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表紙 と目 次 フラットパネルディスプレイへの 人間工学的要求 成蹊大学 理工学部 窪田 悟 1.ディスプレイの人間工学 2.コンピュータディスプレイのユーザー評価 過去8年間のWeb調査結果と2007年度の 調査データの多変量解析からひとつの結論を示す 3.有機ELディスプレイの画質評価 人間工学的な視点からOLEDとLCDとの際立った 違いを明確にする JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 1.ディスプレイの人間工学 ユーザーの視覚特性 コントラスト感度特性 視力、加齢の影響など 作業特性・表示 内容 物理的環境 作業時間、コンテン ツ、アプリケーション 現場調査 Web調査 生態学的な視点が 必要 多くの要因との相互 作用は要素還元論だ けでは記述できない. ディスプレイ の表示特性 光環境、作業空間、 視距離など 利用現場におけるユーザー評価 見やすさ、画質、疲れにくさ 実験的研究 視認性が高く、画質が良く、視覚 負担が少ないディスプレイの 設計・開発の指針 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 調査概要 2.コンピュータディスプレイのユーザー評価 Web調査2000~2007 調査期間 2000年~2007年の8年間 (2007年は11月2日~23日) 対象者 主としてディスプレイ関連業界の方々 回答者数 過去8年間では延べ約3000名 (07年度は442名) 調査項目(詳細は次ページ以降) ①回答者の属性:年齢,作業内容,作業時間など ②ディスプレイの特性:画素構成,サイズ,方式など ③文字の表示特性:大きさ,明るさ,CRなど ④目と身体部位の疲労感:目や身体の自覚症状 など JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) アンケートの質問項目1 分類 コンピュータディスプレイ のWebアンケートの質問項目 その1 質問項目 複数のコンピュータディスプレイの使用 ディスプレイの種類 ディスプレイの対角サイズ 画面の領域(画素数) 使用ディスプレ 画面の表示色数 イについて 機種名 分類 質問項目 コンピュータのOS メールアドレス ディスプレイとコンピューターの接続方式 年齢 スクリーンフィルターの装着 性別 現在の設定における画素密度の測定 回答者について コンピュータの使用経験年数 使用文字サイズ 普段使用している文字サイズ 仕事 部屋全体の明るさ 視力(矯正視力) ディスプレイが置かれている机上の明るさ 矯正 普段最もよく使うアプリケーション 作業時間・内容 ディスプレイに向かう時間 平均 について ディスプレイに向かう時間 うち自宅での時間 回答場所 画面への窓の映り込み(反射) 作業環境につ 画面への照明器具の映りこみ(反射) いて 画面への自分自身の映り込み(反射) 机上の作業空間 照明環境の設定 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) アンケートの質問項目2 コンピュータディスプレイ のWebアンケートの質問項目 その2 分類 質問項目 理想の文字サイズ 文字表示特性 輪郭のギザギザ 分類 文字表示画面 の評価 質問項目 文字を構成する線の太さ 画面の大きさ 調整頻度 画面の画素数(表示容量) 明るさの調節範囲は充分か(上げる方向) 画面の精細度 画面の明るさ 画面の表示文字のコントラスト 明るさの調節範囲は充分か(下げる方向) 明るさ・コントラ ストの調節範囲 コントラストの調節範囲は充分か(上げる方向) について コントラストの調節範囲は充分か(下げる方向) 表示文字の鮮明さ 明るさやコントラストの調節のしやすさ 画像1~9に対する 輝度の評価 明るさやコントラストの調節がしやすければ調節するか 画像の輝度評 画像1~9に対する 黒レベルの評価 価 画像1~9に対する コントラストの評価 画面の表面処 AGパネルかクリアパネか 理 目の疲れ 終業時の目の疲れ 目に関する自覚 目がいたいなど9項目 症状 9項目 身体部位の疲 首,肩など9項目 労感 9項目 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) ★ディスプレイの種類,作業時間,目と身体部位の疲労感 ディスプレイの種類,作業時間, 目の疲労感 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) ディスプレイの種類の 年次変化 ディスプレイの種類の変化 CRT LCDモニター LCDノート 100% 27.7 29.8 80% 37.6 35.7 32.6 40.8 45.6 43.2 ノートとモニターの比率は、 40数パーセント対50数 パーセントでほぼ固定され た感がある. 60% 43.7 54.1 40% 52.3 20% 64.6 56.2 53.7 55.7 28.6 16.1 0% 58.7 10.1 5.6 2.8 3 1.1 0.7 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 N=202 N=186 N=369 N=315 N=319 N=493 N=563 N=438 年度 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 作業時間の年次変化 ディスプレイ作業時間 ディスプレイ 作業時間の 作業時間 の 推移 9 CRT LCD モニター LCD ノート 自宅での 自宅 での使用 での 使用を 使用 を含 む 1 日 あたりの あたりの時間 時間 8 7 6 5 4 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 00 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 年度 2004年から家庭でのPC利用時間も聞き取っているが,多くの回答者 が家庭でもPCを使用している.家庭での平均使用時間は約1時間, 会社での使用を合計すると1日あたり平均約8時間ディスプレイに向 かっていることになる.2006年から2007年にかけて延長傾向が認め られる。 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 終業時の目の疲労感 終業時の目の疲労感の変化 ほ とんど疲 とんど疲 れ を感 を 感 じな い 多 少 疲 れ た 感 じは する が すぐに回 すぐに回 復 する 帰 宅 後 まで 疲 れ が 残 る 翌 日 以 降 まで 疲 れ が 残 る 0% 20% 40% 60% 80% 2001 2 0 0 2 1 1 .0 5 4 .8 2 0 0 3 8 .7 100% 6 .1 3 5 .2 4 6 .9 1 1 .7 Kruskal-Wallisの順 位和検定で年度間 に有意差無し 5 5 .4 2 7 .7 6 .6 3 0 .5 5 .4 年度2004 1 2 .7 2005 1 2 .2 5 1 .2 2006 1 2 .2 5 1 .6 2 8 .5 7 .7 2007 1 1 .9 5 0 .0 3 0 .8 7 .2 2 5 .7 5 5 .2 6 .3 4 .8 3 1 .7 「翌日以降または帰宅後まで疲れが残る」という人の 割合が若干増加傾向にある. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 終業時の目の疲れと有意な相関がある要因 (相関係数の絶対値の大きい順) 2007年度調査 Pearsonの Pearsonの 有意確率 相関係数 表示文字の -0.223 p<0.001 表示文字のコントラスト( コントラスト(主観評価) 主観評価)※ 要因 N 421 調整しやすければ 調整しやすければ調整 しやすければ調整するか 調整するか( するか(主観評価) 主観評価) 0.195 p<0.001 423 画面の 画面の明るさ( るさ(主観評価) 主観評価)※ -0.194 p<0.001 421 鮮明さ 鮮明さ(主観評価) 主観評価) -0.187 p<0.001 421 年齢 -0.134 0.006 416 精細度( 精細度(主観評価) 主観評価) -0.132 0.007 419 コントラスト調整範囲 コントラスト調整範囲の 調整範囲の充足度( 充足度(上)(主観評価 )(主観評価) 主観評価) -0.128 0.009 418 ディスプレイ作業時間 ディスプレイ作業時間 0.125 0.01 426 明るさ調整範囲 るさ調整範囲の 調整範囲の充足度( 充足度(下)(主観評価 )(主観評価) 主観評価) -0.123 0.012 416 矯正視力 -0.122 0.012 425 コントラスト調整範囲 コントラスト調整範囲の 調整範囲の充足度( 充足度(下)(主観評価 )(主観評価) 主観評価) -0.122 0.013 413 画面の 画面の画素数( 画素数(主観評価) 主観評価) -0.107 0.028 422 照明器具の 照明器具の映り込み(主観評価) 主観評価) -0.106 0.029 422 PC経験年数 PC経験年数 -0.099 0.041 427 調整しやすさ 調整しやすさ( しやすさ(主観評価) 主観評価) -0.099 0.041 425 ※:ちょうど良 ちょうど良いが最高値 いが最高値になるように 最高値になるように変換 になるように変換した 変換した後 した後に相関をとっている 相関をとっている. をとっている.相関係数が 相関係数がマ イナスであることは であることは高 イナス であることは高すぎても低 すぎても低すぎても目 すぎても目の疲れが増加 れが増加することを 増加することを意味 することを意味する 意味する JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 重回帰分析 ステップワイズの重回帰分析 下記の変数によってステップワイズ(変数増減法)の重回帰分析を行った.主 観評価による順序尺度は間隔尺度と見なしている.ステップワイズにおける変 数の投入はF≧2.0,同様に除去はF<2.0とした.分析はSPSS Ver.15J を使用. 目的変数 終業時の 終業時の目の疲れ (順序尺度 (順序尺度) 順序尺度) 説明変数 説明変数 31変数 31変数 主観評価による 主観評価による順序尺度 による順序尺度 計測可能値 年齢 PC経験年数 矯正視力(自己申告) ディスプレイ作業時間(時間) ディスプレイサイズ(対角インチ) 画素数(縦・横で少ない順) 画素密度(ppi) 使用文字サイズ(mm) 理想文字サイズ(mm) 部屋全体の明るさ 机上の明るさ 窓の映り込み 照明器具の映り込み 自分自身の映り込み 机上の作業空間 映り込みを避ける照明環境設定 画面の大きさ 画面の画素数 画面の精細度 画面の明るさ 表示文字のコントラスト 表示文字の鮮明さ 文字の輪郭(ジャギー) 文字線の太さ 普段の調節頻度 明るさの調節範囲(上)の充足度 明るさの調節範囲(下)の充足度 コントラストの調節範囲(上)の充足度 コントラストの調節範囲(下)の充足度 明るさ・コントラストの調節しやすさ 調節しやすい場合に調節するか 強調した説明変数はステップワイズ分析で選択された変数 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 重回帰の結果 ステップワイズの重回帰分析で9個の変数が選択された 標準偏回帰係数の絶対値の大きい順に表示 要因 標準偏回帰係数 ディスプレイ作業時間 0.192 表示文字のコントラスト(主観評価) -0.139 コントラストの調節範囲(下)の充足度(主観評価) -0.133 調節しやすい場合に調節するか(主観評価) 0.132 矯正視力(自己申告) -0.124 表示文字の鮮明さ(主観評価) -0.123 使用文字サイズ(mm) 0.115 窓の映り込み(主観評価) -0.109 照明器具の映り込み(主観評価) -0.087 寄与率 自由度調整済み寄与率 推定値の標準誤差 =.166 =.137 =.710 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 重回帰分析の有意性 回帰式の有意性を評価するための分散分析の結果 モデル 平方和 自由度 平均平方 F値 回帰 26.04 9 2.893 5.743 残差 130.487 259 0.504 全体 156.528 268 p p<0.001 *** 寄与率 =.166 自由度調整済み寄与率 =.137 推定値の標準誤差 =.710 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) ★明るさ・ るさ・コントラストと コントラストと終業 時の目の疲労感 明るさ・コントラストと終業時の目 の疲労感 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 明るさコントラストと目の疲れ 明るさ・コントラストと視覚疲労 翌日以降ま 4 で疲れが残 る 2007コントラストと視覚疲労 2007画面の明るさと視覚疲労 Kruskal Wallis検定 χ2=9.63, df=2, p<0.01 帰宅後ま で疲れが3 残る 翌日以降ま 4 で疲れが残 る Kruskal Wallis検定 χ2=18.41, df=2, p<0.001 帰宅後ま で疲れが3 残る 多少疲れた 感じはする がすぐに回2 復する 多少疲れた 感じはする がすぐに回2 復する ほとんど疲 れを感じな 1 い ほとんど疲 れを感じな 1 い 暗すぎる (N=57) ちょうどよい (N=322) 明るすぎる (N=56) 低すぎる (N=75) ちょうど良い (N=338) 高すぎる (N=22) 使用しているディスプレイの明るさおよびコントラストの主観評価結果と終業時の目 の疲労感を示す.いずれも,調節の重要性を示している.個々のユーザーと環境, タスクに適合した表示を実現する技術の重要性を示している. 能動的に光を発する電子ディスプレイと印刷紙面との究極の違いに起因する問題. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 輝度が最適化されていない場合の 視覚への影響 2007画面の明るさと自覚症状 暗すぎる ちょうどよい 明るすぎる 非常に 3 (N=57) (N=322) (N=56) ある Kruskal Wallis検定 p<0.01 p<0.01 p<0.05 ある2 やや 1 ある 頭 が 痛 い重 苦 し い ま ぶ しく 見え る す ぐ に は っき り と 見 え な い まば た き が多 い 目 が充 血 す る 目 が乾 く 涙 が出る 目 が し ょぼ し ょぼ す る 目 が痛 い ない0 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) コントラストが最適化されていない場合の 視覚への影響 非常に 2007コントラストと自覚症状 3 Kruskal Wallis検定 ある p<0.01 低すぎる (N=75) p<0.001 ちょうど良い (N=338) p<0.01 高すぎる (N=22) p<0.01 p<0.01 ある2 やや 1 ある 頭 が 痛 い重 苦 し い まぶ しく 見え る す ぐ に は っき り と 見 え な い まば た き が多 い 目 が充血す る 目 が乾く 涙が出る 目 が し ょぼ し ょぼ す る 目 が痛 い ない 0 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) ★照明器具の 照明器具の映り込みと視覚疲労 みと視覚疲労 映り込みと視覚疲労 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 映り込みが見えた割合 年次変化 照明器具 窓 30 25 20 15 10 5 40 照明の映り込みが見えた割合(%) 映り込みが見えた 割合(%) 35 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 年度 LCDモニター LCDノート 35 30 25 20 15 10 5 0 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 年度 反射の 反射の問題が 問題が再燃しないか 再燃しないか? しないか? 昨年2006年の調査では、ノートPCにおけるクリアパネルの増加が照明器具の映り込み を増加させているとしたが、今年はクリアパネルのノートPCの利用者は昨年より少な かった(11.9%→4.4%).一方、モニターLCDに昨年よりクリアパネルの利用者が増加 した(3.7%→6.8%).それらの結果が、映り込みが見えた人の割合に反映されている. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 照明器具の映り込みと終業時の目の疲労感 照明器具の 照明器具 の 映 りこみによる目 りこみによる 目 の 疲労感 4 翌日以降まで疲れが 残る Mann-WhitneyのU検定 p<0.1 帰宅後まで疲れが3 残る 2003年度の調 査では有意差が 認められている 多少疲れた感じはする がすぐに回復する 2 ほとんど疲れを感じな い 1 見えた(N=120) 見えない(N=316) 照明器具の映り込みが見えるとした回答者群(N=120)は見えないとした回答 者群(N=316)より終業時の目の疲労感は高いが有意とは必ずしもいえない. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 照明器具の映り込みと目の自覚症状 非常に ある 照明器具の 照明器具 の 映 りこみによる目 りこみによる 目 の 自覚症状 見えた(N=120) p=0.052 見えない(N=316) Mann-WhitneyのU検定 ある p<0.01 p<0.05 p<0.05 やや ある 頭 が 痛 い重 苦 し い ま ぶ しく見 える す ぐ に は っき り と 見 え な い ま ば た き が多 い 目 が充 血 す る 目 が乾 く 涙 が出 る 目 が し ょぼ し ょぼ す る 目 が痛 い ない 照明器具の映り込みが見えたとする人にまぶしさ感が高い。原因と結果の関係の解 釈が難しい。ただし,いまだに反射グレアの問題がディスプレイ作業で指摘できる. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) ★画像の 画像の輝度, 輝度,コントラスト, コントラスト,黒レベルの レベルの評価 画像の輝度、コントラスト、 黒レベルの評価 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 画像の輝度特性と求められる表示特性 本実験では画像の輝度特性を画像の平均輝度レベル (Average Luminance Level)で表現した.ここでALLは,最高輝 度の全白画面を100とする相対値で、次式によって求められる. H W 1 Y (i, j ) ALL = ∑ ∑ H × W i =1 j =1 255 2.2 × 100 ただし,HとWは画像の縦と横の画素数を表し,Y(i,j)は座標 (i,j)における画素の輝度信号レベル(0~255)を表す.なお,一 般的に用いられるAPL(Average Picture Level)はガンマ変換を 行う前の信号レベルを示す場合が多く,本研究ではディスプレ イの輝度の視覚的な検討を行うためにあえてALLを適用した. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) (修正1月31日)ALLと輝度 評価 輝度の 輝度 の 評価 高い ノート(N=189) モニタ(N=244) 誤差線は95%の信頼区間を表す やや高い 評価 8 ↓ 9 ↓ ちょうど良い 3→ ↑ 4 5→ ↑ 7 1→ やや低い ↑ 6 2→ 低い 1 10 画像の 画像 の ALL 100 輝度の評価 下記の9種類の静止画を表示 した場合の画面輝度に対す る要求の違いを示している。 背景は128階調のグレーで あった。映像信号レベルと内 容によって輝度制御が有効 であるといえよう。画像9の文 字画像ではモニターLCDで平 均評定でちょうど良いをすで に超えている。映像を表示す るために高輝度化がさらに進 行するといえよう. ALL:画像自体の平均輝度レベル 画像1 画像1 ALL=4. ALL=4.3 4.35 画像2 画像2 ALL=7.37 画像3 画像3 ALL=11.53 ALL=11.53 画像4 画像4 ALL=12.19 ALL=12.19 画像6 画像6 ALL=25.64 画像7 画像7 ALL=35.86 画像8 画像8 ALL=43.26 画像9 画像9 ALL=92.46 画像5 画像5 ALL=21.72 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) (修正1月31日)ALLとコントラスト評価 コントラストの コントラスト の 評価 高い ノート(N=189) モニタ(N=244) 誤差線は95%の信頼区間を表す 評価 やや高い 5 ↓ ちょうど良い 下記の9種類の静止画を表示 した場合のコントラストの評価 である。コントラストの評価は 輝度の評価とほぼパラレルで あった。コントラストの意味合 いが回答者に正確に理解さ れているかも確認する必要が ある。 9→ 8 ↓ 3→ ↑ 4 ↑ 7 1→ やや低い ↑ 6 ↑ 2 低い 1 10 コントラストの評価 100 画像の 画像 の ALL ALL:画像自体の平均輝度レベル 画像1 画像1 ALL=4. ALL=4.3 4.35 画像2 画像2 ALL=7.37 画像3 画像3 ALL=11.53 ALL=11.53 画像4 画像4 ALL=12.19 ALL=12.19 画像6 画像6 ALL=25.64 画像7 画像7 ALL=35.86 画像8 画像8 ALL=43.26 画像9 画像9 ALL=92.46 画像5 画像5 ALL=21.72 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) (修正1月31日)ALLと黒レベル評価 黒 レベル 黒浮きが全く分からない ↑ 4 1→ 評価 よく見ると黒浮きしているが 気にならない ノート(N=189) モニタ(N=244) 3 ↓ 黒レベルの評価 ↑ 5 ↑ 9 6 ↓ 下記の9種類の静止画を表 示した場合の黒レベルの評 価である。黒レベルの評価 は良くわからないとする回答 者も比較的多かったが、画 像との関連が明確である。 ↑ ↑ 7 8 ↑ 2 やや黒浮きが見えて 気になり始めるレベル 誤差線は95%の信頼区間を表す 黒浮きが見えて気になる 1 10 100 画像の 画像 の ALL ALL:画像自体の平均輝度レベル 画像1 画像1 ALL=4. ALL=4.3 4.35 画像2 画像2 ALL=7.37 画像3 画像3 ALL=11.53 ALL=11.53 画像4 画像4 ALL=12.19 ALL=12.19 画像6 画像6 ALL=25.64 画像7 画像7 ALL=35.86 画像8 画像8 ALL=43.26 画像9 画像9 ALL=92.46 画像5 画像5 ALL=21.72 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) ★むすび Web調査の結論 1. 照明環境と利用者の視覚特性に合わせたコントラストと 輝度の最適制御およびユーザーから見た調節の自由度 の確保が視覚疲労の低減に必要である 2. 照明器具や窓の映り込みが全く感知されない表面処理 の開発が視覚疲労の低減に必要である 3. 画像内容による輝度,コントラストの最適制御が省エネ という視点からも今後重要になる 上記はすべて印刷紙面では生じ得ない問題であり,印刷紙 面と電子ディスプレイの根源的な違いに起因する.残念 ながら30年前の指摘となんら変化していない.真のペー パーディスプレイの要求はここにあるといえよう. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 3.有機ELディスプレイ の画質評価 窪田:映像情報メディア学会誌,62巻,1号,pp.122-125,2008より AMAM-OLED 3.5 inch 320× 320×240 画素 PM-OLED 1 inch 96× 96×96 画素 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) はじめに LCDを比較対象として,OLEDの表示特性の測定と, 画質の主観評価実験をおこなった.それらの結果から, LCDと対比したOLEDの画質上の特徴を明確にした. 評価対象 LCDは2006年夏時点の市販品 画素 ピッチ (mm) 機種 主用途 画角 (inch) LCD-1 メディアプレーヤー 3.5 320×240 0.222 262,144 LCD-2 メディアプレーヤー 3.7 640×480 0.117 262,144 LCD-3 PDA 3.7 640×480 0.117 65,536 LCD-4 ゲーム機 4.3 480×272 0.198 1677万 AM-OLED 3.5 320×240 0.220 262,144 PM-OLED 1.0 画素数 96×96 0.180 色数 262,144 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) OLEDディスプレイとLCDの表示特性の測定 ISO13406-2に準拠した方法で測定 拡散反射率の測定配置 FOV 1°の 輝度計PR880 30度 30度-30度入射 30度入射 法線方向反射輝度 15°φ のD65拡散光源 15°φの D65拡散光源 鏡面反射率の測定配置 FOV 0.25°の 輝度計PR880 1°φの光源 15°入射 DUT 輝度計のファインダー から見た反射像 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) OLEDディスプレイとLCDの輝度特性と反射特性 拡散反射 1度の光源に 暗室での色 率 対する鏡面 域NTSC比(%) 白輝度(cd/㎡) 黒輝度(cd/㎡) コントラスト比 (%) 性反射率(%) 主観評価実験の輝度設定(暗室測定) 機種 LCD-1 132 0.19 695 0.98 10.84 57 LCD-2 127 0.73 174 6.43 4.57 25 LCD-3 165 0.81 204 0.83 0.76 42 LCD-4 123 0.17 724 0.15 13.48 49 AM-OLED 63(APL:100%) 240(APL:1%) 0 - 0.35 4.66 61 PM-OLED 93(APL:100%) 0 - 0.43 4.79 46 主観評価実験に用いるため白輝度は120-160cd/㎡の設定 に揃えて測定した.OLEDは調節不可であった. JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 表示輝度のAPL依存 ピーク白輝度(cd/㎡) 1000 一般的な輝度 制御無のLCD 100 AMOLED PDP CRT-HDTV CRT(TEXT) CRT(MOVIE) LCD1 LCD2 LCD3(輝度制御OFF) AMOLED PDPとCRTはこれ までの測定データ から典型的なもの を例として表示 10 0 20 40 60 80 APL(全白を100とする相対値) 100 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) LCD-1 LCD-3 AM-OLED 10000 黒レベル(cd/㎡) 1000 LCD-2 LCD-4 PM-OLED 100 10 1 0.1 OLED 0.01 0.001 1 10 100 1000 画面照度(lx) 10000 100000 画面照度と黒レベル JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 1000000 OLED 100000 コントラスト比 LCD-1 LCD-2 LCD-3 LCD-4 10000 AM-OLED PM-OLED 1000 100 10 1 1 10 100 1000 画面照度(lx) 10000 100000 画面照度とコントラスト JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 映り込む大面積の対象物(窓,壁,天空など)の輝度 (cd/㎡) LCD-1 LCD-3 AMOLED LCD-2 LCD-4 PMOLED 10000 屋外照度,天空 の映り込みを想定 した環境の範囲 屋内照度,照明 器具と窓の映り込 みを想定した環境 の範囲 AMOLED 1000 PMOLED 100 100 1000 10000 画面照度(lx) 100000 実環境におけるコントラスト比3以上の範囲 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 画面照度と黒レベル 一般的な測定値からのシミュレーション 100 CRT ρ=3% CRT ρ=5% CRT ρ=7% LCD CR=1000 LCD CR=2000 LCD CR=3000 LCD CR=10000 OLED ρ=0.3% OLED ρ=0.5% 黒レベル(cd/㎡) 10 1 0.1 暗室におけるピーク白はすべて 500 cd/㎡ LCDのρは0.5% PDPとOLEDの暗室黒レベルは0 0.01 0.001 1 10 100 画面照度(lx) 1000 10000 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 画面照度とコントラスト比 一般的な測定値からのシミュレーション 暗室におけるピーク白はすべて 500 cd/㎡ LCDのρは0.5% PDPとOLEDの暗室黒レベルは0 1000000 10000 1000 100 10 1 10 100 画面照度(lx) 1000 10000 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 各機種の色域 1976UCS 暗室条件において分光放射計PR701Sで測定 0.6 1976UCS色度図 NTSC 0.5 AMOLED 2006春以前の試作品 0.4 LCD-1 LCD-2 LCD-3 LCD-4 AMOLED PMOLED BT.709 XEL-1 NTSC v' コントラスト比 100000 CRT ρ=3% CRT ρ=5% CRT ρ=7% LCD CR=1000 LCD CR=2000 LCD CR=3000 LCD CR=10000 OLED ρ=0.3% OLED ρ=0.5% 0.3 0.2 XEL-1 2007.12製品 BT709 2006夏の製品, モバイルのプ レーヤーなど 0.1 0 0.1 0.2 0.3 u' 0.4 0.5 0.6 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 100 LCD-1 LCD-3 AM-OLED 90 色域(NTSC比%) 80 LCD-2 LCD-4 PM-OLED 70 60 50 40 30 20 10 0 1 10 100 1000 画面照度(lx) 10000 100000 画面照度と色域 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 画質の主観評価実験 評価画像 3種類のjpg画像 ISOーsRGB ISOーsRGB JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 画質の一対比較 評価項目 色再現性 明るさ 黒の黒さ 精細度 視野角 総合評価 実験風景 シェッフェの一対比較実験 良い方の機種 2 水平面照度 5 lx 500 lx 3種類の画像で5 機種の全対(10 通りの評価) 悪い方の機種 差が非常に 差がはっき よく見れば 大きい りわかる 差がわかる 3 被験者 学生20名 1 同じ よく見れば 差がはっき 差が非常に 差がわかる りわかる 大きい 0 -1 -2 -3 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 結果 女性とグラス 水平面照度500 lx LCD-1 LCD-2 LCD-3 LCD-4 AM-OLED 明室条件 500 lx 女性とグラス 総合画質 色再現 3 2 1 0 -1 -2 -3 視野角 明るさ 黒の黒さ ISOーsRGB 精細度 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 結果 花火 水平面照度 5 lx LCD-1 LCD-2 LCD-3 LCD-4 AM-OLED 暗室条件 5 lx 花火 色再現 3 2 1 0 -1 -2 -3 総合画質 明るさ 視野角 黒の黒さ 精細度 JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 結果 花火 の映像における黒の評価 花火の画像における黒の黒さの評価 黒輝度と黒の黒さの評価 2 AM-OLED LCD-1 1 LCD-4 0 照度条件 5 lx LCD-3 500 lx -1 LCD-2 -2 0.001 0.01 0.1 1 10 各条件における各機種の黒レベル(cd/㎡) 各条件における各機種の黒レベル(cd/㎡) JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7) 有機ELの画質評価のまとめ 1. OLEDは拡散反射率がLCDと同レベル以下であり,かつ,自 発光型なので暗室でも明室でも黒レベルが低い 2. 主観評価でも黒レベルに関するOLEDの評価は高い 視野角と合わせて,LCDとの顕著な差異要因となる 3. 暗室におけるOLEDの黒レベルの低さは,花火の映像の評価 において顕在化する.ピーク白のAPL依存も寄与している可 能性がある 4. 色再現(特に青領域),輝度,精細度の改善が進めばLCDと は異なる自発光型ディスプレイの特長を備えたディスプレイと なり得る JEITA FPDの人間工学シンポジウム2008 (2008.3.7)