...

原 著 DLT法を用ぃた3次元解析による卓球のフォアハンド打法の研究

by user

on
Category: Documents
0

views

Report

Comments

Transcript

原 著 DLT法を用ぃた3次元解析による卓球のフォアハンド打法の研究
原 著
D LT法を用いた3次元解析による卓球のフォアィ\ンド打法の研究
葛西順一‡森
武串 吉村 正榊 太田 章*
Stlldies of ForehaIld Strokes in Table TenIlis
by3DimensioIlal Analysis UsiIlg the DLT Method
虫 ‡ *由 #
Junichi Kasai ,Takeshi Mori ,Tadashi Yoshimura &Akira Ohta
Abstract
In order to investigate ways to improve the basic techniques of begimers,the motions
of forehand strokes in Table Tennis are ana1ysed by3dimensionaI analysis using the DLT
method.
6male subjects participated in this study.3subjects were trained and3were un・
trained.Subjects hit the bans towards a hitting point on the opposite side of the court.
The hitting motions were recorded by2synchronized video cameras.Stick pictures from
views of the X axis,the Y axis,Z axis and other axers were derived by a3dimensiona1
method.The resu1ts obtained are as fo1lows;
Trained p1ayers tend to move their wrist more efficient1y,with pinching knee and
elbow,shoulder and twist movements being quick and kee^during the forehand smash
stroke than that of untrained p1ayers.
It is suggested that one way to improve the basic techniques of begimers is to move
each parts of the body of forehand strokes graceful1y.
のラケットとボールの接触直後に決まる.卓球の
目 的
ボールはセルロイド製で質量が小さく,ラバーの
卓球は,縦274.5cm,横152.5cmの卓球台をは
摩擦によりスピードとスピンを生じる.元世界チ
さんで,2人および4人のプレーヤーが重さ約2.5
ャンピオンを含む日本および中国一流トッププレ
gのボールを打ち合う競技である.卓球競技には
ーヤーのスマッシュボールのスピードの初速は
様々な打法が存在するが,プレーヤーの戦型によ
126km/時2〕,トップスピン性ボールの回転数は,
ってその採用する戦術と主に用いる打法は異なる.
毎分7,500−9,OOO回転洲に達する.すなわち,卓
各プレーヤーの競技レベルが高まれば高まるほど,
球競技の特性はきわめて短い時間の中で,スピー
主に用いる各種打法の打球のコース,長短,スピ
ドおよびスピン等の情報を得た後,身体各部位の
ード,スピン,タイミング等のコントロールが要
運動方向を短時間に微調整し打球することにある.
求される.打球されるボールの運動方向は,相手
著者らは,卓球競技のフォアハンドストローク
#スポーツ科学科
‡D物〃舳〃ぴ助0ガ∫肋舳∫
榊人間健康科学科
‡‡1)功oガ吻伽左ぴH〃刎伽肋α肋∫c5ε肌2∫
一119一
D LT法を用いた3次元解析による卓球のフォアハンド打法の研究
の各種打法の球速と正確性あるいはそれらと身体
各部位との関連について種々の検討を行い’〕,2
次元解析の結果,熟練者の打球動作はインパクト
直前に肩と腰を小さく鋭く捻り,手首とラケット
X
を体幹の後方に残した,すなわち「力のため」を
生じるスイングをしているものと推察している.
さて,これらの検討を行う実験方法として,ボレ
ックス社製16mmハイスピードカメラを使用し,
フイルムのコマ送り速度を毎秒50コマとして被験
者の動きを分析している.この場合,被験者の身
体各部位の動きを,NAC社製のスポーテイアス・
Fig.1
A3dimensional ana1ysis using the DLT
モデル2000Eにより2次元的に解析している.し
かしながら,あらゆる物体の運動は3次元的であ
method
り,卓球競技の動作解析には3次元解析の方がよ
1
り正確な情報が得られる,という点で有効であろ
うと考えられた.
そこで,今回私達は熟練者および非熟練者のフ
2
ォアハンド打法について,ビデオカメラによる3
口
次元動作解析を行’い,その運動パターンを比較分
析し,初心者指導のための基礎資料とするべく検
討を行ったので,ここに報告する.
4
実験方法
今回の実験には,熟練者3名と非熟練者3名が
参加した.熟練者は卓球競技の専門的トレーニン
グを10年以上継続している者,.一方,非熟練者は
日常生活においてほとんど運動はせず,卓球の練
習経験のない者,いわゆる初心者であった.
Fig.2 Bar for recording of control point
最初に,図1のようにビデオカメラ2台を実験
室に配置し,コントロールポイントの撮影および
(O,22,O)
(O,17,O)
(O,12,O)
(O,07,O)
(O,02,O)
記録を行い,運動する空問の実空間座標を撮影し
た.このコントロールポイントのバーの構造を図
2に示す.このバーを,運動する空問全体を網羅
するように移動させ,2台のカメラで移動する毎
1刎 1閉
に撮影した.この際,このバーが水平になるよう
1吻
に地面とバーのなす角度が水平バランスによって
14
6 10
3 7 15
調整された.図3に示すように,2台のカメラで
16回の撮影記録がなされた.この16回の撮影によ
1 5 9 13
1閉
4 8 12 16
Z
って実際には図4のように直方体を撮影すること
になる.表1は,コントロールポイントを撮影し
た際の各ポイントのX軸,Y軸,Z軸の3次元座
Fig.3 Recording system of contro1point for
calibration
標を作成した.
一120一
早稲田大学人間科学研究 第7巻第1号 1994年
Table.13dimensiona王values of control point
1
2
3
4
5
6
7
8
9
X
1
Y
Z
X
2
Y
Z
X
3
Y
X
4
Y
Z
X
5
Y
O.O
O.2
O.O
O.O
O.7
O.O
O.O
1.2
Z
O.O
O.O
1,7
O.O
0.O
2,2
O.O
O,O
O.2
1.O
O.O
O.7
1.O
0.O
O.O
O.2
2.O
O.O
O.7
2.O
O.O
1.2
1.0
O.O
1,7
1.O
O.O
2.2
1.O
1.2
2.O
O.O
1.7
2IO
O.O
2.2
2.O
1.O
O.2
3.O
1,O
O.7
3.O
1.O
1,2
3.O
1.O
1.7
3.O
1.O
2.2
3.O
・Z
1.O
O.2
O.O
1.O
O,7
O.O
1.O
1,2
O.O
1.O
1.7
O.O
1.O
2.2
O.O
1.O
O.2
1.O
1.O
O.7
1.O
1.O
1.2
1.O
1.O
1.7
1.O
1.O
2,2
1.O
1.O
O.2
2.O
1.O
O.7
2,O
1.O
1.2
2,O
1.O
1.7
2.O
1.O
2.2
2.O
1.O
O.2
3.O
1.O
O.7
3.O
1.O
1.2
3.O
1.O
1.7
3.O
1.O
2.2
3.O
2.O
O.2
O.O
2.O
O.7
O.O
2.O
1.2
O.O
2.O
1.7
O.O
2.O
2.2
O.O
1O
2.O
O,2
1.O
2.O
O.7
1.O
2.O
1.2
1.O
2,O
1.7
1.O
2.O
2.2
1.O
11
2.O
O.2
2.O
2.O
O.7
2.O
2.O
1.2
2.O
2.O
1.7
2.O
2.O
2.2
2.O
12
2.O
O.2
3.O
2.O
O.7
3.O
2.O
1.2
3.O
2.O
1.7
3.O
2.O
2.2
3.O
13
3.O
O.2
O.O
3.O
O.7
O.O
3.O
1.2
O.O
3.O
1.7
O.O
3.O
2.2
O.O
14
3.O
O.2
1.O
3,O
O.7
1.O
3.O
1,2
1.O
3.O
1,7
1,O
3.O
2.2
1.O
15
3.O
O.2
2.O
3.O
O.7
2.O
3.O
1,2
2.O
3.O
1,7
2.O
3.O
2.2
2,O
3.O
3.O
O.7
3.O
3,O
1,2
3.O
3.O
1,7
3.O
3.O
2.2
3,O
16
3,O
O.2
次に,2台のカメラで撮影したコントロールポ
被験者は,このボールを相手コートに設定され
イントのデジタイジング,そしてコントロールポ
た打球目標地点にむけて1O回ずつ打球したが,そ
イシトの実空閻座標の入力を行った.これらから
の際,フォアハンドロング打法の場合はコントロ
得られるコントロールポイントの3次元座標と,
会台のカメラから得られた2次元座標とカメラ定
合はコントロールとスピードの両面を高めるよう
数を用いて得られる3次元座標が,コンビュータ
に指示された.全ての被験者の打球動作が,2台
ールの高さを,フォアハンドスマッシュ打法の場
ーによって比較された.表2に示すように,統計
のビデオカメラによって同時記録された.
的な誤差の検討結果がプリンターに出力された.
これらの打球動作を解析する場合,VTR画面
実際の打球条件は,フォアハンドによるロング
上の被験者のラケットとボールのインパクト時点
打法とスマッシュ打法の2条件とした.ボールの
を中心として,前後18フレームを対象として,1
スピン,スピード,タイミングを一定の同一条件
フレーム毎に身体各部位(23ポイント)およびボ
で送り出すための方法として,今回はロボットマ
シンを使用しなかった1正確性が高いとされるロ
ール(1ポイント)の合計24ポイントの2次元座
標をデジタイジングして,各フレーム毎の2次元
ボットマシンを予備実験で使用したが,ボールを
座標の値をフロッピーデイスクに保存した.
送り出すタイミングで誤差が生じたためである.
3次元座標は2つのカメラから得られる2次元
日頃,ボールを連続的にボールを送り出す多球練
座標から演算処理する必要があるため,同一試技
習を行っている熟練コーチが,ボールを送りだし
を撮影した2つのVTRの身体各部位のデジタイ
た.ボールは軽いトップスピン,同じタイミング
ジングの順番,フレーム数,ポイント数等を統一
(1分聞に30回)と同じスピ丁ド(約秒速6m)
で,直接被験者のコートに打ち出された.
した.
なお,身体各部位のデジタイジングするポイン
一121一
D L T法を用いた3次元解析による卓球のフォアハンド打法の研究
Tab1e.2
Calibration dates of3dimensional analysis
Point 【noHn Loc舳ion 〔o”u!od L068tlon
o一,olulo orror
罧 Ψ z H v ∼
k Ψ z
l O.O00 0.200 0,000 −O.088 日.218 0.016
2 0.‘,00 0,700 日.00藺 O.01; 日.695 0−822
3 0,800 一.208 0,000 田.019 1.一8− O.038
’ 0.080 1,700 日.800 0、田30 1.713 0.03S
5 8.080 2.20日 0.000 0.053 2.207 0.0’』
6 0.OO回 0,208 一.OO日 一〇.020 0.199 1,O00
τ 田.0日O O.700 一.日日田 一〇.01宮 O.702 0,992
窩 O.080 1.28日 1.O日O −O.023 1.2日1 8.995
9 0.080 1.70日 1.O00 −0.017 1.718 0・986
1日 0.000 2.20日 1.0田O −0.827 2,214 日.989
11 日.田O田 日.2田田 2.OOO 一田.日23 日.202 笥。999
12 0.日88 0.700 2.0日O −O.82日 O.63…■ 2,O日9
13 0.8日0 1.28日 2.80値 一〇。019 1.1〒』 1.993
1』 8.回00 一.78日 2.80回 一〇.藺17 1.〒21 1.987
15 0.00日 2.280 2.藺0画 O.藺日一 2.200 1.993
16 0.OOO O.200 3.OO藺 一〇.O日τ 0.219 2.98』
17 8.日田8 0.7日o’ 3.日00 一画.011 0.69…≡ 2.971
1筍 8.日O0 1.200 3.日OO 一日.0日9 1.10』 2.981
19 8.藺日日 1.708 3.日00 田.日07 一.τ8ε 2−979
20 8.O回0 2.2日0 3.000 0.021 2.176 2.972
21 1.O日0 0.2日0 8.000 0.992 0,211 −0.027
22 1.8日0 8.700 0.oO田 O.983 0,696 −0.021
23 1.田O0 1.208 0.800 0.992 1,165 一日.026
2’ 1.O田O l.70藺 日.OO0 1.000 1,706 −8.02ε
25 1.O00 2.208 0.000 1.日17 2.1ε’ ’8.O−9
2店 1.OOO O.20日 1.藺面O O.977 日。一93 1.00回
27 1.田OO O,70日 1.OO日 0,992 日。692 1.O02
2ε 1.O00 1.200 1.藺OO O.995 1,169 日一993
29 1.宙90 1.708 1.8日0 1,010 ,.711 日一997
茗0 1.O00 2.20日 1.OO藺 1.02^ 2.22茗 1■080
田、083−1 0.01百0 画.0156
0.01’9 0.08’一 画.8217
8.0186 0.o−92 0.03τ6
‘,、0303 0,813’ 画、8353
0.0532 8.日873 画.8’37
0.0,96 8.藺01’ 日.日005
0.O−3一 日.日02’ O.O09S
0.8231 8.O011 画.8日53
8,016ε O.810一 日、01宣〒
O.0263 0.0139 0.01’2
0.0233 0、日022 0.O日06
0.日203 0.0186 8.0891
0.0191 0,825τ O.O日23
0.0173 0,821’ 日.8,32
8.0006 0.O‘,02 0.0172
0.0867 0.8190 0.8160
‘O.0108 0.日87〒 画■0290
0.0082 8.日162 日.日19−
0.0藺66 0.00τ9 0.0213
0,021’ 日.日2’8 0.8277
0.00T8 日.O−09 0,027−
8.0166 0.OO』1 藺.0206
0.0083 日.03’7 0.日263
日.000一 日.O藺6日 O.画279
日.0173 固.日157 8.8193
日.0235 0,O日一’ O,O001
0.00a5 0.80ε含 O.日藺21
田.0853 回.030S O.O07画
O.O096 日.0113 0.8日29
0,024』 田.9226 0.日O04
31 1.日08 0.20藺 2一藺OO O.9ε9 日.20’ 2,01‘
32 1.日88 0−700 2.田OO O.9芭9 0.696 2.82’
宣3 1.000 1.288 2.OO日 画.9百7 1.167 2.812
3』 1.藺O日 一、τO0 2.60回 O.98一 一.τ1宮 2.02^
0.0112 8.OO’3 日.013自
O.0112 0,08』一1 0.02一’
o,8129 8.0329 0,812’
35 1.日0日 2.2日0 2.0藺日 O.999 2.212 2.‘,2’
36 1.000 8.2日0 3.000 1.806 0.21’ 3.822
o.OO07 0.O−18 0,02’2
0.8059 0.0137 0一日220
3τ 1.080 0.7画0 3.00藺 1.日16 0.τ01 31028
38 1.日日0 1.2日O 宮.田O画 1.田15 1.一マ5 3.029
0.画156 0.0811 0,820一
円、0151 0、日2’τ 日一02亀5
39 1.藺日8 1.7日0 3.080 1一日09 1.788 3,017
0.0036 0.0076 日.0166
’日 1.O藺8 2.200 3.OO0 1.O02 2.21豊 3,003
’1 2.日日8 日.2日O 日.8自0 2.日11・ 8,220 −0−032
0.回021 0.O129 日.8026
^2 2.藺日田 日.7日田 団.田田田 2.日田、 固 1団5 ’o.025
日.OO、’ 日.咀日50 0.田2’1
’3 2.000 1.2目0 0.00‘ヨ 2.O06 1 182 ’0,030
’’ 2.藺日田 1,700 日.O00 1.997 1 τ06 ’0−823
0,O062 0.0176 0.8297
’5 2.O藺0 2.200 0.000 2.801 2 213 ’0,027
’6 2 藺回藺 画.20田 1.000 2 01』 0 196 0−99’
’7 2 藺OO 藺.700 1.0日日 823 藺 697 0,994
’ε 2 日88 I.208 1−8日O 033 1 177 8,996
』9 2 00日 1.700 1.日O日 田21 1 707 0.993
O.田128 0.0126 0.02^^
0,011’ 0.O196 0.日322
0.回033 0,0田62 藺.0230
0,O015 0,013− O.宙2τ1
0.0137 0,00’一 田.藺862
51 2 0日8 0.28回 2.藺O画 日26 0 20’ 2.021
52 2 0日8 0.700 2.藺8日 日23 0 71』 2■031
0.0233 0.0031 ‘,.0059
0.0330 0.0229 0.OO』3
0.0218 0.日071 0.8019
0.0092 田.田120 0一日OO』
o.0263 0.画O’’ 8,020τ
田.0233 田一日一’3 0.0313
53 2 008 1.200 2.O藺0 日19 1 167 2.818
日.O1’畠a 日,0332 0.O一畠ヨ
5日 2 000 2.200 1.日日0 8藺9 2 212 1・000
5’ 2 0藺8 1.7日0 2.O田画 日16 1 718 2.030
55 2日O藺 2.2日田 2.日00 日11 2212 2.017
O.0156 日.日179 0.0297
日.81I1 8,011〒 0,017田
56 2 日00 0.2日0 3.日O0 997 0 211 2,99一
O.OO宕2 日.011』 0.8091
;7 200日 O.7鉋0 3,O田日 O07 0694 3.O藺一
0,087, O.O06日 O.O06直
5君 2 日8日 1.2日0 3.日80 99ε 一 191 2.9宮5
;9 2 日日日 1.7日0 3.O00 995 1 70』 3.00』
68 2 008 2.208 3,8日日 00日 2 2日2 3・081
6− 3 000 0,200 田.o田田 99’ 0 21− o。日o^
62 3 0藺8 0,708 日.0日藺 995 日 699 ’0_001
63 3 日O0 1,200 日.0日0 966 1 一曾日 0.0日9
ε’ 3 日08 1.700 0.O回8 967 1 71’ 0.00’
O.O016 日.田03〒 0.0051
0.日052 0,003冒 O.00’2
0,000’ O.0023 8.O日18
0.日056 日.O一日6 0.O宙』、
0_00’3 0.0006 8.0086
0、日3一’ 日、O197 0.0087
0、日335 日.O−37 0.O藺39
65 茗.oo0 2.20田 o.日田0 955 2 160 日一016
0_日^5^ 日_o^田田 日.日、59
66 3日O日 藺.20日 1.090 021 0212 1・00−
0,021画 O.0122 0.‘,8日7
6? 3 日O回 0.7藺鉋 1.o日0 藺15 0 −12 1・日15
8.回一55 0.0121 8,015』
68 3 日0日 一.20日 1.回OO 田11 1 173 1−02ε
0.8106 田.0269 8.0281
日.日日32 日.O−71 0.03日3
0.0066 日.0221 0.8203
69 3.O晒O 一.7宙日 一.田日日 991 1,11− 1.日30
7日 3 008 2.208 1.0日0 993 2 222 1・020
71 3 0日8 8.20日 2.800 013 日 215 2,802
〒2 3 000 0.780 2.o00 02‘, 0 713 1,993
↑3 3 0回0 1.20回 2.800 020 1 179 1.995
7’ 3 田Oa 1.78日 2.回O日 0日6 1 713 1.99’
75 3 田O0 2.280 2.田98 999 2 209 1・9a3
76 3 000 0−2日0 3.OO0 992 0 21− 2■980
77 3 田O0 0.700 3.080 985 8 702 2・903
78 宣 日O日 1.200 3.‘,O回 979 1 172 2.990
79 3 000 1.700 3.o08 979 1 706 2.997
80 3 08日 2,2日0 3.OO0 969 2 190 2−979
{unit:■一
Stondard
Stand目rd
S−8nd目rd
or
o‘
of
”
v
Z
三 〇.日389
, 日.日222
, o.8187
122
8.01?5 8.01’5 ‘,.8018
‘,.0195 0.0127 0.8025
0.0220 0.02‘,9 6.‘,852
8,006− O.0126 0.日057
0.0813 0.O036 0.0168
8.08f8 8.0112 8.0199
8 01’7 日.0‘,22 0.0170
0 0206 8.0281 0,018−
8 日209 0.O065 0,012a
0 田31’ O.日108 8.02−6
早稲田大学人間科学研究
トと順番を図4に示した.3次元解析プログラム
により身体各部位の軌跡を求め,その結果得られ
第7巻第1号1994年
結 果
たX軸,Y軸,Z軸,そして指定した視点の方向
3次元解析プログラムにより解析した,熟練者
から見たステイックピクチャーから,熟練者と非
および非熟練者のフォアハンドによるロング打法
熟練者との差異を比較検討した.
とスマッシュ打法のX軸,Y軸,Z軸,そして指
定した視点の方向から見たステイックピクチャー
を図6∼図9に示した.
図6∼図9の図中,上から順にX軸(正面),Y
3.Om
軸(上面),Z軸(側面),および任意の指定した
(斜め上面)視点の方向からみたステイックピク
チャーを示している.図中,左側から順にインパ
クト前O.3秒,インパクト前O.15秒,インパクト時
点,インパクト後0.15秒,インパクト後O,30秒の
2.2m
時点の打球動作である.黒丸印は被験者の重心,
ク・
自丸印はボールを示している.
図6の熟練者のフォアハンドロング打法のイン
Z
パクト前後の一連の打球動作をみると,インパク
ト前O.30秒からインパクト時点にかけて,フリー
Fig.4 Actual recording of contro1point for cali−
ハンドを左前方向に突き出していくと同時に,ラ
bration
ケットハンドを右後方に引きながら肘を伸展させ,
ボールの飛行方向に対して右足を少し後方に下げ,
21
体幹を左方向に回転させて打球している.インパ
22
クト後は,ラケットハンドの肘を屈曲させながら
(8)4
フリーハンドを体幹に寄せて身体バランスをとり,
(7)3 2(6)
次打球に対する準備姿勢をとっている.黒丸印で
(5)
示した身体重心は,常に体幹の中心,腹部にあっ
1
た.
13(19)
12(18)
9(15)
11
(17)10(16)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
右手先
右手首
右肘
右肩
左手先
左手首
左肘
左肩
右つま先
10 右母指球
11右かかと(突出点)
19
図7の非熟練者のフォアハンドロング打法のイ
18
ンパクト前後の一連の打球動作をみると,インパ
クト前O.30秒からインパクト時点にかけて,フリ
9 15
ーハンドを体幹の左側に寄せたまま,ラケットハ
ンドを前方に突き出しながら肘を伸展させ,ボー
12右足首
13右膝
ルの飛行方向に対して足の向きは直角のまま,体
14右大転子
幹をインパクトに向けて左回転させて打球してい
・15左っま先
る.インパクト後は,肘を屈曲させながら前方向
16左母指球
17左かかと(突出点〕
ユ8左足首(外果)
に突き出している.身体重心は,体幹の中心,腹
19左膝
部右側にあった.
20左夫転子
フォアハンドロング打法を熟練者と非熟練者で
比較すると,インパクト前後0.6秒間におけるラケ
2ユ頭頂
22耳柔点
23胸骨上縁
ットハンドの単位時間当たりの屈曲および伸展の
24 ボール
度合いは,熟練者の方が著しく大であった.さら
Fig.5 Digitising points of the each parts of body
に,フリーハンドとラケットハンドの位置は,熟
一123一
D LT法を用いた3次元解析による卓球のフォアハンド打法の研究
X axis
’o
・・
●
●
●
●
肚0皿t
Y axis
ToP
■
、
o
、
、
o
正
正
o
Z砒is
o
Side
●
o
o
一〇.30s
珊g.6
Impact +O.15s
一〇.15s
十〇.30s
Stick pictuエes of forehand stroke by the3dimensional analysis(Trained)
●
●
●
X axis
●
●
Fml1t
Y axis
Top
■
\
Z狐is
Side
o
o
o
一〇.30s
固g.7
一〇.15s
1mpaot +O.15s
十〇.30s
Stick pictures of forehand stroke by the3dimensiona1anaIysis(Untrained)
_124一
早稲田大学人問科学研究
第7巻第1号 1994年
,
X丑xis
肘011t
●
●
■
Y axis
■
Top
●
Z axis
●
Side
,
o
o
一〇.30s
Fig.8
一〇.15s
Impact
十〇.15昌 十〇.30s
Stick pictures of forehand stroke by the3dime口sional ana1ysis(Trained)
X axis
●
■
■
●
趾0皿t
Y肌is
Top
■
●
\
、
o
Z狐is
●
Side
ノ
o
一〇.30s
㎜g.9
o
一〇.15s
Imp趾t
一トO.15s 一トO.30s
Stick pictures of forehand smash stroke by the3dimensional analysis(Untrained)
_125一
D LT法を用いた3次元解析による卓球のフォアハンド打法の研究
練者の場合インパクト前から後にかけて近接する
非熟練者のフォアハンドロング打法と同スマッ
のに対して,非熟練者のそれらの位置は離れる傾
シュ打法を比較した場合,インパクト時点におけ
向にあった.
る正面,側面,上面,上斜め面のいずれの方向か
図8の熟練者のフォアハンドスマッシュ打法の
らの視点からみても,体とボールの位置関係はほ
インパクト前後の一連の打球動作をみると,イン
ぽ同様であった.しかし,ロング打法よリスマッ
パクト前O.30秒からインパクト時点にかけて,フ
シュ打法の方が,インパクト前後のO.6秒問におけ
リーハンドを前方向に突き出しながら左方向に回
るラケットハンドの単位時間当たりの伸展の度合
旋させていくと同時に,ラケットハンドを右後方
に引きながら肘を伸展さぜ,ボールの飛行方向に
いおよびフリーハンドの左旋回のスピードは著し
く大であった.
対して右足を後方に下げ,体幹を左方向に鋭く回
考 察
転させて打球している.インパクト後は,ラケッ
トハンドの肘を屈曲させている.フリーハンドは
卓球競技の場合,様々な打法が存在するが,特
インパクト時点の位置を保っている.黒丸で示し
に初心者指導の上で重要であると思われるフォア
た身体重心は,常に体幹の中心,腹部前部にあっ
ハンドによるロング打法およびスマッシュ打法の
2つを取り上げ,熟練者と非熟練者の動作の解析
た.
図9の非熟練者のフォアハンドスマッシュ打法
検討を行った.
のインパクト前後の一連の打球動作をみると,イ
これらのフォアハンドによるロング打法および
ンパクト前0.30秒からインパクト時点にかけて,
スマッシュ打法の一連の打球動作の解析の結果,
フリーハンドを左回旋させながら,ラケットハン
熟練者は非熟練者と比較し,上下肢および体幹を
ドを前方に突き出しながら肘を伸展させ,ボール
フルに活用して,インパクト前に足先,膝,腰,
の飛行方向に対して足の向きは直角のまま,体幹
肩等を鋭くコンパクトに捻り,肘,手首,ラケッ
を左回転させて打球している.インパクト後は,
トを体幹の後方に残し,いわゆる「力のため」を
肘を屈曲させている.フリーハンドはインパクト’
生じるラケットスイングを行っている.もう少し
後も左回旋し続け,右足の近くまで接近していた.
細かく熟練者の身体各部の動きをみると,足先き
身体重心は,体幹の中心,腹部にあった.
の鋭いシャープな捻りが,小さい円弧を描くよう
フォアハンドスマッシュ打法を熟練者と非熟練
者間で比較すると,インバクト前後O.6秒聞におけ
な膝の捻り,そして,スパッと切れるような腰の
捻り,さらに,大きい円弧を描きながらえぐり出
る肘の単位時間当たりの屈曲および伸展の度合い
すような肩の捻り,次いでジャックナイフ状の肘
は,熟練者の方が著しく大であった.さらに,フ
の屈曲および伸展の動きにつながり,最終的には
リーハンドとラケットハンドの動きは,熟練者の
手首のスナップ動作に連動し,体全体のパワーが
場合インパクト前から後にかけて近接するのに対
見事にインパクト時点に結集された打球動作とな
して,非熟練者の場合それらの動きはほぽ等距離
っている.これらの結果と,著者が過去に2次元
を保持していた.
解析した報告結果1)とはほぽ同様であった.
熟練者のフォアハンドロング打法と同スマッシ
このような打球動作を行うことによって,熟練
ュ打法を比較した場合,インパクト時点における
者は飛来する相手ボールのインパクト前の様々な
正面,側面,上面,上斜め面のいずれの方向から
情報,すなわちボールのスピン,スピード,長短,
の視点からみても,体とボールの位置関係はほぽ
コース,タイミング等をもとに,身体各部位の微
同様であった.しかし,ロング打法よりスマッシ
調整を行いつつ上下肢および体幹から生まれる
ュ打法の方が,インパクト前後の0.6秒問における
「むち状のしなり」を利用し,スピードおよびス
ラケットハンドの単位時間当たりの屈曲および伸
ピンの両要素の高い攻撃球を打ちむことが出来る
展の度合いおよびフリーハンドの左旋回のスピー
わけである.
ドは著しく大であった.
また,熟練者はラケットの回旋速度を最高度に
_126_
早稲田大学人間科学研究
第7巻第1号1994年
高めるように身体各部位を運用している一方で,
先に出て打つことの非常に多いのが,初心者の特
連続的な素早い打球動作を可能とするべく,イン
徴である,といえよう.
パクト後にはフリーハンドを体幹に寄せ身体重心
「慌てて打たないようにしましょう.ミスを急
を中心に保持し,次打球に対する準備体勢を整え
ぐ必要はありません.ボールはゆっくり飛んでき
ている.
ます.待ちましょう.待っている間に,体を横に
一方,非熟練者の場合,スマッシュ打法におい
回しましょう.それから打っても遅くはありませ
てロング打法よりインパクト前後の単位時間当た
ん.急がば回れ,ではなく,急がば回せです.」と
りのラケットハンドの伸展の度合いは大であるも
いう指導を,我々は行うのである.
のの,その他の身体部位はボールスピードの増大
過去における動作解析の研究報告は2次元的な
にあまり活用されてはいない.すなわち,非熟練
ものが多く,捻り等の入る複雑な動作において検
者の場合,足先から膝が伸びきっている状態のた
討し難い点があったことは事実である.しかしな
めに,下半身の大きなパワーを生み出すことは出
がら,今回は2台のカメラを用いてDLT法によ
来ない.さらに,肘はインパクトに向けて伸展す
る3次元解析を行い,様々な視点から打球動作の
るばかりだけでなく,飛んでくるボールに対して
細かい点を明確に確認でき,初心者を指導する上
体が前に突っ込みすぎるために,インパクト前に
での重要な注意点を確認し,実証できた.
ボールに関する様々な情報を得たとしても,ラケ
今後,さらに異なる打球条件,例えば送り出さ
ットスイングを微調整し,コントロールを高めて
れるボールの打球タイミングが異なった場合にお
返球する時間的および体勢的余裕のないことは明
ける打球フォームと熟練度との関連について検討
らかである.また,肘がインパクト後も伸展し続
を加えたいと考えている.
けるために,次打球に対する準備姿勢への戻りは
参考文献
遅くなり,連統的に打球することは不可能となる.
すなわち,非熟練者のフォアハンドロング打法お
1)葛西順一:卓球一フォアハンドスマッシュに関
よびスマッシュ打法のスピードとコントロールの
する研究(I)一球速及び正確性について一:早
両要素が熟練者より著しく劣ることが,動作解析
稲田大学体育研究紀要:14125−3311982:
から実証された.
早稲田大学体育局、
「力のタメ」というテクニックが,ボールスピ
2)山岡英樹:卓球の科学スピード:新体育148:
ードを高める上で大変重要であるばかりではなく,
653−657.1975.
卓球競技の命ともいうべき正確性を支える重要な
3)葛西順一:「卓球一ボールの速度と回転数一」:
ポイントであることを強調出来よう.
初心者がボールを打つ時に,我々指導者が注意
Japanese Journa1of SPORTS SIENCES l
Vo1.12No.6June1993.ソニー出版
を促す事項の重要なポイントの一つに,「急がば回
4)Wu H.,et al.:Experimental reserach in
せ」という指導法がある.卓球のボールはコート
tab1e tennis.The 1st SportsScience Con−
の向こうからゆっくり飛んで来る.そのゆっくり
gress Proceeding.1989.
したボールを待つことが出来ずに,体や肘や手が
_127一
Fly UP