvisati詔糟FakeおよびImprovisationに関する教育上の具体案4㍗ユ5などに ついて論じてきた。本研究においては,教育への応用を主眼としたこれらの論文において論述し えなかった,Jazz音楽の重要な要点であるJazz Chordに関して主として西洋古典和声学の手法 を用いてその理論的解明を行う。 1)Ch・rd Type16) 17) ¥1 三和音によるChord Typeの表 機能及名称 メージャー・コード Chord Name 本論文での記し方 他書の記し方 G≒ …恕 総長3度]完全5度 譜例2 リ≒ c一 縄願]完全・度 譜例3 ワ :野 綿長3度]増・度 譜例4 c韓 …C・ 綿短3度]減・度 l鋤or Chord マイナー・コード l重nor Chord オーギュメント・コード d㎎mented Chord ディミニッシュ・コード 構成音程 譜例1 ciminished Chσrd * 茨城大学教育学部音楽科 38 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) 17),18) ¥2 四和音によるChord Typeの表 Chord Name 名 称 機 能 構成音程 本論文での記し方 i他者の記し方 . リ lil]]雛 譜例5 A 翁≒’轍し! , メージャー 6th コード @ lM母lor 6th Chord =[ジャー。コード 譜例・ ic。,メージャー 7th コード CmaJ7 第7音 長7度 Maj(ズ Chord Cム7 完全5度 C子 長3度 @ Um6 −_ 1讐]]繋1 1 醇謄 M自jor 7th Chor d l 1 P } 「 i譜例7 @ マイナー・コ…ド マイナー 6th コード @ = 一}皿一≡ C6 −一一 橘 @Minor 6th Chold @ : 譜例8 { Cmmaj7 _ 「 l・…伽・1,づ。−7、hをも。た lil]]霧 @ マイナー・コード 「 レ 4 F 嘱第,音 ”† 譜例9 G7 堰@−1隔 i @ 勇一≡ ・G・ @t } 脚 婁 賦1,、h.。一ド璽 @ 憲毒葺]] 萎塗垂疑 1 擁例1。 I lil]]『繋 去ッ翻 雄1:野71 , 激 箋 レ…一一㎜…… p ・5をもった 譜例11 : @ 謹…髄し : lil]]lil @ 7th Chord 一一 マイナー 7th コード linor 7th Chord }イナー・7th コード 譜例12 i @ 騨≒…特になし i ト レ5をもったマイナー 譜例13 Mimr 7t h @Chord 7tkコード lil]]1耀 卜 轟]雛 譜例14 i lil擁 i別名:ハーフ・ディミニシュ @ 7thコード galf−diminished 7th Chord) ディミニッシュ・ @ コード ciminished @ Chord ディミニッシュ・コード ciminished Chord @ 糞…雛 早川:Jazzの作曲。編曲のためのChordの理論的解明 39 ID I)iatonic Scale上のChord 19) 堰j Diatonic上の各音の名称 譜例15 Degree; 1st 2nd 3rd 4 t h ■「一} o 昏 a音の音度; I I 皿 IV Degr㏄Name;Tonic Super−Tonic Mediant Sub−Dominant 略 号; T, S.T M. S.D. 訳 名; 主音 上主音 .中音 下属音 5th 6th 7th V VI V旺 Dominant Sub−Mediant Leadi㎎一Note D。 S.M L.N. 属音 下中音 導音 19) 、) Major Scale上のChord 譜例16 Cm。j7 Dm号 ,m7 Fm句7 G・ Am・Bm7〔レ5) Im。j7th皿mi。。,7t圃血。。・7thIVm勾・・7th V7th VImi…7thWm面・・7th(レ5’ 20)21) 血)Minor Scale上のCh(ズd 譜例17 B,7 bm7 Dm7(レ5) Eレmaj7 Fm7 Gm7 A炉aj 7 o 譜例18 I I 皿 IV V VI V旺 Cm m司7 Dm,・・5・E・m司,・#・・Fm, G・ Aレm・」・ Bdim I H 皿 IV V VI VE 譜例19 Am 7(P5) Bm7(レ5> bm maj 7 Dm7 E’maj7(#5) F7 G7 1 π 皿 W V 耀 VE 皿) 機肯旨Cbord i) 機有旨Chord 7種類のDiatonic Chordのうち,主音を根音とするChord(1),下属音を根音とするChord ㎡1)属音を根音とするChord(V)には,それぞれTonic機能(Tと略記),Sud−Dominant機能 40 茨城大学教育学部紀要(人文。社会科学・芸術)31号(1982) (S.D.と略記〕, Dominant機能(Dと略記)という,そのScaleにおける特殊な機能がある。 譜例20 ≡『≡一 一 _一三§≡≡三。 =甚== 1(Tonic) IV(Sub−Doml nant) V (Dominant) これらの機能は,Diatonic Chordの所属するTonalltyを決定する際に重要な役割りを果す機 能であるため,1,IV,VのDiatonic Chordは,それぞれTollic Chord,Sub−Dominant Chord, Dominant Chordと呼ばれる。従って,3種類の機能を有したChordは,機能Chordと呼 称される。 機能Chordは, Cadenceにより,正しいChord Progressionを行うことができる。 23) ?j機能感による分類 Diatonic Scale上に構成されるChordのうち,皿,IH,V[,冊の各ChordはTonality決定に 際して,重要な機能を有しない。しかしながら,これらのChordは全く機能感が存在しないとい うわけではなく,ある枠内での機能感を有している。 24) @それぞれの機能Chordに準ずるChordの分類は次のごとくである。 譜例21 一一‘ −r 音度;Im珈 Rm7 皿m7 1Vmaj7 V7 Wm7 珊m7(・5) 簾・① ㊥ T SD ⑪ T D ・ 25) 22),2切 D. 25) S.D. S.D η Tonic Tonicの主体であるIrn句7のRootをTone−Centerの主軸として,上・下に3度を構成して みると次のごとくになる。 譜例22 ゜ = ξ ◆ 令 Imal 7を中心として,2音以上含んだChordをTonic Soundとする。 譜例23 除外(IVmaj7)一一一一一一一一1 _一鞭一 ’ P I 一除外(V7)一一一一’ _一一幽 @i i 堰@ −一… 一一 i hm・jしi = __二二±二 ._ ヒ 一一 @ =:=喜二二 辱 昏尋 L_Wm7 _」 皿m7 ・除外理由 IV maj 7……F音がAvoid Note(省略音)であるため,この音をRootとしたChordは 除外。なお,Tonic Soundとしては通常#IVにして用いられる。 (後述) V7……Tri−toneを含むため。 のSub−Dominant22) 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordのi理論的解明 41 Sub−Dominantの基本である皿m7のRootをTone−Centerの主軸として,上・下に3度を構 成してみると次のごとくになる。 譜例24 春 『u Soundとする。 獅高Vを中心として,2音以上含んだChQrdをSubのominant 譜例25 「一”『Wm・・レ5・i・ 理m・ ◎ 二 石可 IV maj 7 Vlm7 ・除外理由 V7……前述。 勿Dominant Domina煎の基本であるV7のRootをTone−Centerの主軸として,上下に3度を構成してみ ると次のごとくになる。 譜例26 隻 ●ノ “ V7を中心として,2音以上含んだChordをDominant Soundとする。 譜例27 除外(Imal 7)一一一一一一一 一一一 除外璽m? _一 一一 1 −【一一)一一一一「一一一一一一一一F V71 ドー一「 一 {} 在 “ L皿m, V皿m7(レ5) ・除外理由 Imaj 7……C音がAvoid Noteであるため,この音をRootとしたChordは除外。 Hm7……C音がAvoid Noteであるため,この音を7thとしたChordは除外。 】V) Substit嘘e Chord(代理和音ナ3) i)T。nic Ch。,♂6’ T。ni、 Ch。,dのSub、titut, Ch。,dとして,皿m,, W m,,#Wm7(レ5’ ある㌘ ◎理由 用いることが可能で 42 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) り皿m7……Tonic 7th Chordの上に3度の音程でDiator眈Scaleに含まれる音を重ね. ると,次のようになる。 譜例28 ・ I Imaj 7 1maj g このImajgの根音を省略すると,次のようになる。 譜例29 Em7 ≡i≡葦三 Q 皿m? 露)V[m7……Tonic 6th Chordは次のごとくである。 譜例30 C C6 ■ これを転回するとV[m7と全く同じ構成音からできていることが判明する。 譜例31 . ≦≧ミ嘉 16 Vlm7 一 吻#Wm7(レ5!−T。ni、のCh。,d S、al。は1。ni。n Scal,又はLydi・n Sca1昌8’を基調として いる。 譜例32 Cコlonian Ci=Lydian }■一 一一 V一丁『ト ー一 息 ● ・昏 Lyd『 奄≠氏@Scaleを基調とした堤合,#IV m7(レ5 PまImaj7と2つの共通音を持っているため,T(〉 nicのSubstitute Chordとして使用することが可能である。 言普例33 Ilnaj 7 F㌔7・・5・ Ω 皇 工 #IVm7(レ5) IVm7(レ5) 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 43 29) g)Sub−Dominarlt Chord Sub−Dominant ChordのSubstitute Chordとして,豆rn 7,IV 7,Vn 7,皿m7,Vlm7, (b6) 27) @ を用いることが可能である。VOm7 ㊦理由 ゴ)Hm7……Sub−Dominant 6th Chordを転回するとII m7と全く同じ構成音からできて いることが判明する。 譜例34 F6 Dm7 IV6 Hm7 のIV 7……]Vに7thを付加して用いることも可能である。 譜例35 F F7 O IV IV 7 勿冊7……Sめ一D㎝inant(b5)に(レ9)を付加すると,次のごとくになる。 譜例36 (レ9) F7(レ5) F7 F7(レ5) (b9) IV 7 1V7(レ5) IV7(ρ5) (レ9) ’ (レ5) @ の根音を省略すると次のようになる。このIV 譜例37 この和音を転回し,さらに異名同音化するとW7と全く同じ構成音になることが判明する。 譜例38 £卜 = ● B7 V皿7 勿)理m7……IVのRootであるTone−Centerを主軸として,上に3度を構成してみると,次 のごとくになる。 44 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) 譜例39 リ竺ヨ…一一Ω皇一 石_ニー一_ _ ..一二=一一 _一 一= 一一一‘一』〔:_ 一一 一 r‘’ r’ @ 皿m7 皿m7は, IV rnal 7およびS.1>SoundとしてIVと一体であるHm7と両者の2音を共通音と して持っている。 (11は,S.D.の隠された根音となりうる音である。) o)Vlm7……IVのRootであるTone−Centerを主軸として,上に3度を構成してみると, 次のごとくになる。 譜例40 聖ヨajレ「 Ω皇 4 コ〔 @ 「W面〆 一一 @ =二]匹二 Vlm7は, IVmaj 7と3音共通音を持っているため使用が可能である。 oのWm7(レ52・−IVのRootであるTone−Centerを主軸として,F音の上・下に3度を構成し てみると,次のごとくになる。 譜例41 IVmaj 7!「.一L…=三三r…『〆三≡丑三 一_ :一_:_ 一二 @. 可 o @ L一m,・レ・・ 冊m7(,5) ヘ, IV maj 7と2音共通音を持っているため,使用が可能である。 亜)Sub−Dominant Minor Chord Sub.D。min。砿Mi。。, Ch。,dのSub、titut, Ch。・dとして,皿m7(レ51レ皿・,レnm・1・, レVhnaj 7を用いることが可能である㌘) o理由 ゴ)∬rn 7(レ5λ・−Sub−Dorninant Mirlor 6th Chordは次のごとくである。 量 ?痰S2 Fm Fm6 」一一一一一1 一 IVm IVm6 これを転回するとnm7ψ5)と全く同じ構成音からできていることが判明する。 譜例43 Fm6 Dm7(h5) IVm6 Hm?(レ5) 早川;Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 45 のレW7……Sub−Dominant Minor 6th Chordの6thの音をオクターブ下に転回する と譜例43のごとくなる。 レW7の音に9thの音を付加すると次のごとくになる。 譜例44 Bヤ Bレ9 レ レレVH 7 レV匪9 この和音の根音を省略すると∬m7(ゆと全く同じ構成音からできていることが判明する。 譜例45 Dm7(レ5) ◎ レ皿m7(・5) この和音を転回すると,IVm6と全く同じ構成音からできていることが判明する。 譜例46 Drn?(b5) Fm6 Hm7(レ5) IVm6 勧レHmaj 7……IVmに長3度下の音を付加すると次のごとくレII rnaj 7になる。 譜例47 Fm Dレmaj 7 IVm レ皿mal 7 勿)レWmaj7……IVm7に9thを付加すると次のごとくになる。 譜例48 Fm7(9) Wm7(9) このChordの根音の音を省略するとレV【maj 7のChordになる。 譜例49 Fm7(9) Aレmal 7 IVm7(9) レVImal 7 のDominant Chord3① Dominant ChordのS血bstitute Chordとして,レH7,レV[dim., H dim。, Wdim.,皿m7, 46 茨城大学教育学部紀要(人文。社会科学・芸術)31号(1982) Wm 7㈹を用いることが可能である。 ㊦理由 のレh7……Dominant 7th Chord(b5)に(ゆを付加すると次のごとくになる。 譜例50 G,Gゲ・5・ I瑠 (レ9) V7 V7(り5) V7(・5) ψ9) このV7(b5)のChordの根音を省略すると次のようになる。 譜例51 ■ レ ー二: 一 皿}== コ備 @ 『 レ アのChordを転回し,さらに異名同音化すると皿7と全く同じ構成音からできていることが 判明する。 譜例52 Dレ7 p 哨 一一 t彗一サ 一 レ皿7 のb穐diln……Dominant 7th Chordにレ9thを付加したChordの根音を省略すると次のよ うになる。 譜例53 G7(レ9> Bdim == 一三三毛:筆=≒ 一:__.一____. . V7‘レ9’ V皿dim レ アの和音を転回するとVl dimと全く同じ構成音からできていることが判明する。 譜例54 Bdlm Aレdim V旺dim へ旺dim 魏)II dim……トVldimを転回するとndimのChordになる。 譜例55 Aレdim Ddim . 』Vl dim n d㎞ 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 47 勿)】Vdim……レV[dimをさらに転回するとIV dimのChordになる。 譜例56 APdim Fdlm レ’Vl dim IV dm ”)皿m7……V7のRootであるTone−Cent erを主軸として,下に3度を構成してみると次 のごとくになる。 譜例57 V7/「 { 一一一一 ュ} 皿 ◎ L_皿m・ @ 四} 皿m7は, V7と3つの共通音を所有しているため,使用が可能である。 加)∼型m7(レ5!−…V7のRootであるTone−Cent erを主軸として,上に3度を構成してみると, 次のごとくになる。 譜例58 一y7−…一一 ・ 『仁==轟m,・、,、 { (レ5) u計n7 は, V7と3つの共通音を所有しているため,使用が可能である。 V) Cho rdの拡張 DTen、i。ぜ1) Tensionとは緊張の意味であり,西洋古典和声学における9の和音,11の和音,13の和音と同 一又はこれらの変型であるが,JazzにおけるTensionはより重要な位置を占めており,この理論 がJazzの和声的構造の背景となっている。 Tensionの特徴は,7th(或は6th)の拡張により,より多くの和声的選択の可能性を与え, 32) @能を損わず,変化せずにChordの色彩と厚みを増すものである。 の使用原則 1)Tensionより,Tri−toneの音を低音域に使うのは不可。なぜならば,短9度音程が出来 てしまい,濁ったSoundになってしまうからである。例えば次のようなTensionがあったとする。 譜例59 (13) C7(#11) 48 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) E音とB’音の間にTri−toneができてしまうが,この間にTensionを挿入するのは可能である。 譜例60 @ 可 @ 一一一 一一一廿一一一 一一一一 しかし,Tri−toneの下にTensionを持ってくると不可になる。 譜例61 不可 不可 一 「−e−一一一一 “ 哨『譲〒 2)Tensionの辞か三和音基本型より下に来てはいけない。なぜならば, Chord Typeの性 格が不鮮明になるからである。 譜例62 可c,1榔 不可 蒔一巴踊一ミ辱= 3)Tellsionより上にRoot(15th)および第5音(12th or 19th)を使うのは可能である。 なぜならば,前記Dの原則にかなっているためである。但し,その際にはChordを安定させる めに下の方でRoot(又は第5音)を重ねることが多い。 譜例63 c漏㌣ 垣 .睡_ レ茎_一一一一 E畷ヨ士睾乖コTn一 露)Chord TypeのTension 33) 氓フ表は,Jazzに用いられる7th Chord上のTensionの多くの可能性を示したものである。 但し,次の表に示されている不可の音でも,長く延ばすのではなくApproach的に用いるならば 使うことが国能である。 1, レ13(短6度)は全て使用可能であるが,その際には匂5thを省略する。 £)Dominant Chordの11thや13 thの9thの音は,レ9でも#9でもどちらでも良い。 3)SubDominantおよびDominantは,Major SoundとMinor Soundの響きが近いた め区別はしない。 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 49 表3 Chord TypeのTensionの表 F 機能 名 称 Major 9(長9度) MS `O v Vth bhord Minor TON @6th #9(増9度) 11(完全11 慣1(増11度) 13(長13度 譜例65 嘗11 譜例64 Uth bhord Mal or b9(短9度) 不可 不口」 不可 @理由1 @理由2 @理由1 譜例66 9 cM7 Gギ Chord TQne 譜例67 惇1轟 譜例68、。講一…舞 @M6二13 A欝! 譜例70 譜例69 @ Cmma】3 D…牽『斎 @ c講 Chord Tbne K一凄 @m3二#9 bhord 不「1J Chord Tone @理由3 @M6=13 1 「「一 Maj or 7t h C・MIN もった l【nor @ Chord OR・SO Minor Vth bhord UND Half_ р奄高堰@nished @Chord Minor Uth bhord DOM Major 7th @をもった Minor Chord 1 N ル馴 オ議 hぎ @ c講 譜例77 譜例78 h萎 @ c講略・ Chord Tbne ?ヲ ]蓼 ● @ 。諜 1 sナ國 bhord皿me 不・∫ aD睾 QL_.. 譜例 。1_、 @’5二#11 譜例81 譜例80 @ Dm謹 @理由3 @M6二一13 譜例83 譜例82 譜例84 P 11 毒ギ 樗 @ Dmm司 睡穿 i i E r−. 一一 譜例86 早…s「 @ 7th [ Dm蓼lC・。,dL−一. lソ一 譜例76、麟 譜例75 譜例74 A Minor 譜例85 譜例盈講 例72 @ Cmm。111 譜例71 @ D誹 一一 ; 不u∫ 譜例88 譜例87 @ 講 B講一垂黛 D鵡: @理由4 0畏iD 譜例901 @ 謡・略・ Half_ 1譜例89 部??イ墨 7th DO bhord @ G号 n・善 じ A㎎mented 譜例97 @ 7th i譜例931 G与9 讐 X一 季噺 Chord 覧をもった @7th 譜例98 ,9 G7(葬5} 譜例102 @ G号い5・ 狽?@Chordの 変化音を付加 @ 一.= 一 @一一:_.一. 譜例103 @ 轟・5, @ 一些子 .一一『一一 したChord 譜例106 @ 講 @炉5=#1ユ 譜例96ざ1 │嚢 L量 縄多・, 粥罰、,i、 郭 1 譜例107 @ 麟 魯・ 4 緯三 「一’」 u一 吹@一_一: 瑠象… 7ま .一L− 譜例104 Chord Tone P拳尊・ 麟ω 『 @一 .一一. @ Gサ・・5・ 譜例108 g。, ル一 @ G雪9・35, @Chord 9th,1ユth,13 言普例 Chord Tbne 譜例95ぎ1 譜例94 @ Gや 不目J @ G響・郭5’ T SOU ND G毒一 @理由5 叶譜例99 MIN AN 譜例92 不口∫ @ゆ5=#n 譜例1 ユ, 言普例1 1一 ツ 譜例11}講 一 幣諏, 譜例113構 c樗 50 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) ・不可理由 1.Tonicの場合,前述通り,Chord Scaleとして, IonianとLydianが基調となる。 (イ)lonianの場合 譜例114 ’9(い b=Ionian ___ ・∈卜 一 一 ≡ …二= 一一一一 ≡ヌヨ≡≡ 一 ’ 一 ● も (ろ) (い)では,Root及び3rdからの短9度e9th)はDominant 7th以外音が濁るので 不可(Dominant 7thはTri_toneが2つになるので響きが大変良い。)譜例114においては, E音とF音の間に短9度の音程ができてしまう。(ろ)では,譜例114においてB音とF音の間に Dorninantの特長であるTri−toneができてしまう。 従って,Ionianを使用することはできない。 (ロ)Lydianの場合 譜例115 長9度 yぞ≒ 圭蕎5.令 Root 自3 与5 毎7 陰9 #11 目13 Lydianを使用すると,上記の欠陥は避けられ,しかもTonic Soundの要素を失なわ ない。この際,3度構成に表われる音のみをTensionとして用いることが可能である。但し, Blue Note Scaleの時には,レ2,#9,11も使用できる。 歴史的には,Be−Bop発生以前は,メロディックなものによって和声づけられていたた め,Ionianを基調としてきた。しかし, Progressive Jazzが発展するに到り,スタン・ケントン, オスカー・ペティフォード等により,Soundの和声の拡張を計り,(イ)で述べた欠陥を是正するた め,彩ydianを基調とするようになった。 2.理由1に準ずる。但し,下記の場合は許容される。なぜならば,不協和音程より協和 音程の方の数が多いからである。 譜例 116 B ◎一一; ニー旧一㎜ 一一=一一一… @C @ 尋 3,譜例117 c晶 Cmm鵡11 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 51 Tonic Minorで実際に強く響く音はiとivである。そのivと#11thは短9度の音程を作 るため不可である。 譜例118 も Aし,Poly Scale(1オクターブ以上にわたったScaleのこと。シュリンダーが唱えた) の場合のみ可とする。 譜例119 C−D。,i、。_ C蓋1乙C譜一 レ{}レ虹章 Q 号 C=L㏄rian 4. このChordはTri−toneを含んでいる。 譜例120 レ9 cm 7 Tri」tone Tensionの原則として,前述のごとく,Tri−toneより下にTensionの音がきてはいけ ないのであるが,このChordはそれに該当する。このSoundはF7又はB7(#9)のミス・ハーモニ 一と呼ばれる。 5.譜例121 わ9== 6.譜例122 ざ1 δ1・,・・ δ1・・5・ DominantもTonicと同様Lydian Scaleを基調とする。そのため,11 thはLydianに表わ ・ 黷ネいので不可。 譜例123 G冨Lydian o 52 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学。芸術)31号(1982) 4)Diminished Tensionは二通りある。即ち,1つはDominant 7 thの性格をもつもので あり,もう1方は純粋なDi minishedである。 1.Dominant 7 th的性格 譜例124 レ dim この場合, 根音を省略するこ とが多い。又,Dominant 7thの特徴であるTri−tone を含んでいる。 2.純粋なDiminishedは経過和音として処理される。 譜例125 Cdim enharmonic = @ う:一 _罰 _ r −一 一一一国} 一奪≡ 3.Diminished Chord 表4 Diminished Chordの表 写} _吃LI=烈_レ9 一一一一一一一 譜例ユ26 ・・T・丁㎎・ 一一一一一” ?痰P27 2 一一『 一 レ13 鉾11 均5 旨11 M3 一一一一 Z㎜ 一一一一 17 譜例129 譜例128 互MlN Ebφ Cφ IC 6H 狽ヘ Eレm6と同じ一 F尊φ 1 [i毒蓼 狽ヘ 而=一’一一 Chord Tone F#m6と同’ 耐 Chord DDl @Ch・rd l 1 Aφ 狽ヘ Amoと同じ 一一 @一一一∼◎‘ 一二 Chord Tone Chσrd 狽ヘ Cm6と同じ Chord レ令 一一一 @一一 6 Chord Tone 1 4)Tensionを含んだChord Progressi onは基本のSoundの進行の上にそのまま残る。例 えば譜例126と譜例127は全く同一のものと見徹される。 言普{列 126 言普修FU 127 (レ13) 謡)(レ9G7)Cm。j留 Dm7 G7 C ■ … … =亙[ 『 喜 h)UpPer Structtlre Triads34)β5) Upper Structure Triadsとは,元のChordの上にTenskmを含めてできる別の三和音とい う意味である。Triadsなので文字通り三和音でなければいけない。 Upper Structure Triadsは,Chord Narn』の構成音の全体の音をシンプルに書き表わすため に使われる。したがって,むずかしいChordを使うのは避けるべきである。 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 53 りUpper Structure Triadsの用い方 1)今,仮にC7のChordが指定されていたとする。これにTensionである9,#11,13を 重ねてみるとDのChordが上で鳴っていることが判明する。 譜例128 C7 9#・・馨 b 7 ■ このDのChordのことをUpper Structure Triadsという。 2)Upper Structure Triadsの記号の書き方を上記のChordの例をとって記すと,次のこ とくである。 D一 C7 また,(勢のT・i・d・1・は,GmのCh・・dも含勲ているのである・ 譜例129 D コGmC7 ■ 36) R)Gm 7の上にUpper Structure Triadsを作ると,次のごとくFTriadsが出現する。 譜例130 旗♂1 F Gm ■ のUpper Structure Triadsの種類 1)Upper Structure Triadsには, Major TriadsとMinor Triadsとがある。Aug一 mented T riadsやDiminished T riadsも考えられるが複雑すぎて一般的には用いられることが 少ない。 今,仮にG7の上に各々のTriadsを作成してみると,次のごとくになる。 譜例131 3 G7 G7 噛 2)Major Triads Major Triadsは,そのリードになる音と,設定されているChord Typeによって様々な Chordが生まれる。 54 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) 次の表は,そのChord Type及びリードによって使用可能なMajor Triadsを示したも のである。Lead F㎜ctionとは,その元のChordにおけるLead Noteであり,Lead Noteと 使われているChord Typeを合わせた箇処に,指定されているChordをMajor Triadsとして 使う。範例を示すと,G7一のChord内でAレの音がLeadであった場合,レ9がLead Function 昌 であり,Chord TypeはDominant 7thであるから,そのChordにおけるTriadsはレV及び VIである。すなわち,DレおよびEがMajor Triadsということになる。 表5 Major Triadsの表 しeaく #9レ3 斗 VH 茜[一 一「ゴ■ 慶VI,V皿 V,H ?[ 皿,町 VI(’V)11 w ibVll)2 V i’皿)2 H・ 1(PV皿)・ w}__ギ.一 i,皿) レV且 iDorlan) o 一十一 「 一『 @巨皿 iPh・yglan)i l 一一一}}r 一 Minor 7th 「∵ 一一… Vw iφV旺)2 P レ皿bVH レ皿 bm … 1 3 レV旺臣皿 7皿 iAeolian) 一 一 』一 1 レVl 1 撃u正 (レ皿)2 一一一一十 一十π 一一一一一’一一一 llnor 7th l I Vw (レV)1 UVI 虹 1 . 1・、・ 巨V置 ’皿 お7 ’7 チ一 1 皿 I l Minor 7th Minor 7th 畠 5 狽P1 了一一一 I laメ)r Tonic Mlnor #5Pl3 卜5 3一㌔ (レV皿)3 一一一一一・ (b Vll)3 ,V レVI (レV皿)4 H自V 皿レVI @ 臣5 卜V iレVD 3 一「一一一 Dominant @7th 巨VI クV}4 レV uI H ibV旺)4 レ皿レVI VI iIV)4 唾 H,VI 唾,レV iIV)4 iレVI)4 上記の表に附された番号の説明は次のとおりである。 1.1,IVの( )は,レ7の音を含む。 21mの()は, レ7の音を含む。 3Mi nor 7th(b5)の()は,例外ではあるが,時として使われることがある。 4.Dominant 7thの()は, Sus4の場合に使われる。 3)Mi nor Triads 次の表はMajor Triadsと同様, Minor TriadsとChord Typeの関係を示したもので ある。表の読み方および附された番号の意味はMajor Triadsに準ずる。 表6 Minor Triadsの表 Lead @ unct且on bhord Type Major 1 IVm hm レ9 レVm 匂9 V匪m ・1 Im ib皿m)1 3 皿m vm 輪 結 レVm @V皿m b 皿m)1 #5レ13 5 Im Mm 畠 VIm旨Vm レ7 レ皿m 舞7 IHm u皿m 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 55 正£ad @ urlchon bhord Type 1 Tbnic Minor IVm ケ9 レVm V紅m iレVIm)2 Hm Minor 7th @レVm iレ皿m)2 ?u皿m)2 @レ5 IVm Doninant VIm hm レVmレ Hm ihVllm)4 Vm iHm)4 Vlm Vm (Hm) Hm旨Vm Im旨皿m (Hm) Vm Vm り皿mh珊m IVm卜V匪m VImレ且m iVm)2 iレV皿)2 Vm レ皿m レV皿m レ7 ・旨7 (レ皿m)2 (Vm)2 Vm (Aedian) 613 5 V匪m hVm (レ皿m)2 i皿m) iDorian) @7th @Hm iVm)2 3 #5レ13 轟鑑 礁 9レ3 Vm Mi nor 7th Minor 7th 均9 IVm レ皿m (皿m)4 1 匪皿m bV皿m)41 @レVm Im um (Hm)4レVm 均nm u鉦m h 4)2)および3)の表のChord Typeの説明は次のとおりである。 Major [] Imaj(I maj6, I rnaj 7) 口 IV6,IV maj 7 ム レ皿maj 7 ム レV[maj 7 Tonic Minor △ Im6,Immaj 7 Dorian [1 Hm7 △ Im7 △ IVm 7 慮 ohrygian 口 皿m 7 Aeoliar1 □ V[m 7 Minor 7 th レ5th □ Wm7(レ5) △ Hm7(レ5) △ W紅dim Dominant 7th □ V7 △ V7 ム レV皿m7 Cho rd記号の左横に附された記号の意味は,次のとおりである。 ロ ー Major Scale △ 寓 Minor Scale レ皿m @Vm i,V皿m)4 V皿m 56 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) 結 び 本研究では,Jazz Chordに関し,主として音程の面から考察した。結果として次のようなご とが判明した。 1.Ja zz音楽は,耳を頼りに生み出された経験的手法に基づいて作られると考えられているが,7) その手法の根底には西洋古典和声学の音程感,和音構成などの理論が潜在することが裏付けられ た。 2.Jazz音楽は西洋古典和声学の理論をさらに多様化することにより,従来の音楽にはない特 有な響きを持ったsoundを作り上げているといわれる竃)しかし,この点については従来理論的裏 付けが不十分であったが,本論文においてその理論的裏付けを得た。即ち,Substitute Chord やTensionおよびUpper Structureなどの存在によってChordの選択可能性が広範囲となって いるがこの点について理論的分析を試みた。その結果,従来のChordの選択と異なったChord の選択可能性を提示し得た。 Jazz理論は,根底において西洋古典音楽の理論に基づいているが,そこでは,S豆bstitute Ch一 ordやT㎝sionなどの導入によってChordの選択が広範囲にわたり,このことが独自なsouDdを 持った曲を作りうる一因となっている。さらにUpper Structure TriadsのようにChordの上 にそれと違一、たChordを重ねて響かせるなど西洋古典和声学においては全く考えられない手法が 発案されている。 Jazz』楽は,近年,マスコミ音楽に耳慣れた人々にとっては特に快いsoundとして受け止め られている。本論文の分析にみるようにJazz音楽は,Chordの点から,西洋古典和声学の理論を もとに,さらにそれを独自に発展させた手法と理論を持っており,この点は,それが理論的背景 を持たない価値の低い音楽であるという人々の理解とは大きく異なっている。 本論文で分析した,Substitute ChordやTensionは簡単なChord ProgressionをReharmo一 ni zeして,その変化を楽しむことができるなど,多方面への応用が可能である。特にFakeおよ びlmprovisationを行う上において,さらにこれが活用され,音楽表現において各個人の個性を 十分発揮させ得ることが期待される。 注 1) 日本を始めとして,本国のアメリカおよびヨーロッパの各国の人々はJazzもPopsの一分野である と解釈していることが多い。JazzとPop sとの区分をどこに求めるかは論じにくいことであるが, J冴 zz界ではJazzを芸術音楽と見倣し, Popsと一線を引いている。しかしながら, Jazz理論はPops のみならず一般大衆音楽(日本における流行歌やシャンソン等)に対して広範囲に適用しうるものである。し たがって,本論文で用いているJazzという言葉はJazzおよびPopsをはじめとする一般大衆音楽を階している。 2) Jazz用語はおおむね原語を用い,その頭文字は大文字で表わしている。これは日本およびアメリカ で出版されているJazz理論書において慣習的に用いられている方式である。 3) Paul O. W Tanner and Maurice Cerow,143’πのo∫ノσ92, W A C. Brown GompaDy Publisher,1974, p。183. 4) David Beker,、477απ9伽9&α吻o吻9, Music Workshop Publication Down Beat,1973, 早川:Jazzの作曲・編曲のためのChordの理論的解明 57 p。184. 5)ジ・ン’ミーガン著青井轍rJazz lm…“・ati・梯1巻」(デルポ社1973),.21。. 6) 渡辺貞夫「Jazz Study」 (日音 1973)P.264. 7) 川上源一編纂「実用ポピュラー音楽編曲法」 (ヤマハ音楽振興会1974)P.685. 8) 前記3)∼7)の他にまだ多数の文献が出版されているが,ここでは割愛する。 9) 拙著「ジャズによる教育一Improvisat ionを主体とした一その1 Jazz Harmony」『季刊音楽 教育研究」Nα6(音楽之友社 1976)pp.164−174. 10) 拙著「ジャズによる教育一Improvisationを主体とした一その2 Jazz Harmony&Filler」・ 『季刊音楽教育研究』Nα7(音楽之友社 1976)pP・163−171. 11) 拙著「ジャズによる教育一Im provisationを主体とした一その3Fake」「季刊音楽教育研究』 N〔b8(音楽之友社1976)PP168−175. 12) 拙著「ジャズによる教育一Improvisat ionを主体とした一その41mprovisation(1)」『季刊音 楽教育研究』Nα9(音楽之友社1977)pP.166−−175. 13) 拙著「ジャズによる教育一Improvisationを主体とした一その51mprovisat ion(2)」『季刊音 楽教育研究」Nα10(音楽之友社 1977)PP.164−175. 14) 拙著「ジャズによる教育一Improvisationを主体とした一その6 FakeおよびIrnprovisation の具体案」 『季刊音楽教育研究」Nα12(音楽之友社1977)pp.180−191. 15) 拙著「Jazz Improvisationによる創造性の開発 一〇ptional Patternを主体とした一」 『音楽教育学一第5号一」 (日本音楽教育学会1975)PP44−54. 16) Jerry Coker,∫吻70ρ客蜘9ノσ99, Prentice Hall lnc. Englewood Cli丘s N工,1964, PP.38−44参照. 17) このChord Typeの表は前掲9)PP170−171にすでに記述した。 18) Jazzの和音形態は,そのChord Typeをより明確にするため通常四和音を用いる。したがって, 三和音が独自で使用されることの方がむしろ稀である。 19) CMajor Scale上における場合を示すと,譜例のごとくになる。以下に示す譜例のうち, M司or Scale上のものは全てCMajor Scale上におけるものとする。 20) CMinor Scale上における場合を示すと,譜例のごとくになる。以下に示す譜例のうち, Minor Scale上のものは全てCMinor Scale上におけるものとする。 21) Minor Scaleは3種のFormを持つ。このうち最も使用頻度が高いものはH訂monic Formであ る。本論文では,比較・検討のため,3種とも掲載した。 22) 西洋古典和声学におけるSub−Dominantの基本となるものはIVである。しかしながら,Jazzにお けるSub−Domi nantの基本となるものは, IVではなくHである。したがって, Sub−Do mi nantの基・ 本となるものを,皿)i)ではIV(西洋古典的和声学的解釈),皿)i)では且(Jazz理論的解釈)とした。 23) 西洋古典的和声学においては,機能感による分類と代理和音とは,同一ものと解釈されている。し たがって・このように機能感による分類と代理和音とを区別して考察することはJazz特有めもので ある。 24) 主調と近親調との関係において狭義の解釈の方法と広義の解釈の方法とがある。即ち,狭義の解釈 とは主調と近親調との構成音が1音ないし2音違いである場合を言い,広義の解釈とはその違いが2 音ないし3音である場合を言う。前者を近親調,後者を準近親調と呼ぶ場合もあるが,一般的には近 親調と準近親調とを区別せず総合して近親調と呼び,3音ないし4音以上の違いがある遠隔調と区別 58 茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学・芸術)31号(1982) する。本論文における機能の分類では,近親調の方法即ち基本となる機能の和音と1音ないし2音違 うという解釈を応用・転用した。 25) ○は,各機能の基本となるものを示す。 26) 渡辺貞夫監修「コード・プログレッションとアレンジ方法 STEP4」(ヤマハ音楽振興会1972) pp.2−4参照。 Z7) このことについては,前掲9)PP.164−165にすでに記述した。 28) JazzにおけるLydian ScaleはChord Sαユleとして使用頻度が高い(前掲6)pp 105−108参 照)だけでなく,重要な地位を得ており,研究も多くなされている。その例としてGeorge RusselL ム蜘・C勧緬・C㈱カ!σT…10・9傭・・伽,(沁ncept P山1i・hing… N・w Y・・k・ 1959,P.103.がある。 29) 前掲26)pp.9−10参照。 30) 渡辺貞夫監修「コード・プログレッションとアレンジ法 STEP2」Pp,4−13参照。 31) 前掲6)pp24−28参照。 32) このTensionの定義は,前掲9)P.170にすでに記述した。 33) このTensionの表は,前掲9)PP.168−169にすでに記述した。 34) Upper Structure TriadsはPoly Chordと呼ばれることもある。 35) 前掲31)PP.141143参照。 36) Upper Structure Tria(珀の定義およびUpper Thadsの用い方は,前掲9)PP,167−168に すでに記述した。 37) 青井洋編「Modern Jazz School ジヤズ理論講座2」 (デルポ社 1969) P・7鰻アドリブ 奏者は,多くの場合,二音楽的起伏をケーデンスと把えるよりはむしろ,無意識のうちに「動」部分, 「静」部分と把えている。その方が直接的だし,本質的だからである。本当はケーデンスという用語 は,便宜一ヒ必要なだけであり,学習者は,どこで落ちつくか(静),どこで動いているか(動)をは ,, チきり識別しなくてはならない。 38) 青井洋編「Modern Jazz Schoo1 ジャズ理論講座1」(デルポ社 1968)まえがき“今日我 々はトニックに長7度音を積み重ねたコードを,不自然な感じを受けずに使用しているように,ハイ ドンやモーツァルトの時代には考えられなかった新しいタイプの音の世界を知るようになった。即ち, 我々の耳は常に前進し,より新鮮な,より現代的な音の使い方を要求し,これを自然に理解するよう になっている♂