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リーフレット [Leaflet]

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リーフレット [Leaflet]
電 力 輸 送
電中研報告
報告書番号:R05014
太陽光発電の出力変動の平滑化効果
−全天日射強度のスペクトル解析−
背
景
太陽光発電は、地球環境問題への関心やコスト低下等を背景として増加しつつあ
る。これにつれ、太陽光発電設備が集中して設置される事例や計画、数 MW の大型
設備を導入する計画等が出現している。しかし太陽光発電は出力が大きく変動する
間欠電源であるため、電力系統に電圧変動や周波数変動等の面で影響を及ぼすこと
が懸念される。このためその出力変動の特徴を明らかとすることが重要であるが、
これについては風力発電ほど解明されていない。
目
的
太陽光発電の出力を規定する全天日射強度の変動や平滑化効果(離隔が km オー
ダおよび 100km オーダ)についてスペクトル解析手法を用い明らかにするとともに、
出力変動面から見た太陽光発電と風力発電の違いを解明する。
主な成果
全天日射強度について、当所赤城試験センターでの実測結果(3地点、図1)お
よび気象官署での観測データをもとに分析を行った。
(1) 日射強度変動のパワースペクトル
日射強度変動のパワースペクトルは、大きさに多少の違いが見られるものの、快
晴日など変動が著しく小さい場合を除けばどんな天候でも、似通った形状を呈する
(図2)。
(2) 日射強度の相関
異地点の日射強度の変動間の相関(コヒーレンス1))は、雲等の条件によって異
なる(図3)。ただし距離スケールが 100m オーダの場所に集中設置された場合には
周期 10 秒程度以上で、1km オーダの場所に集中設置された場合には周期数分程度
以上でもコヒーレンスの高い場合があり、その場合は平滑化がほとんど期待できな
い(図3)。なお気象官署のデータを分析した結果によれば、離隔 100km 程度の場
合には、変動周期が数時間以上では平滑化はあまり期待できない。
(3) 風力発電と太陽光発電との出力変動の比較
変動周期が数千秒程度までの周期成分については、kW 級の太陽光発電と MW 級
の固定速風力発電の出力変動は、定格容量で規格化した場合、スペクトル的に見て
同程度である(図4)。ただし MW 級の太陽光発電設備では、平滑化効果が働くた
め、太陽光発電の方が出力変動が小さいと考えられる。
ただし離隔が同じ場合、異地点での日射強度の間のコヒーレンスは、概して風力
発電出力の間のそれより高い。
注1)コヒ−レンスは変動周期別に見た相関係数。コヒーレンスが低いほど、平滑化効果が効く。
B地点
A地点
約70m
約600m
北
C地点
図1
全天日射強度の観測地点
図2
日射強度のパワースペクトルの例(2004 年)
図3 離隔 600m 程度での日射強度のコヒーレンスの例
(注)晴日の評価結果からコヒーレンスが高、中、低の事例を抽出した結果
図4
風力発電出力と太陽光発電出力のパワースペクトルの比較例
研究報告
R05014
キーワード:太陽光発電,平滑化効果,出力変動,スペクトル解析,風力発電
担 当 者
七原
連 絡 先
(財)電力中央研究所 システム技術研究所
Tel. 03-3480-2111(代)
E-mail : serl-rr-ml @criepi.denken.or.jp
[非売品・不許複製]
俊也(システム技術研究所
需要家システム領域)
c 財団法人電力中央研究所 平成18年6月
05−030
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