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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な
あまみ
中 央
さくら
しらさぎ
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 983 号 2012.10.11 発行
==============================================================================
社説:子どもの貧困
政治は冷たすぎないか
毎日新聞 2012 年 10 月 10 日
親の失業や経済困窮から授業料が払えず、やむなく中退する高校生や大学生が後を絶た
ない。義務教育でも給食費や学用品費が払えない児童生徒が増えており、市町村が実施す
る就学援助を受ける小中学生は全国で157万人に上る。調査開始時(95年度)の約2
倍で、小中学生全体の16%を占めるに至った。
深刻なのは、自治体によって差が大きく、援助が必要なのに受けられていない子が相当
数に上ることだ。生活保護受給世帯の子への援助は国から補助金が出るが、それに準ずる
世帯の子については国が税源移譲して補助金が廃止されたため市町村の裁量に委ねられて
いる。
ユニセフが今年発表した子どもの貧困についての国際比較によると、先進20カ国の中
で日本は貧困率が4番目に高かった。日本より上はアメリカ、スペイン、イタリアだけ。
北欧諸国に比べると日本の貧困率は約3倍という高さだ。
意外に思う人もいるだろう。不況とはいえ日本で子どもの餓死や凍死なんて聞かないじ
ゃないか、と。ユニセフの調査は「相対的貧困率」と呼ばれるもので、その国の標準的所
得の半分以下の世帯の割合と定義されている。人々がある社会の中で生活するためには、
その社会における「ふつう」の生活からかけ離れていないことが必要との考えによる。
修学旅行に一人だけ行けない、まともな食事が学校の給食だけ、ふろに何日も入れない
……という状況は現在の日本の社会的水準からかけ離れ、いじめや排除の対象になりやす
いというのだ。学校に通えないとよい仕事に就くチャンスが少なくなり、お金がなければ
健康にも悪影響が出る。そんなアリ地獄が貧困の連鎖を生んでいる。
社会保障はそのためにある。税や保険料を国民から集めて必要な人に年金や生活保護と
して給付する再分配機能によって、困窮者の生活は支えられているのだ。ところが、日本
の子どもの貧困率は再分配をした後でさらに悪化する状態が続いていた。子育て世帯は納
めている税や保険料の額ほどには給付が得られなかったのである。最近になってようやく
改善されたが、子ども手当をめぐる混乱の中で再び悪化が懸念されている。
民主党政権は子ども手当の導入に伴い所得税と住民税の扶養控除を廃止した。しかし、
野党の反対で子ども手当は挫折し、大幅減額した所得制限付きの児童手当になった。扶養
控除は廃止されたままで、結果的に負担増の世帯が出てくる。これでは子どもの貧困は増
えるばかりだ。政治は少し冷たすぎやしないか。
子どもたちの現実を見つめよう。この国の未来がそこに映っている。
子ども悩み電話:相談員不足で届かぬSOS59万件
毎日新聞 2012 年 10 月 10 日
18歳以下の子どもの悩みに無料の電話で応じる全国の「チャイルドライン」が、相談
員不足に悩んでいる。大津市の中学生が自殺した問題が浮上した7月以降、いじめの相談
件数が急増しているが、全体で4分の1ほどしか応じられない状況という。東日本大震災
で被災した子どもたちからの電話も多く、関係者は支援や協力を呼びかけている。
広島市にあるビルの一室。2台の電話機がほぼひっきりなしに鳴る。「ものを盗んだと疑
われている。先生に訴えても取り合ってくれない」
「(いじめられて)転校したい」
。耳を傾
けるのはボランティア相談員。大学生や主婦、会社員ら約40人が週5日、交代で対応し
ているが、受けられるのは全体の3分の1ほど。相談員たちは回線の混雑を知らせる自動
音声に落胆する子どもの表情を浮かべ、いたたまれなくなるという。運営するNPO法人
「ひろしまチャイルドライン子どもステーション」の上野和子理事長は、
「誰にも言えない
悩みを打ち明けようとしてくれた子たちの声に応えきれず、申し訳ない」と話す。
各地の活動を取りまとめる「チャイルドライン支援センター」
(東京都)によると、昨年
度は約80万件の発信があったが、着信できたのは約21万件(約25%)
。いじめに関す
る相談は今年7月の第2週が131件あり、大津市の問題が大きく報じられた同月第1週
と比べて約1.5倍に急増した。夏休み中は沈静化したが、8月下旬から再び増え始めた。
被災地からも、津波被害でプールの水にも恐怖を感じたり、原発事故の影響を不安がっ
たりする子どもからの相談が相次いでいる。福島県では先月初めて郡山市内に拠点ができ
たこともあり、県内からの発信と着信がともに8月下旬からの約1カ月間で昨年度全体の
数字を上回った。郡山市の発足人の前田昭理事(69)は「潜在的な需要が表面化した。
震災から1年半が過ぎ、ようやく言えることもあるのだろう」と推し量る。
相談員になるには、複数回の養成講座(有料)を受けて思春期の特性などを学ぶ必要が
ある。相談はフリーダイヤル(0120・99・7777、月〜土曜、午後4〜9時)。無
料通話の維持には全国で年約2000万円かかるといい、支援センターなどは寄付も募っ
ている。寄付や養成講座受講の申し込みは支援センター事務局(03・5312・188
6)か各地のチャイルドラインへ。
【豊田将志】
◇チャイルドライン
18歳以下の子どもを対象とする無料相談電話。70年代に欧州で始まり、世界約15
0カ国で運営されている。国内では98年に東京で開設され、現在は香川を除く46都道
府県でNPOなど78団体が活動している。相談内容はいじめや虐待だけでなく、親子や
友人関係、思春期の性の悩みなど多岐にわたる。指示や説諭はせず、子どもが安心して思
いを話せることを重視する。
「ストップいじめ!ナビ」――いじめから抜け出すための具体策 荻上チキ
シノドスジャーナル 2012 年 10 月 9 日
子供のためのいじめ対策サイト「ストップいじ
め!ナビ」(http://stopijime.jp)が 8 日、開設し
た。弁護士やジャーナリストなど様々な分野の専
門家が集まり、いじめ問題に取り組もうと「スト
ップいじめプロジェクトチーム」を発足。サイト
を通して、子供たちが自らいじめから抜け出す方法を見つけ出せるように様々な情報を提
示する。さらに今後、学校、保護者、行政、メディア等がいじめ問題を解決するための方
法論を共有していくプラットフォームとして、コンテンツの拡充を目指していく。
■いじめられている子供の目線にたって
「ストップいじめプロジェクトチーム」代表の荻上チキです。この数ヶ月の間、全国の
様々な地域におけるいじめ事例が立て続けにメディアで報じられ、社会問題として広く共
有されてきました。しかし、いじめを解決するための具体的な対策を提示する報道が、個
人的な反省も込めて、少なかったと思います。
今回の報道により、いじめの「認知件数」そのものは増加するでしょう。しかし、そう
した数字にばかり目を奪われてはいけません。いじめが一定の割合で存在する以上、早期
介入による解決事例を増やすことで、いじめ・嫌がらせの被害を最小化することが必要と
なります。
その介入方法も様々な選択肢があり、本人のニーズなどにあわせて、そのレパートリー
を組み合わせていく必要があります。しかし、特定の悲惨ないじめ事例が話題になれば、
他のすべてのいじめも、すべてが類似のものだと想定するかのような議論がまかり通って
しまいます。事件として報道されるようなケースとはまた異なり、現実的には「警察が逮
捕しろ!」で済まされる事例ばかりではないため、一部の例を全体化した議論は、むしろ
弊害を招く可能性もあります。
「ストップいじめプロジェクトチーム」は、一連の報道が始まった 7 月より、いじめ問
題を解決するための方法を提示するためのプラットフォームを作るべく、準備を進めてき
ました。そして 10 月 8 日に、
「ストップいじめ!ナビ」を立ち上げました。
このサイトは、いじめに関する様々なデータや事例集を掲載していくと同時に、関連相
談機関へのアクセスを促すナビゲーションが搭載されています。チームはこうした活動を
基点とし、行政機関や教育団体に呼びかけ、現場と連携しながら方法論の共有を行なって
いきます。
日本におけるいじめ研究は、まだまだ発達途上です。いじめが社会問題として取り上げ
られはじめてから 30~40 年ほど経ちましたが、知見は未だに不足しています。ただ、一方
で、おそらく世間の多くの人が思っているよりも、いじめについてわかっていることは、
たくさんあります。
既に多くの先行研究が存在し、統計的な事実の把握や、いじめ行為の理論化など、少し
ずつではあるものの、光が当たる部分は増えてきています。また、現場でもすでに様々な
方法論が取り入れられています。いじめ報道が繰り返されると、なんとなく「現場は何も
やっていない」というイメージが一人歩きしがちですが、厳密にいえば、
「やっているケー
スが知られる機会が少ない」というのが実態です。
現場の努力を広くシェアしていくのがメディアの役割です。ただし、マスメディアだけ
に頼るのではなく、ネット空間の改善も課題です。いじめ研究や蓄積や、相談機関の紹介、
現場や行政の取り組みの紹介など、いじめ情報のハブとなるサイトは存在するのとしない
のとでは、随分と風景も変わるものと思われます。
実際にいじめを受けている子供が SOS を出そうと思っても、相談できる友人や大人が周
りにいないケースがたくさんあります。そうした子供たちの目線にたってこのプロジェク
トは進めていきます。
チームメンバーは弁護士やジャーナリストなどが離合集散し、それぞれの知見を合わせ、
何ができるかを吟味し続けています。「初期のチームメンバー」という形では、教育現場の
人はまだ含まれていませんが、アドバイザリー的にコミットしてくださっている方はいま
すし、いくつかの自治体とも意見交換を進めてきました。これからも、広く連携を呼びか
けていきます。
いじめ議論といえば、
「いじめをなくそう、ゼロにしよう」といった議論がよくされます。
しかし、そうした発想では、
「いじめなんてなくならないよ」という逆の諦念をすぐひきつ
けたり、
「これが足りない、あれが足りない」と、個別の小さな処方箋への評価を過小に見
積もってしまう可能性があります。
現在は、既存のリソースさえフル活用されていない状況があります。わかっている限り
の統計的事実、例えばどういう時期・どういう場所でいじめが発生しがちであるか、男女
差はどのようなものかといったことさえ、知識としてまだまだ共有されていません。もち
ろん中には、ちょっと使えなさそうないじめ談義やメソッドも多いのですが、そうした議
論を「仕分け」することも重要です。
短期的には、まずはリソースを再確認し、そのうえで「実現可能で・有効な施策」につ
いて共有していく必要があります。中期的には、様々な試みや調査を踏まえた上で、新し
い処方箋を出していくことをやっていきます。そして長期的には、学校制度のあり方の検
討やシステムの見直しなどを含め、具体的な政策提言に結びつけていく必要もあるでしょ
う。
「えいやー!」と、
「大きな、夢の様な、それでいて実現しなさそうな提案」ばかり叫ぶ
のではない、一歩ずつ、様々な手段を進めていくことが大事です。
■7つの緊急プロジェクト
プロジェクトチームでは、10 月 8 日にまず、7 つの緊急プロジェクトを公開しました。
(1)子ども向け“いじめ対策ポータルサイト”「ストップいじめ!ナビ」
まずはウェブサイトを構築し、そこにいじめ対策の情報を発信していきます。いじめか
ら脱出するには、教師や保護者に相談する他、専門機関に電話やメールで相談したり、い
じめられたことを記録したり、他の人たちの経験を参考にしたり、いざとなれば弁護士や
警察に相談することも必要です。
これを一つやれば正解、効果があるというものはありません。どの方法論にも限界があ
り、ミックスしながら被害者ごとのニーズに対応していく必要があります。いじめ支援の
議論で頻繁に言われる、
「これだけじゃだめだよ」「こういう子はいいけど、こういう子は
救われないでしょ」というのは、100%正しい。そのことをわかった上で、「では、他にど
うしていくか」を議論していくことが大事です。
子供の置かれた状況で対処法は変わってきますので、豊富なメニューをナビゲートして
いきます。最初のフェイズでは、以下(2)~(7)の 6 つのプロジェクトとしてまとめま
した。 「ストップいじめ!ナビ」http://stopijime.jp
(2)
「いじめ相談検索ページ」
全国にはたくさんの相談窓口がありますが、その中からどれが自分に適切なのかを見極
めるのは困難です。そこで「ストップいじめ!ナビ」では、相談窓口情報をまとめ、
「電話
で相談できるもの」
「メールで相談できるもの」「保護者向けの相談」など、それぞれのニ
ーズに応じた簡易検索機能を取り入れました。
NPO 法人ライフリンクの
「いのちと暮らしの相談ナビ」(http://lifelink-db.org)を応用し、
近くの地域にあるかどうか、面談は可能かどうか、土日もやっているかどうかなどの、詳
細検索も可能になっています。ページトップには、3 つの番号を選んで掲載。チャイルドラ
イン(http://www.childline.or.jp/supporter/index.html)などとも連携しています。
(3)
「いじめ FAQ」
いじめに関する考え方や対策のポイントを Q&A としてまとめて解説していきます。初期
段階では、基礎的な考え方の紹介に留まっていますが、今後は、海外や日本におけるいじ
め研究の統計調査などに基づき、いじめの起きやすいスポットや男女差など、基本的なデ
ータを紹介していきます。
また、各学校がメソッドとして磨き上げている方法論なども紹介してきます。いじめ対
策の方法論は、意外と多くあります。さらに、いじめをめぐる裁判や刑事事件の判例集も
載せていきます。
(4)
「あしたニコニコメモ」
(いじめ&いやがらせ対策メモ)
いじめというのは、大人たちや周囲に見つからないように、バレにくい形で行われがち
です。また、いじめを問い詰めても、加害者はその事実を認めず、むしろ被害者のせいだ
と非難してくることもしばしばです。
どんないじめ・いやがらせにあったのかを記録しておけば、それは重要な証拠になりま
す。記録をつけることは、自分の気持ちを客観的に見つめ、記憶を整理するためにも役立
ちます。
もちろん、弁護士チームとも議論をしましたが、セクハラやパワハラにあっている大人
でさえ、訴えでよう、証拠をとろう、と思える人ばかりではありません。自分の内面を打
ち明けにくい子どもいますし、自分があっている被害をうまく言語化できない子どももい
ます。
だからこそ、大人がこのノートを一緒につけることで、いじめを解決するためのプラン
を共有し、
「苦悩フェイズ」から「解決フェイズ」に早期に移行させることも重要となりま
す。だからこのツールは、当事者向けでもあると同時に、サポーター向けの提案でもあり
ます。
「一緒に証拠を取る」ことの大事さが、いまより共有されることが必要です。
(5)保護者向け「家庭におけるいじめ発見チェックシート」
子供が記録するのも重要ですが、保護者が日々の生活の中で、自分の子供のいじめにつ
いて気にかけることも大事です。そこで、保護者向けのチェックシートを準備しました。
チェックシートというメソッドは様々なところで既に取り入れられていますので、今回は
既存の取り組みの中でも、特に頻出しがちな項目をピックアップ整理したものになります。
これは、
「いくつ以上満たされるといじめら
れている可能性がある」というものではなく、
親が子供の様子に注意するためのきっかけづ
くりのアイテムです。学校によっては、保護
者と連携して掘り起こすためのツールとして
活用してい事例もありますが、今後は学校向
けの、調査アンケートの事例なども紹介でき
ればと考えています。
(6)学校向けに「いのちの生徒手帳プロジ
ェクト」シール案
さきほど紹介した「いじめ相談検索ページ」
では、600 件近いいじめ相談対応機関のデー
タが登録されています。それほどまで、相談
対応ができる機関の数は増えています。
相談窓口の連絡先を知らせる方法論の一つ
に、カードの配布という手段があります。名
刺サイズのカードに、メッセージと電話番号
などを記載し、学校などに配布するというも
のです。省庁や行政などが行なっているケー
スも多いのですが、そうしたカードはかなり
の割合で、直接、生徒に配られることなく、眠っていたりもしています。
例えばそれは、職員室の前に置いておき、必要な人は手にとってくださいという形など
でもあります。あるいはポスターという形で、必要な人はそこに電話をかけるようにと書
かれているケースもあります。
これはこれで意義はあることです。ただ、かつての僕がそうだったのですが、いじめに
あっている子供が、周りの目を気にしながらそれをポケットにしまうということ自体が、
難しいケースも考えられます。
そこで、
「あらかじめ、全員に、アクセス先を共有しておく」という方法論が必要だと考
え、其の手段の一つとして、生徒手帳の活用を提案しました。いじめにあったときの簡潔
な対処法とともに、生徒手帳に相談先を明記しておくものです。
文科省の調査によれば、いじめの認知件数が最も高くなるのは中学 1 年生ですが、多く
の中学生が携帯している生徒手帳に「命綱」を準備しておこうというものです。もちろん、
生徒手帳がない学校や、小学生向けには、別のアプローチが必要です。
いまは 10 月ですから、生徒手帳の刷りなおしは難しい。学校単位ではなかなか動きにく
いという現場もあるかもしれない。そこで、PDF をダウンロードし、シール紙にプリント
アウトすれば、すぐに貼れるというシートをサンプルで用意しました。いじめへのアラー
トを鳴らしながらの配布行為そのものが「いじめに対してしっかりアプローチします」と
いう教師のアクションにもなりえるものです。
サンプルの文言を、そのまま採用して頂く必要はありません。相談機関の連絡先などは、
地元の学校にあわせた連絡先に書き換えることも重要です。いまより、対応を一つ増やす
ための選択肢として、「命
の生徒手帳プロジェクト」
を提案するという形です。
(7)メディア向け「いじ
め報道ガイドライン」
最後は、メディアの報道
提言です。これまでのいじ
め報道の中には、自殺に関
するものもありました。し
かし、WHO の「自殺報道
ガイドライン」を、守れて
いない報道も見受けられ
ました。例えば、自殺をセ
ンセーショナルに報じな
い、自殺に変わる手段があ
ることを必ず報告するな
どの注意点です。
そこで、私たちはそのガイドラインに代わる、いじめバージョンを作り、議論をよびか
けることにしました。いじめ報道をする際には、事件報道として「これだけひどいケース
がありました」と取り上げて済ませるのではなく、支援機関などの連絡先を明記すること、
解決事例も紹介してほしいこと、自殺や復讐など極端な手段を美化しないことなどを求め
ています。
これは、メディア批判ではなく、さらなる前進をするための問いかけです。「こうしろ」
というマニュアルではなく、各社ごとのガイドラインを作成したりするなどして、いまよ
りバージョンアップしてくれませんかという提案です。メディアの影響力をよりいい方向
に生かすために、論点を共有し、各企業で話し合いをするきかっけにして頂きたいと思い
ます。
さて、7 つのプロジェクトを紹介してきましたが、これは 7 月よりスタートしたチームの
会議の中で出たアイデアのうち、
「早期(二学期中)に実現できるもの」をまとめて公開し
たもので、プロジェクトはまだまだ多くの実践を行なっていかなくてはなりません。ここ
に列挙したものだけでは不十分であることを、私たちは痛いほど認識しております。
「こう
いうことも必要では」という前向きな提案は、どんどん届けて欲しいと思います。
(構成 / 編
集部・宮崎直子)
▼プロジェクトチームメンバー(10/2現在・13名・50音順)
井桁大介(弁護士・あさひ法律事務所)/江川紹子(ジャーナリスト)/大寶健悟(メデ
ィアプロデューサ・社団法人日本フリーランス協会事務局長)/太田久美(認定NPO法
人チャイルドライン支援センター代表理事)/岡村雅子(クリエーター・電通)/荻上チ
キ(評論家・シノドス編集者)/河﨑健一郎(弁護士・東京駿河台法律事務所)/北爪愛
子(大学生・NPO法人ライフリンク学生インターン)/小島秀一(弁護士)/清水康之
(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表)/張替惠子(公益財団法人東京子
ども図書館常務理事)/水上貴央(弁護士)/吉田真理(東京子ども図書館)
医師大半、退職へ 札幌市児童心療センター
朝日新聞 2012 年 10 月 06 日
■医師大半、年度末退職へ
■病棟一時閉鎖も
札幌市児童心療センター(同市豊平区)の常勤の医師5人のうち、4人が来年3月末に
退職する意向を示していることがわかった。同センターは子どもの精神医療で入院できる
道内で数少ない施設。代わりの医師を確保できないと来年度から入院患者を受け入れられ
なくなり、患者や家族らに影響が出る恐れがある。
同センターによると、センターでは発達障害や神経症などを抱える子どもを受け入れて
いる。ベッド数は60で、5日現在、46人が入院している。市立札幌病院静療院が前身
で、今年4月に成人部門が分離して市立札幌病院に入り、小児部門のみで開院した。
常勤医は静療院のときの10人近くから5人に減少。このうち4人が、開業や他の医療
機関に勤務するためとして退職を考えていることが8月にわかったという。入院病棟があ
るため毎晩1人が当直に入る必要があり、市幹部は「大学などからの応援が思うように得
られず、医師への負担は重かったと思う」と、負担増が背景にあるとみている。
医療法施行規則では、現行の60床を維持する場合は3人の医師が必要で、市は北大を
中心に後任医師の派遣を要請中だ。幹部は「月内にはめどをつけたい」と話すが、後任が
確保できなれけば病棟を一時閉鎖する可能性もあるという。
道障がい者保健福祉課によると、道内で児童精神科または小児精神科を標榜する入院可
能な医療施設はほかに3カ所。センターが一時閉鎖された場合、入院中の子どもらの転院
先探しは難航する恐れがある。
市は2014年度をめどにセンターと肢体不自由児らの医療機関との統合を計画、その
時点で常勤医の数が増えるという。知的障害児の通園施設、知的障害者の相談所なども併
せた複合施設の整備も目指している。
保育所が基準超え余剰金保有
NHK ニュース 2012 年 10 月 10 日
保育所の空きを待っている「待機児童」が全国で
2万人を超えるなか、国の補助金を受けている全国
のおよそ700の保育所が、国の基準を超えておよ
そ105億円の余剰金を保有していることが分かり
ました。
会計検査院は、待機児童解消のために有効に活用するよう、厚生労働省に改善を求める
方針です。
社会福祉法人などが運営する民間の保育所では、施設の修繕費など必要な積み立てを行
ったうえで、運営費が余った場合、年間の運営費の30%以下の範囲に限って保有するこ
とが、国の通知で認められています。
ところが、会計検査院が全国21都道府県にあるおよそ6500の保育所を調べたとこ
ろ、およそ720の保育所が運営費の30%を超える余剰金を預金として保有し、その額
が105億円に上っていることが分かりました。
民間の保育所の運営費は、保護者が支払う費用を除いた分を国と地方自治体が負担して
いて、昨年度の国と地方の負担額はおよそ7400億円に上っています。
会計検査院は、多額の公費を含む運営費のうち105億円に上る多額の資金が使われな
い状態にあるのは不適切で、待機児童を解消するために有効に活用する必要があるとして、
厚生労働省に改善するよう求める方針です。
ネットでの寄付、1日で280万円に
「私たちの生きる希望」障害者家族からも
産経新聞 2012 年 10 月 9 日
山中伸弥さんのノーベル賞受賞を受け、相次いでいた山中氏が所長を務める京都大iP
S細胞研究所へのインターネットを通じた寄付金が9日、計約280万円を超えた。
寄付を取り次ぐサイト「ジャスト・ギビング・ジャパン」の事務局によると、山中さん
が所長を務める同研究所への寄付は、受賞発表後の8日午後7時ごろから相次ぎ、9日午
後8時までに312件、計282万4800円が集まった。
金額は1人500円から10万円ほどで、山中さんの受賞や会見での発言に感銘を受け
た人たちがほとんど。難病や障害に苦しむ家族からの寄付もあり、「先生の研究は私たちに
とって生きる希望です」とメッセージを寄せた人もいた。
山中さんは同サイトで、公的資金でまかなわれる研究費について、平成26年度以降の
めどが立っていないとし、研究には民間の協力が必要と訴え。
今年3月には、山中さん自身が京都マラソンの完走にチャレンジすることを条件に研究
費の寄付を募り、レース前までに約900万円を集めていた。
専門家配置し障害者の就労支援
全国の労働局に
共同通信 2012 年 10 月 9 日
厚生労働省が2013年度から、精神や身体に障害のある人も就職して働き続けられる
よう企業と福祉施設の橋渡し役を担う「就職支援コーディネーター(仮称)
」として、臨床
心理士ら専門家を全国の労働局に配置することが9日、分かった。障害者の就職件数が過
去最多となるなど就労意欲の高まりに対応するとともに、就労のきっかけをつくるのが狙
いだ。 13年度から、企業に義務付けられた障害者の法定雇用率の引き上げも決まって
おり、厚労省は「これまで障害者を雇ったことがなかったり、雇う余裕がなかったりした
中小企業への支援が重要だ」としている。
うつ病、世界で 3 億 5000 万人=自殺者の過半数―WHO
時事通信 2012 年 10 月 10 日
【ジュネーブ時事】世界保健機関(WHO)は 9 日、うつ病など精神疾患で苦しむ人が世
界で 3 億 5000 万人を超えるとの推計を発表した。年間約 100 万人の自殺者のうち、過半数
がうつ病の兆候を示していたとみられ、うつ病に苦しむ人に気付き、治療の支援を行う必
要があると訴えている。
うつ病になれば激しい気分の落ち込みが長期間続き、仕事など日常生活に支障が出る。
大人のおよそ 5%がうつ病にかかるとされるなど、WHO は地域などに関係なく「世界的な
現象」としている。
女性のおよそ 5 人に 1 人が産後うつを患うほか、アルコールや薬物中毒、経済状況、失
業といった外部環境もうつ病を招く要因。治療薬、専門家によるカウンセリングといった
ケアが効果的だが、病気を自覚しないなど「必要な治療を受けている患者は半数にも満た
ない」という。
社説:認知症高齢者の在宅シフトを促すには
日本経済新聞 2012 年 10 月 10 日
介護が必要な認知症の高齢者は 300 万人を超え、この 10 年で倍増した。2025 年には 470
万人に達する見通しで、今や認知症は年をとれば誰もがなりうる“身近な病気”ともいえ
る。
精神科病院には約5万人の認知症患者が入院している。徘徊(はいかい)など症状が悪
化し、介護に疲れ果てた家族が高齢者施設を探しても満員で入れず、やむなく精神科を頼
る例が多いためだ。
厚生労働省が 13 年度から始める認知症施策の5カ年計画をまとめた。発症初期のうちに
高齢者宅を訪れる看護師らの支援チームをつくり、症状に応じて助言する。早期治療に対
応できる医療機関を整備し、高齢者が家で過ごす「在宅」ケアへの移行を促すという。
できることなら住み慣れた家で暮らしたいと願う高齢者は多い。長期入院できる病床が
減っている現状を考えれば、早期診療に力を入れ、在宅シフトを促す施策は進めるべきだ。
だからといって、在宅ケアの前提となる地域の医療や介護の体制が十分に整っていない
のに、退院促進ばかりが先行すれば、結局は本人と家族の双方が苦しむことになる。一人
暮らしや夫婦だけの高齢者世帯は増えており、個人で背負うには限界がある。
新施策は肝心の在宅ケアを支える人材確保の具体策を示していない。介護従事者が増え
なければ、訪問介護はもちろん、家族が困ったときに頼れる高齢者施設も不足したままに
なってしまう。
政府は4月、在宅シフトの目玉の施策として看護師らが昼夜を問わず高齢者宅を訪れる
介護保険適用のサービスを導入した。だが、利用できる地域は全国で 189 自治体と 12%に
とどまる。人材を確保できない事業者が多いためだ。
今の介護保険は介護が必要と認定された高齢者が利用できる。
介護の必要度合いが低い人が掃除など生活を助けてもらうサービスにも適用される。保
険財政が逼迫する現状を考えれば、こうしたサービスは保険の対象外にするなど精査する
ことで、介護従事者の確保や施設の整備につなげ、重度の人が必要なサービスを受けられ
る制度設計に見直すべきだ。
家族の介護のために離職する働き盛りの管理職もじわじわと増えている。介護離職は企
業にとっても、日本経済にとってもマイナスだ。在宅シフトの実現は在宅ケアを現場で支
える人がいてこそだ。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
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