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第2回 配布資料 (PDF 1.1MB)
吉祥寺方式物流対策委員会 ∼協議会方式による包括的な荷捌き対策の実施に向けて∼ ― 第2回委員会資料 平成 20 年 10 月 9 日 1 ― 吉祥寺の荷捌き対策の可能性 ●まちの荷捌きの現状の再認識(路上駐車による荷捌きの現況) ・吉祥寺のまちは、路上荷捌きによって道路がふさがれ、回遊のための道路環境が確保 できていない状況にあるなど、様々な課題を抱えている。 ■平和通り:両側に駐車して行われる荷捌き ■平和通り:バスの走行状況 ■サンロード:荷捌き車両と走行車両 ■元町通り:道路を占有する荷捌き車両 現在でも路上で荷捌きをせざるを得ない状況であるが、来春からは民間監視員 による駐車禁止の取締り強化によって、荷捌きを行うことすら難しくなることが想 定される ↓ 吉祥寺のまちで販売・提供する商品や食料品が調達できなくなる ↓ そのような状況にならないように、荷捌き車両が駐車できる空間の創出・提供や 駐車しないでも納品が可能な方策(受け皿対策)が必要 2 吉祥寺全体の道路の位置づけ(1) 広域的幹線道路 (幅員16m以下) 中心エリア内 幹線道路 (幅員20m以上) (幅員16m以下) 西友駐車場 (市所有地) タイムズ 吉祥寺東町 有里寿駐車場 (市所有地) 中心エリア内 道路 五日市街道 (幅員16m以下) 五日市街道、井の頭通り、公園通り (吉祥寺通り)は、交通円滑化が必須 駐車禁止 吉祥寺大通り、本町新道、平和通り はエリア内の交通円滑化の役割 ただし、段階的対応の可能性検討 駐禁だが 一時的な 荷捌き帯 時間を 来春から終日駐禁が厳格化? 限った荷 実態に合わせた短時間荷捌きを検討 捌き可 パルコパー キング24 ヤマト運輸デポ 吉祥寺 パーキン グプラザ サンロード 佐川急便デポ 吉祥寺 第一ホテル 東町宅急便センター 西友 タイムズ 吉祥寺本 町第4 吉祥寺大通り 本町新道 ヤマト運輸デポ ヨドバシカメラ 駅前宅急便センター 伊勢丹本館 サンロード 吉祥寺通り F&Fビル (伊勢丹新館) 東急百貨店 吉祥寺店 元町通り り 東通 JR中央線 吉祥寺駅 吉祥寺 PARCO 通り 平和 ユザワヤ ロンロン 京王 井の頭線 吉祥寺駅 井ノ頭通り 丸井 3 吉祥寺全体の道路の位置づけ(2) 広域的幹線道路 中心エリア内幹線道路 道路空間の現状 道路空間のあり方 来春から何もしない場合の荷捌き 実態に合わせた荷捌きの段階的試行 中心エリアの外縁に五日市街道、井の頭通り、公園 広域的幹線道路については、交通円滑化 終日、駐車禁止を徹底する 通り(吉祥寺通り)という広域的な役割を担う幹線 に寄与することが中心的役割である。 (荷捌きについても徹底して排除) 道路が位置している。 道路幅員は 14.5∼16.0mしかないため、 これらの幹線道路では、吉祥寺を目的とする来街交 交通円滑機能、歩行空間、自動車駐車機 通と通過するための交通が輻輳しており、交通の円 能を併せ持つ余裕は無く、路上駐車等を 滑化が最も求められている。 最も重点的に排除すべき路線である。 吉祥寺大通り、本町新道、平和通りは、吉祥寺の中 交通円滑化、快適な歩行空間と地域の活 今のままでは、来春から駐車 段階的には駐車ベイ等の設置も考えう 心エリア内の交通を円滑に流すための役割を担って 性化という多目的な機能を担う必要があ 禁止の取 締りが厳 しくなり、 る。しかし、この場合、単に現状の歩 いる。 る。 道部に食い込ませるのではなく、車道 ただし、この中でも平和通りは異なった位置付けを 平和通りは、駅と北側エリアの間に位置 終 日 、5分 以 上 の荷 捌 きは、 一切不可能になる。 持っている。現在、吉祥寺活性化の課題の一つとし しており、回遊性に関わる大きな位置づ 考慮する必要がある。 て、駅を挟んだ南北動線の明快化・円滑化が求めら けを持っている。そのため歩行者・横断 特に平和通りは、平成 16 年春にリニュ れている。平和通りは駅に沿って位置していること 者の快適性向上を重点的に考慮する必要 ーアルしたばかりではあるが、思い切 もあり、駅(ロンロン)と駅北側の中心エリア相互 がある。しかし現状では、最も荷捌き車 った断面構成再検討等が必要である。 間の重要なアクセス経路に位置しているが、バスが 両が多く駐車するとともに、一方通行の 頻繁に通行するととともに、道路の両側に荷捌き車 規制がかけられているにも関わらず右側 両が停車しているなど、現在の平和通りの混沌とし 駐車が絶えないなど、歩行者・横断者の た状況が、吉祥寺全体の回遊性を低下させている要 安全・快適性に課題がある。 部及び歩道部の断面構成等についても 街の機能が停止する 因の一つになっている。 中心エリア内道路 中心エリアは、アーケードが架かっているサンロー 現在中心エリアでは、午前中は居住者を 環境が整うまでについては、通過車両 ドやダイヤ街、青天の下最も空間的な広がりを持つ 中心とした交通規制解除を行っている の一方通行化や時間規制枠の拡大など 元町通りなどを中心として成り立っている。これら が、午前 10 時には開店している店舗も について検討すべきである。 のエリアでは午前中は自動車通行可になっている 多数あり、通行する通過車両(大部分は が、吉祥寺の顔ともいうべき商店街を構成する根幹 荷捌き車両)に対する苦情が絶えない状 にもなっており、交通機能というより人中心の快適 況である。 性向上が求められている。 最終的には中心エリアは完全な交通規制 を行うとともに、人中心の道路空間づく りを行うべき 4 『吉祥寺グランドデザイン』から (2)巡る楽しみがある街 ●都心部の歩行者空間を充実する …都心部における自動車利用の抑制・適正化、歩行者専用・優先空間の充実 ・商業エリアでは通過交通とアクセス交通が交錯し、慢性的な交通渋滞が発生し、まちの回遊性 の阻害要因となっている。都心部における交通のオペレーションによって、通過交通の流入抑 制 、駅 付 近 の道 路 からの一 般 車 の排 除 等を検 討し、歩 行 者 空 間を広 げ、つないでいくことが 当面の取り組みとして重要である。 ・将来的には、地下利用も含めた抜本的な基盤整備も視野に入れつつ、都心部における歩行者 専用・優先道路の充実、ネットワーク化を進めることが望まれる。 【具体化に向けた方策の提案】 ◇都心部の交通オペレーション ・南口駅前広場の整備も視野にいれつつ、歩行者空間を充実させる方向で、都心部全体におけ るバス動線のあり方、一般車両の交通規制のあり方について総合的に検討を行う。 ・道路を、主に交通を円滑に流す機能のものと、人中心の回遊のためのものに分類し、それぞれ 適正にオペレーションするとともに、機能に沿った道路空間づくりを進める。 ◇荷捌き対策 ・交通オペレーションの中でも、物流対策として、共同荷捌き場の整備や共同配送システムの整 備について、実現に向けた検討を進 めていく必 要が高い。配送の効率 化を図り、路上荷捌き を排除すべく、地下利用を含めた共同集配システムの構築を目指す。 ・共同配送システムの構築によって配送を効率化し、配送車両も交通負荷の小さいものにしてい く取り組みは、交通による環境負荷軽減という面でも大きな意義を持つ。 ◇地下空間の活用も視野に入れた基盤整備の検討 ・吉 祥 寺の都 心 部 は低 未 利 用 地 が少なく、地 価 水 準 が高い。また外 延 的な拡 大 も難しいなど、 都心部における新たな基盤施設整備の難しさが存在する。 ・昭和30 年代以降、吉祥寺では体系的な地下駐車場の設置を前提に、各ビルの築造に際して 地 下レベルを合わせるよう指導が行われた経 緯がある。地 下 空 間の活 用 可 能 性 を改めて見 直し、吉祥寺大通り等の地下空間の体系化によって共同荷捌き場や自転車駐車場を確保す る可能性について検討する。 ◇周辺部の道路整備による都心部通過交通の排除 ・周辺地域の道路整備を進め、吉祥寺の都心部へ流入する通過交通を排除していく。 5 荷捌き対策の事例 ●現在までに実施されている荷捌き対策の事例を整理し、今後の吉祥寺における荷捌き受け皿対策の 参考とする。 方 策 共同化方策 1)特定地区内の集配の 共同化 2)一括納品方式による 共同化 1)共同荷受施設の設置 2)道路高架下等の公有 地の活用 3)駐車場の利用 路外対策 道路外の施設を利用する対策 3)トラックターミナル 内の事業者が行う共 同化 4)附置義務駐車施設の 共同利用 5)コインパーキングの 荷捌き利用 6)ポケット・ローディ ング・システムの導 入 7)貨物車専用駐車場の 設置 1)貨物車専用パーキン グメーターの設置 路上対策 道路を利用する対策 2)ローディング・ベイ およびローディン グ・ゾーンの設置 3)タイムシェアリング によるパーキングメ ーターの使用 4)駐停車禁止解除 通行規制 5)駐車場案内システム の利用 車両通行規制 方策の概要 通常は、運送事業者が、それぞれ行っている集荷・配送 業務を共同化することで物流の効率化を図る方策。 商品の納品や検品・検収を検品代行会社が共同配送・納 品代行センター等において行い、貨物を集約して店舗に 一括納品する方式。 一般トラックターミナルに入居している複数の運送事業 者が、輸送効率が悪い地域への集配を一括して特定の運 送事業者に委託する方式。 路外において、荷捌きのために貨物車が駐停車できるス ペースを設けると共に、共同で使用できる荷受施設を設 置する方策。 事 例 福岡天神地区、さ いたま新都心、横 浜元町等 百貨店等 京浜トラックタ ーミナル 東京丸の内ビル ディング 板橋山手通り荷 道路高架下の空間、再開発事業用地等の未利用の公有地 物積み替えステ を、運送事業者用の荷捌きスペースとして活用する方策。 ーション 市街地に立地する駐車場の一部を利用して、荷捌き場を 町田 確保する方策。 設置が義務付けられている荷捌き駐車施設を個別の建物 ごとに設置するのではなく、敷地面積等に余裕のある建 銀座 築物に集約・確保することで荷捌き駐車施設の確保と建 物の建替えの促進を行う方策。 民間駐車施設であるコインパーキングを荷捌き車両の駐 都内各所 車スペースとして利用する方策。 既存の路外駐車場の一部などを活用した荷捌きスペース のことをポケット・ローディングという。情報や予約等に 石神井公園 関する機能を付加することで、システムとして大きな効 果が期待できる。 道路沿いの空間を利用することで貨物車専用駐車場の設 横浜元町 置を行い、路外での荷捌きの受け皿とする方策。 路上において、貨物車専用のパーキングメーターを設置 福岡天神、新宿等 することで、荷捌きを目的とする車両の駐車の秩序化及 の都内各所 び効率化を促す方策。 ローディング・ベイの設置は、歩道の一部に切れ込みを 入れ、路上において、車両の通行を阻害することなく荷 捌きを行うための方策。 渋谷 ローディング・ゾーンの設置は、歩道への一部切れ込み 行わず、路上に貨物車が駐停車できる位置をマーキング し、貨物車専用の駐停車場として利用する方策。 パーキングメーターの使用について貨物車の駐車場の確 保と買い物客の来街時間と重複しない集配作業時間への 東京横山町 誘導を図る方策。 主として表通りの交通環境の改善を行うため、その受け 皿として裏通りにおいては、貨物車の荷物の積み卸しに 金沢 限り駐停車禁止の解除を行う方策。 貨物車の駐車が可能な駐車場の案内や駐車の可否につい 吉祥寺 て、駐車場案内システムを用いて誘導する。 所轄警察署の許可を受けた配送車両以外は車両通行止め (路線バスを除く)。 6 吉祥寺駅前ロー タリー、平和通り 道路の荷捌き利用の可能性 ・吉祥寺の荷捌きにおいて、来春の駐車禁止の取締り強化に対応していくには、段階的な対応 が必要と考えられる。 ・新たな駐車場の設置や各店舗の荷捌き施設の整備が難しい初期の段階では、道路のスペース を利用した駐車ベイなどの設置による対応が考えられる。 ・そこで、現在の吉祥寺の道路(上の空間、スペース)を利用した荷捌きの可能性について整 理する。なお、道路上に駐車するためには、駐車禁止を解除する必要があるため、駐車禁止 との関係を踏まえて整理する。 ・予め駐車できる場所を指定し、荷捌きの駐車時間を設定する方法が実施されていることが多くなって いる。 道路構造 の見直し 既存の道 路の構造 のまま 駐禁の解 除の有無 解除なし 駐車規制の具体的 内容 現状の道路と規制 のまま ①時間帯を指定し て解除 考えられる荷捌きの状況等 事例 駐車禁止の取締りにより、荷捌き不能となり、 まちの物流の機能が停止 解除有り 荷捌きが集中する時間は駐車可とすることに 札幌 より、物流機能を確保 金沢 通勤、通学時間帯とバッティングするなどに より、安全確保が危惧される ②道路上の特定の 駐車スペースは早い者勝ちで利用できる 場所を指定して解 特定の事業者の長時間駐車が発生しやすくな 除 ると考えられる ③道路上の特定の 決められた場所に決められた時間内でのみ駐 パーキングメ 場所と一定の駐車 車が認められる ーター・チケット 時間を指定して解 短時間で荷捌きするようなインセンティブが 除 働き、多くの事業者が利用できる ④全面解除 駐車禁止を解除した道路は、道交法に従って 駐車可能となり、荷捌きを実施可能 解除された道路は車両であふれ、安全・安心 なまちづくりが難しくなる可能性あり 荷 捌 き 専 ス ペ ー ス 荷捌き専用のスペ 荷捌き車両の駐車による渋滞は避けられる 渋谷 用 の ス ペ に 対 す る ースであっても駐 5 分以上の荷捌きは駐車禁止の取り締まり対 ー ス を 設 解除なし 車禁止の規制対象 象となるため、運送事業者は 2 名乗車などの 置 対応が必要となる ス ペ ー ス ①一定の駐車時間 時間内でのみ駐車が認められる に 対 す る を指定して解除 短時間で荷捌きするようなインセンティブが 解除有り 働き、多くの事業者が利用できる ②全面解除 駐車スペースは早い者勝ちで利用できる 特定の事業者の長時間駐車が発生しやすくな ると考えられる ※:札幌は、20 分以内の時間が駐車可能な範囲となっているが、時間計測の手段が確立されていないので、 時間帯での解除とした(時間が明確に確認できる仕組みであれば、パーキングメーター・チケットに似たものとなる) 7 ◇貨物車用パーキングメーター ◇道路の使用方法における主な事例 地域・道路 運用等の実態 渋谷公園通り(西 武百貨店モヴィー ダ館前∼宇田川町 交差点) 荷捌き用停車帯(ローディングベ イ)の設置 道路幅員約 21m(車道約 10m、 荷捌きスペース約 3m) 両車線に設置(並行して設置され ている箇所はなし) 荷捌き専用の標識あり 道路交通法上の駐車違反の規制は 受ける旨の記述あり 井ノ頭通り(西武 百貨店前∼東急ハ ンズ前) 荷捌き用停車帯(ローディングベ イ)の設置 道路幅員約 16m(車道約 6m、荷 捌きスペース約 3m) 一方通行なので左側のみ使用 札幌(p.10 の【具体的 事例:札幌市】参照) 特に専用ベイやゾーンを設置して はいないが、7∼19 時の間の 20 分以内の荷捌き駐車は駐車違反の 規制対象から除外 規制除外の標識あり 20 分の確認方法は明確に決まっ ていない 都内各所(具体例として 新橋駅周辺を記載) 路上駐車場として利用(パーキン グメーター・チケット) 新橋駅周辺は 60 分の利用時間と なっている 道路のスペースとメーターに貨物 車用の表示あり 渋谷 道路の使用方法 8 参考資料1 【具体的事例:渋谷】 渋谷駅周辺の繁華街のなかで、公園通りと井ノ頭通りの一部の区間に荷捌き車両用の停車帯が整 備されている。 〇道路標識の状況 〇荷捌き用停車区間の看板 〇停車帯の状況(公園通り) 〇停車帯の状況(井ノ頭通り) 9 〇荷捌き用停車帯の看板(注意書き) 【具体的事例:札幌市】 札幌市中心部では、重点地域を定めた「駐車監視員活動ガイドライン」を作成し、駅前地区、大 通地区、すすき野地区の放置車両の確認等を行っている。 当該地区の中で指定した場所に限り、荷捌・集配作業を行う普通貨物車両(軽貨物を含む1ナン バーと4ナンバー)について、7 時から 19 時まで、法規制の対象から除外し、札幌中心部の 22 箇所については、 「7 時から 19 時の 20 分以内の貨物集配中の普通貨物車を除く」とされている。 会員ドライバーは集配中、「荷捌きルールを守ろう宣言カード」をダッシュボードに掲示するこ とにしているが、現在の実態として、20 分を明確に計測できる仕組みとはなっていない。 〇道路標識の状況 〇道路の概観 〇駐車状況 〇車両の駐車状況 10 【具体的事例:新橋】 ・貨物車用パーキングメーター 定義 一般的な白線枠の寸法に収まらない大きめの貨物車や、やむを得ず道路上で荷さば き等を行う必要のある車両のために設置しているパーキングメーター及びパーキ ングチケット発給設備のこと 設置状況 平成 20 年 1 月 1 日現在、都内では 557 枠の貨物車用パーキングメーター等を設置 運用。案内地図には、貨物車用のパーキングメーター等の設置場所を行政区別に記 載。 設置場所は、道路環境の変化等により予告なく変更となる場合もあるので、白線内 の路面に「貨物車用」又は「荷捌き用」と表示してあることを確認してから利用す る。 出典:警視庁ホームページ 駐車対策課 駐車対策第二係 より抜粋 都内の設置箇所の詳細はわからないが、新橋駅周辺に設置事例があるので例示する 撮影方向 ※東西の通りにも数多くあり。 11 参考資料2 (1)共同配送 ①特定地区内の集配の共同化 ■ 通常は、運送事業者それぞれが行っている集荷・配送業務を共同化することで物流の効率 化を図る方策。 共同化の対象となるエリアへの配送貨物は、各運送事業者が一旦共同集配センターに運搬 し、センター内で仕分けした後、各運送事業者から委託された特定の事業者が独占的にエリ ア内での配送業務を行うことで、エリア内に入り込むトラックを減少させる。また一方、集 荷の場合は、エリア内の集配を行う特定の事業者が集荷して共同集配センターに運搬し、セ ンターからの運搬は各運送事業者が行う。 共同化については、集荷及び配送が共に行われる場合(共同集配)と集荷は行わず、配送 のみが行われる場合(共同配送)とがある。 共同化の取組みは、福岡天神地区、さいたま新都心、横浜元町等で取り組まれている。 ☆ 特定地域内に進入する荷捌き車両台数が削減されることにより、荷捌き路上駐車に起因す る交通渋滞の改善や良好で安全な歩行空間の創出、ひいては歩行者中心のまちづくりが期待 できる。また、運送事業者にとっても、駐停車場所が限られ、時間のかかる繁華街等におけ る荷捌きを委託することにより、配送業務の効率化を図ることができる。そのほか、配送車 両数の削減により、車両から排出されるCO2 等が減少するなど、環境面でも効果がある。 ▲ 共同配送にかかる経費として、委託した運送事業者が1個あたりで決められた配送費を、 委託を受けた事業者に支払うが、コスト負担のあり方が課題となっている。 各運送業者の 車両が運搬 します。 商品等の 引渡しと 仕分け作業を 行います。 低公害の 共同配送車両 (天然ガス自動車) カーゴテナー (台車)により 運搬・配送 します。 荷さばきを 行います。 で運搬します。 運送業者A 卸売業者 メーカー 取引先業者 運送業者B 運送業者C 共同集配送 センター エアカーゴ ステーション 各店舗が契約した運送会社 運送業者A ( 3カ所) (中区新山下) 元町商店街 お 客 様 が 配 達 を 希 望 配達先 ( お客様 の 自宅 等 ) 運送業者B 運送業者C 横浜元町の共同集配 ■:概容 ☆:期待される効果 12 ▲:問題点・課題等 ②一括納品方式による共同化 ■ 商品の納品や検品・検収を店舗ではなく、指定された納品業者(=検品代行会社) が共同配送・納品代行センター等において行い、貨物を集約して店舗に一括納品する 方式。百貨店等の多くの物品を扱う大規模店舗において、業務の効率化や納品車両に よる混雑の解消等のため行われている。納品事業者側からは、集配・値札張り等の費 用を配送代金として、店舗からは検品代行料として、それぞれ配送した商品の卸値を もとに算定した金額が検品代行会社に支払われる。関東地方の百貨店の中には、共同 化が難しいと言われている食料品を含めた納品物流の共同化に取り組んでいる事例も ある。 ☆ 検品代行会社への委託により、検品・配送等にかかる人件費や施設費用が削減され、 業務を効率化することができる。また、それは、納品車両台数の削減につながり、店 舗周辺の交通混雑の改善につながる。 ▲ 直営店舗以外のテナント、生鮮食料品、レストランへ納入する食材の共同化などが 課題となる。 百貨店における一括納品方式による共同化 13 (2)路外対策 ①共同荷受施設の設置 ■ 路外において、荷捌きのために貨物車が駐停車できるスペースを設けると共に、共 同で使用できる荷受施設を設置する方策。 東京丸の内ビルディングでは、一括荷受・荷渡しによる館内共同集配が行われてお り、共同荷受施設が設置されている。 ☆ 荷捌き車両に対して、路上ではなく、路外での荷捌きが可能となることで、荷捌き 車両の路上駐停車に起因する課題の改善を行うことができる。 ▲ 共同荷受施設の費用負担のあり方が課題となる。 ②道路高架下等の公有地の活用 ■ 道路高架下の空間、再開発事業用地等の未利用の公有地を、運送事業者用の荷捌き スペースとして活用する方策。平成 17 年 3 月には、首都高速道路の高架下を活用した 荷捌きスペースとして、「板橋山手通り荷物積み替えステーション」が開設された。 ☆ 荷捌き車両に対して、路上ではなく、路外での荷捌きが可能となることで、荷捌き 車両の路上駐停車に起因する課題の改善を行うことができる。 板橋山手通り荷物積み替えステーション 14 ③駐車場の利用など ■ 市街地に立地する駐車場の一部を利用して、荷捌き場を確保する方策。 駐車場は時間により、利用状況が大きく異なる。例えば、市街地の買い物客を対象 とした駐車場は、平日の午前中の利用率は低くなっている。このような需給状況を見 定めた上で、あまり利用されていない時間帯については、駐車場の一部を荷捌き車両 のために利用することにより、荷捌き問題の改善を進める、タイムシェアリングなど の取り組みがある。また、駐車場の利用については、荷捌き車両が専用で利用する以 外に、一般車両と荷捌き車両がスペースを共用する場合もあり、荷捌き車両優先使用 時間帯や使用料金の設定などが行われる場合もある。 また、町田市では、株式会社町田まちづくり公社が所有する中心市街地の立体駐車 場の1階部分を共同荷捌きスペースとして使用している。予め登録した運送事業者が 車両に駐車許可証を表示して無料で利用しており、共同荷捌きスペースの管理は公社 が行っている。地元商店・商店組合等は公社設立時に出資しているが、荷捌きスペース の利用に際しては、費用負担は行っていない。 ☆ 荷捌き車両に対して、路上ではなく、路外での荷捌きが可能となることで、荷捌き 車両の路上駐停車に起因する課題の改善を行うことができる。 町田市における荷捌きスペース 15 ④コインパーキングの荷捌き利用 ■ 民間駐車施設であるコインパーキングを荷捌き車両の駐車スペースとして利用する 方策。東京都では都内全域でのコインパーキングの荷捌き利用に向けた仕組みづくり を進めている。しかし、現状では、貨物車両の駐車が可能なコインパーキングは多く はない。 ☆ 荷捌き車両に対して、路上ではなく、路外での荷捌きが可能となることで、荷捌 き車両の路上駐停車に起因する課題の改善を行うことができる。 図−13 荷捌きスペース拡充プロジェクトのイメージ 東京都における荷捌きスペース拡充プロジェクトのイメージ 16 (3)路上対策 ①路上における貨物車専用パーキング・メーターの設置 ②ローディング・ベイおよびローディング・ゾーンの設置 ③タイムシェアリングによるパーキングメーターの使用 ■ パーキングメーターの使用について、貨物車が利用できる時間帯と買い物などのた めの乗用車が利用できる時間帯を区分して、貨物車の駐車場の確保と買い物客の来街 時間と重複しない集配作業時間への誘導を図る方策。 この取り組みのためには、貨物車が駐車可能なパーキングメーターが設置されてい ることが前提となる。 東京横山町ではトラック・タイムプランと名づけタイムシェアリングによるパーキ ングメーターの使用を行っている。 ☆ 荷捌き車両に対して、路上の駐停車可能な場所での荷捌きを可能とすることにより、 荷捌き車両の路上駐停車に起因する課題の改善を行うことができる。特に集配時間帯 と買物時間帯の区分により、荷捌きと買い物という目的の異なる来街者の棲み分けを 行うことができる。 貨物車による集配時間と乗用車による買物時間を区別 貨物車による集配時間 午前 7 時∼午前 10 時 指定路線における 貨物の積卸しを除く 他の車両は駐車禁止。 路外駐車場や他のパーキ ング・メーター利用。 乗用車による買物時間 午前 10 時∼午後 4 時 30 分 一般乗用車 やむを得ず集配する貨物 車は外周の指定した路線 で、貨物専用・乗用兼用 パーキング・メーターを 利用して集配する。 タイムシェアリングの例 17 貨物車による集配時間 午後 4 時 30 分∼午後 7 時 指定路線における 貨物の積卸しを除く 他の車両は駐車禁止。 路外駐車場や他のパーキ ング・メータ利用。 ④貨物車のための駐停車禁止解除 ■ 主として表通りの交通環境の改善を行うため、その受け皿として裏通りにおいては、 貨物車の荷物の積み卸しに限り駐停車禁止の解除を行う方策。 表通りは、違法駐車防止重点地区として、違法駐停車に対する取締りの強化を行い、 荷捌きを駐停車禁止が解除された裏通りで行うように誘導を行う。 金沢市で実施されている。 ☆ 荷捌き車両に対して、路上の駐停車可能な場所での荷捌きを可能とすることで、特 に、表通りの交通環境を改善することができる。 金沢における事例 18