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インターネット型大学院における 質保証の事例 質保証の事例 鈴木 克明

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インターネット型大学院における 質保証の事例 質保証の事例 鈴木 克明
高等教育質保証学会 第3回大会
セッション1:高等教育の先端的動向と質保証
2013.8.24@京都大学
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
インターネット型大学院における
質保証の事例
熊本大学大学院
教授システム学専攻
鈴木 克明
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/
[email protected]
ibstpi 理事・日本教育メディア学会第7期会長・日本教育工学会理事・ 教育システム情報学会
理事・日本医療教授システム学会(JSISH)理事・日本e ラーニングコンソシアム名誉会員
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
1
本日のメッセージ
熊本大学 鈴木克明
●
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
インターネット型の大学院でeラーニングの専門家を養成して8年目
になる熊本大学における事例を紹介する。インターネット型だから
こそ質保障はしやすい。何故ならば、すべてが記録・蓄積され、密
室がないから。教育設計学(Instructional Design: ID)を志す社会人
受講生の目は厳しいので、「紺屋の白袴」と揶揄されないようにID
の最先端を自専攻の設計と運用に応用してきた。ストーリー型カリ
キュラムの導入はその一例であり、今後の高等教育の一つの方向
性を示唆する教育方法のパラダイム変革にならないだろうか? ID
の手法をID以外を教育内容とするすべての領域の高等教育で活用
することが質保障を促進するだろう。講義形式と定期試験に依存せ
ず、自分で学ぶ場としての大学に戻ることを実現するために提案し
た「大学におけるICT利用のサンドイッチモデル」を紹介して、高等
教育における質保障の専門家の意見を求めたい。
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
2
本日のメッセージ
熊本大学 鈴木克明
●
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
インターネット型の大学院でeラーニングの専門家
を養成して8年目になる熊本大学における事例を
紹介する。インターネット型だからこそ質保障はし
やすい。何故ならば、すべてが記録・蓄積され、密
室がないから。教育設計学(Instructional Design:
ID)を志す社会人受講生の目は厳しいので、「紺屋
の白袴」と揶揄されないようにIDの最先端を自専
攻の設計と運用に応用してきた。ストーリー型カリ
キュラムの導入はその一例であり、今後の高等教
育の一つの方向性を示唆する教育方法のパラダ
イム変革にならないだろうか?
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
3
Figure 9.1 Overall QA process for GSIS
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
Suzuki, K. (2012). Japan’s Kumamoto University online graduate school (Chapter 9). In I. Jung, T.
M. Wong, & T. Belawati (Eds.), Quality assurance in distance education and e-learning:
eラーニング専門家をeラーニングで養成!
Challenges
and solutions from Asia. New Delhi, Sage 熊本大学大学院
Publications India,教授システム学専攻
139-154 (p. 144).
4
熊本大学大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
日本初!
eラーニングによるeラーニング専門家養成大学院
●
●
●
●
●
平成18年4月開設(博士課程平成20年4月から)
学位:修士(教授システム学)+博士(学術)
入学定員:修士10名→15名+博士3名
科目等履修生・研究生も募集
在学生60名+科目等履修生36名(平成22年4月現在)
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
5
教授システム学専攻のコンセプト
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
IDを中心とした『4つのI』で
教授システム学(Instructional Systems)を学ぶ大学院
企業・大学等の広範な教育分野に
多様な人材を送り出す大学院
全国どこからでも授業を受けられる
インターネット型大学院(スクーリングなし)
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
6
『4つのI
つのI』
』によって
eラーニング・プロフェッショナルを養成
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
ID
(Instructional Design)
インストラクショナル
・デザイン
IT
(Information Technology)
情報通信技術
IP
(Intellectual Property)
知的財産権
IM
(Instructional Management)
マネジメント
博
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻 23
7
『4つのI』
つのI』の科目体系
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
学習支援情報通信システム論
基盤的情報処理論
高度情報通信技術の教育利用
ネットワークプログラミング論
ネットワークセキュリティ論
コンテンツ標準化論

インストラクショナル・デザインⅠ
情報通信技術
インストラクショナル・デザインⅡ
eラーニング概論
eラーニング実践演習Ⅰ
eラーニング実践演習Ⅱ
特別研究Ⅰ
特別研究Ⅱ
基盤的教育論
教育心理学
インストラクショナル・デザイン
情報技術教育方法論

知的財産権
•外国語教育におけるeラーニング
•情報リテラシー教育におけるeラーニング
•職業人教育訓練におけるeラーニング
•高等教育におけるeラーニング
教育ビジネス経営論
遠隔教育実践論
eラーニング政策論
eラーニングコンサルティング論
情報ビジネス経営論
ナレッジ・マネジメント
マネジメント 経営学特論
ネットワーク上の知的財産権及び私権
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻

8
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
詳細は・・・
http://www.gsis.kumamotohttp://www.gsis.kumamoto
-u.ac.jp/
eラーニング専門家をeラーニングで養成!
熊本大学大学院 教授システム学専攻
9
熊本大学大学院教授システム学専攻
eラーニングによるeラーニング専門家養成大学院
遠隔非同期中心のeラーニングコンテンツ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
10
オンライン授業例
本専攻のeラーニングコンテンツ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
11
オンライン授業例
本専攻のeラーニングコンテンツ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
12
オンライン授業例
本専攻のeラーニングコンテンツ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
13
オンライン授業例
本専攻のeラーニングコンテンツ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
14
設置要件を満たす科目概要設計:
半期15回の
ID的アプローチ
ID
的アプローチ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
双方向指導
コンセプト
カリキュラム
実現方法
設置申請・認可内容
GSIS
コンピテンシー
設定・公開
先行事例調査
(FSU,OU,CMU-W)
2006.7.28
Analysis
科目シラバス
(単位認定条件)
科目設計
共通要件
専攻ポータル
サイト開発
科目開発
eLP
コンピテンシー
eLP
認定資格
26
Design
Development
E-learning
World 2006 【J-2】
15
詳細は・・・
http://www.gsis.kumamoto--u.ac.jp/
http://www.gsis.kumamoto
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
1.15回の双方向性を持った学習記録を残すように仕組む(例:小テ
スト,クイズ,小レポート,練習問題への回答)
2.成績評価は複数のレポート・作品+学習記録(15回分)を組み合
わせ,各項目で6割以上を単位取得最低条件とする
3.レポート・作品はコンピテンシーと直結させる
4.学習記録(15回分)の〆切は毎週設定せずに,数回分まとめ学習
を可能にする
5.非同期科目では日時を指定した同期型の一斉指導は半期で2回
程度までに限定する(残りは非同期,または個別指導)
6
6.レポート・作品(または学習記録)に受講者相互の評価(改善への
意見を含む)活動を取り入れる(仮提出→相互コメント→修正・本提出
の基本的な流れ)
7.科目の導入あるいは複数の課題ごと(15回の学習ごと)に科目担
当者によるイントロビデオを作成する(顔を見せて動機づけをする目
的に限定した短編とし,情報提供は書面を基本とする)
出典:北村士朗・鈴木克明ら(2007)「eラーニング専門家養成のためのeラーニング大学院における質保証
への取組:熊本大学大学院教授システム学専攻の事例」『メディア教育研究』第3巻2号(特集:e-Learning
2006.7.28
における高等教育の質保証への取組み)
25-35 (表2: p. 28)
E-learning World 2006 【J-2】
17
修了者像に基づく課程設計
ー出口からの質保証ー
修了者像(出口)
||
e
eラーニング専門家
専門家
修了者が備えるべき職務遂行能力
(コンピテンシー)の設定と公開
コンピテンシーを体系的に具体化したカリキュラム(履修モデル)


コンピテンシーと
直結して授業設
計
各科目の先修要
件(前提科目の単
位取得)を設定
1年前期
基盤形成
eラーニング概論
ネットワーク上の知
的財産権及び私権
インストラクショナル・
デザイン I
基盤的教育論
情報リテラシー
教育における
eラーニング
1年後期
展開
2年前期
2年後期
応用・実践
遠隔教育実践論
学習支援情報通信シ
ステム論
eラーニング
実践演習 I
インストラクショナル・
デザイン II
教育ビジネス経営論
特別研究 I
熊本大学 大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻
eラーニング
実践演習 II
必修
選択
前提
相乗
※選択科目は、17科目中の
一部をモデルとして掲示
特別研究 II
eラーニング
コンサルティング論
eラーニング政策論
高度情報通信技術
の教育利用
外国語教育における
eラーニング
18 / 38
産学連携による
人材需要への適合性確保

日本イーラーニングコンソシアム(eLC)との連携

eラーニング業界団体であるeLCの正会員(国立大学初)

「eラーニングプロフェッショナル(eLP)資格認定制度」
(eLC策定)



策定作業に本専攻として協力
コンピテンシーや教育内容と認定資格の整合を考慮
修了と同時に複数の認定資格を取得可能(相互認定協定)

「eLPベーシック」、「eLPエキスパート」、「eLPラーニングデザイ
ナ」(必修科目のみで取得可能)

「eLPマネージャー」、「eLPコンサルタント」、「eLPコンテンツクリ
エーター」、「eLP SCORM技術者」(一部選択科目が必要)
熊本大学 大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻
19 / 38
学習の質・量確保と
厳格で一貫した成績評価

eラーニングの特長を活かした学習の質・量の確保(単位の実質化)
学習進捗状況(専攻ポータル)


学生・教員間の双方向のやりとり及び学生間相互コメントを含む学習活動の
「見える化」 ⇒ 協調学習環境の実現
15回の各授業で「タスク」を課し、数回の「課題」でコンピテンシー確認

予め示した評価基準で厳格な単位認定

全15回分の「タスク」の修了 & 「課題」のすべてが合格点( 6割以上)
組織的な研究指導 :学生ごとに主担当教員1名と副担当教員2名を配置

熊本大学 大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻
20 / 38
内蔵型FD・評価による
教育の組織的質保証

デザイン原則の共有化


レビュー会の定例化

(3)プロトタイプ開発
月別学生別⇒教員会議にて
報告
…
最終ブロック
(5)レビュー会
第3ブロック
(4)コンテンツ開発
学習モニタリング

(7)評価
第2ブロック
教員・授業補助者・教材作
成者が一堂に会し公開前に
教育内容の相互点検等を行
う
(2)概要設計
第1ブロック

教育設計の専門家が全科
目のシラバス、教材、評価
方法等を点検・指導
(1)授業用シラバス作成
(6)公開・運用
本専攻の科目開発プロセス
熊本大学 大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻
(内蔵型FD) 21 / 38

2年間走りながら生み出した成果



「4つのI」を軸とした体系的カリキュラム
インターネット大学院の学習支援環境
「大学院教育の実質化」に対応した運営体制
第1期生の修了(2008年3月)
eラーニングにおける
博士後期課程の開始
教授方法の更なる改善
(2008年4月)
熊本大学 大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻
41 / 69
●
平成19年度文部科学省大学院教育改革支援プログラム
IT時代の教育イノベーター育成
①国際産学共同開発による
「ストーリー型カリキュラム」
• 先進性を更に進めるカリキュラ
ム改革
• 複数科目共通の実践的応用場
面のシナリオを作成
科目A
ストーリー型
(高い実践力)
科目B
国際産学協同開発
科目A
[10頁の1)]
教授システム学専攻
実践的
応用場面の
シナリオ
– 並行履修する複数科目をシナリオに関
連付け ⇒ 統合的な教育課程を導入
– ストーリー例:ある企業で集合型研修
の一部をeラーニングに置換する場面
– カーネギーメロン大学で効果は実証済
– 我が国最初の試み
• 国際産学協同開発
大学院社会文化科学研究科
従来型
(並行履修)
科目B
[3頁]
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻(修士+博士課程)
23
①国際産学共同開発による「ストーリー型カリキュラム」
ストーリーの中で学ぶ…SCCが提供する世界
e-Learningシステム開発・販売
Learningシステム開発・販売
生き残る鍵 → IDに基づく高品質な製品
 3年後の株式上場を目指すベンチャー

関連科目群
(1年前期必修)
ストーリーの中で学ばせることで、
学習内容をメタ認知的に捉える機会を提供
商標権侵害
クレーム対応
紙教材の新規開発
素材使用希望申請
eラーニング概論
インストラクショナル・
デザインI
既存コースの分析
ネットワーク上の
知的財産権及び私権
学習支援情報通信
システム論
学生
転職したての
新入社員
教育ビジネス経営論
画像使用許諾契約書の作成
学習のe化に関する技術調査
新事業部設立計画
SCC導入による構造化&系列化設計
~1年前期の科目構成の組替え~
~2007年度
ID 1 Bk1
4
月
E/L概論
Bk1
ID 1 Bk2
E/L概論
Bk2
ID 1
1Bk3
E/L概論
Bk3
N/W上の知財権および私権
Bk1
E/L概論
Bk4
N/W上の知財権および私権
Bk2
学習支援情報通信システム論
Bk1
8
月
学習支援情報通信システム論
Bk2
1年後期から
の移行
2008年度~
②
E/L
概論
E/L概論
Bk5
N/W上の知財権および私権
Bk3/4
教育ビジネス経営論
BK1/(3)
①
E/L
概論
ID 1 Bk4
③
E/L
概論
④
ID1
⑤
知財
私権
⑥
ID1
⑦
ID1
⑧
ID1
⑨
E/L
概論
⑩
知財
私権
⑪
知財
私権
Bk
3/4
⑫
通信
シス
⑬通
信シ
ス
⑭
教ビ
経営
Bk
1/3
4
Bk2
Bk1
Bk2
Bk1
Bk2
Bk3
Bk1
Bk1
Bk2
Bk2
Bk3
Bk4
月 「MTM社の1社員」になり、降り注ぐ上司の指示へ「学びながら」対処!
熊本大学 大学院社会文化科学研究科 教授システム学専攻
⑮
E/L
概論
Bk5
46 / 69
8
月
●
②国際連携によるeポートフォリオ活用教育改善システム
ポートフォリオの活用事例:最終試験

最終試験(レポート形式)
 コンピテンシー達成度を自己評
価し、その証拠となる作品等を
紹介する要約文をまとめたもの
 レポートの作成は 3ステップ
STEP1: 選択
STEP3: 公開
STEP2: 省察
コンピテンシーの
達成度を自己評価
(高度・中程度・最低限・未達成)
予め登録されている
成果物の中から選択

自己評価の
理由を記述
希望者を募り、2011年度修了生
から利用を開始
本日のメッセージ
熊本大学 鈴木克明
●
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
インターネット型の大学院でeラーニングの専門家を養成して8年目
になる熊本大学における事例を紹介する。インターネット型だから
こそ質保障はしやすい。何故ならば、すべてが記録・蓄積され、密
室がないから。教育設計学(Instructional Design: ID)を志す社会人
受講生の目は厳しいので、「紺屋の白袴」と揶揄されないようにID
の最先端を自専攻の設計と運用に応用してきた。ストーリー型カリ
キュラムの導入はその一例であり、今後の高等教育の一つの方向
性を示唆する教育方法のパラダイム変革にならないだろうか? ID
の手法をID以外を教育内容とするすべての領域の高等教育で活用
することが質保障を促進するだろう。講義形式と定期試験に依存せ
ず、自分で学ぶ場としての大学に戻ることを実現するために提案し
た「大学におけるICT利用のサンドイッチモデル」を紹介して、高等
教育における質保障の専門家の意見を求めたい。
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
27
本日のメッセージ
熊本大学 鈴木克明
●
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
IDの手法をID以外を教育内容とするすべて
の領域の高等教育で活用することが質保障
を促進するだろう。講義形式と定期試験に依
存せず、自分で学ぶ場としての大学に戻るこ
とを実現するために提案した「大学における
ICT利用のサンドイッチモデル」を紹介して、
高等教育における質保障の専門家の意見を
求めたい。
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
28
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
29
質保証の5レベル=いらつきのなさ+うそのなさ
+わかりやすさ+学びやすさ+学びたさ
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
鈴木克明(2006.11)「IDの視点で大学教育をデザインする鳥瞰図:eラーニングの質保証レイヤー
eラーニング専門家をeラーニングで養成!
熊本大学大学院 教授システム学専攻
モデルの提案」『日本教育工学会第22回講演論文集』337-338
30
本日のメッセージ
熊本大学 鈴木克明
●
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
IDの手法をID以外を教育内容とするすべて
の領域の高等教育で活用することが質保障
を促進するだろう。講義形式と定期試験に依
存せず、自分で学ぶ場としての大学に戻るこ
とを実現するために提案した「大学における
ICT利用のサンドイッチモデル」を紹介して、
高等教育における質保障の専門家の意見を
求めたい。
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
31
シャンク教授からのメッセージ:
オンライン大学が答えだ
出典:鈴木克明「eラーニングにおける学習者中心設計とIDの今
後 (第8 章)」 野嶋 栄一郎・鈴木克明・吉田文(編著)『人間情報
科学とe ラーニング』放送大学教育振興会 p.129-130(2006)
-
-
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
・・・彼らは年間を通じて本当に勉強し、課題をこなした。学校へ行くフ
リをしていたんじゃない。私が思うに、この新しいモデルは長期的に
は勝利を収めるだろう。
企業研修も、学校のコピーに陥りやすい。「さて、学校がダメだからコ
ーポレート大学を作らなきゃならないはずなのに、実際に作ってみる
と、学校とそっくりじゃないか。」学校と同じ間違いを次々におかしてい
る。彼らは考え直す必要があるが、それは難しいことだ。学校がある
限り、人々は教育といえば学校と似せて作るべきだと考えてしまう。
1500年代にヨーロッパの修道者が人々に本を読んでいた。「レクチャ
ー」の語源はラテン語で「読む」を意味する。修道士達が人々に読ん
で聞かせたのは正しい。彼ら以外は字を読めなかったんだから。しか
し、今でも教授達が壇上に立って「レクチャー」をしている−−−その風
習は1500年代には意味のあることだったが、それをいまだにやってい
るという事実はほとんど狂気の沙汰だ。
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
32
第三者評価
就職活動
使い方
教育
省察と自己アピール
ディプロマ
ポリシー
eポートフォリオ
学習インフラ(応用)
応用課題
4年生の科目群
応用課題
3年生の科目群
応用課題
2年生の科目群
建学の
精神
アドミッシ
ョン
ポリシー
オリエン
テーショ
ン
全
学
共
通
目標設定
応用課題 3(プロジェクト型)
応用課題 2(プロジェクト型)
応用課題1(プロジェクト型)
1
共有・公開可能な成果物
前提知識確認 対面 情報提供
講義
導入課題
教
体験共有
動機づけ
科
書
理解の確認
音声
教材
OER; Web Quest
クイズ
複数回挑戦
自動採点・記録
完全習得学習
FD/SD/ED機能
ゼロ年次
教育
使い方
教育
学習支援サービス
学生チューター
基礎情報・学習履歴
通学生
eラーニング(LMS)
1年生の
の科目
1年生
年生の科目
1年生
年生の科目
科目
教養教育
TA
ディプロマ
ポリシー
学
部
・
学
科
・
領
域
ご
と
授業改善
授業外支援環境
応用
基礎
ニーズ
調査
卒業生
追跡調査
学部・学
科カリキ
ュラムポ
リシー
自己主導
学習
ラーニングコモンズ
学習インフラ(基礎)
通信生
鈴木克明(2012)「大学における教育方法の改善・開発[総説]」日本教育工学会論文誌、36(3)(特集号:大学教育の改善・FD):171-179
コア:必修科目の単位を取得することで
コア:必修科目の単位を取得することで
身につくコンピテンシー (1-6)
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
本専攻を修了すると、次のコンピテンシーの基礎が身につきます。
1. 教育・研修の現状を分析し、教授システム学の基礎的知見に照
らし合わせて課題を抽出できる。
2. さまざまな分野・領域におけるさまざまな形のeラーニング成功
事例や失敗事例を紹介・解説できる。
3. コース開発計画書を作成し、ステークホルダごとの着眼点に即
した説得力ある提案を行うことができる。
4. LMSなどの機能を活かして効果・効率・魅力を兼ね備えた学習
コンテンツが設計できる。
5. Webブラウザ上で実行可能なプログラミング言語による動的な
教材のプロトタイプが開発できる。
6. 開発チームのリーダーとして、コース開発プロジェクトを遂行で
きる。
2006.7.28
E-learning World 2006 【J-2】
35
コア:必修科目の単位を取得することで
コア:必修科目の単位を取得することで
身につくコンピテンシー (7-12
12)
)
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
本専攻を修了すると、次のコンピテンシーの基礎が身につきます。
7. 実施したプロジェクトや開発したコースを評価し、改善のための
知見をまとめることができる。
8. 人事戦略やマーケットニーズに基づいて教育サービス・教育ビ
ジネスの戦略を提案できる。
9. ネットワーク利用に関わる法律的・倫理的な問題を認識し、解決
できる。
10. 教授システム学の最新動向を把握し、専門家としての業務に
応用できる。
11. 実践から得られた成果を学会や業界団体等を通じて普及し、
社会に貢献できる。
12. 教授システム学専攻の同窓生として、専門性を生かして専攻
の発展・向上に寄与できる。
2006.7.28
E-learning World 2006 【J-2】
36
オプション:選択科目の単位を
オプション:選択科目の単位を
取得することで身につくコンピテンシー
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
1. eラーニングサーバの導入、構築、管理、運営が行え、サーバ
サイドアプリケーションを用いた動的な教材のプロトタイプが
開発できる。
2. コンテンツの標準化や相互運用性の要件を満たしたeラーニ
ングコース開発やシステム運用ができる。
3. ネットワークセキュリティ上、安全なeラーニング環境を構築で
きる。
4. 知識・情報・学習の視点から経営課題について提言ができる。
5. eラーニングの特定応用分野について、その領域独自の特徴
を踏まえて内容の専門家と協議できる。
6. コンサルティングの視点から、教育サービス・教育ビジネスの
プロジェクト内容を提案でき、その実施をサポートできる。
7. 所属機関・顧客機関等のeラーニングポリシーの確立・改善・
変革を提案できる。
2006.7.28
E-learning World 2006 【J-2】
37
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
www.ibstpi.org/
2007年1月ディレクター就任
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
38
ibstpiの書籍
Instructional Design Competencies: The
Standards
(2012年第4版)
IDコンピテンシー標準
Instructor Competencies: Standards for Faceto-Face, Online & Blended Settings
インストラクタコンピテンシー標準
(2003年第3版)
Training Manager Competencies: The
Standards
(2003年第3版)
研修管理者コンピテンシー標準
Evaluator Competencies: The
(2006年第1版)
Standards
評価者コンピテンシー標準
NEW
Online Learner Competencies
オンライン学習者コンピテンシー標準
ibstpi®オンライン学習者コンピテンシー
日本語訳(2010調査用)
1. オンライン学習に現実的な期待感を持つ
2. 学習ゴールを達成するための決意を守り続ける
3. オンライン学習のチャレンジをやりくりする
4. 時間を効果的にやりくりする
5. 学問的・倫理的・法的な基準を遵守する
6. テクノロジーをうまく使いこなす
7. 能動的な学習者である
8. リソースに富んだ学習者である
9. 内省的な学習者である
10.自己監視ができる学習者である
11.学んだことを応用する
12.効果的なオンラインコミュニケーションに関与する
13.生産的なオンライン上の相互作用に関与する
14.知識構築のための協調的オンラインコミュニケーションに
関与する
ibstpiがオンライン学習者コンピテンシー策定に乗り出した理由
受益者側に「職能」を求める背景と功罪
背景:オンライン学習環境で求められる学習
者の高い自律性。ブレンド型の学習の広ま
りによって高い自律性が遠隔学習者のみな
らず通学制や対面研修に学ぶ学習者にもよ
り強く求められてきた
「『あの学習者たちが相手では,こちらがいく
ら頑張っても限界があるよね』という諦め,
一種の責任転嫁」につながる恐れもある
鈴木克明(2012) オンライン学習者コンピテンシー標準をどう活用すればよいか.
教育システム情報学会第37回全国大会(千葉工業大学)発表論文集:160-161
http://www2.gsis.kumamoto-u.ac.jp/~idportal/wp-content/uploads/G3-1.pdf
オンライン学習者コンピテンシーを
誰がどう使うか?
オンライン学習環境では対面環境よりも、
より多様な成功要件が求められる
成功の秘訣(スキルや態度)を知ることが
オンライン学習者の参考になる
オンラインコースの設計・運用・補助担当者
や提供組織にも学習環境を最適化するた
めに有益な情報になる
http://www.ibstpi.org/competency-sets/online-learner-competencies/
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ビデオとスライドを流すだけのeラーニングは
効果的でも効率的でもない
延々とイラスト+ナレーションで説明して、たっ
た5問程度の多肢選択式クイズだけでは学習
成果をしっかり把握できない
講義と定期試験をやめても大学院教育は可能
事前にしっかり活動を作り込めばメンターは
あまり必要でなくなる?
グループ活動を段階的に取り入れると孤独な
eラーニングから脱皮できる?
GSIS同窓会主催で
隔月1回開催中
大学院社会文化科学研究科
教授システム学専攻
eラーニング専門家をeラーニングで養成! 熊本大学大学院 教授システム学専攻
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