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2015年8月号(PDF/536KB)
JICA モンゴル事務所ニュースレター 2015 年 8 月号 トップニュース 第 5 火力発電所の電力売買契約を締結 (出典:newcom 社 HP) モンゴルでは、近年の著しい経済成長に伴い電力需要が増加しており、国内の発電設備容量 (約 916MW)では全ての需要を賄えず、不足する電力(134MW)をロシアからの輸入に頼ら ざるを得ない状況にあります。今後、人口の 4 割以上を占めるウランバートル市を中心に毎年 約 6~7%の伸びで電力需要が増加すると予測されており、政府は対応策として既存発電所の 効率向上や新規電源開発等の実施を掲げています。JICA では、モンゴル最大の発電容量 (580MW)を持つ第 4 火力発電所において、無償、有償、ボランティア事業により施設改修や 運営管理等を支援してきており、現在も同発電所の設備新設・更新を行う効率化事業に対す る有償資金協力を実施中です。 他方、モンゴル政府は新規電源開発事業として、ウランバートルに計画出力 450MW、熱容量 587MWt の熱電併給プラントの第 5 石炭火力発電所を IPP(独立発電事業者)事業として計 画(想定事業費約 13 億 USD)しています。同計画では、BOT 契約(期間 25 年)相手方に、 双日、Posco Energy 社(韓国)、newcom 社(モンゴル)等の 4 社企業連合が選定されてお り、7 月 29 日にはモンゴル側と上記企業連合間で電力売買契約が締結されました(売買単価 は 9 月に最終合意予定)。 政治・経済動向 人民党の連立離脱と人民党系閣僚 6 名の更迭 現政権は民主党(10)・人民党(6)・公正連盟(3)・市民勇気党(0)(※括弧内は各党選出の首相・副首相を含 む閣僚数)による大連立を組んでいましたが、人民党系の閣僚による 600 名以上の国家公務員の不当解雇や 法案審議に係る人民党議員による動議などの妨害行為を理由に、最大勢力である民主党は 7 月 3 日、党執 行評議会により人民党との連立解消を決定し、7 月 6 日の党の院内会派会議において左記評議会の決定を 承認しました。これにより人民党が連立政権から離脱することとなりました。さらに、8 月 5 日サイハンビレグ首 相はエンフボルド議長に対し、人民党所属の閣僚 6 名(副首相、大蔵大臣、自然環境・グリーン開発・観光大 臣、建設・都市開発大臣、道路・運輸大臣、労働大臣)の解任決議を提出し受理され、8 月 6 日、各常任委員 会で審議された後、国会の賛成多数で承認されました。当初首相は大統領とともに左記の 6 名の閣僚の更迭 には反対しており、左記更迭に賛成する議長(民主党)との党内対立構図が浮き彫りとなった形です。 『草原の道』高速道路建設に 100~120億 USD が必要 昨年 9 月にモ中露3カ国の首脳会談が初めて開催され、北東アジア地域の発展に向けた協力関係の強化が 確認されましたが、会談の中では、道路、鉄道等の運輸交通インフラの相互接続を推進し、中国からモンゴル を介してロシアへと伸びる経済回廊構想が議論され、モンゴルは草原の道、中国はシルクロード経済ベルト、ロ シアはユーラシア横断鉄道、がそれぞれ提案されました。モンゴルの提案した「草原の道」は、PPP 事業により 高速道路を整備しようとするもので、F/S を実施したモンゴルの民間ディベロッパー会社によれば、総延長 1,000km 余り、工期 3 年で建設費 100〜120 億 USD が想定されています。モンゴルでは、現在輸入品価格 の約 30%を輸送コストが占めるとされますが、「草原の道」整備により輸送コストが抑えられ、輸入品の価格低 減につながるとみられています。(モンゴル通信 2015/7/31 第 518 号から一部引用) プロジェクトの動き モンゴル国税庁徴税機能強化及国際課税取組支援プロジェクト 第 3 回 JCC 開催 6 月 25 日に本プロジェクトの第 3 回目の JCC が開催されました。本プロジェクトは 2013 年 11 月から約 3 年間の予定で実施されています。JCC では、C/P 機関のモンゴル国税庁がこ れまでのプロジェクト活動の進歩状況及び今後の活動計画並びに徴収本邦研修結果について 発表しました。国税庁は本邦研修及び現地研修で得た知識を活用して現在の徴収制度に自 力執行権の導入を検討しており、関連する一般税法改正案についても紹介しました。また、自 力執行権の導入にかかる、本プロジェクトからの支援要請もありました。JICA はモンゴル国税 庁に対して 1998 年から税務行政強化、人づくりの支援を実施してきましたが、本プロジェクト では国際課税分野のコア人材の育成に加え、徴収業務改善に向けてモンゴルと日本の税法 を比較しながら滞納整理の方法について法制面・組織体制面から助言しています。 モンゴル PPP 能力形成プロジェクト マレーシア研修(第三国研修) モンゴルにおいて PPP 案件の実施促進を図るため、既に多数の PPP 案件を幅広い分野で 実施しているマレーシアを本プロジェクトの C/P 機関であるモンゴル投資庁から 5 名、PPP 案 件を実施中または実施予定のその他省庁から関係者 5 名、合計 10 名が訪問しました。研修 後の報告会の際に、研修員より、マレーシアの PPP 制度を所管している首相府、マレーシア開 発銀行による講義や異なる分野(クアラルンプール国際空港、クアラルンプール-Kuala Selangor 高速道路、International Islamic University of Malaysic 大学病院、Jimah 発 電所、The Discovery Centre 博物館)の現場の視察を通して、PPP 案件のストラクチャリン グ、案件形成における留意点につぃての体系的な知識を得られ、大きな収穫となったことと報 マレーシア大学病院 PPP の建設現場を訪問 告されました。 参考 モンゴル PPP 能力形成プロジェクト 資本市場規制・監督能力向上プロジェクト IPO&重複上場セミナーの開催 モンゴル資本市場規制・監督能力向上プロジェクトの一環で 6 月 23 日にウランバートル市に おいてモンゴルの民営化予定国有企業・未上場の主要民間企業・証券会社・政府関係機関か ら合計 150 名の出席を得て IPO 及び重複上場に関するセミナーが開催されました。多くの海 外企業を重複上場させてきた実績のある東京証券取引所からセミナーの講師として短期専門 家 2 名が派遣され、モンゴルの関係者に対して重複上場等について、説明し、理解を深めても らいました。また、同セミナーについて多数の現地マスコミによって報道されました。 参考資本市場規制・監督能力向上プロジェクト 日本・モンゴル政策協議を実施 7 月 6 日、モンゴル大蔵省において、モンゴル側は大蔵省ガンツォクト事務次官を、日本側は 外務省国際協力局国別開発協力第一課原圭一課長を代表として、約 2 年ぶりとなる日本・モ ンゴル政策協議が開かれました。左記の協議では、モンゴルにおける開発課題や日本側の今 後の協力の可能性について議論がなされ、モンゴル側からは、日本に対し、無償資金協力、技 術協力、有償資金協力の各スキームによる更なる協力に高い期待が寄せられました。 ボランティア事業の動き ボランティアの活動 谷野駿隊員(H26 年度 1 次隊/職種:バレーボール、任地:ウランバートル)は、 2015 年 2 月からモンゴルバレーボール協会に配属され活動を実施しています。こ の度、U18 女子バレーボール代表チームの技術コーチに指名され、7 月下旬から8 月下旬まで指導を実施しました。谷野隊員に指導されたナショナルチームは、ブリヤ ート共和国ウラン・ウデで開催される国際大会に出場しました。 代表チームを指導する谷野隊員(右端) 研修・帰国研修員同窓会 帰国研修員同窓会グッドプラクティス賞 JICA モンゴル事務所は、帰国研修員同窓会と連携し、本邦研修に参加した帰国研修員の活 動を奨励しています。これまで帰国研修員がモンゴル帰国後に行った活動の支援や、「グッドプ ラクティス事例集」の作成・公表(→リンク)等を行ってきました。昨年度は、帰国研修員から活動報 告書を公募し、その中でとりわけ際立った活動を行った以下の帰国研修員に対してグッドプラク ティス賞を授与しました。今年度は、例年開催している帰国研修員フォローアップセミナーの開 催に加え、研修同窓会による JICA 事業紹介 TV 番組の制作・放映等を行う予定です。 <2014 年度 グッドプラクティス賞> ●研修名:「看護指導者育成 (B)」 氏名:D. Nyamsuren 現職:第 2 マタニティ病院看護部長 ●研修名:「モンゴルの知的財産である新規乳酸菌の開発技術の普及」 氏名: C. Tsend-Ayush 現職:科学技術大学産業技術学部准教授 ●研修名: 「教育(就学前教育)(青年研修)」 氏名: J. Shinebayar 現職:ハンウール区教育局就学前教育担当職員 ●研修名:「食品安全ためのマイコトキシン検査技術」 氏名: D. Sainjargal 現職:専門監査庁食品安全国立研究所衛生 人の動き 8 月 3 日 増田企画調査員(ボランティア事業)着任 8 月 3 日 小見川企画調査員(ボランティア事業)着任 8 月 16 日 泉所員着任 8 月 21 日 神谷専門家離任(モンゴル・日本人材開発センター・ビジネス人材育成・交流拠点機能強化プロジェ クト) 8 月 31 日 石島企画調査員(ボランティア事業)離任 8 月 31 日 塚越企画調査員(ボランティア事業)離任 独立行政法人 国際協力機構 モンゴル事務所 Bodi Tower 7th Floor, Sukhbaatar Square 3, Ulaanbaatar, Mongolia (Central P.O.Box 682, Ulaanbaatar 211213, Mongolia) Tel:+976-325939, 311329 Fax:+976-310845 E-mail: [email protected]