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Arts Initiative Tokyo [AIT]

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Arts Initiative Tokyo [AIT]
In and Out of the Scene
Seven art centres working from the outside
アートが 息 づく場 の 内と外 :
「 アートセンター 」の 意 味と役 割を考 えるラウンドテーブ ル・フォーラム
1
AIT では、2015 年 2 月 25 日に、7 つの美術機関を招き、
The opportunity to host curator Gina Buenfeld from
代官山の AIT ルームで、今日のアートセンターの意味と役
Camden Arts centre in London became a catalyst to
割を話し合うラウンドテーブル・フォーラムを実施した。本
organize a roundtable discussion about the meaning
ラウンドテーブルは、AIT のレジデンス・プログラムにて、
and role of art centres’ today. The very term ‘art centres’
カムデン・アーツ・センターのキュレーター、ジーナ・ブエ
in many ways seems old fashioned now, as ar ts
ンフェルドを東京に招へいしたことを契機に行われた。現
organizations emphasize a more hybrid and networked
在、多くの美術機関がハイブリッド化、そしてネットワーク
model of working. Debates about the de-centralization of
化に重点を置くなか、中心を意味する「アートセンター」と
art have been prominent. However, art has also always
いう用語そのものが、さまざまな意味で時代遅れに響くよ
operated through places of gathering, focused themes
うにも思われる。アートの「脱中心化」に関する議論も活
and centres for communities. Historically Tokyo in the
発だ。しかし、一方で、アートは常に、人が集う場所や特
1960s had art centres that served as important hubs for
定のテーマ、コミュニティの中心において実践されてきたと
avant-garde gathering, most prominently The Sougetsu
考えられないだろうか。歴史的に見ると、1960 年代の東
Ar t Centre. These centres dissipated and became
京では、前衛芸術運動の重要なハブとしてアートセンター
geographically dispersed through the 1980s, and today,
が存在し、特に草月アートセンターはその役割を担ってい
like many other art cities in the world, Tokyo’s art scene is
た。その後、80 年代にはこのようなアートセンターは消散
highly fragmented.
し、地理的にも分散してしまった。今では、世界の多くの
芸術都市と同様に、東京のアートシーンは非常に断片化し
I proposed to ask three interlinked questions through the
てしまっていると考えられる。
roundtable: a) how do we work with art and artists today?
b) how do we work with broader publics and communities?
本ラウンドテーブルにおいて、私は相互に関連する 3 つの
c) can we think about art centres as ‘thinking machines’ (in
問いを提起した。1) 私たちは今日、アートやアーティストと
the words of Camden Art Centre’s Director Jenni Lomax).
どのような関わりを持って活動をしているのか? 2)広義
I invited Gina to give a brief overview of the historical and
のパブリックやコミュニティとどのように協働しているの
current activities of Camden Arts Centre. Seven Tokyo
か? 3)アートセンターを「考える機械」
(カムデン・アーツ・
based independent arts organisations, including AIT,
センターディレクター、ジェニー・ロマックスの言葉を引用)
were invited to participate and share their experiences
と考えることは可能か? 当日は、まず、ブエンフェルドが、
and ideas for the future. A broad range of models was
カムデン・アーツ・センターの歴史的経緯と、現在におけ
represented, from artist in residency programs, critical
る活動の概要を紹介し、その後、AIT を含む東京を拠点と
research workshops, archive-building, art schools and
する 7 つの自律した美術機関が議論に加わり、これまでの
artist based spaces.
ラウンドテーブル・フォーラム
イン・レジデンスや批評的なリサーチ・ワークショップ、アー
The heyday of art centres in the 1960s was also embedded
2015 年 2 月 25 日(水)6pm - 9pm
カイブの構築、アートスクール、アーティストのためのスペー
in a national politics of democratization, urbanization
スなど、幅広いモデルが紹介された。
and participation. This was the era of John Berger’s
In and out of the scene:
In and out of the scene:
アートが息づく場の内と外 :
Seven art centres working through art from the edges
「アートセンター」の意味と役割を考える
経験や今後の考えを共有した。そのなかで、アーティスト・
radical ‘Ways of Seeing’ (1972, BBC television), which in
場所:NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ [ AIT/ エイト ]
(東京都渋谷区猿楽町 30-8 ツインビル代官山 B403)
主催:NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ [ AIT/ エイト ]
A roundtable forum in Tokyo about the role and meaning of art
centres today, with seven different models of practice.
Wednesday 25th February, 2015 6pm - 9pm
Venue: Arts Initiative Tokyo [AIT] (403 Twin Building Daikanyama,
30-8 Sarugakucho, Shibuya-ku,Tokyo 150-0033)
Organized by: Arts Initiative Tokyo [AIT]
助成:平成 26 年度 文化庁 文化芸術の海外発信拠点形成事業
Supported by: Agency for Cultural Affairs Government of Japan
参加者
participantS
1960 年代のアートセンター全盛期を振り返ると、アートセ
many ways heralded a shift towards art as a process of
ンターの活動は、民主化や都市化、市民参加という国内
dialogue, inter-subjectivity and relations. How can we think
政治に組み込まれてもいた。この時期、イギリスでは、ジョ
about art centres in the contemporary context of global
ン・バージャー の「Ways of Seeing」
(1972 年、BBC)
capital and information? We can perhaps suggest that a
という急進的なテレビ番組が放映されていた。この番組は、
centre today not only points to a physical point in space,
さまざまな意味において、アートが対話のプロセスや相互
but also to an activity of ‘centering’, to a sense of stilling
朝重 龍太(アーカスプロジェクト)
Ryota Tomoshige, ARCUS Project
主観性、関係性として捉えられていく転換を予知していた。
and concentration in time.
塩見 有子(アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT])
Yuko Shiomi, Arts Initiative Tokyo [AIT]
堀内 奈穂子(アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT])
Naoko Horiuchi, Arts Initiative Tokyo [AIT]
ロジャー・マクドナルド(アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT])
Roger McDonald, Arts Initiative Tokyo [AIT]
嘉藤 笑子(アート・オウトノミー・ネットワーク(AAN)
)
Emiko Kato, Art Autonomy Network / AAN
小川 希(アートセンター・オンゴーイング)
Nozomu Ogawa, Art Center Ongoing
ジーナ・ブエンフェルド(カムデン・アーツ・センター)
Gina Buenfeld, Camden Arts Centre
太田 エマ(ディスロケイト)
Emma Ota, dislocate
庄子 渉(パラダイスエア)
Wataru Shoji, PARADISE AIR
森 純平(パラダイスエア)
Junpei Mori, PARADISE AIR
アートセンターは、グローバル化する資本や情報という現
代の文脈のなかでどのように捉えることができるだろうか? おそらく、
「センター」
とは、
物理的な空間としてのみではなく、
「中心化する」活動、つまり、静止点、時間的な集中点で
あるということをも指し示しているのではないだろうか。
ロジャー・マクドナルド(AIT)
2
Roger McDonald, AIT.
in the fiscal 2014
3
Introductory Presentations
BY THE SEVEN ART SPACES
7つのアートスペースによる活動紹介
太田:ディスロケイトは、サイトスペシフィックな活動を軸に、文脈と地域性に批
嘉藤 笑子/アート・オウトノミー・ネットワーク(AAN)
Emiko Kato, Art Autonomy Network (AAN)
評的議論を積み重ねながら変化を遂げてきました。特にスタジオスペースのよう
なものは持ち合わせていませんが、都市空間を恊働とコミュニケーションのプラッ
トフォームと捉え、アーティストや参加者、主催者といった垣根のない、誰もが
積極的に参加できるレジデンス・プログラム作りに力を注いできました。私たち
はアートを「問い」として捉え、その問いを公共空間に向けていくことを目指して
朝重:アーカスプロジェクトは、茨城県守谷市を拠点としたレジデンスプログラ
Ryota Tomoshige: ARCUS Project runs a residency program based
います。場所や公共性について対話を始めるときには、まず、隣人を知る必要
ムを運営しています。日本でもっとも長期的に続いているプログラムの一つで、
in Moriya City, Ibaraki Prefecture. It is one of Japan’s longest running
があります。そのため、私たちはアジアに焦点を当てたレジデンス・プログラム
1994 年に始まりました。公募によって選ばれた 3 名のアーティストが、現地で
programs, having started in 1994. Three artists are selected from an
に力を注いできました。すべてを自分たちで手がける DIY 的なアプローチは小回
100 日間、滞在制作を行います。プログラムの目的は若手アーティストを支援
open call application and stay for 100 days. The aim of the project is
りもきき、小さな衝突やその収束を通じて、慣れ親しんだ環境の中でも別のあり
することと、地域住民に向けて芸術を普及することで、アーティストと地域住民
to support young, emerging artists and promote the arts to the local
方を切り開いていきたいと思っています。
が相互に関わることを求めています。
people. Artists and the local people are required to communicate
each other.
庄子:パラダイスエアは、2013 年松戸市に設立されたレジデンスプログラムで
スを備えた芸術施設で、アーティスト有志がリノベーションを手伝ってくれた古い
Nozomu Ogawa: Art Center Ongoing is an art institution with a
が通過した地域にあり、当時、多くの画家たちが宿泊代を作品で支払っていた
民家を使っています。展覧会の入場料はお茶付きで 400 円と決めているので、
gallery space, cafe and bar. It is located in an old house that was
ことから「一宿一芸」をコンセプトとしています。アーティストは、市に作品を提
that time many painters paid for their overnight stay with artwork
来場者は展覧会を観た後、気軽にカフェに行き、展覧会について話し合うこと
renovated with the help of artists. The exhibition entry is set at 400
供すれば無料で滞在することができるのです。ここにはロングステイ・プログラム
and so our concept is one night, one art. Artists can stay for free if
ができます。私は、このカフェと、週末に開催するイベントからのみ収入を得て
yen (with tea) and so people come down to the cafe to discuss the
とショートステイ・プログラムがあり、1 年間に 2 名のアーティストをロングステイ・
they give some artwork to the city. We have a long stay program and
います。また、2 年前からレジデンスプログラムも始めました。公募により1 年
show. I only earn money from the cafe and events that are held there
プログラムに招聘し、彼らを経済的、技術的に支援します。このプログラムは、
a short stay program. We invite two artists each year for the long
間に 5 名のアーティストを招聘し、近くの宿泊施設に滞在してもらっています。
each weekend. We also started a residence program two years ago
アーティストの作品を通して、街に多様性をもたらしています。
stay program and we support them financially and technically. This
新しい展覧会を 2 週間ごと、一年間に 25 の展覧会をノンストップで企画してい
and we invite five artists (via open call) per year and they stay in a
ますが、
もし私がこの流れを止めてしまったらプロジェクトは崩壊してしまうことでしょ
house nearby. I make a new exhibition every two weeks – 25 a year
嘉藤:アート・オウトノミー・ネットワークは 2005 年に横浜でスタートし、現在は
う。つまり、このスペースは、私のパーソナルなアートセンターであると言えます。
– I can’t stop. If I stop then the project will collapse – my space is a
日本橋を拠点にしています。設立メンバーはアーティスト、キュレーター、研究
Emiko Kato: Art Autonomy Network started in Yokohama (2005)
す。以前ラブホテルだった施設は 、むかし水戸から江戸に向かう多くの旅行者
小川:アートセンター・オンゴーイングは、ギャラリースペースやカフェ&バースペー
personal art centre.
塩見:AIT は、2001 年に設立され、MAD というアートの学校をスタートしました。
program brings diversity to the city through the artist’s work.
者です。私たちは新しいアート・アーカイヴの方法を構築することを始めましたが、
and is now based in Nihonbashi. The original members were
シンポジウムやアーティストトーク、その他のイベントも企画しています。横浜で
artists, curators and researchers. We started to create a new way
当時、主流だった「アーティスト・コレクティブ」ではなくて、キュレーターやオー
Yuko Shiomi: AIT was founded in 2001 and it started out as an art
活動を始めたときは、地方行政から助成や人的支援を受けていましたので、公
of archiving but we also do symposiums, artist talks and other
ガナイザーの集団が立ち上げたことは、ユニークだったと思います。これは、私
school. It was unique in that we were not an artist collective, we
的機関を活用することは可能でした。東京に移転してからは、空きビルに入居し
events. When we began in Yokohama it was funded by the local
たちが、日本の美術教育に疑問をもち、キュレーションとオーディエンスのコー
were curators and organisers. We started with an education program
て、複数のクリエーターとシェアをしています。私たちはアーカイヴ・ミーティング
government – Yokohama wants to be a creative city and so it was
スで学校を開始したこととも関係しています。また、活動を始めてすぐに、東京
because we thought that there was a chance to offer a new system
や、アーティストがポートフォリオを持ち寄りプレゼンテーションするポートフォリオ・
very easy to use public spaces. Since moving to Tokyo we have
には海外のアーティスト受け入れる仕組みが不足しているということに気づきまし
within Japanese art education. After two years we found that residency
ミーティングなど、多数の「ミーティング」を開催しています。また最近、NICA:
been using a warehouse building that we share with other creators.
た。そこで、アーティストに時間と空間を提供する、リサーチ型のレジデンスを
programs were lacking and we wanted to create some kind of
Nihonbashi Institute of Contemporary Artsというアートスペースを立ち上げま
We often organise “Meetings” – art archives meetings and portfolio
作りました。私たちは、こうした異なるプログラムを通じて、人々が出会い、現
residency program as a base for an artist – providing space and time
した。本施設はインディペンデントで運営していますが、最初の展覧会は、文
meetings where artists bring a portfolio and make a presentation. We
代美術について考え、語る場を作り出すことを目指しています。
for a research-based program. We try to create a place for people to
化庁の助成金を得たものでした。
have recently started an art space – NICA: Nihonbashi Institute of
Contemporary Arts – a project funded by Agency for Cultural Affairs.
meet and discuss contemporary art through various programs.
ブエンフェルド:カムデン・アーツ・センターは「センター」と呼ばれていますが、
朝重 龍太/アーカスプロジェクト
Ryota Tomoshige, ARCUS Project
Emma Ota: dislocate has undergone many transitions but it has
それは、アートを作る場、人々が集まる場所であるという、展覧会以外の機能
Gina Buenfeld: Camden Arts Centre is called a centre that suggests
moved and shifted with site specify at its core, forming a responsive
を持っていることを示しています。もともとは 19 世紀に建てられたビクトリア朝の
it has a function other than exhibitions – a place for making art and
project building critical dialogues with context and locality. Although
図書館で、地域コミュニティに仕えるための市の建物でした。この要素はまさに
where people come together. The building was originally a Victorian
centred around a residency program, we have no studio space as
現在のプログラムにも引き継がれています。1965 年にこの建物はカムデン・アー
Library (built in the 19th century) – a civic building to serve the local
such - the urban space is our studio, which we take as a platform
ツ・センターになりました。この時期はアートの急成長期で、多くのアートセンター
community and that’s really continued to the current programming. In
for collaboration and communication - in a very participatory
が設立されたのです。そしてカムデンはエリートのためだけではなく、一般の人々
1965 the building became Camden Arts Centre – a burgeoning period
endeavor, which makes little distinction between artist, participant
のためにアートを提供するアートセンターとして設立されました。この原則の一部
of the arts when many centres were founded. As a centre it was set
and organiser. We approach art as a question - and we try to direct
として入場料は無料としているのですが、これは、展覧会が全ての人にとって
up to present art as not for only for the elite, but also for the people.
that question towards public space itself. If you are going to start a
開かれるようにするためです。またそれが可能なのは、このセンターが主に政府
Part of that principle is to have free admission – making exhibitions
dialogue about place and public, we need to start with who is next to
の助成を受けているからです。カムデンが、ロンドン中心部の外、市の北部に
open for everyone – and we can do that because we are largely
us and this why we have focused the residency on the Asian region.
位置しているという事実は、他の機関ではおそらく負うことのできない、プログラ
funded by the government. In Camden’s case, we are outside of
Our DIY approach also keeps things close to hand and through small
ム上のリスクを負うことができることを意味しています。カムデンを「中心」の外
London – north of the city – which means we can take programming
scale collisions and convergences we hope to open up other ways of
にある「センター」として考えてみることは興味深いことではないでしょうか。こ
risks that other institutions wouldn’t’t be able to make. It’s interesting
being in a familiar environment.
こには、毎年 9 ヶ月間に渡る長期の現代陶芸のフェローシップがありますし、常
to think about Camden as a centre that is outside the centre. We
に活気のある状態にしたいと考えています。作品をスペースに設置し、来場者
have a long-term ceramics fellowship which runs for nine months
Wataru Shoji: PARADISE AIR is a residence program in Matsudo that
にその作品について教える、というよりは、人々が入って来て、彼ら自身の方法
each year – we like to keep spaces alive. Rather than objects placed
was established in 2013. It is a former love hotel in an area where
で作品を経験できるよう、オープンにしておきたいと考えています。
in a space and visitors are taught about them we leave it open for
many travellers passed through on their way to Edo from Mito. At
4
people to come in and experience it in their own way.
5
Edited highlights
from the roundtable
ラウンドテーブルより抜粋
空間から「時間」へ
From Space to ‘Time’
アートセンターの独立性について
マクドナルド:90 年代後半を思い起こしてみると、私がアートセンターに関
McDonald: When I think about the late 90s, when I used to attend
マクドナルド:例えば以前なら地方再生、また現在は東京オリンピックなど、
連した様々なトークやシンポジウムに参加していたとき、その議論の重点は、
various talks and symposiums about art centres the emphasis used
アートを社会的手段とする考えを、どのように捉えていますか?あるアーティ
空間ということに置かれていたように思います。今日、私たち皆がそれぞれ、
to be on space. Today I was very much struck by the way that we
ストたちはこのような考えに肯定的ですし、また別のアーティストたちは関わ
さまざまな「時間」に関するテーマを提供しようとしていることはとても興味
are all trying to provide different aspects of time – something that is
ることはできないと考えています。例えばディスロケイトの試みを振り返ると、
深かったです。この「時間」の問題は、現代美術のなかで、より重要な
becoming a much more important dialogue in contemporary art.
対話の要素になっています。
ジーナ・ブエンフェルド/カムデン・アーツ・センター
Gina Buenfeld, Camden Arts Centre
空間との関わりはあくまでもメタレベルです。そして物事を言説から、もしく
は批評的レベルから考えていると思います。また、地域はどのように公共
Ota: We deal with a sense of urgency in terms of what it means to
空間の一部なのかということも。みなさんはいかがでしょうか。
Autonomy of Art Centres
太田:私たちはいま、場所と時間を占有することがどのような意味を持つかと
occupy space and time, right now. Although our project is focused on
いう点において、緊迫感を持って取り組んでいます。私たちのプロジェクトは、
a moment of time, it still references and dissects many other layers of
嘉藤:アート・オウトノミー・ネットワークは、『アートにとって自律は可能か?』
McDonald: Starting with rural regeneration and now with the
時間の中の、ある特定の瞬間に焦点を当てていますが、同時にさまざまな
time and addresses how we negotiate this, in the now.
という議題を持っています。それなしには、私たちのアート活動は難しいと
Olympic Games isn’t the idea of art as a social instrument also
いえるでしょう。財政的には、できれば助成金に頼ることを辞めたいと考え
a big issue? Some artists are positive about this, some can’t
Buenfeld: We’ve been working on some exhibitions with an
ています。今年に限って言えば、助成金の申請はしませんでした。そのこ
do it. Reflecting on what Emma does, you are clearly working
空間や時間軸に触れながら、いま、どのように向き合っていくべきかを考察し
ています。
integrated performance-based element. A colleague made a research
とは、さらなる運営面の危機的状況を招いているのですが、一種の冒険
in relation to space, but on a meta level. You’re thinking about
ブエンフェルド:私たちは今、パフォーマンスの要素が融合された展覧会に
trip to Sweden, and visited a space called Lillith, a visual arts space
のようなものです。
things from a discourse or critical level, and how local is a part
取り組んでいます。私の同僚がスウェーデンに研修に行ったとき、Lillith と
that’s performance focused. They will work up to an intense period of
呼ばれる、パフォーマンスに焦点を当てたビジュアルアート・スペースを訪れ
performance, rather than an exhibition, and thinking about audiences
ました。彼らは、展覧会というよりも、濃密な時間を持つパフォーマンスの
and it is more important to have something on consistently or
制作を続け、観客について考察しています。継続する何かを持つこと、
また、
condense something into an intense experience.
何かを強烈な経験に濃縮することが、より重要になっているのではないかと
考えています。
of public space.
マクドナルド:パラダイスエアは行政からのプレッシャーはありますか?
Kato: Thinking about AAN-is it possible for art to be
庄子:最近、パチンコ店が私たちの活動を経済的に支援し始めてくれてい
autonomous? That is a fundamental question for creating
ます。日本ではパチンコ店に対して否定的な印象がありますが、行政だけ
activities for us. Funding always comes with an agenda to be
McDonald: For residency programs perhaps time (or experience) is
でなく、地域企業からの文化支援に対して私たちもその期待に応えたいと
an independent. We have not applied to get the grant in this
most intense for the visiting artist. How do you approach this?
思っています。
year, it became certainly difficult to manage the organisation,
マクドナルド:レジデンス・プログラムでは、滞在しているアーティストにとっ
even though it is challenging to get a substantial way.
て、おそらく時間 ( もしくは経験 ) が最も重要なものだと思います。このこと
Tomoshige: I tell the artist not to have to finish any work, “try to be
ブエンフェルド:カムデン・アーツ・センターが NPO であるということは、
にどのようにアプローチしているのでしょうか?
unfinished”. 100 days is such a short time to finish works. It is more
定められた予算が定められた期間のためにあるということです。以前は、そ
McDonald: Is there pressure from Matsudo City?
important to keep on dealing with the unfinished work after the artist
の予算が全体の運営資金の 60%を占めていましたが、現在は 40%になり
leaves the residency. That’s why we do open studio not an exhibition.
ました。私たちにはある一定の安定があるのも事実ですが、この安定は、
Shoji: Recently the pachinko parlour has started to support us
アーツカウンシルが優先事項とすることからのプレッシャーと対になっていま
financially. In Japan there is a negative impression of pachinko
完成させるには短い期間です。プログラム終了後も、滞在中の制作をいか
Horiuchi: When I was involved in the ARCUS as a guest curator in
す。ここでいう優先事項とは、アートにおける卓越性、アートの普及、子
and so – we are tryng to live up to their expectations of not only
に終わらせず、今後に引き継ぐのかが重要です。だからこそ、私たちは展
2013, what was interesting was that because the artist’s had a work
どもと若年層への普及ですが、この全ては基本的に私たちがもともと取り
the city, but also the pachinko parlour.
覧会ではなく、オープンスタジオを開催しているのです。
in progress meant that they had to engage in other discussions about
組みたいと思っていることでもあります。私たちはまた、
カフェやブックスペー
朝重:アーカスでは、作品を完成させなくてよい、むしろ「未完成であるこ
とを目指す」ようにアーティストに伝えています。100 日間というのは作品を
their experiences and observations with the local people in Moriya,
スを運営することに加え、アーティストが制作し、寄付してくれた作品を販
Buenfeld: CAC is an NPO (National Portfolio Organisation)
堀内:2013 年に私がアーカスのゲストキュレータとして関った際に、とても
rather than only focusing on their expression. It could be a different
売しています。これらの資金の流れのなかには潜在的な矛盾がありますが、
which means funding is set for a period of time. It used to be
興味深いと感じたことは、アーティストがリサーチを通して自分たちの作品そ
way of working compared to residency programs in Tokyo.
助成を受け続けられるよう、かつ、独立性を失わないよう、皆が模索して
60% of running costs but now it’s 40%. Whilst we do have
います。
some security and it comes with some sense of direction
のものだけではなく、守谷の地域の人々と共に、それぞれの経験や観察に
関する議論をするということです。こうした地域住民との時間や関係性は、
from the Arts Council based on their priorities: excellence in
東京のレジデンス・プログラムではなかなか見られないものだと思いました。
太田 エマ/ディスロケイト
Emma Ota, dislocate
庄子 渉/パラダイスエア
Wataru Shoji, PARADISE AIR
嘉藤:独立性は、
とても重要で、
また考慮すべき問題です。もちろんアーティ
the arts, access to the arts, access for children and young
ストはインディペンデントであり、自由でありたいと考えています。日本では、
people – which are all things we would address anyway. We
地域コミュニティと協働するという大きな流れがありますが、そのため、ほと
also sell artist’s works made (and donated to) us, as well as
んど地域住民に対する依存があるのです。私たちはコミュニティとの関係
having a cafe and book space. With all funding streams there
を依存ではなく、同位置の関係性を築いていきたいと思います。私たちが
are potential conflicts. Everyone is trying to work out a way to
コミュニティの一員であることは認めますが、独立した一つの組織として認
remain funded without losing that independence.
識してもらう必要があります。日本では、アートの世界はとても小さく、東
6
京にこれだけの人がいるにもかかわらず、現代アートシーンの観客層は限ら
Kato: Being independent is an important consideration.
れています。私は、それとは異なる観客と、別の関わり方を持ちたいと考
Of course artists are independent and want to be free. In
えています。
Japan there is a big movement around working with a local
7
マクドナルド:私たちが開講している教育プログラム MAD(= Making Art
community organisation – there is almost reliability on the
Different アートを変えよう、違った角度で見てみよう)を通して、AIT がこれ
local people. We want to be one of the community members.
まで実践してきたことを振り返ってみたいと思います。私たちのコミュニティは
In Japan it is still a very small art world – there are so many
自発的で、受講生は MAD に来ることを自分たちで選んでいます。彼らは福
people in Tokyo but the contemporary art scene has such a
岡や吉祥寺といったように、様々な場所から通い、東京で活動する私たち
small audience. I want to make a different audience and make
のサポーターとパトロンのコミュニティを形成しているのです。これは、資本
different contact.
主義と消費のモデルから来ているのでしょう。ここは場所をベースにしたコミュ
ニティではなく、共通の消費と関心をベースにしたコミュニティなのです。
McDonald: Reflecting on what AIT has done through its
school. Our community is self-made, people decide to come to
嘉藤:キュレーターとして発言すると、私にとって「コミュニティ」の輪郭は
our school. They might be living in Fukuoka or Kichijoji, many
必要条件の一つです。本質的にはアーティストは自由であり、彼らが望む
different places, but they form our community of supporters
ことは何でもできます。しかしキュレーターは、オーガナイザーとして、アーティ
and patrons. Maybe it’s coming from a model of capitalism and
ストや観客、もしくは組織間の橋渡役として、多くの関係性を築いていきな
consumption. It’s a community not based around a place, but a
がらプロジェクトを推進していかなければなりません。
shared consumption or interest.
Kato: As a curator, on my outline ‘community’ is one of the
これからのアートセンターのかたち
requirements. Essentially it’s free, the artist can do things
themselves. The curator however, as organiser, is much
マクドナルド:最後のテーマに移りたいと思いますが、このテーマはアートが
more involved as a bridge between artist and audience or
ある種の「考える機械」だという、ジェニー・ロマックス(カムデン・アーツ・
organisation.
センター館長)の言葉から引用しています。多くのアーティストはアートを言
説的なエンジン、もしくはプラットフォームとして考えていますが、ここにいる
人たちが、それぞれのスペースをそのような形で考えているのか聞いてみた
Sharing Intensities
いと思います。
[ 後列左より] 塩見有子(AIT)
、小川希(アートセンター・オンゴーイング)
、太田エマ(ディスロケイト)
、ロジャー・マクドナルド(AIT)
、朝重龍太(アーカスプロジェクト)
[ 前列左より] 堀内奈穂子(AIT)
、嘉藤笑子(アート・オウトノミー・ネットワーク / AAN)
、ジーナ・ブエンフェルド(カムデン・アーツ・センター)
、庄子渉(パラダイスエア)
[From Left in the back row] Yuko Shiomi, AIT / Nozomu Ogawa, Art Center Ongoing / Emma Ota, dislocate / Roger McDonald, AIT / Ryota Tomoshige, ARCUS Project
[From Left in the front row] Naoko Horiuchi, AIT / Emiko Kato, AAN / Gina Buenfeld, Camden Arts Centre / Wataru Shoji, PARADISE AIR
McDonald: Moving to the final theme, which came from a
太田:議論の場の創出は、私たちの活動の土台となるものです。学びに
quote from Jenni Lomax about art being a kind of ‘thinking
従事することとアートセンターの公共プログラムについて、ロマックスは「考
machine’. Many artists are thinking about art as a discursive
える機械」と言及しています。また、言論の形態や概念にとらわれず、公
engine or platform but I was wondering if anyone has thought
庄子:パラダイスエアでは、地域の人々とアーティストが即興的に創作活
共空間やコミュニティにおける自らの経験や実践を通じて、異なるレイヤー
about their spaces in that way.
動を行います。時間的な制約もあり、アーティストは状況に応じてこのよう
でのコミュニケーションや思考の構築に関心を持っています。
Ota: Creating a discursive space is fundamental to what
something unknown. It functions as an exercise for the mind.
な活動を行う必要があります。しかしこうした制約により、地域の人々が積
Tomoshige: ARCUS doesn’t have any particular exhibition
極的に制作活動に関わり、アーティストにとっても地域の人々にとっても未
spaces but has a studio, we try to make them open to the
小川:私のスペースでは、地域コミュニティとコミュニケーションをとることが
we do. Lomax references this “thinking machine” in terms
知のものをもたらしてくれます。このような活動は、人々の寛容性や想像力
public. Artists don’t have to use the studio to show art
できないアーティストも何人もいますが、彼らは孤立しているわけではありま
of engaged learning and public programs of the art centre.
を養うエクササイズとして機能しています。
works. You can use it for anything you want. It is our job as
せん。また、彼らは自分のことだけを考えているわけではなく、政治や社会
We are also concerned with building different layers of
について考えています。以前、
日本政府がより右翼化し、危険な状況になっ
communication and thinking, not merely restricted to forms of
朝重:アーカスは特に展示スペースは無く、スタジオのみを持っていますが、
another person. The resident artists don’t know anything about
てきているのではないかという危機感から、アートと政治に関するシンポジウ
speech or conceptual fields but also in practical terms of going
それを公共に向かって開くようにしています。アーティストたちは、
スタジオを使っ
Moriya so we connect them with the people even outside the
ムを開催しました。アーティストが政治や政治的問題にどのように取り組む
out and testing what your experience of public space and
て作品を見せる必要はなく、
どんな用途に使用してもいいのです。コーディネー
area.
ことができるのか考えたかったのです。そして、私たちの場所に来るアーティ
community is.
ターとしての私たちの仕事は、誰かの関心を別の誰かと分かち合う環境をつく
ストと話し、
そのようなトークセッションを開催したいと思いました。そして結果、
多くのアーティストが来てくれました。
Ogawa: In my space there are many artists who can’t
coordinator to create space to share someone’s interest with
ることです。滞在するアーティストは、守谷市について何も知らないため、私
Buenfeld: In Camden I think it’s a reference to Camden
たちがアーティストを地域内外の人々と結びつけるようにしています。
as a place where people gather. There’s a sense of artists
influencing each other and sharing ideas. Actually doing things
communicate with the community, but they are not alone.
They are not only thinking about themselves. They think about
ブエンフェルド:カムデンの役割について考えたとき、私は、カムデンは人々
and giving rise to things like understanding. In London an
politics and society. I had one symposium on art and politics
が集う場所であると捉えています。そこでは、アーティストが相互に影響し
initiative was set up called Open School East – an alternative
because in Japan the situation is so dangerous because the
合い、アイディアを共有できます。ロンドンでは、2013 年にオルタナティブ
art school set up by artists and curators. There are fellows –
governing party has become more right wing. I want to think
なアートスクール「オープン・スクール・イースト」がアーティストとキュレー
artists taught by artists. In a way it may not be sustainable but
about how artist’s can work with politics or political issues.
ターによって設立されました。そこでは、アーティストがアーティストを教える
it was like an act of protest. That sense of art having agency
I want to talk with the artists that come to my space and to
仕組みが取られています。ある意味では、このやり方は持続可能では無い
and it being a site for thinking. We are always vigilant that CAC
make that kind of talk session. So many artists came to that
かもしれませんが、一つの抵抗の態度として見ることができます。このような
remains a place for experience.
talk session.
ことから、アートには力があり、考える場として機能するとも考えられます。
Shoji: At PARADISE AIR it functions for local people and
しかしまた、私は、カムデンは人々の経験の場でもあるということも、常に
McDonald: I feel that everyone is trying to create moments of
考えていきたいと思っています。
intensity where people can pay attention to artists, and art.
artists to exercise or improvise. Time is limited so artists have
小川 希/アートセンター・オンゴーイング
Nozomu Ogawa, Art Center Ongoing
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to improvise based on the situation. It’s the same for the local
マクドナルド:ここにいる全員が、アーティストやアートに関心を払うことの
people, they get involved with the artists and the artists bring
できる、強度のある瞬間を作り出そうとしている、そう感じています。
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associateS
from the roundtable
参加団体のご紹介
アーカスプロジェクト
茨城県を主催に 1994 年に開始され、国際的に活動するアーティストが滞
在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスプログラムと、地域の方々が主
体となって関われる場づくりやワークショップ等のプログラムを展開していま
す。レジデンスプログラムは、公募によって世界中からアーティストを招聘し、
アートを通じて国籍や世代を超えた様々な交流の機会を提供しています。サ
ロンにはアーティストやキュレーター、地域の方々が集い、アートを通じて地
域の方々が創造力と主体性を発揮できる環境を創出し、多様性のある魅力
ある地域づくりを目指しています。
アートセンター・オンゴーイング
Art Center Ongoing は、いまの時代を担う必見アーティストを紹介するギャ
ARCUS Project
ARCUS Project involves“Residency for Artists, Experiments for
Locals”and aims to support promising artists who engage in
creative activities around the world, as well as promoting the Ibaraki
area through art. The project started in 1994 as a test artist-inresidence program and was an initiative of the Ibaraki Prefectural
Government. After a successful six year test period, the project
officially began. By collaborating with emerging artists, curators,
and prospective art managers, ARCUS Project connects the Ibaraki
area with art and encourages residents of Moriya city to participate
in various art projects including exhibitions, workshops, lectures,
and film screenings. Based in the city of Moriya, ARCUS Project
is growing as a hub in which revolutionary art is fostered through
international programs.
http://www.arcus-project.com
アート・オウトノミー・ネットワーク [AAN]
2005 年に設立された AAN は、国内外のオルタナティヴ・アート組織や
アートプロジェクトの情報収集とアーカイヴを基盤としたネットワーク活動を
行なっています。国際的で自律的な芸術活動を支援していくためのプラット
フォームを提供し、これまで芸術団体・個人を支援していくための展覧会、
ワークショップやシンポジウムなどのプログラムに力を入れています。ディレク
ターの嘉藤は、2015 年日本橋に開館した NICA: Nihonbashi Institute of
Contemporary Arts の企画委員として関与しています。本施設が、世界
水準の実験的なラボラトリーとして、東京中心地からクリエイティビティーを
発信していければと思います。
Art Autonomy Network [AAN]
カムデン・アーツ・センター [CAC]
ラリースペース、新旧アートブックの閲覧も可能な交流の場としてのカフェ&
CAC は、イギリスのロンドンに拠点を置く、国際的な展覧会および教育の
バースペース、そして独自のネットワークにより編纂した広範なアーティスト
場を創出している歴史あるアートセンターです。CAC では、アーティストが
情報を提供するライブラリーブースを併設する芸術複合施設です。シンポジ
ウムやライブ等のイベントも積極的に行い、現在進行形の表現の可能性を
探っていきます。いま、アートに何が起きているのか?新しいつながりから表
現の未来を開拓していきます。
ディスロケイト
ディスロケイトは、パブリックを考え直すリサーチ、ディベート、アクションの
ためのプラットフォームを創出しています。パブリックスペースは、複雑な社
会の象徴とも言えます。行政任せではない、市民一人一人が作っていくス
ペースとして、どのように個人がその空間を変えられるか、構築できるかとい
うことを検討しています。その中で社会の周辺に押しやられた人々の重要な
Art Center Ongoing
Art Center Ongoing is a complex art institution with a gallery
that introduces the must-see artists that are leading today’s art
trends. Art Center Ongoing also includes a cafe and bar that are
places for communication where visitors can read old and new art
books, as well as browsing the library booth containing extensive
information about the artists in our network. The institution also
actively organises events such as symposiums and live events,
with the aim of searching for the possibility of ongoing expression
and to ask what's happening in art right now? By establishing new
connections, Art Center Ongoing opens up new ground for the
future of expression.
http://www.ongoing.jp
中核となるプログラムを特長とし、市民が同時代のアーティストの考えやプロ
セスに触れたり、刺激を得られる機会を作っています。また、ギャラリースペー
スに加え、近隣の学校が無料で使用できるスタジオスペースでは、経験や
能力を問わず、あらゆる世代の人々が、陶芸、絵画、ドローイング、ライティ
ングなどの技術を学べるプログラムを提供しています。
AIT は、2003 年より、海外のアーティストやキュレーターを東京に招へいす
るアーティスト・イン・レジデンスプログラム(以下、AIR)を実施してきまし
た。国内外の美術機関との連携を通して、これまでに 70 名以上のアーティ
ストやキュレーターが東京に滞在し、人や情報、建築、モノが密集する都
役割に焦点を当て、
その存在をより可視化しようとしています。このようにディ
市ならではの特長を活かし、
ネットワーク構築やリサーチを行っています。また、
AIT の行う教育プログラム MAD(Making Art Different)との関わりを
のアーティスト・専門家を呼ぶことで、地域の目に見えないレイヤーを発見し、
自然に受け入れてきたことを見直し、新しい視点を取り入れるきっかけをもた
らします。
パラダイスエア
千葉県・松戸駅前のパチンコ店「楽園」の上層階にあるアーティスト・イ
ン・レジデンス施設。松戸駅周辺の町会や自治会で組織するエリアマネジ
メント団体、松戸まちづくり会議がパチンコ店「楽園」の協力を得て、元
ホテルだった遊休空間を活用して運営しています。かつて宿場町として栄え
た千葉県松戸駅前は、江戸と水戸をつなぐ中継点として多くの旅人が行き
dislocate
dislocate is a platform for research, debate and action upon the
public sphere that seeks to invest an invigorated awareness towards
the spaces we directly inhabit and attempts to reassess our very
sense of agency within these. The platform also proposes through
various artistic interventions the creative potential invested in us
on an individual and collective scale to construct the spaces and
communities around us and challenge our assumed ways of seeing
the world. It asserts the importance of questioning and freedom of
expression in our daily enactments of civil society, and hopes to open
up debate upon the role of so called democratic processes in the
politics of the everyday.
http://dis-locate.net/0/
交いました。地元住民の邸宅には、過去に訪れた文人や画人が、宿代の
代わりに残した作品が今も残るといいます。PARADISE AIR はこうした松戸
宿の歴史や伝統を踏まえ「一宿一芸」をコンセプトに掲げ、様々なアーティ
ストや芸術文化の新しい中継点となることを目指します。
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PARADISE AIR
PARADISE AIR is an Artist-in-Residence program based on the
upper floor of Rakuen pachinko parlour and organised by Matsudo
Community Council, a group of local neighborhood associations
from around Matsudo Station. Many years ago, Matsudo prospered
AAN was founded in Japan in 2005 to examine autonomous art
organizations and individuals through the presentation of small
but significant art activities across a range of fields. Since its
foundation, AAN has built a network based around art activities that
are not often represented in major institutions such as museums
and commercial galleries. In fostering an art archive featuring
documentation and information from various art organizations, AAN
hopes to enhance cultural exchange by initiating and facilitating
networks among organizations in both Japan and overseas. Emiko
Kato, a director of AAN has been involved a core member of NICA:
Nihonbashi Institute of Contemporary Arts which has opened in a
centre of Tokyo for creating new contemporary art scenes in 2015,
while understanding the global contexts from Japan.
http://a-a-n.org
NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ [ エイト/ AIT]
スロケイトは様々な社会問題について議論を巻き起こし、親しみ慣れた環境
の表層では見えない、様々なレベルで存在する複雑さを指摘します。海外
as a place where travellers could rest between the cities of Edo
and Mito. At that time, artists often paid for their lodging with a
piece of art and a number of the city's current residents still collect
the works of writers and painters from that era. Inspired by a rich
cultural and artistic history, PARADISE AIR continues the tradition
of“One Night, One Work of Art”by allowing artists to stay at the
residence in exchange for an artwork.
http://paradiseair.info
通してレクチャーや実験的なワークショップを行うことで、さまざまな視点や考
えを持つ MAD 受講生、美術関係者と意見交換ができるのも、AIT の AIR
の特長の一つです。
Camden Arts Centre [CAC]
CAC is a place for world-class contemporary art exhibitions and
education. With artists at the core of the programme, CAC strives to
involve members of the public in the ideas and processes of today's
artists, and the artists who inspire them. In addition to gallery spaces,
the building comprises of studios which schools can use free of
charge and in which people of all ages and abilities can learn skills
in ceramics, painting, drawing and writing as part of the courses
programme.
http://www.camdenartscentre.org
Arts Initiative Tokyo [AIT]
発行日
2015 年 3 月 31 日
発行
NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT/ エイト ]
編集
ベン・デイビス、ロジャー・マクドナルド、堀内奈穂子、依田理花
翻訳
Hanare × Social Kitchen Translation
写真
越間有紀子
デザイン
岡田味佳(Fruitmachine)
Published
31st March 2015 by Arts Initiative Tokyo [AIT]
Editors
Ben Davis, Roger McDonald, Naoko Horiuchi, Rika Yoda
Translation
Hanare × Social Kitchen Translation
Photography Yukiko Koshima
Design
Mika Okada, Fruitmachine
AIT has been running an artist-in-residence program since 2003.
In partnership with art organisations in Japan and abroad, over 70
international artists and curators have come to Tokyo to conduct
research, build networks and experience the metropolis and its
unique clustering of people, information, architecture and objects.
The program is unique in that it interfaces with MAD (Making Art
Different), the educational program run by AIT. The involvement
of visiting artists and curators in both lectures and experimental
workshops provides an additional platform for MAD students to
exchange a variety of ideas and opinions with peers working in the
art industry.
http://www.a-i-t.net
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