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第3章 鳥獣保護

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第3章 鳥獣保護
第3章
第1節
鳥
獣
保
護
鳥獣の現況
現在、本県に生息する野鳥類は、334種が確認されているが、このうち渡り鳥は、マガモ、ア
カショウビン、ツグミ、ブッポウソウ等257種で県内に生息する野鳥類の77%を占めている。こ
れらの渡り鳥は、北はシベリア、カラフト、カムチャッカなどから、南は台湾、フィリピン、イ
ンドシナ半島等から渡来しているが、本県はこれら渡り鳥の繁殖地、あるいは越冬地として重要
な役割を果している。
留鳥又は漂鳥は、メジロ、ヒヨドリ、ウグイス等72種を数えている。
また、陸上に生息している獣類は、約30種といわれているが、その主なものはイノシシ、ノウ
サギ、タヌキ、キツネ、ムササビ、アナグマ等である。
この中には、都井岬、幸島、北部海岸地区等で群れがみられるニホンザルや、昭和53年度から
本格的調査が行われ、本県中部山岳地域がその南限地域とされている特別天然記念物のニホンカ
モシカが含まれている。
しかしながら、近年における地域開発、都市化の進展に伴う生息環境の悪化や狩猟技術の高度
化等により、野生鳥獣の減少も危惧される状況にあるので、県では、昭和62年度から第6次鳥獣
保護事業計画(昭和62年度∼平成3年度)により、鳥獣保護区等の設定拡大、キジの放鳥等諸種
の保護施策を推進しているところである。
第2節
鳥獣の保護対策
野生鳥獣の保護を図るためには、その捕獲を禁止又は制限し、違法な捕獲を取り締るとともに、
その生息に悪影響を及ぼす行為は規制していくことなどが必要である。
このため国において昭和53年に「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」の一部改正が行われ、新たな
鳥獣保護の充実、狩猟者資質の向上及び秩序ある狩猟の確保を主眼とした制度の確立を目指して
いるところである。
なお、県においては、これに伴い特別保護地区における制限の強化及び狩猟違反に対する取締
の 強 化 等 に よ り 、 鳥 獣 保 護 施 策 の 推 進 を 図 る と と も に 、 平 成3年 度 に お い て は 第6次 鳥 獣 保 護
事業計画に基づき鳥獣保護区、休猟区の整備拡充、鳥獣保護の実態調査、鳥獣保護の普及啓蒙、
野鳥の生息環境整備のための野鳥が好む実のなる木の配布等を行った。
1
鳥獣保護区の設定等
(1) 鳥獣保護区
鳥獣保護区は野生鳥獣の保護繁殖を図るため設定するもので、国設鳥獣保護区と県設鳥獣
保護区がある。いずれも20年以内の制限で設定するもので、区域内における鳥獣の捕獲を禁
止するとともに、鳥獣の生育及び繁殖に必要な営巣、給水、給餌施設の設置等の保護施策を
講じている。
−195−
また、鳥獣保護区内において、特に鳥獣の保護繁殖を図ることが必要な場所については、特別
保護地区を指定し、立木の伐採及び工作物の設置の制限等を行っている。
鳥獣保護区の設定にあたっては、森林鳥獣生息地の保護区の充実を図りつつ、集団渡来地、集
団繁殖地の保護区の新設を重点として積極的に設定をすすめていくほか、特殊鳥獣の生息地、
都市周辺における野鳥の誘致地区、小・中学校の野鳥愛護林を対象として設定している。
(2) 休 猟 区
休猟区は、狩猟鳥獣の保護増殖を図るため、鳥獣の減少傾向にある地域に設定するもので可猟
地域の概ね9分の1に相当する面積を3年間を限度として、常時可猟地の3分の1程度を休猟区
とするよう計画的に設定している。
平成3年度には37カ所38,909haを設定した。
(3) 銃猟禁止区域
銃猟禁止区域は、銃猟による不特定多数の人畜の危険を防止するため設定するもので、都市及
びその周辺地域で学校、病院等を含む地域は優先的に設定している。
表3 − 3 − 1
鳥獣保護区等の状況( 平 成 4年 3月 末 現 在 )
(県土面積773,549ha)
区
分
鳥獣保護区
休
銃
(特別保護地区)
猟
猟
箇
禁
止
計
区
所
数
(6)
94
面
積(ha)
(1,630)
60,990
県土面積比(%)
7.9
区
116
12 1 , 2 1 8
15.7
域
38
1 5 , 4 46
2.0
248
197,654
2 5. 6
(4) 御池野鳥の森
野鳥の森は野鳥に快適な環境を与え、その保護増殖を図るとともに野鳥の生態を観察できるよ
うにすることによって、県民が豊かな情操を養い、野鳥に対する理解を深め野鳥保護意識が向上
することを目的として設定されるものである。御池野鳥の森は、昭和47年度に環境庁が設置し、
48年6月に開設されたもので、都城市と高原町にまたがる115ha(林地102.6ha、池12.74ha)
の区域、霧島山麓に位置している。本地域は御池とこれを囲む自然林が、すぐれた生息環境を形
成して おり、野鳥 については 、夏鳥22種 、冬鳥44種 、留漂鳥50種、旅烏12種が確認さ れて
いる。
なお、御池野鳥の森には野鳥の好む実のなる木の植栽のほか、巣箱、観察小屋、観察路、給水
給餌施設、案内板など野鳥の保護、増殖及び観察のための施設が設けられており、更に昭和60
年3月国設霧島鳥獣保護区の管理の拠点として、管理棟が設置された。
−196−
また、附近にはキャンプ場もあり年間を通じて利用者は多い。
2
鳥獣の保護増殖等
野生鳥獣の保護増殖については、第6次鳥獣保護事業計画に基づき施策をすすめているところで
あるが、近時自然保護に対する意識の向上とともに野生鳥獣の保護に対する県民の認識も一段と高
まっており、これに即応した鳥獣保護施策の推進を図っている。
(1) 野生鳥獣生息調査
野生鳥獣の適正な保護と増殖を図るとともに、生息環境の整備等を推進するための基礎資料を
確保するため、昭和47年から生息調査を実施してきている。
表 3− 3− 2
野生鳥獣とその生息調査
調査年度
調
査
の
名
称
昭 和 59年 度
市町村別野生鳥獣生息分布調査
昭 和 60年 度
市町村別野生鳥獣生息分布調査
昭 和 61年 度
市町村別野生鳥獣生息分布調査(県内全域)
昭 和 62年 度
市町村別野生鳥獣生息分布調査(県内全域)
昭 和 63年 度
指定鳥獣等保護調査(門川町)(カンムリウミスズメ、カラスバト)
野猿生息調査
平成2年度
市町村別野生鳥獣生息分布調査(県内全域)
平成3年度
市町村別野生鳥獣生息分布調査(県内全域)
(2) コシジロヤマドリの保護
コシジロヤマドリはヤマドリの亜種で、宮崎、熊本両県の南部及び鹿児島県に生息する貴重な
鳥で、県では昭和39年に県鳥に指定し、保護鳥として猟護を禁止し、その保護養殖を図ってい
る。
コシジロヤマドリの県内生息数は、昭和53年度の生息調査により、県中、県南地域を主とし
ておよそ18,600羽が確認されている。
(3) 野鳥の好む実のなる木の配布
野鳥の保護に関する県民の意識高揚とその普及啓蒙を図るため、「野鳥の住みよい郷土づくり」
の一環として、愛鳥週間及び環境週間を通じて、小・中学校、近隣共同緑地計画地等を対象にイ
ヌツゲ、クルメツツジ、センリョウ、ニシキギ、ツバキ等6,000本余りを配布した。
(4) キジの放鳥
野生鳥獣の生息環境の悪化等に伴い、狩猟鳥獣の減少が見られるので、その増殖を図るため、
鳥獣保護区及び休猟区において人口養殖によるキジ(90日雛)の放鳥を実施した。
−197−
表 3− 3− 3
年
放
度
鳥
(5)
数(羽)
キジの放鳥状況
60
4,795
61
4,488
62
4,200
63
4,400
元
4,200
2
4,200
3
4,200
保護鳥類の捕獲飼養取締り
野生鳥類の保護・繁殖を図るため、違法捕護・飼養の一斉取締り等を実施している。
(6)
有害鳥獣の適正駆除
野生鳥獣は、その習性上農林水産物に被害を与えることもあるので、農林水産物等に被害
を与える有害鳥獣を駆除し、被害の防止に努めている。
有害鳥獣駆除の実施については、西臼杵支庁及び各農林振興局単位に地区有害鳥獣駆除対
策協議会を設け、適正な運用を図るとともに、被害常襲地帯については発生予察制度の有効
な活用により組織的かつ迅速な駆除を行っている。
(7)
農林産物の被害防止
イノシシ、シカによる農林産物の被害防止を図るため、電気柵設置事業を実施している。
−198−
表 3− 3− 4
年
度
有害鳥獣駆除の許可及び捕獲状況
59
60
61
単位:許可数………件
捕獲数………羽、頭
62
63
元
2
3
許可数
鳥
類
︵ 羽︶
鳥
類
228
277
316
401
411
542
431
407
獣
類
579
512
662
746
686
854
700
883
計
807
789
978
1,147
1,097
1,396
1,131
1,290
ゴ イ サ ギ
120
200
183
198
120
173
158
106
カ
類
382
636
441
407
138
109
126
41
キ ジ バ ト
74
58
18
13
0
0
0
0
カ ラ ス 類
2,900
3,555
3,669
5,030
4,212
5,661
6,096
4,710
ス ズ メ 類
1,038
2,000
1,982
4,407
3,714
8,441
1,958
3,366
ヒ ヨ ド リ
409
4,676
416
1,243
897
3,944
2,378
1,293
モ
ド
バ
ト
4,060
3,510
1,542
2,329
2,578
3,791
2,954
2,866
そ
の
他
123
208
70
57
13
0
53
84
9,106
14,843
8,321
13,684
11,672
22,119
13,723
12,466
359
255
314
421
262
406
229
363
カ
16
48
79
128
94
89
66
143
ノ ウ サ ギ
871
1,370
1,016
1,044
756
858
865
704
ヌ
0
0
1
2
12
0
0
0
ル
59
56
101
75
91
48
36
76
他
8
22
0
28
243
1
2
11
1,313
1,751
1,511
1,698
1,458
1,402
1,198
1,297
計
イ ノ シ シ
獣
シ
類 ︵頭︶
ノ
イ
サ
そ
の
計
第3節
狩猟の現況と規制
狩猟は、昔から食糧、衣服等とするために行われ、人間生活の重要な部分を占めていた。その後、
農耕生活が進むにつれ狩猟に遊びの要素が加わり、今日においては一種のスポーツ化してきているが、
都市化の進展による生息環境の悪化と、銃器性能の向上等に伴い野生鳥獣は減少してきている。
このような状況に対応するため、昭和38年に「狩猟法」を「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」とし
て改正し、狩猟免許制度の大幅な改革が行われた。また、昭和53年6月、同法の一部改正により狩猟
者の資質向上、狩猟道徳の向上をめざした狩猟免許試験制度、狩猟者の登録制度及び銃猟制限区域の
設定等の新制度が施行され、さらに平成2年12月の法改正により狩猟違反に対する罰則の強化等が
実施された。
特に狩猟については、狩猟免許試験制度の発足により、狩猟に関する知識及び技能ともに優れた狩猟
者の養成が推進されている。
−199−
表 3− 3− 5
狩猟者登録状況
59
甲 種(網・ワナ)
60
61
62
63
元
2
3
466
511
582
609
591
632
609
672
器)
9,710
9,181
8,665
8,216
7,951
7,599
7,389
7,284
丙 種(空 気 銃)
414
370
371
377
351
334
344
394
10,590
10,062
9,618
9,202
8,893
8,565
8,342
8,350
乙 種(銃
計
表 3− 3− 6
年
度
鳥獣名
ゴイサギ
狩猟者登録を受けた者による鳥獣捕獲数
60
61
62
63
元
2
3
26 6
2 04
211
200
145
130
16 7
ジ
6,587
5,810
5,300
4, 6 3 1
4 ,5 7 3
3,581
3 , 42 2
ヤマドリ
64 8
5 90
546
442
892
524
42 1
ウ ズ ラ
1,993
1,620
2,032
1,396
3 ,0 8 7
888
8 85
コジュケイ
13,343
11,501
9,902
8,341
7,298
5,244
4, 8 36
カ モ 類
15,000
15,393
13,324
15,742
1 2 ,1 6 8
12 , 7 6 9
2 0 , 64 5
ン
150
187
217
210
101
129
126
タ シ ギ
87 2
5 72
1 , 08 4
469
480
572
47 4
ヤマシギ
1,587
1, 3 83
1,331
1,097
919
962
6 96
キジバト
45,044
35,558
35,330
31,611
3 7 ,6 8 3
32 , 5 9 7
33,863
カラス類
2,204
1,679
1,865
1,915
2 ,1 1 8
2,328
1,774
スズメ類
32,265
15,885
18,428
11,378
1 1 ,5 2 4
8,324
1 2, 8 20
119,959
90,382
89,570
77,432
8 0 ,9 8 8
68 , 0 4 8
8 0 , 12 9
イノシシ
6,400
6,350
6,307
5,428
7 ,1 2 4
5,832
6,724
オスジカ
1,569
1,962
2,245
2,359
2 ,5 6 6
2,705
2,798
キ ツ ネ
39
17
22
74
14
40
37
タ ヌ キ
4,796
2,459
3,652
2,699
3 ,4 3 8
3,147
3 , 93 2
アナグマ
14 7
1 14
147
68
124
120
63
テ
ン
484
248
335
223
243
138
148
ムササビ
11 1
97
108
91
80
56
40
オスイタチ
30 4
130
173
755
614
61
1 03
ノウサギ
25,865
25,640
24,188
21,202
1 9 ,3 6 9
18 , 3 4 2
17,974
ノ ネ コ
82
52
34
42
83
53
33
ノ イ ヌ
4
8
12
3
9
11
11
39 , 8 0 1
37,077
37,223
32,944
33,664
30,502
3 1, 8 63
キ
鳥
類
バ
︵ 羽︶
計
獣
類
︵頭︶
計
−200−
Fly UP