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§12.比較
§12.比較 《比較表現について》 英語では,形容詞と副詞のあらわす性質や数量などを他と比較してその程度の差を述べる表現を比較といいます。 比較の表現には,日本語と英語ではいくつかの違いがあるので注意して学習する必要があります。 《英語の比較表現の特徴》 [1] 日本語では, 「∼よりも」や「最も,一番」というような言葉を形容詞や副詞につけて程度の差を表しますが,形容 詞や副詞の語形そのものは変わりません。しかし,英語では形容詞や副詞の語形がはっきりと変化します。 He is young. (彼は若い) [原級] [形容詞の原級] He is younger than I. (彼は私よりも若い) [比較級] [形容詞の比較級] He is the youngest of the three boys. (彼はその3人の少年達の中で一番若い) [最上級] [形容詞の最上級] [2] 日本語では比較の対象があいまいな表現でも意味が通じますが,英語では必ず同じ種類のものを比較しなければな りません。例えば,日本語では「ウサギの耳は犬よりも長い」と表現しても,通常問題なく意味が通じます。しかし, 英語では必ず「ウサギの耳は犬の耳よりも長い」と言わなければなりません。この点に十分注意してください。 The ears of a rabbit are longer than those of a dog. (ウサギの耳は犬の耳よりも長い) ( = the ears ) <Point> 英文を書く場合, 「ウサギの耳は犬よりも長い」に惑わされて,The ears of a rabbit are longer than a dog. としないよう 十分に注意しなければなりません。このように書くと,英語ではウサギの耳の長さと犬の体長を比較していることにな り,意味が正しく伝わらなくなってしまいます。 The ears of a rabbit are longer than those of a dog. (ウサギの耳は犬の耳よりも長い) ⇒ 比較されているのは「ウサギの耳の長さ」と「犬の耳の長さ」 The ears of a rabbit are longer than a dog. (ウサギの耳は犬の体長よりも長い) ⇒ 比較されているのは「ウサギの耳の長さ」と「犬(の体)の長さ」 《比較級(2つのものを比べる表現)の作り方》 a) 規則的な比較変化 − 形容詞や副詞の語尾に-er をつける。 [1] He is tall. [2] He is taller (彼は背が高い) than I ↓ am tall. [ 原級(比べる前の文)] (彼は私が背が高いよりも背が高い) この部分は繰り返さなくてもわかるので省きます 「∼よりも」にあたる言葉で,比べる対象になる語を than の後に続けます [3] He is taller than I. (彼は私よりも背が高い) [ 比較級 ] <Point> 比較級では,[2]の形が最も正確なのですが,波線部は繰り返さなくてもわかるので省くのがふつうです。しかし,こ れはもともとあったものを省略しただけで語形変化したわけではないので,than に惑わされて than me などとしないよう に注意しなければなりません。原則として,than+主格の代名詞と覚えておきましょう。 <Point> 「than+代名詞」の部分で変わる比較の意味 比較の文の than 以下の形は,基本的原則は「than+主格の代名詞」ですが, 「than+代名詞」の代名詞の部分が主格以 外の形をとった場合,意味が大きく変わります。 She likes him better than I. (⇒ She loves him better than I like him.) (彼女は,私が彼を好きであるよりも,もっと彼のことが好きだ) She likes him better than me. (⇒ She likes him better than she likes me.) (彼女は,私のことをすきであるよりも,彼のことがもっと好きだ) b) 不規則な比較変化 形容詞や副詞の中には,語尾に-er をつけるかわりに,語形そのものが変化して比較級を成すものがあります。これら は例外的なものなので,暗記しておかなければなりません。 原級 意味 比較級 最上級 better best worse worst more most older oldest elder eldest [時間] later latest [順序] latter last later latest father farthest further furthest good (よい) well (よく,上手に,健康な) bad (悪い) badly (悪く,ひどく) many (多数の) much (多量の,とても) old (年とった,古い) (遅い:形容詞) late (遅く:副詞) far (遠い,遠く) <※上の表にはあとで学習する最上級も記載してあるので活用してください> 《比較級のおぼえておくべき表現》 ◆ I like summer better than winter. (私は冬より夏の方がもっと好きです) <Point> like A better than B 「B よりも A の方がもっと好きだ」 ◇ Which is larger, mice or elephants? (ネズミとゾウではどちらがより大きいですか) <Point> Which is 比較級, A or B ? 「A と B ではどちらがより∼ですか」 ◆ Which do you like better, tennis or football? (あなたは,テニスとフットボールではどちらがより好きですか) <Point> Which do you like better, A or B ? 「A と B ではどちらがより好きですか」 《最上級(3つ以上のもののなかで最も程度が高いことを表す表現)の作り方》 最上級 − 形容詞や副詞の語尾に-est をつける。 My bag is large. My bag is larger than your bag. (私のカバンは大きい) [原級] (私のカバンはあなたのカバンよりも大きい) [比較級] (私のカバンはその3つのなかで最も大きい) [最上級] ↓ the と-est をつけて最上級にします My bag is largest of the three. 3つのなかでという表現 <Point> 形容詞を最上級にするときには必ず the をつけます。 {最上級の例文} I like spring the best of all the seasons. (私はすべての季節のなかで春が一番好きです) <副詞の最上級> <Point> 形容詞の最上級には必ず the をつけなければなりませんが,副詞はつけても,つけなくてもかまいません。つまり, 上例は,I like spring best of all the seasons. とすることもできます。 Who is the tallest boy in this class? (このクラスの中で誰が一番背が高いのですか) <「このクラスの中で」という表現> <Point> 「∼のなかで」という表現は,具体的に数がわかっている場合は「of the + 数 + [名詞]」,ひとつのまとまり や集団の場合は「in + [その集団をあらわす単語]」という形をとります。 《形容詞や副詞の前に more,most をつけて比較級・最上級をあらわすかたち》 形容詞や副詞の中には,比較級・最上級を作るとき,-er,-est を語尾につけるかわりに,形容詞・副詞の前に more(比 較級),most(最上級)をつけて,比較級・最上級を表現するものがあります。more や most をつける形容詞,副詞の種 類をおぼえることが大切です。 [1] 語尾が -ly でおわる副詞にはすべて more,most をつけます。(ただし early は除きます) He speaks slowly. He speaks slowly more than I. (彼はゆっくりとしゃべる) [原級] (彼は私よりももっとゆっくりしゃべる) [比較級] (前に比較級をあらわす more を加える:more slowly 全体で slowly の比較級) He speaks slowly the most of the three. (彼は3人の中で一番ゆっくりしゃべる) [最上級] (前に最上級をあらわす the most を加える:the most slowly 全体で slowly の最上級) [2] 語尾が -ing や -ous,-ful でおわる単語や,difficult などの3音節以上の長い単語は more,most をつけて比較 級・最上級をあらわします。 {代表的な単語} 原級 (意味) 比較級 最上級 beautiful (美しい) more beautiful the most beautiful important (重要な) more important the most important dangerous (危険な) more dangerous the most dangerous difficult (難しい) more difficult the most difficult {例文} This book is This book is interesting. more interesting than that book. (この本は面白い) [原級] (この本はあの本よりもっと面白い) [比較級] (前に比較級をあらわす more を加える:more interesting 全体で interesting の比較級) This book is the most interesting of all. (この本は全ての中で一番面白い) (前に最上級をあらわす the most を加える:the most interesting 全体で interesting の最上級) [最上級] 《as + 原級 + as ∼「∼と同じくらい」という表現》 比較級には,2つのものを比べて「どちらがより∼だ」という表現のほかに,比べた2つの程度が等しいことをあらわ す「∼と同じくらい…だ」という表現があります。 [ as + 原級 + as ∼「∼と同じくらい…だ」] He is more generous than his brother. (彼は弟よりも気前が良い) ↓ as と as の間に原級(もとの形の形容詞・副詞)をはさみます He is as generous as [ as + 原級 + as ] his brother. (彼は弟と同じくらい気前が良い) [ not as + 原級 + as ∼「∼ほど…でない」] He is as generous as He is not as generous as [ not as + 原級 + as ] his brother. (彼は弟と同じくらい気前が良い) his brother. (彼は弟ほど気前が良くない) [ as + 原級 + as + (人) + can「できるだけ…」] 主語に応じて(人)の部分に適当な人称代名詞を用い,また過去の文では can は could になります。 She tried to look as charming as she could. (彼女はできるだけ魅力的に見えるようにしようとした) ↓ この部分は possible に書き換えることもできます She tried to look as charming as possible. 《原級 ⇔ 比較級の書き換え》 not as ∼ as の文は,比較級を用いて書き換えることができます。 A … not as + 原級 + as B Tom is not as old as [A] ⇔ You A … 比較級(別の形容詞・副詞)+ then B you. (トムは君ほど年をとっていない) [B] are older than [B] ⇔ B … 比較級 + than A ⇔ Tom. (あなたはトムよりもっと年をとっている) [A] Tom is younger than you. [A] (別の形容詞・副詞) [B] (トムはあなたよりもっと若い) 《比較級 ⇔ 最上級の書き換え》 「A は最も∼な…」という表現は, 「A は他のどの…よりも∼」と言い換えられます。従って最上級は, 「A … + 比較 級 + than any other + 単数名詞」という形に書き換えることができます。また, 「A は最も∼な…」という表現は, 「A ほ ど∼な…はない」と言い換えることもできます。従って最上級は,「No などの否定語 … + 比較級 + than A」という形 にも書き換えることができます。 最上級の文 Mt. Fuji ⇔ A … + 比較級 + than any other + 単数名詞 No などの否定語 … + 比較級 + than A is the highest mountain in Japan. (富士山は日本で最も高い山だ) is higher than any other mountain in Japan. (富士山は日本の他のどんな山よりも高い) [A] ⇔ Mt. Fuji [A] ⇔ No other mountain in Japan is higher than Mt. Fuji. [A] (日本の他のどの山も富士山よりは高くない)