Comments
Description
Transcript
離島航路事業の高度化及び 離島におけるエコツーリズム
調査シリーズ 2003-238 離島航路事業の高度化及び 離島におけるエコツーリズム振興に関する調査研究 報告書 平成15年3月 財団法人 海事産業研究所 はじめに この報告書は、平成 17 年度に超高速船 TSL の就航が予定されている小笠原諸島におけるエコツー リズム推進による地域振興の方向性、その具体策に関する「離島エコツーリズム研究会」の提言をと りまとめたものである。離島エコツーリズム研究会は、離島航路の安定化と離島振興のための方策を 検討することを主目的として国土交通省海事局の問題提起によって発足した有識者を構成員とする研 究会である。研究会メンバーは、各個人の立場から研究会に参加し、自由闊達に提案を行った。 さて、離島航路は、離島住民にとっては欠かすことのできない重要な交通手段であるとともに、観 光客のために欠くことのできない交通手段である。一方、多くの離島では人口減少、高齢化、定住意 欲の減退、低い生産所得等多くの問題を抱えており、その中で離島航路が住民の足としてその機能を 十分に果たすためにも、利用率の向上による航路経営の安定化が重要である。その手段としては、利 用者のニーズに対応した交通アクセスの充実に加えて、地域との連携による島側の観光客受け入れ体 制の向上や島の魅力の創出等による観光振興を図ることが有効であると考えられる。 また、多くの離島では島内において貴重で美しい自然を有している。これらの離島においては、自 然を守りながら観光サービスを提供する「エコツーリズム」の理念や方法を取り入れた観光振興を体 系的に推進し、島の産業活動や生活が自然とうまく折り合いながら、観光立島として持続可能な発展・ 維持を目指すことが、航路輸送需要を創出し、結果として航路事業の安定的・自立的維持を図る観点 からも、有効で賢明な方法と考えられる。また、島へのアクセスを海上交通に依存する離島において は、航海時間の短縮や揺れの低減等、船舶性能の高度化や、船内空間の質的向上、及び島の自然に関 する船内啓蒙活動の実施等、航路事業高度化に向けた取り組みが島の観光振興と相互に影響すること になると考えられる。 ところで、小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」と言われるように小笠原固有の生物が生育し、生物 進化の実験フィールドとして知られ、さらに日本本土では見られない美しい亜熱帯の自然がある。ま た、小笠原航路では、平成 17年度末には、これまで 26 時間かかっていた航路を 17時間に短縮する 超高速船 TSL が就航する予定となっており、離島における交通アクセスが抜本的に改善することにな る。このように、小笠原ではターゲットデートが明確であるとともに、これまでにない新形式船の就 航もあって、一般国民の関心も高い。 小笠原の持続的な発展のためには、エコツーリズムを主軸とした観光振興が重要との認識は関係者 間で概ね共有されている。しかしながら、エコツーリズムの理解、エコツーリズムに期待するものに ついては、例えば、環境派と観光産業振興派とで相当に隔たってい る等、幅があり、エコツーリズム 政策推進の基盤が整っているとは言い難い状況にあると思われる。また、エコツーリズム推進方策に ついても、関係者間で意見の相違があるとともに、小笠原の現状に即したダイナミックで包括的なも のとはなっていないと考えられる。 したがって、TSL が就航する時点の小笠原をモデルケースとして検討を実施することは、交通アク セスの改善とそれに密接に関連した離島振興に関して総合的な戦略を策定・実施していく場として極 めて有益であり、他の離島における観光振興及び航路事業高度化策を策定するに当たって参考となり 得る知見が多いと考えられる。そこで、本研究では、小笠原をモデルケースとして離島航路事業と離 島におけるエコツーリズムの相乗的振興戦略を検討することとした。 なお、本報告書の作成に当たっては、当研究所の澤山健一主任研究員が担当した。 末筆ながら、本件調査においてさまざまな角度からご助言いただいた委員の方々及び本報告書を取 りまとめるに当たってご指導いただいた国土交通省海事局造船課の関係者に心より感謝申し上げる。 平成15年3月 財団法人 理事長 2 海事産業研究所 寺嶋 潔 「離島エコツーリズム研究会」メンバー 座長 岡本伸之 小笠原諸島振興開発審議会会長 立教大学教授 副座長 西村幸夫 東大教授 委員 小林寛子 日本エコツーリズム協会理事 森下慶子 (株)KP代表 桑野和泉 湯布院「玉の湯」専務 麦屋弥生 (財)日本交通公社地域調査室長 小笠原諸島振興開発審議会委員 渋谷正昭 小笠原村東京連絡事務所長 中尾根明子 東京都産業労働局観光部企画課長 鯰江満 小笠原エコツーリズム推進委員会委員長 小笠原村商工会会長 森下秀夫 小笠原村観光協会会長 小笠原エコツーリズム推進委員会副委員長 石崎清之 小笠原海運(株)常務 本保芳明 国土交通省大臣官房審議官 真鍋友一 国土交通省総合政策局観光部観光地域振興課長 オブザーバー 筒井秀法 小笠原ホエールウォッチング協会会長 小笠原エコツーリズム推進委員会事務局長 菊地隆 小笠原村商工会副会長 平賀洋子 小笠原母島観光協会副会長 国土交通省都市・地域整備局特別地域振興課 事務局 (財)海事産業研究所 (財)日本交通公社 国土交通省海事局造船課 「離島エコツーリズム研究会」開催スケジュール 9月 3日 第2回研究会:平成14年12月 2日 第3回研究会:平成15年 2月 6日 第4回研究会:平成15年 3月28日 第1回研究会:平成14年 調査研究概要 1.小笠原の概況 小笠原の地勢、観光客の動向、観光客受け入れ施設等、小笠原観光振興の概況を整理した。 概況 小笠原は島の成立以来、大洋中に孤立し一度も周辺の大陸と地続きになったことが ない大洋島(海洋島)であるため、小笠原にのみ生息する固有種が多く存在する。訪 れた人を感嘆させる小笠原ならではの自然は、永く保全していかなければならない。 産業では、公務の比率が最も高く、次に建設業、観光産業を中心としたサービス業 と続く。社会構造の変化に伴い、観光客消費がもたらす経済効果に対する期待がいっ そう高まっている。観光は島の経済を支える主要産業である。 観光客の動き 2001 年度の定期船「おがさわら丸」の利用者数(来島者数)は 23,347 人であり、 このうち観光客は 14,391 人、島民や仕事目的の来島者は 8,956 人である。近年の小笠 原への観光客数は微減傾向にあり、観光地としての魅力向上が急務である。 2001 年の月別の入り込み客数では、8月が 4,990 人と最も多く、最少である1月の 1,023 人とは5倍程度の差がみられる。他の主立った観光地との比較においても、小 笠原の月別変動幅は、際だって大きい。観光経済の安定、また自然地域への過度な利 用集中の回避という両側面から、観光客数の季節変動の緩和が必要である。 小笠原への観光客は、若年層の比率が高く逆に熟年層の比率が低い点、家族での旅 行者は少なく、かわって一人旅や、友人とのグループ旅行が多い点が特徴である。観 光客の消費総額は、2001 年の一年間で 14 億 7,300 万円、一人あたりの消費額は 51,710 円である。沖縄を訪れた観光客の消費額(85,298 円)との比較では、小笠原の観光消 費額は低い水準にある。 観光地魅力 国内他の観光地と同じ基準で小笠原の観光地としての魅力度を評価し、その強みと 弱みを明確にした。観光的視点(見るものを圧倒させる)による評価は特筆すべきレ ベルにはないものの、学術面での価値が極めて高い自然があふれており、解説を加え て観光客の感性を引き出すことにより価値の伝わる自然資源が多い。観光ガイドなど によるツアープログラムの開発と提供が重要である。 「活動メニュー」は高評価であるが、 「宿泊施設」は評価が低く、一般的な観光ニー ズには対応できていない。また、 「空間快適性」の評価が低いために他の観光地との比 較では総合評価が低くなっている。 小笠原は活動(遊び)メニューや素材が豊富であり、素材には競争力がある。従来 型の立ち寄り観光地(夕方遅くに入り込み、翌朝早く出発する)ではなく、滞在地(リ ゾート地)としての整備が重要であり、ゆえに滞在空間としての「まちなか」の魅力 度の向上が必要である。 2.旅行パターン別にみた観光ニーズの現状と課題 今後は、小笠原を訪れる観光客の客層が多様化するとの前提で、観光客層を分類し、マ ーケットごとの行動をシミュレーションすることにより、観光客の特定の時点でのニーズ、 それに対して小笠原が提供できるハード及びソフトの課題を浮き彫りにした。 熟年マーケット この層は家計、余暇時間の両面で比較的ゆとりがあるため一般に最も優良なマーケッ トと見られており、この先小笠原への来訪も増加するものと想定される。海外を含め て様々な旅を経験しているため、提供される観光サービスに対する評価が厳しい反面、 自分の体験を周囲の人にも伝えるなど、口コミで小笠原のファン層を広げる役割も果 たしてくれる。旅先では、タイトなスケジュールは苦手だが、のんびりするよりは精 力的に動き回りたい、経験したことのないアクティビティにもチャレンジしたいとい う行動力が旺盛なので、未経験者や体力に不安のある人であっても気軽に参加するこ とができる多様な自然体験活動プログラムの提供が重要になる。 さらに、小笠原の自然や歴史、文化などに関する知的な好奇心も旺盛なので、ガイド ツアーの充実も重要である。また、夫婦で安心して散策することのできるルートや島 内移動手段の整備も必要である。宿泊施設については、華美な施設は不要だが、価格 に応じた高質のサービス提供は必須である。 家族マーケット 旅行期間が夏休みに限定されるため、これまで小笠原では比較的少ないマーケット であったが、TSL の就航を機に来訪者が増加すると考えられる。両親は日頃の疲労を 癒すためのんびり過ごしたいというニーズが強く、反面で子どもには手つかずの自然 の中で思う存分遊ばせてやりたいという意識が強い。子供の体力に見合ったスケジュ ールで安全にかつ他ではできないようなことが体験できるアクティビティプログラム の開発、家族のプライバシーが確保され、ゆったりとくつろげる宿泊施設の整備が求 められる。 その他のマーケット 他では中高年の女性グループ旅行も増加が期待されるマーケットである。小笠原で 採れた素材を活用した料理を食べる、島の特産品を自分たちで作る、朝市に出かける など、小笠原の生活文化に直に触れたいというニーズが高い。 また、小笠原の特異な自然を学ぶことを目的として教育旅行マーケットの増加も期 待できる。学習効果を高めるために体験を重視した行程、事前学習と事後学習も含め た総合的な企画提案が大切である。小笠原の自然や文化を専門的に研究し、その成果 を観光客に対してわかりやすく伝える仕組みづくりが急務である。 2 3.小笠原エコツーリズム推進に向けた提言 事業提案の前提として、エコツーリズムの推進を通して小笠原振興を図る上での「理念(普 遍性をもち信念価値観)」 「ビジョン(ある時点までにこうなっていたいと考える到達点)」 「戦 略(理念に基づきビジョンを実現するための道筋や手段)」を設定した。 理念 小笠原振興は、日本で唯一である大洋島として、自然環境の保全に特に留意した観 光を核とする。 資源の利用と保全の調和、住民の住みやすさ、来島者の満足度を同時に達成する。 日本で初めての滞在型リゾートを目指す。 ビジョン(目標) 2005 年の TSL 就航後には年間 5 万人の来島者を安定的に呼び込む。 来島者の季節変動を小さくするとともに、自然地域での行動を管理することにより、 自然への負荷を抑えながら、観光関連事業者の経営を安定化する。 自然や環境、歴史、文化に関する研究を直ちに観光に活かしていくことにおいて最 先端を目指す。 基本戦略 マーケティングを重視する(マーケット層別に、TSL就航後に想定される来訪者 の観光行動とニーズを想定した上での事業提案) 。 環境保全のためのコントロールを図る。 インフラ整備を図る(生活インフラ、宿泊施設、景観に関する整備の促進)。 人材育成及び観光推進体制の整備を図る。 研究と観光の連携を図る。 小笠原の観光振興については、既に多数の組織が様々な事業を実施又は計画中であ り、それを分類して整理した。さらに、研究会として基本戦略に基づいた新たな事業 や施策を提案した。 事業の種類(分類) 1.観光地整備:(1)観光施設整備、(2)散策道や園地整備、(3)サービス施設、(4)宿泊、(5) 飲食、(6)土産・物産、(7)島内交通、(8)情報・案内、(9)景観・町並み、(10) 観光客を迎え入れる仕組み、(11)生活インフラ 2.エコツアー商品開発:(1)商品開発、(2)ガイド養成、(3)研究調査、(4)推進機関 3.販売:(1)販売チャネル、(2)宣伝・イベント 4.推進体制:(1)人材育成、(2)住民意識・参画、(3)開発支援 事業のポイント 既に実施、計画中の事業については、ガイド養成事業のような公的主体がリードす るもの、遊歩道整備のような従来型の予算を配分しやすいもの、が充実する傾向にあ り、一方で、新規に提案するもの(現在、計画されていないもの)は、食品や飲食施 設の開発など、民間ビジネスとして進めるべきものが多い。 3 観光地の空間的な魅力を増進させるためのハード事業については、観光客の利便性 や快適性の向上を図る事業、小笠原観光自然科学研究所(小笠原の自然研究の成果を 来島観光客にわかりやすく伝えるとともに、島外に向けて幅広く発信することを通し て、小笠原の自然に関する理解者を広めるとともに環境全般に対する意識を啓蒙する ことを目的とする機関、およびその活動拠点となる施設。小笠原エコツーリズムのシ ンボルとしての役割を果たす)や高質な宿泊施設の建設によってエコツーリズムの島 としてのシンボルづくりをねらう事業を提案した。他の観光地にもよくみられる施設 の開発は避け小笠原らしさを損なわないことに留意し、小笠原全体のグランドデザイ ンに基づいた着実な推進が重要である。 既存のソフト事業では、小笠原の素材を活かした土産品や飲食品の開発に関する事 業、ガイドが同行するツアーやアクティビティプログラムの開発に関する事業が多い。 ここでは、飲食品については観光客の飲食シーンをイメージした上で小笠原らしい食 べ方を考慮したメニュー、土産品では観光客と島民がふれあうきっかけをつくる販売 方法、ガイドツアーでは幅広いマーケットニーズに対応した多様なプログラム等を新 たに提案した。地域資源の有効活用と、地域資源を効果的に観光客に伝える手段の整 備に力点をおいた。 4.小笠原村振興と TSL 就航に向けた各種事業実施のシナリオ エコツーリズムを機軸とした観光振興、村民及び関係者の共通理解、事業の着実な実施と いう視点にたって、事業実施のシナリオ(手順)を提案した。以下に、その一部を紹介する。 観光地施設整備 東京都が「エコツーリズムのための観光資源基礎調査(雨天時利用可能な観光資源 調査等)」を行うにあたり、「扇浦地区都市公園の整備」で検討する温浴施設等や「戦 跡展示館の整備」、「リラクゼーション施設の整備」、「交流広場の設置」を視野に入れ て、意見調整会を開催しながら整備施設や整備手法・事業主体等を検討する。 また、「小笠原観光自然科学研究所施設の建設」や「同研究所の設立」に向けては、 各方面からも同様の研究所設置の提言を受けていることから、エコツー推進委員会の 中に、既存研究機関も含めた拡大委員会を設け、設置の必要性を手始めに検討を行う。 上記2項目については TSL 就航までに建設は間に合わないことから、仮設的施設と して以下のことを検討する。 ① 「扇浦地区都市公園の整備」 「リラクゼーション施設の整備」:更衣・シャワー 施設のある父島大村海岸、扇浦、母島前浜の海岸部分に仮設の大型海水風呂を 設置する。 ② 「戦跡展示館の整備」:戦跡遺留品を順次収集し、大村隧道に仮設展示してい く。 ③ 「交流広場の設置」 :既存施設の有効活用を再検討する。 ④ 「小笠原観光自然科学研究所施設の建設」:増築されるビジターセンターの一 角を借用し、今後の活動拠点とすると共に既存研究機関の成果を公開する。 サービス施設 「二見港周辺地域に必要な機能調査」をおこない、その中で「共同浴場の整備」や 「荷物預かり場・シャワー場の整備」の必要性や事業性も検討する。二見港船客待合 4 所がそれら機能の立地場所としてふさわしいのであれば「二見港船客待合所の改修」 を行う。また、荷物の預かりや、着替え、シャワーの利用については、停泊中のTS Lの有効利用という観点も含めて検討をする。 なお、船客待合所は入出港時とそれ以外の人の出入りに大きな差があるので、待合 い利用の少ない時間帯には観光客に対して小笠原太鼓の講習会を開くなど、船客待合 所の有効利用も検討する。 「竹芝船客待合所機能及び周辺機能の拡充」は、先ずどのような機能が求められて いるかの整理が必要である。例えば、自宅から送る宅配便荷物の一時預かりサービス、 仕事後にかけつけたビジネスマンが着替えのできる機能などがニーズとして想定され る。他の船客待合所だけでなく空港における機能・サービスを参考に検討する。 宿泊施設 「シンボリックな宿泊施設の整備」については、村内で何をしてシンボリックとい うかの議論が必要である。15 年度のシンポジウム等で議論する。「良質な宿泊施設の 整備」については、扇浦分譲事業において村が誘導すると共に、既存の宿泊施設の改 築・改修に対する金融面の優遇策を早急に打ち出し、誘導すべきである。 「宿泊施設の団体対応」は、今後修学旅行の誘致等を図る上では検討を要する事項 であるが、全員が一度に泊まれる大規模宿泊施設の開発は充分な議論が必要である。 分宿による対応を当面は検討する。観光協会を中心に対応策を早急にまとめ、TSL 就 航後に備える。 エコツアー商品開発 エコツアーの商品開発に当たっては、 「ガイド養成」と関連づけながら、保全を優先 した利用の仕組みづくりを確立しなくてはならない。小笠原エコツーリズム推進委員 会が中心となって既存のツアー商品を含めた全てのツアーの見直しを行う。 「多様なガイドツアーの開発」は、小笠原エコツーリズム推進委員会が中心となっ て数種類の具体的なツアーコースの素案を作成し、事業者と共に事業化に向けた取り 組みを開始する。子供や高齢者などにむけた冒険体験ツアー「ソフトアドベンチャー ツアーの開発」については、マーケット調査、小笠原ならではのアドベンチャーツア ーのあり方など、まず基本的な調査から開始する。アドベンチャーツアーのガイドで あっても、自然・文化面の知識も豊富なガイドの養成が望まれる。 「ツアー中の昼食の 開発」 「ツアー中のおやつの開発」は、観光協会の飲食部会とガイド部との共同事業と して開発を行う。 ガイド養成 将来的には「東京都版エコツーリズムの実施」、「母島森林ガイド」、「ホエールウォ ッチングインタープリタ養成」 、「ガイドマニュアル本の作成」、「生活文化を案内する ガイドの養成」、「ライフセーバーの養成事業」は、それぞれ独立したものではなく、 小笠原村としての統一的なガイド制度として機能させていくべきであろう。例えば基 礎認定を得たガイドが、専門資格としてホエールウォッチングやライフセーバーのガ イド認定を受けていくなどの方式を検討する。 推進機関 「エコツーリズム憲章の策定」では、エコツーリズムに則った“小笠原らしい固有 な島づくり”のための憲章を策定し、村民一丸となってエコツーリズムを推進する。 5 「小笠原観光自然科学研究所の設立」については、小笠原のシンボルとなる研究機 関として、産業としての観光を成功させるキーポイントとなる機能をしっかりと整え る。また、運営費の財源確保も含め、中長期的な計画の策定が急務である。 「小笠原ガイドセンターの設立」は、将来的には小笠原観光自然科学研究所と連携 した組織として位置付けた活動がのぞましいが、短期的には東京都自然ガイドなどの 拠点としてスタートすることも考えられる。 6 目 次 1. 小笠原の概況 ・・・・・ 1 1.1 地勢や産業 ・・・・・・ 1 1.1.1 立地 ・・・・・・・・・・・ 1 1.1.2 気象 ・・・・・・・・・・・ 1 1.1.3 歴史 ・・・・・・・・・・・ 1 1.1.4 人口 ・・・・・・・・・・・ 2 1.1.5 産業 ・・・・・・・・・・・ 2 1.1.6 動植物 ・・・・・・・・・・・ 3 1.1.7 小笠原(父島)への航路 ・・・・・・・・・・・ 3 1.2 入り込み客数の状況 ・・・・・・・・・・・ 1.2.1 小笠原への来島者数 ・・・・・・・・・・・ 4 1.2.2 来島者の特徴 ・・・・・・・・・・・ 5 1.2.3 利用宿泊施設 ・・・・・・・・・・・ 8 1.2.4 消費額 ・・・・・・・・・・・ 9 1.3 観光客受け入れ施設などの状況 ・・・・・・・・・・・ 1.3.1「みる」対象となる観光資源 ・・・・・・・・・・・ 10 1.3.2 観光素材と観光施設 ・・・・・・・・・・・ 10 1.3.3 小笠原の環境研究に関する研究者の活動状況 ・・・・・・・・・・・ 12 1.3.4 宿泊業の状況 ・・・・・・・・・・・ 13 1.3.5 観光事業者の状況 ・・・・・・・・・・・ 14 1.4 観光地としての魅力度評価 ・・・・・・・・・・・ 1.4.1 観光地としての魅力度評価の前提 ・・・・・・・・・・・ 16 1.4.2 魅力度測定の結果 ・・・・・・・・・・・ 16 1.4.3 他の観光地との比較からみた小笠原の資源の状況 ・・・・・・・・・ 1.5 観光が地域振興にもたらした効果と課題の一例・・・・・・・・・・・ 10 16 18 20 1.5.1 ホェールウオッチングによる効果 ・・・・・・・・・・・ 20 1.5.2 観光振興がもたらした課題 ・・・・・・・・・・・ 21 1.6TSL(テクノ・スーパー・ライナー)就航の影響 4 ・・・ 1.6.1 ダイヤの変化 ・・・・・・・・・・・ 22 1.6.2 マーケットの変化 ・・・・・・・・・・・ 23 1.6.3 観光客の行動面での変化 ・・・・・・・・・・・ 23 1.6.4 小笠原住民の期待 ・・・・・・・・・・・ 24 22 2.旅行パターン別にみた観光ニーズの現状と課題 ・・・ 25 2.1 ケースの設定と各マーケットの基本的なニーズ ・・・ 25 2.2 マーケット別に見た観光ニーズと小笠原の現状と課題 ・・・ 26 3.小笠原エコツーリズム推進に向けた提言 ・・・ 47 3.1 エコツーリズム推進に向けた基本的な方向性 ・・・・・ 47 3.2 小笠原村振興にむけた各種事業の提案 ・・・・・ 48 4.小笠原村振興と TSL 就航に向けた各種事業実施のシナリオ ・・ 62 5.資料 ・・ 75 1. 小笠原TSLの概要 ・・・・・・・・・・・ 75 2. 小笠原TSL就航にむけた経緯 ・・・・・・・・・・・ 76 3. 小笠原航路におけるTSL運航の例 ・・・・・・・・・・・ 77 4. 小笠原TSL 乗客への配慮 ・・・・・・・・・・・ 78 5. 小笠原TSLデザインの一般公募 ・・・・・・・・・・・ 79 1. 小笠原の概況 1.1 地勢や産業 1.1.1 立地 小笠原諸島は、東京からおよそ 1,000km 離れた太平洋上に位置し、緯度は、 沖縄とほぼ同程度である。 聟島(むこじま) 、父島、母島の3つの列島と、3つの孤立島(西之島、南鳥島、沖ノ鳥島)からなる。 地形は、父島及び母島列島の島々は、南北に連なる 300∼400m 前後の山嶺をもち、起伏に富んでいる。 海岸部は出入りが多く、全般に切り立った海蝕崖に囲まれるが、所々に小さな砂浜がある。島の成立以 来、大洋中に孤立して存在し、一度も周辺の大陸と地続きになったことがない大洋島(海洋島)であり、 ゆえに、小笠原にのみ 生息する固有種が多く存在する。小笠原諸島は、ほぼ全域が国立公園に指定され ている。 1.1.2 気象 小笠原諸島は、亜熱帯に位置する。平均気温は 23.4 度、最高気温は 31.9 度(8 月) 、最低気温は 12.2 度(2 月)であり、雨量は東京地方よりやや少ない。気温の年間推移は、沖縄と類似だが、 6 月から 7 月にかけては、沖縄よりわずかに過ごしやすい気温である。 図表1−1:気温の比較(小笠原・東京・沖縄) 35 度 30 25 父島 東京 那覇 20 15 10 5 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 資料:「観測所気象年報(1996)」気象庁 1.1.3 歴史 小笠原へは、1880 年以後、本格的な移民開拓が始まった。開拓は昭和初期に最盛期を迎え、人口は現 在の約 3 倍に相当する 7,711 人に達した。南洋の要衝として、1920 年に父島の要塞化が開始され、戦況 の悪化に伴い 2 万人強の兵員が派遣され、ほとんどの島民が内地へ強制疎開した。戦後 23 年間は米国 の統治下におかれ、欧米系以外の帰島は許されなかったが、1968 年に日本に返還された。 1 1.1.4 人口 小笠原諸島では父島と母島にのみ、一般村民が生活している。返還時( 1698 年)の人口は 285 人で あったが、以来、人口は増加傾向にあり、2002 年 4 月の人口総数は 2,357 人、1,289 世帯である。この 内、父島 1,912 人、母島 445 人、また男性 1,342 人、女性 1,015 人である。小笠原村総合計画では、将 来人口を 3,000 人に想定している。 図表1−2:小笠原諸島の人口推移(父島と母島のみ) 8000 人 6000 4000 2000 0 1885年 90年 1900年 10年 20年 30年 40年 44年 46年 68年 80年 90年 1999年 資料:小笠原諸島観光振興計画 1.1.5 産業 産業では農・漁業の一次産業が占めるウエイトが比較的低い。最も比率が高いのは公務であり、この 内の半数以上は硫黄島 在住の自衛隊員である。また、国や都の出先機関での勤務者が多いことも公務の 比率が高い一因である。他には、島内のインフラ整備を支える建設業と観光産業を中心としたサービス 業のシェアが高い。 図表1−3:産業分類別就業者数(父島・母島・硫黄島・南鳥島の合算値:1995 年) 人 0 100 200 300 400 500 600 700 農業 漁業 建設業 製造業 電気・ガス供給 運輸・通信業 卸売・小売業・飲食店 サービス業 公務 資料:小笠原諸島観光振興計画 *公務には 400 人程度の硫黄島駐在自衛隊員を含む 2 1.1.6 動植物 植物に関しては、東南アジア、ミクロネシア、ポリネシアの植物相をなしており、その 40%が固有種 である。開拓時代には森林破壊が著しかったが、山稜部には自然林が残っている。 大洋島(前述)であることと、大型の生物や海水に弱い生物は島に渡るチャンスが低いため、小笠原 では大型のほ乳類や両生類、は虫類、淡水魚類を欠いている。在来のほ乳類はオガサワラオオコウモリ のみ、は虫類はオガサワラトカゲのみであり、在来の両生類はいない。淡水魚類では、オガサワラヨシ ノボリが固有種である可能性が指摘されている。また、ヘビや毒虫はいない。 一方で移入動物である野生化したヤギが増殖し、その食害による農作物の被害や森林後 退による草原 化、土壌の流出などがおこっている。 海洋生物では、サンゴ、アオウミガメ、貝類などの海洋生物が豊富である。沿岸域には、ザトウクジ ラ、ハンドウイルカ、ハシナガイルカが見られる。外洋では、マッコウクジラ、コビレゴンドウ、マダ ライルカなどの鯨類が見られる。 1.1.7 小笠原(父島)への航路 小笠原(父島)へのアクセスは、定期便では東京(竹芝)からの航路に限られており、所要時間は、 おおよそ 25 時間である。運行のダイヤは、夏期や繁忙期は東京と父島間を折り返して運行(着発便) するが、それ以外の時期は父島で 定期船「おがさわら丸」が 2 から 3 泊停泊する。東京から小笠原への 旅行日程は、船便によって規定され、最短で 5 日間か 6 日間、その次は 10 日間ないし 11 日間となる。 年間の運行便数は、おおよそ 60 便である。運賃(夏期以外)は、2等が 22,570 円(おとな片道) 、1 等が 45,140 円、特等が 56,490 円である。「おがさわら丸」の旅客定員は、1,031 名である。 図表1−4:運賃の比較(通常期のおとな片道運賃) : 22,570 円 航路(2等) 〃 : 45,140 円 〃(1等) 札幌 : 28,000 円 空路(通常期) 福岡 : 31,000 円 〃 沖縄(那覇) : 34,500 円 〃 小笠原(父島) 東 京 − 父島から母島へは「ははじま丸(490 トン)」が就航しており、所要時間は、おおよそ2時間である。 ダイヤは「おがさわら丸」の運行日程にあわせて組まれている。1日で一往復、または片道のみの運行 である。 「おがさわら丸」は、総トン数 6,679 トンである。客室は、「二等」から「特等」まで 5 つのクラス にわけられており、二等はカーペット敷きの大部屋、特二等は二段ベッド、一等は 2 人室と4人室があ る。船内には、案内所、売店、レストラン、軽食スナック、ゲームコーナー、カラオケルーム、ビデオ ルームなどの施設が整えられている。 「おがさわら丸」は、父島停泊時にホテルシップとして利用されることもあり、費用(乗船料)は、 2等船室の利用で1泊2食付きでは 5,000 円、素泊まりでは 3,500 円である。ただし、ここ2年ほどは 繁忙期に着発運行しており、2002 年度は年末の1日限りの営業であった。 また、不定期に東京や神戸などから観光船(クルーズ船)が就航している。便数は年によって大きく 異なる。近年では、1992 年と 95 年が年間 15 便と最多である。2001 年は 6 便であった。 3 1.2 入り込み客数の状況 1.2.1 小笠原への来島者数 2001 年度の定期船「おがさわら丸」の利用者数(来島者数)は 23,347 人であり、このうち観光客は 14,391 人、島民や仕事目的の来島者は 8,956 人である。また、不定期の観光船による来島者は 2,456 人 であり、来島者総数は 25,803 人、観光目的の来島者は 16,847人であった。 小笠原への定期船を利用した観光客数は 79 年の「おがさわら丸(所要時間 29 時間) 」の就航を機に 年間 1 万人を上回った。なお、それまでに航行していた「ちちじま丸」の所要時間は 36 時間であった。 その後、観光客数は増減を繰り返し、ホェールウオッチング事業化の翌年である 90 年には 1 万 5 千人 を上回る。97 年には新造船「おがさわら丸」の就航により所要時間が 25 時間に短縮されるが、客数の 増加はその年限りで、その後の観光客数は減少した。 小笠原への観光客数は、所要時間の短縮によって大幅に増加する可能性がある。また、新たな観光メ ニューの開発によっても増加する可能性があるが、このような大きな環境変化がなければ、小笠原への 観光客数は低減傾向にあるといえよう。 図表1−5:小笠原への観光客数の推移 79 年 4 月 おがさわら丸就航 89 年:ホエールウオッ チング事業化 97 年 3 月 新おがさわら丸就航 20,000 15,000 10,000 5,000 0 76年 78年 80年 82年 84年 86年 88年 90年 92年 94年 96年 98年 00年 資料:小笠原村 2001 年の月別の入り込み客数では、8月が 4,990 人と最も多く、最少である1月の 1,023 人とは5倍 程度の差がみられる。他の主立った観光地との比較においても、小笠原の月別変動幅は、際だって大き い。 4 図表1−6:入り込み客数(海外は日本人客のみ)の月別変動(最ピーク月=100)の比較 100 80 小笠原 沖縄 ハワイ グアム サイパン 60 40 20 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 資料:沖縄県および各政府観光局。 小笠原は 2001 年度実績。他は 2000 年実績 年間入り込み客数は、沖縄が 460 万人、ハワイが 185 万人、グアムが 105 万人、サイパンが 38 万人である。いずれも日本人観光客 1.2.2 来島者の特徴 小笠原への来島者の性年齢別内訳は、下表の通りである。国内旅行や海外旅行の平均的な年齢構成と の比較から、小笠原への来島者は若年層の比率が高く、逆に熟年層の比率が低い点が大きな特徴となっ ている。 男女比は全年齢計で、男性 60.5%、女性 39.5%である。男性が女性を上回っている要因と して、男性 の中には仕事や研究目的での来訪が含まれていることによると考えられる。 図表1−7:来島者の内訳(2001 年) 合計(%) 12 歳以下 3.8 13 歳∼23 歳 13.3 24 歳∼40 歳 48.9 41 歳∼60 歳 25.3 61 歳以上 6.9 100.0 合計 *島民以外の、観光、業務、研究での来島者を全て含む。 5 図表1−8:旅行者の年齢層別構成比の比較(女性) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 国内旅行 24∼40歳 41∼60歳 61歳以上 海外旅行 小笠原 資料:国内旅行と海外旅行は(財)日本交通公社 *男性には業務や研究が多く含まれる可能性があるので女性で比較した 1999 年に小笠原村観光協会が実施したアンケート調査(3月から8月にかけて、おが丸出港日に先客 待合所にて実施。入港時乗客数の5%を目安にアンケート票を配布。総回収数は 743 票)による来島者 の旅の形態は下表の通りであった。同行者の区分が異なるので、精緻な比較はできないが、「家族旅行」 だけをみれば国内旅行の平均的な旅行同行者(年齢層別)と小笠原来島者は大きく異なっている。小笠 原への観光旅行は、国内旅行の平均的な様子と比較して、家族での旅行者は少なく、かわって一人旅や、 友人とのグループ旅行が多いものと推測される。 図表1−9:来島者の年齢層と旅の形態 各年齢層の構成比(%) 国内旅行 小笠原 1人旅 2人旅 3人旅 の平均 4人∼ 家族旅行 計 家族旅行 20 歳未満 16.0 24.0 12.0 28.0 20.0 100% − 20 代 27.4 40.0 6.8 21.9 1.3 100% 30.3 30 代 25.8 34.8 10.1 17.4 10.7 100% 73.0 40 代 22.1 30.5 11.6 12.6 18.9 100% 63.1 50 代 25.3 39.4 6.1 17.2 7.1 100% 58.4 60 歳以上 16.4 37.3 9.0 28.4 4.5 100% 50.0 合計 23.8 35.3 8.5 19.5 8.1 100% 55.7 資料:小笠原観光協会 *全国は(財)日本交通公社データ。家族旅行には夫婦二人での旅行も含めている。 *合計が 100%とならないのは無回答を含めているため 6 図表1−10:国内旅行における年齢層別の旅行同行者(女性) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 20代 30代 夫婦二人 家族 友人・知人 自分ひとり 40代 50代 60代 資料:(財)日本交通公社 来島者を対象にした調査では、これまでの来島回数は下表の通りである。このうち、初めての来島者 の比率は 71.6%であった。沖縄との比較では、リピーターの比率が低い。 図表1−11:これまでの来島回数(%) 小笠原 71.6 11.6 3.4 9.0 4.4 初めて 2回目 3回目 4回以上 無回答 沖縄 46.0 19.3 8.5 21.2 5.0 資料:沖縄県「観光要覧」 来島目的の構成比では、 「観光」目的が全体の 42.2%と最多である。 「つり」や「ダイビング」も含め た観光レクリエーション旅行は全体の 61.6%であり、これはわが国における旅行目的の比率とほぼ同程 度である。仕事や帰島などの比率も全国計とほぼ同じである。 表1−12:来島目的(%) 観光 つり ダイビング 仕事 研究 帰島 その他 小笠原 42.2 3.3 16.1 全国計(観光白書) 61.6 14.8 2.0 16.8 4.8 62.8 業務 10.9 家事・帰省 20.1 6.2 資料:「観光白書(平成14 年度版)」 7 1.2.3 利用宿泊施設 東京都のデータによると、 2001 年の来島者数(宿泊者数)は 28,486 人、延べ宿泊者数は 89,282 人 であった。両者から推計される平均宿泊日数は、3.1 泊である。宿泊施設の定員稼働率は平均で 19.2% (延べ泊数と宿泊定員から(財)日本交通公社推計)と低い水準にある。一方、ユースホステルの稼働 率は 53.4%と高い。 また、最多客期である8月の延べ人数(延べ宿泊人数)は 17,030 人泊(縁故者宅・停泊船中泊を除 くと 16,317 人泊)である。宿泊収容力(1,199 人:後出)と営業日数(31 日)をもとに推計した8月 の定員稼働率は 43.9%である。また、(財)日本交通公社の指標(客室稼働率/定員稼働率= 1.26)を もとにすると客室稼働率は 55.3%である。最繁忙期の8月においても、施設によっては空室が多くみら れる。 図表1−13:宿泊施設の内訳 実人数(人) 532 2,038 22,528 73,411 ユースホステル 1,973 8,578 縁故者宅 1,182 2,714 254 524 2,017 2,017 旅館・ホテル 島内泊 民宿・ペンション 停泊船中泊 延べ数(人泊) 定期船(おが丸) 不定期船(クルーズ船) 資料:「伊豆諸島・小笠原諸島観光客入り込み実態調査報告書」東京都 図表1−14:宿泊施設の稼働率(年間平均) 全国 小笠原 定員稼働率(%) 客室稼働率(%) 旅館 41.9 62.0 ホテル 63.9 72.8 公的宿泊施設 45.0 63.5 その他(ペンション) 28.7 35.3 計 19.2 − ホテル 13.3 − 民宿・ペンション 18.1 − ユースホステル 53.4 − 資料:小笠原数値は推計。全国値は(財)日本交通公社 8 1.2.4 消費額 東京都の資料によると来島した観光客の消費総額は、2001 年の一年間で 14 億 7,300 万円である。来 島した観光客一人あたりの消費額は、51,710 円である。これを沖縄への観光客の消費額と比較すると、 小笠原の観光客の消費額は極めて低い水準にある。 小笠原を訪れた観光客の1日あたりの消費額は 12,612 円であり、沖縄は 23,054 円と、沖縄の半額に 近い。消費額の内訳では宿泊代、食事代、土産代の消費額が沖縄より低いが、その他費用では上回って いる。この中には、ダイビングや各種ツアーへの参加費が含まれている。 利用した宿泊施設別の消費額では、宿泊料に大きな差がみられ、ホテル利用者の宿泊料は1泊あたり 20,000 円であるのに対し、ユースホステルは 4,900 円である。 ユースホステルの稼働率の高さと消費額、 さらに来島者には若年層が多いという状況に密接な関係があるものと考えられる。 図表1−15:観光消費額推計 小笠原 総額(千円) 沖縄 一人あたり(円) 一人あたり(円) 1,473,002 51,710 85,298 宿泊代 586,116 20,576 25,589 食事代 87,265 3,063 17,192 土産代 63,555 2,231 20,991 施設見学及び交通費 111,509 3,915 10,316 その他費用 624,557 21,925 11,209 12,612 23,054 (3.1 泊) (2.7 泊) 合計 1日あたりの消費額 資料:東京都、沖縄県 図表1−16:利用した宿泊施設別に見た消費額の比較(円) 宿泊日数 宿泊代 食事代 施設見学・島 土産代 内交通費 その他費用 一人あたり 1泊あたり 一人あたり 一人あたり 一人あたり 一人あたり (日) (円) (円) (円) (円) (円) (円) 旅館・ホテル 3.8 76,617 20,000 3,831 3,000 3,064 30,647 民宿・ペンション 3.3 22,223 6,820 3,259 2,000 4,003 23,014 ユースホステル 4.3 21,339 4,908 4,348 2,000 7,844 25,231 縁故者宅 2.3 0 0 2,296 2,000 1,837 18,369 定期船船中泊 2.1 10,315 5,000 2,063 2,000 1,650 16,504 不定期船船中泊 1.0 0 0 0 5,000 800 7,000 資料:東京都 9 1.3 観光客受け入れ施設などの状況 1.3.1「みる」対象となる観光資源 従来からの「みる」ことを主とする観光資源は、 (財)日本交通公社の分類によるA級資源として、 「南 島」と「亜熱帯の植物群」がある。また、B級以上は、父島では「千尋岩・南東部海岸」 「初寝裏」 「ジ ョンビーチ・ジニービーチ」 「小港海岸」 、母島では「南崎」がある。 図表1−17:観光資源の状況(「みる」観光を対象としたもの) 分類 評価基準 自然資源 人文資源 山岳 高原 原野 湿原 湖沼 峡谷 滝 河川 海岸 岬 島 岩石・洞窟 動物 植物 自然現象 史跡 社寺 城跡・城郭 庭園・公園 歴史景観 地域景観 年中行事 歴史的建 造物 現代建造 物 美術館・博 物館 * * * * ランク 特A級 A級 内容 わが国を代表する資 源でかつ世界にも誇 示しうるもの。わが国 のイメージ構成の基 調となるもの (約 35 件) 特A級に準じ、その 誘致力は全国的で、 観光重点地域の原 動力として重要な役 割をもつもの B級 地方スケールの誘致 力をもち、地方のイメ ージ構成の基調とな りうるもの C級 主として県民及び周 辺地域住民の観光 利用に供するもの 小笠原 小笠原諸島の植物 南島の海岸カルスト 地形 (父島列島)千尋岩・ 南 東 部 海 岸 、初寝 浦、ジョンビーチ・ジ ニービーチ、小港海 岸 (母島列島)南崎 (父島列島)兄 島 瀬 戸、鏡浦、扇浦、宮 之浜、釣浜、コペペ 海岸、三日月山、夜 明山、中央山 (母 島 列 島 )東 崎 、 乳房山、石門山、平 島 全国(例) 富士山 尾瀬ヶ原 奥入瀬渓谷 法隆寺 桂離宮庭園 (約 35 件) 大雪山 華厳の滝 二条城 兼六園 ねぶた祭 (約 360 件) 昭和新山 東尋坊 礼文島 偕楽園 高山の朝市 (約 2,200 件) (約 5,000 件) 資料:(財)日本交通公社 観光旅行:ここでの観光旅行(狭い意味での観光旅行)とは、旅行者が対象物と一対一で対峙して、自然の偉 大さや歴史の壮大さなどを深く感じ入り感動を覚えるという、まさに人の本質的な好奇心や喜びを満たすよう な行為を指す。 観光資源:自然や人間が長い時間をかけて創り出した現代のお金や技術で簡単に創りだすことができない文字 通り国の“光”である。観光資源はそれぞれに固有性や独自性があり、他に代替が効かないものであり、故に その価値はいつの時代も変わるものではない。 評価の留意点:比較的最近にでき評価が定まっていないもの、見られるタイミングが偶然に左右されるもの、 非公開のもの、事業目的の観光施設などは選定の対象からはずした。 A級資源は、 “日本人であれば一生の間に一度は訪れる価値のあるもの”である。また、各ランク間の誘客力に は数倍の開きがある 1.3.2 観光素材と観光施設 観光対象を従来からの「みる」観光にとどめず、体験観光やレクリエーションの対象までも含めると、 すでに観光資源として活用されているもの、今後活用を検討しているものは、それぞれ下表の通りであ 10 る。 小笠原の資源の大きな特徴は、自然を楽し むためのフィールドや素材が豊富な点である。また、自然 景観を「みて」感じるための展望台も要所ごとに整備されており、観光スポットとして観光客が多く訪 れている。一方で、景観以外の自然素材の観光活用に関しては、従来の「みる」観光のように観光客を それぞれの資源の前まで連れて行くだけでは、これら資源の素晴らしさを伝えることはできないので、 観光ガイドなどによる情報提供の役割が重要である。 「みる」観光は、複数の観光資源を訪れる周遊型の観光行動となり、一カ所あたりの滞留時間は短く 資源間をダイナミックに移動する。一方、体験観光や自然を楽しむ類の観光は、一つのところに比較的 長い時間とどまり、そこを拠点に各種のプログラムに参加する観光行動である。小笠原は活動(遊び) メニューや素材が豊富であり、それらの素材には競争力がある。したがって、従来型の立ち寄り観光地 (夕方遅くに入り込み、翌朝早く出発する)ではなく、滞在地(リゾート地)としての整備が重要であ り、ゆえに滞在空間としての「まちなか」の魅力度の向上が必要である。 図表1−18:観光素材 すでに活用されている素材 潜在的な素材 ・ 海中景観(スクーバダイビング・遊覧・シ ーカヤック・海水浴・シュノーケリング) ・ 魚類(スクーバダイビング・釣り・シュノ ーケリング) ・ 鯨類(ウォッチング) ・ ウミガメ(ウォッチング・施設内での産卵 見学) ・ 陸上景観(トレッキング・遊覧・海水浴) ・ 植物(トレッキング) ・ 鳥類(メグロなど固有鳥類、海鳥など:ウ ォッチング) ・ オオコウモリ(ウォッチング) ・ グリーンぺぺ(ウォッチング) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 属島(トレッキング) 火山列島(遊覧) 地質(ウォッチング) 大型海鳥類(特にアホウドリ類:ウォッチ ング) ウミウシ類(スクーバダイビング) 河川(トレッキング) 星(ウォッチング) 伝統芸能(南洋踊り・島歌・フラ・カカ) 手作り工芸(タコの葉細工・無人焼き・ガ ラス細工) 自然再生事業(植生回復ボランティア) 第一次産業(漁業・農業体験) 戦跡 歴史文化遺産 海水(タラソテラピー) 自然(ナチュラルテラピー) 図表1−19:観光関連施設 父島 各種施設 ・ ・ ・ ・ ・ 園地 ・ ・ ・ ・ ・ 母島 小笠原ビジターセンター 小笠原水産センター 亜熱帯農業センター 小笠原海洋センター Bしっぷ(小笠原村観光協会・小笠原ホ ェールウオッチング協会) 三日月山北麓 境浦 中央山 小港 宮之浜 11 ・ ロース記念館 ・ 母島観光協会 ・ 沖村 ・ 御幸浜 展望台 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 公園 歩道 海中公園 港(観光ツアー 発着場所) <三日月山展望台> ウエザーステーション展望台 <釣浜展望台> <長崎展望台> 旭平展望台 初寝浦展望台 <中央山展望台> <中山峠展望台> <高山展望台> ※<>は園地、歩道と重複する。 ・ 大神山公園 ・ 電信山線(宮之浜∼釣浜∼長崎) ・ 初寝浦線(都道∼初寝浦) ・ 父島海岸線 ・ 高山線 ・ 南崎線(コペペ∼小港∼ジョンビーチ) ・ 旭山線(都道∼旭山) ・ 瓢箪島 ・ 人丸島 ・ 兄島瀬戸 ・ 南島 ・ とびうお桟橋 ・ 青灯台岸壁 ・ ・ ・ ・ ・ 長浜展望台 <剣先山展望台> <鮫ヶ崎展望台> <スリバチ展望台> <小富士展望台> ※<>は園地、歩道と重複する。 ・ 脇浜なぎさ公園 ・ 西台線(北港∼大沢海岸) ・ 乳房山線・母島山稜線(元地∼ 乳房山) ・ 南崎線(御幸浜∼南京浜・万年 青浜∼南崎) ・ 御幸之浜 ・ 平島 ・ 沖港 1.3.3 小笠原の環境研究に関する研究者の活動状況 小笠原の自然や環境に関する研究機関と、そこでの最近 3∼4 年の主な研究活動項目は、次のとおり である。近年広まりつつある自然ガイドツアー(エコツアー)におけるインタープリテーションでは、 動植物の種の識別や簡易な解説だけでなく、その背景にある自然界のしくみに関する解説までも含める ことが、参加者の満足度向上のためには重要となっている。ツアー参加者のレベルは年々高くなってお り、解説におけるメッセージ性を高めるためには、最先端の科学的な研究成果が必要である。この点で は、小笠原では様々な研究活動が行われているので、インタープリテーションの素材は充実していると いえる。ガイドをはじめとする観光関係者は、研究者や研究機関との連携を図り、その研究成果を自然 解説素材として積極的に活用することを通して、ツアーの質向上を目指すことが望まれる。 図表1−20:小笠原における研究活動の状況 東京都立大学 独立行政法人 森林総合研究所 (動植物関係) ・オガサワラノスリ、オガサワラノスリ、ノヤギ、昆虫、ナガ ウニ、アカギ、オオハマギキョウ、オオハマボッス、ギンネム、 モンテンボク、ムニンフトモモ、シロテツ、ホナガソウ、シャ リンバイ、海洋環境、気象観測、など (人文関係) ・小笠原諸島の子育て環境、言語・歴史・社会、など ※東京都立大学の研究に関しては最近数年分の「小笠原研究年 報」と「小笠原研究」の目次を参照。 ・ アカガシラカラスバト ・ メグロ ・ トンボ ・ 陸産貝類オガサワラトカゲ ・ アカギ 12 東北大学 立教大学 NPO 法人小笠原自然文化研究所 NPO 法人小笠原野生生物研究会 小笠原村施設・小笠原海洋センター (管理・運営:NPO 法人日本ウミガ メ協議会) 小笠原ホェールウオッチング協会 ・陸産貝類 ・エコツーリズム意識調査 ・オガサワラオオコウモリ ・シオマネキ ・クモヒトデ ・ウミガメ ・アホウドリ類 ・植生復元事業(聟島列島、南島、西島など) ・アオウミガメ ・ザトウクジラ ・ザトウクジラ ・マッコウクジラ ・ハシナガイルカ ・小笠原の鯨類相 国立環境研究所 ・亜熱帯島嶼生態系の保全に関するプロジェクトの一環として 小笠原を研究 環境省 ・干潟の生物 ・造礁サンゴ 国立天文台 ・超大型電波望遠鏡による銀河系の観測( VERA 計画) その他の研究機関として千葉県立中央博物館、神奈川県立生命の星地球博物館、東京都高尾自然史博 物館、東京大学、京都大学、法政大学、東京農業大学、三重大学、東海大学、 (財)自然環境研究セン ター、北海道大学、九州大学、山形大学、東邦大学、東京水産大学、岐阜大学などが小笠原で研究活 動を行っている。 資料:OWA 1.3.4 宿泊業の状況 小笠原の宿泊収容力は、合計で 62 軒、1,199 人である。このうち父島は 46 軒、965 人、母島は 16 軒、234 人である。いずれも民営の施設であり、公営の宿泊施設はない。ホテルは1軒あるが、沖縄や ハワイなどに見られるリゾートでのサービス機能が十分に整ったホテルとは異なる比較的簡素なタイプ のホテルである。 図表1−21:宿泊施設の状況 旅館・ホテル 父島 母島 合計 民宿・ペンシ ユースホステ ョン ル 計 軒数 1 44 1 46 定員 42 893 30 965 軒数 0 15 1 16 定員 0 220 14 234 軒数 1 59 2 62 定員 42 1,113 44 1,199 資料:東京都 13 扇浦地区に立地する村内で唯一のホテル。 民宿やペンションが立ち並ぶ様子。大村地区。 母島の宿泊施設群。 1.3.5 観光事業者の状況 観光関連事業を行う事業者は、父島では約 40 事業者、母島では約 10 事業者である。このうちの多く は各種ツアーを実施する観光事業者であり、ツアー種類別の事業者数は下表の通りである。なお、1 事 業者が数種類のツアーを実施するケースもある。 ツアーの内容は観光協会が作成するパンフレットに よって観光客に広く紹介されており、また各事業 者が作成するツアーの募集案内は船客待合所のボードに掲載されている他、村内の道路脇などでも紹介 されている。このように、観光地(目的地、滞在地)発着型のツアーがこれほどに充実(量の面で)し ている観光地は、わが国では稀である。また、観光地に到着してから複数のツアーを比較し、参加申し 込みができるように情報が整理されている地域は、わが国では唯一でもあり、この点において小笠原は 観光先進地であるといえる。 14 図表1−22:小笠原で実施されている各種ツアーと事業者数 父島 海系の観光ツアー スキューバダイビング ザトウクジラウォッチング マッコウクジラウォッチング ドルフィンスイム&南島・兄島海中公園遊覧 母島 8 15 9 10 1 4 2 8 9 1 1 1 6 南島遊覧 聟島列島ツアー 母島ツアー シーカヤック 釣り ウインドサーフィンスクール サンセットクルーズ ナイトツアー(海) チャーターボート スノーケリングツアー 陸上系の観光ツアー トレッキングガイド ジョンビーチツアー ナイトツアー(陸) 戦跡ツアー 車による島内観光 レンタカー・バイク・サイクル 1(ドルフィン スイムのみ) 1 3 1 9 1 2 9 1 1 2 6 5(バイクのみ) 父島(小笠原村観光協会所属 母島(母島観光協会所属 2002 年8月 23 日現在) 2002 年8月 23 日現在) 戦績をめぐるガイドツアー。年間で 200 名 程度の参加がある。 ホェールウオッチングツアーの様子。 年間で 7,000 人程度が参加する。 船客待合所のボードには、各種ツアーが紹介 されている。その時の天候や体調などを考慮 した上で、それぞれのツアー内容を比較し、 ツアーを申し込むことができる。 1 15 街角で見られるツアー案内ボード。観光 客にとっては親切であるが、景観面での 配慮が必要である。 1.4 観光地としての魅力度評価 1.4.1 観光地としての魅力度評価の前提 小笠原の一般的な観光地としての魅力度の測定を試みる。観光地魅力度の測定に ついては、これまで いくつかの手法が開発され、試行されてきた。ここでは、今日では最も活用されていること、他の観光 地に対する評価結果が公表されているので他の観光地との比較から小笠原の特長を導きだすことができ ることから、室谷(1998 年)によるモデルを利用する。 このモデルでは、観光地の評価を 4 つの大項目と、10 の小項目にわけて行い、さらに、各項目にウエ イトをつけて、観光地としての総合的な魅力度を測定する。 図表1−23:観光地魅力度測定モデル ( 5 ) 資源性 (2.5) 観光資源 (2.5) 多様性 (2.5) 集積度 (1.1) 活動メニュー ( 3 ) メニューの豊富さ ( 7 ) 独自性・地域性 観光地の魅力 ( 5 ) サービス水準 (1.7) 多様性 ( 3 ) 多様性 ( 2 ) 話題性 (4.7) 空間快適性 ( 5 ) アメニティ ( 5 ) 雰囲気 (カッコ内はウエイト) 室谷(1998 年)「新時代の国内観光・魅力度評価の試み」 1.4.2 魅力度測定の結果 モデルにより小笠原の観光資源を評価した結果は表の通りである。4 つの項目ともに得点の満点は 5 点である。 図表1−24:観光資源の評価結果 資源性(a1) 数 0 SA級 得点 3 A級 小笠原諸島の植物、南島 の海岸カルスト地形 2 B級 (父島列島)千尋岩・南東部 海岸、初寝浦、ジョンビー チ・ジニービーチ、小港海 岸(母島列島)南崎、石門 6 多様性(a2) 種類(B級以上) 植物、岩石・洞窟、海岸、 岬 4 3 集積度(a3) 資源数(B級以上) 8 4 16 図表1−25:活動メニューの評価結果 多様性(b1) 温泉浴 物産・食 スポーツ (塩、パッションフルーツ等) ゴルフ スキー マリーナ 海水浴 ハイキング ロープウエイ 遊覧船 乗り物 テーマパーク 遊園地 教養・文化活動 独自性(b2) 動・植物園 水族館 美術館 郷土資料館・博物館 その他 イベント朝市など 地域との交流 ◎の数 有無 × ○ × × ◎ ◎ ○ × ◎ × × ○ ○ × ○ ○ ○ 3 ウエイト 5 5 1 1 0.5 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 得点 4 4 図表1−26:多様性の評価結果 サービス水準(c1) 多様性(c2) 話題性(c3) 収容力(c4) データ無し ホテル 旅館 ペンション 公共施設 民宿軒数 オートキャンプ場 評判の宿 室数 民宿は1件4室とする 1 0 30 2 30 0 0 300 得点 1 3 1 1 図表1−27:空間快適性の評価結果 アメニティ(d1) 清潔さ 景観への配慮 歩行者への配慮 雰囲気(d2) 情緒・その土地らしさ 界隈性 全体の印象 観光地の中心部 ゴミの収集状況 全体の印象 観光地の中心部 郷土景観の維持 全体の印象 公園、親水空間など 歩きたい空間 散策路や遊歩道 全体の印象 情緒や風情 観光地の中心部 全体の印象 にぎわいや活気 生活のにおい 旧態依然 客層の厚さ 17 調査票 4 4 4 1 1 2 2 3 2 4 3 2 3 2 1 4 2 3 平均 4 得点 2 1.3 2.7 2.7 2.4 2 図表1−28:各項目の総計 観光資源 資源性(a1) 多様性(a2) 集積度(a3) 3 3 4 多様性(b1) 独自性(b2) 4 4 活動メニュー 宿泊施設 サービス水準(c1) 多様性(c2) 話題性(c3) 収容力(c4) 1 3 1 1 アメニティ(d1) 雰囲気(d2) 2 2 空間快適性 総合 32.5 81.3 40.0 44.0 16.0 27.2 20.0 94.0 246.5 1.4.3 他の観光地との比較からみた小笠原の資源の状況 他の観光地との比較において、小笠原の「観光資源」総合評価は中程度である。これは、SA級資源 (わが国を代表するレベルの観光資源)が無いためである。観光的視点(例えば、見 る者を圧倒させる、 しみじみと感動させる、感嘆のあまり絶句する、等)による評価は、特筆すべきレベルにはない。ここ で、評価の高い観光資源そのものは、人間の手で新たに創り出すことは困難だが、一方で小笠原には学 術面での価値は極めて高い自然があふれており、解説を加えることによって、観光客の感性を引き出す ことによって、価値の伝わる自然資源が多い。見せ方や伝え方など、観光資源の活用方法を工夫する必 要がある。 また、小笠原の「活動メニュー」は高評価である。しかし、小笠原の「宿泊施設」は評価が低く、一 般的な観光ニーズには対応 できていない。 小笠原は、 「観光資源」 「活動メニュー」 「宿泊施設」の3項目の合計ポイントでは、尾瀬や由布院など と同レベルであるが、 「空間快適性」の評価が低いために総合評価が低くなっている。観光地にはそれぞ れ特性があるので、全ての項目において高得点を獲得し、総合評価を高める必要はないが、改善が可能 である項目については積極的に対応すべきである。その点において、 「空間快適性」は、観光資源とは異 なり取り組み如何によっては評価を高めることができる項目である。 18 図表1−29:他の観光地との比較 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 京都 神戸 長崎 上高地周辺 札幌 福岡 立山 鎌倉 高山 尾瀬 金沢 由布院 箱根・芦ノ湖 横浜 磐梯高原 城崎 十和田湖 軽井沢 倉敷 雲仙 富良野 草津 日光 妙高・赤倉 伊勢志摩 小樽 那智勝浦 弘前 野沢 伊香保 津和野 萩 志賀高原 長浜 白浜 指宿 道後 角館 山代 小布施 白馬・八方 内子 琴平 小笠原 川越 蔵王 別府温泉 松島海岸 大山 三朝 下呂 天橋立 佐世保 秋吉台 熱海 石和 登別 大洗 飯坂 観光資源 活動メニュー 宿泊施設 空間快適性 資料:室谷(1998 年)「新時代の国内観光・魅力度評価の試み」 19 1.5 観光が地域振興にもたらした効果と課題の一例 1.5.1 ホェールウオッチングによる効果 小笠原の観光はダイビングを中心に発展してきたともいえる。現在でも旅行者の 4 人に 1 人はダイビ ング目的で来島しており、リピーターも多く、ダイビングがもたらす経済効果と観光振興に果たす役割 は大きい。ここで、観光が小笠原の地域振興にもたらした具体的な貢献を知るには、ホェールウオッチ ング実施の効果が好都合である。 小笠原では、1988 年に日本で初めて、商業的なザトウクジラのホェールウオッチングが行われた。ホ ェールウオッチングの実施は、観光客数の増加をもたらすとともに、日本のホェールウオッチング発祥 の地として小笠原の知名度をさらに上げることに貢献した。現在ではザトウクジラ(冬 -春)、マッコウ クジラ(夏-秋を中心) 、ミナミハンドウイルカ・ハシナガイルカ(通年)のウォチングが行われており、 ホェールウオッチングのできる場所として、国内はもとより海外にもよく知られるようになった。ホェ ール(イルカを含む)ウォッチング参加者数は 1999 年時点で年間のべ 12,000 人、関連産業(ウォッチ ング船乗船料、宿泊代、飲食代、おみやげ物代)への直接的な経済効果は 4 億 3600 万円と推計されて いる。さらに、間接的な経済効果や雇用の促進は村全体の産業に波及している。 ザトウクジラのウォッチングは 2∼4 月に行われるため、それまで閑散期であった 2∼4 月の入り込み 数が増加し、季節変動の緩和にも貢献した。 また、1990 年代前半より始まったイルカ類のウォッチング、 スイミングは、年間を通しての観光客の底上げをもたらした。その後、1990 年代半ばより始まったマッ コウクジラのウォッチング(夏から秋が中心)は、秋の観光客の底上げに貢献している。 また、土産物屋ではクジラやイルカをモチーフにしたTシャツなどのグッズが販売されており、島内 での観光消費額の向上に寄与している。さらに島内には、各所にイルカやクジラをモチーフにしたモニ ュメントや看板、標識類を設置し、観光地イメージを醸成している。小笠原でのホェールウオッチング は、地域特有の資源の活用、地域経済の活性化、資源の保全(研究活動や自主ルールの制定)といった エコツーリズムの理念に沿った形で発展してきており、地域振興に大き な貢献をもたらしたといえる。 ホェールウオッチングでは、小笠原ホェールウオッチング協会(OWA)のザトウクジラ(ヒゲクジ ラ類)およびマッコウクジラウォッチング自主ルール制定によって、クジラの生態に配慮したウォッチ ングが行われるようになった。 一方で、ドルフィンスイムを体験した6割もの人が「身の危険を感じたことがある」、9割が「ガイド ラインやルールが必要」と回答している(OWA資料)。自然へのインパクトについては、ドルフィンス イムの過剰エントリー(何回も繰り返してイルカと泳ごうとすること&複数の船が一つの群を利用する こと)によるイルカの生態・生理への影響の危惧など、課題も出始めており、ドルフィンスイムガイド ラインなどのルール作りの必要性が高まっている。 ドルフィンスイム。最近では大 きなブームとなり、観光客の増 加に大きく貢献している。 20 1.5.2 観光振興がもたらした課題 ホェールウオッチングは、十分な管理下で実施されてきたため、環境へのインパクトは最小限におさ えられたが、他のアクティビティや観光客の無秩序な行動が小笠原の自然環境に悪影響をもたらすケー スも見られるようになった。 その代表的な事例は南島である。南島では、観光客の踏圧によって赤土が露出し、景観を害するとと もに、土壌浸食によってサメ池や陰陽池に赤土が流入し、生物相への悪影響が危惧されている。また、 カルスト地形で特徴的なラピエが踏圧によって崩壊する、自然観察路の周辺におけるクリノイガ、オオ アレチノギク、コトブキギクなどの帰化種によって、在来植物種の生育が脅かされるといった点が指摘 されている。その他にも、観光客が、扇池に無数にあった半化石のヒロベソカタマイマイ持ち出してし まうため大幅に減少してしまう、観光ルートを外れることによってオナガミズナギドリの巣穴を破壊し てしまう、カツオドリの営巣へ悪影響をおよぼす、オナガミズナギドリの雛が巣穴から持ち出すなどの 自然環境破壊が起こっている。 この状況を受けて、南島の環境保全を望む声が島内だけでなく島外からも高まり、2001 年冬に小笠原 村観光協会が南島入島に関する自主ルールを設定、同年7月には小笠原村も独自の南島自主ルールを制 定した。さらに、2002 年7月に東京都と小笠原村が「小笠原諸島における自然環境保全促進地域の適正 な利用に関する協定書」を締結し、その先行事業として東京都認定ガイド養成事業が実施され、南島と 母島の石門への観光には、東京都認定のガイドの同伴が義務づけられた。 南島に限らず、観光客の夜間ウミガメ探索の光害によるウミガメ産卵への悪影響、兄島海中公園にお ける魚やウミヘビへの餌付けによる周辺海域の生態系変化、宮の浜、釣浜、二見湾内におけるシュノー ケリングによるサンゴの破壊なども発生している。さらに、観光客によると思われる貴重な小笠原固有 植物、昆虫の盗掘も発生している。来島した観光客の自然保護に対する意識啓蒙が課題となっている。 一方で、観光振興は社会的なインパクトもひきおこした。最近では、シーカヤックやトレッキングな どの多様なアクティビティが導入され、それぞれがツアー商品 化されているが、一方で、公共事業減少 などの産業構造の変化に伴って、建築業従事者などがアクティビティのガイドに転向する例が増えてい る。観光振興の効果は雇用面でも発揮された好例だが、観光産業従事者の急激な増加によって、同業者 間の客の奪い合いがおこり、さらにトレーニング不足によるガイドの質の低下という課題が起こってい る。また、カヤックを歩道、車道、空地などに無許可で放置するケースなども見られるようになった。 観光客に対する意識啓発とともに、観光事業者のモラルの向上が課題である。 南島における観光客の踏圧による裸地 化と赤土の流出 南島における観光客の踏圧によって崩 壊したラピエ 21 1.6TSL(テクノ・スーパー・ライナー)就航の影響 1.6.1 ダイヤの変化 TSL就航により、東京―小笠原間の所要時間は、現在の約 25 時間から約 17 時間に短縮される。 また、おがさわら丸の場合は、繁忙期(8 月)は小笠原諸島についたその日に東京に帰る人を乗せて小笠 原諸島を出発するという着発便を運行しているが、この時期以外は小笠原着後そのまま停泊した後 (一般 には 3 泊)東京に戻るダイヤとなっているため、旅行者の実質的な旅程は、6 日間(島内 3 泊)あるいは 12 日間(島内 9 泊)に限定される。 TSL就航後のダイヤは原則として着発便での運行になるため、この場合、3 航に 1 回東京で 1 日停 泊させるようにすると、可能な旅程パターンは下表に示したようになる。これまでは、往路、復路の便 の組み合わせが少ないため、旅程は1週間あるいは2週間という約1週間単位で組まなければならなか ったが、便数の増加により、旅程のバリエーションが増加する。また、父島と母島の両島をじっくりと 巡るためには、2週間必要であったが、便数の増加によって両者を巡る行程は短縮される。 また、下表は繁忙期を想定したシミュレーションであり、この結果によると繁忙期の島内宿泊者量は 既存の宿泊収容力でまかなうことが可能である。 図表1−30:小笠原丸運行スケジュール 0東京着 1おが着 1東京着 2おが着 2東京着 3おが着 1東京発 1おが発 2東京発 2おが発 3東京発 3おが発 小笠原丸運行スケジュール 旅程パターン (日数) 島内泊 構成比 利用便 1 2 3 宿泊者 の内訳 金 5日間 2泊 8日間 5泊 10日間 7泊 6日間 3泊 8日間 5泊 10日間 7泊 5日間 2泊 7日間 4泊 10日間 7泊 来島者数 出島者数 宿泊者数 必要部屋数 75% 20% 5% 75% 20% 5% 60% 35% 5% 114 28 341 199 28 1人(5人一部屋) 2人(2人1部屋) 3∼4人(3.5人1組1部屋) 5∼14人(1組10人3部屋) 5% 34% 26% 18% 17% 664 235 32 226 171 120 116 15∼30人(1組22.5人6部屋) 28 土 426 114 28 日 426 114 28 28 28 199 28 539 454 741 262 35 252 191 134 129 199 28 741 262 35 252 191 134 129 月 火 水 114 28 426 114 28 114 28 426 114 28 114 28 426 114 28 28 539 624 664 235 32 226 171 120 116 28 28 664 235 32 226 171 120 116 664 235 32 226 171 120 116 木 28 114 28 341 199 28 539 539 664 235 32 226 171 120 116 シミュレーションの仮定 ・TSL 定員 742 名 ・TSL 利用率 90%(繁忙期を想定) ・乗客の島外客の割合 85% ・宿泊客の割合 90% ・旅程パターンの構成比(現状より予測) ・宿泊者グループ人数の構成比(屋久島・種子島の場合を適用) *屋久島・種子島も自然資源を有する離島であるため 22 1.6.2 マーケットの変化 TSLの就航によって、来訪者層の拡大が予想される。これまでは、若年層が主体であったが、夏休 みやゴールデンウィークなどの長期休暇の取得しやすい時期には家族連れ旅行、その他の時期には中高 年層(熟年層)の旅行が増加するものと思われる。 来島するマーケットの多様化に伴い、観光客のニーズも多様化すると見られる。全てのニーズに迎合し て小笠原の個性を見失うことは避けるべきだが、多様なニーズに対する理解は示した上で、それを小笠原 流へと誘導すべきである。 また、 これまではアクセスの悪さから小笠原に訪れる人の多くは、小笠原に対して特別な感情を抱いた ことが見込まれ、ゆえに、整備の不行き届きに対しても、それを小笠原の良さと解釈することも多かっ たと思われる。しかし、客層の多様化によって、小笠原を特別な視点で見る観光客の割合は減少し、逆に 他の観光地と同様の視点で小笠原を評価する観光客が増えることになる。これによって、十分に整備さ れていない施設や不親切な応対には、小笠原は他の観光地と比べてサービスが行き届いていないという 評価をもたらすようになる。特に増加が想定される熟年層は、これまで多くの旅行経験を持っており、確 固たる独自の評価軸を持っているため、「小笠原だから」といういいわけも通用しなくなってくると思わ れる。 そのため、宿泊施設などこれまで観光客から余りクレームが来なかったからといって手をかけずにや り過ごすのではなく、プライバシーの確保、清潔さの維持といった基本項目を満たすだけでなく、付加的 なサービスも含めて、改善すべき点を洗い出し、対応する必要がある。 1.6.3 観光客の行動面での変化 来島日の昼食に関しては、 これまでより小笠原に着くのが1時間ほど遅い正午頃となるので、島内で昼 食をとる人は減少が見込まれる。一方、運行時間の短縮と船内の快適性の向上により、乗客の疲労度合い がこれまでより改善されるので、この点では島内で昼食をとる人は増加することも考えられるので、 現時 点でのシミュレーションは難しい。 出島日の夕食に関しては、夕方の出航時には、最後の晩御飯を島で食べる人が増えると思われ、地域 にとっての経済効果も見込まれ、大村地区に大きな活気が生まれると考えられる。旅行者にとっては最 後の食事の高揚感を持ったまま船での一晩を過ごすことになり、そこで旅の思い出を反芻するための導 入を工夫することもできるであろう。 見送りに関しては、出航時間が夜となるので、これまでのような見送りの演出が難しくなる。しかし、 夜は暗さのため視線を明るいところに誘導しやすいこと、また感情に浸りやすくなる時間帯であるとい った特徴があるため、これまでとは違った演出が可能になると考えられる。さらに、夜の見送りを新たな 観光対象として育てることで、自然観光地で弱点といわれる夜間の楽しみを提供することも可能である。 一方、宿泊施設などでは夕食の時間帯に相当するため、見送りに出ることができない人も多くなると思わ れる。 観光客の活動については、これまでより小笠原での滞在時間が短くなる(2泊の人が増える)ため、 小笠原到着後から帰りの船に乗るときまでの間時間を惜しんで活動する人が増加すると思われる。よっ て、最終日にチェックアウトした後も海でのアクティビティに参加する人が増加すると考えられる。 宿泊施設の対応に関しては、着発便のため部屋の清掃を行うにはチェックインとチェックアウトの時 間を厳格にすることが必要となるが、 最終日の観光客の行動を考慮すると、宿泊客の荷物の管理や着替え やシャワーの利用に配慮する必要が生じる。 23 1.6.4 小笠原住民の期待 小笠原商工会が村民を対象に行ったTSL就航に関するアンケート調査の結果によると、TSLの就 航は経営改善に利用できると考えている人は 57.3%、どちらともいえないと考えている人は 31.1%であ った。同調査の結果では、TSLの就航にあわせて事業施設を改善するという回答は 37.3%、しないが 45.3%であった。また、就航にあわせて資金を借りたいと考えている人は、 38.7%であった。TSLの 就航を機会に観光事業を拡大しようとする積極的な考え方の人が多い。 24 2.旅行パターン別にみた観光ニーズの現状と課題 2.1 ケースの設定と各マーケットの基本的なニーズ マーケット層別に、TSL就航後に想定される来訪者の観光行動とニーズをシミュレーションし、そ れに対応した小笠原の現状と課題をとりまとめる。ターゲット・マーケットとして次の6つのケースを 設定する。各ケースに想定した日程、基本的な観光ニーズや意識は次の通りである。 ケース マーケット 日程 基本的な意識と行動 Case-1 熟年夫婦の 旅行 5泊6日 (島内 3 泊) Case-2 家族 4 人の 旅行 (幼稚園児 1 名と小学 生 1 名と 30 歳 代 後 半の夫婦) 5泊6日 (島内 3 泊) Case-3 若年グルー プ 3 人の旅 行 5泊6日 (島内 3 泊) Case-4 中高年女性 グループ 5 人の旅行 (パッケー ジツアーを 利用) 5泊6日 (島内 3 泊) Case-5 教育旅行団 5 泊 6 日 体の行動 (島内 3 泊) (2 クラ ス、60 名) Case-6 熟年夫婦の 旅行 ・ 生活(経済面・余暇時間)にはゆとりがある。 ・ 海外を含めて、様々な旅を経験している。今回は、話題になっている小 笠原に旅行してみたい ・ タイトなスケジュールは苦手だが、のんびりするよりは精力的に動き回 りたい。 ・ 経験のないアクティビティ にもチャレンジしたい。 ・ 小笠原の自然や歴史、文化などに関する知的な満足度にも期待している。 ・ 華美な施設は不要だが、価格に応じたサービスは提供してほしい。 ・ 旅行は夏休みやゴールデンウィークに限られる。 ・ 経済的には制約はあるが、想い出に残る旅行のためには多少の出費もや むを得ない。 ・ 旅行は、毎年の恒例行事になっている。今回は、話題になっている小笠 原に旅行してみたい。 ・ 子どもには思う存分遊ばせたい。親は日頃の疲 労を癒すためのんびり過 ごしたい。 ・ 子どもに亜熱帯の自然をしらせたい。野生の動物もみせてやりたい。 ・ 子ども中心のスケジュールとしたい。 ・ 華美な施設は不要だが、家族のプライバシーが保たれ、無理や強要のな い施設を利用したい ・ 旅行は夏休みやゴールデンウィークが中心。 ・ 宿や食事、往復の船、おみやげなどはできるだけ倹約したいが、ダイビ ングやホェールウオッチングにはお金をかけてもよい。 ・ 旅行にはよくでかけており、あまりメジャーではないところ、流行の先 取りができるところにいきたいので、小笠原を選択した。 ・ 自由気ままに楽しみたい。旅先での出会いにも期待したい。 ・ 多少質素な施設でもかまわない。 ・ 旅行は春や秋の平日が中心。 ・ 幹事が大変であり、旅行先での移動手段もないので、パッケージツアー を利用することが多い。 ・ なるべく内容が盛りだくさんの旅行に参加したい。いくつものプランを 比較して最も安いツアーにしたい ・ このグループで、旅行にはよくでかけている。家族や夫婦旅行では楽し めない、女性の友達との旅行だからこそ体験できることをしたい。 ・ 豪華な施設を利用することが多いが、今回は多少質素な施設でもかまわ ない。質素ならばそれなりの価格であるべきだ。 ・ 旅行時期は柔軟になってきている。 ・ 総合学習との関連で、事前学習、事後学習を含めたトータルの企画提案 を望んでいる。 ・ 学習効果を高めるために、体験を重視した行程としたい。 ・ 生徒の安全確保が全てに優先する。 ・ 生徒の自主性を重んじ、グループごとに事前に計画をたて、グループご とに行動する。 ・ サービス面での生徒間格差は極力排除したい。 ・ 基本的なニーズは Case-1 と同じ。 ・ 島旅(母島)に対する特別な意識、期待がある。 5泊6日 (母島3泊) 25 2.2 マーケット別に見た観光ニーズと小笠原の現状と課題 一般的にみられる旅行者の基本的な意識と行動、および滞在型の観光における特徴的なニーズを踏ま えた上で、マーケット層ごとの小笠原への旅行行程を仮想し、行動の背景となるニーズ、その行動に対 する小笠原の受入れの現状と課題をとりまとめた。 なお、表中「現状と課題」欄のカッコ内の記号は、次章の各種事業の番号に対応している。 Case-1:熟年夫婦の旅行 スケジュール 行動 ニーズ 現状と課題 (カッコ内は P43∼P56 の各事業 No.に符号) 旅行前 プランニング ¨ 日程の詳細を決め、 ¨ パッケージツアーのバリエーションが少ない 予約や手配をすま ため、宿泊や現地ツアーの予約を個別に取 せ、納得した上で旅 らなくてはならず、非効率なこともある。 行にでかけたい (3-(1)-d) ¨ 健康上の不安を取り ¨ 既存の観光協会は、会員の平等を原則とし 除きたい ており、客のニーズに応じた斡旋は難しい。 来島者の親身になってプラン作りができるツ アーデスクが必要である。(3-(1)-b・c) ¨ 小笠原関連のインターネットホームページは 多いが、小笠原観光を網羅的に紹介したホ ームページはない。(3-(2)-b・c) ¨ 新聞、雑誌などの取材は頻繁にあるが、常に 受け身の姿勢であり、積極的・継続的な情報 発信はほとんどない。(3-(2)-b・c) ¨ 定期便の運航スケジュールは半年分ずつ決 められ、同時に運航表が発表されている。観 光メニューに配慮したスケジュール組みも検 討するとよい。(3-(2)-b・c) ¨ 「いつ行ったら何が体験できる、この宿ではこ のようなもてなしがある、誰がつくったこんな ツアーがある、誰が作ったこんな食べ物があ る、この時期にはこの魚と野菜が旬である、 小笠原独自のお土産はこれである」といった 細かなニーズに対応した情報提供と活動メニ ューづくりが必要である。(3-(2)-b・c) ¨ 病院の利用に関する情報提供が少ない。 (1-(8)-g) 初日 アクセス ¨ 大きな荷物を持ち歩 きたくない 乗船 ¨ 小 笠 原 の 最 新 の 観 ¨ 船客待合所は「待合所」としての機能に終始 光情報を知りたい しており、旅情をかき立てられる要素に乏し ¨ 「今まさに遠くへ行 い。写真、ビデオ、インターネットなどを活用 く!」という旅心をく して島の雰囲気を伝え、船旅に出る期待感 すぐる見送り を高める仕組みが必要である。伊豆七島を 含め小笠原の今の天気や気温を示すだけで も随分違うと思われる。(1-(3)-e) ¨ 船客待合所の座席数が少なく、高齢者への 配慮が乏しい。(1-(3)-e) 19:00 ¨ 宅配便などを利用してダイビング用具など現 地 で 使 う道具を直接島に送ることはできる が、船内で使用する荷物をいれた旅行カバ ンなどをあらかじめ送り、乗船前に受け取れ るシステムがない。(1-(3)-e) ¨ 島に行くというムー ド ¨ 浜松町駅から桟橋の入り口までの道のりから を高めたい は小笠原や伊豆諸島へ行くという雰囲気が 伝わってこない。(1-(3)-e) 26 Case-1:熟年夫婦の旅行 スケジュール 行動 ニーズ 現状と課題 (カッコ内は P43∼P56 の各事業 No.に符号) ¨ 経験することの少な ¨ 船内での小笠原紹介は、掲示板での広告、 い船旅を楽しみたい 船内見学ツアー、父島入港前の10 分程度の ¨ 小笠原での過ごし方 PR ビデオ放映に限られている。島での過ご をもっと知っておきた し方(買い物情報、電話のかけ方、クレジット い カードの使える店、ゴミの捨て方など)に関す る情報が少ない。(3-(1)-b, 1-(8)-g, 2-(2)-h・ I) 12:00 父 島 入 港 ・下 ¨ 初めて目にする小笠 ¨ 最初に目に入る父島の景観には、亜熱帯の 船 原の景観に感動した 植物相の中に、構造物の形状の不釣合、色 い 合いの不統一、プラントなどの非自然的な印 ¨ 小笠原らしい雰囲気 象を与える建造物が含まれており、事前の期 をもった港で、暖か 待や夢に反する。(1-(9)-a) な出迎えをしてほし ¨ 長い船旅を終えてやっと目的地についた充 い 実感を満喫する間もなく、バタバタと宿に連 れて行かれる。ウエルカムゲートの設置、音 楽やレイによる出 迎えなど、印象深い出迎え 方の検討が必要である。(1-(10)-a) 12:00∼13:00 まず宿へ ¨ ゆっくりくつろぎた ¨ 宿によっては島の果物などを出してもてなす (アーリーチェ い。 ところもあるが、部屋へ事務的に案内するだ ックイン) ¨ 部屋の窓をあけて小 けの宿も多い。心のこもったもてなしに欠けて 笠原の海を眺めた いる宿がある。(1-(4)-a・b) い。ベランダのデッキ ¨ 部屋の窓から海を眺めることができる宿泊施 チェアで風に吹かれ 設は限られている。宿の部屋に滞在しながら て船旅の疲れをいや も、小笠原らしさを感じられる宿泊施設が不 したい 足している。(1-(4)-a・b) ¨ 雨天時にも室内で半日程度は過ごせるだけ のアメニティが整った客室が少ない。(1-4-a・ b) 13:00∼14:00 昼食(宿) ¨ ルームサービスをと ¨ 食事のルームサービスを行っている宿泊施 って、部屋で軽食を 設はほとんどない。(1-(4)-a・b) とりたい 14:00∼16:30 小笠原を概観 ¨ ビジターセンターで ¨ ビジターセンターは小笠原の自然や文化に する 最新の情報を収集 ついて触れる初歩として活用価値が高いが、 する 解説員が少ないため、十分な情報提供がで きていない。(2-(4)-b・c) 散策 ¨ 足慣らしに身近な遊 ¨ 小笠原には現在父島に 7 カ所、母島に 4 カ 歩道を歩いてみる 所の遊歩道が整備されているが、詳しいル ート解説マップがないために、ガイドなしで歩 くには不安がある。来島者が自分のペースで 自由に歩くことができるトレッキングルートの 整備が求められる。(1-(2)-d,1-(8)-i) 船内 2日目 2日目 ビジターセンターでは、小笠原の歴史や自然に関 する展示があり、専門の解説員に質問をすればそ の詳細を解説してくれる。また、自然や歴史をコ ンパクトにまとめたビデオが上映されており、小 笠原に関する基礎的な知識の習得に役に立つ。父 島の最も繁華なエリアに立地するが、メインの通 りからわずかに中に入ったところにあるため、存 在がわかりにくい。多くの観光客、ならびに地元 の住民や研究者が気軽に訪れ、情報の交換をとお したふれあいが促進されるような、にぎわい空間 となるとよいだろう。(写真は小笠原ビジターセ ンターの外観) 27 Case-1:熟年夫婦の旅行 スケジュール 行動 ニーズ 現状と課題 (カッコ内は P43∼P56 の各事業 No.に符号) 16:30∼18:00 宿でのくつろ ¨ 風呂に入り、つかれ ¨ 多くの宿では、宿にある比較的小さな共同の ぎ た体をゆっくりといた 風呂に順番を待って入る。のんびりとした入 わりたい 浴によって船旅の疲れを癒すことができるよ うな施設をもった宿は少ない。(1-(4)-a・b) ¨ 浴衣が用意されている宿泊施設は限られる。 ¨ 明 日 以 降 の 旅 行 計 ¨ 小笠原での過ごし方を相談にのってくれる仕 画をツアーデスクの 組みがない。現在の観光協会の案内業務に 担当者に再確認する は限界があるので、天候や体調に応じた旅 行計画の変更などを伝え、予約の再確認な どを行える新たなツアーデスクの仕組み作り が求められる。(3-(1)-b・c・g) 18:00∼20:00 夕食(宿) ¨ 小笠原ならではの食 ¨ 地産地消が十分にいきわたっていない。観 材を用いた料理を食 光客向けの料理では、島の食材の使用率は べたい 低い。地元の農水産物は高価な場合が多い ¨ 安全な食材でつくっ (1-(6)-b) た料理が食べたい ¨ 酒類ではラム酒という特産品があるが、島内 ¨ 島の酒で晩酌したい 消費は低い。売り方が課題である。(1-(5)-e) ¨ 農作物の栽培は収穫量重視の指導が行わ れ大量の農薬が散布されている。一方、小 笠原は近隣から農薬や遺伝子組み替え作 物の花粉が飛んでくる恐れがないので徹底 した無農薬栽培が可能である。すべての農 作物を無農薬栽培、非遺伝子組み替え作物 とした小笠原ブランドを確立できる可能性も ある。(1-(6)-b) 20:30∼22:00 宿付近での散 ¨ 星を眺めながら夜の ¨ 飲食やナイトツアーへの参加というはっきりし 歩 海辺を散歩したい た目的がない人は夕食後に外に出ることが ¨ 買い物を楽しみたい 少ない。近くに雰囲気の良い海の見える場 所があれば散歩に出かけ、ついでに土産屋 や飲食店に入ることもあると思われる。また、 土産屋の営業時間が短く、夕食後の時間帯 に利用できるところは限られている。 (1-(7)-c,1-(2)-d) 自然の恵みをふんだんに受けた島栽培のトマ トは、甘みが多く、観光客からの人気も高い。 小笠原固有の魅力として幅広くアピールする 可能性がある。宿泊施設や飲食店の食材として 積極的な活用が期待される。島内産品の活用 (島内調達率の向上)は、観光消費の波及効果 を高め、小笠原経済の活性化に大きく貢献す る。(写真は父島の農協の販売所で売られてい る島トマト) 28 Case-1:熟年夫婦の旅行 スケジュール 3日目 行動 ニーズ 現状と課題 (カッコ内は P43∼P56 の各事業 No.に符号) ¨ 日本一早い夜明けを ¨ 小笠原は夜明けの時間がとても早く、春から 迎える小笠原の朝の 夏の時期であれば午前 5 時ころから活動でき 雰囲気を味わいたい る。現在この時間帯のツアーは魚釣りと初日 の出程度しか行われていない。(2-(1)-t) ¨ 早朝から活動して昼からはゆっくり暑い太陽 の下でビールなど飲んで過ごす「小笠原タイ ム」による旅行計画もあってよい。(2-(1)-t) 9:00∼14:00 の ん び りす ご ¨ 太陽の下でビールを ¨ リゾートホテルのプールサイドのように、屋外 す 飲んだり、軽食をとっ で、横になりながら、ビールをのんだり、軽食 たりしながら、読書で をとったりできる施設や場所はない。 もしたい (1-(2)-d,1-(5)-i) 14:00∼16:00 陸上の自然ガ ¨ 短い時間、亜熱帯の ¨ 用意されているツアーの多くは、半日や 1 日 イドツアーへ 森の中を歩いてみた コースであり、2 時間程度の短いツアーはな 参加 い い。ニーズに応じたツアーの設定が求められ ¨ 固有動植物とはなに る。(2-(1)-t,1-(2)-d) かをみてみたい ¨ 豊かな海を支える森 の仕組みを考えたい ¨ 質の高いガイドに案 内してほしい 16:00∼17:00 漁港で海産物 ¨ 島でとれる海産物を ¨ 漁港では午後 3 時? 4 時ころに水揚げされる の水揚げを見 見たい ことが多く、ここではマグロやカンパチ、ハタ 学する ¨ 市場の雰囲気を体 の仲間など大きな魚を見ることもできる。ま 験したい た、季節によっては伊勢エビも見ることができ る。漁港では現在でも水揚げされた魚を1 匹 から観光客が購入できるが、その仕組はひろ く知られていない。整備次第では観光スポッ トにもなり得 るし、海産物の島内消費、土産 物としての消費につながる。また、内地に出 荷すると氷代、箱代、送料を漁師が負担する ことにもなるので、島内消費の増加は漁師に とっても利点があると思われる。(1-(6)-d) 6:00∼9: 00 起床 早朝ツアーへ の参加 トレッキングや山歩きを楽しむ熟年層が急 増している。初心者であっても安心して参加でき るように、ガイドが同行する自然散策ツアーを充実させる。参加者は自然の中で楽しむこと を主目的としているので、体力的にきつい行程とならないように配慮する。ガイドには高い ホスピタリティが要求されるので、ガイドは安全管理や知識面のトレーニングに加え、接客 の基本マナーを習得しなければならない。また、ツアーをおもしろくするためにはエンター テイメント性も重要な要素である。ツアー中の食事などを工夫するとよい。 (写真は長野県軽 井沢で(株)ピッキオが提供する自然ウオーキングツアーの様 子) 29 Case-1:熟年夫婦の旅行 スケジュール 行動 18:00∼20:00 夕食(宿) 20:00∼21:30 島文化とのふ れあい 4日目 7:00∼8: 30 ニーズ 現状と課題 (カッコ内は P43∼P56 の各事業 No.に符号) ¨ 漁港で購入した海産 ¨ 漁港で自ら購入した新鮮な魚を食べたいと 物を夕食で食べてみ いうニーズはあると考えられるが、それに対 たい 応した仕組みはみられない。(1-(5)-g) ¨ 小 笠 原 固 有 種 の 大 ¨ 小笠原の伊勢エビは最近小笠原でしか確認 型伊勢エビを食べた されない種類と判明した。味も繊細で極めて い 美味である。最大4 キロにもなるこのエビは小 笠原海産物の代表であるが、PR 不足で一般 にはあまり知られていない(1-(5)-g,1-(5)-l) ¨ 小 笠 原 文 化 に 触 れ ¨ 南洋踊り、フラダンス、島唄、ハンドクラフト たい (木の実細工、タコの葉細工、レイ作り、砂絵 など)など魅力的な資源があるが、日頃は客 の目にとまることや体験できる場所はほとん どない。(1-(19)-e,2-(4)-b・c) 起床・朝食 乗合船に乗っ ¨ クジラ、イルカ、ウミガ ¨ ガイド養成は、現在東京都(南島と石門)およ て小笠原の海 メ、海鳥、魚、サンゴ び小笠原ホェールウオッチング協会、母島森 へ などをみてみたい 林ガイドの認定制度があるが、小笠原で自然 ¨ 手つかずの美しい砂 ガイドツアーを行うための統一的な仕組み作 浜に行きたい りがなされていない。村認定ガイド制度を作 ¨ 南島に行きたい るなど、あらたな取り組みが必要である。ま ¨ 無人島で昼食をりた た、ガイドセンターやツアーデスクの壁に顔 い 写真付きのプロフィールを張り出し、さらに技 ¨ 安全・知識・経験など 量に応じてランク分けするなどして、ガイドの すべての点で質の高 人物像をもっとPR すべき。 い名物ガイドに案内 (1-(1)-f,2-(2)-b,2-(4)-b,2-(4)-c) してほしい ¨ ガイドツアー中の昼食は、参加者自身がコン ビニ弁当などを購入し、持参するケースがほ とんどである。ツアーの演出として昼食を有 効に使うことが大切である。(2-(1)-v) 18:00∼20:00 夕食(外) ¨ めずらしい食材や地 ¨ アカバや四角豆など、島の食材には個性が 酒を飲みたい あり、味もよいが、それらを調理したインパクト ¨ ゆっくりくつろげる居 のある料理が少ない。(1-(5)-a・b・ h・l) 酒屋で食事がしたい ¨ 小笠原らしい雰囲気をもった飲食店が少な い。(1-(5)-h) 9:00∼16:00 観光客に向けた自然解説は、むずかしすぎず、 やさしすぎず、ツアー参加者の反応を見なが ら実施する。知識を伝えるだけでなく、参加 者には五感を存分に働かせて小笠原の自然を 感じ取ってもらうように働きかける。参加者 を満足させるためには、研究機関から得た情 報等をおもしろく伝えることがコツである。 (写真は南島でのガイドツアーの様子) 30 Case-1:熟年夫婦の旅行 スケジュール 5日目 7:00∼8: 30 行動 現状と課題 (カッコ内は P43∼P56 の各事業 No.に符号) ニーズ 起床・朝食 海でのアクテ ¨ ヨットや釣り、シュノー ィビティの体験 ケリングなど、海での 簡単なスポーツを体 験してみたい 12:00∼14:30 入浴・着替え・ ¨ 自分の部屋で入浴・ 昼食 着替え・荷造りをした い ¨ ゆとりをもったチェッ クアウトをしたい 15:00∼17:00 町中の散策と ¨ 小笠原らしい土産が 土産購入 ほしい ¨ 土産品を宅配便で おくりたい 9:00∼11:30 17:00∼18:30 夕食(外) ¨ ¨ 19:00 乗船・見送り ¨ ¨ 船内にて移動 ¨ 中 6日目 11:00 ¨ 高齢者にも安心して参加してもらえる、アクテ ィビティが不足している。(2-(1)-u) ¨ 着発ダイヤ導入後は、アーリーチェックイン やレイトチェックアウトのニーズが高まると考 えられる。この対応が課題である。 1-(4)-b,1-(3)-a) ¨ 小笠原を代表するインパクトのある土産品が 少ない。購買意欲をそそる商品が少ない。 (1-(6)-b) ¨ 宅配便の利用には時間制限がある。船の出 発時刻ぎりぎりまで宅配便の利用が可能に なるとよい。(1-(3)-a) 小 笠 原 の 名 産 品 を ¨ 特産品土産と飲食店が分かれている。自分 試食したい が食べて美味しいと思ったものを土産にでき 乗船が気になるの る仕組みづくりが望まれる。(1-(5)-g,1-(3)-a・ で、港の近くで食べ d) たい スムーズに乗船した ¨ 乗船手続きのための窓口がひとつしかなく、 い 長い行列ができている。(1-(3)-a) 「また来てください ¨ 現在は出港直前に小笠原太鼓で見送りをし ね!」心のこもった見 ているが、TSLにより夜間出港となった場 送りがあるとよい 合、陸で見送る人、船に乗って見送られる人 双方の顔が見える工夫が必要である。 (1-(10)-a) 旅の振り返り ¨ アンケート調査は単発的にしか行われていな いため、観光客の行動実態や満足度を十分 に把握できていない。(3-(1)-h・i) ¨ マーケティングや品質管理に関する情報が 少ない。(3-(1)-h・i) 下船 未経験者であっても小笠原の海を見て、と たんに釣りやダイビングにチャレンジし てみたいと思うことは多いだろう。初心者 や熟年層であっても気軽に楽しむことが できるソフトアドベンチャーツアーの充 実が望まれる。(写真は小笠原での初心者 向け釣り体験ツアーの様子) 31 Case-2:家族4人の旅行 スケジュール 旅行前 行動 プランニング アクセス 初日 2日目 19:00 乗船 12:00 父島入港 下船 まずは宿へ 12:00∼12:30 ニーズ ¨ 子どもに手つかず ¨ 島内のツアープログラムに関する詳細情報が の自然を味わわせ ないため、各ツアーには子どもが参加できる たい かどうかわからない。(1-(8)-g) ¨ 親はのんびりすごし ¨ ビーチに関する情報が少ないため、何を用意 たい していけばよいか(例えば、バスタオルは必要 なのか)わからない(1-(8)-g) ¨ 子どもがいることと、 ¨ 港周辺にリーズナブルな 駐車場が少ない。 大荷物のため、マイ (1-(3)-e) カーでアクセスした い。 ¨ 予約の段階で、家 ¨ 現在の運賃制度では困難である。 族で1部屋を貸し切 りたい ¨ 荷物を置き、着替え をしたい ¨ ほっと、一息つきた い 12:30∼13:30 散歩をしなが ¨ 船 旅 で 疲 れ て い る ら昼食をとる ので簡単なメニュー 店を探す でよい ¨ 店探しに苦労はした くない 13:30∼16:30 静かな美しい ¨ 子供を安全に遊ば 砂浜でリラック せたい ス ¨ 初日なので、のんび りできればよい ¨ 海で遊ぶ子供を見 守りながら両親はリ ラックスしたい ¨ 少ない荷物だけで いきたい。バスタオ ルなどの準備が整 っていてほしい ¨ 町の中心部から簡 単に行き帰りができ るところが安心だ チェックイン ¨ スマートにすませた い 16:30 現状と課題 16:30∼18:00 風呂 ¨ 大浴場にはいりたい 18:00∼20:00 夕食(宿) ¨ 親は地ビール、子ど もには島の果物を 32 ¨ 前客のチェックアウト時と重なるため、出迎え やチェックインの手続きが手薄になると考えら れる。(1-(3)-a・c・d) ¨ 宿に行っても部屋にはいることはできない。 (1-(3)-a・c・d) ¨ 宿によっては、荷物を預かることができない。 (1-(3)-a・c・d) ¨ 慣れぬ船旅で船酔いも手伝ってか、昼食を積 極的に食べようとする客はあまり多くないようで ある。現在、昼食の営業店数は 16 軒(父島) だが、ハイシーズンであってもそれほどの混雑 は見られない。到着日の朝には、下船してか ら島内で昼食を食べてもらえるようにPR するこ とも必要である。(1-(5)-i) ¨ 現在は「父島グルメガイド」(A4 白黒印刷テキ ストのみ)があるが、視覚にうったえるものでな くわかりにくい。(1-(8)-h) ¨ 小笠原にはたくさんのビーチがある(父島だけ で約 30)が、サンゴが発達していて子供が遊 ぶには危険なビーチも多い。付帯施設に関す る十分な情報を掲載したビーチ案内紙、目的 別のビーチマップがないので、場所の選択に 苦労する。(1-(2)-f,1-(8)-i) ¨ ビーチ管理体制が未整備であり、事故への対 応が不十分である。(2-(2)-k・I、1-(2)-g) ¨ バスタオル、ビーチベッドやパラソル、冷たい ビールが飲めるようなサービスが整ったビーチ がない。(1-(2)-f) ¨ 町の中心部からビーチへのアクセスが未整備 であり、手軽に行き来できる状況ではない。 (1-(2)-f) ¨ 宿の管理者が常時いない施設もあり、船到着 時以外の時間帯ではチェックインにとまどうケ ースがある。(1-(4)-b) ¨ 旅先で非日常を期待する家族層では、入りな れない大浴場に親子で入ってみたいというニ ーズもある。大浴場をもった宿はなく、いわゆ る外湯もない。(1-(3)-b) ¨ 東南アジア諸国、沖縄など、南国には想い出 に残るビールの味がある。小笠原地ビールが Case-2:家族4人の旅行 スケジュール 20:00∼21:30 3日目 8:00 9:00∼11:00 11:30∼16:00 18:00∼19:30 20:00∼22:00 行動 ニーズ 現状と課題 つかった果汁100% あるとよい(1-(5)-m・n) ジュースをのませた い 家族で団らん ¨ 部屋でゆっくりした ¨ 家族4人がゆとりをもって過ごすことができる客 い 室は限られている(1-(5)-b) ゆっくりめの ¨ 休暇の朝ぐらいは ¨ 朝食の時間やツアーの出発時間などが決め 起床 のんびりしたい られており、早起きを余儀なくされる。 (1-(5)-f・b) ¨ おがさわら丸の入港中は、ツアーは午前 9 時 から午後 4 時頃までの丸1日のコースしかな い。(2-1-t) トロピカルブラ ¨ ゆっくり時間をかけ ¨ 小笠原ならではのブランチメニューを提供す ンチ(外) て好きな場所でブラ る飲食店は皆無である。また、朝食営業する ンチをとりたい 飲食店は父島で 2 軒程度しかない。(1-(5)-h・ ¨ トロピカルフルー f) ツ、とれたての卵や 野菜などをたべたい チャーター船 ¨ 子どもがいるので時 ¨ 値段の高いチャーター船か、大きな乗合船の に乗って海に 間にしばられたくな ツアーしかない。3 万円程度で細かな要望に 出る い。できれば、チャ 応えることのできるガイド船はない。(2-(1)-t) ーターが望ましい ¨ 自分で釣った魚を食べてみるなど、ガイドツア ¨ 無人島を探検した ー中に工夫のあるおやつ提供があるとよい。 り、おやつを食べた (2-(1)-w) り昼寝をしたりした い 夕食(宿) 天体観望会 に参加 ¨ 本土では見ることの ¨ 星座や惑星観察は手軽で大変好評だが、現 出来ない南の星座 在はあまり行われていない。(2-(1)-t) (南 十 字 星 な ど )、 天の川、流れ星が みたい 子供や子供連れの家族を対象とした自然体験プログラムの人気が高まっている。野菜や果 物の収穫体験では、これまでのような観光農園でのもぎとりではなく、農家の田畑を利用 した農業体験、自然観察においても専門のガイドが案内する体験プログラムに対するニー ズが高い。キーワードはホンモノ体験である。 (写真左は新潟県八海山農業体験大学校、 右は長野県軽井沢(株)ピッキオにおける夏休みの子供向け自然観察プログラムの様子) 33 Case-2:家族4人の旅行 スケジュール 4日目 行動 ニーズ 現状と課題 7:00∼8: 30 起床・朝食 9:00∼11:00 子どもはビー ¨ 子どもをあずかって ¨ 子供を主な対象とした体験学習的なツアーは チコーミング もらいたい 皆無である。(2-(1)-t) に参加。 ¨ 身 近 な 自 然 環 境 を ¨ エステやマッサージなどのリラクゼーションプ 母親はエステ 楽しく学ばせたい ログラムを提供する施設やサービスはない。 父親は読書 ¨ その間、親はリラック (1-(1)-a・b・d) スしたい ¨ 海をみながら、長時間滞留できる飲食施設は ない。(1-(5)-h) 昼食(外) ¨ 木陰でゆっくり弁当 ¨ 宿で用意してもらう弁当は、ビニール袋に入っ をたべたい たおにぎりや鳥の唐揚げなどが主流であり、 ¨ 島ならではのお楽し 小笠原らしさが発揮されていない。小笠原に み弁当をたべたい はハスノハギリやバナナの葉があるので、島の 塩を使った「塩むすび」をこれで包む、島魚の 唐揚げ、島のハーブを使ったハーブティーな ど 島 ら し い 弁 当 づ く り を 積 極 的 に 行 う。 (1-(5)-j) ¨ 外で弁当を食べる場所が少ない。テーブルな ど人工物のない場所でのお弁当の食べ方を、 昔の知恵などを出し合って作り上げる。 (1-(5)-o) 陸上の自然ガ ¨ 午 前 中 の ビ ー チ コ ¨ 陸域の資源を活用したガイドツアーは少な イドツアーへ ーミングの体験を活 い。(1-(2)-a,2-(1)-t) 参加 かした自然ツアーで ¨ 現在のツアー参加形態では、ガイドは客が島 あってほしい に滞在中にどのような計画を立てているか知り 得ない。ツアーデスクの担当者とガイド同士の 連携により、客の散発的な体験を連続的なス トーリー性のある体験へと膨らませるような工 夫が必要である。(2-(4)-c) 夕食(外) ¨ 海に沈む夕日を見 ¨ 夕日を見ながら夕食を食べられる好立地な飲 ながらゆっくり夕食 食店はない。(1-(5)-h) を楽しみたい 11:30∼13:00 13:30∼16:00 18:00∼20:00 子供に手つかずの自然の中で思う存分遊ばせてやりたい、子供を楽しく安全に遊ばせながら、 自分たちはのんびり過ごしたいというニーズは多い。 (写真は小笠原のビーチの様子) 34 Case-2:家族4人の旅行 スケジュール 現状と課題 7:00∼8: 30 9:00 チェックアウト 9:00∼11:30 12:00∼13:00 13:30∼14:30 6日目 ニーズ ナイトツアー ¨ 夜の動植物のくらし ¨ 夜のツアーでは足下が見えにくいため、危険 へ参加 や、夜の砂浜でカニ がともなうことがある。子供が参加しても安全で や 夜 光 虫 、ウミガメ 十分に楽しめるツアーが必要である。 の産卵などを見た (2-(1)-t,2-(2)-k) い 起床・朝食 20:00∼22:00 5日目 行動 ¨ クレジットカードで清 ¨ クレジットカード利用可能な施設は少ない。 算したい (1-(5)-f,1-(10)-b) ¨ 荷物を預かってほし ¨ チェックインと重なるので、全ての施設が荷物 い を安全に管理することは難しい。 ¨ 繁忙期などは、チェックアウト後、大きな荷物 をもってうろうろせざるを得ない状況が見られ る。スムーズな客の入れ替え態勢を整える必 要がある。 シーカヤック ¨ 簡単なマリンスポー ¨ 二人乗りのカヤックもたくさんあり、親子での参 体験 ツを体験したい 加も見られる。カヤックはみんながバラバラの ¨ 海との一体感(低い 方向に流れてしまうとガイドも助けに行くことが 視線・動力音なし) できない。安全管理の徹底が必要である。 を感じたい (2-(19-u,2-(2)-k) 着替え ¨ シャワーを浴びて着 ¨ 現在は、宿泊施設で対応しているところがある 替えをしたい が、着発便の都合上、今後は難しくなると考え られる。(1-(3)-a・c) 昼食 15:00∼17:00 食後の休憩、 ¨ 子どもを昼寝させた 荷物整理、町 い 中の散策と土 ¨ 日常生活で利用で 産購入 きる土産品をかいた い ¨ 一度チェックアウトしてしまうと、こどもをゆっく り昼寝させられるような場所がなく、困っている 家族連れが見られる。(1-(3)-a・d) ¨ アクセサリー類など女の子向けの土産品はあ るが、男の子用はTシャツ程度に限られる。 (1-(6)-b) ¨ 最終日なので、少し ¨ 観光客が、とれたての南海の魚などを間近に 贅沢に、子供たち 見られるところはない。(1-(5)-g) に、大きな魚をみ せ、それを食べてみ たい 17:00∼18:30 夕食(外) 19:00 乗船・見送り 11:00 下船 自分自身が利用するお土産を買い求める人 が多くなった。小笠原ではいわゆるギョサ ンのカラーバリエーションが増えた。Tシ ャツやハンカチなどとは異なる、こだわり の想い出の記念品として人気が高い。 (写真 は小笠原の土産店の店頭にならぶギョサ ン) 35 Case-3:若年グループ3人の旅行 スケジュール 行動 旅行前 プランニング 初日 アクセス 2日目 19:00 12:00 12:00∼12: 30 12:30∼16:00 ニーズ 現状と課題 ¨ とにかく島に行く。 ¨ 若い旅行者には小笠原滞在中を気ままに過ご そして着いてから行 したい、あまりきめ細やかなサービスはかえっ 動内容を決めたい て煩わしいというニーズも多い。とはいえ、現状 ¨ ガイドブックやホー では、情報が少ないため、出発前に過ごし方 ムページでの詳し をイメージできない。(1-(8)-g) い案内がほしい ¨ 船内で食べる夕食 ¨ 浜松町駅から竹芝桟橋へ向かう途中での買い 用弁当やお菓子類 物は、大きな荷物を抱えていることもあり不便 を買いだしたい。 である。できれば現在の先客待合所内の販売 ¨ 荷物をおいてじっく 所で買い物をしたい、船内のビールは高いた り買いだしをしたい めできるだけ定価で買ってから船に乗りたいと ¨ 船に乗る直前に冷 いう若者は多い。船客待合所には小さなコンビ たいビールを購入 ニがありそのニーズに応えているが、事前情報 し、デッキで夜景を ではスナック、売店がありますという案内にとど 見ながら飲みたい まっており、品揃えまではわからない。 (1-(3)-e) 乗船 父島入港・下 船 ¨ 船客待合所でのツ ¨ 入港時間帯は船客待合所内の観光案内所が アー情報、島情報 混雑する。また、ここではパンフレットの提供程 の提供 度であり、島での過ごし方の相談にはのっても らえない。また、ガイドツアーの空き状況、宿泊 施設の状況、クジラの様子など動態情報を得 ることはできない。(1-(3)-a,3-(1)-a・b) まず宿へ ¨ 自由気ままに行動 ¨ 小笠原には若者のニーズに対応した宿は多 できる活気のある宿 い。(1-(4)-b) レンタカー・ ¨ 自分たちのペース ¨ レンタルバイクはあり利用状況はよい。 レンタルバイ で島を回りたい ¨ 島内の案内標識は、はじめての人にとっては クで島を1 周 ¨ 島を自分の目で見 わかりづらい。(1-(8)-a, 1-(7)-b) て、それから今後の ¨ 島の概要がわかるポイントや所要時間を記入 予定を立てたい したマップがない。(1-(8)-a, 1-(7)-b) 何もしないでただぼーっと海をみつめて いたいという若者も多いだろう。時間に応 じた見所の案内情報の提供や、行きたい時 間に行きたいところに行けるような交通 体系の整備が求められる。 (写真は通称ウ ェザーステーションで海に沈む夕日を眺 める若者の様子) 36 Case-3:若年グループ3人の旅行 スケジュール 行動 16:30∼17:30 宿に帰って のくつろぎ 17:30∼18:00 18:00∼20:00 20:30∼22:00 3日目 4:30∼5: 30 7:30∼8: 30 9:00∼16:00 16:30∼18:00 18:00∼19:30 20:00∼7:00 4日目 7:30∼8:30 ニーズ 現状と課題 ¨ 明 日 以 降 の 予 定 を ¨ ツアーパンフレットは充実しているが、そのツア たてたい ーの特色が詳しくわかり、空き状況までわかる ¨ 各ツアーの評判を 情報サービスはない。また、各種ツアーの評価 知りたい を知る手段はない。(3-(1)-h) 夕 日 を 見 な ¨ 水平線に沈む夕日 ¨ 水平線に沈む夕日は小笠原の大きな魅力だ がらビールで を見ながらビールを が、そのビューポイントの案内情報や場所の整 乾杯! 飲みたい 備が不十分である。また、そこまでの交通機関 が未整備である。(2-(1)-d,1-(7)-a) 夕食(自炊) ¨ 仲間たちと語らいな ¨ 島の食材は高価なものが多い。(1-6-c・d) がら食事がしたい ¨ 居酒屋など以外には、交流空間が少ない。 ¨ 他のグループとも交 (1-(1)-e) 流したい ¨ ビーチではバーベキューは禁止されている。 ¨ 島の食材を自分た (1-(1)-e) ちで準備し、安価に 自炊をしたい 二次会 ¨ 開放感に浸りたい ¨ 若者は屋外で多少騒ぐことがあるが、住民との ¨ 夜の海辺での仲間 トラブルなどはほとんどない。(1-(2)-d) と語らいたい ¨ 海と星の見える場 所で酒盛りがしたい 起床 ¨ 日本一早い夜明け ¨ 日の出をみるためには、東海岸まで行く必要 日の出を見 を味わいたい がある。バイクやレンタカーを前の日から借りて に行く ¨ 朝の空気を思い切 おく必要がある。(2-(1)-t) り吸い込みたい ¨ 夜間の照明が暗く、危険である。(1-(7)-c) 朝食 ¨ 朝日を浴びて外で ¨ 朝食を弁当にして朝からツアーに出かける場 朝食をとりたい 合もあるが、決められた時間に食堂で朝食をと っているケースが大部分。朝食の取り方の自 由度を高めたい。(1-(5)-i) 砂浜で遊ぶ ¨ 人 の 行 か な い 美 し ¨ 若年層は 2? 3 時間かけて人の少ない砂浜に い砂浜で遊びたい 歩いて行くことが多い。(1-(2)-f) ¨ 貸 し 切 りの 贅 沢 な ¨ 緊急時の連絡体制を整える。(1-(2)-g) 気分を味わいたい 夕 食 前 の く ¨ シャワーを浴び、す ¨ シャワー設備が整っているビーチが不足して つろぎ っきりしたい いる。(1-(8)-i) ¨ 宿泊施設のシャワー利用では、使いづらいケ ースもみられる。 夕食(自炊) ¨ 簡単に安価に自炊 ¨ 夕食をカップラーメンなどで済ませる若者は多 で済ませたい い。島どんぶりなど、安価で手軽なインスタント 食品やメニューの開発が望まれる(1-5-i・j) 夜 間 の 野 生 ¨ オガサワラオオコウ ¨ 夜間を通して観察ができる仕組みはない。海 生物観察会 モリやウミガメの夜 外では、野生動物のエサ場(岩塩など)付近に 間の行動を観察し 火の見櫓状の観察小屋(中にはベッドがありシ たい ュラフ利用で泊まることができる)をつくり希望 者はそこから野生動物を観察できる工夫がさ れている。(1-(2)-e) 朝食 9:00∼16:00 ダイビング体 験 16:30∼17:30 風呂 18:00∼20:00 夕食(外食) ¨ ダイビングを体験し ¨ 様々なダイビングショップがあり評判もよいが、 たい ショップごとの特色を事前に知ることはできない ¨ 初体験でも親切に ため、選択が難しい。インターネットを利用した 指導してほしい 書き込み情報の活用が望まれる。(3-(1)-g・h) ¨ かわった風呂(柑橘 ¨ 風呂にまで気を配る宿は少ない。(1-(4)-b) 風呂、ゲットウ風呂 など)にはいりたい 37 Case-3:若年グループ3人の旅行 スケジュール 5日目 ニーズ 現状と課題 7:00∼8: 30 起床・朝食 8:30 チェックアウト ¨ 海に出る間の貴重 ¨ 現在、船客待合所内ないで荷物を預かってい 品管理や持ち歩き るが、その後のシャワーや着替えを考えると不 のお金のことを考え 便である。(1-(3)-a・c・d) ると気がかりが多い ¨ 貴重品の管理に工夫が必要である。 イルカ調査ツ ¨ 研究の現場に参加 ¨ 現在小笠原で催行されているツアーは、見せ アーに参加 してみたい る・体験するといった一般的なツアーが大部分 ¨ イルカのことをもっと である。自然や環境への興味がある人にむけ 知りたい た小笠原の自然科学調査に参加する仕組み づくりが期待される。(2-(1)-t,2-(4)-c) シャワー・着 ¨ シャワーを浴び、す ¨ チェックアウト後の宿泊者を対象として、シャワ 替え っきりしたい ーやメイクのための施設を整えることが望まれ ¨ メイクもしっかりした るが、全ての宿で対応することは難しい。 い (1-(3)-a・c・d) 昼食 9:00∼12:00 12:00∼13:00 13:30∼14:30 6日目 行動 15:00∼17:00 町中の散策 と土産購入 17:00∼18:30 夕食 19:00 乗船・見送り 11:00 下船 ¨ 小 笠 原 で の 体 験 を ¨ いわゆるギョサンなど、小笠原での体験を象徴 自分の生活にもち するような土産物を買い自宅に戻ってからも利 こみたい 用したいというニーズが多いと思われる。日常 的に利用する土産品の開発(例えば、ペットボ トルに変わる水筒など)が望まれる。 ¨ 劇的な別れを体験 したい ¨ 現おがさわら丸の見送りは、島の想い出をより 強烈にするものであり、とりわけ若者にとっては 劇的でさえある。TSL就航により、時間帯、船 のスケール感などシチュエーションは大きく変 わるが、これまで通り効果的な別れのを演出す るよう工夫する。(1-(10)-a) TSL就航によって旅行行程が短縮され ると、出航間際まで小笠原の自然を楽しも うとする観光客が増加すると考えられる。 最終日にチェックアウトした後もシャワ ーを浴びたり着替えができるサービスが 必要になるであろう。 (写真はドルフィン スイム船の様子) 38 Case-4:中高年女性グループ5人の旅行 スケジュール 行動 ニーズ 現状と課題 旅行前 プランニング ¨ パッケージツアーの 方が安心であり、幹 事の負担が少なく てすむ ¨ 現地では、最小限 の団体行動の他は 仲間同士で行動し たい ¨ 様々な体験をして みたい ¨ イベントにも参加し てみたい 初日 アクセス ¨ パッケージツアーのバリエーションが少ない。 団体での観光と現地オプションを組み合わせ た商品が必要である。(3-(1)-d) ¨ 産業体験ツアーはほとんど行われていない。 暮らしと密着した体験ツアーを増やすことは小 笠原の魅力アップにつながる。(3-(2)-a・b・c) ¨ 屋内型の体験ツアー(木の実、木の葉細工な ど)以外は、天気が悪化した際 などの代替えメ ニューがほとんど整備されていない。荒天時も 空き時間がないようなプランが立てられる態勢 が必要。(3-(2)-a・b・c) ¨ 内地での宣伝イベントはダイビングフェスティ バル、バードウォッチングフェスティバルなどに 限られている。東京駅の前でパッションフルー ツを配るなど、一般にもアピールする時事風物 的な宣伝も検討する。(3-(2)-a・b・c) ¨ 現在そのような路線はない。(1-(3)-e) ¨ 大宮や横浜などか らの直通バスを利 用したい ¨ ツ ア ー 中 の 説 明 を ¨ 現在の船客待合所は、一般の乗船客と団体利 はっきりとききたい 用者が混在しており、ツアー客の集合場所が わかりにくい。よって、添乗員や旅行会社係員 の説明も聞き取りにくい。(1-(3)-e) 2日目 19:00 乗船 12:00 父島入港・下 船 団体による島 内観光ツア ー 12:00∼15:00 ¨ チェックインまでの ¨ 大型バスによる島内めぐりは現在ない。チェッ 時間を有効に使い クインまでの間、小笠原の概要をみてまわるた たい めには、観光ツアーは便利である。(2-(1)-s) ¨ 一般的な観光を味 ¨ バスでは、通 常のバスガイドの案内より、専門 わいたい 性の高い自然ガイドの案内、加えて島の歴史 ¨ 島民の暮らしぶりを や暮らしを語れるガイドの案内が望ましい。現 知りたい 在、「自然ガイド」の関心は高いが、産業や暮 らしなどを詳しく知っているガイドはほとんどい ない。電力や水がどのように供給されているの かさえ知らない自然ガイドが結構いる。 (2-(2)-j) 島たび好きをターゲットに企画されたこの団 体のほとんどは、中高年の女性客であった。中 高年の女性層は、平日に長期の休暇をとること ができる優良ターゲットである。好奇心が旺盛 であり、従来の「見る」だけの観光では飽き足 らない人も多い。(写真は竹芝桟橋の船客待合 所でおがさわら丸の出航を待つパッケージツ アー客) 39 Case-4:中高年女性グループ5人の旅行 スケジュール 3日目 行動 ニーズ 現状と課題 16:30 チェックイン ¨ 申し込み条件に応 じた宿泊施設に泊 まりたい 16:30∼18:00 入浴 ¨ 仲 間 と一 緒 に 風 呂 に入りたい 18:00∼19:30 夕食(外) ¨ 懇親会をかねた宴 会がしたい 6:00∼7: 00 起床・朝食前 の散歩 ¨ 起 床 ・朝 食 前 に 朝 市に出かける ¨ 朝市で新鮮な果物 や野菜をみて回り たい 7:30∼8: 30 朝食(朝市の ¨ とれたての新鮮な 横のテラスで 野菜や果物、フレッ 朝食) シュジュースを楽し みたい 9:00∼11:30 海水塩づくり ¨ 島の名産品を自分 体験ツアー でつくる に参加 ¨ お土産にもしたい 小 笠 原 の 海 ¨ 製造体験した塩の 水塩を使った 味を満喫しよう 料理で昼食 11:30∼13:30 13:30∼16:00 18:00∼19:30 水 産 加 工 場 ¨ ひものづくり体験 でひものづく り体験 夕食(宿) ¨ 宿泊収容力の大きな宿泊施設はないので分 宿はやむを得ないが、参加者ごとにツアー条 件に則ったグレードの宿泊施設、部屋条件を みたすことが重要である。部屋タイプまで明確 となった情報類はない(1-(4)-b・c,3-(1)-g) ¨ 夕食までの時間が限られるので入浴時間は集 中する。大浴場を備えた宿泊施設はない。 (1-(3)-b,1-(4)-c) ¨ 大広間をもった施設はない。(1-(1)-e) ¨ 団体に対しては、南洋踊りなどを見ながら会食 できる施設があるとよい。(1-(1)-e) ¨ 小規模な朝市が地元婦人会などの主催により 不定期(低頻度)に農協の直売所前で行われ ている。農作物ばかりではなく、おはぎや島ド ーナッツなどの家庭料理も出されている。この 朝市の宣伝は、観光客に向けては積極的に行 われておらず、もっぱら島民が立ち寄る程度 (村民でもあまり知らない)。このような市を定期 化することにより、島内の楽しみは増える。 (1-(6)-e) ¨ 積極的に朝市を紹介する。朝市に出かけ、そ こで買った食材などをその場で食べられるよう な仕組があるとよい。調理済みの料理を食べる ことができるくらいのスペースがほしい。 (1-(5)-g) ¨ 今は、ガラス細工などの一部を除いて客が参 加できる仕組みはない。作業工程の一部でも 体験するだけで十分に楽しい。(2-(1)-t) ¨ 島内の飲食店などでは小笠原の塩を普通に 使うところが多いが、PR 不足である。(1-(5)-a・ b) ¨ 団体が一度に昼食をとることができる飲食店は ない。(1-(5)-h) ¨ 漁協の水産加工場があり、くさや、ひもの、薫 製、島魚の小売りなどをやっている。いまは、 その体験メニューはない。(2-(1)-t) 手作りされている小笠原の塩は土産品として 人気が高い。生産された塩を買うだけでなく、 自ら塩を作ってみたいという観光客ニーズも ある。塩づくり、そして自ら作った塩をつかっ た小笠原料理づくりなど、小笠原の生活文化に 直に触れられる一連の体験をプログラム化す るとよい。 (写真は小笠原における塩製造の様 子) 40 Case-4:中高年女性グループ5人の旅行 スケジュール 4日目 7:00∼8: 30 9:00∼16:00 18:00∼20:00 20:30∼23:00 5日目 7:00∼8: 30 9:00∼11:30 13:30∼14:30 15:00∼17:00 6日目 行動 ニーズ 現状と課題 ¨ 前 日 に 作 っ た ひ も ¨ 体験メニューを独立して行うのではなく、体験 ので朝食 から食事まで、一体的に展開するプログラムが ¨ はじめて作ったひも あってもよい。これらを連携することにより客に のを味わう とってはより深い体験が満喫できる。(2-(4)-c) 植 生 回 復 ツ ¨ ヤギの食害により裸 ¨ 小 笠 原 に は 固 有 動 植 物 を 保 護 す る た め に アーへ参加 地化した属島に植 様々な調査研究、復元事業などが行われてい 物の苗を植える る。いまのところ一般参加はほとんど行われて ¨ 環境復元へ貢献し いないが、将来的には小笠原を特徴づける体 たい 験ツアーになると思われる。(2-(4)-b・c) 夕食(外) ¨ 害獣となっているヤ ¨ ヤギによる植生破壊は大問題である。現在は ギ料理を食べる 駆除のために猟銃などで撃ち殺すだけで食用 にはしていない。(1-(5)-h,1-(4)-b・c,1-(1)-e) 固 有 動 物 保 ¨ オガサワラオオコウ ¨ オガサワラオオコウモリを対象としたナイトツア 護のための モリの行動観察 ーが行われているが、研究者との連携は全くと 調査に参加 ¨ 稀少な固有動物の られていない。ツアーそのものがオオコウモリ 観察 の生息を脅かしている可能性も大いにありえ る。将来は研究者、ガイド、観光客を巻き込ん だ保護プログラムが展開されることが望まれ る。(1-(4)-b・c,1-(2)-e) 起床・朝食前 の散歩 農 園 で 果 物 ¨ パ ッ シ ョンフルー ¨ 現在観光農園はない。母島で開始する動きは 狩りに参加 ツ、柑 橘 類 (レモ あるが、通常の畑に客が入ると畑が荒れたりウ ン、ブンタン、オレ イルスが入ったりする危険があるので新たな整 ンジ、タンカンなど) 備や基準作りが必要である。(2-(1)-t) を収穫する喜び ¨ オガサワラオオコウモリはバナナや柑橘類など ¨ 農業者との語らい も餌とすることから、農業者にとっては害獣とも ¨ 土産としての果物 いえる。前の晩に参加したオオコウモリ調査で 狩り の知識などと合わせて、果実に残されたオオコ ウモリの爪痕などを見るのも楽しい。この点から 見ると、観光農園でのガイドも動植物に関する 豊富な知識や経験が要求される。(2-(1)-t) 昼食 起床・朝食 17:00∼18:30 町中の散策 と土産購入 夕食 19:00 乗船・見送り 11:00 下船 ¨ 農産品を買って帰り ¨ トマトは人気があり、お土産に買う人も多い。品 たい 不足をさけるため安定的な供給が重要である。 観光客の自然に対する興味の度合いに応じた 自然体験プログラムを準備するとよい。自然に 対する関心が強く、環境保護の意識も高い観光 客に向けては、小笠原の自然保護に直接的に貢 献するようなプログラムを提供する。(写真は 秋田県白神山地山麓におけるブナの植林体験 ツアーの様子) 41 Case-5:教育旅行団体の行動 スケジュール 行動 旅行前 プランニング 初日 結団式 19:00 12:00 下船 12:00∼12:30 荷物を預ける 12:30∼13:30 13:30∼16:30 16:30∼18:00 18:00∼20: 30 20:30∼22:00 3日目 7:30∼8:30 現状と課題 ¨ 団 体 旅 行 を 総 合 的 ¨ 現在も学生団体の旅行を受け入れているが、 に企画・運営できる 島外の旅行会社が現存のメニューを選んで旅 総合ツアーデスクが 行を組み立てているだけで、テーマ性をもった あるとよい 企画ではない。(2-(4)-c) ¨ 小 笠 原 な ら で は の ¨ 教育的な観光メニューは、素材となるテーマ 教育効果の高いプ はたくさんあるが、体系立てて整備されていな ログラムを提案して い。(2-(4)-b・c) ほしい ¨ 基本的なメニュープログラムを準備して、各地 の教育委員会や学校への営業活動が必要で ある。(2-(4)-c) ¨ 全員集合時に、セレ ¨ 現在の船客待合所は、一般客と団体客が混 モニーを行う 在している(1-(3)-e) 乗船 船中 2日目 ニーズ ¨ 船中で研修をしたい ¨ 移動中の長い時間を有効に使うための工夫が 少ない。小笠原への移動中に現地講師による 船内研修が行えると良い。船内でオリエンテ ーションなど行えると効率が良い。 ¨ チェックインまでの ¨ 現在の船客待合所は待合所としての機能しか 間、荷物を預けたい ない。ロッカーや荷物預かり所、シャワー室な ¨ 身支度を整えたい どの機能が必要である。(1-(3)-d) 昼食 ¨ 全 員 で 一 度 に 食 事 ¨ 大人数が入ることのできる飲食店はほとんどな をしたい い。船客待合所付近には、様々な機能が必要 ¨ 島内を移動する前 である。(1-(3)-d) に、食事がしたい 初めて訪れる ¨ マイクロバスでの移 ¨ 現在、交通機関を利用して 40 人∼50 人規模 小笠原を概観 動 で島内移動することは困難である。 する (1-(7)-a,2-(1)-s) チェックイン ¨ 分 宿 で の サ ー ビ ス ¨ 分宿によるサービス格差によるクレームは多 (分宿) 格差がないこと く、改善が必要である。(1-(4)-c) ¨ 入浴がスムーズにお ¨ 学生団体をスムーズに入浴させられる宿泊施 こなわれること 設はない。(1-(3)-b) 夕食(宿) ¨ 宿 間 で 格 差 の な い ¨ 分宿による差が無いような配慮、宿間の連携 食事内容 が必要である。(1-(5)-a・b) 現 地 講 師 (ガ ¨ 団体で研修する ¨ 団体が集うことのできる場所として、ビジターセ イド)と対 面 ・ ¨ 高い専門知識と経 ンターや福祉センターが使われることが多い オリエンテー 験をもった講師陣に が、イベントが重複することもあるので、その他 ション 期待 の施設整備が望まれる。(1-(1)-e,2-(4)-b・c) 朝食(宿) 18:00∼19:30 10 人 程 度 の ¨ 質 の 高 い 小 規 模 な ¨ ガイドは小笠原のことに関しては大変詳しい 小グループに ツアー が、教育目的に充実させたツアーを成功させ 分かれてツア ¨ 無理のないスケジュ るには、さらに幅広い知識を有する必要があ ーに出発 ール る。(2-(4)-b・c) ¨ 昼食は各小グルー ¨ 環境復元、調査、産業体験、文化とのふれあ プごとにとる。夕食 い、戦跡、海や山のツアーなどのメニューを、 は宿でとる。 翌日と2日間かけて全ての小グループが体験 できるようにスケジュールを組む。(2-(1)-S) 夕食(宿) 20:00∼21:30 ナイトツアー 9:00∼17:00 ¨ 班ごとにグリーンぺ ¨ 10 班程度を、同水準のサービス内容で輸送 ぺの観察にでかける し、ガイドできるようにする。 42 Case-5:教育旅行団体の行動 スケジュール 4日目 9:00∼17:00 7:00∼8: 30 前日同様の班 別行動 夕食(外) ¨ ダイナミックな料理 ¨ 年に 1、2 回くらいは団体研修などを招いて屋 現地講師や島 を味わいたい 外でのバーベキューなどが行われているが、 民とともにバ ¨ 島民とふれあいたい 場所の確保などが難しい。(1-(1)-e) ーベキュー 自由行動 ¨ おみやげを買う ¨ 夜の町を安心して歩けるように、照明の状況な どを検討する。 起床・朝食 9:30 チェックアウト 10:00∼12:00 参加者全員参 加の成果発表 会 12:30∼13:30 昼食(外) 13:30∼17:00 19:00 町中の散策と 土産購入 夕食(外) ¨ 出港 時間が気にな るので、港の近くで 夕食をとりたい 乗船 11:00 下船 17:00∼18:30 旅行後 現状と課題 朝食(宿) 20:30∼23:00 6日目 ニーズ 7:00∼8: 30 18:00∼20:30 5日目 行動 ¨ チェックアウトから出 ¨ このような施設がないので、団体に対応したロ 港までの間の荷物 ッカーや荷物預かり所、シャワー室などを備え 置場が必要である たターミナルが必要である。 ¨ 着替えや身支度が できる施設があると よい ¨ 体験成果を報告し、 ¨ ビジターセンターや福祉センターの利用も考 学習効果を高めた えられるが、新たな施設整備が望まれる。 い (1-(1)-e) ¨ 小笠原高校の体育館などを利用し、地元の高 校生との交流があったら楽しい。(1-(1)-e) ¨ 町 の 中 心 部 、 港 の ¨ このような施設はないので、施設整備の検討 周辺で全員一度に が必要である。(1-(3)-d) 食事をとる ¨ このような施設はないので、施設整備の検討 が必要である。 旅行終了後の ¨ 小笠原とのつながり ¨ 小笠原の自然や文化に関する総合的な研究 ケア を生かし続ける 機関を設置し、そこが窓口となって対応できる ¨ 旅行成果として出て ような体制を整備する。(2-(4)-b・c) きた疑問点や宿題、 課題を解決する 修学旅行の行程や総合学習の時間に環境教育 を取り入れる学校が急増している。教科書の記 載事項を学ぶだけでなく、生徒や児童が自ら現 地を訪れ、体験を通してその状況を学ぶことが 重要であるといわれている。子どもたちには、 科学的な研究成果に基づいた情報をわかりや すく提供することが必要である。(写真は北海 道霧多布湿原における中学生を対象とした自 然ガイドの様子) 43 Case-6:熟年夫婦の旅行(母島) スケジュール 行動 旅行前 プランニング 初日 アクセス 2日目 ニーズ 現状と課題 ¨ 父島と母島の違い ¨ 小笠原は主に父島と母島の 2 島にわかれて を詳しく知りたい おり、それぞれの観光業の規模、抱えている 問題点等、異なる点が多い。2 島それぞれの 魅力を明確にすることにより、小笠原全体とし ての魅力アップにつながると思われる。 (2-(1)-a・c) ¨ 観光客にとっては父島と母島の違いがよくわ からない。(3-(2)-b,1-(8)-e・g) ¨ ははじま丸のチケッ ¨ 現状では父島と母島の受け入れ態勢は分か ト予約 れており、連携はとられていない。父島にいて も母島の情報を十分につたえる仕組み作りが 急がれる。 ¨ ははじま丸は通常の場合、予約を行っていな いので、現場で購入するしかない。 19:00 乗船 12:00 父 島 入 港 ・下 ¨ 大きな荷物は直接 船 母島へ移送してほ 母島への乗り しい 継ぎ 12:00∼12:30 12:30∼13:30 14:00 16:00 16:00 18:00∼20:00 20:30∼22:00 ¨ おがさわら丸からおりて、直接ははじま丸に 乗船する際も、大きな荷物を一旦下ろしてま た持ち運ばなくてはならない。航空機の荷物 移送方法のように、機内預かりの荷物は直接 母島へ移送されると便利である。 まずは父島で ¨ 長 い 船 旅 を 終 え ¨ 現在の乗り継ぎ時間においても、約 1 時間の 一休み て、ゆっくり陸の上 間、大きな荷物をもって移動したり、待合所で でのリラックスしたい ボーっと待っているしかない。この時間を快適 に有効利用したい。(1-3-a・d) 昼 食 (二 見 港 周辺) ははじま丸乗 ¨ デッキに出て潮風 ¨ ははじま丸は単なる移動手段となっている。 船 に吹かれながら美し やり方次第では父島・母島間は小笠原の雰 い海を満喫したい 囲気を満喫できる可能性がある。父島出航後 ¨ 父島と母島を海の 30 分、母島入港前 30 分くらいの時間をデッ 上から見ながら海 キの上での解説時間にすると楽しい。 洋生物などの解説 (2-(2)-h) を聞きたい 母 島 到 着 ・下 ¨ 父島とは違った人 ¨ 入港時に見られる景観は父島同様あまりよく 船 情的な出迎え ない。(1-(9)-a) ¨ 母島らしいのどかな ¨ 現在の出迎え・見送りは貨物、一般車両、出 景観 迎えの民宿が交差して混雑し、危険である。 出迎えエリア、貨物エリア、一般車両エリアに 分けて交通整理をする必要がある。(1-(9)-a) チェックイン ¨ 旅仕度をといてゆっ ¨ 現在母島の宿泊施設は 15 軒にすぎない。 くりくつろぎたい TSL 就航後の来島者増を想定すると宿泊施 ¨ 暖かくむかえてほし 設数が不足している。(1-(4)-b) い ¨ 母島らしい、高いホスピタリティ出迎えたい。 (1-(5)-f) 夕食(宿) ¨ 母島ならではの食 ¨ 小笠原の産物に関しては、現在では「小笠 材 原」というひとくくりになっているが、父島産、 ¨ 母島オリジナルメニ 母島産を明確に分けた方がブランド効果が上 ューの開発 がると思われる。(1-(5)-e) 宿の人や同宿 ¨ 母 島 の 楽 し い 話 を ¨ 宿のスタッフは多忙であり、客と語らうゆとりが 者との語らい 聞きたい 少ないようである。自然な雰囲気で客どうし、 ¨ 自分の旅の思い出 客とスタッフが集えるように雰囲気作りを工夫 なども聞いてもらい する。(1-(4)-b) たい 44 Case-6:熟年夫婦の旅行(母島) スケジュール 3日目 行動 ニーズ 現状と課題 18:00∼19:30 ¨ 自家製の果実酒を 飲んでみたい 起床 ¨ 日本一早い夜明け ¨ 小笠原の中でも母島は夜明けの時間が最も 早朝ツアーへ を迎える母島の朝 早く、春から夏の時期であれば午前 5 時ころ の参加 の雰囲気を味わう から活動できる。宿のスタッフが順番に案内 する仕組みなどを検討する。(1-(2)-d) 朝食 ¨ 静かな屋外でゆっく ¨ 決められた時間に食堂で朝食をとっているケ りと朝食を食べたい ースが大部分である。朝食をバスケットなどに 入れて、屋外で自由に朝食がとれるように工 夫する。(1-(5)-i・j・o) 乳房山散策 ¨ 母島らしい山並み ¨ 母島には手軽に行ける魅力的な場所がたくさ をのんびり見て歩く んあるが、ガイドがほとんどいないため、手つ ¨ 母 島 固 有 種 (ハ ハ かずになっている。(1-(2)-c・j) ジマノボタン、メグロ ¨ 屋外に出たときのトイレの問題は解決しなくて など)をみたい はならない。(1-(2)-d) ¨ 親切で暖かなガイド に案内してほしい ¨ 山の上で昼食をとり たい 宿にもどってく ¨ ゆっくりと自分のペ ¨ 入浴時間が決められている宿が多く、汗をか つろぐ ースで風呂に入りた いたままで待たされることがある。(1-(5)-f) い 夕涼み ¨ 海岸や海の見える ¨ 港にあるガジュマルの木などは島民の憩いの 丘などでゆっくり過 場となっていて、観光客などもよく一緒に話を ごす している。母島のシンボルとしての活用を検 ¨ 夕涼み場所へは気 討する。(1-(2)-d) 軽にアクセスしたい 夕食(宿) 20:00∼21:30 夜の散策 6:00∼7: 00 7:30? 8: 30 9:00? 15:00 15:00∼17:00 17:00∼18:00 ¨ ナイトツアーに参加 ¨ 夜の観光はほとんど行われておらず、観光客 して南の小島の静 は宿にいることが多い。(2-(1)-t) かな雰囲気を味わ ¨ 母島の夜の港の静けさはとてもよい雰囲気な いたい ので散策コースとして活用したい。 (1-(2)-d,1-(7)-c) 海岸付近に大きなガジュマルがあり、そこには子供を連れた島民が集う姿がよくみられる。 都心部では決してみることのできない母島固有の時間の流れを感じることができるエリアで ある。素朴さという母島ならではの魅力を観光客に伝えたい。 ( 写真は母島の海岸付近の様子) 45 Case-6:熟年夫婦の旅行(母島) スケジュール 4日目 現状と課題 起床・朝食 9:00∼12:00 母島の農業を ¨ 農業の盛んな母島 ¨ 農 業 体 験 は ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。 見学 で、南 方 特 有 の 農 (2-(4)-c) 産 品 の 収 穫 体 験 を ¨ 農業者は多いが、直接観光客を相手にする してみたい(スイカ、 のは困難なので、ガイドツアーの一環として メロン、トウモロコ 整備するほうが良い。(2-(1)-t) シ、トマト、パッショ ンフルーツ、レモン の収穫など) 昼食(外) ¨ 暑い母島ならでは ¨ 母島には昼食を提供する飲食店が少ない。 の昼食メニュー また、島民が多く利用しているため、なかなか 観光客は利用しづらい。昼食営業店を増や す必要がある。(1-(5)-f,1-(6)-b) 平島で海水浴 ¨ 小さな無人島の美 ¨ 母島では手軽にスノーケリングなどを楽しめる しい砂浜に気軽に 場所が少なく、ガイドも少ない。(2-(1)-t) 行きたい ¨ 平島は大変美しい無人島で、船で 20 分程度 で行けるが、通船が少ない。(2-(1)-t) 夕食(外食) ¨ 母島らしい飲食店 ¨ 飲食店は、観光客向けというよりは、島民向け ¨ 珍しい食材 のものが多い。(1-(5)-h,1-(6)-b) 島文化とのふ ¨ 母島ならではの南 ¨ 母島では、観光協会が情報提供を行ってい れあい 洋踊 り、島 唄 、タコ る他、ロース記念館がビジターセンター的な の葉細工など 役割を果たしている。ロース記念館では、タコ の葉細工教室を毎週 1 回開催している。 (2-(1)-t,2-(4)-b,2-(2)-j) 起床・朝食 14:00∼16:00 18:30∼20:00 20:00∼21:30 7:00∼8: 30 ¨ 母島特産品みやげ ¨ 沖港のそばに農協と漁協の直売所があるが、 (島の魚、野菜、果 地の商品はあまりならんでいない。また、内地 物)を買い、それを 産のものと一緒に並べてあるためわかりづら 宅配してほしい い。(1-(6)-b・c) ¨ 持ち運びが不便なので、父島に同じものがあ れば土産は父島で購入する観光客がみられ る。 9:00∼11:30 港 の 近 くの市 場を見に行く 12:00∼13:00 昼食(外) 14:00 17:00∼18:30 ははじま丸乗 ¨ 心のこもった見送り ¨ 母島の見送りは、船が小さいこともあり、父島 船 とは異なるよい雰囲気がある。(1-(10)-a) 父 島 到 着 (は ¨ 手ぶらで歩きたい ¨ 下船時には荷物をもち、おがさわら丸の船客 はじま丸下 待合室まで持ち運ばなければならない。 船) 夕食(外) 19:00 乗船・見送り 11:00 下船 16:00 6日目 ニーズ 7:00∼8: 30 12:00∼13:30 5日目 行動 ¨ スムーズな乗船 ¨ ははじま丸とおがさわら丸のチェックインは 別々であり不便である。 直売所では、母島産品の農産物も多く売られて いる。地域住民の生活の一端に触れることも観 光客の楽しみの一つとなっている。また、旅行 を終えた後の日常の生活に持ち込めるものを 土産品として買い求める観光客が増えている。 母島で採れたものを題材に、観光客が地元住民 とふれあうこともまた 旅 行 の 楽 し み で あ る 。 (写真は母島の食品スーパーの様子) 46 3.小笠原エコツーリズム推進に向けた提言 3.1 エコツーリズム推進に向けた基本的な方向性 小笠原振興の現状、観光客のニーズをもとにした小笠原観光の現状と課題をうけて、小笠原が取り組 むべき事業を提案する。その前提として、ここではエコツーリズムの推進を通して小笠原振興を図る上 での「理念(普遍性をもち信念価値観) 」 「ビジョン(ある時点までにこうなっていたいと考える到達点) 」 「戦略(理念に基づきビジョンを実現するための道筋や手段) 」を以下のように設定する。 理念 ・ 小笠原振興は、日本で唯一である大洋島として、自然環境の保全に特に留意した観光を核とする。 ・ 資源の利用と保全の調和、住民の住みやすさ、来島者の満足度を同時に達成する。 ・ 日本で初めての滞在型リゾートを目指す。 ビジョン(目標) ・ 2005 年の TSL 就航後には年間 5 万人の来島者を安定的に呼び込む。 ・ 来島者の季節変動を小さくするとともに、自然地域での行動を管理することにより、自然への負荷 を抑えながら、観光関連事業者の経営を安定化する。 ・ 自然や環境、歴史、文化に関する研究を直ちに観光に活かしていくことにおいて最先端を目指す。 基本戦略 ・ マーケティングを重視する(マーケット層別に、TSL就航後に想定される来訪者の観光行動とニ ーズを想定した上での事業提案) ・ 環境保全のためのコントロールを図る ・ インフラ整備を図る(生活インフラ、宿泊施設、景観に関する整備の促進) ・ 人材育成及び観光推進体制の整備を図る ・ 研究と観光の連携を図る 提案事業の分類 1. 観光地整備: (1)観光施設整備、(2)散策道や園地整備、(3)サービス施設、(4)宿泊、(5)飲食、(6)土産・ 物産、(7)島内交通、 (8)情報・案内、(9)景観・町並み、(10)観光客を迎え入れる仕組み、 (11)生活インフラ 2. エコツアー商品開発: (1)商品開発、 (2)ガイド養成、 (3)研究調査、(4)推進機関 3. 販売:(1)販売チャネル、(2)宣伝・イベント 4. 推進体制:(1)人材育成、(2)住民意識・参画、 (3)開発支援 47 3.2 小笠原村振興にむけた各種事業の提案 小笠原の振興にむけては、これまでも様々な取り組みがなされてきた。ここでは、現在構想中、計画 中の施策と新たに提案する 施策を整理する。なお、新たに提案する事業は一般的な観光客の奔放なニー ズをもとにしたものであり、新提案事業にはエコツーリズムの範疇をこえた一般的な観光地整備事業も 含まれている。表中の事業名の中で、青色が既に計画されている事業、オレンジ色(下線あり)の事業 が新たに提案する事業である。 1.観光地整備に関する事業 種別 事業名 (1)観光施 a.エコツーリ 設整備 ズムのための 観光資源基礎 調査(雨天時 利用可能な観 光資源調査 等) b.扇浦地区 都市公園の整 備 c.戦跡展示 館の整備 d.リラクゼー ション施設の 整備 e.交流広場 の設置 事業主体 事業概要 コメント 都 雨天や荒天時に極端に喪失する観光客の満 足感を補填できる観光資源の開発・整備を含 め、エコツーリズムを確実に推進するための調 査。 村 扇浦集落開発対象区域の一部を都市公園と して位置付け、公園施設のほか温浴施設等を 設置し、観光拠点の整備を図る。貞頼神社の 周辺域を都市公園の位置付けで風致公園・歴 史公園として整備し、観光客の散策コースとす るとともに、村民及び観光客の利用できる温浴 施設等を設置し、第二集落における観光拠点 の整備を図る。 雨天時の観光客の過ごし方は、早急に対 応すべき課題である。何を作るかは、そこ で何をするかによる。エコツーリズム的な 視点を充足するハードとソフトをセットで考 えるべきである。台風が直撃している時で なければ、雨天時のエコツアーや台風体 感ツアーもありうるのではないか。 観光客のニーズを把握した上で、計画的 に事業をすすめる。将来的には観光の核 になる可能性のある地域なので、既存の 条件にとらわれすぎず、長期的な展望の もとに整備を進める方がよい。公園整備 に際しては、オガサワラオオコウモリの餌 場、観察地として位置づける。エコツーリ ズム的ではないが、温浴施設は雨天時対 策ともなりうる。 既存ビジターセンターとの連携を検討す る。戦跡も文化遺産ではあるが、展示施 設に集約するだけでなく、各戦跡がなぜ そこにあるかを考察するように工夫する。 村 島内各地に散在している戦争遺留品等を収 集、展示し、平和教育に資するとともに観光対 策の一助とする。父島・清瀬トンネルの横に通 じている壕そのものを展示館として位置付け、 展示に必要な諸整備を行う。 (村) 保養機能をもった施設を整備する。 温浴施設(上記)のあり方も踏まえて検討 する。まずは、島全体のマスタープラン (土地利用計画を含む)を作成する。その 上で、大規模施設開発事業を実施する。 エコツーリズムの根幹である自然環境の サスティーナブルと、住民や産業のサステ ィーナブルの両立、あるいは自然保護活 動と経済活動のバランスを強く意識する。 (都・村) 大人数で会議をしたり、文化的な交流が図れ 既存施設を柔軟に活用する。学校体育 るような屋内と屋外の施設整備を検討する。 館、福祉施設、お祭り広場など。 f .小笠原観光 (都・村他) 都の現有試験研究機関の扱いも含め、小笠原 エコツーリズムに反映できる研究所は必 自然科学研究 観光自然科学研究所(機能は後述)が入る施 要である。名称は別途検討する。 所施設の開設 設の整備を検討する。 48 1.観光地整備に関する事業 種別 事業名 (2)散策道 a.フィールド や園地整 ツアーコース 備 の整備(戦跡 めぐり) 事業主体 事業概要 コメント 村 自然景観を楽しむと同時に歴史を訪ねる戦跡 めぐりコースを整備し、観光対策の一助とす る。安全面等において観光資源として利用可 能な戦跡の選定、そこに至る歩道の整備、戦 跡の解説板の設置等を検討する。 手つかずの自然の中を安全に、そして自 分のペースで歩きたいというニーズは高 いので、まずは、トレッキングルートの整備 計画をつくり、その中に戦跡めぐりを位置 づける。ガイドが必要なコースと、一般的 に歩けるコースの棲み分けを図る。戦跡と 自然との関係もあわせてガイドする。自然 地域利用(山岳部およびビーチ、さらに属 島)のゾーニング(開発と利用、ガイドつき 必須コース)は重要である 各店舗の個性が強く出すぎることによるマ イナス面がでないように、全体像を描いた 上で、景観面では一定の基準を設けるな ど、計画的な実施が必要である。施設整 備とともに、店員などのホスピタリティ向上 もめざす。集落内の植樹と店をセットにし た散策コースを設定してはどうか。dのウォ ーキングルート整備と関連させる。 b.小笠原の 森散策道(発 見の小路)設 置要望事業 商工会 ↓ 要求先は (都・村) c.自然観察 拠点の整備 村 d.ウォーキン (都・村) グルートやトレ ッキングルート の整備 e.自然観察 (村) 小屋の整備 f .ビーチのゾ (都・村) ーニングとビ ーチ付帯施設 の整備 g.緊急時にお (村・NTT ける連絡体制 他) の整備 (3)サービ a.二見港周 (都・村・海 ス施設 辺地域に必要 運他) な機能調査 b.共同浴場 の整備 小笠原の特産品の展示、実演、販売店舗の設 置を散策道に配置し、その小路に島の花、果 実の木を配し、歴史、文化を伝え、中高年にも 利用できる全天候施設の設置を目的とする. 体験学習、グリーンツーリズム等導入。地 域経 済の発展と新産業の創設、新規就労の場を提 供する。新たな観光資源として文化風習の継 承を築く新たな機能と観光客に魅力ある島とし て宣伝に役立てる。 ※平成13年度から 母島の旧ヘリポートを自然観察拠点として再 周辺を歩けるコースの整備もあわせて考 整備し、観光対策の一助とする。母島旧ヘリポ える。既存施設の活用ということでは積極 ート跡地をスターウォッチング、ホェールウオッ 的に取り組むべきである。ただし、ホェー チング、バードウォッチングの観察拠点として、 ルウオッチングやバードウォッチングに適 観察デッキなどの施設を整備し、自然観察の しているかは要検討。 拠点とする。 今後、基礎調査の結果を踏まえ、海浜部・集 既存の車道、歩道、遊歩道をトータルで 落内および山岳部に、散策ルートやトレッキン 活用する。 グルートを開発する。それぞれのコースごと に、ガイドの有無の必要性を検討し、ガイド無 しであれば必要に応じて案内板の設置などの 整備を検討する。 夜間、ウミガメやオオコウモリを観察するための 季節ごとに移動できる建物(仮設)でよ 観察小屋の整備を検討する。 い。 今後、基礎調査の結果を踏まえ、各ビーチの シュノーケリングの普及を図り、それに適 特性に応じて役割を明確化する。多くの観光 した海岸で海のエコツアーを実施する。 客に気軽に利用してもらうビーチについては、 各種サービス施設の整備を検討する。 ビーチや散策路内での事故発生時の連絡先 エコツアーで携帯電話を持つことの意義 と対応方を整備し、観光客に伝える。 が問われているが、安全上は全島網羅す るようなハード整備は必要だろう。 今後、基礎調査の結果を踏まえるとともに、TS これらは、観光客のニーズを強く意識した L就航後の観光客の行動を予測し、二見港周 ものである。エコツーリズムの島という視点 辺に必要となる機能を整理する。また、このエ を加えた上で、二見港の施設、宿、TSL リアの土地利用計画を立案する の各条件を整理する。島全体のゾーニン 二見港周辺における共同浴場の整備を検討 グをうけて、観光客が多く集まる二見港周 する。 49 1.観光地整備に関する事業 種別 事業名 事業主体 (3)サービ c.荷物預かり (都・村・海 ス施設 場・シャワー場 運他) の整備 d.二見港船 客待合所の改 修 (4)宿泊 e.竹芝船客 待合所機能お よび周辺機能 の拡充 a.シンボリッ (父観・母 クな宿泊施設 観・民) の整備 b.良質な宿泊 施設の整備 c.宿泊施設 の団体対応 (5)飲食 a.オリジナル 料理等の開発 及び接遇研修 b.郷土料理 創作 c.おがさわら 丸船内販売用 料理公募 d.特産品メニ ュー開発事業 協力 e.ラム・リキュ ール(株)再構 築プロジェクト 事業概要 コメント 入出港日の荷物預かり、シャワー等の機能を 辺のマスタープラン(必要な機能のリスト 備えた施設の開発整備を検 討する。 アップと土地利用)を作成する。 上記調査の結果も勘案し、船客待合所にエ コ・リゾートセンター(飲食施設、ロッカー、浴 場、シャワー、情報、各種サービス拠点として の役割を加える。 竹芝桟橋の船客待合所およびその周辺で必 要な機能を検討し、必要に応じてサービスの 拡充を図る。 後述の各機能と既存施設の機能のチェッ クが必要。 小笠原観光のイメージを象徴するシンボリック エコホテル(ペンション・民宿)を考えるべ な宿泊施設の整備を検討する。 きである。この理念をハード及びソフト面 で実現できるオーナーが必要である。 バスタブ付きの部屋、海がみえる部屋、半日程 度くつろぐことができる客室を備えた宿泊施設 の整備を検討する。 大規模な宿泊施設の開発、あるいは分宿の場 小笠原では分宿という前提で整備すると 合にはサービス水準をそろえるよう宿泊施設間 いう方向性を検討する。 は連携を図る。 都 民宿経営者等に対し料理講習会を行い、地域 小笠原への旅行は必ず宿泊を伴うので、 の生産物を利用したオリジナル料理の開発を 食事は重要な要素である。来島者が感嘆 行うとともに、接遇研修を行う。 するようなモノづくりが必要である。 父観 小笠原独自の郷土料理を学び、島の食材を 重要なテーマなので、具体的な成果をあ (母観・海 つかった新しい料理を新たに創作し、観光の げること。これだという料理ができれば、徹 運) 目玉となるようにする。観光協会飲食部の有志 底的にそれを宣伝、販売すること。a.c.d が集まり、小笠原の食材を使った料理を研究。 との連携を図る。 期間限定メニューやツアーのパーティーなど で新しい料理を提供。小笠原の名物料理を作 り、食文化となるように島内、島外に認知しても らう。 ※期間限定メニュー提供 料理講習会 実施 母観 長時間の船旅の楽しみをふやし、乗船時から 海運と連携をはかり実現にむけ努力す ↓ 小笠原を感じてもらう。島の特産品等を使った る。a∼dとの連携を図る。 提案(海運)料理・弁当メニューなどを公募・研究し、実際 にメニューとして利用できるようなシステムを確 立する。 海運 船内レストランで島の特産品を使ったメニュー 船内、父島、母島のどのレストランでも食 開発。 べることができる共通のメニューの開発が 期待される。a∼cとの連携を図る。 商工会 小笠原の地域特産品の地酒としての風格と風 ラムベースのカクテル開発など、飲みや 味を確立する。消費者ニーズに合わせた商品 すさやイメージの向上もあわせて検討す 開発とし、容器等も再検討する。観光資源とし る。村民にも愛される味にすることが必要 て重要な特産品の再構築に挑戦。ラム.リキュ である。 ールのネーミングと焼酎との格差及び整合。風 味の差別化、酒宴の利用度の向上、女性の好 感度の向上、等の改良を行うとともに経営組織 の再構築を図る。 50 1.観光地整備に関する事業 種別 (5)飲食 事業名 事業主体 f .既存施設の (商工会) サービス改善 g.市場併設 (漁協) の飲食施設の 開発 h.多様な飲食 (民) 施設の開発 事業概要 営業時間の変更など、既存施設のサービス内 容を改善する。 市場に併設し、観光客のリクエストに応じて市 場で購入した食材をもとにした料理の提供も 可能な飲食施設を開発する。 夕日を見ながら食事のできる施設、海を見な がら食事ができる施設、屋外で食事ができる施 設など、多様な飲食施設の開発を誘導する。 コメント 終日営業店がない。 市場といえるものがない。漁協食堂から始 めてはどうか。 夕日や海を使える飲食店がない。例え ば、日中は大村海岸、夕方はウエザース テーションというような移動販売を民間で 誘導してはどうか。 屋外で食事をとることができるようにテイクアウト テイクアウトとともに携帯電話によるデリバ メニューの充実を図る。 リーも考えられる。 i .テイクアウト (民) メニューの充 実 j .島弁当の開 (民) 小笠原らしさのあるテイクアウト用の弁当を開 a.bと連携する。 発 発する。 k.ヤギ肉料 (民) ヤギ肉を食用とするための衛生管理とヤギ肉 と畜場の再建から必要になる。 理の開発 料理の開発。 l .伊勢エビ料 (漁協・民) 小笠原でしか確認されていないと言う小笠原 漁協食堂のメイン料理としてふさわしい。 理の開発と積 伊勢エビを活用したメニューの開発と積極的な 極的なアピー PR。 ル m.ソフトドリン (農協他) パッションフルーツなどを活用したソフトドリンク 種類が豊富にある。 クの開発 の開発。 n.地ビールの (商工会他)地ビールの開発を検討する。 民間誘導型で考える。小規模生産プラン 開発 トによる採算性を調査する必要がある。 o.アウトドア (民) アウトドアでの食事の仕方(小笠原流)を開発 来島者が備品を持ち込むのは大変なの での弁当の食 し、観光客に情報提供する。 で、ベンチやパラソルなどをセットで貸し べ方の研究 出してはどうか。 (6)土産・ a.移入種の 母観 小笠原固有動植物をおびやかす移入種の駆 計画的に実施する。行政の支援もあお 物産 利用 (他) 逐にともないこれ を活用し、新しい特産品の開 ぐ。 発・誘客活動につなげる。アカギなどの移入種 を利用した染色、土産品の研究・開発。染色 体験のシステム確立。閑散期におけるボランテ ィアツアーの企画・実施。 b.特産品開 商工会 現在進めている特産品開発の継続事業であ 着実に計画を実行する。タコの木の積極 発事業 り、小笠原で出来る新たなる特産品の推奨と 活用も一案である。消費者に生産者の顔 格付けを行い小笠原ブランドを観光客にPRし がわかるような仕組みづくりも検討する。 特産品の質の向上を図るとともに販路支援も 実施する。14年度開発された、開発候補にな った特産品の完成熟度の向上および改良を 行いより一層よい商品として完成を目指す。地 場の産物を利用し、小笠原でしか採れない、 出来ない特産品を作る。 c.直売場の (農協) 農産品の直売場の整備を検討する。 既存施設を充実させる。むしろ供給する 整備と活用 農産物の確保が課題である。 d.市場の活 (農漁協) 市場を観光客向けに積極的に活用する。 船客待合所スペースの有効活用として、 用 ここを時間利用してはどうか。 e.朝市の定 (農漁協) これまで不定期(低頻度)で行われている朝市 期開催 を定期的に開催する。 51 1.観光地整備に関する事業 種別 事業名 (7)島内交 a.村営バス運 通 行の充実 事業主体 事業概要 村 コメント 滞留人口の増加とその流れ(移動)に対応でき 観光客の村内での活動を十分に想定し るよう村営バスの運行形態を見直し、的確な島 た運行計画が必要である。生活路線とい 内移動手段の確保を図る。来島者の量的、質 う位置づけから、観光客利用路線へと考 的変化や滞留人口の増加とその移動に対応 え方を根本から変える。しかし、村営にな できるよう、村営バスの現行の路線経路や運 った時点で利便性は大きく向上しており、 行便数などを改めて見直し、観光客の島内移 赤字をさらに拡大させてまでさらなる利便 動の確実な1手段を確保する。 性の向上を図るべきかどうかは要検討。 b.村道整備 村 経年変化による道路改修を継続する中で、集 舗装の方法は、観光地としてふさわしいも 落内の村道については、景観に配慮した整備 のであるように、専門家の意見をまじえ を図る。西町、東町など既存集落内の特に来 て、再度検討する。ただし、計画的に順 島者の往来の多い商業ゾーンにおける村道改 次改訂作業中であり、途中から方法を変 修にあわせ、アスファルト舗装からインターロッ えることの可否は検討すべき。 キング舗装へと順次改良する。 c.街灯整備 (都・村) 早朝や夜間の観光客の移動のために、街灯を 扇浦集落から取り組む。 整備する。ただし、野生生物(ウミガメなど)の 生態に考慮する。 (8)情報・ a.エコツーリ 都 案内板や標識を一体的に整備するための調 村全体の景観計画をたてた上で、標識も 案内 ズムのための 査。 検討するとよい。これは平成15年度に具 観光資源基礎 体的調査を行うこととなっており、先行し 調査(統一的、 て景観上のことも配慮する。 一体的な観光 案内標識整備 等についての 調査) b.小笠原ガイ 村 島内観光の案内資料として観光客への利便を 必要な事業である。マップのサイズ、色合 ドマップ作製 (父・母観) 図る。父島、母島の観光スポットの場所をマッ い、情報の内容も含めて、観光客が利用 プ上に示し、解説も加えたガイドマップを作製 しやすいものを作成する。例えば、電話 する。 番号の掲載には携帯電話利用者のため に市外局番を載せるなど、利用者の立場 に立つことが重要である。 c.自然観察ガ 村 自然観察のウォーキング用などのガイドブック このようなガイドブックは、図鑑調になりが イドブック作製 (父・母観) として、観光客への利便を図る。ウォーキング ちなので注意する。小笠原にはワクワクし ルート用、スノーケリング用の用途別に、各々 にきているのであって、学習するために来 の用途に観察できる動植物、海洋生物、自然 ているのではないことを意識する。誰に対 景観などを解説したガイドブックを作製する。 するものか(旅行業者向け、一般観光客 現在、父島を作製中。 向け)を明らかにした上で、伝えたい情報 d.南島・石門 村 南島での観察経路や自然につ いての解説を を整理する。配布先、配布場所、印刷費 ガイドマニュア 盛り込み、南島観光用のガイド資料として、観 の負担などを検討する。 ル作製 光客への利便を図る。南島上陸の際の自主ル ール等に基づいた南島での観察ルートをマッ プ上に示し、併せて観察できる植物、自然景 観等について解説したガイド資料を作製する。 e.ルート整 母観 観光客への情報提供。独自の自然を楽しめる 備・フィールド フィールドとしてのアピール・イメージづくり。遊 マップの作成 歩道の整備・樹名板の設置。登頂証明書の発 行(乳房山)。自然観察ハンドブック、鳥類リス ト、メグロパンフレット、各観光ポイントの遊歩道 マップの作成。 ※平成12年度から実施 52 1.観光地整備に関する事業 種別 事業名 事業主体 事業概要 コメント f .TSLパンフ 海運 TSLパンフレット作成 レット作成 (8)情報・ g.詳細なガイ (村・父・母 ガイドツアーのこと、宿泊施設のこと、食事や 案内 ドブックの作成 観他) 銀行、病院のことまで、小笠原での観光が具 体的にイメージできるガイドブックを作成する h.飲食店マッ (村・父・母 飲食店の特色がビジュアルでわかるガイドブッ プの作成 観他) クを作成する i .フィールドマ (村・父・母 ビーチの場所とそれぞれの特色、散策ルート、 ップの作成 観他) トレッキングルートの場所と内容を解 説したフィ ールドマップを作成する (9)景観・ a.エコ景観・ 商工会 景観、街並み、村内美化、歩きたい街、道作り 生活空間も含めた景観作りが重要である 町並み 街づくり事業 ↓ を検討し長期展望にそった村づくりを推進す ので、地域住民が一体となって取り組むこ (都・村他) る。観光地にふさわしい街づくりの村条例を制 とが大切である。花(一年草)は、努力の 定する。事業は商工会の中で女性部が中心に 結果が早く、かつ確実にでるので、まずは 進めていたがエコツー推進の中でも重要な論 お花いっぱい運動などからてがけ、住民 点であり時間を掛けて対応する。エコ住宅(環 全体がその効果共有し、次のステップに 境省エネ)電柱埋設、果物、花街道の設置。 進むとよい。村民の動機付けのためにも (2)−bの事業と関連。 是非とりくむべきである。 (10)観光 a.出迎え見送 (父・母観) TSLやははじま丸の入出港時の出迎えや見 島のエンターテイナーを養成する。これま 客を迎え りの演出の検 送りの手法を検討する。 での船の見送りは活かす。 入れる仕 討 組み b.村内共通マ (商工会他)村営バスや共同浴場、荷物預かり、など、村内 地域通貨導入の目的などから整理する。 ネーカードの で受けることができる基本的な観光サービスを 開発の検討 滞在期間中受けることができる仕組みの検討 (11)生活 a.診療所施 村 現存施設の老朽化とともに、観光客増に伴う 旅行者が出発前に、村ではどのような医 インフラ 設の充実整備 患者数の増加、受診ケースの多様化に対応す 療を受けられるのかがわかるような情報提 るための施設の建替えと医療体制システムの 供もあわせて検討する。これまでは村のホ 構築を図る。建替えに伴い、施設・設備の充実 ームページ上では対応しているが、より広 は勿論、24時間診療体制の確立とそれに呼 範囲に周知できる方法を検討する。 応する医療スタッフ体制の確立、また内地医 療機関との連携システムなどを構築する。 b.情報通信 村 IT基盤整備を図ることにより、内地とのデジタ 観光客の情報伝達は、携帯電話が中心と 基盤整備 ルディバイドを克服するとともに、情報インフラ なっているので、携帯電話の利用条件の を活用した生活環境、産業創出等に資する。 向上には早急に取り組む。本土では常識 ①情報センターの設置 ②村内情報ネットワー となっている「 i モード」に対応できていな ク網の整備(光ケーブルによる基幹網整備) い。できないサービスを周知しておくことも ③主要行政施設への端末機器整備 ④各種 必要である。 情報システムの整備 c.航空路開 村・商工会・ 交通アクセスの最重要課題。小笠原振興開発 都事業としての取り組みを全村的に要望 設要望事業 他団体 計画の中で解決すべき最大の事業。 する。 ↓ 都 【略称解説】 国森林…林野庁関東森林管理局、都…東京都、村…小笠原村、商工会…小笠原村商工会、 父観…小笠原村観光協会、母観…小笠原母島観光協会、OWA…小笠原ホェールウオッチン グ協会、海運…小笠原海運(株)、エコ推…小笠原エコツーリズム推進委員会、民間…民間事 業者 53 2.エコツアー商品開発に関する事業 種別 事業名 (1)商品開 a.エコツーリ 発 ズムのための 観光資源基礎 調査(新たなコ ース開発及び 関連施設整備 等についての 調査) b.エコツアー の開発 事業主体 都 事業概要 海上利用を含む新たな観光コースを開発し、必 マーケットのニーズや行動パターンに考 要となる関連施設を整備するための調査。 慮した資源の発掘と活用が大切である。 南島への一極集中を解消するためにも属 島の利用は必要である。 父観 現在も行っているエコツアー(ホェールウオッチ ング、ジャングルフィールドガイド等)をさらに属 島を含め開発していく。現在行われていないツ アーを属島利用等をふくめ開発していく。 c.戦跡調査・ 母観 貴重な歴史資料であり、観光資源にもなりうる戦 ルート整備 ↓ 跡を調査・整備・保存し、活用する。戦時中の話 (都・村) のヒアリング、まとめ、戦跡の調査・保存方法の 検討、ルート整備・説明板 設置。戦跡ガイドの養 成。 ※平成11年度から実施 d.鯨類の観 OWA 観光資源となっている鯨類の生態を解明し、そ 光資源開発 の生態情報を観光に活かす。観光資源として重 要なザトウクジラ・マッコウクジラ・イルカ類の生 態研究を行い、機関誌、イルカ通信、クジラ通 信、ガイド養成講座(勉強会)、本の出版等で村 内外に広く情報公開する。※1988年から実施 e.三日月山 OWA エコツーリズムの理念に則ったガイドの実践的 陸上ホェール な育成と小笠原のエコツアーモデルケースの構 ウオッチングツ 築。約5ヶ月の実習を行った後、2∼5月のザト アー ウクジラシーズンに三日月山で陸上ホェールウ オッチングを実施。 f .鯨類生態研 究(モニタリン グ)体験ツアー OWA g.観察会・レ クチャー・依頼 による特別レ クチャー・特別 ツアーの開催 OWA h.村民向けエ コツアー OWA コメント エコツアーは小笠原観光の核となる観光 行動なので、ツアーコースの開発は細部 にまで配慮しながら、さらに積極的に取り 組んでいくとよい。(aと連携して取り組む) 調査は科学的視点もまじえて行う必要が ある。文化財としての保存を文化庁で検 討しており、小笠原も対象となっているの で、こちらとの連動も考慮する。 研究成果を一般の観光客にわかりやす く、かつ、おもしろく伝えることに留意す る。将来的には研究所の中で鯨類調査を 行い、その成果を観光業者、観光客へ情 報公開する。 解説の対象と解説内容、伝えるべきメッセ ージ、ツアー参加者に対する働きかけ 方、インタープリテーションを助ける小道 具類などをまとめたマニュアル整備が必 要である。知識面での専門性と、ホスピタ リティの両面を兼ね備えた高レベルのガイ ドの育成に心がける。 鯨類の生態研究を通して小笠原の自然をより深 ツアー参加者の自然に対する興味レベル く理解してもらうと共に、エコツーリズムを実践す (フェーズ)に応じたツアー企画に心がけ る上で研究やモニタリングが重要であることを認 る。参加者数が限定されるので、参加は 識してもらう。ツアー参加者は研究員の行う鯨類 狭き門であることを伝える。参加者の資 調査に同行し、得られた調査データを解析す 質、ツアー代金についても納得してもらえ る。研究成果やモニタリング結果が得られた後、るような説明が必要である。 ツアー参加者に情報配信する。 主に来島者(観光客)を対象として自然観察会 有料ツアーと無料ツアーの違いを観光客 やレクチャーを開催し、小笠原の魅力を知って に明確に占めす。プロガイドと公的立場 もらう。定期的に実施中のものは、ザトウクジラシ にあるガイドの共存に留意する。もともとは ーズン中の三日月山展望台からの観察会およ ウオッチングボートのガイド力不足を補っ ビジターセンターでのレクチャー。 ※1988年 ていた。今後のガイド育成により、役割分 から実施 担が必要である。 エコツーリズムの理念と小笠原の自然の価値を 地域住民がエコツーリズムを理解するた 広く村民に普及させる。おがさわら丸を使った めには、自らツアーを体験することが極め 村民ホェールウオッチングや南島・兄島・弟島な て重要である。継 続的に実施する どの属島や三日月山等でエコツーリズムの理念 に則ったガイドツアーを村民に対して実施する 54 2.エコツアー商品開発に関する事業 種別 事業名 事業主体 (1)商品開 発 事業概要 コメント ※村民ホェールウオッチング(実施中)、属島エ コツアー(H14∼15前実施・H15後∼構想) i .鯨類を基軸 とした環境教 育(地域社会 学習) OWA j .動植物観察 ツアー会員募 集 海運 k.鳥島ツアー 会員募集 海運 l .南硫黄島ツ アー会員募集 m.聟島列島 航路検討 海運 n.船内ツアー ① 海運 o.船内ツアー ② 海運 p.おがさわら 丸無料運航事 業協力 q.船内エコツ ーリズム展示 事業協力 r .船内エコツ ーリズムイベ ント事業協力 s.マイクロバ スによる島内 観光ツアーの 実施 t.多様なガイ ドツアーの開 発 海運 海運 海運 海運 小笠原の次世代を担う子供達に鯨類を通した 子どもを対象にした環境教育プログラム 小笠原の自然の価値を理解してもらい、またそ は、エコツーリズムを推進する上で最重要 れを観光資源として利用して生活している村民 といってよりテーマである。hを含めて地元 の誇りを伝えていく。総合学習の時間や子供達 理解を深める事業は常に行っていく。 が集まる場(イルカ学校の開校等)で小笠原の クジラ・イルカを中心とした環境教育を展開す る。また、観光資源となる自然を利用して生活し ている村民の職業を見学・体験してもらったり、 それら観光資源の保全活動をしてもらう。 小笠原固有種の動植物観察とトレッキング。植 小笠原エコツーリズム推進委員会との連 物愛好会等の機関誌を通じ、トレッキングを組 携を図る。現地ツアーオペレーター、ツア み合わせた会の企画。島のフィールドガイドとの ー企画主催者、ツアー販売者の役割分 提携により商品企画も可。 担を明確にする。船内での集客をどのよう に担うかが海運としての役割である。 小笠原のザトウクジラと鳥島のアホウドリウオッチ 質の高い自然ガイドの同行と適切な解説 ング。おがさわら丸入港後、鳥島までの航海。 の実施が重要である。TSL就航後は燃料 ※毎年4月に実施 や運行時間帯などにより実施に問題あり。 南硫黄島の手つかずの自然を訪ねる。南硫黄 島・北硫黄島・硫黄島3島をクルーズ。 小笠原航路の付加価値として聟島列島の自然 を観察。定期船を聟島列島に近づけ、洋上から 海鳥と自然を観察する。 小笠原航路の付加価値として長い航海中のサ ガイドの養成が課題である。小笠原エコツ ービスの一環。乗組員が乗船客に呼びかけ、デ ーリズム委員会との連携を図る。TSLの ッキで星を一緒に観察し説明する。 航行中の実施程度が課題である。 小笠原の自然に関する絵画や写真等を展示す 展示場の提供はよい事業である。観光客 る場を提供する。島民(児童を含む)の自然に には、日常生活圏をはなれ、開放感に浸 関する絵画・写真等を展示する。 りたいという人もいると思われるので、児童 を含めた島民の絵を展示することの是非 は検討すべきではないか。 島民・観光客がマッコウクジラと触れ合う。おが すばらしい事業である。小笠原エコツーリ さわら丸を無料運航。 ※毎年10月に実施 ズム委員会との連携を図る。hと連携して 実施する。 船内にエコツーリズムに関するパネルコーナー 行政以外とも連携を図るようにする。 を設け、小笠原の自然について知識を得てもら う。行政の作ったパネルを展示する。 行政機関よりエコツーリズムに関する企画に対 して、積極的な対応と船内催し等の協力。 (民間) 団体客向けに小型バスによるツアーを実施す チャーター対応のバスは現在1台1社 あ る。ただし、車内には専門の自然・文化ガイドが り。大型の観光バスによる案内は小笠原 同乗し適切な案内を行う。 にはふさわしくないと思われる。 (民間) 子ども向けツアー、早朝ツアー、短時間ツアー、 今後はツアーの多様化が求められる。ガ 中日の半日ツアーなど、マーケットのニーズに イドの特徴づけに分化が進むと思われ 対応した多様なツアーを実施する。 る。 55 2.エコツアー商品開発に関する事業 種別 事業名 (1)商品開 u.ソフトアドベ 発 ンチャーツア ーの開発 v.ツアー中の 昼食の開発 w.ツアー中の おやつの開発 (2)ガイド a.東京都版エ 養成 コツーリズム の実施 b.自然ガイド 推進事業の実 施 c.母島森林ガ イド制度 d.フルーツア イランド構想 e.鯨類保全に 関するガイドラ インの作成と 運営管理 f .ホェールウ オッチング・イ ンタープリター 養成 事業主体 事業概要 コメント (民間) 初心者や高齢者が気軽に楽しめるアクティビテ 海のアクティビティが多量に増えることは ィを開発する。 要調査。騒がしさが増すことは必ずしもプ ラスとはならないので留意が必要である。 (民間) ガイドツアーにふさわしい昼食のメニューや昼 小笠原にふさわしいシチュエーションや 食場所を開発し、ツアー会社が共同で活用でき 素材を考慮する。ゴミの排出など、環境へ るような仕組みを作る。 十分に配慮する。 (民間) ガイドツアーにふさわしいおやつのメニューや 場所を開発し、ツアー会社が共同で活用できる ような仕組みを作る。 都・村 貴重な自然の保護と観光の両立を図ることによ 認定の基準を明確にする。高レベルのガ り、地域の自立的発展の一助とする。南島・母 イドを養成するためには、専門的なカリキ 島石門一帯は、東京都が養成・認定した「東京 ュラムに則った継続的な研修の実施が求 都自然ガイド」が同行し、利用人数など定められ められる。ルール、カリキュラム内容などを たルールを守って利用する。 ※H14後期 東 毎年度検討しながら進める必要がある。 京都自然ガイドの養成・認定、H15以降 東京 都版エコツーリズム 都 自然ガイド資質向上のために、モニターによる 事業推進委員(モニター)の選択がきわめ 調査を実施し、結果を自然ガイド技術向上のた て重要である。観光客をモニターとする予 めの研修会等の内容に反映させる。 定。これによりエコツアー参加者が増える ことも期待できる。 母観 石門地区崩壊による立入禁止に伴い、ガイド同 ガイドの役割や養成は、父島サイドとの連 行で手前の堺が岳までの入山許可を得る。島 携を図っていく。東京都自然ガイドをより 民への自然教育。島内各ポイントの観光客への レベルアップするものとして整理する必要 ガイドサービスの提供・事故防止・自然教育・環 がある。 境維持管理。森林ガイド制度の確立、認定講習 会の実施。堺が岳入林許可のとりまとめ。講習 会の実施。東京都認定ガイド制度による石門地 区開放の自主ルールの検討。 ※平成13年度 から実施 母観 島のいたるところに南国らしい果樹があり、観光 自然の姿を残すようにし、観光果樹園とな 客が自由に獲って食べられるようにし、南の島ら らないように配慮する。果樹のあふれる島 しい雰囲気づくりをする。植樹・手入れなど島内 という理想に向けて、何から取り組むかを 各団体と協力しながら実施する。1988年から実 考える必要がある。一戸に一本の果樹を 施しているクジラ類のウォッチングに関する自主 植え、花で装飾するという組み合わせも ルールを管理運営する。ドルフィンスイムに関す おもしろい。 る自主ルールを策定して管理運営する。 OWA 観光資源となっている鯨類の生態やウォッチン 継続的に実施する。2-(1)-dと連動する。 グボートによる影響を解明し、その生態情報を ドルフィンスイムについてはルール化を急 保全に活かす。※1鯨類の自主ルール管理運 ぐ必要がある。 営(1988年から実施) ※2イルカ類の自主ル ール策定・管理運営(平成13年度から実施) OWA エコツーリズムの理念に則ったホェールウオッチ 東京都のガイド制度、母島の森林ガイド ングガイドの基礎育成と村の認定ガイド養成シ 制度、村の認定のガイド養成システムを ステムの構築。年2回認定講習会を実施。認定 整理する。専門カリキュラムとしての位置 者と一般村民に対して座学と実習から成るイン づけも検討する。 タープリター養成講座(勉強会)を毎月1回開 催。 ※平成13年度から実施 56 2.エコツアー商品開発に関する事業 種別 事業名 (2)ガイド g.ガイドマニ 養成 ュアル本の作 成 事業主体 OWA h.おがさわら 丸船内講師の 養成・派遣 OWA i .おがさわら 丸乗組員講師 の養成 海運 事業概要 コメント 小笠原の研究情報をネタにしたガイドマニュア 科学的な研究と一般観光の融合、その象 ル本を作成してガイドの質を向上させると共に、 徴としてのネタ本の作成は、地域単位で インタープリテーションを広く普及させる。小笠 は日本で最初の取り組みである。小笠原 原の研究情報に基づき、かつインタープリテー が日本のエコツーリズムの最先進地であ ションを汲み入れたガイドマニュアルを作成す ることをうったえる材料にもなる。 る。また、新しい研究情報を取り入れて毎年更 新していく。 おがさわら丸の乗客に小笠原の自然とエコツー 海運との連携を図る。2-(1)-rおよび次のi リズムをより深く 理解してもらう。おがさわら丸の との連携を図る。 船員を教育・訓練して、小笠原の自然(当面は 鯨類)とエコツーリズムを紹介できる講師を養成 する。また、村内の有識者が船内で講演会を開 催できるシステムを確立する。 旅客に小笠原の自然について事前に知識を得 てもらう。乗組員をエコツアー指導員に養成。往 航の船内で小笠原の自然について話をする時 間を設ける。 (エコ推) マイクロバスなどでの観光ツアー中に島の歴史 や文化を話すことができるガイドを育成する。 小笠原エコツーリズム委員会との連携を 図る。2-(1)-rおよび前のhとの連携を図 る。 j .生活文化を 小笠原版「おじい」「おばあ」探しから始め 案内するガイ てはどうか。 ドの養成 k.リスク管理 (父・母観) 自然ガイド、アクティビティも含め、幼児や熟年 日頃からの定期的訓練などもプログラム を徹底するセ の利用を前提とした上での安全管理を徹底する に組み込む。 ミナーの実施 ためのセミナーを継続的に実施する。 l .ライフセー バーの養成 (3)研究調 a.アカガシラ 査 カラスバトサン クチュアリ整備 事業(父島) b.アカギ駆除 ボランティア計 画 c.希少野生 動植物保護管 理事業 (父・母観) ビーチでの事故などに対応できる能力を自然ガ イド全般が身につけるようにする。 国森林 国森林 国森林 d.南島植生 回復及びモニ タリング事業 国森林 e.植生回復 事業 都環境 絶滅危惧種であるアカガシラカラスバトの保護。 小笠原エコツーリズム委員会に情報提供 国有林内のアカガシラカラスバトの聖域(サンク を行うようにする。ハードにエコの配慮を チュアリ)の指定による保護と利用の調整と歩道 する。 等利用施設の整備。 小笠原の原生植生の回復と保護意識の醸成。 継続的に実施する。1-(6)-aを組み込む。 アカギの巻き枯らしと伐採、苗木の植え込み 等。 小笠原の希少野生動植物に関する基礎情報の クジラ同様に情報を公開し、活用する。 収集、管理対策。小笠原のアカガシラカラスバト 等希少野生動植物の保護管理のための各種調 査、固有種苗木の育成、巡視等。 南島の適正な利用と保全。ヤギ及び入島による 事業の趣旨をツアー客にわかるように考 植生被害対策及び島内の植生等をモニタリン える。 グする。 人為的に持ち込まれて野生化した ヤギや観光 事業の趣旨をツアー客にわかるように考 客の過度の立ち入りによる植生の破壊と土砂の える。 流出を防止する。ノヤギの排除、植生シート等 による植生復元、モニタリングを実施し、植生や 景観の復元を図っている。 57 2.エコツアー商品開発に関する事業 種別 事業名 (4)推進機 a.エコツーリ 関 ズム憲章の策 定 事業主体 事業概要 エコ推 エコツーリズム憲章を策定し、それを内外にアピ ールすることにより、観光振興の柱としてのエコ ツーリズムの推進を図る契機とする。今後の村 の観光振興の柱としてのエコツーリズムへの姿 勢や基本的考えを憲章として現し、島内外にア ピールする。(返還35周年記念事業の中で、 「持続可能な島宣言」になる可能性もある) b.小笠原観 (村・エコ 小笠原エコツーリズムの象徴となる研究機関。 光自然科学研 推) 高度な自然科学と観光の融合も目的の一つ。 究所の設立 c.小笠原ガイ (村・エコ 新たなプログラムの開発、ガイドの育成、島内ガ ドセンターの 推) イド認定制度の管理、各種資料の作成などを行 設立 う機関。 コメント 自然環境のサスティーナブルと地域経済 と住民の生活のサスティーナブルの両立 に配慮する。村内コンセンサスの集大成 として位置づけ、合意形成のない憲章づ くりを行わないように気をつける。 現組織の連絡組織をつくり、そこから統合 に向ける。ハードとしてはビジターセンタ ー内を考える。 エコ推の発展的組織と既存組織の統合を 考える。観光協会とOWAのスペースを活 用する。 3.販売に関する事業 種別 事業主体 事業概要 コメント 父観 観光協会を窓口として、宿泊、ガイドサービスを 一括で予約できるようにして、観光客、業者の 利便性を高める。いわゆるツアーデスクを運営 する。宿泊所の斡旋、ガイドサービスの斡旋。 b.旅行代 理店業務 父観 法人格の取得と旅行業への登録が必要 である。宿泊施設やガイドサービスの内 容の詳しい情報と、お薦め施設を紹介す るために施設やガイドに対する評価情報 が必要である。観光協会の役割の見直 しは全国的な課題となっている。既存の 観光協会の枠組み(会員組織)では、難 しいと思われることにも、勇気を持って挑 戦すべきである。 旅行業機能(有料のコンサルティング業 務)と一般案内機能(無料の観光案内) の違いを明確にする。および、主催会 社、現地オペレーターの違いを意識す る。宿泊施設や個々のガイドとの契約の 方法と内容が課題となる c.宿泊・ガイ ドサービス 予約状況の 把握と広報 d.TSL商 品企画 父観 小笠原で独自のツアーを企画し、集客をする。 また、現地添乗員を養成し、内地からの主催旅 行の受入れ体制を整備する。旬な情報をもと に、ツアーの立案、企画、運営を速やかに行え るようにする。また、現地添乗員を養成し、内地 の旅行代理店に小笠原ツアーを企画してもらい やすいような環境を作る。 観光客に的確な情報を提供する。おがさわら丸 動態情報を正確に伝えるためには、I T 入港日に最新の情報を集めて、各場所にて掲 面での整備が必要となる。 示、案内をする。 事業名 (1)販売チ a.宿泊・ガ ャネル イドサービ スの予約代 行 海運 TSL商品企画。主催旅行業者とTSL絡みの企 シーズナリティを少なくするために、市場 画旅行依頼。 原則に則った弾力的な価格設定が必要 である。オフシーズンに安い商品(もちろ ん、適正価格で)を企画する。海運内に おける主催旅行業者としての機能とサプ ライヤーとしての機能を整理し、旅行業 者との良好な連携を図る。海運は、島内 のランドオペレーター業務には関わるか 否かは熟考が必要である。 58 3.販売に関する事業 種別 事業名 (1)販売チ e.新規旅 ャネル 行斡旋業者 との契約 f .旅行斡旋 業者視察会 g.サービス 内容の明示 h.品質管 理と情報開 示 i .来島者特 性の分析 (2)宣伝・ a.エコツー イベント リズム推進 PR b.観光宣 伝手法調査 事業主体 事業概要 コメント 海運 新規旅行斡旋業者との契約。会員募集専門の 小笠原観光の特殊性を旅行業者に詳し 業者との連携。 く説明し、理解がえられたうえで商品企 画することが大切である。 海運 旅行斡旋業者の小笠原とTSLの視察会。 旅行業者は視察会には、分野が異なる 業務に就いている社員を参加させること も少なくない。各社の部門を特定した上 で働きかけるとよい。 (父・母観) 宿泊施設のグレード、付帯施設、付帯サービ 自己評価か客観的な評価か、島内観比 ス、風呂の状況など客観的にわかる情報を施設 較か島外との比較かも注意する。 間を比較する形で整理し、観光客に情報提供 する。 (父・母観) 宿泊施設やガイドツアーなど、島で提供される ツアーについては(2)-bも活かしていく。 観光商品に対する利用者の満足度調査を継続 実施し、その結果を事業者にフィードバックする とともに、観光案内の際にその情報を活用す る。 (父・母観) 来島者の年齢構成、消費額、資料施設などを エコツーリズムを意識したマーケティング 継続調査し、分析することによって観光客の小 に留意する。 笠原に対するニーズの把握と、その対策を継続 的に検討する。 都 ①PR用15秒CMや3分間ビデオ、ポスターを 観光客にエコツーリズムの概念を伝える 作成し、活用する ②インターネットによる情報 必要があるかどうかは疑問である。また、 発信等。 それによって利用者を多く確保すること は難しい。観光客は楽しむことをもとめて おり、そして小笠原での楽しい体験の中 で、環境に対する意識が少しでも変化す ればそれでよいと考えるべきである。 村 観光宣伝の目的やターゲットの再検証、島内関 ターゲットを明確にし、その特性を明らか 係団体との連携調整システムの確立など観光 にした上で、観光宣伝を行うことは極め 宣伝のあり方を整理する。①観光宣伝の現状と て重要である。ただし、広告効果の測定 課題 ②宣伝目的・ターゲットの設定 ③宣伝 には有効な手法は無いので、あまりテク 手法、宣伝量、宣伝時期の設定 ④市場調査と ニックにこだわりすぎるのもよくない。マ 商品開発 ⑤島内連携体制の検討 ーケティング戦略は、是非とも立案すべ きである。 c.宣伝広 報事業 村 d.TSL就 航宣伝 海運 e.TSL試 乗会 f .TSL船名 募集 海運 海運 観光宣伝手法調査の結果を踏まえ、観光宣伝 ポスターなどは作り手側の自己満足に陥 事業を企画・実施する。①メディア等広告媒体 らないように。 による広報 ②イベント企画実施による広報 ③ 旅行代理店への広報 宣伝機関を動員してTSL就航を告知する。イン 計画的に実施する。 ターネット・雑誌・新聞・パブリシティ・タイアップ・ 会報・電飾看板・テレビ・ラジオ・横断幕・取材協 力。 TSL試乗会。東京地区・小笠原地区で試乗会 計画的に実施する。 を実施する。 TSL船名募集。船名募集を絡めた誘客。 計画的に実施する。具体的に検討をす すめている。 59 3.販売に関する事業 種別 事業名 事業主体 事業概要 コメント (2)宣伝・ g.都立学 海運(村・父・ 都立学校の修学旅行誘致。同じ東京都の島嶼 旅行業者と小笠原エコツーリズム委員会 イベント 校の修学旅 母観) 学習の見地から旅行日数の特例を設け、修学 と協力し、モデルプログラムを作成して東 行誘致 旅行を誘致する。 京都および学校側に提案する。まずは、 私立学校の取り扱いを増やし、実績を重 ねるとよい。プロモーション用の資料づく り、戦略から始める。全村的な取り組み が必要である。 h.観光モ 村 TSL就航に伴う来島者の多様化に対応するた モニターの選定にあたっては、年齢層、 ニタリング め、モニタリング調査を行い、受入態勢の改善 嗜好、旅行意識などに配慮し、偏りのな 調査 に資する。公募により一般観光客から調査員 い調査員を選定するよう心がける (モニター)を選定し、滞在期間中の観光メニュ ー、施設など観光全般に亘るモニタリング調査 を行う。 i .観光宣伝 村 内地で開催されるイベントへの参加、また村の 小笠原選手とエコツーリズムの島とは全 事業 観光親善大使である日本ハムファイターズの小 くイメージが異なる。この宣伝事業が効 笠原選手の協力によるイベント開催を通して、 果的かどうかは疑問が残る。知名度を上 小笠原の観光宣伝を行い、村のPR、観光客の げることが主目的であれば、小笠原諸島 誘致を図る。①内地イベント参加 *アイランダ の方が小笠原選手より知名度は高いの ー(サンシャインシティ) *マリンダイビングフェ ではないか。小笠原選手が島に定期的 ア(サンシャインシティ) *島じまん(隔年・竹芝 に訪れて少年野球教室をひらくというの 桟橋) *海、山ふるさとPR(東京湾納涼船) であれば、また印象は違ってくるであろ ②観光親善大使 *プレゼントデー(東京ドー う。イベントの効果はbで検証する。 ム) j .フォトコン テスト 村 小笠原の自然の豊かさをコンテストを通して島 内外にPRする。ダイビング雑誌、カメラ雑誌、公 募ガイド、ホームページ等で告知し、応募を募 り、優秀作品には賞状、副賞等を授与する。 写真はある一部分を切り取る作業なの で、島の雰囲気や過ごし方までは伝わり にくい。また、写真は自然の豊かさだけ でなく、人も加わった活動的なものも含 めた方がよい。写真とともにエッセーも募 集し、あわせて掲載するとよい。 事業主体 事業概要 コメント 4.推進体制に関する事業 種別 事業名 (1)人材 a.エコツーリ 育成 ズム(環境) 経営塾 商工会 自然環境を主に環境支援ビジネスを経営のな わが国における環境ビジネスの最先進 かに取り込み、地域の自然環境の保全を目的と 地であることを印象づける象徴的なプロ するビジネスを構築する。村内事業者にエコツ ジェクトが一つたちあがるとなおよい。具 ーリズムの基礎的な知識の啓蒙を推進する。マ 体的なプログラムが示されないと商工業 ニフェストの作成は環境との係わりの始まりであ 者に中味が伝わりにくい。 り今後環境というマクロを捉え、ミクロでは様々な 規制が行なわれつつあり村内地域に置いても 解決すべき環境は多いのでこれをビジネスチャ ンスと位置付け経営に取り組む。 60 4.推進体制に関する事業 種別 事業名 (1)人材 b.観光業者 育成 の勉強会 事業主体 事業概要 母観 コメント 地元の産物を利用した新しいメニューの開発。 継続的実施が重要である。 農・漁業との連携による民宿での島の産物の利 用法拡大。民宿による料理研究会の開催。農 協の協力による、B級トマトの活用、民宿でのト マト予約販売。他産物にも拡張予定。 ※平成 13年度から実施 (2)住民 a.TSL就航 父観 TSLの就航に当り、現状での問題点、課題など 大切な事業である。事業者側の意識を 意識・参 に関する会 を集約し、解 決策を考える。観光協会各部会 確かめるのであれば至急実施する。 画 員の意識調 (宿泊、ガイド、飲食、商事)で問題点を話し合 査アンケート い、解決策を考える。必要であれば行政にも要 望を挙げていく。 b.島民への 母観 エコツーリズムの理念と小笠原の自然の価値を 体験的に学ぶ仕組みを考える。 周知活動 広く島民に普及させ、よりよい島を目指す。ゴミ・ タバコのポイ捨て禁止・移入動植物の持込禁 止・挨拶運動など各団体に呼びかけできること から行なっていく。憲章等についても検討。 c.世界遺産 (都・村) 世界遺産登録に必要な基準を調査し、そこを目 学術的見地からの検討には、小笠原が 登録にむけ 標として関係者、住民が協力しあって小笠原振 候補になっている。村、住民への世界遺 た整備 興を図る 産登録の意識啓発をする必要がある。 (3)開発 a.閑散期対 村 閑散期の集客が見込める村内団体の自主的、 新規観光メニュー等の芽出しのための 支援 策事業助成 主体的事業に対し、その事業費の一部を補助 事業。 することにより、事業の定着化と村内経済の活 性化を図る。事業費補助は予算の範囲内で行 い、1団体当たり50万円を限度とする。〔平成1 4年度対象事業〕 *第4回ジギングトーナメント 大会(実行委員会) *格安ツアーにおける参 加者と村民との交流イベント(観光協会) *メ グロキャンペーン(母島観光協会) b.金融機関 商工会 金融機関の誘致を行うことにより本土並みの金 TSLに向けた受け入れ体制整備の民間 誘致事業 融環境を享受できる。金融格差の適正化を計る 事業を誘致するために、至急の対応が ことにより事業者のみならず村民の生活基盤の 求められる。 安定化の資金調達の迅速化も可能になる。地 域社会の金融ニーズを的確に利用できる総合 金融機関の設置および小企業経営者の経営安 定資金の供給を迅速に対応する金融店舗の設 置。 ※H15.10開店予定 c.特例融資 商工会(都・ 地域に密着した独自性のある助成を含めた融 TSLに向けた受け入れ体制整備の民間 緩和事業 村) 資枠の設置により、より多くの融資対象者を支 事業を誘致するために、至急の対応が (TSL就航に 援する。TSLの就航にあわせた観光立島として 求められる。 合わせた金 ふさわしい村づくりなどに資金面の支援を可能 融支援事業) にする。現在の金融情勢を劇的に改善し地域 の資金需要を円滑に進めるた新たな融資枠を 設立する特例制度を村条例化し、融資制度の 緩和と低金利融資、利子補給、償還期間の延 長、環境条例適正化助成、信用保証制度の簡 便緩和策をめざす。 61 4.小笠原村振興と TSL 就航に向けた各種事業実施のシ ナリオ 村内など各団体からの事業、研究会としての提案事業等についてまとめた「小笠原振興に向けた各 種事業一覧」について、事業種別の中分類毎に、1エコツーリズムを機軸とした観光振興という視点、 2小笠原村の現状、3各事業の実現性・緊急性を事務局が判断し、事業実施のシナリオ(手順)を下 記のとおり提案する。 本資料を含め研究会が作成した資料をベースに、小笠原村において、行政と民間が一体となった具 体的行動(アクション)を切に希望する。 スケジュール(年度) 事 業 種 別 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ 1.観光地整備 (1) 観光施設整 備 東京都が実施する a. エコツーリズムのための観光資源基礎調査 (雨天時利用可能な観光資源調査等)の結果を踏まえ、b. 扇浦地区都 市公園の整備で検討する温浴施設等や、c. 戦跡展示館の整備、d.リラ クゼーション施設の整備、e.交流広場の設置 等を視野に入れて、意見 調整会を開 催しながら整備施設や整備手法・事業主体等を検討する。 上記調査によって整理された施設を事業主体毎に振興事業などの 補助メニューを活用しながら順次建設する。 また、f.小笠原観光自然科学研究所施設の建設 や 2(4)b. 同研究所の 設立に向けては、各方面からも同様の研究所設置の提言を受けている ことから、エコツー推進委員会の中に、既存研究機関も含めた拡大委員 会を設け、設置の必要性を手始めに検討を行う。 上記2項目については TSL 就航までに建設は間に合わないことから、 仮設的施設として以下のことを検討する。 ①b.扇浦地区都市公園の整備 、d.リラクゼーション施設の整備 →更衣・シャワー施設のある父島大村海岸、扇浦、母島前浜の海岸 部分に仮設の大型海水風呂を設置する。 ②c.戦跡展示館の整備 →戦跡遺留品を順次収集し、大村隧道に仮設展示していく。 ③e.交流広場の設置 →既存施設の有効活用を再検討する。 ④f.小笠原観光自然科学研究所施設の建設 →増築されるビジターセンターの一角を借用し、今後の活動拠点と すると共に既存研究機関の成果を公開する。 62 スケジュール(年度) 事 業 種 別 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ (2) 散策道や園 a.フィールドツアーコースの整備(戦跡めぐり)、c.自然観察 地整備 拠点の整備、d. ウォーキングルートやトレッキングルートの整備につ いては、村の観光施設整備事業及び都の自然公園施設整備事業に より順次整備する。 b.小笠原の森散策道(発見の小路)設置要望事業については内容を 精査すると共に、当面は集落内に散策コースを設定し、その際にそれ ぞれ個性的な特産品等を一つ以上品揃えした店の前を通るようなコ ース設定にする。 e. 自然観察小屋の整備、f. ビーチのゾーニングとビーチ付帯施設の 整備はその必要性や整備範囲について島内に置いて議論の上、自 然公園施設や都市公園整備等に位置づけて整備する。 g.緊急時における連絡体制の整備は、村・観光協会を中心に TSL 就航時までに実施する。 (3) サービス施 a. 二見港周辺地域に必要な機能調査をおこない、b. 共同浴場の整備 設 や c.荷物預かり場・シャワー場の整備も検討し、必要ならd. 二見港船 客待合所の改修を行う。なお、船客待合所は入出港時とそれ以外の 人の出入りに大きな差があり、船客待合所の有効利用、また停泊中 のTSLの有効利用という観点も含めて検討をする。 e.竹芝船客待合所機能及び周辺機能の拡充 は、先ずどのような機能 が求められているかの整理が必要であるが、特にTSL 就航により夜の 出発になる場合旅客荷物の扱いが課題となる。他の船客待合所だけ でなく空港における機能・サービスを参考に検討する。 63 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (4)宿泊 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ a. シンボリックな宿泊施設の整備は、村内で何をしてシンボリックとい うかの議論が必要である。15年度のシンポジウム等で議論してはどう か。 b.良質な宿泊施設の整備は、扇浦分譲事業において村が誘導すると 共に、既存の宿泊施設の改築・改修に対する金融的優遇策を早急に 打ち出し、誘導すべき。 c. 宿泊施設の団体対応 は、今後修学旅行の誘致等を図る上では検 討を要する事項であるが、全員が一度に泊まれる大規模宿泊施設の 開発は充分な議論が必要である。分宿による対応を当面は検討す る。観光協会を中心に対応策を早急にまとめ、TSL 就航後に備える。 (5)飲食 必ず宿泊を伴う小笠原では、「食」は大事な要素である。a. オリジナル 料理等の開発及び接遇研修、b. 郷土料理創作 、c. おがさわら丸船内販 売用料理公募、d. 特産品メニュー開発事業協力、i.テイクアウトメニュー の充実、j.島弁当の開発、l.伊勢エビ料理の開発と積極的なアピール、 m. ソフトドリンクの開発は、全て連動するもであり35周年事業で取り組 む「ビストロ島ップ(島料理コンテスト)」の成果を是非活かすと共に、継 続的に実施する。(次年度は素材別に料理を募集するなど今年の結果 を見て工夫する。) a. オリジナル料理等の開発及び接遇研修、d. 特産品開発事業は、小 笠原の様々な資源規模が小さい事から多種少量生産を基本にし、試 作・試験販売を支援する仕組みを商工会を中心に行ってはどうか。 e. ラムリキュール(株)再構築プロジェクトは、15年度に小瓶化商品を 出すことから、その際に商品のブランドアップをはかる。また、今後の 商品開発メニューとして n .地ビールの開発も検討する。 g.市場併設の飲食施設の開発、h. 多様な飲食施設の開発は、施設 整備に時間がかかり、また既存施設との調整があるので、当面は f. 既存施設のサービス改善 を図る。その際に、i. テイクアウトメニュー の充実や o. アウトドアでの弁当の食べ方の研究とも連動し、公園や 海岸も既存施設の一部と考えた発想をもつ。(デリバリーサービスの 実施など。) k. ヤギ肉料理の開発は、ヤギの捕獲と肥育、と畜場の改築など施設 面での問題も大きく、対応は難しい。 64 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (6)土産・物産 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ a.移入種の利用は、(5)飲食の特産品開発と同様に試作・試験販売 への支援を行う。併せて体験プログラムも各事業者において実施す る。 c.直売場の整備と活用、d. 市場の活用 、e. 朝市の定期開催は、個々 に場所を設定したり、各団体・事業者毎では規模が小さく「市」として の賑わいが演出できないと考えられる。既存施設(特に船客待合所) の活用を考え、かつ村民にも魅力的な市場開催を行う。また、(5) 飲食 の事業とも連携させる。 (7)島内交通 a.村営バス運行の充実を図る上で利用者の利便性と採算は相反す る。バス運行の定時制を厳守しながら携帯用の時刻表を配るなど、利 用し易さを工夫する。 b. 村道整備、c. 街灯整備 は、振興事業等により実 施しており、今後も 順次整備を行う。なお、街灯については集落内とし、集落外はむしろ 夜間の人工光は極力減らすようにする。 (8)情報・案内 a..エコツーリズムのための観光資源基礎調査(統一的、一体的な観 光案内標識整備等についての調査)の調査結果を踏まえ、(2)散策道 や園地整備、e. ルート整備・フィールドマップの作成など今後の事業 に取り入れていく。 b. 小笠原ガイドマップ作製、c. 自然観察ガイドブック作製、d. 南島・石 門ガイドマニュアル作成、e. ルート整備・フィール ドマップの作成、 f.TSL パンフレット作成、g.詳細なガイドブックの作成、h.飲食店マップ の作成、i. フィールドマップの作成は、各事業主体が連携し、内容・配 布対象等をすりあわせて、現在発行されているパ ゚ンフレット・ガイドブ ックとの比較の上、実際に不足している資料から作成する。 (9) 景 観 ・町 並 a. エコ景観・街づくり事業は、村では景観形成に関する村の方針づく み りに着手する予定であり、その中に村民も交え、できることから始める 方針づくりに心がける。 65 スケジュール(年度) 事 業 種 別 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ (10) 観 光 客 を a. 出迎え見送りの演出の検討は、TSL がスピードを上げるまでの間は 迎え入れる仕 現在の船による見送りを継続する。岸壁での送迎は素朴さを失わな 組み い程度に演出を考える。なお、特に出迎え時には何らかの演出を考 える。 b. 村内共通マネーカードの開発の検討は、地域通貨の発行も含め て、どのような特典や機能(環境貢献など)を持たせるか、カード・通 貨の発行主体はどうするか、端末機械等の施設整備はどうするかな ど商工会を中心に十分検討する。 (11)生活インフ a. 診療所施設の充実整備 については、新診療所の建設を15年度に ラ 基本計画を策定し、21年度開設を目指している。旅行者向けには、 村のHPで診療体制を紹介しているが他の観光関係HPにリンクさせ る。 b.情報通信基盤整備は、15年度から具体的に村内の施設整備には 取りかかることになっており、17年度整備後の活用が期待される。た だ、本土と小笠原間の整備が未定であり、今後も関係機関への要望 等が必要である。 c. 航空路開設要望事業は、商工会のみならず全村的な取り組みとし て都に対して継続する。TSL は航路の改善にはなっても、航空路の 代替えではないことを共通認識とする。 2. エコツアー 商品開発 (1)商品開発 エコツアーの商品開発に当たっては、(2) ガイド養成、と関連づけなが ら、保全を優先した利用の仕組みづくりを確立しなくてはならない。小笠 原エコツーリズム推進委員会およびその拡大委員会としての小笠原観 光自然科学研究所(1 .観光地整備(1)観光施設整備 )が中心となって既 存のツアー商品を含めた全てのツアーの見直しを行う。 a. エコツーリズムのための観光資源基礎調査(新たなコース開発 及び関連施設整備等についての調査) 東京都は、TSLの就航に伴う観光客層の変化を念頭に置き、既 に活用している観光資源および今後の活用の可能性を含む新たな 観光資源を調査した上で、ルート化し、必要と思われる施設等を検 討素材として提供する。 66 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (1)商品開発 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ b.エコツアーの開発 小笠原観光協会は、各事業者と小笠原エコツーリズム推進委員 会が共同で、細心の配慮をした商品開発を行う体制づくりを構築す る。さらに、その商品の販売方法を細部にわたり検討して販売を実 施する。 c.戦跡調査・ルート整備 平和・環境教育の一環として戦跡ツアーをとらえ、自然科学的な 視野も含めたツアー開発が望まれる。また、戦跡ガイドの養成を小 笠原村教育委員会の協力を仰いで進める。 d.鯨類の観光資源開発 科学的な生態研究から得られる成果のひとつとして、観光振興へ の貢献を大きな位置づけとしている。裏をかえせば「観光振興のた めの科学的手法を用いた鯨類生態調査」であると考えて本事業を 1988 年(昭和 63 年)から実施している。平成 15 年度には、ミナミハ ンドウイルカの生態調査とガイド養成、ガイドマニュアル作成を兼ね た調査プログラムが開始される。 e.三日月山陸上ホエールウォッチングツアー 平成 14 年度に第 1 次のツアー開発とツアーが実施された。その 反省点を踏まえて、ガイドマニュアルの整備を含めた第 2 次事業を 平成 15 年度に実施する。 f.鯨類生態研究(モニタリング)体験ツアー 平成 14 年度にマッコウクジラを対象としたモニタリングツアーを実 施。その反省点を踏まえて第 2 次事業を平成 15 年度に実施する。 中期的な展望として、ツアーの安定的な実施方法およびその販売 方法の検討も合わせて行う。 g. 観察会・レクチャー・依頼による特別レクチャー・特別ツアーの開 催 まず公的な無料レクチャーと一般業者の行う有料ガイドの観光に 果たす役割分担を明確にする。その上で定期的な公的レクチャーを 広く普及させる。父島では小笠原ホエールウォッチング協会の主催 する三日月山からの鯨類陸上観察会とビジターセンターでのレクチ ャーは定番となっている。平成15 年度は、父島と同程度の鯨類陸上 観察会を母島で定期開催するための準備を実施する(鮫ヶ崎や静 沢線が候補地)。 67 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (1)商品開発 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ h.村民向けエコツアー 平成 14 年度に南島や弟島などで村民向けエコツアーを実施した。 この際の反省点として、ツアーそのものの一貫したテーマ性が見え づらく、散発的な印象が残った。平成 15 年度以降は、年間ツアース ケジュールを設定するなど、村民向けエコツアーの意義を明確に示 した上で参加を呼びかけるべきであろう。また、参加者の意識調査な ども必要と思われる。 i.鯨類を基軸とした環境教育(地域社会学習) 平成 14 年度に都立小笠原高校で小笠原ホエールウォッチング協 会が総合学習の時間を利用した講義を行った。平成 15 年度以降 は、対象を小・中学生などにも広げることを検討する。修学旅行など 団体旅行に対しても具体的なメニューとして取り上げる。 j.動植物観察ツアー会員募集 小笠原海運は小笠原エコツーリズム推進委員会等との連携を密に とり、商品開発にとりかかる。この際、単発的なツアーではなくテーマ 性をもった定期的な年間商品としての位置付けが重要である。 k. 鳥島ツアー会員募集、 l.南硫黄島ツアー会員募集 今年度から取り組んでいる事業であり、ツアー成功の鍵は事前準 備の量とガイドの質次第であり、今後も質の高いガイディングが行え る体制を整備することが重要である。 m. 聟島列島航路検討、n.船内ツアー①、o.船内ツアー②、 q.船内エコツーリズム展示事業協力、 r.船内エコツーリズムイベント事業協力 定期航海ものツアーとして位置づける。実施にあたっては、小笠原 エコツーリズム推進委員会との連携をとり、ガイド養成を含めた実施 計画を整備し、実現化する。十分な事前調査を行う必要がある。 p.おがさわら丸無料運航事業協力 平成 12 年度から15 年度までにマッコウクジラウォッチングを対象と した無料ツアーを毎年 1 回づつ、合計 3 回開催した。今後、全体的 なエコツアー開発の中での役割を再確認し、事業を継続する。 s.マイクロバスによる島内観光ツアーの実施 事業主体の検討およびマイクロバスの確保を開始する。ツアーコ ースの開発を小笠原エコツーリズム推進委員会等と連携して行う。 68 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (1)商品開発 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ t.多様なガイドツアーの開発 小笠原エコツーリズム推進委員会が中心となって数種類の具体的 なツアーコースの素案を作成し、事業者と共に事業化に向けた取り 組みを開始する。 u.ソフトアドベンチャーツアーの開発 マーケット調査、小笠原ならではのアドベンチャーツアーのあり方 など、まず基本的な調査から開始する。アドベンチャーツアーのガイ ドであっても、自然・文化面の知識も豊富なガイドの養成が望まれ る。 v. ツアー中の昼食の開発、w.ツアー中のおやつの開発 観光協会の飲食部会とガイド部との共同事業として開発を行う。 (2)ガイド養成 将来的には a. 東京都版エコツーリズムの実施、c.母島森林ガイド、f. ホエールウォッチングインタープリタ養成、g. ガイドマニュアル本の作 成、j. 生活文化を案内するガイドの養成、i. ライフセーバーの養成事業 は、それぞれ独立したものではなく、小笠原村としての統一的なガイド 制度として機能させていくべきであろう。例えば基礎認定を得たガイド が、専門資格としてホエールウォッチングやライフセーバーのガイド認定 を受けていくなどの方式を検討する。 a. 東京都版エコツーリズムの実施 既にスタートしている「東京都自然ガイド」の現地での組織体制を 整備することによって(ガイド連絡会をつくるなど)、保全と利用の仕 組みづくりをガイド自身が自主的に行える体制を整える。認定に当 たっては修了試験の導入を検討するなど、認定の基準作りをするべ きだろう。さらに、認定者に対してもフォローアップ講習の参加実績 や現場での実務経験などを評価した良い意味での差別化(優良ガ イド選出などランク付け)を検討する。 b.自然ガイド推進事業の実施 小笠原エコツーリズム推進委員会を窓口として実施する。また、自 然ガイドの相互研鑽方法について検討していく。 c.母島森林ガイド 東京都自然ガイドと連携をし、保全と利用のルールづくりを再検討 する。入林許可も含めて、入林者の管理を執り行う窓口を一本化す る。ガイド養成に関しては、父島との連携も考慮に入れて実施する。 69 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (2)ガイド養成 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ d.フルーツアイランド構想 実施にあたっては、景観整備事業、固有な自然環境の保全という 観点を含め、科学的な側面からもこの事業を検証する。 e.鯨類保全に関するガイドラインの作成と管理運営 ウォッチングの自主ルールとドルフィンスイミングのガイドラインの整 備を既に実施した。今後は、事業者向けの勉強会を継続的に開催 し、ルールとガイドラインの点検を行うとともに、観光客に対する普及 にも力をいれる。 f.ホエールウォッチングインタープリター養成 平成 13 年から継続的に実施している。認定者に対するビジネスサ ポート的側面を考慮し、認定者の公表、優良ガイドの表彰などを検 討する。 g.ガイドマニュアル本の作成 これまでに「南島ガイドマニュアル」、「マッコウクジラガイドマニュア ル」を作成している。平成 15 年度には改訂版「南島ガイドマニュア ル」および「イルカガイドマニュアル」を作成する。作成に当たって は、現役ガイドからの積極的な参加協力を呼びかける。 h. おがさわら丸船内講師の養成・派遣、i. おがさわら丸乗組員講師 の養成 小笠原海運との連携を図り、トライアルアンドエラーの精神で試行 的ながらも早期の実施が望まれる。 j.生活文化を案内するガイドの養成 “村民総ガイド”の考え方に基づき、村民の中からボランティアガイ ドを養成して登録する。登録者には、ガイド実績に応じて“エコマネ ー”などを支給する。 k.リスク管理を徹底するセミナーの実施 ガイド認定講習の基礎的な必修科目とすることが望ましい。認定ガ イドの質的向上を目指し、小笠原村認定ガイドとしてまとまって保険 会社と交渉を行い、保険料を安くしてもらうなど、現実的な展開も検 討する。 l. ライフセーバーの養成 消防庁による救急法講習会などが継続的に開催されてきたことか ら、救命士等の資格保持者は比較的多く存在している。とっさの現 場で対応できるような定期的なトレーニングの実施が望まれる。ま た、緊急時の連絡体制を整備する。 70 スケジュール(年度) 事 業 種 別 (3)研究調査 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ a.アカガシラカラスバトサンクチュアリ整備事業(父島) 平成 15 年度に利用地域指定と歩道整備を実施。事業者同士の連 携により、自主的に保全のためのルールをつくる。 b.アカギ駆除ボランティア計画 “自然再生”や“環境保全”をアピールする意味においても、本土 からの誘客を含めた取り組みが必要。事業の経過をインターネットな どを通じてリアルタイムで公表する仕組みも重要。 c.希少野生動植物保護管理事業 島内外研究機関、小笠原エコツーリズム推進委員会等との連携を 図り、事業に重複などの無駄がないように実施する。 d.南島植生回復モニタリング事業 東京都や島内NPOの行う事業と十分な調整を図りながら実施す る。 e. 植生回復事業 事業の目的を明確に示すとともに、将来の利用を考えた計画のも とに実施する。 (4)推進機関 a.エコツーリズム憲章の策定 エコツーリズムに則った“小笠原らしい固有な島づくり”のための憲 章を策定し、村民一丸となってエコツーリズムを推進する。 b.小笠原観光自然科学研究所の設立 小笠原のシンボルとなる研究機関として、産業としての観光を成功 させるキーポイントとなる機能をしっかりと整える。中、長期的な計画 もしっかりと作成し、運営費の財源をどのように確保するのかも含め た計画書の作成が急務。 c.小笠原ガイドセンターの設立 将来的には小笠原観光自然科学研究所と連携した組織として位 置付けた活動がのぞましいが、短期的には東京都自然ガイドなどの 拠としてスタートすることも考えられる。 71 スケジュール(年度) 事 業 種 別 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ 3.販売 (1) 販売チャン a. 宿泊・ガイドサービスの予約代行や b. 旅行代理店業務、c.宿泊・ガ ネル イドサービス予約状況の把握と広報は小笠原海運と両観光協会が 連携する。旅行業免許を持ち、企業として対応できる海運と村内観光 業者を把握できる観光協会がそのメリットを活かしきることで、現状で の対応が可能と考える。 d.TSL商品企画は2.エコツアー商品開発とも連動させ、旅行業者、 両観光協会、海運、村による商品開発に向けた協議会を発足させ、 TSL 就航時には商品化されるよう活動する。その中で e .新規旅行斡 旋業者との契約を検討し、また f.旅行斡旋業者視察会を実施する。 g.サービス内容の明示は両観光協会が作成したフォーマットに則り 宿泊業者やガイドサービス業者等に自己評価により作成してもらい、 観光客へのアンケートの中でその評価を行い、また各業者にフィード バックさせることで h. 品質管理と情報開示を行う。またこのアンケート の中で、i. 来島者特性の分析 データも収集する。 (2)宣伝・イベン ト 村が15年度に行うb. 観光宣伝手法調査に基づき、c . 宣伝広報事 業、i. 観光宣伝事業を実施する。j.フォトコンテストなど既存の事業は 調査の中で事業評価した上で継続等を考える。別途、都として a.エ コツーリズム推進PRを行う。 f.TSL船名募集を皮切りに e. TSL試乗会も行いd.TSL就航宣伝を行 う。これには(1)d.TSL商品企画にも連携させる。 g.都立学校の修学旅行誘致 は、誘致用のパンフレット等を作成し、担 当旅行業者や都立に限らず各学校へ送付する。TSLと自然体験をメ インにした誘致を図る。宿は 1.(4)c.宿泊施設の団体対応 策を早急に まとめる。 h. 観光モニタリング調査は随時実施することとし、(1)販売チャンネル で記述したアンケートと連携させる。 72 スケジュール(年度) 事 業 種 別 15 16 17 シ ナ リ オ 18∼ 4.推進体制 (1)人材育成 a.エコツーリズム経営塾において、経営者として環境ビジネスに取り 組むことの理解と、小笠原で経営者であることの責任を学び、具体的 な取り組みを議論し、実践する。 b.観光業者の勉強会 は、継続中の事業であり、引き続き実施する。な お、1.観光地整備 にある特産品や料理の開発と連動させる。 (2) 住 民 意 識 ・ a. TSL就航に関する意識調査アンケートは至急実施し、問題・課題を 参画 解決するための関係者会議を行い、対策に取りかかる。 b.島民への周知活動はエコツーリズム推進協議会を中心に、啓蒙活 動として実施する。その際に2.エコツアー商品開発における(1)h.村民 エコツアーなどもその一環とし、(4)a. エコツーリズム憲章の策定には 村民参加を図る。 c. 世界遺産登録に向けた整備は、候補地として国に取り上げられた ことから、国や都と連携しながら具 体的に対応する。また世界遺産登 録の意味や進捗状況を住民に順次周知していく。 (3)開発支援 a. 閑散期対策事業助成については当面は現状の事業として継続しつ つも、2 .エコツアー商品開発等により閑散期対策を戦略的に実施す る。 b.金融機関誘致事業 は 15 年度 10 月に七島信用金庫が開店する。 今後はこの金融機関を活用したり、都や村による c. 特例融資緩和事 業(TSL 就航に合わせた金融支援事業)を具体化する。 73 調査シリーズ 2003-238 離島航路事業の高度化及び離島における エコツーリズム振興に関する調査研究報告書 2003 年 3 月 31 日 発行 無断転載を禁ず 財団法人 海事産業研究所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2丁目6番地4号 電話 03- 3265- 5231 74 海運ビル