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鈴木 豊氏提出資料

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鈴木 豊氏提出資料
資料3
地方公共団体の公監査の体系
青山学院大学大学院 鈴木
1.パブリックアカウンタビリティチェーンの識別の必要性
(図表1)
公監査目的のパブリック・アカウンタビリティ
企業会計的
公会計・公監査的
豊(100831)
公会計・公監査機能の拡張
①財政的アカウンタビリティ→ 管理的アカウンタビリティ→ プログラ
ムアカウンタビリティ
法規準拠性から業績監査へ
②誠実性・合法性アカウンタビリティ → プロセスアカウンタビリティ
→ 業績アカウンタビリティ → プログラムアカウンタビリティ →
ポリシーアカウンタビリティ
業績監査、効率性、有効性監査へ
③準拠性アカウンタビリティ → 倫理的アカウンタビリティ
公平性・公正性・倫理性監査
④事後的アカウンタビリティ → 事前的アカウンタビリティ
予算、業績計画監査へ
⑤行政的アカウンタビリティ → 政治的アカウンタビリティ
政策価値判断監査へ
⑥手続的アカウンタビリティ → 管理的アカウンタビリティ
ガバナンス監査へ
⑦客観的アカウンタビリティ → 主観的アカウンタビリティ
公正性・妥当性監査へ
⑧量的アカウンタビリティ → 質的アカウンタビリティ
有効性・アウトカム・インパクトへ
⑨法規的(個別的統制)アカウンタビリティ → 価値的(全体ガバナンス)
アカウンタビリティ
⑩法規準拠的アカウンタビリティ → 業績・法規準拠的アカウンタビリ
ティ
業績・経営・ガバナンス監査へ
(図表2-1)
業績・法規準拠性監査へ
国民・納税者へのパブリックアカウンタビリティの履行
公監 査
□ 公会計・公監査制度の利害関係者とその効果(行政・業績管理統制)
「厳正に」
監視
公監査リスク
☆外部公監査人
(立法府監査人)
(監査・検査・監察)
職業倫理
(行政)政府・地方公共団体・公的機関
(1)立法府、行政府、独立監査人
(2)国民・市民・納税者
(3)債権者、投資家、公経営管理者
公監 査 の 報 告
公 的保 証
選 任( 選 挙)
国会・議会
業 績報 告
☆ パブ リ ッ クア カ ウ ン タビ リ ティ の 履 行
( 公的 な 説 明責 任 )
行 政サ ー ビ スの 実 施
納
・料
料金金・・
料支
等払
支払
納税・
保保
険険
料等
業 績の 報 告 「包 み 隠 さ ずに 」
国 民・納 税 者「公けの知る権利」(パブリックインフォームドコンセント)
(図表2-2)
公会計・公監査モデル
国民・市民・納税者
代理人
代理人
開示
(議員)
監視
◎
国(政府)等
外部公監査人
(議員)
議会
調査権
監視
◎
自治体等
会計検査院
補助金
◎
内部監査人
長の調査権
長の調査権
◎
は日本には無い
◎
会計プロフェッションの関係領域
関連法 人
☆
企 業・事 業 者
関連法 人
は監査の方向
独立監察官
☆
外部評価人
☆
実地・ 立入 調査 権
行政サービス
支出
は公監査人
☆
◎
監査委員
◎
企 業・事 業 者
実地・ 立入 調査 権
行政サービス
支出
外部公監査人
◎
公監査
公監査
(各部局)
◎
外部評価人
◎
議会
◎
独立監察官
◎
☆
開示
(各省庁)
◎
☆
税金・ 公金
国会
国政
調査権
☆
税金・ 公金
◎
2.公監査制度確立の必要要件
(図表3)
公監査制度構築の必要要件
① 根拠法規
② 目的設定のガイダンス
③ 公監査の体系または範囲
④ 公監査基準の範囲
⑤ GAAS との関係
⑥ 基準設定主体
⑦ 規制・監視機関
⑧ GAAP と開示基準
⑨ 監査人の独立性
⑩ 実施・手続基準
⑪ 業績測度基準
⑫ 監査対象期間
⑬ 監査意見基準
⑭ 報告書基準
⑮ フォローアップ
⑯ 不正・違法行為
⑰ 外部 QC システム
⑱ ゴーイング・コンサーン情報
⑲ 政策判断の可否
⑳ 公監査人の責任
21 政策評価およびコスト便益
22 立法府との関係
○
○
23 保証水準(公監査リスク)
24 国際公監査基準とのコンバージェンス
○
○
3.公監査目的 10 段階の識別の必要性
(図表4)
公監査包括目的の体系と展開段
財
政府監査の類型区分
務
監
広義の合法性または
準拠性ないしは
法規準拠性監査
査
正確性または
決算監査
(業績監査の類型)
①狭義の合法性監査
②合規性・準拠性監査
括
監
ま
た
狭義の有 ⑦目的達
効性監査 成の監査
広
は
義
完
の
全
⑧アウト
カムの監
査
効
査
性
⑨代替案
政策評価 の監査
監査
法規違反行為・不正・濫用の摘発
第 1 段階
政策方針および予算の目的・手続・契約・要件の妥当
第 2 段階
性・適切性の検証、内部統制とガバナンスの有効性
財務諸表の適正性・決算の正確性の検証
第 3 段階
④財務関連監査
予算・財務関連事項の正確性・妥当性の検証
第 4 段階
(測度の類型)
インプット測度
アクティビティ測度
アウトプット測度
効率性測度
有効性測度
アウトカム測度
インパクト測度
説明測度
有
監
業績( 行政 ・3 E~5 E・ VF M)監 査
査
⑥効率性
監査
展開
③財務諸表監査
包
広義の効率
性または
生産性監査
⑤経済性
監査
監査判断の基準及び測度
代替案決定の条件・
プロセスの評価
(主な測度又は指標)
(測度の特質)
インプットコスト、作業量、サービス (1) 目的適合性
ニーズと量、プログラムインプット
(2) 有効性
サービス努力、活動プロセス、資
(有用性)
源の利用プロセス
提供財・サービスの質、一定の質の (3) 反応性
サービス量、アウトプットプロセス
(4) 経済性
プログラム効率性、ポリシー効率性
プログラム有効性、ポリシー有効性、 (管理可能性)
コスト有効性
コストベネフィット、コストアウ
トカム、サービスの質
短期的インパクト、長期的インパ
クト
(5) 比較可能性
説明・記述情報
(8) 接近可能性
代替案の提示、代替コースのレイ
アウト
(9) 包括性
第 5 段階
第 6 段階
第 7 段階
(6) 明瞭性
(理解可能性)
第 8 段階
(7) 互換性
第 9 段階
(10) 精選性
監
(11) 正確性
査
⑩価値判
断の監査
政策の功罪・政治的
判断の評価
政策の根拠、政策目的の功罪、政
治的意思決定の賢明性
(12) 信頼性
(13) ユニーク性
(14) 適時性
(15) 完全性
第 10 段階
(図表5)各国の公監査展開の現状 ― 国民・納税者のための公監査(10 段階説)
英国
米国
日本
法規準拠性監
査
①合法(規)性監査
②準拠性監査
会計監査
④財務関連監査
業績(行政・5E・VFM)監査
包 括 監 査 または 完 全 監 査
③財務諸表(書類)監査
⑤経済性監査
⑥効率性監査
⑦有効性監査
⑧成果(アウトカム)監査
⑨代替案の監査
⑩政策(価値)判断の監査
英米は、「ここまで監査している」
日本は、「ここまでしか監査していない」
4.公監査基準の体系
(図表6)
公監査基準の体系の類型
政府監査目的
(第1類型)
財務監査
財務諸表
決算監査
業績(VFM)監査
財務関係
法規準拠性監査
(第2類型)
3E~5E監査
政府監査目的
財務監査
準拠性監査
業績監査
政府監査目的
(第3類型)
法規準拠性監査
財務監査
業績監査
(第4類型)
政府監査目的
準拠性監査
合規性監査
業績監査
財務監査
(第5類型)
政府監査目的
財務監査
証明業務
(保証水準)
業績監査
業績関係
法規準拠性監査
5.イギリス地方自治体監査制度と新動向
(図表7)
イギリス地方自治体監査の制度フレームワーク
納税者
選挙民
パブリック
アカウンタビリティ
地方自治法
中央政府
NAO
IFAC
地方財政法
DCLG
補助金
ICAEW
地方自治体
公監査基準、ガイドライ
ン、公監査の適用可能性
RFP
内部監査
監査
NHS コミュニティ
ケア法
会計監査規定
公監査基準
監査委員会
監査
民間会計士
ファーム
レビュー
地区監査官
監査実施コード
CIPFA
QC 基準
地方自治体会計実施コード
業績指標
業績指標
Citizens Charter
Indicator
BVPP
CPA,CAA
QC 基準
□ 業績監査の強化
□ 監査委員会の改組
6.アメリカ地方自治体監査制度と新動向
(図表8)
アメリカ地方自治体監査の制度フレームワーク
パブリック
アカウンタビリティ
連邦政府
IFAC
財政援助
単一監査法
納税者
選挙民
GASB
政府監査基準
GAO
IG
内部監査
政府監査基準
イエローブック
ピアレビュー
業績指標
クリアリングハウス
AICPA
単一監査
RFP
SOP
公監査基準
ASLGU
民間会計士
ファーム
AGA
QC 強化
IG 監査の強化
QC 基準
民間会計士
ファーム
NSAA
ピアレビュー
IIA
□ 不適切支出の
財務省
地方自治体
(州、地方政府)
FASAB
□ 単一監査法の
OMB
通達 A-123・133・136
A-87、21
QC 基準
国際政府会計基準
SAS
CIGIE
ALGA
7.公的機関の統制範囲
(図表9)
公的機関の統制範囲の構造モデル
D コーポレートガバナンス
○
C 業績(行政・政策成果)管理統制
○
B 内部(財務)統制
○
A 内部牽制
○
「会計・法規準拠性の統制」
「公的機関の業績目標と成果の統制」
「公的機関の全体の経営管理の統制」
8.たたき台の公監査上の問題点
(1)見直し案 ①
イ 長自体の監査のみでは監査の実行性は困難である。
○
ロ 外部監査人の実行性は困難である。
○
(2)見直し案 ②
イ 内部監査役の独立性と適格性の条件が不充分である。
○
ロ 外部監査人の実行性は困難である。
○
(3)見直し案 ③
イ 内部監査役の全国的共同化はコスト・スタッフ面に困難性がある。
○
ロ 外部監査人の共同化の要件充足に困難性がある。
○
(4)共通
イ 独立性が不完全、○
ロ 包括監査目的が不明確、○
ハ 行政すなわち業績監査の廃止は欠陥、○
ニ 準拠
○
ホ 外部監査人の準拠要件が不完全、○
ヘ 公監査のコス
開示(公会計)基準と公監査基準が不完全、○
ト 品質管理システムが不充分。
トベネフィットが不明確、○
9.我が国地方公共団体の公監査制度の方向性
(1)中長期的
① 独立した規制・品質管理機関としての全国監査共同組織の必要性はある。
② 法規準拠性、財務、業績監査の必要要件を完備した公監査制度を確立すべきである。
(2)短期的
① 現行の監査委員と考えられる内部監査役の独立性を高めるべきである。方式は、議会指名、公選、
議会の外部者を含めた指名委員会等。事務局の独立性を強化すべき。方式は、外部へ切り出し、ロ
ーテーションなし、共同組織へ配属。
② 公監査基準・統一的公会計基準及び準拠規準を設定し、外部監査人を活用強化すべきである。
③ 内部監査役監査と外部監査人監査の品質管理のためのレビュー制度を構築すべきである。方式は、
監査共同組織、ピアレビュー等。
④
小規模自治体のための都道府県単位の監査実施共同組織を設置する。
⑤
規制・統制のための全国監査規制組織を④の上部に設置する。
10.地方公共団体の公監査基準(設定すべき基準と準拠規準)
(1)公監査の一般基準
①パブリックアカウンタビリティの基準、②独立性の基準、③職業専門的判断、正当な注意の基準、
④品質管理の基準
(2)財務監査基準
〔1〕実施基準
①営利組織監査の準拠基準、②監査目的の基準、③公会計基準の準拠基準、④計画性の基準、⑤不
正・違法・非準拠性の基準、⑥内部統制の基準、⑦リスクアプローチの基準、⑧監査調書の基準、
⑨品質管理の基準、⑩財務関連監査基準
〔2〕報告基準
①コミュニケーションの基準、②監査基準(GAAS)準拠の基準、③内部統制と法規準拠性の基準、
④監査意見の基準、⑤財務関連監査の意見基準、⑥特別許可および極秘情報の基準、⑦監査報告書
配布基準
(3)法規準拠性監査基準
〔1〕実施基準
①準拠性の範囲基準、②重要性の基準、③コーポレートガバナンスの基準、④財務取引の合法性の
基準、⑤財務実施および不正・濫用の摘発・防止基準、⑥財務状況の基準、⑦内部統制の基準、⑧
追加的手続の基準
〔2〕報告基準
①意見表明の基準、②非準拠性報告の基準、③報告書形式の基準、④重要性の水準、⑤コミュニケ
ーションの基準、⑥コーポレートガバナンスの報告基準、⑦監査人の特別の権利と義務の基準、⑧
市民の関心に対する特別報告の基準
(4)業績および政策評価の監査基準
〔1〕実施基準
①監査計画性の基準、②3E-5E 監査の基準、③業績測度・指標の基準、④業績(政策・行政評
価)報告書作成の基準、⑤法規準拠性の基準、⑥内部統制の基準、⑦重要性の基準、⑧準拠基準お
よびガイダンス設定の基準、⑨監査証拠の基準、⑩監査調書の基準、⑪組織的監査の基準、⑫フォ
ローアップの基準、⑬他の専門家利用の基準
〔2〕報告基準
①業績監査報告書形式の基準、②適時性の基準、③報告内容の基準、④監査目的および範囲の報告
基準、⑤監査結果および理由の報告基準、⑥業績測度・指標評定の基準、⑦政策(行政)評価監査
の基準、⑧改善勧告の報告基準、⑨監査報告書の作成基準、⑩監査報告書の配布基準
詳しくは、日本監査研究学会・公監査研究特別委員会「公監査を公認会計士・監査法人が実施す
る場合に必要な制度要因の研究調査」(日本公認会計士協会ホームぺージ参照)、鈴木豊著「公
監査基準」、同訳・著「アメリカの政府監査基準」(中央経済社刊)を参照。
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