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神戸市の行財政改革と外郭団体の見直し(PDF形式:420KB)
神戸市の行財政改革と外郭団体の見直し 外郭団体設立の背景 市民・社会からの要請 高度経済成長以降、社会経済環境の急速な変化に ○ 伴い、多様化・増大する市民の行政ニーズ(まちづく り、公共サービス)への迅速な対応の必要性 公の施設の管理は、地方自治法により、公共団体・ ○ 公共的団体のほかは、地方自治体出資法人(1/2以 上出資等)のみ可能(民間事業者参入の制約) 外郭団体を取り巻く社会環境の変化 自治体(神戸市)の状況 硬直的な地方財政制度、地方公務員 制度の身分上の制約、市の厳しい財 ○ 政状況等により、市民ニーズへの迅 速な対応が困難 第3セクターを受け皿にした国制度の創設、 民間資金導入の進展、特別法による外郭 ○ 団体の設立(住宅供給公社、土地開発公 社、道路公社)など 市職員が経営感覚を身につけ、行政 ○ 部門で経験を発揮する人材育成の場 としての機能 ○ 市及び民間では実施が困難な先駆的事業 など準公共的な社会的ニーズの増大 多様化・増大する行政ニーズに柔軟かつ迅速に対応す るため、地方自治制度上の組織(市)だけでなく、外 郭団体を行政組織のひとつとして活用し、市政と一体 となって市民・地域社会のニーズに対応する 地域開発推進 施設管理 サービス管理 行政補完 準公共・市場サービス 先駆的事業 など 1 ページ 外郭団体等の果たしてきた役割(例) 【神戸市住宅供給公社】 (S40.11.1設立) ○ 住宅供給公社法に基づき、昭和40年の設立以降、居住環境の良好な住宅・宅地を低価格で市民に供給 ○ 大規模団地の建設・供給やニュータウン開発において先導的役割を果たし約28,000戸の住宅を供給 ○ 阪神・淡路大震災の直後は、市では対応が困難な大量の住宅提供を速やかに実施 【(財)神戸市開発管理事業団】 (S44.4.15設立) ○ 神戸市が整備したニュータウン等の利便施設や市民サービス施設を管理・運営し、快適な住環境を確保 【㈱神戸ニュータウン開発センター】(S52.8.2設立) ○ 神戸市が整備した大規模なニュータウンにおいて、住民の利便施設である中央センターの商業施設等を計画・整 備・管理し、魅力ある都市の核を形成 【海上アクセス㈱】 (S63.12.9設立) ○ 公害のない空港として泉州沖5kmの海上空港となった関西国際空港の利用者のアクセス利便性向上の ため、神戸と関空を海上ルートで高速かつ快適に結ぶことを目的に民間旅客船会社が中心となり設立 ○ 航路の公共交通機関としての意義が大きいことから、同社や運輸省から神戸市に経営の参画を求める 要請があり、関空の開港に併せて神戸市が出資し第三セクター化(H6.6) ○ 訪日旅客の拡大による観光産業への寄与、災害時の代替機能 【舞子ビラ】 ○ 明治天皇が明治27年に有栖川宮熾仁親王の保養所として建てられた別荘がその前身。その後住友迎賓館な どを経て、昭和41年11月に神戸市の所有となり、「市民いこいの家」として長年親しまれてきた歴史的な施設 ○ 明石海峡大橋架橋に合わせ、地元活性化につながる市西部地域における観光拠点としての役割 社会経済環境の激変 ○ 社会の構造変化(少子・超高齢化の進行、人口減少、経済低成長時代) ○ 阪神・淡路大震災による未曾有の被害、復旧・復興という特殊事情 ○ バブル崩壊以降、アジア通貨危機など、平成14年度まで3度にわたる景気後退、景気低迷の長期化 ○ 官から民への流れ、地方自治法改正による指定管理者制度の創設 ○ 平成20年度のリーマンショック、デフレの進行と雇用情勢の悪化、インフルエンザの影響等による大幅な景気の落ち込み ○ 東日本大震災、欧州債務危機、円高の長期化 2 ページ 阪神淡路大震災等による神戸市財政の悪化 △1159億円(H7年度) 2951億円(H5年度) ⇒ 8056億円(H5年度) ⇒ △4715億円(H7年度) ○ ○ ○ ○ 実質収支不足(決算) 市税収入(決算) 実質市債残高 プライマリーバランス ○ ○ ○ ○ ○ ○ 神戸市行財政改革の間断ない取り組み 「神戸市行財政改善緊急3ヵ年計画」(H8~10年度) 「新たな行財政改善の取り組み(新行政システムの確立)」(H11~15年度) 「財政再生緊急宣言」(H14.2) 神戸市外郭団体経営評価委員による助言・提案(H14~20年度) 「行政経営方針」(H16~22年度) 神戸市外郭団体経営検討委員会提言(H23.1) 2433億円(H7年度) 1兆7905億円(H9年度) 行財政改革による効果 神戸市の行財政改革の進展(平成22年度まで) ○ 一般会計の実質市債残高 8515億円(H22年度) (市民1人あたり市債残高) ○ 職員総定数 ピーク時(H9年度)から約9400億円、H15年度から約6000 億円削減。 66万2千円( 〃 ) 震災関連以外では、19政令市で6番目に低い 16164人( 〃 ) H8年度から約5500人(職員全体の25.6%)を削減 ○ 全職員の給与削減(H15~17年度)、ゼロベースからの事務事業見直し、民活導入等の取り組み ○ 実質的な収支不足額 △1159億円(H7年度) ⇒ △9億円(H22年度) ○ プライマリーバランス △4715億円(H7年度) ⇒ H9年度以降14年連続黒字 公債費負担比率を政令指定都市平均値(12.8%)並の12.9%にまで抑制(H22年度) 財政健全 ○ 市の将来負担比率は、住宅供給公社、舞子ビラの土地信託事業等の対応に係る市負担を見込ん 化指標 でも、政令指定都市平均(176.1%)を下回る172.4%にまで抑制(H22年度) 行財政改革の財政効果は約2900億円 外郭団体の経営改善・改革の進展 ○ 団体の統廃合 64団体(H7年度) ⇒ 46団体(H22年度) ○ 市関与の見直し(補助金・委託料の削減、市派遣職員の引き揚げ) ・ 市派遣役職員数 ・ 市OB役職員数 ・ 市補助金・委託料 1330人(H14年度) ⇒ 440人(H23年度 ) 807人( 〃 ) ⇒ 359人( 〃 ) 576億円( 〃 ) ⇒ 277億円(H22年度 ) ○ 中期経営計画の策定(3~5年)等による経営改善、民間人材の活用、透明性の向上 ・ 損失計上団体数 36団体(H7年度) ⇒ 13団体(H22年度) ○ 各団体における経営改善の取り組み ・ 神戸マリンホテルズ⇒人員削減等による人件費抑制、収益向上など ・ 住宅供給公社⇒借上特優賃の空き室解消、不採算事業からの撤退、など ・ 海上アクセス⇒業務再開以降、乗船客数の増加、補助金削減及び単年度黒字の達成、など 3 ページ 国において、多額の資金手当てを必要とする外郭団体の処理にあたり、第3セクター推進債が制度化され、全国的 にも資金手当てというハードルが低くなった。 国の地方3セク改革に関する取り組み ○ 地方財政健全化法施行・第3セクター等改革推進債創設(H21.4)、総務省「第3セクター等の抜本的改革等に 関する指針」(H21.6) 第3セクター等改革推進債(発行期限はH25年度)を活用して、3セクの抜本的改革を5年間(H21~25)で ⇒ 集中的に実施 ○ 公益法人制度改革3法施行(H20.12) ⇒ 新たな公益法人制度への移行期限はH25年11月まで 加えて、 行財政改革の効果により一定の財政支援を行って も、市民サービスに影響を及ぼさない水準まで、一般 会計の収支不足が改善 外郭団体において、経営改善への取り組みを限界まで進め てきたが、資金面・経営面から更に厳しい状況に 課題の大きい外郭団体を抜本的に見直すタイミング 更なる行財政改革を断行⇒「神戸市行財政改革2015」(計画期間:H23~27年度) 外郭団体の削減 ○ 外郭団体10団体以上の削減 ⇒ H23~24年度で8団体を削減予定 外郭団体等への派遣職員の削減 ○ 外郭団体等への派遣職員30%以上削減 市民サービスの向上 ⇒ H23~24年度で22.2%を削減予定 職員総定数の削減 課題の大きい外郭団体等の抜本的な見直し 【基本方針】 「次の世代に負担を残さず、問題を先送りしない」 【見直しの観点】 「将来にわたる市民負担の最小化とリスクの回避」、「公共性・公益性の維持」、「透明性の確 保」、「行財政改革」 外部委員で構成する「あり方検討委員会」による抜本的かつ具体的な見直しの検討・検証(詳細は表参照) 舞子ビラ事業・神戸マリンホテルズ㈱ 神戸市住宅供給公社 信託スキームを早期に解消し、一定 期間のホテル事業存続等の条件を 付与し、売却及び賃貸を検討 新たな事業形態に移行するまでの間 は、マリンホテルズ㈱が運営を継続 公益性の観点から、入居者の保 護や関係者の配慮を図りつつ、3 セク債の活用による民事再生 海上アクセス㈱ 公益性の観点から、航路事業を維持し つつ、債務超過の解消にあたって新た な資金を必要としない再生手法 次世代に負担を残さないよう、外郭団体の抜本的な見直しにあたっては、団体・事業の公益性に十分に配慮しつ つ、3セク債・基金の活用、資産の売却・賃貸、新たな資金負担を必要としない再生手法も取り入れるなど、市の財 政負担を最小化し、神戸市全体として市民サービスの維持・向上を図っていく。 4 ページ 【参考】課題の大きい主な外郭団体等の震災直後~現在までの状況 舞子ビラ事業・神戸マリンホテルズ㈱ 震災直後の状況 ○ 舞子ビラの施設が老朽化する一方で、明石海峡大橋の開通を控え、本館建替・新館改修を行うことになり、神 戸市は事業者を公募し、平成8年10月に土地信託契約を締結した(期間30年、下図参照)。 当時の神戸協同興業(株)が運営事業者となり、神戸タワーサイドホテル(平成14年3月に運営から撤退)と舞 子ビラを運営する主体として、平成9年4月に増資し(資本金5.8億円・市出資25.86%)、社名を「神戸マリンホテ ○ ルズ(株)」に変更した。舞子ビラは、平成10年9月にグランドオープンし、継続的に人件費・物件費の大幅な削 減を行うなど、経営改善に取り組んだ。 神戸市 土地信託契約 建設会 社他 信託銀行団 <舞子ビラの整備・ 維持管理> 工事 請負 運転資金貸付 (H14年度~) 建物賃貸借契約 信託債務の損失補償 (H15年度) 信託受益権 (配当) 賃料 融資 融資銀行団 返済 融資 (~H13年度) 神戸マリンホテルズ(株) <舞子ビラの維持管理・ ホテル運営> スキームの変更及び経営改善の着実な取り組み 神戸マリンホテルズ(株)は、様々な経営改善の取り組みにもかかわらず、長引く不況の影響などにより赤字経 ○ 営が続き、平成13年度末で金融機関からの融資が打ち切られ、平成14年度以降は神戸市が運転資金を貸し 付けることとなった。 平成15年4月には、神戸マリンホテルズ(株)の経営を圧迫する家賃負担を軽減し、舞子ビラ事業を長期的・安 ○ 定的に継続するために、(1) 土地信託契約の変更により期間を45年に延長(2) 責任財産限定特約条項を追 加 (3) 融資銀行に対する信託債務について、市が損失補償するなど事業スキームを見直した。 事業スキームの見直し後は、賃料の減額とともに、神戸マリンホテルズ(株)の人件費抑制、収益性向上など の経営努力により、経常損益が改善し、また、信託会計には利益が修繕積立金としてほぼ計画どおり積み立 ○ てられ、市には固定資産税が納付されるなど、平成20年度までは、舞子ビラ事業全体としてほぼ収支均衡を 保っていた。 (平成19・20年度は神戸マリンホテルズ(株)としても単年度黒字を計上した。) 経営環境の悪化による売上高の大幅な減少 しかし、平成21年度以降は、リーマンショックによる景気の低迷、新型インフルエンザの影響や婚礼件数の減 ○ 少などにより、神戸マリンホテルズ(株)の売上が急激に減少したため、収支が大幅に悪化した。 〔売上高の 推移〕 20年度41.5億円→21年度36.8億円→22年度34.8億円 <神戸マリンホテルズ㈱の経営状況>(H22年度決算) ○ 当期純損失:約5.5億円 ○ 累積損失:約39.7億円 債務超過:約33.5億円 ○ 市からの短期借入金:26億円 ○ 市の損失補償残高(H23年度末):約101億円 5 ページ 神戸市住宅供給公社 震災直後の状況 ○ 阪神・淡路大震災からの復興にあたっては、神戸市の震災復興住宅整備緊急3か年計画に基づき、市民生活 の安定のために、緊急かつ大量の住宅を供給した。 ・ 借上特優賃住宅などを中堅所得者層向けに供給 ・ 既成市街地では、再開発事業や住宅市街地総合整備事業などの区域内、被災した市場やマンションの 再建にあわせた中高層の住宅を建設 ・ 郊外のニュータウンでは、震災前に引き続き、主に戸建の分譲住宅を建設(平成7~9年度:計1,600戸 超) 経営改善の着実な取り組み 平成13年度には大規模開発・供給型の分譲事業から撤退することを宣言し、保有分譲資産の早期売却によ ○ り、更なる含み損の拡大を防ごうとしたが、地価がバブル期に比し半値近くとなっており、公社財産の毀損は 免れなかった。 ○ 平成14年12月の「財務改善緊急2ヵ年計画」や「中期計画」(平成16年度~)において、都市整備公社との総 務部門統合や物件費、人件費の削減、不採算事業からの撤退など、経営改善に取り組んできた 資金収支の悪化と将来的な資金収支不足見込み ○ 様々な経営改善の取り組みにも関らず、以下の様な理由により、資金収支の悪化要素が顕在化するに至っ た。 ・ 震災以降に多額の借入により建設した賃貸住宅や、分譲用地などの資産について、長引く不況と地価 の下落の長期化により、大幅な簿価割れが生じたこと ・ 特優賃事業においては、入居者負担額が毎年3.5%ずつ上昇する仕組みであり、借上特優賃では住宅 供給公社が満室保証により空き家の家賃を全額負担しなければならないため、年間4億円以上の赤字 が発生したこと ○ さらに、以下の様な理由により、将来的に資金収支が不足することが不可避の状況となった。 ・ 平成22年度から、金融機関・住宅金融支援機構への借入金の償還額が年間約10億円必要となったこと ・ 平成24年度以降は、借上特優賃の赤字についても、空き家率の上昇などの影響から、さらに膨らむ見 込みであること <神戸市住宅供給公社の経営状況>(H22年度決算) ○ 当期純利益:約2億円 ○ 累積損失:約21.8億円 債務超過:約21.7億円 ○ 市からの長期借入金:約4億円 ○ 市からの短期借入金:(23年度)約27.8億円 ○ 市の損失補償残高:(23年度末)約250.8億円 6 ページ 海上アクセス㈱ 震災直後の状況 海上アクセス(株)は、開業4か月後の平成7年1月に阪神・淡路大震災に見舞われ、岸壁・建物の損壊等の被 ○ 害を受けたが、関空への海上ルートとしての有用性から、事業を中断することなく継続するとともに、神戸と大 阪を結ぶ臨時航路を開設し、市民や来訪者の足の確保に努めた。 その後、①役員・従業員の削減、②投入船舶の削減、③運航便数の見直し、④委託業務の見直し、⑤CAT社 ○ との事務所統合による経費削減、⑥CAT社との本社業務の一体化による役員・従業員の削減、⑦運航時間 の短縮など、大規模なリストラ策を含む経営改善を着実に進めてきた。 航路事業休止までの経緯 様々な経営改善の取り組みにもかかわらず、バブル経済崩壊後の不況の長期化も相俟って、毎年赤字を計 ○ 上することとなったが、当時年間約60万人の利用があり関空への重要なアクセスとなっていたため、筆頭株主 である神戸市から平成8~13年の6年間で約99億円の運営資金を借り入れて運航を継続した。 その後、海上ルートの神戸側の拠点施設(神戸シティエアターミナル:K-CAT)を運営する神戸航空交通ター ミナル(株)において、平成13年3月末に法務省の出国審査が廃止され、さらに、平成14年1月末にK-CATの ○ チェックイン業務が廃止されたことによりK-CATの根幹機能が喪失、平成13年9月に発生した米国同時多発テ ロの影響により旅客数が大幅に減少し、当面回復の見込みがないことから、K-CAT事業とともに、海上アクセ ス(株)は平成14年2月7日を最後に高速船運航業務を休止した。 航路事業休止時の状況 ○ 休止にあたっては、金融機関からの高金利の残債務を借り換えるため、(財)神戸市開発管理事業団から34億 円の融資を受け、その後ジェットフォイル2隻を売却、5億円を返済した。 ○ 休止後(平成14年度末)の海上アクセス(株)の累積損失は約158億円、債務超過は約123億円、借入金は市 から約99億円、開発管理事業団から約29億円 事業再開への要請と再開後の経営改善の着実な取り組み 航路休止後、平成16年5月に関空利用促進検討会がとりまとめた「関空利用促進行動計画・アクション50」や、兵 庫県の「関空・国際線利用促進宣言」において「神戸からの海上アクセスの復活」が盛り込まれたほか、平成 ○ 16年7月の「関西3空港懇談会」においても、3空港の相互補完性向上の観点から、神戸-関空間の海上アクセ ス開設が必要との認識で一致するなど、関空及び関連団体においても、航路再開を希望する動きが広がっ た。 平成18年7月、海上アクセス(株)は、神戸空港の開業及び関空第2期滑走路の供用開始や、海上ルートの潜 ○ 在需要などから、船種をジェットフォイルから現在の高速船2隻に変更するほか、ターミナル事業と一体的に運 営するなど、新たなスキームを構築し、航路事業を再開した。 事業再開後、乗船客数は、着実な増加により平成22年度には約39万人に達し、リムジンバス(約60万人)との ○ 市場シェアも概ね4対6となった。 また、平成21・22年度は、補助金を削減しつつ、連続して単年度黒字を達成するなど経営改善の効果が現れ てきているが、事業再開前の多額の累積債務の解消が依然として大きな課題となっている。 ○ 〔乗船客数の推移〕 18年度(8.5箇月間)14.4万人→19年度31.3万人→20年度34.9万人→21年度37.2万人→22年度39.3万人 <海上アクセス㈱の経営状況>(H22年度決算) ○ 当期純利益:約0.07億円 ○ 累積損失:約166.5億円 債務超過:約131.5億円 ○ 長期借入金:約136億円(うち再開前:約128億円) 7 ページ あり方検討委員会報告の概要 みなと総局 都市計画総局 市民参画推進局 神戸市住宅供給公社 開発管理事業団、NT開発C:NT 社、 K-ACT、K-CAT、ACC ◎宮脇 淳 大塚 明 (北大公共政策大学院長) (弁護士) 新玉 正男 亀沖 正典 (流通科学大教授) (不動産鑑定士) (公認会計士・税理士) 岡村 修 ※井口 寛司→①②のみ 藤本 久俊 (公認会計士・税理士) (弁護士) (弁護士) ※乗鞍 良彦→③~ ◎宮下 國生 (弁護士) (大阪産業大経営学部教授・神 戸大名誉教授) 舞子ビラ事業 対象団 体等 (神戸マリンホテルズ) ◎宮脇 淳 委 員 構 (北大公共政策大学院長) 成 高橋 一夫 ( ◎ 委 乗鞍 良彦 員長) (弁護士) 神戸市都市整備公社 岩崎 和文 (公認会計士・税理士) ①4月19日 ①4月4日 ①6月14日 住公の経営状況の分析 各団体の現状・課題の分析 検討目標、事業の現状 ②6月2日 ②4月22日 ②7月12日 住公の見直し案 土地信託の現状、 ③6月24日 ACC社の見直しに係る法務・ 税務等の分野別分析 関係者ヒア(ホテル利用者) 住公の見直し案の精査 ③6月16日 ③8月30日 関係者ヒア(ホテルの専門家) 現地視察を踏まえた各団体の 分析のまとめ 中間とりまとめの骨子 ④7月27日 住公の見直し案の精査 都市整備公社のあり方 ⑤8月30日 ④9月8日 中間とりまとめの骨子 各団体への意見聴取による見 直しの方向性 ※9月8日 ⑤9月2日 中間とりまとめ 中間とりまとめ 舞子ビラ事業の選択肢の検討 ⑥1月25日 ⑥10月27日 ⑥2月3日 中間報告後の経過報告 中間報告で残された課題 中間報告後の経過報告 整公収支調査の報告 ⑦11月25日 ニーズ調査の報告 原因検証調査の報告 他都市調査報告 原因検証調査の報告 最終報告叩き台 最終報告に向けた課題の分析 最終報告叩き台 ※2月10日 ⑧12月12日 ※2月10日 最終とりまとめ 最終報告叩き台 委 員 会 中間とりまとめ 開催 ⑤10月28日 最終とりまとめ ④7月14日 ⑨12月27日 最終とりまとめ 8 ページ 〔まとめ〕 (信託スキームの早急な解消) 〔まとめ〕 (清算型民事再生案の適否) 【事業団】【NT社】 ○事業譲渡方式により、事業団 を営利転換しNT社と統合すべ き。 ○「24年度中に信託会計の資金が枯 ○「中間とりまとめにおいては、法 ○公益施設運営事業は地元への 渇する可能性」、「短期貸付の継続 的整理により解散(破産)する方針 移管、体育レクリエーション施設は が 困 難 」 等 の 状 況 か ら 、 「 信 託 ス を選択すべきであると提言した」 民間事業者による運営を検討。た キームの早急な解消が必要不可欠」 が、「入居者の保護や借上特優賃 だし、事業の継続性を担保する観 オーナー等の関係者への配慮が破産 点から暫定的に統合会社への委 ○損失補償・費用補償の履行に「法 案では十分に尽くせない可能性があ 託も検討すべき。 ることから」市及び住公は清算型民 的な問題はないと考えられる」 事再生案を検討することとなった。 ○三セク債の充当が不可、「一時的 ○委員会としても、この清算型民事 ○NT社は、統合の相乗効果に に多額の支払いが生じるが、将来に 再生案について、 よる収益力の強化や経営の効率 負担を残さず、問題を先送りにしな 化を図るべき。 いために」「市に対して所要の財源 ①「『入居者保護や関係者への配 ○NT社が事業譲受に必要な資 措置を求める」 慮』『今後も継続する必要性がある 金は、市など既存株主から増資し 業務については神戸市や外郭団体が て調達することが適切。 事業を継承すること』『神戸市民の 【ACT社】 (舞子ビラの措置) 将来負担・リスクを最小化するこ ○一定期間のホテル事業存続等の条 と』等、実質的には中間まとめの提 ○通関・検疫機能など現在有する 機能を最大限活用しつつ事業を 件を付与したうえで「条件付売却方 言に沿ったものであること 継続すべき。 式に加え賃貸借方式も踏まえて」 ○中小フォワーダーの共同輸送 「既存の手法にとらわれず、幅広く 提案を受け、適切な手法を選択でき ②都市整備公社の経営が不安定とな 事業の機能を強化し業務評価を らないように借上特優賃事業の赤字 高めるべき。 るような仕組みを検討」すべき 補助など、神戸市による財政支援等 の対策を講じていること (神戸マリンホテルズ㈱) 【CAT社】 ○「今日、第三セクターとしての意 最終と 義はなくなっている」 ③必要な公共サービスは維持しつ ○ 事 業 継 続 の 価 値 は 認 め ら れ りまと つ、住宅供給公社は解散する方針で ず、同社の歴史的使命は終えた め概要 と思われ、当事業年度内に速や ○「これまでの経緯・評価に加え、 あること かに解散し、清算すべき。 事業の市場価値・市民サービスの継 続などを考えると、引き続き、新し ④民事再生案は裁判所の監督下で行 ○和解型の特別清算を行い、所 い事業形態に移行するまでの間は、 われる法的処理であることから、破 有不動産についても、申立後に裁 少なくとも(同社が)運営を継続す 産案に準ずる手続の透明性が担保さ 判所の許可を得て処分すべき。 ることに必然性はある」 れていること (制度的問題点) ○市の貸付金債権については、 ○公有地信託制度における官・民の などから、「方針として適切であ ま ず 弁 済 を 求 め る べ き で あ る が、弁済されない部分について 責任の所在を明確にする必要がある る」と判断する。 は債権放棄すべき。 ○信託銀行の一部が受託者と融資銀 〔整公長期収支見込の検証〕 行の地位を兼ねていることなど、根 (岩崎委員の検証結果) 本的課題がある 【ACC社】 ○事業継続の意義は認められる が、債務超過の解消が必要。 ○住公からの継承事業分にかかる整 ○税務上の観点及び公平性・透 〔事業性検証〕 公の「長期収支見込は、実績値・見 明性の観点から、再建型の法的 (民間コンサルの検証結果) 込値を織り込んで作成されており、 整理である民事再生手続の活用 また前提条件は合理的な根拠に基づ が最適。 ○売却の場合、30.4~35.9億円 き適切な作成プロセスで作成されて いると判断する」 ○借入金:25年度19,107百万円→ ○民事再生手続の中で株主責任 ○賃貸の場合、賃料年5~6億円 を明確にするために100%減資 48年度1,476百万円 〔継続が困難となった原因分析〕 剰余金:25年度946百万円→48年 を行った後、市などの債権の現 物出資による資本化(DES)、 度12,883百万円 (結論) 必要に応じてDES後に資本金の ○「神戸市、信託銀行団、融資銀 減資を行うことにより債務超過 行、マリンホテルズ社の関係者いず と累積損失を解消することが最 れについても、善管注意義務違反等 の法的な責任は発生していない」 9 ページ 最終と りまと め概要 (続き) (信託債務の最終的な負担) 〔経営悪化の原因分析〕 (土地信託採用の妥当性) (善管注意義務違反等) ○ACC社の債務超過が解消し、 安定的な黒字経営が見込まれる ○神戸市は、「総務財政委員会にお (結論) 中で、さらなる財務基盤の安定 いて、信託の収支勘定に負債(ない しは清算未了の金員)が生じた場合 ○「『分譲事業』『借上特優賃事 化を図るため、ACC社と事業団 は、これを神戸市が負担するという 業』には神戸市も深く関わってお とNT社の統合会社との経営統 認識を明確に示している」 り」、「住宅供給公社の役員だけで 合を検討すべき。 なく、神戸市長や神戸市職員につい ても、責任の有無が問題になり得る (費用補償請求の対応) が、少なくとも『法的責任』という ○(最高裁判決を踏まえると)信託 限りでは、神戸市長並びに住宅供給 団が融資団に固有財産で借入金を弁 公社において『分譲事業』と『借上 済後、費用補償請求を行えば、「神 特優賃事業』の実施・推進に関わっ 戸市はその請求に応じなければなら た個人について、これを追及するこ ないという法的判断が下される可能 とは困難である」 性 は 極 め て 高 い 」 、 こ の 結 論 は 、 (分譲事業の評価) 「信託契約締結後の事情に基づき導 かれるものではなく、契約締結時の ○「地価高騰が激しく公共事業用地 信託契約の本質に基づくものと評価 の確保が困難になっていたこと」、 すべき」 「地価の動向予測は極めて困難であ るし、…後年度用地として土地を保 (損失補償契約・責任限定特約) 有しておくという選択は当然あり得 ○損失補償契約等の締結は、「それ る」ことなどの事情があった。 以前と比較して、神戸市に不利とな る行為であるということはできず、 また、神戸市の執行機関の判断にそ (借上特優賃事業の評価) の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用 ○「(土地価格高騰の中で)中堅所 があったと断言できるような事情は 得層に対する良質な住宅の供給」な 見当たらず」、「妥当ではなかった いし「大震災という緊急事態におけ と結論付けることはできない」 る早期かつ大量の住宅供給」という 公益目的に合致する。 ○信託銀行団の「優れた企画力と経 (分譲事業の購入金額や処分金額や 営能力」が十分発揮されていたこと 借上特優賃事業の推進について)住 を示す具体的事情があったかは不明 公の役員に「善管注意義務又は忠実 であり、採用理由に無理があったと 義務違反を窺わせる事情も見当たら 考えざるを得ない。 ない」し、「神戸市長の監督権限不 行使の裁量が著しく合理性を欠くと 認めることは困難」 (当初の事業収支計画) ○「事業が事実上破綻に至った原因 は、当初の賃料設定を含めた事業収 支計画にあったと言わざるを得な い」が、当時の景気動向や実績、地 元の建替え要望や阪神淡路大震災後 の復興による観光需要の見込み等を 考慮すると、(事業収支計画の作成 について、)「その当時において、 明らかに不合理で善管注意義務違反 があったとまでは言い切れない」 10 ページ